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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179368
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/38 20060101AFI20231212BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20231212BHJP
   B26D 5/14 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B26D1/38 C
B26D1/38 F
B26D1/30 501B
B26D1/30 501F
B26D1/30 501L
B26D1/38 N
B26D5/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079870
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2022092012
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520122231
【氏名又は名称】株式会社ORC JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】大矢根 裕一
(72)【発明者】
【氏名】森 泰文
【テーマコード(参考)】
3C024
【Fターム(参考)】
3C024BB05
(57)【要約】
【課題】 被切断物の切断を容易且つ確実に行うことができる切断装置を提供する。
【解決手段】 支持体10と、支持体10に支軸周りに回転自在に支持された回転体20と、回転体20に設けられた回転刃30,40,50と、回転刃30,40,50と刃の稜線同士が対向するように支持体10に取り付けられた固定刃60とを備え、回転体20の回転により回転刃30,40,50と固定刃60との間で被切断物を切断する切断装置1であって、固定刃60の刃の稜線61は、支軸の軸方向に沿って延びており、回転刃30,40,50の刃の稜線は、支軸の軸方向に沿った中央部が回転方向に突出するように平面視でV字状に形成されており、側面視において支軸を中心とする円弧状に形成されることで、回転体20の回転中に回転刃30,40,50および固定刃60の刃の稜線同士の隙間が一定に維持される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体に支軸周りに回転自在または揺動自在に支持された回転体と、
前記回転体に設けられた回転刃と、
前記回転刃と刃の稜線同士が対向するように前記支持体に取り付けられた固定刃とを備え、
前記回転体の回転または揺動により前記回転刃と前記固定刃との間で被切断物を切断する切断装置であって、
前記固定刃の刃の稜線は、前記支軸の軸方向に沿って延びており、
前記回転刃の刃の稜線は、前記支軸の軸方向に沿った中央部が回転方向または揺動方向に突出するように平面視でV字状に形成されており、側面視において前記支軸を中心とする円弧状に形成されることで、前記回転体の回転中または揺動中に前記回転刃および前記固定刃の刃の稜線同士の隙間が一定に維持される切断装置。
【請求項2】
前記回転刃は、前記回転体に対して、前記支軸の軸方向に複数設けられている請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
複数の前記回転刃の刃の稜線は、回転方向または揺動方向への突出長さが互いに相違する請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
回転駆動される出力軸を有する駆動部と、前記出力軸の回転により前記出力軸周りに回転する係合部を備える回転部材とを更に備え、
前記回転体は、前記支持体に揺動自在に支持されており、前記係合部が揺動中心に対して径方向に往復動可能に係合するガイド部を備える請求項1に記載の切断装置。
【請求項5】
前記回転刃は、前記回転体の揺動範囲の一方端において被切断物を切断する請求項4に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置に関し、より詳しくは、チップマウンタから排出されるキャリアテープ等の切断に好適に使用することができる切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チップマウンタにおいて電子部品を基板に実装した後に排出されるキャリアテープは、切断後に廃棄処理されるのが一般的であるが、キャリアテープの切断を手作業で行うのは煩雑であることから、キャリアテープ用の切断装置が従来から開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたキャリアテープの切断装置は、往復動可能なスライダの一端に取り付けられた可動刃と、この可動刃に対向する固定刃とを備え、可動刃と固定刃の間にキャリアテープを挿通して切断可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-292593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のキャリアテープの切断装置のように、固定刃に対する可動刃の往復動によってキャリアテープの切断を行う場合には、シムプレート等を用いて固定刃と可動刃との相対位置を調整する作業が煩雑になり易いという問題があった。特に可動刃を複数備える場合には、個別の位置調整が必要になるために、このような問題がより顕著になっていた。
