(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178986
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】窓付き防火扉
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20231212BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091943
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】599070259
【氏名又は名称】株式会社日鋼サッシュ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】清家 昭宏
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E016AA02
2E016BA08
2E016BA09
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016DA01
2E016DB02
2E016DD03
2E239CA14
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA42
2E239CA43
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】デザイン性の高い窓付き防火扉を提供する。
【解決手段】鉄製の扉本体と、扉本体に形成された窓部5に差し込まれた板硝子10を備える窓付き防火扉であって、窓部5は、扉表面材3,4を上下に分けて配置された上扉表面材3a,4aおよび下扉表面材3b,4bと、左右両端部に分けて配置された2つの窓構成板6,7とで構成されており、板硝子10は左右の窓構成板6,7で保持される。窓構成板6,7は、その外表面が扉表面材3,4の外表面から厚さ方向に引き込められた状態で骨1,2に取付けられており、窓構成板6,7には、化粧板8,9が取付けられている。化粧板8,9の厚さは、扉表面材3,4の厚さとほぼ同一である。窓構成板6,7に化粧板8,9を取付けると、防火扉の外面が美麗になると共に、化粧板8,9の外表面が扉表面材3,4の外表面と実質面一になるので段差の無いスッキリした意匠に仕上がる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄製の扉本体と、該扉本体に形成された窓部と、該窓部に差し込まれた板硝子を備える窓付き防火扉であって、
前記扉本体は、骨と該骨に取付けられた扉表面材とからなり、
前記窓部は、前記扉表面材を上下に分けて配置された上扉表面材および下扉表面材と、該上扉表面材および該扉表面材の間において左右両端部に分けて配置された2つの窓構成板とで構成されており、
該窓構成板は、該窓構成板の外表面が前記扉表面材の外表面から厚さ方向に引き込められた状態で前記骨に取付けられており、
前記窓構成板には、化粧板が取付けられており、該化粧板の外表面が前記扉表面材の外表面と実質面一になっている
ことを特徴とする窓付き防火扉。
【請求項2】
前記窓構成板は、その上下寸法が窓部の上下寸法より大きい
ことを特徴とする請求項1記載の窓付き防火扉。
【請求項3】
前記化粧板の厚さが前記扉表面材の厚さとほぼ同一であり、
前記窓構成板の外表面が前記扉表面材の厚さとほぼ同一の寸法だけ引き込められている
ことを特徴とする請求項1または2記載の窓付き防火扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓付き防火扉に関する。さらに詳しくは、本発明は、鉄製の扉本体に板硝子を差し込んだ窓部を備えた窓付き防火扉に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の中に用いられる防火扉は、近年では、特定防火設備としての機能を満たすだけでなく、人をひきつけるような意匠性の高さも併せて求められるようになっている。
【0003】
特許文献1の代表的な実施形態である
