(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180725
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】管制装置、路側機、移動制御システム、プログラム、移動制御方法及び移動体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231214BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231214BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094267
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】下大迫 和隆
(72)【発明者】
【氏名】望月 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 若
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181EE15
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
5H181MB02
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成と処理で移動体3の安全な移動を支援できる管制装置、路側機、移動制御システム、プログラム及び移動制御方法を提供すること。
【解決手段】処理部10は、移動体3の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部112と、位置情報と、移動体3の移動が許容される許容区画Aを示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許容区画Aにおいて移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する信号出力処理部130と、を備え、信号出力処理部130は、比較結果に基づいて移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理部と、を備え、
前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する管制装置。
【請求項2】
前記許容区画情報には、前記許容区画内の周縁側に設定される警報領域を示す情報が含まれ、
前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記警報領域に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記警報領域内に存在すると判定した場合に、前記移動体に対して前記移動体が前記警報領域内に存在することを示す警報信号を出力する請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
前記信号出力処理部は、自律移動可能な移動体である前記移動体に前記許可信号を出力する請求項1に記載の管制装置。
【請求項4】
前記請求項1~3のいずれか1項に記載の管制装置の各構成要素を含む路側機であって、前記移動体が移動する道路上または道路脇に設置される路側機。
【請求項5】
移動体と無線通信可能とされており、それぞれ異なるエリアに設置される複数の第1管制装置と、複数の前記第1管制装置と通信可能に接続される第2管制装置と、を備える移動制御システムであって、
前記第2管制装置は、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報を生成し、複数の前記第1管制装置のそれぞれに送信する許容区画情報管理部を有し、
前記第1管制装置は、前記移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記第2管制装置から受信した前記許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理部と、を有し、
前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する移動制御システム。
【請求項6】
前記許容区画情報には、前記許容区画内の周縁側に設定される警報領域を示す情報が含まれ、
前記第1管制装置の前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記警報領域に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記警報領域内に存在すると判定した場合に、前記移動体に対して前記移動体が前記警報領域内に存在することを示す警報信号を出力する請求項5に記載の移動制御システム。
【請求項7】
前記第2管制装置の前記許容区画情報管理部は、時間帯に応じて異なる前記許容区画情報を生成する請求項6に記載の移動制御システム。
【請求項8】
管制装置に含まれるコンピュータに、
移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能と、
前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理機能と、を実行させ、
前記信号出力処理機能では、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力するプログラム。
【請求項9】
管制装置が実行する移動制御方法であって、
移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理ステップと、を含み、
前記信号出力処理ステップでは、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する移動制御方法。
【請求項10】
前記請求項1に記載の管制装置と通信を行う無線通信部と、
自己の位置を推定する自己位置推定部と、
駆動部と、
前記駆動部を制御する移動制御部と、を備え、
前記自己位置推定部は、前記無線通信部を利用して前記管制装置に推定した自己の位置情報を送信し、
前記移動制御部は、前記管制装置から送信されてきた許可信号を前記無線通信部により受信した場合に、前記許可信号に対応した動作を行うように前記駆動部を制御する移動体。
【請求項11】
前記無線通信部は、同じ許容区画内の移動に関する許可信号を異なる管制装置から複数受信する請求項10に記載の移動体。
【請求項12】
前記移動制御部は、前記無線通信部によりあらかじめ定められた数の許可信号を受信した場合に、前記許可信号に対応した動作を行うように前記駆動部を制御する請求項11に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管制装置、路側機、移動制御システム、プログラム、移動制御方法及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の移動を制御する装置が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、自車両及び自車両周辺の状態に関する情報である自動走行情報を取得する取得手段と、自動走行情報に基づき自車両の進行方向及び速度を制御し、自動走行を行う自動走行手段と、自動走行情報に関する問題が生じたか否かを判定する判定手段と、問題が生じた場合には、該問題の内容に応じて、自車両の走行の状態、又は、他車両の走行の状態を変更させる変更手段と、を備える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、移動体の異常状態を適切に判定できる高性能で高額な装置を必要とする。このため、コスト制約により高性能な制御装置を移動体に搭載できない場合、制御装置の冗長化不足や計算能力不足により、移動体の異常状態を適切に判定できず、移動体を安全に移動させることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、これらの事情を鑑み、より簡易な構成と処理で移動体の安全な移動を支援できる管制装置、路側機、移動制御システム、プログラム及び移動制御方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記管制装置により管理および制御される移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)管制装置は、移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理部と、を備え、前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する。
