(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000175
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】リスク管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0635 20230101AFI20221222BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20221222BHJP
【FI】
G06Q10/06 326
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100837
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松葉 浩也
(72)【発明者】
【氏名】松本 杜青
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 俊宏
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】リスクを評価して適切な対応策を計画する。
【解決手段】リスク管理システムは、複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測して対応策を決定するための処理を規定する複数のリスクモデルとを備え、構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測し、リスクモデルに従って、対応策情報に基づきリスク種別に対応する対応策を抽出し、管理対象と構成要素との構造関係に基づいて管理対象に対する対応策と該対応策を適用するための閾値とを定めたリスク構造情報を備え、リスク予測部にて予測された構成要素のそれぞれのリスク値と閾値とに基づき、対応策を適用すべき実施時期を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成要素を含む管理対象のリスク管理を支援するリスク管理システムであって、
複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、前記複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測するリスクモデルと、を備え、前記構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを前記複数のリスクモデルの中から選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて前記構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測するリスク予測部と、
前記管理対象と前記構成要素との構造関係に基づいて前記管理対象に対する対応策を定めたリスク構造情報を備え、前記リスク予測部にて予測された前記構成要素のそれぞれのリスク値に基づき、前記対応策を適用すべき実施時期を決定する統合部と、
を有するリスク管理システム。
【請求項2】
前記対応策情報は、
前記リスク種別と、前記リスク種別のリスクの発生を予め防止する予防措置および該予防措置に要するコストとの関係を示す予防措置情報と、
前記リスク種別と、前記リスク種別のリスクが発生した場合に前記管理対象を元の状態に回復する回復措置および該回復措置に要するコストとの関係を示す回復措置情報と、を含む、
請求項1に記載のリスク管理システム。
【請求項3】
前記予防措置には、前記構成要素の保守点検または前記構成要素の保守交換が含まれる、
請求項2に記載のリスク管理システム。
【請求項4】
前記予防措置には、送電経路の調整または前記構成要素の負荷を調整する運用が含まれる、
請求項2に記載のリスク管理システム。
【請求項5】
前記回復措置には、前記構成要素の修理と、前記構成要素の交換とが含まれる、
請求項2に記載のリスク管理システム。
【請求項6】
前記リスク種別には、前記管理対象に含まれる機器の状態劣化によるリスクを示す機器劣化リスクと、前記管理対象に対する自然災害の影響によるリスクを示す自然災害リスクと、前記管理対象に対するサイバー攻撃によるリスクを示すサイバー攻撃リスクと、の1つ以上が含まれる、
請求項1に記載のリスク管理システム。
【請求項7】
前記統合部は、各時点について、前記管理対象に含まれる前記構成要素の全てについてリスク値を閾値と比較し、前記リスク値が前記閾値を超えた構成要素について、リスク値を閾値以下に収めるための対応策を決定し、スケジュール情報として記録する、
請求項1に記載のリスク管理システム。
【請求項8】
前記統合部によって決定された前記対応策を適用すべき実施時期と、当該実施時期に行うべき前記予防措置又は前記回復措置とを対応付けて出力する出力部、をさらに有する、
請求項2に記載のリスク管理システム。
【請求項9】
前記リスクモデルを用いて前記管理対象におけるリスク値を計算し、前記リスク値に基づいて判定された保険を適用すべきか否かを示す情報を出力する出力部、をさらに有する、
請求項1に記載のリスク管理システム。
【請求項10】
リスク管理システムによって複数の構成要素を含む管理対象のリスク管理を支援するリスク管理方法であって、
複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、前記複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測して対応策を決定するための処理を規定する複数のリスクモデルと、を備え、前記構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを前記複数のリスクモデルの中から選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて前記構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測し、前記リスクモデルに従って、前記対応策情報に基づき前記リスク種別に対応する対応策を抽出し、
前記管理対象と前記構成要素との構造関係に基づいて前記管理対象に対する対応策と該対応策を適用するための閾値とを定めたリスク構造情報を備え、予測された前記構成要素のそれぞれのリスク値と前記閾値とに基づき、前記対応策を適用すべき実施時期を決定する、
