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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021899
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0225 20210101AFI20230207BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20230207BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H01S5/0225
H01S5/183
H01S5/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011845
(22)【出願日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2021126644
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC00
5F173MC12
5F173MD07
5F173MD37
5F173MD45
5F173MD64
5F173ME02
5F173ME22
5F173MF03
5F173MF25
5F173MF28
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】放熱性が優れた光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置は、支持面を有する基板と、支持面の上に設けられた、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子であって、第1発光素子および第2発光素子のそれぞれは、垂直共振器面発光レーザ素子である、複数の発光素子と、支持面に対向する光入射面と、複数の発光素子から出射された光を、光入射面から入射させ、それぞれ、導波させる複数の光導波路と、を有する平面光波回路と、を備える。平面光波回路は、複数の発光素子によって直接または間接的に支持されている。基板は、第1発光素子と第2発光素子とに電気的に接続される第1配線層を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面を有する基板と、
前記支持面の上に設けられた、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子であって、前記第1発光素子および前記第2発光素子のそれぞれは、垂直共振器面発光レーザ素子である、複数の発光素子と、
前記支持面に対向する光入射面と、前記複数の発光素子から出射された光を、前記光入射面から入射させ、それぞれ、導波させる複数の光導波路と、を有する平面光波回路と、を備え、
前記平面光波回路は、前記複数の発光素子によって直接または間接的に支持されており、
前記基板は、前記第1発光素子と前記第2発光素子とに電気的に接続される第1配線層を有する、光源装置。
【請求項2】
前記第1発光素子は、p側電極およびn側電極を有し、
前記基板は、前記p側電極または前記n側電極の少なくとも一方に電気的に接合され、かつ、熱的に接触する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1発光素子と前記平面光波回路との間に位置し、前記第1発光素子から出射された第1光を集光させるように構成された第1光学部材と、
前記第2発光素子と前記平面光波回路との間に位置し、前記第2発光素子から出射された第2光を集光させるように構成された第2光学部材と、
を備える、請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の光導波路は、前記第1光を第1光入射領域から入射させ、第1光出射端から出射する第1光導波路と、前記第2光を第2光入射領域から入射させ、第2光出射端から出射する第2光導波路とを含み、
前記第1光学部材は、前記第1発光素子と前記第1光入射領域とに接合され、
前記第2光学部材は、前記第2発光素子と前記第2光入射領域とに接合される、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記支持面の法線方向から見る上面視において、前記平面光波回路の重心が前記複数の発光素子の中心を結んで形成される幾何図形の範囲内に位置する、請求項3または4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、第3発光素子をさらに含み、
前記第3発光素子は、垂直共振器面発光レーザ素子であり、かつ、前記第1配線層に電気的に接続され、
前記複数の光導波路は、前記第3発光素子から出射された第3光を第3光入射領域から入射させ、第3光出射端から出射する第3光導波路をさらに含む、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1光、前記第2光および前記第3光は、青色、緑色、赤色および赤外から選択される互いにピーク波長が異なる光である、請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1光、前記第2光および前記第3光のうち少なくとも2つは、ピーク波長が同じ光である、請求項6に記載の光源装置。
【請求項9】
前記支持面の法線方向から見る上面視において、前記平面光波回路の重心が、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記第3発光素子の中心を結んで形成される三角形の内側に位置する、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記支持面に接合され、前記平面光波回路を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持面の法線方向から見る上面視において、前記平面光波回路の重心が、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記支持部材の中心を結んで形成される三角形の内側に位置する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記支持部材は導電性を有し、かつ、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記第3発光素子のうち少なくとも1つと、前記第1配線層とを電気的に接続する、請求項7乃至9を引用するときの請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記平面光波回路は、前記支持部材に電気的に接続される第2配線層を前記光入射面に有し、
前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記第3発光素子のうち少なくとも1つは、前記支持面に接合する下面と、前記下面の反対側に位置するp側電極およびn側電極とを有し、
前記p側電極およびn側電極は、前記第2配線層と前記支持部材とを介して前記第1配線層に電気的に接続されている、請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記複数の光導波路にそれぞれ対応する複数の光出射端のうちの2つの出射端の中心間距離は、前記2つの出射端に対応する2つの光入射領域の中心間距離よりも短い、請求項4に記載の光源装置。
【請求項14】
前記第1発光素子は、それぞれが前記第1光を出射する複数のエミッタが含まれる光出射面を有し、
前記第2発光素子は、それぞれが前記第2光を出射する複数のエミッタが含まれる光出射面を有し、
前記第1光学部材は、前記第1発光素子の前記複数のエミッタから出射される前記第1光を集光するように構成された第1光学アレイを含み、
前記第2光学部材は、前記第2発光素子の前記複数のエミッタから出射される前記第2光を集光するように構成された第2光学アレイを含む、請求項4に記載の光源装置。
【請求項15】
