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特開2023-171847バッチ校正可能なテストストリップを用いる検体測定方法と検体測定システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023171847
(43)【公開日】2023-12-05
(54)【発明の名称】バッチ校正可能なテストストリップを用いる検体測定方法と検体測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20231128BHJP
   B01J 20/285 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 30/00 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 30/90 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20231128BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20231128BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G01N27/12 B
B01J20/285 Z
G01N30/00 E
G01N30/90
G01N27/416 331
G01N27/416 311L
G01N27/416 371G
G01N27/416 311H
G01N27/416 311G
G01N33/497 A
G01N1/02 W
A61B5/08
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023164189
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022092914の分割
【原出願日】2017-07-19
(31)【優先権主張番号】62/363,971
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516370327
【氏名又は名称】バイオメトリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biometry Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ノーラン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ティ・モーガン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エル・カーナハン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体サンプル中の検体を計測する為のシステムと方法とが開示される。
【解決手段】これらのシステムと方法とは、一般に、基板と、少なくとも1つの電気接続部と、少なくとも1つの感知ケミストリーと、少なくとも1つの追加的なレイヤーとを含むテストストリップを用いる。このテストストリップは、バッチ校正されることができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、
上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバと、
テストストリップと、を備え、
該テストストリップは、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな感知ケミストリーと、を備え、
上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する、システム。
【請求項2】
第1の上記感知ケミストリーは、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
更に、上記基板上に設けられた第2の電極対と、
該第2の電極対と電気的に通じている第2の感知ケミストリーと、を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
第1の上記感知ケミストリーと、上記第2の感知ケミストリーの中の1つ以上は、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
上記検体の分子は、上記感知ケミストリーに結合し、
その結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.5未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.25未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.1未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.05未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.01未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
上記検体は、該検体への単一暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項5~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
上記検体は、該検体への複数回暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項5~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
上記検体は、該検体への365回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
上記検体は、該検体への52回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
上記検体は、該検体への12回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
化学的な上記結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合からなるグループから選択される、請求項5~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
上記感知ケミストリーは、上記電極対をブリッジするライン形状である、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
上記感知ケミストリーは、上記電極対をブリッジするコーヒーリング形状である、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
更に、上記感知ケミストリーを少なくとも1つの検体に暴露する為のウインドーを形成する層を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
上記層は、接着剤を含む、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
上記接着剤は、感圧接着剤である、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
更に、クロマトグラフィー層を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
上記層は、接着剤を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
上記接着剤は、感圧接着剤である、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
一酸化窒素、二酸化窒素、水素、メタン、アセトン、二酸化硫黄、一酸化炭素、又はオゾンの中の1つ以上を感知するようになっている、請求項1記載のシステム。
【請求項25】
更に、上記流体サンプルを上記テストストリップに移動させるように構成された、ブロワー、ファン又はポンプの中の1つ以上を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項26】
上記流体サンプルは、呼気の力を利用して、上記テストストリップに移動する、請求項1記載のシステム。
【請求項27】
更に、上記コンバージョンチャンバと流体連通している、上記テストストリップを収容する為のテストストリップチャンバを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項28】
上記テストストリップは、上記テストストリップチャンバから取り外し可能である、請求項27記載のシステム。
【請求項29】
上記コンバージョンチャンバの使用回数を追跡するようになっている、請求項27記載のシステム。
【請求項30】
更に、上記流体サンプルを上記コンバージョンチャンバの中を移動させる為のブロワー、ポンプ、ファン又は呼気の力の中の1つ以上を有する、請求項27記載のシステム。
【請求項31】
上記流体サンプルは、上記コンバージョンチャンバと上記テストストリップチャンバとの間で、再循環せしめられる、請求項27記載のシステム。
【請求項32】
更に、湿度、温度又は圧力の中の1つ以上を測定する為の少なくとも1つのセンサーを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項33】
更に、テストストリップの製造ロット又はバッチの校正に関する情報を決定するか又は受け入れるようになっているマイクロプロセッサーを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項34】
更に、上記サンプルから湿気を取り除くようになっている除湿器を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項35】
上記除湿器は、ナフィオンチューブを有する、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
上記除湿器は、乾燥剤を有する、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
上記乾燥剤は、シリカゲルを有する、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
上記除湿器は、更に、酸化剤を有する、請求項36記載のシステム。
【請求項39】
更に、そのセンサーに干渉すると判定された、上記サンプルからのガスを除去するようになっているフィルターを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項40】
上記フィルターは、ナフィオンチューブを有する、請求項39記載のシステム。
【請求項41】
上記コンバージョンチャンバは、取り外し可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項42】
上記コンバージョンチャンバは、更に、酸化剤、還元剤、電荷移動剤、付加物、又は複合体生成剤の中の1つ以上を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項43】
上記コンバージョンチャンバは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項44】
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸カリウムを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項45】
上記過マンガン酸カリウムは、基板上に懸架支持され(suspended)ている、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
上記過マンガン酸カリウムは、シリカゲル上に懸架支持されている、請求項45記載のシステム。
【請求項47】
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸ナトリウムを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項48】
上記過マンガン酸ナトリウムは、基板上に懸架支持されている、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
上記コンバージョンチャンバは、紫外線源、赤外線源、RF源又はコロナ放電源の中の1つ以上を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項50】
上記コンバージョンチャンバは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するようになっている、請求項1記載のシステム。
【請求項51】
上記感知ケミストリーは、二酸化窒素に反応するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項52】
流体のサンプルにおける検体の濃度を決定する為の方法であって、
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバと、テストストリップとを備え、該テストストリップは、ベース基板と、該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな感知ケミストリーとを備え、上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する、システム
を提供するステップと、
上記第1の電極対間の電圧と、上記第1の電極対間の抵抗と、上記第1の電極間の電流、の中の少なくとも1つを計測するステップと、を備える方法。
【請求項53】
上記流体は、ガスである、請求項52記載の方法。
【請求項54】
上記テストストリップは、製造ロットと、製造バッチと、該製造ロット又は該製造バッチ内におけるセンサー位置の中の少なくとも1つによって、校正される、請求項52記載の方法。
【請求項55】
更に、上記テストストリップに関連する校正を受け入れるステップを有する、請求項52記載の方法。
【請求項56】
上記校正は、デジタル信号、光信号又はマニュアル信号の中の1つ以上によって、受け入れられる、請求項55記載の方法。
【請求項57】
更に、上記テストストリップと電気的に通じているマイクロプロセッサーを有する、請求項52記載の方法。
【請求項58】
上記マイクロプロセッサーは、アナログの上記電圧、上記抵抗、又は上記電流を、上記校正に基づいて検体濃度に変換する、請求項57記載の方法。
【請求項59】
各々が流体のサンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定するための複数のテストストリップであって、
各テストストリップは、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じていて、経路ジオメトリーを有する電気経路を形成するアクティブな感知ケミストリーであって、検体に反応するアクティブな感知ケミストリーと、を備え、
複数のテストストリップの各々の感知ケミストリーの上記経路ジオメトリーは、該複数のテストストリップの中の第1のサブセットの校正された複数のテストストリップからの校正情報が、少なくとも0.9の相関係数をもって、上記複数のテストストリップの中の第2のサブセットの校正されていない複数のテストストリップに適用されるように、十分に均一であり、
上記校正情報は、上記複数のテストストリップの電気信号を、上記検体の測定された濃度と関連付け、そして、上記相関係数は、上記検体の実際の濃度に対する、該検体の測定された濃度の正確度の尺度となる、複数のテストストリップ。
【請求項60】
上記複数のテストストリップの中の上記第1のサブセットの校正された複数のテストストリップからの上記校正情報は、少なくとも0.95の相関係数をもって、上記複数のテストストリップの中の上記第2のサブセットの校正されていない複数のテストストリップに適用される、請求項59記載の複数のテストストリップ。
【請求項61】
上記複数のテストストリップの中の上記第1のサブセットの校正された複数のテストストリップからの上記校正情報は、少なくとも0.97の相関係数をもって、上記複数のテストストリップの中の上記第2のサブセットの校正されていない複数のテストストリップに適用される、請求項59記載の複数のテストストリップ。
【請求項62】
上記感知ケミストリーの上記経路ジオメトリーは、ラインであり、上記電極対の間の感知ケミストリーの大部分は、該ライン内に集められている、請求項59記載の複数のテストストリップ。
【請求項63】
上記感知ケミストリーの上記経路ジオメトリーは、コーヒーリングであり、上記電極対の間の感知ケミストリーの大部分は、該コーヒーリング内に集められている、請求項59記載の複数のテストストリップ。
【請求項64】
各テストストリップは、更に、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバを有する、請求項59記載の複数のテストストリップ。
【請求項65】
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな感知ケミストリーと、を有し、
上記感知ケミストリーは、上記検体に反応し、
上記感知ケミストリーは、測定に必要とされる条件下において、0.5未満の分配係数を有する検体と化学結合をなす、システム。
【請求項66】
上記化学結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合からなるグループから選択される、請求項65記載のシステム。
【請求項67】
上記感知ケミストリーは、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む、請求項65記載のシステム。
【請求項68】
結合された上記検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.25未満である、請求項65記載のシステム。
【請求項69】
結合された上記検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.1未満である、請求項68記載のシステム。
【請求項70】
結合された上記検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.05未満である、請求項69記載のシステム。
【請求項71】
上記結合された検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.01未満である、請求項70記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、「テストストリップの再生方法とテストストリップの再生システム、及びそれらと共に用いる為のサンプルのマニピュレーション」と題する2016年7月19日提出の米国仮出願第62/363,971号に基づく35 U.S.C.§119(e)の優先権を主張し、その内容は、ここに、全体的に組み込まれている。
【関連出願の参照】
【0002】
この出願は、次に挙げられた出願、すなわち、2015年12月23日に提出され、「ケアーガスのクロマトグラフィーテストストリップのミニポイント及び検体の測定方法」と題する国際特許出願第PCT/US15/00180号と、2015年6月9日に提出され、「低コストのテストストリップ及び検体の測定方法」と題する国際特許出願第PCT/US15/34869号とに関連している。当該両出願は、添付の付属書に含まれており、且つ、参照により、全体的に組み込まれている。
【技術分野】
【0003】
この発明は、ガスを測定(計測)するように構成された低コストで限定的に利用されるテストストリップと、該テストストリップにガスを搬送する(供給する、送る、delivering)為のシステムと、該テストストリップの出力(アウトプット)を読み取って制御する為の装置と、を含むガス感知システムに関する。他のアスペクト(見地、観点)において、本発明は、一般に、慢性の呼吸疾患、例えば喘息や慢性の閉塞性肺疾患、を有する患者、及び消化不良、例えば食物不耐性又は過敏性大腸症候群等、を有する患者、の為の治療の診断とモニタリング(監視)に関する。ガスの検知(検出、detection)を目的とする、他の医学的及び非医学的なアプリケーション(適用、応用)は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。例としては、水素、メタン、二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、窒素酸化物(NOx)、オゾン、アンモニア等を含むが、これらのものに限定されない。追加的な背景は、著作者によって、既に、記載されている。
【背景技術】
【0004】
当該技術において知られている、ガス及び検体の検知に役立つ、多数の異なるタイプのセンサーや技術が存在している。これらのセンサーや検知システムに関連する問題は、上記著作者による関連出願において、論じられている。それらの欠点(短所)の幾つかは、コスト、複雑さ(複雑性)、校正(較正、目盛定め、キャリブレーション)、品質制御、貯蔵寿命(保管寿命)、使い易さ等を含む。これは、網羅的なリスト(目録、列記、一覧)であることを意図していない。
【0005】
存在しているガスセンサーの欠点の1つは、校正に関するコストと複雑さである。存在しているセンサーは、バッチ製造され得るが、個々の各センサーは、校正を必要とする。これは、しばしば、複数の(多数の、multiple)検体の濃度、温度及び湿度にわたる校正曲線(キャリブレーションカーブ)の構築を必要とする。校正には、センサーによっては、何時間も何日も要することがあり、これは、有意に、そのコストを増す。センサーは、又、変動するベースライン(基準線、baseline)を補償する為に、及び/又はエージング(老化)を補償する為に、しばしば、再校正され、或いは品質制御が行われねばならず、これは、又、そのコストを増す。これに関する一例は、金属酸化物半伝導性センサー(MOS又はCMOS)である。これらのセンサーは、半導体製造施設において、単一のウエハー上で製造される。製造後、初期抵抗又はベースライン抵抗における変動性(変動度、variability)は、そのウエハーを跨いで(横切って)5倍になる(5x across the wafer)可能性があり、そして、内部加熱エレメントは、安定したベースラインに達するのに、一定の電力で、最大で24時間必要になるかも知れない。対象の検体(対象となる検体、興味のある検体)に対する非線形レスポンス(非線形応答)と結び付けられる上記変動性は、抵抗の変化を正確に計算して、その変化を検体の濃度と相互に関連付ける為に、各センサーが個々に校正されることを要する。製造(生産)をバッチ式で行うと共に、ガスセンサーの校正をバッチ式で行う能力は、既存技術に対する有意な改良となる。何故なら、それは、製造と校正に関連するコストを低減し、センサーが使用後に処分されることを可能にするからである。
【0006】
これらの問題に対処する為、単一使用で使い捨てのセンサーと、再使用可能な測定システムとは、上に組み込まれているPCT特許出願の出願人により、既に、記載されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つのアスペクトは、低コストのテストストリップと、呼気サンプルにおける検体の測定方法とに関する。
【0008】