ことをコンピュータが実行するリスク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設備等のリスクを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電源設備など重要度の高い設備については、リスクを評価し、適切な保守を行い、健全な運用を維持することが求められる。
【0003】
特許文献1には、リスクモデルを用いて現在のリスク値を算出し、最適な対策案を生成する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
規模の大きな設備では、保守や運用の計画は多くの要素を考慮して立案する必要がある。例えば、設備に含まれる多くの機器のそれぞれの性質、設備が配置される環境における外的要因による各機器の経年劣化の度合い等、様々な要素が設備のリスクに影響する。そのような複雑な保守運用計画にてリスクに対して適切な対応策を作成する作業を行うのは困難である。
【0006】
特許文献1には、リスクモデルを用いてリスク値を予測する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載された手法は、機器劣化などの自然発生するリスクを評価するものではなく、作業を行うことに関するリスクをリスクモデルを用いて評価するものである。そのため、特許文献1の技術は、保守や運用にてどのような作業を行うかという計画を立案する場面で好適な技術とは言えない。
【0007】
本開示のひとつの目的は、リスクを評価して適切な対応策を計画することを支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のひとつの態様に従うリスク管理システムは、複数の構成要素を含む管理対象のリスク管理を支援するリスク管理システムであって、複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、前記複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測して対応策を決定するための処理を規定する複数のリスクモデルと、を備え、前記構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを前記複数のリスクモデルの中から選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて前記構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測し、前記リスクモデルに従って、前記対応策情報に基づき前記リスク種別に対応する対応策を抽出するリスク予測部と、前記管理対象と前記構成要素との構造関係に基づいて前記管理対象に対する対応策と該対応策を適用するための閾値とを定めたリスク構造情報を備え、前記リスク予測部11にて予測された前記構成要素のそれぞれのリスク値と前記閾値とに基づき、前記対応策を適用すべき実施時期を決定する統合部とを有する。
【0009】
本開示のひとつの態様に従うリスク管理方法は、リスク管理システムによって複数の構成要素を含む管理対象のリスク管理を支援するリスク管理方法であって、複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、前記複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測して対応策を決定するための処理を規定する複数のリスクモデルと、を備え、前記構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを前記複数のリスクモデルの中から選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて前記構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測し、前記リスクモデルに従って、前記対応策情報に基づき前記リスク種別に対応する対応策を抽出するリスク予測ステップと、前記管理対象と前記構成要素との構造関係に基づいて前記管理対象に対する対応策と該対応策を適用するための閾値とを定めたリスク構造情報を備え、前記リスク予測部11にて予測された前記構成要素のそれぞれのリスク値と前記閾値とに基づき、前記対応策を適用すべき実施時期を決定する統合ステップとを有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示のひとつの態様によれば、リスクを評価して適切な対応策を計画することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る最適化システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】最適化システムの全体処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】リスクモデルテンプレート情報の一例を示す図である。
【
図6】予測計算初期化部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】最適化計算実行部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】統合計算実行部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】予測計算実行部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】出力部により出力される情報の一例を示す図である。
【
図13】保守運用計画出力部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】保険計画出力部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
<最適化システムの構成>
図1を参照して、最適化システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る最適化システム1の構成例を示すブロック図である。
【0014】
最適化システム1は、リスク管理システムの一例であり、複数の構成要素を含む管理対象のリスク管理を支援する。本実施の形態は、管理対象を変電所とし、構成要素を当該変電所を変圧器として説明する。ただし、管理対象及び構成要素はこれらに限られない。また、管理対象は設備と読み替えられ、構成要素は当該設備を構成する機器と読み替えられてもよい。
【0015】
図1に示すように、最適化システム1は、プロセッサ15、入出力装置16、及び、メモリ17を含むコンピュータにより構成される。
【0016】