前記第1光入射領域は複数の第1入射部分を含み、
前記第2光入射領域は複数の第2入射部分を含み、
前記第1光出射端は複数の第1出射部分を含み、
前記第2光出射端は複数の第2出射部分を含み、
前記第1光導波路は、前記複数の第1入射部分と前記複数の第1出射部分とをそれぞれ結合する複数の第1光導波路部分を含み、
前記第2光導波路は、前記複数の第2入射部分と前記複数の第2出射部分とをそれぞれ結合する複数の第2光導波路部分を含み、
前記第1光学アレイを透過し、前記複数の第1入射部分に入射した前記第1光は、それぞれ、前記複数の第1光導波路部分を伝搬し、前記複数の第1出射部分から出射され、
前記第2光学アレイを透過し、前記複数の第2入射部分に入射した前記第2光は、それぞれ、前記複数の第2光導波路部分を伝搬し、前記複数の第2出射部分から出射される、請求項14に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器面発光レーザ素子を備える光モジュールが様々な用途において開発されている。特許文献1は、光導波路に波長多重の光信号を入出力することが可能な、光通信に用いる光モジュールを開示している。当該光モジュールは、光導波路上に配置された複数の垂直共振器面発光レーザ素子を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-106006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、放熱性が優れた光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光源装置は、非限定的で例示的な実施形態において、支持面を有する基板と、前記支持面の上に設けられた、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子であって、前記第1発光素子および前記第2発光素子のそれぞれは、垂直共振器面発光レーザ素子である、複数の発光素子と、前記支持面に対向する光入射面と、前記複数の発光素子から出射された光を、前記光入射面から入射させ、それぞれ、導波させる複数の光導波路と、を有する平面光波回路と、を備える。前記平面光波回路は、前記複数の発光素子によって直接または間接的に支持されている。前記基板は、前記第1発光素子と前記第2発光素子とに電気的に接続される第1配線層を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態によれば、放熱性が優れた光源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の分解斜視図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置のYZ平面に平行な断面図である。
図3A図3Aは、垂直共振器面発光レーザ素子の構成例を模式的に示すYZ平面に平行な断面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示す構成の上面図である。
図4図4は、光学部材の構造例を模式的に示す図である。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の他の構造例を示すYZ平面に平行な断面図である。
図6図6は、-Y方向から見たときの平面光波回路の光入射面を模式的に示す図である。
図7図7は、+Z方向から見たときの平面光波回路の光出射面を模式的に示す図である。
図8図8は、+Y方向から見るときの、3個の垂直共振器面発光レーザ素子で支持される平面光波回路の平面図である。
図9図9は、+Y方向から見るときの、4個の垂直共振器面発光レーザ素子で支持される平面光波回路の平面図である。
図10図10は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の更なる他の構造例を示すYZ平面に平行な断面図である。
図11図11は、複数のエミッタを有する垂直共振器面発光レーザ素子、および光学アレイを含む光学部材の分解斜視図である。
図12図12は、-Y方向から見たときの平面光波回路の他の構造例を示す平面図である。
図13図13は、基板の支持面に設けられる第1配線層のパターン例を模式的に示す図である。
図14図14は、側壁部の外側にマーカが設けられた光源装置の上面図である。
図15図15は、PLCの光入射面に設けられる第2配線層のパターン例を模式的に示す図である。
図16図16は、基板の支持面に設けられる第1配線層のパターン例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による光源装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。また、以下に説明する様々な態様は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の光源装置における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、数学的に厳密な意味の多角形に限定されず、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含む。また、多角形の隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に多角形と呼ぶ。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、“多角形”に含まれる。
【0012】
本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれの要素を区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に“第1”、“第2”などの序数詞を付記することがある。これらの序数詞は、付加する対象を区別するためのラベルに過ぎない。これらの個数や、順序、順番などに特別の意味はない。例えば、特許請求の範囲に記載された請求項1において、“第1発光素子”の用語が使用され、“第2発光素子”の用語が使用されていない場合、請求項1に係る発明は、1個の発光素子を備えていればよく、その発光素子は、明細書中の“第1発光素子”に限定されず、“第2発光素子”であり得る。
【0013】
図1および図2を参照して、本実施形態に係る光源装置100の構成例を説明する。添付図面には、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸が示されている。図1は、光源装置100の分解斜視図である。図2は、光源装置100のYZ平面に平行な断面図である。
【0014】
本実施形態に係る光源装置100は、基板10と、複数の発光素子20と、複数の光学部材30と、平面光波回路40と、側壁部50と、蓋部材60とを備える。ただし、後述するように、複数の光学部材30は必須ではない。光源装置100は、サブマウントを備えていてもよい。また、製品仕様または要求仕様に応じて、光源装置100は、ツェナーダイオードに代表される保護素子および/またはサーミスタなどの内部温度を測定するための温度センサを備え得る。さらに、光源装置100は、発光素子20から出射されるレーザ光の強度をモニタするための、フォトダイオードなどの受光素子を備え得る。
【0015】
図1および図2に示される例における光源装置100は、3個の発光素子20を含む。3個の発光素子20は、第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cを含み、青色、緑色、赤色および赤外から選択される互いにピーク波長が異なる光を出射し得る。または、3個の発光素子20のうちの少なくとも2つは、ピーク波長が同じ光を出射してもよい。本実施形態における3個の発光素子20は、青色、緑色および赤色から選択される互いにピーク波長が異なる光を出射する。ただし、発光素子の個数は3個に限定されず、2個以上であり得る。
【0016】
