IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディアールテック コーポレーションの特許一覧

特開2023-174512放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置
<>
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図1
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図2
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図3
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図4
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図5
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図6
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図7
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図8
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図9
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図10
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図11
  • 特開-放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174512
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A61B6/00 350P
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050136
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0065653
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515075038
【氏名又は名称】ディアールテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】シン チョル ウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヨン ギ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA24
4C093AA26
4C093CA06
4C093CA08
4C093CA13
4C093DA02
4C093EB17
4C093EC16
4C093FC25
4C093FD09
4C093FF03
4C093FF24
4C093FF36
(57)【要約】
【課題】差分映像で被写体の動きの有無を判断するために適切な閾値を決定することができるようにノイズ偏差を低減し安定化して動きの判別の精度を高めることができる映像処理装置及び映像処理方法を提供する。
【解決手段】放射線撮影により得られる映像に対してリカーシブ方式でノイズ低減処理を行う映像処理装置は、放射線撮影により得られたフレーム別映像の入力を受ける映像入力ユニットと、現フレーム映像と前フレーム映像との差分により得られた差分映像の各ピクセルに対する動き感知情報を含む動き感知映像を生成する動き感知映像生成ユニットと、生成された動き感知映像と前フレームまで累積した動き感知映像に基づいて動き確率映像を生成する動き確率映像生成ユニットと、動き確率映像に基づいて現フレーム映像と前フレームの出力映像とを混合して現フレームの出力映像を生成する出力映像生成ユニットとを含む。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影により得られる映像に対してリカーシブ方式でノイズ低減処理を行う映像処理装置において、
前記放射線撮影により得られたフレーム別映像の入力を受ける映像入力ユニットと、
現フレーム映像と前フレーム映像との差分により得られた差分映像の各ピクセルに対する動き感知情報を含む動き感知映像を生成する動き感知映像生成ユニットと、
生成された前記動き感知映像と前フレームまで累積した動き感知映像に基づいて動き確率映像を生成する動き確率映像生成ユニットと、
前記動き確率映像に基づいて前記現フレーム映像と前記前フレームの出力映像とを混合して前記現フレームの出力映像を生成する出力映像生成ユニットと、
を含む映像処理装置。
【請求項2】
前記動き確率映像生成ユニットは、前記現フレームの前記動き感知映像と前記前フレームまでの動き感知映像のうちの一つ以上の合算により前記動き確率映像を生成し、
前記出力映像生成ユニットは、前記動き確率映像の各ピクセルの動きの程度を示す値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との混合比率を可変的に決定する、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記動き確率映像の各ピクセルの値が示す動きの程度が大きいほど前記前フレーム映像に比べて前記現フレーム映像の反映比率が大きくなるように前記混合比率が決定される、請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記出力映像生成ユニットは、前記動き確率映像の各ピクセルの値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とを対応するピクセル単位で混合して前記出力映像を生成する、請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行うノイズ低減ユニットをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記ノイズ低減ユニットは、隣接する複数のピクセルを含むマスク単位でノイズ低減処理を行い、
前記ノイズ低減ユニットは、前記マスクに含まれている前記複数のピクセルのうちの中心ピクセルと定められた方向に隣接する隣接ピクセルの組み合わせのうち、前記中心ピクセルと前記隣接ピクセルのピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい組み合わせに基づいて前記ノイズ低減処理を行うように構成される、請求項5に記載の映像処理装置。
