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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019903
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】網戸及び網戸付き建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
E06B9/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124970
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】平松 誠司
(57)【要約】
【課題】網部の張り具合を調整可能な網戸及び網戸付き建具を提供する。
【解決手段】互いに直交する第1方向及び第2方向に縁部が延びる矩形状の網部と、網部の第1方向に延びる縁部に沿って配置され、建具の枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに枠体に取り付けられる第1縁部材と、網部の第2方向に延びる縁部に沿って配置され、枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに枠体に取り付けられる第2縁部材と、を有し、第1縁部材と第2縁部材の少なくとも一方は、嵌合溝内に嵌合したときに、屋内側から網部に接して縁部側に張力を付与する張力付与部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1方向及び第2方向に縁部が延びる矩形状の網部と、
前記網部の前記第1方向に延びる縁部に沿って配置され、建具の枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに前記枠体に取り付けられる第1縁部材と、
前記網部の前記第2方向に延びる縁部に沿って配置され、前記枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに前記枠体に取り付けられる第2縁部材と、
を有し、
前記第1縁部材と前記第2縁部材の少なくとも一方は、
前記嵌合溝内に嵌合したときに、屋内側から前記網部に接して前記縁部側に張力を付与する張力付与部を有する、網戸。
【請求項2】
前記張力付与部における屋外側の端部の位置は、前記嵌合溝から引き出された前記網部よりも屋外側である、
請求項1に記載の網戸。
【請求項3】
前記張力付与部が付与する前記張力は、前記嵌合溝から引き出された前記網部と接した前記張力付与部が前記縁部側と逆側に弾性変形したときに生じる弾性復元力である、
請求項2に記載の網戸。
【請求項4】
前記第1縁部材と前記第2縁部材は、前記嵌合溝内の内側面から屋内側及び屋外側にそれぞれ突出する一対の係合突部に、前記嵌合溝の内側から係合する内側係合部をそれぞれ有し、
前記第1縁部材と前記第2縁部材の少なくとも一方は、前記嵌合溝内に嵌合したときに、屋内側の前記係合突部よりも前記嵌合溝の外側に突出する押し込み部を有し、
前記張力付与部は、前記押し込み部に設けられ前記押し込み部から屋外側に延びる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の網戸。
【請求項5】
前記第1縁部材と前記第2縁部材の少なくとも一方は、前記張力付与部以外が硬質材であり、
前記張力付与部は、前記硬質材よりも軟質の素材である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の網戸。
【請求項6】
前記第1縁部材と前記第2縁部材の少なくとも一方は、二色成形体である、
請求項5に記載の網戸。
【請求項7】
前記第1縁部材の前記第1方向と直交する断面形状と、前記第2縁部材の前記第2方向と直交する断面形状とは同一である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の網戸。
【請求項8】
建具の枠体の四周に設けられた嵌合溝内に、請求項1から7のいずれか一項に記載の網戸における前記第1縁部材及び前記第2縁部材が嵌合して取り付けられている、網戸付き建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、網戸及び網戸付き建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製のアタッチメントを四周縁部に有するフレームレス網戸が知られている。例えば、特許文献1に記載された網戸は、アタッチメントを建具の枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合させたときに取り付けられる。
【0003】
特許文献1には、網部における左右の縁部を保持し縦枠の嵌合溝に嵌合する縦アタッチメントと、網部における上下の縁部が挿入された横枠の嵌合溝に嵌合する横アタッチメントとを有する網戸が開示されている。網戸は、縦アタッチメントが縦枠の嵌合溝に嵌合したときに左右方向に張られ、横アタッチメントが横枠の嵌合溝に嵌合したときに上下方向に張られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-148107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
網戸を枠体に取り付けた後に網部に撓みが生じた場合、網部の張り具合を調整できないため網戸の見栄えが低下する。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされており、網部の張り具合を調整可能な網戸及び網戸付き建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、互いに直交する第1方向及び第2方向に縁部が延びる矩形状の網部と、前記網部の前記第1方向に延びる縁部に沿って配置され、建具の枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに前記枠体に取り付けられる第1縁部材と、前記網部の前記第2方向に延びる縁部に沿って配置され、前記枠体に設けられた嵌合溝内に嵌合したときに前記枠体に取り付けられる第2縁部材と、を有し、前記第1縁部材と前記第2縁部材の少なくとも一方は、前記嵌合溝内に嵌合したときに、屋内側から前記網部に接して前記縁部側に張力を付与する張力付与部を有する、網戸である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建具の構成を示す縦断面図である。
