(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018752
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】熱交換器モジュール
(51)【国際特許分類】
F28F 9/26 20060101AFI20230202BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20230202BHJP
F28D 7/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F28F9/26
F28D7/02
F28D7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122990
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000126632
【氏名又は名称】株式会社アタゴ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 正信
(72)【発明者】
【氏名】大友 昇
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065FA13
3L103AA01
3L103BB43
3L103CC02
3L103DD05
3L103DD10
3L103DD42
(57)【要約】
【課題】熱交換器を複数並置し、これらの熱交換器の外管とヘッダー管とを連通させることにより、熱交換器モジュールを形成するにあたり、その生産性を向上させる。
【解決手段】複数の熱交換器の外管1の出口開口部6を出口ヘッダー7bと接続する。これにより、熱交換器の流体通路と出口ヘッダー管7bの流体通路を連通させ、熱交換器モジュールを形成する。この場合、外管1の出口開口部6の周縁をバーリング加工して第1の突縁8を形成する。一方、出口ヘッダー管7bにもヘッダー開口部9を形成し、その周縁をバーリング加工して第2の突縁10を形成する。第1の突縁8と第2の突縁10とを嵌め合わせ、かつロウ付けにより接合する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、この外管の中に挿入された内管と、外管の外側又は内管の内側に巻き付けられた第1の流体を流す冷媒管と、外管と内管の両端を塞ぐキャップと、を有し、外管と内管の間の空間を第2の流体が流れる流体通路とする複数の熱交換器と、前記複数の熱交換器の流体通路に連通接続するヘッダー管と、を備える熱交換器モジュールであって、
前記外管に形成された第1の開口部の周縁をバーリング加工して形成された第1の突縁と、
前記ヘッダー管に形成された第2の開口部の周縁をバーリング加工して形成された第2の突縁と、を備え、前記第1の突縁と前記第2の突縁とは嵌め合わされ、かつロウ付けにより接合されたことを特徴とする熱交換器モジュール。
【請求項2】
前記第1の突縁は前記外管の外側に突出し、前記第2の突縁は前記ヘッダー管の内側に突出し、前記第1の突縁の外周面は前記第2の突縁の内周面に当接していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器モジュール。
【請求項3】
前記第1の突縁は前記外管の内側に突出し、前記第2の突縁は前記ヘッダー管の外側に突出し、前記第1の突縁の内周面は前記第2の突縁の外周面に当接していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器モジュール。
【請求項4】
前記外管と前記内管の間の空間に、管軸方向に延びるように挿入された熱伝導促進体を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器の外管にヘッダー管を連通接続してなる熱交換器モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外管と、この外管の中に挿入された内管と、内管の内側又は外管の外側に巻き付けられた第1の流体を流す冷媒管と、を有し、外管と内管の間の空間を第2の流体が流れる流体通路とする二重管式の熱交換器が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、入力ヘッダー管と出力ヘッダー管との間に複数本の管体を並置し、管体の両端を両ヘッダー管に接合して連通し、入口開口部ヘッダー管から各管体を流通して出口開口部ヘッダー管に至る流体通路を形成したステンレス製熱交換器において、両ヘッダー管の開口周縁をバーリング加工して突縁を形成し、管体の端部を突縁内に挿通して周壁を突縁の内周面に当接させ、ロウ付けにより接合したものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-102643号公報
