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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174719
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20231201BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231201BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231201BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231201BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231201BHJP
   H05B 33/14 20060101ALN20231201BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 660U
G09G3/20 621A
G09G3/20 611G
G09G3/20 624B
G09G3/20 611A
G09G3/20 612U
G09G3/20 660V
H10K59/12
H01L29/78 618B
H01L29/78 618Z
H01L29/78 612Z
H05B33/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168649
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2023134578の分割
【原出願日】2010-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2009242757
(32)【優先日】2009-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2009278997
(32)【優先日】2009-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
5F110
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA07
3K107AA08
3K107AA09
3K107BB01
3K107CC14
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3K107FF04
3K107HH02
3K107HH05
5C080AA06
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5C080DD06
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5C080FF11
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5C080GG15
5C080GG17
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5C080JJ04
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5C080JJ06
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5C080KK07
5C080KK08
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5C380AB11
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5C380AB13
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5C380HA07
5C380HA13
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5F110CC09
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5F110DD17
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5F110EE24
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5F110EE44
5F110EE48
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5F110FF03
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5F110FF28
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5F110HK01
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5F110HK03
5F110HK04
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5F110HK33
5F110HK42
5F110HL01
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5F110HL03
5F110HL04
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5F110HL07
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5F110HL12
5F110HL23
5F110HM03
5F110HM04
5F110HM12
5F110NN03
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5F110NN12
5F110NN22
5F110NN23
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5F110NN25
5F110NN27
5F110NN33
5F110NN34
5F110NN36
5F110NN40
5F110NN71
5F110NN73
5F110PP01
5F110PP02
5F110PP10
5F110PP13
5F110QQ02
5F110QQ08
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】消費電力が抑制された表示装置を提供することを課題の一とする。また、消費電
力が抑制された自発光型の表示装置を提供することを課題の一とする。また、暗所でも長
時間の利用が可能な、消費電力が抑制された自発光型の表示装置を提供することを課題の
一とする。
【解決手段】高純度化された酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで回路を構成し、画
素が一定の状態(映像信号が書き込まれた状態)を保持することを可能とする。その結果
、静止画を表示する場合にも安定した動作が容易になる。また、駆動回路の動作間隔を長
くできるため、表示装置の消費電力を低減できる。また、自発光型の表示装置の画素部に
蓄光材料を適用し、発光素子の光を蓄えれば、暗所でも長時間の利用が可能になる。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、酸化物半導体層を有し、
前記スイッチング用トランジスタのオフ電流は、1×10-13A以下である、
表示装置。
【請求項2】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、酸化物半導体層を有し、
前記スイッチング用トランジスタのオフ抵抗率は、1×10Ω・m以上である、
表示装置。
【請求項3】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、第1のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上の第2のゲート電極層と、を有し、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層には、同じ電位が与えられ、
前記スイッチング用トランジスタのオフ電流は、1×10-13A以下である、
表示装置。
【請求項4】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、第1のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上の第2のゲート電極層と、を有し、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層には、同じ電位が与えられ、
前記スイッチング用トランジスタのオフ抵抗率は、1×10Ω・m以上である、
表示装置。
【請求項5】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記駆動用トランジスタは、前記画像信号に応じた電流を前記発光素子に流す機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、酸化物半導体層を有し、
前記スイッチング用トランジスタのオフ電流は、1×10-13A以下である、
表示装置。
【請求項6】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記駆動用トランジスタは、前記画像信号に応じた電流を前記発光素子に流す機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、酸化物半導体層を有し、
前記スイッチング用トランジスタのオフ抵抗率は、1×10Ω・m以上である、
表示装置。
【請求項7】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記駆動用トランジスタは、前記画像信号に応じた電流を前記発光素子に流す機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、第1のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上の第2のゲート電極層と、を有し、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層には、同じ電位が与えられ、
前記スイッチング用トランジスタのオフ電流は、1×10-13A以下である、
表示装置。
【請求項8】
画素部に静止画が表示されている期間に、前記画素部への画像信号の書き込みを行う頻度を低減する機能を有する表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、を画素に有し、
前記スイッチング用トランジスタは、前記画素への前記画像信号の入力を制御する機能を有し、
前記駆動用トランジスタは、前記画像信号に応じた電流を前記発光素子に流す機能を有し、
前記スイッチング用トランジスタは、第1のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層上の酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上の第2のゲート電極層と、を有し、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層には、同じ電位が与えられ、
前記スイッチング用トランジスタのオフ抵抗率は、1×10Ω・m以上である、
表示装置。
【請求項9】
請求項1、請求項3、請求項5及び請求項7のいずれか一において、
前記オフ電流は、ドレイン電圧が1V及び10Vの場合において、ゲート電圧が-5Vから-20Vの範囲において測定されたものである、
表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系、In-Sn-Zn-O系、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-O系、In-Zn-O系、In-Sn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Zn-O系、In-O系、Sn-O系及びZn-O系のいずれか一である、
表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一において、
前記静止画の表示を行う連続する複数のフレーム期間において、前記画素に書き込まれる画像信号は変化しない、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、表示装置及び表示装置を有する電子機器に関する。特に、酸化物半導
体を用いた電界効果型トランジスタと発光素子により構成される表示装置及び表示装置を
有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を
構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタは液晶テレビに代表されるような表示
装置に用いられている。薄膜トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導
体材料が公知であるが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0003】
酸化物半導体の材料としては、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を成分とするものが知られている。
そして、電子キャリア濃度が1018/cm未満である非晶質酸化物(酸化物半導体)
なるもので形成された薄膜トランジスタが開示されている(特許文献1乃至3)。
【0004】
酸化物半導体を用いた電界効果型トランジスタは例えば表示装置に適用できる。表示装置
には、光を発して画像を表示する自発光型の表示装置と、バックライトからの光を選択的
に一部透過して画像を表示する透過型の表示装置と、外光を反射して画像を表示する反射
型の表示装置がある。
【0005】
自発光型の表示装置及び透過型の表示装置の特徴は外光の影響を受けにくく、発色が鮮や
かであり、映像の表現能力に長けている。
【0006】
反射型の表示装置の特徴は、光源を内蔵する必要がないため消費電力を抑制し易い点であ
る。もちろん表示画像を書き換えることができるため、印刷媒体を代替する電子ペーパー
として、省資源化を目指す社会において注目を集めている。
【0007】
しかし、外光が少ない環境において、反射型の表示装置は視認性が低下するため、その利
用には照明が必要となる。照明を利用すると、消費電力が少ないという反射型の表示装置
の特徴が損なわれてしまう。そこで、消費電力を抑制しつつ、暗所における視認性を高め
るために、蓄光性蛍光材料や蓄光材料など、外光を蓄える物質を反射型の表示装置に適用
する発明が開示されている(特許文献4、及び特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-165527号公報
【特許文献2】特開2006-165528号公報
【特許文献3】特開2006-165529号公報
【特許文献4】特開2006-3924号公報
【特許文献5】特開2008-116855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
酸化物半導体は薄膜形成工程において化学量論的組成からのずれが生じてしまう。例えば
、酸素の過不足によって酸化物半導体の電気伝導度が変化してしまう。また、酸化物半導
体の薄膜形成中に混入する水素が酸素(O)-水素(H)結合を形成して電子供与体とな
り、電気伝導度を変化させる要因となる。さらにO-Hは極性分子なので、酸化物半導体
によって作製される薄膜トランジスタのような能動デバイスに対して特性の変動要因とな
る。
【0010】
電子キャリア濃度が1018/cm未満としても、酸化物半導体においては実質的には
n型であり、前記特許文献に開示される薄膜トランジスタのオン・オフ比は10しか得
られていない。このような薄膜トランジスタのオン・オフ比が低い理由はオフ電流が高い
ことによるものである。
【0011】
オフ電流が高い薄膜トランジスタを表示装置の画素部に用いた場合、画素に印加した信号
電圧を保持するために容量を付加的に設ける必要が生じる。画素に容量を設けると画素の
開口率が低下し、表示装置の消費電力が大きくなるという課題がある。
【0012】
また、自発光型や透過型の表示装置の消費電力を低減するために、当該表示装置が有する
発光素子に供給するエネルギーを減らすと、表示が暗くなる、もしくは消えてしまう等、
表示品位に与える影響が著しい。
【0013】
また、前記特許文献に開示される蓄光材料を適用した反射型の表示装置は外光が少ない環
境でも低い消費電力で表示が可能であるが、あらかじめ外光を蓄光材料に照射して、蓄光
材料に光を蓄えておく必要があり、暗所での長期間の利用には適していない。
【0014】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがってその目的は、
消費電力が抑制された表示装置を提供することを課題の一とする。また、消費電力が抑制
された自発光型の表示装置を提供することを課題の一とする。また、暗所でも長時間の利
用が可能な、消費電力が抑制された自発光型の表示装置を提供することを課題の一とする
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一形態は、安定した電気的特性(例えば、オフ電流がきわめて低減されている)
を有する薄膜トランジスタを適用した自発光型の表示装置である。具体的には、酸化物半
導体中で電子供与体(ドナー)となる不純物を除去することで、真性又は実質的に真性な
半導体であって、シリコン半導体よりもエネルギーギャップが大きい酸化物半導体でチャ
ネル領域が形成される薄膜トランジスタによって発光素子の駆動回路を構成するものであ
る。
【0016】
すなわち、本発明の一形態は、酸化物半導体に含まれる水素が5×1019/cm以下
、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下とし
て、酸化物半導体に含まれる水素若しくはOH結合を除去し、キャリア濃度を1×10
/cm未満、好ましくは1×1012/cm以下とした酸化物半導体膜でチャネル
領域が形成される薄膜トランジスタによって発光素子の駆動回路を構成するものである。
【0017】
エネルギーギャップは2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以
上として、ドナーを形成する水素等の不純物を極力低減し、キャリア濃度を1×1014
/cm未満、好ましくは1×1012/cm以下となるようにする。
【0018】
このように高純度化された酸化物半導体は、薄膜トランジスタのチャネル形成領域に用い
ることで、チャネル幅が10mmの場合でさえも、ドレイン電圧が1V及び10Vの場合
において、ゲート電圧が-5Vから-20Vの範囲において、ドレイン電流は1×10
13A以下となるように作用する。
【0019】
また、本発明の一態様は自発光型の表示装置が有する駆動回路が消費する電力に着目した
。すなわち、当該駆動回路が動作する頻度を減らして、当該表示装置が消費する電力を抑
制すればよい。また、自発光型の表示装置の画素部に蓄光層を設け、蓄光層に発光素子が
発する光を蓄え、蓄光層が発する光が画像を表示している間、発光素子に供給するエネル
ギーを抑制し、表示装置の消費電力を抑制すればよい。
【0020】
すなわち、本発明の一態様は、画素にパルス状の直流電力を供給する電源線と、電源線か
ら電力が供給される発光素子と、電源線と発光素子を接続する回路の開閉を制御する第1
の薄膜トランジスタを有する。また、映像信号を供給する信号線と、信号線と第1の薄膜
トランジスタを接続する回路の開閉を制御する第2の薄膜トランジスタとを有する。前記
第2の薄膜トランジスタのチャネル形成領域は、バンドギャップが2eV以上であり、水
素濃度が5×1019/cm以下である酸化物半導体で形成されている。チャネル幅1
μmあたりのオフ電流が1×10-16A/μm以下に抑制された第2の薄膜トランジス
タが第1の薄膜トランジスタのオン状態を保持し、前記電源線と前記発光素子を接続して
静止画像を表示する表示装置である。
【0021】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層のキャリア濃度が1×1014/cm未満で
ある上記の表示装置である。
【0022】
また、本発明の一態様は、静止画像の表示期間中に、走査線信号の出力が停止する期間を
有する上記の表示装置である。
【0023】
また、本発明の一態様は、発光素子が一対の電極と、一対の電極間に発光性の有機物質を
含む層を有する上記の表示装置である。
【0024】
また、本発明の一態様は、画素に蓄光層を有する上記の表示装置である。
【0025】
また、本発明の一態様は、上記表示装置を具備する電子機器である。
【0026】
なお、本明細書において、蓄光材料とは外光などの外部からのエネルギーを吸収して、比
較的安定であって寿命の長い励起子を生成する材料であって、当該励起子が比較的長い期
間に渡って発光を伴って失活する材料全般をいう。寿命が長い励起子が蓄えられた蓄光材
料は、外部からのエネルギーが途絶えた後も発光を継続する。
【0027】
なお、本明細書において、画素とは、表示装置の各画素に設けられた各素子、例えば薄膜
トランジスタ、画素電極として機能する電極、及び配線等の電気的な信号により表示を制
御するための素子で構成される素子群、のことをいう。なお画素は、カラーフィルタ等を
含むものであっても良く、一画素によって、明るさを制御できる色要素一つ分としてもよ
い。よって、一例として、RGBの色要素からなるカラー表示装置の場合には、画像の最
小単位は、Rの画素とGの画素とBの画素との三画素から構成されるものとなり、複数の
画素によって画像を得ることができるものとなる。
【0028】
なお、本明細書において、AとBとが接続されている、と記載する場合は、AとBとが電
気的に接続されている場合と、AとBとが直接接続されている場合とを含むものとする。
ここで、A、Bは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0029】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すもの
とする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一
態様である。
【0030】
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マ
トリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲス
ト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても
良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
【0031】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光
源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexib
le printed circuit)もしくはTAB(Tape Automate
d Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Packag
e)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けら
れたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glas
s)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むもの
とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一形態によれば、高純度化された酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで回路
を構成することで、表示装置が有する回路の動作を安定化させることができる。また、オ
フ電流が1×10-13A以下に低減されていることで、表示装置の画素に印加した信号
電圧を保持する容量を付加的に設ける必要がなくなる。すなわち、各画素に保持容量を設
けなくて済むので、開口率を向上させることができる。開口率が高まることで、発光素子
の駆動電圧が抑制され、表示装置の消費電力が低減される。
【0033】
また、本発明の一形態に係る薄膜トランジスタを用いた画素は、一定の状態(映像信号が
書き込まれた状態)を保持することが可能となるので、静止画を表示する場合にも安定し
た動作をすることができる。また、駆動回路の動作間隔を長くできるため、表示装置の消
費電力を低減できる。
【0034】
また、本発明の一形態によれば、外光が弱い環境下でも利用可能な表示装置を提供できる
。また、消費電力を抑制して画像を表示できる表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施の形態に係わる画素の上面図及び断面図。
図2】実施の形態に係わる表示装置の構成を説明する図。
図3】実施の形態に係わる画素への書き込み期間と保持期間を説明する図。
図4】実施の形態に係わる画素の上面図及び断面図。
図5】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの上面図及び断面図。
図6】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図7】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの上面図及び断面図。
図8】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図9】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの断面図。
図10】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図11】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図12】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図13】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの作製工程を説明する図。
図14】実施の形態に係わる薄膜トランジスタの断面図。
図15】実施の形態に係わる画素の等価回路を説明する図。
図16】実施の形態に係わる画素の断面図。
図17】実施の形態に係わる発光装置の断面図。
図18】実施の形態に係わる画素の断面図。
図19】実施の形態に係わる電子機器を説明する図。
図20】実施の形態に係わる電子機器を説明する図。
図21】酸化物半導体を用いた逆スタガ型の薄膜トランジスタの縦断面図。
図22図21に示すA-A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)。
図23】(A)ゲート(G1)に正の電位(+VG)が印加された状態を示し、(B)ゲート(G1)に負の電位(-VG)が印加された状態示す図。
図24】真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係を示す図。
図25】実施の形態に係わる表示装置の構成を説明するブロック図。
図26】実施の形態に係わる駆動回路、及びシフトレジスタの構成を説明する図。
図27】シフトレジスタの動作を説明するタイミングチャート。
図28】シフトレジスタの動作を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、高純度化された酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタと画素電極で
構成する画素の例を、図1及び図4を用いて以下に説明する。
【0038】
まず、画素の上面図について図1(A)に示す。なお図1(A)に示すTFTの構造は、
一例として、ボトムゲート型構造について示しており、ゲートとなる配線から見てチャネ
ル領域となる酸化物半導体層反対側に、TFTのソース電極及びドレイン電極となる配線
層を有する、いわゆる逆スタガ型の構成について示している。図1(A)に示す画素10
0は、走査線として機能する第1の配線101、信号線として機能する第2の配線102
A、酸化物半導体層103、容量線104、画素電極105を有する。また、酸化物半導
体層103と画素電極105とを電気的に接続するための第3の配線102Bを有し、薄
膜トランジスタ106が構成される。
【0039】
第1の配線101は薄膜トランジスタ106のゲートとして機能する配線でもある。第2
の配線102Aは、ソース電極またはドレイン電極の一方及び保持容量の一方の電極とし
て機能する配線でもある。第3の配線102Bは、ソース電極またはドレイン電極の他方
として機能する配線でもある。容量線104は、保持容量の他方の電極として機能する配
線である。なお第1の配線101と、容量線104とが同層に設けられ、第2の配線10
2Aと、第3の配線102Bとが同層に設けられる。また第3の配線102Bと容量線1
04とは、一部重畳して設けられており、発光素子の保持容量を形成している。なお、薄
膜トランジスタ106が有する酸化物半導体層103は、第1の配線101より分岐した
配線上にゲート絶縁膜(図示せず)を介して設けられている。
【0040】
また図1(B)には、図1(A)における一点鎖線A1-A2間の断面構造について示し
ている。図1(B)に示す断面構造で、基板111上には、下地膜112を介して、ゲー
トである第1の配線101、容量線104が設けられている。第1の配線101及び容量
線104を覆うように、ゲート絶縁膜113が設けられている。ゲート絶縁膜113上に
は、酸化物半導体層103が設けられている。酸化物半導体層103上には、第2の配線
102A、第3の配線102Bが設けられている。また、酸化物半導体層103、第2の
配線102A、及び第3の配線102Bの上には、パッシベーション膜として機能する酸
化物絶縁層114が設けられている。酸化物絶縁層114には開口部が形成されており、
開口部において画素電極105と第3の配線102Bとの接続がなされる。また、第3の
配線102Bと容量線104とは、ゲート絶縁膜113を誘電体として容量素子を形成し
ている。
【0041】
また図1(C)には、図1(A)の一点鎖線B1-B2の断面図について示しており、容
量線104と第2の配線102Aとの間に絶縁層121を有する構成について示している
【0042】
第1の配線101及び容量線104上に第2の配線102Aを設ける場合、ゲート絶縁膜
113の膜厚によっては、第1の配線101と第2の配線102A、及び容量線104と
第2の配線102A、の間に寄生容量が生じることとなる。そのため、図1(C)に示す
ように、絶縁層121を設けることで寄生容量を低減し、誤動作等の不良を低減すること
ができる。
【0043】
なお、図1(A)乃至(C)に示す画素は、図2に示すように、基板200上に複数の画
素201がマトリクス状に配置されるものである。図2では、基板200上には、画素部
202、走査線駆動回路203、及び信号線駆動回路204を有する構成について示して
いる。画素201は、走査線駆動回路203に接続された第1の配線101によって供給
される走査信号により、各行ごとに選択状態か、非選択状態かが決定される。また走査信
号によって選択されている画素201は、信号線駆動回路204に接続された第2の配線
102Aによって、第2の配線102Aからビデオ電圧(映像信号、画像信号、ビデオ信
号、ビデオデータともいう)が供給される。
【0044】
図2では、走査線駆動回路203、信号線駆動回路204が基板200上に設けられる構
成について示したが、走査線駆動回路203または信号線駆動回路204のいずれか一が
基板200上に設けられる構成としてもよい。また画素部202のみを基板200上に設
ける構成としても良い。
【0045】
図2で画素部202には、複数の画素201がマトリクス上に配置(ストライプ配置)す
る例について示している。なお、画素201は必ずしもマトリクス上に配置されている必
要はなく、例えば、画素201をデルタ配置、またはベイヤー配置してもよい。また画素
部202における表示方式はプログレッシブ方式、インターレース方式のいずれかを用い
ることができる。なお、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(R
は赤、Gは緑、Bは青)の三色に限定されず、それ以上でもよく、例えば、RGBW(W
は白)、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタなどを一色以上追加したものなどが
ある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。
【0046】
図2において、第1の配線101及び第2の配線102Aは画素の行方向及び列方向の数
に応じて示している。また画素間で第1の配線101及び第2の配線102Aを共有して
画素201を駆動する構成としても良い。
【0047】
なお、図1(A)ではTFTの第2の配線102Aの形状を矩形状であるものとして示し
ているが、第3の配線102Bを囲む形状(具体的には、U字型またはC字型)とし、キ
ャリアが移動する領域の面積を増加させ、薄膜トランジスタの導通時に流れる電流(オン
電流ともいう)の量を増やす構成としてもよい。
【0048】
なお本明細書で説明するオン電流とは、薄膜トランジスタがオン状態(導通状態ともいう
)のときに、ソースとドレインの間に流れる電流をいう。nチャネル型の薄膜トランジス
タでは、ゲートとソースとの間に印加される電圧が閾値電圧(Vth)よりも大きい場合
に、ソースとドレインとの間を流れる電流のことをいう。
【0049】
なお開口率とは、単位面積に対し、光が通過する領域の面積の比率について表したもので
あり、光を透過しない部材が占める領域が広くなると、開口率が低下し、光を透過する部
材が占める領域が広くなると開口率が向上することとなる。表示装置では、画素電極に重
畳する配線、容量線の占める面積、及び薄膜トランジスタのサイズを小さくすることで開
口率が向上することとなる。
【0050】
特に自発光型の表示装置においては、観察者が表示装置の表示に対峙した位置から観察し
うる発光素子の発光面積が、画素面積に占める割合を開口率という。
【0051】
なお、薄膜トランジスタは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端