【0007】
(2)(1)に記載の管制装置において、前記許容区画情報には、前記許容区画内の周縁側に設定される警報領域を示す情報が含まれ、前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記警報領域に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記警報領域内に存在すると判定した場合に、前記移動体に対して前記移動体が前記警報領域内に存在することを示す警報信号を出力する。
【0008】
(3)(1)に記載の管制装置において、前記信号出力処理部は、自律移動可能な移動体である前記移動体に前記許可信号を出力する。
【0009】
(4)路側機は、(1)~(3)のいずれか1つに記載の管制装置の各構成要素を含む路側機であって、移動体が移動する道路上または道路脇に設置される。
【0010】
(5)移動制御システムは、移動体と無線通信可能とされており、それぞれ異なるエリアに設置される複数の第1管制装置と、複数の前記第1管制装置と通信可能に接続される第2管制装置と、を備える移動制御システムであって、前記第2管制装置は、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報を生成し、複数の前記第1管制装置のそれぞれに送信する許容区画情報管理部を有し、前記第1管制装置は、前記移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報と、前記第2管制装置から受信した前記許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理部と、を有し、前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する。
【0011】
(6)(5)に記載の移動制御システムにおいて、前記許容区画情報には、前記許容区画内の周縁側に設定される警報領域を示す情報が含まれ、前記第1管制装置の前記信号出力処理部は、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記警報領域に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記警報領域内に存在すると判定した場合に、前記移動体に対して前記移動体が前記警報領域内に存在することを示す警報信号を出力する。
【0012】
(7)(6)に記載の移動制御システムにおいて、前記第2管制装置の前記許容区画情報管理部は、時間帯に応じて異なる前記許容区画情報を生成する。
【0013】
(8)プログラムは、管制装置に含まれるコンピュータに、移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能と、前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理機能と、を実行させ、前記信号出力処理機能では、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する。
【0014】
(9)移動制御方法は、管制装置が実行する移動制御方法であって、移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報と、前記移動体の移動が許容される許容区画を示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記許容区画において前記移動体の移動を許可する許可信号を出力する信号出力処理ステップと、を含み、前記信号出力処理ステップでは、前記比較結果に基づいて前記移動体が前記許容区画内に存在するか否かを判定し、前記移動体が前記許容区画内に存在すると判定した場合に、前記許可信号を出力する。
【0015】
(10)移動体は、(1)~(4)のいずれか1つに記載の管制装置と通信を行う無線通信部と、自己の位置を推定する自己位置推定部と、駆動部と、前記駆動部を制御する移動制御部と、を備え、前記自己位置推定部は、前記無線通信部を利用して前記管制装置に推定した自己の位置情報を送信し、前記移動制御部は、前記管制装置から送信されてきた許可信号を前記無線通信部により受信した場合に、前記許可信号に対応した動作を行うように前記駆動部を制御する。
【0016】
(11)(10)に記載の移動体において、前記無線通信部は、同じ許容区画内の移動に関する許可信号を異なる管制装置から複数受信する。
【0017】
(12)(11)に記載の移動体において、前記移動制御部は、前記無線通信部によりあらかじめ定められた数の許可信号を受信した場合に、前記許可信号に対応した動作を行うように前記駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より簡易な構成と処理で移動体の安全な移動を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移動制御システムと移動制御システムが適用される道路の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る路側機のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る移動制御システムにおける許容区画と管制対象エリアの位置関係を示す模式図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る移動制御システムにおける許容区画と管制対象エリアの位置関係を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る管制サーバのハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る移動制御システムにおける移動体のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る移動制御システムと移動制御システムが適用される道路の一例を示す概略図であり、移動体が許容区画外に位置する状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における路側機によって実行される移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態における路側機によって実行される移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図9】移動体3によって実行される移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】移動体3によって実行される移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の変形例における移動制御システムと移動制御システムが適用される無人飛行体の飛行経路の一例を示す概略図である。
【
