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特開2023-179416核酸分子を計数するための方法、システム、および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179416
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】核酸分子を計数するための方法、システム、および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6813 20180101AFI20231212BHJP
   C12Q 1/6834 20180101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20231212BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z ZNA
C12Q1/6834 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6851 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135251
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2020553612の分割
【原出願日】2019-04-02
(31)【優先権主張番号】62/651,676
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/660,699
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523293518
【氏名又は名称】エニュメラ・モレキュラー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Enumera Molecular, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】セケダト,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブイス,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ボービアン,ジュニア,ロナルド デビッド
(72)【発明者】
【氏名】シング,シャラト
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,ジェフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】固体支持体上の環状化核酸を計数するための方法を提供する。
【解決手段】デジタルシーケンシングを用いずに、例えば、遺伝子重複に起因する、または、正常な正倍数性の染色体の補体からの変動、例えば、通常は二倍体対に見られる1つ以上の染色体のトリソミーに起因する、分子数の変動、特に遺伝子量の変動を検出および定量化するための、組成物ならびに方法、システム、およびキットを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持体上の標的分子を計数するための方法であって、
a)環状化核酸プローブにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む少なくとも1つの複合体を形成することであって、前記プライマーは固体支持体に結合している、形成することと、
b)
i)ローリングサークル増幅(RCA)反応において前記複合体中の前記プライマーを伸長させてRCA産物を形成することと、
ii)複数の標識プローブを前記RCA産物にハイブリダイズさせることと、
iii)ハイブリダイズした標識プローブを検出することと、を含むプロセスにおいて、前記少なくとも1つの複合体の形成を検出することと、を含み、
ハイブリダイズした標識プローブは、前記固体支持体上の前記標的分子の存在を示す、方法。
【請求項2】
前記固体支持体は、シラン処理表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シラン処理表面は、ガラスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
固体支持体上の標的分子を計数するための方法であって、
a)
-アクリル基、
-反応性アミン基、のうちの少なくとも1つを含むシラン処理表面を提供することと、
b)ガラス表面上に複数の複合体を形成することであって、前記複数の複合体は、
-複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物、
-複数の鎖状体化された標識足場オリゴヌクレオチドを含む二本鎖足場産物、のうちの少なくとも1つを含み、
複合体の形成は、前記ガラス表面上の標的分子の存在を示し、前記複数の複合体を形成することは、酸化グラフェンを含む溶液に前記ガラス表面を曝露することを含む、形成することと、
c)前記複数の複合体を計数することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記シラン処理表面は、ガラスである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シラン処理表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理した表面を含む、請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記固体支持体は、アッセイプレート、好ましくはガラス底アッセイプレート内の表面を含む、請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記アッセイプレートは、マルチウェルアッセイプレート、好ましくはマイクロタイタープレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プライマーは、前記固体支持体に直接結合しており、好ましくは前記固体支持体に共有結合的に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プライマーは、ビオチン部分を含み、前記固体支持体は、アビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記単数または複数の複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含む、請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記複合体は、前記固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗原またはハプテンは、前記固体支持体に共有結合的に付着している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記単数または複数の複合体を形成することは、クラウディング剤を含む溶液に前記固体支持体を曝露することを含む、請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記クラウディング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
酸化グラフェンを含む溶液に前記固体支持体を曝露するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記固体支持体は、ステップb)iii)の前に酸化グラフェンに曝露される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記固体支持体は、ステップb)ii)の前に酸化グラフェンに曝露される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記標的分子は、核酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記標的分子は、核酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記核酸は、対象由来の試料、好ましくは血液試料または血液製剤試料からのDNAを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記DNAは、血液試料または血液製剤試料からの無細胞DNAである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記無細胞DNAは、母体血試料からの胎児DNAを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
RCA産物を形成することは、反応混合物中で環状化核酸プローブ上にプライマーを伸長させることを含み、前記反応混合物は、
-少なくとも0.2ユニット/μL、好ましくは少なくとも0.8ユニット/μLのPhi29DNAポリメラーゼ、
-少なくとも400μM、好ましくは少なくとも600μM、より好ましくは全部で少なくとも800μMのdNTP、を含む、請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項26】
標識プローブを前記RCA産物にハイブリダイズさせることは、反応混合物中に100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは前記反応混合物中に少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む前記RCA産物を形成することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物を形成することは、反応混合物中に100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは前記反応混合物中に少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む前記RCA産物を形成することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記反応混合物は、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
標識プローブにハイブリダイズした複数のRCA産物は、前記固体支持体上に分散して固定化され、前記複数のRCA産物の少なくとも一部は、前記標識の検出によって個々に検出可能である、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
RCA産物の前記分散は、不規則である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
RCA産物の前記分散は、アドレス可能なアレイ内である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記複合体は、少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのポリペプチドは、抗体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの標識プローブは、蛍光標識を含む、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの標識プローブは、クエンチャー部分を含む、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの標識プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャー部分を含む、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの標識プローブは、分子ビーコンプローブである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
複数のRCA産物は、全てが同じ標識を含む標識プローブにハイブリダイズされている、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
複数のRCA産物は、2つ以上の異なる標識を含む標識プローブにハイブリダイズされている、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記2つ以上の異なる標識は、2つ以上の異なる蛍光色素を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記検出することまたは計数することは、蛍光を検出することを含む、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
蛍光を検出することは、蛍光顕微鏡観察を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
RCA産物を形成することは、前記反応混合物を少なくとも37度で、好ましくは少なくとも42度で、好ましくは少なくとも45℃でインキュベートすることを含む、請求項1、4、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記反応混合物は、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
酸化グラフェンを含む溶液に曝露される前記固体支持体または前記ガラス表面は、前記検出または計数の前に界面活性剤を含む溶液で洗浄される、請求項4、17~19、および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記界面活性剤は、Tween20を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
それぞれが環状化核酸プローブにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む複数の複合体に結合したシラン処理表面を含む組成物であって、前記プライマーは固体支持体に結合し、反応混合物は、
-少なくとも0.2ユニット/μL、好ましくは少なくとも0.8ユニット/μLのPhi29DNAポリメラーゼと、
-緩衝液と、
-少なくとも400μM、好ましくは少なくとも600μM、より好ましくは全部で少なくとも800μMのdNTPと、
-PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGと、を含む、組成物。
【請求項50】
前記PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記反応混合物は、少なくとも100nMの分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
前記プライマーは、不規則に分散して前記固体支持体に結合している、請求項49~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記プライマーは、アドレス可能なアレイ内で前記固体支持体に結合している、請求項49~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記プライマーは、前記固体支持体に共有結合的に結合している、請求項49に記載の組成物。
【請求項55】
前記プライマーは、ビオチン部分を含み、前記固体支持体は、アビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項56】
前記複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項57】
前記複合体は、前記固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項58】
前記抗原またはハプテンは、前記固体支持体に共有結合的に付着している、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記複合体は、少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項60】
前記少なくとも1つのポリペプチドは、抗体を含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項62】
それぞれが複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物を含む複数の複合体に結合したシラン処理表面と、酸化グラフェンを含む溶液と、を含む、組成物。
【請求項63】
前記シラン処理表面は、ガラスである、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記シラン処理表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理した表面を含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項65】
酸化グラフェンを含む前記溶液は、分子ビーコンプローブ、好ましくは100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項66】
酸化グラフェンを含む前記溶液は、MgClを含む緩衝液を含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項67】
MgClを含む前記緩衝液は、Phi29DNAポリメラーゼ緩衝液である、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記固体支持体は、アッセイプレート、好ましくはガラス底アッセイプレート内の表面を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記アッセイプレートは、マルチウェルアッセイプレート、好ましくはマイクロタイタープレートである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記プライマーは、前記固体支持体に直接結合しており、好ましくは前記固体支持体に共有結合的に結合している、請求項1~3および68~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記プライマーは、ビオチン部分を含み、前記固体支持体は、アビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む、請求項13および68~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記単数または複数の複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含む、請求項1~4および68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記複合体は、前記固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記抗原またはハプテンは、前記固体支持体に共有結合的に付着している、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記単数または複数の複合体を形成することは、クラウディング剤を含む溶液に前記固体支持体を曝露することを含む、請求項1~4および68~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記クラウディング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
酸化グラフェンを含む溶液に前記固体支持体を曝露するステップを含む、請求項1~3および68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記固体支持体は、ステップb)iii)の前に酸化グラフェンに曝露される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記固体支持体は、ステップb)ii)の前に酸化グラフェンに曝露される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記単数または複数の標的分子は、核酸を含む、請求項1~4および68~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記核酸は、対象由来の試料、好ましくは血液試料または血液製剤試料からのDNAを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記DNAは、血液試料または血液製剤試料からの無細胞DNAである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記無細胞DNAは、母体血試料からの胎児DNAを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
RCA産物を形成することは、反応混合物中で環状化核酸プローブ上にプライマーを伸長させることを含み、前記反応混合物は、
-少なくとも0.2ユニット/μL、好ましくは少なくとも0.8ユニット/μLのPhi29DNAポリメラーゼ、
-少なくとも400μM、好ましくは少なくとも600μM、より好ましくは全部で少なくとも800μMのdNTP、を含む、請求項1~4および68~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
標識プローブを前記RCA産物にハイブリダイズさせることは、反応混合物中に100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは前記反応混合物中に少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む前記RCA産物を形成することを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物を形成することは、反応混合物中に100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは前記反応混合物中に少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む前記RCA産物を形成することを含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
前記反応混合物は、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGをさらに含む、請求項85~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
標識プローブにハイブリダイズした複数のRCA産物は、前記固体支持体上に分散して固定化され、前記複数のRCA産物の少なくとも一部は、前記標識の検出によって個々に検出可能である、請求項1~4および68~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
RCA産物の前記分散は、不規則である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
RCA産物の前記分散は、アドレス可能なアレイ内である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記複合体は、少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つのポリペプチドは、抗体を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含む、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの標識プローブは、蛍光標識を含む、請求項1~4および68~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つの標識プローブは、クエンチャー部分を含む、請求項1~4および68~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つの標識プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャー部分を含む、請求項1~4および68~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つの標識プローブは、分子ビーコンプローブである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
複数のRCA産物は、全てが同じ標識を含む標識プローブにハイブリダイズされている、請求項1~4および68~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
複数のRCA産物は、2つ以上の異なる標識を含む標識プローブにハイブリダイズされている、請求項1~4および68~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記2つ以上の異なる標識は、2つ以上の異なる蛍光色素を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記検出することまたは計数することは、蛍光を検出することを含む、請求項1~4および68~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
蛍光を検出することは、蛍光顕微鏡観察を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
RCA産物を形成することは、前記反応混合物を少なくとも37度で、好ましくは少なくとも42度で、好ましくは少なくとも45℃でインキュベートすることを含む、請求項1~4および68~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記反応混合物は、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
酸化グラフェンを含む溶液に曝露される前記固体支持体または前記ガラス表面は、前記検出または計数の前に界面活性剤を含む溶液で洗浄される、請求項78~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記界面活性剤は、Tween20を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記反応混合物は、少なくとも100nMの分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む、請求項49または請求項50に記載の組成物。
【請求項110】
前記プライマーは、前記固体支持体に共有結合的に結合している、請求項49および109に記載の組成物。
【請求項111】
前記プライマーは、ビオチン部分を含み、前記固体支持体は、アビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む、請求項49および109~110のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項112】
前記複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含む、請求項49および109~111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項113】
前記複合体は、前記固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む、請求項49および109~112のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項114】
