(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020500
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】木柱設置構造及び木柱設置方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20230202BHJP
E04H 12/04 20060101ALI20230202BHJP
E04H 12/22 20060101ALI20230202BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E04B1/26 E
E04H12/04
E04H12/22
E04B1/58 511L
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125893
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】512201454
【氏名又は名称】株式会社瀧川寺社建築
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 伸
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA45
2E125AB12
2E125AB13
2E125AC23
2E125AE04
2E125AG03
2E125AG06
2E125AG13
2E125AG23
2E125AG41
2E125BA02
2E125BB02
2E125BB08
2E125BB22
2E125BB27
2E125BE04
2E125BE07
2E125BE08
2E125BF01
2E125CA33
2E125CA43
2E125CA79
(57)【要約】
【課題】木柱に径方向外方に開く係入溝を形成することなく、設置強度を確保した状態で基礎コンクリート上に木柱を設置でき、さらに、基礎コンクリートを破壊すること無く設置木柱の交換を可能とした木柱設置構造を提供する。
【解決手段】本発明の木柱設置構造は、基礎コンクリートの設置孔に立設される木柱と、設置孔の底面及び木柱の基端面にそれぞれ設けられる剛性凸部及び凹部と、長手方向が木柱の長手方向に沿った状態で木柱の周方向に配列されるように木柱の外周面及び設置孔の内周面の間の間隙内に設置された複数の剛性長尺部材とを備える。複数の長尺部材は板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含む。複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ木柱の外周面及び設置孔の内周面に当接された状態で木柱の周方向に配列されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開く設置孔が形成された基礎コンクリートと、
前記設置孔内に立設される木柱であって、少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域は前記設置孔よりも小径とされている木柱と、
前記設置孔の底面及び前記木柱の基端面の一方及び他方にそれぞれ直接又は間接的に設けられる剛性凸部及び凹部であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記設置孔の底面に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に全周に亘って間隙が存するように位置設定された剛性凸部及び凹部と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、
前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されていることを特徴とする木柱設置構造。
【請求項2】
前記剛性凸部は、上部が前記設置孔の底面から上方へ延在され且つ下部が基礎コンクリート中に埋設された剛性部材の前記上部によって形成されており、
前記凹部は、前記剛性部材の上部が係入可能なように前記木柱の基端面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の木柱設置構造。
【請求項3】
筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された剛性の底板を有する型枠部材と、
前記筒状側板の上端開口が上方を向くように基準面上で前記型枠部材を支持する支持部材と、
前記筒状側板の外周を覆うように基準面に打設された基礎コンクリートと、
少なくとも前記型枠部材内に位置する下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされている木柱と、
前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域及び前記木柱の基端面の一方及び他方にそれぞれ直接又は間接的に設けられる剛性凸部及び凹部であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底面に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように位置設定された剛性凸部及び凹部と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、
前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されていることを特徴とする木柱設置構造。
【請求項4】
前記支持部材は、基準面に対する前記底板の設置高さを変更可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の木柱設置構造。
【請求項5】
前記支持部材は、基端部が基準面に載置された状態で前記底板に形成されたボルト貫通孔に係入された複数のボルト部材と、前記複数のボルト部材の各々に螺合した状態で前記底板を支持する複数のナット部材とを有していることを特徴とする請求項4に記載の木柱設置構造。
【請求項6】
前記底板は、前記載置面領域から前記木柱を基準にした径方向に関し外方へ延びる延在面領域を有し、
前記ボルト貫通孔は前記延在面領域に形成され、前記複数のボルト部材は前記延在面領域を上下に貫通していることを特徴とする請求項5に記載の木柱設置構造。
【請求項7】
前記ボルト貫通孔は前記載置面領域に形成され、
前記複数のボルト部材は、上端面が前記底面の上面と面一とされていることを特徴とする請求項5に記載の木柱設置構造。
【請求項8】
前記剛性凸部は、前記載置面領域を上下に貫通するように前記底板に固着された剛性部材の上部によって形成され、
前記剛性部材のうち前記底板より下方へ延在された下部は基礎コンクリート中に埋設されており、
前記凹部は、前記剛性部材の上部が係入可能なように前記木柱の基端面に設けられていることを特徴とする請求項3から7の何れかに記載の木柱設置構造。
【請求項9】
支持板と、
基準面上で前記支持板を水平に支持する支持部材と、
前記支持板から上方へ延びる剛性凸部を形成するように前記支持板に固着された剛性部材と、
筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された剛性の底板を有し、前記筒状側板の上端開口が上方を向くように前記支持板に直接又は間接的に支持される型枠部材であって、前記底板には前記剛性凸部が貫通される貫通孔が設けられている型枠部材と、
前記筒状側板の外周を覆うように基準面に打設された基礎コンクリートと、
少なくとも前記型枠部材内に位置する下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされ且つ基端面には前記剛性凸部が係入される凹部が設けられている木柱であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように構成された木柱と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、
前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されていることを特徴とする木柱設置構造。
【請求項10】
前記型枠部材は、基礎コンクリートの打設前の状態においては前記支持板の上面に上方へ分離可能に載置されていることを特徴とする請求項9に記載の木柱設置構造。
【請求項11】
前記支持板から上方へ離間された位置で前記剛性部材に固着された補助板を有し、
前記型枠部材は、基礎コンクリートの打設前の状態においては前記補助板の上面に上方へ分離可能に載置されていることを特徴とする請求項9に記載の木柱設置構造。
【請求項12】
前記型枠部材は、前記支持板から上方へ離間された位置で前記剛性部材に固着されていることを特徴とする請求項9に記載の木柱設置構造。
【請求項13】
上方へ延びる剛性凸部が設けられた支持板と、
基準面上で前記支持板を水平に支持する支持部材と、
上方に開く設置孔を存しつつ、前記支持板を覆うように基準面上に打設された基礎コンクリートであって、前記設置孔の底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された基礎コンクリートと、
少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面には前記剛性凸部が係入される凹部が設けられている木柱であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように構成された木柱と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、
前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されていることを特徴とする木柱設置構造。
