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特開2023-180670情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180670
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094173
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】服部 潤
(72)【発明者】
【氏名】古賀野 源太郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】交差点において走行車線と対向車線のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得するための技術を提供する。
【解決手段】自車両の前方にある交差点において走行車線20上にある第1セクション24と対向車線22上にある第2セクション26との位置を特定するためのセクション位置情報を取得する第1情報取得部と、交差点の走行中に運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存する第2情報取得部と、交差点の走行中に自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出する自車位置算出部と、自車位置情報により特定される自車位置が第1セクション24及び第2セクション26のいずれに存在するか判定するセクション判定部と、セクション判定部による判定結果に基づいて、第1セクション24及び第2セクション26の少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを履歴情報から抽出する抽出部と、を備える情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得する第1情報取得部と、
前記交差点の走行中に自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存する第2情報取得部と、
前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出する自車位置算出部と、
前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定するセクション判定部と、
前記セクション判定部による判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出する抽出部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1セクションと前記第2セクションとの間の境界位置は、前記走行車線と前記対向車線の間にある中央線又は自車走行路の幅員の二等分位置を前記交差点まで延長した位置として特定される請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両挙動情報は、自車両の車速及びヨーレートを含み、
前記自車位置情報は、前記交差点に対する進入位置から自車位置までの幅員方向距離であり、
前記位置算出部は、前記車速及び前記ヨーレートに基づいて、前記交差点に進入してから特定時刻までの間の単位時間毎の幅員方向での走行距離を積算した積算値を、前記特定時刻での前記幅員方向距離として算出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車速及び前記ヨーレートのそれぞれは、自車両に搭載されるセンサから出力される請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記運転特性パラメータの抽出対象となるセクション内で取得した同種の複数の運転特性パラメータの中から、極値となる運転特性パラメータを抽出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部により抽出した前記運転特性パラメータに基づいて、前記ドライバーの運転行動を評価する評価部を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得するステップと、
前記交差点の走行中に自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存するステップと、
前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車両の存在する自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出するステップと、
前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出するステップと、を含む情報処理方法。
【請求項8】
自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得するステップと、
前記交差点の走行中に自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存するステップと、
前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車両の存在する自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出するステップと、