メモリ17は、最適化システム1が提供する機能を実現するためのソフトウェアプログラム及びデータ等を格納する。メモリ17は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、又はこれらの組み合わせによって構成される。
【0017】
入出力装置16は、ディスク2、ネットワーク3、及び、表示装置4等を最適化システム1に接続するための装置(インタフェース)である。ディスク2っは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ又はそれらの組み合わせによって構成される。ディスク2は、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disk)として構成されてもよい。
【0018】
ネットワーク3の例として、電力用通信ネットワーク3、LAN(Local Area Network)、インターネット、セルラ網等が挙げられる。表示装置4の例として、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、PC、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。
【0019】
プロセッサ15は、メモリ17、ディスク2、又は、ネットワーク3等からソフトウェアプログラム又はデータ等を読み出して処理する。プロセッサ15は、各種処理により生成したデータ又は情報等を、メモリ17又はディスク2に書き込んだり、ネットワーク3を通じて送信したり、表示装置4に表示したりする。プロセッサ15が、メモリ17から読みだしたソフトウェアプログラムを実行することにより、リスク予測部11、統合部12、および出力部13が実現される。
【0020】
リスク予測部11は、複数のリスク種別のそれぞれと当該リスク種別に対する対応策との関係を示す対応策情報と、複数のリスク種別のそれぞれに対応する、将来の各時点のリスク値を予測する複数のリスクモデルと、を備え、構成要素のそれぞれに対するリスク種別に対応するリスクモデルを複数のリスクモデルの中から選択し、該選択したリスクモデルに実績情報を与えて構成要素のそれぞれの将来のリスク値を予測し、対応策情報に基づき対応策が実行された際の新たなリスク値と対応策実行に要するコストを計算する。
【0021】
統合部12は、管理対象と構成要素との構造関係に基づいて管理対象に対する対応策と該対応策を適用するか否かの判断基準となる閾値とを定めたリスク構造情報を備え、リスク予測部11にて予測された構成要素のそれぞれのリスク値と閾値とに基づき、対応策を適用すべき実施時期を決定する。
【0022】
このように、最適化システム1は、リスク種別毎にリスクモデルを予め設けておき、各構成要素に適切なリスクモデルを選択してリスク値を評価し、各構成要素のリスク値とリスク構造情報を基に、管理対象への対策案を決定するので、構成要素を含む管理対象について、リスクを適切に評価して適切な対応策を計画することを支援することができる。
【0023】
対応策情報は、各リスク種別について、リスクの発生を予め防止する予防措置および該予防措置に要するコストとの関係を示す予防措置情報と、リスク種別と、リスク種別のリスクが発生した場合に管理対象を元の状態に回復する回復措置および該回復措置に要するコストとの関係を示す回復措置情報と、を含んでよい。これにより、リスクを適切に評価して適切な予防措置および回復措置を計画することを支援することができる。
【0024】
リスク種別には、管理対象に含まれる機器の状態劣化によるリスクを示す機器劣化リスクと、管理対象に対する自然災害の影響によるリスクを示す自然災害リスクと、管理対象に対するサイバー攻撃によるリスクを示すサイバー攻撃リスクと、の1つ以上が含まれてよい。これにより、機器劣化、自然災害、またはサイバー攻撃のリスクについて、そのリスクの性質に適したリスクモデルを用いてリスクを的確に評価することができる。
【0025】
出力部13は、統合部12によって決定された対応策を、対応策情報にある属性に応じて分類して出力する。例えば属性が「保守」または「運用」の2つの値を持ちうる場合、出力部13は属性が「保守」および「運用」の2つの表を出力し、それぞれに対応策の内容と実施時期が記される。これにより、ユーザは、対応策を適用すべき実施時期および、どのような予防措置又は回復措置を行えばよいのかを知ることができる。
【0026】
また、出力部13は、リスクモデルを用いて算出した管理対象におけるリスク値の合計と、リスク値の合計に基づいて判定された保険を適用すべきか否かを示す情報とを対応付けて出力する。これにより、ユーザは、管理対象全体におけるリスクの大きさを知ることができると共に、当該管理対象に保険を適用すべきか否かの判断材料とすることができる。
【0027】
以下、リスク予測部11、統合部12、出力部13の処理について説明する。
【0028】
リスク予測部11は、処理として、予測計算初期化部110、及び、予測計算実行部111を含んでよい。リスク予測部11は、情報として、リスクモデルテンプレート情報115、機器情報116、及び、個別予測情報117を含んでよい。
【0029】
予測計算初期化部110は、予測計算の初期化を行う。なお、予測計算初期化部110の処理の詳細については後述する(
図6参照)。
【0030】
予測計算実行部111は、予測計算を実行する。なお、予測計算実行部111の処理の詳細については後述する(
図11参照)。
【0031】
リスクモデルテンプレート情報115は、リスクモデルを構成する際のテンプレートとなる情報を含む。なお、リスクモデルテンプレート情報115の詳細については後述する(
図3参照)。
【0032】
機器情報116は、機器に関する情報を含む。なお、機器情報116の詳細については後述する(
図4参照)。
【0033】
個別予測情報117は、個別の機器が故障等するリスクを予測した情報を含む。なお、個別予測情報117の詳細については後述する(
図5参照)。
【0034】
統合部12は、処理として、統合計算実行部120、及び、最適化計算実行部121を含んでよい。統合部12は、情報として、リスク構造情報125、及び、スケジュール情報126を含んでよい。
【0035】
統合計算実行部120は、統合計算を実行する。なお、統合計算実行部120の処理の詳細については後述する(
図10参照)。
【0036】
最適化計算実行部121は、最適化計算を実行する。なお、最適化計算実行部121の処理の詳細については後述する(
図9参照)。
【0037】
リスク構造情報125は、装置及び機器のリスク構造を示す情報である。なお、リスク構造情報125の詳細については後述する(
図7参照)。
【0038】
