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特開2023-165447団信保険金利換算値算出システム、団信保険金利換算値算出方法、およびプログラム
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  • 特開-団信保険金利換算値算出システム、団信保険金利換算値算出方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165447
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】団信保険金利換算値算出システム、団信保険金利換算値算出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20231109BHJP
   G06Q 40/03 20230101ALI20231109BHJP
【FI】
G06Q40/08
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076433
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】515042052
【氏名又は名称】株式会社MFS
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(72)【発明者】
【氏名】中山田 明
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB23
5L055BB61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】団体信用生命保険の経済的価値を金利換算した団信メリットを算出するシステム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】団信保険金利換算値算出装置10は、ローンの純借入額、金利、返済期間等の入力情報を基に、前記ローンの純借入額に対する各回返済額を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成部と、団信考慮前キャッシュフローの内部収益率Xを算出する団信考慮前内部収益率算出部と、ローンのローン残高を基に保険金期待値を算出する団信保険金期待値算出部と、各回返済額から保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成部と、団信考慮後キャッシュフローの内部収益率Yを算出する団信考慮後内部収益率算出部と、内部収益率Xから内部収益率Yを差し引いた値X-Yを団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値の算出方法であって、
前記ローンの純借入額に対して、前記団体信用生命保険の保険料分を含む金利による各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成工程と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成工程により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出工程と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出工程と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成工程で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出工程により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成工程と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成工程により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出工程と、
前記団信考慮前内部収益率算出工程により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出工程により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出工程と
を備えることを特徴とする団信保険金利換算値の算出方法。
【請求項2】
ローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値の算出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記ローンの純借入額に対して、前記団体信用生命保険の保険料分を含む金利による各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成させ、
前記団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出させ、
現時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出させ、
前記団信考慮前キャッシュフローを組成させる際に算出された各回返済額から前記保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成させ、
前記団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出させ、
前記団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から前記団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
利用者の利用者端末と、該利用者の利用端末とデータ送受信可能に接続され、該利用者のローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値を算出する団信保険金利換算値算出装置とを備えるシステムであって、
前記団信保険金利換算値算出装置は、
前記利用者端末を介して、前記ローンの純借入額、前記団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報が入力され、
該入力情報を基に前記ローンの純借入額に対して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出部と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出部により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出部と、
前記団信考慮前内部収益率算出部により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出部により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出部と
