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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179061
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ルーフレール用シール部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60R9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092115
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000123549
【氏名又は名称】化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】弁理士法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 桂一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 竜也
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA01
3D020AB01
3D020AC02
3D020AD10
(57)【要約】
【課題】作業者によるシール部材の配設作業を簡略化し、作業時間の短縮化を図ることが可能なルーフレール用シール部材の提供を課題とする。
【解決手段】シール部材1は、ルーフレール4及び車体5の間に配設され、ルーフレール4のレール端部6に固定されるシール基体部7と、シール基体部7の一端から延設され、車体5の一部と当接し弾性変形可能なシールリップ部8とを具備し、シールリップ部8は、シール基体部7の基体部厚さT1に対し、リップ部厚さT2が肉厚となるようにシール基体部7との接続部9から膨出した膨出部10を有して形成される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフレール及び車体の間に配設されるルーフレール用シール部材であって、
前記ルーフレールのレール端部に固定されるシール基体部と、
前記シール基体部の一端から延設され、前記車体の一部と当接し弾性変形可能なシールリップ部と
を具備し、
前記シールリップ部は、
前記シール基体部の基体部厚さに対し、リップ部厚さが肉厚となるように前記シール基体部との接続部から膨出した膨出部を有して形成されるルーフレール用シール部材。
【請求項2】
前記シール基体部は、
前記レール端部の端部断面形状に合わせて断面L字形状を呈して形成され、
前記レール端部に固定される平板部と、
前記平板部の一端から曲折された曲折部と
を有し、
前記シールリップ部は、
前記平板部及び前記曲折部から延設される請求項1に記載のルーフレール用シール部材。
【請求項3】
前記シール基体部及び前記シールリップ部は、
互いに材質の異なる材料によって形成される請求項1または2に記載のルーフレール用シール部材。
【請求項4】
前記シール基体部は、
硬質ゴム材料で形成され、
前記シールリップ部は、
前記硬質ゴム材料と比重及び硬度の異なる軟質発泡スポンジ材料で形成される請求項1に記載のルーフレール用シール部材。
【請求項5】
前記硬質ゴム材料は、
エチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とする硬質ゴムであり、
前記軟質発泡スポンジ材料は、
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とするスポンジ状エチレン-プロピレン-ジエンゴムである請求項4に記載のルーフレール用シール部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフレール用シール部材に関する。更に詳しくは、自動車のルーフにルーフレールを設置する際に使用されるルーフレール用シール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体のルーフ(屋根部分)の上に、互いに平行となるように一対のルーフレールが装着されたSUVタイプやステーションワゴンタイプ等の自動車が製造されている。かかるルーフレールは、車体のルーフとほぼ同じ長さの長尺状のレール部材である。そして、一対のルーフレールの間に自動車の進行方向に略直交する方向に沿ってベースキャリアを架け渡すことで、ベースキャリア上にスキー板、スノーボード、サーフボードのような長尺状の荷物や、自転車等の大型の荷物を積載することができる。
【0003】
これにより、自動車のトランク等の既存の収容スペースに収容することのできない、上記スキー板等の荷物を積載した状態で自動車の走行が可能となる。特に近年において、上記のアウトドアスポーツに加え、キャンプ等を楽しむ人々が増加しており、キャンプ用品等を収容したキャリアボックスをルーフレールの上に積載し、キャンプ地まで移動することがある。そのため、SUVタイプ等の自動車に限らず、近年においてルーフレールを装着した軽自動車等の車両も増加している。
【0004】
ルーフレールの構成について更に具体的に説明すると、ルーフレールは、車両のルーフとルーフレールとの間に大きな隙間が形成される従来型のルーフレールと、ルーフとルーフレールとがルーフレール全面に亘って密接し、上記隙間のないダイレクトルーフレール(またはフラッシュレール)とに大別することができる。更に、ダイレクトルーフレールの場合、ルーフとルーフレールとの間に、雨水等の浸入を防ぐためのルーフレール用シール部材100(以下、単に「シール部材100」と称す。)が配設されていることが多い(図4図6参照)。