スケジュール情報126は、経過期間に伴って変化するリスクとそのリスクを予防又は回復するために発生するコストに関するスケジュールを示す情報である。なお、スケジュール情報126の詳細については後述する(
図8参照)。
【0039】
出力部13は、処理として、保守運用計画出力部130、及び、保険計画出力部131を含んでよい。出力部13は、情報として、保守計画情報136、運用計画情報137、及び、保険計画情報138を含んでよい。
【0040】
保守運用計画出力部130は、保守及び運用に関する計画を行い、保守計画情報136、運用計画情報137を生成及び出力する。なお、保守運用計画出力部130の処理の詳細については後述する(
図13参照)。また、保守計画情報136及び運用計画情報137の詳細については後述する(
図12参照)。
【0041】
保険計画出力部131は、保険の適用に関する計画を行い、保険計画情報138を生成及び出力する。なお、保険計画出力部131の詳細については後述する(
図14参照
)。
【0042】
<最適化システムの全体処理>
図2を参照して、最適化システム1の全体処理について説明する。
図2は、最適化システム1の全体処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
最適化システム1(プロセッサ15)は、次の処理を開始する(S101)。
【0044】
最適化システム1は、予測計算初期化部110を起動する(S102)。予測計算初期化部110が行う処理の詳細については後述する(
図6参照)。
【0045】
最適化システム1は、最適化計算実行部121を起動する(S103)。最適化計算実行部121が行う処理の詳細については後述する(
図9参照)。
【0046】
最適化システム1は、保守運用計画出力部130を起動する(S104)。保守運用計画出力部130が行う処理の詳細については後述する(
図13参照)。
【0047】
最適化システム1は、保険計画出力部131を起動する(S105)。保険計画出力部131が行う処理の詳細については後述する(
図14参照)。
【0048】
最適化システム1は、本処理を終了する(S106)。
【0049】
<リスク予測部>
次に、リスク予測部11について詳細に説明する。
【0050】
図3は、リスクモデルテンプレート情報115の一例を示す図である。
【0051】
リスクモデルテンプレート情報115は、リスクモデルを作成する際のテンプレートとして用いられる情報である。リスクモデルテンプレート情報115は、例えば、ユーザによって作成される。
【0052】
リスクモデルテンプレート情報115は、項目として、リスクモデルID1151、実績情報1152、現在情報1153、予測関数1154、予防措置情報1155、回復措置情報1156、及び、予測処理情報1157を有する。なお、予防措置情報1155及び回復措置情報1156を含む情報を、対応策情報と称してもよい。また、リスクモデルテンプレート情報115に個別の機器の情報を設定したものが個別予測情報117である。
【0053】
リスクモデルID1151は、リスクモデルテンプレート情報を識別するための情報である。例えば、リスクモデルID1151の値として、「Model A」が入力される。
【0054】
実績情報1152は、当該リスクモデルテンプレートに具体的な機器の情報を設定して個別予測情報とした際に、当該機器に固有のリスク値の履歴を保存する記憶域である。リスクモデルテンプレート情報115において、実績情報は空であってよい。
【0055】
現在情報1153は、当該リスクモデルテンプレートに具体的な機器の情報を設定して個別予測情報とした際に、現在の経過時間t、リスク値vを保持する記憶域である。リスクモデルテンプレート情報115の現在情報1153では、経過時間t及びリスク値vなどに例えば0などの初期値が入力されてよい。
【0056】
予測関数1154は、将来の経過時間tにおけるリスク値vを予測するための関数を示す情報である。
【0057】
予防措置情報1155は、リスク種別と、リスク種別のリスクの発生を予め防止する予防措置および該予防措置に要するコストとの関係を示す情報である。なお、予防措置には、構成要素(例えば変圧器)の保守点検または構成要素の保守交換が含まれてよい。これにより、リスクを適切に評価して適切な保守点検および保守交換を計画することを支援することができる。また、予防措置には、リスクを軽減する構成要素の運用方式を含んでよい。この運用方式とは例えば、構成要素の最大許容負荷を使用開始からの経過期間に応じて減少させる負荷軽減運用、あるいは例えば、構成要素の点検または修理を可能とすべく送電経路を変更して一部の機器の一時停止状態にする運用である。これにより、リスクを適切に評価して適切な負荷軽減運用を計画することを支援することができる。
【0058】
回復措置情報1156は、リスク種別と、リスク種別のリスクが発生した場合に管理対象を元の状態に回復する回復措置および該回復措置に要するコストとの関係を示す情報である。なお、回復措置には、構成要素(例えば変圧器)の修理と、構成要素の交換とが含まれてよい。これにより、リスクの予測が外れ、実際に故障に至った場合にその故障から回復するためのコストを評価して適切な修理と交換を計画することを支援することができる。
【0059】
予測処理情報1157は、当該リスクモデルによるリスク予測の処理方法を示す情報である。例えば、次の処理によりリスクを予測する。
【0060】
予測計算実行部111は、次の処理を開始する(S571)。
【0061】
予測計算実行部111は、他の処理(例えば
図11のS1114の処理)から、予防措置名P及び回復措置名Rを入力される。そして、予測計算実行部111は、変数Cを0に初期化する(S572)。
【0062】
予測計算実行部111は、実績情報1172(
図5参照)を用いて、現在情報1173(
図5参照)の経過時間t及びリスク値vを修正する(S573)。
【0063】
予測計算実行部111は、予測関数1174(
図5参照)を用いて、現在情報1173の経過時間t及びリスク値vを修正する(S574)。
【0064】
予測計算実行部111は、S572で入力された予防装置名Pと一致する措置名のセットを予防措置情報1175(
図5参照)から検出し、検出できた場合、そのセットのリスク値vを現在情報1173のリスク値vに設定し、そのセットのコストを変数Cに加算する(S575)。
【0065】
予測計算実行部111は、S572で入力された回復措置名Rと一致する措置名のセットを回復措置情報1176(
図5参照)から検出し、検出できた場合、そのセットのリスク値vを現在情報1173のリスク値vに設定し、そのセットのコストを変数Cに加算する(S576)。