子を有する素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有しており、ド
レイン領域とチャネル領域とソース領域とを介して電流を流すことが出来る。ここで、ソ
ースとドレインとは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソ
ースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソース及びドレイン
として機能する領域を、ソースもしくはドレインと呼ばない場合がある。その場合、一例
としては、それぞれを第1端子、第2端子と表記する場合がある。あるいは、それぞれを
第1電極、第2電極と表記する場合がある。あるいは、第1領域、第2領域と表記する場
合がある。
【0052】
次いで、酸化物半導体層103について説明する。
【0053】
本実施の形態で用いる酸化物半導体は水素若しくはOH結合が除去され、当該酸化物半導
体に含まれる水素は5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、
より好ましくは5×1017/cm以下である。そして、キャリア濃度を1×1014
/cm未満、好ましくは1×1012/cm以下とした酸化物半導体膜をチャネル形
成領域に適用して、薄膜トランジスタを構成する。なお、酸化物半導体層中の水素濃度測
定は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Sp
ectroscopy)で行えばよい。
【0054】
酸化物半導体のエネルギーギャップは2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ま
しくは3eV以上として、ドナーを形成する水素等の不純物を極力低減し、キャリア濃度
を1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm以下となるようにする。
即ち、酸化物半導体層のキャリア濃度は、限りなくゼロにする。
【0055】
このように酸化物半導体層に含まれる水素を徹底的に除去することにより高純度化された
酸化物半導体層を、薄膜トランジスタのチャネル形成領域に用いることで、オフ電流値が
極めて小さい薄膜トランジスタを提供できる。
【0056】
例えば、高純度化された酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタのチャネル長が3μm
、チャネル幅が10mmの場合であっても、ドレイン電圧が1V及び10Vの場合におい
て、ゲート電圧が-5Vから-20Vの範囲(オフ状態)において、ドレイン電流は1×
10-13A以下となるように作用する。
【0057】
高純度化された酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタの特性について、図21乃至図
24を用いて説明する。図21は、酸化物半導体を用いた逆スタガ型の薄膜トランジスタ
の縦断面図を示す。ゲート電極(GE1)上にゲート絶縁膜(GI)を介して酸化物半導
体層(OS)が設けられ、その上にソース電極(S)及びドレイン電極(D)が設けられ
ている。
【0058】
図22は、図21に示すA-A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示す。図
22(A)はソースとドレインの間の電圧を等電位(VD=0V)とした場合を示し、図
22(B)はソースに対しドレインに正の電位(VD>0V)を加えた場合を示す。
【0059】
図23は、図21におけるB-B’の断面におけるエネルギーバンド図(模式図)である
図23(A)はゲート(G1)に正の電位(+VG)が印加された状態であり、ソース
とドレインの間にキャリア(電子)が流れるオン状態を示している。また、図23(B)
は、ゲート(G1)に負の電位(-VG)が印加された状態であり、オフ状態(少数キャ
リアは流れない)である場合を示す。
【0060】
図24は、真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係
を示す。
【0061】
従来の酸化物半導体は一般にn型であり、その場合のフェルミ準位(Ef)は、バンドギ
ャップ中央に位置する真性フェルミ準位(Ei)から離れて、伝導帯寄りに位置している
。なお、酸化物半導体において水素の一部はドナーとなり、n型化する一つの要因となり
うることが知られている。
【0062】
これに対して本発明に係る酸化物半導体は、n型不純物である水素を酸化物半導体から除
去し、酸化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することによ
り真性(i型)とし、又は真性型とせんとしたものである。すなわち、水素や水等の不純
物を極力除去したことにより、高純度化されたi型(真性半導体)又はそれに近づけるこ
とを特徴としている。そうすることにより、フェルミ準位(Ef)は真性フェルミ準位(
Ei)と同じレベルにまですることができる。
【0063】
酸化物半導体のバンドギャップ(Eg)が3.15eVである場合、電子親和力(χ)は
4.3eVと言われている。ソース電極及びドレイン電極を構成するチタン(Ti)の仕
事関数は、酸化物半導体の電子親和力(χ)とほぼ等しい。この場合、金属-酸化物半導
体界面において、電子に対してショットキー型の障壁は形成されない。
【0064】
すなわち、金属の仕事関数(φM)と酸化物半導体の電子親和力(χ)がほぼ等しい場合
、両者が接触すると図22(A)で示すようなエネルギーバンド図(模式図)が示される
【0065】
図22(B)において黒丸(●)は電子を示し、ドレインに正の電位が印加されると、電
子はバリア(h)をこえて酸化物半導体に注入され、ドレインに向かって流れる。この場
合、バリア(h)の高さは、ゲート電圧とドレイン電圧に依存して変化するが、正のドレ
イン電圧が印加された場合には、電圧印加のない図22(A)のバリアの高さすなわちバ
ンドギャップ(Eg)の1/2よりもバリアの高さ(h)は小さい値となる。
【0066】
このとき電子は、図23(A)で示すようにゲート絶縁膜と高純度化された酸化物半導体
との界面における、酸化物半導体側のエネルギー的に安定な最低部を移動する。
【0067】
また、図23(B)において、ゲート電極(G1)に負の電位が印加されると、少数キャ
リアであるホールは実質的にゼロであるため、電流は限りなくゼロに近い値となる。
【0068】
例えば、薄膜トランジスタのチャネル幅Wが1×10μmでチャネル長が3μmの素子
であっても、オフ電流が10-13A以下であり、サブスレッショルドスイング値(S値
)が0.1V/dec.(ゲート絶縁膜厚100nm)が得られる。
【0069】
このように、酸化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化するこ
とにより、薄膜トランジスタの動作を良好なものとすることができる。
【0070】
このように、オフ状態における電流値(オフ電流値)が極めて小さい薄膜トランジスタを
用いて、記憶回路(記憶素子)などを作製した場合、オフ電流値が小さくほとんどリーク
がないため、映像信号等の電気信号を保持する時間を長くすることができる。
【0071】
具体的には、上述の酸化物半導体層を具備する薄膜トランジスタは、チャネル幅1μmあ
たりのオフ電流を1×10-16A/μm以下とすること、さらには1aA/μm(1×
10-18A/μm)以下にすることが可能である。
【0072】
オフ状態における電流値(オフ電流値)が極めて小さいトランジスタを画素部のスイッチ
ング用トランジスタ(例えば図15のスイッチング用トランジスタ6401)として用い
ることにより、映像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができる。保持時間を長
くすることができるため、例えば、書き込みの間隔は10秒以上、好ましくは30秒以上
、さらに好ましくは1分以上10分未満とすることができる。書き込む間隔を長くすると
、消費電力を抑制する効果を高くできる。
【0073】
なお、トランジスタのオフ電流の流れ難さをオフ抵抗率として表すことができる。オフ抵
抗率とは、トランジスタがオフのときのチャネル形成領域の抵抗率であり、オフ抵抗率は
オフ電流から算出することができる。
【0074】
具体的には、オフ電流とドレイン電圧との値が分かればオームの法則からトランジスタが
オフのときの抵抗値(オフ抵抗R)を算出することができる。そして、チャネル形成領域
の断面積Aとチャネル形成領域の長さ(ソースドレイン電極間の距離に相当する)Lが分
かればρ=RA/Lの式(Rはオフ抵抗)からオフ抵抗率ρを算出することができる。
【0075】
ここで、断面積Aは、チャネル形成領域の膜厚をdとし、チャネル幅をWとするとき、A
=dWから算出することができる。また、チャネル形成領域の長さLはチャネル長Lであ
る。以上のように、オフ電流からオフ抵抗率を算出することができる。
【0076】
本実施の形態の酸化物半導体層を具備するトランジスタのオフ抵抗率は1×10Ω・m
以上が好ましく、さらに1×1010Ω・m以上がより好ましい。
【0077】
なお図15に示す画素構成は本実施の形態の一態様であり、例えば保持容量を駆動用トラ
ンジスタ6402のゲートと電源線6407の間に設けることもできる。該保持容量は、
一対の電極間に絶縁層を誘電体として挟んで構成すればよい。保持容量の大きさは、スイ
ッチング用トランジスタ6401のオフ電流等を考慮し、所定の期間の間電荷を保持でき
るように設定する。
【0078】
例えば低温ポリシリコンを具備する薄膜トランジスタでは、オフ電流が1×10-12
相当であると見積もって設計等行うこととなっている。そのため、酸化物半導体を有する
薄膜トランジスタでは、低温ポリシリコンを具備する薄膜トランジスタに比べて、保持容
量が同等(0.1pF程度)である際、電圧の保持期間を10倍程度に引き延ばすこと
ができる。また、アモルファスシリコンを具備するトランジスタの場合、チャネル幅1μ
mあたりのオフ電流は、1×10-13A/μm以上である。したがって、保持容量が同
等(0.1pF程度)である際、高純度の酸化物半導体を用いたトランジスタの方がアモ
ルファスシリコンを用いたトランジスタに比較して、電圧の保持期間を10倍以上に引
き延ばすことができる。
【0079】
一例として、通常、低温ポリシリコンを用いたトランジスタを有する画素では表示を60
フレーム/秒(1フレームあたり16msec)で行っている。これは静止画であっても
同じで、レートを低下させる(書き込みの間隔を伸ばす)と、画素の電圧が低下して表示
に支障をきたすためである。一方、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタを用い
た場合、オフ電流が小さいため、1回の信号書き込みによる保持期間を10倍の160
0秒程度とすることができる。
【0080】
以上のように本実施の形態の表示装置は少ない画像信号の書き込み回数で静止画の表示を
行うことができる。保持期間を長くとれるため、特に静止画の表示を行う際に、信号の書
き込みを行う頻度を低減することができる。そのため、低消費電力化を図ることができる
。例えば、一つの静止画像の表示期間に画素に書き込む回数は、1回またはn回とするこ
とができる。なお、nは2以上10回以下とする。こうして、表示装置の低消費電力化
を図ることができる。
【0081】
さらに、本実施の形態においては、静止画表示を行う際に、信号線や走査線に供給される
信号の出力を停止するように駆動回路部を動作させることにより、画素部だけでなく駆動
回路部の消費電力も抑制することができる。
【0082】
図3では、書き込み期間と保持期間(1フレーム期間ともいう)の関係について示してい
る。図3において、期間251、252が保持期間に相当し、期間261、262が書き
込み期間に相当する。前述の高純度化された酸化物半導体層を具備する薄膜トランジスタ
は、保持期間(期間251、期間252)を長く取ることができるため、特に静止画の表
示を行う際に、信号の書き込みを行う頻度を著しく低減することができる。このため、表
示の切り替えが少ない静止画等の表示では、画素への信号の書き込み回数を低減すること
ができるため、低消費電力化を図ることができる。
【0083】
なお、EL素子に接続された駆動トランジスタのゲートに印加されている電圧は、静止画
を表示している間に減衰するため、駆動トランジスタのゲートに印加されている電圧が保
持されている割合を考慮して、適宜リフレッシュ動作してもよい。例えば、駆動トランジ
スタのゲートに信号を書き込んだ直後における電圧の値(初期値)に対して所定のレベル
まで電圧が下がったタイミングでリフレッシュ動作を行えばよい。所定のレベルとする電
圧は、初期値に対してチラツキを感じない程度に設定することが好ましい。具体的には、
表示対象が映像の場合、初期値に対して1.0%低い状態、好ましくは0.3%低い状態
となる毎に、リフレッシュ動作(再度の書き込み)を行うのが好ましい。また、表示対象
が文字の場合、初期値に対して10%低い状態、好ましくは3%低い状態となる毎に、リ
フレッシュ動作(再度の書き込み)を行うのが好ましい。
【0084】
なお、保持容量を形成しない場合の画素の上面図及びその断面図の構成について図4(A
)、(B)に示す。図4(A)、(B)に示す構成は、図1(A)及び(B)における容
量線を省略した図に相当する。図4(A)に示す上面図、図4(B)に示す断面図からも
わかるように、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを用いることで、画素電極10
5が占める領域、すなわち開口率を向上することができる。また図4(B)に示す断面図
からもわかるように、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを用いることで、容量線
を削減し、そして画素電極105が占める領域を広げることができるため、すなわち開口
率を向上することができる。
【0085】
本実施の形態にように、高純度化された酸化物半導体層を用いた、オフ電流値が極めて小
さい薄膜トランジスタを画素部に適用することにより、画素部に保持容量を設けずとも画
像(特に動画)の表示が可能な表示装置を提供できる。また保持容量を設ける場合におい
ても、保持容量で電圧を保持できる期間を長く取ることができ、静止画等を表示する際の
消費電力が低減された表示装置を提供できる。さらに、開口率の向上を図ることによって
、高精細な表示部を有する表示装置を提供できる。
【0086】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの例を示す
。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ410は、実施の形態1の薄膜トランジスタ10
6として用いることができる。
【0088】
本実施の形態の薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法の一形態を、図5及び
図6を用いて説明する。
【0089】
図5(A)(B)に薄膜トランジスタの上面及び断面構造の一例を示す。図5(A)(B
)に示す薄膜トランジスタ410は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つである
【0090】
図5(A)はトップゲート構造の薄膜トランジスタ410の上面図であり、図5(B)は
図5(A)の線C1-C2における断面図である。
【0091】
薄膜トランジスタ410は、絶縁表面を有する基板400上に、絶縁層407、酸化物半
導体層412、ソース電極層又はドレイン電極層415a、及びソース電極層又はドレイ
ン電極層415b、ゲート絶縁層402、ゲート電極層411を含み、ソース電極層又は
ドレイン電極層415a、ソース電極層又はドレイン電極層415bにそれぞれ配線層4
14a、配線層414bが接して設けられ電気的に接続している。
【0092】
また、薄膜トランジスタ410はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0093】
以下、図6(A)乃至(E)を用い、基板400上に薄膜トランジスタ410を作製する
工程を説明する。
【0094】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。バリウムホ
ウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0095】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上
のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、ア
ルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている
。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用
的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用い
ることが好ましい。
【0096】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。また
、プラスチック基板等も適宜用いることができる。
【0097】
まず、絶縁表面を有する基板400上に下地膜となる絶縁層407を形成する。酸化物半
導体層と接する絶縁層407は、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウ
ム層、または酸化窒化アルミニウム層などの酸化物絶縁層を用いると好ましい。絶縁層4
07の形成方法としては、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いることができ
るが、絶縁層407中に水素が多量に含まれないようにするためには、スパッタリング法
で絶縁層407を成膜することが好ましい。
【0098】
本実施の形態では、絶縁層407として、スパッタリング法により酸化シリコン層を形成
する。基板400を処理室へ搬送し、水素及び水分が除去された高純度酸素を含むスパッ
タガスを導入しシリコン半導体のターゲットを用いて、基板400に絶縁層407として
、酸化シリコン層を成膜する。また基板400は室温でもよいし、加熱されていてもよい
【0099】
例えば、石英(好ましくは合成石英)を用い、基板温度108℃、基板とターゲットの間
との距離(T-S間距離)を60mm、圧力0.4Pa、高周波電源1.5kW、酸素及
びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1:1)雰囲気下でR
Fスパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する。膜厚は100nmとする。なお、
酸化シリコン膜を成膜するためのターゲットとして、石英(好ましくは合成石英)に代え
てシリコンターゲットを用いることができる。なお、スパッタガスとして酸素又は、酸素
及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0100】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ絶縁層407を成膜することが好ま
しい。絶縁層407に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0101】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜し絶
縁層407に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0102】
絶縁層407を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物など
の不純物が、濃度ppm程度、好ましくは濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用
いることが望ましい。
【0103】
スパッタリング法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法と、直
流電源を用いるDCスパッタリング法、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCス
パッタリング法がある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、
DCスパッタリング法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0104】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ
装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種
類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0105】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタリング法を用いるスパッ
タ装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRス
パッタリング法を用いるスパッタ装置がある。
【0106】
また、スパッタリング法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガ
ス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタリング法
や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法もある。
【0107】
また、絶縁層407は積層構造でもよく、例えば、基板400側から窒化シリコン層、窒
化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウム層などの窒化物絶縁
層と、上記酸化物絶縁層との積層構造としてもよい。
【0108】
例えば、酸化シリコン層と基板との間に水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパ
ッタガスを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン層を成膜する。この場合にお
いても、酸化シリコン層と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ窒化シリコン層を成
膜することが好ましい。
【0109】
窒化シリコン層を形成する場合も、成膜時に基板を加熱してもよい。
【0110】
絶縁層407として窒化シリコン層と酸化シリコン層とを積層する場合、窒化シリコン層
と酸化シリコン層を同じ処理室において、共通のシリコンターゲットを用いて成膜するこ
とができる。先に窒素を含むガスを導入して、処理室内に装着されたシリコンターゲット
を用いて窒化シリコン層を形成し、次に酸素を含むガスに切り替えて同じシリコンターゲ
ットを用いて酸化シリコン層を成膜する。窒化シリコン層と酸化シリコン層とを大気に曝
露せずに連続して形成することができるため、窒化シリコン層表面に水素や水分などの不
純物が吸着することを防止することができる。
【0111】
次いで、絶縁層407上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体膜を形成する
【0112】
また、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で絶縁層407が形成された基板
400を予備加熱し、基板400に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気するこ
とが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、
この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備加熱は、後に形成するゲート
絶縁層402の成膜前の基板400に行ってもよいし、後に形成するソース電極層又はド
レイン電極層415a及びソース電極層又はドレイン電極層415bまで形成した基板4
00にも同様に行ってもよい。
【0113】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、絶縁層407の表面に付着しているゴミを除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側に高周波電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を
改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いて
もよい。
【0114】
酸化物半導体膜はスパッタリング法により成膜する。酸化物半導体膜は、In-Ga-Z
n-O系非単結晶膜、In-Sn-Zn-O系、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-
Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-O系、In-Zn-O系、I
n-Sn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Zn-O系、In-O系、Sn-O系、Zn
-O系の酸化物半導体膜を用いる。本実施の形態では、酸化物半導体膜をIn-Ga-Z
n-O系酸化物半導体成膜用ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。また
、酸化物半導体膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガ
ス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタリング法により形成するこ
とができる。また、スパッタリング法を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%
以下含むターゲットを用いて成膜を行ってもよい。
【0115】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物な
どの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いること
が好ましい。
【0116】
酸化物半導体膜をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛を主成
分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のターゲット
の他の例としては、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲット(組成比
として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]、In:Ga:Zn
=1:1:0.5[atomic比])を用いることができる。また、In、Ga、及び
Znを含む酸化物半導体成膜用ターゲットとして、In:Ga:Zn=1:1:1[at
omic比]、又はIn:Ga:Zn=1:1:2[atomic比]の組成比を有する
ターゲットを用いることもできる。酸化物半導体成膜用ターゲットの充填率は90%以上
100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填率の高い酸化物半導体
成膜用ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0117】
酸化物半導体膜は、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、金属酸化物をターゲット
として基板400上に酸化物半導体膜を成膜する。処理室内の残留水分を除去するために
は、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポン
プ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、
ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて
排気した処理室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好
ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半
導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、酸化物半導体膜成膜時に基板を加熱
してもよい。
【0118】
成膜条件の一例としては、基板温度室温、基板とターゲットの間との距離を110mm、
圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素及びアルゴン(酸素流量15scc
m:アルゴン流量30sccm)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC
)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ゴミともいう)が軽減で
き、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体膜は好ましくは5nm以上30
nm以下とする。なお、適用する酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応
じて適宜厚みを選択すればよい。
【0119】
次いで、酸化物半導体膜を第1のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層4
12に加工する(図6(A)参照。)。また、島状の酸化物半導体層412を形成するた
めのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェ
ット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0120】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチン
グでもよく、両方を用いてもよい。
【0121】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CC
)など)が好ましい。
【0122】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(S
)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(H
Br)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガ
スを添加したガス、などを用いることができる。
【0123】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0124】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、ア
ンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)な
どを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0125】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる
【0126】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0127】
本実施の形態では、エッチング液として燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液を用いたウェット
エッチング法により、酸化物半導体膜を島状の酸化物半導体層412に加工する。
【0128】
本実施の形態では、酸化物半導体層412に、第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理の
温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。
ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒
素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化
物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。この第1の加熱処理に
よって酸化物半導体層412の脱水化または脱水素化を行うことができる。
【0129】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0130】
例えば、第1の加熱処理として、650℃~700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基
板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中
から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能と
なる。
【0131】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0132】
また、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、酸化物半導体膜
が結晶化し、微結晶膜または多結晶膜となる場合もある。例えば、結晶化率が90%以上
、または80%以上の微結晶の酸化物半導体膜となる場合もある。また、第1の加熱処理
の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、結晶成分を含まない非晶質の酸化物半
導体膜となる場合もある。また、非晶質の酸化物半導体の中に微結晶部(粒径1nm以上
20nm以下(代表的には2nm以上4nm以下))が混在する酸化物半導体膜となる場
合もある。
【0133】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を
取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0134】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する加熱処理は、酸化物半導体層成
膜後、酸化物半導体層上にソース電極及びドレイン電極を積層させた後、ソース電極及び
