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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165477
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】軽トラックの架装
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/04 20060101AFI20231109BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B62D33/04 E
F16B23/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076511
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】722004850
【氏名又は名称】ゴリラエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山羽 剛平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】十分な強度を有する箱形架装と、軽量かつ耐久性に優れたFRPルーフを、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず着脱可能とし、軽貨物運送をより安全に、経済的に、更には法的規制を遵守する中で、実施可能とすることを特徴とする軽トラック架装を提供する。
【解決手段】軽トラックの3方向のアオリを取り除いたものの荷台上面に、十分な強度を有する軽金属製成形材などにより組み立てられ、締結固定された箱形架装2と、その天面にFRPルーフ1を取り付ける、という構成であり、箱形架装2は軽量であり、かつ十分な素材と構造の強度、更には十分なトルクにより軽トラック荷台に締結固定された状態であること、また、FRPルーフ1はその素材の特徴から軽量かつ耐久性に優れており、作業性が良く、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず取り付け、および取り外しが容易に可能であるという手段を採る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽トラックのアオリを取り除いたものの荷台上面に、十分な強度を有する軽金属製成形材などにより組み立てられ、締結固定された箱形架装と、その箱形架装の上面に、工具やクレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず、容易に着脱が可能である軽量のFRPルーフを取り付ける、という構成であり、箱形架装は軽量であり、かつ十分な素材と構造の強度、更には十分なトルクにより軽トラック荷台に締結固定された状態であること、また、FRPルーフはその素材の特徴から軽量かつ耐久性に優れており、作業性が良く、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず取り付け、および取り外しが容易に可能であることを特徴とする軽トラック架装。
【請求項2】
軽トラックの、車高2.0mを超え、地上2.5mまでに設えられる、FRPルーフを取り外し、また取り付ける場合には、手締めローレットボルトを人の手による締結、および弛緩が容易に実施可能であり、なおかつ十分な耐久性を持ち合わせながら、極めて軽量に設計、製造されている該FRPルーフは持ち運びも人力で行うことが可能で、高い作業性を備えていることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項3】
手締めローレットボルトは、円柱状の金属素材の外周にローレット加工などにより平目およびアヤ目などの滑り止め形状を生成し、更に片方の先端を雄ネジ形状に加工するか、雄ネジボルトを埋め込むなどして製作し、この場合ローレットを施工する素材の大きさや強度は本発明の使用に十分に耐えうる設計とするものとし、そしてこの滑り止め形状たる部分については、人の手で握り、そして該手締めローレットボルトをねじ込むために旋回させるときに、該手締めローレットボルトと人の手との接触面に、締結に十分なトルクを発生させることが可能な摩擦力を生み出すものであることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項4】