本発明の他のアスペクトにおいて、流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムが開示される。このシステムは、著作者によって、既に、記載されているような、テストストリップと、使用者からの流体サンプルを受け入れるように構成された計器(計量器、メーター、meter)とを有する。幾つかの実施形態において、該計器は、対象の検体を、測定されるべき他の検体に変換する為のチャンバを有する。幾つかの実施形態において、上記計器は、その対象の検体の物理的状態及び/又は化学的状態を変更する為のチャンバを有する。一実施形態において、該チャンバは、一酸化窒素を、上記テストストリップによって計測されるべき二酸化窒素に変換する。本発明の一実施形態において、コンバージョンチャンバ(変換チャンバ)は、使い捨てである。他の実施形態において、コンバージョンチャンバは、取り外し可能なカートリッジとして構成される。他の実施形態において、コンバージョンチャンバは、制限された寿命を有する。本発明の他の実施形態において、コンバージョンチャンバは、取り外し可能であり、使用者によって、任意に、置換されることができる。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記計器は、呼気(呼息された息)の流路の少なくとも1部分を逸らせる(迂回させる)為のバルブを有する。他の実施形態において、その計器は、分析の為に、呼気の少なくとも1部分をトラップ(捕捉)する為のバルブを有する。他の実施形態において、その計器は、その使用者の呼息流量を計測する為の、圧力センサー又は流量センサーを有する。
【0010】
幾つかの実施形態において、上記計器は、上記テストストリップを収容する為の他のチャンバを有する。幾つかの実施形態において、上記計器は、測定前に、検体サンプルをバッファ(buffer)する為の他のチャンバを有する。幾つかの実施形態において、ポンプは、そのサンプルを、そのバッファチャンバと、センサーチャンバとの間で、移動させる。他の実施形態において、そのサンプルは、ポンプによって、再循環せしめられる。ファン又はブロワーは、ポンプの適切な代替物であり得る。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記計器は、上記テストストリップを、綺麗にする(汚れを取る、clean)ように、再設定(re-set)するように、再ベースライン化(re-baseline)するように、又は再校正(re-calibrate)するように、デザイン(設計、構成)される。一実施形態において、上記テストストリップを有する上記チャンバは、又、エネルギー源を備える。幾つかの実施形態において、このエネルギー源は、UV(紫外線)、RF(高周波/無線周波)又はIR(赤外線)(非網羅的なリスト)である。幾つかの実施形態において、上記チャンバは、上記テストストリップに対する上記検体の結着性(binding properties)を変化させる為の、そのテストストリップを綺麗にする為の、そのテストストリップを再設定する為の、そのテストストリップを再ベースライン化する為の、又は、そのテストストリップを再校正する為の、磁界(磁場)を含む。他の実施形態において、上記計器は、上記テストストリップを、綺麗にし、再設定し、再ベースライン化し、又は再校正する為の、付加的な電流又は電圧を供給する。幾つかの実施形態において、適用されるエネルギーは、感知前に、化学種(chemical species)を取り除くように、デザインされる。幾つかの実施形態において、これは、貯蔵寿命を延ばす為に、又は、校正目的で、なされる。他の実施形態において、これは、分析(解析)中に、複数のポイントでなされる。一実施形態において、これは、そのサンプルの少なくとも1部分がテストストリップに搬送されている間に、なされる。
【0012】
他の実施形態において、上記エネルギー源は、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するように、デザインされる。更に、他の実施形態において、上記磁界は、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の電子的状態、物理的状態、又は化学的状態を変更するように、デザインされる。
【0013】
他の実施形態において、バルブ、計器、チャンバ、及び流量測定器の組み合わせは、上記テストストリップへのサンプルの搬送を制御することによって、対象の検体を正確に測定(計測)する為に用いられる。
【0014】
他の実施形態において、上記チャンバは、測定されるべき上記サンプル用のインレット(入口)とアウトレット(出口)の両方を有する。他の実施形態において、上記チャンバは、インレットのみを有する。他の実施形態において、上記チャンバは、上記サンプル用の少なくとも1つのインレットを有する。
【0015】
他の実施形態において、上記計器は、この装置から、湿気及び/又は少なくとも1つの干渉物質を除去する。例としては、ナフィオンチューブ、乾燥剤、エネルギー源、酸化性物質又は還元性物質(oxidizing or reducing materials)等を含むが、これらのものに限定されない。
【0016】
1つのアスペクトにおいて、本発明は、流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムに関する。幾つかの実施形態において、このシステムは、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているチャンバと、テストストリップと、を有し、該テストストリップは、ベース基板と、該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じている(つまり、電気的につながっている)アクティブな(活性の)感知ケミストリーと、を有する。上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する。他の実施形態において、上記システムは、上記基板上に設けられた第2の電極対と、該第2の電極対と電気的に通じている第2の感知ケミストリーと、を有する。他の実施形態において、第1の上記感知ケミストリー、又は上記第2の感知ケミストリーは、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル(heterocyclic macrocycles)、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含み得る。
【0017】
他の実施形態において、上記検体の分子は、上記感知ケミストリーに結合し、 その結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.5未満である。他の実施形態において、非結合(非結合性)の検体(unbound analyte)に変化する上記結合された検体(bound analyte)の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.25未満である。他の実施形態において、上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.1未満である。他の実施形態において、上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.05未満である。他の実施形態において、上記結合された検体の分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.01未満である。
【0018】
幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体への単一暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体への複数回暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体への365回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体への52回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体への12回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、化学的な上記結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合からなるグループから選択される。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む。
【0019】
幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、上記電極対をブリッジ(橋渡し)するライン形状(列形状、a line shape)である。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、上記電極対をブリッジするコーヒーリング形状(a coffee ring shape)である。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記システムは、上記感知ケミストリーを少なくとも1つの検体に暴露する為のウインドーを形成(画定)する層を有する。幾つかの実施形態において、その層は、接着剤(粘着剤、adhesive)を含む。幾つかの実施形態において、その接着剤は、感圧接着剤である。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記システムは、一酸化窒素、二酸化窒素、水素、メタン、アセトン、二酸化硫黄、一酸化炭素、又はオゾンの中の1つ以上を感知するようになっている。
【0022】
幾つかの実施形態において、上記システムは、上記流体サンプルを上記テストストリップに移動するように構成された、ブロワー、ファン又はポンプの中の1つ以上を有する。幾つかの実施形態において、上記流体サンプルは、呼気の力を利用して、上記テストストリップに移動する。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記システムは、上記コンバージョンチャンバと流体連通している、上記テストストリップを収容する為のテストストリップチャンバを有する。幾つかの実施形態において、上記テストストリップは、このテストストリップチャンバから取り外し可能である。幾つかの実施形態において、上記システムは、上記コンバージョンチャンバの使用回数を追跡するようになっている。幾つかの実施形態において、ブロワー、ポンプ、ファン又は呼気の力の中の1つ以上が、上記流体サンプルを、上記コンバージョンチャンバを通過させる。幾つかの実施形態において、上記流体サンプルは、上記コンバージョンチャンバと、上記テストストリップチャンバとの間で、再循環せしめられる。幾つかの実施形態において、上記システムは、湿度、温度又は圧力の中の1つ以上を測定する為の少なくとも1つのセンサーを有する。
【0024】
幾つかの実施形態において、上記システムは、テストストリップの製造ロット又はバッチの校正に関する情報を決定するか又は受け入れるようになっているマイクロプロセッサーを有する。
【0025】
幾つかの実施形態において、上記システムは、上記サンプルから湿気を取り除くようになっている除湿器を有する。幾つかの実施形態において、その除湿器は、ナフィオンチューブを有する。幾つかの実施形態において、その除湿器は、乾燥剤を有する。幾つかの実施形態において、その乾燥剤は、シリカゲルを有する。幾つかの実施形態において、その乾燥剤は、酸化剤を含む。
【0026】
幾つかの実施形態において、上記システムは、上記センサーに干渉すると判定された(決定された、determined)、上記サンプルからのガスを除去するようになっているフィルターを有する。幾つかの実施形態において、該フィルターは、ナフィオンチューブを有する。
【0027】
幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、取り外し可能である。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、酸化剤、還元剤、電荷移動剤、付加物(adduct)、又は複合体生成剤の中の1つ以上を有する。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するように構成される。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸カリウムを有する。幾つかの実施形態において、上記過マンガン酸カリウムは、基板上に懸架支持(サスペンド)(suspended)されている。幾つかの実施形態において、上記過マンガン酸カリウムは、シリカゲル上に懸架支持(suspended)されている。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸ナトリウムを有する。幾つかの実施形態において、上記過マンガン酸ナトリウムは、基板上に懸架支持されている。
【0028】
幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、紫外線源、赤外線源、RF波源又はコロナ放電源の中の1つ以上を有する。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するようになっている。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、二酸化窒素に反応するように構成されている。
【0029】
他のアスペクトにおいて、本発明は、流体のサンプルにおける検体の濃度を測定する為の方法を含む。この方法は、
流体のサンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムを提供するステップにして、
上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変化させる為のコンバージョンチャンバと、
テストストリップと、を有し、
該テストストリップは、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな感知ケミストリーと、を有し、
上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する、システムを提供するステップと、
上記第1の電極対を横切る電圧と、第1の電極対を横切る抵抗と、第1の電極対を横切る電流、の中の少なくとも1つを計測するステップと、を有する。幾つかの実施形態において、上記流体は、ガスである。幾つかの実施形態において、上記テストストリップは、製造ロットと、製造バッチと、該製造ロット又は該製造バッチ内におけるセンサー位置との中の少なくとも1つによって、校正される。幾つかの実施形態は、上記テストストリップに関連する校正を受け入れる(accepting)更なるステップを有する。幾つかの実施形態において、その校正は、デジタル信号、光信号又はマニュアル信号(manual signal)の中の1つ以上によって、受け入れられる。幾つかの実施形態において、上記システムは、上記テストストリップと電気的に通じている(電気的につながっている)マイクロプロセッサーを有する。幾つかの実施形態において、そのマイクロプロセッサーは、アナログの電圧、抵抗又は電流を、その校正に基づいて、検体濃度に変換する。
【0030】
他のアスペクトにおいて、本発明は、流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムを含む。このシステムは、複数のテストストリップであって、各テストストリップは、ベース基板と、該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな(活性の)感知ケミストリーとを備えた、複数のテストストリップを有する。上記感知ケミストリーは、上記検体に反応する。ここにおいて、上記感知ケミストリーは、上記複数のテストストリップのうちのサブセットからの校正情報が上記複数のテストストリップのために用いられるのを許容するのに十分に均一(均質)である。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、上記電極対上にラインになって(一列になって、in a line)設けられており、その電極対間の感知ケミストリーの大部分は、該ライン内に集められている(集中している、concentrated)。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、上記電極対上にコーヒーリングをなして(in a coffee ring)設けられており、その電極対間にある感知ケミストリーの大部分は、該コーヒーリング内に集められている(集中している、concentrated)。
【0031】
他のアスペクトにおいて、本発明は、流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムを含む。このシステムは、ベース基板と、 該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じているアクティブな感知ケミストリーと、を有する。上記感知ケミストリーは、上記検体に反応する。ここにおいて、上記感知ケミストリーは、測定に必要とされる条件下において、0.5未満の分配係数を有する上記検体と化学結合をなす。幾つかの実施形態において、その化学結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合のグループから選択される。幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、カルボキシル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む。幾つかの実施形態において、結合された上記検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.25未満である。幾つかの実施形態において、上記結合された検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.1未満である。幾つかの実施形態において、上記結合された検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.05未満である。幾つかの実施形態において、上記結合された検体の上記分配係数は、測定に必要とされる条件下において、0.01未満である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図において、
【0033】
図1A】該図は、リアクション/コンバージョンチャンバと、テストストリップ用チャンバと、バルブと、流量測定装置(流量計測装置)とを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0034】
図1B】該図は、検体を測定するべく、リアクション/コンバージョンチャンバと、テストストリップチャンバと、ポンプ/ファン/ブロワー(送風機)とを有する1つのシステムの為の、選択的な複数の形態と、イベントのシーケンス(順序、順番、手順)と、を示している。
【0035】
図2】該図は、チャンバと、バルブと、流量測定装置とを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0036】
図3】該図は、異なる形態における、チャンバと、バルブと、流量計とを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0037】
図4】該図は、リアクションチャンバと、バッファチャンバと、テストストリップ用チャンバと、バルブと、流量測定装置とを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0038】
図5】該図は、リアクションチャンバと、テストストリップ用チャンバと、ポンプと、バルブと、流量測定装置とを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0039】
図6A】該図は、2つのサンプル流路(試料流路、標本流路)を有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
図6B】該図は、2つのサンプル流路を有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0040】
図7】該図は、2つのサンプル流路を有する、本発明の一実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0041】
図8】該図は、検体サーキュレーター及び/又はアジテーターを含むテストストリップチャンバを有する、本発明の一実施形態に従う、1つのリアクションチャンバの1つの実例を示している。
【0042】
図9】該図は、エネルギー源(エネルギーソース)又は磁界を含むテストストリップチャンバを有する、本発明の実施形態に従う、1つのシステムの1つの実例を示している。
【0043】
図10】該図は、本発明の実施形態に従う、1つのリアクションチャンバ/カートリッジの1つの実例を示している。
【0044】
図11】該図は、本発明の実施形態に従う、使い捨てのリアクションチャンバ/カートリッジの複数の形態の実例を示している。
【0045】
図12】該図は、本発明の実施形態に従う、使い捨てのリアクションチャンバ/カートリッジの複数の形態の実例を示している。
【0046】
図13】該図は、取り外し可能なテストストリップ及び/又は使い捨て可能なテストストリップと、リアクションチャンバ/カートリッジとを有する、本発明の一実施形態に従う、コンパクトな形態の1つのシステムの1つの実例を示している。
【0047】
図14A】該図は、取り外し可能なテストストリップと、リアクションチャンバ/カートリッジとを有する、本発明の実施形態に従う、1つの装置の1つの実例を示している。
図14B】該図は、取り外し可能なテストストリップと、リアクションチャンバ/カートリッジとを有する、本発明の実施形態に従う、上記1つの装置の1つの実例を示している。
【0048】
図15A】該図は、取り外し可能なテストストリップを有する共に、マウス・ピースを備えたリアクションチャンバ/カートリッジの形態を有する、本発明の一実施形態に従う、1つの装置の1つの実例を示している。
図15B】該図は、取り外し可能なテストストリップを有する共に、マウス・ピースを備えたリアクションチャンバ/カートリッジの形態を有する、本発明の一実施形態に従う、上記1つの装置の1つの実例を示している。
【0049】
図16】該図は、テストストリップのケミストリーと層のためのコーティング技術(被覆技術)、及び感知ケミストリーの添加剤、の非網羅的なリストを示している。
【0050】
図17A】該図は、テストストリップと感知ケミストリーと層の形態を示している。
図17B】該図は、テストストリップと感知ケミストリーと層の形態を示している。
図17C】該図は、テストストリップと感知ケミストリーと層の形態を示している。
図17D】該図は、テストストリップと感知ケミストリーと層の形態を示している。
【0051】
図18A】該図は、ラインになって、1つの電極対と電気的につながっているように構成されている、感知ケミストリーの例を示している。
図18B】該図は、ラインになって、1つの電極対と電気的につながっているように構成されている、感知ケミストリーの例を示している。
図18C】該図は、ラインになって、1つの電極対と電気的につながっているように構成されている、感知ケミストリーの例を示している。
【0052】
図19】該図は、ラインになって、1つの電極対と電気的につながっているように構成されている、感知ケミストリーの一例を示している。
【0053】
図20A】該図は、コーヒーリング形態の感知ケミストリーの輪郭を明瞭に示している。
図20B】該図は、上記コーヒーリング形態の感知ケミストリーの輪郭を明瞭に示している。
【0054】
図21A】該図は、感知前のテストストリップ上で製造された感知ケミストリーの初期信号又はベースライン信号の均一性を説明している。
【0055】
図21B】該図は、同じ製造ロット内における2バッチのセンサー(2回分のセンサー、two batches of sensors)のアナログテストストリップ信号の均一性と直線性とを説明している。
【0056】
図22A】該図は、1つの製造ロット内における1バッチのセンサー(1回分のセンサー、a batch of sensors)から得られた校正曲線の一例を説明している。
【0057】
図22B】該図は、1バッチのセンサーの測定されたレスポンス(応答)の一例であって、アナログ信号が、同じ製造ロット内における1つの異なるバッチのセンサー(a different batch of sensors)から得られた校正方程式(a calibration equation)を用いて、濃度に変換される例を示している。
【0058】
図23】該図は、単一の基板上で製造された複数のテストストリップを表している。
【0059】
