IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特開2023-168914付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品
<>
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図1
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図2
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図3
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図4
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図5
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図6
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図7
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図8
  • 特開-付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168914
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20231121BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080300
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AC07
3E086AD01
3E086AD08
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB59
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA07
3E086CA40
4F100AK04B
4F100AK04J
4F100AK07B
4F100AK07J
4F100AK42A
4F100AK51G
4F100AK64B
4F100AL02B
4F100AL03B
4F100AL05B
4F100AR00B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100EC182
4F100GB15
4F100JB04B
4F100JL12B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品を提供すること。
【解決手段】基材層と、上記基材層上に設けられるシーラント層とを有する積層フィルムの袋状成形体である、付着性物質が付着される内容物用の包装袋は、上記シーラント層の一部と他の一部とが互いに接触すると共に融着されることによって、上記袋状成形体が封止され、上記シーラント層の露出面は、上記袋状成形体の最内面であり、上記露出面のぬれ張力は、22.6mN/m未満である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層上に設けられるシーラント層とを有する積層フィルムの袋状成形体である、付着性物質が付着される内容物用の包装袋であって、
前記シーラント層の一部と他の一部とが互いに接触すると共に融着されることによって、前記袋状成形体が封止され、
前記シーラント層の露出面は、前記袋状成形体の最内面であり、
前記露出面のぬれ張力は、22.6mN/m未満である、
包装袋。
【請求項2】
前記シーラント層がSi原子を含有し、
前記シーラント層の前記露出面をX線光電子分光法で測定したとき、全原子中のSi原子の割合が、8%以上である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
筒形状を呈する本体部と、
前記本体部の軸方向に沿って延在するとともに前記本体部から突出する背シール部と、を備えるピロー包装袋であり、
前記軸方向における前記本体部の両端は、前記シーラント層の前記一部と前記他の一部とによって封止されており、
前記背シール部は、前記基材層の展開時において前記基材層の厚さ方向及び前記軸方向に直交する方向における前記基材層の一対の端部が前記シーラント層の前記一部と前記他の一部とによって貼り合わされた部分である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋と、前記包装袋に封入される前記内容物である食品であって、前記付着性物質であるグレーズが付着した前記食品とを含む、包装製品。
【請求項5】
前記包装袋の容積を基準とする前記食品の容積の割合が、70体積%以上90体積%以下である、請求項4に記載の包装製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及びそれを含む包装製品に関し、特に付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、飲料、医薬品、化学品等の多くの商品に対して、それぞれの内容物に応じた機能を有する包装袋が開発されている。当該機能の一つとして、例えば、内容物の包装袋内面への付着、すなわち包装袋内部への残存を抑制する機能が求められている。このような要求に対して、例えば、特許文献1には、球状シリコンを添加した樹脂層を最内層とした内容物撥水性・離型性を有する包装材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-337267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に提案されるような包装材から形成される包装袋に封入される内容物が食品である場合には、例えば、砂糖、クリーム、バターなどの付着性物質が付着されることがある。このような場合、当該付着性物質は、内容物だけでなく、上記包装袋の内面に付着してしまうことがある。このような付着に起因して付着性物質を介して内容物と包装袋とが互いに密着すると、包装袋にかかる力が内容物に伝達しやすくなり、内容物が破損しやすくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る包装袋は、基材層と、基材層上に設けられるシーラント層とを有する積層フィルムの袋状成形体である、付着性物質が付着される内容物用の包装袋(以下、単に「包装袋」ということもある。)であって、シーラント層の一部と他の一部とが互いに接触すると共に融着されることによって、袋状成形体が封止され、シーラント層の露出面は、成形体の最内面であり、露出面のぬれ張力は、22.6mN/m未満である。
【0007】
本発明の一側面に係る包装袋である袋状成形体の最内面は、シーラント層の露出面であり、当該露出面のぬれ張力が22.6mN/m未満である。このため、包装袋に付着性物質が付着される内容物が封入される場合であっても、当該付着性物質の上記露出面への付着を十分に抑制できる。これにより、付着性物質を介した内容物と包装袋との密着が生じにくいので、本発明の一側面に係る包装袋を用いることによって、上記内容物の破損が生じにくくなる。
【0008】
