IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシーの特許一覧

特開2023-175587医用装置、スキャン方法、および記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175587
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】医用装置、スキャン方法、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61B6/03 330C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088114
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 勝
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA17
4C093CA34
4C093CA35
4C093DA04
4C093EB10
4C093FA18
4C093FA19
4C093FC27
4C093FF15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮影部位を所望の方向に向けることができない被検体をスキャンする場合であっても、撮影部位が所望の方向を向いているときに取得される画像と実質的に同じ画像を取得することができる技術を提供する。
【解決手段】回転軸を中心とした経路40上を回転することができるX線管104とX線管を制御するX線コントローラとを含むガントリ102と、被検体112が横たわることができるテーブル116と、プロセッサとを含み、被検体に対してスカウトスキャンを実行するCT装置であって、プロセッサが、被検体の頭部112aの向きに基づいて、スカウトスキャンにおいてX線管が配置される経路40上の第1の位置P15を決定すること、および第1の位置からX線管がX線を照射するように、X線コントローラにX線管を制御させること、を含む動作を実行する、CT装置。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記被検体に対して第1のスキャンを実行する医用装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること、
を含む動作を実行する、医用装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
光学画像取得ユニットで取得された撮影部位の光学画像に基づいて、前記撮影部位の向きを求めること
を含む動作を実行する、請求項1に記載の医用装置。
【請求項3】
前記撮影部位が頭部を含み、
前記撮影部位の向きを求めることが、
前記光学画像に基づいて、前記被検体の顔を左右に分割する第1の面を求めること、および
前記第1の面に基づいて、前記被検体の頭部の回転角度を求めること
を含む、請求項2に記載の医用装置。
【請求項4】
前記被検体の頭部の回転角度を求めることが、
前記第1の面と、前記被検体の顔が理想的な方向を向いていると仮定した場合の前記被検体の顔を左右に分割する第2の面との成す角度を求めること
を含む、請求項3に記載の医用装置。
【請求項5】
前記撮影部位の向きを求めることが、
前記被検体の顔を、体軸方向と鉛直方向とに平行な面に対して対称の形状を有する物体に近似すること、
前記物体を、前記体軸方向および前記鉛直方向に垂直な方向に二分割する面を、前記第2の面として求めること
を含む、請求項4に記載の医用装置。
【請求項6】
前記X線管を回転させるためのガントリモータを制御するガントリモータコントローラを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記X線管が、前記第1の位置から所定の角度だけ回転した第2の位置に移動するように、前記ガントリモータコントローラに前記ガントリモータを制御させること、
前記第2の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること、
を含む動作を実行する、請求項4に記載の医用装置。
【請求項7】
前記第1のスキャンを実行するための第1のスキャン計画には、前記第1のスキャンを実行するときの前記X線管の第1の初期位置に対応する角度が設定されており、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第1の初期位置に対応する角度を、前記第1の位置に対応する角度に修正することを含む動作を実行する、請求項6に記載の医用装置。
【請求項8】
前記第1のスキャンを実行するための第2のスキャン計画には、前記第1のスキャンを実行するときの前記X線管の第2の初期位置に対応する角度が設定されており、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第2の初期位置に対応する角度を、前記第2の位置に対応する角度に修正することを含む動作を実行する、請求項7に記載の医用装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
修正後の前記第1のスキャン計画に従って取得されたデータに基づいて、第1のスカウト画像を再構成すること、
を含む動作を実行する、請求項8に記載の医用装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
修正後の前記第2のスキャン計画に従って取得されたデータに基づいて、第2のスカウト画像を再構成すること、
を含む動作を実行する、請求項9に記載の医用装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像と、前記第2のスカウト画像とに基づいて、放射線に対して高い感受性を持つ臓器を特定する、請求項10に記載の医用装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像および前記第2のスカウト画像を前処理することにより入力画像を生成すること、および
前記入力画像を学習済みモデルに入力し、放射線に対して高い感受性をもつ臓器の位置を推論すること
を含む動作を実行する、請求項11に記載の医用装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
特定された臓器の位置と前記回転角度とに基づいて、前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンにおいて前記臓器の被曝が選択的に低減されるように前記X線管の管電流を設定する、請求項11に記載の医用装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
第1のスカウト画像と、前記第2のスカウト画像とに基づいて、スキャン範囲を設定する、請求項10に記載の医用装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像および前記第2のスカウト画像を前処理することにより入力画像を生成すること、
前記入力画像を学習済みモデルに入力し、前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンのスキャン範囲のスキャン開始位置およびスキャン終了位置を推論すること、
を含む動作を実行する、請求項14に記載の医用装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
異なる光学画像取得ユニットにより取得された複数の光学画像の中から、前記回転角度を求めるための光学画像を決定する、請求項4に記載の医用装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンにより取得されたデータに基づいて、前記被検体の前記撮影部位の医用画像を再構成すること
を含む動作を実行し、
前記医用画像を再構成することが、前記医用画像に描出される頭部の回転角度が0°になるように、前記医用画像を再構成することを含む、請求項4に記載の医用装置。
【請求項18】
回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置を用いて、前記被検体に対して第1のスキャンを実行するスキャン方法であって、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること
を含む、スキャン方法。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサによって実行が可能な1つ以上のインストラクションが格納された、非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記記録媒体は、回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置に含まれるものであり、
前記1つ以上のインストラクションは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定し、
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させる、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管を含む医用装置、当該医用装置を用いて被検体のスキャンを実行するスキャン方法、および当該医用装置を制御するための命令が記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の体内の画像を非侵襲的に撮影する医用装置として、CT装置が知られている。CT装置は、撮影部位を短時間で撮影することができるので、病院等の医療施設に普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-027521
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検体の検査を行う場合、オペレータは、被検体が検査に適した姿勢(体位)でテーブルに横になるように、被検体をテーブルに寝かせる。例えば、被検体の頭部を撮影する場合、オペレータは、一般的には、被検体を仰臥位の姿勢でテーブルに寝かせている。