【0066】
予測計算実行部111は、変数Cをコストとして出力し(S577)、本処理を終了する(S578)。
【0067】
【0068】
機器情報116は、項目として、機器ID1161、リスクモデルID1162、初期情報1163、実績情報1164、閾値情報1165を有する。
【0069】
機器ID1161は、構成要素の一例である機器を識別するための情報である。
【0070】
リスクモデルID1162は、リスクモデルテンプレート情報を識別するための情報である。リスクモデルID1162は、
図3のリスクモデルID1151に対応する。
【0071】
初期情報1163は、リスクモデルID1162が示すリスクモデルテンプレート情報の現在情報1153の初期値を示す情報である。
【0072】
実績情報1164は、リスクモデルID1162が示すリスクモデルテンプレート情報の実績情報1152に相当する実績値を示す情報である。
【0073】
閾値情報1165は、予防措置を行うか否かを判定するための閾値と、回復措置を行うか否かを判定するための閾値とを示す情報である。
【0074】
図4の機器情報116の1行目と2行目に示すように、1つの機器(Transformer1)が複数のリスクモデル(ModelA、ModelB)を持つことができる。機器情報116は、後述する個別予測情報117を生成する際に用いられてよい。
【0075】
【0076】
個別予測情報117は、項目として、ID1171、実績情報1172、現在情報1173、予測関数1174、予防措置情報1175、回復措置情報1176、予測処理情報1177、コスト情報1178、閾値情報1179を有する。
【0077】
ID1171は、個別予測情報117を識別するための情報である。ID1171は、機器情報116における、機器ID1161とリスクモデルID1162とを含んで構成されてよい。
【0078】
実績情報1172には、ID1171が示す機器ID1161及びリスクモデルID1162によって特定される機器情報116の実績情報1164が設定される。
【0079】
現在情報1173には、ID1171が示すリスクモデルID1162が示すリスクモデルに基づいて特定される現在情報が設定される。
【0080】
予測関数1174には、ID1171が示すリスクモデルID1162によって特定されるリスクモデルテンプレート情報115の予測関数1154が設定される。
【0081】
予防措置情報1175には、ID1171が示すリスクモデルID1162によって特定されるリスクモデルテンプレート情報115の予防措置情報1155が設定される。
【0082】
回復措置情報1176には、ID1171が示すリスクモデルID1162によって特定されるリスクモデルテンプレート情報115の回復措置情報1156が設定される。
【0083】
予測処理情報1177には、ID1171が示すリスクモデルID1162によって特定されるリスクモデルテンプレート情報115の予測処理情報1157が設定される。
【0084】
コスト情報1178には、ID1171が示す機器ID1161にリスクモデルID1162が示す予防措置又は回付措置を行う場合のコストが設定される。
【0085】
閾値情報1179には、ID1171が示す機器ID1161及びリスクモデルID1162によって特定される機器情報116の閾値情報1165が設定される。
【0086】
図6は、予測計算初期化部110の処理の一例を示すフローチャートである。
【0087】
予測計算初期化部110は、次の処理を開始する(S1101)。
【0088】
予測計算初期化部110は、個別予測情報117を初期化して空にする(S1102)。
【0089】
予測計算初期化部110は、機器情報116の全行の処理を完了したか否かを判定する(S1103)。
【0090】
機器情報116の全行の処理を完了した場合(S1103:YES)、予測計算初期化部110は、本処理を終了する(S1109)。
【0091】
機器情報116に未処理の行が残っている場合(S1103:NO)、予測計算初期化部110は、機器情報116から未処理の1行を取り出す(S1104)。以下、ここで取り出した1行を行Lと表現する。
【0092】
予測計算初期化部110は、行LのリスクモデルID1162と、リスクモデルテンプレート情報115のリスクモデルID1151とを照合し、リスクモデルIDが一致するリスクモデルテンプレート情報115を選択する(S1105)。以下、ここで選択されたリスクモデルテンプレート情報115に基づいて生成される個別予測情報117を情報Tと表現する。
【0093】
予測計算初期化部110は、情報Tの現在情報1173に行Lの初期情報1163を設定し、情報Tの実績情報1172に行Lの実績情報1164を設定し、情報Tの閾値情報1179に行Lの閾値情報1165を設定する(S1106)。
【0094】
予測計算初期化部110は、情報TのID1172に、行Lの機器ID1161とリスクモデルID1162とを含む値を設定する(S1107)。
【0095】
予測計算初期化部110は、S1106及びS1107で設定された情報Tを、個別予測情報117として生成する(S1108)。そして、予測計算初期化部110は、処理をS1103に戻す。これにより、後述する
図5に示すような、初期の個別予測情報117が生成される。
【0096】
<統合部>
次に、統合部12について詳細に説明する。
【0097】
図7は、リスク構造情報125の一例を示す図である。
【0098】
リスク構造情報125は、項目として、ID1251、配下リスト1252、現在情報1253、集約関数1254、予防措置実行情報1255、回復措置実行情報1256、コスト情報1257、閾値情報1258を有する。
【0099】
ID1251は、リスク構造情報125を識別するための値を示す。ID1251は、例えば、管理対象IDとリスクモデルIDとを含んで構成される。
【0100】
配下リスト1252は、当該リスク構造情報125が配下として管理する個別予測情報117のIDのリストを示す。
【0101】
現在情報1253は、ID1251が示す管理対象の現在の経過時間及びリスク値を示す。
【0102】
集約関数1254は、配下リスト1252に含まれる個別予測情報117のリスク値の集約に用いられる関数を示す。
【0103】
予防措置実行情報1255は、ID1251が示す管理対象に対して実行することが推奨される予防措置に関する情報を示す。
【0104】
回復措置実行情報1256は、ID1251が示す管理対象に対して実行することが推奨される回復措置に関する情報を示す。
【0105】
コスト情報1257は、ID1251が示す管理対象に対して予防装置及び回復措置の少なくとも1つを実行する場合に発生するコストの大きさを示す。