図2】建具の構成を示す横断面図である。
図3】網戸を屋内側から見た正面図である。
図4】縦縁部材を嵌合溝から取り外した状態を示す図である。
図5】縦縁部材を嵌合溝に取り付けた状態を示す図である。
図6】横縁部材を嵌合溝から取り外した状態を示す図である。
図7】横縁部材を嵌合溝に取り付けた状態を示す図である。
図8】網戸を枠体に取り付ける方法を示す図である。
図9】網戸を枠体に取り付ける方法を示す図である。
図10】網戸を枠体から取り外す方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の網戸及び網戸付き建具の実施の形態を、図1図10を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている場合がある。
【0010】
網戸付き建具1の全体構成について説明する。図1に示すように、網戸付き建具1は、建物の壁に形成された図示しない開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2に張設された網戸4とを備えている。以下では、網戸付き建具1を単に建具1と称して説明する。すなわち、建具1は、網戸付き建具1に対応する。
【0011】
建物の開口に取り付けられた状態の建具1を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向として示す。上下方向は、第1方向に対応する。左右方向は、第2方向に対応する。建具1において、左右方向に直交し屋内外方向に沿った方向を見込み方向と呼ぶ。
【0012】
建具1は、一例として、アルミ等の金属と塩化ビニル等の樹脂とからなる枠体2を有する複合型の建具であり、断熱性に優れる。枠体2は、上下方向に対向して配置され左右方向に延びる一対の上枠21及び下枠22と、図2に示すように、左右方向に対向して配置され上下方向に延びる一対の縦枠23及び縦枠24とを有する。上枠21及び下枠22は、第2枠に対応する。縦枠23及び縦枠24は、第1枠に対応する。縦枠23は、左側に配置される。縦枠24は、右側に配置される。上枠21及び下枠22は、左右方向の両端において、縦枠23及び縦枠24にそれぞれ連結されている。縦枠23及び縦枠24がそれぞれ上枠21及び下枠22に勝つ、いわゆる縦通しの縦勝ちで枠体2は、組まれている。一対の上枠21及び下枠22と、一対の縦枠23及び縦枠24の素材としては特に限定されず、アルミニウム材、樹脂材等を用いた押し出し材を用いることができる。
【0013】
網戸4は、枠体2に網部41の端部が直接取り付けられるフレームレス網戸である。網戸4は、枠体2のうちの上枠21、下枠22及び縦枠23、24に亘って着脱可能に張設されている。具体的には、上枠21、下枠22は、各見込み面21a、22aにそれぞれ凹溝で形成された嵌合溝26を有する。嵌合溝26は、左右方向に延びている。嵌合溝26は、上枠21、下枠22の長さ全体に亘って形成されている。縦枠23、24は、各見込み面23a、24aにそれぞれ窪んで形成された嵌合溝25を有する。嵌合溝25は、上下方向に延びている。嵌合溝25は、縦枠23、24の長さ全体に亘って形成されている。嵌合溝25と嵌合溝26は、見込み方向で同一位置に配置され枠体2の四周に亘って互いに連通している。
【0014】
網戸4は、上枠21、下枠22の嵌合溝26に上下方向の縁部がそれぞれ着脱可能に嵌合したときに、張設されている。網戸4は、縦枠23、24の嵌合溝25に左右方向の縁部がそれぞれ着脱可能に嵌合することで四周縁部がそれぞれ張設されている。
【0015】
網戸4の構成について図3を用いて更に詳細に説明する。図3に示す網戸4の上下は、図1に示す建具1の上下に一致している。
【0016】
網戸4は、矩形状の網部41と、一対の縦縁部材42、42と、一対の横縁部材43、43とを有している。一対の縦縁部材42、42は、上下方向に延びる。一対の縦縁部材42、42は、網部41の左右の縁部に配置される。縦縁部材42、42は、第1縁部材に対応する。一対の縦縁部材42、42は、網部41の上下方向に延びる左右の縁部に沿って配置される。
【0017】
一対の横縁部材43、43は、左右方向に延びる。一対の横縁部材43、43は、網部41の上下の縁部に配置される。横縁部材43、43は、第2縁部材に対応する。一対の横縁部材43、43は、網部41の左右方向に延びる上下の縁部に沿って配置される。縦縁部材42は、枠体2の縦枠23または縦枠24の嵌合溝25に嵌合するアタッチメントである。横縁部材43は、枠体2の上枠21または下枠22の嵌合溝26に嵌合するアタッチメントである。
【0018】
網部41は、矩形状の網部本体411とテープ部412とを有する。テープ部412は、係止部材412aと可撓性部材412bとを有する。可撓性部材412bは、例えば可撓性を有する布材である。可撓性部材412bは、網部本体411から上下方向の両側および左右方向の両側に張り出す。可撓性部材412bは、網部本体411の四周縁部に張り出す。可撓性部材412bは、網部本体411に一例として縫い合わされている。可撓性部材412bは、網部本体411に接着されていてもよい。
【0019】
係止部材412aは、可撓性部材412bの外側の縁部に沿って複数設けられている。係止部材412aは、可撓性部材412bよりも厚く形成されている。網部41の左側及び右側に位置する縦側のテープ部412の係止部材412aは、網部41の縦側の全長に亘って形成されている。網部41の上側及び下側に位置する横側のテープ部412の係止部材412aは、網部41の横側の全長に亘っておらず、縦側のテープ部412の係止部材412aとの間に、後述するように、縦側のテープ部412を縦縁部材42内に挿し通すための所定の間隔が設けられている。テープ部412は、一例として、係止部材412aとして務歯を有するファスナーのテープ半体から構成される。
【0020】
縦縁部材42は、網戸4が建具1の枠体2に取り付けられていない状態で網部41の縦側のテープ部412に係合して取り付けられている。横縁部材43は、網戸4が建具1の枠体2に取り付けられていない状態で網部41と係合しておらず、別体である。横縁部材43が網部41と別体であることにより、枠体2に取り付ける前及び枠体2から取り外した後の網部41は、一方の縦縁部材42を中心にして容易に巻回して省梱包化することができる。このため、網部41の収納時及び運搬時の省スペース化を図ることができる。
【0021】
