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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002085
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/16 20060101AFI20221227BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
F04B39/16 K
F04C29/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103102
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 浩志
(72)【発明者】
【氏名】秋本 諒
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BA00
3H003BB08
3H003CD01
3H003CD05
3H003CE02
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB21
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC26
(57)【要約】
【課題】騒音を低コストで低減する。
【解決手段】圧縮機10は、冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離するアキュムレータ本体と、アキュムレータ本体が格納される内部空間を形成するアキュムレータ容器71と、ガス冷媒を圧縮する圧縮機本体1とを備えている。アキュムレータ容器71の外周面87には、溶接による溶接部86が形成されている。アキュムレータ容器71のうちの溶接部86が形成された部分の厚さは、アキュムレータ容器71のうちの溶接部86が形成されていない他の部分の厚さより大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離するアキュムレータ本体と、
前記アキュムレータ本体が格納される空間を形成するアキュムレータ容器と、
前記ガス冷媒を圧縮する圧縮機本体とを備え、
前記アキュムレータ容器は、前記圧縮機本体に固定され、
前記アキュムレータ容器の外周面には、溶接部が形成され、
前記アキュムレータ容器のうちの前記溶接部が形成された部分の厚さは、前記アキュムレータ容器のうちの前記溶接部が形成されていない他の部分の厚さより大きい
圧縮機。
【請求項2】
前記溶接部は、前記アキュムレータ容器のうちの前記外周面を形成する容器胴部の一端と前記容器胴部の他端とを結ぶ線に沿って形成される
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記アキュムレータ容器のうちの前記外周面を形成する容器胴部のうちの第1部分と、前記容器胴部のうちの前記第1部分と異なる第2部分との間の継ぎ目は、前記溶接部を介して接合される
請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第1部分は、前記第2部分に重なる
請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記溶接部は、前記アキュムレータ容器のうちの前記圧縮機本体から遠い側の領域に形成される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記アキュムレータ容器の中心軸を含む平面のうちの前記領域の一方の端を含む第1平面と、前記平面のうちの前記領域の他方の端を含む第2平面との間の角度は、90度である
請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記外周面には、溶接による他の溶接部がさらに形成され、
前記アキュムレータ容器のうちの前記他の溶接部が形成されたさらに他の部分の厚さは、前記他の部分の厚さより大きい