【請求項7】
前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行うノイズ安定化ユニットをさらに含む、請求項5に記載の映像処理装置。
【請求項8】
前記ノイズ安定化ユニットは、前記現フレーム映像および前記前フレーム映像をガウシアン分布特性を有するように変換して前記ノイズ安定化を行うように構成される、請求項7に記載の映像処理装置。
【請求項9】
前記ノイズ安定化ユニットは、ノイズ偏差を減らす変換を通じて前記ノイズ安定化を行うように構成される、請求項7に記載の映像処理装置。
【請求項10】
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行うノイズ低減ユニットと、
前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行うノイズ安定化ユニットと、をさらに含み、
前記動き感知映像生成ユニットは、
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との差分による前記差分映像を生成する差分映像生成ユニットと、
前記差分映像の各ピクセルのピクセル値に対する閾値処理を通じて前記各ピクセルの前記動き感知情報を含む前記動き感知映像を生成する閾値処理ユニットと、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項11】
前記閾値処理ユニットは、前記差分映像の各ピクセルのピクセル値の大きさにより大きさが変わる適応的閾値を通じて前記動き感知映像の閾値処理を行うように構成される、請求項10に記載の映像処理装置。
【請求項12】
前記閾値処理ユニットは、複数のピクセルを含むマスク単位で前記閾値処理を行うように構成される、請求項11に記載の映像処理装置。
【請求項13】
前記動き感知映像生成ユニットは、前記生成された動き感知映像に対して被写体と背景領域を分離した後、前記背景領域を前記動き感知映像から除く方法でノイズを除去するように構成される、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項14】
前記動き感知映像生成ユニットは、被写体と背景領域を区分して互いに異なる閾値により閾値処理を通じて前記被写体に対する被写体動き感知映像と前記背景領域に対する背景領域動き感知映像とをそれぞれ生成した後、前記被写体動き感知映像と前記背景領域動き感知映像とを併合して前記動き感知映像を生成するように構成される、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項15】
放射線撮影により得られる映像に対してリカーシブ方式でノイズ低減処理を行う映像処理方法において、
前記放射線撮影により得られたフレーム別映像の入力を受ける段階と、
現フレーム映像と前フレーム映像との差分により得られた差分映像の各ピクセルに対する動き感知情報を含む動き感知映像を生成する段階と、
生成された前記動き感知映像と前フレームまで累積した動き感知映像に基づいて動き確率映像を生成する段階と、
前記動き確率映像に基づいて前記現フレーム映像と前記前フレームの出力映像とを混合して前記現フレームの出力映像を生成する段階と、
を含む映像処理方法。
【請求項16】
前記動き確率映像は、前記現フレームの前記動き感知映像と前記前フレームまでの動き感知映像のうちの一つ以上の合算により生成され、
前記動き確率映像の各ピクセルの動きの程度を示す値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との混合比率が可変的に決定される、請求項15に記載の映像処理方法。
【請求項17】
前記動き確率映像の各ピクセルの値が示す動きの程度が大きいほど前記前フレーム映像に比べて前記現フレーム映像の反映比率が大きくなるように前記混合比率が決定される、請求項16に記載の映像処理方法。
【請求項18】
前記出力映像は、前記動き確率映像の各ピクセルの値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像を対応するピクセル単位で混合して生成される、請求項16に記載の映像処理方法。
【請求項19】
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行う段階をさらに含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の映像処理方法。
【請求項20】
前記ノイズ低減処理は、隣接する複数のピクセルを含むマスク単位で行われ、
前記ノイズ低減処理は、前記マスクに含まれている前記複数のピクセルのうち、中心ピクセルと定められた方向に隣接する隣接ピクセルとの組み合わせのうち、前記中心ピクセルと前記隣接ピクセルのピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい組み合わせに基づいて行われる、請求項19に記載の映像処理方法。
【請求項21】
前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行う段階をさらに含む、請求項19に記載の映像処理方法。
【請求項22】
前記ノイズ安定化は、前記現フレーム映像および前記前フレーム映像をガウシアン分布特性を有するように変換することにより行われる、請求項21に記載の映像処理方法。
【請求項23】
前記ノイズ安定化段階は、ノイズ偏差を減らす変換を通じて行われる、請求項21に記載の映像処理方法。
【請求項24】
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行う段階と、
前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行う段階とをさらに含み、
前記動き感知映像を生成する段階は、
前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との差分による前記差分映像を生成する段階と、
前記差分映像の各ピクセルのピクセル値に対する閾値処理を通じて前記各ピクセルの前記動き感知情報を含む前記動き感知映像を生成する段階とを含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の映像処理方法。
【請求項25】
前記閾値処理は、前記差分映像の各ピクセルのピクセル値の大きさにより大きさが変わる適応的閾値を通じて行われる、請求項24に記載の映像処理方法。
【請求項26】
前記閾値処理は、複数のピクセルを含むマスク単位で行われる、請求項25に記載の映像処理方法。
【請求項27】