複数の発光素子20から基板10の支持面10Aの法線方向に出射された光は、平面光波回路40に入射して平面光波回路40に設けられた光導波路を伝搬し、支持面10Aに平行な方向(+Z方向)に出射される。平面光波回路40から側方に出射された光は、少なくとも一部が透光性を有する側壁部50の透光性を有する領域を透過して外部に出射される。本実施形態における発光素子20は垂直共振器面発光レーザ素子である。複数の垂直共振器面発光レーザ素子と平面光波回路とを組み合わせることにより、複数の垂直共振器面発光レーザ素子間の発光点の中心間距離よりも平面光波回路から出射されるときの発光点の中心間距離を近くすることができ、複数の発光点をレンズ80の光軸81(図6を参照)の近くに配置することが可能になる。その結果、集光性が優れた光源装置を提供することができる。
【0017】
図1に例示されるように、基板10の支持面10Aの法線方向において、光源装置100は四角形である。ただし、光源装置の形状はこれに限定されない。図1および図2において、支持面10Aの法線方向はY方向に一致している。以下の説明において、「上面視」は、支持面10Aの法線方向、すなわち+Y方向から見る上面視を意味する。例えば、光源装置100のX方向におけるサイズは1.0mm~30.0mm程度であり、Z方向におけるサイズは1.0mm~30.0mm程度である。Y方向における光源装置100の厚さは1.0mm~6.0mm程度であり得る。
【0018】
(基板10)
本実施形態における基板10は板状の部材である。基板10は、発光素子20を直接または間接的に支持する支持面10A、および、支持面10Aと反対側に位置する下面10Bを有する。基板10の支持面10Aに、発光素子20、側壁部50などの他の部材との接合のために金などの金属膜が形成され得る。基板10は、セラミック、金属、ガラス、シリコン、樹脂などを主材料として形成することができる。基板10は、発光素子20を直接または間接的に支持しており、発光素子20で発生した熱を放熱することができる。放熱性を向上させるために、基板10は、AlNや金属などの熱伝導率が高い材料から形成されることが好ましい。
【0019】
基板10は、発光素子20に電気的に接続される導体配線層および外部接続電極を有する。導体配線層および外部接続電極は、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、金、銀、白金、チタン、銅、アルミニウム、ルテニウムなどの金属材料から形成され得る。
【0020】
本実施形態における基板10は、3個の発光素子20に電気的に接合される第1配線層13を含む導体配線層を有する。基板10の支持面10Aおよび基板10の内部のそれぞれに導体配線層が設けられ、基板10の下面10Bに外部接続電極11および外部接続電極12が設けられ得る。支持面10Aに設けられた第1配線層13と、下面10Bに設けられた外部接続電極11および外部接続電極12とは、基板10の内部に設けられた導体配線層を介して電気的に接続されている。
【0021】
外部接続電極11は、発光素子20が有するp側電極面またはn側電極面の一方に電気的に接続される。外部接続電極12は、発光素子20が有するp側電極面またはn側電極面の他方に電気的に接続される。例えば、発光素子20を駆動するための外部電源または外部の駆動回路を、外部接続電極11および外部接続電極12を介して発光素子20に電気的に接続することが可能である。外部接続電極11および外部接続電極12は、図2に例示されるように下面10Bに設けられる必要はなく、例えば、上面視における基板10のサイズを側壁部50の外縁よりも大きくし、支持面10Aの側壁部50の外縁よりも外側に位置する領域に外部接続電極11および外部接続電極12が設けられていてもよい。
【0022】
図2に例示される光源装置100において、外部接続電極12に接続される第1配線層13は、外部接続電極11に接続される第1配線層13の外縁の一部または全部を囲うように基板10の支持面10Aに設けられ得る。このような配置により、発光素子20のp側電極面およびn側電極面と、第1配線層13との接合面積が増えるために、放熱性および接合強度が向上し得る。なお、第1配線層13のパターン例については後に詳しく説明する。
【0023】
図1に例示される基板10の、X方向およびZ方向のそれぞれにおけるサイズは、例えば0.5mm~30.0mm程度であり、Y方向における厚さは、例えば0.2mm~1.0mm程度である。X方向およびZ方向のそれぞれにおける側壁部50のサイズは、基板10のX方向およびZ方向のそれぞれにおけるサイズと同様であり、Y方向における厚さは、例えば0.9mm~3.8mm程度である。
【0024】
(発光素子20)
本実施形態における発光素子20は垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)である。以下、垂直共振器面発光レーザ素子をVCSEL素子と記載する。VCSEL素子は、端面発光レーザに比べ、より円形のビーム形状が得られる点、または低消費電力で駆動できる点において優れている。なお、光源装置100は、VCSEL素子の代わりに、端面発光レーザ素子を備えていてもよいし、LED(Light Emitting Diode)を備えていてもよい。本開示における「発光素子」は、光を+Y方向に向けて出射できるものであればよく、VCSEL素子に加えて、これらのレーザ素子およびLEDを含む。
【0025】
図3Aおよび図3Bを参照して、発光素子の構造例を説明する。ただし、以下で説明する構造例は一例であり、本実施形態における発光素子20が備え得る構造はこれに限定されない。
【0026】
図3Aは、発光素子の構成例を模式的に示すYZ平面に平行な断面図である。図3Bは,図3Aに示す構成の上面図である。図示される例における発光素子20は、半導体基板201と、n側反射膜202と、n型半導体層203と、活性層204と、p型半導体層205と、p側反射膜206とをこの順に積層した積層構造を備える。p型およびn型の導電型は逆の関係であってもよい。半導体基板201は除去されていてもよい。
【0027】
n型半導体層203は平板部およびそこから+Y方向に突出する凸部を有する。n型半導体層203の凸部の上面には活性層204が設けられており、活性層204の上面にはp型半導体層205が設けられている。p型半導体層205の上面のうち、周縁領域以外の領域にp側反射膜206が設けられている。発光素子20は、n型半導体層203のうち、平板部の上面および凸部の側面を覆う絶縁層207を備える。ただし、n型半導体層203の平板部の上面の一部は、絶縁層207で覆われず、露出している。発光素子20は、p型半導体層205に電気的に接続されるp側電極208p、およびn型半導体層203が露出している部分に電気的に接続されるn側電極208nを備える。
【0028】
図3Bに例示されるように、上面視において、p側反射膜206、絶縁層207、p側電極208p、およびn側電極208nが露出している。p側電極208pは、上面視において、p側反射膜206を囲むリング形状の部分と、当該リング形状の部分から+Z方向に沿って延びる直線部分とを含む。n側電極208nは、上面視において、p側電極208pのリング形状の部分およびp側反射膜206を囲むC型形状の部分と、当該C型形状の部分から-Z方向に沿って延びる直線部分とを含む。p側電極208pおよびn側電極208nが電極対208を構成する。ただし、図示される例に限定されず、積層構造において、n側電極208nは、活性層204を基準にしてp側電極208pとは反対側に設けられ得る。
【0029】
n側反射膜202およびp側反射膜206はそれぞれ、例えばDBR(Distributed Bragg Reflector)から形成され得る。
【0030】
図3Bに例示されるように、上面視における発光素子20の外形は略正方形であるが、これに限定されず、例えば長方形または多角形、円形であり得る。XZ平面における発光素子20のサイズは、エミッタの数により異なり得る。X方向およびZ方向のそれぞれにおけるサイズは、例えば0.15mm~2.0mm程度であり、Y方向におけるサイズ(厚さ)は、例えば0.02mm~0.2mm程度である。
【0031】