【請求項14】
前記長尺部材の上端は前記設置孔の上端より下方で終焉しており、
前記間隙のうち前記長尺部材の上端より上方部分には充填材が充填されていることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の木柱設置構造。
【請求項15】
前記複数の長尺部材は、外形寸法が不変とされた複数の外形不変部材を含み、
前記複数の外形不変部材は、前記木柱の周方向に離間配置され、
前記間隙のうち前記木柱の周方向に関し隣接する外形不変部材の間において、前記複数の圧縮木材が周方向に配列されていることを特徴とする請求項1から14の何れかに記載の木柱設置構造。
【請求項16】
前記複数の外形不変部材は前記木柱の周方向に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の木柱設置構造。
【請求項17】
少なくとも一部が前記設置孔内に位置するように前記木柱に巻き付けられた板状剛性体を有していることを特徴とする請求項1から16の何れかに記載の木柱設置構造。
【請求項18】
前記板状剛性体は、少なくとも一部が前記圧縮木材と対向するように前記木柱に巻き付けられていることを特徴とする請求項17に記載の木柱設置構造。
【請求項19】
上方に開く挿入孔を存する状態で基準面上に第1基礎コンクリートを打設する第1打設工程と、
上部が上方へ延在して剛性凸部を形成するように剛性部材の下部を前記挿入孔に挿入する剛性部材設置工程と、
上方に開き且つ底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された設置孔を有する第2基礎コンクリートを前記第1基礎コンクリート上に打設する第2打設工程と、
少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面には前記剛性部材のうち前記設置孔の底面から上方へ突出されてなる剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記設置孔の底面に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内に立設する木柱立設工程と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、
前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されていることを特徴とする木柱設置方法。
【請求項20】
筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された底板を有し、前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域内に上方へ突出された剛性凸部が設けられている型枠部材を支持部材を用いて基準面上に設置する型枠部材設置工程と、
少なくとも下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内において前記底板に立設する木柱立設工程と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程と、
前記型枠部材設置工程後の任意タイミングにおいて、前記筒状側板の外周を覆うように基準面に基礎コンクリートを打設する打設工程とを備え、
前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されていることを特徴とする木柱設置方法。
【請求項21】
筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された底板を有し、前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域内に上方へ突出された剛性凸部が設けられている型枠部材を支持部材を用いて基準面上に設置する型枠部材設置工程と、
前記筒状側板の外周を覆うように基準面に基礎コンクリートを打設する打設工程と、
前記筒状側板を除去して、基礎コンクリートに上方に開く設置孔を形成する側板除去工程と、
少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内において前記底板に立設する木柱立設工程と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、
前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されていることを特徴とする木柱設置方法。
【請求項22】
前記支持部材は、基端部が基準面に載置された状態で前記底板に形成されたボルト貫通孔に係入された複数のボルト部材と、前記複数のボルト部材の各々に螺合した状態で前記底板を支持する複数のナット部材とを有し、前記底板の基準面からの設置高さを変更可能とされており、
前記底板は、前記載置面領域から前記木柱を基準にした径方向に関し外方へ延びる延在面領域を有し、
前記ボルト貫通孔は前記延在面領域に形成されて、前記複数のボルト部材は前記延在面領域を上下に貫通していることを特徴とする請求項20又は21に記載の木柱設置方法。
【請求項23】
前記支持部材は、基端部が基準面に載置された状態で前記載置面領域に形成されたボルト貫通孔に係入された複数のボルト部材と、前記複数のボルト部材の各々に螺合した状態で前記底板を支持する複数のナット部材とを有し、前記底板の基準面からの設置高さを変更可能とされており、
前記型枠部材設置工程の後で且つ前記木柱設置工程の前に、前記複数のボルト部材のうち前記底板より上方へ延びる部分を切断除去するボルト切断工程を備えていることを特徴とする請求項20又は21に記載の木柱設置方法。
【請求項24】
少なくとも一部が上方へ延びるように剛性部材が固着された支持板を支持部材を用いて基準面上に設置する支持板設置工程と、
前記支持板を覆いつつ、前記剛性部材の上部が上方へ突出して剛性凸部を形成するように基準面上に第1基礎コンクリートを打設する第1打設工程と、
上方に開き且つ底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された設置孔を有する第2基礎コンクリートを第1基礎コンクリート上に打設する第2打設工程と、
少なくとも下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底面に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内立設する木柱立設工程と、
長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、
前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、
前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されていることを特徴とする木柱設置方法。
【請求項25】
前記複数の長尺部材は、前記複数の板状圧縮木材に加えて、外形寸法が不変とされた複数の外形不変部材を有し、
前記長尺部材設置工程は、前記複数の外形不変部材を設置する外形不変部材設置処理と、外形不変部材設置処理の後に前記複数の板状圧縮木材を設置する圧縮木材設置処理とを含み、
前記外形不変部材設置処理は、複数の外形不変部材における前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、複数の外形不変部材を前記木柱の周方向に関し互いに対して離間設置するように構成され、
前記圧縮木材設置処理は、板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、複数の板状圧縮木材を前記間隙のうち周方向に関し隣接する外形不変部材の間の領域において前記木柱の周りに配列させるように構成されていることを特徴とする請求項19から24の何れかに記載の木柱設置方法。
【請求項26】
前記長尺部材設置工程の後に、前記複数の板状圧縮木材に水分を含浸させる水分含浸工程を含むことを特徴とする請求項19から25の何れかに記載の木柱設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥居や住宅の大黒柱、自立する柱構造物及び灯籠等に利用される木柱に適用可能な木柱設置構造及び木柱設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、従前、木柱設置構造に係る発明の出願を行い、特許を取得している(下記特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載の発明(以下、特許発明という)は、支持装置と、前記支持装置に立設状態で支持される木柱とを有している。
【0004】
前記支持装置は、基礎コンクリートに固着されるベースプレートと、前記ベースプレートに固着された支持筒と、前記ベースプレートの上面のうち前記支持筒によって囲繞された領域内に設けられた凸部とを有している。
【0005】
前記木柱は、基端面に前記凸部に対応した凹部が設けられ且つ基端部の外周が保護カバーで覆われてる。
前記保護カバーは、木柱の基端部を囲繞する筒状部と、前記筒状部のうち木柱の立設状態において前記支持筒内に位置する部分から径方向外方へ延びる木柱側フランジ部とを有している。
【0006】
前記支持筒は、筒状の支持筒本体と、前記支持筒本体から径方向内方へ延びる支持筒側フランジ部とを有しており、前記筒状部の外周面と前記支持筒本体の内周面との間の間隙のうち、少なくとも上下方向に関し前記支持筒側フランジ部及び前記木柱側フランジ部によって挟まれる領域には固着材が充填されている。
【0007】