手締めローレットボルトをねじ込むときに、そのねじ込む相手となる雌ネジ側は、該FRPルーフを取り付ける、箱形架装の天面の裏側に、長尺ブロック形状の金属部品(インサートブロック)を装着し、該長尺ブロック形状の金属部品にはFRPルーフのフランジ部分に施行された取り付け穴と同ピッチ、同位置に雌ネジを施工しており、その雌ネジに、該手締めローレットボルトの雄ネジをねじ込むことによって、目的とする締結を可能とするものであることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項5】
手締めローレットボルトの外径は取り付くFRPルーフのフランジ部分、および箱形架装の壁厚よりも小さく設計されており、取り付けを行った際に、箱形架装の内壁より飛び出すことが無く、つまりは、積載された荷物と干渉することがないので、該手締めローレットボルトにより荷物に傷を付ける懸念が極めて少ないということとを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項6】
箱形架装の外側の各組み合わせ部分には二液性接着剤および強力両面テープなどを使用し、十分な固定強度を持たせており、なおかつ外周部に締結用のボルトやリベットなどを使用していないため、外観を極めて綺麗に仕上げることが可能であり、意匠性における商品価値を高めていることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項7】
軽トラック本体と箱形架装を組み付けた際に出現する、わずかな間隙に対しては、防水性のシリコンコーキング材などを用いて、シーリングを行うことにより、軽トラック本体と箱形架装の間に生じる間隙を埋めることができ、軽トラック本体と箱形架装の間からの雨水の浸入を防ぐことが可能となることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項8】
FRPルーフと箱形架装の間にパッキンを挟み込んでいるため、防水性能を有し、FRPルーフと箱形架装の間からの雨水などの浸入を防ぐことが可能となることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項9】
箱形架装の天面裏側に装着された、インサートブロックを取り外すことにより、従来多く利用されている、幌ルーフタイプに変更することが可能となり、つまり同じ軽トラックであり、かつ同じ箱形架装でありながら、利用者の要望に応じて、FRPルーフにも、幌ルーフにも変更が可能となり、利用者の利便性が向上することを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【請求項10】
軽トラック本体においては、取り外した左右のアオリの外壁の位置と、後方のアオリの外壁の位置が、規制の車幅と車長の境界線にほぼ等しいものとなっており、本発明の軽トラック架装においては、この車幅と後方の車長に合わせた設計となっており、従来の軽トラック架装の製品に比して、より多くの貨物が積載可能となっていることを特徴とする請求項1の軽トラック架装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽貨物運送業界において利用される4輪軽トラックにおける荷台部分の箱形二次架装、又は、FRPルーフの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽貨物運送業界においてはインターネットによるコミュニケーションの急激な変化に伴うEC市場を始めとする小口軽貨物運送需要の飛躍的な高まりによって、宅配軽トラックの需要も劇的な伸びを見せており、宅配の個人事業主も大幅に増加してきている。
このように、急激な成長を遂げる宅配軽トラックの需要の中にあって、該宅配軽トラックの供給体制は決して十分とは言えない状況となってきている。
【0003】
宅配軽トラックにおいては、自動車メーカーで生産されたベースとなる軽トラック本体に該軽トラックの荷台への二次的な架装を施工する架装専門メーカーが存在する。ところが、主に大型トラックの二次架装を手がける大手架装業者においては、その大型トラック市場に比して、軽貨物運送業界の市場規模が小さいことから、殆どが参入をしていない。
【0004】
