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特開2023-170787超音波診断装置および超音波情報処理装置
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  • 特開-超音波診断装置および超音波情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170787
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082813
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
(72)【発明者】
【氏名】脇 康治
(72)【発明者】
【氏名】笠原 英司
(72)【発明者】
【氏名】日下部 彰
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DD15
4C601DE04
4C601EE11
4C601KK18
4C601KK31
4C601KK47
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、超音波診断装置に情報処理装置が通信接続された超音波診断システムについて、情報処理装置に対するアプリケーションの追加搭載を容易にすることである。
【解決手段】超音波診断装置1は、超音波の送受信によって生成された超音波診断データを情報処理装置50に送信し、超音波診断データに対する処理が施された外部処理データを、情報処理装置50から取得する制御部20を備えている。制御部20は、情報処理装置50に搭載された複数のアプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムとして、診断装置インターフェースプログラムを実行し、診断装置インターフェース28を構築する。診断装置インターフェース28は、複数のアプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを情報処理装置50に実行させるときに、実行アプリケーションに対して超音波診断データの送信および外部処理データの受信を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送受信によって生成された超音波診断データを情報処理装置に送信し、前記超音波診断データに対する処理が施された外部処理データを、前記情報処理装置から取得する制御部を備え、
前記制御部は、
前記情報処理装置に搭載された複数のアプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムであって、複数の前記アプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを前記情報処理装置に実行させるときに、当該実行アプリケーションに対して前記超音波診断データの送信および前記外部処理データの受信を行うインターフェースプログラムを実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、
前記インターフェースプログラムを実行することで、前記制御部は、
前記情報処理装置によって提供されるアプリケーションリストであって、各前記アプリケーションに対して動作条件を対応付けたアプリケーションリストを参照し、
前記実行アプリケーションを前記情報処理装置に実行させるときに、前記実行アプリケーションに対応付けられた前記動作条件に従う情報を、前記情報処理装置に送信することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波診断装置であって、
前記制御部は、
前記情報処理装置が通信接続されたときに、各前記アプリケーションについてのGUIを表示デバイスに表示させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
超音波の送受信によって超音波診断装置が生成した超音波診断データを取得する情報処理部を備え、
前記情報処理部は、
前記超音波診断データに対する複数のアプリケーションのそれぞれに対し、動作条件を対応付けたアプリケーションリストを、前記超音波診断装置に参照させ、
前記アプリケーションリストを参照した前記超音波診断装置から受けた指令に従って、複数の前記アプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを実行し、
前記実行アプリケーションによって処理が施された前記超音波診断データを、前記超音波診断装置に送信することを特徴とする超音波情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波情報処理装置であって、
前記情報処理部は、