前記特許発明は、木柱が単独設置される場合又は設置される木柱が低数本の場合であっても基礎コンクリート上に設置強度を有効に確保しつつ木柱を設置することができ、さらに、基礎コンクリートを破壊すること無く設置木柱の交換を可能とすることができる点において有用である。
【0008】
しかしながら、前記特許発明においては、木柱に、径方向外方に開く係入溝を形成しなければならず、細い木柱には適用できないという問題があった。
【0009】
即ち、前記特許発明において、前記筒状部によって囲繞される木柱の基端部には径方向外方に開く係入溝が設けられている。前記係入溝には木柱の長手方向に関し相対移動不能に剛性部材が装着されている。
【0010】
一方、前記筒状部には、前記剛性部材と対向する位置に取付孔が設けられており、前記筒状部及び前記垂直木柱は、前記取付孔に挿通され且つ前記剛性部材に締結される締結部材を介して連結されている。
【0011】
従って、立設される木柱には、前記係入溝を形成しても強度を確保できるような直径が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、木柱が単独設置される場合又は設置される木柱が低数本の場合であっても、木柱に径方向外方に開く係入溝を形成することなく、設置強度を確保した状態で基礎コンクリート上に木柱を設置することができ、さらに、基礎コンクリートを破壊すること無く設置木柱の交換を可能とした木柱設置構造及び木柱設置方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の第1態様は、上方に開く設置孔が形成された基礎コンクリートと、前記設置孔内に立設される木柱であって、少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域は前記設置孔よりも小径とされている木柱と、前記設置孔の底面及び前記木柱の基端面の一方及び他方にそれぞれ直接又は間接的に設けられる剛性凸部及び凹部であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記設置孔の底面に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に全周に亘って間隙が存するように位置設定された剛性凸部及び凹部と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されている木柱設置構造を提供する。
【0015】
前記第1態様において、好ましくは、前記剛性凸部は、上部が前記設置孔の底面から上方へ延在され且つ下部が基礎コンクリート中に埋設された剛性部材の前記上部によって形成され、前記凹部は、前記剛性部材の上部が係入可能なように前記木柱の基端面に設けられる。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の第2態様は、筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された剛性の底板を有する型枠部材と、前記筒状側板の上端開口が上方を向くように基準面上で前記型枠部材を支持する支持部材と、前記筒状側板の外周を覆うように基準面に打設された基礎コンクリートと、少なくとも前記型枠部材内に位置する下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされている木柱と、前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域及び前記木柱の基端面の一方及び他方にそれぞれ直接又は間接的に設けられる剛性凸部及び凹部であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底面に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように位置設定された剛性凸部及び凹部と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されている木柱設置構造を提供する。
【0017】
前記第2態様において、好ましくは、前記支持部材は、基準面に対する前記底板の設置高さを変更可能とされている
【0018】
例えば、前記支持部材は、基端部が基準面に載置された状態で前記底板に形成されたボルト貫通孔に係入された複数のボルト部材と、前記複数のボルト部材の各々に螺合した状態で前記底板を支持する複数のナット部材とを有し得る。
【0019】
前記第2態様において、例えば、前記底板は、前記載置面領域から前記木柱を基準にした径方向に関し外方へ延びる延在面領域を有するものとされ、前記ボルト貫通孔は前記延在面領域に形成され、前記複数のボルト部材は前記延在面領域を上下に貫通するものとされる。
【0020】
これに代えて、前記ボルト貫通孔を前記載置面領域に形成することも可能である。この場合、前記複数のボルト部材は、上端面が前記底面の上面と面一とされる。
【0021】
前記第2態様の種々の構成において、好ましくは、前記剛性凸部は、前記載置面領域を上下に貫通するように前記底板に固着された剛性部材の上部によって形成され、前記剛性部材のうち前記底板より下方へ延在された下部は基礎コンクリート中に埋設される。
この場合、前記凹部は、前記剛性部材の上部が係入可能なように前記木柱の基端面に設けられる。
【0022】
前記目的を達成するために、本発明の第3態様は、支持板と、基準面上で前記支持板を水平に支持する支持部材と、前記支持板から上方へ延びる剛性凸部を形成するように前記支持板に固着された剛性部材と、筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された剛性の底板を有し、前記筒状側板の上端開口が上方を向くように前記支持板に直接又は間接的に支持される型枠部材であって、前記底板には前記剛性凸部が貫通される貫通孔が設けられている型枠部材と、前記筒状側板の外周を覆うように基準面に打設された基礎コンクリートと、少なくとも前記型枠部材内に位置する下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされ且つ基端面には前記剛性凸部が係入される凹部が設けられている木柱であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように構成された木柱と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されている木柱設置構造を提供する。
【0023】
前記第3態様の第1例において、前記型枠部材は、基礎コンクリートの打設前の状態においては前記支持板の上面に上方へ分離可能に載置される。
【0024】
前記第3態様の第2例においては、前記木柱設置構造には、前記支持板から上方へ離間された位置で前記剛性部材に固着された補助板が備えられ、前記型枠部材は、基礎コンクリートの打設前の状態においては前記補助板の上面に上方へ分離可能に載置される。
【0025】
前記第3態様の第3例においては、前記型枠部材は、前記支持板から上方へ離間された位置で前記剛性部材に固着される。
【0026】
前記目的を達成するために、本発明の第4態様は、上方へ延びる剛性凸部が設けられた支持板と、基準面上で前記支持板を水平に支持する支持部材と、上方に開く設置孔を存しつつ、前記支持板を覆うように基準面上に打設された基礎コンクリートであって、前記設置孔の底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された基礎コンクリートと、少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面には前記剛性凸部が係入される凹部が設けられている木柱であって、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させた状態において前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存するように構成された木柱と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿い且つ前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で前記木柱の周方向に配列されるように前記間隙内に挿入された複数の剛性長尺部材とを備え、前記複数の剛性長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記複数の圧縮木材は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記木柱の周方向に配列されている木柱設置構造を提供する。
【0027】
前記第1~第4態様の種々の構成において、前記長尺部材は、上端が前記設置孔の上端と同一位置となるように構成される。
【0028】
これに代えて、前記長尺部材は、上端が前記設置孔の上端より下方で終焉するように構成される。
この場合、前記間隙のうち前記長尺部材の上端より上方部分には充填材が充填される。
前記充填材は、例えば、モルタル、グラウト(無収縮モルタル)又は接着剤とすることができる。
【0029】
前記第1~第4態様の種々の構成において、好ましくは、前記複数の長尺部材は、外形寸法が不変とされた複数の外形不変部材を含み得る。前記複数の外形不変部材は、前記木柱の周方向に離間配置される。前記間隙のうち前記木柱の周方向に関し隣接する外形不変部材の間において、前記複数の圧縮木材が周方向に配列される。
より好ましくは、前記複数の外形不変部材は前記木柱の周方向に等間隔に配置される。
【0030】
前記第1~第4態様の種々の構成において、好ましくは、前記木柱設置構造は、少なくとも一部が前記設置孔内に位置するように前記木柱に巻き付けられた板状剛性体を有することができる。
【0031】
より好ましくは、前記板状剛性体は、少なくとも一部が前記圧縮木材と対向するように前記木柱に巻き付けられる。
【0032】