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離するアキュムレータと、アキュムレータにより分離されたガス冷媒を圧縮する圧縮機本体とを備える圧縮機が知られている。アキュムレータは、取り付けバンド等の取り付け部材を介して、圧縮機本体に固定されている(特許文献1)。このような圧縮機は、空調機や冷凍機に広く用いられている。このような圧縮機が設けられている空気調和機は、アキュムレータを大型化することにより、サブアキュムレータを省略することができ、製造コストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-90004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮機本体は、モータを備え、モータにより生成された回転動力を用いてガス冷媒を圧縮していることにより、振動する。圧縮機は、アキュムレータから圧縮機本体にガス冷媒を供給する配管をさらに備えている。配管の一端は、アキュムレータの内部に配置され、配管の他端は、圧縮機本体に固定されている。このため、配管には、圧縮機本体の振動が伝達され、配管のうちのアキュムレータの内部に配置される部分は、アキュムレータの内部で振動する。さらに、アキュムレータには、配管や取り付け部材を介して、圧縮機本体の振動が伝達される。アキュムレータ(特に、配管)は、モータの回転中心から離れるほど振動しやすい。大型のアキュムレータは、小型のアキュムレータに比較して、モータの回転中心から離れており、振動しやすく、大型のアキュムレータが設けられた圧縮機は、騒音が大きくなるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、騒音を低コストで低減する圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による圧縮機は、冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離するアキュムレータ本体と、前記アキュムレータ本体が格納される空間を形成するアキュムレータ容器と、前記ガス冷媒を圧縮する圧縮機本体とを備えている。前記アキュムレータ容器の外周面には、溶接部が形成されている。前記アキュムレータ容器のうちの前記溶接部が形成された部分の厚さは、前記アキュムレータ容器のうちの前記溶接部が形成されていない他の部分の厚さより大きい。
【発明の効果】
【0007】
開示の圧縮機は、騒音を低コストで低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の圧縮機を示す縦断面図である。
図2図2は、実施例1の圧縮機を示す側面図である。
図3図3は、実施例1の圧縮機を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる圧縮機について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
図1は、実施例1の圧縮機10を示す縦断面図である。実施例1の圧縮機10は、圧縮機本体1と取付脚7とアキュムレータ8とを備えている。圧縮機本体1は、圧縮機筐体2とシャフト3と圧縮部5とモータ部6とを備えている。圧縮機筐体2の内部には、密閉された内部空間21が形成されている。内部空間21は、概ね円柱状に形成されている。圧縮機筐体2は、吐出管23を備えている。吐出管23は、一端が内部空間21の上部に配置されるように、他端が内部空間21の外部に配置されるように、圧縮機筐体2に接合されている。
【0011】
シャフト3は、棒状に形成されている。シャフト3は、円柱状に形成された内部空間21の中心軸に重なる回転軸31に沿うように、内部空間21に配置され、回転軸31を中心軸として回転可能に圧縮機筐体2に支持されている。シャフト3は、第1偏心部32と第2偏心部33とを備えている。第1偏心部32と第2偏心部33とは、内部空間21の下部に配置され、シャフト3に固定されている。すなわち、第1偏心部32と第2偏心部33とは、シャフト3を介して回転軸31を中心に回転可能に圧縮機筐体2に支持されている。
【0012】
圧縮部5は、内部空間21の下部に配置され、シャフト3の第1偏心部32と第2偏心部33とを囲んでいる。圧縮部5は、いわゆるロータリ型の圧縮機構であり、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とを備え、2つの流路221が形成されている。第1環状ピストン51は、第1偏心部32に嵌合し、シャフト3が回転することにより公転する。第2環状ピストン52は、第2偏心部33に嵌合し、シャフト3が回転することにより公転する。圧縮部5は、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とが公転することにより、2つの流路221を介して供給される冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を内部空間21のうちの圧縮部5より上側の空間に供給する。