複数の前記アプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムを実行し、各前記アプリケーションは、前記インターフェースプログラムによって構築されるインターフェースを介して、前記超音波診断装置との間で情報を送受信することを特徴とする超音波情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置および超音波情報処理装置に関し、特に、超音波診断装置と超音波情報処理装置との間で情報を伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置に情報処理装置を通信接続し、情報処理装置に追加的な画像処理を実行させる超音波診断システムにつき研究開発が行われている。このシステムでは、情報処理装置が生成した画像データに基づく画像を超音波診断装置が表示する。情報処理装置が実行する処理としては、超音波診断装置が時間経過と共に順次生成した一連の超音波画像データ(リアルタイムの超音波画像データ)から組織の輪郭を示すデータを抽出し、リアルタイムの超音波画像に組織の輪郭を描く処理等がある。
【0003】
以下の特許文献1には、超音波診断装置から外部端末に医用情報を転送する技術が記載されている。この超音波診断装置では、通信環境等に応じて、医用情報を転送する際の転送条件が設定される。転送条件には、医用情報をそのまま転送する、優先度の高い情報を転送する等の条件がある。特許文献2には、本発明に関連する技術として血流速度をドプラ法によって計測する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-111100号公報
【特許文献2】特開2015-198777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の超音波診断装置には、情報処理装置に搭載された複数のアプリケーションのそれぞれに対して、個別にインターフェースソフトウエアを搭載したものがある。この場合、情報処理装置にアプリケーションを追加搭載する場合には、プログラムの変更等によって超音波診断装置側の動作条件を変更する必要があり、超音波診断装置を開発する者の作業負担が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、超音波診断装置に情報処理装置が通信接続された超音波診断システムについて、情報処理装置に対するアプリケーションの追加搭載を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、超音波の送受信によって生成された超音波診断データを情報処理装置に送信し、前記超音波診断データに対する処理が施された外部処理データを、前記情報処理装置から取得する制御部を備え、前記制御部は、前記情報処理装置に搭載された複数のアプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムであって、複数の前記アプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを前記情報処理装置に実行させるときに、当該実行アプリケーションに対して前記超音波診断データの送信および前記外部処理データの受信を行うインターフェースプログラムを実行することを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記インターフェースプログラムを実行することで、前記制御部は、前記情報処理装置によって提供されるアプリケーションリストであって、各前記アプリケーションに対して動作条件を対応付けたアプリケーションリストを参照し、前記実行アプリケーションを前記情報処理装置に実行させるときに、前記実行アプリケーションに対応付けられた前記動作条件に従う情報を、前記情報処理装置に送信する。
【0009】
望ましくは、前記制御部は、前記情報処理装置が通信接続されたときに、各前記アプリケーションについてのGUIを表示デバイスに表示させる。
【0010】
また、本発明は、超音波の送受信によって超音波診断装置が生成した超音波診断データを取得する情報処理部を備え、前記情報処理部は、前記超音波診断データに対する複数のアプリケーションのそれぞれに対し、動作条件を対応付けたアプリケーションリストを、前記超音波診断装置に参照させ、前記アプリケーションリストを参照した前記超音波診断装置から受けた指令に従って、複数の前記アプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを実行し、前記実行アプリケーションによって処理が施された前記超音波診断データを、前記超音波診断装置に送信することを特徴とする。
【0011】
望ましくは、前記情報処理部は、複数の前記アプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムを実行し、各前記アプリケーションは、前記インターフェースプログラムによって構築されるインターフェースを介して、前記超音波診断装置との間で情報を送受信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波診断装置に情報処理装置が通信接続された超音波診断システムについて、情報処理装置に対するアプリケーションの追加搭載を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る超音波診断システムを示す図である。
図2】超音波診断装置および情報処理装置の構成を示す図である。
図3】情報処理装置が、第jアプリケーションを実行アプリケーションとして実行する際のシーケンスチャートである。
図4】表示デバイスに表示される画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0015】