【0106】
閾値情報1258は、予防措置を実行するか否かを判定するための閾値、及び、回復措置を実行するか否かを判定するための閾値を示す。
【0107】
例えば、リスク構造情報125は、ModelAで予測するリスクについて、Transformer1(変圧器1)と、Transformer2(変圧器2)とを含むSubstation1(変電所1)の全体のリスクを評価したい場合に用いられる。
【0108】
図7に示すリスク構造情報125では、個別予測情報117に含まれるID1171が、「Transformer1+ModelA」のものと、「Transformer1+ModelA」のもの2つをまとめて、1つのリスク値を得る。
【0109】
集約関数1254に示す「Max(child[1:2])」は、配下リスト1252の1番目と2番目(つまりすべて)の中でリスクが大きい方を選択することを意味する。つまり、変電所のリスクとは、リスクが大きい方の変圧器のリスク、と考えていることになる。
【0110】
予防措置実行情報1255に示す「child[1:2]<-P1」は、それぞれの変圧器に予防措置名P1の予防措置を行うことを推奨することを示す。
【0111】
回復措置実行情報1256に示す「max(child[1:2])<-R1」は、リスクの大きい方の変圧器に回復措置名R1の回復措置を行うことを推奨することを示す。
【0112】
個別予測情報117のすべてのインスタンスは、最低1つのリスク構造情報125の配下に入ってよい。ただし、リスク構造情報125は、配下リスト1252に1つだけ個別予測情報117を有してもよい。
【0113】
なお、本実施の形態では、説明をわかりやすくするために、リスク構造情報125の配下リスト1252に個別予測情報117を入れているが、リスク構造情報125の配下リスト1252に、別のリスク構造情報125を入れて多段階層としてもよい。
【0114】
図8は、スケジュール情報126の一例を示す図である。
【0115】
スケジュール情報126は、項目として、経過期間W1261、リスク構造情報ID1262、予防措置パラメータP1263、回復措置パラメータR1264、コスト1265、リスク値1266を有する。
【0116】
経過期間W1261は、管理対象(例えば変電所)の使用を開始してからの経過期間を示す。
図8に示す経過期間Wの単位は、「週」である。ただし、経過期間W1261の単位は、「週」に限られず、時間単位、日単位等であってもよい。
【0117】
リスク構造情報ID1262は、リスク構造情報125のID1251を示す。
【0118】
予防措置パラメータP1263は、予防措置を行うか否かを示すパラメータである。
図8では、「1」は予防措置を行うことを示し、「0」は予防措置を行わないことを示す。ただし、この「1」と「0」の定義は一例であり、予防措置を行うか否かを示すパラメータの値はどのように定義されてもよい。
【0119】
回復措置パラメータR1264は、回復措置を行うか否かを示すパラメータである。
図8では、「1」は回復措置を行うことを示し、「0」は回復措置を行わないことを示す。ただし、この「1」と「0」の定義は一例であり、回復措置を行うか否かを示すパラメータの値はどのように定義されてもよい。
【0120】
コスト1265、予防措置又は回復措置を行う場合に発生するコストの大きさを示す。
【0121】
リスク値1266は、予防措置又は回復措置を行った場合に管理対象に残るリスクの大きさを示す。
【0122】
図9は、最適化計算実行部121の処理の一例を示すフローチャートである。
【0123】
最適化計算実行部121は、次の処理を開始する(S12101)。
【0124】
最適化計算実行部121は、入力された予測タイムステップ数N(Nは1以上の整数)を受け取り、経過期間Wをゼロで初期化する(S12102)。なお、予測タイムステップ数Nは、ユーザによって入力されてもよいし、他の処理から入力されてもよい。
【0125】
最適化計算実行部121は、経過期間Wが予測タイムステップ数Nより小さい(つまりW<N)か否かを判定する(S12103)。
【0126】
W<Nでない場合(S12103:NO)、最適化計算実行部121は、本処理を終了する(S12104)。
【0127】
W<Nである場合(S12103:YES)、最適化計算実行部121は、すべてのリスク構造情報125について処理を完了したか否かを判定する(S12105)。
【0128】
すべてのリスク構造情報125について処理を完了した場合(S12105:YES)、最適化計算実行部121は、経過期間Wに1を加算し(S12106)、処理をS12103に戻す。
【0129】
未処理のリスク構造情報125が残っている場合(S12105:NO)、最適化計算実行部121は、未処理のリスク構造情報125を1つ取り出す。
図9の説明において、この取り出したリスク構造情報125を、リスク構造情報Sと表現する。加えて、最適化計算実行部121は、予防措置パラメータPを0で初期化し、回復措置パラメータRを0で初期化する(S12107)。
【0130】
最適化計算実行部121は、リスク構造情報Sの現在情報1253のリスク値vが、閾値情報1258の回復の閾値以上である場合、回復措置パラメータRを1とする(S12108)。
【0131】
最適化計算実行部121は、回復措置パラメータRが0であり、かつ、リスク構造情報Sの現在情報1253のリスク値vが閾値情報1258の予防の閾値以上である場合、予防措置パラメータPを1とする(S12109)。
【0132】
最適化計算実行部121は、リスク構造情報S、予防措置パラメータP、回復措置パラメータRを入力パラメータとして、統合計算実行部120を起動する(S12110)。統合計算実行部120の処理の詳細については後述するが(
図10参照)、この処理により、リスク構造情報Sにおける現在情報およびコスト情報の値が得られる。
【0133】
最適化計算実行部121は、経過期間W、リスク構造情報SのID1251、予防措置パラメータP、回復措置パラメータR、リスク構造情報Sのコスト情報1257、リスク構造情報Sの現在情報1253のリスク値vを、スケジュール情報126の各項目に格納する(S12111)。これにより、
図8に示すスケジュール情報126の1行が得られる。そして、統合計算実行部120は、処理をステップS12105に戻す。
【0134】
以上の処理により、
図8に示すスケジュール情報126が生成される。
【0135】
図10は、統合計算実行部120の処理の一例を示すフローチャートである。当該統合計算実行部120は、
図9のS12110にて起動される。
【0136】