図2に示された防火扉は、鉄製の扉本体と扉本体に嵌め込まれた板硝子とからなり、板硝子は、長方形であって扉本体とほぼ同じ大きさである。板硝子の上縁は、扉本体を構成する上框に、一の堤形状部と止め部材を備える他の堤形状部からなる溝の内側で保持され、かつ板硝子の左右両縁と下縁はいずれも2つの堤形状部からなる溝に嵌められて保持されている。このように、板硝子の上縁は止め部材を用いた堤形状部により保持されたことで、板硝子固定用のネジの頭が露出しなくなり、扉のデザインがすっきりし、意匠性が向上したものとなっている。
【0004】
特許文献2の代表的な実施形態である
図2に示された防火扉は、鉄製の扉本体と扉本体に嵌め込まれた板硝子とからなり、板硝子は長方形であって扉本体とほぼ同じ大きさである。板硝子の四つの側縁は、扉本体を構成する上下左右の框に設けた一対の堤形状部からなる溝に嵌めて保持され、かつ上縁を保持する一対の堤形状部の間には補強材と位置決め部材を入れている。かかる補強材と位置決め部材を用いた構成により、押縁が不要になるので扉全体のデザイン上の制約が無くなり、意匠性が向上したものとなっている。
【0005】
さらに、特許文献3の防火扉では代表的な実施形態として
図3の防火ガラス板を開示している。この防火ガラス板は、鉄製の扉本体と扉本体に嵌め込まれた板硝子とからなり、板硝子は扉本体とほぼ同じ大きさである。板硝子は、その上縁の数カ所が把持金具の把持片で把持され、両縦縁と下縁は框に設けられた凹部に嵌められ、難燃性のシリコーン等で接着されている。この文献では火災時の熱軟化した板硝子の脱落防止を目的としており、デザイン性の向上はとくに図られていない。
【0006】
上記特許文献1~3の従来技術は、いずれも扉本体のほぼ一面に板硝子を嵌めたもので、扉本体の一部に窓部を有する防火扉とは構成が異なっている。
【0007】
ところで市場に存在する従来の代表的な窓付き防火扉100は、
図8に示す構成であった。扉本体101は鉄製であり、扉本体101の一部、たとえば上下方向の略中間位に横長で上下寸法の小さい窓部102を設け、その窓部102に板硝子103を差し込んで構成されていた。
上記従来の窓付き防火扉100における扉本体101の構成は、框110と扉表面材120とからなる。框110は上下の上框111と下框112、および左右の縦框113,114からなる。各框は骨材と補強材などで構成される。
【0008】
図9に示すように、扉表面材120は表裏2面の表面材121,122からなる。扉本体101の吊元側における上下方向略中間部には挿入孔104が形成されており、そこから板硝子103を挿入できる。左側の縦框113はいずれも骨材113aと補強材113bで構成され、これらの部材に堤形に形成された前後一対の硝子保持部131,132が設けられている。そして、板硝子103は、前後一対の硝子保持部131,132で保持されている。右側の縦框114も左側と同様に骨材114aと補強材114bとで構成され、板硝子103の右端は、前後一対の硝子保持部131,132で保持されている。左側の縦框113に形成された挿入孔104は適宜のカバー105で塞がれる。そして、各硝子保持部131,132には化粧板141,142が嵌められるようになっている。なお、
図9では
図8に示すドアノブ145は図示を省略している。150は建物側の戸枠である。
【0009】
しかるに、上記従来例の窓付き防火扉100では、硝子保持部131,132に被せた化粧板141,142が
図10に示すように、扉表面材120の外表面より少し突出してしまう。このため、化粧板141,142の存在が目立ってしまい、すっきりしたデザインにならないという問題がある。
このようにデザイン性に劣ると窓付き防火扉の商品価値が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6127192号公報
【特許文献2】特許第6174227号公報