図1には、本発明の実施形態に係る超音波診断システム100が示されている。超音波診断システム100は、超音波診断装置1および情報処理装置50(超音波情報処理装置)を備えている。超音波診断装置1と情報処理装置50との間は、有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。被検体を診断する際には、超音波診断装置1が備える超音波プローブ10は、その先端の送受信面が被検体の表面に接触した状態とされる。超音波診断装置1は、超音波プローブ10に超音波を送信させる。超音波プローブ10から送信された超音波は被検体内で反射し、超音波プローブ10で受信される。超音波プローブ10は、受信された超音波を電気信号である受信信号に変換する。
【0016】
超音波診断装置1は、受信信号に基づいて画像データを生成する。超音波診断装置1は、情報処理装置50に追加的な画像処理を実行させ、情報処理装置50が生成した画像データを、自らの表示デバイス40に表示させる。超音波診断装置1は、情報処理装置50によって処理が施されていない画像データに基づく画像を表示デバイス40に表示させてもよい。
【0017】
図2には、超音波診断システム100の構成が示されている。超音波診断システム100は、超音波診断装置1、情報処理装置50およびPACS80(Picture Archiving and Communication System)を備えている。超音波診断装置1は、超音波プローブ10、送受信部12、信号処理部14、信号合成部16、画像切替部18、表示デバイス40、制御部20、レポート作成部22、操作デバイス24、データ出力部26および診断装置インターフェース28を備えている。
【0018】
信号処理部14、信号合成部16、画像切替部18、制御部20、レポート作成部22およびデータ出力部26は、プログラムを実行することで、これらの構成要素(信号処理部14、信号合成部16、画像切替部18、制御部20、レポート作成部22およびデータ出力部26)の機能を実現するプロセッサおよび電子回路を含んでよい。画像切替部18は、通信機能を実現する電子回路を含んでよい。画像切替部32は、有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。
【0019】
制御部20は、超音波診断装置1の全体的な制御を実行する。操作デバイス24は、ボタン、レバー、キーボード、マウス等を備えてもよい。操作デバイス24は、表示デバイス40に設けられるタッチパネルであってもよい。制御部20は、ユーザによる操作に基づいて、超音波診断装置1の制御を実行してもよい。制御部20は診断装置インターフェース28を介して、情報処理装置50との間で、情報処理装置50がアプリケーションを実行するための情報を送受信する。
【0020】
ここで、診断装置インターフェース28は、制御部20が診断装置インターフェースプログラムを実行することで構築される。ただし、図2では説明の便宜上、診断装置インターフェース28は、制御部20とは別に破線によって描かれている。診断装置インターフェース28は、通信機能を実現する電子回路と共に動作してよい。この電子回路は、有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。
【0021】
超音波プローブ10は複数の超音波振動子を備えている。送受信部12は、複数の超音波振動子に電気信号である送信信号を出力する。各超音波振動子は送信信号を超音波に変換し、被検体に向けて送信する。送受信部12が、各超音波振動子に出力する送信信号の遅延時間を調整することで、特定の方向に超音波ビームが形成される。
【0022】
各超音波振動子は、被検体内で反射した超音波を受信し、電気信号である受信信号に変換して信号処理部14に出力する。信号処理部14は、超音波ビームが向けられた方向から到来する超音波による受信信号が互いに強め合うように、各超音波振動子から出力された受信信号の遅延時間を調整し、遅延時間調整後の各受信信号を加算合計する。信号処理部14は、このようにして生成された整相加算信号を、信号合成部16に出力する。
【0023】
なお、送受信部12は、被検体における特定の観測断面内で超音波ビームが走査されるように、各超音波振動子に出力する送信信号の遅延時間を変化させる。また、信号処理部14は、被検体内で走査された超音波ビームの方向に対応する整相加算信号を生成するように、各超音波振動子から出力された受信信号の遅延時間を変化させ、遅延時間調整後の各受信信号を加算合計する。
【0024】
信号合成部16は、観測断面内の各方向について取得された整相加算信号に基づいて、Bモード画像データを生成し、画像切替部18に出力する。送受信部12、信号処理部14および信号合成部16は、所定のフレームレートで、時間経過と共に順次、Bモード画像データを生成する。ここで、フレームレートとは、単位時間当たりに生成されるBモード画像の枚数をいう。
【0025】
超音波診断システム100で実行される基本表示処理では、画像切替部18は、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データを表示デバイス40に出力する。表示デバイス40は、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データに基づく画像、すなわち、Bモード画像のリアルタイム画像を表示する。