現在、該宅配軽トラックの二次架装を手がけている業者は中小企業のわずか数社に限られているというのが現状である。しかし、そのわずか数社の業者においては、旧来実施してきた製造方法ならびに品質管理および安全管理体制により、必ずしも安全面や経済面、操作性において十分な体制を備えているとは言えず、法的な規制の遵守も含めて時代の要求にそぐわない仕様になっている状況であり、該宅配軽トラックの利用者である顧客には少なからぬ不満が存在することも事実である。
【0005】
例えば、軽トラックは道路運送車両法において、車長3.4m、車幅1.48m、車高2.0mという規定がある。そして、その車高を超えて貨物を積載しようとする場合は、その上限が地上から2.5mという規定が存在する。宅配軽トラックの二次架装の場合、積載量をできるだけ増やしたいという要求があるため、この制限高さの2.5mまで屋根を高くする。この場合、車高規定の2.0mを超える0.5mの屋根部分に関しては着脱を簡易に、つまりは工具不要にて可能にすることで、法律上の「貨物」という扱いにすることにより、規定内に納めることを可能としている。しかし、該既存業者においては「高さが2.5mを超えて」架装されたものや、2.0mを超える屋根部分をボルト等で工具を用いて締め付けるなど、簡易に、つまり工具不要により着脱可能としていないもの、あるいは車体部分と屋根部分の接触面を接着剤等で固着させるなどして容易には着脱が出来ないなど、法的に問題があると思われる状態が存在する、という現実がある。
本発明はこれら現存する問題を解決しようとするものでもある。
【0006】
具体的には、箱形の架装と天井部分を締結する方法の一つとして、従来、図11に示すようにフランジ構造の構造材同士を締結する方法として、ボルトやリベット、あるいは接着剤などを介して行われるという技術があった。(特許文献1参照)。
【0007】
そして、箱形の架装と天井部分を締結する方法の一つとして、図12に示すようにグリップ付きボルトや蝶ボルトなどを用いて固定する方法があった(特許文献2参照)。
【0008】
また、荷台の天井面を容易かつ迅速に解放することを目的とした図13に示すような骨組みと幌を用いた屋根部分であって、箱形の架装と骨組み、更には幌とを簡便に取り付け、取り外しが可能となるような仕組みとなるものがあった(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10-219926号公報
【特許文献2】実用新案登録第3217162号広報
【特許文献3】実用新案登録第3114166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1の締結方法では、半永久的にあるいは長期間にわたって強固に固着した状態に保つことを想定しており、フランジ構造の構造材同士の締結は強固に行うことは可能ではあるが、本発明の主眼である、容易に、つまりは工具不要で着脱が可能となるものではない、という問題があった。
【0011】
そして、上記特許文献2の締結方法では、水平方向からのグリップ付きボルトや蝶ボルトなどの締結部品の取り付けとなり、該グリップ付きボルトや蝶ボルトが荷台に積載される荷物側の方向に向いた状態となっている。そうなると、軽トラックの運転中の振動や揺動などにより、積載された荷物が振動あるいは揺動することにより、該荷物に穴が空いたり、裂けたりする損傷を負わせる懸念がある、と言う問題があった。
【0012】
また、上記特許文献3の仕組みでは、骨組みは丈夫なものである必要があるため、スチールなどの金属製のものである必要があるために、重量が重くなり、また幌についても強度を保持するために一定の重量を持つため、軽トラック全体の重心が上方に上がることにより、運転時の安定性が悪くなる。更に、前述したとおり、道路運送車両法においては「貨物」としての取扱にする必要があるために、該骨組みや幌を工具不要で着脱が可能とする機能を行使する際に重量が重く、また脱着に時間を要するなどの操作性が悪くなる、と言う問題があった。
このような実状に鑑み、本発明の主たる課題は、上記のような問題を解決する新たな軽トラック架装、および、FRPルーフの箱形架装への取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る軽トラック架装の特徴構成は、