前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出するステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転行動の評価に用いられる運転特性パラメータを取り扱う情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、交差点の手前にある停止線を通過する前後でドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータを取得し、取得した運転特性パラメータを用いて停止線に対する運転行動を評価するための技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-051341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左側通行の国において、交差点を右折して通過する場合、交差点において自車両の走行する走行車線と対向車線とでドライバーによる運転操作は大きく変わり得る。右側通行の国において、交差点を左折して通過する場合も同様である。よって、交差点の右左折時の運転行動を適切に評価するうえで、交差点において走行車線と対向車線のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得できると望ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、交差点において走行車線と対向車線のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明のある態様は情報処理装置である。この情報処理装置は、自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得する第1情報取得部と、前記交差点の走行中に自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存する第2情報取得部と、前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出する自車位置算出部と、前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定するセクション判定部と、前記セクション判定部による判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出する抽出部と、を備える。
【0007】
情報処理装置は、前記抽出部により抽出した前記運転特性パラメータに基づいて、前記ドライバーの運転行動を評価する評価部を備えてもよい。この評価部は、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて評価してもよい。
【0008】
本発明の別の態様は情報処理方法である。この情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得するステップと、自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存するステップと、前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車両の存在する自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出するステップと、前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出するステップと、を含む。
【0009】
本発明の別の態様はプログラムである。このプログラムは、自車両の前方にある交差点において自車両の走行する走行車線上にある第1セクションと対向車線上にある第2セクションとの位置を特定するためのセクション位置情報を取得するステップと、自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得し、逐次取得された車両挙動情報に含まれるドライバーの運転特性を表す運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存するステップと、前記車両挙動情報に基づいて、前記交差点の走行中に自車両の存在する自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出するステップと、前記セクション位置情報に基づいて、前記自車位置情報により特定される自車位置が前記第1セクション及び前記第2セクションのいずれに存在するか判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1セクション及び前記第2セクションの少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを前記履歴情報から抽出するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、交差点において走行車線と対向車線のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の情報処理装置の利用シーンを模式的に示す図である。
図2】実施形態の車両システムの構成を示すブロック図である。
図3】交差点内での自車位置情報の算出方法に関する説明図である。
図4】右折時の第1セクション内での自車位置と幅員方向距離Sxとに関する説明図である。
図5】右折時の第2セクション内での自車位置と幅員方向距離Sxとに関する説明図である。
図6】左折時の自車位置と幅員方向距離Sxとに関する説明図である。
図7】抽出部による抽出対象となる運転特性パラメータを示す表である。
図8】パラメータ抽出処理及び運転行動評価処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0013】
図1は本実施形態の情報処理装置の利用シーンを模式的に示す図である。情報処理装置は、自車両の走行する自車走行路10上に一時停止規制のある交差点12(以下、一時停止交差点12ともいう)がある場合に用いられる。一時停止交差点12の手前には路面標示としての停止線14があり、その周辺には道路標示としての一時停止の標識16がある。