【0026】
上記では、超音波ビームを被検体内で走査し、各方向の超音波ビームに対応する整相加算信号に基づいて、Bモード画像を生成する処理が示された。超音波診断装置1は、送信信号の周波数に対する整相加算信号の周波数の相違(ドプラシフト)に基づいて、血流の速度を求めるドプラモードの動作を実行してもよい。制御部20は、例えば、各方向の超音波ビーム上に定められた所定範囲における血流の速度を表すドプラデータを生成する。
【0027】
制御部20は、各方向の超音波ビームに対して取得されたBモード画像データ、ドプラデータ等の超音波診断データをレポート作成部22に出力する。レポート作成部22は、超音波診断データに基づいて超音波検査レポートを生成する。超音波検査レポートは、組織の大きさ、形状、所見が認められるか否か等の情報を示すデータである。超音波検査レポートは、診断対象の組織に応じた表現形式(フォーマット)で生成されてよい。
【0028】
超音波診断システム100は、次のような応用表示処理を実行してもよい。信号合成部16は、時間経過と共に順次生成された超音波診断データを、データ出力部26に出力する。データ出力部26は、時間経過と共に順次生成された超音波診断データを、診断装置インターフェース28に出力する。診断装置インターフェース28は、超音波診断データを情報処理装置50に送信する。
【0029】
情報処理装置50には、超音波診断データに対して特定の処理を施すアプリケーションが搭載されている。このアプリケーションには、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データに基づいて、ストリーミング画像データを生成する第1アプリケーション62がある。ストリーミング画像データは、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データに基づいて、リアルタイム画像を表示するデータをいう。
【0030】
情報処理装置50がアプリケーションを実行することで、情報処理装置50は、外部処理データとしてアプリケーション解析データ(以下、APP解析データという)を生成する。APP解析データは数値を示すデータであってもよいし、画像データであってもよい。APP解析データが画像データである場合、情報処理部52は、APP解析データを解析画像出力部56に出力する。解析画像出力部56は、画像切替部18にAPP解析データを送信し、画像切替部18はAPP解析データを表示デバイス40に出力する。表示デバイス40は、APP解析データに基づく画像を表示する。
【0031】
情報処理装置50の構成および情報処理装置50が実行する処理について具体的に説明する。情報処理装置50は、情報処理部52、外部インターフェース54、解析画像出力部56、外部操作デバイス58、メモリ60、第1アプリケーション62、第2アプリケーション64および第3アプリケーション66を備えている。情報処理装置50は、プログラムを実行することで、各構成要素(情報処理部52、外部インターフェース54、解析画像出力部56、第1アプリケーション62、第2アプリケーション64および第3アプリケーション66)の機能を実現するプロセッサおよび電子回路を含んでよい。解析画像出力部56は、通信機能を実現する電子回路を含んでよい。解析画像出力部56は、有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。
【0032】
情報処理装置50は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション等の一般的なコンピュータであってよい。情報処理部52は、情報処理装置50について全体的な制御を行う。外部操作デバイス58は、キーボード、マウス等であってよい。情報処理装置50が、ディスプレイ等の表示デバイスを備える場合には、外部操作デバイス58は、表示デバイスに構成されるタッチパネルであってよい。外部操作デバイス58は、超音波診断装置1の操作デバイス24と共通のハードウエアによって一体的に構成されてもよい。
【0033】
情報処理部52は、ユーザによる外部操作デバイス58の操作に従って情報処理装置50を制御してもよい。外部インターフェース54は、診断装置インターフェース28との間で信号を送受信する。ただし、図2では説明の便宜上、外部インターフェース54は、情報処理部52とは別に破線によって描かれている。
【0034】
ここで、外部インターフェース54は、情報処理部52が外部インターフェースプログラムを実行することで構築される構成要素である。外部インターフェース54は、通信機能を実現する電子回路と共に動作してよい。この電子回路は、有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。
【0035】
第1アプリケーション62~第3アプリケーション66は、それぞれ、第1アプリケーションプログラム~第3アプリケーションプログラムを情報処理部52が実行することで構築される構成要素である。ただし、図2では説明の便宜上、第1アプリケーション62~第3アプリケーション66は、情報処理部52とは別に破線によって描かれている。
【0036】
