(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021600
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20230207BHJP
E06B 1/16 20060101ALI20230207BHJP
E06B 3/263 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
E06B1/18 R
E06B1/16
E06B3/263 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126561
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA01
2E014BA08
2E014BB00
2E014BB01
2E014BB02
2E014BD06
(57)【要約】
【課題】耐火強度及び耐風圧性能を高めつつ、断熱性能及び防露性能を向上させることができる建具を提供すること。
【解決手段】建具1の上枠21は、枠体2の外周側に配置される金属製の外周側金属製上枠材25と、外周側金属製上枠材25の内周側に配置される樹脂製の内周側樹脂製上枠材26と、を有し、室外側金属製形材251は、金属中空部251a,251bを有するホロー構造の形材で形成され、内周側樹脂製上枠材26は、樹脂中空部261,262を有するホロー構造の形材で形成され、室外側下方突出レール211と室内側下方突出レール212との間において、室外側金属製形材251の下面に沿って配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠を有する枠体と、
前記枠体内の室外側に配置される外障子と、
前記枠体内の室内側に配置される内障子と、を備え、
前記上枠は、前記枠体の外周側に配置される金属製の外周側金属製上枠材と、前記枠体の内周側において前記外周側金属製上枠材の内周側に配置される樹脂製の内周側樹脂製上枠材と、を有し、
前記外周側金属製上枠材は、室外側において下方に突出して形成され前記外障子の上端部をガイドする室外側下方突出レールと、室内側において下方に突出して形成され前記内障子の上端部をガイドする室内側下方突出レールと、を有し、
前記外周側金属製上枠材は、金属中空部を有するホロー構造の形材で形成され、
前記内周側樹脂製上枠材は、樹脂中空部を有するホロー構造の形材で形成され、前記室外側下方突出レールと前記室内側下方突出レールとの間において、前記外周側金属製上枠材の下面に沿って配置される、建具。
【請求項2】
前記外周側金属製上枠材は、室外側に配置される室外側金属製形材と、室内側に配置される室内側金属製形材と、前記室外側金属製形材と前記室内側金属製形材との間に配置されるブリッジ材と、を有する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記内周側樹脂製上枠材は、前記室外側金属製形材の下面における少なくとも前記ブリッジ材よりも室外側の部分を覆うように配置される、請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記内周側樹脂製上枠材は、前記樹脂中空部を複数有する、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
複数の前記樹脂中空部のうちの少なくとも2つの樹脂中空部は、上下方向に積層して配置される、請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記外周側金属製上枠材と前記内周側樹脂製上枠材との間には、隙間が設けられる、請求項1~5のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上枠を有する枠体と、枠体内の室外側に配置される外障子と、枠体内の室内側に配置される内障子と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の上枠は、枠体の外周側に配置される金属製形材と、枠体の内周側に配置される樹脂製形材と、を備える。金属製形材は、中空部を有するホロー構造の形材で形成される。これにより、上枠の外周側に配置される金属製形材が中空部を有することにより、火災時の耐火強度や耐風圧性能を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上枠の外周側に配置される金属製形材が中空部を有する場合には、その影響により、上枠の金属製形材の外部に露出される表面積が大きくなる。これにより、上枠の金属製形材において、冷気が接触する面積が大きくなるため、断熱性能や防露性能の低下の虞れがある。従って、耐火強度及び耐風圧性能を高めつつ、断熱性能及び防露性能を向上させることが求められている。
【0005】