【0005】
仰臥位では、被検体は顔が真上を向くようにテーブルに寝ることが望まれる。しかし、被検体が高齢者であることや、被検体が病気に罹っているなどの理由で、顔を真上に向けることができず、被検体の顔が、例えば斜め上を向いてしまうことがある。
【0006】
この場合、ヘッドフォルダなどを使用して被検体の顔が真上を向くように、被検体の頭部を固定することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。しかし、顔を真上に向けることが困難な被検体に対して、ヘッドフォルダを使用して顔を無理に真上に向けることは、被検体の身体に大きな負担が掛かる恐れがある。したがって、一般的には、被検体の顔が斜め上を向いた状態でスキャンをすることになる。例えば、スカウトスキャンを実行した場合、被検体の顔が斜め上を向いた状態でスカウト画像が取得される。
【0007】
スカウト画像は、被検体のスキャン範囲を設定するために使用されるものであり、オペレータは、スカウト画像を参考にして被検体のスキャン範囲を設定する。また、近年では、スカウト画像のセグメンテーションを実行し、セグメンテーションの結果に基づいて被検体のスキャン範囲を自動的に設定する技術や、スカウト画像のセグメンテーションの結果に基づいて放射線に対して高い感受性をもつ臓器を特定し、特定した臓器の被曝を選択的に低減する技術も研究、開発されている。
【0008】
しかし、仰臥位の撮影では、被検体の顔が真上を向いていることが前提であるので、被検体の顔が斜め上を向いた状態でスカウト画像を取得した場合、セグメンテーションの精度が低くなり、自動設定されたスキャン範囲が所望の範囲からずれてしまったり、特定された臓器の領域が、臓器が実際に存在している領域からずれてしまうという問題がある。
【0009】
上記の例では、被検体の頭部を撮影する場合を取り上げて問題点を説明したが、被検体の頭部以外の撮影部位を撮影する場合も、同様の問題がある。
そこで、撮影部位を所望の方向に向けることができない被検体をスキャンする場合であっても、撮影部位が所望の方向を向いているときに取得される画像と実質的に同じ画像を取得することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記被検体に対して第1のスキャンを実行する医用装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること、
を含む動作を実行する、医用装置である。
【0011】
また、本発明の第2の観点は、回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置を用いて、前記被検体に対して第1のスキャンを実行するスキャン方法であって、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること
を含む、スキャン方法である。
【0012】
また、本発明の第3の観点は、少なくとも1つのプロセッサによって実行が可能な1つ以上のインストラクションが格納された、非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記記録媒体は、回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置に含まれるものであり、
前記1つ以上のインストラクションは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記被検体の撮影部位の向きに基づいて、第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定し、
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させる、記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、撮影部位の向きを求め、撮影部位の向きに基づいてX線管の位置を決定している。したがって、撮影部位を所望の方向に向けることができない被検体をスキャンする場合であっても、撮影部位が所望の方向を向いているときに取得される画像と実質的に同じ画像を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態におけるCT装置100の斜視図である。
図2】CT装置100のブロック図である。
図3】一般的な手法で被検体を検査するときのCT装置の動作フローの一例を示す図である。
図4】テーブル116に寝た被検体112を示す図である。
図5】スカウトスキャンのスキャン計画の一例の説明図である。
図6】スキャン計画12に従って実行されるスカウトスキャンの説明図である。
図7】スキャン計画13に従って実行されるスカウトスキャンの説明図である。
図8】スカウト画像16および17を示す図である。
図9】表示装置232に表示されたCT画像18の一例を概略的に示す図である。
図10】ガントリ102の前面図および上面図である。
図11】被検体112の頭部の拡大図が示されている。
図12】被検体112の顔が斜めを向いた状態のスカウト画像161および171を示す図である。
図13】被検体112の顔が斜め上を向いた状態のCT画像181を示す図である。
図14】第1の実施形態において被検体112を撮影するときのCT装置の動作フローを示す図である。
図15】被検体112の頭部112aを左右に分割する中心面31を示す図である。
図16】被検体112の頭部112aを近似した物体22と、物体22を二分割する基準面32を示す図である。
図17】被検体の頭部の回転角度θの求め方の説明図である。
図18】修正後のスカウトスキャン計画の一例の説明図である。
図19】スキャン計画に含まれる「Scout Plane」の説明図である。
図20】修正後のスカウトスキャン計画121に基づいて実行されるスカウトスキャンの説明図である。
図21】スキャン計画121に従って取得されたスカウト画像26を概略的に示す図である。
図22】修正後のスカウトスキャン計画131に基づいて実行されるスカウトスキャンの説明図である。
図23】学習済みモデルを使用して、放射線に対して高い感受性をもつ臓器を特定するフローを示す図である。
図24】管電流の設定方法の説明図である。
図25】再構成されたCT画像28を示す図である。
図26】学習済みモデルを使用してスキャン範囲を自動的に設定するフローを示す図である。
図27】表示装置に表示されたスカウト画像27と、推論されたスキャン範囲127を概略的に示す図である。
図28】第3の実施形態においてスキャンルームに設けられた複数のカメラを示す図である。
図29】第3の実施形態におけるフローを示す図である。
図30】第3の実施形態におけるステップST20の説明図である。
図31】カメラ236の角度αの求め方の説明図である。
図32】カメラ237の角度αの求め方の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0016】
図1は、第1の実施形態におけるCT装置100の斜視図、図2は、CT装置100のブロック図である。
【0017】
CT装置100は、ガントリ102およびテーブル116を含んでいる。ガントリ102およびテーブル116はスキャンルーム122に設置されている。
【0018】
ガントリ102は開口部107を有しており、その開口部107に被検体112が搬送され、被検体112がスキャンされる。
【0019】
ガントリ102には、X線管104、フィルタ部103、前置コリメータ105、およびX線検出器108などが取り付けられている。
【0020】
X線管104は、陰極-陽極管に所定の電圧が印加されることにより、X線を発生させるものである。X線管104は、XY面内において、回転軸を中心とした経路上を回転することができるように構成されている。ここで、Z方向は体軸方向を表し、Y方向は鉛直方向(テーブル116の高さ方向)を表し、X方向は、Z方向およびY方向に対して垂直の方向を表している。尚、X線管104として、管電圧を切り替えることができるRapid kV switching方式に対応したX線管を備えてもよい。また、第1の実施形態では、CT装置100は1つのX線管104を備えているが、2つのX線管を備えてもよい。
【0021】
フィルタ部103は、例えば、平板フィルタおよび/又はボウタイフィルタを含んでいる。
【0022】
前置コリメータ105は、不要な領域にX線が照射されないようにX線の照射範囲を絞り込むための部材である。
【0023】
X線検出器108は複数の検出器素子202を含んでいる。複数の検出器素子202は、X線管104から照射され、患者などの被検体112を通過するX線106を検出する。したがって、X線検出器108は、ビューごとに投影データを取得することができる。
【0024】
X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行する。処理された投影データは、コンピュータ216に送信される。DAS214からのデータは、コンピュータ216によって記憶装置218に記憶することができる。記憶装置218は、プログラムや、プロセッサで実行される命令などを記録する1つ以上の記録媒体を含むものである。記録媒体は、例えば、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体とすることができる。記憶装置218は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み出し/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、および/またはソリッドステート記録ドライブを含むことができる。
【0025】
コンピュータ216は1つ又は複数のプロセッサを含んでいる。コンピュータ216は、1つ又は複数のプロセッサを使用して、DAS214、X線コントローラ210、および/又はガントリモータコントローラ212に、コマンドおよびパラメータを出力し、データ取得および/または処理などのシステム動作を制御する。また、コンピュータ216は、1つ又は複数のプロセッサを使用して、後述するフロー(図14図23図26、および図29参照)の各ステップにおいて、信号処理、データ処理、画像処理など、様々な処理を実行する。