図12】本発明の変形例における移動制御システムと移動制御システムが適用される道路の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る移動制御システムSについて説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0021】
<移動制御システムSの構成と動作について>
本発明の一実施形態に係る移動制御システムSの全体的な構成について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る移動制御システムSが適用される道路4の一例を示す概略図である。
【0022】
移動制御システムSは、移動体3が道路4上の定められた区画を移動するように移動体3を制御するシステムである。移動制御システムSは、道路4上または道路4脇などの道路4の周辺に設置され、道路4上を走行する車両である移動体3と無線通信可能な複数の路側機1と、複数の路側機1のそれぞれと通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される管制サーバ2と、を備える。複数の路側機1のそれぞれは後述する処理部10(管制装置、第1管制装置)を含み、管制サーバ2は後述する処理部20(管制装置、第2管制装置)を含む。即ち、移動制御システムSは、複数の移動体3と無線通信可能とされている複数の処理部10と、複数の処理部10と通信可能に接続される処理部20と、を備える。
図1に示すように、本実施形態では、車両の自動運転を制御するシステムを例に説明する。
【0023】
移動体3は、例えば自律移動可能な自動運転車両である。移動体3は、推定した自己の位置情報と、移動体3の周囲のマップ情報に基づいて自動運転を行う。移動体3は、路側機1と無線通信可能に構成される。
【0024】
通信ネットワークNWは、プライベートネットワークやインターネットを含むような広域通信網WAN(wide area network)が考えられる。前者のプライベートネットワークでは、例えばOLT(optical line terminal)、OLTと光回線を介して接続される複数のONU(optical network unit)等によって形成されたPONアクセスシステムや、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチなどで構成することができる。一方でWAN通信網の例では、例として、MPLS(Multiprotocol Label Switching)ネットワークなどで構成される。
【0025】
路側機1は、RSU(road side unit)等とも呼ばれる。複数の路側機1は、道路4の周辺(路側)等におけるそれぞれ異なるエリアに設置される。エリアとは、各路側機1が各移動体3との通信を担当する範囲を意味し、例えば道路4に沿って設定された地理的範囲を示す。
図1に示す例では、複数の路側機1である路側機1A、1B、1Cは、道路4に沿って互いに所定の間隔を空けて設置される。
【0026】
路側機1は、道路4を走行する移動体3や周囲に存在する各種装置と無線通信することでV2X(vehicle-to-everything)通信サービスを提供する。また路側機1は、無線通信が可能なエリア(以下、通信可能エリア)内を走行する移動体3や各種装置との無線通信等によって取得したデータを、通信ネットワークNWを介して管制サーバ2に送信する。路側機1に含まれる処理部10は、移動体3に対して各種制御信号を出力することで移動体3の移動制御を実行する。各種制御信号は、各路側機1が記憶する許容区画情報に基づいて出力される。許容区画情報は、
図1に示すように道路4上における所定の区画を示す許容区画Aに関する情報である。許容区画情報の詳細については後述する。
【0027】
管制サーバ2は、通信ネットワークNWを介して複数の路側機1と通信可能に接続される。本実施形態における管制サーバ2は、複数の路側機1のそれぞれが記憶する許容区画情報を生成し、管理する。管制サーバ2の構成及び許容区画情報の詳細については後述する。
【0028】
<路側機1の構成と動作について>
次に、移動制御における路側機1の機能的構成について説明する。
図2は、路側機1のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0029】
路側機1は、
図2に示すように処理部10と、記憶部11と、通信I/F12と、無線通信部13と、を備える。
【0030】
処理部10は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部11から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部10は、移動体情報取得部110と、許容区画情報取得部120と、信号出力処理部130の各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。なお、処理部10の移動制御の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されていてもよい。
【0031】
記憶部11は、ハードウェア群を路側機1として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードウェア(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部11は、本実施形態の各機能を処理部10に実行させるためのプログラム、路側機1の制御プログラム、各種パラメータ、移動体3の移動制御に利用されるデータ、路側機1のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、通信可能エリアを含む地理的なマップ情報に関する情報、通信可能エリア内の後述する許容区画情報や後述する管制モードの対象となるエリアの位置を示す情報が記憶される。
【0032】
通信I/F12は、路側機1が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。路側機1は、通信I/F12を介して管制サーバ2と通信可能に接続される。
【0033】
無線通信部13は、路側機1が周囲の装置と無線によりV2X通信するための処理を実行する。無線通信部13は、路側機1の通信可能エリア内を走行する移動体3と無線通信を行う。無線通信部13は、例えば移動体3を識別する識別情報、移動体3の位置を示す位置情報、移動体3の走行情報等を受信する。
【0034】
次に、処理部10が移動体3の移動制御を実行するための機能的構成について説明する。
【0035】
移動体情報取得部110は、路側機1の通信可能エリア内を走行する移動体3に関する情報を取得する処理を実行する。移動体情報取得部110は、識別情報取得部111と、位置情報取得部112と、走行情報取得部113と、を備える。
【0036】
識別情報取得部111は、無線通信部13を介して受信された移動体3の識別情報を取得する処理を実行する。識別情報取得部111によって取得される識別情報には、例えば移動体3のサイズや移動体3に搭載される車載装置の識別IDや車載装置に接続される車載端末装置等のMACアドレスやIPv6アドレス、ナンバープレート情報等が含まれてもよい。
【0037】
位置情報取得部112は、無線通信部13を介して受信された移動体3の位置情報を取得する処理を実行する。位置情報としては、例えば移動体3が存在する位置の緯度、経度、高度等が挙げられる。本実施形態では、位置情報取得部112は、位置情報として少なくとも緯度及び経度の情報を取得する。
【0038】
走行情報取得部113は、無線通信部13を介して受信された移動体3の走行情報を取得する処理を実行する。走行情報には、例えば移動体3の走行速度や走行方向等に関する情報が含まれる。移動体情報取得部110は、取得した移動体3の識別情報と、位置情報と、走行情報と、を関連付けて移動体情報として記憶する。
【0039】
許容区画情報取得部120は、許容区画情報を取得する処理を実行する。許容区画情報は、