【0013】
モータ部6は、内部空間21のうちの圧縮部5より上側の空間に配置されている。モータ部6は、ロータ61とステータ62と複数の巻き線63とを備えている。ロータ61は、シャフト3に固定されている。ステータ62は、ロータ61を囲むように、内部空間21に配置され、圧縮機筐体2に固定されている。ステータ62には、ロータ61に向かって突出する複数のティース部が形成されている。複数の巻き線63は、複数のティース部にそれぞれに巻き付けられている。
【0014】
取付脚7は、概ね三角形の板状に形成されている。取付脚7は、圧縮機10が設置される設置面に載置される。取付脚7は、取付脚7が載置される設置面が沿う面が、内部空間21が形成する円柱の中心軸に対して垂直になるように、圧縮機筐体2の下に配置されている。取付脚7は、圧縮機筐体2に固定されている。
【0015】
アキュムレータ8は、アキュムレータ容器71とアキュムレータ本体72とを備えている。アキュムレータ容器71の内部には、内部空間74が形成されている。内部空間74は、概ね円柱状に形成されている。アキュムレータ容器71は、圧縮機10の設置面が沿う平面に対して内部空間74の円柱の中心軸73が垂直になるように、すなわち、内部空間74の中心軸73が圧縮機本体1の中心軸に平行であるように、配置されている。
【0016】
アキュムレータ本体72は、低圧導入管75と2つの低圧連絡管76とを備えている。低圧導入管75は、一端が内部空間74の上部に配置されるように、かつ、他端が内部空間74の外部に配置されるように、アキュムレータ容器71に接合されている。2つの低圧連絡管76の内部には、流路78がそれぞれ形成されている。2つの低圧連絡管76は、流路78の一端が内部空間74の上部に配置されるように、かつ、流路78の他端が内部空間74の外部に配置されるように、アキュムレータ容器71を貫通している。さらに、2つの低圧連絡管76のうちのアキュムレータ容器71を貫通している部分は、アキュムレータ容器71に接合され、アキュムレータ容器71に固定されている。2つの低圧連絡管76のうちの内部空間74に配置される側の上端は、アキュムレータ容器71に固定されておらず、2つの低圧連絡管76に振動が伝達されたときに、振動することがある。さらに、2つの低圧連絡管76の上端は、開放されており、流路78は、2つの低圧連絡管76の上端を介して内部空間74の上部に接続されている。2つの低圧連絡管76のうちの内部空間74の外部に配置される部分は、流路78の他端が圧縮機本体1の流路221にそれぞれ接続されるように、圧縮機筐体2を貫通している。2つの低圧連絡管76のうちの圧縮機筐体2を貫通している部分は、圧縮機筐体2に接合され、圧縮機筐体2に固定されている。
【0017】
図2は、実施例1の圧縮機10を示す側面図である。アキュムレータ容器71は、容器胴部81とトップ部82とボトム部83とを備えている。容器胴部81は、筒状に形成され、上側開口部84と下側開口部85とが形成されている。容器胴部81の内部は、上側開口部84を介して容器胴部81の外部に接続され、下側開口部85を介して容器胴部81の外部に接続されている。トップ部82は、容器胴部81の上側開口部84を閉鎖し、溶接により容器胴部81に接合されている。ボトム部83は、容器胴部81の下側開口部85を閉鎖し、溶接により容器胴部81に接合されている。
【0018】
容器胴部81は、いわゆる電縫管から形成される。電縫管は例えば鋼板などを管状に丸め、その継目を溶接して形成される。本実施例では、鋼板の2つの端(一端である第1部分と他端である第2部分と)が接するように鋼板が管状に成形されて2つの端が接合されることにより形成されている。容器胴部81には、溶接部86が形成されている。溶接部86は、管状に成形された鋼板の2つの端を接合する溶接により形成されている。溶接としては、プラズマ溶接、レーザー溶接が例示される。溶接部86は、外周面87から突出するように形成されている。溶接部86が沿う線分88は、アキュムレータ容器71の中心軸73(図1参照)に平行であり、容器胴部81の上側開口部84と下側開口部85と結んでいる。容器胴部81のうちの溶接部86が形成されている部分は、溶接部86と、溶接部86により溶接される鋼板(母材)とから形成されている。容器胴部81のうちの溶接部86が形成されている部分の厚さは、溶接される前の鋼板の厚さより大きく、容器胴部81のうちの溶接部86が形成されていない部分の厚さより大きい。容器胴部81のうちの溶接部86が形成されている部分は、厚さが大きいことにより、溶接部86を折り曲げようとする力に対して変形し難く、溶接部86を折り曲げようとする力に対する剛性が向上している。