【0026】
コンピュータ216には、オペレータコンソール220が結合されている。オペレータは、オペレータコンソール220を操作することにより、CT装置100の動作に関連する所定のオペレータ入力をコンピュータ216に入力することができる。コンピュータ216は、オペレータコンソール220を介して、コマンドおよび/またはスキャンパラメータを含むオペレータ入力を受信し、そのオペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンドおよび/またはスキャンパラメータを指定するためのキーボード(図示せず)またはタッチスクリーンを含むことができる。
【0027】
X線コントローラ210は、コンピュータ216からの制御信号に基づいてX線管104を制御する。また、ガントリモータコントローラ212は、コンピュータ216からの制御信号に基づいて、X線管104およびX線検出器108などの構成要素が回転するように、ガントリモータを制御する。
【0028】
図2は、1つのオペレータコンソール220のみを示しているが、2つ以上のオペレータコンソールをコンピュータ216に結合してもよい。
【0029】
また、CT装置100は、例えば、有線ネットワークおよび/又は無線ネットワークを介して、遠隔に位置する複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、および/もしくは同様のデバイスが結合されるようにしてもよい。
【0030】
一実施形態では、例えば、CT装置100は、画像保管通信システム(PACS)224を含んでいてもよいし、PACS224に結合されていてもよい。例示的な実施態様では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システム、および/または内部もしくは外部ネットワーク(図示せず)などの遠隔システムに結合されていてもよい。
【0031】
コンピュータ216は、テーブルモータコントローラ118に、テーブル116を制御するための命令を供給する。テーブルモータコントローラ118は、受け取った命令に基づいて、テーブル116が移動するように、テーブルモータを制御することができる。例えば、テーブルモータコントローラ118は、被検体112が撮影に適した位置に位置決めされるように、テーブル116を移動させることができる。
【0032】
前述のように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングしてデジタル変換する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル変換されたデータを使用して画像を再構成する。画像再構成器230は1つ又は複数のプロセッサを含んでおり、このプロセッサが画像再構成の処理を実行することができる。図2では、画像再構成器230は、コンピュータ216とは別個の構成要素として示されているが、画像再構成器230は、コンピュータ216の一部を形成するものであってもよい。また、コンピュータ216が、画像再構成器230の1つまたは複数の機能を実施してもよい。さらに、画像再構成器230は、CT装置100からから離れた位置に設けられ、有線ネットワークまたは無線ネットワークを使用してCT装置100に動作可能に接続されるようにしてもよい。コンピュータ216および画像再構成器230は画像生成装置として機能する。
【0033】
画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶することができる。また、画像再構成器230は、再構成された画像をコンピュータ216に送信してもよい。コンピュータ216は、再構成された画像および/または患者情報を、コンピュータ216および/または画像再構成器230に通信可能に結合された表示装置232に送信することができる。
【0034】
本明細書で説明される様々な方法およびプロセスは、CT装置100内の非一時的な記録媒体に実行可能命令として記録することができる。この実行可能命令は、1つの記録媒体に記録されていてもよいし、複数の記録媒体に分散させて記録されるようにしてもよい。CT装置100に備えられる1つ以上のプロセッサは、記録媒体に記録された命令に従って、本明細書で説明される様々な方法、ステップ、およびプロセスを実行する。
【0035】
また、スキャンルーム122の天井124には、スキャンルーム内の光学画像を取得するための光学画像取得ユニットとしてカメラ235が備えられている。光学画像取得ユニットは、被検体などの被写体の表面を画像化することができるものであれば、任意の機器を光学画像取得ユニットとして使用することができる。例えば、可視光を用いて被写体を画像化するカメラ、赤外線を使用して被写体を画像化するカメラ、赤外線を使用して被写体の深度データを取得し、深度データに基づいて被写体の表面を画像化する深度センサを、光学画像取得ユニットとして使用することができる。また、光学画像取得ユニットにより取得される光学画像は3D画像でもよいし、2D画像でもよい。更に、光学画像取得ユニットは光学画像を静止画として取得してもよいし、動画として取得してもよい。
【0036】
CT装置100は上記のように構成されている。以下に、第1の実施形態のCT装置を用いて被検体を撮影するフローについて説明する。尚、以下の例では、第1の実施形態の効果を明確にするために、先ず、一般的な手法で被検体の検査を行うときのフローについて説明する。そして、一般的な手法による問題点を明確にした上で、第1の実施形態のフローについて説明することにする。
【0037】
図3は、一般的な手法で被検体を検査するときのCT装置の動作フローの一例を示す図である。
【0038】
ステップST1では、オペレータは被検体112(例えば、患者)をテーブル116に寝かせる。
【0039】
図4は、テーブル116に寝た被検体112を示す図である。
図4の上側には、ガントリ102の正面図が示されており、図4の下側には、ガントリ102のおよびテーブル116の上面図が示されている。
【0040】
テーブル116は、被検体112が横たわることができるクレードルを有している。クレードルは体軸方向(z方向)に移動することができるように構成されている。尚、図4の上側のガントリ102の正面図には、XY面内におけるガントリ102の開口部107に対する被検体112の頭部112aが示されている。ここでは、撮影部位が頭部112aであるとする。
【0041】
ステップST2では、オペレータは、スカウトスキャンのスキャン計画を立てる。
図5は、スカウトスキャンのスキャン計画の一例の説明図である。
図5には、スカウトスキャン計画で必要な項目11と、その項目に対して設定されたスキャン計画12および13とを含んでいる。図5では、スカウトスキャン計画の項目11として、「Start」、「End」、「kV」、「mA」、および「Scout Plane」が例として示されている。「Start」はスキャン開始位置、「End」はスキャン終了位置、「kV」は管電圧、「mA」は管電流、「Scout Plane」は、スカウトスキャンを実行するときのX線管104の位置を表している。スカウトスキャンの準備ができたら、ステップST3に進む。
【0042】
ステップST3では、スキャン計画12および13に従ってスカウトスキャンが実行される。
【0043】
図6は、スキャン計画12に従って実行されるスカウトスキャンの説明図である。
ガントリ102はX線管104を含んでいる。X線管104は、XY面内において、回転軸205を中心とした経路40上を回転することができるように構成されている。尚、回転軸205はアイソセンタに一致するように設定してもよいし、アイソセンタからずれた位置を回転軸205として設定してもよい。
【0044】
スキャン計画12では、「Scout Plane」が「0°」に設定されている。これは、X線管104が、経路40上の、回転軸205の真上の位置P0に位置決めされた状態で、スカウトスキャンが実行されることを表している。尚、ここでは、X線管104が位置P0に位置している場合、X線管104の角度は「0°」であるとする。
【0045】
図7は、スキャン計画13に従って実行されるスカウトスキャンの説明図である。
スキャン計画13は、「Scout Plane」が「90°」に設定されている。これは、図7に示すように、X線管104が、経路40上において、回転軸205を中心にして位置P0(角度0°)から時計回りに90°回転した位置P90に位置決めされた状態でスカウトスキャンが実行されることを表している。X線管104が、角度0°から時計回りに90°回転した位置に位置決めされている場合、X線管104の角度は「90°」であるとする。
【0046】
スカウトスキャンを実行する場合、先ず、スキャン計画12に従ってスカウトスキャンが実行される。スキャン計画12に従ってスカウトスキャンを実行する場合、ガントリモータコントローラ212(図2参照)は、図6に示すように、X線管104が角度0°(位置P0)に位置決めされるように、ガントリモータを制御する。そして、クレードルをz方向に移動させながら、X線コントローラ210が、X線が照射されるようにX線管104を制御する。
【0047】
X線検出器108は、X線管104から照射され被検体112を通過したX線を検出する。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、スキャンにより得られたデータに基づいて、スカウト画像を再構成する。
【0048】
スキャン計画12に従ってスカウトスキャンを実行した後、スキャン計画13に従ってスカウトスキャンを実行する。
【0049】
スキャン計画13に従ってスカウトスキャンを実行する場合、ガントリモータコントローラ212は、図7に示すように、X線管104が角度0°から90°回転するように、ガントリモータを制御する。したがって、X線管104は角度90°(位置P90)に位置決めされる。そして、クレードルをz方向に移動させながら、X線管104は、角度90°に位置している状態で、X線を照射する。
【0050】
X線検出器108は、X線管104から照射され被検体112を通過したX線を検出する。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、スキャンにより得られたデータに基づいて、スカウト画像を再構成する。