赤色の光を出射するVCSEL素子は、例えば、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、およびAlGaAs系の半導体材料からなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。そのようなVCSEL素子の一例として、半導体基板201はn型GaAsから形成され、n側反射膜202およびp側反射膜206の積層構造は、それぞれ、組成比が異なるn型およびp型AlGaAsから形成され得る。n型半導体層203およびp型半導体層205は、それぞれ、n型およびp型AlGaInPから形成され、活性層204はGaInPから形成され得る。
【0032】
緑または青色の光を出射するVCSEL素子は、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNからなる群から選択される少なくとも1つの半導体材料から形成され得る。そのようなVCSEL素子の一例として、半導体基板201はGaNから形成され得る。n側反射膜202の積層構造はAlInNおよびGaNから形成され、p側反射膜206の積層構造はSiOおよびNbなどの誘電体材料から形成され得る。n型半導体層203およびp型半導体層205は、それぞれ、n型およびp型GaNから形成され、活性層204はInGaNから形成され得る。
【0033】
p側電極208pおよびn側電極208nから、活性層204に電流注入することによって活性層204では反転分布が生じ、所望の発振波長で誘導放出による光の増幅、すなわちレーザ発振が生じる。
【0034】
本実施形態において、光源装置100が備える複数の発光素子20は、第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cを含む。第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cは、それぞれ、VCSEL素子であり、青色、緑色および赤色から選択される互いにピーク波長が異なる光を出射する。
【0035】
本明細書において、青色の光は、発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光である。緑色の光は、発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光である。赤色の光は、発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光である。
【0036】
第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cは、基板10の支持面10Aの上に配置される。それぞれの発光素子20は、p側電極208pおよびn側電極208nを含む電極対208を有する。p側電極208pまたはn側電極208nの少なくとも一方は、支持面10Aに設けられた第1配線層13に電気的に接合される。このように、基板10は、p側電極208pまたはn側電極208nの少なくとも一方に電気的に接合され、かつ、熱的に接触し得る。これにより、放熱性を向上させることができる。ただし、放熱性をさらに向上させる観点から、複数の発光素子20は、基板10と同様に導体配線層が設けられたサブマウントを介して支持面10A上に配置されてもよい。
【0037】
図2に示される光源装置100の例において、第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cは、図3Bに例示される電極対208が支持面10Aの側を向くように、図3Aに示す、電極対208が+Y方向に向いた状態から上下を反転させた状態で基板10上に配置されている。電極対208は、発光素子20の光出射面21と反対側に位置する。電極対208は、基板10の第1配線層13に電気的に接続され、かつ、基板10に熱的に接触している。このような配置は、例えば、緑または青色の光を出射する発光素子20に適用され得る。ただし、赤色の光を出射する発光素子20に適用してもよい。また、第1発光素子20a、第2発光素子20bおよび第3発光素子20cは、電極対208が平面光波回路40の側を向くように、図3Aに例示される、電極対208が+Y方向に向いた状態で基板10上に配置され得る。この場合、電極対208は、発光素子20の光出射面21と同じ側に位置する。このような配置は、例えば赤色の光を出射する発光素子20に適用され得る。ただし、緑または青色の光を出射する発光素子20に適用してもよい。
【0038】
発光素子20aは、光出射面21から上方に(すなわちY方向に)第1光を出射する。発光素子20bは、光出射面21から上方に第2光を出射する。発光素子20cは、光出射面21から上方に第3光を出射する。第1光、第2光および第3光の例は、それぞれ、赤色の光、緑色の光および青色の光である。
【0039】
(光学部材30)
各光学部材30は、光を集光するレンズ部31、およびレンズ部31を保持するための保持部32を有する。レンズ部31は、両凸レンズ、平凸レンズなど球面レンズ、非球面レンズを1つ以上含み得る。光学部材30は、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、またはプラスチックからなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。レンズ部31と保持部32は、同じ材料から一体的に形成されていてもよいし、異なる材料から個々に形成されていてもよい。個々に形成される場合、保持部32は、金属やセラミックなどの材料から形成されていてもよい。
【0040】
図4は、光学部材30の構造例を模式的に示す図である。詳細は後述するが、図4には、YZ平面に平行な光学部材30の断面が示されている。図4に例示される光学部材30は、レンズ部31と保持部32とが一体的に形成された構造を備える。ただし、レンズ部31と保持部32とは、個別の部材であってもよい。この場合、レンズ部31の端面にスペーサーを付けて保持部32としてもよいし、レンズ部31を筒状の保持部32内に配置してもよい。図4に例示される光学部材30の全体は、略直方体の形状を有するが、これに限定されない。例えば、X方向およびZ方向のそれぞれにおける光学部材30のサイズは、0.2mm~1.0mm程度であり、Y方向における厚さ(高さ)は0.2mm~1.0mm程度である。
【0041】
光源装置100は、複数の発光素子20にそれぞれ対応した複数の光学部材30を備え得る。図2に示される光源装置100の例において、複数の光学部材30は、発光素子20a、発光素子20bおよび発光素子20cにそれぞれ対応した第1光学部材30a、第2光学部材30bおよび第3光学部材30cを含む。以下、第1光学部材30a、第2光学部材30bおよび第3光学部材30cを、それぞれ、光学部材30a、光学部材30bおよび光学部材30cと記載する。
【0042】
光学部材30aは、発光素子20aと平面光波回路40との間に位置し、発光素子20aから出射された第1光を、後述する平面光波回路40の光入射面に集光するように構成される。同様に、光学部材30bは、発光素子20bと平面光波回路40との間に位置し、発光素子20bから出射された第2光を平面光波回路40の光入射面に集光するように構成される。光学部材30cは、発光素子20cと平面光波回路40との間に位置し、発光素子20cから出射された第3光を平面光波回路40の光入射面に集光するように構成される。各光学部材30は、その焦点が、対応する発光素子20の発光点に一致するように配置される。
【0043】
光学部材30を採用することにより、後述する平面光波回路40に設けられた光導波路への光の結合効率を向上させることができる。ただし、光学部材30は必須ではない。例えば、発光点が基板よりもPLCの方に近いVCSEL素子を用いる場合、出射光が広がる前にPLCに入射させることができるため、光学部材30は必須ではない。図5に、3個の発光素子20のうちの発光素子20aに対応する光学部材30aが存在しない光源装置100の構造例が示されている。このように、光学部材30の数は発光素子20の数に一致しなくてもよい。
【0044】
(平面光波回路40)