市販の軽トラックの左右、および後方のアオリを取り除いたものの荷台上面に、十分な強度を有する軽金属製成形材などにより組み立てられ、締結固定された箱形架装と、その天面に、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず、容易に着脱が可能である軽量のFRPルーフを取り付ける、という構成であり、箱形架装は軽量であり、かつ十分な素材と構造の強度、更には十分なトルクにより軽トラック荷台に締結固定された状態であること、また、FRPルーフはその素材の特徴から軽量かつ耐久性に優れており、作業性が良く、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず取り付け、および取り外しが容易に可能である、という点にある。
【0014】
つまり、上記構成では、十分な強度を有する箱形架装と、軽量かつ耐久性に優れたFRPルーフを、工具や、クレーン、フォークリフトなどの道具を必要とせず着脱可能とし、軽貨物運送をより安全に、経済的に、更には法的規制を遵守する中で、実施可能とすることを特徴としている。
【0015】
説明すると、従来、軽トラックの架装メーカーにおいては、既述の道路運送車両法である、車長3.4m、車幅1.48m、車高2.0mというそれぞれの上限以下に収めなければならないという規定と、更には車高2.0mを超えて貨物を積載しようとする場合には、地上から2.5m以内に収めなければならず、その2.0mを超える部分を、工具やクレーン、フォークリフトを使用せずに着脱可能であるものにしなければならないという規定があるが、既存の軽トラック架装メーカーにおいては、該規定を必ずしも遵守できていない、という状況にある。
【0016】
一例を挙げるとすれば、箱形の架装の天面にFRPルーフを取り付ける仕様のものは近年、既存の軽トラック架装メーカーによって、徐々に市場に出てきているものの、FRPルーフの取り付け方法はボルトとナット、あるいはリベットなどの締結部品を使用し、専用の工具を用いて締結している、という現状があり、「車高2.0mを超える部分を、工具やクレーン、フォークリフトを使用せずに着脱可能であるもの」とはなっていない。
【0017】
更に一例を挙げるとすれば、さるメーカーの製品において、実際の走行中においてFRPルーフが破損、飛散させるという事故が発生した。これは使用するFRPの強度や取り付け方法の強度不足など、複合的にその要因は存在することが容易に想像される。つまり、既存のメーカー製造品において、信頼できる性能評価や耐久試験などを実施していないため、安全上問題がある製品が市場に出回っている可能性を指摘せざるを得ない。
【0018】
また、上記の事故が発生したメーカーにおいては、その後、事故の再発防止のために、箱形の架装とFRPルーフの接合部分を接着剤などを用いて固着させる、という対策を講じている。しかしながらこれは、「車高2.0mを超える部分を、工具やクレーン、フォークリフトを使用せずに着脱可能であるもの」とは言えず、規制を逸脱するものとなっており、すなわち、安全性に疑問がある製品であると言わざるを得ない。
【0019】
また、FRPルーフの取り付け方法に着目すれば、先述の、ボルトとナット、あるいはリベットなどの部材をそれ用の工具を用いて締結し、更に架装の内部において、グリップ付きボルトや蝶ボルトなどを用いて固定している、という、過剰とも思える締結を施しているものもある。これについては、容易に着脱可能であることを外観的に表現しているものではないかとも推察される。
【0020】
そして、この架装内部における、グリップ付きボルトや蝶ボルトが積み荷の方向に向いて取り付いているために、積載された荷物に干渉、あるいは衝突し、該荷物に穴を開けたり、外装が裂けたり、という破損事故の原因となる場合がある。
【0021】
このような問題に対し、発明者は知見により、FRPルーフの取り付け方法に着目し、また、それに付随する技術的な問題解決策を見出し、前述のような問題が発生しない仕組みとすることに成功した。
【0022】
本発明に係る軽トラック架装によれば、十分な耐久性能を持ち合わせ、なおかつ極めて軽量に設計、製作されたFRPルーフは、その取り付け面に施されたフランジ部分に、締結能力を十分に考慮され設計配置された取り付け穴を有し、該FRPルーフの該フランジ部分と、箱形架装の天面に施工された、該FRPルーフのフランジ部分に施された取り付け穴と同じピッチ位置の取り付け穴を有する、雨水などの侵入を遮断するためのパッキンを挟んだ状態で、人の手による締結で十分な取り付け強度を得られるように設計され、製造された、手締めローレットボルトを用いて締結し、箱形架装とFRPルーフとが、軽トラックの走行や、運搬作業などによる外的な負荷に対して、十分な強度を有する締結固定を実現可能とした。