前記動き感知映像を生成する段階は、前記生成された動き感知映像に対して被写体と背景領域を分離した後、前記背景領域を前記動き感知映像から除く方法でノイズを除去する段階を含む、請求項15に記載の映像処理方法。
【請求項28】
前記動き感知映像を生成する段階は、被写体と背景領域を区分して互いに異なる閾値により閾値処理を通じて前記被写体に対する被写体動き感知映像と前記背景領域に対する背景領域動き感知映像とをそれぞれ生成した後、前記被写体動き感知映像と前記背景領域動き感知映像とを併合して前記動き感知映像を生成する段階を含む、請求項15に記載の映像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影により獲得された映像に含まれているノイズを低減するための映像処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線のような放射線を利用する放射線撮影装置に撮影された映像に基づいて多様な医学的診断と治療が行われている。一般にX線を用いて獲得した医療映像には、被写体、つまり、人体の解剖学的情報だけでなく、撮影環境と機器性能などにより発生するノイズも含まれている。このようなノイズは、当該映像を劣化させて患者に対する解剖学的読取能力を低下させる原因になる。映像の劣化程度は多様な要因により決定され、例えばセンサー自体のノイズによる映像の劣化、そしてX線量により発生するノイズによる映像の劣化がある。
【0003】
一方、X線映像の撮影時に発生する放射線に長時間露出されると放射線被爆による副作用が発生することがある。このような理由で放射線露出を最小化するために低線量のX線を照射してX線映像を撮影することが要求されている。しかし、低線量のX線を照射して撮影する場合、入射されるX線の光子密度が小さくなるにつれて光子モトル(quantum mottle)の濃度が顕著に大きくなって映像の品質が低下するという問題がある。
【0004】
このような理由により、低線量のX線を利用しながらも、獲得された映像のノイズを効果的に除去するための多様な方案が紹介されている。一例として、大韓民国登録特許第10-1432864号では、現フレームの映像と前フレームの映像との差分により得られる差分映像に対して閾値処理と縮小処理を通じてノイズ成分映像を獲得し、これを現フレームの映像と加算して現フレームの出力映像を生成し、ノイズが低減された出力映像をメモリに保存することによりリカーシブフィルタリングを通じたノイズ低減技術が紹介されている。
【0005】
しかし、リカーシブフィルタリング方式を利用したノイズ低減技術は、ライン(line)ノイズを除去し、動きがない固定された被写体に適用するには非常に効果的であるが、被写体の動きが大きいほどノイズ低減性能が落ちる問題を有し、特に被写体の動きを誤って判別する場合、モーションブラー(motion blur)が発生する映像の品質を落とす問題を有する。したがって、リカーシブフィルタリング方式において現フレームと前フレームとの差分映像で被写体の動きとノイズを判別するための閾値設定は非常に重要である。前記大韓民国登録特許第10-1432864号では、差分映像の各ピクセルの絶対値がノイズの標準偏差よりも大きい値で予め設定された閾値を超えれば被写体の動きがあると判定し、そうでなければ被写体の動きがないと判定する。しかし、X線映像の特性上、撮影時に線量条件、被写体の密度、被写体の動きの程度によりノイズの強度と偏差が大きく変わるため、閾値の範囲も大きくなり、適切な閾値を設定することに困難がある。また被写体の動きがある場合、リカーシブフィルタリングの効果が抑制されてノイズ低減効果も落ちる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1432864号公報
【特許文献2】特許第6744440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、差分映像で被写体の動きの有無を判断するために適切な閾値を決定することができるようにノイズ偏差を低減し安定化して動きの判別の精度を高めることができる方案を提供することにある。
【0008】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、動きの比較結果に基づいてノイズ低減処理が行われた映像を時間順で累積させた動き確率映像を利用してノイズを効果的に低減することができる方案を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る放射線撮影により得られる映像に対してリカーシブ方式でノイズ低減処理を行う映像処理装置は、前記放射線撮影により得られたフレーム別映像の入力を受ける映像入力ユニットと、現フレーム映像と前フレーム映像との差分により得られた差分映像の各ピクセルに対する動き感知情報を含む動き感知映像を生成する動き感知映像生成ユニットと、前記生成された動き感知映像と前フレームまで累積した動き感知映像に基づいて動き確率映像を生成する動き確率映像生成ユニットと、前記動き確率映像に基づいて前記現フレーム映像と前記前フレームの出力映像とを混合して前記現フレームの出力映像を生成する出力映像生成ユニットとを含む。
【0010】
前記動き確率映像生成ユニットは、前記現フレームの前記動き感知映像と前記前フレームまでの動き感知映像のうちの一つ以上の合算により前記動き確率映像を生成することができ、前記出力映像生成ユニットは、前記動き確率映像の各ピクセルの動きの程度を示す値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との混合比率を可変的に決定することができる。
【0011】
前記動き確率映像の各ピクセルの値が示す動きの程度が大きいほど前記前フレーム映像に比べて前記現フレーム映像の反映比率が大きくなるように前記混合比率が決定され得る。
【0012】
前記出力映像生成ユニットは、前記動き確率映像の各ピクセルの値により前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とを対応するピクセル単位で混合して前記出力映像を生成することができる。
【0013】
本発明の他の実施形態による映像処理装置は、前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行うノイズ低減ユニットをさらに含むことができる。
【0014】
前記ノイズ低減ユニットは、隣接する複数のピクセルを含むマスク単位でノイズ低減処理を行うことができ、前記ノイズ低減ユニットは、前記マスクに含まれている前記複数のピクセルのうちの中心ピクセルと定められた方向に隣接する隣接ピクセルの組み合わせのうち、前記中心ピクセルと前記隣接ピクセルのピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい組み合わせに基づいて前記ノイズ低減処理を行うように構成され得る。