【特許文献3】特開2001-132352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、デザイン性の高い窓付き防火扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明の窓付き防火扉は、鉄製の扉本体と、該扉本体に形成された窓部と、該窓部に差し込まれた板硝子を備える窓付き防火扉であって、前記扉本体は、骨と該骨に取付けられた扉表面材とからなり、前記窓部は、前記扉表面材を上下に分けて配置された上扉表面材および下扉表面材と、該上扉表面材および該扉表面材の間において左右両端部に分けて配置された2つの窓構成板とで構成されており、該窓構成板は、該窓構成板の外表面が前記扉表面材の外表面から厚さ方向に引き込められた状態で前記骨に取付けられており、前記窓構成板には、化粧板が取付けられており、該化粧板の外表面が前記扉表面材の外表面と実質面一になっていることを特徴とする。
本発明において、化粧板の外表面が前記扉表面材の外表面と「実質面一」になっている、との意味は、基本的には2つの面の間に段差が無くフラットに見える面一を意味するが、多少の段差があっても人が肉眼で見たときに気付かない程度の段差を面一の概念に含む意味である。
【0013】
第2発明の窓付き防火扉は、第1発明において、前記窓構成板は、その上下寸法が窓部の上下寸法より大きいことを特徴とする。
第3発明の窓付き防火扉は、第1または第2発明において、前記化粧板の厚さが前記扉表面材の厚さとほぼ同一であり、前記窓構成板の外表面が前記扉表面材の厚さとほぼ同一の寸法だけ引き込められていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、窓部に板硝子を差し込み左右の窓構成板で板硝子を保持し、この窓構成板を上下の扉表面材に固定すると、窓部に板硝子を固定でき窓付き防火扉を完成できる。さらに、窓構成板に化粧板を取付けると、防火扉の外面が美麗になると共に、化粧板の外表面が上下の扉表面材の外表面と実質面一になる。ここでいう実質面一には、外観的に段差が無いように見える小さな段差も含むが、人が肉眼で見たときに段差の無いように見えるのでスッキリした意匠に仕上がる。
【0015】
第2発明によれば、窓構成板の上下寸法が窓部のそれより大きいので、窓構成板を上下の扉表面材に溶接等で固定できる面積が広くなり、火炎に触れても焼け落ちにくくなる。
第3発明によれば、化粧板の厚さと扉表面材の厚さが同じなので、化粧板を窓構成板に取付けたとき、化粧板と扉表面材との間に段差が全くできず、スッキリしたデザインに仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る窓付き防火扉Aの部分斜視図である。
【
図2】
図1に示す窓付き防火扉Aにおける要部の斜視図である。
【
図3】
図1に示す窓付き防火扉Aの分解斜視図である。
【
図5】窓付き防火扉Aの完成前と完成後の一部外観図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る窓付き防火扉Bの構造と製作手順の説明図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る窓付き防火扉Cの構造と製作手順の説明図である。
【
図8】従来の窓付き防火扉100の基本構成を示す正面図である。
【
図10】従来の窓付き防火扉100の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の窓付き防火扉(以下、単に防火扉ということがある)は、一般的に防火扉と同様に建築基準法の特定防火設備に該当し、通常の火災の火炎を受けても1時間火炎が貫通しない構造となっているほか、意匠性を高めるために硝子窓を設けたものである。建築基準法の特定防火設備では、「鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上」という要件が定められている(平12年建告第1369号)。ここでいう「鉄板」には、JIS K6744に適合するポリ塩化ビニル被覆金属板その他これに類する鋼板(不燃材料の認定を取得したものに限る。)が含まれる。
【0018】
本発明の各実施形態に係る防火扉A,B,Cの基本構成は、
図8に示す従来技術と同様に、鉄製の扉本体と扉本体に形成された窓部と、窓部に差し込まれた板硝子とからなる。扉本体は、上下左右の框、すなわち上框、下框、左右の縦框に裏表2枚の扉表面材を取付けて構成されている。そして、扉本体は建物側の戸枠に図示しない蝶番等で開閉自在に固定されている。
【0019】