【0051】
したがって、スキャン計画12を実行した場合のスカウト画像と、スキャン計画13を実行した場合のスカウト画像を得ることができる。図8に、スキャン計画12を実行した場合のスカウト画像16と、スキャン計画13を実行した場合のスカウト画像17を概略的に示す。スカウト画像16は角度0°(位置P0)に位置しているX線管104からX線を照射することにより得られた画像であり、スカウト画像17は、角度90°(位置P90)に位置しているX線管104からX線を照射することにより得られた画像である。スカウトスキャンを実行した後、ステップST4に進む。
【0052】
ステップST4では、オペレータは、診断スキャンのスキャン計画を立てる。オペレータは、例えば、スカウト画像16および17(図8参照)を参考にして、後述する診断スキャンのスキャン範囲を設定する。また、コンピュータ216は、スカウト画像16および17に基づいて各種処理を実行する。例えば、診断スキャンにおいて、線量低減技術の1つであるODM(Organ Dose Modulation)を使用する場合、コンピュータ216は、スカウト画像16および17をセグメンテーションし、セグメンテーションの結果に基づいて、撮影部位である頭部112aの中から、放射線に対して高い感受性をもつ臓器(例えば、眼)を特定するための処理を実行する。診断スキャンを実行する準備が整ったら、ステップST5に進む。
【0053】
ステップST5では、頭部112aの診断スキャンを実行する。例えば、ODMを使用した診断スキャンを実行する場合、放射線に対して高い感受性をもつ眼の被曝が選択的に低減されるように、頭部112aのスキャンが実行される。
【0054】
X線検出器108は、X線管104から照射され被検体112を通過したX線を検出する。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、診断スキャンにより得られたデータに基づいて、被検体112の頭部112aの診断に必要なCT画像を再構成する。オペレータは、再構成されたCT画像を表示装置232に表示することができる。図9は、表示装置232に表示されたCT画像18の一例を概略的に示す図である。
このようにして検査フローが終了する。
医師は、検査フローに従って取得されたCT画像を読影し、診断を行うことができる。
【0055】
尚、上記の説明では、図6および図7に示すように、被検体112は顔を真上に向けた状態でテーブル116に寝ており、スキャンが実行されている。しかし、被検体112によっては、真上を向くことができないことがある。例えば、被検体112が高齢者であったり、病気に罹っているなどの理由で、顔を真上に向けることができず、被検体112の顔が、例えば斜め上を向いてしまうことがある(図10および図11参照)。
【0056】
図10および図11は、被検体112が顔を真上に向けることができない例を示す図である。
【0057】
図10の上側には、ガントリ102の前面図が示されており、図10の下側には、ガントリ102およびテーブル116の上面図が示されている。テーブル116には被検体112が寝ている。尚、図10の上側のガントリ102の前面図には、XY面内におけるガントリ102の開口部107に対する被検体112の頭部112aが示されている。
【0058】
また、図11には、被検体112の頭部の拡大図が示されている。
図11には、被検体112が真上を向くことができず斜め上を向いた状態の頭部112aが示されている。尚、参考として、図11の下側には、被検体112が真上を向いた状態の頭部112aが示されている。被検体112は、真上を向いた状態から角度θだけ頭部を回転させた状態でテーブルに寝ている。
【0059】
この場合、被検体112の顔を無理に真上に向けることはできないので、被検体112の顔が斜め上を向いた状態でスキャンをすることになる。したがって、スカウトスキャンを実行した場合、図12に示すように、被検体112の顔が斜めを向いた状態のスカウト画像161および171が取得される。したがって、プロセッサは、被検体112の顔が斜めを向いた状態のスカウト画像161および171に基づいて、セグメンテーションを実行することになる。しかし、被検体112の顔が斜めを向いた状態のスカウト画像に基づいてセグメンテーションを実行すると、セグメンテーションの精度が低くなってしまうという問題がある。このため、ステップST4において、プロセッサが、スカウト画像161および171に基づいて、放射線に対して高い感受性をもつ臓器(例えば、眼)を特定する処理を実行した場合、臓器の検出精度が低くなってしまい、診断スキャンにおいて眼の被曝を選択的に低減することが難しくなってしまうという問題が生じる。また、被検体112の顔が斜めを向いた状態で診断スキャンが実行されるので、診断スキャンにより取得されたCT画像を表示装置232に表示した場合、図13に示すように、被検体112の顔が斜め上を向いた状態のCT画像181が表示されることになる。このため、医師は、被検体112の顔が斜めを向いた状態で取得されたCT画像181を見ながら、被検体112の診断をする必要がある。しかし、仰臥位の撮影では、被検体112の顔が真上を向いていることが一般的である。したがって、医師は、被検体112の顔が斜めを向いた状態で取得されたCT画像181に基づいて頭部112aの診断を行う場合、被検体112の顔の向きが通常の向きとは異なっていることを考慮する必要があり、診断時に医師に掛かる負荷が大きくなるという問題もある。
【0060】
そこで、第1の実施形態におけるCT装置は、上記の問題に対処することができるように構成されている。以下、第1の実施形態のCT装置について説明する。
【0061】
図14は、第1の実施形態において被検体112を撮影するときのCT装置の動作フローを示す図である。尚、図14に示すフローを実行する場合、或るステップを省略又は追加すること、或るステップを複数のステップに分割すること、或るステップを別の順序で実行すること、或るステップを繰り返し実行することが可能である。
【0062】
ステップST1では、オペレータが、被検体112をスキャンルームに呼び入れ、被検体112をテーブル116に寝かせる。ここでは、図10および図11に示すように、被検体112は仰臥位では顔を真上に向けることができず、斜めを向いてしまっているとする。
【0063】
カメラ235は、被検体112がスキャンルーム122に入室する前から、スキャンルーム122内の撮影を開始している。カメラ235で取得された信号は、コンピュータ216に送られる。コンピュータ216は、カメラ235から受け取った信号に基づいてカメラ画像を生成する。したがって、被検体112がスキャンルーム122に入室する前から、スキャンルーム122内の被写体のカメラ画像を生成することができる。
【0064】
カメラ235の撮影視野には、テーブル116およびその周辺の領域が含まれている。したがって、被検体112がテーブル116に横たわると、コンピュータは、カメラ235からの信号に基づいて、テーブル116に横たわる被検体112のカメラ画像を生成することができる。カメラ画像は記憶装置218に記憶される。
【0065】
ステップST2では、オペレータは、スカウトスキャンのスキャン計画を立てる。一方、ステップST20では、コンピュータ216は、カメラ画像に基づいて、被検体112の各部位(頭部、胸部、腹部、上肢、下肢など)および各部位の位置を認識し、テーブル116上における被検体112の撮影部位の向きを求める。ここでは、被検体112の撮影部位は頭部112aである。したがって、プロセッサは、被検体112の頭部112aの向きを求める。以下に、ステップST20のフローについて、図15図17を参照しながら具体的に説明する。
【0066】
ステップST21において、コンピュータ216は、図15に示すように、被検体112のカメラ画像21に基づいて、被検体112の頭部を左右に分割する中心面31を求める。コンピュータ216は、例えば、カメラ画像21に基づいて、被検体112の顔表面の複数の特徴点(例えば、眉、目、鼻、口、顎)を抽出し、抽出した複数の特徴点に基づいて、被検体112の頭部112aを左右に分割する中心面31を求めることができる。
【0067】
ステップST22では、コンピュータ216は、図16に示すように、被検体112の頭部を、YZ面に対して対称の形状を有する物体22(例えば、球体、楕円体)に近似し、この物体22をX方向に二分割する基準面32を求める。基準面32は、YZ面に平行な面となる。したがって、基準面32は、被検体112の顔が検査に適した理想的な方向(つまり、Y方向)を向いていると仮定した場合の被検体112の顔を左右に分割する面を近似している。基準面32を求めた後、ステップST23に進む。
【0068】
ステップST23では、コンピュータ216が、中心面31および基準面32に基づいて、被検体の頭部の回転角度θを求める。
【0069】
図17は、被検体の頭部の回転角度θの求め方の説明図である。
図17の左上には、ステップST21で求めた中心面31が示されており、図17の右上には、ステップST22で求めた基準面32が示されている。また、図17の左下には、中心面31および基準面32をy方向から見た図が示されており、図17の右下には、中心面31および基準面32をz方向から見た図が示されている。
【0070】
ステップST22で求めた基準面32は、被検体112の顔が検査に適した理想的な方向(つまり、y方向)を向いていると仮定した場合の被検体112の顔を左右に分割する面を近似している。したがって、中心面31と基準面32との成す角θを、被検体112の頭部112aの回転角度θとして求めることができる。例えば、θ=0°の場合、これは中心面31が基準面32に一致していることを表している、つまり、被検体112の顔は理想的な方向(真上)を向いていることを表している。したがって、θ=0°は、被検体112の頭部112aは傾いていないことを意味する。一方、θ>0°の場合、これは中心面31が基準面32に一致していないことを表している、つまり、被検体112の顔は、理想的な方向(真上)から、体軸(Z軸)を中心として角度θだけ回転した方向を向いていることを表している。したがって、θ>0°は、被検体112の頭部112aが傾いていることを意味している。
【0071】