前記抗原またはハプテンは、前記固体支持体に共有結合的に付着している、請求項49および109~113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項115】
前記複合体は、少なくとも1つのポリペプチドを含む、請求項49および109~114のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
前記少なくとも1つのポリペプチドは、抗体を含む、請求項49および109~115のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項117】
前記複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含む、請求項49および109~116のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項118】
前記シラン処理表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理した表面を含む、請求項62または63に記載の組成物。
【請求項119】
酸化グラフェンを含む前記溶液は、分子ビーコンプローブ、好ましくは100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む、請求項62、63および118のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項120】
酸化グラフェンを含む前記溶液は、MgClを含む緩衝液を含む、請求項62~63および118~119に記載の組成物。
【請求項121】
MgClを含む前記緩衝液は、Phi29DNAポリメラーゼ緩衝液である、請求項120に記載の組成物。
【請求項122】
診断目的で検出または計数することを含む、請求項1~48および68~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記診断目的は、異数性を検出することを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項124】
前記異数性は、母体血試料中で検出される胎児異数性である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
異数性を検出することは、母体血試料からのcfDNA分子を検出または計数することを含む、請求項123または124に記載の方法。
【請求項126】
母体血試料からの前記cfDNAは、母体DNAおよび胎児DNAを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
母体DNAおよび胎児DNAは、単一反応混合物中で同じMIPプローブによって検出される、請求項126に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月2日に出願された米国仮出願第62/651,676号、および2018年4月20日に出願された同第62/660,699号の優先権を主張し、そのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、デジタルシーケンシングを用いることなく、核酸分子等の個々の分子のコピー数を決定するための組成物および方法に関する。例えば、本技術は、例えば、染色体数、遺伝子コピー数、発現レベル等における変動から生じ得る特定の核酸配列のコピー数の変動の分析に用いられる。本技術は、例えば、出生前検査、特に非侵襲的出生前検査(NIPT)のための遺伝子スクリーニングに特定の用途を見出す。NIPTは、子宮に胎児を宿した女性の血液中を循環する胎児の無細胞DNA(cfDNA)の分析を目的としている。母体血中の無細胞DNAの分析は、胎児の健康を評価するために使用することができる。本明細書の技術は、例えば、遺伝子重複に起因する、または正常な正倍数性の染色体の補体からの変動、例えば、通常は二倍体対に見られる1つ以上の染色体のトリソミーに起因する、分子数の変動、特に遺伝子量の変動を検出および定量化するための方法、システム、およびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
試料中の分子の存在または分子数の変動の検出は、試料および試料の供給源を特徴付ける有用な方法である。例えば、遺伝子量の変動は、例えば、試料が採取された対象における病態の臨床的に重要な指標である。遺伝子量の変動は、DNA複製におけるエラーに起因して生じ、生殖系列細胞に起こる可能性があり、先天性欠損症およびさらには胎児死亡をもたらすか、または体細胞においてしばしば癌を引き起こす。これらの複製異常は、遺伝子の一部、完全長の遺伝子およびそれらの周囲の調節領域、染色体のメガベース長部分、または全染色体の欠失または重複を引き起こし得る。他の生体分子の分析も臨床的に重要である。例えば、RNAまたはタンパク質の量の変動は、病態に関連する遺伝子の発現における変化を示す場合がある。本明細書で提供される技術の実施形態は特定の用途、例えば、DNAの測定に関連して論じられるが、本技術はそれらの用途に限定されるものではなく、例えば、抗原と抗体、核酸と相補的核酸、核酸構造(例えば、ステムループ、バルジヌクレオチド、フラップ、プロモーター配列)とそのような構造に結合するタンパク質、レシチンと炭水化物、タンパク質とタンパク質結合パートナー、タンパク質と脂質(例えば、SH2ドメインと脂質)等の、特定の様式でパートナー分子に結合することができる多くの異なる種類の分子または部分の分析に容易に適応されることを理解されたい。
【0004】
染色体異常は、染色体の数または構造のいずれかに影響を与え得る。細胞、組織、または個体が1つ以上の全染色体もしくは染色体のセグメントを欠いているか、または正常な正倍数性の染色体の補体よりも多く有する状態は、異数性と称され得る。染色体不分離に起因する生殖系列の複製エラーは、モノソミー(通常の2つまたは1つのみの性染色体の代わりに常染色体の1つのコピー)またはトリソミー(3つのコピー)のいずれかをもたらす。そのような事象は、明らかな胎児死亡をもたらさない場合、典型的には症候群として認識されることが多い様々な疾患、例えば、21トリソミーおよびダウン症候群、18トリソミーおよびエドワーズ症候群、ならびに13トリソミーおよびパトー症候群を引き起こす。染色体の一部に影響を及ぼす構造的染色体異常は、染色体の破壊に起因して生じ、遺伝物質の大きな塊の欠失、反転、転座または重複をもたらす。これらの事象は、全染色体の獲得または喪失と同じくらい壊滅的であることが多く、プラダー・ウィリ症候群(del15q11-13)、網膜芽細胞腫(del13ql4)、ネコ鳴き症候群(del5p)、および参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,888,740号に列挙される他の疾患等の疾患を引き起こす。
【0005】
重大な染色体異常は、生児出生140件のうちほぼ1件に検出され、臨月に達していないもしくは死産の胎児でははるかに高い割合で検出される。Hsu(1998)Prenatal diagnosis of chromosomal abnormalities through amniocentesis.In:Milunsky A,editor.Genetic Disorders and the Fetus.4 ed.Baltimore:The Johns Hopkins University Press.179-180;Staebler et al.(2005)“Should determination of the karyotype be systematic for all malformations detected by obstetrical ultrasound?”Prenat Diagn 25:567-573.最も一般的な異数性は21トリソミー(ダウン症候群)であり、現在、出生730件のうち1件に発生している。Hsu;Staebler et al。21トリソミーほど一般的ではないが、18トリソミー(エドワーズ症候群)および13トリソミー(パトー症候群)は、それぞれ、生児出生5,500件に1件および17,200件に1件発生している。Hsu。多種多様な先天性欠損症、発育不全、および知的障害が染色体異数性を有する小児に見られ、これらは家族および社会に生涯にわたる課題を提示している。Jones(2006)Smith’s recognizable patterns of human malformation.Philadelphia:Elsevier Saunders.羊水穿刺または絨毛採取等の侵襲的診断検査を含む、胎児異数性のリスクが高いことを示し得る様々な出生前検査が存在し、これらは現在のゴールドスタンダードであるが、無視できないほどの胎児消失のリスクを伴う。American College of Obstetricians and Gynecologists(2007)ACOG Practice Bulletin No.88,December 2007.Invasive prenatal testing for aneuploidy.Obstet Gynecol 110:1459-1467.したがって、胎児異数性に関するより信頼性の高い、非侵襲的検査が長い間求められてきた。これらのうち最も有望な検査は、母体血漿中の胎児DNAの検出に基づいている。母体血漿から生成されたライブラリーの超並列シーケンシングが21番染色体の異常を確実に検出することができることが実証されている。例えば、Chiu et al.,Noninvasive prenatal diagnosis of fetal chromosomal aneuploidy by massively parallel genomic sequencing of DNA in maternal plasma.Proc Natl Acad Sci USA 105:20458-20463(2008)、Fan et al.,Noninvasive diagnosis of fetal aneuploidy by shotgun sequencing DNA from maternal blood.Proc Natl Acad Sci USA 105:16266-16271(2008)を参照されたい。また、米国特許第7,888,017号も参照されたい。
【0006】
次世代シーケンシング(NGS)に依存する、分子数の変動を定量化するための現在の方法、例えば、異数性スクリーニングの実施は、時間がかかり、費用が高く、広範囲にわたる生物情報学的分析を必要とすることが多い。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、試料中に存在し得る特定の分子(例えば、小分子、ハプテン、タンパク質、抗体、脂質、炭水化物、および核酸、例えば、遺伝子あるいは他のDNA分子または断片、および/もしくはRNA、例えば、メッセンジャーRNA、マイクロRNAおよび他の非コードRNA)を計数することによって試料を検出するおよび特徴付けるための組成物、方法、およびシステムを提供する。本技術は、例えば、遺伝子発現の監視、非コードRNA存在量の測定、および、例えば、異数性等の遺伝子量の変化を含むがこれに限定されない遺伝的変異の分析に用途を見出す。好ましい実施形態において、本技術は、上述のChiuらおよびFanらによって記載されるもの等の「次世代」シーケンシング(NGS)、または異なる物理的離散要素、例えば、微小血管もしくはエマルジョン液滴における個々の標的分子の増幅反応を区別することに依存する単一分子増幅技術を用いることなく、核酸を含む標的分子の単一コピーを検出し、したがって計数するための方法を提供する。
【0008】
一般的に、これらの組成物、方法、およびシステムは、完全な染色体、染色体のアーム、顕微鏡的欠失および重複、超顕微鏡的欠失および重複を含む様々なサイズのゲノム欠失および重複、ならびに一塩基多型、欠失、および挿入を含む単一のヌクレオチドの特徴を検出するための改善された手段を提供する。特定の実施形態において、本開示の方法は、サブ染色体の遺伝的損傷、例えば、微小欠失を検出するために使用することができる。本方法の例示的な用途として、小児および出生前の異数性診断、受胎産物または早期流産リスクの検査、非侵襲的出生前検査(定性的および定量的両方の遺伝子検査、例えば、メンデル病、挿入/欠失、ならびに染色体不均衡の検出等)、着床前遺伝子検査、腫瘍の特徴付け、細胞遺伝学を含む出生後検査、ならびに突然変異原による影響のモニタリングが挙げられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書の技術は、核酸、好ましくはDNA、より好ましくは血液または血漿由来の循環無細胞DNAを、配列特異的かつ定量的な様式で特徴付けるための方法を提供する。好ましい実施形態において、ポリメラーゼ連鎖反応またはDNA塩基配列決定法を用いることなく、DNAの単一コピーが検出および計数される。本技術の実施形態は、試料中の標的DNAの存在を示すシグナルを増幅させるための方法を使用して、標的DNAを検出するための方法、組成物、およびシステムを提供する。好ましい実施形態において、単一の標的分子から検出可能なシグナルは、他の標的および標的分子の他のコピーからのシグナルから独立して、単一の標的分子に由来するシグナルが検出可能かつ同定可能な程度まで、およびそのような様式で増幅される。
【0010】
いくつかの実施形態において、本技術は、固体支持体上の標的分子を計数するための方法であって、環状化核酸プローブにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む少なくとも1つの複合体を形成することであって、プライマーは固体支持体に結合している、形成することと、i)ローリングサークル増幅(RCA)反応において複合体中のプライマーを伸長させてRCA産物を形成することと、ii)複数の標識プローブをRCA産物とハイブリダイズさせることと、iii)ハイブリダイズした標識プローブを検出することと、を含むプロセスにおいて、少なくとも1つの複合体の形成を検出することと、を含み、ハイブリダイズした標識プローブは、固体支持体上の標的分子の存在を示す、方法を提供する。いくつかの実施形態において、固体支持体はシラン処理表面、好ましくはガラスを含む表面を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、本技術は、固体支持体上の標的分子を計数するための方法であって、a)アクリル基および反応性アミン基のうちの少なくとも1つを含むシラン処理表面を提供することと、b)ガラス表面上に複数の複合体を形成することであって、複数の複合体は、複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物、および複数の鎖状体化された標識足場オリゴヌクレオチドを含む二本鎖足場産物のうちの少なくとも1つを含み、複合体の形成は、ガラス表面上の標的分子の存在を示し、当該複数の複合体を形成することは、酸化グラフェンを含む溶液にガラス表面を曝露することを含む、形成することと、c)複数の複合体を計数することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、シラン処理表面はガラスである。特定の好ましい実施形態において、シラン処理表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理した表面を含む。
【0012】
表面は、任意の特定の形態に限定されない。例えば、上記の実施形態のいずれかにおいて、固体支持体は、アッセイプレート、好ましくはガラス底アッセイプレート内の表面を含み得る。いくつかの実施形態において、アッセイプレートは、マルチウェルアッセイプレート、好ましくはマイクロタイタープレートである。
【0013】
本技術のいくつかの実施形態において、上記の実施形態のいずれかのプライマーは、固体支持体に直接結合しており、好ましくは固体支持体に共有結合的に結合している。例えば、いくつかの実施形態において、プライマーはビオチン部分を含み、固体支持体はアビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む。特定の実施形態において、単数または複数の複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含み、いくつかの実施形態において、複合体は、固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む。特定の実施形態において、抗原またはハプテンは、固体支持体に共有結合的に付着している。
【0014】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、単数または複数の複合体を形成することは、クラウディング剤を含む溶液に固体支持体を曝露することを含み得る。いくつかの実施形態において、クラウディング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む。特定の好ましい実施形態において、PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する。
【0015】
上記の実施形態のいずれかにおいて、単数または複数の複合体を形成することは、酸化グラフェンを含む溶液に固体支持体を曝露するステップを含むことを含み得る。好ましい実施形態において、固体支持体は、ハイブリダイズした標識プローブを検出するステップの前に酸化グラフェンに曝露される。特に好ましい実施形態において、固体支持体は、標識プローブと酸化グラフェンとの混合物を含む溶液に曝露される。いくつかの実施形態において、酸化グラフェンを含む溶液に曝露される固体支持体またはガラス表面は、検出または計数の前に界面活性剤を含む溶液で洗浄される。特定の好ましい実施形態において、界面活性剤はTween20を含む。
【0016】
本技術は、例えば、図38に概略的に図示されるような分子を含む多くの異なる種類の分子の検出に使用される。いくつかの実施形態において、標的分子は、核酸、好ましくは対象由来の試料、好ましくは血液試料または血液製剤試料からのDNAを含む。特定の好ましい実施形態において、DNAは、血液試料または血液製剤試料からの無細胞DNAである。いくつかの実施形態において、無細胞DNAは、母体血試料からの母体DNAおよび/または胎児DNAを含む。
【0017】
本明細書で上述した実施形態のいずれかは、反応混合物中で環状化核酸プローブ上にプライマーを伸長させることを含むプロセスにおいてRCA産物を形成することを含んでもよく、反応混合物は、少なくとも0.2ユニット/μL、好ましくは少なくとも0.8ユニット/μLのPhi29DNAポリメラーゼと、少なくとも400μM、好ましくは少なくとも600μM、より好ましくは全部で少なくとも800μMのdNTPと、を含む。いくつかの実施形態において、複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物を形成することは、反応混合物中に100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは反応混合物中に少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含むRCA産物を形成することを含む。
【0018】
本明細書で提供される技術の特定の実施形態において、標識プローブにハイブリダイズした複数のRCA産物は、固体支持体上に分散して固定化され、複数のRCA産物の少なくとも一部は、標識の検出によって個々に検出可能である。いくつかの実施形態において、RCA産物の分散は不規則であり、いくつかの実施形態において、RCA産物の分散はアドレス可能なアレイ内である。
【0019】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、表面に固定化された複合体は、少なくとも1つのポリペプチド、例えば、抗体を含んでもよく、かつ/または、複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の技術の少なくとも1つの標識プローブは蛍光標識を含み、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの標識プローブはクエンチャー部分を含む。特定の好ましい実施形態において、少なくとも1つの標識プローブはフルオロフォアおよびクエンチャー部分を含む。好ましい実施形態において、少なくとも1つの標識プローブは分子ビーコンプローブである。
【0021】
本技術のいくつかの実施形態において、複数のRCA産物は、全てが同じ標識を含む標識プローブにハイブリダイズされ、いくつかの実施形態において、複数のRCA産物は、2つ以上の異なる標識、好ましくは2つ以上の異なる蛍光色素を含む標識プローブにハイブリダイズされる。
【0022】
本技術の実施形態は、表面に結合した複合体を検出または計数する任意の特定の手段に限定されない。いくつかの実施形態において、検出することまたは計数することは、蛍光を検出することを含む。特定の好ましい実施形態において、検出することまたは計数することは蛍光顕微鏡観察を含み、いくつかの実施形態において、検出することまたは計数することはフローサイトメトリーを含む。
【0023】
本技術のいくつかの実施形態において、RCA産物を形成することは、反応混合物を少なくとも37度で、好ましくは少なくとも42度で、好ましくは少なくとも45℃でインキュベートすることを含む。特定の実施形態において、反応混合物は、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGを含む。
【0024】
本技術はまた、本方法の実施に関する組成物も提供する。いくつかの実施形態において、本技術は、それぞれが環状化核酸プローブにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む複数の複合体に結合したシラン処理表面を含む組成物であって、プライマーは固体支持体に結合し、反応混合物は、少なくとも0.2ユニット/μL、好ましくは少なくとも0.8ユニット/μLのPhi29DNAポリメラーゼと、緩衝液と、少なくとも400μM、好ましくは少なくとも600μM、より好ましくは全部で少なくとも800μMのdNTPと、PEG、好ましくは少なくとも2~10%(w:v)、好ましくは少なくとも12%、好ましくは少なくとも14%、好ましくは少なくとも16%、好ましくは少なくとも18%~20%のPEGと、を含む、組成物を提供する。いくつかの実施形態において、PEGは、200~8000、好ましくは200~1000、好ましくは400~800、好ましくは600の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、反応混合物は、少なくとも100nMの分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む。
【0025】
本組成物のいくつかの実施形態において、プライマーは、不規則に分散して固体支持体に結合し、いくつかの実施形態において、プライマーは、アドレス可能なアレイ内で固体支持体に結合している。特定の実施形態において、プライマーは、固体支持体に共有結合的に結合し、いくつかの実施形態において、プライマーはビオチン部分を含み、固体支持体はアビジン、好ましくはストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態において、複合体は、抗原またはハプテンに結合した抗体を含み、いくつかの実施形態において、複合体は、固体支持体に直接結合した抗原またはハプテンを含む。いくつかの実施形態において、抗原またはハプテンは、固体支持体に共有結合的に付着している。
【0026】
本明細書の組成物のいくつかの実施形態において、複合体は少なくとも1つのポリペプチドを含む。いくつかの好ましい実施形態において、少なくとも1つのポリペプチドは抗体を含む。いくつかの実施形態において、複合体は、へプタン、レクチン、および脂質から選択される少なくとも1つの特異的に結合可能な分子を含む。
【0027】
上記の組成物の実施形態は、それぞれが複数のハイブリダイズした標識プローブを含むRCA産物を含む複数の複合体に結合したシラン処理表面と、酸化グラフェンを含む溶液と、を含み得る。いくつかの実施形態において、シラン処理表面はガラスである。いくつかの好ましい実施形態において、シラン処理表面は、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理した表面、好ましくはガラス表面を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、酸化グラフェンを含む溶液は、分子ビーコンプローブ、好ましくは100nM超の分子ビーコンプローブ、好ましくは少なくとも1000nMの分子ビーコンプローブをさらに含む。
【0029】
本組成物のいくつかの実施形態において、酸化グラフェンを含む溶液は、MgClを含む緩衝液を含む。特定の実施形態において、MgClを含む緩衝液は、Phi29DNAポリメラーゼ緩衝液である。
【0030】
本明細書で提供される技術は、任意の特定の使用または用途に限定されない。いくつかの実施形態において、本技術は、好ましくは非侵襲的出生前検査との関連で、染色体異常、例えば異数性の分析における使用に見られる。例えば、本技術の用途のいくつかの実施形態は、母体および胎児の両方の遺伝物質を含む母体試料を得ることと、および複数の標的核酸を測定することと、を含み、標的核酸は、第1染色体に関連する特定の配列を含み、第1染色体は、胎児物質において変異している(例えば、遺伝子量または染色体数において)疑いがあり、標的核酸は、胎児物質において変異している疑いのない第2の染色体に関連する特定の配列をさらに含む。本方法は、試料中の第1染色体に関連する標的核酸の量および第2染色体に関連する標的核酸の量を分析し、胎児の染色体または遺伝子量の変異を示すために、第1染色体に関連する標的核酸の量が第2染色体に関連する標的核酸の量とは十分に異なるかどうかを決定することを含む。好ましい実施形態において、第1および第2染色体に関連する標的核酸は、母体および胎児の両方の遺伝物質に存在し、アッセイがどちらか一方に特異的ではない母体および胎児の核酸である。好ましい実施形態において、母体試料は、母体血からの無細胞DNAである。胎児DNAが母体試料中の全DNAのごく一部である場合に胎児DNAの異常を決定することを含む、試料中のDNA量の測定に基づいて染色体異常を分析するための統計的方法は、当該技術分野で既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,100,029号を参照されたい。
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する:
文脈上明らかに別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、以下の用語は本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。本明細書で使用される場合、「一実施形態において」という語句は、同じ実施形態を指す場合があるが、必ずしもそうであるとは限らない。さらに、本明細書で使用される場合、「別の実施形態において」という語句は、異なる実施形態を指す場合があるが、必ずしもそうであるとは限らない。したがって、以下に説明するように、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、本発明の様々な実施形態を容易に組み合わせることができる。
【0031】
さらに、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的な「or」演算子であり、文脈上明らかに別段の指示がない限り、「および/または」という用語と同等である。「~に基づく」という用語は排他的なものではなく、文脈上明らかに別段の指示がない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」、および「the」の意味は、複数の指示対象を含む。
「中に」の意味には、「中に」および「上に」が含まれる。
【0032】