上下左右の框のそれぞれは、鋼板製の骨と、それと共に用いる補強材等により構成されることが多いが、補強材を用いない框も本発明に含まれる。
板硝子は耐熱硝子であり、内部に金網や、金属線を入れたものが採用されることもある。これは火炎など熱が加えられたときに板硝子が脱落するのを防止するためである。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の窓付き防火扉Aについて、図に向かって手前側の構造(扉表面材、硝子保体など)を省略して、奥側の構造を示した斜視図である。
図3も同様に図に向かって手前側の構造を省略して、奥側の構造を示した分解斜視図である。
【0021】
図1において、1,2は扉本体の強度部材となる左右の骨である。各骨1,2は、適宜の大きさのコ形鋼を用いるか、鋼板を折り曲げて構成したものである。なお、扉本体の上下で横に渡す骨は図示を省略しているが、コ形鋼か折り曲げ鋼板を用いて構成され左右の骨1,2と結合される。
扉本体1は、上記した骨1,2を含む4つの骨に扉表面材3,4を固定して構成されている。なお、
図1および
図3では奥側の扉表面材3のみ示し、手前側の扉表面材4は示していない。
図2では表裏両面の扉表面材3,4が示されている。
4つの骨に対し表裏両面の扉表面材3,4は溶接等の任意の手段で固定されている。
【0022】
扉表面材3は表裏両面とも上表面材3aと下表面材3bとからなる。このように扉表面材3を上下に分けたのは、その間に窓部5を設けるためである。
この窓部5を設けるため、上表面材3aの下縁には上窓枠5aが形成され、下表面材3bの上縁には下窓枠5bが形成されている。窓部5の上縁と下縁はこの上窓枠5aと下窓枠5bとで構成される。
また、
図1および
図3には図示していないが、扉表面材4も同様の構成である。
【0023】
窓部5の左右の側縁は、窓構成板6および窓構成板7によって構成されている。
図1および
図3において、向かって左側に窓構成板6が取付けられ、向かって右側に窓構成板7が取付けられている。窓構成板7は窓構成板6に対し左右勝手が異なる点を除き構成は同じである。
窓構成板6は、平板からなる連結部6aとこの連結部6aの一端縁から延びて横断面L形に形成された硝子保持部6bとからなる。
【0024】
図2に示すように、窓構成板6は2個用い、骨1を挟んで奥側と手前側に配置される。奥側の窓構成板6と手前側の窓構成板6との間には窓用骨11が配置される。窓用骨11はコ形鋼か鋼板をコ形に折り曲げた部材が用いられる。窓用骨11は窓部5の補強材として用いるので、窓構成板6と略同じ長さの部材であればよい。骨1に対する連結部6a,6aの固定は点溶接などの任意の手段が用いられる。
【0025】
前後一対の硝子保持部6b,6bは互いに向きあうように配置され、かつ上表面材3aの上窓枠5aと下表面材3bの下窓枠5bに突き合わされる。2枚の硝子保持部6b,6bの間の空間は、後述する板硝子10の左右両端縁を挟んで固定する部分である。
【0026】
窓構成板6における連結部6aの上下寸法は窓部5の上下寸法より大きくなっている。このため、
図1および
図2に示すように、連結部6aの下縁部分には下表面材3b,4bの上縁部分に重複するように配置され、互いに溶接で固定される。この重複構造は、連結部6aの上縁部分と上表面材3b,4bの下縁部分との間でも同じである。したがって、窓構成板6の上縁部分と下縁部分は、扉表面材3の上面板3aと下面板3bに重ね合わせた状態で点溶接などの任意の手段で固定されている。
【0027】
上記のように窓構成板6の連結部6aは上表面材3a,4aおよび下表面材3b,4bに重層的に固定されるので、互いの結合強度が高くなっている。また、この構成は
図1に示す、向かって右側の窓構成板7においても同様である。したがって、窓構成板6,7は火炎に触れても焼け落ちにくくなる。
【0028】
図3に示すように、窓構成板6,7には、化粧板8,9が取付けられる。なお、
図3には奥側の構成しか示していないが、手前側の構成も同じである。
化粧板8,9は、窓構成板6,7に外側から嵌める装飾用部材である。化粧板8の外面には、適宜の模様を付けてもよい。
化粧板8,9の形状は長四角形の板材の両端が内側に向けて折り曲げられたものである。化粧板8,9の窓構成板6への取付けは、嵌め込みによる固定、嵌め込みにビス止めを組み合わせた固定、または接着貼り等の固定が任意に選択して用いられる。