図1に示すような路側機1の通信可能エリア内に設けられる許容区画Aの位置を示す情報である。許容区画Aとは、道路4上において、詳細は後述する管制モードの移動体3の移動が許容される地理的な範囲である。許容区画情報は、例えば緯度、経度、高度等によって示される。
図1において、路側機1Aが有する許容区画情報が示す許容区画Aを一点鎖線で示し、路側機1Bが有する許容区画情報が示す許容区画Aを破線で示し、路側機1Cが有する許容区画情報が示す許容区画Aを二点鎖線で示している。
図1の例では、路側機1の許容区画Aの位置は、少なくとも他の路側機1の許容区画Aと重複するように設定される。
図1において、紙面下側の許容区画Aは道路4上における許容区画Aの位置関係を示しており、紙面上側の許容区画A及び移動体3は、後述する処理部10による移動体3の位置情報と許容区画Aの比較処理の内容を仮想的に示している。
【0040】
また許容区画情報には、許容区画Aの周縁側に設定される警報領域Bを示す情報が含まれる。即ち、警報領域Bは、移動体3が移動を継続すると、許容区画A外に移動する可能性が高い領域である。本実施形態では、警報領域Bは、
図1に示すように平面視で許容区画Aにおける移動体3の移動方向に直交する方向の両縁部側に設けられる。
【0041】
許容区画情報取得部120は、管制サーバ2又は記憶部11から許容区画情報を取得する処理を実行する。本実施形態では、許容区画情報取得部120は、管制サーバ2からの許容区画情報を受信すると、記憶部11に記憶された許容区画情報を受信した許容区画情報に更新する。
【0042】
信号出力処理部130は、移動体3の位置情報等に基づいて、移動体3を制御するための各種信号を出力する処理を実行する。信号出力処理部130は、モード切替信号出力処理部131と、許可信号出力処理部132と、警報信号出力処理部133と、を有する。
【0043】
モード切替信号出力処理部131は、移動体3の位置情報と許容区画情報に基づいて、モード切替信号を出力する処理を実行する。モード切替信号は、移動体3が移動するモードを管制モード又は非管制モードに切り替えるモード切替を実行させる命令を含む制御信号である。管制モードとは、路側機1から送信される許可信号P、警報信号等の制御信号に従って移動体3の動作が制御されるモードである。非管制モードとは、路側機1から送信される許可信号P、警報信号等の制御信号によって移動体3の動作が制御されないモードである。
【0044】
ここで、管制モードの対象となるエリア(以下、管制対象エリアCと称する)と、許容区画Aとの関係について説明する。
図3A及び
図3Bは、管制対象エリアCと許容区画Aとの関係についての説明に供する図である。なお、
図3A及び
図3Bにおいて、許容区画Aを一点鎖線で示し、管制対象エリアCを破線で示している。
図3Aに示すように、管制対象エリアCは、道路4上の移動体3の進行方向において許容区画Aの入口と出口よりも内側であり、また、許容区画Aの幅よりも広くなるように設定されている。また、
図3Bに示すように、管制対象エリアCは、許容区画Aの入口と出口と同じ場所であり、また、許容区画Aの幅よりも広くなるように設定されていてもよい。
【0045】
モード切替信号出力処理部131は、例えば移動体3の位置情報により、移動体3が管制対象エリアCに進入したと判定した場合、非管制モードから管制モードへのモード切替を実行させるモード切替信号を出力する。またモード切替信号出力処理部131は、移動体3の位置情報により、移動体3が管制対象エリアCから退出したと判定した場合、管制モードから非管制モードへのモード切替を実行させるモード切替信号を出力する。
【0046】
許可信号出力処理部132は、管制モードの移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する処理を実行する。許可信号出力処理部132は、移動体3の位置情報と、許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許可信号Pを出力する。具体的には、許可信号出力処理部132は、移動体3の位置情報と許容区画情報との比較結果に基づいて、移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。例えば許可信号出力処理部132は、識別情報である移動体3のサイズに関する情報を利用し、移動体3全体が許容区画A内に位置する場合のみ移動体3が許容区画A内に存在すると判定してもよい。また例えば許可信号出力処理部132は、移動体3の少なくとも一部が許容区画A内に位置する場合に移動体が許容区画A内に存在すると判定してもよい。また移動体3の車体中心が許容区画A内に位置する場合に移動体が許容区画A内に存在すると判定してもよい。移動体3は、例えば管制モードにおいて許可信号Pを受信している場合は継続した走行が可能となり、許可信号Pを受信していない場合は継続した走行を規制する制御を受けることになる。
【0047】
警報信号出力処理部133は、移動体3の位置情報と許容区画情報とに基づいて、警報信号を出力する処理を実行する。警報信号は、移動体3の操作者に注意を喚起する警報を発生させる処理を移動体3に実行させる命令を含む制御信号である。警報信号出力処理部133は、位置情報と許容区画情報に含まれる警報領域Bを示す情報とを比較し、その比較結果に基づいて移動体3が警報領域Bに存在するか否かを判定する。そして、警報信号出力処理部133は、移動体3が警報領域B内に存在すると判定した場合に、移動体3に対して移動体3が警報領域B内に存在することを示す警報信号を出力する。
【0048】
<管制サーバ2の構成と動作について>
次に、移動制御における管制サーバ2の機能的構成について説明する。
図4は、管制サーバ2のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0049】
管制サーバ2は、
図4に示すように処理部20と、記憶部21と、通信I/F22と、を備える。
【0050】
処理部20は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部21から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部20は、路側機情報取得部210と、マップ情報管理部220と、許容区画情報管理部230との各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。なお、処理部20の移動制御の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されていてもよい。
【0051】
記憶部21は、ハードウェア群を管制サーバ2として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードウェア(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部21は、本実施形態の各機能を処理部20に実行させるためのプログラム、管制サーバ2の制御プログラム、各種パラメータ、移動体3の移動制御に利用されるデータ、管制サーバ2に通信可能に接続される複数の路側機1のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、複数の路側機1の通信可能エリアを含む地理的なマップ情報、複数の路側機1それぞれの通信可能エリア内の許容区画情報が記憶される。
【0052】
通信I/F22は、管制サーバ2が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。管制サーバ2は、通信I/F22を介して複数の路側機1や他の通信装置と通信可能に接続される。
【0053】
次に、処理部20が移動体3の移動制御を実行するための機能的構成について説明する。
【0054】