【特許文献2】特開2011-127840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された熱交換器を複数並置し、これらの熱交換器の外管とヘッダー管とを連通接続することにより、熱交換性能を向上させた熱交換器モジュールを作製することができる。
【0006】
この場合、特許文献2に記載された発明に照らせば、外管とヘッダー管とを接続管を介して、ロウ付けにより接合することが考えられる。しかしながら、外管、ヘッダー管及び接続管の組立品を炉内に投入してロウ付けをする際に、接続管が転倒するおそれがあることから、これを防止するための治具を設置する必要があり、生産性が悪い等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題に鑑み、本発明の熱交換器モジュールは、外管と、この外管の中に挿入された内管と、外管の外側又は内管の内側に巻き付けられた第1の流体を流す冷媒管と、外管と内管の両端を塞ぐキャップと、を有し、外管と内管の間の空間を第2の流体が流れる流体通路とする複数の熱交換器と、前記複数の熱交換器の流体通路に連通接続するヘッダー管と、を備える熱交換器モジュールであって、
前記外管に形成された第1の開口周縁をバーリング加工して形成された第1突縁と、前記ヘッダー管に形成された第2の開口周縁をバーリング加工して形成された第2の突縁と、を備え、前記第1の突縁と前記第2の突縁とは嵌め合わされ、かつロウ付けにより接合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接続管を使用せず、外管とヘッダー管とをバーリング加工により直接嵌め合わせているので部品(接続管)を削減することができ、また、外管とヘッダー管の組立品を炉内に投入してロウ付けをする際に、転倒を防止するための治具の設置が不要になるので、生産性を向上することができる。
【0009】
本発明は、エコキュート用や給湯器用の熱交換器モジュールに好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態における熱交換器を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における熱交換器モジュールを示す図である。
【
図3】比較例における熱交換器モジュールを示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における外管とヘッダー管との接続構造を示す断面図である。
【
図5】比較例における外管とヘッダー管との接続構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態における熱交換器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態における熱交換器を図面に基づいて説明する。
<<第1の実施形態>>
先ず、
図1は熱交換器100Aを示す図であり、
図1(a)は、熱交換器100Aの正面図(一部は断面図になっている)、
図1(b)はその底面図である。
【0012】
この熱交換器100Aは、第1流体(例えば、CO
2等の高温冷媒)と第2流体(例えば、水)との間で熱交換する熱交換器であって、円筒形状をなした外管1の中に円筒形状をなした内管2が挿入されている。外管1の外側には、第1の流体を流す冷媒管3が螺旋状に巻き付けられている。また、外管1と内管2の両端を塞ぐ上端キャップ4a及び下端キャップ4bが設けられている。なお、
図1(a)では、冷媒管3の図示は一部省略されている。
【0013】
そして、外管1の側壁の上端部付近には入口開口部5が形成され、外管1の側壁の下端付近には出口開口部6が形成されている。外管1と内管2の間の密閉空間は、第2の流体を流す流体通路となっており、入口開口部5から流入した第2の流体は流体通路を通って出口開口部6から流出するようになっている。入口開口部5と出口開口部6とは逆の位置関係であっても良い。また、外管1と内管2の間の密閉空間(第2の流体の流体通路)には管軸方向に延びるように熱伝導促進体(フィン)を挿入してもよい。
【0014】
次に、本実施形態における熱交換器モジュール200Aを
図2及び
図4に基づいて
説明する。
図2(a)は熱交換器モジュール200Aの正面図、
図2(b)はその底
面図である。
【0015】
図2に示すように、上述の熱交換器100Aを複数個(この例では3個)並置し、
これらの熱交換器100Aの外管1の入口開口部5を円筒形状の入口ヘッダー管7aと接続する。同様に、熱交換器100Aの外管1の出口開口部6を円筒形状の出口ヘッダー7bと接続する(
