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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166707
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】無線端末及びデータ伝送システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20231115BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20231115BHJP
   F17D 5/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
G08C15/06 J
F17D5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077405
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522068452
【氏名又は名称】東邦ガスネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝弥
(72)【発明者】
【氏名】吉野 充徳
(72)【発明者】
【氏名】北野 哲司
【テーマコード(参考)】
2F073
3J071
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA03
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD07
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
3J071AA02
3J071EE06
3J071EE24
3J071EE27
3J071EE37
3J071FF03
(57)【要約】
【課題】複数のデータ生成源との間で接続されるケーブルの取り廻しの手間と費用を抑えることが可能な無線端末を提供する。
【解決手段】本実施形態の通信ユニット20は1対の無線端末21A,21Bを備えて、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30に直列接続され、無線端末21Bを無線器として、無線端末21Aを中継器として使用する。無線端末21Aは、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30のデータを第1入力端子26A及び第2入力端子26Bから受け取り、出力端子27から無線端末21Bの第1入力端子26Aへ有線出力する。これにより、無線通信の通信環境が良くない位置に配置された無線端末21Aを中継器として使用することで、無線通信可能な位置に配置されて無線器として使用する無線端末21Bまでのケーブルの数を少なくし、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30から延びるケーブルの取り廻しの手間と費用を抑えることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力部に有線入力されるデータを無線出力する無線端末であって、
前記複数の入力部に有線入力されるデータを他の前記無線端末の1つの前記入力部に有線出力する有線出力部を有する無線端末。
【請求項2】
ガバナ室内の第1の検出機器が、検出データをデータフレームに格納した状態で出力する定型データと、前記ガバナ室内の第2の検出機器が、検出データをデータフレームに格納されていない状態で出力する非定型データと、をケーブルを通して取得し、無線出力部から無線出力する請求項1に記載の無線端末であって、
前記定型データが入力される第1入力部と、
前記非定型データが入力される第2入力部と、
前記第1入力部に中継ラインを介して接続され、前記第1入力部に入力される前記定型データをデータ構造を変えずに有線出力するための有線出力部と、
前記第2入力部に入力される前記非定型データを、前記データフレームを有する前記定型データにデータ構造を変えて前記中継ラインに出力するデータ変換部と、を備える無線端末。
【請求項3】
前記中継ラインに設けられて、通常は、前記有線出力部を前記第1入力部に接続して前記データ変換部から切り離し、前記データ変換部が前記定型データを前記中継ラインに出力するときに、前記有線出力部を前記第1入力部から切り離して前記データ変換部に接続するように切り替わる出力切替スイッチを備える請求項2に記載の無線端末。
【請求項4】
前記第1の検出機器は、前記ガバナ室のガス管内の圧力を検出する圧力検出器であり、