第1アプリケーション62~第3アプリケーション66は、超音波診断装置1との間で送受信する情報が異なる。一方、外部インターフェース54および診断装置インターフェース28は、第1アプリケーション62~第3アプリケーション66に対して共通のインターフェースであり、各アプリケーションの動作に応じた情報を送受信する。すなわち、第1アプリケーション62~第3アプリケーション66のそれぞれは、超音波診断装置1との間で情報を送受信するためのインターフェースを個別に有しておらず、第1アプリケーション62~第3アプリケーション66に対して共通に構築された外部インターフェース54および診断装置インターフェース28を介して、超音波診断装置1との間で情報を送受信する。
【0037】
超音波診断装置1が、超音波診断データを生成する処理を実行する前に、情報処理部52は、外部インターフェース54および診断装置インターフェース28を介して、制御部20にアプリケーションリストを送信する。アプリケーションリストは、情報処理装置50に搭載された各アプリケーションを識別する情報に対し、起動コマンド、データ特定情報、動作パラメータ等の動作条件を対応付けた情報であってよい。制御部20は、アプリケーションリストに基づいて、各アプリケーションに対するGUI(Graphical Use Interface)を表示デバイス40に表示させてもよい。
【0038】
情報処理装置50に搭載されるアプリケーションは、追加または取り除きが可能である。アプリケーションが追加または取り除かれた場合には、それに応じてアプリケーションリストが更新される。アプリケーションリストの更新は、アプリケーションを追加する処理または取り除く処理を情報処理部52が実行するときに、情報処理部52が実行してよい。
【0039】
ここで、起動コマンドは、アプリケーションを起動させるための指令である。データ指定情報は、起動するアプリケーションで用いられるデータを指定する情報である。例えば、ストリーミング画像を表示する第1アプリケーション62では、データ指定情報は、Bモード画像データを指定する。動作パラメータには、例えば、観測範囲の深さ、受信信号に対するゲイン、タイムゲインコントロール(受信時間の経過と共にゲインを増加させる状態を調整する制御値)、フォーカス(超音波ビームを収束させる度合い)等がある。動作パラメータには、その他、画質を調整するための制御値が含まれてもよい。
【0040】
本実施形態における第1アプリケーション62は、ストリーミング画像を表示するアプリケーション(ストリーミング・アプリケーション)である。第2アプリケーションは、カラードプラ画像を表示するアプリケーション(カラードプラ・アプリケーション)である。カラードプラ・アプリケーションでは、所定フレーム数に亘って超音波診断装置1から情報処理装置50に送信されたBモード画像データ、ドプラデータ等の超音波診断データがメモリ60に記憶される。
【0041】
カラードプラ・アプリケーションを実行する情報処理部52は、例えば特許文献2に記載されている次のような処理を実行してよい。情報処理部52は、各フレームごとのBモード画像データから心臓の輪郭(パターン)を表す輪郭データを抽出する。情報処理部52は、所定フレーム数におけるドプラデータおよび輪郭データから、心臓内の各位置における血流の速度ベクトルを求め、心臓内の各位置における血流の速度ベクトルを表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度ベクトルの大きさを輝度で表し、速度ベクトルの方向を色彩で表すデータであってよい。ドプラ画像データは、例えば、超音波プローブ10から離れる方向の速度ベクトルが青色の画素で表され、超音波プローブ10に向かう方向の速度ベクトルが赤色の画素で表される画像データであってよい。ドプラ画像データは、各観測位置の速度ベクトルを矢印等の図形で表す画像データであってもよい。
【0042】
本実施形態における第3アプリケーション66は、AI解析を行うアプリケーション(AI解析アプリケーション)である。AI解析アプリケーションでは、他のアプリケーションによって得られたAPP解析データ(他APP解析データ)、超音波検査レポート等がメモリ60に記憶される。メモリ60に記憶されるデータは、超音波診断装置1から情報処理装置50に送信されてよい。メモリ60には、AI解析に必要な機械学習モデルを表すデータ(機械学習モデルデータ)が、機械学習によって予め記憶されている。AI解析アプリケーションでは、他APP解析データ、超音波検査レポート、機械学習モデルデータ等に基づいて、被検体に病変が生じているか否か等が判定される。
【0043】
アプリケーションを実行することで生成されたAPP解析データが画像データである場合、情報処理部52は、APP解析データを解析画像出力部56に出力する。解析画像出力部56は、APP解析データを画像切替部18に送信する。画像切替部18は、APP解析データを表示デバイス40に出力し、表示デバイス40は、APP解析データに基づく画像を表示する。
【0044】
情報処理部52は、時間経過と共に順次生成されたAPP解析データをリアルタイム画像データとして、解析画像出力部56に出力してもよい。この場合、解析画像出力部56は時間経過と共に順次、APP解析データを画像切替部18に送信し、画像切替部18は時間経過と共に順次、APP解析データを表示デバイス40に出力する。表示デバイス40は、時間経過と共に順次、画像切替部18から出力されたAPP解析データに基づく画像をリアルタイム画像として表示する。
【0045】