図24】該図は、複数のセンサーを含む上記基板に対する、少なくとも1つの層の付加を表している。
【0060】
図25】該図は、幾つかの実施形態の質問表を表している。
【0061】
図26】該図は、複数の患者からの似通ったデータを結合(連合)し、分析の為にそのデータをクラウドに送り、そして、例えば、支払者、プロバイダー、患者、及びインダストリー(業界)つまり薬品会社や医療器具会社、等の複数のパーティー(関係者)に対する意味情報を生成する、一例を示している。
【0062】
図27】該図は、一人の患者から、種々の形態で、又、種々の場所(位置)で、データを集める、幾つかの実施形態のモバイルアプリケーション(携帯アプリ)を表している。そのデータは、格納と分析を目的として、クラウドに送られる。
【0063】
図28】該図は、医療専門家が患者から集められたデータをモニタリング(監視)する、幾つかの実施形態を表している。
【0064】
図29】該図は、患者、医療専門家、及び/又は健康状態における変化の傾向に関して世話をする人(介護者)に、先を見越して、警報を出す、幾つかの実施形態のソフトウェア・モニタリング・システムを表している。
【0065】
図30】該図は、単一の感知ケミストリーを含むクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの一例である。
【0066】
図31】該図は、2つの感知ケミストリーと付加的な構造層とを含む、クロマトグラフィー層を備えたテストストリップの一例である。
【0067】
図32】該図は、センサーと一体化されていないクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの一例である。
【0068】
図33A】該図は、上記クロマトグラフィー層上のテストストリップに達する混合ガスサンプルであって、センサーに向けて、上記クロマトグラフィー層を通過し始めている混合ガスサンプルの一例である。
【0069】
図33B】該図は、上記サンプルに関する、図33Aからの続きである。
【0070】
図34】該図は、7つのガス混合物と、クロマトグラフィー分離層内を拡散するガスの百分率(パーセンテージ)対時間と、に関する詳細説明を示している。
【0071】
図35A】該図は、クロマトグラフィー層を使用するテストストリップ上における、単一の呼吸プロフィール(呼吸特性)対時間を説明している。
【0072】
図35B】該図は、1つの信号が単一の呼吸プロフィールから標本抽出され得るところにおける、複数の時間ポイント(points in time)を示している。
【0073】
図36】該図は、厚さが200μmのクロマトグラフィー層のガスの分離であって、該層の下にあるガスの濃度対時間として表現されているガスの分離、を説明している。
【0074】
図37】該図は、厚さが100μmのクロマトグラフィー層のガスの分離であって、該層の下にあるガスの濃度対時間として表現されているガスの分離、を説明している。
【0075】
図38】該図は、厚さが50μmのクロマトグラフィー層のガスの分離であって、該層の下にあるガスの濃度対時間として表現されているガスの分離、を説明している。
【0076】
図39】該図は、厚さが20μmのクロマトグラフィー層のガスの分離であって、該層の下にあるガスの濃度対時間として表現されているガスの分離、を説明している。
【0077】
図40】該図は、上記テストストリップからの複数のガス信号を説明している。
【0078】
図41】該図は、上記テストストリップからの複数のガス信号を説明している。
【0079】
図42】該図は、人の呼気(呼吸、breath)に応答する、上記テストストリップからの複数のガス信号を説明している。
図43】該図は、人の呼気に応答する、上記テストストリップからの複数のガス信号を説明している。
図44】該図は、人の呼気に応答する、上記テストストリップからの複数のガス信号を説明している。
【発明を実施する為の形態】
【0080】
図1Aは、ガス状サンプル(ガス状試料、ガス状標本)における検体を測定する為の、一実施形態100の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、患者101は、計器112に接続されているマウスピース102を通して、吸息する。このマウスピースは、ワンウェイバルブ104と、スクラバー(ガス除去装置)103とに流体連通している。ワンウェイバルブ104は、ガスが、外部環境から、患者の方向にのみ通過することを許容する。スクラバー103は、患者の肺の中に流入する周囲の空気から、特定のガスを取り除く。一実施形態において、このスクラバーは、周囲の空気から、NOとNOとを取り除くように構成される。適切な除去材料は、活性炭である。しかし、所望される検体の除去に応じて、多数の材料(物質)が可能である。他の例は、過マンガン酸カリウム、又はシリカ上の過マンガン酸カリウムである。更なる他の例は、活性アルミナである。その患者は、次いで、上記マウスピース102を通して、この計器の流体経路105内に、呼息する。この流体経路は、又、そのサンプルの流れから湿気を取り除く為の又は特定の化学種を除去する為の構造を有し得る。適切な例は、活性炭、活性アルミナ、過マンガン酸カリウム、乾燥剤、ナフィオン、又はナフィオンチュービング(nafion tubing)等を含む。これは、網羅的なリストであることを意図していない。以下に、より詳しく記載される、(ここでは、コンバージョンチャンバとも称される)リアクションチャンバ(反応チャンバ)106が、上記マウスピースと流体接続している。図示されていないものの、ワンウェイバルブが、上記マウスピース102から上記リアクションチャンバ106に向かう流体経路内に含まれており、これにより、流れがリアクションチャンバのみに向かうことが許容される。流量測定装置(例えば、流量計、圧力センサー、ベンチャーチューブ(venture tube)、流管、ピート管等)107が、上記計器の流体経路105内に設けられている。この流量測定装置107は、又、その主たる流体経路からのサイドストリーム(副流、側流)にあっても良い。この流量測定装置107は、上記コンバージョンチャンバ106に対して、基端側、又は末端側、に位置することができる。上記の如く、この流量測定装置は、圧力、及び/又はオリフィス或いは流量計を横切る差圧、を測定することができる。これは、網羅的なリストであることを意図していない。上記リアクションチャンバと、テストストリップチャンバ109とに流体接続しているバルブ108は、そのサンプルの少なくとも一部分をその装置から逸らせる(例えば、テストストリップ110をバイパスつまり迂回する)ことを許容するか、又は、そのサンプルの少なくとも一部分が他のバルブ111に関連して用いられることを許容することで、その検体サンプルが上記テストストリップチャンバ109でトラップされるようにする。多くのタイプのバルブが、本発明の精神から逸脱することなく可能である。バルブのタイプと、それらの機能とは、当該技術において知られている。一実施形態において、バルブ108と111は、コントローラーによって調節されるソレノイドバルブである。他の実施形態において、バルブ108が大気に対して開放されている間、呼息されたサンプルの第1の部分は、このバルブ108を通過する。幾つかの実施形態において、上記サンプルがバルブ108を通って通気される(排出される、vented)時間(期間、duration)は、0秒と10秒の間である。一実施形態において、その時間は、7秒以下である。所定時間が経過した後、バルブ108は、コントローラーによって閉じられ、そのサンプルは、上記テストストリップチャンバ109の方向に進む。バルブ111は、大気に対して、開き始めるか、閉じ始めることができる。一実施形態において、バルブ108がそのガスの流れを上記チャンバ109に向け始める時、上記コントローラーは、バルブ111を大気に対して開放する。呼息の開始から所定時間が経過した後、そのコントローラーは、両方のバルブ108と111を閉じて、上記テストストリップ110を有する上記チャンバ109内に、ガスサンプルをトラップする。幾つかの実施形態において、上記システムは、所定時間、上記トラップされたガスを上記テストストリップの上で循環させるように、構成され得る。この実施形態において、そのトラップされたガスは、当該技術で知られているあらゆる方法、例えば、ファン、ポンプ、又はブロワー、を用いて、循環され得る。一実施形態において、上記システムは、10秒の呼息の中の最後の3秒の少なくとも一部分をトラップするように、構成される。更に、他の実施形態において、バルブ108は、一定の設定圧の下で開き、これは、バルブ111が閉じている時に、そのサンプルを放出する(vent)ように働く。この実施形態において、上記コントローラーは、バルブ111を調節して開き、サンプルが上記テストストリップチャンバを通過するようにする。これにより、バルブ108は、閉じられる。幾つかの実施形態において、上記計器を通しての吸息は、必ずしも必要ではなく、患者は、上記計器を通して、呼息のみを行い得る。これらの実施形態において、103と104は、任意である。幾つかの実施形態において、上記テストストリップチャンバは、テストストリップを、完全には包囲しない(取り囲まない)。この実施形態においては、テストストリップチャンバにより、テストストリップと計器との間の電気通信(電気的連絡)が確保される。他の実施形態において、上記テストストリップチャンバにより、流体サンプルが上記テストストリップ上の感知ケミストリーの正確な位置に向けられることが、保証される。
【0081】
図1Bは、ポンプ又はブロワー又はファン、コンバージョンチャンバ、及びセンサー又はセンサーチャンバ間における、流路及びイベントのシーケンスに関する選択的な形態を示している。上記計器における、これらのエレメントの位置は、上記流体サンプル115に沿ったものであるか、又は主たる流体サンプルの経路からのサイドストリーム114に沿ったものであり得る。流体サンプル113は、第1エレメント116に入り、次いで、順次、117と118を通過する。116,117と118は、種々の形態における、ポンプ/ファン/ブロワー、又はコンバージョンチャンバ、又はセンサー/センサーチャンバから構成され得る。任意に、これらのエレメントの1つ以上が、省かれても良い。幾つかの実施形態において、流体サンプルは、上記エレメントの少なくとも2つの間で、再循環せしめられる。幾つかの実施形態において、流量計及び/又は任意の数のバルブが、上記エレメントに対して、基端側及び/又は末端側に配置され、及び/又は、流量計及び/又は任意の数のバルブが、上記エレメント116,117,118の間に、配置される。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバは、そのサンプルから、湿気のみを取り除き得る。上記コンバージョンチャンバは、酸化剤、還元剤(a reducing)、電荷輸送剤、付加物(adduct)、又は複合体生成剤(a complexation agent)の中の1つ以上を含み得る。これらの物質の例は、次のものを含む。
酸化剤
・過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム)
・過塩素酸塩(例えば、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸)
・過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化マグネシウム)
・硝酸塩(例えば、硝酸鉄、硝酸ナトリウム、硝酸)
・オゾンガス
・ペルオキシ酸(Peroxy acids)(例えば、ペルオキシ二硫酸)
・次亜塩素酸塩(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)
(還元剤)
・金属水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム)
・水素ガス
・鉄(II)化合物(例えば、FeCl2
・シュウ酸
・アスコルビン酸
電荷輸送剤
・酸(例えば、クエン酸、塩酸)
・塩基(例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア)
・イオン交換樹脂
付加物
・ルイス酸(例えば、ボラン)
・ルイス塩基(例えば、テトラヒドロフラン、アンモニア)
複合体生成剤
・エチレンジアミン四酢酸
・複素環マクロサイクル
・有機金属化合物
【0082】
一実施形態において、上記装置は、一酸化窒素と二酸化窒素の環境濃度を測定するように構成される。好ましい実施形態において、一酸化窒素源は、人間の息である(つまり、部分的呼気中一酸化窒素FeNO試験(a fractional exhaled nitric oxide FeNO test))。この実施形態において、テストストリップは、二酸化窒素に対して敏感であり、コンバージョンカートリッジは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するように構成されている。第2のコンバージョンカートリッジが提供されて、環境の(周囲の)二酸化窒素のレベル(濃度、度合い)が記録され得る。この実施形態において、そのコンバージョンカートリッジは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化しない。このカートリッジは、空のチャンバとして構成され得る(つまり、その検体の化学的な改変(変更、変化)は生じない)。この実施形態の変形形態において、コンバージョンカートリッジは、乾燥剤を含む。他の変形形態において、コンバージョンカートリッジは、サンプルの化学的状態を変更し得るが、しかし、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化しない。これが適切であろうところのアプリケーションは、喘息やCOPDにおける悪化のリスクの指標である呼息中の一酸化窒素を測定するのと同一の装置での、室内又は室外の環境汚染レベルの測定である。該室内又は室外の環境汚染レベルは、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を有する患者において、呼吸症状を引き起こして悪化させることが知られている。
【0083】
図2は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態200の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、ダイバージョンバルブ(迂回路バルブ)201が、リアクションチャンバ202と、流量測定装置203との間に設けられている。全てが、計器204の呼気流体流路と流体連通している。第2バルブ205が、上記リアクションチャンバ202の下流側に、且つ、テストストリップ207及びテストストリップチャンバ206の上流側に、設けられている。他のバルブ208が、上記テストストリップチャンバ206の下流側にあり、該他のバルブ208は、上記検体、若しくは上記検体の一部、を上記テストストリップチャンバ206内にトラップする為に用いられ得る。多くの組み合わせが、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。図1Aに関連して記載された実施形態のように、上記バルブは、コントローラーにより、開閉の調節が行われることができ、或いは、幾つかのバルブは、或る設定圧力の下で開き、そして、その圧力が閾値よりも低下した時に、閉じることができる。このようにして、バルブ205と208は、サンプルを上記テストストリップチャンバ206内にトラップする。
【0084】
図3は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態300の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、流量測定装置301は、リアクションチャンバ302の上流側にある。流量の測定値は、種々のタイプの圧力センサー又は流量計によって、計算又は測定され得る。例としては、環流計、熱流量計、音波流速計、ドップラ流量計、熱線式流量計、差圧センサー、質量流量計、及び、圧力センサーを含み(但し、これらに限定されない。)、これらの全てのものは、当該技術に熟練した人達に知られている。リアクションチャンバの多数の異なる形態、及び該リアクションチャンバの数(numbers)は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。上記流量は、本発明の精神から逸脱することなく、任意の数の箇所(位置)において、計測可能である。一実施形態において、上記システムは、患者が、50mL/秒±10%の流量で呼息するように、構成される。
【0085】
図4は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態400の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、流量測定装置402は、バッファチャンバ401から標本が抽出される(サンプルが取られる)。幾つかの例において、このバッファチャンバ401は、入ってくるサンプルの少なくとも一部のためのアキュムレーター(滞留装置、蓄圧装置、accumulator)である。このバッファチャンバ401は、静的チャンバ(static chamber)であるか、若しくは、拡張可能(なチャンバ)であることができ、該チャンバは、組み入れられている出願に記載されている如きものである。このバッファチャンバからのサンプリング(標本抽出、見本抽出)は、サンプルの少なくとも一部分を圧力センサー又は流量計に逸らす(方向転換させる)ことにより、生じ得る。このバッファチャンバは、それが不活性(inert)である点で、リアクションチャンバ403とは異なる。このバッファチャンバは、リアクションチャンバに対して、上流側又は下流側に設けられることができる。幾つかの実施形態において、上記コンバージョンチャンバを、バッファチャンバとしても機能させることが適切かも知れない。
【0086】
図5は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態500の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、ポンプ又はブロワー503は、テストストリップチャンバ504と、少なくとも1つの他のチャンバ503とに、流体連通している。そのポンプは、1つのチャンバ501から他のチャンバ504へのサンプルの流れを制御する為に用いられ得る。チャンバ501は、バッファチャンバ又はリアクションチャンバであることができる。他の実施形態において、(不図示の)第2のチャンバが、上記チャンバ501の上流側又は下流側に設けられるが、該第2のチャンバは、これらの2つのチャンバが、流体連通するところの少なくとも1つのバッファチャンバと1つのリアクションチャンバとを含むように、上記チャンバ501の上流側又は下流側に設けられる。幾つかの実施形態において、(不図示の)コントローラーは、上記ポンプ503を制御し、設定流量のサンプルガスが、チャンバ501からチャンバ504に供給される。
【0087】
図6Aは、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態600の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、計器601の流体流路は、2つ以上のストリーム(流れ)に分かれている。一実施形態において、呼息されたストリームは、二股602に分かれ、1つのストリーム603は、テストストリップ606を有する第1テストストリップチャンバ605と流体連通しているリアクションチャンバ604を通過し、又、第2のストリーム607は、第2のテストストリップ609を有する第2テストストリップチャンバ608と流体連通している。一実施形態において、その2つのガスストリームは、分離した経路610と611で、この計器を出て行く。一実施形態において、2つのテストストリップ上に存在する感知ケミストリーは、同一のものである。他の実施形態において、2つのテストストリップ上に存在する感知ケミストリーは、互いに異なる。幾つかの実施形態において、上記第2のストリーム607の目的は、上記テストストリップ606が、変換された検体に暴露されるように、且つ、上記第2のテストストリップ609が、変換された検体を有していない同一のサンプルに暴露されるように、信号分析の為の基準を提供することである。一実施形態において、上記システムは、その流れを上記2つのストリームの間で均一に配分するように、構成される。一実施形態において、(不図示の)バッファチャンバと、1つのポンプ又は(不図示の)複数のポンプとは、上記2つのチャンバを通過する流れを制御する為に用いられる。あるいは、圧電気タイプ又はファンタイプ又は他のタイプのブロワーが、ポンプの変わりに用いられ得る。
【0088】
図6Bは、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態612の検体測定用システムの使用法を示している。該使用法は、図6Aに示した使用法600に類似しているが、二股に分かれたストリーム613の各支流が、分離したリアクションチャンバ(チャンバ614と615の各々)を通過する点で異なっている。幾つかの実施形態において、それらのリアクションチャンバは、同一の材料(物質、materials)を有している。他の実施形態において、それらのリアクションチャンバは、異なる材料(物質)を有している。一実施形態において、一方のチャンバ614は、酸化剤を有しており、チャンバ615は、有していない。一例において、リアクションチャンバ614には、シリカ上にKMnO4を充填することができ、リアクションチャンバ615には、シリカを充填することができる。幾つかの実施形態において、これら2つのストリームへの流れは、図6Aに関連して記載した例で説明したように、制御される。幾つかの実施形態において、ガス状サンプルは、異なる材料(物質)を含むか含まないn個のリアクションチャンバを通過させる為に、n個の流路に分割されることができる。この実施形態において、分割された流路は、n個のサンプルチャンバに流動することができ、或いは、再結合されることができ、或いは、更に、任意の数のサンプルチャンバに分割されることができる。この実施形態において、それらのサンプルチャンバは、同一タイプのテストストリップを含んでいても良く、或いは、異なるタイプのテストストリップを含んでいても良く、或いは、それらのあらゆる組み合わせを含んでいても良い。二重流路装置の一例は、乳糖不耐症アセスメント(乳糖不耐症診断)を目的とする、水素とメタンの両方を測定する装置であろう。
【0089】
図7は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態700の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、その計器の流体流路701は、2つ以上のストリームに分割されている。一実施形態において、呼息されたストリームは、二股702に分かれ、1つのストリーム703は、リアクションチャンバ704を通過する。該リアクションチャンバ704は、第1テストストリップチャンバ705と流体連通しており、該第1テストストリップチャンバ705により、そのストリーム703のサンプルは、テストストリップ708上の第1感知ケミストリー707に暴露される。第2の呼息されたストリームは、第2テストストリップチャンバ709と流体連通しており、該第2テストストリップチャンバ709により、ストリーム706のサンプルは、同じテストストリップ708上の第2感知ケミストリー710に暴露される。幾つかの実施形態において、それらの感知ケミストリーは、同一である。他の実施形態において、それらの感知ケミストリーは、相違する。幾つかの実施形態において、そのサンプルは、再結合711され、そして、その計器から流出する。幾つかの実施形態において、そのガス状サンプルは、異なる材料(物質)を含むか含まないn個のリアクションチャンバを通過させる為に、n個の流路に分割されることができる。上記の如く複数のリアクションチャンバを通過する流体サンプルの例は、本発明の精神を逸脱することなく、可能である。何れか一方又は両方のストリームへの流れを制御する為の技術は、単一のストリームの実施形態、又は2つのストリームの実施形態を目的として、ここに記載されている全てのものを含む。
【0090】