図2(b)の破線で囲んだ接続部Aを参照)。入口ヘッダー管7a及び出口ヘッダー7bの一方の管端は塞がれている。
【0016】
これにより、外管1と内管2の間の第2の流体の流体通路と、入口開口部ヘッダー管7a及び出口ヘッダー管7bの内部流体通路を連通させ、熱交換器モジュール200Aを形成している。
【0017】
次に、外管1と出口ヘッダー管7bの接続部Aの2つの接続構造例を
図4に基づいて説明する。外管1と入口ヘッダー管7aの接続構造も同様になっている。第1の接続構造例を
図4(a)に示す。図示のように、外管1の出口開口部6(本発明の「第1の開口部」の一例)の周縁をバーリング加工して第1の突縁8が形成される。この第1の突縁8は外管1の外側に突出している。
【0018】
一方、出口ヘッダー管7bにもヘッダー開口部9(本発明の「第2の開口部」の一例)が形成され、その周縁をバーリング加工して第2の突縁10が形成される。この第2の突縁10は出口ヘッダー管7bの内側に突出している。
【0019】
そして、第1の突縁8と第2の突縁10とは嵌め合わされ、かつロウ付けにより接合される。この場合、第1の突縁8の外周面は第2の突縁10の内周面に当接している。
【0020】
第2の接続構造例を
図4(b)に示す。この例では、外管1の出口開口部6と出口ヘッダー管7bのヘッダー開口部9をバーリング加工するのは同じであるが、外管1の第1の突縁8は、反対に外管1の内側に突出している。また、出口ヘッダー管7bの第2の突縁10は、反対に出口ヘッダー管7bの外側に突出している。そして、第1の突縁8の内周面は第2の突縁10の外周面に当接している。
【0021】
<比較例>
次に、比較例に係る熱交換器モジュール200Bを
図3及び
図5に基づいて説明す
る。
図3(a)は熱交換器モジュール200Bの正面図、
図3(b)はその底面図で
ある。
図3に示すように、上述の熱交換器100Aを複数個(この例では3個)並置し、これらの熱交換器100Aの外管1の入口開口部5を入口ヘッダー管7aと接続し、熱交換器100Aの外管1の出口開口部6を出口ヘッダー7bと接続する点は、本発明の実施形態に係る熱交換器モジュール200Aと同様である。
【0022】
しかしながら、比較例に係る熱交換器モジュール200Bにおいては、
図3(b)の破線で囲んだ接続部Bに示すように、外管1と出口ヘッダー管7b(入口ヘッダー7a)とは、接続管11を介して接合されている点で相違している。
【0023】
この接続構造例を
図5に示す。図示のように、外管1の出口開口部6の周縁をバーリング加工して第1の突縁8が形成される。この第1の突縁8は外管1の外側に突出している。一方、出口ヘッダー管7bにもヘッダー開口部9が形成され、その周縁をバーリング加工して第2の突縁10が形成される。この第2の突縁10は出口ヘッダー管7bの内側に突出している。
【0024】
そして、接続管11の一方の端部の内周面は第1の突縁8の外周面に当接し、ロウ付けにより接合される。また、接続管11の他方の端部は第2の突縁10内に挿通され、この接続管11の周壁は第2の突縁10の内周面に当接し、ロウ付けにより接合される。
【0025】
このような熱交換器モジュール200Bでは、外管1、入口ヘッダー管7a、出口ヘッダー管7b及び接続管11の組立品を炉内に投入してロウ付けをする際に、接続管11が転倒するおそれがあることから、これを防止するための治具を設置する必要があり、生産性が悪い等の問題がある。
【0026】
これに対して、本実施形態の熱交換器モジュール200Aによれば、接続管11を使用せず、外管1、入口ヘッダー管7a及び出口ヘッダー管7bをバーリング加工により直接嵌め合わせているので部品(接続管11)を削減することができる。また、外管1、入口ヘッダー管7a及び出口ヘッダー管7bの組立品を炉内に投入してロウ付けをする際に、転倒を防止するための治具の設置が不要になるので、生産性を向上することができる。
【0027】
<<第2の実施形態>>
上述のように、第1の実施形態の熱交換器モジュール200Aを構成する熱交換器100Aにおいては、冷媒管3は外管1の外側に螺旋状に巻き付けられている。これに対して、
図6に示すように、第2の実施形態の熱交換器モジュールを構成する熱交換器100Bにおいては、冷媒管3は内管2の内側に螺旋状に巻き付けられている。
【0028】
また、この冷媒管3の両端は、上端キャップ4a及び下端キャップ4bを貫通して外部に取り出されている。その他の構成は第1の熱交換器モジュール200Aと同じである。
【符号の説明】
【0029】
1 外管
2 内管
3 冷媒管
4a 上端キャップ
4b 下端キャップ
5 入口開口部
6 出口開口部
7a 入口ヘッダー管
7b 出口ヘッダー管
8 第1の突縁
9 ヘッダー開口部
10 第2の突縁
11 接続管
100A,100B 熱交換器
200A,200B 熱交換器モジュール