情報処理部52は、アプリケーションを実行することで生成されたAPP解析データを、データベースであるPACS80に送信してもよい。PACS80は、APP解析データを保存する。制御部20は、PACS80から診断装置インターフェース28を介してAPP解析データを読み込む。制御部20は、APP解析データが示す情報を表示デバイス40に表示させる処理を実行してよい。
【0046】
図3には、情報処理装置50が、実行アプリケーションとして第jアプリケーションを実行する際のシーケンスチャートが示されている。ただし、jは1~3のいずれかの整数である。また、図3に示される例では、第jアプリケーションによって得られる第jAPP解析データは画像データである。各アプリケーションを実行する前に、情報処理部52は、外部インターフェース54および診断装置インターフェース28を介して、制御部20にアプリケーションリストを送信する(S1)。
【0047】
操作デバイス24において第jアプリケーションを実行するための操作が行われると、制御部20は、アプリケーションリストを参照する(S2)。制御部20は、アプリケーションリストにおいて第jアプリケーションに対応付けられている情報を取得する(S3)。すなわち、制御部20は、第jアプリケーションに対応付けられている起動コマンド、データ指定情報および動作パラメータを取得する(S3)。制御部20は、診断装置インターフェース28および外部インターフェース54を介して、第jアプリケーションの起動コマンドを情報処理部52に送信する(S4)。
【0048】
情報処理部52は、第jアプリケーションの起動コマンドを取得すると、第jアプリケーションを起動する(S5)。制御部20は、診断装置インターフェース28および外部インターフェース54を介して、第jアプリケーションに対応する動作パラメータを情報処理部52に送信する(S6)。情報処理部52は、動作パラメータに従って情報処理装置50の動作状態を設定する(S7)。さらに、制御部20は、データ指定情報によって指定されるデータを、診断装置インターフェース28および外部インターフェース54を介して情報処理部52に送信する(S8)。
【0049】
情報処理部52は、データ指定情報によって指定されるデータに対し、第jアプリケーションの処理を実行する(S9)。情報処理部52は、第jアプリケーションの実行によって得られた第jAPP解析データを解析画像出力部56に出力する(S10)。解析画像出力部56は、第jAPP解析データを画像切替部18に送信する(S11)。画像切替部18は、第jAPP解析データを表示デバイス40に出力する(S12)。表示デバイス40は、第jAPP解析データに基づく画像を表示する(S13)。
【0050】
j=1の場合、すなわち、アプリケーションが第1アプリケーション62である場合には、アプリケーションリストにおいて、第1アプリケーション62に対応付けられているデータ指定情報はBモード画像データを指定する。情報処理部52は、第1アプリケーション62を実行することで、リアルタイム画像を示すデータとして、時間経過と共に順次Bモード画像データ(第1APP解析データ)を解析画像出力部56に出力する(S10)。解析画像出力部56は、Bモード画像データを時間経過と共に順次画像切替部18に送信する(S11)。画像切替部18は、Bモード画像データを表示デバイス40に出力する(S12)。表示デバイス40は、Bモード画像データに基づく画像を表示する(S13)。これによって、リアルタイム画像としてのBモード画像が表示デバイス40に表示される。
【0051】
j=2の場合、すなわち、アプリケーションが第2アプリケーション64である場合には、アプリケーションリストにおいて、第2アプリケーション64に対応付けられているデータ指定情報は、Bモード画像データおよびドプラデータを指定する。情報処理部52は、第2アプリケーション64を実行することで、複数フレームに亘るカラードプラ画像データを、複数フレームに亘る第2APP解析データとして生成し、メモリ60に記憶する。情報処理部52は、カラードプラ画像データ(第2APP解析データ)をメモリ60から時系列順に読み出し、解析画像出力部56に出力する(S10)。解析画像出力部56は、カラードプラ画像データを時系列順に画像切替部18に送信する(S11)。画像切替部18は、カラードプラ画像データを表示デバイス40に出力する(S12)。表示デバイス40は、カラードプラ画像データに基づく画像を表示する(S13)。これによって、カラードプラ画像が時系列順に順次、表示デバイス40に表示される。
【0052】
j=3の場合、すなわち、アプリケーションが第3アプリケーション66である場合には、アプリケーションリストにおいて、第3アプリケーション66に対応付けられているデータ指定情報は、第2アプリケーション64の実行によって得られた第2APP解析データ(他APP解析データ)および超音波検査レポートを指定する。情報処理部52は、第3アプリケーション66を実行することで、被検体に病変が生じているか否かを判定する。情報処理部52は、判定結果を示す第3APP解析データを解析画像出力部56に出力する(S10)。解析画像出力部56は、第3APP解析データを画像切替部18に送信する(S11)。画像切替部18は、第3APP解析データを表示デバイス40に出力する(S12)。表示デバイス40は、第3APP解析データに基づく画像を表示する(S13)。
【0053】
