(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180976
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094685
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 周平
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF10
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
5H181MB02
5H181MB12
(57)【要約】
【課題】運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部へ送信きる運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムを出力する。
【解決手段】車両20に関連する車両関連情報を取得する情報取得部22、23、24、25、26A、26B、27と、車両の外部に設けられ、車両関連情報を用いて車両の第1運転診断を行う第1運転診断部30へ車両関連情報を無線送信可能、且つ、車両に設けられ、車両関連情報を用いて車両の第2運転診断を行う第2運転診断部21へ、車両のネットワークを利用して車両関連情報を送信可能な送信部と、を備え、第1運転診断及び第2運転診断の態様に基づいて、送信部が、情報取得部が取得した車両関連情報を第1運転診断部及び第2運転診断部の少なくとも一方に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関連する車両関連情報を取得する情報取得部と、
前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部へ前記車両関連情報を無線送信可能、且つ、前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部へ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を送信可能な送信部と、
を備え、
前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される運転診断装置。
【請求項2】
前記第1運転診断及び前記第2運転診断の結果情報の出力先の種類、前記結果情報の種類、及び前記車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項3】
前記結果情報の前記出力先が前記車両に設けられたディスプレイである前記第2運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する請求項2に記載の運転診断装置。
【請求項4】
前記結果情報の前記出力先が前記第1運転診断部と無線通信可能な携帯端末である前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する請求項2又は請求項3に記載の運転診断装置。
【請求項5】
前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方が、保険会社が保険商品の設計に利用する前記結果情報である特定結果情報を生成する運転診断を実行可能且つ前記保険会社から認証された特定運転診断部であり、
前記特定結果情報を生成する運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記特定運転診断部に送信する請求項2又は請求項3に記載の運転診断装置。
【請求項6】
前記第1運転診断部が機械学習を伴う前記第1運転診断を実行可能であり、
前記機械学習を伴う前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する請求項2又は請求項3に記載の運転診断装置。
【請求項7】
前記情報取得部による取得頻度が第1閾値以上の前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する請求項1又は請求項2に記載の運転診断装置。
【請求項8】
前記第2運転診断の一部の結果情報を、前記送信部が、前記第1運転診断部へ送信する請求項1又は請求項2に記載の運転診断装置。
【請求項9】
車両に関連する車両関連情報をする情報取得部と、
前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部と、
前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部と、
前記車両関連情報を前記第1運転診断部へ無線送信可能、且つ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を前記第2運転診断部へ送信可能な送信部と、
を備え、
前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される運転診断システム。
【請求項10】
車両に関連する車両関連情報を取得するステップ、
前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信、の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定するステップ、及び
送信先に決定された前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方へ前記車両関連情報を送信するステップ、
を有する運転診断方法。
【請求項11】
車両に関連する車両関連情報を取得する処理、
前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定する処理、及び