を備え、前記団信保険金利換算値算出部により算出された団信保険金利換算値を、前記利用者端末を介して表示することを特徴とするシステム。
【請求項4】
利用者の利用者端末と、該利用者の利用端末とデータ送受信可能に接続され、該利用者のローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値を算出する団信保険金利換算値算出装置とを備え、前記利用者の希望するローン条件に合わせた各種ローンの金融サービス情報を提供するシステムであって、
前記団信保険金利換算値算出装置は、
前記利用者端末を介して、前記ローンの純借入額、返済期間および利用者個別情報が入力され、
該入力情報を基に前記ローンの純借入額に対して、複数種類の団体信用生命保険付きの金利のいずれか1つを選択して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出部と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および当該選択された金利の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を当該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出部により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出部と、
前記団信考慮前内部収益率算出部により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出部により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出部と
を備え、
同様にして前記団信保険金利換算値算出部において複数種類の団体信用生命保険付きの金利に対して団信保険金利換算値を算出するとともに、その算出結果を前記利用者の希望するローン条件に合わせた各種ローンの金融サービス情報として、前記利用者端末を介して表示することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅ローン等のローン利用者に対して最適な金融サービスを提案するためのシステム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅ローンの借り入れ時には、金融機関が個人の信用情報等を基に判断して融資を決定する。個人の信用情報を判断するときには、個人の資産、年齢、職業、健康状態などが考慮される。また住宅ローンを借り入れる場合、通常一時的に借り入れた住宅購入資金を、返済期間を設定して、計画的に返済していくことが行われている。この返済期間中に、返済義務者に、病気、疾病など万が一のことがあった場合に、保険金により残りの住宅ローンが弁済される、団体信用生命保険(団信)という保障制度がある。
【0003】
団信の保障制度の内容は、そのサービスを提供する保険会社や金融機関ごとに異なるものであり、その内容も複雑であるため、住宅ローンの借り入れを検討している者は、自身に最適なサービスを選択するための情報を入手することが必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の金融機関が取り扱う複数の住宅ローン商品から住宅ローン商品候補を抽出し、住宅ローン仲介者の情報処理端末に送信する住宅ローン商品抽出システムが開示されている。本システムでは、複数の貸出要件を全て満たした住宅ローン商品の候補に、他の住宅ローン商品の候補(解除条件が関連付けられている貸付要件以外の全ての貸付要件を満たしている住宅ローン商品)を付加することにより、より多くの候補の中から住宅ローン借入希望者にとって最適な住宅ローン商品を絞り込むことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-170170
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、住宅ローン利用者が住宅ローンの借り入れを行う際に自身に最適な団体信用生命保険(団信)を選択することができるように、団信の経済的価値を金利換算した団信メリットを算出するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1発明に係る方法は、
ローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値の算出方法であって、
前記ローンの純借入額に対して、前記団体信用生命保険の保険料分を含む金利による各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成工程と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成工程により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出工程と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出工程と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成工程で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出工程により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成工程と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成工程により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出工程と、
前記団信考慮前内部収益率算出工程により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出工程により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出工程と
を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係るプログラムは、
ローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値の算出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記ローンの純借入額に対して、前記団体信用生命保険の保険料分を含む金利による各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成させ、
前記団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出させ、
現時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出させ、
前記団信考慮前キャッシュフローを組成させる際に算出された各回返済額から前記保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成させ、