このように、本発明の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波の送受信によって生成された超音波診断データを情報処理装置50に送信し、超音波診断データに対する処理が施された外部処理データを、情報処理装置50から取得する制御部20を備えている。制御部20は、情報処理装置50に搭載された複数のアプリケーションに対して共通のインターフェースプログラムとして、診断装置インターフェースプログラムを実行し、診断装置インターフェース28を構築する。診断装置インターフェース28は、複数のアプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを情報処理装置50に実行させるときに、実行アプリケーションに対して超音波診断データの送信を行い、外部処理データの受信を行う。
【0054】
制御部20は、診断装置インターフェースプログラムを実行することで、情報処理装置によって提供されるアプリケーションリストを参照する。アプリケーションリストは、各アプリケーションに対して動作条件を対応付けたリストである。制御部20は、実行アプリケーションを情報処理装置50に実行させるときに、実行アプリケーションに対応付けられた動作条件に従う情報を、情報処理装置50に送信する。
【0055】
また、本発明の実施形態に係る情報処理装置50(超音波情報処理装置)は、超音波の送受信によって超音波診断装置1が生成した超音波診断データを取得する情報処理部52を備えている。情報処理部52は、超音波診断データに対する複数のアプリケーションのそれぞれに対し、動作条件を対応付けたアプリケーションリストを、超音波診断装置1に参照させる。情報処理部52は、アプリケーションリストを参照した超音波診断装置1から受けた指令に従って、複数のアプリケーションのうちの1つである実行アプリケーションを実行し、実行アプリケーションによって処理が施された超音波診断データを、超音波診断装置1に送信する。
【0056】
情報処理部52は、複数のアプリケーションに対して共通の外部インターフェースプログラムを実行し、各アプリケーションは、外部インターフェースプログラムによって構築される外部インターフェースを介して、超音波診断装置1との間で情報を送受信する。
【0057】
本実施形態に係る超音波診断システム100では、複数のアプリケーションに対して共通のインターフェースとして、診断装置インターフェース28および外部インターフェース54が、それぞれ、超音波診断装置1および情報処理装置50にそれぞれ構築されている。複数のアプリケーションのそれぞれに対しては、超音波診断装置1との間で情報を送受信するためのインターフェースが個別に設けられていない。複数のアプリケーションは、複数のアプリケーションに対して共通に構築された外部インターフェース54および診断装置インターフェース28を介して、超音波診断装置1との間で情報を送受信する。
【0058】
したがって、外部インターフェース54および診断装置インターフェース28に適合したアプリケーションを構成することで、情報処理装置50にアプリケーションを追加的に搭載することができる。これによって、情報処理装置50にアプリケーションを追加的に搭載することが容易となる。
【0059】
なお、情報処理装置50には、次のような処理を実行する第4アプリケーションが追加的に搭載されてもよい。アプリケーションリストにおいて、第4アプリケーションに対応付けられるデータ指定情報は、Bモード画像を指定する。
【0060】
第4アプリケーションを実行する情報処理部52は、制御部20から診断装置インターフェース28および外部インターフェース54を介して時間経過と共に順次送信されたBモード画像データを受信する。時間経過と共に順次受信されたBモード画像データは、リアルタイムの超音波画像(以下、リアルタイム超音波画像ということがある)を示す。情報処理部52は、リアルタイム超音波画像から組織の輪郭を抽出し、リアルタイム超音波画像に組織の輪郭を描く処理を実行する。
【0061】
情報処理部52は、時間経過と共に順次送信されたBモード画像データから、組織の輪郭を示す輪郭データを生成し、輪郭データとBモード画像データとを合成して、時間経過と共に順次、第4APP画像データとして輪郭・Bモード画像データを生成する。輪郭・Bモード画像データは、Bモード画像に輪郭を示す図形(輪郭を線で描いた図形)を重ねた画像を示すデータである。
【0062】
また、情報処理装置50には、次のような処理を実行する第5アプリケーションが追加的に搭載されてもよい。アプリケーションリストにおいて、第5アプリケーションに対応付けられるデータ指定情報は、Bモード画像を指定する。
【0063】
第5アプリケーションで実行される画像処理は、被検体における共通の観測断面について、MRI画像(Magnetic Resonance Imaging)、CT画像(Computed Tomography)等の基本画像と、リアルタイム超音波画像とを並べて示す処理(フュージョン表示処理)であってもよい。情報処理部52は、予めメモリ60に記憶された基本画像を読み込む。また、情報処理部52は、外部の装置から基本画像を読み込んでもよい。フュージョン表示処理を実行するためには、例えば、超音波プローブ10に位置センサが設けられる。位置センサによって検出された超音波プローブ10の位置に基づいて、リアルタイム超音波画像が観測された断面における基本画像が、リアルタイム超音波画像に並べて表示される。