【0006】
そこで、本発明は、被切断物の切断を容易且つ確実に行うことができる切断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、支持体と、前記支持体に支軸周りに回転自在または揺動自在に支持された回転体と、前記回転体に設けられた回転刃と、前記回転刃と刃の稜線同士が対向するように前記支持体に取り付けられた固定刃とを備え、前記回転体の回転または揺動により前記回転刃と前記固定刃との間で被切断物を切断する切断装置であって、前記固定刃の刃の稜線は、前記支軸の軸方向に沿って延びており、前記回転刃の刃の稜線は、前記支軸の軸方向に沿った中央部が回転方向または揺動方向に突出するように平面視でV字状に形成されており、側面視において前記支軸を中心とする円弧状に形成されることで、前記回転体の回転中または揺動中に前記回転刃および前記固定刃の刃の稜線同士の隙間が一定に維持される切断装置により達成される。
この切断装置において、前記回転刃は、前記回転体に対して、前記支軸の軸方向に複数設けられていることが好ましい。複数の前記回転刃の刃の稜線は、回転方向または揺動方向への突出長さが互いに相違することが好ましい。
【0008】
上記の切断装置は、回転駆動される出力軸を有する駆動部と、前記出力軸の回転により前記出力軸周りに回転する係合部を備える回転部材とを更に備えることが可能であり、前記回転体は、前記支持体に揺動自在に支持されて、前記係合部が揺動中心に対して径方向に往復動可能に係合するガイド部を備えることができる。この構成において、前記回転刃は、前記回転体の揺動範囲の一方端において被切断物を切断することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被切断物の切断を容易且つ確実に行うことができる切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置の斜視図である。
図2図1に示す切断装置の要部を示す斜視図である。
図3図2に示す要部を矢示A方向に見た斜視図である。
図4図2に示す要部の平面図である。
図5図4に示す要部の側面図である。
図6図5のC部拡大図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る切断装置の要部斜視図である。
図8図7に示す切断装置の作動時の状態を示す図である。
図9図7に示す切断装置の作動を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る切断装置の斜視図である。図1に示すように、切断装置1は、上下が開口する枠状に形成された支持体10と、支持体10の内部に回転自在に支持された回転体20と、回転体20に設けられた3つの回転刃30,40,50と、回転刃30,40,50と刃の稜線同士が対向するように支持体10に取り付けられた固定刃60とを備えている。この切断装置1は、上方から供給される被切断物を回転刃30,40,50と固定刃60との間で切断し、下方に排出することができる。
【0012】
支持体10の内部には、モータからなる駆動部11が、隔壁13を介して回転体20と隣接するように設けられている。駆動部11は、ギア列からなる駆動伝達機構12を介して、回転体20を回転駆動する。支持体10の形状は特に限定されるものではなく、例えば、ベースプレートの表面に一対の側板を設けて支持体10を構成し、一対の側板の間に回転体20および固定刃60を支持することができる。
【0013】
図2は、回転体20および固定刃60の斜視図であり、図3は、図2に示す回転体20および固定刃60を矢示A方向に見た斜視図である。図2および図3に示すように、回転体20は、一対の端板21,22と、各端板21,22からそれぞれ外方に突出する支軸23,24とを備えており、一対の端板21,22の間に支持板25が挟持固定されている。一端側の支軸23は、支持体10を貫通して図1に示す駆動伝達機構12に連結され、他端側の支軸24は、ベアリングを介して図1に示す支持体10に回転自在に支持される。回転体20は、支軸23,24周りに矢示B方向に回転する。
【0014】
支持板25は、帯板状に形成されて、支軸23,24の軸方向に延びており、支軸23,24の軸線からオフセットされた位置に設けられている。3つの回転刃30,40,50は、支軸23,24の軸方向に互いに当接して配置されており、支持板25の外面に取付ボルト26でそれぞれ固定されている。