【0005】
シール部材100は、ルーフレール101と、自動車のルーフ等の車体102との間に配設されるものであり、主として硬質ゴム等を材料として、押出成形等の成形加工技術によって加工された長手形状のものである。更に具体的に説明すると、シール部材100は、ルーフレール101のレール端部103と当接し固定される略平板状のシール基体部104と、当該シール基体部104の一端から延設され、弾性変形可能なシールリップ部105とを主に具備して構成されている。
【0006】
図4図6は、従来のシール部材100の構成を説明するためのものであり、いずれも自動車の進行方向(図4図6における紙面奥行き側から紙面手前方向に相当)に対して略直交する方向のシール部材100、ルーフレール101、及び車体102の断面を示している。
【0007】
図5に示すように、ルーフレール101及び車体102の間に配設されたシール部材100は、シールリップ部105が車体102の一部と当接し、弾性変形することにより、ルーフレール101及び車体102の間のシール性を保持することができる。その結果、雨水等が内部(図5において紙面右方側)に浸入することを防ぐことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般的なルーフレール用のシール部材100の場合、下記に示すような不具合を生じる可能性があった。
【0009】
すなわち、シール部材100をルーフレール101及び車体102の間に図5のように配設する作業を行う場合、最初にルーフレール101のレール端部103にシール部材100のシール基体部104を周知の固定手段(例えば、接着剤や両面テープによる接着層109等)によって固定した後、シールリップ部105を車体102の一部に押し当てつつ、シールリップ部105を僅かに弾性変形させた状態で取り付ける必要があった。
【0010】
シール部材100は、図4等に示すように、シール基体部104の基体部厚さT1とシール基体部104から延設されたシールリップ部105のリップ部厚さT2とが略同一の厚さとなるように形成されており、かつ、シールリップ部105のリップ部先端106は僅かに湾曲している。更に、弾性変形を容易とするために、シール基体部104及びシールリップ部105の接続部107には、根元部分が断面凹状を呈する切り欠き部108が形成されている。これにより、切り欠き部108が押し潰されるようにしてシール基体部104に対してシールリップ部105が弾性変形することになる(図5参照)。
【0011】
しかしながら、上記のシール部材100の配設作業に不慣れな作業院等は、シールリップ部105を弾性変形させるための力の調整ができず、シールリップ部105を所望の弾性変形方向(図5における紙面右斜め方向に相当)に曲げることができないことがあった。その結果、切り欠き部108を拡げる方向に力が加わり、例えば、図6に示すように、シールリップ部105のリップ中央付近で「く」の字形状に曲折し、当該曲折した状態でシール部材100がルーフレール101及び車体102の間に配設される可能性があった。
【0012】
このような配設状態では、ルーフレール101及び車体102の間での十分なシール性を確保することができず、シール部材100の配設作業をやり直す必要があった。その結果、シールリップ部105を正しく弾性変形させるように調整したり、或いはシール部材100自体を交換したりする可能があった。そのため、シール部材100の配設作業に多くの時間を要し、作業効率が低下するおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、作業者によるシール部材の配設作業を簡略化するとともに、配設ミスをなくし、作業時間の短縮化を図ることが可能なルーフレール用シール部材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特にシールリップ部を特有の形状に改良することにより、良好な作業性や作業効率の改善を図ることが可能なことを見出し、下記に示す本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
[1] ルーフレール及び車体の間に配設されるルーフレール用シール部材であって、前記ルーフレールのレール端部に固定されるシール基体部と、前記シール基体部の一端から延設され、前記車体の一部と当接し弾性変形可能なシールリップ部とを具備し、前記シールリップ部は、前記シール基体部の基体部厚さに対し、リップ部厚さが肉厚となるように前記シール基体部との接続部から膨出した膨出部を有して形成されるルーフレール用シール部材。
【0016】
[2] 前記シール基体部は、前記レール端部の端部断面形状に合わせて断面L字形状を呈して形成され、前記レール端部に固定される平板部と、前記平板部の一端から曲折された曲折部とを有し、前記シールリップ部は、前記平板部及び前記曲折部から延設される前記[1]に記載のルーフレール用シール部材。
【0017】
[3] 前記シール基体部及び前記シールリップ部は、互いに材質の異なる材料によって形成される前記[1]または[2]に記載のルーフレール用シール部材。
【0018】
[4] 前記シール基体部は、硬質ゴム材料で形成され、前記シールリップ部は、前記硬質ゴム材料と比重及び硬度の異なる軟質発泡スポンジ材料で形成される前記[1]~[3]のいずれかに記載のルーフレール用シール部材。
【0019】
[5] 前記硬質ゴム材料は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とする硬質ゴムであり、前記軟質発泡スポンジ材料は、前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とするスポンジ状エチレン-プロピレン-ジエンゴムである前記[4]に記載のルーフレール用シール部材。