本出願の特許請求の範囲で使用される場合、「~から本質的になる」という移行句は、In re Herz,537F.2d549,551-52,190USPQ461,463(CCPA1976)において論じられるように、特許請求の範囲を、特定の材料またはステップ、および特許請求される発明の「基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないもの」に限定する。例えば、列挙される要素「から本質的になる」組成物は、存在するが、純粋な組成物、すなわち、列挙される構成要素「からなる」組成物と比較して汚染物質が列挙される組成物の機能を変化させないようなレベルで列挙されていない汚染物質を含み得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、植物、微生物および動物(例えば、イヌ、ネコ、家畜、およびヒト等の哺乳動物)を含む任意の生物を指す。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲における「試料」という用語は、その最も広い意味で使用される。一方では、それは、検体または培養物(例えば、微生物学的培養物)を含むことを意味する。他方では、それは生体試料と環境試料の両方を含むことを意味する。試料は、合成起源の検体を含み得る。生体試料は、ヒトを含む動物、流体、固体(例えば、糞便)または組織だけではなく、乳製品、野菜、肉および肉副産物等の液体および固体の食品および飼料製品および材料、ならびに廃棄物であり得る。生体試料は、様々な科の全ての家畜だけではなく、限定されないが、有蹄動物、クマ、魚、ウサギ、げっ歯類等の動物を含む、野生化動物または野生動物から得ることができる。
【0035】
環境試料は、表層物質、土壌、水等の環境物質および産業試料、ならびに食品および乳製品の加工機器、装置、設備、器具、使い捨ておよび非使い捨て物品から得られる試料を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、評価、測定、または他の特徴付けのために他の分子から選別されることが求められる分子を指す。例えば、標的核酸は、例えば、プローブ結合、増幅、単離、捕捉等によって試料中の他の核酸から選別することができる。ハイブリダイゼーションに基づく検出、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に関して使用される場合、「標的」は、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるプライマーによって結合される核酸の領域を指し、標的DNAが増幅されないアッセイ、例えば、分子反転プローブ(MIPS)による捕捉において使用される場合、MIPをライゲーションすることができ、標的核酸の存在を検出することができるように、標的はMIPの標的特異的アームのハイブリダイゼーションによって境界される部位を含む。
【0037】
「標的核酸の供給源」という用語は、核酸(RNAまたはDNA)を含む任意の試料を指す。標的核酸の特に好ましい供給源は、血液、血漿、血清、唾液、尿、糞便、胃腸液、脳脊髄液、胸膜液、乳汁、リンパ液、痰、および精液を含むがこれらに限定されない生体試料である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「遺伝子量」という用語は、遺伝子、遺伝子領域、染色体、またはそれらの断片もしくは部分のコピー数を指す。正常な個体は、ほとんどの遺伝子または遺伝子領域の2つのコピーを、2つの染色体のそれぞれに1つずつ有する。しかしながら、例えば、遺伝子または遺伝子領域がXもしくはY染色体上にある場合、または遺伝子配列が偽遺伝子に存在する場合の特定の例外がある。
【0039】
本明細書で使用される場合、「異数性」という用語は、細胞、組織、または個体が、正常な正倍数性の染色体の補体がないか、またはそれに加えて、1つ以上の染色体全体または染色体のセグメントを有する状態を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、所与のアッセイ(または一緒に使用されるアッセイのセット)の「感度」は、変異表現型(例えば、癌細胞、異数性)を示す試料と正常もしくは野生型表現型(例えば、非癌性、正倍数性)を示す試料とを区別する閾値を超える、特定の形態または変異、例えば、突然変異遺伝子重複、染色体重複を報告する試料のパーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、「陽性」は、検出される疾患または状態の存在に関連するアッセイ結果を報告する臨床的に確認された変異として定義され、偽陰性は、疾患または状態の欠如に関連するアッセイ結果を報告する臨床的に確認された変異として定義される。したがって、感度の値は、既知の変異または疾患の試料に対して実施された所与の診断アッセイが、変動または疾患の存在を示す結果をもたらす確率を反映する。
ここで定義されているように、計算された感度値の臨床的関連性は、所与のアッセイが臨床状態を有する対象に適用されたときにその状態の存在を検出する確率の推定を表す。本明細書に記載される技術を使用すると、シーケンスリードを生成する必要なく、特定のレベルの精度を達成することが可能であり得る。精度は、感度を指す場合があり、特異性を指す場合があるか、またはそれらのいくつかの組み合わせを指す場合がある。所望の精度のレベルは90%~95%であり、95%~98%であってもよく、98%~99%であってもよく、99%~99.5%であってもよく、99.5%~99.9%であってもよく、99.9%~99.99%であってもよく、99.99%~99.999%であってもよく、99.999%~100%であってもよい。95%を超える精度のレベルは、高精度と称される場合がある。
【0041】
本明細書で使用される場合、所与のアッセイ(または一緒に使用されるアッセイのセット)の「特異性」は、検出される疾患または状態の存在に関連するアッセイ結果を報告する正常な試料のパーセンテージを指し、偽陽性は疾患または状態の存在に関連するアッセイ結果を報告する臨床的に確認された正常な試料として定義される。したがって、特異性の値は、既知の正常な試料に対して実施された所与の診断アッセイが、変動または疾患の存在を示す結果をもたらす確率を反映する。ここで定義されているように、計算された特異度値の臨床的関連性は、所与のマーカーが臨床状態を有しない対象に適用されたときにその状態がないことを検出する確率の推定を表す。
【0042】
「遺伝子」という用語は、非コード機能を有するRNA(例えば、リボソームRNAまたはトランスファーRNA)、ポリペプチドまたは前駆体の生成のために必要な制御およびコード配列を含むDNA配列を指す。RNAまたはポリペプチドは、所望の活性または機能が保持される限り、完全長コード配列によって、またはコード配列の任意の部分によってコードされ得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「遺伝子領域」という用語は、遺伝子、そのエクソン、そのイントロン、ならびに上流および下流でそれに隣接するその領域、例えば、それぞれ転写開始部位および転写終止部位の5~10キロベースの5’および3’を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「遺伝子配列」という用語は、遺伝子、そのイントロン、および上流および下流でそれに隣接するその領域の配列、例えば、それぞれ転写開始部位および転写停止部位の5~10キロベースの5’および3’を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「染色体特異的」という用語は、その特定の種類の染色体にのみ見られる配列を指す。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、相補的核酸の対形成に関して使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強さ(すなわち、核酸間の会合の強さ)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、および形成されたハイブリッドのT等のかかる要因によって影響を受ける。「ハイブリダイゼーション」の方法は、ある核酸を別の相補的核酸、すなわち相補的ヌクレオチド配列を有する核酸にアニーリングすることを含む。相補配列を含む核酸の2つのポリマーが互いを見つけて、塩基対形成相互作用を介してアニーリングする能力は、十分に認識されている現象である。Marmur and Lane,Proc.Natl.Acad.Sci.USA46:453(1960)およびDoty et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA46:461(1960)による「ハイブリダイゼーション」プロセスが最初に観察されてから、このプロセスは洗練され、現代生物学の不可欠なツールとなっている。
【0047】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2個以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは少なくとも5個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10~15個のヌクレオチド、およびより好ましくは少なくとも約15~30個のヌクレオチドを含む分子として定義される。正確なサイズは、多くの要因に依存し、それらもまたオリゴヌクレオチドの最終的な機能または使用に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCR、またはそれらの組み合わせを含む任意の様式で生成され得る。
【0048】
モノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向にその隣接する3’酸素に付着するような様式でオリゴヌクレオチドを作製するように反応させられるため、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に結合されていない場合は「5’末端」と称され、その3’酸素が後続のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に結合され
ていない場合は「3’末端」と称される。本明細書で使用される場合、核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドに対して内部であっても、5’末端および3’末端を有すると言うことができる。核酸鎖に沿った第1の領域は、核酸の鎖に沿って5’から3’の方向
に移動させたときに、第1の領域の3’末端が第2の領域の5′末端より前にある場合、別の領域の上流にあると言われる。
【0049】
2つの異なる非重複オリゴヌクレオチドが同じ直鎖状相補的核酸配列の異なる領域にアニーリングし、一方のオリゴヌクレオチドの3’末端が他方の5’末端に向いている場合、前者は「上流」オリゴヌクレオチドと称されてもよく、後者は「下流」オリゴヌクレオ
チドと称されてもよい。同様に、2つの重複するオリゴヌクレオチドが同じ直鎖状相補的核酸配列とハイブリダイズし、第1のオリゴヌクレオチドが、その5’末端が第2のオリゴヌクレオチドの5’末端の上流にあり、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が第2のオリゴヌクレオチドの3’末端の上流にあるように配置される場合、第1のオリゴヌクレ
オチドは「上流」オリゴヌクレオチドと称されてもよく、第2のオリゴヌクレオチドは「下流」オリゴヌクレオチドと称されてもよい。
【0050】
「プライマー」という用語は、例えばヌクレオチドおよび適切な核酸ポリメラーゼの存在下で、プライマー伸長が開始される条件下に置かれた場合に、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、天然に存在してもよいか、分子生物学的方法、例えば制限消化物の精製を使用して作製されてもよいか、または合成的に生成されてもよい。好ましい実施形態において、プライマーは、DNAから構成されるか、またはDNAを含む。
【0051】
プライマーは、鋳型の特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。
プライマー伸長が起こるためには、プライマーは鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片が、プライマーの5’末端に付着され、プライマー配列の残りの部分が鎖と実質的に相補的であってもよい。プライマー配列が、ハイブリダイズし、それによりプライマーの伸長産物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するために鋳型の配列と十分な相補性を有する限り、非相補的塩基またはより長い配列をプライマーに散在させることができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「配列変化」という用語は、2つの核酸間の核酸配列の違いを指す。例えば、野生型構造遺伝子およびこの野生型構造遺伝子の変異型は、単一塩基置換および/または1つ以上のヌクレオチドの欠失または挿入の存在により、配列が異なり得る。構造遺伝子のこれらの2つの形式は、互いに順序が異なると言われている。構造遺伝子の第2の変異型が存在し得る。この第2の変異型は、野生型遺伝子および遺伝子の第1の変異型の両方とは配列が異なると言われている。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド類似体」という用語は、7-デアザプリン(すなわち、7-デアザ-dATPおよび7-デアザ-dGTP)等の変更されたスタッキング相互作用を有する類似体;代替の水素結合構成を有する塩基類似体(例えば、S.Bennerの米国特許第6,001,983号に記載されているIso-CおよびIso-Gならびに他の非標準塩基対等);非水素結合類似体(例えば、B.A.Schweitzer and E.T.Kool,J.Org.Chem.,1994,59,7238-7242,B.A.Schweitzer and E.T.Kool,J.Am.Chem.Soc.,1995,117,1863-1872によって記載されるような2,4-ジフルオロトルエン等の非極性芳香族ヌクレオシド類似体);5-ニトロインドールおよび3-ニトロピロール等の「普遍的」塩基;ならびに普遍的プリンおよびピリミジン(例えば、それぞれ「K」および「P」ヌクレオチド;P.Kong,et al.,Nucleic Acids Res.,1989,17,10373-10383,P.Kong et al.,Nucleic Acids Res.,1992,20,5149-5152)を含むがこれらに限定されない修飾または非天然ヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、塩基類似体を含み、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの修飾形態を含み、限定されないが、そのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,432,272号、同第6,001,983号、同第6,037,120号、同第6,140,496号、同第5,912,340号、同第6,127,121号、および同第6,143,877号に記載される修飾塩基およびヌクレオチド;プリンまたはピリミジン環系に基づく複素環式塩基類似体、および他の複素環式塩基を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「核酸の連続鎖」という用語は、ニックまたは他の破壊のない、連続して共有結合的に結合した骨格構造を有する核酸鎖を意味する。各ヌクレオチドの塩基部分の配置は、塩基対、一本鎖、またはミスマッチであっても、連続鎖の定義における要素ではない。連続鎖の骨格は、天然に存在する未修飾の核酸に見られるリボース-リン酸またはデオキシリボース-リン酸組成物に限定されない。本発明の核酸は、限定されないが、ホスホロチオエート残基、ホスホネート残基、2’置換リボース残基(例えば、2’-O-メチルリボース)、および代替糖(例えば、アラビノース)含有残基を含む骨格の構造における修飾を含み得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「連続する二重鎖」という用語は、二重鎖内の塩基対の進行において分断がない(すなわち、二重鎖に沿った塩基対が、連続する二重鎖の領域の範囲内でギャップ、バルジ、またはミスマッチに対応するように歪められていない)二本鎖核酸の領域を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、核酸鎖の骨格部分の連続性を意味することなく、二重鎖内の塩基対の配置のみを指す。中断されていない塩基対合を有するが、一方または両方の鎖にニックを有する二重鎖核酸は、連続する二重鎖の定義の範囲内である。
【0056】
「二重鎖」という用語は、一方の鎖上のヌクレオチドの塩基部分が、水素結合を介して第2の鎖上に配列されたそれらの相補的塩基に結合している核酸の状態を指す。二重鎖形態であることの条件は、核酸の塩基の状態を反映する。塩基対合により、核酸の鎖はまた、一般的に、主溝および副溝を有する、二重らせんの三次構造を取る。らせん形を取るということは、二重鎖化されるという動作に潜在的に含まれている。
【0057】
「鋳型」という用語は、相補的なコピーが鋳型依存性核酸ポリメラーゼの活性を介してヌクレオシド三リン酸から構築される核酸鎖を指す。二重鎖内では、鋳型鎖は、慣例により、「下側の」鎖として図示および記載される。同様に、非鋳型鎖は、「上側の」鎖として図示および記載されることが多い。
【0058】
ポリヌクレオチドに適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、ポリヌクレオチドが、少なくとも20個のヌクレオチドの位置の比較ウィンドウにわたって、しばしば少なくとも25~50個のヌクレオチドのウィンドウにわたって参照配列と比較した場合に、少なくとも85パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも90~95パーセントの配列同一性、さらに通常は、少なくとも99パーセントの配列同一性を有する配列を含み、配列同一性のパーセンテージが、比較ウィンドウにわたって参照配列の全体の20%またはそれ未満である欠失または付加を含み得るポリヌクレオチド配列と参照配列とを比較することによって計算される、ポリヌクレオチド配列の特徴を示す。参照配列は、例えば、完全長配列のスプライスバリアントとして、より大きな配列のサブセットであってもよい。
【0059】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、デフォルトのギャップウェイトを使用するプログラムGAPまたはBESTFIT等によって最適にアラインされたときに、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも90パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセントの配列同一性またはそれ以上(例えば、99パーセントの配列同一性)を共有する2つのペプチド配列を意味する。好ましくは、同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。保存的アミノ酸置換は、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸基は、セリンおよびスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸基は、アスパラギンおよびグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸基は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸基は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸基は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は:バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「標識」という用語は、検出可能な(好ましくは定量化可能な)効果を提供するために使用でき、核酸またはタンパク質に付着することができる任意の原子または分子を指す。標識は、限定されないが、色素;32P等の放射性標識;ビオチン等の結合部分;ジゴキシゲニン等のハプテン;発光性、リン光性または蛍光発生部分;質量タグ;および単独で、または蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による発光スペクトルを抑制する(「消光する」)もしくはシフトすることができる部分と組み合わせた蛍光色素を含む。FRETは、電子励起状態の2つの分子(例えば、2つの色素分子、または色素分子と非蛍光クエンチャー分子)間の距離依存性の相互作用であり、光子が放出されることなく、励起がドナー分子からアクセプター分子に移動される。(Stryer et al.,1978,Ann.Rev.Biochem.,47:819;Selvin,1995,Methods Enzymol.,246:300、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書で使用される場合、「ドナー」という用語は、第1の波長で吸収し、第2のより長い波長で発光するフルオロフォアを指す。「アクセプター」という用語は、ドナーの発光スペクトルと重複する吸収スペクトルを有し、ドナー基の付近にあるとき(典型的には1~100nm)、ドナーから放出されたエネルギーのいくらかまたはほとんどを吸収することができる、フルオロフォア、発色団、またはクエンチャー等の部分を指す。アクセプターがフルオロフォアである場合、それは一般に、第3のさらに長い波長で再発光し、それが発色団またはクエンチャーである場合、光子が放出されることなく、ドナーから吸収されたエネルギーを放出する。いくつかの実施形態において、ドナー色素からの検出可能な発光の変化(例えば、アクセプター部分が近いかまたは離れている場合)が検出される。いくつかの実施形態において、アクセプター色素からの検出可能な発光の変化が検出される。好ましい実施形態において、色素からの発光を互いと区別する(例えば、スペクトル分解する)ことができるように、アクセプター色素の発光スペクトルはドナー色素の発光スペクトルとは異なる。
【0061】
いくつかの実施形態において、ドナー色素は、複数のアクセプター部分と組み合わせて使用される。好ましい実施形態において、ドナー色素は非蛍光クエンチャーおよびアクセプター色素と組み合わせて使用され、それにより、ドナー色素がクエンチャーの付近にある場合、その励起はアクセプター色素ではなくクエンチャーに移動され、(例えば、プローブの切断により)クエンチャーが除去されると、ドナー色素の励起がアクセプター色素に移動される。特に好ましい実施形態において、アクセプター色素からの発光が検出される。例えば、参照により本明細書に組み込まれるTyagi,et al.,Nature Biotechnology 18:1191(2000)を参照のこと。
【0062】
標識は、蛍光(例えば、単純な蛍光、FRET、時間分解蛍光、蛍光偏光等)、放射線、比色分析、重量測定、X線回折または吸収、磁性、酵素活性、質量の特徴または質量によって影響を及ぼされる挙動(例えば、MALDI飛行時間型質量分析)等によって検出可能なシグナルを提供し得る。標識は、荷電部分(正または負の電荷)であってもよいか、または代替として電荷中性であってもよい。標識は、標識を含む配列が検出可能である限り、核酸またはタンパク質配列を含むことができるか、またはそれらからなり得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、標識は、検出のための粒子を含む。好ましい実施形態において、粒子は蛍光体粒子である。特に好ましい実施形態において、蛍光体粒子は、アップコンバーティング蛍光体粒子である(例えば、Ostermayer,F.W.Preparation and properties of infrared-to-visible conversion phosphors.Metall.Trans.752、747-755[1971]を参照のこと)。いくつかの実施形態において、希土類でドープしたセラミック粒子が蛍光体粒子として使用される。蛍光体粒子は、限定されないが、アップコンバーティング蛍光体が低エネルギー赤外線(IR)放射を高エネルギー可視光に変換するアップコンバーティング蛍光体技術(UPT)を含む任意の適切な方法によって検出され得る。本発明は任意の特定の機構に限定されないが、いくつかの実施形態において、UPTは、多光子吸収およびその後のドーパント依存性リン光の放出によって赤外光を可視光にアップコンバートする。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Zarlingらに2002年6月4日に発行された米国特許第6,399,397号;van De Rijke、et al.,Nature Biotechnol.19(3):273-6[2001];Corstjens,et al.,IEE Proc.Nanobiotechnol.152(2):64[2005]を参照のこと。
【0064】
本明細書で使用する場合、「固体支持体」または「支持体」という用語は、別の材料を付着することができる固体または半固体構造を提供する任意の材料を指す。そのような材料は、平滑な支持体(例えば、平滑な金属、ガラス、石英、プラスチック、シリコン、ウエハー、炭素(例えば、ダイヤモンド)、およびセラミック表面等)、ならびにテクスチャ加工した材料および多孔質材料を含む。そのような材料はまた、限定されないが、ゲル、ゴム、ポリマー、および他の非剛性材料も含む。固体支持体は平らである必要はない。
支持体は、球形(例えば、ビーズ)を含む任意の種類の形状を含む。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ビーズ」という用語は、溶液中にあるときに動き回ることができる小さな固体支持体を指す(例えば、それは、溶液が存在する囲いまたは容器の寸法よりも小さい寸法を有する)。いくつかの実施形態において、(例えば、振とう、熱混合、ボルテックスにより)溶液が混合されない場合、ビーズは溶液から沈降し得るが、他の実施形態において、ビーズは溶液中にコロイド状に懸濁され得る。いくつかの実施形態において、ビーズは完全にまたは部分的に球形または円筒形である。しかしながら、ビーズは任意の特定の三次元形状に限定されない。
【0066】
固体支持体に付着する材料は、固体支持体の任意の部分に付着することができる(例えば、多孔性固体支持体材料の内部に、もしくは外部に、またはそうでなければ平坦でない支持体の平坦部分に、またはその逆で付着することができる)。本技術の好ましい実施形態において、核酸またはタンパク質分子等の生体分子が固体支持体に付着される。生体物質は、それが化学的または物理的相互作用を介して固体支持体に固定されている場合、固体支持体に「付着」している。いくつかの実施形態において、付着は共有結合による。しかしながら、付着は共有結合的である必要はなく、恒久的である必要もない。いくつかの実施形態において、付着は、条件の変化によって、例えば温度、イオン変化、キレート剤の添加もしくは除去、または表面および結合分子が曝される溶液条件における他の変化によって取り消すまたは解離することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、標的分子、例えば、生体物質は、「スペーサー分子」または「リンカー基」を介して固体支持体に付着される。そのようなスペーサー分子は、生体物質に付着する第1の部分と、固体支持体に付着する第2の部分とを有する分子である。スペーサー分子は、典型的には、原子の鎖、例えば、第1の部分と第2の部分との間にさらなる距離を提供する炭素原子を含む。したがって、スペーサー分子は、固体支持体に付着されると、固体支持体と生体物質との間の分離を可能にするが、両方に付着される。