【0014】
自車走行路10は、自車両18の走行する走行車線20と、対向車が走行する対向車線22とによって構成される。ここでの走行車線20、対向車線22の車線数は単数であるが、それらの車線数は、互いの車線数に関わりなく複数でもよい。以下、自車走行路10の幅方向に関して幅員方向Aともいう。幅員方向Aは、走行車線20上を車両が進行すべき進行方向に直交する方向でもある。
【0015】
ここでは、交差点12を右左折して通過する際に、交差点12において走行車線20と対向車線22のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得するための仕組みを説明する。これを実現するため、交差点12を二つのセクション24、26に分割して取り扱う。二つのセクション24、26とは、走行車線20上にある第1セクション24と、対向車線22上にある第2セクション26とである。第1セクション24は、交差点12の手前にある走行車線20を交差点12まで延長した位置にある。第2セクション26は、交差点12の手前にある対向車線22を交差点12まで延長した位置にある。
【0016】
第1セクション24は、第1セクション24に進入するときに通る入口24aと、第1セクション24を右折して退出するときに通る第1出口24bと、第1セクション24を左折して退出するときに通る第2出口24cとを備える。本実施形態の第1セクション24の入口24aは、走行車線20において交差点進入位置(後述する)を幅員方向Aに延長した位置に設けられる。第1出口24bは、二つのセクション24、26の境界位置P28(以下、セクション境界位置P28ともいう)に設けられ、第2出口24cは、第1セクション24の幅員方向外側の末端位置P24に設けられる。第2セクション26は、第2セクション26に進入するときに通る入口26aと、第2セクション26を退出するときに通る第2出口26bとを備える。入口26aは、セクション境界位置P28に設けられ、第2出口26bは、第2セクション26の幅員方向外側の末端位置P26に設けられる。
【0017】
図2は、本実施形態の情報処理装置30を用いた車両システム32の構成を示すブロック図である。車両システム32は、車載システム34と、サーバ36とを備える。車載システム34は、自動車である自車両に搭載されている。車載システム34は、ネットワーク38を介してサーバ36と無線通信可能である。
【0018】
車載システム34は、情報処理装置30の他に、センサ群40と、カメラ42と、を備える。情報処理装置30、センサ群40及びカメラ42は、CAN(Control Area Network)等の車内ネットワークを介して互いに接続されている。
【0019】
センサ群40は、自車両に搭載されている。センサ群40は、自車両の車速を検出する車速センサ40Aと、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル量を検出するアクセルセンサ40Bと、ブレーキペダルの踏み込み量であるブレーキ量を検出するブレーキセンサ40Cと、自車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ40Dと、を備える。センサ群40の各センサは、各種の物理量を定期的に検出し、その検出した物理量を車内ネットワークを介して情報処理装置30に出力する。
【0020】
カメラ42は、自車両に搭載されている。カメラ42は、自車両の前方の画像を所定のフレームレート(例えば、30fps)で定期的に撮像し、その撮像した画像を車内ネットワークを介して情報処理装置30に逐次出力する。
【0021】
情報処理装置30は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を組み合わせて構成される。また、情報処理装置30は、ソフトウェア的には、コンピュータプログラム等によって実現される。ここでは、これらの連携によって実現される機能ブロックを描く。これらの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろな態様で実現できることは、当業者に理解されるところである。
【0022】
情報処理装置30は、画像取得部44と、検出部46と、第1情報取得部48と、第1自車位置算出部50と、進入判定部52と、第2情報取得部54と、第2自車位置算出部56と、セクション判定部58と、抽出部60と、評価部62と、記憶部64と、を備える。
【0023】
記憶部64は、プログラム66と、運転行動評価モデル68とを記憶している。プログラム66は、交差点12を右左折するときに特定の運転特性パラメータを抽出するためのパラメータ抽出処理と、抽出した運転特性パラメータを用いて運転行動を評価する運転行動評価処理とを行うために用いられる。情報処理装置30は、記憶部64から読み出したプログラム66を実行し、画像取得部44等の機能を実行することでパラメータ抽出処理、運転行動評価処理を行う。パラメータ抽出処理は、画像取得部44、検出部46、第1情報取得部48、第1自車位置算出部50、進入判定部52、第2情報取得部54、第2自車位置算出部56、セクション判定部58、抽出部60の機能により実現される。運転行動評価処理は、評価部62の機能により実現される。
【0024】
運転行動評価モデル68は、右折及び左折のそれぞれの運転行動に対応する複数種の運転特性パラメータを説明変数とし、その運転行動を評価する指標値を目的変数とする。運転行動評価モデル68は、右折の運転行動に対応する第1運転行動評価モデルと、左折の運転行動に対応する第2運転行動評価モデルとを含む。運転行動評価モデル68は、例えば、以下の式(1)により表される。ここでは、説明変数となる運転特性パラメータが八種類(x1~x8)ある左折に対応する第2運転行動評価モデルを例に説明する。また、ここでは、運転行動の安全度合を評価する指標値が目的変数となる例を説明する。運転行動評価モデル68に説明変数となる運転特性パラメータを入力することで、目的変数となる指標値が出力され、その指標値により運転行動の安全度合を評価できる。ここでは、a1~a8、a0は係数であり、後述の機械学習によって算出される。