【発明の効果】
【0020】
本発明のシール部材は、シール基体部及びシールリップ部を具備し、シール基体部の基体部厚さに対し、シールリップ部のリップ部厚さが肉厚となるように、特にシール基体部との接続部から膨出した膨出部を有することにより、シール部材のルーフレールへの配設作業を簡略化し、作業者の作業ミスを防ぎ、作業時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ルーフレールの装着された自動車を模式的に示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態のシール部材の概略構成を示す説明図である。
図3】ルーフレール及び車体の間に配設されたシール部材の概略構成を示す説明図である。
図4】従来のシール部材の概略構成を示す説明図である。
図5】ルーフレール及び車体の間に配設された従来のシール部材の概略構成を示す説明図である。
図6】ルーフレール及び車体の間に配設された配設ミスの状態の従来のシール部材の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のシール部材の実施の形態について説明する。なお、本発明のシール部材は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
【0023】
1.シール部材
本発明の一実施形態のルーフレール用シール部材1(シール部材1)は、図1に模式的に示した自動車2のルーフ3に装着されるルーフレール4と当該自動車2の車体5との間に配設されるものであり、ルーフ3及びルーフレール4の長さ(図1における紙面左右方向に相当)に合わせて長尺状に形成されている。
【0024】
ここで、図1はルーフレール4の装着された自動車2を模式的に示す上方から視た説明図であり、図2は本実施形態のシール部材1の概略構成を示す説明図であり、図3はルーフレール4及び車体5の間に配設されたシール部材1の概略構成を示す説明図である。なお、図2及び図3は、シール部材1を自動車2の進行方向(図1における紙面右側から紙面左側方向)に対して略直交する方向(図1における紙面垂直方向)に沿った断面を示すものである。
【0025】
本実施形態のシール部材1は、図1図3に示すように、自動車2に装着されたルーフレール4のレール端部6に固定されるシール基体部7と、シール基体部7の一端から延設され、車体5の一部と当接し弾性変形可能なシールリップ部8とを具備して主に構成されている。更に具体的に説明すると、シールリップ部8は、シール基体部7の基体部厚さT1に対し、リップ部厚さT2が肉厚となるようにシール基体部7及びシールリップ部8の接続部9から膨出した膨出部10を有して形成されている。
【0026】
すなわち、略平板状を呈し、所定の基体部厚さT1によって形成されたシール基体部7の一部に対し、シールリップ部8がシール基体部7よりも断面視において膨らんだ膨出部10を備えている。
【0027】
更に、シール基体部7は、ルーフレール4のレール端部6の端部断面形状に沿って、断面L字形状を呈して形成され、レール端部6の側端面6aと周知の固定手段によって固定される平板部12と、平板部12の一端から約90°曲折され、レール端部6の下端面6bに相対する曲折部13とを有して構成されている。ここで、シールリップ部8は、平板部12及び曲折部13の一面から延設されている。更に、平板部12をレール端部6に固定する周知の固定手段として、本実施形態では接着剤(または両面テープ)による接着層11が設けられている。
【0028】
このように、シール基体部7の基体部厚さT1に対して、膨出部10を有するシールリップ部8のリップ部厚さT2を肉厚となるように形成した本実施形態のシール部材1により、シールリップ部8は当該シールリップ部8の中央付近で折れ曲がる可能性はほとんどなくなる。
【0029】
更に、本実施形態のシール部材1は、膨出部10を有するシールリップ部8を形成するために、シール基体部7とシールリップ部8とが互いに材質の異なる材料で形成されている。
【0030】
具体的に説明すると、本実施形態のシール部材1のシール基体部7は、応力に対して弾性変形可能なゴムの特性を有するエチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とする硬質ゴム(以下、「硬質ゴムEPDM」と称す。)によって形成されている。
【0031】
一方、シールリップ部8は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを原材料とし、内部に複数の空隙を有し、応力に対して弾性変形可能なスポンジの特性を有するスポンジ状エチレン-プロピレン-ジエンゴム(以下、「スポンジEPDM」と称す。)によって形成されている。ここで、硬質ゴムEPDMが本発明における硬質ゴム材料に相当し、スポンジEPDMが本発明における軟質発泡スポンジ材料に相当する。
【0032】
本発明のシール部材において、硬質ゴム材料として、上記した硬質ゴムに限定されるものではなく、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマー、或いはその他のゴム材料、またはゴム様弾性を有するその他の弾性材料を挙げることができる。一方、軟質発泡スポンジ材料は、上記したエチレン-プロピレン-ジエンゴムに限定されるものではなく、軟質発泡スポンジ材料として、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマー、或いはその他のゴム材料、またはゴム様弾性を有するその他の弾性材料を挙げることができる。
【0033】