送信先に決定された前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方へ前記車両関連情報を送信する処理、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の運転者の意向及び要望を採り入れた故障診断を行うことが可能な車両リモート診断システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の運転診断には車両から取得される車両関連情報が必要になる。上記特許文献1は、運転診断の主体への車両関連情報の送信方法に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部へ送信きる運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の運転診断装置は、車両に関連する車両関連情報を取得する情報取得部と、前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部へ前記車両関連情報を無線送信可能、且つ、前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部へ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を送信可能な送信部と、を備え、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
【0007】
請求項1に記載の運転診断装置では、情報取得部が、車両に関連する車両関連情報を取得する。情報取得部が取得した車両関連情報は、送信部が、車両の外部に設けられた第1運転診断部へ無線送信可能、且つ、車両に設けられた、第2運転診断部へ車両のネットワークを介して送信可能である。第1運転診断部は、車両関連情報を用いて車両の第1運転診断を行い、第2運転診断部は、車両関連情報を用いて車両の第2運転診断を行う。さらに第1運転診断及び第2運転診断の態様に基づいて、送信部が、車両関連情報を第1運転診断部及び第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。このように請求項1に記載の運転診断装置は、運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部へ送信きる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1記載の発明において、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の結果情報の出力先の種類、前記結果情報の種類、及び前記車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第1運転診断及び第2運転診断の結果情報の出力先の種類、結果情報の種類、及び車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて、送信部が、車両関連情報を第1運転診断部及び第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。そのため請求項2に記載の運転診断装置は、運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部へ送信できる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項2記載の発明において、前記結果情報の前記出力先が前記車両に設けられたディスプレイである前記第2運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、結果情報の出力先が車両に設けられたディスプレイである第2運転診断のために必要な車両関連情報を、送信部が第2運転診断部に送信する。そのため、第2運転診断部が生成した結果情報を、ディスプレイに素早く表示できる。従って、車両の乗員は、ディスプレイを見ることにより、第2運転診断部が生成した結果情報を直ちに認識できる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項2又は請求項3の発明において、前記結果情報の前記出力先が前記第1運転診断部と無線通信可能な携帯端末である前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する。
【0013】
請求項4に記載の発明では、結果情報の出力先が第1運転診断部と無線通信可能な携帯端末である第1運転診断のために必要な車両関連情報を、送信部が第1運転診断部に送信する。そのため車両の乗員は、例えば車両の運転を終了した後に、携帯端末を利用して、第1運転診断部が生成した結果情報を認識できる。
【0014】
請求項5に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方が、保険会社が保険商品の設計に利用する前記結果情報である特定結果情報を生成する運転診断を実行可能且つ前記保険会社から認証された特定運転診断部であり、前記特定結果情報を生成する運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記特定運転診断部に送信する。
【0015】
請求項5に記載の発明では、特定結果情報を生成する運転診断のために必要な車両関連情報を、送信部が、特定結果情報を生成する運転診断を実行可能且つ保険会社から認証された特定運転診断部に送信する。従って、特定運転診断部から特定結果情報を受信した保険会社は、信頼できる特定結果情報に基づいて保険商品を設計できる。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記第1運転診断部が機械学習を伴う前記第1運転診断を実行可能であり、前記機械学習を伴う前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する。
【0017】
請求項6に記載の発明では、機械学習を伴う第1運転診断のために必要な車両関連情報を、送信部が、機械学習を伴う第1運転診断を実行可能な第1運転診断部に送信する。従って、第1運転診断部は、受信した車両関連情報に基づいて、機械学習を伴う運転診断を実行できる。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記情報取得部による取得頻度が第1閾値以上の前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する。
【0019】
請求項7に記載の発明では、情報取得部による取得頻度が第1閾値以上の車両関連情報を、送信部が第2運転診断部に送信する。従って、大量の車両関連情報が車両から第1運転診断部へ無線送信されることを抑制できる。
【0020】
請求項8に記載の発明に係る運転診断装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2運転診断の一部の結果情報を、前記送信部が、前記第1運転診断部へ送信する。
【0021】