図6は、-Y方向から見たときの平面光波回路40の光入射面42sを模式的に示す図である。図7は、+Z方向から見たときの平面光波回路40の光出射面42tを模式的に示す図である。
【0045】
図6および図7に例示される平面光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)40は、基板41と、基板41の表面に形成されたアンダークラッド層42aと、アンダークラッド層42a上に設けられる複数の導波路コア44と、複数の導波路コア44を覆うオーバークラッド層42bとを備える。以下の説明において、平面光波回路を「PLC」と記載する。アンダークラッド層42aとオーバークラッド層42bとを総称して「クラッド層42」と記載する。
【0046】
アンダークラッド層42aおよびオーバークラッド層42bのそれぞれの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下の範囲にある。導波路コア44の高さ(厚さ)および横幅は、それぞれ、例えば、約1μm以上10μm以下の範囲にある。図7に示す例において、個々の導波路コア44の、導波方向に垂直な断面は、矩形であるが、円形または楕円形であってもよい。導波路コア44のサイズは、シングルモードで導波がなされる場合よりも、マルチモードで導波がなされる場合の方が大きい。本実施形態では、シングルモードで導波がなされるように導波路コア44のサイズが選択される。例えば、光の波長が455nmであるとき、導波路コア44の高さおよび横幅は、いずれも、1μm以上3μm以下であり得る。
【0047】
基板41、導波路コア44、クラッド層42は、例えば、シリコンもしくは石英などの無機材料、またはプラスチックもしくは樹脂などの有機材料から形成され得る。基板が無機材料から形成されている場合、導波路コアおよびクラッド層も無機材料から形成され、基板が樹脂材料から形成されている場合、導波路コアおよびクラッド層も樹脂材料から形成され得る。
【0048】
PLC40は、支持面10Aに対向する光入射側の表面に光入射面42sを有する。光入射面42sには、複数の光入射領域43が設けられている。PLC40は、光入射面42sに入射した光が出射される光出射面42tを有する。光出射面42tには、複数の光出射端45が設けられている。PLC40の製造において、アンダークラッド層42a上に設けた複数の導波路コア44をオーバークラッド層42bで覆った後のオーバークラッド層42bの表面は、凹凸を有しているために、その表面を研磨することが好ましい。
【0049】
図6に例示されるPLC40の外形は略正方形であるが、これに限定されず、例えば長方形であり得る。XZ平面における基板10(図1を参照)のサイズは、XZ平面におけるPLC40のサイズよりも大きい。例えば、基板10とPLC40とのサイズの差は、X方向およびZ方向のそれぞれにて0.4mm~2.0mm程度であり得る。X方向およびZ方向のそれぞれにおけるPLC40のサイズは、例えば0.1mm~10.0mm程度である。Y方向における側壁部50の厚さ(図2を参照)は、Y方向におけるPLC40の厚さよりも大きい。例えば、側壁部50とPLC40との厚さの差は、0.5mm~2.3mm程度であり得る。Y方向におけるPLC40の厚さは、例えば0.4mm~1.5mm程度である。
【0050】
PLC40は、複数の発光素子20から出射された光を、光入射面42sから入射させ、それぞれ、導波させる複数の光導波路46を有する。各光導波路46の構成は、特に限定されず、光導波路として機能するための任意の構成が採用され得る。
【0051】
導波路コア44は周囲の屈折率よりも高い屈折率を有する材料から形成されており、光閉じ込め効果を発揮することができる。複数の光導波路46のそれぞれから出射された光は、所定の角度で拡がりながら、それぞれ、図6に示される破線の方向に進行する。
【0052】
本実施形態において、複数の光入射領域43は、第1、第2および第3光入射領域43a~43cを含む。複数の光出射端45は、第1、第2および第3光出射端45a~45cを含む。複数の光導波路46は、第1、第2および第3光導波路46a~46cを含む。第1光導波路46aは、発光素子20aから出射された第1光を第1光入射領域43aから入射させ、第1光出射端45aから支持面10Aに平行な方向に出射する。第2光導波路46bは、発光素子20bから出射された第2光を第2光入射領域43bから入射させ、第2光出射端45bから支持面10Aに平行な方向に出射する。第3光導波路46cは、発光素子20cから出射された第3光を第3光入射領域43cから入射させ、第3光出射端45cから支持面10Aに平行な方向に出射する。本実施形態では、第1~3光を、それぞれ、第1、第2および第3光入射領域43a~43cに対し、垂直に入射させているが、垂直に入射させなくてもよい。
【0053】
図6または7に示される例において、光入射面42sは、図2に示される支持面10Aに略平行な平面である。光出射面42tはPLC40の側面に位置する。光出射面42tは、平面視において、後述する側壁部の内面に平行に直線状に延びている。ただし、光出射面42tは、側壁部の内面に対し、傾斜していてもよい。
【0054】
光入射面42sおよび/または光出射面42tに反射防止膜が設けられていてもよい。反射防止膜の例は、誘電体膜である。誘電体膜の屈折率を調整することにより、光学薄膜における光の干渉によって反射率を制御することが可能となり、その結果、反射防止効果が得られる。誘電体材料の例は、例えば、TiO、Ta、Al、SiO、またはMgFである。また、前述した、発光素子20の光出射面21、レンズ部31の光入射側および光出射側のレンズ面の少なくとも1つの面に反射防止膜が設けられていてもよい。
【0055】
PLC40は、複数の発光素子20によって直接または間接的に支持され得る。図2に例示される光源装置100において、PLC40は、光学部材30を介して発光素子20によって支持されている。光学部材30aは、発光素子20aと第1光入射領域43aとに接合される。光学部材30bは、発光素子20bと第2光入射領域43bとに接合される。光学部材30cは、発光素子20cと第3光入射領域43cとに接合される。このような構成によれば、光学部材30a、光学部材30bおよび光学部材30cにより、第1光導波路46aへの第1光の結合効率、第2光導波路46bへの第2光の結合効率および第3光導波路46cへの第3光の結合効率が、それぞれ、向上し得る。
【0056】
複数の発光素子20によって直接または間接的にPLC40を支持する場合、発光素子20および/または光学部材30の高さのばらつきに起因して、発光素子20または光学部材30と、PLC40との間に隙間が生じることが起こり得る。しかし、一般に、VCSEL素子の開口数(NA)は、端面発光レーザのNAよりも小さい。例えば、VCSEL素子のNAは、0.1~0.3程度であり、一方で端面発光レーザのNAは、0.25~0.7程度である。そのため、本実施形態のようにVCSEL素子を利用することによって、発光素子20または光学部材30と、PLC40との間に隙間が生じても、これにより受ける影響を小さくすることが可能となり、PLC40の光入射領域43に、発光素子20から出射される光を効率よく入射させることができる。
【0057】
再び図4を参照する。発光素子20と光学部材30との接合、および、光学部材30とPLC40との接合は、例えば接着剤を用いて行い得る。この場合、光学部材30の入射側のレンズ面31aおよび出射側のレンズ面31bには、接着剤から形成された接着層が存在しないことが好ましい。言い換えると、光学部材30の保持部32の端面32eに接着剤を設け、発光素子20と光学部材30とを接合し、光学部材30とPLC40とを接合することが好ましい。あるいは、光学部材30の入射側のレンズ面31aおよび出射側のレンズ面31bの少なくとも一方にそのような接着層が存在する場合には、接着剤の屈折率は、接合する2つの部材の屈折率の中間の値を有することが好ましい。この屈折率の関係によって、レーザ光の光路上に接着層が位置する場合であっても、その影響を低減することができる。また、光学部材30が存在しない場合における発光素子20とPLC40との接合も、接着剤を用いて行い得る。接着剤の例は、紫外線硬化性樹脂のような光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または無機接着剤である。これらの他にも、金錫、はんだ合金などの金属を用いてもよい。
