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  • 特開-シール装置 図1
  • 特開-シール装置 図2
  • 特開-シール装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023122
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/12 20060101AFI20230209BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B65B51/12
B65B51/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128357
(22)【出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA06
3E094GA01
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】シール部分の厚みが不均一であっても、良好にヒートシールすることが可能となるシール装置を提供する。
【解決手段】シール装置1は、互いに対向して配置され、表層が紙製のガセット袋20のシール部分22を挟んでヒートシールする一対のシール部材3、3を備え、該一対のシール部材3、3は、各対向面8、8に耐熱性がある弾性部材6、6を有する。これにより、ガセット袋20のシール部分22の厚みが不均一であっても、良好にヒートシールすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置され、表層が紙製のガセット袋のシール部分を挟んでヒートシールする一対のシール部材を備えたシール装置であって、
前記一対のシール部材は、各対向面に耐熱性がある弾性部材を有することを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、その材質がフッ素ゴムであることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記弾性部材は板状に形成され、その厚みは0.3mm~2.5mmの範囲内で設定されることを特徴とする請求項2に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表層が紙製のガセット袋のシール部分を挟んでヒートシールするシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、包装袋の両側面を内側に折り込んでマチ部を形成したガセット袋が知られている。このガセット袋の開口端部(シール部分)を一対のシールバーにより挟んでヒートシールする場合、一対のマチ部と、その他の中央部分とにおいてその厚さの差が生じるために、これらに均一に圧力をかけてヒートシールすることが困難となる。具体的には、一対のマチ部では圧力がかかりやすく、マチ部とヒートシール装置のシールバーとが接触することで熱伝導が良くなり、放熱効率が良くなる。これに対して、中央部分では圧力がかかりにくいため、中央部分とヒートシール装置のシールバーとの間に空気が残留しやすくなり、熱伝導が悪く、放熱効率が悪くなり、その結果、熱が溜まりやすくなり、フィルムが白濁する等の問題が発生する。また、この場合、特に、一対のマチ部と中央部分との境目付近では、ヒートシール層が局所的に薄くなりピンホールが発生しやすくなる。さらに、このような不均一な圧力により、中央部分では圧力が不足し、当該中央部分のヒートシール層同士が十分に接触せずに、ピンホールが発生する虞がある。
【0003】
上述した問題に対策すべく、特許文献1に記載されたシール装置が提案されている。当該特許文献1に記載されたシール装置は、互いに対向し、近接または離間可能に設けられ、ガセット袋を挟んでシールする第1および第2バー部材を有するシール装置であって、前記第1バー部材は、該第1バー部材の長手方向の略中央部分に、該長手方向に沿って延び前記第2バー部材側に突出する凸部を備え、前記ガセット袋は、該ガセット袋の幅方向における両側面を前記ガセット袋の内側に折り込んで形成されるマチ部を備えており、前記第1バー部材と前記第2バー部材とで前記ガセット袋を挟んだ状態において、前記第1バー部材の長手方向に沿う前記凸部の長さが、前記ガセット袋の横断面における前記マチ部を除いた中央部の長さよりも長くなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-18300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した、特許文献1に記載のシール装置では、袋サイズ、袋形状やシール部分の厚さ等に基づいて、シールバーを取り換える必要があり、効率が悪い。
【0006】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、シール部分の厚みが不均一であっても、良好にヒートシールすることが可能なシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、互いに対向して配置され、表層が紙製のガセット袋のシール部分を挟んでヒートシールする一対のシール部材を備えたシール装置であって、前記一対のシール部材は、各対向面に耐熱性がある弾性部材を有することを特徴とするものである。