本開示は、耐火強度及び耐風圧性能を高めつつ、断熱性能及び防露性能を向上させることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上枠を有する枠体と、前記枠体内の室外側に配置される外障子と、前記枠体内の室内側に配置される内障子と、を備え、前記上枠は、前記枠体の外周側に配置される金属製の外周側金属製上枠材と、前記枠体の内周側において前記外周側金属製上枠材の内周側に配置される樹脂製の内周側樹脂製上枠材と、を有し、前記外周側金属製上枠材は、室外側において下方に突出して形成され前記外障子の上端部をガイドする室外側下方突出レールと、室内側において下方に突出して形成され前記内障子の上端部をガイドする室内側下方突出レールと、を有し、前記外周側金属製上枠材は、金属中空部を有するホロー構造の形材で形成され、前記内周側樹脂製上枠材は、樹脂中空部を有するホロー構造の形材で形成され、前記室外側下方突出レールと前記室内側下方突出レールとの間において、前記外周側金属製上枠材の下面に沿って配置される、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の引き違い窓を室内側から見た正面図である。
【
図4】第1実施形態の上枠の構造を示す拡大断面図である。
【
図5】第2実施形態の上枠の構造を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態の建具を構成する引き違い窓1について説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0009】
引き違い窓1は、
図1~
図3に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される外障子3と、室内側X2に配置される内障子4との2枚の障子、及び外障子3の室外側X1に配置される1枚の網戸51をそれぞれ納めることによって構成される。外障子3及び内障子4は、枠体2内を見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能である。
【0010】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって四周を囲む周状に構成される。
図2に示すように、上枠21には、室外側レール211(室外側下方突出レール)及び室内側レール212(室内側下方突出レール)が設けられる。上枠21は、室外側レール211の室外側X1に、網戸レール213を有する。室外側レール211は、上枠21の室外側X1において上枠21から下方に突出して形成され、外障子3の上端部をガイドする。室内側レール212は、上枠21の室内側X2において上枠21から下方に突出して形成され、内障子4の上端部をガイドする。
【0011】
下枠22には、室外側レール221及び室内側レール222が設けられる。下枠22は、室外側レール221の室外側X1に、網戸レール223を有する。
【0012】
網戸51は、上枠21及び下枠22の網戸レール213,223に左右方向に移動可能に係合している。
【0013】
図1~
図3に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、3枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の室外側レール211,221に左右方向に移動可能に係合している。外障子3の下框32には、下枠22の室外側レール221上を転動する戸車36が設けられる。
【0014】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44を矩形に框組した框体40の内側に、3枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の室内側レール212,222に左右方向に移動可能に係合している。内障子4の下框42には、下枠22の室内側レール222上を転動する戸車46が設けられる。
【0015】
図2及び
図3に示すように、外障子3の上框31、下框32、縦框33及び外召し合わせ框34は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0016】
枠体2の構成についてさらに詳述する。
図2に示すように、上枠21は、金属製の外周側金属製上枠材25と、樹脂製の内周側レール間樹脂カバー26(内周側樹脂製上枠材)と、樹脂製の内周側室内側樹脂カバー27と、を有する。外周側金属製上枠材25は、枠体2の外周側に配置される。内周側レール間樹脂カバー26及び内周側室内側樹脂カバー27は、枠体2の内周側において外周側金属製上枠材25の内周側に配置される。上枠21は、外周側金属製上枠材25の内側表面に、内周側レール間樹脂カバー26及び内周側室内側樹脂カバー27を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0017】
図4に示すように、外周側金属製上枠材25は、室外側X1に配置される室外側金属製形材251と、室内側X2に配置される室内側金属製形材255と、室外側金属製形材251と室内側金属製形材255との間に配置されるブリッジ材257と、を有する。外周側金属製上枠材25は、室外側レール211と室内側レール212との間で、室外側金属製形材251と室内側金属製形材255とに分割されている。室外側金属製形材251と室内側金属製形材255とは、ブリッジ材257によって連結されている。ブリッジ材257は、樹脂製の連結材である。ブリッジ材257によって、室外側金属製形材251と室内側金属製形材255との間での熱伝導が遮断されるため、優れた断熱性能を得ることができる。