【0058】
3つの光出射端45のうちの2つの光出射端45の中心間距離は、2つの光出射端45に対応する2つの光入射領域43の中心間距離よりも短い。例えば、第1光出射端45aと第2光出射端45bとの中心間距離は、第1光入射領域43aと第2光入射領域43bとの中心間距離よりも短い。第1光出射端45a、第2光出射端45bおよび第3光出射端45cのうちの隣り合う光出射端45の中心間距離は、PLC40の光出射面42tにおける隣り合う発光点の中心間距離に相当する。発光点の中心間距離は、例えば2μm以上200μm以下の範囲にあり得、好ましくは2μm以上100μm以下の範囲にあり得る。各発光点の中心間距離を短くすることができるため、RGB各色の発光素子を用いた場合、各発光素子から出射された光を合波し、白色光を得ることが容易となる。
【0059】
このように構成されたPLC40と、複数の発光素子20とを組み合わせることで、PLC40の光出射面42tにおける発光点の中心間距離を、素子サイズおよび実装時の余裕度によって決まる複数の発光素子20の中心間距離として可能な下限(例えば250μm)よりも小さくすることができる。光出射面42tにおける発光点の中心間距離を小さくすると、複数の発光点をレンズの光軸の近くに配置することが可能となり、レンズを小型化できる。また、それぞれの発光点から出射される光を制御するための光学系のアライメント調整が容易になるという利点が得られる。例えば、コリメートするために複数のレンズを用いる必要が無く、図6に例示する単一のレンズによるコリメートが可能になる。
【0060】
PLC40は、1または複数のミラー面Mを有し得る。ミラー面Mは、例えば、スリット49をPLC40のクラッド層42に設けることで形成され得る。スリット49は、PLC40のクラッド層42に切り込みを入れることなどによって形成され得る。クラッド層42とスリット49の空気層との界面が、屈折率の違いによって光を反射するミラー面Mとして機能する。また、PLC40がシリコンで形成される場合、スリット49には、酸化シリコンを埋め込んでもよい。本実施形態におけるPLC40は、3個の発光素子20a~20cにそれぞれ対応した3個のミラー面Mを有する。ミラー面Mは、各発光素子20から支持面10Aの法線方向に出射された光を、支持面10Aに平行な方向(+Z方向)に反射し、導波路コア44に結合する。
【0061】
VCSEL素子の共振器長Lは比較的短いために、縦モード間隔Δλが大きい。ここで、縦モード間隔Δλは、屈折率nの波長分散を考慮した下記の式1で示される。したがって、縦モードの数は1本になり易く、VCSEL素子は、縦モードシングルで発振することが可能である。
[式1]
Δλ=λ/[2nL(1-(dn/dλ)・(λ/n))]
【0062】
PLC40のミラー面Mとして、スリット49の代わりに回折格子を用いてもよい。前述したように、VCSEL素子は、縦モードシングルで発振することが可能であるために、回折格子との相性がよい。また、回折格子を用いる場合、回折角は波長に依存するために、発光素子20として波長幅の狭いVCSEL素子を利用することが好ましい。
【0063】
図8は、+Y方向から見るときの、3個の発光素子20で支持されるPLC40の平面図である。図8には、説明の便宜上、PLC40の下方に配置された3個の発光素子20が破線で示されている。3個の発光素子20a~20cの中心を結んで形成される三角形が一点鎖線で示されている。
【0064】
本実施形態におけるPLC40の重心40gは、複数の発光素子20の中心を結んで形成される幾何図形の範囲内に位置し得る。PLC40の重心40gと、複数の発光素子20の中心を結んで形成される幾何図形の重心との距離は、例えば1mm以内の範囲にあり得る。図8に例示されるPLC40の重心40gは、3個の発光素子20a~20cの中心を結んで形成される三角形の内側に位置し、その三角形の重心に一致している。このような配置によれば、PLCを実装するときの安定性が向上し得る。
【0065】
図9は、+Y方向から見るときの、4個の発光素子20で支持されるPLC40の平面図である。図9には、説明の便宜上、PLC40の下方に配置された4個の発光素子20が破線で示されている。本実形態における複数の発光素子20は、さらに、第4発光素子20d(以下、「発光素子20d」と記載する。)を備え得る。図9に例示される4個の発光素子20a~20dは、それぞれ、青色、緑色、赤色および赤外から選択される互いにピーク波長が異なる光を出射する。図9には、これらの発光素子20の中心を結んで形成される四角形が一点鎖線で示されている。PLC40の重心40gは四角形の内側に位置し、四角形の重心に一致している。PLC40を4点で支持する配置によっても、PLC40を実装するときの安定性が向上し得る。
【0066】
本実施形態における光源装置によると、基板に発光素子を接合することで放熱性を向上させることができ、さらに、PLCと発光素子とを組み合わせることで、複数の発光点をレンズの光軸の近くに配置することが可能となり、集光性を向上させることができる。このことは、光源装置の小型化に寄与し得る。これにより、放熱性および集光性の両方に優れた光源装置が実現され得る。また、PLCを支持する発光素子を基板に接合する場合に、接合の安定性が求められる。本実施形態によると、例えば、複数の発光素子の中心を結んで形成される形状の重心にPLCの重心を一致させることで、接合の安定性が向上し得る。
【0067】
本実施形態における光源装置は、1または複数の支持部材をさらに備え得る。以下に説明する光源装置101は、複数の発光素子20のうちの一部が支持部材に置換されている点において、光源装置100と異なる。
【0068】
図10は、光源装置101のYZ平面に平行な断面図である。図10に例示される光源装置101は、2個の発光素子20a、20b、および1個の支持部材70を備える。ただし、発光素子20および支持部材70の個数はこれに限定されない。
【0069】
図8は、+Y方向から見るときの光源装置101におけるPLC40の平面図でもある。図10から分かるように、光源装置101は、光源装置100において第3発光素子20cを支持部材70に置換した構造を有している。図8に示される例におけるPLC40の重心40gは、上面視において、発光素子20a、20bおよび支持部材70の中心を結んで形成される三角形の内側に位置し、その三角形の重心に一致している。
【0070】
光源装置が例えば2個の発光素子20を備える場合、支持部材70を用いることにより、3個の発光素子20を用いる場合と同様なPLC40を実装するときの安定性を維持できる。また、2個の支持部材70を用いることによっても、PLC40を実装するときの安定性を向上させることができる。そのような光源装置は、図9に例示される構成において、例えば、4個の発光素子20のうちの2個を支持部材70で置換した構造に対応する。
【0071】
支持部材70は、例えば、四角柱または円柱の部材であり、金属、シリコン、ガラス、セラミック、または上述した基板10と同じ材料から形成されることが好ましく、発光素子20の線膨張係数に近い、線膨張係数を有する材料から形成されることがより好ましい。その材料の例は、AlN、SiC、GaN、Al、Siなどである。支持部材70の材料がセラミックである場合、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramic:低温同時焼成セラミックス)を用いてもよい。
【0072】
ある実施形態において、光源装置は、分岐された光導波路46の一部と光学的に結合し、かつ、発光素子から出射される光の一部を入射させることで強度を検出できる受光素子(例えばフォトダイオード)を備え得る。受光素子は、PLCを支持する部材としても機能し得る。受光素子が支持部材を兼ねることで、PLCの安定性を維持しつつ、発光素子から出射される光の出力をモニタすることが可能となる。