【0068】
本明細書で使用する場合、「アレイ」および「マイクロアレイ」という用語は、例えば、アッセイの結果を決定するために、遺伝子座の分析のためにアドレス可能な複数の事前に定義された遺伝子座を含む表面または容器を指す。アレイ内の遺伝子座での分析は、任意の特定の種類の分析に限定されず、例えば、その遺伝子座での結果を示す原子、分子、化学反応、発光もしくは蛍光発光の検出のための分析、抑制、または変更(たとえば、強度または波長)を含む。事前に定義された遺伝子座の例はグリッドまたは任意の他のパターンを含み、分析される遺伝子座は、アレイパターン内の既知の位置によって決定される。例えば、マイクロアレイは一般に、Schena,“Microarray Biochip Technology,”Eaton Publishing,Natick,MA,2000に概説されている。アレイの例として、限定されないが、表面に(例えば、グリッドまたは他の規則的なパターンで)非ランダムに結合した複数の分子を有する支持体、および分子またはシグナル生成反応が検出され得る複数の定義された反応遺伝子座(例えば、ウェル)を含む容器が挙げられる。いくつかの実施形態において、例えば、SIMOA技術について上述したように、アレイはビーズを受け取るウェルのパターン化された分布を含む。米国特許第9,057,730号、同第9,556,429号、同第9,481,883号、および同第9,376,677号(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0069】
本明細書で使用される場合、固体支持体または表面上の部位に関して使用される「不規則分布」という用語は、非アレイ様式の表面上または表面内における遺伝子座の分布を指す。表面上で分子間に所望のおよその平均距離を提供するが、事前に定義されていないもしくはアドレス可能ではない部位には表面上で任意のパターンを提供する特定の濃度の溶液を適用することにより、または溶液を適用する手段(例えば、インクジェット印刷)により、分子を表面上に不規則に分布させることができる。そのような実施形態において、表面の分析は、シグナルが現れ得るあらゆる場所でシグナルを検出することによって分子の遺伝子座を見つけることを含み得る(例えば、表面全体を走査して表面のどこかで蛍光を検出する)。これは、所定の遺伝子座(例えば、グリッドアレイのポイント)でのみ表面または容器を分析してシグナルを特定し、グリッド内の各遺伝子座に現れるシグナルの量(または種類)を決定することとは対照的である。
【0070】
本明細書で使用される場合、シグナルに関する「別個の」という用語は、例えば、蛍光発光波長、色、吸光度、質量、サイズ、蛍光偏光特性、電荷等のスペクトル特性によって、または化学試薬、酵素、抗体等の別の部分と相互作用する能力によって、互いから区別され得るシグナルを指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「核酸検出アッセイ」という用語は、目的の核酸のヌクレオチド組成を決定する任意の方法を指す。核酸検出アッセイは、限定されないが、DNA塩基配列決定法、プローブハイブリダイゼーション法、構造特異的切断アッセイ(例えば、INVADERアッセイ(Hologic,Inc.)を含み、例えば、米国特許第5,846,717号、同第5,985,557号、同第5,994,069号、同第6,001,567号、同第6,090,543号、および同第6,872,816号;Lyamichev et al.,Nat.Biotech.,17:292(1999)、Hall et al.,PNAS,USA,97:8272(2000)、および米国特許第9,096,893号(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);酵素ミスマッチ切断法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVariagenicsの米国特許第6,110,684号、同第5,958,692号、同第5,851,770号);上記のポリメラーゼ連鎖反応(PCR);分岐ハイブリダイゼーション法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChironの米国特許第5,849,481号、同第5,710,264号、同第5,124,246号、および同第5,624,802号);ローリングサークル増幅(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,210,884号、同第6,183,960号、および同第6,235,502号);「RAM増幅」と称されるローリングサークル増幅のバリエーション(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS5,942,391を参照);NASBA(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,409,818号);分子ビーコン技術(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,150,097号);Eセンサー技術(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるMotorolaの米国特許第6,248,229号、同第6,221,583号、同第6,013,170号、および同第6,063,573号);サイクリングプローブ技術(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,403,711号、同第5,011,769号、および同第5,660,988号);Dade Behringシグナル増幅法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,121,001号、同第6,110,677号、同第5,914,230号、同第5,882,867号、および同第5,792,614号);リガーゼ連鎖反応(例えば、Baranay Proc.Natl.Acad.Sci USA88,189-93(1991));およびサンドイッチハイブリダイゼーション法(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,288,609号)に記載される。
【0072】
いくつかの実施形態において、標的核酸は(例えば、PCRによって)増幅され、増幅された核酸は、侵入切断アッセイを使用して同時に検出される。増幅アッセイと組み合わせて検出アッセイ(例えば、侵入切断アッセイ)を実施するために構成されたアッセイは、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,096,893号に記載されている。QuARTS法と称される付加的増幅と侵入切断検出構成は、例えば、米国特許第8,361,720号、同第8,715,937号、同第8,916,344号、および同第9,212,392号(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。本明細書で使用される場合、「侵入切断構造」という用語は、i)標的核酸、ii)上流核酸(例えば、侵入性または「INVADER」オリゴヌクレオチド)、およびiii)下流核酸(例えば、プローブ)を含む切断構造を指し、上流および下流核酸は標的核酸の連続領域にアニーリングし、上流核酸の3’部分と、下流核酸と標的核酸との間に形成される二重鎖との間に重複が形成される。上流核酸の重複塩基(複数可)が標的核酸と相補的であるかどうかにかかわらず、またそれらの塩基が天然塩基もしくは非天然塩基であるかどうかにかかわらず、上流および下流核酸からの1つ以上の塩基が標的核酸塩基に対して同じ位置を占める場合、重複が発生する。いくつかの実施形態において、下流の二重鎖と重複する上流核酸の3’部分は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,090,543号に開示されるような、芳香環構造等の非塩基化学部分である。
いくつかの実施形態において、核酸の1つ以上が、例えば、核酸ステムループ等の共有結合を介して、または非核酸化学結合(例えば、多炭素鎖)を介して、互いに付着することができる。本明細書で使用される場合、「フラップエンドヌクレアーゼアッセイ」という用語は、上記のように、「INVADER」侵入切断アッセイおよびQuARTSアッセイを含む。
【0073】
本明細書で使用する場合、「デジタルPCR」、「単一分子PCR」および「単一分子増幅」という用語は、単一の開始分子からの増幅産物またはシグナルを提供するように構成されるPCRおよび他の核酸増幅法を指す。典型的には、例えば連続希釈によって、または各部分もしくは希釈物が、ポアソン分布に従って評価された場合に、平均して標的核酸の単一のコピーを超えないように、十分に小さい部分(例えば、マイクロチャンバーまたはエマルジョン)に分割することによって、試料が分割される。単一分子PCRの方法は、例えば、少なくとも1つのチャンバが少なくとも1つの標的を有するように、試料を複数のチャンバに分割すること、および標的を増幅していくつのチャンバが標的分子を有するかを決定することを含む方法に関するUS6,143,496;流体の含有および分割のためのアセンブリに関するUS6,391,559;ならびに、表面親和性によって試料をチャンバに分割し、次いで硬化可能な「置換流体」でチャンバを密封する試料チャンバを有するアセンブリに試料を分割する方法に関するUS7,459,315に記載される。また、US6,440,706およびUS6,753,147、ならびにVogelstein,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.96,pp.9236-9241,August 1999も参照されたい。メチル化検出と組み合わせたデジタルPCRの組み合わせを記載しているUS20080254474も参照されたい。
【0074】
本明細書で使用される場合、「シーケンシング」という用語は、広義で使用され、限定されないが、伸長産物またはベクターインサートの少なくとも一部を含む、核酸の少なくとも一部における少なくともいくつかの連続したヌクレオチドの順序を同定することを可能にする、当該技術分野で既知の任意の技術を指すことができる。いくつかの実施形態において、シーケンシングにより、異なる標的配列間の配列の違いを区別することができる。例示的なシーケンシング技術は、ターゲットシーケンシング、単一分子リアルタイムシーケンシング、電子顕微鏡ベースのシーケンシング、トランジスタ媒介シーケンシング、直接シーケンシング、ランダムショットガンシーケンシング、サンガー・ジデオキシ鎖終結シーケンシング、ターゲットシーケンシング、エクソンシーケンシング、全ゲノムシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、パイロシーケンシング、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動、二重鎖シーケンシング、サイクルシーケンシング、単一塩基伸長シーケンシング、固相シーケンシング、ハイスループットシーケンシング、超並列シグネチャシーケンシング、エマルジョンPCR、より低い変性温度での共増幅-PCR(COLD-PCR)、マルチプレックスPCR、可逆色素ターミネーターによるシーケンシング、ペアエンドシーケンシング、短期シーケンシング、エキソヌクレアーゼシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ショートリードシーケンシング、単一分子配列決定、合成によるシーケンシング、リアルタイムシーケンシング、可逆ターミネーターシーケンシング、イオン半導体シーケンシング、ナノボールシーケンシング、ナノポアシーケンシング、454シーケンシング、Solexa Genome Analyzerシーケンシング、miSeq(Illumina)、HiSeq2000(Illumina)、HiSeq2500(Illumina)、Illumina Genome Analyzer(Illumina)、Ion Torrent PGMτ(商標)(Life Technologies)、MinION(商標)(Oxford Nanopore Technologies)、リアルタイムSMRT(商標)技術(Pacific Biosciences)、Probe-Anchor Ligation(cPAL(商標))(Complete Genomics/BGI)、SOLiD(登録商標)シーケンシング、MS-PETシーケンシング、質量分析、およびこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、シーケンシングは、限定されないが、例えばABI PRISM(登録商標)377DNA Sequencer、ABI PRISM(登録商標)310、3100、3100-Avant、3730、または3730xI Genetic Analyzer、ABI PRISM(登録商標)3700DNA Analyzer、またはApplied Biosystems SOLiD(商標)System(全てApplied Biosystems製)、Genome Sequencer 20System(Roche Applied Science)、または質量分析計を含む機器を使用してシーケンシング産物を検出することを含む。特定の実施形態において、シーケンシングは、エマルジョンPCRを含む。
特定の実施形態において、シーケンシングは、ハイスループットシーケンシング技術、例えば、限定されないが、超並列シグネチャシーケンシング(MPSS)を含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって一緒に結合された2つ以上のアミノ酸の鎖に関して互換的に使用される。ポリペプチドは、合成もしくは天然に存在する場合があり、短くてもよく、例えば、2~約30個のアミノ酸残基である場合があるか、または数百または数千のアミノ酸残基長である場合がある。ポリペプチドは、20個の主要な天然に存在するアミノ酸で構成され得るか、または1つ以上の非天然アミノ酸、例えば、ペプチド鎖骨格にピリミジンもしくはプリン塩基を含む、ペプチド核酸残基、または天然アミノ酸の修飾形態(例えば、側鎖の構造が変更されている)を含み得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「抗体」(Ab)という用語は、抗原結合免疫グロブリンを指し、モノクローナル抗体(mAb)およびポリクローナルAbを含む。この用語はさらに、抗原に結合する能力を有する抗体の全ての修飾形態、例えば、免疫グロブリン構造の一部を含むフラグメント抗体(fAb)を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、流体反応混合物の構成要素に関して使用される「クラウディング剤」および「体積排除剤」という用語は、互換的に使用され、反応混合物中の利用可能な流体体積を減少させ、それによって反応物高分子(例えば、核酸、酵素等)の有効濃度を増加させる化合物、一般にポリマー化合物を指す。クラウディング試薬は、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、フィコール、血清アルブミン、カゼイン、およびデキストランを含む。
【0078】
本明細書で使用される場合、「デジタルシーケンシング」、「単一分子配列決定」、および「次世代シーケンシング(NGS)」という用語は互換的に使用され、個々の核酸分子のヌクレオチド配列を決定することを指す。個々の分子の配列決定のためのシステムは、限定されないが、454FLX(商標)または454TITANIUM(商標)(Roche)、SOLEXA(商標)/Illumina Genome Analyzer(Illumina)、HELISCOPE(商標)Single Molecule Sequencer(Helicos Biosciences)、およびSOLID(商標)DNA Sequencer(Life Technologies/Applied Biosystems)instruments)、ならびにBiosystemsおよびPacific Biosystems等の企業によってまだ開発中の他のプラットフォームを含む。母体および胎児DNA、例えばcfDNAのデジタル分析に関する、「Non-invasive fetal genetic screening by digital analysis」という表題の米国特許第7,888,017号も参照されたい。
【0079】
本明細書で使用される場合、「プローブ」または「ハイブリダイゼーションプローブ」という用語は、精製された制限酵素消化物として自然に存在するか、または合成的に、組換えで、もしくはPCR増幅によって生産されるかにかかわらず、目的の別のオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を指す。プローブは一本鎖または二本鎖であり得る。プローブは、特定の配列の検出、同定、および単離に有用である。いくつかの好ましい実施形態において、本発明で使用されるプローブは、「レポーター分子」で標識されているため、限定されないが、酵素(例えば、ELISA、および酵素ベースの組織化学的アッセイ)、蛍光、放射性、および発光システムを含む任意の検出システムで検出可能である。本発明は、任意の特定の検出システムまたは標識に限定されることは意図されない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「MIP」という用語は、分子反転プローブ(または環状捕捉プローブ)を指す。分子反転プローブ(または環状捕捉プローブ)は、一対の固有のポリヌクレオチドアーム、1つ以上の固有の分子タグ(または固有の分子識別子)、およびポリヌクレオチドリンカー(例えば、普遍的な骨格リンカー)を含む核酸分子である。
例えば、図1を参照されたい。いくつかの実施形態において、MIPは、2つの固有の分子タグ、3つの固有の分子タグ、またはそれ以上等の2つ以上の固有の分子タグを含み得る。いくつかの実施形態において、各MIPの固有のポリヌクレオチドアームは、MIPの5’末端および3’末端に位置する一方で、固有の分子タグ(複数可)およびポリヌクレオチドリンカーは、MIPの5’末端および3’末端の内部に位置する。例えば、本開
示のいくつかの実施形態で使用されるMIPは、以下の構成要素を順に含む:第1の固有のポリヌクレオチドアーム-第1の固有の分子タグ-ポリヌクレオチドリンカー-第2の固有の分子タグ-第2の固有のポリヌクレオチドアーム。いくつかの実施形態において、MIPは5’リン酸化一本鎖核酸(例えば、DNA)分子である。例えば、2016年7月29日に出願されたWO2017/020023および2016年7月29日に出願されたWO2017/020024(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0081】
固有の分子タグは、検出可能であり、核酸(例えば、ポリヌクレオチド)に組み込むかまたは付着させることができ、タグを含む核酸の検出および/または同定を可能にする、任意のタグであり得る。いくつかの実施形態において、タグは、配列決定中に(例えば、ポリメラーゼによって)、核酸に組み込まれるかまたは付着される。タグの非限定的な例として、核酸タグ、核酸インデックスまたはバーコード、放射性標識(例えば、同位体)、金属標識、蛍光標識、化学発光標識、リン光標識、フルオロフォアクエンチャー、色素、タンパク質(例えば、酵素、抗体またはそれらの一部、リンカー、結合対のメンバー)等、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態、特に配列決定の実施形態において、タグ(例えば、分子タグ)は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体(例えば、核酸類似体、糖および1~3個のリン酸基を含むヌクレオチド)の固有の、既知のおよび/または同定可能な配列である。いくつかの実施形態において、タグは、6つ以上の連続したヌクレオチドである。多様な異なる励起および発光スペクトルを有する、多数のフルオロフォアベースのタグが利用可能である。任意の適切な種類および/または数のフルオロフォアをタグとして使用することができる。いくつかの実施形態において、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、500以上、1000以上、10,000以上、100,000以上の異なるタグが、本明細書に記載される方法(例えば、核酸検出および/または配列決定法)において利用される。いくつかの実施形態において、1種類または2種類のタグ(例えば、異なる蛍光標識)が、ライブラリー内の各核酸に結合される。いくつかの実施形態において、染色体特異的タグを使用して、染色体の計数をより迅速にまたはより効率的にする。タグの検出および/または定量化は、適切な方法、機械または装置によって実施することができ、その非限定的な例として、フローサイトメトリー、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、ゲル電気泳動、ルミノメーター、蛍光光度計、分光光度計、適切な遺伝子チップまたはマイクロアレイ分析、ウエスタンブロット、質量分析、クロマトグラフィー、細胞蛍光分析、蛍光顕微鏡法、適切な蛍光またはデジタルイメージング法、共焦点レーザー走査顕微鏡法、レーザー走査サイトメトリー、アフィニティークロマトグラフィー、手動バッチモード分離、電界懸濁、適切な核酸配列決定法および/または核酸配列決定装置等、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
MIPでは、固有のポリヌクレオチドアームは、ゲノム核酸試料中の特定の標的配列(または部位)のすぐ上流および下流にハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態において、MIPは、ランダムに生成される短いヌクレオチド配列である固有の分子タグを含む。いくつかの実施形態において、固有の分子タグは、ゲノム核酸断片上またはゲノム核酸試料中に位置するいかなる配列または部位にもハイブリダイズしない。いくつかの実施形態において、MIPにおけるポリヌクレオチドリンカー(または骨格リンカー)は、本開示の実施形態で使用されるすべてのMIPにおいて普遍的である。
【0083】
いくつかの実施形態において、MIPは、試験対象(または参照対象)に由来する核酸断片に導入され、核酸試料(例えば、ゲノムDNA)上に位置する標的配列または部位(または対照配列または部位)の捕捉を実施する。いくつかの実施形態において、断片化は、分子反転プローブによる標的核酸の捕捉に役立つ。いくつかの実施形態において、例えば、核酸試料が無細胞核酸からなる場合、分子反転プローブによる標的核酸の捕捉を改善するために断片化が必要ではない場合がある。本明細書でより詳細に説明するように、目的の標的配列(例えば、遺伝子座)の捕捉後、標的配列のコピーが円形状の構造に組み込まれるように、捕捉された標的が酵素によるギャップ充填およびライゲーションステップに供されてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、標識、ハプテン等を含む核酸類似体が、例えば、下流の検出、精製、または他の処理ステップで使用するために、充填セクションに組み込まれ得る。ハイブリダイゼーションおよびギャップ充填インキュベーション期間を延長することにより、いくつかの実施形態において、核酸断片上の標的配列に対するMIPの捕捉効率を改善することができる。(例えば、Turner E H,et al.,Nat Methods.2009 Apr.6:1-2を参照されたい。)。
【0084】
いくつかの実施形態において、標的部位または標的配列を捕捉するために本開示に従って使用されるMIPは、以下の構成要素を順に含む:
第1の標的ポリヌクレオチドアーム-第1の固有の標的分子タグ-ポリヌクレオチドリンカー-第2の固有の標的分子タグ-第2の標的ポリヌクレオチドアーム。
【0085】
いくつかの実施形態において、対照部位または対照配列を捕捉するために本開示で使用されるMIPは、以下の構成要素を順に含む:
第1の対照ポリヌクレオチドアーム-第1の固有の対照分子タグ-ポリヌクレオチドリンカー-第2の固有の対照分子タグ-第2の対照ポリヌクレオチドアーム。
【0086】
MIP技術は、複雑な混合物中の特定の核酸配列を検出または増幅するために使用することができる。MIP技術を使用することの利点の1つは、その高度な多重化能力であり、それにより、数千というMIPを含む単一の反応で数千もの標的配列を捕捉することが可能となる。MIP技術の様々な態様は、例えば、Hardenbol et al.,“Multiplexed genotyping with sequence-tagged molecular inversion probes,”Nature Biotechnology,21(6):673-678(2003);Hardenbol et al.,“Highly multiplexed molecular inversion probe genotyping:Over 10,000 targeted SNPs genotyped in a single tube assay,”Genome Research,15:269-275(2005);Burmester et al.,“DMET microarray technology for pharmacogenomics-based personalized medicine,”Methods in Molecular Biology,632:99-124(2010);Sissung et al.,“Clinical pharmacology and pharmacogenetics in a genomics era:the DMET platform,”Pharmacogenomics,11(1):89-103(2010);Deeken,“The Affymetrix DMET platform and pharmacogenetics in drug development,”Current Opinion in Molecular Therapeutics,11(3):260-268(2009);Wang et al.,“High quality copy number and genotype data from FFPE samples using Molecular Inversion Probe(MIP)microarrays,”BMC Medical Genomics,2:8(2009);Wang et al.,“Analysis of molecular inversion probe performance for allele copy number determination,”Genome Biology,8(11):R246(2007);Ji et al.,“Molecular inversion probe analysis of gene copy alternations reveals distinct categories of colorectal carcinoma,”Cancer Research,66(16):7910-7919(2006);およびWang et al.,“Allele quantification using molecular inversion probes(MIP),”Nucleic Acids Research,33(21):e183(2005)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。米国特許第.6,858,412号、同第5,817,921号、同第6,558,928号、同第7,320,860号、同第7,351,528号、同第5,866,337号、同第6,027,889号、および同第6,852,487号(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0087】