【0018】
室外側金属製形材251は、2つの金属中空部251a,251bを有する金属製のホロー構造の形材で形成される。室外側金属製形材251は、2つの金属中空部251a,251bを有する室外側金属形材本体部252と、室外側レール211と、網戸レール213と、上方延出板253と、を有する。
【0019】
室外側金属形材本体部252において、2つの金属中空部251a,251bは、室内外方向に並んで配置される。金属中空部251aは、室外側X1に配置される。金属中空部251bは、室内側X2に配置される。室外側金属形材本体部252の室内側X2の端部の下端の側面には、ブリッジ材257の室外側X1の部分が嵌合して配置される。
【0020】
上方延出板253は、室外側金属形材本体部252の室内側X2の端部の上面から上方に突出する。上方延出板253は、建物躯体(図示せず)に固定される。網戸レール213は、室外側金属形材本体部252の室外側X1の端部の下面から下方に突出する。室外側レール211は、室外側金属形材本体部252の室外側X1において網戸レール213よりも室内側X2の下面から下方に突出する。
【0021】
室内側金属製形材255は、中空部を有さないソリッド状の部材により形成される。室内側金属製形材255は、室内外方向に延びる室内側金属形材本体部256と、室内側レール212と、を有する。室内側金属形材本体部256の上端の室外側X1の端部の側面には、ブリッジ材257の室内側X2の部分が嵌合して配置される。室内側レール212は、室内側金属形材本体部256の室外側X1の端部から下方に突出する。
【0022】
内周側レール間樹脂カバー26は、室外側レール211と室内側レール212との間において、室外側金属製形材251の下面に沿って配置される。内周側レール間樹脂カバー26は、室外側金属製形材251の下面における少なくともブリッジ材257よりも室外側X1の部分を覆うように配置される。内周側レール間樹脂カバー26は、上枠21が延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0023】
内周側レール間樹脂カバー26は、室外側金属製形材251の下面(内側表面)から僅かに離れた下方に配置される。内周側レール間樹脂カバー26と外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251の下面(内側表面)との間には隙間Sが設けられている。隙間Sを設けることで、空気層が形成されるため、断熱性能及び防露性能を向上できる。
【0024】
内周側レール間樹脂カバー26は、上下方向に幅を有し、室内外方向に延びる。内周側レール間樹脂カバー26は、室内外方向に並んで配置される2つの樹脂中空部261,262を有するホロー構造に樹脂製の形材で形成される。内周側レール間樹脂カバー26は、室内外方向に延びて配置される上面板263と、上面板263の下方に上面板263から離れて上面板263に平行に室内外方向に延びて配置される下面板264と、上面板263と下面板264とを接続する3枚の縦板265と、を有する。
【0025】
上面板263と下面板264とは、室内外方向の長さが略同じ長さで室内外方向に延びる。3枚の縦板265は、それぞれ、上面板263と下面板264とをつなぐ縦板状に形成される。3枚の縦板265は、それぞれ、室内外方向に厚みを有する板材により形成され、上下方向に延びると共に上枠21が延びる方向に延びる。
【0026】
3枚の縦板265は、室内外方向に離れて並んで配置される。3枚の縦板265は、上面板263と下面板264との間の空間を、室内外方向に並ぶ2つの樹脂中空部261,262に区切る。樹脂中空部261は、室外側X1に配置され、樹脂中空部262は、室内側X2に配置される。
【0027】
上面板263の室内外方向の両端部263aは、それぞれ、室内外方向の外側に突出して形成される。上面板263の室内外方向の両端部263aは、内周側レール間樹脂カバー26と外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251の内側表面との間に隙間Sを開けた状態で、外周側金属製上枠材25の内周側に係止される。
【0028】
内周側室内側樹脂カバー27は、上枠21における室内側レール212の室内側X2の部分を含んで構成され、室内側レール212の室内側X2の面から外周側金属製上枠材25の内側表面にかけて設けられている。内周側室内側樹脂カバー27は、上枠21が延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0029】
内周側室内側樹脂カバー27は、中空部を有さないソリッド状の部材により形成される。内周側室内側樹脂カバー27は、下方側及び室内側X2が開放する断面視略L字状に形成される。室内側樹脂カバー材27は、外周側金属製上枠材25の室内側端部25aよりも室内側X2に突出するアングル部271を有する。内周側室内側樹脂カバー27は、上枠21の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0030】