【0029】
化粧板8,9の厚さは、扉表面板3の厚さと「ほぼ同一」である。具体的には、化粧板8,9の厚さが扉表面板3の厚さと同じか、より薄いが厚さの違いが肉眼で見たとき目立たないものに限りほぼ同一の概念に含まれる。図示の実施形態では、扉表面板3がスチール製で厚さ1.6mm、化粧板8がステンレス製で厚さ1.5mmを例示できるが、これに限られない。
【0030】
つぎに、
図4に基づき、第1実施形態に係る窓付き防火扉Aの製作手順を説明する。
同図(I)は、一方(図中左側の骨1)に表裏2枚の扉表面板3,4を取付けた状態を示している。図示していないが、他方(
図1における右側の骨2)に対しても扉表面板3,4が取付けられる。もちろん窓部5となる部分の下側には下表面板3b,4bが取付けられ、上側には上表面板3a,4a(図示は省略)が取付けられる。
【0031】
つぎに、
図4の(II)に示すように、骨1の手前側と奥側の両側面に2枚の窓構成板6,6がそれぞれ取付けられる。この窓構成板6,6が取付けられるのは、窓部5が設けられる部位であり、下表面板3bと上表面板3aの間の空間部分となる。そして、2枚の窓構成板6,6の間に補強用の窓用骨11が嵌められ、点溶接等の任意の手段で固定される。図示していないが右側の骨2に対しては窓構成板7,7が取付けられる。
【0032】
窓構成板6,6が骨1に嵌められた状態で、
図1に示すように連結部6aの上縁部分は上表面板3aの下縁部分と重なり、溶接付けされる。また、連結部6aの下縁部分は下表面板3bの上縁部分と重なり、溶接付けされる。
この状態で、窓構成板6,6の硝子保持部6bは窓部5側に向いて位置し、表裏両面に配置された2個の硝子保持部6b,6bで板硝子10を左端を保持できる状態となっている。この構成は、図示していない右側の窓構成板7,7においても同様であり、板硝子10の右端は2個の硝子保持部7b,7bで保持される。
【0033】
上記の取付状態で、窓構成板6,6の連結部6a,6aの外表面は、外面より引き込められた状態となっている。この引き込み寸法dは、扉表面材3(上下表面材3a,3b)の厚さとほぼ同一である。
【0034】
骨1には、板硝子10を横から差し込むための開口14が設けられている。この開口14を通して、板硝子10を窓部5内に外から差し込み、差し込んだ状態で板硝子10の左端をシール材15を介して、2個の硝子保持部6b,6bの間に保持する。図示していない他方の骨2においても、同様に2個の硝子保持部7b,7b間に板硝子10を保持する。
【0035】
図4の(III)に示すように、窓構成板6,6に化粧板8,8を嵌め込んで固定する。なお、固定を確実にするためには、ビス13を用いて、化粧板8を窓構成板6に固定してもよいし、接着貼りしてもよい。
板硝子10を通した開口14には、適宜のカバーを用いて塞いでおかれる。
【0036】
上記のように化粧板8を取付けた状態で、窓構成板6の外表面は窓部5の上下の上表面板3aおよび下表面板3bの外表面と実質面一となる。これは窓構成板6の外面が扉表面材3の外面より引き込められており、かつ化粧板8の厚さと扉表面材3の厚さがほぼ同一であることによる。
【0037】
図5の斜視図に基づき再度説明する。
図5の(II)は
図4の(II)に対応し、
図5の(III)は
図4の(III)に対応する。
図5(II)に示すように、化粧板8を取付ける前は窓構成板6の連結部6aの外面と上下の表面材3a,3bの間には、寸法dの段差が生じている。
そして、
図5(III)に示すように、化粧板8を窓構成板6に嵌め込むと、化粧板8の外表面と上下の表面材3a,3bとは外面が実質面一となる。
このような構成に基づき、スッキリした外観の防火扉Aが得られる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態の防火扉Bを
図6に基づき説明する。本実施形態の防火扉Bは窓構成板のみが第1実施形態と比べて相違しており、他の点では同一である。
図6の(I)では、骨1と図示しない骨2に扉表面材3,4を取付けた状態を示している。図(I)では、窓部より下方を示しているので、下表面板3b,4bは示されているが上表面板3a,4aは図示を省略されている。