【0023】
そして、この車高2.0mを超え、地上2.5mまでに設えられる、該FRPルーフを取り外し、また取り付ける場合には、該手締めローレットボルトを人の手による締結、および弛緩が容易に実施可能である。なおかつ十分な耐久性を持ち合わせながら、極めて軽量に設計、製造されている該FRPルーフは持ち運びも人力で行うことが可能で、従来の製品に比べて高い作業性を備えている。
このように、本発明によれば前述の従来の問題を回避することが出来る。
【0024】
本発明に係る軽トラック架装の更なる特徴構成は、前述の手締めローレットボルトと、該手締めローレットボルトに螺合するインサートブロックにある。
【0025】
ここでいう手締めローレットボルトとは、従来のボルトナットやリベットに変わって、箱形架装とFRPルーフを締結固定するために、本発明のために特別に設計、製作したものであり、本発明を実施するに当たり、重要な要素となる部品である。
【0026】
この手締めローレットボルトの特徴は、円柱状の金属素材の外周にローレット加工などにより平目およびアヤ目などの滑り止め形状を生成し、更に片方の先端を雄ネジ形状に加工するか、雄ネジボルトを埋め込むなどして製作する。この場合、ローレットを施工する素材の大きさや強度は本発明の使用に十分に耐えうる設計とするものとする。そして、この滑り止め形状たる部分については、人の手で握り、そして該手締めローレットボルトをねじ込むために旋回させるときに、該手締めローレットボルトと人の手との接触面に、締結に十分なトルクを発生させることが可能な摩擦力を生み出すものであることとする。
【0027】
そして、この手締めローレットボルトをねじ込むときに、そのねじ込む相手となる雌ネジ側について、その特徴を説明すると、該FRPルーフを取り付ける、箱形架装の天面の裏側に、長尺ブロック形状の金属部品(図7、jインサートブロック)を装着し、該長尺ブロック形状の金属部品にはFRPルーフのフランジ部分に施行された取り付け穴と同ピッチ、同位置に雌ネジを施工しており、その雌ネジに、該手締めローレットボルトの雄ネジをねじ込むことによって、目的とする締結を可能とするものである。
【0028】
更に、この手締めローレットボルトとインサートブロックの特徴構成として、箱形架装の内壁から飛び出すこと無く取り付けられる、という構造がある。
【0029】
説明すると、該手締めローレットボルトの外径は取り付くFRPルーフのフランジ部分、および箱形架装の壁厚よりも小さく設計されており、取り付けを行った際に、箱形架装の内壁より飛び出すことが無く、つまりは、積載された荷物と干渉することがないので、該手締めローレットボルトにより荷物に傷を付ける懸念が極めて少ないということとなる。
【0030】
もしも、何らかの要因で該手締めローレットボルトと積載された荷物が接触することがあったと仮定しても、該手締めローレットボルトの外周は円形であるため、その荷物の損傷は極めて少ないと推察される。
【0031】
上記特徴構成により、特許文献2で問題となった積載された荷物への損傷の懸念を回避することが可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の軽トラック架装によれば、軽トラックは道路運送車両法において、車長3.4m、車幅1.48m、車高2.0mという規定がある。そして、その車高を超えて貨物を積載しようとする場合は、その上限が地上から2.5mという規定が存在するが、宅配軽トラックの二次架装の場合、積載量をできるだけ増やしたいという要求があるため、この制限高さの2.5mまで屋根を高くするという状況があり、この場合、車高規定の2.0mを超える0.5mの屋根部分に関しては着脱を簡易に、つまりは工具不要にて可能にすることで、法律上の「貨物」という扱いにすることにより、規定内に納めることを可能とするといった、優れた効果を奏する。
【0033】
また、本発明の軽トラック架装によれば、十分な耐久性能を持ち合わせ、なおかつ極めて軽量に設計、製作されたFRPルーフは、その取り付け面に施されたフランジ部分に、締結能力を十分に考慮され設計配置された取り付け穴を有し、該FRPルーフの該フランジ部分と、箱形架装の天面に施工された、該FRPルーフのフランジ部分に施された取り付け穴と同じピッチ位置の取り付け穴を有する、雨水などの侵入を遮断するための、樹脂製パッキンを挟んだ状態で、人の手による締結で十分な取り付け強度を得られるように設計され、製造された、手締めローレットボルトを用いて締結し、箱形架装とFRPルーフとが、軽トラックの走行や、運搬作業などによる外的な負荷に対して、十分な強度を有する締結固定を実現可能とするといった、優れた効果を奏する。