また、本発明の第5態様は、上方に開く挿入孔を存する状態で基準面上に第1基礎コンクリートを打設する第1打設工程と、上部が上方へ延在して剛性凸部を形成するように剛性部材の下部を前記挿入孔に挿入する剛性部材設置工程と、上方に開き且つ底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された設置孔を有する第2基礎コンクリートを前記第1基礎コンクリート上に打設する第2打設工程と、少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記設置孔の底面に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内において立設する木柱立設工程と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されている木柱設置方法を提供する。
【0033】
また、本発明の第6態様は、筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された底板を有し、前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域内に上方へ突出された剛性凸部が設けられている型枠部材を支持部材を用いて基準面上に設置する型枠部材設置工程と、少なくとも下部領域が前記筒状側板によって画される設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内において前記底板に立設する木柱立設工程と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程と、前記型枠部材設置工程後の任意タイミングにおいて、前記筒状側板の外周を覆うように基準面に基礎コンクリートを打設する打設工程とを備え、前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されている木柱設置方法を提供する。
【0034】
また、本発明の第7態様は、筒状側板及び前記筒状側板の下端開口を閉塞するように前記筒状側板に連結された底板を有し、前記底板のうち前記筒状側板によって囲まれる載置面領域内に上方へ突出された剛性凸部が設けられている型枠部材を支持部材を用いて基準面上に設置する型枠部材設置工程と、前記筒状側板の外周を覆うように基準面に基礎コンクリートを打設する打設工程と、前記筒状側板を除去して、基礎コンクリートに上方に開く設置孔を形成する側板除去工程と、少なくとも前記設置孔内に位置する下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底板に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内において前記底板に立設する木柱立設工程と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されている木柱設置方法を提供する。
【0035】
前記第6及び第7態様において、好ましくは、前記支持部材は、基端部が基準面に載置された状態で前記底板に形成されたボルト貫通孔に係入された複数のボルト部材と、前記複数のボルト部材の各々に螺合した状態で前記底板を支持する複数のナット部材とを有し、前記底板の基準面からの設置高さを変更可能とされる。
【0036】
例えば、前記底板が、前記載置面領域から前記木柱を基準にした径方向に関し外方へ延びる延在面領域を有するように構成し、前記ボルト貫通孔を前記延在面領域に形成して、前記複数のボルト部材が前記延在面領域を上下に貫通するように構成し得る。
【0037】
これに代えて、前記複数のボルト部材が挿通される前記ボルト貫通孔を前記載置面領域に形成することも可能である。
この場合、前記木柱設置方法には、前記型枠部材設置工程の後で且つ前記木柱設置工程の前に、前記複数のボルト部材のうち前記底板より上方へ延びる部分を切断除去するボルト切断工程が備えられる。
【0038】
また、本発明の第8態様は、少なくとも一部が上方へ延びるように剛性部材が固着された支持板を支持部材を用いて基準面上に設置する支持板設置工程と、前記支持板を覆いつつ、前記剛性部材の上部が上方へ突出して剛性凸部を形成するように基準面上に第1基礎コンクリートを打設する第1打設工程と、上方に開き且つ底面から前記剛性凸部が上方へ突出するように形成された設置孔を有する第2基礎コンクリートを第1基礎コンクリート上に打設する第2打設工程と、少なくとも下部領域が前記設置孔よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部が係入される凹部が設けられた木柱を前記設置孔に挿入して、前記剛性凸部を前記凹部に係入させつつ前記木柱の基端面を前記底面に載置させて、前記木柱の下部領域の外周面と前記設置孔の内周面との間に前記木柱の全周に亘って間隙が存する状態で前記木柱を前記設置孔内に立設する木柱立設工程と、長手方向が前記木柱の長手方向に沿った状態で前記木柱の下部領域の周りに配列するように、複数の剛性長尺部材を前記間隙内に挿入する長尺部材設置工程とを備え、前記複数の長尺部材は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材を含み、前記長尺部材設置工程は、前記複数の板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、前記複数の板状圧縮木材を前記木柱の下部領域の周りに配列するように構成されている木柱設置方法を提供する。
【0039】
前記第5~第8態様において、好ましくは、前記複数の長尺部材は、前記複数の板状圧縮木材に加えて、外形寸法が不変とされた複数の外形不変部材を有するものとされる。
この場合、前記長尺部材設置工程は、前記複数の外形不変部材を設置する外形不変部材設置処理と、外形不変部材設置処理の後に前記複数の板状圧縮木材を設置する圧縮木材設置処理とを含むものとされる。
【0040】
前記外形不変部材設置処理は、複数の外形不変部材における前記木柱を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、複数の外形不変部材を前記木柱の周方向に関し互いに対して離間設置するように構成される。
【0041】
前記圧縮木材設置処理は、板状圧縮木材の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域の外周面及び前記設置孔の内周面に当接された状態で、複数の板状圧縮木材を前記間隙のうち周方向に関し隣接する外形不変部材の間の領域において前記木柱の周りに配列させるように構成される。
【0042】
前記第5~第8態様において、好ましくは、前記木柱設置方法は、前記長尺部材設置工程の後に、前記複数の板状圧縮木材に水分を含浸させる水分含浸工程を含むことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、木柱が単独設置される場合又は設置される木柱が低数本の場合であっても、木柱に径方向外方に開く係入溝を形成することなく、設置強度を確保した状態で基礎コンクリート上に木柱を設置することができ、さらに、基礎コンクリートを破壊すること無く設置木柱の交換を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるII-II線II部拡大図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る木柱設置構造における木柱及び複数の剛性長尺部材の斜視図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、実施の形態1に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第1製造方法)における打設工程を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、前記木柱設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、前記第1木柱設置方法における外形不変部材設置処理後の状態の前記木柱設置構造の縦断面図である。
【
図9】
図9は、
図8におけるIX-IX線に沿った断面図である。
【
図10】
図10は、前記実施の形態1の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図であり、
図1に対応した断面を示している。
【
図11】
図11は、前記実施の形態1の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図であり、
図3に対応した断面を示している。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態2に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第2木柱設置方法)における支持部材設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図15】
図15は、第2木柱設置方法における打設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図16】
図16は、第2木柱設置方法における木柱立設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図17】
図17は、第2木柱設置方法における長尺部材設置工程の状態を示す縦断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態2の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態2の変形例に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第2木柱設置方法の変形例)における側板除去工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図21】
