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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019292
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】触媒担体及び触媒担体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20230202BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20230202BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B01J35/04 321A
B01J35/04 301C
B01J32/00
F01N3/24 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123915
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 豊史
【テーマコード(参考)】
3G091
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091BA07
3G091GA08
3G091GA16
3G091GA21
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA17
4G169CA02
4G169DA06
4G169EA18
4G169EA21
4G169EA25
4G169FB15
4G169FB69
(57)【要約】
【課題】 動弁を用いずに排ガスの逆流を抑制した触媒担体及び触媒担体の製造方法を提供する。
【解決手段】 触媒担体10は、平行に並ぶ多数の波形条溝13を有する波形板14と、波形板14に重ね合わせられて波形板14とともに巻き回されることでハニカム構造体を形成する表平板16と、波形板14の波形条溝13及び表平板16に囲まれて形成される各セル11の表面を被覆する触媒層と、セル11内の表平板16に設けられてセル11内を流れる排ガスGが流下する向きに傾斜して隆起する複数の壁状突起刃21と、セル11内の表平板16に設けられてセル11内を流れる排ガスGが流下する向きに傾斜して隆起するとともに刃面に貫通孔23を有する複数の穿孔突起刃22と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に並ぶ多数の波形条溝を有する波形板と、
前記波形板に重ね合わせられて前記波形板とともに巻き回されることでハニカム構造体を形成する平板と、
前記波形板の前記波形条溝及び前記平板に囲まれて形成される各セルの表面を被覆する触媒層と、
前記セル内の前記平板に設けられて前記セル内を流れる排ガスが流下する向きに傾斜して隆起する複数の壁状突起刃と、
前記セル内の前記平板に設けられて前記セル内を流れる排ガスが流下する向きに傾斜して隆起するとともに刃面に貫通孔を有する複数の穿孔突起刃と、を備えることを特徴とする触媒担体。
【請求項2】
前記壁状突起刃及び前記穿孔突起刃は、刃先部に向かうにつれて幅が狭まる請求項1に記載の触媒担体。
【請求項3】
前記壁状突起刃及び前記穿孔突起刃の配列間隔は、前記ハニカム構造体の径方向外周部から中心部に向かうにつれて小さくなる請求項1又は請求項2に記載の触媒担体。
【請求項4】
前記壁状突起刃及び前記穿孔突起刃の配列間隔は、前記セル内の上流側から下流側に向かうにつれて小さくなる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触媒担体。
【請求項5】
前記平板には、前記壁状突起刃及び前記穿孔突起刃が設けられた裏平板が裏面同士で重ね合わせられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の触媒担体。
【請求項6】
平板に排ガスが流下する向きに傾斜するように隆起する複数の壁状突起刃を形成させるステップと、
一部の前記壁状突起刃の刃面を穿孔して穿孔突起刃にするステップと、
前記平板を裏平板及び波形板で挟み込んで積層体を形成するステップと、
前記積層体を巻き回わして前記平板と前記波形板の波形条溝とで囲まれた多数のセルで構成されたハニカム構造体を形成するステップと、
前記ハニカム構造体を触媒スラリーに含侵して各前記セルの表面に触媒層を形成させるステップと、を含むことを特徴とする触媒担体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハニカム構造を有する船外機用の触媒担体に関する。
【背景技術】
【0002】
数年内の施行が予定されている船外機の排ガス規制では、乗用車や二輪車と同様に船外機に触媒による浄化装置を装着することが要求されている。
船外機は水中に排ガスを排出する構造を有するため、エンジン負荷の急減時や排ガス流量の急減時などに瞬間的に排ガスが逆流する。排ガスが逆流すると船外機外部の水も逆流し、触媒が被水してしまうおそれがある。触媒が被水すると、サーマルショックによる触媒層の剥奪または海塩成分による触媒被毒が発生する。