請求項8に記載の発明では、第2運転診断部が生成した一部の結果情報を、送信部が第1運転診断部へ送信する。従って、例えば、第1運転診断部及び第2運転診断部が同一の運転診断を重複して行うことを防止できる。
【0022】
請求項9に記載の発明に係る運転診断システムは、車両に関連する車両関連情報をする情報取得部と、前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部と、前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部と、前記車両関連情報を前記第1運転診断部へ無線送信可能、且つ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を前記第2運転診断部へ送信可能な送信部と、を備え、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
【0023】
請求項10に記載の発明に係る運転診断方法は、車両に関連する車両関連情報を取得するステップ、前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信、の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定するステップ、及び送信先に決定された前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方へ前記車両関連情報を送信するステップ、を有する。
【0024】
請求項11に記載の発明に係るプログラムは、車両に関連する車両関連情報を取得する処理、前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定する処理、及び送信先に決定された前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方へ前記車両関連情報を送信する処理、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る運転診断装置、運転診断システム、運転診断方法及びプログラムは、運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部へ送信きる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る運転診断システムの全体図である。
【
図2】
図1に示される車両のECU及び外部サーバの制御ブロック図である。
【
図7】
図1に示される携帯端末の機能ブロック図である。
【
図8】車両のECUが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】外部サーバが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】携帯端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る運転診断装置、運転診断システム(以下、システムと称する)、運転診断方法及びプログラムの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に示されるように本実施形態のシステム10は、車両20、外部サーバ(コンピュータ)(第1運転診断部)(特定運転診断部)30、携帯端末40及びサーバ50を備える。
【0029】
外部サーバ30、携帯端末40及びサーバ50とネットワークを介してデータ通信可能な車両20は、
図1に示されるようにECU(Electronic Control Unit) (第2運転診断部)(運転診断装置)21、車輪速センサ22、アクセル開度センサ23、ブレーキ踏力センサ24、操舵角センサ25、前方カメラ26A、車内カメラ26B、GPS(Global Positioning System)受信機27及びディスプレイ28を有する。車輪速センサ22、アクセル開度センサ23、ブレーキ踏力センサ24、操舵角センサ25、前方カメラ26A、車内カメラ26B、GPS受信機27及びディスプレイ28はECU21に接続されている。なお、以下の説明において、車輪速センサ22、アクセル開度センサ23、ブレーキ踏力センサ24、操舵角センサ25、前方カメラ26A、車内カメラ26B及びGPS受信機27を「情報取得部」と総称することがある。
【0030】
車両20には4つの車輪速センサ22が設けられている。各車輪速センサ22は4つの車輪の車輪速をそれぞれ検出する。アクセル開度センサ23はアクセル開度を検出する。ブレーキ踏力センサ24は、運転者Drがブレーキペダル(図示省略)に入力したブレーキ踏力を検出する。操舵角センサ25はステアリングホイール(図示省略)の操舵角を検出する。前方カメラ26Aは、車両20の前方の風景の画像データである車外画像データを取得する。車内カメラ26Bは、車両20の運転席(図示省略)に着座している運転者Drの顔の画像データである顔画像データを取得する。GPS受信機27はGPS衛星から送信されたGPS信号を受信することにより、車両20が走行している位置に関する情報(以下、「位置データ」と呼ぶ)を取得する。情報取得部が所定時間が経過する毎に取得した取得データは、車両20に設けられた車内ネットワークを介してECU21に送信され且つECU21の後述するストレージ21Dに時刻情報と関連付けながら保存される。なお、この車内ネットワークは、例えばCAN(Controller Area Network)である。以下の説明において、情報取得部が取得した取得データを「車両関連情報」と称する場合がある。さらに本実施形態の情報取得部は、第1閾値以上の頻度である第1頻度で各取得データを取得する。第1閾値は、例えば1/100秒である。
【0031】
車両20のインストルメントパネル(図示省略)に設けられたディスプレイ28は、様々な画像を表示可能である。
【0032】
図2に示されるようにECU(コンピュータ)21は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)21A、ROM(Read Only Memory)21B、RAM(Random Access Memory)21C、ストレージ21D、通信I/F(Inter Face)(送信部)21E及び入出力I/F21Fを含んで構成されている。CPU21A、ROM21B、RAM21C、ストレージ21D、通信I/F21E及び入出力I/F21Fは、バス21Zを介して相互に通信可能に接続されている。CPU21Aは、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。