【0064】
情報処理部52は、基本画像データを示す画像とBモード画像データとを合成し、基本画像およびBモード画像を並べて示す基本・Bモード画像データを第5APP画像データとして時間経過と共に順次生成する。
【0065】
本実施形態に係る超音波診断システム100では、超音波診断装置1と情報処理装置50とが通信可能な状態に接続されたときに、制御部20が、アプリケーションGUI(Graphical User Interface)を示す画像データを生成し、表示デバイス40に表示させてもよい。アプリケーションGUIは、情報処理装置50に搭載されたアプリケーションに対するGUIとしての機能を有する。
【0066】
図4には、表示デバイス40に表示される画像の例が示されている。表示画面の左上には、スタディ・リスト82が表示され、表示画面の左下には、データ・リスト84が表示されている。スタディ・リスト82およびデータ・リスト84は、超音波診断装置1またはPACS80に記憶された診断結果を示すデータのリストである。スタディ・リスト82では、患者名に対し、患者ID、診断年月日、モダリティおよび診断対象が対応付けられている。モダリティにおける「US」は、患者名または患者IDで特定されるデータが、超音波診断装置によって得られたデータであることを示す。「MR」は、患者名または患者IDで特定されるデータが、MRI(Magnetic Resonance Imaging)によって得られたデータであることを示す。「CT」は、患者名または患者IDで特定されるデータが、CT(Computed Tomography)によって得られたデータであることを示す。
【0067】
データ・リスト84では、データ番号(No.)に対し、データタイプ1、モダリティ、およびデータタイプ2が対応付けられている。データタイプ1における「画像」は、データ番号で識別されるデータが画像データであることを意味する。「解析結果」は、データ番号で識別されるデータが、数値によって表されることを意味する。「モダリティ」における「US」は、データ番号で識別されるデータが超音波診断装置によって得られたデータであることを示す。「モダリティ」における「アプリケーション1」は、データ番号で識別されるデータが第1アプリケーション62によって得られたデータであることを示す。「モダリティ」における「アプリケーション2」は、データ番号で識別されるデータが第2アプリケーション64によって得られたデータであることを示す。データタイプ2における「DCM」は、データ番号で識別されるデータの形式がDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)の規格に従うものであることを示す。データタイプ2における「CSV」は、データ番号で識別されるデータの形式がCSV(Comma Separated Value)であることを示す。
【0068】
スタディ・リスト82については、例えば、患者名または患者IDの表示欄をカーソルでクリックすることで、その患者名または患者IDに対応するデータに基づく画像が、表示デバイス40に表示される。データ・リスト84については、例えば、データ番号の表示欄をカーソルでクリックすることで、そのデータ番号に対応するデータに基づく画像が、表示デバイス40に表示される。
【0069】
表示画面の右上には、画像86が表示されている。また、右下には、アプリケーションGUI88が表示されている。図4には、第1アプリケーション~第6アプリケーションが、情報処理装置50に搭載された例が示されている。アプリケーションGUI88には、第1アプリケーション~第6アプリケーションのそれぞれに対して、それぞれボタンApp1~ボタンApp6が設けられている。ボタンApp1~ボタンApp6のうちの1つがクリックされると、そのクリックされたボタンに対応するアプリケーションが起動される。
【0070】
このように、アプリケーションGUI88が表示されることで、情報処理装置50で実行させることが可能なアプリケーションがユーザに示される。これによって、どのようなアプリケーションが実行可能であるかをユーザが認識することが容易となると共に、アプリケーションを実行させる操作が容易になる。
【0071】
なお、上記では、図1に示されているように、超音波診断装置1に情報処理装置50が近接して配置される実施形態が示された。情報処理装置50は、超音波診断装置1から隔離された位置に配置されてもよい。例えば、情報処理装置50は、超音波診断装置1が配置された部屋とは別の部屋に配置されてもよい。情報処理装置50は、ローカルエリアネットワーク等の通信回線を介して接続されてよい。
【符号の説明】
【0072】
1 超音波診断装置、10 超音波プローブ、12 送受信部、14 信号処理部、16 信号合成部、18 画像切替部、20 制御部、22 レポート作成部、24 操作デバイス、26 データ出力部、28 診断装置インターフェース、40 表示デバイス、50 情報処理装置、52 情報処理部、54 外部インターフェース、56 解析画像出力部、58 外部操作デバイス、60 メモリ、62 第1アプリケーション、64 第2アプリケーション、66 第3アプリケーション、80 PACS、82 スタディ・リスト、84 データ・リスト、86 アプリケーションGUI、100 超音波診断システム。
図1
図2
図3
図4