嵌合溝25、26の構成について図4及び図6を用いて説明する。縦側の嵌合溝25は、図4に示すように、縦縁部材42を収納可能な凹溝である。嵌合溝25内の屋内側に配置される内側面251aは、長手方向に沿って延び屋外側に突出する係合突部252aを有する。嵌合溝25内の屋外側に配置される内側面251bは、長手方向に沿って延び屋内側に突出する係合突部252bを有する。一対の係合突部252a、252bは、それぞれ隙間をあけて向かい合い、嵌合溝25の入り口を狭めている。係合突部252a、252bの先端面253a、253bは、嵌合溝25の外側に向けて広がるテーパー状に形成されている。係合突部252a、252bは、嵌合溝25の深さ方向の位置が同一に配置されている。嵌合溝25の深さ方向とは、嵌合溝25への縦縁部材42の挿入方向である。嵌合溝25内の底面254は、ほぼ平坦面に形成されている。
【0022】
横側の嵌合溝26は、図6に示すように、横縁部材43を収納可能な凹溝である。嵌合溝26内の屋内側に配置される内側面261aは、嵌合溝25と同様に、長手方向に沿って延び屋外側に突出する係合突部262aを有する。嵌合溝26内の屋外側に配置される内側面261bは、係合突部262bを有する。係合突部262bは、長手方向に沿って延び屋内側に突出する。一対の係合突部262a、262bは、それぞれ隙間をあけて向かい合い、嵌合溝26の入り口を狭めている。係合突部262a、262bの先端面263a、263bは、嵌合溝26の外側に向けて広がるテーパー状に形成されている。係合突部262a、262bは、嵌合溝26の深さ方向の位置が同一に配置されている。嵌合溝26の深さ方向とは、嵌合溝26への横縁部材43の挿入方向である。嵌合溝26内の底面264は、ほぼ平坦面に形成されている。
【0023】
図6に示す嵌合溝26は、下枠22側に配置される嵌合溝26を示している。上枠21側に配置される嵌合溝26は、下枠22側に配置される嵌合溝26と同様に、内側面261a、261bに一対の係合突部262a、262bを有する。
【0024】
嵌合溝25における内側面251a及び係合突部252aの見込み方向の位置と、嵌合溝26における内側面261a及び係合突部262aの見込み方向の位置は同一である。嵌合溝25における係合突部252aの断面形状と、嵌合溝26における係合突部262aの断面形状は同一である。嵌合溝25における内側面251b及び係合突部252bの見込み方向の位置と、嵌合溝26における内側面261b及び係合突部262bの見込み方向の位置は同一である。嵌合溝25における係合突部252bの断面形状と、嵌合溝26における係合突部262bの断面形状は同一である。
【0025】
縦縁部材42の構成について図4を用いて説明する。縦側の左右の縦縁部材42は、長手方向と直交する断面形状が見込み方向に延びる軸線を中心とした線対称である点を除いて同一構造であるため、以下では、図4に示す縦枠23側の縦縁部材42について説明する。
【0026】
縦縁部材42は、嵌合溝25内に嵌合したときに、枠体2に取り付けられる。縦縁部材42は、一対の側板部421a、421bと底板部422と円弧面423a、423bと押し込み部424と第1突板部425と第2突板部426と一対の内側係合部428a、428bと、第1外側係合部429bと、第2外側係合部429aと、張力付与部42Aとを有する。
【0027】
側板部421aは、左右方向に延び、網戸4の屋内側に配置される。側板部421bは、左右方向に延び、網戸4の屋外側に配置される。一対の側板部421a、421bは、見込み方向に空隙を介して離れている。一対の側板部421a、421bは、平行に配置されている。一対の側板部421a、421bの間の空隙は、縦縁部材42の長さの全体に亘って設けられている。底板部422は、見込み方向に延びている。底板部422は、一対の側板部421a、421bの左端同士を連結する。一対の側板部421a、421bと底板部422とを有する縦縁部材42は、右側に開口する側面視略U字型に形成されている。側板部421aから底板部422に至る外面は、滑らかな円弧面423aである。側板部421bから底板部422に至る外面は、滑らかな円弧面423bである。
【0028】
押し込み部424は、嵌合溝25内に嵌合した縦縁部材42を嵌合溝25から取り外す際に用いられる。押し込み部424は、側板部421aの右側端部から右側に突出している。押し込み部424は、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、係合突部252aよりも嵌合溝25の外側に突出する。押し込み部424は、第1部分424aと第2部分424bと第3部分424cとを有する。第1部分424aは、側板部421aの右側端部から嵌合溝25の外側に向かうにつれて、屋外側に向かって傾斜する。第1部分424aは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、係合突部252aよりも嵌合溝25の外側に向かうにつれて、係合突部252bに向かって傾斜する。第2部分424bは、第1部分424aの先端から嵌合溝25の外側に向かう方向に延びる。第3部分424cは、第2部分424bの先端から少なくとも屋内側に延びる。本実施形態の第3部分424cは、第2部分424bの先端から屋内側及び屋外側の両方に延びる。
【0029】
押し込み部424が第1部分424aを有しているため、第1部分424aを有さず第2部分424bが側板部421aの右側端部から嵌合溝25の外側に向かう方向に延びる場合と比較して屋内側に臨む領域が長くなる。屋内側から押し込み部424を屋外側に押し込む際に指と押し込み部424との接触長さが増え、しっかりと押し込み部424を屋外側に押し込むことができる。第2部分424bの先端から屋内側に延びる第3部分424cが長くなり、嵌合溝25の内側に臨む領域が長くなる。嵌合溝25の内側から外側方向に縦縁部材42を取り外す際に指と押し込み部424との接触長さが増え、指がしっかりと押し込み部424に引っ掛かり、取り外し方向の力を容易に加えることができる。
【0030】
押し込み部424の左右方向の長さ、つまり第1部分424aの左側端部から第3部分424cの右側端部までの左右方向の長さは、例えば、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。押し込み部424の左右方向の長さ3mm以上の場合、屋内側から押し込み部424を屋外側にしっかりと押し込むことができる。
【0031】
第1突板部425は、屋内側の側板部421aの内面から屋外側の側板部421bに向けて延び側板部421bとの間に長手方向に沿って第1隙間430を形成する。第2突板部426は、底板部422の内面から第1突板部425に向けて延び第1突板部425との間に長手方向に沿って第2隙間431を形成する。縦縁部材42の内側には、屋内側の側板部421aと、底板部422と、第1突板部425と、第2突板部426とで囲まれた空間432が形成される。