ドレイン電極上にゲート絶縁層を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0135】
次いで、絶縁層407及び酸化物半導体層412上に、導電膜を形成する。導電膜をスパ
ッタリング法や真空蒸着法で形成すればよい。導電膜の材料としては、Al、Cr、Cu
、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上
述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、マンガン、マグネシウム、ジル
コニウム、ベリリウム、トリウムのいずれか一または複数から選択された材料を用いても
よい。また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリ
コンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造
、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を成
膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、
タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカン
ジウム(Sc)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、もしくは窒
化膜を用いてもよい。
【0136】
第2のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層又はドレイン電極層415a、ソース電極層又はドレイン電
極層415bを形成した後、レジストマスクを除去する(図6(B)参照。)。なお、形
成されたソース電極層、ドレイン電極層の端部はテーパ形状であると、上に積層するゲー
ト絶縁層の被覆性が向上するため好ましい。
【0137】
本実施の形態ではソース電極層又はドレイン電極層415a、ソース電極層又はドレイン
電極層415bとしてスパッタリング法により膜厚150nmのチタン膜を形成する。
【0138】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層412は酸化物半導体層412が除去
されて、その下の絶縁層407が露出しないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を
適宜調節する。
【0139】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層412にはIn-Ga
-Zn-O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0140】
なお、第2のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層412は一部のみがエッチン
グされ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層又
はドレイン電極層415a、ソース電極層又はドレイン電極層415bを形成するための
レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット
法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0141】
第2のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。酸化物半導体層412上で隣り合うソース電極層の下
端部とドレイン電極層の下端部との間隔幅によって後に形成される薄膜トランジスタのチ
ャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を行う場合には、数
nm~数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultraviole
t)を用いて第2のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行う。超
紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成される薄膜トラ
ンジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、回路
の動作速度を高速化でき、さらにオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図るこ
とができる。
【0142】
次いで、絶縁層407、酸化物半導体層412、ソース電極層又はドレイン電極層415
a、ソース電極層又はドレイン電極層415b上にゲート絶縁層402を形成する(図6
(C)参照。)。
【0143】
ここで、不純物を除去することによりi型化又は実質的にi型化された酸化物半導体(高
純度化された酸化物半導体)は界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、ゲー
ト絶縁膜との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶
縁膜(GI)は、高品質化が要求される。
【0144】
例えば、μ波(2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高
い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲー
ト絶縁膜とが密接することにより、界面準位密度を低減して界面特性を良好なものとする
ことができるからである。
【0145】
また、高密度プラズマCVD装置により得られた絶縁膜は、一定した厚さの膜形成ができ
るため段差被覆性に優れている。また、高密度プラズマCVD装置により得られる絶縁膜
は、薄い膜の厚みを精密に制御することができる。
【0146】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング
法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理
によってゲート絶縁膜の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁膜であっても
良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化
物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0147】
さらに、85℃、2×10V/cm、12時間のゲートバイアス・熱ストレス試験(B
T試験)においては、不純物が酸化物半導体に添加されていると、不純物と酸化物半導体
の主成分との結合手が、強電界(B:バイアス)と高温(T:温度)により切断され、生
成された未結合手がしきい値電圧(Vth)のドリフトを誘発することとなる。これに対
して、本発明は、酸化物半導体の不純物、特に水素や水等を極力除去し、上記のようにゲ
ート絶縁膜との界面特性を良好にすることにより、BT試験に対しても安定な薄膜トラン
ジスタを得ることを可能としている。
【0148】
また、ゲート絶縁層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸
化シリコン層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することができる。
【0149】
ゲート絶縁層の形成は、高密度プラズマCVD装置により行う。ここでは、高密度プラズ
マCVD装置は、1×1011/cm以上のプラズマ密度を達成できる装置を指してい
る。例えば、3kW~6kWのマイクロ波電力を印加してプラズマを発生させて、絶縁膜
の成膜を行う。
【0150】
チャンバーに材料ガスとしてモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)と希ガ
スを導入し、10Pa~30Paの圧力下で高密度プラズマを発生させてガラス等の絶縁
表面を有する基板上に絶縁膜を形成する。その後、モノシランガスの供給を停止し、大気
に曝すことなく亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面にプラズマ処理を
行ってもよい。少なくとも亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面に行わ
れるプラズマ処理は、絶縁膜の成膜より後に行う。上記プロセス順序を経た絶縁膜は、膜
厚が薄く、例えば100nm未満であっても信頼性を確保することができる絶縁膜である
【0151】
チャンバーに導入するモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)との流量比は
、1:10から1:200の範囲とする。また、チャンバーに導入する希ガスとしては、
ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを用いることができるが、中でも安価で
あるアルゴンを用いることが好ましい。
【0152】
上記プロセス順序を経た絶縁膜は、従来の平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜と
は大きく異なっており、同じエッチャントを用いてエッチング速度を比較した場合におい
て、平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜の10%以上または20%以上遅く、高
密度プラズマCVD装置で得られる絶縁膜は緻密な膜と言える。
【0153】
本実施の形態では、ゲート絶縁層402として膜厚100nmの酸化窒化珪素膜(SiO
xNyとも呼ぶ、ただし、x>y>0)を用いる。ゲート絶縁層402は、高密度プラズ
マCVD装置に成膜ガスとしてモノシラン(SiH)、亜酸化窒素(NO)、及びア
ルゴン(Ar)を用い、それぞれの流量をSiH/NO/Ar=250/2500/
2500(sccm)とし、成膜圧力30Pa、成膜温度325℃にて、5kWのマイク
ロ波電力を印加してプラズマを発生させて、成膜を行う。
【0154】
また、スパッタリング法でゲート絶縁層402を成膜してもよい。スパッタリング法によ
り酸化シリコン膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英タ
ーゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行
う。スパッタリング法を用いるとゲート絶縁層402中に水素が多量に含まれないように
できる。
【0155】
また、ゲート絶縁層402は、ソース電極層又はドレイン電極層415a、ソース電極層
又はドレイン電極層415b側から酸化シリコン層と窒化シリコン層を積層した構造とす
ることもできる。例えば、第1のゲート絶縁層として膜厚5nm以上300nm以下の酸
化シリコン層(SiO(x>0))を形成し、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶
縁層としてスパッタリング法により膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン層(
SiN(y>0))を積層してもよい。例えば、圧力0.4Pa、高周波電源1.5k
W、酸素及びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1:1)雰
囲気下でRFスパッタリング法により膜厚100nmの酸化シリコン層を形成できる。
【0156】
次いで、第3のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチ
ングを行ってゲート絶縁層402の一部を除去して、ソース電極層又はドレイン電極層4
15a、ソース電極層又はドレイン電極層415bに達する開口421a、421bを形
成する(図6(D)参照。)。
【0157】
次に、ゲート絶縁層402、及び開口421a、421b上に導電膜を形成した後、第4
のフォトリソグラフィ工程によりゲート電極層411、配線層414a、414bを形成
する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをイ
ンクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0158】
また、ゲート電極層411、配線層414a、414bの材料は、モリブデン、チタン、
クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属
材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することがで
きる。
【0159】
例えば、ゲート電極層411、配線層414a、414bの2層の積層構造としては、ア
ルミニウム層上にモリブデン層が積層された2層の積層構造、または銅層上にモリブデン
層を積層した2層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した
2層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3
層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステンと、アルミニウムとシリ
コンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタンまたはチタン層とを積層し
た積層とすることが好ましい。なお、透光性を有する導電膜を用いてゲート電極層を形成
することもできる。透光性を有する導電膜としては、透光性導電性酸化物等をその例に挙
げることができる。
【0160】
本実施の形態ではゲート電極層411、配線層414a、414bとしてスパッタリング
法により膜厚150nmのチタン膜を形成する。
【0161】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。本実施の形態では
、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。また、第2の加熱処理は、
薄膜トランジスタ410上に保護絶縁層や平坦化絶縁層を形成してから行ってもよい。
【0162】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、10
0℃以上200℃の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえ
して行ってもよい。また、この加熱処理を、酸化物絶縁層の形成前に、減圧下で行っても
よい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。
【0163】
以上の工程で、水素、水分、水素化物、水酸化物の濃度が低減された酸化物半導体層41
2を有する薄膜トランジスタ410を形成することができる(図6(E)参照。)。薄膜
トランジスタ410は実施の形態1における薄膜トランジスタ106として適用すること
ができる。
【0164】
また、薄膜トランジスタ410上に保護絶縁層や、平坦化のための平坦化絶縁層を設けて
もよい。例えば、保護絶縁層として酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン
層、窒化酸化シリコン層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することが
できる。
【0165】
また、平坦化絶縁層としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド
、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他
に、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BP
SG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶
縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁層を形成してもよい。
【0166】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi-O-S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキ
ル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有してい
ても良い。
【0167】
平坦化絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印
刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフ
コーター等を用いることができる。
【0168】
上記のように酸化物半導体膜を成膜するに際し、反応雰囲気中の残留水分を除去すること
で、該酸化物半導体膜中の水素及び水素化物の濃度を低減することができる。それにより
酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。
【0169】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0170】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0171】
(実施の形態3)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの例を示す
。なお、実施の形態2と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、実施の形態
2と同様とすればよく、その繰り返しの説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明も省
略する。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ460は、実施の形態1の薄膜トランジス
タ106として用いることができる。
【0172】
本実施の形態の薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの作製方法の一形態を、図7及び
図8を用いて説明する。
【0173】
図7(A)(B)に薄膜トランジスタの上面及び断面構造の一例を示す。図7(A)(B
)に示す薄膜トランジスタ460は、トップゲート構造の薄膜トランジスタの一つである
【0174】
図7(A)はトップゲート構造の薄膜トランジスタ460の上面図であり、図7(B)は
図7(A)の線D1-D2における断面図である。
【0175】
薄膜トランジスタ460は、絶縁表面を有する基板450上に、絶縁層457、ソース電
極層又はドレイン電極層465a(465a1、465a2)、酸化物半導体層462、
ソース電極層又はドレイン電極層465b、配線層468、ゲート絶縁層452、ゲート
電極層461(461a、461b)を含み、ソース電極層又はドレイン電極層465a
(465a1、465a2)は配線層468を介して配線層464と電気的に接続してい
る。また、図示していないが、ソース電極層又はドレイン電極層465bもゲート絶縁層
452に設けられた開口において配線層と電気的に接続する。
【0176】
以下、図8(A)乃至(E)を用い、基板450上に薄膜トランジスタ460を作製する
工程を説明する。
【0177】
まず、絶縁表面を有する基板450上に下地膜となる絶縁層457を形成する。
【0178】
本実施の形態では、絶縁層457として、スパッタリング法により酸化シリコン層を形成
する。基板450を処理室へ搬送し、水素及び水分が除去された高純度酸素を含むスパッ
タガスを導入しシリコンターゲット又は石英(好ましくは合成石英)を用いて、基板45
0に絶縁層457として、酸化シリコン層を成膜する。なお、スパッタガスとして酸素又
は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0179】
例えば、純度が6Nであり、石英(好ましくは合成石英)を用い、基板温度108℃、基
板とターゲットの間との距離(T-S間距離)を60mm、圧力0.4Pa、高周波電源
1.5kW、酸素及びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1
:1)雰囲気下でRFスパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する。膜厚は100
nmとする。なお、酸化シリコン膜を成膜するためのターゲットとして、石英(好ましく
は合成石英)に代えてシリコンターゲットを用いることができる。
【0180】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ絶縁層457を成膜することが好ま
しい。絶縁層457に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。クライ
オポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(HO)など水素原子を
含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜し絶縁層457に含まれ
る不純物の濃度を低減できる。
【0181】
絶縁層457を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物など
の不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いることが
好ましい。
【0182】
また、絶縁層457は積層構造でもよく、例えば、基板450側から窒化シリコン層、窒
化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層などの窒化物絶縁層と
、上記酸化物絶縁層との積層構造としてもよい。
【0183】
例えば、酸化シリコン層と基板との間に水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパ
ッタガスを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン層を成膜する。この場合にお
いても、酸化シリコン層と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ窒化シリコン層を成
膜することが好ましい。
【0184】
次いで、絶縁層457上に、導電膜を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により導電
膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極層又はドレイン
電極層465a1、465a2を形成した後、レジストマスクを除去する(図8(A)参
照。)。ソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2は断面図では分断され
て示されているが、連続した膜である。なお、形成されたソース電極層、ドレイン電極層
の端部はテーパ形状であると、上に積層するゲート絶縁層の被覆性が向上するため好まし
い。
【0185】
ソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2の材料としては、Al、Cr、
Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か
、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、マンガン、マグネシウム、
ジルコニウム、ベリリウム、トリウムのいずれか一または複数から選択された材料を用い
てもよい。また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、
シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層
構造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜
を成膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(Ta
)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、ス
カンジウム(Sc)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、もしく
は窒化膜を用いてもよい。
【0186】
本実施の形態ではソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2としてスパッ
タリング法により膜厚150nmのチタン膜を形成する。
【0187】
次いで、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体層462を形成する。
【0188】
形成した酸化物半導体膜を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層4
62に加工する(図8(B)参照。)。本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn-
Ga-Zn-O系酸化物半導体成膜用ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜す
る。
【0189】
酸化物半導体膜は、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、金属酸化物をターゲット
として基板450上に酸化物半導体膜を成膜する。処理室内の残留水分を除去するために
は、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポン
プ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、
ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて
排気した処理室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好
ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半
導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、酸化物半導体膜成膜時に基板を加熱
してもよい。
【0190】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物な
どの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いること
が好ましい。
【0191】
成膜条件の一例としては、基板温度室温、基板とターゲットの間との距離を110mm、
圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素及びアルゴン(酸素流量15scc
m:アルゴン流量30sccm)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC
)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ゴミともいう)が軽減で
き、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体膜は好ましくは5nm以上30
nm以下とする。なお、適用する酸化物半導体材料により適切な厚みは異なり、材料に応
じて適宜厚みを選択すればよい。
【0192】
本実施の形態では、エッチング液として燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液を用いたウェット
エッチング法により、酸化物半導体膜を島状の酸化物半導体層462に加工する。
【0193】
本実施の形態では、酸化物半導体層462に、第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理の
温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。
ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒
素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化
物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。この第1の加熱処理に
よって酸化物半導体層462の脱水化または脱水素化を行うことができる。
【0194】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。例えば、第1の加熱処理として、650℃~70
0℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を
移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用
いると短時間での高温加熱処理が可能となる。
【0195】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0196】
また、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、酸化物半導体膜
が結晶化し、微結晶膜または多結晶膜となる場合もある。
【0197】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を
取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0198】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する加熱処理は、酸化物半導体層成
膜後、酸化物半導体層上にさらにソース電極及びドレイン電極を積層させた後、ソース電
極及びドレイン電極上にゲート絶縁層を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0199】
次いで、絶縁層457及び酸化物半導体層462上に、導電膜を形成し、第3のフォトリ
ソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って
ソース電極層又はドレイン電極層465b、配線層468を形成した後、レジストマスク
を除去する(図8(C)参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層465b、配線層4
68はソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2と同様な材料及び工程で
形成すればよい。
【0200】
本実施の形態ではソース電極層又はドレイン電極層465b、配線層468としてスパッ
タリング法により膜厚150nmのチタン膜を形成する。本実施の形態では、ソース電極
層又はドレイン電極層465a1、465a2とソース電極層又はドレイン電極層465
bに同じチタン膜を用いる例のため、ソース電極層又はドレイン電極層465a1、46
5a2とソース電極層又はドレイン電極層465bとはエッチングにおいて選択比がとれ
ない。よって、ソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2が、ソース電極
層又はドレイン電極層465bのエッチング時にエッチングされないように、酸化物半導
体層462に覆われないソース電極層又はドレイン電極層465a2上に配線層468を
設けている。ソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2とソース電極層又
はドレイン電極層465bとにエッチング工程において高い選択比を有する異なる材料を
用いる場合には、エッチング時にソース電極層又はドレイン電極層465a2を保護する
配線層468は必ずしも設けなくてもよい。
【0201】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層462は除去されないようにそれぞれ
の材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0202】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層462にはIn-Ga
-Zn-O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0203】
なお、第3のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層462は一部のみがエッチン
グされ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層又
はドレイン電極層465b、配線層468を形成するためのレジストマスクをインクジェ
ット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスク
を使用しないため、製造コストを低減できる。
【0204】
次いで、絶縁層457、酸化物半導体層462、ソース電極層又はドレイン電極層465
a1、465a2、ソース電極層又はドレイン電極層465b上にゲート絶縁層452を
形成する。
【0205】
ゲート絶縁層452は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコ
ン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化アルミニウ
ム層を単層で又は積層して形成することができる。なお、ゲート絶縁層452中に水素が
多量に含まれないようにするためには、スパッタリング法でゲート絶縁層452を成膜す
ることが好ましい。スパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する場合には、ターゲ
ットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は
、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0206】
ゲート絶縁層452は、ソース電極層又はドレイン電極層465a1、465a2、ソー
ス電極層又はドレイン電極層465b側から酸化シリコン層と窒化シリコン層を積層した
構造とすることもできる。本実施の形態では、圧力0.4Pa、高周波電源1.5kW、
酸素及びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1:1)雰囲気