図8は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態800の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、テストストリップ802を含むチャンバ801は、コンピューター制御された電動装置を有しており、これにより、ガスサンプル803を循環させ、再循環させ、攪乱し、かき混ぜ、又は刺激するか、或いは別な方法でエネルギー状態又は磁気状態を変更するようにしている。多数の例が、本発明の精神を逸脱することなく、可能である。例としては、ファン、紫外線(UV)エネルギー源、高周波(RF)エネルギー源、磁気源、ヒーター、クーラー、ポンプ、オーガー(auger)、泡立て器(whisk)、ブレード(刃)、ブロワー、圧電気タイプのファン又はブロワー等を含むが、これらのものに限定されない。(同一項目の2つ以上のものを含む)あらゆる組み合わせが、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。一実施形態において、装置803は、測定時間を短縮する。他の実施形態において、上記テストストリップ802は、対象の検体を完全に引き込む(使い果たす、consumes)か又は該対象の検体に不可逆的に結合し、装置803は、テストストリップチャンバ801内に入れられているかトラップされているサンプル全体にテストストリップ802が暴露されることを確実なものとするように構成されている。他の実施形態において、その装置は、上記検体が反応することを許容するのに十分なエネルギーを供給する。他の実施形態において、その装置は、検体の化学的状態を変化させて、その検体の上記テストストリップに対する反応性(反応度)を変更する。
【0091】
図9は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態900の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、テストストリップ902を含むチャンバ901は、エネルギー源903を有している。一実施形態において、そのエネルギー源は、センサーを綺麗(clean)にする為に使用される。一実施形態において、そのエネルギー源は、UV源又はRF源である。センサーを綺麗にするのは、その表面から化学種を取り除く目的の為、又はベースライン測定(基線測定)を安定化させる為、又は校正の為、又は検体測定の為であり得る。他の実施形態において、上記エネルギー源は、サンプルを変更する為に用いられる。一実施形態において、これは、安定した率(割合、rate)又は変動する率で、電圧又は電流を印加することにより、達成され得る。1つ以上のエネルギー源を含む実施形態は、上記組み入れられた出願に開示されている実施形態及び技術に関連して用いられ得る。
【0092】
図10は、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の、他の実施形態1000の検体測定用システムの使用法を示している。ここにおいて、リアクションチャンバ1001は、サンプル・インレット(サンプル入口)1002と、サンプル・アウトレット(サンプル出口)1003とを有している。サンプルが、そのリアクションチャンバを通過せしめられることで、そのサンプルの物理的、化学的、又は電気化学的な性質は、変更され、及び/又は、根本的に、変化せしめられる。例としては、酸化、還元、イオン交換反応、整合反応(調整反応、coordination reactions)、オリゴマー化、ガスフェーズ又は流体フェーズからのコンデンセイション、固体フェーズ又は流体フェーズからの揮散、キャリヤガス又はキャリヤ流体内への溶解、二次成分上への吸着、高エネルギー分子状態の形成(例えば、電磁放射による刺激等)、検体の分子分極(例えば、磁界の使用を通して等)、検体のイオン化(例えば、電磁放射、電子、微粒子銃、又は、当該分野の人々に知られている他の方法、の使用を通して)等を含むが、これらのものに限定されない。他の実施形態において、上記リアクションチャンバは、サンプルを加熱するようにデザインされる。他の実施形態において、上記リアクションチャンバは、サンプルの化学的構造を変更し、そのサンプルを加熱する、ようにデザインされる。一実施形態において、上記リアクションチャンバは、NOをNO2に変換するように構成される。酸化は、本発明の精神から逸脱することなく、幾つもの方法によって、起こり得る。他のボディ(another body)において、上記リアクションチャンバは、又、サンプルストリームの湿気を除去する。幾つかの実施形態において、上記リアクションチャンバ(図10図11及び図12)と、上記サンプルチャンバ(例えば、図8)は、同一のチャンバであっても良い。サンプルチャンバと、テストストリップチャンバとは、交換可能に使用され、同一構造に言及している。
【0093】
図11は、種々の実施形態のリアクションチャンバ1101,1101a,1101b,1101cと、酸化方法と、を示している。一実施形態において、リアクションチャンバ1101aは、サンプルの化学的性質を変更する為の触媒を有している。他の実施形態において、リアクションチャンバ1101aにおける基板は、触媒を用いて機能化(官能基化、functionalized)されている。一実施形態において、触媒は、酸化剤である。一実施形態において、リアクションチャンバは、上記触媒として、過マンガン酸ナトリウム又は過マンガン酸カリウムを含む。他の実施形態において、その過マンガン酸カリウムは、シリカ基板上にある。他の実施形態において、その過マンガン酸カリウムは、活性アルミナ基板上にある。他の実施形態において、触媒は、多孔性基板上に含侵されている。上記リアクションチャンバは、又、その触媒を入れる装置を有し得る。一実施形態において、フィルター、メッシュ(網)、又は金属メッシュは、患者による吸息中/呼息中に、その触媒が上記インレットのポート(孔)又は上記アウトレットのポートから逃げる(escaping)ことを、防止する。他の実施形態において、リアクションチャンバ1101bは、熱線触媒、又はビーズ触媒を有する。他の実施形態において、リアクションチャンバ1101cは、コンピューター制御されたエネルギー源を有し、これにより、サンプルがそのチャンバを通過する時に、エネルギーが該サンプルに印加される。例としては、紫外線(UV)、紫外線発光ダイオード(UV LED)、紫外線電球(UV電球)、赤外線(IR)、高周波/無線周波(RF)、コロナ放電等を含むが、これらのものに限定されない。一実施形態において、エネルギーは、オゾンを発生させ、NOをNO2に酸化させる為に用いられる。オゾン製造の種々の方法は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。
【0094】
図12は、種々の形態のリアクションチャンバ1200,1202,1204,1205,1206を示している。一実施形態において、これらのリアクションチャンバは、制限された寿命を有する使い捨てカートリッジである。他の実施形態において、そのカートリッジは、又、使用回数を管理して制御する為の(不図示の)装置を含み得る。例としては、RFID(無線IDタグ)、バーコード、バーンアウト回路又はバーンアウトフューズ(circuit or fuse burn out)、カートリッジ上のメモリー等を含む。一例において、上記カートリッジの寿命は、パッケージで販売されるセンサーの数にマッチ(適合)するようにデザインされる。これらの実施形態の各々において、上記カートリッジは、流体サンプルが出入りできるように構成される。他の実施形態において、上記リアクションチャンバは、上記サンプルチャンバの一部である。一実施形態において、上記コンバージョン/リアクションチャンバは、光学的信号、デジタル信号又は物理的信号の中の少なくとも1つにより、その計器によって受け入れられることができるそれ自身の(特有の)校正を有する。
【0095】
図13は、本発明の一実施形態に従う、ガス状サンプルにおける検体を測定する為のシステムのためのコンパクトなデザイン(設計品)を説明する。装置1300は、リアクションチャンバ1301、複数のバルブ1302a,1302b,1302c、テストストリップ1303、テストストリップチャンバ1304、及び、周囲空気から化学種を除去する為のフィルター1305を有する。この実施形態1300において、患者1306は、マウスピース1307を通して吸息して、フィルター1305と一方向機械弁1302aとを介して周囲空気1309を引き込む。上記患者は、マウスピース1307と、コンピューター制御されたソレノイドバルブ1302bとを通して呼息1308し、そのサンプルは、周囲空気に放出される。その呼息流量は、既に記載されているように(この実施形態においては、示されていない)、測定される。一実施形態において、その流量は、50ml/秒±10%である。一実施形態において、その圧力は、5 cm H20と20cm H20の間である。所定時間(例えば、7秒未満)の後、上記バルブ1302bは、周囲(周囲空気)に対して閉じられ、その流れは、サンプル内にあるNOをNO2に酸化する物質を含んでいるリアクションチャンバ1301に向けられる。その酸化されたサンプルは、上記テストストリップチャンバ1304を通過し、バルブ1302cを介して装置から出る。バルブ1302cは、一方向機械弁、又はコンピューター制御されたソレノイドバルブであり得る。ソレノイドバルブの場合には、その開始位置は、開いていても、閉じていても良いが、しかし、上記バルブ1302bが流れを上記リアクションチャンバ1301に向けている時には、そのバルブ1302cは、開き位置にある。
【0096】
上記テストストリップからの測定は、連続的に、又は、その測定におけるどのような各ポイント(各点)でも、又は、その測定におけるどのような複数のポイント(複数の点)でも、行われ得る。一実施形態において、バルブ1302b,1302cは、そのサンプルの一部を上記テストストリップチャンバ1304内にトラップして、10秒後に閉じる。バルブ1302cは、ソレノイドバルブの場合のように、電子的に閉じられ得るか、或いは、一方向機械弁の場合のように、圧力低下により機械的に閉じられ得る。選択的に、バルブ1302bは、リアクションチャンバ1301の下流側であって、上記テストストリップチャンバ1304の上流側に設けられ得る。代替的に、(不図示の)バッファチャンバが、上記リアクションチャンバに対して、上流側又は下流側に設けられ得る。
【0097】
図14A図14Bは、ガス状サンプルにおける検体を測定する為の装置1403を示している。該装置1403は、取り外し可能なテストストリップ1401と、リアクションチャンバ/カートリッジ1402とを有している。この装置1403は、又、上記テストストリップ1401と上記リアクションチャンバ/カートリッジ1402とを装置1403内に密閉して覆うカバー1404を有している。図14Aは、開いた形態のカバー1404を例示しており、一方、図14Bは、閉じた形態のカバー1404を示している。該カバー1404は、ヒンジ又は他の知られている技術をもって、その装置1403に取り付けられることができる。内部の働き(作用)は、先の実施形態(例えば、1300)に記載されている。
【0098】
図15A図15Bは、一実施形態の装置1500を示している。この装置1500は、該装置1500内に、テストストリップ1502とリアクションチャンバ/カートリッジ1503とを密閉する為のヒンジ付き上面1501を有している。この実施形態において、分離しているマウスピース1504は、又、装置1500に接続される。図15Aは、マウスピース1504が所定位置にある、閉じた形態のカバー1501を例示しており、一方、図15Bは、マウスピース1504が取り外された状態にある、開いた形態のカバー1501を示している。
【0099】
本発明の幾つかの実施形態において、上記装置のアウトプット(出力)は、複数のエンドポイント(終点、終止点)から選択される。一実施形態において、抵抗又は電圧の測定値は、複数の検体の濃度範囲の中の少なくとも1つに対応する。一実施形態において、そのアウトプットは、定量的(量的)、又は半定量的である。他の実施形態において、そのアウトプットは、定性的である。更に、他の実施形態において、上記エンドポイントは、患者の年齢から決定され得る。12歳未満の年齢について、エンドポイントは、(i)20ppb未満の検体濃度範囲、(ii)20ppbと35ppbの間の検体濃度範囲、(iii)35 ppbより大きい検体濃度範囲、の3つの検体濃度範囲と相関がある。12歳より大きい年齢については、そのエンドポイントは、(i)25ppb未満の検体濃度範囲、(ii)25ppbと50ppbの間の検体濃度範囲、(iii)50ppbより大きい検体濃度範囲、の3つの範囲と相関している。他の実施形態において、上記装置は、1つ又は複数のソース(源)から受け取られるインプット(入力)に基づいて、アウトプットのタイプを決定し得る。幾つかの実施において、そのアウトプットは、所定の検体濃度より上または下にある。幾つかの実施形態において、予め設定された検体濃度は、1ppbと50ppbの間にある濃度の範囲から選択される。検体が一酸化窒素である時、上記予め設定された検体濃度は、好ましくは、20ppb、25ppb、30ppb、35ppb、40ppb、50ppbであることができる。検体がメタンである時、上記予め設定された検体濃度は、好ましくは、15ppm又は20ppmである。検体が水素である時、上記予め設定された検体濃度は、好ましくは、15ppm又は20ppmである。
【0100】
(テストストリップ - 一般)
その最も基本的な観点(レベル)において、上記テストストリップは、基板/ベースと、感知ケミストリーとから構成されている。そのテストストリップの実施形態は、基板と、電気接続を確立する手段(つまり、電極)と、少なくとも1つの感知ケミストリーと、任意的に、少なくとも1つの付加的な層と、を含む。その形態とデザインとは、対象のガスと、テストストリップが配置されるであろう環境とに基づいて、変更され得る。感知ケミストリーは、対象のガスに基づいて、選択される。そして、電極は、検体との相互作用中に生じる、その感知ケミストリーの特性(性質)の変化を測定するように、構成される。上記1つ又は複数の層は、その感知物質及び感知ケミストリーの為の支持、検体の感知、ケミストリーのデポジション(堆積、沈積、蒸着、成膜、deposition)用のマスキング、複数の層間のアドヒージョン(粘着、接着、付着、adhesion)、干渉物質からの保護、上記テストストリップの選択性及び/又は感受性の向上(増大)、上記感知ケミストリーの保護、及びスペーシング(間隔あけ)を含む複数の目的に役立つことができるが、これらの目的に限定されない。層は、その流体サンプルの少なくとも一部分が通過することを許容する為のウインドーや孔(穴)等の特徴を含み得る。上記電極、ケミストリー及び層に関する詳細は、以下に記載される。
【0101】
幾つかの実施形態において、上記テストストリップは、1回用(使い捨て)である。幾つかの実施形態において、上記テストストリップは、複数回用である。幾つかの実施形態において、上記テストストリップは、使用が制限されている。更に、他の実施形態において、上記テストストリップは、3回以下の使用に用いられ得る。
【0102】
一実施形態において、上記テストストリップは、表示するべきアウトプットのタイプを上記装置に示す特定の抵抗の電極又は特定の形態の電極を有し得る。他の実施形態において、バーコードが、表示するべきアウトプットのタイプを決定するのに用いられる。このバーコードは、本発明の精神から逸脱することなく、どのような数の箇所にも設けられ得る。例としては、上記テストストリップ又はパッケージを含むが、これらのものに限定されない。他の実施形態において、チップが、その装置内に挿入され、これにより、複数のアウトプットの少なくとも1つに関する情報が提供される。他の実施形態において、そのアウトプットのタイプは、その装置内に、手動で入力される。
【0103】
他の実施形態において、上記バーコード又は上記チップは、又、上記装置が特定の校正表(キャリブレーションテーブル)を用いることを可能にし得る。他の実施形態において、そのバーコード又はチップは、校正表に関する情報を含み得る。
【0104】
他の実施形態において、上記複数のアウトプットに関する情報、又は校正に関する情報は、対をなすモバイル式の(可動性の)コンピューティングデバイスから受け取られる。
【0105】
(テストストリップ感知ケミストリー)
多数の感知ケミストリーが、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。一実施形態において、その感知ケミストリーは、検体に結合するように機能化(官能基化 functionalized)されたナノ構造体から構成されており、該ナノ構造体を跨いで(横切って)、電気抵抗の変化を生じる。他の実施形態において、上記検体は、センサー表面で、レドックス反応(酸化還元反応)を生じさせ、それが測定される、他の実施形態において、上記検体は、その感知ケミストリーの電子環境における変化を引き起こし、この結果、測定される光学的特性に変化をもたらす。ナノ構造体は、(単層の、多層の、幾つかの層の)カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェンオキシド、ナノワイヤー等を含み得るが、これらのものに限定されない。このナノ構造体は、組み立てられて、例えば、紙、泡(フォーム)、フィルム等のマクロ的(巨視的)な特徴をなすことができる。或いは、このナノ構造体は、マクロ組織内に埋め込まれるか、又は該マクロ組織上にデポジット(堆積、沈積、蒸着、成膜、deposited)されることができる。例としての官能基化物質(functionalization materials)は、次のものを含む。
複素環マクロサイクル
例としては、クラウンエーテル、フタロシアニン、ポルフィリン等を含むが、これらのものに限定されない。
金属酸化物
例としては、AgO,CeO2,CO2O3,CrO2,PdO,RuO2,TiO2を含むが、これらのものに限定されない。
遷移金属
例としては、Ag,Cu,Co,Cr,Fe,Ni,Pt,Ru,Rh,Tiを含むが、これらのものに限定されない。
カルボニル基
例としては、カルボン酸、アミド類、アルデヒド類等を含むが、これらのものに限定されない。
機能性有機系色素(functional organic dyes)
例としては、アゾ染料、シアニン、フルオロン、インジゴ染料、フォトクロミック染料、フタロシアニン、キサンテン誘導体等を含むが、これらのものに限定されない。
【0106】
上記機能化されたナノ構造体(機能を有するナノ構造体)は、ここでは、感知ケミストリーと称されるが、これは、基板上に設けられて、テストストリップの基礎的(基本的)なコンポーネントを形成する。電極は、下記のように、上記感知ケミストリーと通信状態にある。
【0107】
感知ケミストリーとは、検体に暴露された時に、物理的特性を変化させる、1種類の化合物(a compound)、若しくは複数種類の化合物の組み合わせ(a set of compounds)、を意味している。その物理的特性は、電気信号に変換されることができ、そして、該物理的特性は、抵抗、電圧、又は電流の中の少なくとも1つとして、測定されることができる。この感知ケミストリーは、アクティブであることができる。該アクティブとは、対象の1つの検体又は複数の検体に反応するように、又は基準となる感知ケミストリー(a reference sensing chemistry)に反応するように、デザインされていることを意味している。基準となる感知ケミストリーは、少なくとも1つの検体との相互作用から保護されているか、若しくは、少なくとも、対象の検体には反応しない、1種類の化合物(a compound)、若しくは複数種類の化合物の組み合わせ(a set of compounds)である。
【0108】
他の実施形態において、上記感知ケミストリーは、機能化されていない(つまり、敏感にされない)ナノ構造体である。この実施形態は、機能化されたナノ構造体に関連して用いられ得るか、又はスタンドアロン(独立型、単独型)であり得る。
【0109】
補助的な(二次的な)添加剤を用いて、基板上でのデポジションに関し、上記感知ケミストリーの乾燥特性と加工性とに影響を及ぼし得る。デポジション法(堆積法)の非制限的な例は、図16に一覧表を載せている。添加剤は、粘度(粘性)、表面張力、湿潤性、アドヒージョン、乾燥時間、ゲル化、膜厚の均一性等を変化させる為に、用いられ得る。これらの添加剤は、二次溶剤、増粘剤(濃厚剤 thickners)、塩、及び/又は、界面活性剤を含むが、これらのものに限定されない。これらの添加剤は、1つ又は複数の目的に仕え得る。例としては、図16におけるものと、次のものとを含み得るが、これらのものに限定されない。
増粘剤 - 重合体及び非重合体
グリセリン
ポリプロピレングリコール
界面活性剤 - イオン性及び非イオン性
ドデシル硫酸ナトリウム
トリトンX-100
【0110】
幾つかの実施形態において、上記基板上に設けられる感知ケミストリーの体積は、物質(材料、material)の1ミリリットル以下であり得る。
【0111】
幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーは、測定の為の特定の条件下において、上記対象の検体に不可逆的に結合する。不可逆的な相互作用の例としては、共有結合、イオン間相互作用、又は大きな平衡定数を有する非共有結合相互作用、例えば、配位結合、双極子間相互作用、イオン交換反応、又は水素結合ネットワーク等を含むが、これらのものに限定されない。ここで用いられているように、上記センサーが上記検体に暴露されるのを止めた後に、適切な動作条件の範囲内で関連する時間スケールにわたって信号の回復が皆無かそれに近い場合には、1つの結合は、不可逆的だと考えられる(例えば、分配係数は、0.5未満である)。新しい検体に対する更なる暴露時に、そのセンサーは或る度合いの感度を保持していることが、期待される。幾つかの実施形態において、上記条件の範囲は、通常動作の間にそのセンサーが暴露される条件、例えば、通常の動作レベルの温度、圧力、湿度、光暴露等、を含む。関連する時間スケールに関して、理想的には、不可逆的システムは、その初期のベースラインに100%回復することはない。1つの実施において、或るセンサーは、該センサーが最早その検体に暴露されなくなった後に、感知時間の2倍で、10%未満、回復する。このように、もし、その感知時間が3日である場合には、不可逆的結合システムに関する、そのセンサー信号は、そのセンサーが最早その検体に暴露されなくなった後の6日で10%未満減少し、その初期のベースラインに完全には回復しないであろう。同様に、もし、感知時間が10秒である場合には、その信号は、検体からの取り外しに続く20秒で、10%未満、減少し、その初期のベースラインに完全には回復しないであろう。不可逆的結合を表現する他の方法は、結合箇所の数が、その検体によって飽和されてしまうポイント(時点)迄は、その結合が決して定常状態の平衡には達しない、ということである。むしろ、検体は、各追加的な暴露によって、そのセンサー上に蓄積してゆく。
【0112】
幾つかの実施形態において、その感知面を去る結合された分子の割合(比率、fraction)が、例えば、0.5未満である時、検体は、上記感知ケミストリーに不可逆的に結合されている、と考えられる。この割合は、ここでは、分配係数(partition coefficient)と称される。この分配係数は、そのアプリケーションの使用温度における、その検体に対する暴露を終えた後の、その感知面を去る結合された検体の分子の割合として、定義される。一実施形態において、上記分配係数は、0.5未満である。他の実施形態において、上記分配係数は、0.25未満である。他の実施形態において、上記分配係数は、0.1未満である。他の実施形態において、上記分配係数は、0.05未満である。更に、他の実施形態において、上記分配係数は、0.01未満である。
【0113】
上記ケミストリーの上記不可逆的性質により、幾つかの実施形態において、テストストリップが使用される度に、前回の測定からの検体の殆どは、そのテストストリップ上に留まっている。従って、各測定前には、ベースライン測定が行われる。幾つかの実施形態において、その初期のベースラインが、又、ケアーの時点で、或いは使用の時点で、取られる。これは、温度、湿度、及び圧力等の周囲条件が、幾つかのタイプの測定に影響を及ぼし得るからである。このベースライン測定に続いて、そのセンサーは、検体に暴露され、測定が行われる。その信号は、そのベースラインと比較されたときの相対的変化として、又は絶対的な変化として、測定され得る。
【0114】