【0032】
第1突板部425と第2突板部426との間の第2隙間431の幅は、テープ部412の可撓性部材412bを挿入可能であり、係止部材412aは通過し得ない寸法である。縦縁部材42の長手方向の一方端部側から、網部41の縦側のテープ部412の係止部材412aを空間432内に収容する。係止部材412aは、第2突板部426に屋内側から係止させる。可撓性部材412bは、第2隙間431及び第1隙間430を順次介して挿入して縦縁部材42の外側に引き出す。縦縁部材42は、網部41の縦側縁部に係合状態で取り付けられる。
【0033】
内側係合部428aは、側板部421aと円弧面423aとの交差部の外面に位置し、長手方向に沿って延びている。内側係合部428bは、側板部421bと円弧面423bとの交差部の外面に位置し、長手方向に沿って延びている。内側係合部428aと内側係合部428bは、左右方向の位置が同一である。内側係合部428aと内側係合部428bとの見込み方向の最大距離は、嵌合溝25内の係合突部252aと係合突部252bとの見込み方向の最小距離よりも長い。側板部421aの屋内側の側面と、側板部421bの屋外側の側面との距離は、嵌合溝25内の係合突部252aと係合突部252bとの見込み方向の最小距離以下である。縦縁部材42が嵌合溝25内に挿入されると、内側係合部428a、428bが嵌合溝25内の係合突部252a、252bを弾性的に乗り越え、係合突部252a、252bに嵌合溝25の内側から係合したときに、縦縁部材42は嵌合溝25内に保持される。
【0034】
縦縁部材42における最も左側の端部と、内側係合部428a、428bとの距離は、嵌合溝25内の底面254から係合突部252a、252bまでの距離よりも短い。縦縁部材42が嵌合溝25内に挿入され内側係合部428a、428bが係合突部252a、252bに嵌合溝25の内側から係合したときに、縦縁部材42は底面254に接触せず、縦縁部材42は底面254と離れて嵌合溝25内に保持される。
【0035】
第2外側係合部429aは、側板部421aと第1部分424aとの交差部から屋内側に突出する。第2外側係合部429aは、屋内側に延びる。第2外側係合部429aの先端の見込み方向の位置は、側板部421aの屋内側の側面よりも屋内側である。第2外側係合部429aは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、屋内側の先端が係合突部252aの先端面253aよりも屋内側に位置する。第2外側係合部429aは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、係合突部252aに嵌合溝25の外側から係合可能である。
【0036】
第1外側係合部429bは、側板部421bの右側端部から屋外側に突出する。第1外側係合部429bの左右方向の位置は、第2外側係合部429aの左右方向の位置と同一である。第1外側係合部429bは、屋外側に延びる。第1外側係合部429bの先端の見込み方向の位置は、側板部421bの屋外側の側面よりも屋外側である。第1外側係合部429bは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、屋外側の先端が係合突部252bの先端面253bよりも屋外側に位置する。第1外側係合部429bは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、係合突部252bに嵌合溝25の外側から係合可能である。縦縁部材42の全体は、硬質材の素材が用いられている。縦縁部材42は、低温時に硬くなる等の温度の影響を抑制された状態で嵌合溝25に対して縦縁部材42を嵌め込みやすく、且つ、取り外しやすくすることができる。
【0037】
張力付与部42Aは、縦縁部材42が嵌合溝25に嵌合し、縦縁部材42から引き出された網部41における網部本体411の見込み方向の位置を規制したときに、屋内側から網部41に接して縁部側に張力を付与する。張力付与部42Aは、押し込み部424における第3部分424cの右端側に設けられている。張力付与部42Aは、第3部分424cから屋外側に延びている。張力付与部42Aにおける屋外側の先端の位置は、第1外側係合部429bよりも屋外側、且つ、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、嵌合溝25から引き出された網部41よりも屋外側である。張力付与部42Aにおける屋外側の先端の位置は、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、縦枠23の内側面251bよりも屋内側である。
【0038】
張力付与部42Aは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、図2に示すように、網部本体411における左右方向の縁部に対して、縦側全体で屋内側の見込み方向の位置を規制する。内側面251bは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、網部本体411における左右方向の縁部に対して、縦側全体で屋外側の見込み方向の位置を規制する。網部本体411における左右方向の縁部は、張力付与部42Aと内側面251bとの間において見込み方向の位置が規制される。張力付与部42Aは、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合したときに、上下方向の全体で網部41における可撓性部材412bよりも屋内側及び左右方向の内側に位置する。張力付与部42Aが可撓性部材412bよりも左右方向の内側に位置した際に、張力付与部42Aは視覚的に可撓性部材412bを隠して意匠性を向上させることができる。硬質材で形成された第3部分424cを屋外側に延伸させても可撓性部材412bを視覚的に隠すことはできる。第3部分424cを屋外側に延伸させた場合、網戸4の着脱作業によって第3部分424cの延伸部分が網部本体411を傷つけてしまうおそれがある。軟質の張力付与部42Aは、網部本体411を傷つけることなく、意匠性を向上させることができる。
【0039】