MIP技術は、以前から癌のバイオマーカーの新規同定および下位分類を含む他の研究分野にうまく適用されてきた。例えば、Brewster et al.,“Copy number imbalances between screen-and symptom-detected breast cancers and impact on disease-free survival,”Cancer Prevention Research,4(10):1609-1616(2011);Geiersbach et al.,“Unknown partner for USP6 and unusual SS18 rearrangement detected by fluorescence in situ hybridization in a solid aneurysmal bone cyst,”Cancer Genetics,204(4):195-202(2011);Schiffman et al.,“Oncogenic BRAF mutation with CDKN2A inactivation is characteristic of a subset of pediatric malignant astrocytomas,”Cancer Research,70(2):512-519(2010);Schiffman et al.,“Molecular inversion probes reveal patterns of 9p21 deletion and copy number aberrations in childhood leukemia,”Cancer Genetics and Cytogenetics,193(1):9-18(2009);Press et al.,“Ovarian carcinomas with genetic and epigenetic BRCA1 loss have distinct molecular abnormalities,”BMC Cancer,8:17(2008);およびDeeken et al.,“A pharmacogenetic study of docetaxel and thalidomide in patients with castration-resistant prostate cancer using the DMET genotyping platform,”Pharmacogenomics,10(3):191-199(2009)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0088】
MIP技術は、新薬関連のバイオマーカーの同定にも適用されてきた。例えば、Caldwell et al.,“CYP4F2 genetic variant alters required warfarin dose,”Blood,111(8):4106-4112(2008);およびMcDonald et al.,“CYP4F2 Is a Vitamin K1 Oxidase:An Explanation for Altered Warfarin Dose in Carriers of the V433M Variant,”Molecular Pharmacology,75:1337-1346(2009)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。他のMIP用途は、医薬品開発および安全性研究を含む。例えば、Mega et al.,“Cytochrome P-450 Polymorphisms and Response to Clopidogrel,”New England Journal of Medicine,360(4):354-362(2009);Dumaual et al.,“Comprehensive assessment of metabolic enzyme and transporter genes using the Affymetrix Targeted Genotyping System,”Pharmacogenomics,8(3):293-305(2007);およびDaly et al.,“Multiplex assay for comprehensive genotyping of genes involved in drug metabolism,excretion,and transport,”Clinical Chemistry,53(7):1222-1230(2007)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。MIP技術のさらなる用途は、遺伝子型および表現型のデータベース化を含む。例えば、Man et al.,“Genetic Variation in Metabolizing Enzyme and Transporter Genes:Comprehensive Assessment in 3 Major East Asian Subpopulations with Comparison to Caucasians and Africans,”Journal of Clinical Pharmacology,50(8):929-940(2010)(あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0089】
本明細書で使用される場合、「捕捉(capture)」または「捕捉する(capturing)」という用語は、分子反転プローブとその対応する標的部位との間の結合またはハイブリダイゼーション反応を指す。いくつかの実施形態において、捕捉すると、環状レプリコンまたはMIPレプリコンが生成または形成される。いくつかの実施形態において、標的部位は、欠失(例えば、1つ以上のエクソンの部分的または完全な欠失)である。いくつかの実施形態において、標的MIPは、標的欠失が位置することが予想される目的の天然に存在する(例えば、野生型)ゲノム領域に結合またはハイブリダイズするように設計される。標的MIPは、欠失を示すゲノム領域に結合しないように設計される。
これらの実施形態において、標的MIPと欠失の標的部位との間の結合またはハイブリダイゼーションは起こらないと予想される。そのような結合またはハイブリダイゼーションの欠如は、標的欠失の存在を示す。これらの実施形態において、「標的部位を捕捉する」という語句、または「標的配列を捕捉する」という語句は、そのような結合またはハイブリダイゼーションの不在を検出することによる標的欠失の検出を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「MIPレプリコン」または「環状レプリコン」という用語は、捕捉反応(例えば、MIPとその標的となる配列との間の結合またはハイブリダイゼーション反応)を介して生成される環状核酸分子を指す。いくつかの実施形態において、MIPレプリコンは一本鎖環状核酸分子である。いくつかの実施形態において、標的MIPは、標的配列または部位を捕捉するか、またはそれにハイブリダイズする。捕捉反応またはハイブリダイゼーションの後、ライゲーション/伸長混合物を導入して、2つの標的ポリヌクレオチドアーム間のギャップ領域を伸長およびライゲートし、一本鎖環状ヌクレオチド分子、すなわち標的MIPレプリコンを形成する。いくつかの実施形態において、対照MIPは、対照配列または部位を捕捉するか、またはそれにハイブリダイズする。
捕捉反応またはハイブリダイゼーションの後、ライゲーション/伸長混合物を導入して、2つの対照ポリヌクレオチドアーム間のギャップ領域を伸長およびライゲーションして、一本鎖環状ヌクレオチド分子、すなわち対照MIPレプリコンを形成する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介してMIPレプリコンを増幅させ、二本鎖核酸分子である複数の標的MIPアンプリコンを生成してもよい。MIPレプリコンは、ローリングサークル増幅、またはRCAに特定の用途を見出す。RCAは等温核酸増幅技術であり、環状鋳型にアニールされたプライマーにDNAポリメラーゼが単一ヌクレオチドを継続的付加し、数十から数百のタンデムリピート(環状鋳型に相補的)を含む一本鎖DNAの長いコンカテマーが生じる。例えば、M.Ali,et al.“Rolling circle amplification:a versatile tool for chemical biology,materials science and medicine”.Chemical Society Reviews.43(10):3324-3341(あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。また、WO2015/083002(あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0091】
DNA増幅のためにRCAで典型的に使用されるポリメラーゼは、Phi29、Bst、およびVent exo-DNAポリメラーゼであるが、優れた処理能力および鎖置換能力の観点からPhi29DNAポリメラーゼが好ましい。
【0092】
本明細書で使用される場合、「アンプリコン」という用語は、増幅反応(例えば、PCR反応)を介して生成される核酸を指す。いくつかの実施形態において、アンプリコンは一本鎖核酸分子である。いくつかの実施形態において、アンプリコンは二本鎖核酸分子である。いくつかの実施形態において、標的MIPレプリコンを従来の技術を使用して増幅し、二本鎖ヌクレオチド分子である複数の標的MIPアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、対照MIPレプリコンを従来の技術を使用して増幅し、二本鎖ヌクレオチド分子である複数の対照MIPアンプリコンを生成する。
【0093】
「プローブオリゴヌクレオチド」または「フラップオリゴヌクレオチド」という用語は、フラップアッセイ(例えば、INVADER侵入切断アッセイ)に関して使用される場合、侵入性オリゴヌクレオチドの存在下で標的核酸と相互作用して切断構造を形成するオリゴヌクレオチドを指す。
【0094】
「侵入性オリゴヌクレオチド」という用語は、プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーション領域に隣接する位置で標的核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、侵入性オリゴヌクレオチドの3’末端は、プローブと標的との間のハイブリダイゼーション領域と重複する部分(例えば、化学的部分、または1つ以上のヌクレオチド)を含む。侵入性オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは、標的内のヌクレオチドと塩基対を形成してもしなくてもよい。いくつかの実施形態において、侵入性オリゴヌクレオチドは、その3’末端に、標的鎖にアニールするプローブオリゴヌクレオチドの一部の5’末端に位置する配列と実質的に同じ配列を含む。
【0095】
本明細書で使用される「フラップエンドヌクレアーゼ」または「FEN」という用語は核酸分解酵素のクラス、典型的には5’ヌクレアーゼを指し、(例えば、一本鎖DNAと二本鎖DNAとの間の接合部に重複するヌクレオチドがあるように)核酸の別の鎖によって置き換えられた鎖の1つにおいて、一本鎖5’オーバーハングまたはフラップを含む二重鎖を有するDNA構造上で構造特異的エンドヌクレアーゼとして作用する。FENは、一本鎖DNAと二本鎖DNAとの接合部におけるホスホジエステル結合の加水分解を触媒し、オーバーハングまたはフラップを遊離させる。フラップエンドヌクレアーゼは、Ceska and Savers(Trends Biochem.Sci.1998 23:331-336)およびLiu et al(Annu.Rev.Biochem.2004 73:589-615)によってレビューされており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。FENは、個々の酵素、多重サブユニット酵素であり得るか、または別の酵素もしくはタンパク質複合体(例えば、DNAポリメラーゼ)の活性として存在してもよい。
【0096】
フラップエンドヌクレアーゼは熱安定性であり得る。例えば、アーカイブの好熱菌生物からのFEN-1フラップエンドヌクレアーゼは、典型的に熱安定性である。本明細書で使用される場合、「FEN-1」という用語は、真核生物または古細菌生物からの非ポリメラーゼフラップエンドヌクレアーゼを指す。例えば、WO02/070755およびKaiser M.W.,et al.(1999)J.Biol.Chem.,274:21387(あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0097】
本明細書で使用される場合、「切断フラップ」という用語は、フラップアッセイの切断産物である一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。
【0098】
「カセット」という用語は、フラップ切断反応に関して使用される場合、例えば、フラップ切断アッセイで形成された一次または第1の切断構造において、フラップまたはプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能なシグナルを発生するように構成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせを指す。好ましい実施形態において、カセットは、フラップオリゴヌクレオチドの切断によって生成される非標的切断産物とハイブリダイズして第2の重複切断構造を形成し、その結果、次いで、カセットは、同じ酵素、例えば、FEN-1エンドヌクレアーゼによって切断され得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、カセットは、ヘアピン部分(すなわち、カセットオリゴヌクレオチドの一部が反応条件下で同じオリゴヌクレオチドの第2の部分とハイブリダイズして二重鎖を形成する領域)を含む単一のオリゴヌクレオチドである。他の実施形態において、カセットは、反応条件下で二重鎖を形成することができる相補的部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい実施形態において、カセットは、標識、例えばフルオロフォアを含む。特に好ましい実施形態において、カセットは、FRET効果をもたらす標識部分を含む。そのような実施形態において、カセットは「FRETカセット」と称される場合がある。例えば、2015年8月4日に発行されたUS9,096,893(あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0100】
本明細書で使用される場合、プローブフラップまたはアームに関して使用される「実質的に相補的でない」という語句は、フラップ部分が十分に非相補的であり、指定されたアニーリング条件またはストリンジェントな条件下で核酸配列、例えば標的核酸または増幅されたDNAと選択的にハイブリダイズしないことを意味し、「実質的に非相補的」および「完全に非相補的」という用語を包含する。
【0101】
本明細書で使用される場合、「シグナル」という用語は、標識によって、またはアッセイ反応における構成要素もしくは産物の作用もしくは蓄積によって引き起こされるかまたは提供されるような、任意の検出可能な効果を指す。
【0102】
本明細書で使用する場合、「検出器」という用語は、ユーザまたはシステムの別の構成要素(例えば、コンピュータまたはコントローラ)にシグナルまたは効果の存在を伝達し得る、システムまたはシステムの構成要素、例えば、機器(例えば、カメラ、蛍光測定装置、電荷結合素子、シンチレーションカウンター、固体ナノポアデバイス等)または反応性媒体(X線フィルムまたはカメラフィルム、pH指示薬等)を指す。検出器は、検出される特定の種類のシグナルに限定されず、蛍光もしくは化学発光を含む、紫外光、可視光もしくは赤外光を検出できる測光もしくは分光光度システム;放射線検出システム;電荷検出システム;電子シグナル、例えば、電流もしくは電荷の摂動の検出のためのシステム;核磁気共鳴分光、質量分析、もしくは表面増強ラマン分光等の分光システム;ゲル電気泳動もしくはキャピラリー電気泳動もしくはゲル排除クロマトグラフィー等のシステム;または当該技術分野で既知の他の検出システム、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0103】
本明細書で使用される場合、「検出」という用語は、例えば、試料中の分析物(例えば、DNA、RNAまたはタンパク質)を定量的または定性的に同定することを指す。本明細書で使用される場合、「検出アッセイ」という用語は、試料中の分析物を検出する目的で実行されるキット、試験、または手順を指す。検出アッセイは、標的分析物の存在下で実施されると検出可能なシグナルまたは効果を生成し、限定されないが、ハイブリダイゼーション、核酸切断(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ)、核酸増幅、ヌクレオチド配列決定、プライマー伸長、核酸ライゲーション、抗原-抗体結合、一次抗体と二次抗体の相互作用、および/または核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)もしくはポリペプチド(例えば、タンパク質または小ペプチド)の構造変化の過程を組み入れたアッセイを含む。
【0104】
本明細書で使用する場合、「出生前または妊娠関連の疾患または状態」という用語は、妊婦、胚、または胎児に影響を与える任意の疾患、障害、または状態を指す。出生前または妊娠関連の状態はまた、妊娠の結果として直接的または間接的に関連するかまたは発生する任意の疾患、障害、または状態を指す場合がある。これらの疾患または状態は、あらゆる先天性欠損症、先天性状態、または遺伝性疾患または状態を含み得る。出生前または妊娠関連の疾患の例として、限定されないが、アカゲザル病、新生児溶血性疾患、ベータサラセミア、性決定、妊娠の決定、遺伝性メンデル遺伝病、染色体異常、胎児染色体異数性、胎児染色体トリソミー、胎児染色体モノソミー、トリソミー8、トリソミー13(パタウ症候群)、トリソミー16、トリソミー18(エドワーズ症候群)、トリソミー21(ダウン症候群)、X染色体関連疾患、トリソミーX(XXX症候群)、モノソミーX(ターナー症候群)、XXY症候群、XYY症候群、XYY症候群、XXXY症候群、XXYY症候群、XYYY症候群、XXXXX症候群、XXXXY症候群、XXXYY症候群、XXYYY症候群、脆弱X症候群、胎児発育制限、嚢胞性線維症、ヘモグロビン症、胎児死、胎児性アルコール症候群、鎌状赤血球貧血、血友病、クラインフェルター症候群、dup(17)(p11.2p1.2)症候群、子宮内膜症、ペリツェウス・メルツバッヘル病、dup(22)(q11.2q11.2)症候群、キャットアイ症候群、クリデュ・チャット症候群、ウルフ・ヒルシュホーン症候群、ウィリアムズ・ブーレン症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、圧力麻痺に対する責任を伴うニューロパシー、スミス・マゲニス症候群、神経線維腫症、アラジール症候群、ベロ心臓顔面症候群、ディジョージ症候群、ステロイドスルファターゼ欠損症、プラダー・ウィリ症候群、カルマン症候群、線状皮膚欠損を伴う小眼球症、副腎低形成、グリセロールキナーゼ欠乏症、ペリツェウス・メルツバッヘル病、精巣決定因子、無精子症(因子a)、無精子症(因子b)、無精子症(因子c)、1p36欠失、フェニルケトン尿症、テイ・サックス病、副腎過形成、ファンコニー貧血、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、結節性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、開放性二分脊椎、神経管欠損、在胎不当過小、先天性サイトメガロウイルス、軟骨無形成症、マルファン症候群、先天性甲状腺機能低下症、先天性トキソプラズマ症、ビオチニダーゼ欠損症、ガラクトース血症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、中鎖アシルCo-Aデヒドロゲナーゼ欠損症、構造的先天性欠損症、心臓欠陥、四肢異常、内反足、無脳症、無嗅脳症/全前脳症、水頭症、無眼球症/小眼球症、無耳症/小耳症、大血管の転位、ファロー四徴症、左心低形成症候群、大動脈縮窄、口唇裂のない口蓋裂、口蓋裂ありまたは口蓋裂なしの口唇裂、瘻孔のあるまたはない食道閉鎖症/狭窄、小腸閉鎖症/狭窄、肛門直腸閉鎖症/狭窄、尿道下裂、性別不確定、腎無発生、嚢胞性腎臓、軸前多指症、四肢減少欠損、横隔膜ヘルニア、失明、白内障、視覚障害、難聴、聴覚消失、X連鎖副腎白質ジストロフィー、レット症候群、リソソーム障害、脳性麻痺、自閉症、無舌症、白皮症、眼白皮症、眼皮白皮症、妊娠糖尿病、アーノルド・キアリ奇形、チャージ症候群、先天性横隔膜ヘルニア、短指症、無虹彩症、裂足および裂手、異色症、ダーウィン耳、エーラース・ダンロス症候群、表皮水疱症、ゴーハム病、橋本症候群、胎児水腫、筋緊張低下、クリッペル・ファイル症候群、筋ジストロフィー、骨形成不全症、早老症、スミス・レムリ・オピッツ症候群、色弱、X連鎖リンパ増殖性疾患、臍帯ヘルニア、胃壁裂、子癇前症、子癇、早産、早期分娩、流産、子宮内発育遅延、子宮外妊娠、妊娠悪阻、つわり、または正常な陣痛誘発の可能性が挙げられる。
【0105】
一部のNIPT実施形態において、本明細書に記載の技術は、試料の胎児分画を推定することをさらに含み、胎児分画は、試験対象からの遺伝データが異数性を示すかどうかの決定を助けるために使用される。胎児分画を決定または計算するための方法は、当該技術分野で既知である。
【0106】
本明細書で使用される場合、「有効な検出アッセイ」という用語は、標的の検出と表現型(例えば、医学的状態)との間の関連性を正確に予測することが示されている検出アッセイを指す。有効な検出アッセイの例として、限定されないが、標的が検出されたときに、医学的表現型を95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、または99.9%の確率で正確に予測する検出アッセイを含む。有効な検出アッセイの他の例として、限定されないが、分析物特異的試薬(すなわち、FDA規制によって定義されている)またはインビトロ診断(すなわち、FDAによって承認されている)として適格であるおよび/または販売されている検出アッセイを含む。
【0107】
本明細書で使用される場合、「キット」という用語は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイとの関連において、そのような送達システムは、ある場所から別の場所への反応試薬(例えば、適切な容器中のオリゴヌクレオチド、酵素等)および/または補助的材料(例えば、緩衝液、アッセイを実施するための指示書)の保存、輸送、または送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットは、関連する反応試薬および/または補助的材料を収容する1つ以上の囲い(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される場合、「細分化キット」という用語は、それぞれが全キット構成要素の一部分を含む2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、意図される受取人に一緒にまたは別々に送達されてもよい。例えば、第1の容器は、アッセイで使用するための酵素を含んでもよく、第2の容器は、オリゴヌクレオチドを含む。「細分化キット」という用語は、連邦食品医薬品化粧品法のセクション520(e)に基づいて規制された分析物特異的試薬(ASR)を含むキットを包含することを意図しているが、これに限定されない。実際に、それぞれが全キット構成要素の一部分を含む2つ以上の別個の容器を含む任意の送達システムは、「細分化キット」という用語に含まれる。対照的に、「組み合わせキット」は、単一の容器内(例えば、所望の構成要素のそれぞれを収容する単一の箱内)に反応アッセイの全ての構成要素を含む送達システムを指す。「キット」という用語は、細分化キットおよび組み合わせキットの両方を含む。
【0108】
本明細書で使用される場合、「情報」という用語は、事実またはデータの任意の集合を指す。限定されないがインターネットを含むコンピュータシステム(複数可)を使用して格納または処理される情報に関して、この用語は、任意の形式(例えば、アナログ、デジタル、光学等)で格納される任意のデータを指す。本明細書で使用される場合、「対象に関連する情報」という用語は、対象(例えば、ヒト、植物、または動物)に関連する事実またはデータを指す。「ゲノム情報」という用語は、限定されないが、核酸配列、遺伝子、対立遺伝子頻度、RNA発現レベル、タンパク質発現、遺伝子型に関連する表現型等を含むゲノムに関連する情報を指す。「対立遺伝子頻度情報」は、限定されないが、対立遺伝子の同一性、対立遺伝子の存在と対象(例えば、ヒト対象)の特徴との間の統計的相関、個体または集団における対立遺伝子の有無、1つ以上の特定の特徴を有する個体に対立遺伝子が存在する可能性のパーセンテージ等を含む、対立遺伝子頻度に関連する事実またはデータを指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、「アッセイ検証情報」という用語は、試験結果データの処理(例えば、コンピュータを用いた処理)からもたらされるゲノム情報および/または対立遺伝子頻度情報を指す。アッセイ検証情報を使用して、例えば、特定の候補検出アッセイを有効な検出アッセイとして同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
本特許または出願ファイルは、カラーで作製された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは、特許庁へ申請し、必要な料金を支払うことにより提供される。
図1】大規模に多重化された捕捉アッセイでの使用に適切な、染色体特異的認識のための分子反転プローブ(MIP)の略図を提供する。
図2】多重化された染色体特異的ローリングサークル増幅の実施形態の略図を提供する。
図3】検出のために分子ビーコンプローブを使用する、多重化された染色体特異的ローリングサークル増幅の実施形態の略図を提供する。
図4】一本鎖リガーゼ(例えば、CircLigase(商標)熱安定性RNAリガーゼ)を使用してcfDNAを環状化し、検出用の「ネイティブな環」を作製することを含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図5】cfDNAを環状化し、「Golden Gate Assembly」を使用して検出用のセグメントを追加することを含む、本技術の実施形態の略図を提供する(例えば、Engler,C.,Kandzia,R.,and Marillonnet,S.(2008)PLoS ONE3,e3647を参照されたい)。
図6】RCAの実施形態を使用した検出を伴う、固有の分子反転誘導鋳型上での伸長ライゲーションを使用したcfDNAの環状化を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図7】RCAの実施形態を使用した検出を伴う、環状DNA分子を作り出すために伸長およびライゲーションされる固有の分子反転誘導鋳型を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図8】例えば、ローリングサークル増幅用の鋳型として使用するための、プローブ結合用の結合部位および複製用のプライマー結合部位を含む合成環状DNAを含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図9】RCAからの産物の検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、衝突消光のために構成されるプローブ対の使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図10】RCAからの産物の検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のために構成されるプローブ対の使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図11】RCAからの産物の検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、例えば、制限酵素等の二重鎖特異的ヌクレアーゼを使用して切断されるように構成される、色素およびクエンチャーを含むプローブの使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図12】CIDSのRCAの使用と、それに続くCID特異的消化およびCID特異的標識を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