前記第2の検出機器は、前記ガバナ室内のガス漏れ異常、又は、発熱異常、又は、揺れ異常を検出する異常検出器である請求項2又は3に記載の無線端末。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1の請求項に記載の無線端末を複数備えて有線接続し、
前記複数の無線端末間で前記入力されたデータを有線通信により送受信して、前記入力されたデータを無線通信可能な位置まで伝送するデータ伝送システム。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の無線端末である第1と第2の無線端末を有し、
前記第1の前記無線端末では、前記第1入力部に前記第1の検出機器が有線接続されると共に、前記第2入力部に前記第2の検出機器が有線接続されて前記定型データを前記有線出力部から有線出力し、
前記第2の前記無線端末では、前記第1入力部に前記第1の無線端末の前記有線出力部が有線接続されて、前記定型データを前記無線出力部から無線出力するデータ伝送システム。
【請求項7】
前記第1の前記無線端末では、前記第1入力部に入力された前記定型データが前記有線出力部から前記第2の前記無線端末の前記第1入力部に出力中ではないことを条件にして、前記データ変換部の前記定型データが前記中継ラインに出力される請求項6に記載のデータ伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有線入力されるデータを無線出力する無線端末及び無線端末を利用したデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線端末として、例えば複数の検出機器が複数のデータ生成源として有線接続される複数の入力部を有し、それら複数のデータ生成源から受け取ったデータを、例えば管理用端末に向けて無線出力するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-070519号公報(段落[0014]~[0018]及び図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のデータ生成源が、無線通信が困難な第1エリアに配置されていて、無線通信可能な第2エリアまでの距離が大きく離れていることがある。そのような場合、第1エリアの複数のデータ生成源と、第2エリアの無線端末とを接続する複数のケーブルの取り廻しに手間と費用がかかるという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、複数の入力部に有線入力されるデータを無線出力する無線端末であって、前記複数の入力部に有線入力されるデータを他の前記無線端末の1つの前記入力部に有線出力する有線出力部を有する無線端末である。
【0006】
請求項2の発明は、ガバナ室内の第1の検出機器が、検出データをデータフレームに格納した状態で出力する定型データと、前記ガバナ室内の第2の検出機器が、検出データをデータフレームに格納されていない状態で出力する非定型データと、をケーブルを通して取得し、無線出力部から無線出力する請求項1に記載の無線端末であって、前記定型データが入力される第1入力部と、前記非定型データが入力される第2入力部と、前記第1入力部に中継ラインを介して接続され、前記第1入力部に入力される前記定型データをデータ構造を変えずに有線出力するための有線出力部と、前記第2入力部に入力される前記非定型データを、前記データフレームを有する前記定型データにデータ構造を変えて前記中継ラインに出力するデータ変換部と、を備える無線端末である。
【0007】
請求項3の発明は、前記中継ラインに設けられて、通常は、前記有線出力部を前記第1入力部に接続して前記データ変換部から切り離し、前記データ変換部が前記定型データを前記中継ラインに出力するときに、前記有線出力部を前記第1入力部から切り離して前記データ変換部に接続するように切り替わる出力切替スイッチを備える請求項2に記載の無線端末である。
【0008】
請求項4の発明は、前記第1の検出機器は、前記ガバナ室のガス管内の圧力を検出する圧力検出器であり、前記第2の検出機器は、前記ガバナ室内のガス漏れ異常、又は、発熱異常、又は、揺れ異常を検出する異常検出器である請求項2又は3に記載の無線端末である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から3の何れか1の請求項に記載の無線端末を複数備えて有線接続し、前記複数の無線端末間で前記入力されたデータを有線通信により送受信して、前記入力されたデータを無線通信可能な位置まで伝送するデータ伝送システムである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項2又は3に記載の無線端末である第1と第2の無線端末を有し、前記第1の前記無線端末では、前記第1入力部に前記第1の検出機器が有線接続されると共に、前記第2入力部に前記第2の検出機器が有線接続されて前記定型データを前記有線出力部から有線出力し、前記第2の前記無線端末では、前記第1入力部に前記第1の無線端末の前記有線出力部が有線接続されて、前記定型データを前記無線出力部から無線出力するデータ伝送システムである。