上記シーラント層はSi原子を含有し、上記シーラント層の露出面をX線光電子分光法で測定したとき、全原子中のSi原子の割合は、8%以上であってよい。露出面におけるSi原子の割合が8%以上であることで、シーラント層の露出面のぬれ張力を良好に22.6mN/m未満にできるので、内容物が上記露出面により付着しにくくなる。その結果、その結果、内容物の破損が好適に生じにくくなる。
【0009】
本発明の一側面に係る包装袋は、筒形状を呈する本体部と、上記本体部の軸方向に沿って延在するとともに上記本体部から突出する背シール部と、を備えるピロー包装袋であり、上記軸方向における上記本体部の両端は、上記シーラント層の一部と他の一部とによって封止されており、上記背シール部は、上記基材層の展開時において上記基材層の厚さ方向及び上記軸方向に直交する方向における上記基材層の一対の端部が上記シーラント層の一部と他の一部とによって貼り合わされた部分であってよい。
【0010】
本発明の一側面に係る包装製品は、上記包装袋と、上記包装袋に封入される内容物である食品であって、付着性物質であるグレーズが付着した食品とを含む。上記包装製品における包装袋である袋状成形体の最内面は、22.6mN/m未満のぬれ張力を有する上記シーラント層の露出面である。このため、グレーズ及び食品の包装袋への付着が生じにくく、その結果、内容物の破損を抑制可能である。
【0011】
上記包装袋の容積を基準とする上記食品の容積の割合は、70体積%以上90体積%以下であってよい。一般に、包装袋の容積を基準とする内容物の容積の割合が大きくなるほど、内容物と包装袋との密着が生じやすくなり、その結果、包装袋内の食品に破損が生じやすくなる。これに対して上記包装製品によれば、上記割合が70体積%以上であっても、内容物と包装袋との密着が発生しにくく、このため内容物の破損を良好に抑制可能である。また、上記割合が90体積%以下であることで、包装袋内における食品の移動が十分に可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、包装袋1の概略平面図である。
図2図2は、包装袋1を展開して得られる積層フィルム2の平面図である。
図3図3は、積層フィルム2の概略断面図である。
図4図4は、変形例に係る包装袋1Aの概略平面図である。
図5図5は、グレーズが包装袋に付着した様子を示す模式図である。
図6図6は、実施例1及び比較例1における実輸送工程後のグレーズ付着度を示した棒グラフである。
図7図7は、実施例1及び比較例1における加温保管工程前のグレーズ付着度を示した棒グラフである。
図8図8は、実施例1及び比較例1における加温保管工程後のグレーズ付着度を示した棒グラフである。
図9図9は、実施例1及び比較例1における加温保管工程後のグレーズ付着量を示した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0015】
<付着性物質が付着される内容物用の包装袋>
図1,2を参照しながら、本実施形態に係る包装袋について詳細に説明する。図1は、包装袋1(本明細書においては、「包装袋1」ともいう。)の概略平面図である。図2は、包装袋1を展開して得られる積層フィルム2の平面図である。包装袋1は、積層フィルム2(詳細は後述)の袋状成形体であるピロー包装袋であり、例えば付着性物質(詳細は後述)が付着される内容物を封入するために用いられる。ピロー包装袋は、例えば公知のピロー包装充填機等を用いることによって形成できる。上記包装充填機等を用いて、積層フィルム2に含まれるシーラント層24(図3を参照)が最も内側に位置するように積層フィルム2を曲げた後、シーラント層24の一部と他の一部とが互いに接触すると共に融着されることによって、袋状成形体(ここではピロー包装袋)である包装袋1が形成される。この結果、包装袋1である袋状成形体においては、シーラント層24の露出面が最内面である。包装袋1は、筒形状を呈する本体部11と、背シール部12とを有する。以下では、本体部11の軸方向を図1に示される方向Xとし、方向Xに平面内で直交する方向を方向Yとする。方向Yは、図2に示されるように基材層21の展開時において、基材層21の厚さ方向及び方向Xに直交する方向に相当する。
【0016】
本体部11は、包装袋1の内容物が収容される部分である。本体部11の形状は、所定の方向から見て矩形状を呈する。本体部11の外表面における少なくとも一部には、印刷が施されていてよい。本体部11には、例えば、内容物に加えて窒素、空気等の特定の気体が収容されてもよい。本体部11は、積層フィルム2を方向Yに沿って丸めることによって形成される。方向Xにおいて本体部11に隣接する積層フィルム2の両端13は、シーラント層24によって封止されている。両端13は、例えば積層フィルム2が備えるシーラント層24の一部と他部とが加熱及び圧縮される(すなわち、ヒートシールされる)ことによって形成されるが、これに限られない。例えば、両端13は、コールドシール等によって形成されてもよい。内容物の収容製の観点から、方向Xに沿った本体部11の寸法は、例えば、方向Xに沿った基材層21の寸法の80%以上である。両端13のシール性の観点から、方向Xに沿った本体部11の寸法は、例えば、方向Xに沿った基材層21の寸法の90%以下である。包装袋1を容易に破るため、両端13の両方、両端13の一方のみ又は背シール部12に切り込みが設けられてもよい。
【0017】
背シール部12は、包装袋1の形成時に設けられる部分であり、方向Xに沿って延在すると共に本体部11から突出する。背シール部12は、方向Xにおける包装袋1の一端から他端まで延在する。背シール部12は、基材層21の展開時の方向Yにおける基材層21の一対の端部21c,21dがシーラント層24によって貼り合わされた部分に相当する(図2を参照)。両端13と同様、背シール部12は、例えば積層フィルム2の一部と他部とがヒートシール又はコールドシールされて形成されてよい。基材層21の展開時において、方向Yに沿った背シール部12の寸法は、例えば、方向Yに沿った基材層21の寸法の1%以上5%以下である。この場合、包装袋1の容積を確保しつつ、背シール部12が良好に貼り合わせられる。
【0018】
内容物としては固体の内容物、特に固体の食品が挙げられる。固体の食品としては、クッキー、ビスケット、チョコレート、飴等が挙げられる。少なくとも本明細書に例示された固体の食品は、歯で咀嚼できる程度のもろさを有している。すなわち、これらの固体の食品は、包装袋内で、外部からの力により破損(割れ又はひび)が生じやすい食品であるともいえる。
【0019】
付着性物質としては、例えば、30℃以上40℃以下で溶融する食品、常温で接着性を有する食品等が挙げられる。付着性物質としては、より具体的には、上白糖、三温糖、きび糖、ザラメ、粉糖等の砂糖;バター、マーガリン等の油脂成分;メレンゲ;チョコレート;砂糖、油脂成分、メレンゲ及びチョコレートのうちいずれか2つ以上の混合物などが例示される。砂糖及び油脂成分の混合物(例えばザラメ及びバターの混合物)を、本明細書では「グレーズ」という。
【0020】
付着性物質は、内容物表面の全部に付着していてもよく、一部のみに付着していてもよい。例えば、内容物の表面積の10%以上、25%以上又は40%以上が付着性物質に被覆されていてよく、90%以下、75%以下又は60%以下が付着性物質に被覆されていてよい。
【0021】
<包装製品>