縦縁部材42は、一例として、張力付与部42Aが軟質のポリ塩化ビニルを用いて形成されている。縦縁部材42は、一例として、張力付与部42A以外が硬質のポリ塩化ビニルを用いて形成されている。張力付与部42Aは、一例として、ショア硬度Aが50以上、100以下である。張力付与部42A以外の縦縁部材42は、一例として、ショア硬度Dが65~85である。張力付与部42Aは、張力付与部42A以外の縦縁部材42よりも軟質の素材である。縦縁部材42は、一例として、硬質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部42A以外の縦縁部材42を成形した後に、軟質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部42Aを成形して製造される。縦縁部材42は、二色成形体である。縦縁部材42を二色成形で成形した場合には、効率的に縦縁部材42を製造することができる。縦縁部材42は、硬質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部42A以外の縦縁部材42を成形した後に、張力付与部42Aを接着剤で固定して製造してもよい。
【0040】
張力付与部42Aは、縦縁部材42が嵌合溝25に嵌合したときに、屋内側から網部41に接して縁部側に張力を付与する。張力付与部42Aは、接した網部41に左右方向の縁部側に張力を付与する。張力付与部42Aは、軟質のポリ塩化ビニルを用いて形成されているため、図5に示すように、縦縁部材42が嵌合溝25内に嵌合し網部41が張設されたときに、屋外側の先端が二点鎖線で示す網部41が張設される前の形状から実線で示す左右方向の内側に曲がって弾性変形する。左右方向の内側は、網部41の縁部側と逆側である。弾性変形した張力付与部42Aには、図5に矢印で示す左右方向の縁部側に弾性復元力が生じる。張力付与部42Aの弾性復元力は、網部41に付与する縁部側への張力である。これにより、設置時に網戸4に製造上のばらつきによるたるみや縮みがあった場合でも、張力付与部42Aが弾性変形して網戸設置寸法のばらつきを吸収することができる。設置後にたるみ等が生じた場合には、張力付与部42Aが網部41に縁部側への張力を付与してたるみを抑制できる。
【0041】
横縁部材43の構成について図6を用いて説明する。上下の横縁部材43は、長手方向と直交する断面形状が見込み方向に延びる軸線を中心とした線対称である点を除いて同一構造であるため、以下では、図6に示す下枠22側の横縁部材43について説明する。
【0042】
図4に示したように、第2突板部426に係止部材412aが屋内側から係止し、可撓性部材412bが第2隙間431及び第1隙間430を順次介して外側に引き出されている。嵌合溝25に嵌合した縦縁部材42に対して、横縁部材43の左右方向の両側端面が対向する。
【0043】
横縁部材43の左右方向と直交する断面形状は、図4に示した縦縁部材42の上下方向と直交する断面形状と同寸法で同一である。横縁部材43の左右方向と直交する断面形状が縦縁部材42の上下方向と直交する断面形状と同寸法で同一であるため、管理工数が減りコストダウンに寄与できる。
【0044】
図6に示すように、横縁部材43は、嵌合溝26内に嵌合したときに、枠体2の下枠22に取り付けられる。横縁部材43は、一対の側板部521a、521bと底板部522と円弧面523a、523bと押し込み部524と第1突板部525と第2突板部526と一対の内側係合部528a、528bと、第1外側係合部529bと、第2外側係合部529aと、張力付与部43Aとを有する。
【0045】
側板部521aは、上下方向に延び、網戸4の屋内側に配置される。側板部521bは、上下方向に延び、網戸4の屋外側に配置される。一対の側板部521a、521bは、見込み方向に空隙を介して離れ、平行に配置されている。一対の側板部521a、521bの間の空隙は、横縁部材43の長さの全体に亘って設けられている。底板部522は、見込み方向に延びている。底板部522は、一対の側板部521a、521bの下端同士を連結する。一対の側板部521a、521bと底板部522とを有する横縁部材43は、上側に開口する側面視略U字型に形成されている。側板部521aから底板部522に至る外面は、滑らかな円弧面523aである。側板部521bから底板部522に至る外面は、滑らかな円弧面523bである。
【0046】
押し込み部524は、嵌合溝26内に嵌合した横縁部材43を嵌合溝26から取り外す際に用いられる。押し込み部524は、側板部521aの上側端部から上側に突出している。押し込み部524は、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、係合突部262aよりも嵌合溝26の外側に突出する。押し込み部524は、第1部分524aと第2部分524bと第3部分524cとを有する。第1部分524aは、側板部521aの上側端部から嵌合溝26の外側に向かうにつれて、屋外側に向かって傾斜する。第1部分524aは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、係合突部262aよりも嵌合溝26の外側に向かうにつれて、屋外側に向かって傾斜する。第2部分524bは、第1部分524aの先端から嵌合溝25の外側に向かう方向に延びる。第3部分524cは、第2部分524bの先端から少なくとも屋内側に延びる。本実施形態の第3部分524cは、第2部分524bの先端から屋内側及び屋外側の両方に延びる。
【0047】
押し込み部524が第1部分524aを有する場合には、第1部分524aを有さず第2部分524bが側板部521aの上側端部から嵌合溝26の外側に向かう方向に延びる場合と比較して屋内側に臨む領域が長くなる。屋内側から押し込み部524を屋外側に押し込む際に指と押し込み部524との接触長さが増え、しっかりと押し込み部524を屋外側に押し込むことができる。第2部分524bの先端から屋内側に延びる第3部分524cが長くなり、嵌合溝26の内側に臨む領域が長くなる。嵌合溝26の内側から外側方向に横縁部材43を取り外す際に指と押し込み部524との接触長さが増え、しっかりと押し込み部524に取り外し方向の力を加えることが可能となる。
【0048】
押し込み部524の上下方向の長さ、つまり第1部分524aの下側端部から第3部分524cの上側端部までの上下方向の長さは、例えば、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。押し込み部524の上下方向の長さ3mm以上の場合、屋内側から押し込み部524を屋外側にしっかりと押し込むことができる。
【0049】