路側機情報取得部210(位置情報取得部)は、複数の路側機1それぞれから送信される路側機情報を取得する処理を実行する。路側機情報としては、例えば複数の路側機それぞれが取得した移動体情報や道路4上におけて発生するイベントに関する情報が挙げられる。イベントに関する情報とは、例えば交通事故、交通渋滞、車両の故障、緊急車両の走行、路面異常、火災、道路4の保守車両の走行等が挙げられる。即ち、路側機情報取得部210は、各路側機1の通信可能エリアを走行する移動体3の識別情報や位置情報、走行情報等の情報や道路4での交通事故の発生状況に関する情報等を取得する。
【0055】
マップ情報管理部220は、外部から取得された情報に基づいてマップ情報を生成し、随時更新する。マップ情報としては、例えばダイナミックマップであってもよい。ダイナミックマップは、路面情報、車線情報、構造物等の静的な情報と、交通規制、工事、渋滞、車両、歩行者、信号等の動的な情報を組み合わせたものであり、緯度、経度、高度の情報を有する三次元のデジタルマップである。マップ情報管理部220は、外部から取得した情報に基づいて随時ダイナミックマップを更新し、複数の路側機1それぞれに送信する。なお、各路側機1に送信されたマップ情報は、路側機1から走行中の移動体3に送信される。
【0056】
許容区画情報管理部230は、複数の路側機1それぞれに対する許容区画情報を生成し、管理する処理を実行する。具体的には、許容区画情報管理部230は、通信ネットワークNWを介して取得した情報や記憶部21に記憶され、予め定められたプログラムに基づいて複数の路側機1それぞれに対する許容区画情報を生成する。そして、許容区画情報管理部230は、生成した許容区画情報を対応する路側機1に送信する。許容区画情報管理部230は、例えば時間帯に応じて異なる許容区画情報を生成してもよい。例えば許容区画情報管理部230は、子供が通学する朝や夕方等の時間帯における許容区画Aのサイズがより小さくなり、許容区画Aの位置がより道路4の中央側となるように許容区画情報を生成してもよい。また、許容区画情報管理部230は、外部から取得した情報に基づいて異なる許容区画情報を生成してもよい。例えば許容区画情報管理部230は、路側機1から取得したイベントに関する情報に基づいて、許容区画情報を変更してもよい。より具体的には、許容区画情報管理部230は、道路4での交通事故の発生の情報を取得した場合に、事故発生箇所を回避するような許容区画情報を生成してもよい。また例えば、許容区画情報管理部230は、高速道路において、保守車両が走行しているという情報を取得した場合に、保守車両が移動するための許容区画情報を生成してもよい。
【0057】
<移動体3の構成と動作について>
次に、移動体3の機能的構成について説明する。
図5は、移動体3のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0058】
移動体3は、
図5に示すように処理部30と、記憶部31と、無線通信部32と、センサ部33と、GNSS部34と、駆動部35と、を備える。
【0059】
処理部30は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部31から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部30は、自己位置推定部310と、信号取得部320と、モード切替部330と、移動制御部340と、警報制御部350と、の各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。
【0060】
記憶部31は、ハードウェア群を移動体3として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードウェア(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部31は、本実施形態の各機能を処理部30に実行させるためのプログラム(移動体3の制御プログラム)、各種パラメータ、移動体3の移動制御に利用されるデータ、移動体3の識別IDやIPアドレス等の識別情報、マップ情報等が記憶される。マップ情報としては、例えばダイナミックマップ等が挙げられる。
【0061】
無線通信部32は、移動体3が路側機1と無線により通信するための処理を実行する。無線通信部32は、例えば移動体3を識別する識別情報、移動体3の位置を示す位置情報、移動体3の走行情報等を路側機1に送信し、モード切替信号や許可信号P、警報信号等の各種制御信号、管制サーバ2によって生成されたマップ情報等を路側機1から受信する。無線通信部32は、路側機1の無線通信部13を介して処理部10と通信を行う。
【0062】
センサ部33は、移動体3自身の周囲の情報を検出するための装置である。センサ部33としては、例えば移動体3の周囲に送信した送信波と反射された受信波に基づいて、移動体3の周囲に存在する物体との距離、方向、相対速度等を検出するレーダやLIDAR(light detection and ranging)であってもよく、カメラ等であってもよい。本実施形態では、センサ部33として移動体3の周囲にレーザ光を照射し、周囲の物体を点群データとして検出するLIDARを用いている。LIDARにより、高い精度で周囲の物体の位置や形状等を検出できる。センサ部33は、検出した点群データを処理部30に送信する。
【0063】
GNSS(Global Navigation Satellite System)部34は、アンテナを含み、GNSS信号等を受信する。GNSS信号は、GPS(Global Positioning System)又は準天頂衛星システム等のGNSSを構成する航法衛星等から送信される。GNSS部34は、受信したGNSS信号を処理部30に送信する。
【0064】
駆動部35は、例えばエンジンやモータ、ブレーキ等の移動体3の駆動に係わる部位である。
【0065】
次に、処理部30が移動体3の移動制御を実行するための機能的構成について説明する。
【0066】
自己位置推定部310は、移動体3自身の位置を示す位置情報を推定する処理を実行する。例えば自己位置推定部310は、管制サーバ2から受信したマップ情報やセンサ部33から受信した移動体3の周囲の点群データ、GNSS部34から受信したGNSS信号等に基づいて、移動体3の位置情報を推定してもよい。より具体的には、自己位置推定部310は、マップ情報に移動体3の周囲の点群データを照合して移動体3の位置情報を推定してもよい。自己位置推定部310によって推定された位置情報は、無線通信部32を介して路側機1に送信される。
【0067】
信号取得部320は、無線通信部32を介して路側機1からモード切替信号や許可信号P、警報信号等の各種制御信号を取得する処理を実行する。
【0068】
モード切替部330は、信号取得部320によってモード切替信号が取得されると、移動体3の移動モードを切り替える。具体的には、モード切替部330は、移動体3の移動モードが非管制モードである状態で、非管制モードから管制モードへのモード切替を実行させるモード切替信号が取得されると、移動モードを管制モードに切り替える。反対にモード切替部330は、移動体3の移動モードが管制モードである状態で、管制モードから非管制モードへのモード切替を実行させるモード切替信号が取得されると、移動モードを管制モードから非管制モードに切り替える。
【0069】
移動制御部340は、自己位置推定部310によって推定された位置情報等に基づいて移動体3の移動を制御する処理を実行する。具体的には、移動制御部340は、移動体3の位置情報や走行情報、記憶部31に記憶されるマップ情報等に基づいて駆動部35の駆動を制御することで設定された目的地までの移動を制御する。
【0070】