本明細書では、包装袋1に上記内容物が封入される態様を包装製品(不図示)とする。包装袋1内における内容物の移動容易性などの観点から、上記包装製品においては、包装袋の容積を基準として、内容物の容積の割合が、例えば、90体積%以下である。当該割合は、85体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましい。製品としての観点から、上記割合は、例えば、70体積%以上であってよく、75体積%以上であってもよい。
【0022】
<積層フィルム>
図3を参照しながら、積層フィルム2について詳細に説明する。図3は、積層フィルム2の概略断面図である。積層フィルム2は、図1に示される包装袋1、図4に示される包装袋1A等を形成するために用いられる包装用シート(包装材)である。積層フィルム2は、要求される性能(例えば、ガスバリア性、遮光性、耐水性、耐温湿性、機械的強度、印刷容易性、印刷適性、装飾容易性等)を備え得る。なお、ガスバリア性は、酸素、水蒸気等のガス透過を防止または抑制する性能(透気防止性)を意味する。耐水性は、包装袋1等がぬれたときの強度低下率によって評価される。積層フィルム2は、基材層21、接着剤層22、ガスバリア層23及びシーラント層24を備える。基材層21、接着剤層22、ガスバリア層23及びシーラント層24は、基材層21の厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」ともいう。)においてこの順に重なっている。
【0023】
図3において、基材層21はシート状の形状であり、主面21a,21bを有する。主面21a,21bは、基材層21の厚さ方向に対して交差する面である。積層フィルム2から包装袋1が形成されたとき、主面21aは包装袋1の外側に位置する一方面であり、主面21bは包装袋1の内側に位置する他方面である。主面21aは、包装袋1において露出する面である。
【0024】
基材層21の材質は、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えば紙、樹脂フィルム、金属箔等が挙げられる。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、セロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔、ニッケル箔等が挙げられる。基材層21は、材質の異なる複数の基材を積層したものであってもよい。
【0025】
基材層21の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜調整することができるが、通常、1~500μmであり、好ましくは10~100μmである。
【0026】
図3において、接着剤層22は、基材層21とガスバリア層23とを接着する層である。
【0027】
接着剤層22に用いられる接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
接着剤層22には更に、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。
【0029】
また、接着剤層22に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
【0030】
接着剤層22の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1~10μmが好ましく、3~7μmがより好ましい。
【0031】
図3において、ガスバリア層23は、後述するシーラント層24の主面24aを覆う層である。図3では、ガスバリア層23は、主面24aの全てを覆っているが、一部のみを覆っていてもよい。
【0032】
ガスバリア層23は、熱可塑性樹脂を含んでよい。ガスバリア層23は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ガスバリア層23に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのエステル化物又はイオン架橋物、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物、ポリ酢酸ビニル又はそのケン化物、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸樹脂、フラン樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
ガスバリア層23に用いられる上記熱可塑性樹脂は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性が向上し易いことから、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、後述するシーラント層24に用いられるポリオレフィン樹脂と同様のものを用いることができる。
【0034】
ガスバリア層23の厚さは、例えば、0.1~300μmとすることができ、1~200μmであることが好ましく、5~150μmであることがより好ましく、10~100μmであることが更に好ましい。
【0035】
ガスバリア層23は、積層フィルム2に酸素又は水蒸気に対するバリア性を付与できるだけでなく、耐熱性及び耐衝撃性、ヒートシール性等も付与し得る。
【0036】
シーラント層24は、積層フィルム2の一部と他部とを貼り付けるために用いられており、厚さ方向において基材層21の主面21b上に位置する。また、積層フィルム2から包装袋1を形成したとき、シーラント層24は、基材層21よりも内側に位置する。本実施形態では、シーラント層24は、接着剤層22及びガスバリア層23を介して主面21bの全部を覆うが、これに限られない。
【0037】
シーラント層24の主面24aは、ガスバリア層23に接する主面(一方面)であり、他方面である主面24bは、基材層21などから露出する面(露出面)である。主面24bは、包装袋1を作製した場合に最内面となる。
【0038】
シーラント層を形成するための樹脂組成物(以下、「シーラント層形成用樹脂組成」ともいう。)は、ポリオレフィン樹脂、シリル化ポリオレフィン、並びに、上記ポリオレフィン樹脂と相溶する部位及び上記シリル化ポリオレフィンと相溶する部位を有する相溶化剤(以下、単に「相溶化剤」ともいう。)を含んでいてよく、上記シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位が上記ポリオレフィン樹脂と非相溶であるものであってよい。
【0039】
シーラント層形成用樹脂組成物は、相溶化剤を含まずにポリオレフィン樹脂、及び、シリル化ポリオレフィンを含んでいてよく、上記シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位が上記ポリオレフィン樹脂と相溶するものであってもよい。
【0040】
すなわち、シーラント層形成用樹脂組成物は、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリオレフィン樹脂と非相溶である場合、相溶化剤を必須成分として含有するものであってよく、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリオレフィン樹脂と相溶する場合、相溶化剤を必要としないものであってよい。また、シーラント層形成用樹脂組成物は、シリコーンを更に含んでいてもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
【0041】