【0011】
請求項7の発明は、前記第1の前記無線端末では、前記第1入力部に入力された前記定型データが前記有線出力部から前記第2の前記無線端末の前記第1入力部に出力中ではないことを条件にして、前記データ変換部の前記定型データが前記中継ラインに出力される請求項6に記載のデータ伝送システムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項5の構成によれば、複数のデータ生成源に複数の無線端末を直列接続して、末端の無線端末のみを無線器として使用し、途中の無線端末を中継器として使用することができる。ここで、無線端末は、複数の入力部に有線入力されるデータを他の無線端末の1つの入力部に有線出力する有線出力部を有するので、中継器として無線端末を使用することで無線器として使用する無線端末までのケーブルの数を少なくすることができ、これにより、複数のデータ生成源から延びるケーブルの取り廻しの手間と費用を抑えることができる。なお、有線出力部は、無線端末に1つのみ設けられてもよいし、複数設けられていてもよい。即ち、無線端末が複数の有線出力部を有し、それら各有線出力部に対応する複数の入力部のグループが複数グループ備えられてもよい。
【0013】
本開示の無線端末を、請求項2及び請求項6のように、ガバナ室に配置される検出機器と接続される無線端末に用いてもよい。ガバナ室は、無線通信の通信環境が良くない場所に配置されることがある。そして、請求項2及び請求項6の無線端末では、データフレームに格納した状態の定型データが入力される第1入力部を備え、その定型データは、第1入力部に中継ラインを介して接続される有線出力部から出力されるので、有線出力部を他の無線端末の第1入力部に接続すれば、有線出力部から出力された定型データを、データ構造を変えないでそのまま他の無線端末の第1入力部に入力できる。さらに、データフレームに格納されていない状態の非定型データが入力される第2入力部も備えて、その非定型データは、データ変換部によりデータフレームを有する定型データに変換されてから中継ラインを介して有線出力部から出力されるようになっている。これにより、無線端末に定型データと非定型データの両方が入力される場合でも、非定型データは定型データに変換してから出力されるようになっているので、無線端末間でのやりとりは、定型データのみで行うことができ、1つのケーブルで伝送可能となる。
【0014】
請求項3の構成によれば、中継ラインに、有線出力部との接続が第1入力部とデータ変換部とに切り替わる出力切替スイッチを備えるので、中継ラインでデータが混信することを防ぐことができる。このとき、第1入力部に接続される第1の検出機器をガバナ室のガス管内の圧力を検出する圧力検出器とし、第2入力部に接続される第2の検出機器をガバナ室内のガス漏れ異常、又は、発熱異常、又は、揺れ異常を検出する異常検出器とすれば(請求項4の発明)、通常は、有線出力部から出力されるのは圧力検出器から取得した圧力情報であり、異常検出器により異常を検出した場合にのみ、有線出力部から異常検出器から取得した異常情報を出力することができる。
【0015】
なお、出力切替スイッチは、有線出力部との接続を、通常は、データ変換部に接続して、データ変換部の定型データが有線出力部から出力されるようにし、第1入力部に定型データが入力された際に、有線出力部との接続がデータ変換部から第1入力部に切り替わるようにしてもよい。
【0016】
また、請求項7のように、第1入力部に入力された定型データが有線出力部から出力中ではないことを条件にして、データ変換部の定型データが中継ラインに出力されて有線出力部から出力されるようにしてもよい。このとき、中継ラインに出力切替スイッチも備えて、通常は、第1入力部と有線出力部とを接続して第1入力部に入力された定型データが有線出力部から出力し、第2入力部に非定型データが入力されて、データ変換部により定型データに変換されたときに、第1入力部に入力された定型データが有線出力部から出力中ではないことを条件として、出力切替スイッチは、有線出力部とデータ変換部とを接続して、データ変換部の定型データを中継ラインに出力してもよい。また、第2入力部に非定型データが入力されて、データ変換部により定型データに変換されたときに、第1入力部に入力された定型データが有線出力部から出力中であっても、出力切替スイッチが第1入力部と有線出力部の接続を切り離して、有線出力部とデータ変換部とを接続してデータ変換部の定型データの出力を優先する構成としてもよいし、出力切替スイッチを備え無い構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係るガバナ監視システムの概念図