【0015】
本発明の他の実施形態による映像処理装置は、前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行うノイズ安定化ユニットをさらに含むことができる。
【0016】
前記ノイズ安定化ユニットは、前記現フレーム映像および前記前フレーム映像をガウシアン分布特性を有するように変換して前記ノイズ安定化を行うように構成され得る。
【0017】
前記ノイズ安定化ユニットは、ノイズ偏差を減らす変換を通じて前記ノイズ安定化を行うように構成され得る。
【0018】
本発明の他の実施形態による映像処理装置は、前記現フレーム映像と前記前フレーム映像に対してノイズ低減処理を行うノイズ低減ユニットと、前記ノイズ低減処理が行われた前記現フレーム映像と前記前フレーム映像とのノイズ偏差を減らしてノイズ安定化を行うノイズ安定化ユニットとをさらに含むことができる。前記動き感知映像生成ユニットは、前記現フレーム映像と前記前フレーム映像との差分による前記差分映像を生成する差分映像生成ユニットと、前記差分映像の各ピクセルのピクセル値に対する閾値処理を通じて前記各ピクセルの前記動き感知情報を含む前記動き感知映像を生成する閾値処理ユニットとを含むことができる。
【0019】
前記閾値処理ユニットは、前記差分映像の各ピクセルのピクセル値の大きさにより大きさが変わる適応的閾値を通じて前記動き感知映像の閾値処理を行うように構成され得る。
【0020】
前記閾値処理ユニットは、複数のピクセルを含むマスク単位で前記閾値処理を行うように構成され得る。
【0021】
前記動き感知映像生成ユニットは、前記生成された動き感知映像に対して被写体と背景領域を分離した後、前記背景領域を前記動き感知映像から除く方法でノイズを除去するように構成され得る。
【0022】
前記動き感知映像生成ユニットは、被写体と背景領域を区分して互いに異なる閾値により閾値処理を通じて前記被写体に対する被写体動き感知映像と前記背景領域に対する背景領域動き感知映像とをそれぞれ生成した後、前記被写体動き感知映像と前記背景領域動き感知映像とを併合して前記動き感知映像を生成するように構成され得る。
【0023】
本発明の実施形態による放射線撮影により得られる映像に対してリカーシブ方式でノイズ低減処理を行う映像処理方法は、前記放射線撮影により得られたフレーム別映像の入力を受ける段階と、現フレーム映像と前フレーム映像との差分により得られた差分映像の各ピクセルに対する動き感知情報を含む動き感知映像を生成する段階と、前記生成された動き感知映像と前フレームまで累積した動き感知映像に基づいて動き確率映像を生成する段階と、前記動き確率映像に基づいて前記現フレーム映像と前記前フレームの出力映像とを混合して前記現フレームの出力映像を生成する段階とを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、動き確率映像を通じてノイズが低減された映像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る映像処理装置が適用されたCアーム形態の放射線撮影装置の一例を概略的に示す図面である。
図2】本発明の実施形態による映像処理装置のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る映像処理方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る映像処理方法でノイズ低減を行う過程を説明するための図面である。
図5】停止状態である被写体の同一の入力映像(前フレームと現フレーム)に対して原信号の差分映像のピクセル値の分布とアンスコム変換後に得られた差分映像のピクセル値の分布を比較して示すグラフである。
図6】各ピクセル値のアンスコム変換後の値を示すグラフである。
図7図5のアンスコム変換後に得られた差分映像のピクセル値分布データにおいて任意のピクセル値に適切な閾値をサンプリングした後に傾向線を描いた結果を示すグラフである。
図8】本発明の実施形態に係る映像処理方法のアルゴリズムを概略的に示す図面である。
図9】前フレーム映像と現フレーム映像でハンドファントムを右側から左側に動いた時に出力される動き感知映像の例を示す。
図10】動き感知映像を利用して動き確率映像を生成する方法を示す図面である。
図11】フレームの進行により入力映像に応じた動き感知映像および動き確率映像の生成を示す図面である。
図12】本発明の他の実施形態に係る動き感知映像の生成方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、説明された実施形態に限定されない。
【0027】
図1には本発明の実施形態に係るノイズ低減機能を有する映像処理装置が適用されたCアーム形態の放射線撮影装置の一例が示されている。本発明の実施形態に係る映像処理装置は、図1に例示されたような映像撮影装置の一部で適用されることもでき、映像撮影装置と別途の装置で構成されて映像処理機能を行うこともできる。
【0028】
本発明の実施形態に係る映像処理装置が適用される映像撮影装置は、例えば図1に示されたようなCアーム形態で構成されて動画を獲得することができる撮影装置で構成され、例えばX線のような放射線を利用して撮影対象である被写体Sの関心領域を撮影することができるように構成され得る。
【0029】
図1を参照すると、放射線撮影装置は、放射線、例えばX線を出力する放射線照射部110と、被写体Sを透過した放射線が入射されて映像データを獲得する映像獲得部120を備えることができ、放射線照射部110と映像獲得部120はCアーム210の両側端部に支持され得る。例えば、放射線撮影装置は、モバイル形態のCアームX線イメージング装置、介入的X線装置(interventional X-ray device)、介入的血管造影CアームX線装置(interventional angiography C-arm X-ray device)などに適用され得る。
【0030】
支持構造200は、放射線照射部110と映像獲得部120を支持し、被照射体Sのイメージング位置および角度などの変更のために放射線照射部110と映像獲得部120の空間上位置および回転位置の変更が可能なように構成される。例えば、支持構造200は、支持ボディー240、上下方向D1に移動可能に支持ボディー240に締結されるリフトカラム230、およびリフトカラム230と共に上下方向に移動可能であるとともに、リフトカラム230に対して水平方向D2に相対移動可能にリフトカラム230に締結される前後進アーム220を含むことができる。