【0073】
図10に例示される光源装置101において、PLC40は、支持部材70に電気的に接続される第2配線層15を光入射面42sに有する。支持部材70は、導電性を有し、発光素子20aと、第1配線層13とを電気的に接続する。発光素子20aは、支持面10Aに接合する下面22と、下面22の反対側に位置するp側電極およびn側電極を含む電極対208とを有する。光出射面21と電極対208とは同じ側に位置している。p側電極およびn側電極は、光学部材30aに含まれる保持部を導電性の材料から形成すること、または保持部に導電インクなどで配線を形成することにより、第2配線層15に電気的に接合され、第2配線層15と支持部材70とを介して第1配線層13に電気的に接続される。p側電極、n側電極および第2配線層15は、発光素子20から出射される光の波長に対して透光性を有する材料から形成されていてもよい。当該材料として、例えば、ITO、IZO、IFO、SnO、ZnOなどを母材とする透明導電材料を用いることができる。p側電極、n側電極および第2配線層15は、光が透過しない部分に形成されていることがより好ましい。例えば、導電インクや、金、白金、ルテニウム、ニッケル、チタンなどの材料によって形成されていてもよい。
【0074】
導電性を有する支持部材70は、例えば、内部導体と、内部導体を被覆する絶縁体と、絶縁体を被覆する外部導体とを有し得る。図10に示される例において、内部導体は、第1配線層13を介して外部接続電極11に電気的に接続され、外部導体は、第1配線層13を介して外部接続電極12に電気的に接続されている。p側電極およびn側電極が、光出射面21と同じ側に位置する場合に、このような導体構造を有する1つの支持部材70を用いることにより、例えば、p側電極を支持部材70の内部導体を介して外部接続電極11に電気的に接続し、n側電極を支持部材70の外部導体を介して外部接続電極12に電気的に接続することが可能になる。この例に限定されず、p側電極と外部接続電極11とを電気的に接続するための支持部材70に加え、n側電極と外部接続電極12とを電気的に接続するための更なる支持部材70を用いてもよい。導電性を有する支持部材70を用いることにより、従来のワイヤーボンディングが不要になり、配線作業が容易になり得る。
【0075】
光源装置101が発光素子20cをさらに備える場合、支持部材70は、3個の発光素子20a~20cのうち少なくとも1つと、第1配線層13とを電気的に接続し得る。例えば、RGBの発光素子20a~20cのうちの、光出射面21と電極対208とが同じ側に位置し得る、赤色の光を出射する発光素子20aを、支持部材70を用いて外部接続電極11および12に電気的に接続することができる。
【0076】
(側壁部50)
再び図2を参照する。側壁部50は、複数の発光素子20を囲うように設けられ、支持面10Aの周縁領域に接合されている。側壁部50は、上面50a、下面50bおよび内壁面50cを有する。内壁面50cは、発光素子20を囲い、発光素子20が収容される空間Vを規定する。側壁部50の下面50bが基板10の支持面10Aに接合されている。接合は、無機材料または有機材料から形成される接合部を介して実現され得る。接合部の材料として、例えば、金錫、はんだ合金などの金属、金ペースト、銀ペーストなどの金属ペーストを用いることができる。ただし、青色または緑色の光を発するVCSEL素子を用いる場合、光密度が高いため、有機物を集塵しやすい。このため、有機材料の使用は避けることが好ましい。
【0077】
側壁部50は、支持面10Aにおいて、複数の発光素子20から出射されるレーザ光を横切る位置に配置されており、レーザ光を透過する。側壁部50のうちの少なくともレーザ光が透過する部分は、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍光体を含有するガラス、透明セラミック材料などの材料から形成され得る。側壁部50のうちのレーザ光が透過しない部分は、例えば、シリコン、ガラス、セラミック、または上述した基板10と同じ材料から形成されていてもよい。また側壁部50の少なくとも一部は、基板10と一体的に成形されていてもよい。また側壁部50は、集光レンズ、コリメートレンズとしての機能を有していてもよい。
【0078】
(蓋部材60)
図示される蓋部材60は、板状の部材であり、複数の発光素子20を収容する空間Vを封止するキャップとして機能する。空間Vは気密封止されることが好ましい。本明細書において気密封止とは、空間Vにおいて外気との対流が遮断されている程度に封止されていることを意味する。気密封止することで、空間Vに配置された部材が実質的に劣化しなくなる。さらに、集塵の影響を抑制することができる。蓋部材60は、例えば、上述した側壁部50と同じ材料から形成され得る。また蓋部材60の少なくとも一部は、側壁部50と一体的に成形されていてもよい。
【0079】
本実施形態における光源装置100または101は、PLC40の光出射面42tから支持面10Aに平行な方向に出射された光を上方(Y方向)に反射する反射面を有する反射部材を備え得る。反射部材は、金属またはガラスなどの材料から形成され、反射面には反射膜が設けられていてもよい。反射部材は、直接的または間接的に支持面10Aの上に設けられる。反射面で反射された光は蓋部材60を透過して外部に出射することができる。蓋部材60のうちの少なくともレーザ光が透過する部分は、上述した側壁部50のレーザ光が透過する部分と同じ材料から形成され得る。また蓋部材60は、集光レンズ、コリメートレンズとしての機能を有していてもよい。
【0080】
図11および図12を参照して、本実施形態による光源装置100の変形例を説明する。変形例による光源装置は、複数のエミッタを有する発光素子20-1、光学アレイを含む光学部材30-1、および各光導波路が複数の光導波路部分を含むPLC40-1を備える。
【0081】
図11は、複数のエミッタを有する発光素子20-1および光学アレイを含む光学部材30-1の分解斜視図である。図12は、-Y方向(光入射面42s)から見たときの平面光波回路40-1の平面図である。
【0082】
図11に示される例において、発光素子20-1aは、それぞれが第1光を出射する複数のエミッタ20eを含む光出射面21を有する。同様に、発光素子20-1bは、それぞれが第2光を出射する複数のエミッタ20eを含む光出射面21を有する。光出射面21は、1行4列に並んだ4個のエミッタ20eを含む。ただし、エミッタ20eの配置および数はこれに限定されない。光出射面21は、m行n列に並んだm×n個(m、nは2以上の整数)のエミッタ20eを含み得る。光学部材30-1aは、発光素子20-1aの4個のエミッタ20eから出射される第1光を集光するように構成された第1光学アレイ33aを含む。同様に、光学部材30-1bは、発光素子20-1bの4個のエミッタ20eから出射される第2光を集光するように構成された第2光学アレイ33bを含む。第1光学アレイ33aおよび第2光学アレイ33bは、それぞれのエミッタ20eに対応した、1行4列に並んだ4個のレンズを有する。ただし、レンズの数はエミッタ20eの数と同数ではなくてもよい。例えば、4つのエミッタ20eから出射された光を、1つのレンズで集光してもよい。
【0083】
図12に示される例において、第1光入射領域43aは4個の第1入射部分43a-1~43a-4を含み、第2光入射領域43bは4個の第2入射部分43b-1~43b-4を含む。第1光出射端45aは4個の第1出射部分45a-1~45a-4を含み、第2光出射端45bは4個の第2出射部分45b-1~45b-4を含む。第1光導波路46aは、4個の第1入射部分43a-1~43a-4と、4個の第1出射部分45a-1~45a-4とをそれぞれ結合する4個の第1光導波路部分46a-1~46a-4を含む。第2光導波路46bは、4個の第2入射部分43b-1~43b-4と4個の第2出射部分45b-1~45b-4とをそれぞれ結合する4個の第2光導波路部分46b-1~46b-4を含む。
【0084】