請求項1の発明では、一対のシール部材は、各対向面に弾性部材を有するので、表層が紙製のガセット袋の開口端部であるシール部分に厚みの差が生じていても、一対のシール部材の各弾性部材がシール部分の段差(厚みの差)に追従して変形することで、シール部分に略均一に圧力をかけてヒートシールすることが可能になり、ピンホールの発生を抑制することができる。したがって、ガセット袋のシール部分を良好にヒートシールすることができ、そのシール性を向上させることができる。また、ガセット袋のシール部分は、その表層は紙製であり、内層がヒートシール性に優れた合成樹脂フィルム製にて構成されており、シール部分がヒートシール性に優れた合成樹脂フィルム製にて構成される形態に比べて、シール部分に厚みの差が大きく生じる場合があるが、弾性部材の弾性変形により、その厚みの差を吸収することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記弾性部材は、その材質がフッ素ゴムであることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、フッ素ゴムは、耐熱性に優れ、しかも、樹脂表面に接する物質が粘着したり、接着することはほとんど無いという離型性も優れており、シール作用を良好することができる。要するに、離型性が優れているので、ヒートシールされたガセット袋のシール部分の、一対のシール部材からの剥離性を高めることができる。そこで、弾性部材の弾性係数(または硬度)が大きいと、シール部分に対して、圧力を付与しやすくなるが、シール部分の厚さの差に対して弾性変形し難くなり、接着性が不十分となる虞がある。一方、弾性係数(または硬度)を小さくすると、シール部分の厚さの差に対して弾性変形し易くなるが、圧力を付与し難くなり、接着性が不十分となる虞がある。このような事情に鑑みて、弾性部材の材質としてフッ素ゴムを採用することで、その弾性係数(または硬度)が適切であり、ガセット袋のシール部分に厚みの差が生じても、接着不良が発生せず良好なヒートシールが可能になる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明において、前記弾性部材は板状に形成され、その厚みは0.3mm~2.5mmの範囲内で設定されることを特徴とするものである。
そこで、弾性部材の厚みは、シール部分の厚み及び熱量等を考慮して適宜設定されるが、その厚みが厚くなり過ぎると熱伝導が悪くなり、シール部分の接着性が不十分となる虞がある。一方、その厚みが薄くなり過ぎると、弾性変形量が小さくなり、厚さの差のあるシール部分の接着が不均一になる虞がある。このような事情に鑑みて、請求項3の発明では、弾性部材をフッ素ゴムにて構成して、シール部分の厚み及び熱量等を考慮しつつ、その厚みが0.3~2.5mmの範囲内で適宜されるので、シール部分のシール性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るシール装置では、シール部分の厚みが不均一であっても、良好にヒートシールすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るシール装置の一対のシール部材によりガセット袋のシール部分をヒートシールする様子を示す正面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るシール装置のシール部材の側面図である。
図3図3(a)は、本発明の実施形態に係るシール装置によりシール部分がヒートシールされるガセット袋の斜視図であり、(b)は開口端部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るシール装置1を図1図3に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係るシール装置1を用いて、その開口端部21がシート部分22としてヒートシールされるガセット袋20を説明する。ガセット袋20は、表層が紙製で、内層がヒートシール性に優れた合成樹脂製フィルムで構成される。合成樹脂製フィルムは、ヒートシール性に優れたものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が採用される。図1及び図3に示すように、ガセット袋20は、開口端部21を有し、この開口端部21を開いた状態では、正面25と、背面26と、幅方向における両側の側面27、27と、ガセット袋20の底部側で正面25および背面26が内側に折れて形成される底部28と、を備える略直方体となる。
【0013】
ガセット袋20の開口端部21を閉じた状態では、側面27がガセット袋20の内側に折り畳まれてマチ部30が形成され、ガセット袋20は平坦な状態になる。その結果、ガセット袋20の開口端部21には、その幅方向両端部に位置する一対のマチ部30、30と、一対のマチ部30、30間に位置する中央部31と、が形成される。そして、このガセット袋20の開口端部21が、本発明の実施形態に係るシール装置1によりヒートシールされるシール部分22となる。要するに、ガセット袋20の開口端部21の、その幅方向に沿って位置する、一対のマチ部30、30及び中央部31がヒートシールされる。以降の説明においては、ガセット袋20の開口端部21をシール部分22として言及して説明する。当該ガセット袋20のシール部分22は、閉じた状態で、マチ部30が4層に重なり、中央部31が2層に重なった状態となる。その結果、ガセット袋20のシール部分22には、一対のマチ部30、30と中央部31との間に厚さの差(段差)が生じることになる。
【0014】