幾つかの実施形態において、そのテストストリップは、使い捨てである。これは、その感知ケミストリーが、検体に一度暴露した後(単一暴露の後)に、飽和することを意味している。幾つかの実施形態において、そのテストストリップは、複数回用である。これは、その感知ケミストリーが、検体に一度暴露した後には、飽和しないことを意味している。代わって、この感知ケミストリーは、各暴露をもって検体を蓄積し、該感知ケミストリーは、それが複数回暴露されてしまう迄は、飽和されない。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体に対して365回の暴露の後に、その感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体に対して52回の暴露の後に、その感知ケミストリーを飽和させる。幾つかの実施形態において、上記検体は、該検体に対して12回の暴露の後に、その感知ケミストリーを飽和させる。
【0115】
(テストストリップ - 基板、電極、感知ケミストリーの形態及び層)
【0116】
上記基板、電極、及びケミストリーのデポジションに関して、種々の形態又は組み合わせが、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。形態は、上記感知ケミストリー、対象の検体、及びそのユニットが配置されるであろう環境、の特性によって、規定される。感知ケミストリーは、又、化学抵抗ブリッジ回路(chemresistive bridge circuit)におけるようなレファレンス(基準)を提供するように、(例えば、上記検体との相互作用等の)特定の相互作用を防止する目的で、被覆されるか、又は覆われることができる。多重分析(multiplexed analysis)を目的として、或いは信号の平均値算出を目的として、レファレンスとして働くように、複数の(多数の)感知ケミストリーが使用可能であり、或いは、同一のケミストリーが、一度以上、デポジットされ得る。図17Aは、上記テストストリップの基板、電極、感知ケミストリー及び層についての種々の形態の例を示している。一実施形態1709において、上記テストストリップは、ベース基板1701と、少なくとも1つの電極対1702と、該電極対1702と電気的につながっている少なくとも1つの感知ケミストリー1703と、組み立てられた時1707に少なくとも上記感知ケミストリーを露出させる為のウインドー又は孔(穴)1705を備えた任意的な付加層1704と、から構成されている。該付加層1704は、スペーシング層(間隔をあける層)又は保護層として仕え得る。任意的に、上記テストストリップは、第2の感知ケミストリー1706を有し得る。任意的に、上記テストストリップは、第2の層1708を含まなくても良い。付加層は、その感知ケミストリー、電極の形態、干渉物質、及び製造プロセスに依存する種々の理由により、上記テストストリップ内に組み入れられることができる。例としては、ケミストリーのデポジション用のマスキング、ケミストリーのデポジション用のサポート(支持、支持体)、干渉物質からの保護、そのテストストリップの選択性及び/又は感度の向上、感知ケミストリーとしての機能(acting)、スペーシング、感知ケミストリーの保護、ガスチャンバの形成、テストストリップの剛性、又は構造的形態を含むが、これらのものに限定されない。層は、多孔性及び非多孔性ポリマー、複合材料、紙や繊維ガラス等の繊維状物質、織布及び不織布、メンブレン(膜)、ポリマー、接着剤(粘着剤、adhesives)、フィルム、ゲル等から構成され得る。幾つかの実施形態において、上記層は、例えば、化学的に処理することにより、又はコーティングすることにより、及び/又は機械的に変更することにより、修正(手直し、modified)され得る。上記層は、1つ、又は2つ以上の目的に仕え得る。例えば、幾つかの実施形態において、1つの層は、構造的コンポーネントとして(例えば、剛性を改善したり、スペーサーとして)、又、選択的にガスを透過させるメンブレンとして、仕え得る。他の例において、1つの層は、構造的コンポーネント(例えば、スペーサー又は保護層)として働くことができ、又、該1つの層は、更に、ウインドーを形成(画定)することができ、これにより、上記対象の検体は、上記感知ケミストリー及び/又はレファレンスケミストリー(上記レファレンスとなるケミストリー)に到達可能になる。複数の層は、互いに関連して用いられることができ、これにより、上記テストストリップを干渉物質から保護する一方で、対象となるガスの選択的透過が実現される。幾つかの実施形態において、上記電極上には、絶縁体層(誘電体層)が設けられる。
【0117】
図17B図17Cは、上記テストストリップの1つの層上の基板、電極及び感知ケミストリーの種々の形態の例1701~1712及び1722~1726を示している。
【0118】
一実施形態1701において、基板1713は、1つの面上に、電極1714と、該電極1714に交差してデポジットされた感知ケミストリー1715とを有する。基板1716の裏面も、又、電極と感知ケミストリーとを有する。基板1716の裏面は、対称的又は非対称的であることができる。非対称は、異なる感知ケミストリー
、異なるケミストリー形態、又は異なる電極形態等、を含むことができる。その第2の感知ケミストリー1717は、第1の感知ケミストリー1715に対して、同一であっても、異なっていても良い。これは、対象の検体に対する、感度と選択性との調整に用いられ得る。他の実施形態1708において、2つのテストストリップ1731,1732が、別々に、製造され、次いで、分離した1つの基板1718上に集合せしめられて(組み立てられて)、完成したテストストリップを形成する。これは、その感知ケミストリーが異なっている場合に、製造の容易さを増す為に、なされ得る。上記感知ケミストリーが横並び1709になっている他の実施形態において、その2つの感知ケミストリーの一方は、被覆1721されている。他の実施形態1710は、列をなしたケミストリーを有する。他の実施形態1711において、その基板1722は、感知ケミストリーへのガス1721aの通過を許容する。これは、記載されているように、そのテストストリップが、そのガスストリームから外方を向いて設けられることを許容する。追加的な形態の例1722及び1723が、そのテストストリップ上で1つの電極を共有してオフセットしている(中心線を外して設けられている、中心線から逸らせて設けられている)2つのケミストリーをもって、示されている。一例1723において、これらの2つのケミストリーの一方は、被覆されている。他の実施形態1724において、複数の感知ケミストリーが示されている。この例において、それらのケミストリーは、少なくとも1つの電極を共有し得る。他の実施形態1725において、それらの複数のケミストリーの少なくとも1つが、被覆されている。他の実施形態1726は、3つの電極をブリッジする1つのケミストリーを示している。この実施形態において、それらの3つの電極は、作用電極と、レファレンス電極と、対向電極を表し得る。
【0119】
図17Dは、より複雑な構成の実施形態を示している。幾つかの実施形態1727,1728及び1729において、一体型ヒーター(一体化されたヒーター)1731,1733,1734が、そのテストストリップ内の、感知ケミストリー1732a,1732b,1732cと同じ(1728で示すような)層上に、又は、異なる(1727で示すような)層上に、組み込まれている。他の実施形態1729において、そのテストストリップは、少なくとも1つの層上に、付加的なセンサーエレメント1735と、一体型電子装置1736と、を有する。付加的なセンサーエレメント1735の例としては、温度センサー、及び/又は湿度センサーを含み得るが、これらのものに限定されない。一体型電子装置1736の例としては、レジスター(抵抗器)、フューズ、キャパシター(コンデンサー、蓄電器)、スイッチ等を含み得るが、これらのものに限定されない。上記テストストリップは、又、(不図示の)用途の数を管理又は制御する為の手段を含み得る。例としては、RFID、バーコード、バーンアウト回路又はバーンアウトフューズ、テストストリップ上のメモリー、通し番号、スイッチ等を含む。
【0120】
図18Aは、複数(多数)の層を備えたテストストリップの例を示している。層は、感知ケミストリー、電極形態、干渉物質、及び製造プロセスに依存する様々な理由により、テストストリップ内に組み込まれることができる。例としては、ケミストリーのデポジション用のマスキング、ケミストリーのデポジション用のサポート、干渉物質からの保護、上記テストストリップの選択性及び/又は感度の向上、感知ケミストリーとしての機能、スペーシング、ガスチャンバの形成、テストストリップの剛性、又は構造的形態を含むが、これらのものに限定されない。層は、多孔性及び非多孔性ポリマー、複合材料、紙や繊維ガラス等の繊維状物質、織布及び不織布、メンブレン、ポリマー、接着剤(粘着剤、adhesives)、フィルム、ゲル等から構成され得る。幾つかの実施形態において、上記層は、例えば、化学的に処理することにより、又はコーティングすることにより、及び/又は機械的に変更することにより、修正(手直し、modified)され得る。上記層は、1つ、又は2つ以上の目的に仕え得る。例えば、幾つかの実施形態において、1つの層は、構造的コンポーネントとして(例えば、剛性を改善したり、スペーサーとして)、又、選択的にガスを透過させるメンブレンとして、仕え得る。複数の層は、互いに関連して用いられることができ、これにより、上記テストストリップを干渉物質から保護する一方で、対象となるガスの選択的透過が実現される。幾つかの実施形態において、上記電極上には、絶縁体層(誘電体層)が設けられる。
【0121】
デユアルチャンバの例1821に示されるように、スペーシング層1825は、又、単一のチャンバ又は複数のチャンバ1826を形成する為に用いられ得る。このスペーシング層1825は、電極と感知ケミストリーとを備えた基板1827上に設けられる。それらのチャンバは、均一に被覆されても、異なるように被覆1835されても、良い。一実施形態において、上記異なるように被覆されたチャンバは、異なるガスが、その感知ケミストリーに検知されるようにする為に、異なるチャンバ内に拡散することを許容する。他の実施形態1822において、ガス選択層1830が、電極と感知ケミストリーとを有する基板1827上に設けられている。そのスペーシング層1825は、小さい単一のチャンバ1829を有しており、該スペーシング層1825は、上記ガス選択層1830上に設けられている。湿気バリアー1828が、上記スペーシング層上に設けられており、その小さいチャンバ1829を覆っている。他の実施形態1823において、2つのスペーシング層1825が用いられている。これらの2つのスペーシング層は、ガスがセンサー表面で蓄積するようにする為のより大きいチャンバを形成する為に、又は複数の拡散層を分離する為に、用いられ得る。上記スペーシング層は、又、上記テストストリップ及びその層の為の構造的支持体として、役立ち得る。ナフィオン層1833が、上記電極と感知ケミストリーとを有する基板1827上に設けられている。スペーシング層1825は、そのナフィオン層1833上に設けられている。選択的拡散層1832が、第1の上記スペーシング層1825上に設けられている。第2のスペーシング層1825が、上記選択的拡散層1832上に設けられている。フォイルバリアー(箔バリアー)1831が、上記第2のスペーシング層1825上に設けられている。他の実施形態1824において、複数の層の異なる組み合わせが用いられる。選択的透過層1833が、上記電極と感知ケミストリーとを有する基板1827上に設けられている。2つの選択的拡散層1832と、1つのプラグ1834とが、上記スペーシング層1825上に設けられている。一実施形態において、上記プラグ1834は、テストストリップがチャンバ内に挿入された時に、シーリング機構(密閉機構)として機能する。
【0122】
層は、幾つかのガスに対して反応するようにデザインされ得る。
【0123】
上記層は、それらのものに限定されないが、図16に例示された複数の方法を含む、種々のコーティング法(塗工法)によって、塗布され得る。
【0124】
干渉の例としては、ガス、濃縮された液体(condensed liquids)、溶解した固体、微粒子物質(微粒子材料)、湿気、温度変化等を含み得るが、これらのものに限定されない。呼気における一酸化窒素の測定の例において、干渉の例は、次のものを含み得る。
【0125】
呼気における一酸化窒素の測定に関連する干渉物質(妨害物質、Interfering Substances)
【0126】
図18Bは、一実施形態を説明している。この例1800において、そのテストストリップは、電極1806及び感知ケミストリー1808及びレファレンスケミストリー1807を備えたベース基板1801と、任意的な絶縁体層1802と、上記レファレンスケミストリーを覆い且つ上記感知ケミストリーを露出1810する層1803と、メンブレン層(膜層)1804と、保護層1805と、を有している。該保護層1805は、ガスが上記メンブレン層1804に流動することを許容する手段を用いている。一実施形態において、そのメンブレン層1804は、シリコーンを含有している。
【0127】
図18Cは、組み立てられたテストストリップの例を説明している。1812は、完全に組み立てられたテストストリップを示している。実施形態1813は、コンパニオン装置との穿刺用フォイルバリアーを有するテストストリップを示している。実施形態1814は、手で除去するタブを備えたフォイルバリアーを有するテストストリップを示している。実施形態1815は、テストストリップそれ自体の上ではなくて、測定ユニット内に電極を備えたテストストリップを示している。この後の実施形態において、コンパニオン装置に設けられている電極は、その装置とテストストリップとがかみ合った時に、該テストストリップ上の感知ケミストリーに当接する。
【0128】
他の実施形態において、上記ヒーター、付加的なセンサーエレメント、及びここに記載されている一体型電子装置は、そのリーダーメーター(リーダー計器、reader meter)内に組み込まれる。
【0129】
他の実施形態において、上記ヒーター、付加的なセンサーエレメント、及びここに記載されている一体型電子装置は、そのリーダー内、及び/又は上記テストストリップが配置されているところのチャンバ内、に組み込まれる。
【0130】
(不図示の)他の例は、電気化学反応を測定するのに適した電極形態(つまり、作用電極、対向電極(counter electrode)、レファレンス電極)を有し得る。
【0131】
一実施形態において、上記テストストリップは、1つの基板、少なくとも1つの電極、少なくとも1つの感知ケミストリー、及び、任意に、その感知ケミストリーを干渉物質から保護する為の少なくとも1つの層、から構成され得る。その感知領域は、1つ以上の電気接点と電気的につながっている少なくとも2つのナノネットワークから構成され得る。1つのネットワークは、能動的感知ケミストリーとして機能し、特定の1組の検体(例えば、一酸化窒素又は二酸化窒素)に対しては敏感であろう。付加的なネットワークは、異なる検体用のセンサーとしてのレファレンスとして機能するか、又は信号の平均値算出の為の同一の検体用のセンサーとしてのレファレンスとして機能するか、のいずれかであろう。上記レファレンスは、上記能動的感知ケミストリーと上記レファレンスとの間の差分信号(差動信号、differential signal)が、単一の検体、又は小さい1組の検体、又は1サブセットの検体、に向けての信号感度(signal sensitivity)であって、該信号感度をもってそのテストストリップが敏感であるところの信号感度、に帰着するように、異なる1組の検体に対して、敏感であり得る。多重分析のケースにおいては、2つ以上のレファレンスが存在し得る。
【0132】
他の実施形態において、上記テストストリップは、1つの基板と、少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの感知ケミストリーと、任意に、その感知ケミストリーを干渉物質から保護する為の少なくとも1つの層と、から構成され得る。その感知領域は、2つ以上の電極間にデポジットされた、少なくとも2つのナノネットワークから構成され得る。1つのネットワークは、能動的感知ケミストリーとして機能し、特定の1組の検体(例えば、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、水素、又はメタン)に対して敏感であろう。第2のネットワークは、レファレンスとして機能するであろう。該レファレンスは、能動的ナノネットワークとして、同一の感知ケミストリーから構成され得る。そして、このレファレンスは、被覆されていても、被覆されていなくても良い。上記テストストリップと、ケミストリーとは、抵抗性回路としても、ブリッジ回路としても、構成され得る。
【0133】
幾つかの実施形態において、上記能動的ケミストリーと、感知ケミストリーとは、その基板上でのデポジション前に、プレミックス(予備混合)される。幾つかの実施形態において、その能動的ケミストリーと感知ケミストリーとは、4ステップ(工程)以下のステップ(工程)で、デポジットされる。
【0134】
本発明の幾つかの実施形態において、そのテストストリップは、クロマトグラフィー層を有する。クロマトグラフィー層は、サンプル内における複数の検体(例えば、息と周囲空気)の中の少なくとも1つが、他の複数の検体の移動に対して、異なる速度で、このクロマトグラフィー層内を移動することを許容する。
【0135】
本発明の1つのアスペクトは、複数の検体を含む流体サンプル内における少なくとも1つの検体の濃度を測定する為のシステムを提供する。このシステムは、ベース基板と、該ベース基板上に設けられた第1電極対と、上記第1電極対と電気的に通じており、サンプル内における少なくとも1つの検体に反応する第1感知ケミストリーと、少なくとも1つの感知ケミストリー上に設けられた第1クロマトグラフィー層とを備え、上記複数の検体の中の少なくとも1つ検体は、上記第1クロマトグラフィー層内を、上記複数の検体の中の他の複数の検体の移動に対して異なる速度で移動する。
【0136】
他の実施形態において、上記システムは、更に、ブロッキング層と、第2感知ケミストリー上に設けられた第2クロマトグラフィー層、の中の少なくとも1つを有する。ここで、そのブロッキング層は、第2感知ケミストリーと、上記流体サンプル内の少なくとも1つの検体との接触を阻止する。そして、上記複数の検体の中の少なくとも1つの検体は、第2クロマトグラフィー層内を、上記複数の検体の中の他の複数の検体の移動に対して、異なる速度で、移動する。本発明の他のアスペクトは、どのような数のクロマトグラフィー層でも含み得る。
【0137】
本発明の他のアスペクトは、流体サンプル内における少なくとも1つの検体の濃度を測定する為の方法を提供する。この方法は、ベース基板と、該ベース基板上に設けられた第1電極対と、サンプル内における少なくとも1つの検体に反応する第1感知ケミストリーであって、上記第1電極対と電気的に通じている第1感知ケミストリーと、少なくとも1つの感知ケミストリー上に設けられた第1クロマトグラフィー層であって、該層内を、上記複数の検体の中の少なくとも1つ検体は、上記複数の検体の中の他の複数の検体の移動に対して、異なる速度で、移動する、第1クロマトグラフィー層とを有するシステムを提供するステップと、上記第1電極対に跨る電圧と、上記第1電極対に跨る抵抗と、上記第1電極対に跨る電流の中の少なくとも1つを計測するステップと、を有する。
【0138】
図30は、一実施形態のテストストリップ3009であって、クロマトグラフィー分離層を用いて、ガスを検知するように構成されたテストストリップ3009を説明している。このテストストリップは、基板3001と、電極3002と、少なくとも1つの感知ケミストリー3003と、クロマトグラフィーの分離材料(分離物質)3006を含む層3004と、から構成されている。好ましい実施形態において、そのクロマトグラフィーの分離材料3006は、電極対3002をブリッジする感知ケミストリー3003の上に設けられる。そのクロマトグラフィーの分離材料は、他の層内に一体化されるか、又はそれ自体の層としてあり得る。一体化される場合には、上記層3004は、例えば、クロマトグラフィーの材料(物質)の構造的支持を提供し得る一方で、その層3004は、その検体がそのクロマトグラフィー層3008と感知ケミストリー3003とに到達することを可能にする為のウインドー3005を画定(形成)する。完全に組み立てられた、クロマトグラフィー層を備えたテストストリップは、3007に示されている。ここで、クロマトグラフィー層とは、サンプル内の複数の検体の中の少なくとも1つの検体が、クロマトグラフィー(色層分析)の材料内を、その複数の検体の中の他の複数の検体の移動に対し、異なる速度で移動することを可能にするクロマトグラフィーの材料(物質)を含む、あらゆる層を意味している。そのクロマトグラフィーの材料と、あらゆる付加的な層とは、一体化前に、多数の方法で加工処理され得る。加工処理の例としては、型抜き、レーザー切断、キスカット(kiss cutting)、表面エネルギー処置(surface energy modification)(UV照射、プラズマ放電及びコロナ放電、火炎処理又は酸処理によるもの、又はその技術において知られている他の技術)、感圧接着剤を有する接着積層又は感圧接着剤を有さない接着積層による噴霧処理等を含むが、これらのものに限定されない。
【0139】
図31は、一実施形態のテストストリップ3109であって、クロマトグラフィー分離層を用いて、ガスを検知するように構成されたテストストリップ3109を説明している。このテストストリップは、基板3101と、電極3102と、(不図示の)任意の絶縁体層と、2つの感知ケミストリー3103と、該感知ケミストリーの一方を覆うと共に第2の(他方の)感知ケミストリーを露出するようにデザインされた層3104と、クロマトグラフィー分離層3106と、そのセンサーをガス又はガス混合物(ガス混合体)に暴露する為のウインドー3108を有する保護層3107と、から構成されている。上記層3104と3107とは、上記検知用のケミストリーの一方を露出する開口3108と3105を形成する多数の方法で、加工処理され得る。加工処理の例としては、型抜き、又はレーザー切断を含むが、これらに限定されない。上記層3104,3106,3107は、該層が一緒にテストストリップに組み立てられる前に、多数の方法で、加工処理され得る。加工処理の例としては、型抜き、レーザー切断、キスカット、表面エネルギー処置(UV照射、プラズマ放電及びコロナ放電、火炎処理又は酸処理によるもの、又はその技術において知られている他の技術)、接着剤による噴霧処理等を含むが、これらに限定されない。
【0140】
他の実施形態において、上記テストストリップは、クロマトグラフィー層としてのみ役立ち、感知要素を含まない(図32)。この実施形態において、クロマトグラフィー層3213を備えた、そのテストストリップは、他のセンサー3214に関連して用いられる。テストストリップに加えて、他のセンサーは、金属酸化物(MOS,CMOS等)センサー、電気化学センサー、光学センサー、MEMSセンサー、FETセンサー、MOSFETセンサー、ChemFETセンサー、又は、その技術において知られている他のタイプのセンサーを含み得る。上記テストストリップ3213は、1回使用、複数回使用、又は限定使用であり得る。それは、使い捨て可能であるか、又は繰り返し使用が可能であり得る。それは、又、一人の患者が使用するものであり得る。クロマトグラフィー層としてのみ役立つ、一実施形態のテストストリップが、3220に示されている。この実施形態において、そのクロマトグラフィー層3217は、2つの基板3216と3218との間で層を形成している。これらの基板は、ガスがそのクロマトグラフィー層3217を通過することを許容するウインドー3215と3219とを有し得る。他の基板の形態は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。一例は、クロマトグラフィー材料3217と、構造層3216であろう。他の例は、クロマトグラフィー層用の構造的支持を提供する基板、或いは、クロマトグラフィー層をセンサー又は装置と一体化するのに用いられる基板を含むが、これらに限定されない。
【0141】