前記団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出させ、
前記団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から前記団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出させることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係るシステムは、
利用者の利用者端末と、該利用者の利用端末とデータ送受信可能に接続され、該利用者のローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値を算出する団信保険金利換算値算出装置とを備えるシステムであって、
前記団信保険金利換算値算出装置は、
前記利用者端末を介して、前記ローンの純借入額、前記団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報が入力され、
該入力情報を基に前記ローンの純借入額に対して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出部と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出部により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出部と、
前記団信考慮前内部収益率算出部により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出部により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出部と
を備え、前記団信保険金利換算値算出部により算出された団信保険金利換算値を、前記利用者端末を介して表示することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係るシステムは、
利用者の利用者端末と、該利用者の利用端末とデータ送受信可能に接続され、該利用者のローンにおける団体信用生命保険を金利換算した団信保険金利換算値を算出する団信保険金利換算値算出装置とを備え、前記利用者の希望するローン条件に合わせた各種ローンの金融サービス情報を提供するシステムであって、
前記団信保険金利換算値算出装置は、
前記利用者端末を介して、前記ローンの純借入額、返済期間および利用者個別情報が入力され、
該入力情報を基に前記ローンの純借入額に対して、複数種類の団体信用生命保険付きの金利のいずれか1つを選択して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する団信考慮前キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する団信考慮前内部収益率算出部と、
当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および当該選択された金利の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を当該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する団信保険金期待値算出部と、
前記団信考慮前キャッシュフロー組成部で算出される各回返済額から前記団信保険金期待値算出部により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する団信考慮後キャッシュフロー組成部と、
前記団信考慮後キャッシュフロー組成部により組成される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する団信考慮後内部収益率算出部と、
前記団信考慮前内部収益率算出部により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、前記団信考慮後内部収益率算出部により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値として算出する団信保険金利換算値算出部と
を備え、
同様にして前記団信保険金利換算値算出部において複数種類の団体信用生命保険付きの金利に対して団信保険金利換算値を算出するとともに、その算出結果を前記利用者の希望するローン条件に合わせた各種ローンの金融サービス情報として、前記利用者端末を介して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、住宅ローン利用者が住宅ローンの借り入れする際に、団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信メリットを参考にして自身に最適な団信を選択することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出システムの構成の一例を示したシステム構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出装置を説明する機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出装置においてデータ処理手順を説明するフローチャート図である。
図4】本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出装置においてキャッシュフローの一例を説明するキャッシュフロー図である。
図5】本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出装置において団信保険の期待値を算出する一例を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。
【0014】
本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出システムの利用環境について図1を参照しながら説明する。図1は、団信保険金利換算値算出システムの構成の一例を示したシステム構成図である。図1に示すように、団信保険金利換算値算出装置10は、住宅ローン等のローンを借り入れする際に、団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信メリットを算出する装置であり、利用者端末20と通信ネットワーク(NW)を経由して接続されている。
【0015】
住宅ローン利用者は住宅ローン等のローンの借り入れを行う前に、利用者端末20から団信保険金利換算値算出装置10にアクセスし、ローンの純借入額、団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報を入力し、団信保険金利換算値算出装置10では、その入力情報を基に団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信メリットを算出し、その結果を利用者端末20に表示する。ここで、利用者個別情報とは利用者の性別、年齢、職業に関する情報(勤続年数、職歴、職務内容等)、家族構成、資産情報、所得、ならびにこれらの任意の組み合わせを含むが、利用者の特徴を指標化できるものであれば、これらに限定されない。また、この団信メリットは金融機関により異るため、住宅ローン利用者はその結果を基にどの金融機関のローンを選択するのが最適か判断してローンの借り入れを行うことができるようになる。