図2】圧力検出器及びガス漏れ検出器の制御的な構成を示すブロック図
図3】通信ユニットの回路ブロック図
図4】制御回路の制御的な構成を示すブロック図
図5】制御プログラムのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示のガバナ監視システム100に係る一実施形態について、図1図5を参照して説明する。図1における符号10は、都市ガス供給網の各所に設けられたガバナ室10である。ガバナ室10の室内には、ガバナ11が備えられている。ガバナ11は、ガス管90に設けられ、ガス製造工場から供給される比較的高い圧力(例えば、100KPa以上)のガスを、所定の設定圧(例えば、3KPa未満)まで減圧して設定圧でほぼ一定となるように弁開度を自動調節している。ガバナ室10には、ガバナ11の他に、圧力検出器12、ガス漏れ検出器30等が備えられていて、これら圧力検出器12、ガス漏れ検出器30等が検出した情報を、通信ユニット20で取得して監視装置50に集め、都市ガスの供給状況を遠隔監視する。通信ユニット20と監視装置50とは、無線基地局400を含んだ通信ネットワーク101を介して接続されている。そして、これらガバナ11、圧力検出器12、ガス漏れ検出器30、通信ユニット20、監視装置50によりガバナ監視システム100が構成されている。
【0019】
圧力検出器12は、1対の圧力センサ13とセンサ制御部14を有する。1対の圧力センサ13は、ガス管90のうちガバナ11の上流側と下流側とに配置されて、センサ制御部14とケーブルで接続されている。センサ制御部14は、CPU14Aとメモリ14Bとを有し(図2参照)、CPU14Aは、1対の圧力センサ13を制御して所定の信号処理プログラムを実行する。メモリ14Bには、その信号処理プログラムや圧力センサ13が計測した圧力情報等が記憶されている。そして、CPU14Aが、信号処理プログラムを実行することで図2のトリガ生成部15、データ生成部16及びデータ送信部17等の制御ブロックとして機能する。なお、圧力検出器12は、1対の圧力センサ13及びセンサ制御部14等に電源を供給する図示しない電池も備えている。
【0020】
具体的には、信号処理プログラムが実行されると、図2に示すように、トリガ生成部15にて、一定期間(例えば、0.5[秒])毎に計測トリガが生成され、それら計測トリガが生成される毎に、1対の圧力センサ13がガバナ11の上流側の一次圧及びガバナ11の下流側の二次圧をサンプリングする。サンプリングされた一次圧及び二次圧のデータを、データ生成部16がデジタル信号に変換して圧力データD1を生成し、データ送信部17に付与する。
【0021】
データ送信部17は、予め定められたデータ長さのデータフレームに、圧力データD1とその計測時刻とガバナ室10の識別番号とを格納した定型データT1を生成する。ここで、メモリ14Bは、データ生成部16が生成した圧力データD1を一時的に蓄積するようになっており、データ送信部17は、メモリ14Bから読み出した複数の圧力データD1を定型データT1に格納する(本実施形態では、例えば、10個の圧力データD1を格納する)。そして、トリガ生成部15にて、所定の周期(例えば、5[秒])毎に送信トリガが生成され、送信トリガが生成される毎に、データ送信部17は、生成した定型データT1をケーブル40Aを介して通信ユニット20に送信する。
【0022】
なお、データ送信部17は、生成された圧力データD1の示す値が、予め定められた上限値を超えた場合等には、異常が発生したとしてその異常情報も定型データD1に格納すると共に、ガバナ室10内の図示しない緊急遮断装置を作動させてガバナ11より下流側へのガスの供給を遮断する。
【0023】
ガス漏れ検出器30は、図2に示すように、ガス漏れセンサ31と、センサ制御部32を有する。センサ制御部32は、例えば、一定期間(2[分])毎にガス漏れセンサ31を作動させて、ガバナ室10内のガス漏れを検知させる。そして、ガス漏れセンサ31がガス漏れを検知したときにのみ、センサ制御部32は、そのガス漏れ情報を含む非定型データD2を生成してケーブル40Bを介して通信ユニット20に出力する。非定型データD2は、データフレームに格納されていないデータである。なお、ガス漏れ検出器30は、ガス漏れセンサ31及びセンサ制御部32等に電源を供給する図示しない電池を備えている。ここで、ガス漏れ検出器30は、特許請求の範囲の「異常検出器」に相当する。
【0024】
なお、ガス漏れセンサ31がガス漏れを検知した場合にも、緊急遮断装置を作動させてガバナ11より下流側へのガスの供給を遮断する。
【0025】