幾つかの実施において、クロマトグラフィー拡散及び/又は透過層は、含侵したもの(an impregnate)から構成されることができ、多孔性及び非多孔性ポリマー、複合材料、紙や繊維ガラス等の繊維状材料、織布及び不織布、メンブレン、ポリマー、接着剤(粘着剤、adhesives)、フィルム、ゲル等から構成されることができる。幾つかの実施において、上記層は、例えば、幾つかの実施形態において、化学的に処理することにより、又はコーティングすることにより、及び/又はその表面を機械的に変更することにより、修正(手直し、modified)され得る。クロマトグラフィー層に適した材料の他の例は、ここに(テストストリップ - 層)、組み入れられている。幾つかの実施において、その層は、付加的な材料(物質)を含むことができ、或いは、それを製造に適したものとする為に、付加的な加工処理を経ることができる。
【0142】
一実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、シリコーン、或いはシリコーンを含むメンブレン又はフィルムから形成される。一実施形態において、その厚さは、迅速な解析(分析)を目的として、1μmと200μmの間である。他の実施形態において、その厚さは、遅延解析(遅延分析)(何時間又は何日)を目的として、200μmよりも大きい。他の実施形態において、その厚さは、何日か、何週間か、何年かの期間にわたる解析を目的として、1インチよりも大きい。
【0143】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、化学物質及び/又は(水蒸気を含む)水を選択的に取り除く材料(物質)をもって、処理される。処理は、被覆(コーティング)、噴霧、化学結合等を含むが、これらに限定されない。
【0144】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、水蒸気が上記感知ケミストリー上で凝結することを防止するように、デザインされる。
【0145】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、ナフィオンで処理される。
【0146】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、スルホン酸で処理される。
【0147】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、シリコーンとナフィオンとを含む。
【0148】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、シリコーンとスルホン酸とを含む。
【0149】
他の実施形態において、上記複数のテストストリップ層の中の1つは、スルホン酸とナフィオンとを含む。
【0150】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、そのクロマトグラフィーの特性を修正(変更)する為の吸着微粒子、例えば、活性炭、機能化されたシリカ、アルミナ、粘度、珪藻土、ミネラルカーボネート(mineral carbonates)、ポリマー、及び、その技術に熟練した人達に知られている他の充填材、を含み得る。
【0151】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、そのクロマトグラフィーの特性を修正(変更)する為の乳化コンポーネント、例えば、乳化された水、乳化された油、乳化されたガス、乳化された有機溶剤、乳化されたポリマー、乳化された有機分子、及び、その技術に熟練した人達に知られている他の二相性化学物質(biphasic chemicals)、を含み得る。
【0152】
(クロマトグラフ検出)
この後に言及されている、ガス検知(検出)の方法は、クロマトグラフィー層の選択的に拡散及び/又は透過する特性に基づく。この方法は、単一のガス、又は複数(多数)のガス、の濃度を分離して解析する為に、次の手段の中の少なくとも1つを用いる。すなわち、該手段とは、その物質の物理的及び化学的特性、材料の厚さ、時間、温度、圧力、信号の強度/大きさ、及び/又は信号の傾き(傾度、傾斜)、単一のベースラインからの変化及び/又は複数のベースラインに対する変化、不動点(例えば、そのベースライン)に対するオーバーシュート及び/又はアンダーシュート、信号の第1又は第2の導関数(derivative)における変化、信号の形状(ピークの半値全幅、ピーク位置、曲線の様相等)における変化、2つ以上の信号の特性に関する比率、信号のあらゆる特性に関する変化、又は上記したクロマトグラフィー層のあらゆる特性における変化、である。複数の手段を組み合わせて用いることは、又、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。上記方法は、センサーの感度と選択性を改善し、そして、単一のケミストリーからの複合マルチプレクシング(複合的な多重化、complex multiplexing)を可能とする。水蒸気を含めて、上記クロマトグラフィー層を通過するガスは、この後に、この方法を取り入れる。
【0153】
一実施形態において、上記テストストリップは、対象となる1つ又は複数のガスに対して、校正される。上記テストストリップは、対象となるガスと干渉する可能性があるガスに対しても校正され得る。校正は、1種類のガス又は複数種類のガスに対するセンサー信号の線形化(直線化)を含み、これにより、該信号を、検体の量(例えば、10億分率(ppb)又は100万分率(ppm))に変換し得る。
【0154】
一実施形態において、上記センサー及び/又は感知ケミストリーは、上記対象となるガスと、干渉するガス(interfering gases)とに対して、反応差を有するように、デザインされる。
【0155】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層は、分離と特定性(specificity)との両方を、上記センサー及び/又は感知ケミストリーに提供するように、デザインされる。
【0156】
図33Aは、説明のためにクロマトグラフィー層3301が分離されたテストストリップ3302を示しており、該クロマトグラフィー層の上方にガス分子の混合物3303が存在している。2つの分子が描かれているが、如何なる数の分子も、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。時間が経過するにつれて、クロマトグラフィー層上のガスは、該層を通過し始める。そのクロマトグラフィー層の特性(固有性、属性)により、時系列的な(つまり時間ベースの)分離が生じせしめられ、これにより、検知(検出)を目的として、ガスが選択的且つ予測的にその感知ケミストリーに向けて上記層を通過する。図33Aに示される一実施形態において、暗い円で表されているガス1と、明るい円で表されているガス2(集合的に、3303)とが、上記テストストリップ3302に向けて上記クロマトグラフィー層3301上方に到着する。その初期状態であるゼロ秒時において、0%のガス1と、0%のガス2とが、上記クロマトグラフィー層の一方の面(片面)上にある。1秒後、平衡に達するのに必要とされる43%迄のガス1[3305]及び[3308]が、そのクロマトグラフィー層3307を通過済みである一方、平衡に達するのに必要とされる0%のガス2[3306]が通過済みである。2秒の時点で(図33B)、ガス1[3312]及び[3315]は、そのクロマトグラフィー層3314のセンサー側において、71%の平衡濃度にあり、又、ガス2[3313]及び[3316]は、40%迄の平衡濃度にある。或る時点で、この例においては100秒で、ガス1[3319]及び[3324]と、ガス2[3320]及び[3323]とは、そのクロマトグラフィー層3321の下にあるテストストリップ3325のレベルにおいて、それらの100%の平衡値にある。この状況(文脈)において、平衡とは、そのメンブレンを横切るガスの拡散の平衡の事を言っており、そのセンサー表面との平衡の事を言ってはいない。この図面でガスとして表されているものは、液体を含むあらゆる流体であり得る。
【0157】
図34は、シリコーンを100μmの厚さで含む上記クロマトグラフィー層によって提供されるガス―時間の分離を示している。この例において、各ガスは、そのガス混合物から、個々に、プロットされて(座標に従って点が決定されて)いる。そして、該各ガスは、それ自体の平衡濃度に関連して表現されている(つまり、時間0において、個々のガスの100%がクロマトグラフィー層上にあり、そして、0より大きい時間において、個々のガスの幾らかのパーセンテージがクロマトグラフィー層を通過してその平衡値に達する)。図34において、ガスは、時間0[3406]において、上記テストストリップのクロマトグラフィー層上に達する。0.75秒[3401]で、ガス1の最初の分子が、クロマトグラフィー層を通過して、センサーの表面に達する。1秒[3402]で、ガス2の最初の分子が、クロマトグラフィー層を通過して、センサーに達する。2秒[3403]で、ガス5が、クロマトグラフィー層を通過し始める。2秒と3秒の間の種々の時間(期間)にわたって、残りのガスが、クロマトグラフィー層を通過し始める。最終的に、十分な時間が経過した後、そのガスの全ては、(図34には示されていない)クロマトグラフィー層の下で、それらの100%の平衡濃度に達するであろう。どのような数の種類のガスでも、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。
【0158】
上記クロマトグラフィー層の近傍に設けられるセンサー又は検知器(検出器)は、どのような数のガス感知装置又は液体感知装置であっても良く、該装置による信号は、光学的、音響的、機械的又は電子的なものであって良いが、これらに限定されない。他の実施形態、例えば、この中における何処かで説明されている実施形態等、は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。
【0159】
1秒の時点[3402]で、センサーによって生成される信号は、ガス2~7の平衡濃度の0%に対して、ガス1の平衡濃度が20%である。2秒の時点[3403]で、そのセンサーによって生成される信号は、ガス2の平衡濃度の25%と、ガス3,4,5,6及び7の平衡濃度の0%とに対して、ガス1の平衡濃度が35%である。4.25秒の時点[3404]で、そのセンサーによって生成される信号は、ガス2の50%と、ガス3~7の40%未満とに対して、ガス1が約58%である。どのような数の種類のガスでも、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。
【0160】
一実施形態において、ガス1とガス2の濃度は、他のガスがクロマトグラフィー層を通過してしまう前の所定時間に、その信号を校正表と比較することによって決定され得る。その信号は、テストストリップがその環境に順応している時のベースライン表示(ベースラインの読み、baseline reading)から決定され得る。
【0161】
他の実施形態において、ガス2の濃度は、ガス1に対してよりも、ガス2に対して、より有利に反応するように、上記感知ケミストリーを高める(強化する、enhancing)ことによって、決定され得る。上記システムは、ガス2の前に上記クロマトグラフィー層を通過するガス1又は他のガスの混合物に対して、ガス2の信号を検知するように、校正され得る。所定時点において、例えば図34における2秒、において、その信号は、ガス1のみをバックグラウンド(背景)として、ガス2の全濃度の25%を示している。該ガス2の全濃度は、25%におけるその信号を、校正表における該信号の100%の線形出力と比較することによって、決定され得る。
【0162】
一実施形態において、上記テストストリップと感知システムは、呼息される人間の息(呼気)の中に見出されるガスに対して、校正される。
【0163】
一実施形態において、上記テストストリップと感知ケミストリーは、水蒸気を含む、呼息される人間の息の中に見出される複数のガスの中の少なくとも1つのガスのバックグラウンドに対して、校正される。
【0164】
他の実施形態において、上記テストストリップと感知ケミストリーは、水蒸気及び対象となるガスに対して、異なる反応を有するように、デザインされる。
【0165】
図35A図35Bは、100μmのクロマトグラフィー層を備えた上記センサーにより記録されプロットされた、時間に対する単一の呼吸プロフィールを示している。その信号は、ベーライン測定(値)からの相対的な測定(値)(例えば、ミリボルト対時間で表現される変化)を表している。このミリボルト信号は、定量分析及び/又は定性分析を目的として、校正表と比較される(例えば、一酸化窒素に関して、信号は、10ppbに等しいか、又は20ppb未満である)。この例においては、人間の息の中に見出される複数のガスを含んでいるガス混合物は、時間0でそのテストストリップに達する。検出されるべき対象となるガスは、一酸化窒素である。1秒[3501]で、一酸化窒素は、クロマトグラフィー層を通過し始める。2秒[3502]で、その信号は、4.75mVになるが、この4.75mVは、10億分率の量に換算することができる。一実施形態において、その信号の測定値は、種々の時間3501,3502,3503,3504で標本抽出(サンプリング)され、第2の単一の又は複数のガスの量が決定され、及び/又は、標本抽出された初期信号が確認される。
【0166】
一実施形態において、一酸化窒素は、二酸化窒素に変換され、そして、上記クロマトグラフィー層とセンサーとは、二酸化窒素が通過して感知されるように、構成される。
【0167】
一実施形態において、ベースラインは、ガスサンプルの導入前に、テストストリップの精度(正確度、accuracy)(例えば、品質監査)を確認する為に、取られる。
【0168】
一実施形態において、ガスサンプルは、ここで更に説明されるところの、テストストリップと感知ケミストリーとに対して相互作用し、例えば、ミリボルトで測定されて表示される、センサーの抵抗又は他の電気的特性を変化させる。
【0169】
一実施形態において、知られている電流が、テストストリップの電極を通過し、これにより、その抵抗測定又は電圧測定が行われる。
【0170】
一実施形態において、抵抗が、直接、測定される。
【0171】
一実施形態において、テストストリップの電極を通過する電流は、パルス化(pulsed)される。
【0172】
一実施形態において、その信号は、周波数領域(frequency domain)に変換される。
【0173】
他の実施形態において、テストストリップと感知システムは、液体を測定する。
【0174】
他の実施形態において、テストストリップと感知システムは、生体液を測定する。
【0175】
他の実施形態において、テストストリップと感知システムは、呼気凝縮液を測定する。
【0176】
他の実施形態において、上記システムは、予想されるガスの流れ(gas stream)における複数のガスの各々に対して個々にかつ互いに対して校正される。各ガスの信号は線形化されており、その濃度は所定の時点において決定され得る。
【0177】
他の実施形態において、上記クロマトグラフィー層をゆっくり通過するガスは、対象となるガスである。例えば、図34において、ガス3は、対象となるガスであり、ガス1とガス2の信号は、所定のパーセンテージのガス3が上記クロマトグラフィー層を通過してしまう迄、各時点において、取り除かれる(減算される、subtracted)か、又は再ベースライン化(re-baselined)される。幾つかの実施形態において、各時点で再ベースライン化に用いられる情報は、知られている複数のガスの知られている複数の濃度を有するガス混合物に基づき、経験的に決定される。
【0178】
他の実施形態において、上記テストストリップ上の又は上記テストストリップ近傍の環境の温度を上げ下げすることが、ガス分離の特性を変化させる為に利用される。
【0179】
他の実施形態において、上記テストストリップそれ自体が、加熱されるか、又は冷却される。
【0180】
他の実施形態において、1種類のガスのその濃度は、他の複数種類のガスがそのセンサーに達する(つまり、上記クロマトグラフィー層を通過する)前に、決定される。
【0181】
そのガス混合物におけるどのようなガスの測定も、それが何時そのクロマトグラフィー層を通過するかにかかわらず、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。
【0182】
図36図37図38及び図39は、種々の厚さのクロマトグラフィー層のタイムセパレーションを説明している。これらの図面は、個々のガスの濃度であって、上記クロマトグラフィー層を通して拡散するパーセンテージとして表現され、プロットされた、対時間濃度、を示している。これらの図面において、上記ガスは、時間0において、上記クロマトグラフィー層上に達している。
【0183】
図40は、一実施形態のクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの信号のアウトプットを表している。そのセンサーは、窒素の流れの中に置かれ、次いで、湿気と一酸化窒素とからなる、混合されたガスの流れに暴露される。湿気は、そのクロマトグラフィー層を通過する第1のガス(最初のガス)であり、該湿気は、そのセンサーの抵抗の上昇を引き起こしている。次いで、一酸化窒素が続き、窒素が再導入される迄、該一酸化窒素は、抵抗の急激な下降を引き起こしている。この例において、N2は、又、周囲空気であることができ、一酸化窒素は、二酸化窒素に酸化されることができる。
【0184】
図41は、他の実施形態のクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの信号のアウトプットを説明している。そのセンサーは、窒素の流れの中に置かれ、次いで、湿気と一酸化窒素と二酸化炭素とからなる、混合されたガスの流れに暴露されている。湿気は、そのクロマトグラフィー層を通過する第1のガス(最初のガス)であり、該湿気は、そのセンサーの抵抗の上昇を引き起こしている。次いで、一酸化窒素が続き、該一酸化窒素は、抵抗の急激な下降を引き起こしている。二酸化炭素は、その層を通過する第3のガス(3番目のガス)であり、該二酸化炭素は、窒素が再導入される迄、傾き(傾度)に変化を生じさせている。
【0185】
図42は、人の呼吸(息)に対する、一実施形態のクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの反応の一例である。そのセンサーとクロマトグラフィー層とは、一酸化窒素に対して、敏感であり且つ特異的(specific)であるように、構成されている。湿気は、特定の上記感知ケミストリーとテストストリップの形態に基づく、人の呼吸における主要な知られた干渉物質である。そのセンサーは、室内の空気で、ベースライン化(baselined)される。息の流れが導入され、湿気が、そのクロマトグラフィー層を通過する第1のガス(最初のガス)になり、該湿気は、抵抗の初期の急激な上昇を引き起こしている。そのクロマトグラフィー層は、呼息される息の中の他の知られた複数のガスを排除(除外)するように、デザインされている。一酸化窒素は、そのセンサーに達する第2のガス(2番目のガス)であり、該一酸化窒素は、抵抗の下降を引き起こしている。そのセンサーは、次いで、室内の空気に、再度、暴露される。興味ある信号の特性曲線の例は、ガス暴露の初期の傾き(傾度)、ガス暴露中の傾き、帰還信号の初期の傾き、ガス暴露の終わりにおける傾き、種々の時間における傾きの変化、センサーの特性(物理的、電子的、光学的等)における絶対変化、ガス暴露に前後するベースラインからのオーバーシュート又はアンダーシュート、校正曲線からのオーバーシュート又はアンダーシュート、及び複数のガスがそのクロマトグラフィー層を通過する時の複数の時点での回帰直線を含むが、これらに限定されない。
【0186】
図43は、人の呼吸に対する、一実施形態のクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの反応の一例である。そのセンサーは、一酸化窒素に対して敏感であるように、構成されている。そのクロマトグラフィー層は、センサーから予測可能に吸着と放出する湿気を除き、全ての干渉物質を排除するように、デザインされている。そのセンサーは、室内の空気でベースライン化される。その息の流れが導入され、湿気と一酸化窒素の両方が、そのクロマトグラフィー層を通過し、その湿気コンポーネントの為に、抵抗の急激な初期の上昇を引き起こしている。そのセンサーは、次いで、室内の空気に、再度、暴露され、そして、その二次ベースラインが、その初期ベースラインと比較されることで、そのセンサーと相互作用したガスの量が決定される。興味ある信号の特性曲線の他の例は、ガス暴露の初期の傾き、ガス暴露中の傾き、帰還信号の初期の傾き、ガス暴露の終わりにおける傾き、種々の時間における傾きの変化、センサーの特性(物理的、電子的、光学的等)における絶対変化、ガス暴露に前後するベースラインからのオーバーシュート又はアンダーシュート、校正曲線からのオーバーシュート又はアンダーシュート、及び複数のガスがそのクロマトグラフィー層を通過する時の複数の時点での回帰直線を含むが、これらに限定されない。
【0187】
図44は、人の呼吸に対する、一実施形態のクロマトグラフィー層を備えたテストストリップの反応の他の例である。その感知ケミストリーと、センサーと、クロマトグラフィー層とは、二酸化炭素に対して敏感であるように、構成されている。そして、その装置におけるコンバージョンチャンバは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するようにデザインされている。湿気は、特定の感知ケミストリーとテストストリップの形態に基づく、人の呼吸における主要な知られた干渉物質である。そのセンサーは、室内の空気4401で、ベースライン化される。その息の流れが導入され、湿気4403が、そのクロマトグラフィー層を通過する第1のガス(最初のガス)になり、該湿気は、抵抗の初期の上昇(増加)を引き起こしている。そのクロマトグラフィー層は、呼息される息の中の他の知られた複数のガスを排除するように、デザインされている。二酸化窒素4404は、そのセンサーに達する第2のガス(2番目のガス)であり、湿気4403に対して、傾きに変化を生じさせている。他の実施形態において、そのテストストリップにおける層は、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する。他の実施形態において、そのセンサーは、一酸化窒素に対して、敏感である。興味ある信号の特性曲線の他の例は、ガス暴露の初期の傾き、ガス暴露中の傾き、帰還信号の初期の傾き、ガス暴露の終わりにおける傾き、種々の時間における傾きの変化、センサーの特性(物理的、電子的、光学的等)における絶対変化、ガス暴露に前後するベースラインからのオーバーシュート又はアンダーシュート、校正曲線からのオーバーシュート又はアンダーシュート、及び複数のガスがそのクロマトグラフィー層を通過する時の複数の時点での回帰直線を含むが、これらに限定されない。
【0188】
他の実施形態において、そのテストストリップ及びリーダー(読み取り装置、reader)は、物質(例えば、果糖、乳糖、蔗糖、アイソトープ(同位体)等)と人体との間、又は該物質と動物の体との間、における相互作用の結果である、息又は屁におけるガス濃度を測定するように、構成され得る。物質は、真皮(つまり、経皮パッチ)を通して、挿入され、摂取され、消化され、吸息され、注入され、又は透過し得る。例としては、水素呼気試験(Hydrogen Breath Test)(この試験は、メタン、及び/又は一酸化炭素、及び/又は二酸化炭素の測定も含み得る)、或いは尿素呼気試験を含む。他の例としては、癌、腫瘍、血液、ウイルス、バクテリア、プリオン、寄生生物等と相互作用して、測定されるガスを発生する複数の種類の物質を含み得るが、これらに限定されない。これらの実施形態において、ガスの搬送装置(供給装置)は、任意的である。
【0189】
(テストストリップ - 感知ケミストリーのデポジション、乾燥形態及びバッチ校正)
【0190】