図13】MIPが標的核酸、例えばcfDNAにハイブリダイズし、単一ヌクレオチドギャップを残す実施形態を示す。ビオチン化ヌクレオチドを組み込むためにギャップを伸長によって充填し、ライゲーションによって閉じる。次いで、環状化MIPは、ストレプトアビジンでコーティングされた表面に結合され得る。
図14】表面に固定化されたMIPにハイブリダイズした開始オリゴヌクレオチドの略図を示す。
図15】開始オリゴヌクレオチドの存在下で協働して自己組織化足場を形成するヘアピンオリゴヌクレオチドの略図を示す。
図16】複数の標識、例えば、蛍光色素を含む自己組織化足場を示す。
図17】本技術の実施形態による侵入切断構造の略図を提供する。
図18】本技術の実施形態による、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ、例えば、Invader(登録商標)アッセイのための侵入切断構造を形成する際に使用するためのヘアピンプローブの図を提供する。
図19】フラップエンドヌクレアーゼアッセイにおける切断されたフラップ断片の蓄積の図を提供する。。
図20】切断されたビオチン化フラップが、固定化された相補的プローブを使用して捕捉され、ビオチンが、酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼに結合したストレプトアビジンと反応する実施形態を示す。
図21】異なる染色体を標的とするように設計されたMIPがそれぞれ、伸長およびライゲートするために異なるヌクレオチドを必要とし、MIPが、異なるdNTPごとに異なる色素またはハプテンを担持するヌクレオチドを使用して染色体特異的な様式で伸長およびライゲーションされる、本技術の実施形態を示す。
図22】パネルA、B、およびCは、MIPが固定化部分を含むもしくは含むように修飾されるか、または固定化部分を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、表面に固定化される、本技術の実施形態を示す。
図23】ローリングサークル増幅反応の略図を提供する。
図24図24A~Dは、ビオチン残基をMIP複合体に含めることがRCAシグナルに与える影響を調べた結果を示すグラフを提供する。
図25A】溶液中の標準的なRCA反応における様々な量の構成要素の結果を示すグラフを提供する。
図25B】溶液中の標準的なRCA反応における様々な量の構成要素の結果を示すグラフを提供する。
図25C】溶液中の標準的なRCA反応における様々な量の構成要素の結果を示すグラフを提供する。
図26】示されているパーセンテージ(w:v)で異なる分子量のPEGを使用した場合のシグナルの蓄積に与える影響を比較するグラフを提供する。
【0111】
図27A図27Bおよび図28A図28B〕不規則な分散状態でガラス表面に結合したプライマーを使用して実施されたRCA反応において達成された結果を示し、検出にはクエンチャーおよびフルオロフォアを含む分子ビーコンプローブを使用した。
図27A】実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、PEGがある場合とない場合のRCAシグナルを比較している。
図27B図27Aに示されるスポットの数および蛍光強度に対するPEGの効果を示すグラフを提供する。
図28】実施例1で記載されるようなAPTESシラン化プレート上のスポットの数および蛍光強度に対する、20%溶液中の異なる分子量のPEGが与える影響を示すグラフを提供する。
図29A】実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、RCA反応を開始する前に18時間または1時間ハイブリダイズした反応のRCAシグナルを比較している。
図29B図29Aに示されるスポットの数および蛍光強度(面積)に対するハイブリダイゼーション時間および緩衝液の影響を比較するグラフを提供する。
図30】2時間のハイブリダイゼーション時間を伴うかまたは伴わない、標準的なRCA反応条件に対するPEG200の影響と、スポットの数および蛍光強度(面積)に対する、2時間のハイブリダイゼーションを伴うPEG2000の影響とを比較したグラフを提供する。
図31】2時間のハイブリダイゼーション時間を伴うかまたは伴わない、25℃で実施された標準的なRCA反応条件に対するPEG200の影響と、スポットの数および蛍光強度(面積)に対する、2時間のハイブリダイゼーションを伴うPEG2000の影響とを比較したグラフを提供する。
図32】2時間のハイブリダイゼーション時間を伴うかまたは伴わない、37℃で行われた標準的なRCA反応条件に対するPEG200の影響と、スポットの数および蛍光強度(面積)に対する、2時間のハイブリダイゼーションを伴うPEG2000の影響とを比較したグラフを提供する。
図33】実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、37℃または45℃で実施された、指定された濃度でのPEG600を含む反応についてRCAシグナルを比較している。
図34】表面に非特異的に結合したビーコンからの酸化グラフェン消光蛍光バックグラウンドを伴う、酸化グラフェンを用いてまたは用いない、表面上のRCA分子ビーコン産物の略図を提供する。
図35】実施例1に記載されるように、ローリングサークル反応が開始され、分子ビーコンと酸化グラフェンが添加され、RCA反応がさらにインキュベートされる、2段階RCA反応の略図を提供する。
図36】実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、2段階反応の酸化グラフェンについてRCAシグナルを示している。
図37】1つのステップ(GOなし)または2つのステップ(GOありまたはなし)で実行されたRCA反応のスポット数を比較したグラフであって、100fmolの標的を含む反応と標的を含まない反応を比較した、グラフを提供する。
図38】異なる種類の標的分子の検出に本技術の実施形態を適用するための異なる捕捉複合体の略図を提供する。
図39】固定化された抗原の検出に対する本技術の適用の略図を提供する。
図40】固定化された抗原抗体複合体の検出に対する本技術の適用の略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0112】
分子診断の目標は、最小限の労力とステップを用いて、可能な限り短い時間で分析物の正確で高感度な検出を達成することであるとされてきた。これが達成される1つの様式は、単一の反応容器または溶液中で複数の検出事象を可能にする、試料中の分析物の多重検出である。しかしながら、多重反応を含む既存の診断方法の多くは、反応を実施する時間、複雑さ、コストを増やす試料調製ステップを含む多くのステップを依然として必要としている。本発明は、いくつかの実施形態において、未精製または未処理の生体試料(例えば、血液または血漿)中で直接実施できるアッセイを提供することにより、これらの問題の解決策を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される技術は、シーケンシングステップ(例えば、デジタルまたは「次世代」シーケンシングステップ)を使用せずに、デジタル様式で、すなわち、分子の個々のコピーを検出することにより、試料または試料の一部における特定の核酸またはタンパク質のコピー数を計数する様式で試料を試験する経済的な方法を提供する。本技術は、例えば、診断スクリーニングのために対象から収集された試料を含むがこれらに限定されない、任意の種類の試料中の核酸分子等の標的分子の測定に使用される。本明細書で提供される技術の実施形態は、例えば、非侵襲的出生前検査(NIPT)および他の遺伝子分析に使用される。本技術の実施形態は、核酸抽出、MIPプローブ設計、MIP増幅/複製、および/または環状化MIPからのシグナルを測定するための方法のうちの1つ以上のステップを実装する。好ましい実施形態において、本技術は、表面にMIPを固定化し、固定化されたMIPを検出するための方法を提供する。好ましい実施形態において、固定化されたMIPは、ローリングサークル増幅を使用して検出される。
【0114】
好ましい実施形態において、本技術の方法は、標的認識事象を含み、典型的には、標的核酸、例えば患者のDNAの試料、別の核酸分子、例えば合成プローブへのハイブリダイゼーションを含む。好ましい実施形態において、標的認識事象は、固有の産物が生成される条件(例えば、伸長、ライゲーションおよび/または切断されたプローブオリゴヌクレオチド)を作り出し、その場合、産物は、標的が反応中に存在すること、およびプローブがそれにハイブリダイズしたことを示す。
【0115】
標的核酸を認識し、新しい産物を生成するためのいくつかの異なる「フロントエンド」の方法が本明細書に記載されている。例えば、図の例示的な実施形態に示されるように、本技術は、「バックエンド」の検出/読み出しステップで使用するための環状化分子を生成するいくつかの方法を提供する(例えば、図1図3図13図18図34図35、および図38図40を参照されたい)。本技術はまた、標的核酸の存在下でフラップエンドヌクレアーゼによって切断できるプローブ等、他のプローブタイプを使用して標的核酸の存在を知らせる方法も提供する(例えば、図17図19を参照されたい)。これらのフロントエンドの実施形態のそれぞれを使用して、特徴的な分子、例えば、環状または切断オリゴヌクレオチドを生成することができる。
【0116】
これらの特徴的な分子は、下流のバックエンドの検出ステップでの捕捉および/または同定に有用な1つ以上の特徴を有するように構成され得る。フロントエンドの反応で生成される分子および特徴の例として、結合した配列(例えば、プローブの3’末端および5’末端のライゲーションによって形成される完全な標的特異的配列)を有する、付加され
た配列(例えば、標的鋳型のコピー部分)および/もしくはタグ付きヌクレオチド(例えば、ビオチン、色素、クエンチャー、ハプテン、および/または他の部分に付着したヌクレオチド)を有する環状化MIP、またはフラップ切断反応から放出された一本鎖アーム等の産物が挙げられる(例えば、図17図19を参照されたい)。いくつかの実施形態において、MIPは、プローブの一部、例えば、プローブの骨格に特徴を含む。
【0117】
フロントエンドの固有の産物を増幅および/または検出するためのバックエンドの分析方法の例は、例えば、図2図3図6図7図9図12図15図16図20図21図34図35、および図38図40に提供される。
【0118】
本技術は、特定のフロントエンドの標的依存性反応と特定のバックエンドのシグナル増幅法および検出プラットフォームとの組み合わせ等(例えば、酵素を含まないハイブリダイゼーション連鎖反応バックエンドと併せた図13図16のビオチンを組み込んだMIP;表面への捕捉と、それに続く(図20に示すような)触媒的に蛍光シグナルを生成する酵素結合プローブへのハイブリダイゼーションと併せた(図19のような)ビオチンタグ付き切断フラップ)の特定の実施形態を参照して論じられるが、本発明は、本明細書に開示されるフロントエンドおよびバックエンドの方法および構成の特定の組み合わせ、またはアッセイ産物からのシグナルを検出するための任意の特定の方法に限定されない。当業者は、代替のバックエンドとともに作用するように1つのフロントエンドを容易に適合させることができることが理解されよう。例えば、図14の環状化MIPは、図20の酵素結合プローブを使用して捕捉および検出されてもよいか、または代替として、図2図3図8図7図9図12図21図34図35、および図38図40に例示されるローリングサークル増幅アッセイにおいて増幅されてもよい。同様に、図19に示されるような切断されたフラップは、図19図20に図示されるように、ハイブリダイゼーション連鎖反応を使用して検出され得、環状化MIPまたはRCAアンプリコンは、図17に示されているような侵入切断反応等を使用して検出され得る。
【0119】
さらに、本技術は特定の標的核酸、例えば血漿中の無細胞DNAに関して論じられているが、本発明は、任意の特定の形態のDNA、または任意の特定の種類の核酸、または任意の特定の種類の核酸の変動に限定されない。当業者は、突然変異、挿入、欠失、一塩基多型(SNP)、およびメチル化のエピジェネティックな変動(例えば、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換し、それによって標的DNAにおけるシトシンのメチル化変動を反映する検出可能な配列変異を作り出す試薬で処理されたDNAの分析による特定のCpGジヌクレオチドのメチル化の変動)を検出および計数するための、本技術の実施形態を容易に構成することができることを理解されたい。
【0120】
いくつかの実施形態において、アッセイは多重化された様式で実施される。いくつかの実施形態において、異なる遺伝子座がより類似したレベルの増幅に到達することを可能にする条件下で、多重化アッセイを実施することができる。
【0121】
図1は、分子反転プローブ(MIP)の略図を提供する。分子反転プローブは、検出される標的核酸の隣接または近位領域に相補的な第1および第2の標的ポリヌクレオチドアームを含み、ポリヌクレオチドリンカーまたは「骨格」が2つのアームを接続している(図1を参照されたい)。
【0122】
相補的な標的核酸の存在下で、MIPを環状化して、検出に適切なMIPレプリコンを形成することができる。いくつかの実施形態において、MIPは、ニック修復酵素、例えば、T4 DNAリガーゼを使用して単純にライゲーションされる一方で、いくつかの実施形態において、プローブを閉じて円を形成することは、例えば、末端間のオーバーラップの切断、核酸ポリメラーゼを使用した末端間のギャップの充填等の、連結可能なニックを作り出すためにプローブのさらなる修飾を含む。
【0123】
本明細書で使用される場合、標的部位または配列は、他の配列を有する試料中の他の核酸から選別されることが求められる核酸配列の一部または領域を指し、これは遺伝的障害または状態の有無(例えば、突然変異、多型、欠失、挿入、異数性等の有無)を決定するのに有益である。本明細書で使用される場合、対照部位または配列は、特定の対照遺伝子の既知のまたは正常なコピー数を有する部位を指す。いくつかの実施形態において、標的MIPは、以下の構成要素を順に含む:第1の標的ポリヌクレオチドアーム-第1の固有の標的分子タグ-ポリヌクレオチドリンカー-第2の固有の標的分子タグ-第2の標的ポリヌクレオチドアーム。いくつかの実施形態において、標的MIPの標的集団が、本開示の方法で使用される。標的集団において、標的MIPのそれぞれにおける第1および第2の標的ポリヌクレオチドアームの対は同一であり、標的部位に隣接する核酸内の第1および第2の領域にそれぞれ実質的に相補的である。例えば、WO2017/020023およびWO2017/020024(それぞれが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0124】
いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれの長さは、18~35塩基対である。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれの長さは、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、もしくは35塩基対、または18~35塩基対の任意のサイズ範囲である。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれの長さは、18~35塩基対である。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれの長さは、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、もしくは35塩基対、または18~35塩基対の任意のサイズ範囲である。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、57℃~63℃の融解温度を有する。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、もしくは63℃の融解温度、または57℃~63℃の任意のサイズ範囲を有する。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、57℃~63℃の融解温度を有する。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、もしくは63℃の融解温度、または57℃~63℃の任意のサイズ範囲を有する。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、30%~70%のGC含量を有する。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、30~40%、もしくは30~50%、もしくは30~60%、もしくは40~50%、もしくは40~60%、もしくは40~70%、もしくは50~60%、もしくは50~70%のGC含有量、または30%~70%の任意のサイズ範囲、または30%~70%の特定のパーセンテージを有する。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、30%~70%のGC含量を有する。いくつかの実施形態において、対照ポリヌクレオチドアームのそれぞれは、30~40%、もしくは30~50%、もしくは30~60%、もしくは40~50%、もしくは40~60%、もしくは40~70%、もしくは50~60%、もしくは50~70%のGC含有量、または30%~70%の任意のサイズ範囲、または30%~70%の特定のパーセンテージを有する。
【0125】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、試料または対象の任意のゲノム領域に実質的に相補的ではない。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、30~40塩基対の長さを有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、30、31、32、33、34、35、36、37、38、もしくは39塩基対の長さ、または30~40塩基対の任意の区間を有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、60℃~80℃の融解温度を有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、60℃、65℃、70℃、75℃、もしくは80℃の融解温度、または60℃~80℃の任意の区間、または60℃~80℃の任意の特定の温度を有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、40%~60%のGC含量を有する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、40%、45%、50%、55%、もしくは60%のGC含量、または40%~60%の任意の区間、または40%~60%の任意の特定のパーセンテージを有する。
【0126】
いくつかの実施形態において、標的MIPレプリコンは、以下によって生成される:i)それぞれ第1および第2の標的ポリヌクレオチドアームを、それぞれ標的部位に隣接する核酸の第1および第2の領域にハイブリダイズさせる;ならびにii)ハイブリダイゼーション後、ライゲーション/伸長混合物を使用して、2つの標的ポリヌクレオチドアーム間のギャップ領域を伸長およびライゲートして、一本鎖環状核酸分子を形成する。
【0127】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、エクソンの欠失または挿入または重複を検出するために使用される。いくつかの実施形態において、標的部位(または配列)は、目的の遺伝子または目的のゲノム領域における欠失または挿入または複製である。
いくつかの実施形態において、標的部位は、目的の遺伝子の1つ以上のエクソンにおける欠失または挿入または重複である。いくつかの実施形態において、標的の複数のエクソンは連続的である。いくつかの実施形態において、標的の複数のエクソンは非連続的である。いくつかの実施形態において、MIPの第1および第2の標的ポリヌクレオチドアームは、目的の遺伝子またはゲノム領域における欠失(または挿入、または重複)または欠失させた(または挿入させた、または重複させた)ゲノム領域(例えば、1つ以上のエクソン)の上流および下流にハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態において、MIPの第1または第2の標的ポリヌクレオチドアームは、標的の欠失または重複部位(例えば、エクソンまたは部分的エクソン)を包含する目的の遺伝子のゲノム領域に実質的に相補的な配列を含む。
【0128】
ライゲーションされたMIP等の環状DNA分子は、ローリングサークル増幅(RCA)を使用した増幅に適切な基質である。RCAの特定の実施形態において、ローリングサークル複製プライマーは、環状核酸分子、例えば、ライゲーションされたMIP、または環状化されたcfDNAにハイブリダイズする。鎖置換型DNAポリメラーゼ(例えば、φ29(Phi29)、Bst Large Fragment、およびE.coli Pol I DNAポリメラーゼのクレノウ断片)を使用したプライマーの伸長により、MIP環状分子に相補的な核酸配列の反復を含む長い一本鎖DNA分子が生じる。
【0129】
いくつかの実施形態において、複製前にライゲーション操作を含むライゲーション媒介ローリングサークル増幅(LM-RCA)が利用される。ライゲーション操作では、存在する場合、プローブはその相補的な標的核酸配列にハイブリダイズし、ハイブリダイズしたプローブの末端をライゲーションによって結合し、共有結合的に閉じた一本鎖核酸を形成する。ライゲーション後、ローリングサークル複製プライマーはプローブ分子とハイブリダイズし、上記のようにローリングサークル複製を開始する。一般に、LM-RCAは、開環プローブを標的試料と混合し、プローブ-標的試料混合物を生じさせ、開環プローブと標的配列との間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でプローブ-標的試料混合物をインキュベートすること、リガーゼをプローブ-標的試料混合物と混合し、ライゲーション混合物を生じさせ、開環プローブのライゲーションを促進する条件下でライゲーション混合物をインキュベートして、増幅標的サークル(ATC、RCAレプリコンとも称される)を形成することを含む。ローリングサークル複製プライマー(RCRP)をライゲーション混合物と混合し、プライマー-ATC混合物を生じさせ、増幅標的サークルとローリングサークル複製プライマーとの間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でそれをインキュベートする。DNAポリメラーゼをプライマー-ATC混合物と混合し、ポリメラーゼ-ATC混合物を生じさせ、増幅標的サークルの複製を促進する条件下でそれをインキュベートし、増幅標的サークルの複製はタンデム配列DNA(TS-DNA)、すなわち、増幅標的サークルに相補的な配列のコンカテマーを含む、長鎖の一本鎖DNAの形成をもたらす。
【0130】
図2に示される実施形態において、環状化分子A、B、C、およびDは、染色体13、8、21、またはChr.1等の参照染色体に特異的なMIPからなる。ギャップを取り囲むMIPの配列は、標的となる染色体の領域を補完し、MIPの骨格は、特定の蛍光色素(FITC、ALEXA、Dylight、シアン、ローダミン色素、量子ドット等)を含むプローブとハイブリダイズさせるために使用される固有の配列を含む。ステップ1は、MIPをcfDNAにハイブリダイズさせること、単一塩基対の伸長(またはより長い伸長)、および伸長されたMIPを環状化するためのライゲーションを含む。ステップ2は、蛍光標識オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが要求される配列が増幅されるように、環状化されたMIPのローリングサークル増幅を含む。A、B、C、Dは、MIP配列の補体である。ステップ3は、蛍光標識プローブをローリングサークル産物にハイブリダイズさせることを含む。図3に示される実施形態において、RCA産物の検出は、蛍光色素標識オリゴヌクレオチドの代わりに分子プローブによって促進される。
【0131】
MIPを表面(例えば、ビーズまたはガラス表面)に固定化する複数の方法が存在する。例えば、これは、結合可能な部分を含む修飾オリゴヌクレオチドでローリングサークル増幅を開始することにより達成され得る。開始オリゴヌクレオチドの修飾に有用な基は、チオール、アミノ、アジド、アルキン、およびビオチンが挙げられるが、これらに限定されず、修飾オリゴヌクレオチドは、例えば、Meyer et.al.,“Advances in DNA-mediated immobilization”Current Opinions in Chemical Biology,18:8:8-15(2014)(あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に概説されるような適切な反応物を使用して固定化することができる。
【0132】
蛍光色素を組み込んだMIPのイメージングは、MIPを表面(ガラススライドまたはビーズ)に固定化することを含む方法を使用して、例えば、上記でおよび上述のMeyerらに概説されるような適切な反応物を使用して固定化することができ、抗体を使用して検出することができる修飾された塩基を含むようなMIP骨格の修飾を使用することにより達成され得る。一旦、表面に固定化してから、組み込まれたタグに対する抗体を使用して、顕微鏡で画像化され得る抗体-MIP複合体を形成することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、複合体からの検出可能なシグナルを増強または増幅するために結合化されてもよい。例えば、抗体へのβ-ガラクトシダーゼの結合により、Quanterixにより説明されるプロセスを使用して単一分子アレイ(「SIMOA」)での検出が可能になり、任意のビーズが標識された免疫複合体を1つだけ有するように各複合体がビーズに固定化され、各ウェルが最大でも1つのビーズを含むように、フェムトリットルサイズのウェルのアレイにビーズが分配される。レゾルフィン-β-ガラクトピラノシドの添加により、固定化された免疫複合体上のβ-ガラクトシダーゼは、蛍光を発するレゾルフィンの生成を触媒する。視覚化すると、固定化された個々の免疫複合体を有するウェルで放出された蛍光を検出および計数することができる。例えば、Quanterix Whitepaper 1.0,Scientific Principle of Simoa(Single Molecule Array)Technology,1-2(2013)、およびQuanterix Whitepaper 6.0,Practical Application of Simoa(商標)HD-1 Analyzer for Ultrasensitive Multiplex Immunodetection of Protein Biomarkers,1-3(2015)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。いくつかの実施形態において、抗体-MIP複合体は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるMorin et.al.,“Nanopore-Based Target Sequence Detection”PLOS One,DOI:10.1371/journal.pone.0154426(2016)に記載されるように、様々な分子量のポリ(エチレングリコール)で標識した抗体を有する固体ナノポアを使用して、直接検出されてもよい。