【0019】
アキュムレータ8は、図3に示されているように、予め定められた領域94に溶接部86が配置されるように、配置されている。図3は、実施例1の圧縮機10を示す上面図である。領域94は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機本体1から遠い側の領域であり、第1平面95より圧縮機本体1から遠い側に配置され、かつ、第2平面96より圧縮機本体1から遠い側に配置されている。第1平面95は、アキュムレータ容器71の中心軸73を含み、かつ、第1平面95と第3平面97とがなす角θ1が45度に等しくなるように、配置されている。第3平面97は、アキュムレータ容器71の中心軸73と圧縮機本体1の内部空間21の中心軸とを含み、すなわち、アキュムレータ容器71の中心軸73と圧縮機本体1の回転軸31とを含んでいる。第2平面96は、アキュムレータ容器71の中心軸73を含み、かつ、第2平面96と第3平面97とがなす角θ2が45度に等しくなるように、配置されている。すなわち、第1平面95と第2平面96とは、第1平面95と第2平面96とがなす角θ3が90度に等しくなるように、配置されている。すなわち、第1平面95は、中心軸73を含む平面のうちの領域94の一方の端を含む平面であり、第2平面96は、中心軸73を含む平面のうちの領域94の他方の端を含む平面であり、第1平面95と第2平面96との間の角θ3は、90度である。言い換えると、領域94は、角θ3の範囲内に配置され、溶接部86は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機本体1から遠い側の領域に配置され、角θ3の範囲内に配置されている。
【0020】
圧縮機10は、アキュムレータホルダ91と固定バンド92とラバーシート93とをさらに備えている。アキュムレータホルダ91は、圧縮機筐体2とアキュムレータ8との間の空間に配置され、圧縮機筐体2に固定されている。固定バンド92は、アキュムレータ容器71の容器胴部81を囲むように周方向に掛け渡されている。固定バンド92の両端は、アキュムレータホルダ91に固定されている。ラバーシート93は、アキュムレータ容器71と固定バンド92との間に配置されている。ラバーシート93は、アキュムレータ容器71と固定バンド92とに挟まれ、アキュムレータ容器71と固定バンド92とに密着している。ラバーシート93は、溶接部86が外周面から突出しているときでも、ラバーシート93がアキュムレータ容器71と固定バンド92とに密着するように、弾性変形する。アキュムレータ容器71は、固定バンド92の両端がアキュムレータホルダ91に固定されることにより、圧縮機筐体2に固定されている。
【0021】
[圧縮機10の動作]
圧縮機10は、図示しない冷凍サイクル装置に設けられ、冷凍サイクル装置に冷媒を循環させることに利用される。すなわち、アキュムレータ8の内部空間74には、冷凍サイクル装置のうちのアキュムレータ8の前段の機器から低圧導入管75を介して冷媒が供給される。冷媒は、内部空間74で液冷媒と低圧ガス冷媒とに分離され、液冷媒は、内部空間74の下部に貯留され、低圧ガス冷媒は、内部空間74の上部に貯留される。内部空間74の上部に貯留された低圧ガス冷媒は、2つの低圧連絡管76のうちの内部空間74の上部に配置される一端から流路78に流入し、圧縮機本体1の2つの流路221に供給される。
【0022】
圧縮機本体1のモータ部6のステータ62は、複数の巻き線63に三相電圧が適切に印加されることにより、ステータ62の内側の空間に回転磁界を生成する。ロータ61は、回転磁界が生成されることにより、回転軸31を中心に回転する。モータ部6は、ロータ61が回転軸31を中心に回転することにより、回転軸31を中心にシャフト3を回転させる。第1偏心部32と第2偏心部33とは、シャフト3が回転することにより、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とを公転させる。