【0033】
CPU21Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21Aは、ROM21B又はストレージ21Dからプログラムを読み出し、RAM21Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU21Aは、ROM21B又はストレージ21Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理(情報処理)を行う。
【0034】
ROM21Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM21Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ21Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0035】
通信I/F21Eは、様々な機器と通信するためのインタフェースである。例えば通信I/F21Eは、車両20に設けられたECU21とは別の機器と上記車内ネットワークを介して通信可能である。これらの機器には、例えば情報取得部が含まれる。さらに通信I/F21Eは、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して外部サーバ30、携帯端末40及びサーバ50と無線通信可能である。
【0036】
図3にはECU21の機能構成の一例がブロック図で示されている。ECU21は、機能構成として、PCS制御部201、覚醒度推定部202、データ分類部203、診断部204、ディスプレイ制御部205及び通信制御部206を有する。これらの機能構成は、CPU21AがROM21Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0037】
PCS制御部201は、車両20が搭載するPCS(Pre Crash Safety system)を制御する機能を有する。即ち、所定条件が成立したときに、PCS制御部201は車両20のブレーキ装置(図示省略)のブレーキアクチュエータを制御することにより、ブレーキ装置に制動力を発生させる。
【0038】
覚醒度推定部202は、車内カメラ26Bが撮像した顔画像データに含まれる運転者Drの目等の状態に基づいて運転者Drの覚醒度を判定する。本明細書における「覚醒度」には、人間が覚醒しているときの覚醒レベル及び人間が睡眠状態にあるときの睡眠レベル(睡眠深度)が含まれる。睡眠レベル(睡眠深度)は5段階で規定されている。運転者Drの眠りが深い程、睡眠レベル(睡眠深度)の数字が大きくなる。覚醒度推定部202は、睡眠レベルが所定レベル以上のとき、運転者Drが居眠り運転をしていると判定する。なお、所定レベルの一例は睡眠レベル1である。
【0039】
データ分類部203は、ストレージ21Dに記録された車両関連情報を、
図4に示されたデータ分類リスト29に基づいて分類する。データ分類リスト29は、車両関連情報を3つの属性に分類する。即ち、データ分類リスト29は、車両関連情報の属性として、第1データ、第2データ及び第3データを規定する。これらの属性は、後述する各運転診断の態様に基づいて設定されている。より詳細には、これらの属性は運転診断の結果を表す結果情報の出力先の種類、結果情報の種類、及び車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて設定されている。ここで結果情報の出力先とは、結果情報の表示主体のことである。例えば、車両20のディスプレイ28及び携帯端末40のディスプレイ41が結果情報の出力先に相当する。また結果情報の種類には、後述するリアルタイム運転診断(第2運転診断)、通常運転診断(第1運転診断)、及び保険用運転診断(第1運転診断)が含まれる。さらにデータ分類リスト29は、車両関連情報の送信先を規定する。この送信先とは、車両関連情報を用いた運転診断の主体のことである。
【0040】
第1データは、診断部204が後述するリアルタイム運転診断を実行するために利用する車両関連情報である。第2データは、外部サーバ30が後述する通常運転診断を実行するために利用する車両関連情報である。第3データは、外部サーバ30が後述する保険用運転診断を実行するために利用する車両関連情報である。
図4から明らかなように、一部の車両関連情報は、複数の属性を有する。
【0041】
データ分類リスト29の内容は、ディスプレイ28に設けられたタッチパネル(情報入力部)を用いて変更可能である。また、外部サーバ30に接続された入力装置に所定の情報を入力すると、この情報が外部サーバ30から車両20へ無線送信され、且つ、この情報に基づいてデータ分類リスト29の内容が変更される。即ち、データ分類リスト29の内容は、例えば外部サーバ30の管理者又は運転者Drが変更できる。
【0042】
診断部204は、車輪速センサ22、アクセル開度センサ23及びブレーキ踏力センサ24の取得データに基づいて運転診断を行う。例えば特開2019-12481号公報及び特開2020-95403号公報に開示されているように、これらの取得データに基づいて行われる運転診断の方法は周知である。診断部204は、ストレージ21Dに記録された地図データに含まれる各道路の制限速度に関する情報、車両20の位置データ、及び車輪速センサ22の取得データに基づいて、車両20の車速が制限速度を超えたか否かを判定する。制限速度違反に関する結果情報を、制限速度違反データと称する場合がある。
【0043】
さらに診断部204は、アクセル開度センサ23の取得データ及び車輪速センサ22の取得データに基づいて、車両20が急加速動作を行ったか否かを判定する。さらに診断部204は、ブレーキ踏力センサ24の取得データ及び車輪速センサ22の取得データに基づいて、車両20が急ブレーキ動作を行ったか否かを判定する。
【0044】
診断部204は、PCS制御部201がPCSを作動させたとき、このことを表すPCS作動データを生成する。さらに診断部204は、運転者Drが居眠り運転をしていると覚醒度推定部202が判定したとき、このことを表す居眠り判定データを生成する。
【0045】
車輪速センサ22、アクセル開度センサ23及びブレーキ踏力センサ24の取得データに基づく運転診断の結果情報、PCS作動データ及び居眠り判定データが、リアルタイム運転診断の結果情報である。なお、これらの結果情報は、位置データ及び時刻情報と共にストレージ21Dに記録される。
【0046】