以上のように上枠21を構成することで、外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251の金属中空部251a,251bにより耐火強度及び耐風圧性能を高めつつ、内周側レール間樹脂カバー26に樹脂中空部261,262を設けることで、断熱性能及び防露性能を向上させることができる。よって、上枠21において、断熱性能及び防露性能を向上させることと、耐火強度及び耐風圧性能を向上させることとを両立させることができる。
【0031】
図2に示すように、下枠22は、枠体本体である金属枠体224の内側表面に、樹脂カバー材226,227を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体224は、室外側レール221と室内側レール222との間で、室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242とに分割されている。室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242は、ブリッジ材2243によって連結されている。ブリッジ材2243は、樹脂製の連結材である。
【0032】
樹脂カバー材226は、下枠22における室外側レール221と室内側レール222との間に配置される。詳しくは、樹脂カバー材226は、ブリッジ材2243よりも室外側X1の室外側金属枠体2241の内側表面に配置される。樹脂カバー材227は、下枠22における室内側レール222よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材226,227は、下枠22の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0033】
図3に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦枠23は、枠体本体である金属枠体231の内側表面に、樹脂カバー材232を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材232は、縦枠23の内側表面において、閉状態の外障子3よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材232は、金属枠体231の室内側端部231aよりも室内側X2に突出するアングル部2321を有する。樹脂カバー材232は、縦枠23の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0034】
図3に示すように、内障子4の戸先側に配置される縦枠24は、枠体本体である金属枠体241の内側表面に、樹脂カバー材242を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材242は、縦枠24の内側表面において、閉状態の内障子4よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材242は、金属枠体241の室内側端部241aよりも室内側X2に突出するアングル部2421を有する。樹脂カバー材242は、縦枠24の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0035】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の引き違い窓1は、上枠21を有する枠体2を備え、上枠21は、枠体2の外周側に配置される金属製の外周側金属製上枠材25と、枠体2の内周側において外周側金属製上枠材25の内周側に配置される樹脂製の内周側レール間樹脂カバー26と、を有し、室外側金属製形材251は、金属中空部251a,251bを有するホロー構造の形材で形成され、内周側レール間樹脂カバー26は、樹脂中空部261,262を有するホロー構造の形材で形成され、室外側レール211と室内側レール212との間において、室外側金属製形材251の下面に沿って配置される。
【0036】
これにより、外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251の金属中空部251a,251bにより耐火強度及び耐風圧性能を高めつつ、内周側レール間樹脂カバー26の樹脂中空部261,262を設けることで、断熱性能及び防露性能を向上させることができる。よって、上枠21において、断熱性能及び防露性能を向上させることと、耐火強度及び耐風圧性能を向上させることとを両立させることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、外周側金属製上枠材25は、室外側X1に配置される室外側金属製形材251と、室内側X2に配置される室内側金属製形材255と、室外側金属製形材251と室内側金属製形材255との間に配置されるブリッジ材257と、を有する。