また移動制御部340は、移動体3の移動モードが管制モードである場合、信号取得部320による許可信号Pの取得状況に基づいて、移動体3の駆動を制御する処理を実行する。移動制御部340は、路側機1の処理部10から送信されてきた許可信号Pを無線通信部32により受信した場合に、許可信号Pに対応した動作を行うように駆動部35を制御する。例えば移動制御部340は、許可信号Pを受信した場合に、移動体3の許容区画A内の移動が継続されるように駆動部35を制御してもよい。また例えば移動制御部340は、信号取得部320によって判定期間内に許可信号Pが取得されない場合に、移動体3を停止させるための制御を実行してもよく、許容区画Aから外れた移動体3が許容区画A内に戻るように移動体3の移動を制御してもよい。判定期間の長さは特に限定されず、例えば、移動体3の種別や、管制対象エリアCの設計、また、より安全性が要求されるエリア要件などにより、そのシステムに応じた適切な判定期間の長さを設定できる。例えば、車両である移動体3が時速36km(毎秒10m)で移動する場合を想定した場合において、例えば移動体3と路側機1の管制装置である処理部10間における情報や信号の往復にかかる時間を80ミリ秒(片道40ミリ秒)とし、処理部10における判断期間の長さを20ミリ秒とした場合、これらの合計値は100ミリ秒となる。この場合、合計値の100ミリ秒(0.1秒)は、移動体3がその位置情報を送信してから、許可信号Pを受信するまでの時間であり、移動体3が1mの移動する時間に相当する。このように移動制御システムSの管制サービスに適合した、移動体3と路側機1の処理部10間や処理部10内の判断期間の長さを設計することができる。なお、移動体3および路側機1が信号を送信する間隔は、移動体3や管制対象エリアCの構造などによって設計ができるが、例えば100ミリ秒ごと、または、それ以下が考えられる。また、路側機1付近で車両の渋滞が生じ、多くの車両の通信が集中するような場合、通信アルゴリズムにより管制サービス対象の移動体3(許可信号Pを必要とする移動体3)が優先的に短い間隔で送信するとともに、路側機1も優先する移動体3へ優先的に短い間隔で送信するような形態も考えられる。このとき、管制サービス対象外の移動体3は、その優先度が低いものと判断し、路側機1からの許可信号Pを100ミリ秒よりも長い間隔で送信する形態も考えられる。また移動体3を停止させるための制御とは、例えば所定の速度まで減速させた後に停止させる制御であってもよい。また例えば移動制御部340は、判定期間内に所定の数以上の路側機1からの許可信号Pが取得されていない場合に、移動体3を停止させるための制御や許容区画A内に戻すための制御を実行してもよい。
【0071】
警報制御部350は、移動体3の移動モードが管制モードである場合、信号取得部320によって警報信号が取得されると、警報を発生させるための処理を実行する。警報は、移動体3の操作者に許容区画Aから外れる可能性がある状況を知らせるための音声情報や文字情報等であってもよい。例えば警報制御部350は、移動体3に配置される液晶ディスプレイやミラー等に警報を表示させてもよく、移動体3内に配置されるスピーカから音声情報を発生させてもよい。
【0072】
次に、移動制御システムSによる道路4上での移動制御の一例について
図1及び
図6を参照しながら説明する。
図6は、移動制御システムSと移動制御システムSが適用される道路4の一例を示す概略図であり、移動体3が許容区画A外に位置する状況を示す図である。
【0073】
図1に示す路側機1A~1Cは、移動体3の位置情報と許容区画情報を比較する。
図1に示すように、路側機1A及び路側機1Bの許可信号出力処理部132は、移動体3が許容区画A内に位置するため、許可信号Pを移動体3に送信している。一方で路側機1Cでは、移動体3が通信可能エリア外であり、移動体3と許容区画Aの位置を比較する処理が実行できないため、許可信号Pは送信されない。
【0074】
図6に示す状態では、移動体3の車体中心が路側機1A及び路側機1Bの通信可能エリア内の許容区画Aから外れている。このため、路側機1A及び路側機1Bの許可信号出力処理部132は、移動体3が許容区画A内に存在しないと判定し、許可信号Pを出力していない。この結果、
図6に示すように移動体3が減速し、停止する。
【0075】
次に、本実施形態に係る移動制御システムSによる移動体3の移動制御の流れについて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0076】
まず路側機1によって実行される移動制御の処理の流れについて
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は路側機1の処理部10が実行する移動制御のうちモード切替信号の出力までの処理の一例を示すフローチャートであり、
図8は管制モードの移動体3を制御する処理の一例を示すフローチャートである。処理部10は、例えば記憶部11等に記憶されたプログラムに基づいて
図7及び
図8の処理を実行する。
図7及び
図8に例示する処理フローは、設置された路側機1が起動したときに処理を開始し、その後路側機1の動作中は処理を継続する。
【0077】
図7に示すように、ステップS11において、位置情報取得部112は、無線通信部13を介して受信された移動体3の位置情報を取得する。
【0078】
ステップS12において、モード切替信号出力処理部131は、ステップS11で取得した位置情報と記憶部11に記憶された管制対象エリアCの位置を示す情報とを比較し、移動体3が管制対象エリアC内に進入したか否かを判定する。モード切替信号出力処理部131は、移動体3が管制対象エリアC内に進入したと判定した場合(ステップS12;YES)、処理をステップS13に移行させる。一方で、モード切替信号出力処理部131は、移動体3が管制対象エリアC外であると判定した場合(ステップS12;NO)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0079】
ステップS13において、モード切替信号出力処理部131は、移動体3を管制モードに切り替えるためのモード切替信号を出力する。そして、モード切替信号は、無線通信部13によって移動体3に送信される。
【0080】
図8に示すように、ステップS21において、許容区画情報取得部120は、記憶部11から許容区画情報を抽出する。
【0081】
ステップS22において、位置情報取得部112は、無線通信部13を介して受信された移動体3の位置情報を取得する。
【0082】
ステップS23において、許可信号出力処理部132は、ステップS21で取得した許容区画情報とステップS22で取得した位置情報とを比較し、移動体3が許容区画A内であるか否かを判定する。許可信号出力処理部132は、移動体3が許容区画A内であると判定した場合(ステップS23;YES)、処理をステップS24に移行させる。一方で、許可信号出力処理部132は、移動体3が許容区画A外であると判定した場合(ステップS23;NO)、ステップS22の処理を繰り返す。
【0083】
ステップS24において、許可信号出力処理部132は、移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する。そして、許可信号Pは、無線通信部13によって移動体3に送信される。その後、処理部10は、処理をステップS22に戻す。
【0084】
次に、移動体3によって実行される移動制御の処理の流れについて
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は移動体3が実行する移動モードを管制モードに切り替えるまでの処理の一例を示すフローチャートであり、
図10は管制モードにおける移動体3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0085】
図9に示すように、ステップS31において、自己位置推定部310は、移動体3自身の位置を示す位置情報を推定する。自己位置推定部310は、例えば管制サーバ2から路側機1を介して受信したマップ情報とセンサ部33から受信した点群データに基づいて、移動体3自身の位置情報を推定する。
【0086】
ステップS32において、無線通信部32は、ステップS31で推定された移動体3の位置情報を路側機1に送信する。
【0087】