【0031】
Cアーム210が前後進アーム220に対して少なくとも一つの回転方向において相対回転可能に前後進アーム220に締結され、放射線照射部110と映像獲得部120がCアーム210の両側端部にそれぞれ締結される。この時、Cアーム210は、前後進アーム220と共に上下方向の昇降移動および水平方向の前後進移動が可能であるとともに、前後進アーム220に対して少なくとも一つの回転方向、例えばオービタル回転方向R1および前後進アーム220の水平移動方向と平行な方向を中心とする軸回転方向R2のうちの少なくとも一つの回転方向において相対回転可能に前後進アーム220に締結され得る。図面に示されていないが、支持構造200はリフトカラム230の上下方向移動、前後進アーム220の水平方向移動、およびCアーム210の回転のためのモータのようなアクチュエーターを含むことができる。放射線照射部110と映像獲得部120を支持する支持メンバーであるCアーム210を支持し駆動するための要素、つまり、前後進アーム220、リフトカラム230、およびこれらに備えられるアクチュエーターは、Cアーム210を駆動するための駆動要素であるといえ、これらの組み合わせはCアーム210を駆動するための駆動部であるといえる。また前後進アーム220の横方向回転を通じてCアーム210のパニング回転(panning rotation)が可能なように構成されることもできる。支持メンバーの形態はC字形状に限定されず、本発明の他の実施形態ではC字形状の代わりにU字形状、G字形状などのアームが支持メンバーとして使用されることもできる。
【0032】
表示部140は、リアルタイム位置情報、映像データ、基準位置情報、放射線出力情報のうちの少なくとも一つ以上を表示することができるように構成される。表示部140は、情報および映像表示が可能な任意の装置であり得、例えばプリンタ、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ、PDPディスプレイ、OLEDディスプレイ、FEDディスプレイ、LEDディスプレイ、DLPディスプレイ、PFDディスプレイ、3Dディスプレイ、透明ディスプレイなどであり得る。また表示部140は、使用者から入力を受けることができるタッチスクリーンのような情報表示および入力が可能な形態で具現されることもできる。
【0033】
本発明の実施形態に係る映像処理装置10は、情報処理および演算が可能な一つまたは複数のコンピュータのような情報処理装置の形態で具現され得る。例えばコンピュータは、CPUのような制御手段、ROM(read only memory)またはRAM(random access memory)のような記憶手段、GPU(graphics processing unit)のようなグラフィック制御手段を含むことができる。コンピュータはまた、ネットワークカードのような通信手段、キーボード、ディスプレイまたはタッチスクリーンのような入出力手段を含むことができる。このようなコンピュータの構成要素は、周知されている通りバスを通じて接続され得、記憶手段に保存されたプログラムの実行により作動し制御され得る。
【0034】
情報処理が可能なコンピュータの形態で具現される映像処理装置10は、図1に示された放射線映像撮影装置に設置されて映像処理機能を行うように構成され得、この場合、放射線映像撮影装置の一部として撮影された映像を受信して処理し、処理された映像が放射線撮影装置の映像表示手段に表示されるように構成され得る。
【0035】
一方、図2を参照すると、本発明の実施形態に係る映像処理装置10は、ノイズ低減処理のための複数の機能的構成、つまり、映像入力ユニット11、ノイズ低減ユニット12、ノイズ安定化ユニット13、差分ユニット14、閾値処理ユニット15、動き確率映像生成ユニット16、および出力映像生成ユニット17を含む。この時、差分ユニット14と閾値処理ユニット15との連続的作用により動き感知映像が生成され、このような意味で差分ユニット14と閾値処理ユニット15を動き感知映像生成ユニットとみることができる。
【0036】
図3を参照すると、映像処理装置10により行われる映像処理方法は、映像獲得段階(S31)、ノイズ低減段階(S32)、ノイズ安定化段階(S33)、差分映像生成段階(S34)、動き感知映像生成段階(S35)、動き確率映像生成段階(S36)、および映像出力段階(S37)を含むことができる。映像処理方法は、リカーシブ方式を通じてノイズが低減された出力映像を生成し、出願人は本発明に適用されたリカーシブ方式をインフィニットリカーシブ深さ(infinite recursive depth)と称する。
【0037】
映像入力ユニット11は、外部からの入力映像21の入力を受ける。例えば、映像入力ユニット11は、前述した映像獲得部120により獲得された動画の各フレームを時間により順次に入力を受けることができる。被写体を含む領域の複数のピクセルからなる映像が放射線検出パネルである映像獲得部120により時間により放射線動画シークエンスで獲得され、獲得された放射線動画シークエンスが時間順で映像入力ユニット11に入力され得る。
【0038】
入力映像21は、複数のフレームからなる動画の1フレームであり得る。また入力映像21は、複数の行(n行)と複数の十(m列)からなる複数のピクセルを有する2次元映像であり得、撮影された被写体と共にノイズを含むことができる。例えば、入力映像21に含まれているノイズは予め決定された方向、例えば水平方向および/または垂直方向のラインノイズ(line noise)およびランダムノイズ(random noise)を含むことができる。
【0039】
ノイズ低減ユニット12は、フレーム映像のノイズを低減する。ノイズ低減ユニット12は、低域通過フィルターを利用して映像から高周波ノイズ成分を除去することによりノイズ低減を行うことができる。ノイズ低減処理は、現フレーム映像と前フレーム映像に対してそれぞれ行われ得る。
【0040】
図4はピクセル単位でノイズ低減処理を行う過程を説明するためのものであり、具体的に3x3ピクセルマスクの中心に位置する中心ピクセルのノイズを低減してノイズ低減されたピクセルに更新する方法を説明するための図面である。このノイズ低減方法はフレームの全てのピクセルに対して同様に適用され得る。
【0041】