通信ユニット20は、図1に示すように、ガバナ室10の室外に配置され、1対の無線端末21により構成されている。1対の無線端末21のうち一方の無線端末21Aは、ガバナ室20近傍に配設されてガバナ室10内の圧力検出器12及びガス漏れ検出器13と前述のケーブル40A,40Bで接続されている。つまり、一方の無線端末21Aは、ガバナ室10近傍の無線通信の通信環境が良くない位置に配置されている。これに対して、他方の無線端末21Bは、無線通信可能な位置に配置され、一方の無線端末21Aとケーブル40Cで接続されている。以下、1対の無線端末21を区別するときは、無線端末21A,21Bといい、区別しないときは、無線端末21ということとする。
【0026】
無線端末21A,21Bは、同一の構成を有し、図3に示すように、無線回路22と、アンテナ22Aと、制御回路23と、モード切替スイッチ24と、出力切替スイッチ25と、第1入力端子26Aと、第2入力端子26Bと、出力端子27とを有している。なお、無線端末21A,21Bは、図示しない電源回路も有しており、図示しない商用電源に接続されて各回路に動作電源を供給する。
【0027】
モード切替スイッチ24は、無線端末21を、無線端末21に入力されたデータを無線出力するモード(無線出力モード)と、無線端末21間で有線出力するモード(有線出力モード)の何れかに設定する。具体的には、モード切替スイッチ24により無線端末21が有線出力モードに設定されると、第1入力端子26Aが出力端子27と接続するように設定され、無線出力モードに設定されると、第1入力端子26Aが制御回路23と接続するように設定される。一方、第2入力端子26Bは、無線出力モード及び有線出力モードに関わりなく、制御回路23に接続されている。本実施形態では、無線端末21Aが有線出力モードに設定され、無線端末21Bが有線出力モードに設定され、無線端末21Aの出力端子27と無線端末21Bの第1入力端子26Aとがケーブル40Cで接続されて、無線端末21Aの出力端子27から出力したデータがケーブル40Cを介して無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力されるようになっている。
【0028】
これにより、無線端末21Aでは、第1入力端子26Aに入力されたデータはそのまま出力端子27から出力して、無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力されるようになっている。一方、無線端末21Aの第2入力端子26Bに入力されたデータは、後述するが、制御回路23を経由して出力端子27から出力し、無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力されるようになっている。そして、無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力されたデータは制御回路23が取り込み、無線回路22により無線送信される。つまり、無線端末21Bは、無線器として使用され、無線端末21Aは中継器として使用される。
【0029】
なお、モード切替スイッチ24の有線出力モードと無線出力モードとの切り替えは、例えば、無線端末21を収容するケースの外面に配置された操作部を手動操作することにより切り替わるようにしてもよいし、制御回路23に切り替えのための入力信号を外部から入力することで切り替わるようにしてもよい。
【0030】
ここで、第1入力端子26Aは、データフレームに格納されたデータが入力可能に構成され、第2入力端子26Bは、データフレームに格納されていないデータが入力可能に構成されている。これにより、本実施形態では、無線端末21Aの第1入力端子26Aに、圧力検出器12のセンサ制御部14がケーブル40Aを介して接続され、第2入力端子26Bに、ガス漏れ検出器30のセンサ制御部32がケーブル40Bを介して接続される。
【0031】
そして、圧力検出器12により一定周期で送信されてくる定型データT1は、無線端末21Aの第1入力端子26Aに入力されて出力端子27から出力し、ケーブル40Cを介して無線端末21Bの第1入力端子26Aにデータ構造を変えない状態で入力される。一方、ガス漏れ検出器30により非定期に送信されてくる非定型データD2は、無線端末21Aの第2入力端子26Bに入力されて、制御回路23に取り込まれ、データフレームを有する定型データT2に変換される。ここで、出力端子27は、有線出力モードでは、前述したように、通常、第1入力端子26Aに接続されているが、第1入力端子26Aと出力端子27との接続部分の途中に設けられた出力切替スイッチ25により、第1入力端子26Bとの接続が切り離されて、制御回路23と接続するように切り替わるようになっている。そして、出力切替スイッチ25が、出力端子27の接続を第1入力端子26Aから制御回路23に切り替えたときに、変換された定型データD2を出力端子27から出力し、ケーブル40Cを介して無線端末21Bの第1入力端子26Aにデータ構造を変えない状態で入力される。