このようにして、ステップST20において、回転角度θを、被検体112の頭部112aの向きを表す値として求めることができる。ここでは,θ=15°であるとする。回転角度θを計算した後、ステップST24に進む。
【0072】
ステップST24では、コンピュータ216が、ステップST20で求めた回転角度θに基づいて、スカウトスキャンのスキャン計画を修正する。
【0073】
図18は、修正後のスカウトスキャン計画の一例の説明図、図19は、スキャン計画に含まれる「Scout Plane」の説明図である。
【0074】
図18の上側には、修正前のスカウトスキャン計画12および13が示されており、図18の下側に、修正後のスカウトスキャン計画121および131が示されている。
【0075】
ステップST24では、コンピュータ216が、回転角度θ(撮影部位の向き)に基づいて、スキャン計画12および13の項目「Scout Plane」の値を修正する。
【0076】
修正前のスカウトスキャン計画12には、「Scout Plane」に、X線管104の初期位置に対応する角度「0°」が設定されており、修正前のスカウトスキャン計画13には、「Scout Plane」に、X線管104の初期位置に対応する角度「90°」が設定されている。
【0077】
第1の実施形態では、回転角度θはθ=15°と計算されているので、コンピュータ216は、被検体の顔の真正面からX線を照射することができるように、スキャン計画12の項目「Scout Plane」の値を、0°から0°+15°=15°に修正する。また、コンピュータ216は、被検体の顔の真横からX線を照射することができるように、スキャン計画13の項目「Scout Plane」の値を、90°から、90°+15°=105°に修正する。したがって、修正後のスキャン計画121および131の「Scout Plane」の値は、それぞれ、「15°」および「105°」に設定される。「Scout Plane」=15°は、図19に示すように、経路40上の位置P0(角度0°)から15°だけ時計方向に回転した位置P15にX線管104が配置されることを表している。また、「Scout Plane」=105°は、図19に示すように、経路40上の位置P90(角度90°)から15°だけ時計方向に回転した位置P105にX線管104が配置されることを表している。したがって、コンピュータ216は、回転角度θに基づいて(頭部の向きに基づいて)、X線管104が配置される経路40上の2つの位置P15およびP105を決定することができる。スキャン計画を修正した後、ステップST3に進む。
【0078】
ステップST3では、スカウトスキャンが実行される。
スカウトスキャンは、修正後のスカウトスキャン計画121および131(図18参照)に基づいて実行される。第1の実施形態では、先ず、スカウトスキャン計画121に基づいてスカウトスキャンが実行される(図20参照)。
【0079】
図20は、修正後のスカウトスキャン計画121に基づいて実行されるスカウトスキャンの説明図である。
【0080】
スカウトスキャン計画121に基づいてスカウトスキャンを実行する場合、ガントリモータコントローラ212(図2参照)は、X線管104が、経路40上において、角度0°から時計回りに15°回転した位置P15(角度15°)に位置決めされるように、ガントリモータを制御する。
【0081】
次に、テーブルモータコントローラ118(図2参照)が、クレードルがz方向に移動するようにテーブルモータを制御し、一方、X線コントローラ210が、X線管104にX線を照射させる。
【0082】
X線検出器108は、X線管104から照射され被検体112を通過したX線を検出する。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、X線管104が角度15°に位置している状態で実行されたスキャンにより得られたデータに基づいて、スカウト画像を再構成する。
【0083】
したがって、スキャン計画121に従ってスカウトスキャンを実行する場合、図20に示すように、X線管104を角度15°(位置P15)に位置決めすることができるので、被検体112の顔の真正面から撮影されたスカウト画像を取得することができる。図21に、スキャン計画121に従って取得されたスカウト画像26を概略的に示す。
【0084】
スキャン計画121に従ってスカウトスキャンを実行した後、スキャン計画131に従ってスカウトスキャンを実行する。
【0085】
図22は、修正後のスカウトスキャン計画131に基づいて実行されるスカウトスキャンの説明図である。
【0086】
スキャン計画131に従ってスカウトスキャンを実行する場合、ガントリモータコントローラ212は、X線管104が位置P15(角度15°)から90°回転するように、ガントリモータを制御する。したがって、X線管104は位置P105(角度105°)に位置決めされる。そして、テーブルモータコントローラ118がクレードルをz方向に移動させながら、X線コントローラ210は、X線管104が角度105°に位置している状態で、X線管104にX線を照射させる。
【0087】
X線検出器108は、X線管104から照射され被検体112を通過したX線を検出する。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、X線管104が角度105°に位置している状態で実行されたスキャンにより得られたデータに基づいて、スカウト画像を再構成する。
【0088】
したがって、スキャン計画131に従ってスカウトスキャンを実行する場合、図22に示すように、X線管104を角度105°(位置P105)に位置決めすることができるので、被検体112の頭部112aの真横から撮影されたスカウト画像を取得することができる。図21に、スキャン計画131に従って取得されたスカウト画像27を概略的に示す。
【0089】
スカウトスキャンを実行した後、ステップST4に進む。
ステップST4では、オペレータは、診断スキャンのスキャン計画を立てる。オペレータは、例えば、スカウト画像26および27を参考にして、後述する診断スキャンのスキャン範囲を設定する。また、コンピュータ216は、スカウト画像26および27に基づいて各種処理を実行する。例えば、第1の実施形態では、コンピュータ216は、スカウト画像26および27をセグメンテーションし、セグメンテーションの結果に基づいて、撮影部位である頭部112aの中から、放射線に対して高い感受性をもつ臓器(例えば、眼)を特定するための処理を実行する。放射線に対して高い感受性をもつ臓器は、深層学習、機械学習などのAI技術を使用して作成された学習済みモデルを使用して特定することができる。以下に、学習済みモデルを使用して、放射線に対して高い感受性をもつ臓器を特定する方法について説明する。
【0090】
図23は、学習済みモデルを使用して、放射線に対して高い感受性をもつ臓器を特定するフローを示す図である。
【0091】
先ず、放射線に対して高い感受性をもつ臓器を特定するために使用される学習済みモデルの生成方法について説明する。学習済みモデルは、被検体112を検査する前に学習フェーズで予め作成されるものである。
【0092】
学習フェーズでは、先ず、原画像のセットVを用意する。原画像のセットVは、例えば、X線管を角度0°に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得された複数のスカウト画像と、X線管を角度90°に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得された複数のスカウト画像を含んでいる。尚、原画像のセットVは、必要に応じて、X線管を角度0°および90°以外の角度に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得されたスカウト画像を含んでいてもよい。
【0093】
次に、これらの原画像のセットVに対して、図23に示すように、前処理68を実行する。
【0094】
前処理68には、例えば、画像を切り出しする処理、標準化処理、正規化処理、画像反転処理、画像回転処理、拡大率変更処理、画質変更処理などがある。原画像のセットVを前処理することにより、前処理されたスカウト画像のセットVAを得ることができる。前処理されたスカウト画像のセットVAが、学習済みモデルを作成するためのトレーニングデータ60として使用される。
【0095】
次に、トレーニングデータ60をニューラルネットワーク70に学習させる。ニューラルネットワーク70は、例えば、畳み込みニューラルネットワークを使用することができる。第1の実施形態では、放射線に対して高い感受性をもつ臓器(眼)の領域を表す位置データを出力するように、ニューラルネットワーク70を学習させ、学習済みモデル71を作成する。この学習済みモデル71は記憶装置218(図2参照)に記憶しておく。尚、学習済みモデル71を、CT装置がアクセス可能な外部記憶装置に記憶してもよい。
したがって、学習済みモデル71を用いて眼の位置を推論することができる。
【0096】
図23の右側に、学習済みモデル71を用いて眼の位置を推論するフローが示されている。
ステップST41において、コンピュータ216は、スカウトスキャンにより取得されたスカウト画像26および27を前処理する。
【0097】
ステップST42では、コンピュータ216は、前処理されたスカウト画像261および271を入力画像として学習済みモデル71に入力し、学習済みモデル71を用いて、放射線に対して高い感受性をもつ眼の位置を推論する。
眼の位置を推論した後、ステップST43に進む。
【0098】
ステップST43では、コンピュータ216が、推論された眼の位置と回転角度θとに基づいて、診断スキャン中の眼の被曝が選択的に低減されるようにX線管104の管電流を設定する(図24参照)。
【0099】
図24は、管電流の設定方法の説明図である。
コンピュータ216は、先ず、被検体112の頭部112aの回転角度θに基づいて、回転角度θから時計回りに角度βだけ回転した角度θ1と、回転角度θから反時計回りに角度γだけ回転した角度θ2を求める。第1の実施形態では、β=γ=90°とするが、βおよびγは90°以外の角度でもよいし、β≠γであってもよい。第1の実施形態では、回転角度θは、θ=15°であるので、θ1=θ+β=15°+90°=105°と計算され、θ2=θ-γ=15°-90°=-75°と計算される。尚、0°から時計回りの方向を正の方向とすると、-75°は+285°になるので、以下では、θ2=285°として説明を続ける。