【0039】
同図(II)は骨1に窓構成板16を取付けた状態を示している。窓構成板16は、第1実施形態における2枚の窓構成板6を用いるものと異なり一体物に構成された部材である。
すなわち、窓構成板16は、平板の連結部16aと横断面L形の硝子保持部16bと、平板の連結部16cと横断面L形の硝子保持部16dとが結合板16eによって結合された形状であり、この形状に1枚物の鋼板を折り曲げて形成されたものである。
この窓構成板16において、連結部16a,16cは第1実施形態の連結部6a,6aに相当する部材であり、硝子保持部16b,16dは第1実施形態の硝子保持部6b,6bに相当する部材である。
【0040】
2個の一対の硝子保持部16b,16dは、結合板16eで結合されているので、互いの間の間隔が狭まることなく保たれる。このため、第1実施形態で用いた窓用骨11は不要となる。
本実施形態においても、2枚の連結部16a,16cの外表面は、外面より引き込められた状態となっている。この引き込み寸法dは、第1実施形態と同様に扉表面材3(上下表面材3a,3b)の厚さとほぼ同一とされている。
【0041】
図6の(III)では、窓構成板16に化粧板8が取付けられた状態を示している。なお、化粧板9の図示は省略されている。
化粧板8は、第1実施形態のものと同じである。図示のごとく取付けた状態で、化粧板8の外表面と上下の表面材3a,3bとは外面が実質面一となる。
このような構成に基づき、スッキリした外観の防火扉Bが得られる。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態の防火扉Cを
図7に基づき説明する。本実施形態の防火扉Cは窓構成板のみが第1実施形態と比べて相違しており、他の点では同一である。
図7の(I)では、骨1と図示しない骨2に扉表面材3,4を取付けた状態を示している。図(I)では、窓部より下方を示しているので、下表面板3b,4bは示されているが上表面板3a,4aは図示を省略されている。
【0043】
同図(II)は骨1に窓構成板26を取付けた状態を示している。窓構成板26は、第1実施形態における2枚の窓構成板6を用いるものとは形状が異なるが、2枚物で構成された部材である。
すなわち、窓構成板26は、平板の連結部26aと横断面L形の硝子保持部26bとを含む部材と、平板の連結部26cと横断面L形の硝子保持部26dとを含む部材の2枚物からなり、前記した硝子保持部26bからは、連結部26cに向けて延びる結合板26eが設けられている。この結合板26eは断面形状L字形であって、連結部26cに面接触で当たっている。この結合板26eが補強材となるなど、前後一対の連結部26a,26cも硝子保持部26b,26dも変形することはない。
この窓構成板26において、連結部26a,26cは第1実施形態の連結部6a,6aに相当する部材であり、硝子保持部26b,26dは第1実施形態の硝子保持部6b,6bに相当する部材である。
【0044】
2個の一対の硝子保持部26b,26dは、結合板26eで結合されているので、互いの間の間隔が狭まることなく保たれるので、第1実施形態で用いた窓用骨11は不要となる。
本実施形態においても、2枚の連結部26a,26cは、の外表面は、外面より引き込められた状態となっている。この引き込み寸法dは、第1実施形態と同様に扉表面材3(上下表面材3a,3b)の厚さとほぼ同一とされている。
【0045】
図6の(III)では、窓構成板16に化粧板8が取付けられた状態を示している。なお、化粧板9の図示は省略されている。
化粧板8は、第1実施形態のものと同じである。図示のごとく取付けた状態で、化粧板8の外表面と上下の表面材3a,3bとは外面が実質面一となる。
このような構成に基づき、スッキリした外観の防火扉Cが得られる。
【0046】
前記各実施形態における窓部5は、いずれも横長のものであったが、これに限らず縦長の窓部をもつ防火扉にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 骨
2 骨
3 扉表面材
4 扉表面材
5 窓部
6 窓構成板
7 窓構成板
8 化粧板
9 化粧板
10 板硝子
16 窓構成板
26 窓構成板