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては特に制限されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。αオレフィン成分としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどを例示することができる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。上記以外でも、ポリオレフィン樹脂は、ポリノルボルネンなどの環状ポリオレフィンであってもよい。また、上記ポリオレフィン樹脂は、シール性及び強度物性(引張強度、衝撃強度など)の観点から、線状ポリオレフィンが好ましく、線状ポリオレフィンは直鎖状でも分岐状でもよい。
【0042】
ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、並びに、上述したようなエチレン及びプロピレン以外のα-オレフィンとプロピレンとの共重合体(プロピレン系共重合体)が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン樹脂はランダムポリプロピレンを含むことが好ましい。ランダムポリプロピレンを含むことにより、熱による袋状の包装材の破袋を防止し易くなることに加えて、低温・短時間でのヒートシールがし易くなる傾向がある。
【0043】
ポリオレフィン樹脂の融点は、最終用途に応じて適宜調整することができる。例えば、レトルト食品包装材用途であれば、ポリオレフィン樹脂の融点は130~170℃であることが好ましい。
【0044】
ポリオレフィン樹脂は所定の酸で変性された変性ポリオレフィンであってもよい。変性ポリオレフィンは、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル等から導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分で、ポリオレフィンをグラフト変性することで得られる。また、ポリオレフィン樹脂として、水酸基変性ポリオレフィンやアクリル変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンを使用することもできる。
【0045】
上述したポリオレフィン樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
(シリル化ポリオレフィン)
シリル化ポリオレフィンは、シーラント層24に撥液性を付与する成分である。シリル化ポリオレフィンは、ポリオレフィンユニットにシリコーン部位を持たせたものである。
【0047】
シリル化ポリオレフィンとしては、例えば、PE-Siグラフト共重合体として東レ・ダウコーニング株式会社製の製品、PE-Siブロック共重合体として三井化学ファイン株式会社製のイクスフォーラ、PP-Siグラフト共重合体として東レ・ダウコーニング株式会社製の製品等が挙げられる。
【0048】
シリル化ポリオレフィンとしては、シーラント層24の撥液性をより向上させる観点から、グラフト共重合体よりもブロック共重合体の方が好ましい。これは、ブロック共重合体の方が、シーラント層24表面に偏在化又はブリードアウトし易い傾向にあるためである。
【0049】
上述したシリル化ポリオレフィンは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
シリル化ポリオレフィンは、そのポリオレフィン部位が上記ポリオレフィン樹脂と相溶するものであってもよく、相溶しない(非相溶である)ものであってもよい。但し、ポリオレフィン部位が上記ポリオレフィン樹脂と非相溶であるシリル化ポリオレフィンを用いる場合、以下の相溶化剤と併用することが好ましい。なお、ポリオレフィン部位がポリオレフィン樹脂と非相溶であるシリル化ポリオレフィンを用いる場合、相溶化剤との併用が必要となるものの、ポリオレフィン樹脂及びシリル化ポリオレフィンの材料の組み合わせの選択肢が増え、目的・用途に応じた設計が可能であると共に、撥液性をより向上させ易い傾向があるという利点がある。
【0051】
(相溶化剤)
相溶化剤は、シリル化ポリオレフィンとしてポリオレフィン部位が上記ポリオレフィン樹脂と非相溶であるシリル化ポリオレフィンを用いる場合に用いられてよい。相溶化剤は、上記ポリオレフィン樹脂と相溶する部位及び上記シリル化ポリオレフィンと相溶する部位を有する成分である。相溶化剤を用いることにより、ポリオレフィン部位がポリオレフィン樹脂と非相溶であるシリル化ポリオレフィンと上記ポリオレフィン樹脂との相溶性を向上させることができる。
【0052】
上記ポリオレフィン樹脂と相溶する部位としては、ポリオレフィン樹脂と相溶可能なポリオレフィン構造が挙げられ、ポリオレフィン樹脂と同種のポリオレフィン構造を有する部位であることが好ましい。すなわち、ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂である場合、相溶化剤はポリエチレン構造を有することが好ましく、ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂である場合、相溶化剤はポリプロピレン構造を有することが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂がエチレン-αオレフィン共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体等の2種以上のオレフィンからなる共重合体である場合、相溶化剤は、上記共重合体を構成するオレフィンのうち主成分となるオレフィンと同種のオレフィンを重合又は共重合させた構造を少なくとも有することが好ましい。
【0053】
シリル化ポリオレフィンと相溶する部位としては、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位と相溶可能なポリオレフィン構造が挙げられ、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位と同種のポリオレフィン構造を有する部位であることが好ましい。すなわち、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリエチレン構造を有する場合、相溶化剤はポリエチレン構造を有することが好ましく、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリプロピレン構造を有する場合、相溶化剤はポリプロピレン構造を有することが好ましい。また、シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位が、エチレン-αオレフィン共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体等の2種以上のオレフィンからなる共重合体に基づく構造を有する場合、相溶化剤は、上記共重合体を構成するオレフィンのうち主成分となるオレフィンと同種のオレフィンを重合又は共重合させた構造を少なくとも有することが好ましい。
【0054】