下でRFスパッタリング法により膜厚100nmの酸化シリコン層を形成する。
【0207】
次いで、第4のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチ
ングを行ってゲート絶縁層452の一部を除去して、配線層468に達する開口423を
形成する(図8(D)参照。)。図示しないが開口423の形成時にソース電極層又はド
レイン電極層465bに達する開口を形成してもよい。本実施の形態では、ソース電極層
又はドレイン電極層465bへの開口はさらに層間絶縁層を積層した後に形成し、電気的
に接続する配線層を開口に形成する例とする。
【0208】
次に、ゲート絶縁層452、及び開口423上に導電膜を形成した後、第5のフォトリソ
グラフィ工程によりゲート電極層461(461a、461b)、配線層464を形成す
る。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをイン
クジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0209】
また、ゲート電極層461(461a、461b)、配線層464の材料は、モリブデン
、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウ
ム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成す
ることができる。
【0210】
本実施の形態ではゲート電極層461(461a、461b)、配線層464としてスパ
ッタリング法により膜厚150nmのチタン膜を形成する。
【0211】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。本実施の形態では
、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。また、第2の加熱処理は、
薄膜トランジスタ460上に保護絶縁層や平坦化絶縁層を形成してから行ってもよい。
【0212】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、10
0℃以上200℃の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえ
して行ってもよい。また、この加熱処理を、酸化物絶縁層の形成前に、減圧下で行っても
よい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。
【0213】
以上の工程で、水素、水分、水素化物、水酸化物の濃度が低減された酸化物半導体層46
2を有する薄膜トランジスタ460を形成することができる(図8(E)参照。)。薄膜
トランジスタ460は、実施の形態1の画素部202の各画素に用いる薄膜トランジスタ
に用いることができる。
【0214】
また、薄膜トランジスタ460上に保護絶縁層や、平坦化のための平坦化絶縁層を設けて
もよい。なお、図示しないが、ゲート絶縁層452、保護絶縁層や平坦化絶縁層にソース
電極層又はドレイン電極層465bに達する開口を形成し、その開口に、ソース電極層又
はドレイン電極層465bと電気的に接続する配線層を形成する。
【0215】
上記のように酸化物半導体膜を成膜するに際し、反応雰囲気中の残留水分を除去すること
で、該酸化物半導体膜中の水素及び水素化物の濃度を低減することができる。それにより
酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。
【0216】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0217】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0218】
(実施の形態4)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。なお、実施の形態2と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、実施の
形態2と同様とすればよく、その繰り返しの説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明
も省略する。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ425、426は、実施の形態1の薄
膜トランジスタ106として用いることができる。
【0219】
本実施の形態の薄膜トランジスタを、図9を用いて説明する。
【0220】
図9(A)(B)に薄膜トランジスタの断面構造の一例を示す。図9(A)(B)に示す
薄膜トランジスタ425、426は、酸化物半導体層を導電層とゲート電極層とで挟んだ
構造の薄膜トランジスタの一つである。
【0221】
また、図9(A)(B)において、基板はシリコン基板を用いており、シリコン基板42
0上に設けられた絶縁層422上に薄膜トランジスタ425、426がそれぞれ設けられ
ている。
【0222】
図9(A)において、シリコン基板420に設けられた絶縁層422と絶縁層407との
間に少なくとも酸化物半導体層412全体と重なるように導電層427が設けられている
【0223】
なお、図9(B)は、絶縁層422と絶縁層407との間の導電層が、導電層424のよ
うにエッチングにより加工され、酸化物半導体層412の少なくともチャネル領域を含む
一部と重なる例である。
【0224】
導電層427、424は後工程で行われる加熱処理温度に耐えられる金属材料であればよ
く、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ク
ロム(Cr)、Nd(ネオジム)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素、または上述
した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜、または上述した元素
を成分とする窒化物などを用いることができる。また、単層構造でも積層構造でもよく、
例えばタングステン層単層、又は窒化タングステン層とタングステン層との積層構造など
を用いることができる。
【0225】
また、導電層427、424は、電位が薄膜トランジスタ425、426のゲート電極層
411と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させるこ
ともできる。また、導電層427、424の電位がGND、0Vという固定電位であって
もよい。
【0226】
導電層427、424によって、薄膜トランジスタ425、426の電気特性を制御する
ことができる。
【0227】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0228】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0229】
(実施の形態5)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ390は、実施の形態1の薄膜トランジスタ
106として用いることができる。
【0230】
本実施の形態の薄膜トランジスタの断面構造の一例を図10(A)乃至(E)に示す。図
10(A)乃至(E)に示す薄膜トランジスタ390は、ボトムゲート構造の一つであり
逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0231】
また、薄膜トランジスタ390はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0232】
以下、図10(A)乃至(E)を用い、基板394上に薄膜トランジスタ390を作製す
る工程を説明する。
【0233】
まず、絶縁表面を有する基板394上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層391を形成する。形成されたゲート電極層の端部はテーパ形状
であると、上に積層するゲート絶縁層の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジスト
マスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成
するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0234】
絶縁表面を有する基板394に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。バリウムホ
ウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0235】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上
のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、ア
ルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている
。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用
的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用い
ることが好ましい。
【0236】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。また
、プラスチック基板等も適宜用いることができる。
【0237】
下地膜となる絶縁膜を基板394とゲート電極層391との間に設けてもよい。下地膜は
、基板394からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリ
コン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜によ
る積層構造により形成することができる。
【0238】
また、ゲート電極層391の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングス
テン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とす
る合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0239】
例えば、ゲート電極層391の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、銅層上に窒
化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデン層と
を積層した2層構造、又は窒化タングステン層とタングステン層とを積層した2層構造と
することが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン
層と、アルミニウムとシリコンの合金またはアルミニウムとチタンの合金と、窒化チタン
層またはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。なお、透光性を有する導電膜
を用いてゲート電極層を形成することもできる。透光性を有する導電膜としては、透光性
導電性酸化物等をその例に挙げることができる。
【0240】
次いで、ゲート電極層391上にゲート絶縁層397を形成する。
【0241】
ゲート絶縁層397は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコ
ン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化アルミニウ
ム層を単層で又は積層して形成することができる。なお、ゲート絶縁層397中に水素が
多量に含まれないようにするためには、スパッタリング法でゲート絶縁層397を成膜す
ることが好ましい。スパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する場合には、ターゲ
ットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は
、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0242】
ゲート絶縁層397は、ゲート電極層391側から窒化シリコン層と酸化シリコン層を積
層した構造とすることもできる。例えば、第1のゲート絶縁層としてスパッタリング法に
より膜厚50nm以上200nm以下の窒化シリコン層(SiN(y>0))を形成し
、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層として膜厚5nm以上300nm以下の酸
化シリコン層(SiO(x>0))を積層して、膜厚100nmのゲート絶縁層とする
【0243】
また、ゲート絶縁層397、酸化物半導体膜393に水素、水酸基及び水分がなるべく含
まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲ
ート電極層391が形成された基板394、又はゲート絶縁層397までが形成された基
板394を予備加熱し、基板394に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気する
ことが好ましい。なお、予備加熱の温度としては、100℃以上400℃以下好ましくは
150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプ
が好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備加熱は、
酸化物絶縁層396の成膜前に、ソース電極層395a及びドレイン電極層395bまで
形成した基板394にも同様に行ってもよい。
【0244】
次いで、ゲート絶縁層397上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体膜39
3を形成する(図10(A)参照。)。
【0245】
なお、酸化物半導体膜393をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導
入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁層397の表面に付着してい
るゴミを除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、
アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成
して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素な
どを用いてもよい。
【0246】
酸化物半導体膜393はスパッタリング法により成膜する。酸化物半導体膜393は、I
n-Ga-Zn-O系非単結晶膜、In-Sn-Zn-O系、In-Al-Zn-O系、
Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-O系、In-S
n-O系、In-Zn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Zn-O系、In-O系、Sn
-O系、Zn-O系の酸化物半導体膜を用いる。本実施の形態では、酸化物半導体膜39
3をIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体成膜用ターゲットを用いてスパッタリング法に
より成膜する。また、酸化物半導体膜393は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下
、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタ
リング法により形成することができる。また、スパッタリング法を用いる場合、SiO
を2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行いてもよい。
【0247】
酸化物半導体膜393をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛
を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のター
ゲットの他の例としては、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲット(
組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]、In:Ga
:Zn=1:1:0.5[atomic比])を用いることができる。また、In、Ga
、及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲットとして、In:Ga:Zn=1:1:1
[atomic比]、又はIn:Ga:Zn=1:1:2[atomic比]の組成比を
有するターゲットを用いることもできる。酸化物半導体成膜用ターゲットの充填率は90
%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填率の高い酸化物
半導体成膜用ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる
【0248】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板を室温又は400℃未満の温度に加
熱する。そして、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガ
スを導入し、金属酸化物をターゲットとして基板394上に酸化物半導体膜393を成膜
する。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ま
しい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いる
ことが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたも
のであってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子、水(
O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気
されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる
。また、クライオポンプにより処理室内に残留する水分を除去しながらスパッタ成膜を行
うことで、酸化物半導体膜393を成膜する際の基板温度は室温又は400℃未満とする
ことができる。
【0249】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティ
クル、ゴミともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体
膜は好ましくは5nm以上30nm以下とする。なお、適用する酸化物半導体材料により
適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すればよい。
【0250】
スパッタリング法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流
電源を用いるDCスパッタリング法、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパ
ッタリング法がある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、D
Cスパッタリング法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0251】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ
装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種
類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0252】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタリング法を用いるスパッ
タ装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRス
パッタリング法を用いるスパッタ装置がある。
【0253】
また、スパッタリング法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガ
ス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタリング法
や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法もある。
【0254】
次いで、酸化物半導体膜を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層3
99に加工する(図10(B)参照。)。また、島状の酸化物半導体層399を形成する
ためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジ
ェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0255】
また、ゲート絶縁層397にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
層399の形成時に行うことができる。
【0256】
なお、ここでの酸化物半導体膜393のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエ
ッチングでもよく、両方を用いてもよい。
【0257】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)、塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CC
)など)が好ましい。
【0258】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(S
)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(H
Br)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガ
スを添加したガス、などを用いることができる。
【0259】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0260】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、ア
ンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)な
どを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0261】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる
【0262】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0263】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、酸化物半導体層399及びゲー
ト絶縁層397の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい。
【0264】
次いで、ゲート絶縁層397、及び酸化物半導体層399上に、導電膜を形成する。導電
膜をスパッタリング法や真空蒸着法で形成すればよい。導電膜の材料としては、Al、C
r、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合
金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、マンガン、マグネシウ
ム、ジルコニウム、ベリリウム、トリウムのいずれか一または複数から選択された材料を
用いてもよい。また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例え
ば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する
2層構造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にT
i膜を成膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(
Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)
、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、も
しくは窒化膜を用いてもよい。
【0265】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層395a、ドレイン電極層395bを形成した後、レジスト
マスクを除去する(図10(C)参照。)。
【0266】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。酸化物半導体層399上で隣り合うソース電極層の下
端部とドレイン電極層の下端部との間隔幅によって後に形成される薄膜トランジスタのチ
ャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を行う場合には、数
nm~数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultraviole
t)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行う。超
紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成される薄膜トラ
ンジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、回路
の動作速度を高速化でき、さらにオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図るこ
とができる。
【0267】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層399は除去されないようにそれぞれ
の材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0268】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層399にはIn-Ga
-Zn-O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0269】
なお、第3のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層399は一部のみがエッチン
グされ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層3
95a、ドレイン電極層395bを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0270】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマ
スクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形するこ
とができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる
。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応
するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ
、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0271】
O、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理によって露出している酸化物
半導体層の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。また、酸素とアルゴンの混合ガ
スを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0272】
プラズマ処理を行った場合、大気に触れることなく、酸化物半導体層の一部に接する保護
絶縁膜となる酸化物絶縁層として酸化物絶縁層396を形成する(図10(D)参照。)
。本実施の形態では、酸化物半導体層399がソース電極層395a、ドレイン電極層3
95bと重ならない領域において、酸化物半導体層399と酸化物絶縁層396とが接す
るように形成する。
【0273】
本実施の形態では、酸化物絶縁層396として、島状の酸化物半導体層399、ソース電
極層395a、ドレイン電極層395bまで形成された基板394を室温又は100℃未
満の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度酸素を含むスパッタガスを導入しシ
リコン半導体のターゲットを用いて、欠陥を含む酸化シリコン層を成膜する。
【0274】
例えば、純度が6Nであり、ボロンがドープされたシリコンターゲット(抵抗値0.01
Ωcm)を用い、基板とターゲットの間との距離(T-S間距離)を89mm、圧力0.
4Pa、直流(DC)電源6kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下でパルスDC
スパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する。膜厚は300nmとする。なお、酸
化シリコン膜を成膜するためのターゲットとして、シリコンターゲットに代えて石英(好
ましくは合成石英)を用いることができる。なお、スパッタガスとして酸素又は、酸素及
びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0275】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物絶縁層396を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層399及び酸化物絶縁層396に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0276】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物絶縁層396に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0277】
なお、酸化物絶縁層396として、酸化シリコン層に代えて、酸化窒化シリコン層、酸化
アルミニウム層、または酸化窒化アルミニウム層などを用いることもできる。
【0278】
さらに、酸化物絶縁層396と酸化物半導体層399とを接した状態で100℃乃至40
0℃で加熱処理を行ってもよい。本実施の形態における酸化物絶縁層396は欠陥を多く
含むため、この加熱処理によって酸化物半導体層399中に含まれる水素、水分、水酸基
又は水素化物などの不純物を酸化物絶縁層396に拡散させ、酸化物半導体層399中に
含まれる該不純物をより低減させることができる。
【0279】
以上の工程で、水素、水分、水酸基又は水素化物の濃度が低減された酸化物半導体層39
2を有する薄膜トランジスタ390を形成することができる(図10(E)参照。)。
【0280】
上記のように酸化物半導体膜を成膜するに際し、反応雰囲気中の残留水分を除去すること
で、該酸化物半導体膜中の水素及び水素化物の濃度を低減することができる。それにより
酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。
【0281】
酸化物絶縁層上に保護絶縁層を設けてもよい。本実施の形態では、保護絶縁層398を酸
化物絶縁層396上に形成する。保護絶縁層398としては、窒化シリコン膜、窒化酸化
シリコン膜、窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜などを用いる。
【0282】
保護絶縁層398として、酸化物絶縁層396まで形成された基板394を100℃~4
00℃の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパッタガスを導入
しシリコン半導体のターゲットを用いて窒化シリコン膜を成膜する。この場合においても
、酸化物絶縁層396と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ保護絶縁層398を成
膜することが好ましい。
【0283】
保護絶縁層398を形成する場合、保護絶縁層398の成膜時に100℃~400℃に基
板394を加熱することで、酸化物半導体層中に含まれる水素若しくは水分を酸化物絶縁
層に拡散させることができる。この場合上記酸化物絶縁層396の形成後に加熱処理を行
わなくてもよい。
【0284】
酸化物絶縁層396として酸化シリコン層を形成し、保護絶縁層398として窒化シリコ
ン層を積層する場合、酸化シリコン層と窒化シリコン層を同じ処理室において、共通のシ
リコンターゲットを用いて成膜することができる。先に酸素を含むガスを導入して、処理
室内に装着されたシリコンターゲットを用いて酸化シリコン層を形成し、次に窒素を含む
ガスに切り替えて同じシリコンターゲットを用いて窒化シリコン層を成膜する。酸化シリ
コン層と窒化シリコン層とを大気に曝露せずに連続して形成することができるため、酸化
シリコン層表面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。この
場合、酸化物絶縁層396として酸化シリコン層を形成し、保護絶縁層398として窒化
シリコン層を積層した後、酸化物半導体層中に含まれる水素若しくは水分を酸化物絶縁層
に拡散させるための加熱処理(温度100℃乃至400℃)を行うとよい。
【0285】
保護絶縁層の形成後、さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以
下での加熱処理を行ってもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよ
いし、室温から、100℃以上200℃の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの
降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加熱処理を、酸化物絶縁層の形成前
に、減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができ
る。この加熱処理によって、ノーマリーオフとなる薄膜トランジスタを得ることができる
。よって表示装置の信頼性を向上できる。
【0286】
また、ゲート絶縁層上にチャネル形成領域とする酸化物半導体層を成膜するに際し、反応
雰囲気中の残留水分を除去することで、該酸化物半導体層中の水素及び水素化物の濃度を
低減することができる。
【0287】
上記の工程は、400℃以下の温度で行われるため、厚さが1mm以下で、一辺が1mを
超えるガラス基板を用いる製造工程にも適用することができる。また、400℃以下の処
理温度で全ての工程を行うことができるので、表示パネルを製造するために多大なエネル
ギーを消費しないで済む。
【0288】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0289】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0290】
(実施の形態6)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ310は、実施の形態1の薄膜トランジスタ
106として用いることができる。
【0291】
本実施の形態の薄膜トランジスタの断面構造の一例を図11(A)乃至(E)に示す。図
11(A)乃至(E)に示す薄膜トランジスタ310は、ボトムゲート構造の一つであり
逆スタガ型薄膜トランジスタともいう。
【0292】
また、薄膜トランジスタ310はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0293】
以下、図11(A)乃至(E)を用い、基板300上に薄膜トランジスタ310を作製す
る工程を説明する。なお、図11(E)では、薄膜トランジスタ310上に保護絶縁層を
形成した構造についてを示す。
【0294】
まず、絶縁表面を有する基板300上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層311を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0295】
絶縁表面を有する基板300に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。バリウムホ
ウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。
【0296】
また、ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上
のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、ア
ルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている
。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用
的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用い
ることが好ましい。
【0297】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0298】
下地膜となる絶縁膜を基板300とゲート電極層311との間に設けてもよい。下地膜は
、基板300からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、
窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により
形成することができる。
【0299】
また、ゲート電極層311の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングス
テン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とす
る合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0300】
例えば、ゲート電極層311の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、銅層上にモリブデン層を積層した2層の積層構造、銅層
上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した2層の積層構造、窒化チタン層とモリ
ブデン層とを積層した2層の積層構造、又は窒化タングステン層とタングステン層との2
層の積層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステン層または窒
化タングステン層と、アルミニウムと珪素の合金またはアルミニウムとチタンの合金と、
窒化チタン層またはチタン層とを積層した積層とすることが好ましい。
【0301】
次いで、ゲート電極層311上にゲート絶縁層302を形成する。
【0302】
ゲート絶縁層302は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素層
、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は
積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH、酸素及び窒素を用
いてプラズマCVD法により酸化窒化珪素層を形成すればよい。ゲート絶縁層302の膜
厚は、100nm以上500nm以下とし、積層の場合は、例えば、膜厚50nm以上2
00nm以下の第1のゲート絶縁層と、第1のゲート絶縁層上に膜厚5nm以上300n
m以下の第2のゲート絶縁層の積層とする。
【0303】
本実施の形態では、ゲート絶縁層302としてプラズマCVD法により膜厚100nm以
下の酸化窒化珪素層を形成する。
【0304】
次いで、ゲート絶縁層302上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体膜33
0を形成する。
【0305】
なお、酸化物半導体膜330をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁層302の表面に付着しているゴミ
を除去することが好ましい。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを
用いてもよい。
【0306】
酸化物半導体膜330は、In-Ga-Zn-O系非単結晶膜、In-Sn-Zn-O系
、In-Al-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-
Al-Zn-O系、In-Sn-O系、In-Zn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Z
n-O系、In-O系、Sn-O系、Zn-O系の酸化物半導体膜を用いる。本実施の形
態では、酸化物半導体膜330としてIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体成膜用ターゲ
ットを用いてスパッタ法により成膜する。この段階での断面図が図11(A)に相当する
。また、酸化物半導体膜330は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気
下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタ法により形成
することができる。また、スパッタリング法を用いる場合、SiOを2重量%以上10
重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行いてもよい。
【0307】
酸化物半導体膜330をスパッタリング法で作製するためのターゲットとして、酸化亜鉛
を主成分とする金属酸化物のターゲットを用いることができる。また、金属酸化物のター
ゲットの他の例としては、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲット(
組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]、In:Ga
:Zn=1:1:0.5[atomic比])を用いることができる。また、In、Ga
、及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲットとして、In:Ga:Zn=1:1:1
[atomic比]、又はIn:Ga:Zn=1:1:2[atomic比]の組成比を
有するターゲットを用いることもできる。酸化物半導体成膜用ターゲットの充填率は90
%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填率の高い酸化物
半導体成膜用ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる
【0308】
酸化物半導体膜330を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素
化物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用い
ることが好ましい。
【0309】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、基板温度を100℃以上600℃以下好
ましくは200℃以上400℃以下とする。基板を加熱しながら成膜することにより、成
膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリ
ングによる損傷が軽減される。そして、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が
除去されたスパッタガスを導入し、金属酸化物をターゲットとしてゲート絶縁層302上
に酸化物半導体膜330を成膜する。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の
真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサ
ブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプ
にコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理
室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素
原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含ま
れる不純物の濃度を低減できる。
【0310】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティ
クル、ゴミともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。酸化物半導体
膜は好ましくは5nm以上30nm以下とする。なお、適用する酸化物半導体材料により
適切な厚みは異なり、材料に応じて適宜厚みを選択すればよい。
【0311】
次いで、酸化物半導体膜330を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導
体層に加工する。また、島状の酸化物半導体層を形成するためのレジストマスクをインク
ジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマ
スクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0312】
次いで、酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半
導体層の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度は、400℃
以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満とする。ここでは、加熱処
理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下450
℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水
や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層331を得る(図11(B)参照。)。
【0313】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0314】
例えば、第1の加熱処理として、650℃~700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基
板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中
から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能と
なる。
【0315】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス
に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0316】
また、第1の加熱処理の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、酸化物半導体膜
が結晶化し、微結晶膜または多結晶膜となる場合もある。例えば、結晶化率が90%以上
、または80%以上の微結晶の酸化物半導体膜となる場合もある。また、第1の加熱処理
の条件、または酸化物半導体層の材料によっては、結晶成分を含まない非晶質の酸化物半
導体膜となる場合もある。また、非晶質の酸化物半導体の中に微結晶部(粒径1nm以上
20nm以下(代表的には2nm以上4nm以下))が混在する酸化物半導体膜となる場
合もある。
【0317】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜330に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から
基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0318】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する加熱処理は、酸化物半導体層成
膜後、酸化物半導体層上にソース電極及びドレイン電極を積層させた後、ソース電極及び
ドレイン電極上に保護絶縁膜を形成した後、のいずれで行っても良い。
【0319】
また、ゲート絶縁層302にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体
膜330に脱水化または脱水素化処理を行う前でも行った後に行ってもよい。
【0320】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライ
エッチングを用いてもよい。
【0321】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0322】
次いで、ゲート絶縁層302、及び酸化物半導体層331上に、導電膜を形成する。導電
膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成すればよい。導電膜の材料としては、Al、Cr、C
u、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、
上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、マンガン、マグネシウム、ジ
ルコニウム、ベリリウム、トリウムのいずれか一または複数から選択された材料を用いて
もよい。また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シ
リコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構
造、Ti膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を
成膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(Ta)
、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、Nd(ネオジム)、Sc
(スカンジウム)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、もしくは
窒化膜を用いてもよい。
【0323】
導電膜後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせるこ
とが好ましい。
【0324】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層315a、ドレイン電極層315bを形成した後、レジスト
マスクを除去する(図11(C)参照。)。
【0325】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。酸化物半導体層331上で隣り合うソース電極層の下
端部とドレイン電極層の下端部との間隔幅によって後に形成される薄膜トランジスタのチ
ャネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を行う場合には、数
nm~数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultraviole
t)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行う。超
紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成される薄膜トラ
ンジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、回路
の動作速度を高速化でき、さらにオフ電流値が極めて小さいため、低消費電力化も図るこ
とができる。
【0326】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層331は除去されないようにそれぞれ
の材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0327】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用いて、酸化物半導体層331にはIn-Ga
-Zn-O系酸化物半導体を用いて、エッチャントとしてアンモニア過水(31重量%過
酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2)を用いる。
【0328】
なお、第3のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層331は一部のみがエッチン
グされ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層3
15a、ドレイン電極層315bを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0329】
また、酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層の間に、酸化物導電層を形成し
てもよい。酸化物導電層とソース電極層及びドレイン電極層を形成するための金属層は、
連続成膜が可能である。酸化物導電層はソース領域及びドレイン領域として機能しうる。
【0330】
ソース領域及びドレイン領域として、酸化物導電層を酸化物半導体層とソース電極層及び
ドレイン電極層との間に設けることで、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化を図るこ
とができ、トランジスタの高速動作をすることができる。
【0331】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマ
スクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形するこ
とができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる
。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応
するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ
、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0332】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去する。ま
た、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0333】
プラズマ処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層の一部に接する保護絶
縁膜となる酸化物絶縁層316を形成する。
【0334】
酸化物絶縁層316は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタ法など、酸化物絶縁
層316に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。
酸化物絶縁層316に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又は水素
が酸化物半導体層中の酸素を引き抜き、酸化物半導体層のチャネルが形成される領域とは
反対側の面(所謂バックチャネル側)が低抵抗化(N型化)してしまい、寄生チャネルが
形成されるおそれがある。よって、酸化物絶縁層316はできるだけ水素を含まない膜に
なるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。
【0335】
本実施の形態では、スパッタ法を用いて酸化物絶縁層316として膜厚200nmの酸化
珪素膜を成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の
形態では100℃とする。酸化珪素膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(代表的にはア
ルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気
下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素タ
ーゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素、及び窒素雰囲
気下でスパッタ法により酸化珪素を形成することができる。低抵抗化した酸化物半導体層
に接して形成する酸化物絶縁層316は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を
含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム
膜などを用いる。
【0336】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物絶縁層316を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層331及び酸化物絶縁層316に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0337】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物絶縁層316に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0338】
酸化物絶縁層316を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いる
ことが好ましい。
【0339】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導
体層の一部(チャネル形成領域)が酸化物絶縁層316と接した状態で加熱される。
【0340】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体膜に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体膜の一部を選択的に酸素過剰な
状態とする。その結果、ゲート電極層311と重なるチャネル形成領域313はi型とな
り、ソース電極層315aに重なる高抵抗ソース領域314aと、ドレイン電極層315
bに重なる高抵抗ドレイン領域314bとが自己整合的に形成される。以上の工程で薄膜
トランジスタ310が形成される(図11(D)参照。)。
【0341】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。本実施の形態では150℃で10時間加熱処理を行う。この加熱処理は一定の
加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上200℃の加熱温度への
昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加
熱処理を、酸化物絶縁膜の形成前に、減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと
、加熱時間を短縮することができる。この加熱処理によって、ノーマリーオフとなる薄膜
トランジスタを得ることができる。よって表示装置の信頼性を向上できる。
【0342】
なお、ドレイン電極層315b(及びソース電極層315a)と重畳した酸化物半導体層
において高抵抗ドレイン領域314b(又は高抵抗ソース領域314a)を形成すること
により、薄膜トランジスタの信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレ
イン領域314bを形成することで、ドレイン電極層315bから高抵抗ドレイン領域3
14b、チャネル形成領域313にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造と
することができる。そのため、ドレイン電極層315bに高電源電位Vddを供給する配
線に接続して動作させる場合、ゲート電極層311とドレイン電極層315bとの間に高
電圧が印加されても高抵抗ドレイン領域がバッファとなり局所的な電界集中が生じにくく
、トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0343】
また、酸化物半導体層における高抵抗ソース領域又は高抵抗ドレイン領域は、酸化物半導
体層の膜厚が15nm以下と薄い場合は膜厚方向全体にわたって形成されるが、酸化物半
導体層の膜厚が30nm以上50nm以下とより厚い場合は、酸化物半導体層の一部、ソ
ース電極層又はドレイン電極層と接する領域及びその近傍が低抵抗化し高抵抗ソース領域
又は高抵抗ドレイン領域が形成され、酸化物半導体層においてゲート絶縁膜に近い領域は
i型とすることもできる。
【0344】
酸化物絶縁層316上にさらに保護絶縁層を形成してもよい。例えば、RFスパッタ法を
用いて窒化珪素膜を形成する。RFスパッタ法は、量産性がよいため、保護絶縁層の成膜
方法として好ましい。保護絶縁層は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含ま
ず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、窒化シリコン膜、
窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などを用いる。本実
施の形態では、保護絶縁層として保護絶縁層303を、窒化シリコン膜を用いて形成する
図11(E)参照。)。
【0345】
本実施の形態では、保護絶縁層303として、酸化物絶縁層316まで形成された基板3
00を100℃~400℃の温度に加熱し、水素及び水分が除去された高純度窒素を含む
スパッタガスを導入しシリコン半導体のターゲットを用いて窒化シリコン膜を成膜する。
この場合においても、酸化物絶縁層316と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ保
護絶縁層303を成膜することが好ましい。
【0346】
保護絶縁層303上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0347】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0348】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0349】
(実施の形態7)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ360は、実施の形態1の薄膜トランジスタ
106として用いることができる。
【0350】
本実施の形態の薄膜トランジスタの断面構造の一例を図12(A)乃至(D)に示す。図
12(A)乃至(D)に示す薄膜トランジスタ360は、チャネル保護型(チャネルスト
ップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート構造の一つであり逆スタガ型薄膜トランジスタ
ともいう。
【0351】
また、薄膜トランジスタ360はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0352】
以下、図12(A)乃至(D)を用い、基板320上に薄膜トランジスタ360を作製す
る工程を説明する。
【0353】
まず、絶縁表面を有する基板320上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層361を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で
形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用し
ないため、製造コストを低減できる。
【0354】
また、ゲート電極層361の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングス
テン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とす
る合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0355】
次いで、ゲート電極層361上にゲート絶縁層322を形成する。
【0356】
本実施の形態では、ゲート絶縁層322としてプラズマCVD法により膜厚100nm以
下の酸化窒化珪素層を形成する。
【0357】
次いで、ゲート絶縁層322上に、膜厚2nm以上200nm以下の酸化物半導体膜を形
成し、第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層に加工する。本実施の
形態では、酸化物半導体膜としてIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体成膜用ターゲット
を用いてスパッタ法により成膜する。
【0358】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物半導体膜を成膜することが好
ましい。酸化物半導体膜に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0359】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0360】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物な
どの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いること
が好ましい。
【0361】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み
点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導
体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れる
ことなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層332を得る(
図12(A)参照。)。
【0362】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去する。ま
た、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0363】
次いで、ゲート絶縁層322、及び酸化物半導体層332上に、酸化物絶縁層を形成した
後、第3のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッチング
を行って酸化物絶縁層366を形成した後、レジストマスクを除去する。
【0364】
本実施の形態では、酸化物絶縁層366としてスパッタ法を用いて膜厚200nmの酸化
珪素膜を成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の
形態では100℃とする。酸化珪素膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(代表的にはア
ルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気
下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素タ
ーゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素、及び窒素雰囲
気下でスパッタ法により酸化珪素を形成することができる。低抵抗化した酸化物半導体層
に接して形成する酸化物絶縁層366は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を
含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム
膜などを用いる。