(安全度合)=a1・x1+a2・x2+a3・x3+a4・x4+a5・x5+a6・x6+a7・x7+a8・x8+a0 ・・・(1)
【0025】
運転行動評価モデル68は、例えば、機械学習により生成された学習済みモデルが用いられる。学習済みモデルを生成するための機械学習は、例えば、サーバ36上において、複数の学習用データを含む学習用データセットを用いた教師あり学習により行われる。学習用データは、車両のドライバーの認知レベルを評価する指標値と、ドライバーが特定の運転行動(左折または右折)を行った際に得られた複数種類の運転特性パラメータとを対応付けたものである。認知レベルを評価する指標値は、例えば、TMT(trait making test)等の認知力検査をドライバーが行うことで得られる測定値である。学習用データセットは、複数のドライバーに関する複数の学習用データを含んでいる。機械学習は、例えば、学習用データセットを用いて、認知レベルを評価する指標値を目的変数とし、複数種類の運転特性パラメータを説明変数とする重回帰分析を行い、運転行動評価モデル68の係数を算出することで実現される。学習済みモデルとしての運転行動評価モデル68の係数は、このような機械学習により得られた算出値が用いられる。サーバ36上において学習済みモデルとして生成された運転行動評価モデル68は、サーバ36において記憶部に記憶された後に、サーバ36から車載システム34の情報処理装置30に送信され、その記憶部64に記憶される。
【0026】
画像取得部44は、カメラ42により自車両の前方を撮像した画像を逐次取得する。検出部46は、自車両18の前方にある停止線14等の物体の有無を検出する物体検出処理を行う。検出部46は、公知手法を含む種々の物体検出手法を用いて物体検出処理を行ってもよい。本実施形態の検出部46は、画像取得部44により取得した画像に基づいて物体検出処理を行う。この場合、物体検出手法は、例えば、機械学習を利用したR-CNN(Regions with Convolutional Neural Networks)、YOLO(You Only Look Once)、SSD(Single Shot Multibox Detector)等の他、パターンマッチング等を用いても実現してもよい。この他にも、検出部46は、カーナビゲーションシステムに保存されている地図情報とGPSによって推定される自車位置情報を用いて自車両の前方にある物体の有無を検出してもよい。
【0027】
検出部46は、物体検出処理により自車両18の前方にある交差点12を検出する。本実施形態の検出部46は、自車両18の前方にある停止線14と一時停止の標識16とを検出したとき、交差点12の存在を検出する。この他に、検出部46は、交差点12の手前において自車走行路10の幅員方向両側にある路面標示としての左右の車道幅員線70(図1参照)を検出する。また、検出部46は、交差点12の手前において走行車線20と対向車線22の間に路面標示としての中央線72がある場合は中央線72を検出する。
【0028】
第1情報取得部48は、自車両の前方にある交差点12を検出した場合、その交差点12において第1セクション24と第2セクション26との位置を特定するためのセクション位置情報を取得する。
【0029】
図1を参照する。セクション位置情報は、各セクション24、26の幅員方向外側の末端位置P24、P26を特定するための情報を含む。第1セクション24の末端位置P24は、交差点12の手前にある自車走行路10の走行車線20側の一端位置P10aを交差点12まで延長した位置として特定される。第2セクション26の末端位置P26は、交差点12の手前にある自車走行路10の対向車線22側の他端位置P10bを交差点12まで延長した位置として特定される。この自車走行路10の両端位置P10a、P10bは、例えば、検出部46により検出された左右の車道幅員線70の位置として特定される。各セクション24、26の末端位置P24、P26を特定するための情報は、このような自車走行路10の両端位置P10a、P10bを特定するための情報となる。
【0030】
セクション位置情報は、第1セクション24と第2セクション26のセクション境界位置P28を特定するための情報を含む。セクション境界位置P28は、走行車線20と対向車線22の間に中央線72がある場合、その中央線72を交差点12まで延長した位置として特定される。この場合、セクション境界位置P28を特定するための情報は、中央線72の位置を示す情報となる。セクション境界位置P28は、走行車線20と対向車線22の間に中央線72がない場合、自車走行路10の幅員L1の二等分位置を交差点12まで延長した位置として特定される。この場合、セクション境界位置を特定するための情報は、自車走行路10の両端位置P10a、P10bを示す情報と、自車走行路10の幅員L1を示す情報とを含む。
【0031】
本実施形態の第1情報取得部48は、画像取得部44により逐次取得される画像を画像解析することで、セクション位置情報(自車走行路10の両端位置P10a、P10b、幅員L1、中央線72の位置を示す情報)を取得する。この他にも、第1情報取得部48は、カーナビゲーションシステムに保存されている地図情報とGPSによって推定される自車位置情報を用いてセクション位置情報を取得してもよい。
【0032】
第1自車位置算出部50は、交差点12に進入する前の、セクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離を算出する。ここでの自車位置は、例えば、自車両18の左右中心位置と自車両18の前端との交点によって特定される。本実施形態の第1自車位置算出部50は、画像取得部44により取得した画像を用いた画像解析により、セクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離を算出する。この他にも、第1自車位置算出部50は、カーナビゲーションシステムの地図情報とGPSによって推定される自車位置情報を用いて、セクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離を算出してもよい。