【0023】
圧縮部5は、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とが公転することにより、2つの流路221を介してアキュムレータ8から低圧ガス冷媒を吸入し、その吸入された低圧ガス冷媒を圧縮することにより高圧ガス冷媒を生成する。その生成された高圧ガス冷媒は、内部空間21のうちの圧縮部5とモータ部6との間の空間に供給される。内部空間21のうちの圧縮部5とモータ部6との間の空間に供給された高圧ガス冷媒は、モータ部6に形成されている隙間を通過することにより、内部空間21のうちのモータ部6より上の空間に供給される。内部空間21のうちのモータ部6より上の空間に供給された高圧ガス冷媒は、吐出管23を介して冷凍サイクル装置のうちの圧縮機本体1の後段の装置に吐出される。圧縮部5は、冷媒が圧縮されるときに、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とが公転することにより、さらに、振動する。
【0024】
圧縮機筐体2は、圧縮部5が冷媒を圧縮するときに、第1環状ピストン51と第2環状ピストン52とが公転していることにより、振動し、弾性変形する。圧縮機筐体2の振動は、2つの低圧連絡管76の一端が圧縮機筐体2に固定されていることにより、2つの低圧連絡管76に伝達される。2つの低圧連絡管76のうちのアキュムレータ容器71の内部空間74に配置されている部分は、圧縮機筐体2の振動が2つの低圧連絡管76に伝達されることにより、アキュムレータ容器71の内部空間74で振動する。圧縮機筐体2の振動は、さらに、2つの低圧連絡管76がアキュムレータ容器71に固定されていることにより、2つの低圧連絡管76を介してアキュムレータ容器71に伝達される。圧縮機筐体2の振動は、さらに、アキュムレータ容器71がアキュムレータホルダ91と固定バンド92とを介して圧縮機筐体2に固定されていることにより、アキュムレータホルダ91と固定バンド92とを介してアキュムレータ容器71に伝達される。アキュムレータ容器71は、圧縮機筐体2の振動がアキュムレータ容器71に伝達されることにより、振動し、弾性変形する。アキュムレータ容器71は、溶接部86が形成されていることにより、アキュムレータ容器71のうちの溶接部86が形成されている部分の剛性が向上しており、その部分は、変形し難い。アキュムレータ容器71は、溶接部86が形成されている部分が変形し難いことにより、溶接部86が形成されている部分が変形する程度を小さくすることができ、溶接部86が形成されている部分が変形することにより発生する振動が低減する。圧縮機10は、アキュムレータ容器71のうちの溶接部86が形成されている部分が変形することにより発生する振動が低減することにより、その振動により発生する騒音のレベルを低減することができる。
【0025】
[比較例の圧縮機]
比較例の圧縮機は、既述の実施例1の圧縮機10のアキュムレータ容器71の容器胴部81が他の容器胴部に置換され、他の部分は、既述の実施例1の圧縮機10と同じである。その置換された容器胴部は、既述の容器胴部81と同様に、筒状に形成されている。容器胴部は、さらに、外周面から突出する溶接部が形成されておらず、厚さが概ね均一になるように、形成されている。
【0026】
比較例の圧縮機は、既述の実施例1の圧縮機10と同様に動作する。比較例の圧縮機の圧縮機筐体2は、モータ部6がシャフト3を回転させることにより、振動し、弾性変形する。圧縮機筐体2の振動は、2つの低圧連絡管76の一端が圧縮機筐体2に固定されていることにより、2つの低圧連絡管76に伝達される。2つの低圧連絡管76のうちのアキュムレータ容器71の内部空間74に配置されている部分は、圧縮機筐体2の振動が2つの低圧連絡管76に伝達されることにより、アキュムレータ容器71の内部空間74で振動する。2つの低圧連絡管76の振動は、2つの低圧連絡管76がアキュムレータ容器71に固定されていることにより、アキュムレータ容器71に伝達される。圧縮機筐体2の振動は、さらに、アキュムレータ容器71が2つの低圧連絡管76とアキュムレータホルダ91と固定バンド92とを介して圧縮機筐体2に固定されていることにより、アキュムレータ容器71に伝達される。
【0027】