ステップS33において、モード切替部330は、路側機1からのモード切替信号を受信したか否かを判定する。モード切替部330は、信号取得部320によってモード切替信号が取得されたと判定した場合(ステップS33;YES)、処理をステップS34に移行させる。一方で、モード切替部330は、信号取得部320がモード切替信号を取得していないと判定した場合(ステップS33;NO)、処理をステップS31に戻す。
【0088】
ステップS34において、モード切替部330は、移動体3の移動モードを管制モードに切り替える。
【0089】
図10に示すように、ステップS41において、ステップS41において、自己位置推定部310は、移動体3自身の位置を示す位置情報を推定する。自己位置推定部310は、例えば管制サーバ2から路側機1を介して受信したマップ情報とセンサ部33から受信した点群データに基づいて、移動体3自身の位置情報を推定する。
【0090】
ステップS42において、無線通信部32は、ステップS41で推定された移動体3の位置情報を路側機1に送信する。
【0091】
ステップS43において、移動制御部340は、信号取得部320が判定期間内に許可信号Pを受信したか否かを判定する。移動制御部340は、信号取得部320によって判定期間内に許可信号Pが取得されたと判定した場合(ステップS43;YES)、処理をステップS41に戻す。一方で、移動制御部340は、信号取得部320が判定期間内に許可信号Pを取得していないと判定した場合(ステップS43;NO)、処理をステップS44に移行させる。
【0092】
ステップS44において、移動制御部340は、駆動部35を制御して移動体3の移動を停止させる。
【0093】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0094】
本実施形態に係る処理部10は、移動体3の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部112と、位置情報と、移動体3の移動が許容される許容区画Aを示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許容区画Aにおいて移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する信号出力処理部130と、を備え、信号出力処理部130は、比較結果に基づいて移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。これにより、移動体3の位置と許容区画Aを比較するという簡素な処理で、移動体3が定められたエリアを移動することを可能とする。よって、簡易な構成と処理で、移動体3の安全な移動を支援できる。
【0095】
また本実施形態に係る処理部10において、許容区画情報には、許容区画A内の周縁側に設定される警報領域Bを示す情報が含まれ、信号出力処理部130は、比較結果に基づいて移動体3が警報領域Bに存在するか否かを判定し、移動体3が警報領域B内に存在すると判定した場合に、移動体3に対して移動体3が警報領域B内に存在することを示す警報信号を出力する。これにより、移動体3の操作者等が許容区画A外に移動する可能性があることを把握することができる。
【0096】
また本実施形態に係る処理部10において、信号出力処理部130は、自律移動可能な移動体3である移動体3に許可信号Pを出力する。これにより、自動運転車両等が予め定められた走行経路をより確実に走行することを可能とする。
【0097】
また本実施形態に係る路側機1は、処理部10の各構成要素を含む路側機1であって、移動体3が移動する道路4上または道路4脇に設置される。これにより、道路4を走行する移動体3の安全な移動を簡易な構成と処理で支援できる。
【0098】
本実施形態に係る移動制御システムSは、移動体3と無線通信可能とされており、それぞれ異なるエリアに設置される複数の処理部10と、複数の路側機1と通信可能に接続される処理部20と、を備える移動制御システムSであって、処理部20は、移動体3の移動が許容される許容区画Aを示す許容区画情報を生成し、複数の路側機1のそれぞれに送信する許容区画情報管理部230を有し、処理部10は、移動体3の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部112と、位置情報と、処理部20から受信した許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許容区画Aにおいて移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する信号出力処理部130と、を有し、信号出力処理部130は、比較結果に基づいて移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。これにより、移動体3の位置と許容区画Aを比較するという簡素な処理で、移動体3が定められたエリアを移動することを可能とする。よって、簡易な構成と処理で、移動体3の安全な移動を支援できる。
【0099】
また本実施形態に係る移動制御システムSにおいて、許容区画情報には、許容区画A内の周縁側に設定される警報領域Bを示す情報が含まれ、処理部10の信号出力処理部130は、比較結果に基づいて移動体3が警報領域Bに存在するか否かを判定し、移動体3が警報領域B内に存在すると判定した場合に、移動体3に対して移動体3が警報領域B内に存在することを示す警報信号を出力する。これにより、移動体3の操作者等が許容区画A外に移動する可能性があることを把握することができる。
【0100】
また本実施形態に係る移動制御システムSにおいて、処理部20の許容区画情報管理部230は、時間帯に応じて異なる許容区画情報を生成する。これにより、時間帯に応じて変化する交通状況等を加味して許容区画Aの位置やサイズ等を変更できるので、移動体3のより安全に移動させることができる。
【0101】
本実施形態に係るプログラムは、処理部10に含まれるコンピュータに、移動体3の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得機能と、位置情報と、移動体3の移動が許容される許容区画Aを示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許容区画Aにおいて移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する信号出力処理機能と、を実行させ、信号出力機能では、比較結果に基づいて移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。これにより、移動体3の位置と許容区画Aを比較するという簡素な処理で、移動体3が定められたエリアを移動することを可能とする。よって、簡易な構成と処理で、移動体3の安全な移動を支援できる。
【0102】
本実施形態に係る移動制御方法は、処理部10が実行する移動制御方法であって、移動体3の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、位置情報と、移動体3の移動が許容される許容区画Aを示す許容区画情報とを比較し、その比較結果に基づいて許容区画Aにおいて移動体3の移動を許可する許可信号Pを出力する信号出力処理ステップと、を含み、信号出力処理ステップでは、比較結果に基づいて移動体3が許容区画A内に存在するか否かを判定し、移動体3が許容区画A内に存在すると判定した場合に、許可信号Pを出力する。これにより、移動体3の位置と許容区画Aを比較するという簡素な処理で、移動体3が定められたエリアを移動することを可能とする。よって、簡易な構成と処理で、移動体3の安全な移動を支援できる。
【0103】
本実施形態に係る移動体3は、処理部10と通信を行う無線通信部32と、自己の位置を推定する自己位置推定部310と、駆動部35と、駆動部35を制御する移動制御部340と、を備え、自己位置推定部310は、無線通信部32を利用して処理部10に推定した自己の位置情報を送信し、移動制御部340は、処理部10から送信されてきた許可信号Pを無線通信部32により受信した場合に、許可信号Pに対応した動作を行うように駆動部35を制御する。これにより、処理部10を含む路側機1により管理および制御される移動体3を提供できる。よって、簡易な構成と処理で、移動体3の安全な移動を支援できる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0105】