なお、診断部204は上記第1頻度で取得された車輪速センサ22、アクセル開度センサ23及びブレーキ踏力センサ24の取得データに基づいてリアルタイム運転診断を実行する。そのため、診断部204による制限速度診断、急加速診断及び急ブレーキ診断の診断精度は、第1頻度より低い頻度で取得された取得データに基づく場合よりも高い。
【0047】
ディスプレイ制御部205はディスプレイ28を制御する。ディスプレイ制御部205によって制御されたディスプレイ28は、例えばリアルタイム運転診断の結果情報を、診断部204の診断動作直後にディスプレイ28に一定時間に渡って表示させる。この一定時間は、例えば5秒間である。例えば、診断部204が居眠り判定データを生成したとき、
図5に示されるように、ディスプレイ28に「居眠り注意!」という文字と一緒に、居眠りしていると判定されたときに車内カメラ26Bによって取得された運転者Drの顔を映した動画(図示省略)が表示される。
【0048】
また診断部204がPCS作動データを生成したとき、ディスプレイ28に「PCS作動」という文字と一緒に、PCSが作動したときに前方カメラ26Aによって取得された動画(以下、車外動画。図示省略)が表示される。
【0049】
さらに診断部204が車両20の車速が制限速度を超えたと判定した場合、ディスプレイ28に「制限速度違反」という文字と一緒に、制限速度を超えたときの車外動画が表示される。さらに診断部204が「車両20が急加速動作を行った」と判定した場合、ディスプレイ28に「急加速」という文字と一緒に、急加速動作が実行されたときの車外動画が表示される。また、診断部204が「車両20が急ブレーキ動作を行った」と判定した場合、ディスプレイ28に「急ブレーキ」という文字と一緒に、急ブレーキ動作が実行されたときの車外動画が表示される。
【0050】
通信制御部206は通信I/F21Eを制御する。通信制御部206によって制御された通信I/F21Eは、ストレージ21Dに記録された第2データ及び第3データに相当する車両関連情報並びに居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データを、所定のデータ記録時間が経過する毎に外部サーバ30へ無線送信する。即ち、通信I/F21Eは、ストレージ21Dに記録されたデータ記録時間分のデータをまとめて外部サーバ30へ無線送信する。このデータ記録時間は、例えば10分間である。但し、本実施形態の通信I/F21Eは、ストレージ21Dに記録された第2データ及び第3データを間引きしながら外部サーバ30へ無線送信する。即ち、通信I/F21Eが無線送信する第2データ及び第3データは、情報取得部が、第2閾値以下の頻度である第2頻度で取得した取得データである。この第2閾値は第1閾値より小さい値であり、例えば1/10秒である。そのため、通信I/F21Eが外部サーバ30へ無線送信する車両関連情報のデータ量は、間引きされない場合よりも少量である。
【0051】
図2に示されるように外部サーバ30は、CPU31A、ROM31B、RAM31C、ストレージ31D、通信I/F31E及び入出力I/F31Fを含んで構成されている。CPU31A、ROM31B、RAM31C、ストレージ31D、通信I/F31E及び入出力I/F31Fは、バス31Zを介して相互に通信可能に接続されている。CPU31A、ROM31B、RAM31C、ストレージ31D、通信I/F31E、入出力I/F31Fは、CPU21A、ROM21B、RAM21C、ストレージ21D、通信I/F21E、入出力I/F21Fとそれぞれ対応する機能を有する。但し、CPU31Aの演算能力はCPU21Aより高い。なお、ストレージ31Dには地図データが記録されている。
【0052】
さらに外部サーバ30は、サーバ50を管理する保険会社から認証を受けている。即ち、この保険会社は、外部サーバ30が実行する通常運転診断の結果情報は、保険会社が保険商品の設計に利用可能であると認定している。換言すると、保険会社は、外部サーバ30の処理能力及びセキュリティレベルが必要な要件を満たしていると認定している。
【0053】
図6には外部サーバ30の機能構成の一例がブロック図で示されている。外部サーバ30は、機能構成として、診断部301、及び通信制御部302を有する。これらの機能構成はCPU31AがROM31Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0054】
診断部301は、通信I/F31Eが車両20から受信した第2データに基づいて運転診断の一種である通常運転診断を行う。なお、後述するように保険用運転診断の診断内容は、通常運転診断の診断内容に含まれる。そのため本実施形態の第3データは第2データである。診断部301は、機械学習を実行しながら通常運転診断を行う。即ち、診断部301は、運転者Drが運転する車両20から長期間に渡って取得した車両関連情報及び運転者Drとは別の多数の運転者の通常運転診断の結果情報に基づいて、運転者Drの運転操作を診断する。但し、本発明における通常運転診断の方法は、これには限定されず、如何なる方法であってもよい。
【0055】
診断部301が行う通常運転診断には、アクセル操作、ブレーキ操作、及びステアリング操作に関する運転診断が含まれる。診断部301は、アクセル開度センサ23の取得データ及び車輪速センサ22の取得データに基づいてアクセル操作について運転診断を行い、ブレーキ踏力センサ24の取得データ及び車輪速センサ22の取得データに基づいてブレーキ操作について運転診断を行い、操舵角センサ25の取得データに基づいてステアリング操作について運転診断を行う。これらの診断結果には、機械学習に基づいて得られた運転者Drの運転操作傾向を表す情報が含まれる。さらに診断部301は、これらの診断結果に基づいて、アクセル操作、ブレーキ操作及びステアリング操作の点数を演算する(
図11参照)。
【0056】
さらに診断部301が実行する通常運転診断には、外部サーバ30が車両20から受信した居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データが含まれる。即ち、診断部301は、アクセル操作、ブレーキ操作及びステアリング操作に基づく運転診断に、居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データを付加することにより、通常運転診断の結果情報40F(
図11参照)を生成する。
【0057】