【0034】
また、本発明の軽トラック架装によれば、車高2.0mを超え、地上2.5mまでに設えられる、該FRPルーフを取り外し、また取り付ける場合には、該手締めローレットボルトを人の手による締結、および弛緩が容易に実施可能であり、なおかつ十分な耐久性を持ち合わせながら、極めて軽量に設計、製造されている該FRPルーフは持ち運びも人力で行うことが可能で、従来の製品に比べて高い作業性を備えているといった、優れた効果を奏する。
【0035】
また、本発明の軽トラック架装によれば、手締めローレットボルトの特徴は、円柱状の金属素材の外周にローレット加工などにより平目およびアヤ目などの滑り止め形状を施工し、更に片方の先端を雄ネジ形状に加工するか、雄ネジボルトを埋め込むなどして製作し、この場合、ローレットを施工する素材の大きさや強度は本発明の使用に十分に耐えうる設計とするものであり、そして、この滑り止め形状たる部分については、人の手で握り、そして該手締めローレットボルトをねじ込むために旋回させるときに、締結に十分なトルクを発生させることが可能な摩擦力を生み出すものであるといった、優れた効果を奏する。
【0036】
また、本発明の軽トラック架装によれば、手締めローレットボルトをねじ込むときに、そのねじ込む相手となる雌ネジ側について、その特徴を説明すると、FRPルーフを取り付ける、箱形架装の天面の裏側に、長尺ブロック形状の金属部品(図7、jインサートブロック)を装着し、該長尺ブロック形状の金属部品にはFRPルーフのフランジ部分に施行された取り付け穴と同ピッチ、同位置に雌ネジを施工しており、その雌ネジに、該手締めローレットボルトの雄ネジをねじ込むことによって、目的とする締結を可能とするものであるといった、優れた効果を奏する。
【0037】
また、本発明の軽トラック架装によれば、手締めローレットボルトの外径は取り付くFRPルーフのフランジ部分、および箱形架装の壁厚よりも小さく設計されており、取り付けを行った際に、箱形架装の内壁より飛び出すことが無く、つまりは、積載された荷物と干渉することがないので、該手締めローレットボルトにより荷物に傷を付ける懸念が極めて少ないといった、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の前方斜視図である。
図2】本発明における、アオリを取り外した軽トラック本体前方斜視図である。
図3図2の軽トラック本体に箱形架装を取り付けた前方斜視図である。
図4図3の箱形架装の天面にパッキン、手締めローレットボルト、FRPルーフを取り付ける状況の実施形態を示す前方分解斜視図である。
図5】本発明のFRPルーフの後方の一部をカットした状態の後方斜視図および、本発明のFRPルーフ固定用の手締めローレットボルトの拡大斜視図である。
図6】本発明の箱形架装を分解した状態を示す後方分解斜視図である。
図7】本発明の箱形架装にパッキン、FRPルーフの手締め用手締めローレットボルトを用いて取り付けた状態を示す断面図である。
図8図3の箱形架装の天面に幌用骨組、幌ルーフを取り付ける状況を示す前方分解斜視図である。
図9】本発明における幌ルーフを取り付けた前方斜視図である。
図10】先行技術文献の特許文献1の代表的な図面である。
図11】先行技術文献の特許文献2の代表的な図面である。
図12】先行技術文献の特許文献3の代表的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、アオリを取り外した軽トラック本体3に、箱形架装2を締結固定し、箱形架装2とFRPルーフ1の間に、パッキン5を挟み込み、手締めローレットボルト4を用いて、人の手により螺合締結して組み立てられる手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0040】
なお、本発明の軽トラック架装は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状および寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
〔実施例1〕
【0041】