【0100】
次に、コンピュータ216は、θ1=105°およびθ2=285°を基準にして、X線管104が移動する経路40を、頭部112aの眼が位置する側の経路41と、頭部112aの眼に対して反対側(後頭部側)の経路42に分ける。
【0101】
また、コンピュータ216は、診断スキャンの実行期間のうち、X線が眼に照射される期間を特定する。眼は被検体112の顔の表面側に位置しているので、経路41上のX線管104は、経路42上のX線管104よりも、眼に近い位置を移動している。したがって、コンピュータ216は、X線が眼に照射される期間では、経路41を移動している間のX線管104の管電流が、経路42を移動している間のX線管104の管電流よりも低くなるように、管電流を設定する。
【0102】
このようにして管電流を設定する。診断スキャンの準備が完了したら、ステップST5(図14参照)に進む。
【0103】
ステップST5では、頭部112aの診断スキャンを実行する。
診断スキャンでは、X線が眼に照射される場合、X線管104が経路41を移動している間はX線管104の管電流が低くなるように、管電流が調整される。したがって、放射線に対して高い感受性をもつ眼の被曝を選択的に低減することができる。尚、第1の実施形態では、経路41を決定する場合、β=γ=90°としたが、βおよびγは90°以外の角度でもよい。例えば、眼の被曝を更に低減したい場合は、βおよびγを90°よりも大きい角度(例えば、100°)に設定することができる。
【0104】
X線管104から照射されたX線はX線検出器108で検出される。X線検出器108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行し、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信する。コンピュータ216又は画像再構成器230では、プロセッサが、スキャンにより得られたデータに基づいて、診断用のCT画像を再構成する。プロセッサは、CT画像を再構成する場合、頭部112aの回転角度θがθ=15°であることを考慮して、CT画像に描出される頭部の回転角度θが15°から0°になるように、CT画像を再構成する。したがって、プロセッサは、頭部112aの回転角度が0°になるように補正されたCT画像を再構成することができる。図25は、再構成されたCT画像28を示す図である。尚、図25には、比較のために、頭部112aの回転角度θ=15°を補正せずに再構成されたCT画像181も示されている。テーブル116の上では被検体112の頭部112aは、図24に示すように、15°傾いているが、画像再構成時に頭部112aの回転角度が0°になるように補正しているので、頭部112aの傾きが補正されたCT画像28が表示される。
このようにして、図14のフローを終了する。
【0105】
第1の実施形態では、被検体112の頭部112aの回転角度θを求め、この回転角度θに基づいてスカウトスキャンを実行するときのX線管104の位置(角度)を決定している。したがって、被検体112が真上を向くことができない場合(図20参照)であっても、被検体112が真上を向いているときに取得されるスカウト画像16および17(図8参照)と実質的に同じスカウト画像26および27(図21参照)を取得することができる。このため、被検体112が真上を向くことができない場合であっても、被検体112の顔の正面から撮影したスカウト画像26と、被検体112の顔の真横から撮影したスカウト画像27を取得することができる。第1の実施形態では、スカウト画像26および27に基づいてセグメンテーションが実行されるので、スカウト画像のセグメンテーションの精度を高めることができる。
【0106】
また、診断スキャンにより取得されたCT画像28(図25参照)は、頭部112aの回転角度θが15°から0°になるように、頭部112aの回転角度θが補正されている。したがって、表示装置232(図2参照)には、被検体112の顔が擬似的に真上を向いている場合のCT画像18が表示されるので、医師は、被検体112の顔が斜めを向いていることを意識せずに読影作業に集中することができる。
【0107】
尚、第1の実施形態では、2方向(15°および105°)から被検体を撮影し、スカウト画像26および27(図21参照)を得ている。しかし、2方向(15°および105°)のうちのいずれか一方向のみから被検体を撮影し、スカウト画像26および27のうちの一方のスカウト画像のみを取得することも可能である。
【0108】
第1の実施形態では、X線管104を角度15°に位置決めし(すなわち、X線管104を被検体112の顔の表面側に位置決めし)、被検体112の顔の表面側からX線を照射することにより、スカウト画像26を取得している。しかし、X線管104を、角度15°ではなく、角度15°の反対側である角度195°に位置決めし(すなわち、X線管104を被検体112の後頭部側に位置決めし)、被検体112の後頭部側からX線を照射しても、スカウト画像26と実質的に同等の形態情報および/又は機能情報を含むスカウト画像を取得することができる。したがって、X線管104を、角度15°ではなく、角度195°に位置決めし、被検体112の後頭部側からX線を照射することによりスカウト画像を取得してもよい。
【0109】
また、第1の実施形態では、X線管104を角度105°に位置決めし(すなわち、X線管104を被検体112の左側に位置決めし)、被検体112の左側からX線を照射することにより、スカウト画像27を取得している。しかし、X線管104を、角度105°ではなく、角度105°の反対側である角度285°に位置決めし(すなわち、X線管104を被検体112の右側に位置決めし)、被検体112の右側からX線を照射しても、スカウト画像27と実質的に同等の形態情報および/又は機能情報を含むスカウト画像を取得することができる。したがって、X線管104を、角度105°ではなく、角度285°に位置決めし、被検体112の右側からX線を照射することによりスカウト画像を取得してもよい。
【0110】
また、第1の実施形態では、ステップST22において、被検体112の頭部を、YZ面に対して対称の形状を有する物体22(例えば、球体、楕円体)に近似し、この物体22に基づいて基準面32を求めている。しかし、物体22に基づいて基準面32を求める代わりに、YZ面に平行な面を基準面32として記憶装置に予め登録しておいてもよい。YZ面に平行な面を基準面32として記憶装置に登録しておくことにより、ステップST22を実行しなくても回転角度θを求めることができるので、ステップST20のフローを簡略化することが可能となる。
【0111】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ステップST4(図14参照)において、オペレータは診断スキャンのスキャン範囲を手動で設定する例について説明したが、第2の実施形態では、学習済みモデルを使用してスキャン範囲を自動的に設定する方法について説明する。
【0112】
図26は、学習済みモデルを使用してスキャン範囲を自動的に設定するフローを示す図である。
【0113】
先ず、スキャン範囲を設定するために使用される学習済みモデルの生成方法について説明する。学習済みモデルは、被検体112を検査する前に学習フェーズで予め作成されるものである。
【0114】
学習フェーズでは、先ず、原画像のセットWを用意する。原画像のセットWは、例えば、X線管104を角度0°に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得された複数のスカウト画像と、X線管104を角度90°に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得された複数のスカウト画像を含んでいる。尚、原画像のセットWは、必要に応じて、X線管104を角度0°および90°以外の角度に位置決めした状態でスキャンを実行することにより取得されたスカウト画像を含んでいてもよい。
【0115】
次に、これらの原画像のセットWに対して、図26に示すように、前処理68を実行する。
【0116】
前処理68には、例えば、画像を切り出しする処理、標準化処理、正規化処理、画像反転処理、画像回転処理、拡大率変更処理、画質変更処理などがある。原画像のセットWを前処理することにより、前処理されたスカウト画像のセットWAを得ることができる。前処理されたスカウト画像のセットWAが、学習済みモデルを作成するためのトレーニングデータ61として使用される。
【0117】
次に、トレーニングデータ61をニューラルネットワーク72に学習させる。ニューラルネットワーク72は、例えば、畳み込みニューラルネットワークを使用することができる。第2の実施形態では、スキャン範囲の開始位置と終了位置とを表すスキャン範囲データを出力するように、ニューラルネットワーク72を学習させ、学習済みモデル73を作成する。この学習済みモデル73は記憶装置218に記憶することができる。
【0118】
したがって、コンピュータ216は、学習済みモデル73を用いてスキャン範囲の開始位置と終了位置とを推論することができる。
【0119】
図26の右側に、学習済みモデル73を用いてスキャン範囲を推論するフローが示されている。
【0120】
ステップST411において、コンピュータ216は、スカウトスキャンにより取得されたスカウト画像26および27を前処理する。
【0121】
ステップST421では、コンピュータ216は、前処理されたスカウト画像262および272を入力画像として学習済みモデル73に入力し、学習済みモデル73を用いて、スキャン範囲のスキャン開始位置およびスキャン終了位置を推論する。
【0122】
ステップST431では、コンピュータ216は、推論したスキャン範囲をスカウト画像27上に表示する。図27に、表示装置に表示されたスカウト画像27と、推論されたスキャン範囲127を概略的に示す。
このようにしてフローを終了する。
【0123】