【0033】
進入判定部52は、自車両18の前方にある交差点12に進入したか否を判定する。本実施形態の進入判定部52は、自車両18の前方にある停止線14を用いて、画像取得部44により取得した画像に基づいて、交差点12に進入したか否かを判定する。詳しくは、進入判定部52は、検出部46により検出された停止線14がカメラ42の視野外に消失した画像を取得したときに、停止線14を通過して交差点12に進入したと判定する。進入判定部52は、検出していた停止線14がカメラ42の視野内で継続して検出できるとき、停止線14を通過しておらず交差点12に進入していないと判定する。ここでの「カメラ42の視野外」とは、カメラ42の画角となる画角外範囲の他に、カメラ42の画角内かつ自車両により隠れて死角となる死角範囲を含む。この他にも、進入判定部52は、カーナビゲーションシステムの地図情報とGPSによって推定される自車位置情報に基づいて、交差点12に進入したか否かを判定してもよい。このとき、自車位置情報により推定される自車位置が地図情報により特定される停止線14を通過したときに交差点12に進入したと判定してもよい。
【0034】
第2情報取得部54は、交差点12の走行中に自車両の挙動に関する車両挙動情報を逐次取得する。本実施形態の車両挙動情報は、自車両の車速、アクセル量、ブレーキ量及びヨーレートを含む。車両挙動情報は、センサ群40から車両ネットワークを介してCANデータとして逐次出力される。ここでの「交差点12の走行中」とは、例えば、進入判定部52により交差点12に進入したと判定されてから、後述のセクション判定部58により交差点12を退出したと判定されるまでの期間をいう。
【0035】
また、第2情報取得部54は、交差点12の走行中に逐次取得された車両挙動情報に含まれる複数種の運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存する。履歴情報は、進入判定部52により交差点12に進入したと判定されてから、セクション判定部58により交差点12を退出したと判定されるまでの間に単位時間毎に取得した複数種の運転特性パラメータの履歴である。履歴情報は、単位時間毎に取得した複数種の運転特性パラメータと、複数種の運転特性パラメータの取得時刻と紐付けた情報である。ここでの複数種の運転特性パラメータとは、本実施形態では、自車両の車速、アクセル量、ブレーキ量をいう。ここでの単位時間は、カメラ42の1フレーム分の時間長(フレームレートの逆数)に設定される。この単位時間は、これに限定されず、他の時間長に設定されてもよい。
【0036】
第2自車位置算出部56は、進入判定部52により交差点12に進入したと判定した場合、車両挙動情報に基づいて、交差点12の走行中に自車両の存在する自車位置を特定するための自車位置情報を逐次算出する。第2自車位置算出部56は、交差点12に対する進入位置(以下、交差点進入位置という)から自車位置までの幅員方向距離を自車位置情報として逐次算出する。この交差点進入位置は、例えば、進入判定部52により交差点12に進入したと判定されたとき、自車両18の前端のある位置をいう。この交差点進入位置は、例えば、進入判定部52により交差点12に進入したと判定されたとき、第1自車位置算出部50により直近で算出された幅員方向距離の分だけセクション境界位置P28から走行車線20側に離れた位置として特定される。第2自車位置算出部56は、履歴情報に保存された運転特性パラメータの取得時間(単位時間)毎に交差点12内での自車位置を算出する。
【0037】
第2自車位置算出部56は、車両挙動情報としての自車両の車速及びヨーレートに基づいて、以下の流れで、交差点進入位置から自車位置までの幅員方向距離を算出する。
【0038】
図3は、交差点内での自車位置情報の算出方法に関する説明図である。交差点進入位置を基準座標とする。幅員方向AをX方向とし、走行車線20上での走行方向をY方向とする。X方向の正は基準座標から見て右折方向とし、Y方向の正は基準座標から見た走行方向とする。
【0039】
基準座標からn単位時間分だけ自車両が走行した位置での自車両18の車速ベクトルをV[n]、Y方向軸に対する自車両18の角度をΦ[n]とする。ここでの単位時間は、前述の通り、カメラ42の1フレーム分の時間長をいう。このとき、以下の式(1)が成立する。ここで、YR[n]はn単位時間目のヨーレート(deg/sec)であり、Δnは単位時間当たりの時間刻み幅(sec)である。ここでのΔnは1フレーム分の時間長となる。交差点12に進入してから特定時刻(n単位時間目の時刻)までの間の単位時間毎の角度変化量(YR[n])を積算した積算値によって、特定時刻での角度Φ[n]が算出されることになる。
Φ[n]=Φ[n-1]+Δn×YR[n] ・・・(1)
【0040】
n単位時間目の自車位置からn+1単位時間目の自車位置までの自車両の車速ベクトルV[n]の方向への移動距離をSframe[n]とすると、以下の式(2)が成立する。
frame[n]=Δn×V[n] ・・・(2)
【0041】
n単位時間目の基準座標に対するX方向距離をSx[n]とし、Y方向距離をSy[n]とする。このSx[n]が特定時刻(n単位時間目の時刻)にあるときの幅員方向距離となる。このとき、Sx[n]、Sy[n]は、それぞれ、以下の式(3)、(4)により表すことができる。なお、基準座標にあるときをn=0とし、Sx[0]=0、Sy[0]=0である。
Sx[n]=Sx[n-1]+Sframe[n]×sinΦ[n] ・・・(3)
Sy[n]=Sy[n-1]+Sframe[n]×cosΦ[n] ・・・(4)