本実施形態に係るシール装置1は、両面加熱式のヒートシール装置である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るシール装置1は、互いに対向して配置され、ガセット袋20のシール部分22を挟んでヒートシールする一対のシール部材3、3を備えている。シール部材3は、全体として、薄い板状に形成される。一対のシール部材3、3は、対向して配置される。一対のシール部材3、3は、互いに近接・離間するように移動自在に構成される。シール部材3は、カートリッジヒータ9が内蔵される発熱板状部5と、発熱板状部5の対向面8に設けられる弾性部材6と、を備えている。
【0015】
発熱板状部5には、熱源であるカートリッジヒータ9が内蔵される。発熱板状部5は、カートリッジヒータ9の作動により後述する所定温度に加熱される。発熱板状部5には、カートリッジヒータ9よりも対向面8側に、温度センサとして熱電対10が内蔵される。発熱板状部5の長手方向に沿う長さ寸法は、ガセット袋20のシール部分22の幅長寸法よりも長くなる。発熱板状部5は、複数の支持部材13、13を介して基礎台14に支持される。該一対の基礎台14、14が、本実施形態に係るシール装置1に備えたサーボモータ等の駆動源(図示略)から動力が伝達される動力伝達部材(図示略)に連結される。そして、一対の基礎台14、14が、互いに近接・離間するように移動することで、一対のシール部材3、3が、互いに近接・離間するように移動するようになる。
【0016】
発熱板状部5の対向面8は、平坦であって、平面視略矩形状に形成される。当該対向面8に弾性部材6が装着される。弾性部材6は、平面視略矩形状であって、薄い板状に形成される。弾性部材6には、その材質として、耐熱性に優れたフッ素ゴムが採用される。弾性部材6は、発熱板状部5の対向面8に接着剤により装着される。弾性部材6は、シール部分22の厚み(マチ部30、30及び中央部31の厚み)や熱量等を考慮しつつ、その厚みが0.3~2.5mmの範囲内で適宜設定される。
【0017】
なお、発熱板状部5によるシール温度は、シール部分22の厚み(マチ部30、30及び中央部31の厚み)やガセット袋20の内層に配置される合成樹脂製フィルムの材料等に応じて適宜設定されるが、130~200℃の範囲内で適宜設定される。また、一対のシール部材3、3により、ガセット袋20のシール部分22をヒートシールする際の押圧力は、これも、シール部分22の厚み(マチ部30、30及び中央部31の厚み)やガセット袋20の内層に配置される合成樹脂製フィルムの材料等に応じて適宜設定されるが、0.1~0.5MPaの範囲内で適宜設定される。さらに、ガセット袋20のシール部分22をヒートシールする際の加圧時間は、これも、シール部分22の厚み(マチ部30、30及び中央部31の厚み)やガセット袋20の内層に配置される合成樹脂製フィルムの材料等に応じて適宜設定されるが、1~10秒の範囲内で適宜設定される。
【0018】
そして、本実施形態に係るシール装置1にて、表層が紙製であり、内層が合成樹脂製フィルムで構成されるガセット袋20のシール部分22をヒートシールする際には、一対のシール部材3、3の間に、ガセット袋20のシール部分22が配置される。その後、一対のシール部材3、3が互いに近接するように移動して、一対のシール部材3、3の弾性部材6、6により、ガセット袋20のシール部分22を挟み込むように押圧する。そして、ガセット袋20のシール部分22は、予め設定されてある所定のシール温度、押圧力及び加圧時間に基づいてヒートシールされる。
【0019】
このとき、一対のシール部材3、3(発熱板状部5、5)の対向面8、8には、弾性部材6、6がそれぞれ装着されているので、一対のシール部材3、3により、ガセット袋20のシール部分22を挟み込むように押圧する際、ガセット袋20のシール部分22において、その厚さの差(一対のマチ部30、30と中央部31との間)があっても、弾性部材6がシール部分22の段差(厚みの差)に追従して弾性変形することで、シール部分22の幅方向略全域(一対のマチ部30、30と中央部31)に略均一に圧力を付与できヒートシールすることができ、言い換えれば、弾性部材6の弾性変形によりシール部分22の段差を吸収することができる。その結果、ガセット袋20のシール部分22を良好にヒートシールすることができ、そのシール性を向上させることができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係るシール装置1は、ヒートシールする対象物が、表層が紙製で、内層が合成樹脂製フィルムで構成されるガセット袋20であって、一対のシール部材3、3の発熱板状部5、5の各対向面8、8に、耐熱性に優れた弾性部材6、6がそれぞれ設けられている。その結果、表層が紙製のガセット袋20のシール部分22に厚みの差が生じていても、一対のシール部材3、3の各弾性部材6、6が、シール部分22の段差に追従して弾性変形することできるので、シール部分22の幅方向略全域(一対のマチ部30、30と中央部31)に略均一に圧力を付与してヒートシールすることが可能になり、ピンホールの発生を抑制することができる。
【0021】
また、本実施形態に係るシール装置1では、弾性部材6の材質として、耐熱性及び離型性に優れたフッ素ゴムを採用しているので、そのシール作用を良好に行うことができる。また、フッ素ゴムは、適宜の弾性係数(または硬度)を有し、ガセット袋20のシール部分22に厚みの差が生じても、良好にヒートシールすることが可能になる。
【0022】
さらに、本実施形態に係るシール装置1では、弾性部材6の材質をフッ素ゴムとして、シール部分22の厚み及び熱量等を考慮しつつ、弾性部材6の厚みが0.3~2.5mmの範囲内で適宜設定されるので、シール部分22のシール性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 シール装置,3 シール部材,6 弾性部材,8 対向面,20 ガセット袋,22 シール部分
図1
図2
図3