図21は、第2木柱設置方法の変形例における木柱立設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図22】
図22は、第2木柱設置方法の変形例における長尺部材設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施の形態3に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図25】
図25は、実施の形態3に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第3木柱設置方法)における型枠部材設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図26】
図26は、第3木柱設置方法におけるボルト切断工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図27】
図27は、第3木柱設置方法における打設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図28】
図28は、第3木柱設置方法における木柱立設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図29】
図29は、第3木柱設置方法における長尺部材設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図30】
図30は、実施の形態3の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図32】
図32は、実施の形態3の変形例に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第3木柱設置方法の変形例)における側板除去工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図33】
図33は、第3木柱設置方法の変形例における木柱立設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図34】
図34は、第3木柱設置方法の変形例における長尺部材設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図35】
図35は、本発明の実施の形態4に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図37】
図37は、実施の形態4の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図39】
図39は、実施の形態4の他の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図41】
図41は、本発明の実施の形態5に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【
図43】
図43は、実施の形態5に係る木柱設置構造を製造する為の木柱設置方法(第5木柱設置方法)における支持板設置工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図44】
図44は、第5木柱設置方法における支持板設置工程後の状態を示す平面図である。
【
図45】
図45は、第5木柱設置方法における第1打設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図46】
図46は、第5木柱設置方法における第2打設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図47】
図47は、第5木柱設置方法における木柱立設工程後の状態を示す縦断面図である。
【
図48】
図48は、板状剛性体を備えた、前記実施の形態1の他の変形例に係る木柱設置構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施の形態1
以下、本発明に係る木柱設置構造の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る木柱設置構造1Aの縦断面図を示す。
また、
図2及び
図3に、それぞれ、
図1におけるII-II線及び
図2におけるIII-III線に沿った断面図を示す。
【0046】
前記木柱設置構造1Aは、基礎コンクリート上に木柱を立設するように構成されている。
【0047】
詳しくは、
図1~
図3に示すように、前記木柱設置構造は、上方に開く設置孔90が形成された基礎コンクリート10と、前記設置孔90内に立設される木柱20と、前記設置孔90の底面及び前記木柱20の基端面の一方及び他方にそれぞれ直接又は間接的に設けられる剛性凸部30及び凹部40とを有している。
【0048】
前記木柱20は、少なくとも前記設置孔90内に位置する下部領域22が前記設置孔90よりも小径とされている。
即ち、前記木柱20を前記設置孔90に立設させた状態において、前記木柱20の下部領域22の外周面と前記設置孔90の内周面との間には、前記木柱90の全周に亘って間隙95が存在するようになっている。
【0049】
本実施の形態においては、
図1等に示すように、前記剛性凸部30は前記設置孔90の底面に設けられており、前記凹部40は前記木柱20の基端面に設けられている。
【0050】
前記剛性凸部30及び前記凹部40は、前記剛性凸部30を前記凹部40に係入させつつ前記木柱20の基端面を前記設置孔90の底面に載置させた状態において前記木柱20の下部領域22の外周面と前記設置孔90の内周面との間に全周に亘って前記間隙95が存するように位置設定されている。
本実施の形態においては、
図2等に示すように、前記剛性凸部30は、前記設置孔90の中心に設けられており、前記凹部40は、前記木柱20の中心軸線に設けられている。
【0051】
前記剛性凸部30は、ステンレス等の所定の剛性を有する部材によって形成されている。
本実施の形態においては、
図1等に示すように、前記剛性凸部30は、上部が前記設置孔90の底面から上方へ延在され且つ下部が基礎コンクリート10中に埋設されたステンレス等の剛性部材35の前記上部によって形成されている。
【0052】
前記木柱設置構造1Aは、さらに、前記木柱20の下部領域22の回りに周方向に沿って配列するように前記間隙95に挿入された複数の剛性長尺部材50を有している。
【0053】
図4に、前記木柱20及び前記複数の剛性長尺部材50の斜視図を示す。
図1~
図4に示すように、前記複数の剛性長尺部材50は、長手方向が前記木柱20の長手方向に沿い且つ前記木柱20を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱20の下部領域22の外周面及び前記設置孔90の内周面に当接された状態で、前記木柱20の周方向に配列されるように前記間隙95内に挿入されている。
図2に示すように、本実施の形態においては、24本の前記剛性長尺部材50が前記木柱20の周方向に配列されている。
【0054】
前記複数の長尺部材50は、板厚方向が膨張方向とされた複数の板状圧縮木材52を含んでいる。
前記複数の圧縮木材52は、板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱20の下部領域22の外周面及び前記設置孔90の内周面に当接された状態で、前記木柱20の周方向に配列されている。
【0055】
圧縮木材52は、例えば、密閉環境下において所望形状の板状木材を90℃の温度で十分な時間をかけて圧密させることによって形成できる。これに代えて、圧縮木材52は、解放環境下において所望形状の板状木材を110℃~130℃で圧密させることによって形成することも可能である。かかる形成方法によれば、構造強度を損なうことなく、変形回復機能を有する圧縮木材を効率よく形成することができる。
【0056】
斯かる構成の前記木柱設置構造1Aによれば、前記剛性凸部30及び前記凹部40によって前記設置孔90に対する前記木柱20の径方向位置が所望位置に固定された状態で、前記木柱20を前記複数の圧縮木材52の膨張作用によって前記設置孔90内で強固に立設支持することができる。
【0057】
さらに、前記木柱20に径方向外方へ開く係入溝を形成する必要が無いため、小径の木柱20に対しても有効に適用することができる。
また、一又は複数の前記圧縮木材52を取り除くことにより、基礎コンクリート10を破壊することなく、前記木柱20を基礎コンクリート10から取り外すことができる。
【0058】
図1~
図4に示すように、本実施の形態においては、前記複数の長尺部材50の一部は、外形寸法が不変とされた複数の外形不変部材55とされている。
即ち、本実施の形態においては、前記複数の長尺部材50は、前記複数の板状圧縮木材52と、前記複数の外形不変部材55とを含んでいる。
【0059】
前記外形不変部材55は、外形寸法が不変とされた材質、例えば、ステンレス、鉄又は強化プラスチック等によって形成される。
【0060】
図2及び
図4に示すように、前記複数の外形不変部材55は、前記木柱20の周方向に離間配置されており、前記間隙95のうち前記木柱20の周方向に関し隣接する外形不変部材55の間において、前記複数の圧縮木材52が周方向に配列されている。
【0061】
このように、周方向に離間配置された前記複数の外形不変部材55を備えることにより、前記間隙95の径方向幅を前記木柱20の全周に亘って同一乃至は略同一とすることができ、前記木柱20の良好な立設姿勢を得ることができる。
【0062】
好ましくは、前記複数の外形不変部材55は、前記木柱20の周方向に等間隔に配設される。