【0042】
frame[n]×sinΦ[n]は単位時間毎の自車両18の幅員方向Aでの走行距離を表す。式(3)の特定時刻にあるときの幅員方向距離Sx[n]は、交差点12に進入してから特定時刻(n単位時間目の時刻)までの間の単位時間毎の幅員方向Aでの走行距離を積算した積算値によって表されることになる。このSx[n]は、Δnの他、単位時間毎の車速V[n]、ヨーレートYR[n]を用いて算出できる。
【0043】
第2自車位置算出部56は、車両挙動情報に含まれる単位時刻毎の車速V[n]、ヨーレートYR[n]と、予め記憶部64に格納されたΔnに基づいて、n単位時間目に相当する特定時刻での基準座標に対する幅員方向距離Sx[n]を算出する。このとき、第2自車位置算出部56は、式(1)~(3)を用いて、幅員方向距離Sx[n]を算出する。また、車速は、車速センサ40Aから出力されるものを用いて、ヨーレートは、ヨーレートセンサ40Dから出力されるものを用いる。第2自車位置算出部56は、この幅員方向距離Sx[n]を、特定時刻での自車位置情報として算出する。
【0044】
セクション判定部58は、以下のように、第1情報取得部48により取得したセクション位置情報と、第2自車位置算出部56により算出した自車位置情報とに基づいて、自車両が右左折して交差点12から退出したか否かを判定する。
【0045】
図4図5は右折時の自車位置と幅員方向距離Sxとに関する説明図である。まず、セクション判定部58は、交差点進入位置からセクション境界位置P28までの距離S1rightと、セクション境界位置P28から第2セクション26の末端位置P26までの距離S2とを導出する。距離S1rightは、進入判定部52により交差点12に進入したと判定したとき、第1自車位置算出部50により直近で算出した、セクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離が用いられる。距離S2は、対向車線22全体の幅員を表す。距離S2は、中央線72がある場合は、自車走行路10の対向車線22側の末端位置から中央線72までの距離となり、中央線72がない場合は、自車走行路10の幅員L1を二等分した値となる。距離S2は、いずれの場合もセクション位置情報を用いて導出される。また、セクション判定部58は、距離S1rightと距離S2との合算値(=S1right+S2)を導出する。この合算値は、交差点進入位置から第2セクション26の出口26bまでの距離を表す。
【0046】
セクション判定部58は、自車位置情報としてのSxが正であり、そのSxが導出したS1right+S2を超えた場合、自車両が右折して交差点12を退出したと判定する。セクション判定部58は、交差点進入位置とセクション位置情報を用いて導出される第2セクション26の出口位置(S1right+S2)を自車位置情報により特定される自車位置(Sx)が超えた場合、前述のように交差点12を退出したと判定することになる。
【0047】
図6は、左折時の自車位置と幅員方向距離Sxとに関する説明図である。セクション判定部58は、交差点進入位置から第1セクション24の末端位置P24までの距離S1leftを導出する。距離S1leftは、第1セクション24の末端位置P24からセクション境界位置P28までの距離S1から、前述した距離S1rightを減算した値により算出できる。距離S1は、中央線72がある場合は自車走行路10の走行車線20側の末端位置から中央線72までの距離となり、中央線72がない場合は、自車走行路10の幅員L1を二等分した値となる。距離S1は、いずれの場合もセクション位置情報を用いて導出される。距離S1leftは、交差点進入位置から第1セクション24の第2出口24cまでの距離を表す。
【0048】
セクション判定部58は、自車位置情報としてのSxが負であり、その|Sx|が導出した|S1left|を超えた場合、自車両が左折して交差点12を退出したと判定する。セクション判定部58は、交差点進入位置とセクション位置情報を用いて導出される第1セクション24の出口位置(S1left)を自車位置情報により特定される自車位置(Sx)が超えた場合、前述のように交差点12を退出したと判定することになる。
【0049】
なお、セクション判定部58は、予め設定される第1セクション24の走行方向の末端位置を自車位置情報としてのSy[n]が超えた場合、自車両が右左折せずに直進したと判定する。
【0050】
セクション判定部58は、自車両が右左折して交差点12を退出したと判定した場合、次のセクション判定処理を行う。セクション判定処理は、以下のように、セクション位置情報に基づいて、自車位置情報により特定される時刻毎の自車位置が第1セクション24及び第2セクション26のいずれにあるかを判定する。
【0051】
図4を参照する。セクション判定部58は、自車両が右折したと判定した場合、距離Sx[n]が距離S1right以下となるとき、その距離Sx[n]となる自車位置は第1セクション24に存在すると判定する。つまり、自車位置情報により特定される自車位置(Sx[n])がセクション境界位置(S1right)を超えていない場合、その自車位置が第1セクション24に存在すると判定する。
【0052】
図5を参照する。セクション判定部58は、自車両が右折したと判定した場合、距離Sx[n]と距離S1rightの差分値(=Sx-S1right)が0超となり、かつ、距離S2以下となるとき、その距離Sxの自車位置は第2セクション26に存在すると判定する。つまり、自車位置情報により特定される自車位置(Sx[n])がセクション境界位置(S1right)を超えており、かつ、第2セクション26の末端位置(S1right+S2)を超えていないとき、その自車位置が第2セクション26に存在すると判定する。
【0053】