【0032】
出力切替スイッチ25は、制御回路23により制御され、無線端末21が有線出力モードに設定されたときに作動する。そして、出力切替スイッチ25は、通常は、出力端子27を第1入力端子26Aに接続した状態に維持し、ガス漏れ検出器30により送信されてきた非定型データD2が、定型データT2に変換されたあと、出力端子27と第1入力端子26Bとの接続を切り離して、出力端子27を制御回路23に接続するように切り替える。以後、出力端子27を第1入力端子26Aに接続した通常状態を第1接続状態、出力端子27を制御回路23に接続した状態を第2接続状態ということとする。
【0033】
ここで、本実施形態の第1入力端子26Aは、特許請求の範囲の「第1入力部」、第2入力端子26Bは、特許請求の範囲の「第2入力部」、出力端子27は、特許請求の範囲の「有線出力部」、第1入力端子26Aと出力端子27との接続部分は、特許請求の範囲の「中継ライン」に相当し、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30の検出した定型データT1及び非定型データD2を無線端末21A及び無線端末21Bを介して無線送信するシステムが、特許請求の範囲の「データ伝送システム」に相当する。
【0034】
制御回路23は、CPU28Aと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリ28Bとを含んでなるマイコン28を主要部として備えて、出力切替スイッチ25や無線回路22等に接続され、それらを制御して後述する制御プログラムPG1(図5参照)等を実行する。そのために、メモリ28Bには、制御プログラムPG1等が記憶されている。
【0035】
制御回路23は、図4に示す制御ブロックを有する。具体的には、CPU28Aは、前述の制御プログラムPG1を含む複数の所定のプログラムを実行することで、データ変換部41、モード判別部42、通信監視部43、出力切替部44等として機能する。
【0036】
データ変換部41は、第2入力端子26Bに非定型データD2が入力されると、その入力された非定型データD2を、予め定められたデータ長さのデータフレームに、入力された時刻とガバナ室10の識別番号と共に格納した定型データT2を生成する。そして、定型データT2を生成後、モード判別部42が、無線端末21が有線出力モード又は無線出力モードの何れに設定されているかを判別し、有線出力モードに設定されていると判別した場合には、制御プログラムPG1を実行する。つまり、本実施形態では、無線端末21Aは、データ変換部41が、第2入力端子26Bに入力された非定型データD2から定型データT2を生成する度に、CPU28Aが制御プログラムPG1を実行する。
【0037】
制御プログラムPG1が実行されると、まず、通信監視部43が、圧力検出器12により入力された定型データT1が出力端子27から出力中かどうかを監視する。有線出力モードでは、通常、出力端子27が第1接続状態となって、一定周期で第1入力端子26Aに入力された定型データT1を出力端子27から出力している。そこで、通信監視部43は、定型データT1が出力端子27から出力中か否かを確認し、出力中ではないことを確認したときに、出力切替部44は、出力切替スイッチ25を制御して、出力端子27の接続状態を、第1接続状態から第2接続状態に切り替えて、定型データT2を出力端子27から出力する。そして、定型データT2の出力が終わると、出力切替部44は、出力切替スイッチ25を制御して、出力端子27の接続状態を、第2接続状態から第1接続状態に戻す。
【0038】
一方、通信監視部43が、定型データT1が出力中であることを確認した場合には、出力切替部44は、定型データT1の出力が終わってから、出力切替スイッチ25を制御して、出力端子27の接続状態を、第1接続状態から第2接続状態に切り替えて、定型データT2を出力端子27から出力する。
【0039】
そして、無線端末21Aの出力端子27から出力された定型データT1,T2は、無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力される。定型データT1,T2は、データ変換部41でデータ構造を変える必要はなく、また、無線出力モードに設定されているので、無線端末21Bに入力された定型データT1,T2は、そのまま無線送信部45に取り込まれて、無線回路22から無線送信される。
【0040】