第1突板部525は、屋内側の側板部521aの内面から屋外側の側板部521bに向けて延び側板部521bとの間に長手方向に沿って第1隙間530を形成する。第2突板部526は、底板部522の内面から第1突板部525に向けて延び第1突板部525との間に長手方向に沿って第2隙間531を形成する。横縁部材43の内側には、屋内側の側板部521aと、底板部522と、第1突板部525と、第2突板部526とで囲まれた空間532が形成される。
【0050】
内側係合部528aは、側板部521aと円弧面523aとの交差部の外面に位置し、長手方向に沿って延びている。内側係合部528bは、側板部521bと円弧面523bとの交差部の外面に位置し、長手方向に沿って延びている。内側係合部528aと内側係合部528bは、上下方向の位置が同一である。内側係合部528aと内側係合部528bとの見込み方向の最大距離は、嵌合溝26内の係合突部262aと係合突部262bとの見込み方向の最小距離よりも長い。側板部521aの屋内側の側面と、側板部521bの屋外側の側面との距離は、嵌合溝26内の係合突部262aと係合突部262bとの見込み方向の最小距離以下である。横縁部材43が嵌合溝26内に挿入されたときに、内側係合部528a、528bが嵌合溝26内の係合突部262a、262bを弾性的に乗り越え、係合突部262a、262bに嵌合溝26の内側から係合したときに、横縁部材43は嵌合溝26内に保持される。
【0051】
横縁部材43における最も下側の端部と、内側係合部528a、528bとの距離は、嵌合溝26内の底面264から係合突部262a、262bまでの距離よりも短い。横縁部材43が嵌合溝26内に挿入され内側係合部528a、528bが係合突部262a、262bに嵌合溝26の内側から係合したときに、横縁部材43は底面264に接触せず、横縁部材43は底面264と離れて嵌合溝26内に保持される。
【0052】
第2外側係合部529aは、側板部521aと第1部分524aとの交差部から屋内側に突出する。第2外側係合部529aは、屋内側に延びる。第2外側係合部529aの先端の見込み方向の位置は、側板部521aの屋内側の側面よりも屋内側である。第2外側係合部529aは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、屋内側の先端が係合突部262aの先端面263aよりも屋内側に位置する。第2外側係合部529aは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、係合突部262aに嵌合溝26の外側から係合可能である。
【0053】
第1外側係合部529bは、側板部521bの上側端部から屋外側に突出する。第1外側係合部529bの上下方向の位置は、第2外側係合部529aの上下方向の位置と同一である。第1外側係合部529bは、屋外側に延びる。第1外側係合部529bの先端の見込み方向の位置は、側板部521bの屋外側の側面よりも屋外側である。第1外側係合部529bは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、屋外側の先端が係合突部262bの先端面263bよりも屋外側に位置する。第1外側係合部529bは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、係合突部262bに嵌合溝26の外側から係合する。横縁部材43の全体は、硬質材の素材が用いられている。横縁部材43は、低温時に硬くなる等の温度の影響を抑制された状態で嵌合溝26に対して横縁部材43を嵌め込みやすく、且つ、取り外しやすくすることができる。
【0054】
張力付与部43Aは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合し、嵌合溝26から引き出された網部41における網部本体411の見込み方向の位置を規制したときに、屋内側から網部41に接して縁部側に張力を付与する。張力付与部43Aは、横縁部材43における第3部分524cの上端側に設けられている。張力付与部43Aは、第3部分524cから屋外側に延びている。張力付与部43Aにおける屋外側の先端の位置は、横縁部材43の第1外側係合部529bよりも屋外側、且つ、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、嵌合溝26から引き出された網部41よりも屋外側である。張力付与部43Aにおける屋外側の先端の位置は、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、下枠22側の内側面261bよりも屋内側である。
【0055】
張力付与部43Aにおける屋外側の先端の位置は、張力付与部42Aにおける屋外側の先端の位置と同一である。張力付与部43Aは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、図1に示すように、網部本体411における上下方向の縁部近傍に対して、横側全体で屋内側の見込み方向の位置を規制する。内側面261bは、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合したときに、網部本体411における上下方向の縁部に対して、横側全体で屋外側の見込み方向の位置を規制する。網部本体411における上下方向の縁部は、張力付与部43Aと内側面261bとの間において見込み方向の位置が規制される。
【0056】
内側面251bと内側面261bとの見込み方向の位置は同一である。張力付与部43Aにおける屋外側の先端の位置は、張力付与部42Aにおける屋外側の先端の位置と同一である。内側面251bと内側面261bと張力付与部42Aと張力付与部43Aとにより、網部本体411見込み方向の位置を縦側及び横側の全体に亘って揃えることができる。
【0057】
横縁部材43は、一例として、張力付与部43Aが軟質のポリ塩化ビニルを用いて形成されている。横縁部材43は、一例として、張力付与部43A以外が硬質のポリ塩化ビニルを用いて形成されている。張力付与部43Aは、一例として、ショア硬度Aが50以上、100以下である。張力付与部43A以外の横縁部材43は、一例として、ショア硬度Dが65~85である。張力付与部43Aは、張力付与部43A以外の横縁部材43よりも軟質の素材である。横縁部材43は、一例として、硬質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部43A以外の横縁部材43を成形した後に、軟質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部43Aを成形して製造される。横縁部材43は、二色成形体である。横縁部材43を二色成形で成形した場合には、効率的に横縁部材43を製造することができる。横縁部材43は、硬質のポリ塩化ビニルを用いて張力付与部43A以外の横縁部材43を成形した後に、張力付与部43Aを接着剤で固定して製造してもよい。