診断部301は、通常運転診断から居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データを取り除くことにより保険用運転診断を実行する。即ち、保険用運転診断の結果情報(特定結果情報)は、保険会社から認証された外部サーバ30によって実行された運転診断の結果のみを含む。即ち、保険用運転診断の結果情報は、保険会社から認証されていないECU21によって生成されたリアルタイム運転診断の結果情報を含まない。通常運転診断及び保険用運転診断の結果情報は、ストレージ31Dに記録される。
【0058】
通信制御部302は通信I/F31Eを制御する。通信I/F31Eが車両20から受信した車両関連情報、居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データを含むデータはストレージ31Dに記録される。通信I/F31Eは、ストレージ31Dに記録された通常運転診断の結果情報を携帯端末40へ送信する。さらに通信I/F31Eは、ストレージ31Dに記録された保険用運転診断の結果情報をサーバ50へ送信する。
【0059】
サーバ50は外部サーバ30と同様のハード構成を有する。そのため、サーバ50の通信I/Fが受信した保険用運転診断の結果情報は、サーバ50のストレージに記録される。
【0060】
図1に示される携帯端末40は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fを含んで構成されている。携帯端末40は、例えば、スマートフォン又はタブレット型コンピュータである。携帯端末40のCPU、ROM、RAM、ストレージ、通信I/F及び入出力I/Fは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。携帯端末40は、タイマー(図示省略)から日時に関する情報を取得可能である。携帯端末40にはタッチパネルを有するディスプレイ41が設けられている。
図1に示されるように携帯端末40は、運転者Drによって所有される。携帯端末40には、所定の運転情報表示アプリケーションがインストールされている。さらに携帯端末40のストレージには地図データが記録されている。
【0061】
図7には、携帯端末40の機能構成の一例がブロック図で示されている。携帯端末40は、機能構成として、通信制御部401及びディスプレイ制御部402を有する。通信制御部401及びディスプレイ制御部402は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0062】
通信制御部401は、通信I/Fを制御する。
【0063】
ディスプレイ制御部402はディスプレイ41を制御する。即ち、ディスプレイ制御部402は、例えば、携帯端末40が車両20又は外部サーバ30から受信した情報及びタッチパネルを介して入力された情報をディスプレイ41に表示させる。ディスプレイ41のタッチパネルによって入力された情報は、例えば、通信I/Fが車両20及び外部サーバ30へ送信可能である。
【0064】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0065】
まず車両20のCPU21Aが行う処理の流れについて、
図8のフローチャートを用いて説明する。CPU21Aは、所定時間が経過する毎に、
図8のフローチャートの処理を繰り返し実行する。なお、下記の説明では、
図8~
図10の各フローチャートの処理を一つのプロセッサ(CPU)が実行するが、複数のプロセッサ(CPU)が
図8~
図10の各フローチャートの処理を実行してもよい。
【0066】
ステップS10(以下、「ステップ」の文字を省略する)においてCPU21Aは、車両関連情報、PCS作動データ及び居眠り判定データの少なくとも一つを取得したか否かを判定する。
【0067】
S10でYesと判定したとき、CPU21AはS11へ進み、取得した情報(データ)をストレージ21Dに記録する。
【0068】
続いてCPU21AはS12へ進み、ストレージ21Dに記録された車両関連情報に第1データが含まれるか否かを判定する。
【0069】
S12でYesと判定したとき、CPU21AはS13へ進み、リアルタイム運転診断を実行するために十分な量の第1データがストレージ21Dに記録されているか否かを判定する。
【0070】
S13でYesと判定したとき、CPU21AはS14へ進み、リアルタイム運転診断を実行する。
【0071】
続いてCPU21AはS15へ進み、リアルタイム運転診断の結果情報をディスプレイ28に表示させる。
【0072】
S10、12、13でNoと判定したとき又はS15の処理を終えたとき、CPU21AはS16へ進み、データ記録時間が経過したか否かを判定する。CPU21AはYesと判定するまでS16の処理を繰り返し実行する。
【0073】
S16でYesと判定したとき、CPU21AはS17へ進み、データ記録時間の間にストレージ21Dに記録された車両関連情報に含まれる第2データ(第3データ)、居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データを外部サーバ30へ無線送信する。
【0074】
S17の処理を終えたとき、CPU21Aは
図8のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0075】
次に外部サーバ30のCPU31Aが行う処理の流れについて、
図9のフローチャートを用いて説明する。CPU31Aは所定時間が経過する毎に、
図9のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0076】
まずS20においてCPU31Aは、車両20から車両関連情報(第2データ、第3データ)、居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データの少なくとも一つを受信したか否かを判定する。
【0077】
S20でYesと判定したとき、CPU31AはS21へ進み、通常運転診断を実行するために十分な量の第2データがストレージ21Dに記録されているか否かを判定する。なお、S21でYesと判定されるために必要なデータ量は、S13でYesと判定されるために必要なデータ量よりはるかに多い。即ち、通常運転診断は、リアルタイム運転診断より多くのデータを用いて実行される。
【0078】
S21でYesと判定したとき、CPU31AはS22へ進み、通常運転診断を実行する。
【0079】
続いてCPU31AはS23へ進み、通常運転診断の結果情報をストレージ21Dに記録する。
【0080】
続いてCPU31AはS24へ進み、携帯端末40から送信要求を受信したか否かを判定する。携帯端末40の運転情報表示アプリケーションが起動されているとき、携帯端末40は所定時間が経過する毎に外部サーバ30へ送信要求を無線送信する。