図2に示すように、本実施の形態においては、4本の前記外形不変部材55が前記木柱20の周方向に90度間隔で配設されている。
当然ながら、2本又は3本等の4本とは異なる本数の前記外形不変部材55を前記木柱20の周方向に等間隔に配設することも可能である。
【0063】
なお、当然ながら、前記複数の長尺部材50の全てを前記複数の板状圧縮木材52とすることも可能である。
【0064】
以下、前記木柱設置構造の製造方法(木柱設置方法)について説明する。
前記木柱設置方法は、上方に開く設置孔90を有し、且つ、前記設置孔90の底面に上方へ突出する剛性凸部30が設けられるように基礎コンクリート10を打設する打設工程を有している。
【0065】
本実施の形態においては、前記打設工程は、上方に開き且つ前記剛性部材35の下部が挿入可能とされた挿入孔36が存するように基準面12(例えば、捨てコンクリートの上面)に第1基礎コンクリート10(1)を所定厚みで打設する第1打設工程(
図5(a))と、上部が上方へ延在して前記剛性凸部30を形成するように前記剛性部材35の下部を前記挿入孔36に挿入する剛性部材設置工程(
図5(a))と、上方に開き且つ底面から前記剛性凸部30が上方へ突出するように形成された前記設置孔90を有する第2基礎コンクリート10(2)を前記第1基礎コンクリート10(1)の上面に打設する第2打設工程(
図5(b))とを含んでいる。
なお、前記剛性部材35の下部と前記挿入孔36との間に隙間が存在する場合には、モルタル等の充填材を充填することができる。
また、前記設置孔90は、例えば、前記第1基礎コンクリート10上に前記設置孔90に相当する大きさのスペーサ(図示せず)を設置した状態で前記第2基礎コンクリート20を打設し、その後に、前記スペーサを除去することによって効率的に形成することができる。
【0066】
前記木柱設置方法は、さらに、木柱立設工程を有している。
図6に、前記木柱立設工程後の前記木柱設置構造1Aの縦断面図を示す。
また、
図7に、
図6におけるVII-VII線に沿った断面図を示す。
【0067】
図5~
図7に示すように、前記木柱立設工程は、少なくとも前記設置孔90内に位置する下部領域22が前記設置孔90よりも小径とされ且つ基端面に前記剛性凸部30が係入される凹部40が設けられた木柱20を前記設置孔90に挿入して、前記剛性凸部30を前記凹部40に係入させつつ前記木柱20の基端面を前記設置孔90の底面に載置させて、前記木柱20の下部領域22の外周面と前記設置孔90の内周面との間に前記木柱20の全周に亘って間隙95が存する状態で前記木柱20を前記設置孔90内において立設させるように構成されている。
【0068】
前記木柱設置方法は、前記木柱立設工程後に、長手方向が前記木柱20の長手方向に沿った状態で前記木柱20の下部領域22の周りに配列されるように、前記複数の剛性長尺部材50を前記間隙95内に挿入する長尺部材設置工程を有している。
【0069】
前述の通り、本実施の形態においては、前記複数の長尺部材50は、前記複数の圧縮木材52及び前記複数の外形不変部材55を有している。
【0070】
この場合、前記長尺部材設置工程は、前記複数の外形不変部材55を設置する外形不変部材設置処理と、外形不変部材設置処理の後に前記複数の板状圧縮木材52を設置する圧縮木材設置処理と有するものとされる。
【0071】
図8に、前記外形不変部材設置処理後の前記木柱設置構造1Aの縦断面図を示す。
また、
図9に、
図8におけるIX-IX線に沿った断面図を示す。
【0072】
図9に示すように、前記外形不変部材設置処理は、前記複数の外形不変部材55における前記木柱20を基準にした径方向に関し内方側及び外方側がそれぞれ前記木柱20の下部領域22の外周面及び前記設置孔90の内周面に当接された状態で、前記複数の外形不変部材55を前記木柱20の周方向に関し互いに対して離間設置するように構成されている。
【0073】
本実施の形態においては、前記複数の外形不変部材55は前記木柱20の周方向に関し等間隔に配設されている。
【0074】
前記外形不変部材55は、ステンレス、鉄又は強化プラスチック等の外形が変形しない材料によって形成されており、従って、前記外形不変部材設置処理後の状態においては、前記木柱20の下部領域22の外周面と前記設置孔90の内周面との間の前記間隙95の径方向距離は、前記木柱20の全周に亘って同一又は略同一となる。
【0075】
前記圧縮木材設置処理は、前記複数の板状圧縮部材52を、当該板状圧縮木材52の板厚方向一方側及び他方側がそれぞれ前記木柱の下部領域22の外周面及び前記設置孔90の内周面に当接された状態で、前記間隙95のうち周方向に関し隣接する外形不変部材55の間の領域において前記木柱20の周りに配列させるように構成されており、これにより、
図2に示す状態が現出される。
【0076】
なお、本実施の形態においては、前記複数の長尺部材50の長手方向長さは前記設置孔90の深さと同一とされている。
即ち、
図1及び
図3等に示すように、前記複数の長尺部材50の上端は、基礎コンクリート10の上面と略同一位置に位置されている。
【0077】
前記長尺部材50に代えて、長手方向長さが前記設置孔の深さよりも短い長尺部材50’(板状圧縮木材52’及び外形不変部材55’)を用いることも可能である。
【0078】
図10及び
図11に、前記長尺部材50’を用いた変形例に係る木柱設置構造1Bの縦断面図を示す。
図10及び
図11は、それぞれ、
図1及び
図3に対応した図である。
なお、
図10及び
図11において、本実施の形態におけると同一部材には同一符号を付している。
【0079】
図10及び
図11に示すように、前記木柱設置構造1Bにおいては、前記長尺部材50’の上端は前記設置孔90の上端より下方で終焉しており、前記間隙95のうち前記長尺部材50’の上端より上方部分には充填材60が充填されている。
充填材60としては、例えば、モルタル、グラウト(無収縮モルタル)又は接着剤を用いることができる。
【0080】
斯かる変形例においては、設置後に地震等によって木柱20に大きな衝撃力が加わった場合に、衝撃力の方向に応じた位置で充填材60が損傷することになる。
従って、充填材60の損傷個所から、衝撃を受けた長尺部材50’を適切に特定することができ、その長尺部材50’の交換乃至は修繕を効率的に行うことができる。
【0081】
実施の形態2
以下、本発明の他の実施の形態に係る木柱設置構造2Aについて、添付図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施の形態に係る木柱設置構造2Aの縦断面図を示す。
また、
図13に、
図12におけるXIII-XIII線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0082】
本実施の形態に係る木柱設置構造2Aは型枠部材100を有している点において、主として前記実施の形態1に係る木柱設置構造1Aと相違している。
【0083】
即ち、前記木柱設置構造2Aは、前記型枠部材100と、基準面12上で前記型枠部材100を支持する支持部材150と、前記基礎コンクリート10と、前記木柱20と、前記剛性凸部30及び前記凹部40と、前記複数の剛性長尺部材50とを有している。
【0084】
図12及び
図13に示すように、前記型枠部材100は、筒状側板110と、前記筒状側板110の下端開口を閉塞するように前記筒状側板110に連結された剛性の底板120とを有している。
【0085】
前記底板120は、例えば、ステンレス又は鉄によって形成される。
前記筒状側板110は、例えば、ステンレス、鉄又はプラスチックによって形成される。
【0086】
本実施の形態においては、前記筒状側板110及び前記底板120によって、前記木柱20の設置孔90が形成される。
即ち、前記筒状側板110の内周面が前記設置孔90の内周面を形成し、前記底板120の上面のうち前記筒状側板110によって囲まれる載置面領域122が前記設置孔90の底面を形成する。
【0087】
前記支持部材150は、基礎コンクリート10が打設される基準面12(例えば、捨てコンクリートの上面)上において、前記筒状側板110の上端開口が上方を向くように前記型枠部材100を支持する。
本実施の形態においては、前記支持部材150は、基準面12に対する前記底板120の設置高さを変更可能とされている。
【0088】
詳しくは、
図12及び
図13に示すように、前記支持部材150は、基端部が基準面12に載置された状態で前記底板120に形成されたボルト貫通孔(図示せず)に係入された複数のボルト部材152と、前記複数のボルト部材152の各々に螺合した状態で前記底板120を支持する複数のナット部材155とを有している。
【0089】
なお、
図12及び
図13中の符号157は、前記複数のボルト部材155のうち前記底板120より上方に延びる部分に螺合された回り止め用ナットであり、符号158は座金である。
【0090】
本実施の形態においては、前記底板120は、前記筒状側板110によって囲まれる前記載置面領域122と、前記載置面領域122から前記木柱20を基準にして径方向外方へ延在する延在面領域125とを有している。
【0091】
そして、前記複数のボルト部材155が係入されるボルト貫通孔は前記延在面領域125に形成されており、前記複数のボルト部材155は前記延在面領域125を上下に貫通している。
【0092】
前記剛性凸部30は、上方へ突出するように前記載置面領域122に設けられている。
本実施の形態においては、
図12及び
図13に示すように、前記底板120には、前記載置面領域122を上下に貫通するようにステンレス等の剛性部材35が固着されており、前記剛性部材35の上部が前記剛性凸部30として作用している。
【0093】
前記剛性部材35のうち前記底板120より下方へ延在する下部は基礎コンクリート10中に埋設されており、これにより、前記剛性凸部30の設置強度の向上が図られている。
【0094】
前記木柱設置構造2Aは、下記木柱設置方法によって製造される。