【0133】
図4は、一本鎖リガーゼ(例えば、CircLigase(商標)熱安定性RNAリガーゼ)を使用して循環cfDNA(ccfDNA)を環状化し、検出用の「ネイティブな環」を作製することを含む、本技術の実施形態の略図を提供する。一旦作り出されると、環状ccfDNA““は、いくつかのRCA法を含むいくつかの異なる方法を使用して検出することができる。例えば、図5に示すように、本技術の一実施形態は、cfDNAを
環状化すること、および「Golden Gate Assembly」を使用して検出用のセグメントを追加することを含む(例えば、Engler,C.,Kandzia,R.,and Marillonnet,S.(2008)PLoS ONE3,e3647を参照されたい)。
【0134】
図6は、ccfDNAを検出するさらなる方法を示す。この実施形態において、以前に記載されているように、ccfDNAを精製するために血漿試料を処理する(例えば、M.Fleischhacker,et al.,Methods for isolation of cell-free plasma DNA strongly affect DNA yield,Clin Chim Acta.2011 Nov 20;412(23-24):2085-8を参照されたい)。ステップ1において、ccfDNAを熱変性させ、T4ポリヌクレオチドキナーゼで処理して、5’リン酸化および3’ヒドロキシル末端DNA断片を作り出す。T4 DNAポリメラーゼ等の追加のDNA
修復は、熱変性およびT4ポリヌクレオチドキナーゼ処理の前にDNAを修復するために使用され得る。保護された3’末端を有する相補オリゴヌクレオチドを、(ポリメラーゼによって伸長されないように)ccfDNAにハイブリダイズさせる。この相補的オリゴヌクレオチドは、染色体特異的領域AおよびC、ならびに普遍的配列Bからなる。ccfDNAを伸長し、ライゲーションして環状DNA分子を完成させる。環状化ccfDNAをオリゴヌクレオチドから精製し、RCAはオリゴヌクレオチドを普遍的配列Bにアニーリングすることにより使用させられる。RCA後、蛍光標識プローブをローリングサークル産物にハイブリダイズさせる。
【0135】
図7は、ccfDNAを検出する別の方法を示す。血漿試料を処理してccfDNAを前述のように精製する。ステップ1、ccfDNAを熱変性させる。リン酸化された5プライム保護末端を有する相補的オリゴヌクレオチドをccfDNAにハイブリダイズさせる。この相補的オリゴヌクレオチドは、染色体特異的領域AおよびC、ならびに普遍的配列Bからなる。ccfDNAと相補的オリゴヌクレオチドの両方が伸長される。しかしながら、相補的オリゴヌクレオチドのみが環状DNA分子の完成を可能にするように5’リン酸塩を有する。環状化された相補的オリゴヌクレオチドを、普遍的配列Bに相補的なプライマーを使用したローリングサークル増幅により増幅する。ローリングサークル増幅後、蛍光標識プローブをローリングサークル産物にハイブリダイズさせる。
【0136】
図8は、ローリングサークル増幅のための鋳型として有用であり、ローリングサークルプライマー結合部位および2つのプローブ結合部位、ならびに任意選択的な結合部分(例えば、ビオチン)を含む、合成環状DNAの略図を示す。
【0137】
図9は、RCAからの産物、例えば、図8に示されるもののような環状DNAの検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、衝突消光のために構成されるプローブ対の使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。この実施形態において、溶液中の色素標識プローブは消光されず、シグナルを生成する。クエンチャーでタグ付けされたプローブに近い標的にハイブリダイズするプローブは消光され、それによって蛍光シグナルが減少する。RCA産物の量が増加すると、蛍光が減少する。
【0138】
図10は、RCAからの産物の検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、上述のように蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のために構成されるプローブ対の使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
【0139】
図11は、RCAからの産物の検出に使用するためにDNA鎖にハイブリダイズしたときの、例えば、制限酵素等の二重鎖特異的ヌクレアーゼを使用して切断されるように構成される、色素およびクエンチャーを含むプローブの使用を含む、本技術の実施形態の略図を提供する。
【0140】
図12に示されるように、本技術の一実施形態は、染色体特異的識別子配列(CID)のRCAの使用と、それに続く標的ではない染色体のCID特異的消化、および標的となるCIDに対するCID特異的標識を含む。CIDはRCAによって増幅されるが、それらの個々の単一分子IDは維持される。CID増幅は、個々の標的分子からの蛍光シグナルを増加させる。分析されていない染色体の配列は、酵素消化と、分析されている染色体にのみ特異的な標識の使用とによって二重に抑制される。
【0141】
いくつかの実施形態において、MIPは、シグナル増幅の非酵素的方法を使用して検出されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、MIPは表面に固定化され、例えば、RM Dirks,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA101(43):15275-15278(2004)、および米国特許第8,105,778号(それぞれが、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、トリガーされた「ハイブリダイゼーション連鎖反応」(HCR)等の方法を使用して検出される。図13図16は、シグナル増幅にHCRを使用する例示的な構成を示す。
【0142】
図13は、MIPが標的核酸、例えばcfDNAにハイブリダイズし、単一ヌクレオチドギャップを残す実施形態を示す。ビオチン化ヌクレオチドを組み込むためにギャップを伸長によって充填し、ライゲーションによって閉じる。次いで、環状化されたMIPは、図14に示すように、ストレプトアビジンでコーティングされた表面に結合し、任意の未結合のMIPを洗い流した後、結合したMIPの骨格が開始オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。好ましい実施形態において、スペーサー、例えば、18原子のヘキサエチレングリコールスペーサーが、開始配列と骨格結合配列との間に含まれる。好ましくは、MIP結合領域のフットプリントは、安定した結合のために高いT(例えば、約79℃)を有するように選択される。上記のように、結合タグは、アミン基、チオール基、アジド、またはハプテン等のビオチンを使用して、MIPをタグ付けし、適切な反応性表面に固定化することができる。
【0143】
図15は、自己組織化足場を形成するためにHCRで使用されるヘアピンオリゴヌクレオチドの例を示す。一方または両方のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの標識、例えばフルオロフォアを含む。好ましい実施形態において、色素は、消光効果を防ぐために、組み立てられた足場に十分に大きな間隔を提供するように配置される。例えば、いくつかの実施形態において、図14に示すように、色素はヘアピンの両端に配置される。図16に示すように、MIP骨格に結合した開始オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって反応が開始されると、HCRヘアピンが展開して長鎖にハイブリダイズし、多数の標識を含む足場が作り出される。
【0144】
フラップエンドヌクレアーゼ反応(例えば、Invaderアッセイ)は、染色体の特異的、定量的検出に使用することができる。例示的な実施形態が図17図20に示されている。図17は、染色体の標的領域にハイブリダイズしたInvaderオリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチドを示す。侵入性オリゴヌクレオチドの3’末端は、標的領域に相補的なプローブオリゴヌクレオチドの領域の5’末端と重複している。
この実施形態において、プローブオリゴヌクレオチドは、ビオチン部分を含む5’フラップ、および標識、例えばフルオロフォアを含む3’テールを含む。フラップエンドヌクレアーゼ、例えばFEN-1ヌクレアーゼは、重複する侵入切断構造を認識し、非常に特異的な構造依存的様式でプローブを切断し、5’フラップを放出する。好ましい実施形態において、図19に概略的に示されるように、反応は等温的に行われて線形のシグナル増幅がもたらされ、1~3時間に標的当たり10~10個の切断されたプローブを提供する。
【0145】
好ましい実施形態において、使用されるプローブオリゴヌクレオチドは、図18に示されるように、プローブの5’フラップと3’テールが互いにハイブリダイズするヘアピン構造を含む。非切断プローブおよび/または切断プローブの3’部分を、捕捉用のハプテ
ンに対する抗体を使用して反応から除去することができるように、フルオロフォアまたは別の部分、例えば、2,4ジニトロフェニルが、ハプテンとして使用されてもよい。
【0146】
フラップエンドヌクレアーゼ反応からの切断されたフラップは、いくつかの方法で検出され得る。好ましい実施形態において、切断されたフラップは、固定化された相補的プローブを使用して捕捉され、ビオチンは、図20に示されるように、検出可能な部分に結合されたストレプトアビジンと反応する。示される実施形態において、ストレプトアビジンは、β-ガラクトシダーゼに連結され、蛍光シグナルは、非蛍光レゾルフィン-β-ガラクトピラノシドを提供することによって生成され、これは、β-ガラクトシダーゼによって触媒され、D-ガラクトースおよび蛍光色素レゾルフィンを生成する。フェムトリットルアレイとポアソン統計を使用してデジタル読み出し形式を生成すると、そのような酵素シグナル増幅を使用して、単一のハイブリダイゼーション事象を検出することができる。
例えば、DM Rissin and DR Walt,Digital Concentration Readout of Single Enzyme Molecules Using Femtoliter Arrays and Poisson Statistics.Nano Letters 6(3):520-523(2006);Quanterix Whitepaper 1.0,Scientific Principle of Simoa(Single Molecule Array)Technology,1-2(2013);およびQuanterix Whitepaper 6.0,Practical Application of Simoa(商標)HD-1 Analyzer for Ultrasensitive Multiplex Immunodetection of Protein Biomarkers,1-3(2015)(それぞれが、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。特定の好ましい実施形態において、速度論的読み出し、すなわち、2つの時点でのアレイからのシグナルの収集が使用される。
【0147】
図21に示される実施形態において、A、B、C、およびDは、染色体13、8、21、または1等の参照染色体に特異的なMIPからなる。ギャップを取り囲むMIPの配列は、標的となる染色体の領域を補完し、単一ヌクレオチドギャップを含むように設計される。ステップ1:このギャップは、蛍光色素、ビオチン等のハプテンに結合課されたdNTPで充填される。ギャップを充填すると、異なる特定の染色体のそれぞれを標的とするMIPに異なるハプテンが導入される。例えば、Aを添加すると21番染色体を標的とするMIPのみを完了し、Tは18番染色体を標的とするMIPを完了し、Gは13番染色体を標的とするMIPを完了し、Cは1番染色体等の参照染色体を標的とするMIPを完了する。このアプローチでは、これら4つの異なるMIPが4つの固有のハプテンで標識される。単一の伸長およびライゲーションを完了するために特定のdNTPを必要とする各染色体を標的とするMIPのプールは、捕捉事象の数を増加させるために使用される。
ステップ2は、ハプテン含有MIPを各ハプテンに特異的な標識抗体でインキュベートすることを含む。標識は、例えば、蛍光色素、量子ドット、または他の蛍光粒子を含み得る。ステップ3は、ハプテンを標的とする一次抗体を含む免疫複合体を一次抗体に対する標識された二次抗体に曝露し、それにより蛍光シグナルを増幅する任意選択のステップを含む。
【0148】
図21に示すように、本技術のこの実施形態において、異なる染色体を標的とするように設計されたMIPはそれぞれ、伸長およびライゲートするために異なるヌクレオチドを必要とし、MIPは、異なるdNTPごとに異なる色素を担持するヌクレオチドを使用して染色体特異的な様式で伸長およびライゲーションされる。例えば、好ましい実施形態において、CY2、CY3、CY5、およびCY7が使用される。色素タグの付いたMIPは、それぞれの異なる色素ごとに特異的な抗体を使用して(また、検出されるそれぞれの異なる染色体ごとに、伸長により)検出され得る。二次抗体を使用することによりシグナルを増幅することができる。例えば、CY2一次ウサギ抗体は標的MIPに結合し、二次ヤギ抗ウサギ抗体は一次抗体に結合してシグナルを増幅する等である。
【0149】
上記のように、多くの異なる蛍光標識システムが、本技術の実施形態に用途を見出す。
いくつかの実施形態において、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、Texas Red、TAMRA、Cy3、Cy5)を使用することができ、例えば、オリゴヌクレオチドまたは伸長産物に組み込まれたヌクレオチド類似体に付着させることができる。いくつかの実施形態において、蛍光粒子、例えば、ナノ粒子、ナノ結晶、量子ドット、シリカ(例えば、メソポーラスシリカナノ粒子)ポリマービーズ(例えば、ラテックス)を使用することができる。
【0150】
上述の技術の実施形態からの蛍光シグナルの検出および定量化には多くの選択肢が存在する。検出は、例えば、物理化学的、電磁的、電気的、光電子的もしくは電気化学的特性、または固定化分子および/もしくは標的分子の特徴の測定に基づき得る。表面上の分子の単一分子検出に関連する2つの要因は、個々の分子を分解するのに十分な空間分解能を達成すること、およびバックグラウンドシグナルから、例えば、表面に非特異的に結合したプローブから、所望の単一分子を区別することである。単一分子関連シグナルを検出するための例示的な方法は、例えば、WO2016/134191(あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれ)に見出される。いくつかの実施形態において、アッセイは、例えば、SpectraMaxマイクロプレートリーダーまたは他のプレートリーダーにおける、標準的なSBSマイクロプレート検出のために構成される。
この方法は、典型的には、低分散蛍光(複数のウェル、複数の測定)を必要とするが、このフォーマットを多重化して、複数の異なる蛍光チャネルで読み取ることができる。さらに、このフォーマットは非常に高いスループットである。
【0151】
実施形態はまた、表面、例えば、ガラス、金、または炭素(例えば、ダイヤモンド)表面上の検出のためにも構成され得る。いくつかの実施形態において、シグナル検出は、遠視野光学法、近視野光学法、落射蛍光分光法、共焦点顕微鏡法、二光子顕微鏡法、光学顕微鏡法、および全反射顕微鏡法から選択される方法等の電磁放射線(例えば、光)を検出するための任意の方法によって行われ、標的分子は電磁放射体で標識される。原子間力顕微鏡法(AFM)または他の走査型プローブ顕微鏡法(SPM)等の他の顕微鏡法も適している。いくつかの実施形態において、標的を標識する必要がない場合がある。代替として、SPMによって検出できる標識が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、シグナルの検出および/または測定は、ImageXpressイメージングシステム(Molecular Devices、San Jose,CA)および同様のシステム等のイメージングシステムを使用して蛍光クラスタを計数することによる表面読み取りを含む。
【0152】
本技術の実施形態は、他の多くのシステムおよび機器プラットフォーム、例えば、ビーズアッセイ(例えば、Luminex)、アレイハイブリダイゼーション、NanoString nCounter単一分子計数デバイスを使用した検出のために構成され得る。例えば、GK Geiss,et al.,Direct multiplexed measurement of gene expression with color-coded probe pairs;Nature Biotechnology 26(3):317-25(2008)、米国特許出願公開第2018/0066309Al号(2018年3月8日公開)(PN Hengen,et.Al.,Invent.,Nanostring Technogies,Inc.)等を参照されたい。
【0153】
Luminexビーズアッセイにおいて、目的の分子の分析物特異的捕捉抗体であらかじめコーティングされた、色分けされたビーズが試料に添加される。同じ試料中で複数の分析物を同時に検出することができる。分析物特異的抗体は、目的の分析物を捕捉する。
抗体-抗原サンドイッチが形成されるように、目的の分析物にも特異的なビオチン化検出抗体が添加される。フィコエリトリン(PE)結合ストレプトアビジンが添加され、デュアルレーザーフローに基づく検出機器でビーズが読み取られる。ビーズは、Luminex200(商標)またはBio-Rad(登録商標)Bio-Plex(登録商標)分析器等の、デュアルレーザーフローに基づく検出機器で読み取られる。1つのレーザーがビーズを分類し、検出される分析物を決定する。2番目のレーザーは、結合した分析物の量に正比例するPEに由来するシグナルの大きさを決定する。
【0154】
NanoString nCounterは、単一の多重反応で数百もの異なる遺伝子をデジタル定量化するための単一分子計数デバイスである。この技術は、固相ハイブリダイゼーションならびに自動化イメージングおよび検出と組み合わせて、分子「バーコード」を使用する:各バーコードが色分けされ、目的の遺伝子(または他の核酸)に対応する単一のプローブに付着される。例えば、目的の各核酸を検出するために構築された捕捉プローブとレポータープローブのユニークな対の使用について記載している上述のGeissらを参照されたい。記載される実施形態において、プローブは、単一の液相ハイブリダイゼーション反応において、核酸、例えば、非分割cfDNA、または試料からの全RNAと一緒に混合される。ハイブリダイゼーションは、その特定のレポータープローブおよび捕捉プローブに結合した標的核酸からなる三者構造の形成をもたらし、ハイブリダイズしていないレポータープローブおよび捕捉プローブは、例えば、アフィニティー精製によって除去される。ハイブリダイゼーション複合体は、ビオチン固定化タグが使用される場合、例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた表面等の適切な捕捉表面に曝露される。表面での捕捉後、印加電場が広がり、溶液中の各複合体を同じ方向に向ける。次いで、複合体は細長い状態で固定化され、画像化される。したがって、目的の各標的分子は、レポータープローブに存在する規則正しい蛍光セグメントによって生成されるカラーコードによって同定され、標的分子を計数するために集計される。
【0155】
図22、パネルA、B、およびCは、固定化部分を含むかまたはそれに付着されたMIPが表面上に固定化される本技術の実施形態を示す。標的認識を示す固有の特徴を環状化MIP分子に組み込むための任意の特定の実施形態に限定されるものではないが、図22の実施形態は、標的核酸の1つ以上のヌクレオチドをコピーするためのポリメラーゼを使用した線形MIPの伸長、それに続く伸長したプローブを環状化するためのライゲーションを含む実施形態を使用して示されている。
【0156】
図22のパネルAに示される実施形態において、ステップ1でMIPを標的DNAとハイブリダイズさせ、次いで、修飾dNTPの存在下でDNAポリメラーゼによって伸長することで、伸長中に固定化部分が各MIPに組み込まれる。次いで、MIPをそれ自体にライゲーションして、環状プローブを完成させる。修飾dNTPは、限定されないが、アミン基もしくはチオール基等の反応性化学種、またはビオチンもしくは抗体ハプテン等の他の結合可能な特徴を含むdNTPを含み得る。ステップ2において、表面がMIPの固定化機能と相互作用してMIPに結合する条件下で、環状化MIPが表面に曝露される。
そのような表面は、限定されないが、誘導体化ガラスまたは誘導体化されていないガラス、シリカ、ダイヤモンド、金、アガロース、プラスチック、強磁性材料、合金等を含み、例えば、スライド、試料ウェル、チャネル、ビーズ、粒子および/またはナノ粒子等の任意の形態であり得、そのいずれもが多孔性または非多孔性であり得る。
【0157】
図22のパネルBに示される実施形態において、ステップ1でMIPを標的DNAとハイブリダイズさせ、ライゲーションして環状化する。示される実施形態において、MIPは、ライゲーションの前に配列ギャップを充填するためにDNAポリメラーゼによって伸長されるが、他の実施形態において、MIPは、重合ステップを使用することなく、単純に標的核酸にハイブリダイズし、例えば、パドロックプローブの様式で、ライゲーションして環状化するように設計されてもよい。例えば、M.Nilsson,et al.“Padlock probes:circularizing oligonucleotides for localized DNA detection”.Science.265(5181):2085-2088(1994)を参照されたい。ステップ2において、環状MIPを、上記の固定化部分、例えば、反応性アミン、反応性チオール基、ビオチン、ハプテン等を含む相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせる。ステップ3において、MIPと、固定化部分を含むオリゴヌクレオチドとのハイブリッドMIP複合体が、表面がMIP複合体の固定化機能と相互作用してMIP複合体に結合する条件下で表面に曝される。上記のように、表面は、限定されないが、誘導体化ガラスまたは誘導体化されていないガラス、シリカ、ダイヤモンド、金、アガロース、プラスチック、強磁性材料、合金等を含み、例えば、スライド、試料ウェル、チャネル、ビーズ、粒子および/またはナノ粒子等の任意の形態であり得、そのいずれもが多孔性または非多孔性であり得る。
【0158】
図22のパネルCに示される実施形態において、ステップ1で、プローブの骨格に組み込まれた固定化部分を含むMIPをDNAとハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼにより伸長し、ライゲーションしてプローブを環状化する。上述のパネルBの実施形態と同様に、MIPは、重合ステップを使用せずに、標的核酸に単純にハイブリダイズし、ライゲーションして環状化するように設計することができる。ステップ2において、表面がMIPの固定化機能と相互作用してMIPに結合する条件下で、固定化部分を含む環状化MIPが表面に露出される。上記のように、表面は、限定されないが、誘導体化ガラスまたは誘導体化されていないガラス、シリカ、ダイヤモンド、金、アガロース、プラスチック、強磁性材料、合金等を含み、例えば、スライド、試料ウェル、チャネル、ビーズ、粒子および/またはナノ粒子等の任意の形態であり得、そのいずれもが多孔性または非多孔性であり得る。
【0159】
図22に示される実施形態のそれぞれにおいて、一旦、MIPが表面に固定化されると、標識および/またはシグナル増幅(例えば、蛍光標識および/または蛍光シグナルの増幅)ならびに検出は、本明細書に論じられる様々なバックエンドの分析方法のいずれかを使用して達成することができる。固有の固定化MIP産物を増幅および/または検出するための適切な方法は、限定されないが、上記のNanoString nCounter技術、ならびに図2図3図6図7図9図12図15図16および図20図21に示す方法を含む。いくつかの実施形態において、標識および/またはシグナル増幅(例えば、蛍光標識および/または蛍光シグナルの増幅)は、MIPが表面に固定化される前に行われる。
【0160】
好ましい実施形態において、単一分子の視覚化のために構成されたバックエンドプロセスが使用される。例えば、上記のように、Quanterixプラットフォームは、タグ付けされた複合体を1つだけ有するビーズを捕捉するフェムトリットルサイズのウェルのアレイを使用し、捕捉された複合体からのシグナルは、蛍光レゾルフィンを生成するレゾルフィン-β-ガラクトピラノシド/β-ガラクトシダーゼ反応を使用して発生させる。
アレイの可視化により、各個々の複合体からのシグナルの検出が可能になる。特定の好ましい実施形態において、例えば、Morinらによって記載されるような、固体ナノポアデバイス(「Nanopore-Based Target Sequence Detection」PLoS ONE11(5):e0154426(2016)を参照されたい)が使用される。固体ナノポアは、2つの水性容積を分ける薄い固体膜に形成されたナノスケールの開口部である[23]。電圧クランプ増幅器は、開いた細孔を通るイオン電流を測定する一方で、膜に電圧を印加する(図1a)。二本鎖DNA等の単一荷電分子が捕捉され、電気泳動によって細孔を通って駆動されると、測定された電流シフト、ならびにシフト深度(δI)および持続時間が、その事象を特徴付けるために使用される。(上述のMorinら)。このシステムを使用してDNAのみを検出可能であるが、配列特異性の高いプローブ(例えば、ペプチド核酸プローブ、PNA)に異なるタグ(例えば、異なるサイズのポリエチレングリコール(PEG))を付着させて、アッセイのフロントエンドで検出される標的核酸を表す特有の特徴である、任意の特定のDNA-PNA-PEG複合体を得ることができる。
【0161】
図23に示される実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーおよびMIPまたはライゲーションされたパドロックプローブ等の環状プローブを含む複合体が形成される。ローリングサークル増幅反応におけるプライマーの伸長は、環状プローブに相補的な配列のコンカテマーを含む長鎖の一本鎖DNAを生成する。RCA産物は、フルオロフォアおよびクエンチャーを有する複数の分子ビーコンプローブに結合する。ビーコンのハイブリダイゼーションは、クエンチャーをフルオロフォアから分離し、ビーコンからの蛍光の検出を可能にする。RCA産物の蓄積は、反応時間の経過とともに量が増加する産物へのビーコンの結合を示す蛍光強度の増加を測定することにより、リアルタイムで監視され得る。
【0162】
反応において蓄積する蛍光のリアルタイム定量化を使用して、MIPまたはプライマーに付着したビオチン部分の影響を調べた。図24A図24Dは、ビオチン残基を環状化MIPのみ(A)、RCAプライマーのみ(B)、両方(C)に含めること、およびどちらにも含めないこと(D)がRCAシグナルに与える影響を調べた結果を示す。この実験において、MIPは次の配列を含む:
[配列表1]
【0163】
【化1】
【0164】
上記のビオチン化MIPにおいて、四角で囲まれた「T」は、ビオチンを含むMIP内のビオチン(Integrated DNA Technologies、「Internal Biotin dT」)の付着部位を示している。ビオチン化プライマーは、末端の5′リン酸に付着したビオチンを含んでいた(Integrated DNA Technologies、「’5’Biotin-TEG」)。ローリングサークル反応は、後述の実施例1に記載される「標準ローリングサークル反応」手順に従って、37℃で