第2の実施形態では、X線管104を角度15°(位置P15)に位置決めすることにより取得されたスカウト画像26と、X線管104を角度105°(位置P105)に位置決めすることにより取得されたスカウト画像27に基づいて、スキャン範囲127を推論している。したがって、被検体112は仰臥位では顔を真上に向けることができず、斜めを向いてしまっていても、被検体112の顔の正面から撮影したスカウト画像26と、被検体112の顔の真横から撮影したスカウト画像27に基づいて、スキャン範囲を推論することができるので、スキャン範囲の推論精度を高めることができる。
【0124】
(3)第3の実施形態
第3の実施形態では、複数のカメラを備え、複数のカメラで撮影されたカメラ画像の中から、頭部112aの回転角度θを求めるのに適したカメラ画像を選択する例について説明する。
【0125】
図28は、第3の実施形態においてスキャンルームに設けられた複数のカメラを示す図である。
【0126】
スキャンルーム122には複数のカメラが備えられている。第3の実施形態では、スキャンルーム122の天井124に3つのカメラ235、236、および237が備えられている例について説明するが、2個のカメラを備えてもよいし、4個以上のカメラを備えてもよい。
【0127】
図29は、第3の実施形態におけるフローを示す図である。
尚、第3の実施形態は、第1の実施形態と比較すると、ステップST20が異なっているが、その他のステップは、第1の実施形態と同じである。したがって、第3の実施形態の説明に当たっては、ステップST20を主に説明する。
【0128】
図30は、第3の実施形態におけるステップST20の説明図である。
ステップST21において、コンピュータ216(図2参照)は、カメラ235により取得された被検体112のカメラ画像21から、被検体112の顔表面の複数の特徴点(例えば、眉、目、鼻、口、顎)を抽出する。そして、コンピュータ216は、図30に示すように、抽出した複数の特徴点に基づいて、被検体112の頭部112aを左右に分割する中心面31を求める。中心面31を求めた後、ステップST211に進む。
【0129】
ステップST211では、コンピュータ216は、カメラ235の位置を表す位置データと、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データに基づいて、カメラ235と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面51を求める。尚、カメラ235の位置を表す位置データは、被検体112の検査前に事前に取得されているデータであり、記憶装置(例えば、記憶装置218)に記憶されている。コンピュータ216は、記憶装置から、カメラ235の位置を表す位置データを読み出すことができる。また、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データは、カメラ画像21に基づいて求めることができるデータである。したがって、コンピュータ216は、カメラ235と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面51を求めることができる。面51を求めた後、ステップST212に進む。
【0130】
ステップST212では、コンピュータ216は、面31と面51との成す角度αを求め、この角度αを、被検体112の顔の中心面31に対してカメラ235の取付け位置を表す角度αとして求める。図30では、α=α1であるとする。α=α1は記憶装置(例えば、記憶装置218)に記憶される。カメラ235の角度α=α1を求めたら、他のカメラ236および237についても、ステップST21、ST211、およびST212に従って角度αを求める。
【0131】
図31は、カメラ236の角度αの求め方の説明図である。
ステップST21において、コンピュータ216は、カメラ236により取得された被検体112のカメラ画像221から、被検体112の顔表面の複数の特徴点(例えば、眉、目、鼻、口、顎)を抽出する。そして、コンピュータ216は、図31に示すように、抽出した複数の特徴点に基づいて、被検体112の頭部112aを左右に分割する中心面311を求める。
【0132】
ステップST211では、コンピュータ216は、カメラ236の位置を表す位置データと、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データに基づいて、カメラ236と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面52を求める。尚、カメラ236の位置を表す位置データは、被検体112の検査前に事前に取得されているデータであり、記憶装置(例えば、記憶装置218)に記憶されている。コンピュータ216は、記憶装置から、カメラ236の位置を表す位置データを読み出すことができる。また、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データは、カメラ画像221に基づいて求めることができるデータである。したがって、コンピュータ216は、カメラ236と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面52を求めることができる。面52を求めた後、ステップST212に進む。
【0133】
ステップST212では、コンピュータ216は、面311と面52との成す角度αを求め、この角度αを、被検体112の顔の中心面311に対してカメラ236の取付け位置を表す角度αとして求める。図31では、α=α2であるとする。α=α2は記憶装置に記憶される。カメラ236の角度α=α2を求めたら、他のカメラ237についても、ステップST21、ST211、およびST212に従って角度αを求める。
【0134】
図32は、カメラ237の角度αの求め方の説明図である。
ステップST21において、コンピュータ216は、カメラ237により取得された被検体112のカメラ画像222から、被検体112の顔表面の複数の特徴点(例えば、眉、目、鼻、口、顎)を抽出する。そして、コンピュータ216は、図32に示すように、抽出した複数の特徴点に基づいて、被検体112の頭部112aを左右に分割する中心面312を求める。
【0135】
ステップST211では、コンピュータ216は、カメラ237の位置を表す位置データと、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データに基づいて、カメラ237と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面53を求める。尚、カメラ237の位置を表す位置データは、被検体112の検査前に事前に取得されているデータであり、記憶装置に記憶されている。コンピュータ216は、記憶装置から、カメラ237の位置を表す位置データを読み出すことができる。また、被検体112の頭部112aの位置を表す位置データは、カメラ画像222に基づいて求めることができるデータである。したがって、コンピュータ216は、カメラ237と頭部112aとを横切り、かつz軸方向(体軸方向)に平行な面53を求めることができる。面53を求めた後、ステップST212に進む。
【0136】
ステップST212では、コンピュータ216は、面312と面53との成す角度αを求め、この角度αを、被検体112の顔の中心面312に対してカメラ237の取付け位置を表す角度αとして求める。図32では、α=α3であるとする。α=α3は記憶装置に記憶される。
【0137】
したがって、カメラ235、236、および237の角度αは、それぞれ、α1、α2、およびα3として計算することができる。これらの角度α1、α2、およびα3を計算した後、ステップST213に進む。
【0138】
ステップST213では、コンピュータ216が、カメラ画像21(図30参照)、カメラ画像221(図31参照)、およびカメラ画像222(図32参照)の中から、被検体112の頭部112aの回転角度θを決定するために使用するカメラ画像を決定する。被検体112の頭部112aの回転角度θは、被検体112の顔を左右に分割する中心面を基準にして決定される値である。したがって、被検体112の頭部112aの回転角度θをできるだけ正確に決定するためには、被検体112の顔を左右に分割する中心面をできるだけ正確に求めることが重要となる。中心面はカメラ画像を使用して求められるものであるので、中心面をできるだけ正確に求めるためには、被検体112の顔の真正面に位置するカメラから取得されたカメラ画像に基づいて中心面を求めることが理想的であると考えられる。そこで、第3の実施形態では、カメラ画像21、221、および222(図30図32参照)のうち、被検体112の顔の真正面の位置に最も近いカメラから取得されたカメラ画像を、頭部の回転角度θを求めるために使用するカメラ画像として決定する。カメラ235、236、および237のうち、被検体112の真正面の位置に最も近いカメラは、角度αが最小値となるカメラである。カメラが被検体112の顔の真正面の位置に近づくほど、カメラの角度αは小さい値となる。したがって、角度α1、α2,およびα3の中から、最小値の角度を特定すれば、被検体112の顔の真正面の位置に最も近いカメラを特定することができる。第3の実施形態では、カメラの角度α1、α2、およびα3のうち、最小値はα2である。したがって、コンピュータ216は、カメラ235、236、および237のうち、角度がα2であるカメラ236を、被検体112の顔の真正面の位置に最も近いカメラとして特定する。そして、コンピュータ216は、カメラ236で取得されたカメラ画像221(図31参照)を、被検体112の頭部112aの回転角度θを決定するために使用するカメラ画像として決定する。カメラ画像221を決定した後、ステップST22に進む。
【0139】
ステップST22では、第1の実施形態で説明したように、頭部112aの形状を近似した物体22を分割する基準面32(図16参照)を求め、ステップST23において、カメラ画像221により求めた中心面311(図31参照)と基準面32との成す角度を、頭部の回転角度θとして求める。
【0140】
ステップST25以降は、第1又は第2の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0141】