上記のように、スポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMのように互いに性状の異なる二種類の材料を用いて本実施形態のシール部材1が形成される。なお、スポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMは、自動車用の樹脂成形部品の製造において使用される周知の材料であり、ここではその詳細についての説明は省略する。
【0034】
シール基体部7に使用される硬質ゴムEPDM及びシールリップ部8に使用されるスポンジEPDMの比重及び硬度をそれぞれ上記範囲内に調整し、シール部材1を構成することにより、ルーフレール4及び車体5の間のシール性を安定させることができるとともに、上述した配設作業における作業性を良好なものとすることができる。
【0035】
特にルーフレール4と当接し固定されるシール基体部7を硬質ゴムEPDMで形成することにより、シール部材1をルーフレール4に確実に固定することができる。一方、シールリップ部8をスポンジEPDMで形成することにより、車体5との当接による弾性変形が生じやすく、更に弾性変形後の弾性反発力によるシール性が高くなる。その結果、車体5及びシール部材1の間から雨水等が車両内部へ侵入することを防ぐことができる。すなわち、シール部材1によるシール性(止水性)の効果を高くすることができる。
【0036】
上記のように、膨出部10を有するシールリップ部8を有し、かつ、シール基体部7とシールリップ部8とそれぞれの特性に応じた性状の異なる二種類の材料で形成することにより、シール部材1をルーフレール4及び車体5の間に配設する配設作業を行う機会において、先に示した図6のようなシールリップ部8の中央付近での曲折のような配設ミスが生じる可能性が低くなる。これにより、シール部材1の配設作業を簡略化して行うことが可能となり、作業時間の短縮化を図ることができる。加えて、シール部材1による高いシール性を安定して保持することができる。
【0037】
2.シール部材の製造方法
前述したように、本実施形態のシール部材1は、スポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMのように性状の異なる二種類の材料を用いて製造される。このとき、シール部材1の製造には、二種類の材料を同時に成形用口金から押し出す「共押出成形」の技術を用いることができる。かかる共押出成形(または、二色押出成形)は、樹脂加工やゴム加工等において周知のものであり、硬質材と軟質材とを同時押出したり、透明材と着色材とを同時押出したりすることが可能であり、製品の特定の部位の性状を変化させることが可能なものである。
【0038】
更に具体的に説明すると、始めにシール部材1の断面形状に相当する成形用口金(図示しない)を、共押出成形可能な押出装置にセットする。一方、押出装置に設けられた二つの原材料供給部には、それぞれ加熱され、押出可能な粘度に調整され、流動可能な状態のスポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMを準備する。かかる状態で二つの原材料供給部からスポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMを所定の押出圧力によって加圧し、成形用口金から同時に押し出し成形を行う。このとき、スポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMの押出圧力をそれぞれ調整することで、成形用口金の所定の位置にスポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMを押し出すことができる。これにより、シール部材1の断面におけるスポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMの配置及び比率を均一にすることができる。
【0039】
成形用口金から押し出されたスポンジEPDM及び硬質ゴムEPDMは、周囲の外気と接することで冷却され、流動性を失う。そして、所定の長さ(例えば、500mm程度)まで押し出した後でカットされる。これにより、二種類の材料で構成された長手形状の加工物が形成される。かかる長手形状の加工物に対してトムソン打ち抜き加工を行うことにより、前述した固定用孔や切欠部等を形成することができる。その結果、本実施形態のシール部材1の製造が完了する。なお、トムソン打ち抜き加工は、ベースとなる合板に刃を埋め込んだトムソン型を用い、加工材料をプレスして打ち抜く周知の加工方法であり、ここでは詳細な説明は省略する。本実施形態のシール部材1の製造方法において、上記した共押出成形によるものを例示したがこれに限定されるものではなく、その他周知の樹脂材料の成形加工技術を用いてシール部材1を製造するものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のシール部材は、ルーフレールの装着された自動車の製造に係る産業技術分野において利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0041】
1,100:シール部材(ルーフレール用シール部材)、2:自動車、3:ルーフ、4,101:ルーフレール、5,102:車体、6,103:レール端部、6a:側端面、6b:下端面、7,104:シール基体部、8,105:シールリップ部、9,107:接続部、10:膨出部、11、109:接着層、12:平板部、13:曲折部、106:リップ部先端、108:切り欠き部、T1:基体部厚さ、T2:リップ部厚さ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6