上記実施形態の移動体3は自動運転車両であったが、自動運転機能を有しない車両であってもよい。また車両は自動四輪車であっても自動二輪車であってもよい。また移動体3は、車両に限られず、例えばドローン等の無人飛行体であってもよい。特に無人飛行体の場合には、主に緯度、経度および高度の情報を用いた3Dマップ情報が利用される。
【0106】
ここで、移動体3が無人飛行体の場合における移動制御システムSの構成について説明する。
図11は、本実施形態の変形例に係る移動制御システムSが適用される無人飛行体の飛行経路の一例を示す概略図である。
【0107】
無人飛行体は、鉄塔50に懸架されている電線51の状態の点検、トンネル内の道路や壁面の状態の点検、川、運河、鉄道線路、道路などの上にかけ渡す構築物の状態の点検、ビルの点検、河川、崖、海などの災害時の監視などに利用される。
図11に示す例では、自律移動可能な無人飛行体を用いて、鉄塔50の電線51の状態を点検している。
【0108】
無人飛行体が飛行できる許容区画Aは、緯度、経度および高度で規定されている。また、許容区画Aの形状は、
図11に示す例では、角柱形状であるが、この形状に限定されず、円筒形状など様々な形状が考えられる。
図11に示す例では、許容区画Aは電線51から数メートルの間隔を空けて設定されている。
【0109】
図11に示す例では、路側機1D、1E、1Fが許容区画Aを管理している。路側機1D、1E、1Fは、無人飛行体から位置情報を取得し、自身が記憶する許容区画Aを示す許容区画情報と無人飛行体の位置情報とを比較し、無人飛行体が許容区画A内を飛行していれば、許可信号Pを無人飛行体に送信する。また、無人飛行体が許容区画Aを外れた場合、安全なルートで着陸するドローン自律退避プログラムを稼働したり、鉄塔50とは反対側に緊急着陸してもよい。
【0110】
また移動体3は、作業用ロボットであってもよい。この場合には緯度、経度、高度の情報を用いた3Dマップ情報を用い、進入禁止エリア以外の箇所に許容区画を設定してもよい。これにより、例えば作業用ロボットが許容区画から外れた場合にはロボットの動作を停止するといった安全支援が可能となる。また、移動体3は、V2P(Vehicle-to-Pedestrian)ともいわれる歩行者や作業者の有するV2X通信端末を対象とすることもできる。この場合には、例えば、作業者が危険エリア以外の箇所に設定され、安全なエリアである許容区画から退出した場合に、V2X通信端末から作業者に警告を出すことができる。
【0111】
上記実施形態では、路側機1が信号出力処理部130を有していたが、管制サーバ2が路側機1を介して移動体3の位置情報を取得し、該位置情報と区画情報との比較に基づいてモード切替信号や許可信号P、警告信号を出力してもよい。
【0112】
また例えば、管制サーバ2は、判定期間内に路側機1から許可信号Pが出力されていない場合に、路側機情報取得部210によって取得された移動体3の位置情報とマップ情報に基づいて、移動体3が許容区画内を移動するように遠隔制御する遠隔制御部を備えてもよい。
【0113】
また、移動制御システムSは、上述した構成に限定されず他の構成でもよい。
図12は、本実施形態の変形例に係る移動制御システムSと移動制御システムSが適用される道路4の一例を示す概略図である。移動制御システムSは、道路4上または道路4脇などの道路4の周辺に設置され、道路4上を走行する車両である移動体3と無線通信可能な路側機1G、1Hを含む複数の路側機1と、複数の路側機1のそれぞれと通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される管制サーバ2とを備える。路側機1Gと路側機1Hとは、同様の構成である。複数の路側機1Gは、道路4に沿って互いに所定の間隔を空けて配置される。路側機1Hは、道路4を挟んで路側機1Gに対向する位置に配置される。また路側機1Gと路側機1Hとは、許容区画Aの全長をカバーするように、道路4に沿って複数台配置される構成でもよいし、特定の場所のみに、道路4に沿って1台または複数台配置されてもよい。特定の場所とは、工事現場など運営者側が任意で指定する場所である。なお、上述では、複数の路側機1それぞれの許容区画Aの全部を重複して許容区画Aを設定すると説明したが、これに限定されず、複数の路側機1それぞれの許容区画Aの一部を重複して許容区画Aを設定してもよい。移動体3は、重複している許容区画Aにおいて、複数の許可信号Pを受信することになる。
【0114】
移動体3の無線通信部32は、同じ許容区画A内の移動に関する許可信号Pを異なる路側機1から複数受信する。
図12に示す例では、移動体3は、位置情報を路側機1Gと、路側機1Hに送信する。路側機1Gは、移動体3から受信した位置情報を管制サーバ2に送信する。また、路側機1Hは、移動体3から受信した位置情報を管制サーバ2に送信する。
【0115】
管制サーバ2は、路側機1Gから受信した位置情報に基づいて許容区画Aに移動体3が存在していれば許可信号PGを生成し、生成した許可信号PGを路側機1Gに送信する。そして路側機1Gは、許可信号PGを移動体3に送信する。また、管制サーバ2は、路側機1Hから受信した位置情報に基づいて許容区画Aに移動体3が存在していれば許可信号PHを生成し、生成した許可信号PHを路側機1Hに送信する。そして路側機1Hは、許可信号PHを移動体3に送信する。
【0116】
移動体3の無線通信部32は、同じ許容区画A内の移動に関する許可信号Pを異なる処理部10から複数受信する。
図12に示す例では、無線通信部32は、同じ許容区画A内の移動に関する許可信号Pを路側機1Gと路側機1Hから受信する。なお、許可信号Pは、路側機1で生成される構成でもよい。この構成の場合、管制サーバ2は、各路側機1が配置されている場所に適合した最新の許容区画Aの情報を所定のタイミングで各路側機1に送信する。路側機1Gと路側機1Hは、移動体3から受信した位置情報に基づいて、許容区画Aに移動体3が存在していれば許可信号Pを生成し、生成した許可信号Pを移動体3に送信する。
【0117】
移動体3の移動制御部340は、無線通信部32によりあらかじめ定められた数の許可信号Pを受信した場合に、許可信号Pに対応した動作を行うように駆動部35を制御してもよい。具体的には、あらかじめ定められた数が「1」の場合には、移動体3の移動制御部340は、許可信号PGまたは許可信号PHを受信した場合、駆動部35を駆動するように制御する。また、あらかじめ定められた数が「2」の場合には、移動体3の移動制御部340は、許可信号PGおよび許可信号PHを受信した場合に、駆動部35を駆動するように制御してもよい。このようにして、移動制御システムSは、道路4を挟んで路側機1を互いに対向する位置に配置することにより、例えば、大型の移動体(例えば、トラックなど)と並走している場合などでも、一方の側に配置されている路側機1により対象となる移動体3の位置情報を確実に取得しすることができ、死角対策を図ることができる。また、移動制御システムSは、同じ許容区画Aに対して異なる位置に複数の路側機1が配置されているため、いずれかの路側機1が故障した場合でも、他の路側機1により対象となる移動体3の位置情報を確実に取得しすることができ、機器の故障対策を図ることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 路側機
2 管制サーバ
3 移動体
10 処理部(管制装置、第1管制装置)
20 処理部(管制装置、第2管制装置)
32 無線通信部
35 駆動部
112 位置情報取得部
130 信号出力処理部
230 許容区画情報管理部
310 自己位置推定部
340 移動制御部
A 許容区画
P 許可信号
S 移動制御システム