そこで、何らかの逆流防止措置をとることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51-143998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、逆流防止措置として動弁を設けると、動弁が閉側で固着する故障が発生するおそれがあるという課題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、動弁を用いずに排ガスの逆流を抑制した触媒担体及び触媒担体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る触媒担体は、平行に並ぶ多数の波形条溝を有する波形板と、前記波形板に重ね合わせられて前記波形板とともに巻き回されることでハニカム構造体を形成する平板と、前記波形板の前記波形条溝及び前記平板に囲まれて形成される各セルの表面を被覆する触媒層と、前記セル内の前記平板に設けられて前記セル内を流れる排ガスが流下する向きに傾斜して隆起する複数の壁状突起刃と、前記セル内の前記平板に設けられて前記セル内を流れる排ガスが流下する向きに傾斜して隆起するとともに刃面に貫通孔を有する複数の穿孔突起刃と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、動弁を用いずに排ガスの逆流を抑制した触媒担体及び触媒担体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る触媒担体の概略斜視図。
図2】(A)は第1実施形態におけるセルの部分拡大斜視図、(B)は第1実施形態における表平板の部分上面図、(C)は(A)の切断面αで切断したセルの側面断面図。
図3】(A)セル内での順方向の流れを説明する1つのセルの側面断面図,(B)セル内での逆流時の流れを説明する1つのセルの側面断面図。
図4】(A)第1実施形態のセルを隣接するセルも含めて示す正面断面図、(B)は第1実施形態における表平板を隣接するセル内の表平板も含めて示す上面図。
図5】(A)第1実施形態におけるセルの変形例の正面断面図、(B)は(A)の変形例における表平板の上面図。
図6】(A)は第2実施形態に係る触媒担体のセルの側面断面図、(B)は第2実施形態に係る触媒担体の表平板の上面図、(C)は第2実施形態におけるセルを切断面αで切断した側面断面図。
図7図7(A),(B)は、第2実施形態における突起刃の配列パターンの変形例を示す図。
図8図8(A),(B)は、第2実施形態における突起刃の配列パターンの別の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、実施形態において排ガスが正常に流れる向きを基準にして「上流」「下流」の用語を用いる。つまり、「セル内の上流側」とは、エンジンに接続される側であって正常の排ガス時に排ガスが触媒担体内に流入してくる側を指す。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1を用いて、実施形態に係る触媒担体10について概説する。
図1は、本発明の実施形態に係る触媒担体10の概略斜視図である。
触媒担体10は、図1に示されるように、その内部に多数のセル11が集合したハニカム構造50を有する金属製の担体である。
触媒担体10には、船外機のエンジンの排気管が接続されてセル11にエンジンの排ガスGが供給される。また、セル11の下流側には水中に開口する排気端末管が接続されて、セル11で浄化済みガスが排気される。
なお、触媒担体10の形状は、例えば断面が図1の半円を直線で接続したいわゆるレーストラック形状のもの以外にも真円のものや長方形のものなど、船外機に応じて種々のものがある。
【0011】
触媒担体10のハニカム構造50は、平行に並ぶ多数の波形条溝13を有する波形板14に2枚の平板16,17を重ね合わせて巻き回すことで形成される。
ハニカム構造50を構成する各セル11は、波形板14の波形条溝13と表平板16とで囲まれた隙間として形成される。巻き回されてハニカム構造50を形成した触媒担体10が触媒の液体の中に含侵されることで、触媒層がセル11の表面を被覆するように形成される。このセル11内を排ガスGが流動することによって、排ガスGが浄化される。
【0012】
図2(A)は図1で示したセル11の部分拡大斜視図、図2(B)は表平板16の部分上面図、図2(C)は図2(A)の切断面αで切断したセル11の側面断面図である。
セル11内の表平板16には、図2(A),(B)に示されるように、セル11内を流れる排ガスGが流下する向き、すなわち下流側に傾斜して隆起する複数の壁状突起刃21が間隔を開けて設けられている。
【0013】
また、2つの壁状突起刃21の間には、壁状突起刃21の刃面にさらに貫通孔23を有する形状の穿孔突起刃22が設けられている。すなわち、穿孔突起刃22もまた、セル11内の表平板16に設けられてセル11内を流れる排ガスGが流下する向きに傾斜して隆起している。これらの突起刃21,22は、図3(A),(B)を用いて後に詳述するように、動弁を不要とした逆流抑制機構であるテスラバルブの襞壁としての機能を発揮する。
【0014】
突起刃21,22は、例えば表平板16にパンチングすることで形成される。突起刃21,22の刃先部は、根本部の両端から下流側に向けてパンチングにより切れ目を入れることで形成される。そして、プレスによりこの刃先部を隆起させることで突起刃21,22となる。なお、穿孔突起刃22は、一度壁状突起刃21を形成させたのちに貫通孔23を穿孔することで形成させてもよいし、壁状突起刃21とは別個の輪郭形状を有して別個に形成させてもよい。