アキュムレータ容器71は、圧縮機筐体2の振動がアキュムレータ容器71に伝達されることにより、振動し、弾性変形する。アキュムレータ容器71の振動は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機本体1から遠い側の領域94の部分が弾性変形することにより発生する振動を含んでいる。その振動の固有振動数は、たとえば、1600Hzに概ね等しい。このとき、比較例の圧縮機のアキュムレータ容器は、圧縮機本体1に対向する側の反対側に向かって、音高がその固有振動数(1600Hz)である騒音を発生させる。
【0028】
実施例1の圧縮機10は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機本体1から遠い側の領域94に溶接部86が形成されていることにより、アキュムレータ容器71のうちの領域94の部分の剛性が向上しており、領域94の部分が変形し難い。実施例1の圧縮機10は、アキュムレータ容器71の領域94の部分が変形し難いことにより、比較例の圧縮機に比較して、領域94の部分が圧縮機本体1の振動により変形する程度を小さくすることができる。実施例1の圧縮機10は、領域94の部分が変形する程度が小さいことにより、領域94の部分が変形することにより発生する振動を低減することができ、領域94の部分から発生する騒音を低減することができる。
【0029】
[実施例1の圧縮機10の効果]
実施例1の圧縮機10は、冷媒を液冷媒とガス冷媒に分離するアキュムレータ本体72と、アキュムレータ本体72が格納される内部空間74を形成するアキュムレータ容器71と、ガス冷媒を圧縮する圧縮機本体1とを備えている。アキュムレータ容器71は、圧縮機本体1に固定されている。アキュムレータ容器71は、筒状に形成される容器胴部81と、容器胴部81の一端を閉鎖するトップ部82と、容器胴部81の他端を閉鎖するボトム部83とを備えている。容器胴部81の外周面87には、溶接による溶接部86が形成されている。容器胴部81のうちの溶接部86が形成された部分は、溶接部86と、溶接部86により溶接される母材とから形成され、容器胴部81のうちの溶接部86が形成された部分の厚さは、容器胴部81のうちの溶接部86が形成されていない他の部分の厚さより大きい。
【0030】
この場合、実施例1の圧縮機10は、容器胴部81に溶接部86が形成されることにより、アキュムレータ容器71の剛性を向上させることができる。圧縮機10は、アキュムレータ容器71の剛性が向上することにより、アキュムレータ容器71を変形し難くすることができる。圧縮機10は、アキュムレータ容器71が変形し難いことにより、圧縮機本体1の振動によりアキュムレータ容器71が変形する程度を小さくすることができ、アキュムレータ容器71を振動し難くすることができる。圧縮機10は、アキュムレータ容器71が振動し難いことにより、アキュムレータ容器71から発生する騒音を低減することができる。板厚が厚い鋼板を用いて形成される電縫管は、板厚が薄い鋼板を用いて形成される電縫管に比較して、剛性が大きいことが知られている。板厚が厚い鋼板は、薄い鋼板に比較して、材料費が大きく、また、板厚が厚い鋼板の曲げ加工は、薄い鋼板の曲げ加工に比較して、コストが大きい。このため、厚さが厚い電縫管は、厚さが薄い電縫管に比較して、コストが大きい。実施例1の圧縮機10は、容器胴部81に溶接部86を形成してアキュムレータ容器71の剛性を向上させることにより、厚さが大きい電縫管を用いて容器胴部81の剛性を向上させることに比較して、アキュムレータ容器71の剛性をより低コストで向上させることができる。
【0031】
また、実施例1の圧縮機10の溶接部86は、容器胴部81の外周面87のうちの容器胴部81の上側開口部84と下側開口部85とを結ぶように形成されている。この場合、実施例1の圧縮機10は、容器胴部81の剛性が向上することにより、圧縮機本体1からアキュムレータ容器71に伝達される振動が容器胴部81を変形させる程度を小さくすることができ、容器胴部81から発生する騒音を低減することができる。
【0032】
また、実施例1の圧縮機10の容器胴部81は、鋼板の2つの端(一端である第1部分と他端である第2部分と)が接するように鋼板が管状に成形されて2つの端が溶接部86により接合されることにより形成されている。この場合、実施例1の圧縮機10は、容器胴部81が形成されるときに形成される溶接部86を用いて容器胴部81の剛性を向上させており、アキュムレータ容器71の剛性を低コストで向上させることができる。
【0033】