【0365】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物絶縁層366を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層332及び酸化物絶縁層366に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0366】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物絶縁層366に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0367】
酸化物絶縁層366を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いる
ことが好ましい。
【0368】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行ってもよい。例えば、
窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸
化物半導体層の一部(チャネル形成領域)が酸化物絶縁層366と接した状態で加熱され
る。
【0369】
本実施の形態は、さらに酸化物絶縁層366が設けられ一部が露出している酸化物半導体
層332を、窒素、不活性ガス雰囲気下、又は減圧下で加熱処理を行う。酸化物絶縁層3
66によって覆われていない露出された酸化物半導体層332の領域は、窒素、不活性ガ
ス雰囲気下、又は減圧下で加熱処理を行うと、低抵抗化することができる。例えば、窒素
雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。
【0370】
酸化物絶縁層366が設けられた酸化物半導体層332に対する窒素雰囲気下の加熱処理
によって、酸化物半導体層332の露出領域は低抵抗化し、抵抗の異なる領域(図12
B)においては斜線領域及び白地領域で示す)を有する酸化物半導体層362となる。
【0371】
次いで、ゲート絶縁層322、酸化物半導体層362、及び酸化物絶縁層366上に、導
電膜を形成した後、第4のフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択
的にエッチングを行ってソース電極層365a、ドレイン電極層365bを形成した後、
レジストマスクを除去する(図12(C)参照。)。
【0372】
ソース電極層365a、ドレイン電極層365bの材料としては、Al、Cr、Cu、T
a、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述し
た元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、導電膜は、単層構造でも、2層以上
の積層構造としてもよい。
【0373】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体膜に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体膜の一部を選択的に酸素過剰な
状態とする。その結果、酸化物絶縁層366と重なるチャネル形成領域363は、i型と
なり、ソース電極層365aに重なる高抵抗ソース領域364aと、ドレイン電極層36
5bに重なる高抵抗ドレイン領域364bとが自己整合的に形成される。以上の工程で薄
膜トランジスタ360が形成される。
【0374】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。本実施の形態では150℃で10時間加熱処理を行う。この加熱処理は一定の
加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上200℃の加熱温度への
昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加
熱処理を、酸化物絶縁膜の形成前に、減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと
、加熱時間を短縮することができる。この加熱処理によって、ノーマリーオフとなる薄膜
トランジスタを得ることができる。よって表示装置の信頼性を向上できる。
【0375】
なお、ドレイン電極層365b(及びソース電極層365a)と重なる酸化物半導体層に
おいて高抵抗ドレイン領域364b(又は高抵抗ソース領域364a)を形成することに
より、薄膜トランジスタの信頼性の向上を図ることができる。具体的には、高抵抗ドレイ
ン領域364bを形成することで、ドレイン電極層から高抵抗ドレイン領域364b、チ
ャネル形成領域363にかけて、導電性を段階的に変化させうるような構造とすることが
できる。そのため、ドレイン電極層365bに高電源電位Vddを供給する配線に接続し
て動作させる場合、ゲート電極層361とドレイン電極層365bとの間に高電圧が印加
されても高抵抗ドレイン領域364bがバッファとなり局所的な電界集中が生じにくく、
トランジスタの耐圧を向上させた構成とすることができる。
【0376】
次に、ソース電極層365a、ドレイン電極層365b、酸化物絶縁層366上に保護絶
縁層323を形成する。本実施の形態では、保護絶縁層323を、窒化珪素膜を用いて形
成する(図12(D)参照。)。
【0377】
なお、ソース電極層365a、ドレイン電極層365b、酸化物絶縁層366上にさらに
酸化物絶縁層を形成し、該酸化物絶縁層上に保護絶縁層323を積層してもよい。
【0378】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0379】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0380】
(実施の形態8)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ350は、実施の形態1の薄膜トランジスタ
106として用いることができる。
【0381】
本実施の形態の薄膜トランジスタの断面構造の一例を図13(A)乃至(D)に示す。
【0382】
また、薄膜トランジスタ350はシングルゲート構造の薄膜トランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造の薄膜トランジス
タも形成することができる。
【0383】
以下、図13(A)乃至(D)を用い、基板340上に薄膜トランジスタ350を作製す
る工程を説明する。
【0384】
まず、絶縁表面を有する基板340上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極層351を形成する。本実施の形態では、ゲート電極層351とし
て、膜厚150nmのタングステン膜を、スパッタ法を用いて形成する。
【0385】
次いで、ゲート電極層351上にゲート絶縁層342を形成する。本実施の形態では、ゲ
ート絶縁層342としてプラズマCVD法により膜厚100nm以下の酸化窒化珪素層を
形成する。
【0386】
次いで、ゲート絶縁層342に、導電膜を形成し、第2のフォトリソグラフィ工程により
導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行ってソース電極層355a
、ドレイン電極層355bを形成した後、レジストマスクを除去する(図13(A)参照
。)。
【0387】
次に酸化物半導体膜345を形成する(図13(B)参照。)。本実施の形態では、酸化
物半導体膜345としてIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体成膜用ターゲットを用いて
スパッタ法により成膜する。酸化物半導体膜345を第3のフォトリソグラフィ工程によ
り島状の酸化物半導体層に加工する。
【0388】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物半導体膜345を成膜するこ
とが好ましい。酸化物半導体膜345に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするた
めである。
【0389】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物半導体膜345に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0390】
酸化物半導体膜345を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素
化物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用い
ることが好ましい。
【0391】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み
点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導
体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れる
ことなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層346を得る(
図13(C)参照。)。
【0392】
また、第1の加熱処理として、650℃~700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板
を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中か
ら出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能とな
る。
【0393】
次に、酸化物半導体層346に接する保護絶縁膜となる酸化物絶縁層356を形成する。
【0394】
酸化物絶縁層356は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタ法など、酸化物絶縁
層356に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。
酸化物絶縁層356に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又は水素
が酸化物半導体層中の酸素を引き抜き、酸化物半導体層のチャネルが形成される領域とは
反対側の面(所謂バックチャネル側)が低抵抗化(N型化)してしまい、寄生チャネルが
形成されるおそれがある。よって、酸化物絶縁層356はできるだけ水素を含まない膜に
なるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。
【0395】
本実施の形態では、酸化物絶縁層356としてスパッタ法を用いて膜厚200nmの酸化
珪素膜を成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の
形態では100℃とする。酸化珪素膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(代表的にはア
ルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気
下において行うことができる。また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素タ
ーゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素、及び窒素雰囲
気下でスパッタ法により酸化珪素を形成することができる。低抵抗化した酸化物半導体層
に接して形成する酸化物絶縁層356は、水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を
含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、代表的には酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム
膜などを用いる。
【0396】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物絶縁層356を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層346及び酸化物絶縁層356に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0397】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物絶縁層356に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0398】
酸化物絶縁層356を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いる
ことが好ましい。
【0399】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは2
00℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲
気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導
体層が酸化物絶縁層356と接した状態で加熱される。
【0400】
以上の工程を経ることによって、成膜後の酸化物半導体膜に対して脱水化または脱水素化
のための加熱処理を行って低抵抗化した後、酸化物半導体膜を酸素過剰な状態とする。そ
の結果、i型の酸化物半導体層352が形成される。以上の工程で薄膜トランジスタ35
0が形成される。
【0401】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。本実施の形態では150℃で10時間加熱処理を行う。この加熱処理は一定の
加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上200℃の加熱温度への
昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加
熱処理を、酸化物絶縁膜の形成前に、減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと
、加熱時間を短縮することができる。この加熱処理によって、ノーマリーオフとなる薄膜
トランジスタを得ることができる。よって表示装置の信頼性を向上できる。
【0402】
なお、酸化物絶縁層356上にさらに保護絶縁層を形成してもよい。例えば、RFスパッ
タ法を用いて窒化珪素膜を形成する。本実施の形態では、保護絶縁層として保護絶縁層3
43を、窒化珪素膜を用いて形成する(図13(D)参照。)。
【0403】
また、保護絶縁層343上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0404】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0405】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0406】
(実施の形態9)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタ380は、実施の形態1の薄膜トランジスタ
106として用いることができる。
【0407】
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製工程の一部が実施の形態6と異なる例を図1
4に示す。図14は、図11と工程が一部異なる点以外は同じであるため、同じ箇所には
同じ符号を用い、同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0408】
実施の形態6に従って、基板370上にゲート電極層381を形成し、第1のゲート絶縁
層372a、第2のゲート絶縁層372bを積層する。本実施の形態では、ゲート絶縁層
を2層構造とし、第1のゲート絶縁層372aに窒化物絶縁層を、第2のゲート絶縁層3
72bに酸化物絶縁層を用いる。
【0409】
酸化絶縁層としては、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、または酸化アルミニウム層
、又は酸化窒化アルミニウム層などを用いることができる。また、窒化絶縁層としては、
窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウム
層などを用いることができる。
【0410】
本実施の形態では、ゲート電極層381側から窒化シリコン層と酸化シリコン層とを積層
した構造とする。第1のゲート絶縁層372aとしてスパッタリング法により膜厚50n
m以上200nm以下(本実施の形態では50nm)の窒化シリコン層(SiN(y>
0))を形成し、第1のゲート絶縁層372a上に第2のゲート絶縁層372bとして膜
厚5nm以上300nm以下(本実施の形態では100nm)の酸化シリコン層(SiO
(x>0))を積層して、膜厚150nmのゲート絶縁層とする。
【0411】
次に酸化物半導体膜の形成を行い、酸化物半導体膜をフォトリソグラフィ工程により島状
の酸化物半導体層に加工する。本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn-Ga-Z
n-O系酸化物半導体成膜用ターゲットを用いてスパッタ法により成膜する。
【0412】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物半導体膜を成膜することが好
ましい。酸化物半導体膜に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためである。
【0413】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0414】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化物な
どの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いること
が好ましい。
【0415】
次いで、酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。脱水化または脱水素化を行う第
1の加熱処理の温度は、400℃以上基板の750℃以下、好ましくは425℃以上とす
る。なお、425℃以上であれば加熱処理時間は1時間以下でよいが、425℃未満であ
れば加熱処理時間は、1時間よりも長時間行うこととする。ここでは、加熱処理装置の一
つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下において加熱処理
を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化
物半導体層を得る。その後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾
燥エア(露点が-40℃以下、好ましくは-60℃以下)を導入して冷却を行う。酸素ガ
スまたはNOガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装
置に導入する酸素ガスまたはNOガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ま
しくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素ガスまたはNOガス中の不純物濃
度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0416】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、例えば、GRTA(Gas Rapid Th
ermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal
Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用
いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノン
アークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのラ
ンプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。また、LR
TA装置、ランプだけでなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によっ
て、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。GRTAとは高温のガスを用いて加熱
処理を行う方法である。ガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処
理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。RTA法を用いて、600℃
~750℃で数分間加熱処理を行ってもよい。
【0417】
また、脱水化または脱水素化を行う第1の加熱処理後に200℃以上400℃以下、好ま
しくは200℃以上300℃以下の温度で酸素ガスまたはNOガス雰囲気下での加熱処
理を行ってもよい。
【0418】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を
取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0419】
以上の工程を経ることによって酸化物半導体膜全体を酸素過剰な状態とすることで、高抵
抗化、即ちi型化させる。よって、全体がi型化した酸化物半導体層382を得る。
【0420】
次いで、ゲート絶縁層372b、及び酸化物半導体層382上に、導電膜を形成する。さ
らに、導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極層385a、ドレイン電極層385bを形成し、スパッタ法で
酸化物絶縁層386を形成する。
【0421】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物絶縁層386を成膜すること
が好ましい。酸化物半導体層382及び酸化物絶縁層386に水素、水酸基又は水分が含
まれないようにするためである。
【0422】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜した
酸化物絶縁層386に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0423】
酸化物絶縁層386を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基又は水素化
物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いる
ことが好ましい。
【0424】
以上の工程で、薄膜トランジスタ380を形成することができる。
【0425】
次いで、薄膜トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減するため、不活性ガス雰囲気下
、または窒素ガス雰囲気下で加熱処理(好ましくは150℃以上350℃未満)を行って
もよい。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。
【0426】
また、大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。本実施の形態では150℃で10時間加熱処理を行う。この加熱処理は一定の
加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上200℃の加熱温度への
昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよい。また、この加
熱処理を、酸化物絶縁膜の形成前に、減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱処理を行うと
、加熱時間を短縮することができる。この加熱処理によって、ノーマリーオフとなる薄膜
トランジスタを得ることができる。よって表示装置の信頼性を向上できる。
【0427】
次に、酸化物絶縁層386上に保護絶縁層373を形成する。本実施の形態では、保護絶
縁層373として、スパッタリング法を用いて膜厚100nmの窒化珪素膜を形成する。
【0428】
窒化物絶縁層からなる保護絶縁層373及び第1のゲート絶縁層372aは、水分や、水
素や、水素化物、水酸化物などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロ
ックする効果がある。
【0429】
従って、保護絶縁層373形成後の製造プロセスにおいて、外部からの水分などの不純物
の侵入を防ぐことができる。また、表示装置としてデバイスが完成した後にも長期的に、
外部からの水分などの不純物の侵入を防ぐことができデバイスの長期信頼性を向上するこ
とができる。
【0430】
また、窒化物絶縁層からなる保護絶縁層373と、第1のゲート絶縁層372aとの間に
設けられる絶縁層を除去し、保護絶縁層373と、第1のゲート絶縁層372aとが接す
る構造としてもよい。
【0431】
従って、酸化物半導体層中の水分や、水素や、水素化物、水酸化物などの不純物を究極に
まで低減し、かつ該不純物の再混入を防止し、酸化物半導体層中の不純物濃度を低く維持
することができる。
【0432】
なお、保護絶縁層373上に平坦化のための平坦化絶縁層を設けてもよい。
【0433】
以上のように、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによっ
て、オフ電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態
で説明したオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによ
って、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等
を表示する際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0434】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0435】
(実施の形態10)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる薄膜トランジスタの他の例を
示す。本実施の形態で示す薄膜トランジスタは、実施の形態2乃至8の薄膜トランジスタ
に適用することができる。
【0436】
本実施の形態では、ゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層に透光性を有する導
電材料を用いる例を示す。従って、他は上記実施の形態と同様に行うことができ、上記実
施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程の繰り返しの説明は省略する
。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0437】
例えば、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層の材料として、可視光に対して透
光性を有する導電材料、例えばIn-Sn-O系、In-Sn-Zn-O系、In-Al
-Zn-O系、Sn-Ga-Zn-O系、Al-Ga-Zn-O系、Sn-Al-Zn-
O系、In-Zn-O系、Sn-Zn-O系、Al-Zn-O系、In-O系、Sn-O
系、Zn-O系の金属酸化物を適用することができ、膜厚は50nm以上300nm以下
の範囲内で適宜選択する。ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層に用いる金属酸
化物の成膜方法は、スパッタリング法や真空蒸着法(電子ビーム蒸着法など)や、アーク
放電イオンプレーティング法や、スプレー法を用いる。また、スパッタリング法を用いる
場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行い、透光
性を有する導電膜に結晶化を阻害するSiO(X>0)を含ませ、後の工程で行う加熱
処理の際に結晶化してしまうのを抑制することが好ましい。
【0438】
なお、透光性を有する導電膜の組成比の単位は原子%とし、電子線マイクロアナライザー
(EPMA:Electron Probe X-ray MicroAnalyzer
)を用いた分析により評価するものとする。
【0439】
また、薄膜トランジスタが配置される画素には、画素電極層、またはその他の電極層(容
量電極層など)や、その他の配線層(容量配線層など)に可視光に対して透光性を有する
導電膜を用いると、高開口率を有する表示装置を実現することができる。勿論、画素に存
在するゲート絶縁層、酸化物絶縁層、保護絶縁層、平坦化絶縁層も可視光に対して透光性
を有する膜を用いることが好ましい。
【0440】
本明細書において、可視光に対して透光性を有する膜とは可視光の透過率が75~100
%である膜厚を有する膜を指し、その膜が導電性を有する場合は透明の導電膜とも呼ぶ。
また、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層、画素電極層、またはその他の電極
層や、その他の配線層に適用する金属酸化物として、可視光に対して半透明の導電膜を用
いてもよい。可視光に対して半透明とは可視光の透過率が50~75%であることを指す
【0441】
以上のように、薄膜トランジスタに透光性を持たせると、開口率を向上させることができ
る。特に10インチ以下の小型の表示パネルにおいて、ゲート配線の本数を増やすなどし
て表示画像の高精細化を図るため、画素寸法を微細化しても、高い開口率を実現すること
ができる。また、薄膜トランジスタの構成部材に透光性を有する膜を用いることで、高密
度の薄膜トランジスタ群を配置しても開口率を大きくとることができ、表示領域の面積を
十分に確保することができる。また、薄膜トランジスタの構成部材と同工程で同材料を用
いて保持容量を形成すると、保持容量も透光性とすることができるため、さらに開口率を
向上させることができる。
【0442】
また、高純度化された酸化物半導体層を薄膜トランジスタに適用することによって、オフ
電流を低減した薄膜トランジスタを提供することができる。また、本実施の形態で説明し
たオフ電流を低減した薄膜トランジスタを、表示装置の画素に適用することによって、画
素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そのため、静止画等を表示す
る際の消費電力が少ない表示装置を提供できる。
【0443】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0444】
(実施の形態11)
本実施の形態は、本明細書で開示する表示装置に適用できる発光素子の例を図15、乃至
図17を用いて以下に説明する。
【0445】
表示装置の画素が有する表示素子として、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンスを
利用する発光素子を例示する。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材
料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機
EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0446】
有機EL素子は、陽極と陰極とその間に有機化合物を含む層を有する。陽極の電位を陰極
の電位より高くして、有機化合物を含む層に陽極から正孔を、陰極から電子を注入する。
電子および正孔(キャリア)が有機化合物を含む層にて再結合するとエネルギーを生じ、
生じたエネルギーによって、発光性の有機化合物が励起され、励起された有機化合物が基
底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、有機EL素子は電流励起型の発
光素子の一例である。
【0447】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明す
る。
【0448】
図15は画素構成の一例を示す等価回路図である。
【0449】
画素の構成及び画素の動作について説明する。ここでは酸化物半導体層をチャネル形成領
域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0450】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、
及び発光素子6404を有している。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走
査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線64
05に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ
6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲートがスイッチ
ング用トランジスタ6401の第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)に接続さ
れ、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画
素電極)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する
。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0451】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されてい
る。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源
電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設
定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加
して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位
と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれ
ぞれの電位を設定する。
【0452】
また、電源線6407には直流電力を供給する。特にパルス状の直流電力を電源線640