【0081】
S24でYesと判定したとき、CPU31AはS25へ進み、通常運転診断の結果情報を携帯端末40へ無線送信する。
【0082】
続いてCPU31AはS26へ進み、通常運転診断の結果情報に基づいて保険用運転診断を実行する。
【0083】
続いてCPU31AはS27へ進み、保険用運転診断の結果情報をストレージ21Dに記録し且つサーバ50へ無線送信する。
【0084】
S20、21でNoと判定したとき、又は、S27の処理を終えたとき、CPU31Aは
図9のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0085】
次に携帯端末40のCPUが行う処理の流れについて、
図10のフローチャートを用いて説明する。CPUは所定時間が経過する毎に、
図10のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0086】
まずS30においてCPUは、運転情報表示アプリケーションが起動中か否かを判定する。
【0087】
S30においてYesと判定したとき、CPUはS31へ進み、外部サーバ30へ送信要求を無線送信する。
【0088】
続いてCPUはS32へ進み、外部サーバ30から通常運転診断の結果情報を受信したか否かを判定する。
【0089】
S32においてYesと判定したとき、CPUはS33へ進み、ディスプレイ41に結果情報40Fを表示させる(
図11参照)。
【0090】
S33の処理を終えたとき、又は、S30又はS32でNoと判定したとき、CPUは
図10のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0091】
以上説明したように本実施形態のシステム10では、情報取得部が取得した車両関連情報が、各運転診断の態様に基づいて、ECU21及び外部サーバ30の少なくとも一方に送信される。換言すると、運転診断の結果情報の出力先の種類、運転診断の種類(結果情報の種類)、及び車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて、車両関連情報の送信先が決定される。
【0092】
例えば、出力先がディスプレイ28であるリアルタイム運転診断を実行するための車両関連情報(第1データ)はECU21へ送信される。そのためECU21が生成したリアルタイム運転診断の結果情報をディスプレイ28に素早く表示できる。即ち、例えば、車両20から受信した車両関連情報に基づいて外部サーバ30が運転診断を行い且つこの運転診断の結果情報を外部サーバ30が車両20へ無線送信する場合と比べて、結果情報をディスプレイ28に素早く表示できる。従って、運転者Drはディスプレイ28を見ることにより、自身の運転操作に起因する結果情報を直ちに認識できる。即ち、運転者Drは問題のある運転操作を行ったときに、そのことを直ちに認識できる。
【0093】
さらに、出力先が携帯端末40である通常運転診断を実行するための車両関連情報(第2データ)が外部サーバ30へ送信される。そのため運転者Drは、例えば車両20の運転を終了した後に、携帯端末40のディスプレイ41を見ることにより、外部サーバ30が生成した通常運転診断の結果情報を認識できる。さらに通常運転診断は、リアルタイム運転診断より多くのデータを用い且つ機械学習を利用して実行されるので、通常運転診断の信頼性は高い。
【0094】
さらに、保険用運転診断を実行するための車両関連情報(第3データ)が、保険会社の認証を受けた外部サーバ30へ送信され、外部サーバ30によって保険用運転診断が実行される。即ち、運転診断の種類が保険用運転診断の場合は、保険会社から認証を受けた外部サーバ30へ車両関連情報(第3データ)が送信される。そのため、保険用運転診断の結果情報を受信した保険会社は、信頼できる結果情報に基づいて保険商品を設計できる。
【0095】
また、データ容量が大きい車両関連情報である車外画像データ及び顔画像データは、ECU21に送信される一方で、外部サーバ30へ無線送信されない。そのため、車両20と外部サーバ30との間の無線通信の負荷を軽減できる。
【0096】
このようにシステム10は、運転診断に関する様々な条件を考慮しながら、車両関連情報を複数の運転診断部(ECU21、外部サーバ30)へ送信できる。
【0097】
さらに第1閾値以上の頻度である第1頻度で取得された車両関連情報が、外部サーバ30へ送信されずに、ECU21にのみ送信される。そのため、車両20から外部サーバ30へ無線送信される車両関連情報のデータ量を抑制できる。
【0098】
さらにECU21が生成した一部の結果情報(居眠り判定データ、制限速度違反データ及びPCS作動データ)が、車両20から外部サーバ30へ送信され、外部サーバ30はこの結果情報を利用して通常運転診断を行う。従って、外部サーバ30は、ECU21と重複する内容の運転診断を行うことなく通常運転診断を実行できる。
【0099】
さらに外部サーバ30の管理者又は運転者Drが、データ分類リスト29の内容を任意に変更できる。そのため、例えば運転者Drがディスプレイ28にリアルタイム運転診断の結果情報を表示させないことを望む場合は、管理者又は運転者Drが、第1データを含まないようにデータ分類リスト29の内容を更新すればよい。また、例えば、保険会社が居眠り判定データを保険用運転診断に含めることを希望する場合は、顔画像データが第3データとなるようにデータ分類リスト29の内容を更新し、且つ、外部サーバ30に覚醒度推定部202に相当する機能を持たせればよい。
【0100】
以上、実施形態に係る運転診断装置、システム、運転診断方法及びプログラムについて説明したが、これらは本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0101】
例えば、リアルタイム運転診断の結果情報がディスプレイ28に表示されないように、車両20を設計変更してもよい。この設計変更は、例えば、ディスプレイ28(タッチパネル)を利用して実行可能である。
【0102】
ECU21と外部サーバ30が重複する内容の運転診断を行ってもよい。例えば、保険会社が制限速度違反データを保険用運転診断に含めることを希望する場合は、車両20から受信した車輪速センサ22の取得データ、車両20の位置データ及び地図データを利用して、外部サーバ30が制限速度違反データを生成し、この制限速度違反データを保険用運転診断の結果情報に含めてもよい。
【0103】