前記木柱設置方法は、前記支持部材150を用いて前記型枠部材100を基準面12に設置する型枠部材設置工程(
図14参照)と、上面が前記筒状側板110の上端と同一位置又は前記筒状側板110の上端よりも低くなるように前記筒状側板110の周りに基礎コンクリート10を打設する打設工程(
図15参照)とを有している。
なお、本実施の形態においては、前記打設工程は、前記底板12の設置位置と略同一厚みとなるように基準面12上に第1基礎コンクリート10(1)を打設する第1打設工程と、上面が前記筒状側板110の上端と同一位置又は前記筒状側板110の上端よりも低くなるように第1基礎コンクリート10(1)の上に第2基礎コンクリート10(2)を打設する第2打設工程とを含んでいる。
【0095】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記支持部材150は前記底板120の設置高さを変更可能とされている。
従って、前記型枠部材設置工程においては、前記支持部材150を用いて、基準面12に対する前記底板120の高さが所望位置に調整される。
【0096】
前記木柱設置方法は、さらに、前記型枠部材設置工程後に実行される前記木柱立設工程(
図16参照)と、前記木柱立設工程後に実行される前記長尺部材設置工程(
図17参照)とを備えている。
【0097】
なお、本実施の形態においては、前記打設工程は、前記型枠部材設置工程の後で且つ前記木柱立設工程の前に行われているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
前記打設工程を、前記型枠部材設置工程後の任意タイミングにおいて、例えば、前記長尺部材設置工程の後に行うことも可能である。
【0098】
図18に、本実施の形態の変形例に係る木柱設置構造2Bの縦断面図を示す。
また、
図19に、
図18におけるXIX-XIX線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態及び前記実施の形態1と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0099】
前記変形例に係る木柱設置構造2Bは、前記筒状側板110が省略されている点においてのみ本実施の形態に係る木柱設置構造2Aと相違している。
【0100】
前記木柱設置構造2Bは、下記木柱設置方法によって製造される。
即ち、前記木柱設置方法は、前記型枠部材設置工程(
図14参照)と、前記型枠部材設置工程後に実行される前記打設工程(
図15参照)と、前記打設工程後に実行される側板除去工程であって、前記筒状側板110を除去して基礎コンクリート10に上方に開く設置孔90を形成する側板除去工程(
図20参照)と、前記側板除去工程後に実行される前記木柱立設工程(
図21参照)と、前記木柱立設工程後に実行される前記長尺部材設置工程(
図22参照)とを備えている。
【0101】
本変形例においては、好ましくは、前記筒状側板110は前記底板120に部分溶接又は接着等によって連結され、これにより、前記側板除去工程の際の前記筒状側板110の除去作業の容易化を図ることができる。
【0102】
特に、前記筒状部材110が接着によって前記底板120に連結されている構成においては、前記筒状側板110は、例えば、前記打設工程の際にコンクリートからの圧力を堪え得る強度を有するプラスチックで形成することができる。
【0103】
実施の形態3
以下、本発明の他の実施の形態に係る木柱設置構造3Aについて、添付図面を参照しつつ説明する。
図23に、本実施の形態に係る木柱設置構造3Aの縦断面図を示す。
また、
図24に、
図23におけるXXIV-XXIV線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0104】
本実施の形態に係る木柱設置構造3Aは、前記型枠部材100が型枠部材100’に変更されている点、及び、前記ボルト部材152が係入される前記ボルト貫通孔が前記載置面領域122に形成されている点において、前記実施の形態2に係る木柱設置構造2Aと相違している。
【0105】
前記型枠部材100’は、前記底板120が底板120’に変更されている点において前記型枠部材100と相違している。
【0106】
詳しくは、
図23及び
図24に示すように、前記型枠部材100’は、前記筒状側板110と、前記筒状部材110の下端開口を閉塞するように前記筒状側板110に連結された底板120’とを有している。
前記底板120’は、前記底板120に比して、前記延在面領域125が削除されている。
【0107】
本実施の形態においては、前記ボルト部材152が係入される前記ボルト貫通孔は前記載置面領域122に形成されている。
そして、前記複数のボルト部材152は、上端面が前記底板120’の上面と面一とされている。
【0108】
前記木柱設置構造3Aは、下記木柱設置方法によって製造される。
前記木柱設置方法は、前記支持部材150を用いて前記型枠部材100’を基準面12に設置する型枠部材設置工程(
図25参照)と、前記複数のボルト部材152のうち前記底板120’より上方へ延びる部分を切断除去するボルト切断工程(
図26参照)と、上面が前記筒状側板110の上端と同一位置又は前記筒状側板110の上端よりも低くなるように前記筒状側板110の周りに基礎コンクリート20を打設する打設工程(
図27参照)と、前記木柱立設工程(
図28参照)と、前記木柱立設工程後に実行される前記長尺部材設置工程(
図29参照)とを備えている。
【0109】
なお、前記ボルト切断工程は、前記型枠部材設置工程の後で且つ前記木柱設置工程の前であれば、任意のタイミングで行うことができる。
【0110】
また、前記打設工程は、前記型枠部材設置工程後であれば、任意タイミングで行うことができる。
本実施の形態においては、前記打設工程は、前記底板120’の設置高さと略同一厚みの第1基礎コンクリート10(1)を基準面12上に打設する第1打設工程と、上面が前記筒状側板110の上端と同一位置又は前記筒状側板110の上端よりも低くなるように第1基礎コンクリート10(1)の上に第2基礎コンクリート10(2)を打設する第2打設工程とを含んでいる。
【0111】
図30に、本実施の形態の変形例に係る木柱設置構造3Bの縦断面図を示す。
また、
図31に、
図30におけるXXXI-XXXI線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態及び前記実施の形態1~2と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0112】
前記変形例に係る木柱設置構造3Bは、前記筒状側板110が省略されている点においてのみ本実施の形態に係る木柱設置構造3Aと相違している。
【0113】
前記木柱設置構造3Bは、下記木柱設置方法によって製造される。
即ち、前記木柱設置方法は、前記型枠部材設置工程(
図25参照)と、前記ボルト切断工程(
図26参照)と、前記打設工程(
図27参照)と、前記打設工程後に実行される側板除去工程であって、前記筒状側板110を除去して基礎コンクリート10に上方に開く設置孔90を形成する側板除去工程(
図32参照)と、前記側板除去工程後に実行される前記木柱立設工程(
図33参照)と、前記木柱立設工程後に実行される前記長尺部材設置工程(
図34参照)とを備えている。
【0114】
前記ボルト切断工程は、前記型枠部材設置工程の後で且つ前記木柱設置工程の前の任意タイミングで行うことができる。
また、前記打設工程は、前記型枠部材設置工程の後で且つ前記側板除去工程の前の任意タイミングで行うことができる。
【0115】
実施の形態4
以下、本発明の他の実施の形態に係る木柱設置構造4Aについて、添付図面を参照しつつ説明する。
図35に、本実施の形態に係る木柱設置構造4Aの縦断面図を示す。
また、
図36に、
図35におけるXXXVI-XXXVI線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1~3と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0116】
本実施の形態に係る木柱設置構造4Aは、前記型枠部材100に代えて型枠部材200を有しており、さらに、前記型枠部材200を支持する支持板250を有している点において、前記実施の形態2に係る木柱設置構造2Aと相違している。
【0117】
詳しくは、前記木柱設置構造4Aは、前記支持板250と、前記支持部材150と、前記剛性部材35と、前記型枠部材200と、前記基礎コンクリート10と、前記木柱20と、前記複数の剛性長尺部材50とを有している。
【0118】
前記支持板250は、平面視において前記筒状側板110と重合する重合領域252と、前記重合領域252から前記木柱20を基準にして径方向外方へ延在する延在面領域255とを有している。
【0119】
本実施の形態においては、前記支持部材150は、前記支持板250を水平姿勢で且つ基準面12に対する設置高さを変更可能に支持している。
【0120】
詳しくは、前記ボルト部材155が係入されるボルト貫通孔は前記延在面領域255に形成されており、前記複数のボルト部材155は前記延在面領域255を上下に貫通している。
【0121】
前記剛性部材35は、上部が前記支持板250から上方へ延びる前記剛性凸部40を形成するように、前記支持板250に固着されている。
本実施の形態においては、
図35に示すように、前記剛性部材35の上部が前記支持板250から上方へ延在して前記剛性凸部40を形成しつつ、下部が前記支持板250から下方へ延在して前記基礎コンクリート10中に埋設されている。
【0122】
前記型枠部材200は、前記筒状側板110と、前記筒状側板110の下端開口を閉塞するように前記筒状側板110に連結された剛性の底板220とを有している。
前記底板220には前記剛性凸部30が貫通される貫通孔が設けられている。
【0123】