相溶化剤としては、例えば、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、あるいはエチレンとエチレン・ブチレン共重合体とのブロック共重合体などを用いることが可能である。この場合、ポリオレフィン樹脂もしくはシリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリエチレンであれば、当該部位と相溶化剤のポリエチレン部位とが相溶し、ポリオレフィン樹脂もしくはシリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリプロピレンであれば、当該部位と相溶化剤のプロピレンもしくはエチレン・ブチレン共重合体部位とが相溶する。
【0055】
上述した相溶化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
(シリコーン)
シリコーンは、シーラント層24の撥液性をより向上させる成分である。シリコーンとしては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンレジン、シリコーンオリゴマー、シリコーンパウダー等が挙げられる。これらの中でも、より良好な撥液性が得られ易いことから、シリコーンオイルが好ましい。
【0057】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0058】
シリコーンオイルとしては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製の製品、信越化学工業株式会社製の製品、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の製品、東レ・ダウコーニング株式会社製の製品等が挙げられる。
【0059】
シリコーンレジンとしては、信越化学工業株式会社製の製品、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製の製品等が挙げられる。
【0060】
シリコーンオリゴマーとしては、信越化学工業株式会社製の製品、東レ・ダウコーニング株式会社製の製品等が挙げられる。
【0061】
シリコーンパウダーとしては、信越化学工業株式会社製の製品、東レ・ダウコーニング株式会社製の製品等が挙げられる。
【0062】
上述したシリコーンは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
シーラント層形成用樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、シーラント層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、50.0~99.9質量%であることが好ましく、55.0~99.0質量%であることがより好ましく、60.0~98.0質量%であることが更に好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量が上記下限値以上であると、良好なヒートシール性が得られ易い傾向がある。一方、ポリオレフィン樹脂の含有量が上記上限値以下であると、相対的にシリル化ポリオレフィン及び相溶化剤の含有量が増えるため、撥液性が向上し易い傾向がある。
【0064】
シーラント層形成用樹脂組成物におけるシリル化ポリオレフィン及び相溶化剤の合計の含有量は、シーラント層形成用樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.1~50.0質量%であることが好ましく、1.0~45.0質量%であることがより好ましく、2.0~40.0質量%であることが更に好ましい。シリル化ポリオレフィン及び相溶化剤の合計の含有量が上記下限値以上であると、撥液性が向上し易い傾向がある。一方、シリル化ポリオレフィン及び相溶化剤の合計の含有量が上記上限値以下であると、相対的にポリオレフィン樹脂の含有量が増えるため、良好なヒートシール性が得られ易い傾向がある。
【0065】
シーラント層形成用樹脂組成物が相溶化剤を含む場合、シリル化ポリオレフィンの含有量に対する相溶化剤の含有量の質量比(相溶化剤の質量/シリル化ポリオレフィンの質量)は、0.01~50であってもよく、0.05~30であることが好ましく、0.05~20であることがより好ましい。この含有量の比が上記下限値以上であると、シーラント層においてシリル化ポリオレフィンを十分に分散させることができ、より良好な撥液性を得ることができる傾向がある。一方、この含有量の比が上記上限値以下であると、過剰な相溶化剤によりシリル化ポリオレフィンが被覆されることを防ぎ、より良好な撥液性を得ることができる傾向がある。また、含有量の比が上記上限値を超えるほど相溶化剤を添加しても、シリル化ポリオレフィンがそれ以上分散しない状態となり、撥液性の向上効果が見られなくなる傾向がある。
【0066】
シーラント層形成用樹脂組成物は、撥液性を損なわない程度の範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等が挙げられる。
【0067】
シーラント層24は、上記シーラント層形成用樹脂組成物を製膜することで形成することができる。
【0068】
シーラント層24の厚さは、0.1~100μmであることが好ましく、1~70μmであることがより好ましく、3~50μmであることが更に好ましく、5~30μmであることが特に好ましい。シーラント層24の厚さが上記下限値以上であることにより良好な撥液性及びヒートシール性が得易くなる傾向がある。一方、厚さが上記上限値以下であることにより、積層フィルム2全体の厚さを薄くすることができる。
【0069】
主面24bのぬれ張力は、22.6mN/m未満である。主面24bのぬれ張力は、22.4mN/m未満であってよく、22.2mN/m未満が好ましく、22.0mN/m未満がより好ましく、21.8mN/m未満が更に好ましい。主面24bのぬれ張力は、例えば、実施例で述べる方法で測定することができる。主面24bのぬれ張力の大きさは、例えば、シーラント層24に含まれる樹脂の種類、主面24b上のSi量等を変更することによって調整することができる。より具体的には、例えば、シーラント層24がフッ素樹脂を含むようにしたり、主面24b上のSi量を増やしたりすると、主面24bのぬれ張力の大きさが小さくなる。
【0070】
シーラント層24の主面24bは、上述したぬれ張力を有しているため、優れた撥液性を有する。撥液性とは、少なくとも撥油性を包含する概念であり、具体的には、少なくとも、液体状、半固体状、もしくはゲル状の油性材料に対し撥液する特性である。また、シーラント層24は、加熱によりヒートシール性を発現することができる層である。ヒートシール性とは、一例として、100~200℃、0.1~0.3MPa、1~3秒間の条件にてヒートシールが可能である性質をいう。ヒートシールの条件は、積層フィルム2のヒートシールに要する条件に応じて容易に変更することが可能である。
【0071】
ガスバリア層23がシーラント層24と接している場合、シーラント層24中のポリオレフィン樹脂の融点T1(℃)と、ガスバリア層23中の上記熱可塑性樹脂の融点T2(℃)とは、T1<T2の関係を満たすことが好ましい。上記関係を満たすことにより、結晶化度の観点から、シーラント層24中のシリル化ポリオレフィンがガスバリア層23に移行することを抑制でき、シーラント層24表面へのシリル化ポリオレフィンの偏在化又はブリードアウトの効率を向上させることができるため、撥液性をより向上できる傾向がある。同じ観点から、融点T2は、融点T1よりも1℃以上高いことが好ましく、3℃以上高いことがより好ましい。