統合計算実行部120は、次の処理を開始する(S12001)。
【0137】
統合計算実行部120は、
図9のS12110から、入力パラメータとして、リスク構造情報125(以下、リスク構造情報Eと称する)と、予防措置パラメータPと、回復措置パラメータRとが入力される(S12002)。
【0138】
統合計算実行部120は、現在値リストVを空集合で初期化し、リスク構造情報Eのコスト情報1257を0で初期化する(S12003)。
【0139】
統合計算実行部120は、リスク構造情報Eの配下リスト1252に含まれる全ての個別予測情報117について処理を完了したか否かを判定する(S12004)。
【0140】
配下リスト1252に含まれる全ての個別予測情報117について処理を完了した場合(S12004:YES)、統合計算実行部120は、処理を後述するステップS12011に進める。
【0141】
配下リスト1252に未処理の個別予測情報117が残っている場合(S12004:NO)、統合計算実行部120は、配下リスト1252の中から未処理の個別予測情報117を1つ取り出す(S12005)。以下、この取り出された個別予測情報117を個別予測情報Fと称する。
【0142】
統合計算実行部120は、予防装置パラメータPが1の場合(つまり予防措置の実行が推奨される場合)、リスク構造情報Eの予防措置実行情報1255を利用し、個別予測情報Fにおける予防措置情報P’(1175)を取得する(S12006)。
【0143】
統合計算実行部120は、回復措置パラメータRが1の場合(つまり回復措置の実行が推奨される場合)、回復措置実行情報1256を利用し、個別予測情報Fにおける回復措置情報R’(1176)を取得する(S12007)。
【0144】
統合計算実行部120は、個別予測情報F、予防措置情報P’、回復措置情報R’を入力パラメータとして、予測計算実行部111を呼び出す(S12008)。予測計算実行部111の処理の詳細については後述するが(
図11参照)、この処理により、個別予測情報Fにおける現在情報およびコスト情報の値を得ることができる。
【0145】
統合計算実行部120は、予測計算実行部111から、リスク値d及びコストcを受け取る(S12009)。
【0146】
統合計算実行部120は、現在値リストVにリスク値dを追加し、リスク構造情報Eのコスト情報にコストcを加算する(S12010)。そして、統合計算実行部120は、処理をステップS12004に戻す。
【0147】
ステップS12011として、統合計算実行部120は、リスク構造情報Eの集約関数1254に、現在値リストVを入力し、その集約関数1254の出力を、リスク構造情報Eの現在情報1253に格納する(S12011)。そして、統合計算実行部120は、本処理を終了する(S12012)。
【0148】
これにより、配下リスト1252に含まれる個別予測情報117が示す機器のうち、最大のリスクを有する機器のリスク値が、リスク構造情報Eの現在情報1253に登録される。例えば、リスク構造情報125のID1251が変電所を示し、配下リスト1252の各IDが変電所を構成する各変圧器を示す場合、最もリスクの高い変圧器のリスク値が、リスク構造情報125の現在情報1253に登録される。
【0149】
図11は、予測計算実行部111の処理の一例を示すフローチャートである。当該予測計算実行部111は、
図10のS12008にて呼び出される。
【0150】
予測計算実行部111は、次の処理を開始する(S1111)。
【0151】
予測計算実行部111は、
図10のS12008の処理から、入力パラメータとして、個別予測情報117、予防措置情報1175、及び、回復措置情報1176がされる(S1112)。
図11の説明において、入力された個別予測情報117を個別予測情報Aと称し、入力された予防措置情報1175を予防措置情報Pと称し、入力された回復措置情報1176を回復措置情報Rと称する。
【0152】
予測計算実行部111は、個別予測情報Aのコスト情報1178を0で初期化する(S1113)。
【0153】
予測計算実行部111は、予防措置情報Pの措置名及び回復措置情報Rの措置名を入力パラメータとして、個別予測情報Aの予測処理情報(
図5及び
図3参照)に示される処理を起動する(S1114)。
【0154】
予測計算実行部111は、個別予測情報Aの予測処理情報1177に示される処理の実行結果として、コストCを受け取る(S1115)。
【0155】
予測計算実行部111は、個別予測情報Aのコスト情報1178に、ステップS1115で受け取ったコストCを書き込む(S1116)。
【0156】
予測計算実行部111は、個別予測情報Aの現在情報1173のリスク値vと、コスト情報1178のコストとを出力する(S1117)。この出力されたリスク値vとコストは、
図10のS12008において、リスク値d及びコストcとして受け取られる。そして、予測計算実行部111は、本処理を終了する(S1118)。
【0157】
これにより、個別予測情報117に基づくリスク値及びコストが出力される。
【0158】
<出力部>
次に、出力部13について詳細に説明する。
【0159】
図12は、出力部13により出力される情報の一例を示す図である。出力部13により出力される情報には、保守計画情報136、運用計画情報137、及び、保険計画情報138が含まれる。
【0160】
保守計画情報136は、項目として、経過期間W1361、個別予測情報ID1362、措置名1363を有する。
【0161】
経過期間W1361及び個別予測情報ID11362は上記で説明した通りである。措置名1363は、予防措置名又は回復措置名を示す。
【0162】
例えば、保守計画情報136の2行目は、保守計画として、10週目(W)に、個別予測情報ID「Transformer1+ModelB」によって、措置名「R1」の回復措置が推奨されていることを示す。
【0163】
運用計画情報137は、項目として、経過期間W1371、個別予測情報ID1372、措置名1373を有する。これらの項目は上記で説明したとおりである。
【0164】
例えば、運用計画情報137の1行目は、運用計画として、10週目(W)に、個別予測情報ID「Transformer1+ModelA」によって、措置名「P1」の予防措置が推奨されていることを示す。
【0165】
保険計画情報138は、項目として、個別予測情報ID1381、リスク値合計1382、保険要否フラグ1383を有する。
【0166】
個別予測情報ID1381は、上記で説明した通りである。
【0167】
リスク値合計1382は、個別予測情報ID1381が示す管理対象(例えば変電所)を構成する各構成要素(例えば変圧器)のリスク値の合計を示す。
【0168】