デポジション法の非制限的な例は、図16に列挙されている。好ましい一実施形態において、デポジションと乾燥の適切な方法は、その感知ケミストリーが、2つの電極間において、均一な(均質な)電気経路を形成するように、選択される。該経路は、幾つかの実施形態において、少なくともその感知物質(感知材料)と、その感知ケミストリー溶液に対する、可能なあらゆる非揮発性添加物と、から構成された、集積されたアセンブリであり得る。上記経路のジオメトリー(形状、外形)は、そのデポジションの同質性(均質性、均一性)が、それらの複数のテストストリップの間で十分に保たれており、この結果、センサーの性能が、精度と再現性とに関して必要とされているガイドライン(指標)を満足させている限り、重要ではない。実際問題として、フィルムは、感知物質の十分な均一性の達成には失敗しており、ベースライン抵抗とセンサー反応における変動を生じており、各センサーの個々の校正が必要なものとなっている。1つの理想的なジオメトリーは、均等的な(均一の)ライン(線、line)又はコーヒーリングの形成である。複数のライン及び複数のコーヒーリングは、その感知物質を、小さい領域(面積)内に集める。そして、該複数のライン及び複数のコーヒーリングは、再現性良く形成されることができ、そのテストストリップセンサーのバッチ校正を可能にする。例えば、幾つかの実施形態において、1つのリングの場合にあっては、その電極間隙を跨ぐ、該リングのその部分は、その電極間材料(電極間物質)の80%より多い材料(物質)を有すべきであり、そのリングにより境界が形成されている、その電極間隙の面積のうちの20%未満の面積内に集められる。同様に、1本のラインは、例えば、幅が0.5mm未満であり且つ電極間ギャップ(電極間の空隙)の全体を横切る該ギャップ、に跨る一定の面積上(領域上)に集められ配置された材料を有するべきである。いずれの場合にあっても、付加的な材料が、所望されるあらゆる方法で、その電極面上に(例えば、その電極ギャップの外側に)設けられ得る。何故なら、この材料は、感知する検体において、役目を果たさないからである。その電極対は、あらゆるジオメトリーを有し得る。例えば、その電極対は、平行なアレイ(配列)、又は互いに組み合わされたアレイ、であることができる。
【0191】
本発明の一実施形態において、プロセッサーは、校正情報を用いて、アナログ信号(例えば、ミリボルト、抵抗、電流等)を検体濃度に変換する。一実施形態において、そのアナログ信号は、移動式計算機器に送られる。ここで、その移動式計算機器又は他の計算機器のソフトウェアは、上記アナログ信号を検体濃度に変換する為の、その校正情報を有している。上記プロセッサーは、内部メモリー、外部チップ、SIMカード、USBドライブ、対になった移動式計算機器から、又は、移動網或いは無線ネットワークを通して、その校正情報を受け取ることができる。一実施形態において、上記テストストリップは、そのテストストリップの校正を上記装置に示す、特定の形態の電極、又は特定の抵抗の電極、を有し得る。他の実施形態において、そのテストストリップの校正を決定する為に、バーコードが用いられる。該バーコードは、本発明の精神から逸脱することなく、どのような数の箇所にも、設けられることができる。例としては、そのテストストリップ又はパッケージング(包装)を含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、RFIDタグ(無線IDタグ)は、校正情報を含む。このRFIDタグは、本発明の精神から逸脱することなく、どのような数の箇所にも、設けられることができる。例としては、そのテストストリップ又はパッケージングを含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、チップ又は外部のメモリー源が、その必要な校正情報を提供する為に、その装置内に挿入される。他の実施形態において、その基準目盛(calibration)、又は校正を表すコードは、その装置内に、手動で挿入される。
【0192】
図19は、一実施形態の、テストストリップ1901と、拡大して示されている1つの電極対1903及び1904と電気的につながっている1本のライン(線)の感知ケミストリー1902とを、説明している。1本のラインは、上記電極対をブリッジする、明確に形成(画定)されたエッジ(縁、へり)を有している点で、1枚のフィルムとは相違する。例えば、濃淡値(grey value)1902aとして表されている画素強度は、その感知ケミストリー1902の上記ラインに対応している。その1902aの強度は、対応する強度1905aを有するそのベース基板1905と、対応する強度1906aを有するそのベース基板1906と、から区別できる。上記ラインは、その複数の電極を跨いで、且つ、その感知材料を通して、その感知電流を運ぶ、極めて均一な伝導経路(conductive pathway)を提供している。
【0193】
図20Aは、他の実施形態の、テストストリップ2001と、コーヒーリング2006に構成された感知ケミストリーと、を説明している。コーヒーリングは、エッジが中心から区別できないフィルム2005との対比において、十分に画定された、区別可能なエッジ2002,2003,2004を有している。理想的なコーヒーリングと、理想的なフィルムとの間には、辺縁特性に関する連続性が存在する(a continuum of edge features)。中心の厚さは、辺縁の厚さに対して増大するので、上記コーヒーリングは、フィルムに接近する。限りなく狭いエッジに感知材料(感知物質)の全てを含み、その場所(スポット、spot)の中心にはデポジットされた材料(物質)が存在しない、理想的なコーヒーリングに接近するリングの形成を通して、より良い性能が達成される。ライン又はリングエッジの高さ形状は、急速に形成されたピーク(最高点)であって、該ピークにプラトー(水平域)若しくは局所極小が存在しない、ピークを示す。
【0194】
図20Bは、一実施形態の、テストストリップ2007と、コーヒーリング2008として構成された感知ケミストリーとを説明している。該感知ケミストリー2008は、1つの電極対2009及び2010と電気的につながっている。コーヒーリングは、それが、その電極対をブリッジする明確に画定(形成)されたエッジを有している点で、フィルムとは相違している。例えば、濃淡値2008aとして示されている画素強度は、上記感知ケミストリーのコーヒーリング2008に対応しており、ここでは、該感知ケミストリーは、上記電極対2009及び2010をブリッジしている。2008aで示されている2008の強度は、対応する強度2011a,2012a及び2013aを夫々有するベース基板2011,2012及び2013から、区別できる。他の実施形態において、フィルムは、上記感知ケミストリーにふさわしい形態のものであり得る。フィルムは、上記電極対をブリッジする部分を跨いで、略均一な強度(intensity)を有する。フィルムが、ライン又はコーヒーリングよりも好ましいところの一例は、検体の有無を決定(測定)する為の、定性測定、又は半定量的測定を含み得る。
【0195】
図21Aは、同一のロットで製造された2バッチのセンサーの初期ベースライン信号(ミリボルト単位で測定)を示している。この例において、その製造ロットは、複数のセンサー/テストストリップを含んでいる。ここにおいて、上記複数のテストストリップのうちの1つのサブセット(例えば、1つのロット内におけるバッチ)からの校正情報が、上記複数のテストストリップに適用されるように、その原材料、感知ケミストリー、及び感知ケミストリーのジオメトリーは、十分に、均一(均質)である。この例2101において、x-軸は、バッチ1とバッチ2とに分割された1つの製造ロットからの10個の個々のセンサーを表しており、y-軸は、対応するベースラインアナログ信号(mV)である。対応する記述統計量2103は、その2つのバッチのベースライン信号を跨ぐ8.87%の変動係数(CV)を説明している。図21Bは、x-軸上でプロットされている化学ルミネッセンス(化学発光法)により測定された実際の濃度に対する、y-軸上でプロットされているバッチ1とバッチ2に分割されたその製造ロットにおける10個のセンサーの対応するアナログ出力(mV)である。この例は、同一の製造ロットの校正されていないセンサーのアナログ信号が、化学ルミネッセンスで計測された実際の検体濃度と強い相関性(決定係数r(r-squared)>0.983)を有していることを示している。この例において、対象の検体は、一酸化窒素又は二酸化窒素である。しかしながら、バッチ校正を許容するのは、ケミストリーの特定のタイプ若しくは形態ではなく、複数のセンサー間における高均一性/高均質性である。
【0196】
バッチ校正は、1つの製造ロット及び/又は製造バッチから所定数のセンサーを選択すること、及び、関連する範囲にわたる既知の濃度に対するこれらのセンサーの反応に基づいて標準曲線を作成することを伴う。その標準曲線を定義する方程式は、その入力濃度が不明である時、そのセンサーのアナログ信号を濃度に正確に変換する。その標準曲線又は校正方程式は、1つの製造ロット又は製造バッチにおける、少なくとも1つのグループのセンサーに当てはまる。例えば、図21Aにおける製造ロットは、それぞれ5つのセンサーを有する2つのバッチ(バッチ1とバッチ2)に分けられている。バッチ2のための校正曲線を作成する為に、バッチ1からセンサーが選択される。バッチ2が不明の検体濃度に暴露される時、バッチ1からの校正方程式が用いられて、バッチ2のアナログ信号は、測定された検体濃度に変換される。図22Aは、バッチ1からの5つのセンサーのうちの4つを用いて4点標準曲線を作成するバッチ校正を説明している。その標準曲線を形成するには、本発明の精神から逸脱することなく、どのような数のセンサーを用いても良い。y-軸は、x-軸上にプロットされた化学ルミネッセンスで測定した実際の濃度に対して、バッチ1における4つのセンサーの、測定されたアナログ信号(単位ミリボルト)を表している。直線回帰(線形回帰)によって、Y = -1.67 + 0.1889*X及び相関係数1が求まる。実際の(x-軸)濃度は、現実の設定(real-world setting)において不明であるから、この方程式は、再編成される。対応する校正曲線は、
不明濃度=(アナログ信号-切片)/傾き
となる。環境パラメーター、例えば、温度、圧力、及び/又は湿度、を考慮に入れる校正方程式のような、他の非線形校正方程式は、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。図22Bは、バッチ1(図22A)から得られた校正曲線の、その製造ロットにおける残りの5つのセンサー(図21A図21Bにおいて、前もって、バッチ2に分けられたもの)に対する、アプリケーションを説明している。この例において、上記バッチ2のセンサーは、個々に、校正されておらず、該センサーは、不明の濃度の検体に暴露される。バッチ1から得られた校正曲線は、そのアナログ信号をバッチ2のセンサーのための測定濃度に変換する為に、用いられる。この例において、測定濃度は、x-軸上にプロットされた化学ルミネッセンスで測定された実際の濃度に対して、y-軸上にプロットされている。その結果の回帰方程式は、相関係数0.999を有する、
Y = 0.3598 + 1.098*X
となる。
【0197】
他の実施形態において、1つの製造ロットは、複数のセンサー/テストストリップを含む。ここにおいて、1つのサブセットの複数のテストストリップ(つまり、1つのロット内におけるバッチ)からの校正情報が、上記複数のテストストリップに適用されるように、その原材料、感知ケミストリー、及び感知ケミストリーのジオメトリーは、十分に、均一(均質)である。この例においては、40個のセンサーが製造され、そして、該40個のセンサーは、各々が10個のセンサーを含む4つのサブバッチに分割される。各サブバッチから、センサーの5つが選択され、上記同一の方法を用いて、校正曲線が作成される。
【0198】
各サブバッチにおいて選択された5つのセンサーから得られた上記校正方程式は、次いで、対応するサブバッチにおける残りの5つのセンサーに適用される。各バッチにおける、個々に校正されていない、その残りの5つのセンサーは、不明の検体濃度に暴露される。そのアナログ信号は、対応する校正方程式を用いて(例えば、バッチ1のセンサーは、X = (Y-1.908)/0.2943)を用いる)、測定された濃度に変換される。実際の濃度に対してプロットされた、その測定された濃度の結果の回帰分析は、等式Y = 0.7114+0.9859*Xによって記述され、該回帰分析は、その元の製造ロットにおける残りの20個のセンサーに関して、0.986の相関係数を有する。本発明の他の実施形態は、0.8,0.85,0.9,0.95,0.96,0.97,0.98,0,99よりも大きい相関係数を含む。例えば、幾つかの実施形態のシステムに関して、上記複数のテストストリップの各々の感知ケミストリーの経路ジオメトリー(幾何学的構造、形状、pathway geometry)は、その複数のテストストリップの中の第1のサブセットの校正された複数のテストストリップからの校正情報が、少なくとも0.9の相関係数をもって、その複数のテストストリップの中の第2のサブセットの校正されていない複数のテストストリップに適用されるように、十分に均一(均質)である。ここにおいて、その校正情報は、その複数のテストストリップの電気信号を、その検体の測定された濃度と関連付け、そして、その相関係数は、その検体の実際の濃度に対する、その検体の測定された濃度の正確度(精度)の尺度となる(measures)。
【0199】
図23は、大量生産のためのテストストリップのレイアウトを示している。ロール又はシート2301からの連続的な基板が、ケミストリーのデポジションを目的として、供給される。その基板は、既に、電極2302を有し得る。或いは、それらの電極は、製造プロセス(つまり、スクリーン印刷、又はレーザーアブレーション)の間に、形成され得る。ケミストリー2303は、図16に列挙したコーティング技術と、任意の数の方法とを用いて、その基板上にデポジットされる。これは、網羅的なリストであることを意図していない。個々のテストストリップ2304は、当該技術において知られている方法(例えば、ダイカット、ロータリーカット、レーザーカット等)を用いて、切断される。2つのケミストリーが、ロール又はシートからの基板上にデポジット(不図示)されることもできる。どのような数の列(並び)でも、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。電極を含むシートが、ケミストリーをデポジットするようにデザインされた機械装置内に供給される。ケミストリーを備えたシートは、次いで、任意の数の方法により、乾燥される。例としては、空気乾燥、対流、熱、赤外線、紫外線等を含むが、これらに限定されない。当業者は、上記付加的な層が、それらの層が又適用(塗布)され得る感圧材料又は感熱材料を含むことを理解するであろう。上記シートは、当該技術において知られている任意の数の方法(例えば、ダイカット)により、より小さいストリップ(細長い片)2304に切断され得る。
【0200】
図24は、その感知ケミストリー2404、電極対2403、及び基板2402の上に設けられた層2401を示している。該層は、対象となる検体が上記感知ケミストリーに達することを許容する為のウインドー2405を有している。幾つかの実施形態において、上記層は、接着剤(粘着剤、adhesive)を含んでいる。好ましい一実施形態において、上記層は、感圧接着剤を含んでいる。
【0201】
幾つかの実施形態において、上記感知ケミストリーを被覆する層は、実質的に、その対象となる検体を透過できる。幾つかの実施形態において、その複数の層の1つは、そのレファレンス感知ケミストリーを被覆すると共に、そのアクティブ感知ケミストリーを露出するウインドーを有する、ブロッキング層である。幾つかの実施形態において、そのブロッキング層は、接着剤(粘着剤、adhesive)を含み得る。当業者は、感熱接着剤又は感圧接着剤を含む多数の接着剤(但し、これらに限定されない。)のいずれでも、適切であろうことを理解するであろう。
【0202】
幾つかの実施形態において、1つの層は、少なくとも1つの検体に対して選択的透過性のあるメンブレン層であり得る。当業者は、1つのメンブレン層が、多孔性ポリマー、非多孔性ポリマー、複合材料、繊維状材料、織布、不織布、ポリマー、接着剤(粘着剤、adhesives)、フィルム、ゲル、PTFE及びシリコーンを含む、多数の異なる材料(物質)を含み得るが、これらに限定されないことを理解するであろう。幾つかの実施形態において、シリコーン転送層が用いられ、これにより、そのメンブレン層を、少なくとも1つの他の層に取り付けることができる。
【0203】
主に、ここに組み入れられている上記例は、ガス検知(ガス検出)に関するものである。しかしながら、記載されている、その概念、ケミストリー、及びセンサーのデザイン(設計、仕様)は、本発明の精神から逸脱することなく、他の流体や検体等の検知(検出)にも適用され得る。この発明に記載されている、その概念、ケミストリー、及びセンサーのデザインは、本発明の精神から逸脱することなく、他のガス、流体や検体等の検知(検出)にも適用され得る。この次に述べるリストは、そのようなアプリケーションの複数の例を提供する。そのリストは、網羅的であることを意図していない。インダストリー(業界)(非網羅的なリスト):工業、自動車産業、環境産業、軍事産業、農業、獣医学産業、及び医療産業。医療産業の中で、特定の例(非網羅的なリスト)としては、次のものを含む。
1)次の分野(非網羅的なリスト)つまり臨床化学及び免疫測定法、呼気分析、血液学及び止血法、尿検査、分子診断、組織診断、ポイントオブケア診断、呼気及び/又はコンデンセート、ウイルス学、タンパク質及び/又は抗体の分析、DNA/RNA、腫瘍学、心臓病学及びメタボリズム、感染症、炎症性及び自己免疫性疾患、婦人の健康、救命救急、及び毒物学、に関係する健康診断。
2)ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR & qPCR)、核酸増幅、酵素結合性免疫吸着検定法、及び蛍光発光を含む技術(非網羅的なリスト)。
3)性病、呼気検査、消化器系疾患、泌尿器の、ロイコトリエンE4、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ、ウイルスの検出、及びバクテリアの検出を含む特定の疾患(非網羅的なリスト)。
【0204】
上記技術、装置及びシステムは、患者の呼気における検体の検知(検出)について、記載されてきた。しかしながら、その技術、装置及びシステムは、又、インダストリアル、自動車、環境、軍事、火災と安全、農業、及び獣医学の分野等における、ガス気流中の特定のコンパウンド(化合物、混合物、調合物)の存在及び/又は量の検知が望ましいところの、あらゆるアプリケーションに有用である。
【0205】
インダストリアル・アプリケーションの例としては、オイル及びガス、製造プロセス(製造過程、製造工程)、発電、化学物質、一次材、鉱業、商業施設等のインダストリーを含むが、これらに限定されない。一実施形態の上記装置は、炭鉱における危険なガスの検知に用いられ、その装置は、炭鉱夫によって着用される。他の実施形態において、上記テストストリップは、高純度のガスを必要とする製造プロセスにおける品質制御を目的としてガスを測定するように、構成される。
【0206】
自動車適用(自動車応用)の例としては、自動車のキャビン(車室、運転室)における空気の質のモニタリング、及び/又はエンジンからの排気気流のモニタリングを含むが、これらに限定されない。
【0207】
環境適用(環境応用)の例としては、家庭生活での安全(home safety)、大気汚染、及び大気質を含む。一実施形態において、上記テストストリップ及びリーダーは、市街地における多数の所在地に配置され、そして、そのデータは、大気質のモニタリングの為に、1中心部(a central location)に送信される。
【0208】
農工業における例としては、農業生産、食品包装、及び加工産業を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、上記テストストリップとリーダーは、損傷をモニタリングする為に、食品と共にパッケージされる。他の実施形態において、上記テストストリップは、損傷をモニタリングして遠隔検針する為、食品と共にパッケージされるRFIDタグの一部である。他の実施形態において、上記テストストリップとリーダーは、畜産廃棄物におけるメタン又はその他のガスの濃度を測定するように、構成される。
【0209】
軍事及び火災と安全のインダストリーにおける一実施形態において、上記テストストリップは、ロボット/ドローンと組み合わされるか、又は他の手段、例えば、投げられ得るボール、と組み合わされる。そのテストストリップは、次いで、対象となるガスを検知する為、人の存在の必要性なしに、1つの領域内に送られる。
【0210】
医学的利用のための他の実施形態において、医師達は、本発明を用いて、彼等の処方された治療法(prescribed therapy)の効果をモニタリングすると共に、各患者の特性(特質)に基づき最も効果的な治療法を探ることができる。上記システムは、収集されたデータ(つまり、症状や、生物標識等)における傾向を追跡することにより、また、処方された治療法にその情報を関連付けることにより、この情報を提供する。上記システムは、一人の患者又は複数の患者の全体にわたって、その治療法の効果を比較することができる。上記システムは、医師が、各患者の特性を入力することを許容するであろう。そして、本発明の実施により、同様の患者が見い出されて、成功した治療法と、成功しなかった治療法と、の両方が、示されるであろう。これは、上記医師が、一人の与えられた患者についての特性を入力することを許容し、そして、上記医師が、その試行錯誤の必要性を減じるべく、上記(患者の)全体における集団(population)から、効果的な治療計画を利用することを許容する。
【0211】
医師達は、又、本発明を用いて、患者達の症状の根本原因を特定することができる。この実施形態において、上記システムは、症状と生物学的データとにおける傾向を比較し、該データを上記処方された治療法に関連付け、環境データに対して、及び/又は処方箋(処方薬)の使用に対して、照合(確認)することができる。
【0212】
他の実施形態は、集められた情報を用いて、薬の効用を比較し、治療法に対する追従性(順守、adherence)をモニタリングし、リスク報告書を作成し(つまり、危険査定目的の為)、又は、結果に基づく支払いを成立させる。
【0213】
他の実施形態は、集められた情報を用いて、生物標識(バイオマーカー、生物マーカー)の値により又は本発明により集められた情報の組み合わせにより決定された治療に対する患者の反応に基づき、薬の最適な服用量を決定する。生物標識の例としては、血清ペリオスチン、呼息された一酸化窒素、DPP4(ジペプチジルペプチダーゼIV)、血中好酸球、血中好中球、唾液好酸球、IgE、或いは、好酸球性、好中球性、微顆粒球性、混合顆粒球性、Th2またはTh1型の炎症の有無を示す他の生物標識を含むが、これらに限定されない。
【0214】
他の実施形態は、1つの生物指標、又は複数の生物指標の組み合わせ、を用いて、薬物反応を予測する。生物指標の例は、網羅的なリストであることを意図するものではないが、既に記載されている。薬物反応の例は、肺機能の改善、悪化(病状再燃、exacerbations)の低減、ステロイド又は救急薬に対する必要性の低減として、定義され得る。薬は、慢性呼吸器病を治療するようにデザインされた、それらの療法(therapies)を含み得る。
【0215】
他の実施形態は、その集められた情報を用いて、患者コンプライアンス(患者の受容状態)、又は治療法に対する追従性を決定する。コンプライアンスは、1つ又は幾つかの生物標識について、経時的に、1回又は複数回の測定を行うことによって、そして、それらの測定値を患者のベースライン又は既知の生物標識の閾値と比較することによって、決定され得る。ベースラインより低い測定値は、治療法に対するコンプライアンスを示している。ベースラインより高い測定値は、治療法に対するノンコンプライアンスを示している可能性がある。生物標識の例は、既に、記載されている。これは、網羅的なリストであることを意図していない。
【0216】
本発明の他の実施形態は、その集められた情報を用いて、ステロイド難治性喘息及び/又はステロイド非感受性喘息を診断又は特定(識別)する。一実施形態において、ステロイド難治性喘息又はステロイド非感受性喘息は、高投与量のステロイドにもかかわらず、又、1つの生物標識又は1群(1グループ)の複数の生物標識によるコンプライアンスの確認にもかかわらず、喘息の症状(兆候)を示し続ける患者によって決められ得る。この実施形態は、ステロイドに対する反応を予測し、及び/又は該ステロイドに対する追従性をモニタリングする為に、1つの生物標識又は1群の複数の生物標識の使用の文書化をも含み得る。これは、その服用量が、一連の治療を通して、増加するからである。このデータは、本発明によって集められた他の情報と、組み合わされることができる。
【0217】
本発明の他の実施形態は、特定の喘息のフェノタイプ(表現型、phenotype)を診断又は特定する為に、用いられることができる。
【0218】
本発明の他の実施形態は、好酸球性の気道炎症の有無を診断又は特定する為に、用いられることができる。
【0219】