【0015】
図4は、回転体20の平面図である。図4に示すように、回転体20に設けられた各回転刃30,40,50の刃の稜線31,41,51は、支軸23,24の軸方向に沿った中央部31a,41a,51aが、回転方向Bに突出するように平面視でV字状に形成されている。
【0016】
図2および図3に示すように、固定刃60は、刃の稜線61が支軸23,24の軸方向に沿って直線状に延びるように配置されている。固定刃60の刃の稜線61と、回転刃30,40,50の刃の稜線31,41,51との間には、微細な隙間が形成されており、刃の稜線同士の接触による摩耗が防止される。この隙間は、被切断物の厚みよりも小さいことが好ましく、本実施形態の切断装置1においては、任意の極小クリアランスに容易に調整することができる。回転刃30,40,50は、刃の稜線31,41,51によって被切断物を確実に切断できるように、刃の稜線31,41,51の支軸23,24側に、中央部31a,41a,51aで斜めに交差する切欠面32,42,52が形成されている。
【0017】
図5は、回転体20の側面図である。図5に示すように、回転刃50の刃の稜線51は、側面視において支軸24を中心とする円弧状に形成されている(図2等に示す他の回転刃30,40の刃の稜線31,41も同様)。これにより、回転刃30,40,50と固定刃60との刃の稜線同士の隙間が、回転体20の回転中に一定に維持される。
【0018】
上記の構成を備える切断装置1は、駆動部11の駆動により回転体20を回転させると、回転刃30,40,50の刃の稜線31,41,51は、固定刃60の刃の稜線61に対して、中央部31a,41a,51aがまず近接した後、近接位置が中央部31a,41a,51aの両側に向けて連続的に移行する。これにより、回転刃30,40,50と固定刃60との間に供給される被切断物が、回転体20の軸方向にせん断により切断される。
【0019】
回転刃30,40,50の刃の稜線31,41,51は、支軸23,24の軸方向に沿った中央部31a,41a,51aが、回転方向に突出するように平面視でV字状に形成されており、側面視において支軸23,24を中心とする円弧状に形成されているため、刃の稜線31,41,51の突出長さを抑制して構成のコンパクト化を図りつつ、回転刃30,40,50および固定刃60の刃の稜線同士の隙間を容易に一定に維持することができる。したがって、被切断物の切断を、省電力で容易且つ確実に行うことができる。
【0020】
回転体20に取り付ける回転刃の個数は特に限定されるものではなく、単一であってもよいが、本実施形態のように、複数の回転刃30,40,50を設けることにより、時間あたりの切断処理能力を効率良く高めることができる。本実施形態の切断装置1は、真直度を有する回転体20に複数の回転刃30,40,50を取り付けた後、回転刃30,40,50の表面を円筒研磨機により側面視円弧状に一体的に研磨することで、各回転刃30,40,50の寸法精度を容易に高めることができ、上記の刃の稜線同士の隙間が微小であっても、この隙間を確実に維持することができる。
【0021】
複数の回転刃30,40,50は、同一形状のものを使用することも可能であるが、本実施形態においては、図5に示す刃の稜線51の回転方向への突出長さL(側面視における稜線51の基端から先端までの周方向長さ)が、互いに相違している。
【0022】
図6は、図5のC部拡大図である。図5および図6に示すように、各回転刃30,40,50の刃の稜線31,41,51は、基端部の周方向位置が一致する一方、突出長さLが互いに相違しており、稜線31の突出長さが最も長く稜線51の突出長さが最も短くなるようにそれぞれ形成されて、中央部31a,41a,51aの周方向位置が互いに相違する。これにより、各稜線31,41,51が、図2等に示す固定刃60の刃の稜線61に近接するタイミングを異ならせることができるので、切断抵抗を支軸24の軸方向に分散させて、被切断物の安定した切断を行うことができる。
【0023】
本発明の切断装置は、キャリアテープ等の帯状の被切断物の切断に好適に使用することができ、回転体の回転数を高めることで、帯状の長手方向に供給された被切断物を幅方向に細かく切断することができる。但し、被切断物は、必ずしも帯状のものには限定されず、例えば、シート状やフィルム状等であってもよい。あるいは、ペットボトル等の厚みを有する廃棄物の細断に本発明を適用することもできる。
【0024】
本実施形態の切断装置1は、回転体20の回転により回転刃30,40,50と固定刃60との間で被切断物を切断するように構成されているが、後述するように、回転体の揺動により回転刃と固定刃との間で被切断物を切断するように切断装置を構成することもできる。
【0025】