【0016】
次に、本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出装置の機能構成について図2を参照しながら説明する。図2は、団信保険金利換算値算出装置を説明する機能ブロック図である。図2に示すように、団信保険金利換算値算出装置10は、団信考慮前キャッシュフロー組成部110と、団信考慮前内部収益率算出部120と、団信保険金期待値算出部130と、団信考慮後キャッシュフロー組成部140と、団信考慮後内部収益率算出部150と、団信保険金利換算値算出部160と、生存率テーブル記憶部170と、発生率テーブル記憶部180と、金利商品記憶部190と、を備えている。以下に、各機能部について詳細に説明する。
【0017】
<団信考慮前キャッシュフロー組成部>
団信考慮前キャッシュフロー組成部110は、利用者端末20を介して、ローンの純借入額、団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報が入力された後、その入力情報を基に、前記ローンの純借入額に対して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する。本実施形態において、利用者個別情報とは利用者の性別、年齢、職業に関する情報(勤続年数、職歴、職務内容等)、家族構成、資産情報、所得、ならびにこれらの任意の組み合わせを含むが、利用者の特徴を指標化できるものであれば、これらに限定されない。
【0018】
団信考慮前キャッシュフローについて図4を参照しながら説明する。図4はキャッシュフローの一例を示したキャッシュフロー図である。図4に示すように、キャッシュフローには、キャッシュインフローとキャッシュアウトフローがあり、キャッシュインフローはローンの借り入れ時に借入額から事務手数料を引いた純借入額(C0)を示したものである。キャッシュアウトフローは毎月の金利と元本返済額を合計した毎月返済額(C1・C2・C3・・・Cn)を縦軸(棒グラフ)にして、返済期間を横軸(時間軸)にして示したものである。図4の例では、色の濃い棒グラフが毎月返済額、すなわち団信考慮前のキャッシュアウトフローを示している。
【0019】
<団信考慮前内部収益率算出部>
団信考慮前内部収益率算出部120は、団信考慮前キャッシュフロー組成部110により組成される団信考慮前キャッシュフローについて内部収益率(X)を算出する。一般的な利回りは時間的価値を考慮しないで計算されるのに対し、内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)は、お金の時間的な価値を考慮して計算した利回りのことであり、すなわち将来のキャッシュフローの現在価値と投資額の現在価値が等しくなる利益率を意味しており、投資期間や現在価値などを考慮して収益率を算出するため、様々な金融商品を比較できるメリットがある。
【0020】
図4に示したキャッシュインフロー(C0:純借入額)とキャッシュアウトフロー(C1・C2・C3・・・Cn :毎月返済額)を用いて、団信考慮前キャッシュフローの内部収益率rは次の計算式1で算出される。
<計算式1>
【数式1】
【0021】
【0022】
<団信保険金期待値算出部>
団信保険金期待値算出部130は、当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する。
【0023】
各月毎の団信保険金の期待値(E1・E2・E3・・・En)は、毎月のローン残高、生存率、保険対象疾病の発生率を基に次の計算式2で算出される。
<計算式2>
保険金期待値=ローン残高×生存率×発生率
【0024】
ここで上記計算式2の生存率は、例えば厚生労働省が提供する簡易生命表を基に年齢毎および男女毎の死亡率のデータが格納されている生存率テーブル記憶部170を参照して決定されてもよい。
【0025】
また上記計算式2の発生率は、例えば保険会社や金融機関が提供する保険対象疾病毎の発生率のデータが格納されている発生率テーブル記憶部180を参照して決定されてもよい。
【0026】
次に団体信用生命保険の保険金期待値の算出例について図5を参照しながら説明する。図5の例では、年齢30歳の利用者が30百万円のローンを申し込みする場合に、団体信用生命保険の保険金期待値を算出する場合に、例えば、返済回数2回目では、残高=29百万円、生存率=99.99%、発生率=0.003%のデータを用いて次のように算出される。
保険金期待値=29百万円×99.99%×0.003%=720円
【0027】
同様にして、返済回数N回目では、残高=15百万円、生存率=80%、発生率=0.05%のデータを用いて次のように算出される。
保険金期待値=15百万円×80%×0.05%=6,000円
【0028】
<団信考慮後キャッシュフロー組成部>
団信考慮後キャッシュフロー組成部140は、団信考慮前キャッシュフロー部120で算出される各回返済額から団信保険金期待値算出部130により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する。
【0029】
団信考慮後キャッシュフローについて図4を参照しながら説明する。図4に示した色の濃い棒グラフ、すなわち毎月返済額(C1・C2・C3・・・Cn)から、団信保険金期待値算出部130で算出した保険金期待値(E1・E2・E3・・・En)を差し引いた部分(薄い棒グラフで示した部分)を縦軸(棒グラフ)にして、返済期間を横軸(時間軸)にして示したものが団信考慮後のキャッシュアウトフローとなる。
【0030】
<団信考慮後内部収益率算出部>
団信考慮後内部収益率算出部150は、団信考慮後キャッシュフロー組成部140により組成された団信考慮後キャッシュフローについて内部収益率(Y)を算出する。
【0031】
図4に示したキャッシュインフロー(C0:純借入額)とキャッシュアウトフロー(C1-E1・C2-E2・C3-E3・・・Cn-En:毎月返済額)を用いて、団信考慮後キャッシュフローの内部収益率rは次の計算式3で算出される。
<計算式3>
【数式2】
【0032】
【0033】
<団信保険金利換算値算出部>
団信保険金利換算値算出部160は、団信考慮前内部収益率算出部120により算出される団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、団信考慮後内部収益率算出部150により算出される団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値(団信メリット)として算出する。
【0034】
この後、団信保険金利換算値算出部160により算出された団信保険金利換算値は、利用者端末20を介して表示される。
【0035】
以上の通り、団信保険金利換算値算出装置10により団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信保険金利換算値(団信メリット)が算出できるようになる。