また、実施例1の圧縮機10の溶接部86は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機筐体2から遠い側の領域94に形成されている。この場合、実施例1の圧縮機10は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機筐体2から遠い側の領域94の部分の剛性を向上させることができ、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機筐体2から遠い側の部分から発生する騒音を低減することができる。
【実施例0034】
実施例2の圧縮機は、既述の実施例1の圧縮機10の容器胴部81が他の容器胴部に置換されており、他の部分は、既述の実施例1の圧縮機10と同じである。容器胴部は、鋼板のうちの2つの端(第1部分と第2部分と)が径方向に重なり合うように、鋼板が管状に成形され、第1部分と第2部分とが溶接部86により接合されている。このとき、溶接部86は、既述の容器胴部81と同様に、容器胴部の外周面87に沿う線分88に沿って形成されている。容器胴部のうちの溶接部86が形成されている部分の厚さは、第1部分と第2部分とが重なり合っていることにより、容器胴部のうちの溶接部86が形成されていない部分の厚さより大きい。
【0035】
実施例2の圧縮機は、既述の実施例1の圧縮機10と同様に動作する。実施例2の圧縮機の溶接部86は、第1部分と第2部分とが径方向に重なり合っていることにより、既述の実施例1の圧縮機10の溶接部86に比較して、より厚く、剛性がより向上し、より変形し難い。このため、実施例2の圧縮機は、既述の実施例1の圧縮機10に比較して、溶接部86で発生する振動をより低減することができ、その振動により発生する騒音をより低減することができる。
【0036】
ところで、既述の溶接部86は、内部空間74の中心軸73に平行である線分88に沿うように形成されているが、線分88に沿わないように形成されている溶接部に置換されてもよい。その溶接部としては、容器胴部81の外周面に沿う弦巻線(螺旋)に沿うように形成される溶接部が例示される。既述の溶接部86の両端は、容器胴部81の上側開口部84と下側開口部85とに繋がっているが、複数の溶接部は、上側開口部84または下側開口部85に繋がっていなくてもよい。また、溶接部86は、アキュムレータ容器71のうちの圧縮機本体1から遠い側の領域94に配置されているが、アキュムレータ容器71のうちの領域94と異なる領域に配置されてもよい。既述のアキュムレータ容器71には、1つの溶接部86が形成されているが、溶接部86と異なる他の溶接部がさらに形成されていてもよい。このような場合でも、圧縮機は、溶接部が設けられていることにより、アキュムレータ容器71の剛性を低コストで向上させ、アキュムレータ容器71の振動による騒音を低コストで低減することができる。
【0037】
ところで、既述のアキュムレータ容器71は、容器胴部81とトップ部82とボトム部83との3ピースから形成されているが、2ピース以下のピースから形成されてもよく、4ピース以上のピースから形成されていてもよい。このような場合でも、圧縮機は、アキュムレータ容器71に溶接部86が設けられていることにより、アキュムレータ容器71の剛性を低コストで向上させ、アキュムレータ容器71の振動による騒音を低コストで低減することができる。
【0038】
ところで、既述の圧縮機本体1は、2シリンダ型のロータリ圧縮機から形成されているが、2シリンダ型と異なる他の型のロータリ圧縮機から形成されてもよい。他の型のロータリ圧縮機としては、1つのシリンダを備える1シリンダ型のロータリ圧縮機が例示される。また、既述の圧縮機本体1は、ロータリ型の圧縮機構から形成されているが、ロータリ型と異なる他の型の圧縮機構から形成されてもよい。他の型の圧縮機構としては、スクロール型の圧縮機構が例示される。このような場合でも、圧縮機は、アキュムレータ容器71に溶接部86が設けられていることにより、アキュムレータ容器71の剛性を低コストで向上させ、アキュムレータ容器71の振動による騒音を低コストで低減することができる。
【0039】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10:圧縮機
1 :圧縮機本体
2 :圧縮機筐体
8 :アキュムレータ
71:アキュムレータ容器
72:アキュムレータ本体
81:容器胴部
82:トップ部
83:ボトム部
86:溶接部
図1
図2
図3