図7は、本発明の他の実施形態に係る切断装置の要部斜視図である。図7に示す回転体120は、一対の端板121,122と、各端板121,122からそれぞれ外方に突出する支軸123,124とを備えており、一対の端板121,122の間に帯板状の支持板125および補強板126が挟持固定されている。各支軸123,124は、ベアリングを介して支持体(図示せず)に支持されており、回転体120は、支軸123,124周りに矢示D方向に揺動する。支軸123,124は、回転体120を支持体(図示せず)に揺動可能に支持する構成であればよく、例えば、各端板121,122の内側から支軸が内方に突出するように構成してもよい。支持板125および補強板126は、支軸123,124の軸線に沿って、支軸123,124からオフセットされた位置に設けられている。
【0026】
支持板125には、図2に示す回転刃30,40,50と同様の構成を備える複数の回転刃130,140,150,160が設けられている。回転刃130,140,150,160の刃の稜線131,141,151,161は、支持体(図示せず)に固定されて図2に示す固定刃60と同様の構成を備える固定刃170の刃の稜線171と、対向している。回転体120は、図7に示す待機位置と、図8に示す切断位置との間で揺動することで、揺動範囲の一方端において、回転刃130,140,150,160が固定刃170との間で被切断物を切断する。各回転刃130,140,150,160は、図2に示す回転刃30,40,50と同様に、刃の稜線131,141,151,161の揺動方向への突出長さが互いに相違しており、揺動中に各回転刃130,140,150,160および固定刃170の刃の稜線同士の隙間が一定に維持される。回転刃130,140,150,160の個数は特に限定されるものではなく、単一であってもよい。
【0027】
図7に示す切断装置は、支持体(図示せず)に固定されたモータからなる駆動部111と、駆動部111の出力軸に取り付けられた回転部材112とを備えている。回転部材112は、支軸124と同方向に突出するピン状の係合部112aを備えており、出力軸の回転により係合部112aが出力軸周りに回転する。
【0028】
回転体120の一方の端板122には、係合部112aが挿通される長孔状のガイド部122aが形成されている。ガイド部122aは、係合部112aを、揺動中心となる支軸124に対して揺動の径方向に往復動可能に案内する。ガイド部122aは、係合部112aが係合可能であればよく、本実施形態では貫通孔としているが、係合部112aが摺動する溝部等であってもよい。
【0029】
図9は、図7に示す切断装置の作動を説明するための側面図である。図7に示すように、回転体120が待機位置にある状態では、図9(a)に示すように、被切断物が供給される支持体110の供給部110aの直下から、回転刃160(および図7に示す他の回転刃130,140,150)の全体が退避するため、回転刃160と固定刃170との間に被切断物をスムーズに供給することができる。
【0030】
駆動部111の出力軸111aの回転により、回転部材112が矢示E方向に回転すると、ガイド部122aに係合する係合部112aの移動によって回転体120が矢示F方向に回動し、図9(b)に示すように、回転刃160の刃の稜線161が、固定刃170の刃の稜線171に接近する。
【0031】
回転部材112が矢示E方向に更に回転すると、回転体120は矢示F方向に更に回動し、図9(c)に示すように、回転体120が、揺動範囲の一方端である切断位置まで回動する。こうして、回転刃160と固定刃170との間で被切断物の切断が行われる。
【0032】
回転部材112が矢示E方向に更に回転すると、回転体120は、矢示F方向と逆方向である矢示G方向に回動し、図9(d)に示すように、回転刃160が固定刃170から離隔する。この後、回転部材112が矢示E方向に更に回転すると、図9(a)に示すように、回転体120は、揺動範囲の他方端である待機位置まで回動する。
【0033】
このように、図7に示す切断装置は、駆動部111の出力軸111aが回転することにより、回転体120が切断位置と揺動位置との間で揺動し、切断位置において被切断物を切断することができる。
【0034】
回転刃160による被切断物の切断は、本実施形態のように、回転体120の揺動範囲の一方端において行われることが好ましい。この構成によれば、被切断物の切断後に、回転刃160を供給部110aの直下からすばやく退避させることができるため、被切断物の切断を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 切断装置
10 支持体
20 回転体
23,24 支軸
30,40,50 回転刃
31,41,51 回転刃の刃の稜線
31a,41a,51a 中央部
60 固定刃
61 固定刃の刃の稜線
110 支持体
111 駆動部
112 回転部材
112a 係合部
120 回転体
122a ガイド部
123,124 支軸
130,140,150,160 回転刃
131,141,151,161 回転刃の刃の稜線
170 固定刃
171 固定刃の刃の稜線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9