【0036】
なお上記の説明において団信保険金利換算値算出装置10は、利用者端末20を介して入力された、ローンの純借入額、団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報を基に、当該ローンの団信保険金利換算値(団信メリット)を算出しているが、利用者の希望するローン条件に合わせて各種ローンに応じた団信保険金利換算値(団信メリット)を算出することも可能である。
【0037】
この場合、団信考慮前キャッシュフロー組成部110は、利用者端末20を介して、ローンの純借入額、返済期間および利用者個別情報が入力された後、該入力情報を基に前記ローンの純借入額に対して、複数種類の団体信用生命保険付きの金利のいずれか1つを選択して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する。
【0038】
その後、団信考慮前内部収益率算出部120、団信保険金期待値算出部130、団信考慮後キャッシュフロー組成部140、団信考慮後内部収益率算出部150、および団信保険金利換算値算出部160では、上記で説明した同様の処理を実行し、複数種類の団体信用生命保険付きの金利に対して団信保険金利換算値を算出することにより、団信保険金利換算値算出装置10は利用者の希望するローン条件に合わせて各種ローンに応じた団信保険金利換算値(団信メリット)を算出することができる。その算出結果は、利用者端末20を介して表示されることになる。また例えば、利用者端末20を介して表示する際に、利用者の希望するローン条件に合わせて金利ランキングを組成し、各種ローンの参考情報として団信メリットを提示することもできる。
【0039】
この団信メリットは金融機関により異るため、住宅ローン利用者は各種ローンの団信メリットを参考にして自身に最適な団信を選択することが可能になる。
【0040】
次に本発明の実施形態に係る団信保険金利換算値算出システムのデータ処理手順について、図3のフローチャート図を参照しながら説明する。上記で説明した通り、団信保険金利換算値算出システムは、団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信メリットを算出するシステムである。
【0041】
<データ処理手順>
ステップS100において、利用者端末20を介して、ローンの純借入額、団体信用生命保険の保険料を含む金利、返済期間、保険対象疾病および利用者個別情報が入力される。本実施形態において、利用者個別情報とは利用者の性別、年齢、職業に関する情報(勤続年数、職歴、職務内容等)、家族構成、資産情報、所得、ならびにこれらの任意の組み合わせを含むが、利用者の特徴を指標化できるものであれば、これらに限定されない。
【0042】
次にステップS110において、ステップS100で利用者端末20を介して入力された入力情報を基に、前記ローンの純借入額に対して各回返済額の算出を含む団信考慮前キャッシュフローを組成する。
【0043】
図4は、そのキャッシュフローの一例を示したものである。図4に示すように、キャッシュフローには、キャッシュインフローとキャッシュアウトフローがあり、キャッシュインフローはローンの借り入れ時に借入額から事務手数料を引いた純借入額(C0)を示したものである。キャッシュアウトフローは毎月の金利と元本返済額を合計した毎月返済額(C1・C2・C3・・・Cn)を縦軸(棒グラフ)にして、返済期間を横軸(時間軸)にして示したものである。図4の例では、色の濃い棒グラフが毎月返済額、すなわち団信考慮前のキャッシュアウトフローを示している。
【0044】
次にステップS120において、ステップS110により組成された団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)を算出する。図4に示したキャッシュインフロー(C0:純借入額)とキャッシュアウトフロー(C1・C2・C3・・・Cn:毎月返済額)を用いて、団信考慮前キャッシュフローの内部収益率rは、上記に示した計算式1で算出される。
【0045】
次にステップS130において、当該算出方法の算出時点における前記ローンのローン残高に、生存率および前記団体信用生命保険の保険対象疾病の発生率を乗じることにより得られる期待値を該団体信用生命保険の保険金期待値として算出する。
【0046】
各月毎の団信保険金の期待値(E1・E2・E3・・・En)は、毎月のローン残高、生存率、保険対象疾病の発生率を基に上記に示した計算式2で算出される。
【0047】
次にステップS140において、ステップS110により組成された団信考慮前キャッシュフローにおける各回返済額から、ステップS130により算出される保険金期待値を差し引いて得られる団信考慮後各回返済額を含む団信考慮後キャッシュフローを組成する。
【0048】
図4は、そのキャッシュフローの一例を示したものである。図4に示した色の濃い棒グラフ、すなわち毎月返済額(C1・C2・C3・・・Cn)から、団信保険金期待値算出部130で算出した保険金期待値(E1・E2・E3・・・En)を差し引いた部分(薄い棒グラフで示した部分)を縦軸(棒グラフ)にして、返済期間を横軸(時間軸)にして示したものが団信考慮後のキャッシュアウトフローとなる。
【0049】
次にステップS150において、ステップS140により組成された団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を算出する。
【0050】
図4に示したキャッシュインフロー(C0:純借入額)とキャッシュアウトフロー(C1-E1・C2-E2・C3-E3・・・Cn-En:毎月返済額)を用いて、団信考慮後キャッシュフローの内部収益率rは、上記に示した計算式3で算出される。
【0051】
次にステップS160において、ステップS120により算出された団信考慮前キャッシュフローの内部収益率(X)から、ステップS150により算出された団信考慮後キャッシュフローの内部収益率(Y)を差し引いた値(X-Y)を前記団信保険金利換算値(団信メリット)として算出する。
【0052】
次にステップS200において、ステップS160により算出された前記団信保険金利換算値(団信メリット)が利用者端末20に送信され、表示される。
【0053】
以上から、住宅ローン利用者は、団体信用生命保険(団信)の経済的価値を金利換算した団信保険金利換算値(団信メリット)を参考にして自身に最適な団信を選択することが可能になる。
【0054】
なお、上記で説明したデータ処理手順については、コンピュータによって実行される方法として実現されてもよいし、またコンピュータに実行されるためのプログラムとして実現されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 団信保険金利換算値算出装置
20 利用者端末
110 団信考慮前キャッシュフロー組成部
120 団信考慮前内部収益率算出部
130 団信保険金期待値算出部
140 団信考慮後キャッシュフロー組成部
150 団信考慮後内部収益率算出部
160 団信保険金利換算値算出部
170 生存率テーブル記憶部
180 発生率テーブル記憶部
190 金利商品記憶部
図1
図2
図3
図4
図5