【0072】
<包装袋の製造方法>
以下では、積層フィルム2を用いて包装袋1を製造する方法の一例について説明する。第1工程では、ポリオレフィン樹脂、シリル化ポリオレフィン及び相溶化剤を混合し、シーラント層形成用樹脂組成物を得る。第2工程では、ガスバリア層形成用樹脂組成物を準備する。第1工程は第2工程の前に行われてもよく、後に行われてもよい。第1工程及び第2工程は並行して行われてもよい。
【0073】
第3工程では、共押出し機を用いて、第1,2工程で得られたシーラント層形成用樹脂組成物及びガスバリア層形成用樹脂組成物を共押出しする。第3工程により、ガスバリア層23及びシーラント層24が積層された積層フィルムが得られる。共押出し機として、キャストフィルム装置、インフレーションフィルム装置などが挙げられる。
【0074】
第4工程では、第3工程で得られた積層フィルムのガスバリア層23と基材層21とを接着剤を用いて接着させる。第4工程により、積層フィルム2が得られる。ガスバリア層23と基材層21との接着は、熱処理によるラミネート法を用いて行われてよい。熱処理によるラミネート法としては、大きく次の方法が挙げられる。
(1)接着性樹脂を、第3工程で得られた積層フィルムと基材層21との間に押出し、ラミネートする方法。
(2)第3工程で得られた積層フィルムを構成する樹脂と接着性樹脂とを共押出しし、基材層21とラミネートする方法。
(3)上記(1)又は(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に熱ロールで加熱及び/又は加圧することにより接着させる方法。
(4)上記(1)又は(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に高温雰囲気下で保管する、あるいは高温雰囲気下の乾燥及び焼付け炉を通過させる方法。
【0075】
第5工程では、このようにして得られた積層フィルム2を曲げ、シーラント層24の一部と他の一部とを接着することによって、ピロー形状の包装袋1を形成する。より詳細にいえば、第5工程では、まず、シーラント層24が内側に位置するように積層フィルム2を曲げる。次に、シーラント層24の一部と他の一部とを接着して背シール部12を有する筒状体を形成する。さらに、シーラント層24において筒状体の軸方向の両端に位置する部分を接着することによって、ピロー包装袋である包装袋1が形成される。
【0076】
以上に説明した本実施形態に係る包装袋1によれば、内容物に接し得る包装袋1の最内面は、シーラント層24の主面24bであり、当該主面24bのぬれ張力が22.6mN/m未満である。このため、包装袋1に付着性物質が付着される内容物が封入される場合であっても、当該付着性物質の主面24bへの付着を十分に抑制できる。これにより、付着性物質を介した内容物と包装袋1との密着が生じにくい。これにより、包装袋1に対して外部から力が加わった場合において、当該力が食品に伝達しにくくなる。よって、包装袋1を用いることによって、上記内容物の破損が生じにくくなる。
【0077】
本実施形態では、シーラント層24はSi原子を含有し、シーラント層24の主面24bをX線光電子分光法で測定したとき、全原子中のSi原子の割合は、8%以上である。このため、シーラント層24の主面24bのぬれ張力を良好に22.6mN/m未満にできるので、内容物が主面24bにより付着しにくくなる。その結果、内容物の破損が好適に生じにくくなる。
【0078】
本実施形態では、包装製品は、包装袋1と、包装袋1に封入される内容物である食品であって、付着性物質であるグレーズが付着した食品とを含む。この包装製品における包装袋1である袋状成形体の最内面は、22.6mN/m未満のぬれ張力を有するシーラント層24の露出面である。このため、グレーズ及び食品の包装袋1への付着が生じにくく、よって、グレーズを介した食品と包装袋1との密着が生じにくい。その結果、当該食品の破損を抑制可能である。例えば、包装袋1自体、もしくは包装袋1が収容される箱体などを搬送するとき、当該搬送に伴う振動が包装袋1に加えられる。この場合、上述したように、上記食品と包装袋1との密着が生じにくいので、上記食品が包装袋1内を移動することによって、上記振動に起因する力を分散できる。また、食品が収容される包装袋1が比較的高温(標準温度(20℃)よりも高く、例えば約30℃~50℃)にて保管され、グレーズ及び/または食品の表面が溶融したとしてもなお、これらは包装袋1に付着しにくい傾向がある。
【0079】
本実施形態では、上記包装製品において、包装袋1の容積を基準とする上記食品の容積の割合は、70体積%以上90体積%以下である。一般に、包装袋1の容積を基準とする内容物の容積の割合が大きくなるほど、内容物と包装袋1との密着が生じやすくなり、その結果、包装袋1内の食品に破損が生じやすくなる。これに対して上記包装製品によれば、上記割合が70体積%以上であっても、食品と包装袋1との密着が発生しにくい。これにより上述したように、食品の破損が生じにくくなる、また、上記割合が90体積%以下であることで、食品が包装袋1内を移動できる。なお、上記割合が70体積%未満の場合も、当然に食品の破損抑制効果が得られる。
【0080】
<変形例>
以下では、図4を参照しながら、変形例に係る包装袋1Aについて説明する。したがって、以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。図4は、包装袋1Aの概略平面図である。図4に示される包装袋1Aは、上記実施形態の包装袋1(図1を参照)と同様に、積層フィルム2(図3を参照)から構成される。包装袋1Aは、例えば内容物を挟むように二つ折りにした積層フィルム2の端部を封止することによって、袋形状に成形される。
【0081】
包装袋1Aは、内容物が収容される本体部14と、本体部14の端部に位置するシール部15と、積層フィルム2が折り曲げられた折曲部16とを有する。本体部14の形状は、特に限定されず、例えば所定の方向から見て矩形状を呈する。本体部14の外表面における少なくとも一部には、印刷が施されていてよい。本体部14には、例えば、内容物に加えて窒素等の特定の気体が収容されてもよい。シール部15は、積層フィルム2が備えるシーラント層24の一部と他部とが貼り合わされる部分である。シール部15においては、積層フィルム2が備えるシーラント層24の一部と他部とが互いに密着している。シール部15は、例えば積層フィルム2が備えるシーラント層24の一部と他部とが加熱及び圧縮される(すなわち、ヒートシールされる)ことによって形成されるが、これに限られない。例えば、シール部15は、コールドシール等によって形成されてもよい。包装袋1Aでは、折曲部16が本体部14の一辺を構成し、シール部15が本体部14の残り三辺を構成する。折曲部16の両端と、シール部15とは重なっている。
【0082】
本発明の一側面に係る付着性物質が付着される内容物用の包装袋及びそれを含む包装製品は、上記実施形態及び上記変形例に限られない。例えば、上記実施形態及び上記変形例に係る包装袋は、固体の内容物、例えば、表面にグレーズが付着される食品を収納することを主な目的としているが、液体及び気体の収納が一切禁じられるわけではない。固体の内容物としては、上述した食品が挙げられる。また、包装袋は、内容物を一つ収納してもよく(すなわち、本発明の一実施形態に係る包装製品は個包装であってもよく)、複数収納してもよい。
【0083】