本発明の他の実施形態は、生物学的な経口療法又は吸気療法(吸息療法、inhaled therapy)に対する、同様の反応を決定する為に、用いられることができる。生物学的療法の例としては、Th2細胞の高炎症又はTh2細胞の低炎症(Th2 high or Th2 low inflammation)を標的とする療法を含むが、これらに限定されない。特定の例は、インターロイキン13、インターロイキン4、インターロイキン5、免疫グロブリン、TLR9、胸腺間質性リンパ球新生因子等を含むが、これらに限定されない。経口療法又は吸気療法の例は、CrTH2(Th2細胞に発現する化学物質誘因受容体類似分子)、ロイコトリエン・モディファイ(leukotriene modifies)、副腎皮質モルモン、テオフィリン、ムスカリン性拮抗阻害体(muscarinic antagonists)、チオトロピウム、又は、複数の活性成分(例えば、吸入される副腎皮質モルモン/長時間作用型β2刺激薬又は吸入される副腎皮質モルモン/長時間作用型β2刺激薬/長時間作用型ムスカリン性拮抗阻害体等)を含む組み合わせ療法を含む。治療法は、短時間作用型であっても、長時間作用型であっても、良い。
【0220】
本発明の他の実施形態は、その集められた情報を用いて、一人の患者、又は1つの患者集団、における疾病管理のレベル(程度)を決定することができる。
【0221】
本発明の他の実施形態は、吸入された副腎皮質モルモンに関与する治療ミスを特定する為に、用いられることができる。
【0222】
本発明の他の実施形態において、その集められた情報を用いて、治療法の効果又は治療法の不成功を決定することができる。効果は、1つ又は幾つかの生物標識を所定のベースライン示度(a baseline reading)に保つか、若しくは該生物標識を該所定のベースライン示度よりも下に保つ、薬剤能力によって決定され得る。治療法の非有効性又は不成功は、特定の患者に対するベースライン示度よりも上にある生物標識の測定値によって決定され得る。
【0223】
本発明の一実施形態において、その集められた情報を用いて、吸入者の適切な技術を決定することができる。この実施形態においては、1つ又は複数の生物標識が用いられて、肺に対する薬剤のデポジション、又は薬力学的効果、が確認され得る。
【0224】
一実施形態において、呼息された一酸化窒素を生物標識として用いることで、吸入された副腎皮質ホルモンに対する反応を予測し、該副腎皮質ホルモンに対する追従性と効能をモニタリングする。この情報は、本発明によって集められた他のデータと組み合わされることができる。
【0225】
他の実施形態は、上記データを使用して、薬剤研究とその開発、及び医用技術研究とその開発用のデータを生成し、臨床試験の為の患者を特定し、そして、マーケティングを目的として患者及び医師と通信する。
【0226】
患者は、本発明の実施物を用いて、経時的に、彼等の状態に関する現状と進行過程についての情報を目にし(検討し、view)、彼等自身に関する情報を入力し、又、そのデータベースにおける集団に基づく効果的な治療法を見い出すことができる。
【0227】
本発明の他の実施形態の下で、熟練した医療従事者は、患者が健康上の問題を有する前に、又は患者が救急処置室を訪れる等の高価な医療資源を消費する前に、傾向を特定して先を見越して介入する、ソフトウェアをモニタリングする上記システムと共同して(協力して)、働くことができる。
【0228】
図25は、患者から集められた、その情報のタイプの一例である。
【0229】
図26は、本発明の例示的な実装例を示している。この実装例では、モバイルアプリケーション2607で各患者2604,2605,2606からデータ2601,2602,2603を集め、そして、そのデータ2608を遠隔データベース2609に送信する。その遠隔データベース2609において、そのデータは、支払者、プロバイダー、患者、及びインダストリー2610によって、分析され、又、問い合わせ(クエリー)が行われ得る。
【0230】
図27は、各患者について、手動で集められるか、又は自動で集められた、異なるタイプのデータの例を示している。生物学的データ2701が、自宅、医師のオフィス、又は薬局にいる一人の患者2711から集められる。生物標識、例えば、呼気検査2704からの呼息された一酸化窒素の測定値、及び血液と肺機能つまり肺活量測定2706、からのペリオスチン2705、は、計算機器(つまり、電話、コンピューター、タブレット等)に接続された装置から集められることができ、或いは、その試験結果は、手動で入力されることができる。他の適切な血液の生物標識は、血中好酸球を含む。付加的な生物標識を集めることは、本発明の精神から逸脱することなく、可能である。治療歴及び処方された治療2702に関して集められるデータは、自宅で、及び/又は医師のオフィスで収集されることが可能で、該データは、その医師2707によって、監督される。このデータは、手動で入力されることができ、或いは、治療記録から自動的に引っ張り出されることができる。環境及び症状のデータ2703は、自動で、及び手動で、集められる。環境データ2708は、天候の、大気汚染の、及び/又はアレルゲンの、指標を含み得る。場所データ(位置データ)は、スマートフォンの内側にあるセンサーによって提供されることができ、そして、環境データに上乗せされることができる。微粒子状物質は、装置によって、患者の自宅に設けられた埋設型センサーと同期され得る。彼等の症状の頻度や激しさに関する、及び、その状態が彼等の日常生活を害している程度に関する、症状のデータ2709は、訪問の合間に、患者に問い合わせること(クエリーを行うこと)によって、集められる。この情報の全ては、格納と分析2710の為に、遠隔サーバーに送られる。
【0231】
図28は、慢性呼吸器疾患のためのモニタリング・システムを例示している。データは、本発明に記載されているような種々の方法で、患者2802から集められて送信2804される。その情報は、遠く離れて格納され2803、そして、医療従事者2801により、役務としてモニタリングされる。この医療従事者は、彼等の健康状態に関連する様々な理由により、患者と通信する2805ことができる。
【0232】
図29は、ソフトウェアに基づく、慢性呼吸器疾患のためのモニタリング・システムを例示している。データは、本発明に記載されているような種々の方法で、患者2903から集められて送信2902される。そのデータは、遠く離れて格納され、モニタリング2905される。そして、患者の情報が、所定の閾値を超える傾向にあるか、又は該閾値を超える時、警報装置2906がトリガー(発動)される。例えば、患者の一酸化窒素のレベルが、以前の測定値と比較して、10%~20%の間に上昇した時、或いは、そのレベルが、25ppb又は50ppbを超えた時。上記閾値は、所定の診療ガイドライン(治療ガイドライン)、及び/又は患者の特質(例えば、年齢、身長、体重等)に基づき得る。環境汚染のレベルは、又、警報をトリガーし得る。警報がトリガーされた時、その医療従事者及び/又は看護者2901と、各患者2908には、注意が喚起される。その健康管理者及び/又は看護者は、彼等の健康状態に関連する様々な理由により、患者と通信2907することができる。
【0233】
ここに記載されているような、流体サンプルにおける検体の濃度測定、及び/又は上記装置での校正の実行、に関する上記技術とシステムのアスペクトは、例えば、プロセッサー/マイクロプロセッサー等を用いる計算機化された電子装置と共に用いられる、又はコンピューターシステムと共に用いられる、コンピュータープログラム製品として、実施され得る。このような実施は、一連のコンピューターの命令又はロジックであって、有形媒体(tangible medium)/非一過性媒体(non-transitory medium)の何れかに固定(fixed)された命令又はロジック、を含み得る。該有形媒体/非一過性媒体の例としては、コンピューター可読媒体(例えば、ディスケット、CD-ROM、ROM、フラッシュメモリーや他のメモリー、又は固定ディスク)がある。上記命令又はロジックは、或いは、モデム、又は他のインタフェース機器、例えば、媒体上のネットワークに接続されている通信アダプター等、を介して、コンピューターシステム又は装置に送信可能である。
【0234】
上記媒体は、有形媒体(例えば、光通信回線、又はアナログ通信回線)か、又は、無線技術(例えば、Wi-Fi、セルラー、マイクロ波、赤外線、又は他の伝送技術)をもって実施される媒体か、の何れかであり得る。その一連のコンピューターの命令は、上記システムに関して、ここに記載した上記機能性の少なくとも一部を具体化(実施)する。その技術に熟練した人達は、そのようなコンピューターの命令が、多くのコンピューターアーキテクチャー又はオペレーティングシステムと共に用いられる多数のプログラム言語で書かれ得ることを、理解すべきである。
【0235】
そのような命令は、あらゆる有形記憶装置に、例えば、半導体記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、又は他の記憶装置等に、格納され得る。そして、その命令は、あらゆる通信技術を用いて、例えば、光技術、赤外線技術、マイクロ波技術、又は他の伝送技術を用いて、伝送され得る。
【0236】
そのようなコンピュータープログラム製品は、付随的な印刷文書又は電子文書を有する、取り外し可能な媒体(例えば、収縮包装されたソフトウェア(shrink wrapped software))として配布されるか、コンピューターシステムをもって(例えば、システムのROM又は固定ディスクに)プレロードされるか、或いは、サーバー又はネットワーク(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)上の電子掲示板から配布され得ることが、期待される。勿論、本発明の幾つかの実施形態は、ソフトウェア(例えば、コンピュータープログラム製品)とハードウェアとの組み合わせとして、実施され得る。本発明の、更に、他の実施形態は、 もっぱらハードウェアとして、或いは、もっぱらソフトウェア(例えば、コンピュータープログラム製品)として、実施される。
【0237】
この開示を読んだ当業者にとって明らかであろうように、本開示は、上記具体的に記載した形態以外の他の形態で、実施され得る。上記特定の実施形態は、従って、例示的なものとして、且つ、非制限的なものとして、考慮されるべきである。当業者は、ルーチン実験のみを用いて、ここに記載された特定に実施形態の多数の等価物(同等物)を認識又は確認することができるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図34
図35A
図35B
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じている感知ケミストリーと、
を備え、
上記感知ケミストリーは、上記検体に反応し、
上記感知ケミストリーはコーヒーリングの形状に形成されており、
上記コーヒーリングは、第1の部分と第2の部分とを含み、上記第1の部分は上記第2の部分と境を接しており、上記第1の部分は上記コーヒーリングの面積の20%以下を構成しており、上記第1の部分は上記第1の電極対をブリッジしており、上記第1の部分は上記感知ケミストリーの材料の80%以上を含んでおり、
上記感知ケミストリーは、検体と化学結合をなし、
さらに、上記感知ケミストリーを収容するテストストリップチャンバを備え、
上記テストストリップチャンバは、上記検体の少なくとも一部を上記感知ケミストリー上に向かわせるようになっている、システム。
【請求項2】
上記ベース基板と上記第1の電極対と上記感知ケミストリーとはテストストリップ上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバをさらに備え、
上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
更に、上記基板上に設けられた第2の電極対と、
該第2の電極対と電気的に通じている第2の感知ケミストリーと、を備える、請求項1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
上記感知ケミストリーと上記第2の感知ケミストリーとの中の1つ以上は、カルボニル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
上記検体は、該検体への単一暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への複数回暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
上記検体は、該検体への365回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への52回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への12回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
上記化学結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合からなるグループから選択される、請求項1~7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
更に、上記サンプル中の湿気を調整するようになっている除湿器を有する、請求項1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
上記除湿器は、ナフィオンチューブを有する、かつ/または
上記除湿器は、乾燥剤を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
上記乾燥剤は、シリカゲルを有する、かつ/または
上記乾燥剤は、酸化剤を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
更に、湿度、温度又は圧力の中の1つ以上を測定する為の少なくとも1つのセンサーを有する、請求項1~11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
更に、そのセンサーに干渉すると判定された、上記サンプルからのガスを除去するようになっているフィルターを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記フィルターは、ナフィオンチューブを有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
上記コンバージョンチャンバは、取り外し可能である、請求項3または請求項3に直接または間接に従属する請求項4~14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸カリウムを有する、請求項3または15に記載のシステム。
【請求項17】
上記過マンガン酸カリウムは、基板上に懸架支持されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
上記過マンガン酸カリウムは、シリカゲル上に懸架支持されている、かつ/または
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸ナトリウムを有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
上記過マンガン酸ナトリウムは、基板上に懸架支持されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
上記コンバージョンチャンバは、紫外線源、赤外線源、RF源又はコロナ放電源の中の1つ以上を有する、請求項3、15~19のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項21】
流体サンプルにおける検体の濃度を決定する為の方法であって、
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、ベース基板と、該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じている感知ケミストリーとを備え、上記感知ケミストリーは、上記検体に反応し、上記感知ケミストリーはコーヒーリングの形状に形成されており、上記コーヒーリングは、第1の部分と第2の部分とを含み、上記第1の部分は上記第2の部分と境を接しており、上記第1の部分は上記コーヒーリングの面積の20%以下を構成しており、上記第1の部分は上記第1の電極対をブリッジしており、上記第1の部分は上記感知ケミストリーの材料の80%以上を含んでおり、上記感知ケミストリーは、検体と化学結合をなし、さらに、上記感知ケミストリーを収容するテストストリップチャンバを備える、システム
を提供するステップと、
上記検体の少なくとも一部を上記感知ケミストリー上に向かわせるステップと、
上記第1の電極対間の電圧と、上記第1の電極対間の抵抗と、上記第1の電極対間の電流と、の中の少なくとも1つを計測するステップと、を備える方法。
【請求項22】
上記ベース基板と上記第1の電極対と上記感知ケミストリーとはテストストリップ上にあり、上記システムは、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記流体サンプルは、上記コンバージョンチャンバと上記テストストリップとの間で、再循環せしめられる、請求項22に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、
ベース基板と、
該基板上に設けられた第1の電極対と、
該第1の電極対と電気的に通じている感知ケミストリーと、
を備え、
上記感知ケミストリーは、上記検体に反応し、
上記感知ケミストリーはコーヒーリングの形状に形成されており、
上記コーヒーリングは、第1の部分と第2の部分とを含み、上記第1の部分は上記第2の部分と境を接しており、上記第1の部分は上記コーヒーリングの面積の20%以下を構成しており、上記第1の部分は上記第1の電極対をブリッジしており、上記第1の部分は上記感知ケミストリーの材料の80%以上を含んでおり、
上記感知ケミストリーは、検体と化学結合をなし、
さらに、上記感知ケミストリーを収容するテストストリップチャンバを備え、
上記テストストリップチャンバは、上記検体の少なくとも一部を上記感知ケミストリー上に向かわせるようになっている、システム。
【請求項2】
上記ベース基板と上記第1の電極対と上記感知ケミストリーとはテストストリップ上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバをさらに備え、
上記感知ケミストリーは、化学的に変更された上記検体に反応する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
更に、上記基板上に設けられた第2の電極対と、
該第2の電極対と電気的に通じている第2の感知ケミストリーと、を備える、請求項1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
上記感知ケミストリーと上記第2の感知ケミストリーとの中の1つ以上は、カルボニル基、ナノ構造体、機能的有機系染料、複素環マクロサイクル、金属酸化物、又は遷移金属の中の1つ以上を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
上記検体は、該検体への単一暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への複数回暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
上記検体は、該検体への365回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への52回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、または、
上記検体は、該検体への12回の暴露の後に、上記感知ケミストリーを飽和させる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
上記化学結合は、配位結合、共有結合、水素結合、イオン結合及び極性結合からなるグループから選択される、請求項1~7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
更に、上記サンプル中の湿気を調整するようになっている除湿器を有する、請求項1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
上記除湿器は、ナフィオンチューブを有する、かつ/または
上記除湿器は、乾燥剤を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
上記乾燥剤は、シリカゲルを有する、かつ/または
上記乾燥剤は、酸化剤を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
更に、湿度、温度又は圧力の中の1つ以上を測定する為の少なくとも1つのセンサーを有する、請求項1~11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
更に、そのセンサーに干渉すると判定された、上記サンプルからのガスを除去するようになっているフィルターを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記フィルターは、ナフィオンチューブを有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
上記コンバージョンチャンバは、取り外し可能である、請求項3または請求項3に直接または間接に従属する請求項4~14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸カリウムを有する、請求項3または15に記載のシステム。
【請求項17】
上記過マンガン酸カリウムは、基板上に懸架支持されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
上記過マンガン酸カリウムは、シリカゲル上に懸架支持されている、かつ/または
上記コンバージョンチャンバは、過マンガン酸ナトリウムを有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
上記過マンガン酸ナトリウムは、基板上に懸架支持されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
上記コンバージョンチャンバは、紫外線源、赤外線源、RF源又はコロナ放電源の中の1つ以上を有する、請求項3、15~19のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項21】
流体サンプルにおける検体の濃度を決定する為の方法であって、
流体サンプルにおける少なくとも1つの検体の濃度を決定する為のシステムであって、ベース基板と、該基板上に設けられた第1の電極対と、該第1の電極対と電気的に通じている感知ケミストリーとを備え、上記感知ケミストリーは、上記検体に反応し、上記感知ケミストリーはコーヒーリングの形状に形成されており、上記コーヒーリングは、第1の部分と第2の部分とを含み、上記第1の部分は上記第2の部分と境を接しており、上記第1の部分は上記コーヒーリングの面積の20%以下を構成しており、上記第1の部分は上記第1の電極対をブリッジしており、上記第1の部分は上記感知ケミストリーの材料の80%以上を含んでおり、上記感知ケミストリーは、検体と化学結合をなし、さらに、上記感知ケミストリーを収容するテストストリップチャンバを備える、システム
を提供するステップと、
上記検体の少なくとも一部を上記感知ケミストリーの位置へと向かわせるステップと、
上記第1の電極対間の電圧と、上記第1の電極対間の抵抗と、上記第1の電極対間の電流と、の中の少なくとも1つを計測するステップと、を備える方法。
【請求項22】
上記ベース基板と上記第1の電極対と上記感知ケミストリーとはテストストリップ上にあり、上記システムは、上記サンプルにおける少なくとも1つの検体の化学的状態を変更するようになっているコンバージョンチャンバをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記流体サンプルは、上記コンバージョンチャンバと上記テストストリップとの間で、再循環せしめられる、請求項22に記載の方法。
【外国語明細書】