7に供給して、発光素子6404をパルス状に発光させることができる。間隔をあけてパ
ルス状の映像を表示すれば、複数の静止画像を順番に切り替えて表示することができる。
このような表示は、例えば秒を刻む時計の表示に用いることができる。なお、電圧変動の
ない直流電力を供給してもよい。
【0453】
本実施の形態では、高純度化された酸化物半導体層を有し、オフ電流が抑制された薄膜ト
ランジスタが画素部に適用されているため、スイッチング用トランジスタ6401がオフ
状態の期間は、駆動用トランジスタ6402のゲートに書き込まれた電位が保持される。
なお、駆動用トランジスタ6402のゲートと電源線6407の間に容量素子を設けても
よい。
【0454】
発光素子6404の駆動方法の一例として、アナログ階調駆動を行う方法を説明する。駆
動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジス
タ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝
度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用
トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号(映像信号)を入力するこ
とで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和
領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート
電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信
号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0455】
なお、レーザ結晶化を行わない酸化物半導体層は、基板面内の特性のバラツキが少ない。
従って、当該酸化物半導体層を用いて表示領域に複数配置された薄膜トランジスタの特性
も均質である。駆動用トランジスタ6402は特性にバラツキが少なく、発光素子640
4に流れる電流を書き込まれたゲート電圧に応じて精度よく制御できる。その結果、本発
明の一態様の表示装置は表示ムラの少ない高品位な表示が可能である。
【0456】
また、電圧入力電圧駆動方式によれば、複数の画素を用いた面積階調表示や、発光色が異
なる複数の画素(例えばR、G、B)の組み合わせによる色表現、(例えば、R+G、G
+B、R+B、R+G+B)等が可能である。電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用
トランジスタ6402のゲートには、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、
オフするかの二つの状態となるような信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ64
02は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため
、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける
。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以
上の電圧をかける。
【0457】
なお、発光素子6404をアナログ階調駆動する場合も、電圧入力電圧駆動する場合も、
スイッチング用トランジスタ6401のチャネル幅1μmあたりのオフ電流が例えば1×
10-16A/μm以下に抑制されているため、駆動用トランジスタ6402のゲート電
位の保持期間が長い。したがって、少ない画像信号の書き込み回数でも、表示部での静止
画の表示を行うことができる。信号の書き込みを行う頻度を低減することができるため、
低消費電力化を図ることができる。また、図15に示す画素構成は、これに限定されない
。例えば、図15に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は
論理回路などを追加してもよい。
【0458】
次に、画素の断面構造について図16を用いて説明する。なお、図16(A)、(B)、
(C)に例示された駆動用TFT7011、7021、7001には、高純度化された酸
化物半導体層を有する薄膜トランジスタを適用すればよく、例えば実施の形態2乃至実施
の形態10で説明した薄膜トランジスタを用いることができる。
【0459】
本実施の形態で例示する発光素子は第1の電極と第2の電極の間にEL層を挟んだ構成を
有する。
【0460】
発光素子の第1の電極と第2の電極としては、陰極となる電極は、仕事関数が小さい材料
、例えば、具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアル
カリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやE
r等の希土類金属等が好ましい。また、陽極となる電極は、仕事関数が大きい材料、例え
ば、窒化チタン、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等や、ITO、IZO(酸化イン
ジウム酸化亜鉛)、ZnOなどの透明導電性材料が好ましい。なお、電子注入層を陰極に
接して形成する場合や、正孔注入層を陽極に接して形成する場合は、電極材料の仕事関数
の影響を小さくできる。電子注入層、及び正孔注入層としては、例えば有機化合物と金属
酸化物の複合材料、金属酸化物、有機化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、または
これらの化合物との複合材料の他、これらを適宜組み合わせて形成することができる。
【0461】
また、第1の電極上に形成するEL層は、単数の層で構成しても、複数の層を積層して構
成してもどちらでも良い。EL層が複数の層で構成されている場合、陽極、正孔注入層、
正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極がこの順に互いに接して積層さ
れた構成を一例として挙げることができる。なお、これらの層を全て設ける必要はない。
また、電荷発生層として機能する中間層で区切られた複数のEL層を、第1の電極と第2
の電極の間に設けた構成であってもよい。
【0462】
また、発光素子から発光を取り出すために、第1の電極又は第2の電極の少なくとも一方
が透光性を有する導電膜で形成する。基板上に形成された発光素子が発する光を取り出す
方向により発光素子を分類すると、基板の発光素子が形成された側の面から取り出す上面
射出や、基板側の面から取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の面から取り出
す両面射出の3つの代表的な構造の発光素子があり、画素構成はどの射出構造の発光素子
にも適用することができる。
【0463】
また、第1の電極上にEL層を積層する場合、第1の電極の周縁部を隔壁で覆う。隔壁は
、例えばポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜また
は有機ポリシロキサンを用いて形成する。また、感光性の樹脂材料を用いて隔壁を形成す
ることが好ましい。第1の電極の周縁部に隔壁を残しながら、第1の電極を覆っている感
光性の樹脂材料に開口部を形成すると、隔壁から開口部にかけての側壁が連続した曲率を
持った傾斜面となる上、レジストマスクを形成する工程を省略できるためである。
【0464】
なお、基板と発光素子の間にカラーフィルタを形成することもできる。カラーフィルタは
インクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチ
ング方法などで形成すればよい。
【0465】
また、カラーフィルタ上にオーバーコート層を形成し、さらに保護絶縁層を形成するとよ
い。オーバーコート層を設けると、カラーフィルタに起因する凹凸を平坦にできる。保護
絶縁膜を形成すると、不純物がカラーフィルタから発光素子に拡散する現象を防止できる
【0466】
なお、薄膜トランジスタ上の保護絶縁層、オーバーコート層及び絶縁層の上に発光素子を
形成する場合、保護絶縁層、オーバーコート層及び絶縁層を貫通し、薄膜トランジスタの
ソース電極層またはドレイン電極層に達するコンタクトホールを形成する。特に、当該コ
ンタクトホールを上述の隔壁と重なる位置にレイアウトして形成すると、開口率の低減を
抑制できるため好ましい。
【0467】
下面射出構造の発光素子を有する画素の構成について説明する。画素に設けた駆動用TF
T7011と、発光素子7012を含む切断面の断面図を図16(A)に示す。
【0468】
駆動用TFT7011は、基板上に、絶縁層、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイ
ン電極層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を有し、ソース電極層及びドレイン電極層にそれ
ぞれ配線層が電気的に接続して設けられている。
【0469】
また、駆動用TFT7011を覆って絶縁層7031が形成され、絶縁層7031上に開
口部を有するカラーフィルタ7033が設けられている。透光性を有する導電膜7017
は、カラーフィルタ7033を覆って形成されたオーバーコート層7034及び絶縁層7
035上に形成されている。なお、駆動用TFT7011のドレイン電極と導電膜701
7は、オーバーコート層7034、絶縁層7035、及び絶縁層7031に形成された開
口部を介して電気的に接続している。なお、導電膜7017上に発光素子7012の第1
の電極7013が接して設けられている。
【0470】
発光素子7012は、EL層7014を第1の電極7013と第2の電極7015の間に
挟んで有する。
【0471】
透光性を有する導電膜7017としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸
化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化
チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、イン
ジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電
性導電膜を用いることができる。
【0472】
ここでは、発光素子7012の第1の電極7013を陰極として用いる場合について説明
する。第1の電極7013を陰極として用いる場合は仕事関数が小さい金属が好適である
図16(A)では、第1の電極7013の膜厚は、光を透過する程度(好ましくは、5
nm~30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜もしくはM
g-Ag合金膜を第1の電極7013に用いる。
【0473】
なお、透光性を有する導電膜とアルミニウム膜を積層成膜した後、選択的にエッチングし
て透光性を有する導電膜7017と第1の電極7013を形成してもよく、この場合、同
じマスクを用いてエッチングすることができ、好ましい。
【0474】
また、EL層7014上に形成する第2の電極7015としては、仕事関数が大きい材料
が好ましい。また、第2の電極7015上に遮蔽膜7016、例えば光を遮光する金属、
光を反射する金属等を用いる。本実施の形態では、第2の電極7015としてITO膜を
用い、遮蔽膜7016としてTi膜を用いる。
【0475】
また、カラーフィルタ7033をオーバーコート層7034で覆い、さらに保護絶縁層7
035で覆う。なお、図16(A)ではオーバーコート層7034は薄い膜厚で図示した
が、オーバーコート層7034は、カラーフィルタ7033に起因する凹凸を平坦化して
いる。
【0476】
また、オーバーコート層7034及び保護絶縁層7035に形成され、且つ、ドレイン電
極層7030に達するコンタクトホールは、隔壁7019と重なる位置に配置されている
【0477】
図16(A)に示した画素構造の場合、発光素子7012が発した光は、矢印で示すよう
に第1の電極7013側に射出し、カラーフィルタ7033を透過して表示装置の外にで
る。
【0478】
なお、図16(A)ではゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層として透光性
を有する導電膜を用いて駆動用TFT7011を構成する例を示している。従って、発光
素子7012から発せられる光の一部は、カラーフィルタ7033と駆動用TFT701
1を通過して射出する。
【0479】
次に、両面射出構造の発光素子を有する画素の構成について説明する。画素に設けた駆動
用TFT7021と、発光素子7022を含む切断面の断面図を図16(B)に示す。
【0480】
駆動用TFT7021は、基板上に、絶縁層、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイ
ン電極層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を有し、ソース電極層及びドレイン電極層にそれ
ぞれ配線層が電気的に接続して設けられている。
【0481】
また、駆動用TFT7021を覆って絶縁層7041が形成され、絶縁層7041上に開
口部を有するカラーフィルタ7043が設けられている。透光性を有する導電膜7027
は、カラーフィルタ7043を覆って形成されたオーバーコート層7044及び絶縁層7
045上に形成されている。なお、駆動用TFT7021のドレイン電極と導電膜702
7は、オーバーコート層7044、絶縁層7045、及び絶縁層7041に形成された開
口部を介して電気的に接続している。なお、導電膜7027上に発光素子7022の第1
の電極7023が接して設けられている。
【0482】
発光素子7022は、EL層7024を第1の電極7023と第2の電極7025の間に
挟んで有する。
【0483】
ここでは、発光素子7022の第1の電極7023を陰極として用いる場合について説明
する。なお、透光性を有する導電膜7027は図16(A)に示す導電膜7017と同様
に形成すればよく、また、第1の電極7023は図16(A)に示す第1の電極7013
と同様に形成すればよく、また、EL層7024は図16(A)に示すEL層7014と
同様に形成すればよいため、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0484】
EL層7024上に形成する第2の電極7025は、ここでは陽極として機能するため、
仕事関数が大きい材料、例えば、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性材料が好まし
い。本実施の形態では、第2の電極7025としてITOを形成する。
【0485】
また、カラーフィルタ7043、オーバーコート層7044及び保護絶縁層7045は、
図16(A)で例示した画素が有するカラーフィルタ7033、オーバーコート層703
4及び保護絶縁層7035とそれぞれ同様に形成すればよい。
【0486】
図16(B)に示した画素構造の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示
すように第1の電極7023側と第2の電極7025側の両方に射出し、第1の電極70
23側の光はカラーフィルタ7043を透過して表示装置の外にでる。
【0487】
なお、図16(B)ではゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層として透光性
を有する導電膜を用いて駆動用TFT7021を構成する例を示している。従って、発光
素子7022から発せられる光の一部は、カラーフィルタ7043と駆動用TFT702
1を通過して射出する。
【0488】
また、オーバーコート層7044及び絶縁層7045に形成され、且つ、ドレイン電極層
7040に達するコンタクトホールは、隔壁7029と重なる位置に配置されている。ド
レイン電極層に達するコンタクトホールと、隔壁7029とを重ねるレイアウトとするこ
とで第2の電極7025側の開口率と第1の電極7023側の開口率をほぼ同一とするこ
とができる。
【0489】
ただし、両面射出構造の発光素子のどちらの表示面もフルカラー表示とする場合、第2の
電極7025側からの光はカラーフィルタ7043を通過しないため、別途カラーフィル
タを備えた封止基板を第2の電極7025上方に設けることが好ましい。
【0490】
次に、上面射出構造の発光素子を有する画素の構成について説明する。画素に設けた駆動
用TFT7001と、発光素子7002を含む切断面の断面図を図16(C)に示す。
【0491】
駆動用TFT7001は、基板上に、絶縁層、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイ
ン電極層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を有し、ソース電極層及びドレイン電極層にそれ
ぞれ配線層が電気的に接続して設けられている。
【0492】
また、駆動用TFT7001を覆って絶縁層7051が形成され、絶縁層7051上に開
口部を有する絶縁層7053が設けられている。第1の電極7003は、絶縁層7053
を覆って形成された絶縁層7055上に形成されている。なお、駆動用TFT7001の
ドレイン電極と第1の電極7003は、絶縁層7055、及び絶縁層7051に形成され
た開口部を介して電気的に接続している。
【0493】
なお、絶縁層7053は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エ
ポキシ等の樹脂材料を用いることができる。また上記樹脂材料の他に、低誘電率材料(l
ow-k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラ
ス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させる
ことで、絶縁層7053を形成してもよい。絶縁層7053の形成法は、特に限定されず
、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、
液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ
、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層
7053を形成することで、例えば駆動用TFTに起因する凹凸を平坦にできる。
【0494】
発光素子7002は、EL層7004を第1の電極7003と第2の電極7005の間に
挟んで有する。図16(C)に例示する発光素子7002においては、第1の電極700
3を陰極として用いる場合について説明する。
【0495】
第1の電極7003は図16(A)に示す第1の電極7013と同様の材料を適用すれば
よいが、図16(C)に示す上面射出構造の発光素子においては、第1の電極7003は
透光性を有さず、むしろ高い反射率を有する電極であることが好ましい。高い反射率を有
する電極を用いることで、発光の取り出し効率を高めることができる。
【0496】
第1の電極7003としては、例えばアルミニウム膜もしくはアルミニウムを主成分とす
る合金膜、またはアルミニウム膜にチタン膜を積層したものが好ましい。図16(C)で
は、Ti膜、アルミニウム膜、Ti膜の順に積層した積層膜を第1の電極7003に用い
る。
【0497】
また、EL層7004は図16(A)に示すEL層7014と同様に形成すればよく、ま
た、第2の電極7005は図16(B)に示す第2の電極7025と同様に形成すればよ
いため、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0498】
図16(C)に示した画素構造の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢印で示
すように第2の電極7005側に射出する。
【0499】
図16(C)の構造を用いてフルカラー表示を行う場合、例えば発光素子7002を緑色
発光素子とし、隣り合う一方の発光素子を赤色発光素子とし、もう一方の発光素子を青色
発光素子とする。また、3種類の発光素子だけでなく白色素子を加えた4種類の発光素子
でフルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。
【0500】
また、図16(C)の構造に配置する複数の発光素子を全て白色発光素子として、発光素
子7002を含むそれぞれの発光素子の上方にカラーフィルタなどを有する封止基板を配
置する構成とし、フルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。白色などの単
色の発光を示す素子を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフル
カラー表示を行うことができる。
【0501】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、白色発光を用いて照明装置を形成して
もよいし、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。
【0502】
また、必要があれば、円偏光板などの偏光フィルムなどの光学フィルムを設けてもよい。
【0503】
なお、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機E
L素子を設けることも可能である。
【0504】
なお、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的
に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接
続されている構成であってもよい。
【0505】
次に、表示装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断
面について、図17を用いて説明する。図17(A)は、第1の基板上に形成された薄膜
トランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの
上面図であり、図17(B)は、図17(A)のH-Iにおける断面図に相当する。
【0506】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、450
3b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505
が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び
走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よ
って画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路45
04a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506と
によって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気
密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィル
ム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0507】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4
503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有し
ており、図17(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信
号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。薄膜ト
ランジスタ4509、4510上には絶縁層4542が設けられている。また、絶縁層4
542に設けられたコンタクトホールを介して、薄膜トランジスタ4510のソース電極
層またはドレイン電極層と発光素子4511の第1の電極層4517が電気的に接続され
ている。
【0508】
薄膜トランジスタ4509、4510に、実施の形態1乃至実施の形態10で説明した高
純度化された酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタを用いる。
【0509】
絶縁層4542上において、駆動回路用の薄膜トランジスタ4509の酸化物半導体層の
チャネル形成領域と重なる位置に導電層4540が設けられている。導電層4540を酸
化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、BTストレス試験
(バイアス・温度ストレス試験)前後における薄膜トランジスタ4509のしきい値電圧
の変化量を低減することができる。なお、本明細書中で、BTストレス試験(バイアス・
温度ストレス試験)とは、薄膜トランジスタに高温雰囲気下で、高ゲート電圧を印加する
試験のことを指す。また、導電層4540は、電位が薄膜トランジスタ4509のゲート
電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させるこ
ともできる。また、導電層4540の電位がGND、0V、或いはフローティング状態で
あってもよい。
【0510】
発光素子4511の構成は、第1の電極層4517、電界発光層4512、第2の電極層
4513の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出
す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0511】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。
特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁
が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0512】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成
されていてもどちらでも良い。
【0513】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層
4513及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化珪素膜、
窒化酸化珪素膜、DLC膜等を形成することができる。
【0514】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b
、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518
bから供給されている。
【0515】
接続端子電極4515は、発光素子4511が有する第1の電極層4517と同じ導電膜
から形成されている。また、端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509、4510
が有するソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜から形成されている。
【0516】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介
して電気的に接続されている。
【0517】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する基板は透光性でなければならない。
その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィル
ムのような透光性を有する材料を用いる。
【0518】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹
脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、
ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEV
A(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用い
ればよい。
【0519】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよ
い。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により
反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0520】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは
、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回
路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回
路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、図17の構成に限定されない。
【0521】
以上の構成により、高純度化された酸化物半導体層を有し、オフ電流が低減した薄膜トラ
ンジスタが適用された表示装置を提供できる。オフ電流が低減した薄膜トランジスタを画
素に適用しているため、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間を長くできる。そ
の結果、静止画等を表示する際の動作が安定し、消費電力が少ない表示装置を提供できる
【0522】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0523】
(実施の形態12)
本実施の形態では、画素部に蓄光層を設けた表示装置の一態様について、図18を用いて
説明する。
【0524】
図18は下面射出構造の画素部の断面図であり、画素に設けた駆動用TFT7211と、
発光素子7212を含む切断面の断面図である。
【0525】
駆動用TFT7211は、基板上に、絶縁層、酸化物半導体層、ソース電極層及びドレイ
ン電極層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を有し、ソース電極層及びドレイン電極層にそれ
ぞれ配線層が電気的に接続して設けられている。
【0526】
また、駆動用TFT7211を覆って絶縁層7231が形成され、絶縁層7231上に開
口部を有する蓄光層7233が設けられている。透光性を有する導電膜7217は、蓄光
層7233を覆って形成されたオーバーコート層7234及び絶縁層7235上に形成さ
れている。なお、駆動用TFT7211のドレイン電極7230と導電膜7217は、オ
ーバーコート層7234、絶縁層7235、及び絶縁層7231に形成された開口部を介
して電気的に接続している。なお、導電膜7217上に発光素子7212の第1の電極7
213が接して設けられている。
【0527】
駆動用TFT7211、及び発光素子7212は実施の形態11にて説明した方法で作製
することができるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0528】
蓄光層7233は蓄光材料を含み、隣接する発光素子が発する光を蓄える。発光素子が発
光を中断した後も、蓄光層7233に含まれる蓄光材料が発光を継続する。本実施の形態
では蓄光材料として銅付活硫化亜鉛(ZnS:Cu)を用いる。また、硫化ストロンチウ
ム(SrS)等の硫化物を母体として付活剤を添加した蛍光体や、希土類を付活したアル
カリ土類アルミン酸塩であるCaAl:Eu、CaAl:Nd、SrAl
1425:Eu、SrAl1425:Dy、SrAl:Eu、及びSrAl
:Dyなどを用いてもよい。
【0529】
蓄光層7233が発光を継続する時間は、用いる蓄光材料の種類によって変えることがで
きる。蓄光材料の種類によって発光を継続する時間、所謂残光時間が異なるため、用途に
応じて材料を選択する。例えば、表示内容を頻繁に書き換える必要が無い用途に用いる表
示装置には、残光時間が長い蓄光材料を選択して用いればよい。また、比較的頻繁に表示
を書き換える場合は、残光時間の短い蓄光材料を選択して用いればよい。なお、蓄光材料
が無機粒子である場合、粒径は1nm以上10μm以下、好ましくは10nm以上5μm
以下である。粒径が1nm以下である場合は、蓄光性が失われてしまい、粒径が10μm
以上ある場合は、蓄光層の平坦性が損なわれてしまい、発光素子の作製が困難になるため
である。
【0530】
また、本実施の形態では、蓄光層7233はバインダポリマーを含み、蓄光材料を分散し
た分散液をインクジェット法などの液滴吐出法、印刷法、スピンコート法、及びフォトリ
ソグラフィ技術を用いたエッチング方法など適宜選択して形成する。
【0531】
また、蓄光層7233はオーバーコート層7234で覆い、オーバーコート層7234を
絶縁層7235で覆う。なお、図18ではオーバーコート層7234は薄い膜厚で図示し
たが、オーバーコート層7234は、蓄光層7233の凹凸を平坦化する機能を有してい
る。
【0532】
なお、蓄光層を設ける位置は、表示装置の使用者と発光素子の間に限定されない。例えば
、透光性を有する一対の電極間にEL層を挟んだ両面射出構造の発光素子は透光性を有す
る。このように発光素子が透光性を有する場合は、蓄光層を表示装置の使用者からみて発
光層の背面側に配置することができる。言い換えると、蓄光層と表示装置の使用者の間に
発光素子を配置することができる。発光素子を表示装置の使用者と蓄光層の間に配置すれ
ば、蓄光層は必ずしも透光性を有する必要はないため、蓄光材料の選定の幅が広がる。具
体的には、粒径が100μm以下の蓄光材料を利用できるようになる。
【0533】
以上の構成により、画素部に蓄光層と、高純度化された酸化物半導体層を有する薄膜トラ
ンジスタが適用された表示装置を提供できる。当該表示装置は、オフ電流が低減した薄膜
トランジスタを画素に適用しているため、画素に設けた保持容量が電圧を保持できる期間
を長くできる。その結果、静止画等を表示する際の動作が安定し、消費電力が少ない表示
装置を提供できる。
【0534】
また、本発明の一形態は、外光が弱い環境下でも視認性に優れた画像を表示できる自発光
型の表示装置を提供できる。また、蓄光材料を適用した蓄光層を画素部に有するため、発
光素子の発光間隔が長くてもちらつき(フリッカー)が目立たない表示装置を提供できる
。また、外光が弱い環境下であっても発光素子を駆動して蓄光材料にエネルギーを与える
ことができるため、長時間継続して使用できる表示装置を提供できる。
【0535】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0536】