図4を参照すると、まずノイズ低減対象である中心ピクセルPと隣接するピクセルP~Pのうち、任意の二つのピクセルP、Pと中心ピクセルPとのピクセル値の差の絶対値を加えて差の絶対値の合計Dを得る。選択される隣接ピクセルと選択される方向は必要および要求条件により適切に決定され得る。例えば、図4を参照すると、中心ピクセルPを基準として楕円で表示された4方向に対して当該方向の二つのピクセルと中心ピクセルPとの差の絶対値の合計をそれぞれ算出する。つまり、横方向に対して中心ピクセルPと隣接するピクセルP、Pのピクセル値との差の絶対値の合計D、縦方向に対して中心ピクセルPと隣接するピクセルP、Pとの差の絶対値の合計D、左側に傾いた斜線方向に対して中心ピクセルPと隣接するピクセルP、Pとのピクセル値の差の絶対値の合計D、右側に傾いた斜線方向に対して中心ピクセルPと隣接するピクセルP、Pとの差の絶対値の合計Dがそれぞれ算出される。
【0042】
この時、絶対値差の合計Dが小さい方向であるほど中心ピクセルPと最も類似する方向性を有するピクセルであるとみることができる。インパルスノイズは周辺ピクセルに比べて特に大きい絶対値を有するピクセルであるとみることができるため、これを排除するためには、選択された複数の方向D~Dのうちピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい方向を選択し、選択された方向に属するピクセルのピクセル値を利用して中心ピクセルのピクセル値を補正してノイズが低減されたピクセル値に更新する。例えば、図4で4個の絶対値の合計のうち、横方向のピクセルに対して算出されたピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい場合、横方向に属するピクセルP、P、Pのピクセル値を利用して中心ピクセルPの加重値を決定して更新する。例えば、中心ピクセルPのピクセル値を3個のピクセルP、P、Pの平均値または中間値に代替することができる。中心ピクセルのピクセル値をこのような方式で更新することをマスクを移りながら順次に行うことによりピクセル値の更新を通じたノイズ低減が行われ得る。
【0043】
本発明の実施形態では、中心ピクセルを含むマスク内の全てのピクセルのピクセル値に基づいて中心ピクセルのピクセル値を補正するのではなく、マスク内のピクセルのうち、中心ピクセルとのピクセル値差の絶対値の合計が最も小さい方向を選択し、当該方向に属するピクセルのピクセル値を利用して中心ピクセルのピクセル値を補正するため、ノイズ低減を達成すると同時に中心値または平均値フィルターの適用によるエッジ成分が弱くなることを防止することができる。つまり、もし中心ピクセルがエッジに該当する成分である場合、中心ピクセルを囲むピクセル全体に対して平均値や中間値フィルターを適用して中心ピクセルのピクセル値を補正する場合、エッジ成分が大幅減少する問題があるが、本発明の実施形態では、中心ピクセルと方向性が最も類似する方向のピクセルのみを利用して中心ピクセルのピクセル値を補正するため、エッジ成分が大幅減少して特性が損傷することを防止することができる。
【0044】
このようなノイズ低減ユニット12を通じた前処理により、後続する動き感知が剛健になり得る。
【0045】
ノイズ安定化ユニット13は、ノイズが低減された現フレーム映像と前フレーム映像とのノイズの偏差を減らしてノイズを安定化させる。
【0046】
放射線映像、例えばX線映像の獲得のために各センサーに入射された光子の量は、時間により一定でなくランダムに現れ、独立性を帯びるため、X線映像のノイズ特性は一般にポアソン(Poisson)分布に従う。本発明の実施形態では、ポアソン分布特性を有するノイズを除去するためにアンスコム変換(Anscombe transform)を通じてガウシアン(Gaussian)分布特性を有するノイズに近似化する。アンスコム変換は、標準偏差1に近接するガウシアン分布に近似化したものであるため、変換されたデータは安定したノイズ偏差を有するようになる。
【0047】
前述の方式により図8に示されたように現フレーム映像と前フレーム映像、例えば前フレームの出力映像に対してノイズ低減とノイズ安定化がそれぞれ行われ得る。
【0048】
次に、差分ユニット14による差分映像生成および閾値処理ユニット15による差分映像の閾値処理を通じて動き感知映像が生成される。これにより、図8に示されているようにノイズ処理された現フレーム映像と前フレーム映像、例えば前フレームの出力映像から動き感知映像が生成され得る。ここで、動き感知映像は、現フレーム映像から前フレーム映像を差し引いて得られた映像から得られ、各ピクセルの動きの有無に対する情報を含むことを意味し、例えば動きがあるピクセルは「0」の値を有し、動きがないピクセルは「1」の値を有するように設定され得る。つまり、動き感知映像の全てのピクセルは、0または1のピクセル値を有し、0の値を有するピクセルは前フレーム映像を基準として動きがあることを意味し、1の値を有するピクセルは前フレーム映像を基準として動きがないことを意味し得る。
【0049】
差分ユニット14は、ノイズ処理、つまり、ノイズ低減およびノイズ安定化処理が行われた現フレーム映像と前フレーム映像、例えば前フレームの出力映像を差分して差分映像を生成する。差分ユニット14は、現フレーム映像と前フレーム映像間の全てのピクセルに対して同一位置の各ピクセルのピクセル値差を算出して差分映像を生成することができる。
【0050】
差分映像は、被写体の動き情報、そして残留するノイズ情報を含むことができる。追加的に、生成された差分映像に平均値フィルターまたは中間値フィルターなどを利用して差分映像を安定化することもできる。
【0051】
閾値処理ユニット15は、差分映像の動き感知のための閾値を決定し、決定された閾値に基づいて閾値処理を行うことにより各ピクセルの動きの有無を感知し、それに基づいて動き感知映像を生成することができる。動き感知のための閾値が過度に低く設定される場合、動き感知敏感度が高くなってノイズ低減水準が落ち、反対に閾値が過度に高く設定される場合、動き感知敏感度が低くなってモーションブラー(引き現象)が現れ得る。X線映像は、互いに異なる線量条件と被写体特性下で獲得されるため、獲得映像のピクセル値を予測し難く、ピクセル値により適切な閾値を設定することが必要である。本発明の実施形態では、ノイズ安定化の後に差分映像を生成するため、動きの有無を判断するための閾値の決定において特に有利である。
【0052】
図5は停止状態である被写体の同一の入力映像(前フレームと現フレーム)に対して原信号の差分映像のピクセル値の分布とアンスコム変換後に得られた差分映像のピクセル値の分布を比較して示す。図5の(a)は原信号から得られた差分映像のピクセル値分布を示すグラフであり、図5の(b)は原信号のアンスコム変換後に得られた差分映像のピクセル値分布を示すグラフである。図5のグラフで横軸(x軸)はピクセル値(強度)を示し、縦軸(y軸)は前フレーム映像と現フレーム映像の同一位置のピクセルのピクセル値差を示す。停止状態の被写体であるため、任意のx値が有するy軸方向のデータ分布がノイズであるとすることができ、y軸方向のデータ分布がノイズ値以上である場合、動きが発生したピクセルと推定することができる。