車両20が外部サーバ30へ、車外画像データ及び顔画像データの少なくとも一方を無線送信してもよい。但し、この場合は、ECU21が画像データの容量を圧縮した後に、画像データを外部サーバ30へ無線送信するのが好ましい。このようにすれば外部サーバ30は、画像データを用いながら通常運転診断及び保険用運転診断を実行できる。
【0104】
保険会社が車両20(ECU21)を認証してもよい。このようにすれば、ECU21が生成したリアルタイム運転診断の結果情報を保険用運転診断に含めることができる。
【0105】
さらに外部サーバ30が生成する通常運転診断の結果情報に、外部サーバ30が診断結果に基づいて運転者Drとの相性が良いと判定した車両(車種)に関する情報(推薦情報)が含まれてもよい。このようにすれば、携帯端末40のディスプレイ41を見た運転者Drは、自分にとって運転し易い車両を知ることができる。
【0106】
また車両20の内部に位置する携帯端末40のディスプレイ41に、リアルタイム運転診断の結果情報を表示させてもよい。
【0107】
各運転診断の結果情報が音声として出力されてもよい。例えば、リアルタイム運転診断の結果情報が、車両20に設けられたスピーカ(図示省略)から出力されてもよい。
【0108】
[付記]
本発明の運転診断装置は以下の構成1~構成8を任意に組み合わせたものであってもよい。
〈構成1〉運転診断装置が、車両に関連する車両関連情報を取得する情報取得部と、前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部へ前記車両関連情報を無線送信可能、且つ、前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部へ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を送信可能な送信部と、を備え、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
〈構成2〉前記第1運転診断及び前記第2運転診断の結果情報の出力先の種類、前記結果情報の種類、及び前記車両関連情報の種類の少なくとも一つに基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
〈構成3〉前記結果情報の前記出力先が前記車両に設けられたディスプレイである前記第2運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する。
〈構成4〉前記結果情報の前記出力先が前記第1運転診断部と無線通信可能な携帯端末である前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する。
〈構成5〉前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の少なくとも一方が、保険会社が保険商品の設計に利用する前記結果情報である特定結果情報を生成する運転診断を実行可能且つ前記保険会社から認証された特定運転診断部であり、前記特定結果情報を生成する運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記特定運転診断部に送信する。
〈構成6〉前記第1運転診断部が機械学習を伴う前記第1運転診断を実行可能であり、前記機械学習を伴う前記第1運転診断のために必要な前記車両関連情報を、前記送信部が前記第1運転診断部に送信する。
〈構成7〉前記情報取得部による取得頻度が第1閾値以上の前記車両関連情報を、前記送信部が前記第2運転診断部に送信する。
〈構成8〉前記第2運転診断の一部の結果情報を、前記送信部が、前記第1運転診断部へ送信する。
さらに本発明の運転診断システムは以下の構成9と、構成1~8の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成9〉運転診断システムは、車両に関連する車両関連情報をする情報取得部と、前記車両の外部に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部と、前記車両に設けられ、前記情報取得部から取得した前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部と、前記車両関連情報を前記第1運転診断部へ無線送信可能、且つ、前記車両のネットワークを利用して前記車両関連情報を前記第2運転診断部へ送信可能な送信部と、を備え、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて、前記送信部が前記車両関連情報を前記第1運転診断部及び前記第2運転診断部の何れに送信するかが決定される。
さらに本発明の運転診断方法は以下の構成10と、構成1~8の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成10〉運転診断方法は、車両に関連する車両関連情報を取得するステップ、及び前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信、の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定するステップ、を有する。
さらに本発明のプログラムは以下の構成11と、構成1~8の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成11〉プログラムは、車両に関連する車両関連情報を取得する処理、及び前記車両の外部に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第1運転診断を行う第1運転診断部への前記車両関連情報の無線送信、及び、前記車両に設けられ且つ前記車両関連情報を用いて前記車両の第2運転診断を行う第2運転診断部への前記車両のネットワークを利用した前記車両関連情報の送信の何れを実行するかを、前記第1運転診断及び前記第2運転診断の態様に基づいて決定する処理、をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0109】
10 運転診断システム(システム)
20 車両
21 ECU(第2運転診断部)(運転診断装置)
21E 通信I/F(送信部)
22 車輪速センサ(情報取得部)
23 アクセル開度センサ(情報取得部)
24 ブレーキ踏力センサ(情報取得部)
25 操舵角センサ(情報取得部)
26A 前方カメラ(情報取得部)
26B 車内カメラ(情報取得部)
27 GPS受信機(情報取得部)
28 ディスプレイ
30 外部サーバ(第1運転診断部)(特定運転診断部)
40 携帯端末