本実施形態及び上記変形例では、積層フィルムは、基材層、接着剤層、ガスバリア層及びシーラント層を備えるが、これに限られない。例えば、積層フィルムは、接着剤層及び/又はガスバリア層を含まなくてもよい。積層フィルムは、例えば、インキ、オーバーコート層などを更に備えていてよい。また、積層フィルムは、インキを備えてもよい。この場合、インキは、例えば、基材層における一方面上(図3に示される主面21a上)に形成されることができる。この場合、上記一方面に樹脂等から構成されるコート層を設けた後で、インキを形成してもよい。インキによって、積層フィルムに図柄等を形成できる。印刷適性、コスト等の観点から、インキの厚さは、例えば0.1μm以上2μm以下であってよい。インキは、上記一方面の全体に付着していてもよく、上記一方面の一部のみに付着していてもよい。インキは、例えば水性もしくは油性のインクが印刷された部分である。インキは、複数のインクの混合又は複数のインクの重ね合わせによって形成されていてよい。インキに含まれるインクの少なくとも一部は、上記コート層又は上記一方面に浸み込んでもよい。
【0084】
積層フィルムがオーバーコート層を備える場合、オーバーコート層は、包装袋の最外面に位置してよい。この場合、オーバーコート層は基材層(積層フィルムがコート層を備えていればコート層)、及び、積層フィルムがインキを備えていればインキを保護できる。オーバーコート層は、例えば、ニス等の塗料、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を含んでいてよい。意匠性及び成形性の観点から、オーバーコート層の厚さは、例えば0.1μm以上5μm以下であってよく、1μm以上3μm以下であってもよい。
【実施例0085】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0086】
[実施例1]
<シーラント層形成用樹脂組成物の作製>
プロピレン-エチレンランダム共重合体(商品名「プライムポリプロ」、株式会社プライムポリマー製)と、シリル化ポリエチレン(PE-Si-PEのトリブロック共重合体(商品名「イクスフォーラ」、三井化学ファイン株式会社製)と、PP-PEのブロック共重合体とを混合し、シーラント層形成用樹脂組成物を調製した。各成分の含有量は、プロピレン-エチレンランダム共重合体、シリル化ポリエチレン及びPP-PEのブロック共重合体の総量を基準として、プロピレン-エチレンランダム共重合体が94.9質量%、シリル化ポリエチレンが5質量%、PP-PEのブロック共重合体が0.1質量%となるように調整した。
【0087】
<包装袋用積層フィルムの作製>
フィルムキャスト装置を用いて、シーラント層形成用樹脂組成物を押出し製膜し、厚さ40μmのシーラント層からなるシーラントフィルムを得た。得られたシーラントフィルムと、基材である厚さ12μmのPETフィルム(商品名「GL-AE」、凸版印刷株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、50℃で5日間エージングして、包装袋用積層フィルムを得た。得られた包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の、基材とは反対側の面(シーラント層の露出面)におけるぬれ張力及び表面Si量を測定した。22.6mN/mの表面張力を有するぬれ試験液(商品名「ぬれ張力試験用混合液No.22.6」、富士フイルム和光純薬株式会社))をたらしてもシーラント層がぬれなかったため、上記包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の露出面におけるぬれ張力は22.6mN/m未満とした。表面Si量は8.8%であった。表面Si量とは、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)で測定される全原子中のSi原子の割合を意味する。
【0088】
<ぬれ張力の測定方法>
ぬれ張力(表面ぬれ張力)は、JISK6768:1999に基づいて測定した。具体的には、まず、既知の表面張力を有するぬれ試験液を、包装袋用積層フィルムのシーラント層上に数滴たらした。ぬれ試験液の種類を変えていき、液滴がはじかれずにシーラント層の表面に広がった状態になるぬれ試験液を特定した。特定されたぬれ試験液が有する表面張力を表面ぬれ張力とした。
【0089】
<XPSの条件>
X線光電子分光法の測定条件は、次のとおりとした。
・X線源:MgKα
・X線出力:100W
【0090】
<ピロー包装袋の作製>
得られた包装袋用積層フィルム(ある一辺の長さが196mm)をシーラント層が内側に位置するように曲げ、両端を約15mm重ね合わせてヒートシールした。これにより、背シール(シール幅:約15mm)が形成された筒状体を得た。得られた筒状体の軸方向に平行な2辺が形成されるように、筒状体を平面状に押しつぶした場合の、軸方向に垂直な方向の幅は、約82.7mmである。続いて、得られた筒状体の一端をヒートシールし(筒状体の軸方向のシール幅:約10mm)、内容物を一つ入れ、ヒートシールされた一端から約88.5mmの間隔をあけてヒートシールした(シール幅:約20mm)。内容物は、グレーズ(澄ましバター及び砂糖)が片面にコーティングされたクッキー(筒状体の軸方向の長さが約82mm、筒状体の軸方向に直交する方向の長さが約80mm及び約5mm)とした。内容物を一つ入れることと、筒状体の軸方向に沿って約88.5mmの間隔をあけてシール幅約20mmで1回ヒートシールすることを繰り返した。シール幅が約20mmのヒートシール部の中央を切断した。以上により、幅約15mmの背シール、幅約10mmのエンドシール及び幅約10mmのトップシールが形成されたピロー包装袋と、内容物とを含む包装製品が得られた。以上の操作は、縦型ピロー製袋機(株式会社イシダ製、「INSPIRA」)を用いて行った。当該ヒートシールは、180℃、0.2MPa、0.5secの条件で実施した。包装製品は160個作製された。
【0091】
[実施例2]
フィルムキャスト装置の代わりに3層共押出しインフレーションフィルム成形機を用いてシーラントフィルムを得たこと以外は実施例1と同様にして、包装袋用積層フィルムを得た。得られた包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の、基材とは反対側の面におけるぬれ張力及び表面Si量を、実施例1と同様に測定した。22.6mN/mの表面張力を有するぬれ試験液をたらしてもシーラント層がぬれなかったため、上記包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の露出面におけるぬれ張力は22.6mN/m未満と判断された。表面Si量は11.7%であった。得られた包装袋用積層フィルムを用いて、実施例1と同様にピロー包装袋及び包装製品を作製した。包装製品は160個作製された。
【0092】
[比較例1]
シリル化ポリエチレンとPP―PEのブロック共重合体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、包装袋用積層フィルムを得た。得られた包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の、基材とは反対側の面におけるぬれ張力及び表面Si量を、実施例1と同様に測定した。33mN/mの表面張力を有するぬれ試験液をたらすとシーラント層がぬれたため、上記包装袋用積層フィルムが備えるシーラント層の、基材とは反対側の面におけるぬれ張力は33mN/m以上であった。表面Si量は0%(検出不能)であった。得られた包装袋用積層フィルムを用いて、実施例1と同様にピロー包装袋及び包装製品を作製した。包装製品は160個作製された。