【0015】
表平板16の裏面には、裏平板17が重ね合わされて、パンチングにより空けられたパンチ孔24が裏平板17で封止される。つまり、壁状突起刃21及び穿孔突起刃22が設けられた表平板16はこの裏平板17と波形板14とで挟み込まれて積層体を形成する。この積層体を巻き回す際、裏平板17及び波形板14は、セル11どうしが空間的に確実に隔絶されるように適所で随時表平板16に接合される。このような方法で製造すると、表平板16に突起刃21,22を形成させる工程以外、自動車に用いられる従来の触媒担体と同様の製造方法で触媒担体10を製造することができる。つまり、船外機の生産プロセスを複雑化させることなく、ほぼ従来と同様の工程で触媒担体10に逆流防止機能を付与することができる。
【0016】
なお、2枚の平板16,17を区別するために、「表」,「裏」を付して説明しているが、表平板16及び裏平板17は、板厚及び材質は同一であってもよい。パンチング以外の方法で突起刃21,22を形成する場合には、平板16の1枚のみであってもよい。
【0017】
突起刃21,22の輪郭形状は、図2(A),(B)に示されるように、三角形状、半円形状又は半楕円状のように、波形板14の形状に合わせて刃先部に向かって幅に狭まる形状が望ましい。このような形状にすることで、排ガスGが触媒担体10内で滞留することなく下流側へ排出される。
【0018】
次に、図3(A),(B)の1つのセル11の側面断面図を用いて、突起刃21,22の逆止弁としての機能について説明する。
図3(A)はセル11内を排ガスGが順方向に流動しているときの状態を示しており、図3(B)は排ガスGが逆方向に流動しているときの状態を示している。
【0019】
排ガスGは、図3(A)のように順方向に流れる場合、穿孔突起刃22の貫通孔23を通り抜けるのに流抵抗が大きいため、穿孔突起刃22に向かう分流Gmsの割合は小さい。
また、穿孔突起刃22の貫通孔23を通り抜けた少量の分流Gmsは、壁状突起刃21に誘導されて排ガスGの本流に合流する。つまり、排ガスGが順方向に流れる場合、排ガスGの大部分は、分流Gmsに向かうことなく本流Gとしてセル11内を流下する。よって、突起刃21,22がなかった場合と比較して流抵抗を略上げることなく排ガスGを流通させることができる。
【0020】
一方、排ガスGが図3(B)に示されるように逆方向に流れる場合、穿孔突起刃22の貫通孔23を通り抜けた分流Grsは、壁状突起刃21の刃面で向きを変えられて、本流Gに略正面から衝突する。
よって、分流Grsの略正面からの衝突を受けた本流Gは、衝突位置において複雑な渦Gを発生させる。この渦Gによる乱流が通気抵抗となることで逆流Gの進行が妨げられて、逆流Gが抑制される。
【0021】
つまり、順方向に流れるときは、突起刃21,22がほとんど妨げにならず大量の排ガスGを流動させることができ、逆方向に流れるときは、排ガスGの流動を効果的に抑制することができる。すなわち、突起刃21,22により、動弁を用いずに逆流抑制機構を実現するテスラバルブの機能が発揮される。
【0022】
なお、逆止弁としての効果を高める観点から、穿孔突起刃22と壁状突起刃21とは交互に配列されていることが望ましい。
また、貫通孔23は、大きさが大きいほどまたその数が大きいほど逆流抑制の効果が高くなるため、逆流時に許容される水位を加味しながら大きさ及びその数が決定される。例えば、突起刃21,22によるセル11の断面積に占める突起刃21,22の投影面積、すなわち閉塞率は30%以下とすることが好ましい。また、突起刃21,22と表平板16とのなす角度は10~60°が好ましく、10~30°がより好ましい。
【0023】
また、突起刃21,22の配列間隔は、ハニカム構造体の径方向外周部から中心部に向かうにつれて小さくすることが望ましい。排ガスGの逆流時の流速が外周部に比べて高くなる中央部において、中心部の排ガスGの乱流が生じる頻度を高くするためである。つまり、中心部の突起刃21,22の密度を高めることで、逆流した排ガスGが十分に乱流を発生させずに吹き抜けることを抑制することができる。
【0024】
また、突起刃21,22の配列間隔は、セル11内の上流から下流に向かうにつれて小さくすることが望ましい。
また、触媒担体10の例えば径方向の中心から所定距離の領域のみなど一部の領域のみに突起刃21,22を設けてもよい。。
【0025】
次に、図4(A),(B)及び図5(A),(B)を用いて、隣接するセル11も含めた突起刃21,22の配列パターンについて説明する。
図4(A)は、第1実施形態のセル11を隣接するセル11も含めて示す正面断面図、図4(B)は第1実施形態における表平板16を隣接するセル内の表平板も含めて示す上面図である。
また、図5(A)は第1実施形態の変形例に係るセル11aの正面断面図、図5(B)は図5(A)の変形例における表平板16aの上面図である。
【0026】
隣り合うセル11は互いに空間的に隔絶されていて互いに影響を及ぼさない。よって、隣り合うセル11同士の突起刃21,22の配置位置は、例えば図4に示されるように同じ位置関係であっても、図5に示されるように壁状突起刃21と穿孔突起刃22とが互い違い配置される千鳥状の位置関係となってもよい。また、これらの突起刃21,22は、隣接するセル11内の配置構造に影響されずにより自由に配置されていてもよい。