【0058】
張力付与部43Aは、横縁部材43が嵌合溝26に嵌合したときに、屋内側から網部41に接して縁部側に張力を付与する。張力付与部43Aは、接した網部41に上下方向の縁部側に張力を付与する。張力付与部43Aは、軟質のポリ塩化ビニルを用いて形成されているため、図7に示すように、横縁部材43が嵌合溝26内に嵌合し網部41が張設されたときに、屋外側の先端が二点鎖線で示す網部41が張設される前の形状から実線で示す上下方向の内側に曲がって弾性変形する。上下方向の内側は、網部41の縁部側と逆側である。弾性変形した張力付与部43Aには、図7に矢印で示す上下方向の縁部側に弾性復元力が生じる。張力付与部43Aの弾性復元力は、網部41に付与する縁部側への張力である。
【0059】
網戸4を枠体2に取り付ける方法について、図1図9を参照して説明する。網戸4を枠体2に取り付ける前の段階では、図3に示すように、網部41に縦縁部材42が係合して取り付けられており、横縁部材43は網部41と別体の状態とされている。
【0060】
この状態から、縦縁部材42を縦枠23、24の嵌合溝25に取り付ける。縦縁部材42の縦枠23、24への取り付け方法は同様であるため、以下では図8を用いて縦枠23への取り付け方法について説明する。
【0061】
図8に示すように、網部41に取り付けられた縦縁部材42を、押し込み部424を有する側板部421aを屋内側に配置して、縦枠23の嵌合溝25にそれぞれ挿入する。図8は縦枠23側のみが図示されているが、縦枠24についても同様である。縦縁部材42を嵌合溝25に挿入する際には、押し込み部424を屋外側に向けて傾かせた状態で縦縁部材42を矢印T1方向に挿入し、屋外側の内側係合部428bを係合突部252bに嵌合溝25の内側から係合させる。内側係合部428aは、係合突部252aの先端面253aに接する。この後、押し込み部424を嵌合溝25に向けて押し込み、内側係合部428bと係合突部252bとの接点を中心にして時計回り方向である矢印T2方向に縦縁部材42を回転させる。縦縁部材42の内側係合部428aは、係合突部252aを弾性的に乗り越えて係合突部252aに嵌合溝25の内側から係合し、図2に示したように、縦縁部材42の嵌合溝25への取り付けが完了する。
【0062】
縦縁部材42を嵌合溝25へ取り付けると、図6に示すように、網部41における横側の縁部を嵌合溝26に挿入する。具体的には、嵌合溝26の底面264の屋内側に係止部材412aを位置させ、底面264の屋外側に可撓性部材412bを位置させ、網部本体411を屋外側の係合突部262bの先端面263b及び内側面261bに沿って嵌合溝26から屋外側である内側面261b側に引き出した状態とする。
【0063】
縦枠23、24に嵌合する縦縁部材42は、上枠21、下枠22に嵌合する横縁部材43に対して縦勝ちで組み合わされているため、上枠21、下枠22の嵌合溝26は、横縁部材43を嵌合させる位置が縦枠23、24の間に規制される。横縁部材43を嵌合させる位置が縦枠23、24の間に規制されるため、横縁部材43を上枠21、下枠22の嵌合溝26に嵌合させづらくなることを抑制できる。
【0064】
縦縁部材42を嵌合溝25に挿入する際には、例えば、押し込み部424の第3部分424cを外側から押し込む。第3部分424cは、第2部分424bの先端から屋外側及び屋内側の両方に延びているため接触面積が大きく、縦縁部材42を安定して押し込むことができる。押し込み部424は、第1部分424aが屋外側に傾斜することで第2部分424b及び第3部分424cが見込み方向の中央側に寄るため、縦縁部材42を一層安定した状態で押し込むことができる。屋内側に配置された押し込み部424を押し込んだ際には、内側係合部428aが係合突部252aを弾性的に乗り越えるときの抵抗から解放された勢いで底板部422が枠体2の底面254まで達して変形等が生じる可能性がある。押し込み部424の基部に第2外側係合部429aが設けられ、係合突部252aに嵌合溝25の外側から係合したときに、底板部422が枠体2の底面254まで達することを抑制できる。
【0065】
網戸4が屋外側からの風圧を受けた際に縦枠23側の縦縁部材42には、嵌合溝25内で押し込み部424側が屋内側に移動する方向に回転する力が加わる。この際にも、第2外側係合部429aが係合突部252aに嵌合溝25の外側から係合したときに、押し込み部424側が回転することを抑制できる。屋外側の内側係合部428bが、風圧によって直ちに嵌合溝25の屋外側の係合突部252bを乗り越えて、縦縁部材42が嵌合溝25から意図せず外れてしまうことを抑制できる。
【0066】
この段階では、網部41は横縁部材43が取り付けられていないため、横縁部材43が作業性の低下を招かず、縦縁部材42を嵌合溝25へ容易に安定して取り付けることができる。硬質の縦縁部材42は、嵌合溝25に強固に嵌合するため、縦縁部材42が浮き上がって意図せず外れたり、網戸4に弛みが生じることを抑制できる。
【0067】
縦縁部材42を嵌合溝25にそれぞれ取り付けた後は、図6に示すように、横縁部材43を上枠21及び下枠22の嵌合溝26に取り付ける。横縁部材43の上枠21及び下枠22への取り付け方法は同様であるため、以下では図6を用いて下枠22への取り付け方法について説明する。
【0068】
縦縁部材42が嵌合する縦枠23、24は、網部41における横側の縁部が嵌合溝26に挿入された上枠21及び下枠22に対して縦勝ちで組み合わされているため、横縁部材43の嵌合溝26は、縦枠23、24と干渉せずに上下方向で建具1の内側に露出した状態で開口している。その結果、横縁部材43を嵌合溝26に挿入する際には、縦枠23、24と干渉することなく容易に取り付け作業を実施できる。
【0069】
横縁部材43を嵌合溝26に挿入する際には、図9に示すように、縦縁部材42と同様に、先ず押し込み部524を屋外側に向けて傾かせた状態で横縁部材43を嵌合溝26に向けて矢印T3方向に挿入し、屋外側の内側係合部528bを係合突部262bに嵌合溝26の内側から係合させる。屋内側の内側係合部528aは、係合突部262aの先端面263aに接する。押し込み部524を嵌合溝26に向けてさらに押し込み、内側係合部528bと係合突部262bとの接点を中心にして時計回り方向である矢印T4方向に横縁部材43を回転させる。横縁部材43の内側係合部528aは、係合突部262aを弾性的に乗り越えて係合突部262aに嵌合溝26の内側から係合し、図1に示したように、横縁部材43の嵌合溝26への取り付けが完了する。