第1光学アレイ33aを透過し、4個の第1入射部分43a-1~43a-4に入射した第1光は、それぞれ、ミラー面で反射され、4個の第1光導波路部分46a-1~46a-4を伝搬し、4個の第1出射部分45a-1~45a-4から出射される。第2光学アレイ33bを透過し、4個の第2入射部分43b-1~43b-4に入射した第2光は、それぞれ、ミラー面で反射され、4個の第2光導波路部分46b-1~46b-4を伝搬し、4個の第2出射部分45b-1~45b-4から出射される。
【0085】
本変形例によれば、複数のエミッタの数に等しい複数の光出力端を設けることで、例えば、光源装置をディスプレイに用いる場合に、画素の解像度を維持することが可能となる。
【0086】
最後に、図13図16を参照して、基板10の支持面10Aに設けられる第1配線層13、および、PLC40の光入射面42sに設けられる第2配線層15のそれぞれのパターン例を説明する。
【0087】
図13は、基板10の支持面10Aに設けられる第1配線層13のパターン例を示す図である。図13には、図3Bに例示される電極対208が支持面10Aの側を向くように、発光素子20を基板10上に配置する場合における第1配線層13のパターン例を示している。第1配線層13は、電極対208のp側電極208pに電気的に接続されるp側配線領域13p、および、電極対208のn側電極208nに電気的に接続されるn側配線領域13nを含む。この例では、n側配線領域13nは、p側配線領域13pの外縁の一部を囲うように支持面10Aに設けられている。基板10の上面には支持面10Aを囲むように周縁領域10Cが設けられている。図2に例示されるように、側壁部50の下面50bは、周縁領域10Cに接合される。
【0088】
第1配線層13の形状は、電極対208の形状に従って決定され得る。図13に例示される第1配線層13は、図3Bに例示される電極対208に対応する形状を有している。ただし、図13に示される第1配線層13の形状、角度(例えばp側配線領域13pが延びる方向)および位置は例示に過ぎず、適宜変更され得る。
【0089】
図13に例示される基板10の上面にはマーカ19が設けられている。具体的には、マーカ19は、上面視においてPLC40の光出射端45(図7を参照)の近傍の支持面10A上に設けられている。マーカ19は、PLC40から出射されるレーザ光の出射位置を特定する。なお、マーカ19の形状、大きさは任意である。光源装置の製造時において、マーカ19を基準として、第1配線層13に発光素子20が接合された基板10にPLC40を実装することが可能となる。このように、マーカ19は光源装置の製造時に有用である。さらに、上面視において、PLC40の光出射端45の近傍にマーカ19を設けておくことによって、PLC40からレーザ光が出射される位置を特定し易くなる。
【0090】
図14は、側壁部50の外側にマーカ19が設けられた光源装置102の上面図である。図14に例示される光源装置102は、XZ平面内の蓋部材60のサイズよりも大きいサイズを有する基板10を備える。上面視において、基板10の上面のうち、側壁部50の外側に位置する外側領域10Dに、レーザ光が出射される出射位置を特定するマーカ19が設けられている。この例によれば、光源装置を例えば他の基板に二次実装する場合にマーカ19を基準とした位置合わせが容易になり得る。この例においてもマーカ19の形状、大きさは任意である。
【0091】
図15は、PLC40の光入射面42sに設けられる第2配線層15のパターン例を示す図である。図16は、基板10の支持面10Aに設けられる第1配線層13のパターン例を示す図である。図15および図16には、図3Bに例示される電極対208がPLC40の光入射面42sの側を向くように、発光素子20を基板10上に配置する場合における第2配線層15および第1配線層13のパターン例をそれぞれ示している。第2配線層15は、電極対208のp側電極208pに電気的に接続されるp側配線領域15p、および、電極対208のn側電極208nに電気的に接続されるn側配線領域15nを含む。第1配線層13と同様に、第2配線層15の形状は、電極対208の形状に従って決定され得る。図15に例示される第2配線層15は、図3Bに例示される電極対208に対応する形状を有している。ただし、図15に示される第2配線層15の形状、角度(例えばp側配線領域15pが延びる方向)および位置は例示に過ぎず、適宜変更され得る。
【0092】
p側配線領域15pは、発光素子20から出射される光が入射する位置に、光入射領域43を規定する開口を含む。図15に例示される第2配線層15のパターンでは、そのパターンの中央に光入射領域43が位置している。ただし、光入射領域43の位置は中央に限定されない。
【0093】
光入射面42sには、電極パッド16aおよび電極パッド16bがさらに設けられている。p側配線領域15pは電極パッド16aに電気的に接続され、n側配線領域15nは電極パッド16bに電気的に接続されている。図15に示される例において、電極パッド16bは、電極パッド16aを反時計回りに90°回転させた位置に存在するが、電極パッド16aに対する電極パッド16bの相対位置は任意である。
【0094】
図16に例示される第1配線層13のパターンは、3個の電極パッド13e、13fおよび13gを含む。ただし、このパターンは例示に過ぎず、第1配線層13のパターンの形状、大きさ、および位置は任意である。基板10側の電極パッド13eは、導電性を有する支持部材70を介してPLC40側の電極パッド16aに電気的に接続される。基板10側の電極パッド13fは、導電性を有する支持部材70を介してPLC40側の電極パッド16bに電気的に接続される。このような配線接続によって、発光素子20の電極対208のp側電極208pを、第2配線層15のp側配線領域15p、電極パッド16a、支持部材70、基板10側の電極パッド13e、および外部接続電極11(図2を参照)にこの順番で導通させることができる。電極対208のn側電極208nを、第2配線層15のn側配線領域15n、電極パッド16b、支持部材70、基板10側の電極パッド13f、および外部接続電極12(図2を参照)にこの順番で導通させることができる。第1配線層13の電極パッド13gは、発光素子20を支持面10Aに接合する接合領域として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示の光源装置は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、ディスプレイ、または照明器具に利用され得る。
【符号の説明】
【0096】
10 :基板
10A :支持面
10B :下面
10C :周縁領域
10D :外側領域
11、12 :外部接続電極
13 :第1配線層
13e、13f、13g、16a、16b :電極パッド
13p、15p :p側配線領域
13n、15n :n側配線領域
15 :第2配線層
19 :マーカ
20、20-1、20a~20d :発光素子
30、30-1、30a~30c :光学部材
31 :レンズ部
31a、32b :レンズ面
32 :保持部
32e :端面
33a :第1光学アレイ
33b :第2光学アレイ
40、40-1 :平面光波回路
41 :基板
42 :クラッド層
42a :アンダークラッド層
42b :オーバークラッド層
42s :光入射面
42t :光出射面
43、43a~43c :光入射領域
43a-1~43a-4 :第1入射部分
44 :導波路コア
45、45a~45c :光出射端
46、46a~46c :光導波路
46a :第1光導波路
46a-1~46a-4 :第1光導波路部分
46b :第2光導波路
46b-1~46b-4 :第2光導波路部分
46c :第3光導波路
49 :スリット
50 :側壁部
60 :蓋部材
70 :支持部材
100、101、102 :光源装置
201 :半導体基板
202 :n側反射膜
203 :n型半導体層
204 :活性層
205 :p型半導体層
206 :p側反射膜
207 :絶縁層
208 :電極対
208n :n側電極
208p :p側電極
M :ミラー面
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16