(実施の形態13)
本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した表示装置を具備する電子機器の例に
ついて説明する。
【0537】
図19(A)は携帯型遊技機であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633
、操作キー9635、接続端子9636、記録媒体読込部9672、等を有することがで
きる。図19(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデ
ータを読み出して表示部に表示する機能、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共
有する機能、等を有することができる。なお、図19(A)に示す携帯型遊技機が有する
機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0538】
図19(B)はデジタルカメラであり、筐体9630、表示部9631、スピーカ963
3、操作キー9635、接続端子9636、シャッターボタン9676、受像部9677
、等を有することができる。図19(B)に示すテレビ受像機能付きデジタルカメラは、
静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する
機能、アンテナから様々な情報を取得する機能、撮影した画像、又はアンテナから取得し
た情報を保存する機能、撮影した画像、又はアンテナから取得した情報を表示部に表示す
る機能、等を有することができる。なお、図19(B)に示すテレビ受像機能付きデジタ
ルカメラが有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0539】
図19(C)はテレビ受像器であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633
、操作キー9635、接続端子9636、等を有することができる。図19(C)に示す
テレビ受像機は、テレビ用電波を処理して画像信号に変換する機能、画像信号を処理して
表示に適した信号に変換する機能、画像信号のフレーム周波数を変換する機能、等を有す
ることができる。なお、図19(C)に示すテレビ受像機が有する機能はこれに限定され
ず、様々な機能を有することができる。
【0540】
図20(A)はコンピュータであり、筐体9630、表示部9631、スピーカ9633
、操作キー9635、接続端子9636、ポインティングデバイス9681、外部接続ポ
ート9680等を有することができる。図20(A)に示すコンピュータは、様々な情報
(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、無線通信又は有線通信などの通信機能、通信機
能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、通信機能を用いて様々なデ
ータの送信又は受信を行う機能、等を有することができる。なお、図20(A)に示すコ
ンピュータが有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0541】
次に、図20(B)は携帯電話であり、筐体9630、表示部9631、スピーカ963
3、操作キー9635、マイクロフォン9638等を有することができる。図20(B)
に示した携帯電話は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、
カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又
は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を
有することができる。なお、図20(B)に示した携帯電話が有する機能はこれに限定さ
れず、様々な機能を有することができる。
【0542】
次に、図20(C)は電子ペーパー(E-bookともいう)であり、筐体9630、表
示部9631、操作キー9635等を有することができる。図20(C)に示した電子ペ
ーパーは、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー
、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する
機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有すること
ができる。なお、図20(C)に示した電子ペーパーが有する機能はこれに限定されず、
様々な機能を有することができる。
【0543】
本実施の形態において述べた電子機器は、表示部を構成する複数の画素において、オフ電
流を低減することができる。そのため、保持容量で電圧を保持できる期間を長く取ること
ができ、静止画等を表示する際の低消費電力化を図ることができる表示装置を具備する電
子機器とすることができる。また開口率の向上を図ることによって、高精細な表示部を有
する表示装置とすることができる。
【0544】
また、本発明の一形態は、外光が弱い環境下でも視認性に優れた画像を表示できる自発光
型の表示装置を提供できる。また、蓄光材料を適用した蓄光層を画素部に適用した場合、
発光素子の発光間隔が長くてもちらつき(フリッカー)が目立たない表示装置を提供でき
る。また、外光が弱い環境下であっても発光素子を駆動して蓄光材料にエネルギーを与え
ることができるため、長時間継続して使用できる表示装置を提供できる。
【0545】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0546】
(実施の形態14)
本実施の形態では、表示装置のブロック図、及び駆動回路における動作の停止手順及び開
始手順について示す。まず図25では、表示装置のブロック図について説明を行う。
【0547】
本実施の形態で示す表示装置1000は、表示パネル1001、信号生成回路1002、
記憶回路1003、比較回路1004、選択回路1005、表示制御回路1006を有す
る。
【0548】
表示パネル1001は、一例として、駆動回路部1007及び画素部1008を有する。
ゲート線駆動回路1009A、信号線駆動回路1009Bを有する。ゲート線駆動回路1
009A、信号線駆動回路1009Bは、複数の画素を有する画素部1008を駆動する
ための駆動回路である。また、ゲート線駆動回路1009A、信号線駆動回路1009B
、及び画素部1008は、同じ基板に形成される薄膜トランジスタにより回路が構成され
るものでもよい。
【0549】
なおゲート線駆動回路1009A、信号線駆動回路1009B、及び画素部1008を構
成する薄膜トランジスタの一部または全部には、半導体層を酸化物半導体としたnチャネ
ル型の薄膜トランジスタを用いる。なお駆動回路部1007にあるゲート線駆動回路10
09Aまたは信号線駆動回路1009Bは、同じ基板上に形成される構成としてもよいし
、別の基板上に設ける構成としてもよい。
【0550】
また、信号生成回路1002は、ゲート線駆動回路1009A、及び信号線駆動回路10
09Bより、画素部1008で表示を行うための信号を出力するためのパルス信号を生成
する回路である。また信号生成回路1002は、配線を介して駆動回路部1007に出力
するための回路、及び画像信号(ビデオ電圧、ビデオ信号、ビデオデータともいう)を、
配線を介して記憶回路1003に出力するための回路である。換言すれば、駆動回路部1
007を駆動するための制御信号、及び画素部に供給する画像信号を生成し出力するため
の回路である。
【0551】

信号生成回路1002は、具体的には、制御信号として、ゲート線駆動回路1009A、
及び信号線駆動回路1009Bに電源電圧である高電源電位Vdd、低電源電位Vssを
供給する。また、ゲート線駆動回路1009Aに、ゲート線駆動回路用のスタートパルス
SP、クロック信号CKを生成して出力し、信号線駆動回路1009Bに、信号線駆動回
路用のスタートパルスSP、クロック信号CKを生成して出力する。また信号生成回路1
002は、動画像または静止画を表示するための画像信号データを記憶回路1003に出
力する。
【0552】
なお動画像は、複数のフレーム期間に時分割した複数の画像を高速に切り替えることで人
間の目に動画像として認識される画像のことをいう。具体的には、1秒間に60回(60
フレーム)以上画像を切り替えることで、人間の目にはちらつきが少なく動画像と認識さ
れる、連続する画像信号のことである。一方静止画は、動画像と異なり、複数のフレーム
期間に時分割した複数の画像を高速に切り替えて動作させるものの、連続するフレーム期
間、例えばnフレーム目と、(n+1)フレーム目とで画像信号が変化しない画像信号の
ことをいう。
【0553】
なお信号生成回路1002は、他にも画像信号、ラッチ信号等の信号を生成する回路であ
ってもよい。また信号生成回路1002は、ゲート線駆動回路1009A及び/または信
号線駆動回路1009Bには、各駆動回路のパルス信号の出力を停止するためリセット信
号Resを出力する構成としてもよい。なお各信号は第1のクロック信号、第2のクロッ
ク信号といったように複数の信号で構成される信号であってもよい。
【0554】
なお高電源電位Vddとは、基準電位より高い電位のことであり、低電源電位とは基準電
位以下の電位のことをいう。なお高電源電位及び低電源電位ともに、トランジスタが動作
できる程度の電位であることが望ましい。
【0555】
なお、電圧とは、ある電位と、基準の電位(例えばグラウンド電位)との電位差のことを
示す場合が多い。よって、電圧、電位、電位差を、各々、電位、電圧、電圧差と言い換え
ることが可能である。
【0556】
なお信号生成回路1002から記憶回路1003への画像信号の出力がアナログの信号の
場合には、A/Dコンバータ等を介してデジタルの信号に変換して、記憶回路1003に
出力する構成とすればよい。
【0557】
記憶回路1003は、複数のフレーム期間に関する画像信号を記憶するための複数のフレ
ームメモリ1010を有する。記憶回路1003が有するフレームメモリの数は特に限定
されるものではなく、複数のフレーム期間に関する画像信号を記憶できる素子であればよ
い。なおフレームメモリは、例えばDRAM(Dynamic Random Acce
ss Memory)、SRAM(Static Random Access Mem
ory)等の記憶素子を用いて構成すればよい。
【0558】
なおフレームメモリ1010は、フレーム期間毎に画像信号を記憶する構成であればよく
、フレームメモリの数について特に限定されるものではない。またフレームメモリ101
0の画像信号は、比較回路1004及び選択回路1005により選択的に読み出されるも
のである。
【0559】
比較回路1004は、記憶回路1003に記憶された連続するフレーム期間の画像信号を
選択的に読み出して、当該画像信号の比較を行い、差分を検出するための回路である。当
該比較回路1004での画像信号の比較により、差分が検出された際に当該差分を検出し
た連続するフレーム期間では動画像であると判断される。一方比較回路1004での画像
信号の比較により、差分が検出されない際に当該差分を検出しなかった連続するフレーム
期間では静止画であると判断される。すなわち、比較回路1004での差分の検出によっ
て連続するフレーム期間の画像信号が、動画像を表示するための画像信号であるか、また
は静止画を表示するための画像信号であるか、の判断がなされるものである。なお、当該
比較により得られる差分は、一定のレベルを超えたときに、差分を検出したと判断される
ように設定してもよい。
【0560】
選択回路1005は、複数のスイッチ、例えば薄膜トランジスタで形成されるスイッチを
設け、動画像を表示するための画像信号が比較回路での差分の検出により判断された際に
、当該画像信号が記憶されたフレームメモリ1010より画像信号を選択して表示制御回
路1006に出力するための回路である。なお比較回路1004で比較したフレーム間の
画像信号の差分が検出されなければ、当該フレーム間で表示される画像は静止画であり、
この場合、当該フレーム期間の画像信号について表示制御回路1006に出力しない構成
とすればよい。
【0561】
表示制御回路1006は、画像信号、高電源電位Vdd、低電源電位Vss、スタートパ
ルスSP、クロック信号CK、及びリセット信号Resの制御信号に関して、駆動回路部
1007への供給または停止を切り替える為の回路である。具体的には、比較回路100
4により動画像と判断、すなわち連続フレーム期間の画像信号の差分が抽出された場合に
は、画像信号が選択回路1005より供給されて表示制御回路1006を介して駆動回路
部1007に供給され、制御信号が、表示制御回路1006を介して駆動回路部1007
に供給されることとなる。一方、比較回路1004により静止画と判断、すなわち連続フ
レーム期間の画像信号の差分を抽出しない場合には、画像信号が選択回路1005より供
給されないため表示制御回路1006より駆動回路部1007に画像信号が供給されず、
制御信号の駆動回路部1007への供給を表示制御回路1006が停止することとなる。
【0562】
なお、静止画と判断される場合において、静止画と判断される期間が短い場合には、制御
信号のうち、高電源電位Vdd、低電源電位Vssの停止を行わない構成としてもよい。
頻繁に高電源電位Vdd、低電源電位Vssの停止及び再開を行うことによる消費電力の
増大を低減することができ、好適である。
【0563】
なお画像信号及び制御信号の停止は、画素部1008の各画素で画像信号を保持できる期
間にわたって行うことが望ましく、各画素での保持期間の後に再度画像信号を供給するよ
う、表示制御回路1005が先に供給した画像信号及び制御信号を再度供給するようにす
る構成とすればよい。
【0564】
なお信号の供給とは、配線に所定の電位を供給することをいう。信号の停止とは、配線へ
の所定の電位の供給を停止し、所定の固定電位が供給される配線、例えば低電源電位Vs
sが供給された配線、に接続することをいう。また信号の停止とは、所定の電位を供給さ
れている配線との電気的な接続を切断し、浮遊状態とすることをいう。
【0565】
上述のように酸化物半導体層を具備する薄膜トランジスタは、チャネル長10μmの場合
において、チャネル幅1μm当たりのオフ電流が1aA(1×10-18A)以下(これ
を1aA/μmと表す)とすることができるため、保持期間を大きくとることができる。
そのため、本実施の形態における静止画の表示を行う際に低消費電力化を図るうえでの相
乗効果が見込めることとなる。
【0566】
上述のように映像信号を比較して動画像か静止画かを判定し、クロック信号やスタートパ
ルス等の制御信号の駆動回路部への供給の再開または停止を選択的に行うことで、低消費
電力化を図ることができる。
【0567】
次いで、駆動回路部1007のゲート線駆動回路1009A、信号線駆動回路1009B
を構成するシフトレジスタの構成について図26に一例を示す。
【0568】
図26(A)に示すシフトレジスタは、第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス
出力回路10_N(N≧3の自然数)を有している。図26(A)に示すシフトレジスタ
の第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_Nには、第1の配線1
1より第1のクロック信号CK1、第2の配線12より第2のクロック信号CK2、第3
の配線13より第3のクロック信号CK3、第4の配線14より第4のクロック信号CK
4が供給される。また第1のパルス出力回路10_1では、第5の配線15からのスター
トパルスSP1(第1のスタートパルス)が入力される。また2段目以降の第nのパルス
出力回路10_n(nは、2≦n≦Nの自然数)では、一段前段のパルス出力回路からの
信号(前段信号OUT(n-1)という)(n≧2の自然数)が入力される。また第1の
パルス出力回路10_1では、2段後段の第3のパルス出力回路10_3からの信号が入
力される。同様に、2段目以降の第nのパルス出力回路10_nでは、2段後段の第(n
+2)のパルス出力回路10_(n+2)からの信号(後段信号OUT(n+2)という
)が入力される。従って、各段のパルス出力回路からは、後段及び/または二つ前段のパ
ルス出力回路に入力するための第1の出力信号(OUT(1)(SR)~OUT(N)(
SR))、別の回路等に入力される第2の出力信号(OUT(1)~OUT(N))が出
力される。なお、図26(A)に示すように、シフトレジスタの最終段の2つの段には、
後段信号OUT(n+2)が入力されないため、一例としては、別途第6の配線17より
第2のスタートパルスSP2、第7の配線18より第3のスタートパルスSP3をそれぞ
れ入力する構成でもよい。または、別途シフトレジスタの内部で生成された信号であって
もよい。例えば、画素部へのパルス出力に寄与しない第(N+1)のパルス出力回路10
_(N+1)、第(N+2)のパルス出力回路10_(N+2)を設け(ダミー段ともい
う)、当該ダミー段より第2のスタートパルス(SP2)及び第3のスタートパルス(S
P3)に相当する信号を生成する構成としてもよい。
【0569】
なお、第1のクロック信号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK4)は、一定の間隔
でH信号とL信号を繰り返す信号である。また、第1のクロック信号(CK1)乃至第4
のクロック信号(CK4)は、順に1/4周期分遅延している。本実施の形態では、第1
のクロック信号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK4)を利用して、パルス出力回
路の駆動の制御等を行う。なお、クロック信号CKは、入力される駆動回路に応じて、G
CK、SCKということもあるが、ここではCKとして説明を行う。
【0570】
なお、AとBとが接続されている、と明示的に記載する場合は、AとBとが電気的に接続
されている場合と、AとBとが機能的に接続されている場合と、AとBとが直接接続され
ている場合とを含むものとする。ここで、A、Bは、対象物(例えば、装置、素子、回路
、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。したがって、所定の接続関係、
例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関
係以外のものも含むものとする。
【0571】
第1のパルス出力回路10_第1乃至第Nのパルス出力回路10_Nの各々は、第1の入
力端子21、第2の入力端子22、第3の入力端子23、第4の入力端子24、第5の入
力端子25、第1の出力端子26、第2の出力端子27を有している(図26(B)参照
)。
【0572】
第1の入力端子21、第2の入力端子22及び第3の入力端子23は、第1の配線11乃
至第4の配線14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、図26(A)、(B)
において、第1のパルス出力回路10_1は、第1の入力端子21が第1の配線11と電
気的に接続され、第2の入力端子22が第2の配線12と電気的に接続され、第3の入力
端子23が第3の配線13と電気的に接続されている。また、第2のパルス出力回路10
_2は、第1の入力端子21が第2の配線12と電気的に接続され、第2の入力端子22
が第3の配線13と電気的に接続され、第3の入力端子23が第4の配線14と電気的に
接続されている。
【0573】
また図26(A)、(B)において、第1のパルス出力回路10_1は、第4の入力端子
24にスタートパルスが入力され、第5の入力端子25に後段信号OUT(3)が入力さ
れ、第1の出力端子26より第1の出力信号OUT(1)(SR)が出力され、第2の出
力端子27より第2の出力信号OUT(1)が出力されていることとなる。
【0574】
次に、パルス出力回路の具体的な回路構成の一例について、図26(C)で説明する。
【0575】
図26(C)において第1のトランジスタ31は、第1端子が電源線51に電気的に接続
され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極が
第4の入力端子24に電気的に接続されている。第2のトランジスタ32は、第1端子が
電源線52に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的
に接続され、ゲート電極が第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されてい
る。第3のトランジスタ33は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第
2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第4のトランジスタ34は、第
1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続
されている。第5のトランジスタ35は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第
2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極
に電気的に接続され、ゲート電極が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第6
のトランジスタ36は、第1端子が電源線51に電気的に接続され、第2端子が第2のト
ランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続さ
れ、ゲート電極が第5の入力端子25に電気的に接続されている。第7のトランジスタ3
7は、第1端子が電源線51に電気的に接続され、第2端子が第8のトランジスタ38の
第2端子に電気的に接続され、ゲート電極が第3の入力端子23に電気的に接続されてい
る。第8のトランジスタ38は、第1端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第
4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第2の入力端子2
2に電気的に接続されている。第9のトランジスタ39は、第1端子が第1のトランジス
タ31の第2端子及び第2のトランジスタ32の第2端子に電気的に接続され、第2端子
が第3のトランジスタ33のゲート電極及び第10のトランジスタ40のゲート電極に電
気的に接続され、ゲート電極が電源線51に電気的に接続されている。第10のトランジ
スタ40は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第2の出力
端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第9のトランジスタ39の第2端子に電気的
に接続されている。第11のトランジスタ41は、第1端子が電源線52に電気的に接続
され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第2のトランジ
スタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されてい
る。
【0576】
図26(C)において、第3のトランジスタ33のゲート電極、第10のトランジスタ4
0のゲート電極、及び第9のトランジスタ39の第2端子の接続箇所をノードNAとする
。また、第2のトランジスタ32のゲート電極、第4のトランジスタ34のゲート電極、
第5のトランジスタ35の第2端子、第6のトランジスタ36の第2端子、第8のトラン
ジスタ38の第1端子、及び第11のトランジスタ41のゲート電極の接続箇所をノード
NBとする。
【0577】
図26(C)におけるパルス出力回路が第1のパルス出力回路10_1の場合、第1の入
力端子21には第1のクロック信号CK1が入力され、第2の入力端子22には第2のク
ロック信号CK2が入力され、第3の入力端子23には第3のクロック信号CK3が入力
され、第4の入力端子24にはスタートパルスSPが入力され、第5の入力端子25には
後段信号OUT(3)が入力され、第1の出力端子26からは第1の出力信号OUT(1
)(SR)が出力され、第2の出力端子27からは第2の出力信号OUT(1)が出力さ
れることとなる。
【0578】
ここで、図26(C)に示したパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタのタイミン
グチャートについて図27に示す。なおシフトレジスタがゲート線駆動回路である場合、
図27中の期間61は垂直帰線期間であり、期間62はゲート選択期間に相当する。
【0579】
図26図27で、一例として示した、nチャネル型のトランジスタを複数用いて作製し
た駆動回路において、静止画表示から動画像表示をおこなう動作、または画素部に設けら
れたEL素子の駆動用TFTに再書き込みを行う動作(以下、リフレッシュ動作ともいう
)の際の、駆動回路部への各配線の電位の供給または停止の手順について、図28を参照
して説明する。図28は、シフトレジスタに高電源電位(Vdd)を供給する配線、低電
電源電位(Vss)を供給する配線、スタートパルス(SP)を供給する配線、及び第1
のクロック信号(CK1)を供給する配線乃至第4のクロック信号(CK4)を供給する
配線の、期間(T1)の前後における電位の変化を示す図である。
【0580】
本実施の形態の表示装置では、動画像の表示と静止画の表示、またはリフレッシュ動作に
より、駆動回路部を常時動作することなく、静止画の表示を行うことができる。そのため
図28に示すように、シフトレジスタに対し、高電源電位(Vdd)、第1のクロック信
号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK4)、及びスタートパルス等の制御信号が供
給される期間、並びに制御信号が供給されない期間が存在する。なお図28に示す期間T
1は、制御信号が供給される期間、すなわち動画像を表示する期間及びリフレッシュ動作
を行う期間に相当する。また図28に示す期間T2は、制御信号が供給されない期間、す
なわち静止画を表示する期間に相当する。
【0581】
図28において高電源電位(Vdd)が供給される期間は、期間T1に限らず、期間T1
と期間T2にわたる期間にかけて設けられている。また図28において、第1のクロック
信号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK4)が供給される期間は、高電源電位(V
dd)が供給された後から、高電源電位(Vdd)が停止する前までにかけて設けられて
いる。
【0582】
また図28に示すように、第1のクロック信号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK
4)は、期間T1が始まる前には一旦高電位の信号としてから一定周期のクロック信号の
発振を開始し、期間T1が終わった後には低電位の信号としてからクロック信号の発振を
終了する構成とすればよい。
【0583】
上述したように、本実施の形態の表示装置では、期間T2ではシフトレジスタに高電源電
位(Vdd)、第1のクロック信号(CK1)乃至第4のクロック信号(CK4)、及び
スタートパルス等の制御信号の供給を停止する。そして、制御信号の供給が停止する期間
においては、各トランジスタの導通または非導通を制御して動作しシフトレジスタより出
力されるパルス信号も停止する。そのため、シフトレジスタにおいて消費される電力及び
当該シフトレジスタによって駆動される画素部において消費される電力を低減することが
可能になる。
【0584】
なお上述のリフレッシュ動作は、表示される静止画の画質の劣化を生じる可能性があるた
め、定期的に行う必要がある。本実施の形態の表示装置は、各画素に設けられたEL素子
の駆動用TFTに印加する電圧を制御するスイッチング素子として、上述した酸化物半導
体を具備するトランジスタを適用している。これにより、オフ電流を極端に低減すること
ができるため、各画素に設けられたEL素子の駆動用TFTに印加される電圧の変動を低
減することが可能である。つまり静止画の表示により、シフトレジスタの動作が停止する
期間が長期間に渡っても、画質の劣化を低減することができる。一例としては、当該期間
が3分であったとしても表示される静止画の品質を維持することが可能である。例えば、
1秒間に60回の再書き込みを行う表示装置と、3分間に1回のリフレッシュ動作を行う
表示装置とを比較すると約1/10000にまで消費電力を低減することが可能である。
【0585】
なお、上述の高電源電位(Vdd)の停止とは、図28に示すように、低電位電源(Vs
s)と等電位とすることである、なお、高電源電位(Vdd)の停止は、高電源電位が供
給される配線の電位を浮遊状態とすることであってもよい。
【0586】
なお、高電源電位(Vdd)が供給される配線の電位を増加させる、すなわち期間T1の
前に低電源電位(Vss)より高電源電位(Vdd)に増加させる際には、当該配線の電
位の変化が緩やかになるように制御することが好ましい。当該配線の電位の変化の勾配が
急峻であると、当該電位の変化がノイズとなり、シフトレジスタから不正パルスが出力さ
れる可能性がある。当該シフトレジスタが、ゲート線駆動回路が有するシフトレジスタで
ある場合、不正パルスは、トランジスタをオンさせる信号となる。そのため、当該不正パ
ルスによって、EL素子の駆動用TFTに印加される電圧が変化し、静止画の画像が変化
する可能性があるためである。上述した内容を鑑み、図28では、高電源電位(Vdd)
となる信号の立ち上がりが立ち下がりよりも緩やかになる例について図示している。特に
、本実施の形態の表示装置においては、画素部において静止画を表示している際に、シフ
トレジスタに対する高電源電位(Vdd)の供給の停止及び再供給が適宜行われる構成と
なる。つまり、高電源電位(Vdd)を供給する配線の電位の変化が、ノイズとして画素
部に影響した場合、当該ノイズは表示画像の劣化に直結する。そのため、本実施の形態の
表示装置においては、当該配線の電位の変化(特に、電位の増加)がノイズとして画素部
に侵入しないよう制御することが重要となる。
【符号の説明】
【0587】
11 配線
12 配線
13 配線
14 配線
15 配線
17 配線
18 配線
51 電源線
52 電源線
61 期間
62 期間
100 画素
101 配線
102 配線
102A 配線
102B 配線
103 酸化物半導体層
104 容量線
105 画素電極
106 薄膜トランジスタ
108 基板温度
111 基板
112 下地膜
113 ゲート絶縁膜
114 酸化物絶縁層
121 絶縁層
200 基板
201 画素
202 画素部
203 走査線駆動回路
204 信号線駆動回路
251 期間
252 期間
261 期間
300 基板
302 ゲート絶縁層
303 保護絶縁層
310 薄膜トランジスタ
311 ゲート電極層
313 チャネル形成領域
314a 高抵抗ソース領域
314b 高抵抗ドレイン領域
315a ソース電極層
315b ドレイン電極層
316 酸化物絶縁層
320 基板
322 ゲート絶縁層
323 保護絶縁層

330 酸化物半導体膜
331 酸化物半導体層
332 酸化物半導体層
340 基板
342 ゲート絶縁層
343 保護絶縁層
345 酸化物半導体膜
346 酸化物半導体層
350 薄膜トランジスタ
351 ゲート電極層
352 酸化物半導体層
355a ソース電極層
355b ドレイン電極層
356 酸化物絶縁層
360 薄膜トランジスタ
361 ゲート電極層
362 酸化物半導体層
363 チャネル形成領域
364a 高抵抗ソース領域
364b 高抵抗ドレイン領域
365a ソース電極層
365b ドレイン電極層
366 酸化物絶縁層
370 基板
372a ゲート絶縁層
372b ゲート絶縁層
373 保護絶縁層
380 薄膜トランジスタ
381 ゲート電極層
382 酸化物半導体層
385a ソース電極層
385b ドレイン電極層
386 酸化物絶縁層
390 薄膜トランジスタ
391 ゲート電極層
392 酸化物半導体層
393 酸化物半導体膜
394 基板
395a ソース電極層
395b ドレイン電極層
396 酸化物絶縁層
397 ゲート絶縁層
398 保護絶縁層
399 酸化物半導体層
400 基板
402 ゲート絶縁層
407 絶縁層
410 薄膜トランジスタ
411 ゲート電極層
412 酸化物半導体層
414a 配線層
414b 配線層
415a ドレイン電極層
415b ドレイン電極層
420 シリコン基板
422 絶縁層
423 開口
424 導電層
425 薄膜トランジスタ
427 導電層
438 配線層
450 基板
452 ゲート絶縁層
457 絶縁層
460 薄膜トランジスタ
461 ゲート電極層
462 酸化物半導体層
464 配線層
465a ドレイン電極層
465a1 ドレイン電極層
465a2 ドレイン電極層
465b ドレイン電極層
468 配線層
472a ゲート絶縁層
1008 画素部
1009B 信号線駆動回路
4501 基板
4502 画素部
4503a 信号線駆動回路
4504a 走査線駆動回路
4505 シール材
4506 基板
4507 充填材
4509 薄膜トランジスタ
4510 薄膜トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4518a FPC
4519 異方性導電膜
4520 隔壁
4540 導電層
4542 絶縁層
6400 画素
6401 スイッチング用トランジスタ
6402 駆動用トランジスタ
6404 発光素子
6405 信号線
6406 走査線
6407 電源線
6408 共通電極
7001 駆動用TFT
7002 発光素子
7003 電極
7004 EL層
7005 電極
7011 駆動用TFT
7012 発光素子
7013 電極
7014 EL層
7015 電極
7016 遮蔽膜
7017 導電膜
7019 隔壁
7021 駆動用TFT
7022 発光素子
7023 電極
7024 EL層
7025 電極
7026 電極
7027 導電膜
7029 隔壁
7030 ドレイン電極層
7031 絶縁層
7033 カラーフィルタ
7034 オーバーコート層
7035 絶縁層
7040 ドレイン電極層
7041 絶縁層
7043 カラーフィルタ
7044 オーバーコート層
7045 絶縁層
7051 絶縁層
7053 絶縁層
7055 絶縁層
7211 駆動用TFT
7212 発光素子
7217 導電膜
7230 ドレイン電極
7231 絶縁層
7233 蓄光層
7234 オーバーコート層
7235 絶縁層
9630 筐体
9631 表示部
9633 スピーカ
9635 操作キー
9636 接続端子
9638 マイクロフォン
9672 記録媒体読込部
9676 シャッターボタン
9677 受像部
9680 外部接続ポート
9681 ポインティングデバイス
図1
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