図6を参照する。セクション判定部58は、自車両が左折したと判定した場合、距離Sx[n]の絶対値|Sx[n]|が距離S1leftの絶対値|S1left|以下となるとき、その距離Sxとなる自車位置は第1セクション24に存在すると判定する。つまり、自車位置情報により特定される自車位置(|Sx[n]|)が第1セクション24の末端位置(|S1left|)を超えていないとき、その自車位置が第1セクション24に存在すると判定する。
【0054】
抽出部60は、セクション判定部58による判定結果に基づいて、第1セクション24及び第2セクション26の少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを履歴情報から抽出する。例えば、セクション判定部58によって、ある時刻での自車位置が第1セクション24に存在すると判定した場合、抽出部60は、その時刻において取得した運転特性パラメータを第1セクション24に対応しており、第1セクション24内で取得したものとして取り扱う。また、セクション判定部58によって、ある時刻での自車位置が第2セクション26に存在すると判定した場合、抽出部60は、その時刻において取得した運転特性パラメータを第2セクション26に対応しており、第2セクション26内で取得したものとして取り扱う。
【0055】
図7は、抽出部60による抽出対象となる特定の運転特性パラメータの一例を示す。図7の単位は一例である。「第1セクション内最小車速」、「第1セクション内最大車速」、「第2セクション内最小車速」、「第2セクション内最大車速」のそれぞれは、言及しているセクション内で取得した複数の車速の中の極値(最大値又は最小値)となる車速をいう。「第1セクション内最大アクセル量」、「第2セクション内最大アクセル量」のそれぞれは、言及するセクション内で取得した複数のアクセル量の中の極値(最大値)となるアクセル量をいう。「第1セクション内最大ブレーキ量」、「第2セクション内最大ブレーキ量」のそれぞれは、言及するセクション内で取得した複数のブレーキ量の中の極値(最大値)となるブレーキ量をいう。抽出部60は、運転特性パラメータの抽出対象となるセクション内で取得した同種の複数の運転特性パラメータの中から極値となる運転特性パラメータを履歴情報から抽出することで、これらを得ることができる。
【0056】
「第1セクション入口車速」、「第2セクション入口車速」は、言及するセクション内で取得した複数の車速の中の、セクションの入口に進入した直後に取得した車速をいう。「第1セクション出口車速」、「第2セクション出口車速」は、言及しているセクション内で取得した複数の車速の中の、セクションの出口から退出する直前に取得した車速をいう。ここまでの特定の運転特性パラメータは、履歴情報に保存された複数の運転特性パラメータの中から特定の運転特性パラメータそのものを抽出することで得ることができる。
【0057】
「第1セクション内平均車速」、「第2セクション内平均車速」は、言及しているセクション内で取得した複数の車速の平均値をいう。抽出部60は、運転特性パラメータの抽出対象となるセクション内で取得した全車速を抽出し、その抽出した全車速の平均値を算出し、その算出値を抽出対象となる平均車速として抽出することで、これらを得ることができる。
【0058】
「第1セクション入口と出口の速度差」「第2セクション入口と出口の速度差」は、言及しているセクション内で取得した前述の入口車速と出口車速の差分値をいう。抽出部60は、運転特性パラメータの抽出対象となるセクション内で取得した複数の車速の中から入口車速と出口車速を抽出し、その抽出した入口車速と出口車速の差分値を求め、その差分値を抽出対象となる速度差として抽出することで、これらを得ることができる。
【0059】
抽出部60は、セクション判定部58により右折したと判定したとき、その運転行動に対応する運転特性パラメータとして、図7に記載の第1セクション24及び第2セクション26に関する運転特性パラメータを抽出する。本実施形態では図7の計16種類の運転特性パラメータを抽出することになる。抽出部60は、セクション判定部58により左折したと判定したとき、その運転行動に対応する運転特性パラメータとして、図7に記載の第1セクション24に関する運転特性パラメータを抽出する。本実施形態では図7の計8種類の運転特性パラメータを抽出することになる。
【0060】
評価部62は、抽出部60により抽出した運転特性パラメータに基づいて、ドライバーの運転行動を評価する運転行動評価処理を行う。この運転行動評価処理では、セクション判定部58により判定された右折及び左折のいずれかの運転行動に対応する運転行動評価モデル68を記憶部64から読み出す。次に、読み出した運転行動評価モデル68に抽出部60により抽出した運転特性パラメータを入力し、その運転行動評価モデル68の出力により、右折及び左折のいずれかの運転行動の安全度合いを評価する。
【0061】
次に、以上の情報処理装置30の全体的な動作を説明する。図8は、情報処理装置30の行うパラメータ抽出処理及び運転行動評価処理を示すフローチャートである。
【0062】
まず、パラメータ抽出処理を説明する。検出部46は、自車両の前方にある交差点12の有無を検出する(S10)。本実施形態の検出部46は、画像取得部44により取得した画像に基づいて、自車両の前方にある停止線14と一時停止の標識16を検出することで、一時停止交差点12の存在を検出する。第1情報取得部48は、検出部46により交差点12を検出しているとき、セクション位置情報を取得する(S12)。第1自車位置算出部50は、交差点に進入する前の、セクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離を算出する(S14)。進入判定部52は、停止線14を通過して交差点12に進入したか否かを判定する(S16)。進入判定部52により交差点12に進入していないと判定された場合(S16のN)、交差点12に進入すると判定されるまで、第1自車位置算出部50によりセクション境界位置P28から自車位置までの幅員方向距離を繰り返し算出する。
【0063】