無線送信部45が送信した定型データT1,T2は、汎用通信回線300を介して監視装置50に収集される。監視装置50は、各ガバナ室10から離れた遠隔地に設置され、サーバコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構成されている。監視装置50は、定型データT1,T2に含まれる圧力データD1やガス漏れ等の情報に基づいて、都市ガスの供給状況やリアルタイムでの異常発生の有無を遠隔監視することができる。ここで、例えば、圧力検出器12のセンサ制御部13を、ガバナ11や前述の緊急遮断装置等に接続し、監視装置50がガバナ室10の異常を認めた場合等に、定型データT1,T2の発信元である通信ユニット20に対して、ガバナ11の停止や緊急遮断装置の開閉の命令等を発信するように構成してもよい。なお、監視装置50は、複数のサーバーからなるクラウドサーバーでもよい。
【0041】
以下、無線端末21AのCPU28Aが実行する制御プログラムPG1の一例を図5に示す。制御プログラムPG1は、前述したように、有線出力モードにおいて、無線端末21Aの第2入力端子26Bに非定型データD2が入力され、その入力された非定型データD2から定型データT2が生成される度に実行される(S11でYES)。そして、ステップS12により、圧力検出器12の定型データT1が出力端子27から出力中か否かを判別する。そして、出力端子27から定型データT1が出力中ではないと判別された場合には(S12でNO)、出力切替スイッチ25を作動させて、出力端子27の接続状態を、第1接続状態から第2接続状態に切り替えて(S13)、定型データT2を出力端子27から出力する(S14)。
【0042】
一方、出力端子27から定型データT1が出力中であった場合には(S12でYES)、定型データT1の出力が終わるのを待って(S12でNO)、出力切替スイッチ25を作動させて、出力端子27の接続状態を、第1接続状態から第2接続状態に切り替えて(S13)、定型データT2を出力端子27から出力する(S14)。そして、定型データT2の出力が終わると、出力切替スイッチ25を作動させて、出力端子27の接続状態を、第2接続状態から第1接続状態に戻す(S15)。ここで、ステップS11を実行しているときのCPU28Aが前述したデータ変換部41、ステップS12を実行しているときのCPU28Aが前述した通信監視部43、S13~S15を実行しているときのCPU28Aが前述した出力切替部44に相当する。
【0043】
本実施形態のガバナ監視システム100の構成に関する説明は以上である。本実施形態のガバナ監視システム100では、ガバナ室10内のガス管90の圧力及びガス漏れ等の情報を、通信ユニット20で取得して汎用通信回線300を介して監視装置50に無線送信する。本実施形態の通信ユニット20は、1対の無線端末21からなり、無線端末21は、入力されたデータを無線端末21間で有線通信することができる有線出力モードに切り替えることが可能になっている。本実施形態では、1対の無線端末21は、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30に直列接続され、無線通信の通信環境が良くない位置に配置されて有線出力モードで使用される無線端末21Aと、無線通信可能な位置に配置されて無線出力モードで使用される無線端末21Bとからなる。そして、無線端末21Aは、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30と有線接続されてそれらからのデータを第1入力端子26A及び第2入力端子26Bから受け取り、出力端子27から無線端末21Bの第1入力端子26Aへ有線出力する。つまり、無線端末21Aと、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30との間では複数のケーブルを必要とするが、無線端末21Aと無線端末21Bとの間では1つのケーブルで接続されるので、無線端末21Aを中継器として使用することで無線器として使用する無線端末21Bまでのケーブルの数を少なくすることができ、これにより、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30から延びるケーブルの取り廻しの手間と費用を抑えることができる。なお、出力端子27は、無線端末21に1つのみ設けられてもよいし、複数設けられていてもよい。即ち、無線端末21が複数の出力端子27を有し、それら各出力端子27に対応する複数の入力端子のグループが複数グループ備えられてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、第1入力端子26Aに、データフレームに格納した状態の定型データT1,T2が入力され、第2入力端子26Bに、データフレームに格納されていない状態の非定型データD2が入力される構成となっていて、有線出力モードにおいては、第1入力端子26Aに入力された定型データT1,T2はデータ構造を変えないでそのまま出力端子27から他の無線端末21の第1入力端子26Aへ有線出力することができるようになっている。これに対して、非定型データD2は、データフレームを有する定型データT2に変換してから出力端子27から有線出力するようになっているので、無線端末21は、圧力検出器12及びガス漏れ検出器30との間で定型データT1及び非定型データD2の両方の入力を可能とする一方、無線端末21間でのやりとりは、データ構造を変える必要なく定型データT1,T2の受け渡しのみを行う構成となっているので、無線端末21を有線出力モードで使用する際に、複雑な処理を必要としない。