【0053】
例えば原信号の差分映像の分布でピクセル値が500である場合、動き判断のための閾値は100程度が適当であり、ピクセル値が2200である場合、閾値は170程度が適当である。このようにピクセル値により動き判断のための適切な閾値に大きい差が発生するため、閾値の決定に困難がある。これに反し、図5の(b)のようにアンスコム変換された信号の差分映像の分布では、ピクセル値が500である場合、閾値は5程度が適当であり、ピクセル値が2200である場合、閾値は4程度が適当である。このようにアンスコム変換された信号を差分して差分映像を生成するとピクセル値に応じた適切な閾値の差が非常に小さくなって閾値の決定が非常に容易になる。この時、例えば、閾値は、特定のピクセル値に対してピクセル値差の分布のほぼ上位70~80%範囲に属する値で設定され得る。
【0054】
なお、アンスコム変換された信号から差分データを算出しても全てのピクセル値により同一の閾値を適用するには若干の偏差が依然として存在する。この点を勘案して適応的閾値処理(adaptive thresholding)を通じて全体ピクセル値に対するノイズ偏差をより公平に補正することができる。ピクセル値により差分値が非線形的に変わる理由はアンスコム変換の数学的特性のためである。
【0055】
図6は各ピクセル値のアンスコム変換後の値を示すグラフであり、図6のグラフからピクセル値が大きくなるほどアンスコム変換値の差が減少することが分かる。例えば、図6でピクセル値がa1(5,000)、a2(10,000)、b1(25,000)、b2(30,000)である場合、アンスコム変換されたデータは、それぞれZ(a1)(141.43)、Z(a2)(200.00)、Z(b1)(316.23)、Z(b2)(346.41)である。この時、ピクセル値がa1からa2に変わる時とb1からb2に変わる時、ピクセル値の差(Δk)は5,000で同一であるが、ピクセル値がa1からa2に変わる時のアンスコム変換データの差は58.57(=200.00-141.43)であり、ピクセル値がb1からb2に変わる時のアンスコム変換データの差は30.18(=346.41-316.23)に減少する。
【0056】
本発明の実施形態では、このようなアンスコム変換の特性を補完するために、事前に実験的にピクセル値に応じた閾値基準曲線を予め決定し、ピクセル値により適応的閾値処理を行う。図7図5のアンスコム変換後に得られた差分映像のピクセル値分布データにおいて任意のピクセル値に適切な閾値をサンプリングした後に傾向線を描いた結果を示すグラフである。傾向線を

形態の累乗形態で表現し、図7では

を閾値基準曲線として用いた。
【0057】
つまり、本発明の実施形態では、差分映像の各ピクセルのピクセル値の大きさにより大きさが変わる適応的閾値を適用する。例えば、動き判定のための閾値はピクセルのピクセル値が増加するほど小さくなるように設定され得る。
【0058】
閾値処理ユニット15は、差分映像の各ピクセルに対してピクセル値が予め定められた閾値以上であれば動きがあるピクセルであると判断して当該ピクセルに動きを示す判定値、例えば「0」を割り当て、これとは異なり、ピクセル値が閾値より小さければ動きがないピクセルであると判断して当該ピクセルに動きがないことを示す判定値、例えば「1」を割り当てることができる。閾値処理ユニット15は、差分映像の全てのピクセルに対して閾値を利用したこのような動き判断を行い、その結果に応じた判定値を当該ピクセルに割り当てて動き感知映像を生成する。閾値処理ユニット15は、このような方式で差分映像と閾値基準曲線を利用して動き感知映像を生成する。そのために動き感知映像は、入力されたフレーム映像と同一のピクセルを有し、各ピクセル別に動きの有無に対する値を有する。
【0059】
一方、本発明の他の実施形態では、ピクセル単位で閾値処理が行われるのではなく、複数の隣接ピクセルを含むマスク単位で閾値処理が行われることもできる。例えば、中心ピクセルを囲む3*3、9個のピクセルを含むマスクを設定し、当該マスク内のピクセルの平均値または中間値と閾値を比較して当該中心ピクセルの動きの有無を判断することができる。このような方法でマスクを移りながらマスク単位で動き判断が行われ得、それに基づいて動き感知映像が生成され得る。マスク単位で閾値処理を行うことにより特定のピクセルにノイズが含まれている場合に該当ノイズが減少され得る。
【0060】
前述した通り閾値処理ユニット15を通じて各ピクセルに対する動きの有無を判断して動きがあると判断されたピクセルと動きがないと判断されたピクセルに異なる値を割り当てることにより、差分映像の全てのピクセルは予め定められた二つの値、例えば0または1のうちの一つの値を有するようになる。このように得られた映像はを全てのピクセルの動きの有無に対する情報を含み、このような意味でこの映像を動き感知映像であると称することができる。
【0061】
図9は前フレーム映像と現フレーム映像でハンドファントムを右側から左側に動いた時に出力される動き感知映像の例を示す。図9の(a)はハンドファントムを含む前フレーム映像を示し、図9の(b)はハンドファントムを右側から左側に動いた状態である現フレーム映像を示す。図9の(c)は差分映像の各ピクセルに対する動き感知結果を見せる出力される動き感知映像を示す。
【0062】
図9の(c)を参照すると、白色で表示された領域が動きが感知されたピクセルを示し、実際に動きがあるハンドファントム内で前フレームと対比が大きい領域(骨領域の周縁)は動きで感知され、前フレームと対比が小さい領域(皮膚領域、ツール領域)は動きで感知されないことが分かる。そのために後続過程で最終出力映像の生成時、動きがある部分は現フレームを中心に更新し、残りの部分は平均を取れば、ノイズは減り、エッジは強化されて鮮鋭度が向上し、モーションブラーを防止する効果を得ることができる。
【0063】
一方、図12は、本発明の他の実施形態に係る動き感知映像を生成する方法を示す。前述した実施形態で映像のノイズ水準に応じた閾値処理を通じた動き感知映像を生成したにもかかわらず、動き感知映像にノイズ成分が残っていることがあるため、この実施形態では追加的なノイズ低減処理が行われる。
【0064】
この実施形態では、被写体と背景を分離した後、背景領域を動き感知映像から除く方法で残っているノイズを除去する。現フレーム映像で実験的に閾値を適用したり人工知能学習を通じて被写体を除去した背景映像を生成し、前述した実施形態による生成された動き感知映像と生成された背景映像を合算演算または掛け算演算を行ってノイズ成分が除去された動き感知映像を生成する。これにより背景に残っているノイズ成分は除去し、被写体の動きに対する情報のみを含む動き感知映像が生成され得る。このような方法は、動き感知閾値を低める場合、映像全体のノイズ水準は小さく増加しながら、被写体の動きは敏感に感知することができるという利点を有する。