進入判定部52により交差点12に進入したと判定された場合(S16のY)、第2自車位置算出部56は、第2情報取得部54により逐次取得される車両挙動情報に基づいて、交差点12内での自車位置情報を逐次算出する(S18)。また、第2情報取得部54は、交差点の走行中に車両挙動情報に含まれる運転特性パラメータの履歴を履歴情報として記憶部64に保存する(S20)。セクション判定部58は、自車両の右左折を判定した場合、自車位置情報により特定される交差点12内での自車位置が第1セクション24及び第2セクション26のいずれにあるか判定する(S22)。抽出部60は、セクション判定部58による判定結果に基づいて、第1セクション24及び第2セクション26の少なくとも一方に対応する特定の運転特性パラメータを履歴情報から抽出する(S24)。これでパラメータ抽出処理が終了する。次に、評価部62は、抽出した運転特性パラメータに基づいて運転行動を評価する運転行動評価処理を行う(S26)。この後に処理を終了する。
【0064】
以上の情報処理装置30は、交差点の走行中に取得した運転特性パラメータの履歴となる履歴情報から、セクション判定部58による判定結果に基づいて、走行車線20上の第1セクション24と対向車線22上の第2セクション26に対応する特定の運転特性パラメータを抽出することができる。よって、交差点12において走行車線20と対向車線22のそれぞれに対応する運転特性パラメータを個別に取得できるようになる。
【0065】
また、車両挙動情報としての自車両の車両及びヨーレートを用いて、単位時間毎の幅員方向での走行距離を積算することで、自車位置情報としての交差点進入位置から自車位置までの幅員方向距離を算出できるようになる。
【0066】
また、自車位置情報としての交差点進入位置から自車位置までの幅員方向距離の算出にあたり、センサから出力される車速及びヨーレートを用いている。よって、誤差の大きいGPSを用いて自車位置情報を算出する場合と比べ、自車位置情報としての幅員方向距離を精度よく算出できるようになる。
【0067】
仮に、基準位置(例えば、交差点進入位置)に対する距離を用いて、基準位置から特定距離だけ離れた定点を通るときに取得できる運転特性パラメータを用いて運転行動を評価する場合を考える。この場合、交差点12の幅員の大きさによって、運転特性パラメータの取得位置となる定点(特に、対向車線22上の定点)を通るときの運転操作が大きく変動し易くなり、それに伴い運転特性パラメータの大きさも変動し易くなる。このため、定点を通るときに取得した運転特性パラメータと運転行動を評価する指標値との相関が弱くなり易く、運転特性パラメータを用いて運転行動を精度よく評価し難くなる。
【0068】
この点、本実施形態によれば、運転特性パラメータの抽出対象となるセクション内で取得した同種の複数の運転特性パラメータの中から極値となる運転特性パラメータを抽出している。この運転特性パラメータの極値の大きさは、交差点の幅員の大きさによって変動し難く、運転行動を評価する指標値との相関が強くなり易くなる。よって、交差点の幅員の大きさによらず、セクション内で極値となる運転特性パラメータを用いて運転行動を精度よく評価し易くなる。
【0069】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。実施形態はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、本開示の構成要素及び表現のいずれかを、方法、装置、システム等の間で相互に置換したものも、本開示の態様として有効である。
【0070】
ここまで、左側通行の国において、交差点を右左折して通過する場合に情報処理装置30を用いる例を説明した。これに替えて、右側通行の国において、交差点を右左折して通過する場合に情報処理装置30を用いてもよい。この場合、実施形態において説明した内容について左右の位置関係を反転させたものとして捉えればよい。例えば、実施形態に記載の「右折」は「左折」に置き換えて捉え、「左折」は「右折」に置き換えて捉えればよいということである。
【0071】
プログラム66は、記憶部64に予め記憶(インストール)されている例を説明した。この他にも、プログラム66は、DVD-ROM等の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0072】
運転行動評価モデル68の入力となる運転特性パラメータの種類数は特に限定されない。実施形態で説明した運転特性パラメータのうちの一部の運転特性パラメータのみを入力としてもよいし、他の運転特性パラメータも入力としてもよい。第2情報取得部54は、実施形態で説明した複数種の運転特性パラメータ以外の運転特性パラメータの履歴を履歴情報として保存してもよいともいえる。
【0073】
パラメータ抽出処理と運転行動評価処理は車載システム34の情報処理装置30により実行される例を説明した。これに替えて、パラメータ抽出処理と運転行動評価処理は、サーバ36により実行されてもよい。この場合、情報処理装置30の機能をサーバ36により実行することになる。また、パラメータ抽出処理は第1情報処理装置(例えば、車載システム34の情報処理装置30)により実行され、運転行動評価処理は第2情報処理装置(例えば、サーバ)により実行されてもよい。
【0074】
運転行動評価処理は、実施形態のようにパラメータ抽出処理の完了直後に実行してもよいし、パラメータ抽出処理の完了後の任意のタイミングで実行してもよい。情報処理装置30は、一時停止規制のある一時停止交差点12に限定されず、一時停止規制のない交差点12に用いられていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
30…情報処理装置、48…第1情報取得部、52…第2情報取得部、56…第2自車位置算出部、58…セクション判定部、60…抽出部、62…評価部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8