図4は、本発明の軽トラック架装における箱形架装2の天面にパッキン5、手締めローレットボルト4、FRPルーフ1を取り付ける状況の実施形態を示す前方分解斜視図である。軽トラック本体3の、元々の構成部品である、荷台の左右および後方のアオリを取り外した状態のものを準備し、該荷台上面、運転席後方最前部に突合接触する状況で、箱形架装2を、締結固定する方法で設置し、該箱形架装2の天面に取り付けるFRPルーフ1は、その取り付け面に施されたフランジ部分に、締結能力を十分に考慮され設計配置された取り付け穴を有し、該FRPルーフの該フランジ部分と、箱形架装の天面に施工された、該FRPルーフ1のフランジ部分に施された取り付け穴と同じピッチ位置の取り付け穴を有する、雨水などの侵入を遮断するためのパッキン5を挟んだ状態で、人の手による締結で十分な取り付け強度を得られるように設計され、製造された、手締めローレットボルト4を用いて螺合締結を行う。
【0042】
軽トラック本体3の、元々の構成部品である、荷台の左右および後方のアオリを取り外した状態のものを準備する際は、該軽トラックを製造販売するメーカーに、調達の際に依頼することによって、準備可能である。
【0043】
また、図7は本発明の軽トラック架装における、箱形架装を分解した状態を示す後方分解斜視図である。左右に準備されたサイドビーム下aは、十分な取り付け強度を持たせるための取り付け穴を施工されており、その取り付け穴と同じピッチ位置に、軽トラック荷台上面qに取り付け穴を施工し、市販のボルトおよびナットを用いて規定のトルクで締結を実施する。なお、この実施例1の場合はM10の六角ボルトおよび六角ナットを片側6箇所、左右で12箇所に渡って締結しており、更に、市販の緩み止めワッシャも使用しているため、十分な締結固定を実現している。本実施例1の場合の緩み止めワッシャはノルトロック社製のノルトロックワッシャを使用している。
【0044】
そして、該サイドビーム下aにフロントピラーf(左右)、リアピラーg(左右)、リアビーム下、サイドパネルm、観音扉(アッセンブリ)、ミドルビームh、サイドビーム上b(左右)、リアビーム上c、フロントパネルiと順に組み付けていき、専用に製作した固定用の金具を使用して、十分な締結および連結強度を持たせて固定していく。
【0045】
本実施例1の場合は、FRPルーフ1を取り付ける仕様であるため、サイドビーム上b(左右)の天面裏側に、インサートブロックj(左右)をあらかじめ挿入し取り付ける。このインサートブロックjは、FRPルーフ1のフランジ部分に施工された取り付け穴と、同ピッチ位置に雌ネジが施工されており、後に組み付ける、該FRPルーフ1の固定に備える。本実施例1の場合、該インサートブロックjに施工された雌ネジのサイズはM10となり、取り付け穴数は19箇所におよび、FRPルーフ1に対して人の手による締結で、十分な強度の締結固定を実現する。
【0046】
さらに、本実施例1の場合、外側の各組み合わせ部分には二液性接着剤および強力両面テープなどを使用し、十分な固定強度を持たせており、なおかつ外周部に締結用のボルトやリベットなどを使用していないため、外観を極めて綺麗に仕上げることが可能であり、意匠性における商品価値を高める要因となっている。
【0047】
図5は、本発明のFRPルーフ1の後方の一部をカットした状態の後方斜視図である。また、図6は本発明のFRPルーフ1の固定用の手締めローレットボルト4の斜視図である。さらに、図8は、本発明の箱形架装2にパッキン5、FRPルーフ1の手締め用手締めローレットボルトを用いて取り付けた状態を示す断面図である。これらの図に示すとおり、該手締めローレットボルト4は垂直に取り付けられており、箱形架装2の内壁からはみ出していない状況となっている。これにより、積載された荷物と該手締めローレットボルト4が接触、衝突する懸念が大幅に減少し、荷物に穴を開けたり、裂けたりなどの損傷を負わせる事故を極力なくすことが可能となる。
【0048】
軽トラック本体3と箱形架装2を組み付けた際に出現する、わずかな間隙に対しては、防水性のシリコンコーキング材などを用いて、シーリングを行う。これにより、軽トラック本体3と箱形架装2の間に生じる間隙を埋めることができ、雨水の浸入を防ぐことが可能となる。
【0049】
図1は、本発明の軽トラック架装における、前方斜視図であり、本実施例1の場合の完成斜視図となる。前述の通り、該FRPルーフ1と箱形架装2の間にパッキン5を挟み込んでいるため、防水性能を有し、雨水などの浸入を防ぐことが可能となっている。
【0050】