前記型枠部材200は、前記剛性凸部30が前記底板220の貫通孔に係入された状態で前記支持板250の上面に載置されている。
【0124】
なお、前記型枠部材200を、前記基礎コンクリート10の打設前の状態においては前記支持板250の上面に上方へ分離可能に載置させることも可能であるし、前記基礎コンクリート10の打設前の状態において前記支持板250の上面に固着させることも可能である。
【0125】
図37に、本実施の形態の変形例に係る木柱設置構造4Bの縦断面図を示す。
また、
図38に、
図37におけるXXXVIII-XXXVIII線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態及び前記各実施の形態と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0126】
前記木柱設置構造4Bは、前記型枠部材200が前記支持板250から上方へ離間されている点において、前記木柱設置構造4Aと相違している。
【0127】
前記木柱設置構造4Bにおいては、前記型枠部材200は前記剛性部材35に固着されることで、前記支持板250に間接的に支持される。
【0128】
図39に、本実施の形態の他の変形例に係る木柱設置構造4Cの縦断面図を示す。
また、
図40に、
図39におけるXXXX-XXXX線に沿った断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態及び前記各実施の形態と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0129】
前記木柱設置構造4Cは、前記支持板250から上方へ離間された位置で前記剛性部材35に固着された補助板260を有している点、及び、前記型枠部材200が前記補助板260に載置されている点において、前記木柱設置構造4Aと相違している。
【0130】
前記木柱設置構造4Cにおいては、前記型枠部材200を、前記基礎コンクリート10の打設前の状態においては前記補助板260の上面に上方へ分離可能に載置させることも可能であるし、前記基礎コンクリート10の打設前の状態において前記補助板260の上面に固着させることも可能である。
【0131】
なお、前記木柱設置構造4Bにおいては、前記剛性部材35の下端は前記支持板250の下端面と同一位置に位置されているが、これに代えて、前記剛性部材35の下部が前記支持板250から下方へ延在するように前記剛性部材35を前記支持板250に固着することも可能である。
【0132】
また、前記実施の形態4及びその変形例において、前記実施の形態2及び3の変形例のように、前記筒状側板110を除去することも可能である。
【0133】
実施の形態5
以下、本発明の他の実施の形態に係る木柱設置構造5Aについて、添付図面を参照しつつ説明する。
図41に、本実施の形態に係る木柱設置構造5Aの縦断面図を示す。
また、
図42に、
図41におけるXXXXII-XXXXII線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1~4と同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0134】
前記木柱設置構造5Aは、前記型枠部材200が削除されている点において、前記木柱設置構造4Bと相違している。
【0135】
詳しくは、
図41及び
図42に示すように、前記木柱設置構造5Aは、上方へ延びる前記剛性凸部30が設けられた前記支持板250と、基準面12上で前記支持板250を水平に支持する前記支持部材150と、上方に開く設置孔90を存しつつ、前記支持板250を覆うように基準面12上に打設された基礎コンクリート10であって、前記設置孔90の底面から前記剛性凸部30が上方へ突出するように形成された基礎コンクリート10と、前記木柱20と、前記複数の剛性長尺部材50とを備えている。
【0136】
本実施の形態においては、前記支持板250に、下端が当該支持板250の下面と略同一位置に位置するように前記剛性部材35が固着されており、前記剛性部材35の上方延在部分が前記剛性凸部30を形成している。
【0137】
当然ながら、前記剛性部材35の上部が上方へ延在し且つ下部が下方へ延在するように前記剛性部材35を前記支持板250に固着することも可能である。
【0138】
本実施の形態においては、前記基礎コンクリート10は、前記支持板250を覆いつつ、前記剛性部材35の上部が上方へ突出して前記剛性凸部30を形成するように基準面12上に打設された前記第1基礎コンクリート10(1)と、前記第1基礎コンクリート10(1)に打設された前記第2基礎コンクリート10(2)であって、上方に開き且つ底面から前記剛性凸部30が上方へ突出するように前記設置孔90が形成された前記第2基礎コンクリート10(2)とを有している。
【0139】
前記木柱設置構造5Aは、下記木柱設置方法によって製造される。
前記木柱設置方法は、少なくとも一部が上方へ延びるように前記剛性部材35が固着された前記支持板250を前記支持部材150を用いて基準面12上に設置する支持板設置工程(
図43及び
図44参照)と、前記支持板250を覆いつつ、前記剛性部材35の上部が上方へ突出して前記剛性凸部30を形成するように基準面12上に前記第1基礎コンクリート10(1)を打設する第1打設工程(
図45参照)、上方に開き且つ底面から前記剛性凸部30が上方へ突出するように形成された前記設置孔90を有する前記第2基礎コンクリート10(2)を前記第1基礎コンクリート10(1)上に打設する第2打設工程(
図46参照)と、前記木柱立設工程(
図47参照)と、前記木柱立設工程後に実行される前記長尺部材設置工程(
図41及び
図42参照)とを備えている。
【0140】
なお、本実施の形態においても、前記実施の形態1におけると同様に、前記設置孔90は、例えば、前記第1基礎コンクリート10上に前記設置孔90に相当する大きさのスペーサ(図示せず)を設置した状態で前記第2基礎コンクリート20を打設し、その後に、前記スペーサを除去することによって効率的に形成することができる。
【0141】
また、当然ながら、前記実施の形態2~5及びそれらの変形例においても、前記実施の形態1における変形例(
図10及び
図11)のように、前記複数の長尺部材50の代えて前記複数の長尺部材50’を備え、前記間隙95のうち前記長尺部材50’の上端より上方部分に充填材60を充填することができる。
【0142】
また、前記各実施の形態及び変形例においては、前記木柱20は断面円形とされているが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではなく、断面矩形又は断面楕円形等の木柱を用いることも可能である。
【0143】
さらに、前記各実施の形態及び変形例においては、前記剛性凸部30は円柱形とされているが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではなく、前記剛性凸部30を球面形状や円錐状、又は、直方形状とすることも可能である。
【0144】
また、記各実施の形態及び変形例における木柱設置方法1A~5Aは、前記複数の圧縮木材52を前記間隙95に設置した後に、前記複数の圧縮木材52(52’)に水分を含浸させる水分含浸工程を備えることができる。
かかる構成によれば、前記板状圧縮木材52(52’)の膨張を前記木柱20の周方向に関し略均等に作用させることができる。
前記水分は、水又は防腐剤が含有された水とすることができる。
【0145】
また、前記各実施の形態及び変形例に係る木柱設置構造1A~5Aは、前記木柱20の周方向の一部又は全体に亘って巻き付けられた板状剛性体70を備えることができる。
前記板状剛性体70として、例えば、銅板、ステンレス板、鉄板、炭素繊維を用いることができる。
【0146】
前記板状剛性体70は、少なくとも一部が前記設置孔90内に位置するように前記木柱20に巻き付けられる。
好ましくは、前記板状剛性体70は、前記木柱20を前記設置孔90内に立設させた状態において、少なくとも一部が前記圧縮木材52(52’)と対向する位置で前記木柱20に巻き付けられる。
【0147】
好ましくは、前記木柱20に、前記木柱20の長手方向に関する長さが前記板状剛性体70の幅と同一で且つ深さが前記板状剛性体70の厚みと同一の装着溝25を形成し、前記板状剛性体70を前記装着孔25に装着させることができる。
かかる構成によれば、前記板状剛性体70の外表面と前記木柱20の外表面のうち前記板状剛性体70が存在しない部分とを面一とすることができる。
前記板状剛性体70は、例えば、接着剤を用いて前記木柱20に固着され得る。
【0148】
図48に、前記板状剛性体70を備えた木柱設置構造の一例として、前記板状剛性体70を備えた、前記実施の形態1の他の変形例に係る木柱設置構造1Cの縦断面図を示す。
また、
図49(a)及び(b)に、
図48におけるXXXXIX-XXXXIX線に沿った断面図を示す。
【0149】
図49(a)に示すように、前記板状剛性体70を前記木柱20の全周に巻き付けれることも可能であるし、
図49(b)に示すように、前記板状剛性体70を前記木柱20の周方向の一部にのみ巻き付けることも可能である。
当然ながら、他の実施の形態及び変形例に係る木柱設置構造に前記板状剛性体70を備えることも可能である。
【符号の説明】
【0150】
1A~5A 木柱設置構造
10 基礎コンクリート
10(1)、10(2) 第1及び第2基礎コンクリート
20 木柱
22 木柱の下部領域
30 剛性凸部
35 剛性部材
40 凹部
50、50’ 剛性長尺部材
52 板状圧縮部材
55 外形不変部材
60 充填材
70 板状剛性体
90 設置孔
95 間隙
100、100’、200 型枠部材
110 筒状側板
120、120’、220 底板
122 載置面領域
125 延在面領域
150 支持部材
152 ボルト部材
155 ナット部材
250 支持板