これにより、ブリッジ材257によって、室外側金属製形材251と室内側金属製形材255との間での熱伝導が遮断されるため、優れた断熱性能を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態においては、内周側レール間樹脂カバー26は、室外側金属製形材251の下面における少なくともブリッジ材257よりも室外側X1の部分を覆うように配置される。これにより、ブリッジ材257よりも室外側X1の部分において断熱性能及び防露性能を向上させることで、上枠21の断熱性能及び防露性能を一層向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態においては、内周側レール間樹脂カバー26は、樹脂中空部261,262を複数有する。これにより、複数の樹脂中空部261,262により空気層を増やすことができるため、断熱性能及び防露性能を一層向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251と内周側レール間樹脂カバー26との間には、隙間Sが設けられる。これにより、隙間Sにより空気層が形成されるため、断熱性能及び防露性能を一層向上させることができる。なお、本実施形態においては、隙間Sの大きさを僅かな大きさとしたが、隙間Sの大きさは限定されない。隙間Sが大きい場合には、断熱性能及び防露性能をより一層向上させることができる。一方、隙間Sを大きくすると上枠21の大きさが大きくなる。そのため、隙間Sの大きさは、例えば、断熱性能及び防露性能と上枠21の大きさとを考慮して設定されることが好ましい。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、第2実施形態の内周側レール間樹脂カバー26Aは、第1実施形態の内周側レール間樹脂カバー26と比べて、樹脂中空部の数が異なる。
【0043】
第2実施形態の内周側レール間樹脂カバー26Aは、室外側X1の上側に形成される上側室外側樹脂中空部261a(樹脂中空部)と、室外側X1の下側に形成される下側室外側樹脂中空部261b(樹脂中空部)と、室内側X2の上側に形成される上側室内側樹脂中空部262a(樹脂中空部)と、室内側X2の下側に形成される下側室内側樹脂中空部262b(樹脂中空部)と、を有するホロー構造に構成される。
【0044】
第2実施形態においては、第1実施形態の内周側レール間樹脂カバー26の室内外方向に並んで配置される2つの樹脂中空部261,262を、上下方向に厚みを有すると共に室内外方向に延びる横板材266により上下に区切ることで構成される。これにより、内周側レール間樹脂カバー26Aには、4つの樹脂中空部261a,261b,262a,262bを形成できる。横板材266により、内周側レール間樹脂カバー26Aにおいて、室外側X1において2つの樹脂中空部261a、261bを上下方向に積層して配置することができ、室内側X2において2つの樹脂中空部262a、262bを上下方向に積層して配置することができる。
【0045】
第2実施形態においては、室外側X1において2つの樹脂中空部261a、261bが、上下方向に積層して配置され、室内側X2において2つの樹脂中空部262a、262bが、上下方向に積層して配置される。これにより、上下方向に2層の空気層が積層されるため、上枠21の上下方向における断熱性能及び防露性能を向上できる。よって、内周側レール間樹脂カバー26Aの上側に配置される金属製の外周側金属製上枠材25の室外側金属製形材251側から伝達される熱に対する断熱性能及び防露性能を一層向上させることができる。
【0046】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0047】
前記第1実施形態においては、内周側レール間樹脂カバー26(内周側樹脂製上枠材)において、2つの樹脂中空部261,262を設けた。また、前記第2実施形態においては、内周側レール間樹脂カバー26A(内周側樹脂製上枠材)において、4つの樹脂中空部261a,261b,262a,262bを設けた。しかし、樹脂中空部の数は限定されない。樹脂中空部は、1つ、3つ又は5つ以上でもよい。
【0048】
また、前記第2実施形態においては、4つの樹脂中空部261a,261b,262a,262bについて、上下方向に2層に積層した樹脂中空部を室内外方向に2列に並べて配置したが、これに限定されない。上下方向に積層する樹脂中空部の積層数や室内外方向に並べる樹脂中空部の列数を、任意の数に設定できる。また、複数の樹脂中空部を、室内外方向に並べて配置せずに、上下方向に複数積層する構成のみとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 引き違い窓(建具)、2 枠体、21 上枠、3 外障子(障子)、4 内障子(障子)、25 外周側金属製上枠材、26 内周側レール間樹脂カバー(内周側樹脂製上枠材)、211 室外側レール(室外側下方突出レール)、212 室内側レール(室内側下方突出レール)、251 室外側金属製形材、251a,251b 金属中空部 255、室内側金属製形材と、257 ブリッジ材、261,262 樹脂中空部、S 隙間