【0093】
<実輸送工程>
実施例1で得られた包装製品(80個)と、比較例1で得られた包装製品(80個)とを、陸路で約700km輸送した。この輸送には、トラックによる輸送と、ハンドキャリー(人力輸送)とが含まれる。トラックによる輸送では、貨物室の室温を25℃、湿度を40%に設定した。トラックによって約694km、ハンドキャリーによって約6kmの輸送が行われた。輸送後、グレーズの付着度、内容物の破損割合及び内容物の密着割合を確認した。
【0094】
<実輸送工程-内容物の破損割合評価>
実輸送工程を経た包装製品を観察し、内容物に破損(ひび又は割れ)が生じたか否かを目視で確認した。結果を表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
<実輸送工程-グレーズの付着度評価>
グレーズの付着度は、表2に示される評価基準を用いて判定した。表1に示されるように、表1中、「グレーズの小塊」とは、包装袋に付着したグレーズのうち、長辺が5mm未満の塊を意味する。表1中、「グレーズの大塊」とは、包装袋に付着したグレーズのうち、長辺が5mm以上の塊を意味する。図5は、グレーズが包装袋に付着した様子を示す模式図である。図5の破線内に示された図形は、包装袋が備えるシーラント層の露出面に付着したグレーズを示す。付着度の評価では、図5の破線内に示されるようなグレーズの形を目視で確認する。長辺とは、目視で確認したグレーズの形状において、最も長い径を意味する。図5においては、破線Aで囲まれたものが小塊、破線Bで囲まれた3つの塊は全て大塊である。表1中、パウチ表面積とは、包装袋が備えるシーラント層の露出面のうち、内容物のグレーズと接触し得る面のパウチ内表面積(約88.5mm×約82.7mm)を意味する。結果を図6に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
付着度が1の場合、グレーズの付着は無い。付着度が2の場合、グレーズの小塊が1点は付着している傾向にある。付着度が3の場合、グレーズの小塊が2点以上は付着している傾向にある。付着度が1~3では大塊は付着していない。付着度が4の場合、グレーズの大塊が1点は付着している傾向にある。付着度が5の場合、グレーズの大塊が2点以上は付着している傾向にある。付着度4,5では小塊が1点以上付着していることがある。
【0099】
<実輸送工程-内容物の密着割合評価>
実輸送工程を経た包装製品のうち、内容物に破損が生じていなかった包装製品を抽出した。抽出された包装製品のうち、グレーズがパウチに密着し、内容物が包装袋の中で動かなくなっているものの数を計測した。結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
<加温保管工程-内容物の破損割合評価、内容物の密着割合及びグレーズの付着度評価>
実施例1で得られた包装製品(80個)と、比較例1で得られた包装製品(80個)とを、トラックで20km輸送した。輸送後の包装製品のうち、内容物に破損(ひび又は割れ)が生じた包装製品を取り除いた。表4に示すように、実施例1では破損が生じた包装製品は無く、比較例1では破損が生じた包装製品は6個であった。実施例1では、内容物に破損が生じなかった80個の包装製品に関し、比較例1では、内容物に破損が生じなかった74個に関し、それぞれ、グレーズがパウチに密着し、内容物が包装袋の中で動かなくなっているものの数を計測した。結果を表5に示す。加えて、内容物に破損が生じなかった包装製品に関し、「<実輸送工程-グレーズの付着度評価>」に記載した方法と同様の方法でグレーズの付着度評価を行った。結果を図7に示す。
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
グレーズの付着度評価の結果、実施例1及び比較例1のいずれについても、付着度が「2」であった包装製品を15個ずつ、及び、付着度が「3」であった包装製品を15個ずつ取り出した。取り出した包装製品を販売用ケースに詰めて、40℃の恒温槽で1時間保管した。「<実輸送工程-グレーズの付着度評価>」に記載した方法と同様の方法で、保管後のグレーズ付着度を評価した。結果を図8に示す。
【0105】
<加温保管工程-グレーズ不着量の計測>
加温保管工程及びその後のグレーズ付着度評価を経た包装製品について、内容物を取り出した。内容物が取り出された包装袋の重量(W1)を測定した。重量測定後の包装袋を洗浄し、十分に乾燥させた。乾燥後の包装袋の重量(W2)を測定した。W1とW2との差分の絶対値を、包装袋に付着していたグレーズの重量とした。結果を図9に示す。
【0106】
本発明の一側面に係る包装袋及び包装製品は以下の[1]~[5]に記載する通りであり、上記実施形態及び上記変形例に基づいてこれらを詳細に説明した。
[1]基材層と、前記基材層上に設けられるシーラント層とを有する積層フィルムの袋状成形体である、付着性物質が付着される内容物用の包装袋であって、
前記シーラント層の一部と他の一部とが互いに接触すると共に融着されることによって、前記袋状成形体が封止され、
前記シーラント層の露出面は、前記袋状成形体の最内面であり、
前記露出面のぬれ張力は、22.6mN/m未満である、
包装袋。
[2]前記シーラント層がSi原子を含有し、
前記シーラント層の前記露出面をX線光電子分光法で測定したとき、全原子中のSi原子の割合が、8%以上である、[1]に記載の包装袋。
[3]筒形状を呈する本体部と、
前記本体部の軸方向に沿って延在するとともに前記本体部から突出する背シール部と、を備えるピロー包装袋であり、
前記軸方向における前記本体部の両端は、前記シーラント層の前記一部と前記他の一部とによって封止されており、
前記背シール部は、前記基材層の展開時において前記基材層の厚さ方向及び前記軸方向に直交する方向における前記基材層の一対の端部が前記シーラント層の前記一部と前記他の一部とによって貼り合わされた部分である、[1]又は[2]に記載の包装袋。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の包装袋と、前記包装袋に封入される前記内容物である食品であって、前記付着性物質であるグレーズが付着した前記食品とを含む、包装製品。
[5]前記包装袋の容積を基準とする前記食品の容積の割合が、70体積%以上90体積%以下である、[4]に記載の包装製品。
【0107】
しかし、本発明の一側面は、上記実施形態、上記変形例及び上記[1]~[5]に限定されない。本発明の一側面は、その要旨を逸脱しない範囲でさらなる変形が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1、1A…包装袋、2…積層フィルム、11…本体部、12…背シール部、13…両端、14…本体部、15…シール部、16…折曲部、21…基材層、21a…主面(一方面)、21b…主面(他方面)、21c,21d…端部、22…接着剤層、23…ガスバリア層、24…シーラント層、24a…主面(一方面)、24b…主面(他方面)、A、B…破線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9