第3の実施形態では、カメラ画像21、221、および222(図30図32参照)のうち、被検体112の顔の真正面の位置に最も近いカメラから取得されたカメラ画像221を、頭部の回転角度θを求めるために使用するカメラ画像として決定する。したがって、被検体の顔の左右を分割する面として信頼性の高い中心面311を用いて頭部の回転角度θを計算することができるので、スカウト画像のセグメンテーションの精度を更に高めることや、診断スキャンにより得られるCT画像の品質を更に向上させることができる。
【0142】
第1~第3の実施形態は、被検体112の頭部112aを撮影する場合について説明されている。しかし、本発明は、頭部112aを撮影する場合に限定されることはなく、頭部112a以外の撮影部位を撮影する場合にも適用することができる。例えば、胸部を撮影する場合、左右の肩部の高さの違いに基づいて、胸部の向きを求めることができる。また、撮影部位が腹部の場合は、例えば、腰の左側部分と右側部分の高さの違いに基づいて、腹部の向きを求めることができる。さらに、撮影部位が胸部および腹部を含む場合、左右の肩部の高さの違いと、腰の左側部分と右側部分の高さの違いの両方に基づいて、撮影部位の向きを求めることができる。
【0143】
尚、第1~第3の実施形態では、医用装置としてCT装置を使用した例が示されている。しかし、本発明の医用装置は、CT装置に限定されることはなく、X線源を被検体に照射する医用装置(例えば、PET-CT装置)に適用することができる。
【符号の説明】
【0144】
11 項目
12、13、121、131 スキャン計画
16、17、26、27、161、171、261、271、262、272 スカウト画像
18、28、181 CT画像
21 カメラ画像
22 物体
31、311、312 中心面
32 基準面
40、41、42 経路
51、52、53 面
60、61 トレーニングデータ
68 前処理
70、72 ニューラルネットワーク
71、73 学習済モデル
100 CT装置
102 ガントリ
103 フィルタ部
104 X線管
105 前置コリメータ
106 X線
107 開口部
108 X線検出器
112 被検体
112a 頭部
116 テーブル
118 テーブルモータコントローラ
122 スキャンルーム
124 天井
127 スキャン範囲
202 検出器素子
205 回転軸
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
214 DAS
216 コンピュータ
218 記憶装置
220 オペレータコンソール
221、222 カメラ画像
224 PACS
230 画像再構成器
232 表示装置
235、236、237 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記被検体に対して第1のスキャンを実行する医用装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記被検体の撮影部位の光学画像に基づいて、前記撮影部位の向きを求めること、
前記撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること、
を含む動作を実行する、医用装置。
【請求項2】
前記光学画像は、光学画像取得ユニットで取得される、請求項1に記載の医用装置。
【請求項3】
前記撮影部位が頭部を含み、
前記撮影部位の向きを求めることが、
前記光学画像に基づいて、前記被検体の顔を左右に分割する第1の面を求めること、および
前記第1の面に基づいて、前記被検体の頭部の回転角度を求めること
を含む、請求項2に記載の医用装置。
【請求項4】
前記被検体の頭部の回転角度を求めることが、
前記第1の面と、前記被検体の顔が理想的な方向を向いていると仮定した場合の前記被検体の顔を左右に分割する第2の面との成す角度を求めること
を含む、請求項3に記載の医用装置。
【請求項5】
前記撮影部位の向きを求めることが、
前記被検体の顔を、体軸方向と鉛直方向とに平行な面に対して対称の形状を有する物体に近似すること、
前記物体を、前記体軸方向および前記鉛直方向に垂直な方向に二分割する面を、前記第2の面として求めること
を含む、請求項4に記載の医用装置。
【請求項6】
前記X線管を回転させるためのガントリモータを制御するガントリモータコントローラを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記X線管が、前記第1の位置から所定の角度だけ回転した第2の位置に移動するように、前記ガントリモータコントローラに前記ガントリモータを制御させること、
前記第2の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること、
を含む動作を実行する、請求項4に記載の医用装置。
【請求項7】
前記第1のスキャンを実行するための第1のスキャン計画には、前記第1のスキャンを実行するときの前記X線管の第1の初期位置に対応する角度が設定されており、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第1の初期位置に対応する角度を、前記第1の位置に対応する角度に修正することを含む動作を実行する、請求項6に記載の医用装置。
【請求項8】
前記第1のスキャンを実行するための第2のスキャン計画には、前記第1のスキャンを実行するときの前記X線管の第2の初期位置に対応する角度が設定されており、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第2の初期位置に対応する角度を、前記第2の位置に対応する角度に修正することを含む動作を実行する、請求項7に記載の医用装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
修正後の前記第1のスキャン計画に従って取得されたデータに基づいて、第1のスカウト画像を再構成すること、
を含む動作を実行する、請求項8に記載の医用装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
修正後の前記第2のスキャン計画に従って取得されたデータに基づいて、第2のスカウト画像を再構成すること、
を含む動作を実行する、請求項9に記載の医用装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像と、前記第2のスカウト画像とに基づいて、放射線に対して高い感受性を持つ臓器を特定する、請求項10に記載の医用装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像および前記第2のスカウト画像を前処理することにより入力画像を生成すること、および
前記入力画像を学習済みモデルに入力し、放射線に対して高い感受性をもつ臓器の位置を推論すること
を含む動作を実行する、請求項11に記載の医用装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
特定された臓器の位置と前記回転角度とに基づいて、前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンにおいて前記臓器の被曝が選択的に低減されるように前記X線管の管電流を設定する、請求項11に記載の医用装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
第1のスカウト画像と、前記第2のスカウト画像とに基づいて、スキャン範囲を設定する、請求項10に記載の医用装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスカウト画像および前記第2のスカウト画像を前処理することにより入力画像を生成すること、
前記入力画像を学習済みモデルに入力し、前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンのスキャン範囲のスキャン開始位置およびスキャン終了位置を推論すること、
を含む動作を実行する、請求項14に記載の医用装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
異なる光学画像取得ユニットにより取得された複数の光学画像の中から、前記回転角度を求めるための光学画像を決定する、請求項4に記載の医用装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のスキャンの後に実行される第2のスキャンにより取得されたデータに基づいて、前記被検体の前記撮影部位の医用画像を再構成すること
を含む動作を実行し、
前記医用画像を再構成することが、前記医用画像に描出される頭部の回転角度が0°になるように、前記医用画像を再構成することを含む、請求項4に記載の医用装置。
【請求項18】
回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置を用いて、前記被検体に対して第1のスキャンを実行するスキャン方法であって、
前記被検体の撮影部位の光学画像に基づいて、前記撮影部位の向きを求めること、
前記撮影部位の向きに基づいて、前記第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定すること、および
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させること
を含む、スキャン方法。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサによって実行が可能な1つ以上のインストラクションが格納された、非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記記録媒体は、回転軸を中心とした経路上を回転することができるX線管と前記X線管を制御するX線コントローラとを含むガントリと、被検体が横たわることができるテーブルとを含む医用装置に含まれるものであり、
前記1つ以上のインストラクションは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記被検体の撮影部位の光学画像に基づいて、前記撮影部位の向きを求め、
前記撮影部位の向きに基づいて、第1のスキャンにおいて前記X線管が配置される前記経路上の第1の位置を決定し、
前記第1の位置から前記X線管がX線を照射するように、前記X線コントローラに前記X線管を制御させる、記録媒体。