【0027】
以上のように、第1実施形態に係る触媒担体10によれば、セル11内にテスラバルブの構造を設けることで、動弁を用いずに触媒担体10内の逆流を抑制することができる。
また、触媒担体10のセル11内に逆流抑止機構を付与できるため、機能部品を外付けする場合と比較して、周囲の部品との関係で船外機が大型化するのを抑制することができる。
【0028】
(第2実施形態)
図6(A)は第2実施形態に係る触媒担体10のセル11(11a,11b)の側面断面図、図6(B)は第2実施形態に係る触媒担体10の表平板16の上面図、図6(C)は図2(A)の切断面αで切断したセルの側面断面図である。
また、図7(A),(B)は、第2実施形態における突起刃21,22の配列パターンの変形例を示す図である。
また、図8(A),(B)は、第2実施形態における突起刃21,22の配列パターンの別の変形例を示す図である。
【0029】
なお、図6(A)、図7(A)及び図8(A)中の二段のセル群はハニカム構造50(図1)のうちの互いに異なる周に配置されていることを示している。
第2実施形態では、説明の便宜上、これら図6(A)、図7(A)及び図8(A)中の下段を内周側で上段を外周側として説明する。
また、図6(B)、図7(B)及び図8(B)において、内周側に突出する突起刃21,22は一点破線で表現する。
【0030】
第2実施形態に係る触媒担体10では、図6(A)~図6(C)に示されるように、表平板16に重ね合わされた裏平板17aにも突起刃21a,22aが設けられる。
裏平板17aに設けられた突起刃21a,22aは、表平板16と同様に、下流側に向けて隆起しており、テスラバルブの襞壁としての機能を発揮する。
【0031】
表平板16と裏平板17aとは突起刃21,22,21a,22aが立ち上がっていない裏面同士が重ね合わされる。裏平板17aの突起刃21a,22aは、表平板16の突起刃21,22が隆起しているセル11aに平板16,17で隔てられた内周側のセル11b内に突出する。表平板16の突起刃21,22と裏平板17aの突起刃21a,22aとを流方向に互いにずらすように重ね合わせることで、空けられたパンチ孔24を互いの板面で封止する。パンチ孔24を互いに封止することで、これら背中合わせに隣接しあう内周側のセル11bと外周側のセル11aは第1実施形態と同様に互いに空間的に隔絶される。
【0032】
パンチ孔24を封止してハニカム構造50の内周と外周とを隔てる他の配置パターンには図7又は図8で示されるような複数のパターンがある。
例えば図7(A),(B)に示されるように、外周側の波形板14a(14)と内周側の波形板14b(14)とが波形状の位相が90°ずれて配置される場合がある。このとき、内周側のセル11bは、隣り合う外周側のセル11aに跨いだ中央位置に配置される。この場合には、表平板16の突起刃21,22と裏平板17aの突起刃21a,22aとを流方向の同じ位置に配置しても、パンチ孔24は封止された状態になる。
【0033】
また、突起刃21,22は、図8(A),(B)に示されるように、図7(A),(B)の状態からさらに突起刃21,22の流方向の位置を表平板16と裏平板17aとでずらすこともできる。つまり、外周側のセル11aと内周側のセル11bとで波形板14a,14bの位相を90°ずらした上で、流方向の位置においても突起刃21,22,21a,22aが重ならないように配置する。この場合、パンチ孔24を封止しながらも、突起刃21,22の流方向の間隔を詰めて配置することができる。
【0034】
なお、第2実施形態では、裏平板17aにも突起刃21,22を設けたこと以外は第1実施形態と同様であるため、重複する説明を省略する。図面においても同様に、重複する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
以上のように、第2実施形態に係る触媒担体10によれば平板16,17aで仕切られた内周側のセル11にも突起刃21,22を設けることができる。よって、触媒担体10内により多くの突起刃21,22と設けることができるため、セル11内の逆流防止効果をより高めることができる。
【0036】
以上述べた各実施形態に係る触媒担体10によれば、動弁を用いずに触媒担体10内の排ガスGの逆流を抑制することができる。
【0037】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0038】
例えば、突起刃の形状は下流側に向かって幅が狭まる形状である説明したが、突起刃の形状は矩形であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…触媒担体、11(11a,11b)…セル(内周側のセル,外周側のセル)、13…波形条溝、14(14a,14b)…波形板(内周側の波形板,外周側の波形板)、16(16a)…表平板、17(17a)…裏平板、18…触媒層、21(21a)…壁状突起刃(突起刃)、22(22a)…穿孔突起刃(突起刃)、23…貫通孔、24…パンチ孔、50…ハニカム構造、G(G,G,Grs,Gms,G)…排ガス、G…順方向の排ガス本流、Gms…順方向の排ガスの分流、G…逆流の排ガスの本流、Grs…逆流の排ガスの分流、G…渦、α…切断面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8