本FRPルーフ1を取り付ける場合は、箱形架装2の天面にパッキン5を設置し、その上にFRPルーフ1を搭載し、手締めローレットボルト4を、人の手により螺合締結固定することにより可能となる。また、本FRPルーフを取り外す場合は、取り付けと逆の手順により、簡単に取り外すことが可能である。
〔実施例2〕
【0051】
図9は、図3の箱形架装の天面に幌用骨組7、幌ルーフ6を取り付ける状況を示す前方分解斜視図である。これは、箱形架装2の天面に幌用骨組を取り付け、その骨組に幌シートを被せて、架装内部への雨水や風の侵入を防ぐという、現行の軽トラック架装の中で最も一般的なものとなっている。軽トラック架装を利用するユーザーは、コスト的な面や、個々の希望によって、このような従来の幌ルーフタイプを選択する場合もある。
【0052】
本発明の、軽トラック架装の、本実施例2における、発明を実施するための形態を説明する。
軽トラック本体3、および箱形架装2においては、前記実施例1と全く同じものを使用する。ただし、図8におけるサイドビーム上bに挿入設置されるインサートブロックjを取り外すことが必須である。それにより、図9における幌用骨組7を箱形架装2の天面に施工されている取り付け穴に、差し込むことが可能となる。もちろん、幌用骨組7のそれぞれの骨の下部のピッチ位置は、箱形架装2の天面に施工された取り付け穴のピッチ位置と同じになっている。
【0053】
該幌用骨組7に覆い被せるかたちで幌ルーフ6を装着する。幌ルーフ6においては、その締結方法として、(1)幌ルーフ6の裾にハト目の穴を複数箇所施工し、その穴に対応したD環などの金具を箱形架装に設置し、適切なサイズのロープを用いて固縛する。(2)同じく幌ルーフ6の裾に複数箇所施工されたハト目の穴に対応する止め金具を箱形架装2に設置し、各ハト目穴を固定する。(3)幌ルーフの内側の裾部分に、適切な強度および適切なサイズの面ファスナーなどを使用し、着脱自在に接着固縛する。などの方法が考慮される。
【0054】
本発明の軽トラック架装によれば、上記のようにFRPルーフタイプにも、幌ルーフタイプにも簡単に変更が可能となり、個々のユーザーの要望に広く対応可能な仕様となっていることも特徴のひとつである。
【0055】
本発明の軽トラック架装における、箱形架装2に関して更に申し述べれば、軽トラック本体3においては、取り外した左右のアオリの外側の位置と、後方のアオリの外側の位置が、規制の車幅と車長の境界線にほぼ等しいものとなっており、本発明の軽トラック架装においては、この車幅と後方の車長に合わせた設計となっており、従来の軽トラック架装の製品に比して、より多くの貨物が積載可能となっている、という特徴も具える。
【0056】
本発明の軽トラック架装においては、受託試験研究所における構造評価試験を実施しており、該軽トラック架装の規定の安全率を大きく上回る耐久性能を実証されている(10万キロ走行試験に合格)。本実施例の場合、加振試験による評価を受託実施した機関は兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号の株式会社コベルコ科研である。
本発明は以上のような構成および使用状況である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の軽トラック架装は、箱形架装とFRPルーフの新しい締結方法や、それに付随する技術的な問題解決策により、法の遵守と、効率的な積載作業や、安全で快適な運送業務を可能にするものであり、昨今の軽貨物運送需要の飛躍的な高まりによって、劇的な伸びを見せている宅配軽トラックの需要も、宅配の個人事業主も大幅に増加する状況において、従来のFRPルーフの取り付け方法や、幌ルーフに比して、適用される法律を遵守し、安全性や、経済性にも優れていることから、本発明の「軽トラック架装」の産業上の利用可能性は極めて大きいものであると思料する。
【符号の説明】
【0058】
1.FRPルーフ
2.箱形架装
3.軽トラック本体
4.手締めローレットボルト
5.パッキン
a.サイドビーム下(左右)
b.サイドビーム上(左右)
c.リアビーム上
d.リアビーム下
e.フロントビーム
f.フロントピラー
g.リアピラー
h.ミドルビーム
i.フロントパネル
J.インサートブロック(左右)
k.観音扉(アッセンブリ)
m.サイドパネル(左右)
p.FRPフランジ部
q.軽トラック荷台上面
6.幌ルーフ
7.幌用骨組
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
図12