【0045】
また、本実施形態では、有線出力モードの無線端末21Aにおいて、通常は、第1入力端子26Aと出力端子27とが接続されて、一定周期で入力される圧力検出器12の定型データT1を、そのまま出力端子27から出力して、無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力されるようになっている。そして、ガス漏れ検出器30がガス漏れを検知して、非定型データD2を第2入力端子26Bに入力した場合には、その非定型データD2が定型データT2に変換されたあと、出力切替スイッチ25が、出力端子27と第1入力端子26Bとの接続を切り離して、出力端子27を制御回路23に接続するように切り替えてから、変換した定型データD2を、出力端子27から出力して無線端末21Bの第1入力端子26Aに入力するようになっている。これにより、ガス漏れ検出器30からの定型データT2を、圧力検出器12からの定型データT1と混信させることなく伝送することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、有線出力モードの無線端末21Aにおいて、非定型データD2が第2入力端子26Bに入力されて定型データT2に変換されたあと、圧力検出器12からの定型データT1が出力端子27から出力中ではないことを確認してから、出力切替スイッチ25を切り替えて、出力端子27を制御回路23に接続するので、出力中の定型データT1を中断することなく、かつ定型データT1と混信させることなく定型データT2を伝送することができる。
【0047】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、無線端末21Aの第2入力端子26Bにガス漏れ検出器30が接続されていたが、発熱異常を検知する異常検出器や、揺れ異常を検出する異常検出器が接続されていてもよい。また、無線端末21が、第1と第2の入力端子26A,26Bの他にも入力端子を備えて、これらの異常検出器が複数接続されていてもよい。
【0048】
(2)前記実施形態では、データ送信部17は、圧力センサ13により計測された計測結果を複数纏めて所定の周期で送信する構成であったが、圧力センサ13が計測する度に、1つずつ送信する構成であってもよい。
【0049】
(3)前記実施形態では、通信監視部43が、出力端子27から圧力検出器12の定型データT1が出力中であった場合には、その出力が終わってから、出力切替スイッチ25により、出力端子27の接続状態を、第1接続状態から第2接続状態に切り替えて、定型データT2を出力端子27から出力していたが、定型データT2は緊急性を要するデータであるので、定型データT1の出力が終わるのを待たずに、出力を中断して、出力端子27の接続状態を、第2接続状態に切り替えて、定型データT2を優先して出力端子27から出力してもよい。
【0050】
(4)通信ユニット20は、無線端末21Aのみを備え、適宜、無線出力モードと有線出力モードとを切り替えて出力するようにしてもよい。ここで、無線出力モードで出力する場合には、データ変換部41で生成された定型データT2の無線送信と、定型データT1の無線送信とが混信する虞があるため、例えば、緊急性を要する定型データT2の送信を優先して送信するようにしてもよいし、定型データT1が送信中の場合には、その送信を中断して定型データT2を送ってもよい。また、定型データT1が送信中の場合には、その送信が終わってから定型データT2を送ってもよい。
【0051】
また、通信ユニット20は、無線端末21Aのみを備えて無線出力と有線出力を同時に行う構成であってもよい。
【0052】
(5)通信ユニット20は、3つ以上の無線端末21を備えてもよい。この場合、複数の無線端末21は圧力検出器12及びガス漏れ検出器30に直列接続され、末端の無線端末21のみを無線出力モードで使用し、途中の無線端末を有線出力モードで使用する。
【0053】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0054】
10 ガバナ室
12 圧力検出器(第1の検出機器)
21A,21B 無線端末
22 無線回路(無線出力部)
25 出力切替スイッチ
26A 第1入力端子(第1入力部)
26B 第2入力端子(第2入力部)
27 出力端子(有線出力部)
30 ガス漏れ検出器(第2の検出機器)
40A,40B ケーブル
41 データ変換部
D2 非定型データ
T1,T2 定型データ
図1
図2
図3
図4
図5