保険要否フラグ1383は、個別予測情報ID1381が示す管理対象に対して保険が必要であるか否かを示すフラグである。例えば、「Yes」は保険が必要であることを示し、「No」は保険が不要であることを示す。
【0169】
図13は、保守運用計画出力部130の処理の一例を示すフローチャートである。
【0170】
保守運用計画出力部130は、次の処理を開始する(S13001)。
【0171】
保守運用計画出力部130は、スケジュール情報126の全ての行の処理を完了したか否かを判定する(S13002)。
【0172】
スケジュール情報126の全ての行の処理を完了した場合(S13002:YES)、保守運用計画出力部130は、本処理を終了する(S13003)。
【0173】
スケジュール情報126に未処理の行が残っている場合(S13002:NO)、保守運用計画出力部130は、スケジュール情報126から未処理の先頭行を取り出す(S13004)。
図13の説明において、この取り出した先頭行を行Lと称する。
【0174】
保守運用計画出力部130は、行Lの予防措置パラメータP1263が1であるか否かを判定する(S13005)。
【0175】
行Lの予防措置パラメータP1263が1でない場合(S13005:NO)、保守運用計画出力部130は、処理を後述するS13009に進める。
【0176】
行Lの予防措置パラメータP1263が1である場合(S13005:YES)、保守運用計画出力部130は、行Lのリスク構造情報ID1262と一致するリスク構造情報125を検索し、リスク構造情報Eとする(S13006)。
【0177】
保守運用計画出力部130は、リスク構造情報Eの配下リスト1252及び予防措置実行情報1255が示す、個別予測情報117の予防措置情報1175を特定する(S13007)。
【0178】
保守運用計画出力部130は、予防措置情報1175の属性が「保守」の場合、保守計画情報136に、行Lの経過期間W1261と、前ステップで特定した、個別予測情報117の個別予測情報ID1171と、予防措置情報1175が示す措置名と、を追加する。保守運用計画出力部130は、予防措置情報1175の属性が「運用」の場合、運用計画情報137に、行Lの経過期間W1261と、前ステップで特定した、個別予測情報117の個別予測情報ID1171と、予防措置情報1175が示す措置名と、を追加する(S13008)。
【0179】
保守運用計画出力部130は、行Lの回復措置パラメータR1264が1であるか否かを判定する(S13009)。
【0180】
行Lの回復措置パラメータR1264が1でない場合(S13009:NO)、保守運用計画出力部130は、処理を後述するステップS13011へ進める。
【0181】
行Lの回復措置パラメータR1264が1である場合(S13009:YES)、保守運用計画出力部130は、回復措置情報1176について、S13006~S13008と同様の処理を行い、保守計画情報136及び運用計画情報137に、回復措置情報1176に関する情報を追加する(S13010)。
【0182】
保守運用計画出力部130は、保険計画情報138から、行Lのリスク構造情報ID1262と一致する個別予測情報ID1381を有する行を選択し、その行のリスク値合計1382に、行Lのリスク値1266を加算する(S13011)。そして、保守運用計画出力部130は、処理をS13002に戻す。
【0183】
これにより、保守計画情報136及び運用計画情報137が生成される。加えて、保険計画情報138の個別予測情報ID1381に対するリスク値合計1382が生成される。
【0184】
図14は、保険計画出力部131の処理の一例を示すフローチャートである。
【0185】
保険計画出力部131は、次の処理を開始する(S13101)。
【0186】
保険計画出力部131は、保険計画情報138の全ての行について処理を完了したか否かを判定する(S13102)。
【0187】
保険計画情報138の全ての行の処理を完了した場合(S13102:YES)、保険計画出力部131は、本処理を終了する(S13103)。
【0188】
保険計画情報138に未処理の行が残っている場合(S13102:NO)、保険計画出力部131は、保険計画情報138から未処理の先頭行を取り出す。(S13104)。
図14の説明において、この取り出した先頭行を、行Lと称する。
【0189】
保険計画出力部131は、行Lのリスク値合計1382が予め定められた所定の閾値以上の場合、行Lの保険要否フラグ1383をYesに設定し、行Lのリスク値合計1382が所定の閾値未満の場合、行Lの保険要否フラグ1383をNoに設定する(S13105)。そして、保険計画出力部131は、処理をS13102に戻す。
【0190】
これにより、保険計画情報138の保険要否フラグ1383が設定される。
【0191】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0192】
1…最適化システム、2…ディスク、3…ネットワーク、4…表示装置、11…リスク予測部、12…統合部、13…出力部、15…プロセッサ、16…入出力装置、17…メモリ、110…予測計算初期化部、111…予測計算実行部、115…リスクモデルテンプレート情報、116…機器情報、117…個別予測情報、120…統合計算実行部、121…最適化計算実行部、125…リスク構造情報、126…スケジュール情報、130…保守運用計画出力部、131…保険計画出力部、136…保守計画情報、137…運用計画情報、138…保険計画情報、1151…リスクモデルID、1152…実績情報、1153…現在情報、1154…予測関数、1155…予防措置情報、1155…予測処理情報、1156…回復措置情報、1157…予測処理情報、1161…機器ID、1162…リスクモデルID、1163…初期情報、1164…実績情報、1165…閾値情報、1171…ID、1172…実績情報、1173…現在情報、1174…予測関数、1175…予防措置情報、1176…回復措置情報、1177…予測処理情報、1178…コスト情報、1179…閾値情報、1251…ID、1252…配下リスト、1253…現在情報、1254…集約関数、1255…予防措置実行情報、1256…回復措置実行情報、1257…コスト情報、1258…閾値情報、1261…経過期間、1262…リスク構造情報ID、1263…予防措置パラメータ、1264…回復措置パラメータ、1265…コスト、1266…リスク値、1361…経過期間、1362…個別予測情報ID、1363…措置名、1371…経過期間、1372…個別予測情報ID、1373…措置名、1381…個別予測情報ID、1382…リスク値合計、1383…保険要否フラグ