1時間実施された。これらのデータは、環状化MIP内のビオチンの存在がRCAを阻害する一方で、プライマー上のビオチンの存在は反応を阻害しないことを示している。
【0165】
図25A図25Cは、溶液中の標準的なRCA反応における様々な量の構成要素の結果を示している。図25Aは、各反応における5ユニットと25ユニットのPhi29ポリメラーゼの使用を比較し、より高い濃度のポリメラーゼが、試験された条件下で一貫してより高いシグナルをもたらしたことを示している。図25Bは、異なる濃度の分子ビーコンプローブ(「ビーコン」)を使用することの影響を示す。図25Cは、異なる濃度のPhi29ポリメラーゼおよび分子ビーコンプローブを使用することの影響を、200μMまたは800μMの総dNTPを使用した場合の標準的な反応に対する影響と比較している。これらのデータに基づいて、1000nMのビーコン、800μMのdNTP、および2000nMのphi29ポリメラーゼ(80ユニット)を含むように調整された反応をさらに試験した。
【0166】
強化型RCA条件(E-RCA、後述の実施例1を参照されたい)に対して、異なる濃度のPEGを添加した場合および異なるサイズのPEGを使用した場合の影響を調べた。
図26は、E-RCA条件で、示されているパーセンテージ(w:v)で異なるサイズのPEG(200および8000)を使用した場合の影響を比較している。この実施形態について試験された条件下で、PEG200は、試験した全ての濃度で優れた結果を提供し、20%のPEG200が最良の結果を提供した。対照的に、PEG8000はRCAの効率を大幅に低下させた。これらのデータに基づいて、少なくとも20%w:vのPEG200を含むRCA反応をさらに試験した。
【0167】
上記のように、表面上の単一分子の検出では、スポット間の分離が確実になるように、任意の個々の結合分子からのシグナルのスポットサイズも最小化されることが好ましい。
スポットサイズおよび検出されたスポットの数に対するPEG200を使用することの影響を調べた。アッセイは、以下に説明するE-RCA条件を使用して、20%w:vのPEG200を用いてまたは用いずに、140分間インキュベートして実施した。その結果を図27A図27Bおよび図28A図28Bに示す。図27Aは、PEGの存在によりスポットサイズが減少し、個々のスポットからの蛍光シグナルの測定値が向上したことを示している。図27Bは、図27Aに示されるスポットの数および蛍光強度に対するPEGの効果を示し、PEGの添加により、検出されるスポットのサイズが減少する一方で、検出可能なスポットの数が増加したことを示す。
【0168】
APTESシラン化プレート上で実施した反応において、20%溶液中の異なる分子量のPEGを使用してスポット数およびスポットサイズへの影響を調べた。APTES処理した表面上での反応は、PEG構成要素を図28に示されるように修飾して、実施例1の「表面上での1段階ローリングサークル増幅」に記載されるように実施した。図28は、使用されるPEGが1000未満、好ましくは200~800、より好ましくは600の平均分子量である場合、スポット数が最大化され、スポットサイズが最小化されることを示す。
【0169】
RCA反応を開始する前のハイブリダイゼーション時間の長さを調べた。図29Aは、実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、TBS緩衝液またはRCA緩衝液のいずれかで、RCA反応を開始する前に18時間または1時間ハイブリダイズした反応についてRCAシグナルを比較している。20%のPEG600を用いて140分間、上記のように強化型RCAを実施した。図29Bは、図29Aに示されるスポットの数および蛍光強度(面積)に対するハイブリダイゼーション時間および緩衝液の影響を比較するグラフを提供する。これらのデータは、ハイブリダイゼーション時間が長くなると、スポット数が大幅に増加することを示している。
【0170】
図30図31、および図32は、標準的なRCA反応条件、強化型RCA(E-RCA)条件、およびさらなる変化を伴うE-RCA条件(2時間のハイブリダイゼーション時間を伴うかまたは伴わない、PEG200の代わりにPEG2000を用いる、2時間のハイブリダイゼーション)に対するPEG200の影響を比較するグラフを提供する。
各図の反応は全て同じ温度で実施され、図30図31、および図32において、それぞれ30℃、25℃、および37℃で反応が実施された。
【0171】
スポットの数および蛍光強度(面積)を条件ごとに評価した。これらのデータは、PEG200の存在下で、37℃の反応温度が高いスポット数と小さなスポットサイズの最良の組み合わせをもたらしたことを示している。より高いRCA反応温度を使用してビーコンプローブの濃度を変化させることの影響も調べた。1000、2000、4000、または8000nMの分子ビーコンプローブを含む反応が37℃または42℃で実施され、より高い温度では、計数されるスポットの数が大幅に増加することが示された(データは示さず)。技術を任意の特定の作用メカニズムに限定するものではないが、これらのデータは、より高い温度、例えば42℃以上で反応を実施すると、より多くのRCA産物およびより多くの結合ビーコンプローブが得られることを示唆している。
【0172】
様々な濃度のPEG600が存在する場合の温度上昇の影響をさらに調べた。図33は、実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、37℃または45℃で実施された、指定された濃度でのPEG600を含む反応についてRCAシグナルを比較している。これらのデータは、45℃の反応でスポット数が大幅に増加し、45℃で10~15%w:vのPEG600が、スポット数とスポットサイズの最良の組み合わせをもたらしたことを示している。
【0173】
酸化グラフェンをRCA表面結合反応に添加することの影響を調べた。実施例2に記載されるような、かつ図35に概略的に示される2段階のRCA手順を開発した。図36は、実施例1に記載されるようなAPTESシラン化プレートの表面の顕微鏡画像を示し、2段階反応の酸化グラフェンについてRCAシグナルを示している。陰性対照は、投入標的を含まず、分子ビーコンプローブからのバックグラウンドを示している。図37は、1つのステップ(GOなし)または2つのステップ(GOありまたはなし)で行われたRCA反応のスポット数を比較したグラフを提供し、100fmolの標的を含む反応と標的を含まない反応を比較している。これらのデータは、GOを使用すると、標的を含まない対照反応においてバックグラウンドスポットの数が大幅に減少し、アッセイのシグナル:バックグラウンドの結果が改善されることを示している。
【実施例0174】
実施例1
この実施例は、血液試料等の試料からのDNA、例えばcfDNAの分析のワークフローの例を提供する。
試料の採取
患者から標準的な採血において血液を採取する。10mLの血液をStreck採血管または代替のEDTA含有採血管に保存する。試料を周囲温度で実験室に輸送し、以下のように処理する:
・血液を2000xgで20分間、室温で遠心分離し、血液から血漿画分を得る。
・血漿をヌクレアーゼフリーの新しい滅菌ポリプロピレンチューブに移し、3220xgで30分間遠心分離する。
無細胞DNA(cfDNA)の精製
無細胞DNAは、標準的な方法を使用して、例えば、MagMAX Cell-Free DNA単離キット(Thermofisher Scientific、カタログ番号No.A29319)を使用して、血漿から精製する。
アッセイプレートの調製
ガラス底マイクロタイタープレートを処理して、環状化MIPのローリングサークル増幅を開始するオリゴヌクレオチドを固定化する。いくつかのアプローチを使用することができる(例えば、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、E.J.Devor,et al.,“Strategies for Attaching Oligonucleotides to Solid Supports,”Integrated DNA Technologies(2005)を参照されたい)。
【0175】
1)酸による予洗
いずれの方法の場合も、ガラス底プレートは最初に以下のように酸洗浄される:
(a)各ウェルに100μLの0.5N硫酸を添加する。
【0176】
(b)フォイルシールをプレートに追加する。
【0177】
(c)プレートを300RPMで回転させながら、37℃で2時間インキュベートする。
【0178】
(d)ウェルの内容物を除去する。
【0179】
(e)100μLの分子グレードの水でウェルを2回洗浄する。
【0180】
(f)100μLの95%エタノールでウェルを2回洗浄する。
【0181】
2)3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)によるシラン化およびストレプトアビジン-ビオチンプライマー固定化:
(a)200μLの99%APTES(Sigma Aldrich、カタログ番号440140)、500μLの分子グレードの水、および9.3mlの95%エタノールを添加することにより、2%APTESを調製する。
【0182】
(b)溶液をボルテックスし、100μLを各ウェルにピペットで入れる。
【0183】
(c)室温で15分間インキュベートする。
【0184】
(d)ウェルの内容物を除去する。
【0185】
(e)100μLの95%エタノールでウェルを2回洗浄する。
【0186】
(f)最後の洗浄液を除去する。
【0187】
(g)37℃で24時間プレートをインキュベートする。
プライマー固定化
(h)アミン官能化ガラスプレートに、100μLのTris緩衝生理食塩水中の1ナノグラムのストレプトアビジンを添加する。
【0188】
(i)室温で1時間インキュベートする。
【0189】
(j)100μLのTBSで各ウェルを3回洗浄する。
【0190】
(k)100μLのビオチン化オリゴヌクレオチドの1μM溶液を添加する。
【0191】
(l)室温で1時間インキュベートする。
【0192】
(m)100μLのTBSで各ウェルを3回洗浄する。
【0193】
3)アクリルシラン化とAcryditeプライマー固定化
(a)400μLの99%アクリルシラン(3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、Sigma Aldrich、カタログ番号440159)、1mLの分子グレードの水、および18.6mLの100%エタノールを添加することにより、4%アクリルシランを調製する。
【0194】
(b)各ウェルに100μLの4%アクリルシラン溶液を添加する。
【0195】
(c)室温で15分間インキュベートする。
【0196】
(d)4%アクリルシラン溶液を除去する。
【0197】
(e)1回の洗浄あたり100μLの100%エタノールで各ウェルを4回洗浄する。
【0198】
(f)37℃で24時間プレートをインキュベートする。
【0199】
(g)Acryditeプライマーの溶液を、
(i)250μLの5xTRIS Boron EDTA(TBE)緩衝液、
(ii)500μLの40%アクリルアミド、
(iii)17.5μLの10%過硫酸アンモニウム、
(iv)5μLのテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、
(v)’5’Acrydite(またはアクリル-ホスホロアミダイト)を含む25μLの100μMオリゴヌクレオチドプライマー、
(vi)1.7mLの分子グレードの水を添加することにより調製する。
【0200】
(h)25μLのAcryditeプライマー溶液を各ウェルに添加し、ウェルの底を覆うようにプレートを穏やかに撹拌する。
【0201】
(i)室温で30分間インキュベートする。
【0202】
(j)RCAアッセイを継続する前に、100μLの0.5xTBEでウェルを4回洗浄し、最初の3回の洗浄液を破棄し、最後の洗浄液をウェルに残す。
【0203】
プライマーは、例えば、上述のDevorらによって記載されているような他の方法によって固定化されてもよい。
分子反転プローブプール
プローブプールを使用して、DNA試料、例えばcfDNA試料中の特定の遺伝子座を捕捉し、ローリングサークル増幅用の環状MIPを作り出す。NIPTアッセイは、一般に分子反転プローブのプールを含む。好ましい実施形態において、NIPTアッセイは、約5,000~10,000の分子反転プローブを含む。
・標的となるMIPは、アッセイによって調査される特徴を標的とするように作り出される(例えば、13番染色体、18番染色体、21番染色体、X染色体、Y染色体、およびCHR22q11.2染色体)。
・特徴ごとに約10,000個の固有のMIPが作り出される。
・MIPを一緒に混合して、各プローブがカスタム濃度のプローブプールを作り出す。
MIPによるcfDNAの捕捉とライゲーション
・MIPプールは以下の反応で精製したcfDNAに添加される。
【0204】
○2μLのAMPligase緩衝液(10x)、1μLのMIPプローブプール、16μLのcfDNAプレップ、および1μLのAMPligase(80ユニット)。
【0205】
○反応物を98℃で2分間インキュベートし、45℃に達するまで毎分1度で冷却した後、45℃で2時間維持する。
分子ビーコンプローブ
この技術で使用できる分子ビーコンプローブの例は以下の通りである:
1)5′Alexa 405-CCTCAGGTGTGTAACTCGATCAGmGmAmGmG-dabcyl 3′
2)5’Alexa 488-CC TCA ATG CTG CTG CTG TAC TAC mGmAmG mG-dabcyl 3’
3)5’Alexa 594-CCTCAGGTGTGTAACTCGATCAGmGmAmGmG-BHQ2 3’_
4)5’Alexa 647-CCTCAGCGCTGCCTATTCGAACTmGmAmGmG-BHQ2 3’
5)5′Alexa 750-CCTCAGGTGTGTAACTCGATCAGmGmAmGmG-BHQ3 3′
標準的なローリングサークル増幅アッセイ条件
○100μLのRCA溶液の場合、氷上で組み合わせる
□MIPプローブ-標的DNA調製(例えば、上記のMIP捕捉全体/cfDNA調製、約20μL)
□1X最終濃度用の10μLの10XPhi29緩衝液
1XPhi29DNAポリメラーゼ反応緩衝液
-50mMのTris-HCl
-10mMのMgCl
-10mMの(NHSO
-4mMのDTT
-(25℃でpH7.5)
□200μMのdNTP
□5ユニットのPhi29DNAポリメラーゼ
□100nMのビーコンプローブ
□100μLまでの分子グレードの水
○30℃~37℃で反応時間、例えば90~120分間インキュベートする。
強化型RCA(E-RCA)の条件:
○100μLの強化型RCA溶液の場合、氷上で組み合わせる
□MIPプローブ-標的DNA調製(例えば、上記のMIP捕捉全体/cfDNA調製、約20μL)
□1X最終濃度用の10μLの10XPhi29緩衝液
□800μMのdNTP
□80ユニットのPhi29DNAポリメラーゼ
□1000nMのビーコンプローブ
□100μLまでの分子グレードの水
○30℃~37℃で反応時間、例えば90~120分間インキュベートする。
【0206】
表面上での1段階強化型ローリングサークル増幅
□ローリングサークル増幅(RCA)溶液の調製
○100μLのRCA溶液の場合、氷上で組み合わせる
□MIPプローブ-標的DNA調製(例えば、上記のMIP捕捉全体/cfDNA調製、約20μL)
□1X最終濃度用の10μLの10XPhi29緩衝液
□1XPhi29DNAポリメラーゼ反応緩衝液
-50mMのTris-HCl
-10mMのMgCl
-10mMの(NHSO
-4mMのDTT
-(25℃でpH7.5)
□0.4mMの総dNTP最終濃度用の4μLの10mM dNTP
□50μLの濾過された30%のPEG600
□最終濃度0.5μMの0.5μLの100μM分子ビーコン
□8μLのPhi29ポリメラーゼ(10ユニット/μL)、および
□22.5μLの分子グレードの水
○例えば、ボルテックスにより溶液を混合し、結合させたプライマーを含む処理済みガラス表面にピペットで移し、次いでプレートをシールする。
【0207】
○サーモリッドを備えたサーモミキサーの平底ヒートブロック上で、プレートを45℃で90分間インキュベートする。
【0208】
○ウェルの内容物を除去し、100μLの1×TBSで2回ウェルを洗浄し、洗浄液を廃棄する。
【0209】
○以下に説明するように、100μLの1×TBSを添加し、顕微鏡で画像化する。
IXM4顕微鏡(Molecular Devices、San Jose,CA)による試料のイメージング
典型的には、20x、40x、または60xの対物レンズが撮像に使用される。
・プレートをIXM4顕微鏡に配置し、次のように画像化する:
○蛍光強度値における広いダイナミックレンジ(16ビット画像等、使用するカメラの最大範囲)を保証するようにプレートが自動で露出される。
【0210】
○プレートの各ウェルは、約100枚の画像にさらに分割される。
【0211】
ハイスループットアッセイでは、自動顕微鏡を使用してもよい。
画像分析
・画像は以下のように解析される:
○相対蛍光強度は、試料を含まない画像(陰性対照)において決定した。
【0212】
○閾値は、陰性対照からの平均相対蛍光強度に3を乗じることにより決定した。
【0213】
○閾値を超えるスポットを各チャネルで計数する。
1段階プロトコルの変形例
クラウディング試薬(例えばPEG)の添加:分子グレードの水中に30%溶液を調製し、孔径0.2μmのフィルターで濾過する。RCA反応にPEGを添加し、RCAに添加される水が一定の体積を維持するように調整する。
【0214】
ビーコン:所望の濃度を添加し、RCAに添加される水が一定の体積を維持するように調整する。
【0215】
dNTP:所望の濃度を添加し、RCAに添加される水が一定の体積を維持するように調整する。
【0216】
酸化グラフェン:実施例2に記載されるように、2段階の反応を実施し、標識プローブで酸化グラフェンを添加する。
【0217】
実施例2
酸化グラフェンを含む表面上での2段階ローリングサークル増幅を使用した検出
氷上でローリングサークル増幅(RCA)溶液を調製する。
【0218】
○100μLのRCA溶液(分子ビーコンを含まない)の場合、以下を組み合わせる: □MIPプローブ-標的DNA調製(例えば、上記のMIP捕捉/cfDNA調製全体、約20μL)
□1X最終濃度用の10μLの10XPhi29緩衝液
□1XPhi29DNAポリメラーゼ反応緩衝液
-50mMのTris-HCl
-10mMのMgCl
-10mMの(NHSO
-4mMのDTT
-(25℃でpH7.5)
□0.4mMの総dNTP最終濃度用の4μLの10mM dNTP
□50μLの濾過された30%のPEG600
□8μLのPhi29ポリメラーゼ(10ユニット/μL)、および
□23μLの分子グレードの水
○ボルテックスにより溶液を混合し、処理済みガラス表面にピペットで移し、プレートをシールする。
【0219】
○サーモリッドを備えたサーモミキサーの平底ヒートブロック上で、プレートを45℃で90分間インキュベートする。
【0220】
○ウェルの内容物を除去し、100μLの1×TBSで3回ウェルを洗浄し、洗浄液を廃棄する。
【0221】
○以下を含む50μLの酸化グラフェン-分子ビーコン溶液を添加する:
□1X最終濃度用の5μLの10XPhi29緩衝液
□最終濃度0.5μMの0.5μLの100μMモレキュラービーコン
□最終濃度0.2mg/mLの5μLの2mg/mL酸化グラフェン溶液
□50μLまでの分子グレードの水
○37℃で60分間インキュベートする
○100μLの1xTBSで3回洗浄する。
【0222】
○5%w:vのTween20を含む100μLの1×TBSで1回洗浄する。
【0223】
○100μLの1×TBSで2回洗浄し、洗浄液を廃棄する。
【0224】
○上記のように、100μLの1×TBSを添加し、顕微鏡で画像化する。
【0225】
本明細書の開示により、開示されるフロントエンドの標的認識システムのそれぞれは、上述のバックエンドの機器およびシステムのいずれか1つで使用するために検出可能なシグナルを生成するように構成できることは容易に明らかである。
【0226】
その他の参考資料
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上記の参考文献に記載されている刊行物を含み、限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびインターネットのWebページを含む、本出願に引用されている全ての文献および同様の資料は、任意の目的のために参照により全体が明示的に組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本明細書に記載される様々な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。組み込まれた参考文献の用語の定義が本教示で提供される定義と異なると考えられる場合、本教示に提供される定義が支配するものとする。
【0227】
記載される技術の範囲および趣旨から逸脱することなく、記載される組成、方法、および技術の使用の様々な修正例および変形例が、当業者には明らかであろう。本技術は特定の例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学、分子診断、核酸構造、生化学、医学、または関連分野の当業者に明らかな、本発明を実施するための記載される様式の様々な修正例は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
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【配列表】
2023179416000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持体上の環状化核酸を計数するための方法であって、
a)環状化核酸にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む少なくとも1つの複合体を形成することであって、前記プライマーは固体支持体表面に結合している、形成することと、
b)
i)ローリングサークル増幅(RCA)反応において前記複合体中の前記プライマーを伸長させてRCA産物を形成することであって、ここでRCA産物を形成することが、400から800の間の平均分子量を有する少なくとも12%のPEGを含む反応混合物中で、固体支持体表面に結合した前記プライマーを前記環状化核酸上で伸長させる事を含む、形成することと、
ii)複数の標識プローブを前記RCA産物にハイブリダイズさせることと、
iii)ハイブリダイズした標識プローブを検出することと、
を含むプロセスにおいて、前記少なくとも1つの複合体の形成を検出することと、を含み、
ここで、前記固体支持体表面上のある位置におけるハイブリダイズした標識プローブは、前記固体支持体上の前記位置における、環状化核酸にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含む複合体の形成を示す、方法。
【請求項2】
固体支持体表面が、ガラスを含むシラン処理表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プライマーが固体支持体表面に直接結合し、ここで
i)前記プライマーが固体支持体表面に共有結合的に結合している、またはii)前記プライマーがビオチン部分を含み、前記固体支持体表面がアビジンまたはストレプトアビジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記環状化核酸が、
i)分子反転プローブ(MIP)を核酸分子の試料にハイブリダイズして少なくとも1つのハイブリダイズしたMIPを生成することと、
ii)ライゲーション反応混合物中で前記少なくとも1つのハイブリダイズしたMIPを環状化させ、少なくとも1つの環状化核酸を形成することと、を含む方法によって提供される環状化MIPである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸分子の試料が対象由来の試料からのDNAを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
対象由来の試料が血液試料または血液製剤試料である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
標識プローブを前記RCA産物にハイブリダイズさせることが、100nM超の標識プローブをさらに含む反応混合物中で前記RCA産物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
標識プローブにハイブリダイズした複数のRCA産物が前記固体支持体表面上に分散して固定化され、前記複数のRCA産物の少なくとも一部が、前記ハイブリダイズした標識プローブの検出によって個々に検出可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
RCA産物の前記分散が不規則である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの標識プローブが蛍光標識を含み、および前記検出することが蛍光を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
蛍光を検出することが、蛍光顕微鏡観察を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複数の異なるRCA産物が、全てが同じ標識を含む標識プローブにハイブリダイズされている、請求項8に記載の方法
【請求項13】
a)反応性基を含むシラン処理表面を前記固体支持体上に提供することと
b)前記シラン処理表面上の複数の位置において標識された複合体を形成することであって、ここで各標識された複合体はRCA産物にハイブリダイズした標識プローブを含む、形成することと、
c)前記シラン処理表面上の前記標識された複合体を計数すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応性基が、以下:
アクリル基;および
反応性アミン基、のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シラン処理表面が、3-アミノプロピルトリエトキシシランまたは3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで処理したガラス表面を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
a)複数の複合体に結合したシラン処理表面を持つ固体支持体であって、ここで各複合体は環状化核酸にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマーを含み、ここで前記プライマーは前記固体支持体に結合し、ここで
i)前記プライマーは前記シラン処理表面に共有結合的に結合している、または
ii)前記プライマーはビオチン部分を含み、および前記シラン処理表面はアビジンまたはストレプトアビジンを含む、固体支持体、ならびに
b)前記複数の複合体と接触する反応混合物であって、DNAポリメラーゼと、400から800の間の平均分子量を有する少なくとも12%のPEGとを含む、反応混合物、を含む、組成物。
【請求項17】
前記反応混合物が、蛍光標識を含む標識プローブをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記プライマーが不規則に分散して前記固体支持体に結合している、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記PEGが600の平均分子量を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が少なくとも16%(w:v)のPEGを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が少なくとも18%(w:v)のPEGを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が少なくとも20%(w:v)のPEGを含む、請求項16に記載の組成物。
【外国語明細書】