【0070】
横縁部材43を嵌合溝26に挿入する際にも、例えば、押し込み部524の第3部分524cを嵌合溝26の外側から押し込む。第3部分524cは、第2部分524bの先端から屋外側及び屋内側の両方に延びているため接触面積が大きく、横縁部材43を安定して押し込むことができる。押し込み部524は、第1部分524aが屋外側に傾斜することで第2部分524b及び第3部分524cが見込み方向の中央側に寄るため、横縁部材43を一層安定した状態で押し込むことができる。屋内側に配置された押し込み部524を押し込んだ際には、内側係合部528aが係合突部262aを弾性的に乗り越えるときの抵抗から解放された勢いで底板部522が枠体2の底面264まで達して変形等が生じる可能性がある。押し込み部524の基部に第2外側係合部529aが設けられ、係合突部262aに嵌合溝26の外側から係合したときに、底板部522が枠体2の底面264まで達することを抑制できる。
【0071】
網戸4が屋外側からの風圧を受けた際に横縁部材43には、嵌合溝26内で押し込み部524側が屋内側に移動する方向に回転する力が加わる。第2外側係合部529aが係合突部262aに嵌合溝26の外側から係合したときに、押し込み部524側が回転することを抑制できる。屋外側の内側係合部528bが、風圧によって直ちに嵌合溝26の屋外側の係合突部262bを乗り越えて、横縁部材43が嵌合溝26から意図せず外れてしまうことを抑制できる。
【0072】
以上説明したように、枠体2に縦縁部材42及び横縁部材43が取り付けられ、網戸4が張設される。横縁部材43は網部41と別体であり、嵌合溝26に容易に嵌合させることができるため、縦縁部材42が嵌合溝25に取り付けられた後の網部41を嵌合溝26に容易に取り付けることができる。
【0073】
枠体2に縦縁部材42が取り付けられ、網戸4が張設された際には、左右方向の内側に曲がって弾性変形した張力付与部42Aが接した網部41に左右方向の縁部側に弾性復元力を源とする張力を付与する。枠体2に横縁部材43が取り付けられ、網戸4が張設された際には、上下方向の内側に曲がって弾性変形した張力付与部43Aが接した網部41に上下方向の縁部側に弾性復元力を源とする張力を付与する。網部41には、左右方向の縁部側及び上下方向の縁部側の両方に張力が付与される。
【0074】
網戸4を枠体2の嵌合溝26から取り外す方法について、図1及び図10を参照して説明する。縦縁部材42と横縁部材43の断面形状は同一であり、縦枠23、24から縦縁部材42を取り外す方法と、上枠21及び下枠22から横縁部材43を取り外す方法は同様であるため、下枠22から横縁部材43を取り外す方法について説明する。
【0075】
図1に示すように、横縁部材43の押し込み部524を屋内側から屋外側へ矢印T5方向に押し込む。押し込み部524を押し込む左右方向の位置は、左側の端部と右側の端部のいずれかであることが好ましい。押し込み部524を屋外側へ押し込んだときに、図10に示すように、押し込み部524が屋外側に傾くように、図中、反時計回り方向に横縁部材43を回転させ、屋内側の内側係合部528aを係合突部262aへの係合状態から外す。
【0076】
横縁部材43に屋外側の第1外側係合部529bが設けられていない場合には、押し込み部524を屋外側へ押し込み、横縁部材43を反時計回り方向に回転させた際に円弧面523b及び側板部521bが嵌合溝26の底面264側に沈み込む可能性がある。この場合、側板部521bの先端が嵌合溝26の内側から係合突部262bに係合してしまい、嵌合溝26から横縁部材43を取り出せなくなる可能性がある。押し込み部524を屋外側へ押し込んだ際には、屋外側の第1外側係合部529bが嵌合溝26の外側から係合突部262bに係合することで、横縁部材43が嵌合溝26の底面264側に沈み込むことを抑制できる。第1外側係合部529bが嵌合溝26の外側から係合突部262bに係合したときに、第1外側係合部529bが支点となり横縁部材43が反時計回り方向に回転しやすくなり、内側係合部528aが係合突部262aへの係合状態から外れる方向の力を効果的に伝えることができる。
【0077】
内側係合部528aを係合突部262aへの係合状態から外すと、押し込み部524を屋外側へさらに回転させつつ、横縁部材43を嵌合溝26の外側の矢印T6方向に引き上げる。横縁部材43を嵌合溝26に引き上げたときに、横縁部材43の左側の端部と右側の端部のいずれかが嵌合溝26から外れる。嵌合溝26から外した横縁部材43を右側と左側のいずれかに引き上げることで横縁部材43の全てを嵌合溝26から取り外すことができる。
【0078】
本実施形態の建具1によれば、張力付与部42Aが接した網部41に左右方向の縁部側に張力を付与し、張力付与部43Aが接した網部41に上下方向の縁部側に張力を付与するため、網戸4を枠体2に取り付けた後に網部41に撓みが生じた場でも網部41の張り具合を調整することができる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明した。本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、縦縁部材42及び横縁部材43の断面形状が同一であり、縦縁部材42及び横縁部材43の両方が張力付与部42A及び張力付与部43Aを有する構成を例示した。しかし、この構成に限定されず、縦縁部材42と横縁部材43のいずれか一方のみが張力付与部を有する構成であってもよい。
【0081】
上記実施形態では、網戸4を枠体2に取り付ける前の段階では、網部41に縦縁部材42が係合して取り付けられ、横縁部材43が網部41と別体の状態とされる構成を例示した。しかし、この構成に限定されず、網戸4を枠体2に取り付ける前の段階では、網部41に横縁部材43が係合して取り付けられ、縦縁部材42が網部41と別体の状態とされる構成であってもよい。この場合には、上枠21及び下枠22がそれぞれ縦枠23及び縦枠24に勝つ、いわゆる横通しの横勝ちで枠体2は、組まれることが好ましい。
【符号の説明】
【0082】
1 建具、2 枠体、4 網戸、21 上枠、22 下枠、 23、24 縦枠、25、26 嵌合溝、41 網部、42 縦縁部材、42A、43A 張力付与部、43 横縁部材、251a、251b、261a、261b 内側面、252a、252b、262a、262b 係合突部、 411 網部本体、424、524 押し込み部、428a、428b、528a、528b 内側係合部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10