【0065】
一方、本発明の他の実施形態では、動き感知のための閾値を設定時に背景と被写体領域を区分して互いに異なる閾値を適用して二つの動き感知映像を生成した後、生成された二つの動き感知映像を併合して最終的な動き感知映像を生成することもできる。
【0066】
動き確率映像生成ユニット16は、動き感知結果に基づいて時間順で別途のメモリに累積させて動き確率映像を生成する。動き確率映像は、最終出力映像を生成するための前フレーム映像と現フレーム映像の適切な混合比率を決定するために利用される。
【0067】
図10は、動き感知映像を利用して動き確率映像を生成する方法を示す図面である。動き確率映像生成ユニット16は、前記動き感知を通じて得られた動き感知映像を別個の独立したメモリに毎フレームごとに時間順で累積的に保存して動き確率映像を生成し、更新することができる。図10の左側のイメージは累積した動き感知映像を示し、右側は動き感知映像の合算により得られる動き確率映像を示す。前フレームの動き確率映像と現フレームの動き感知映像の同一ピクセルの値をそれぞれ合算して現フレームの動き確率映像を生成することができる。つまり、特定フレームの動き確率映像は当該フレームまで得られた全ての動き感知映像の同一ピクセルのピクセル値の合算により得られた映像になる。例えば、図10を参照すると、現フレームが4番目フレームである場合、現在までの4個のフレームで得られた動き感知映像において同一ピクセルの値の合計が現フレームの動き確率映像の同一ピクセルの値になる。
【0068】
動き感知映像で動きがあると判断されたピクセルの値を「0」にして明るく表現し、動きがないと判断されたピクセルの値を「1」にして暗く表現した場合、動き確率映像の各ピクセルは当該ピクセルの動き感知値(0または1)の合計に該当する値を有するようになり、動き判断回数により異なる値、つまり、異なる明るさを有するようになる。例えば、10個のフレームからなる動き確率映像を仮定する場合、当該動き確率映像は10個の動き感知映像の合算により得られ、動き確率映像の各ピクセルは0から10の間の値のうちのいずれか一つを有するようになる。ここで、全ての動き感知映像の同一ピクセルの値が全て0である場合、動き確率映像の当該ピクセルは0の値を有し、全ての動き感知映像の同一ピクセルの値が全て1である場合、動き確率映像の当該ピクセルは10の値を有する。これにより、図10に示されたように動き確率映像の各ピクセルは当該フレームまでの動き感知映像の同一ピクセルの動き感知回数に応じたピクセル値、つまり、明るさを有する。
【0069】
このような意味で生成された動き確率映像においてピクセル値が明るいほど動き確率が高く、暗いほど動き確率が低いとみることができる。例えば、同一のピクセル位置において時間順でフレームが進行される間に動きが感知される場合、動き確率が高くなり、動きが感知されなければ動き確率は低くなる。
【0070】
動き確率映像の各ピクセルの値は、当該ピクセルの動きの程度、動きの確率値を示す。つまり、動きがある場合「0」、動きがない場合「1」の判定値が割り当てられると、動き確率映像のピクセル値が小さいほど当該ピクセルの動き確率が大きいことを意味する。
【0071】
図11にはフレームの進行により入力映像に応じた動き感知映像および動き確率映像の生成過程の例が示されている。各フレームのフレーム映像と前フレーム映像との差分により動き感知映像が生成され、再び動き感知映像と前フレームの動き感知映像との合算により動き確率映像が生成され得る。
【0072】
出力映像生成ユニット17は、現フレーム映像と前フレーム映像とを混合して出力映像を生成する。ここで現フレーム映像は、ノイズ低減ユニット12によりノイズが低減された状態の現フレーム映像であり得、前フレーム映像は、前フレーム出力映像またはノイズ低減ユニット12によりノイズが低減された前フレーム出力映像であり得る。この時、出力映像生成ユニット17は、動き確率映像に基づいて現フレーム映像と前フレームの出力映像とを適切な混合比率で混合して最終出力映像を生成する。動き確率映像の各ピクセルの値が動きを示す程度が大きいほど、現フレーム映像の反映比率が相対的に大きくなるように設定され得る。つまり、動き確率映像に含まれているピクセル値により決定される動き確率が高いほど、現フレームの加重値が高くなるように混合比率を決定することができる。例えば、ピクセル単位で動き確率映像のピクセル値が動きを示す程度が大きいほど、現フレーム映像の反映比率が線形的に増加するように反映比率が決定され得る。
【0073】
具体的な例として、動きが多いピクセルに対しては、現フレーム映像の当該ピクセルに予め定められた加重値(α)、例えば0.8を付与し、累積した前フレームまでの出力映像の当該ピクセルに加重値(1-α)、例えば0.2の加重値を付与し、全てのピクセルに対してこのような混合過程を行うことにより、現フレーム映像と前フレーム出力映像とを混合することができる。一方、動きが少ないピクセルに対しては、現フレーム映像の当該ピクセルに予め定められた加重値(α)、例えば0.2を付与し、累積した前フレーム映像の当該ピクセルに加重値(1-α)、例えば0.8の加重値を付与して現フレーム映像と前フレーム出力映像とを混合することができる。動きが多いピクセルに対して現フレームの加重値が高くなればモーションブラーがない映像を得ることができる。その結果、最終出力映像は動き確率に基づいて動きが多いピクセルは現フレームの値をより多く反映して更新し、動きが少ないピクセルは前フレームの値をより多く反映して更新することにより、時間によりフレームが累積しながらノイズ低減性能が向上することができる。
【0074】
最終的にノイズが低減された映像を出力した後にはその結果がメモリに保存され、次のフレームの出力映像の生成時、前フレーム映像で使用されてリカーシブフィルタリング構造が具現される。
【0075】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、本発明の実施形態から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等なものと認められる範囲の全ての変更および修正を含む。
【符号の説明】
【0076】
10:映像処理装置
11:映像入力ユニット
12:ノイズ低減ユニット
13:ノイズ安定化ユニット
14:差分ユニット
15:閾値処理ユニット
16:動き確率映像生成ユニット
17:出力映像生成ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12