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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002357
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221227BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
A47J27/00 109R
A47J27/00 103D
A47J27/00 109B
A47J27/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103553
(22)【出願日】2021-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】保木本 明雄
(72)【発明者】
【氏名】大矢 弘
(72)【発明者】
【氏名】佐野 正人
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AC02
4B054CC02
4B054CC13
4B054CH05
4B054CH15
4B055AA02
4B055BA09
4B055CD07
4B055EA01
4B055EA03
4B055GB18
4B055GC31
4B055GD02
(57)【要約】
【課題】米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明に係る炊飯器は、鍋と、鍋を収容する筐体と、鍋を加熱する加熱部と、米を収容する米タンクと、水を収容する水タンクと、鍋内に米タンク内の米及び水タンク内の水を供給する供給部と、鍋、米タンク、及び水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部と、供給部を制御して鍋内に米及び水を供給するとともに、加熱部を制御して炊飯工程を行う制御部とを備える。制御部は、重量検知部が検知した重量に基づいて、供給部により米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量を判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋を収容する筐体と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
米を収容する米タンクと、
水を収容する水タンクと、
前記鍋内に前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水を供給する供給部と、
前記鍋、前記米タンク、及び前記水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部と、
前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給するとともに、前記加熱部を制御して炊飯工程を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、炊飯器。
【請求項2】
前記重量検知部は、前記鍋の重量を検知する鍋重量検知部を備え、
前記制御部は、前記鍋重量検知部により前記鍋の重量を検知した後、前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水の少なくとも一方を供給して前記鍋重量検知部により前記鍋と前記鍋内に供給された米及び水の少なくとも一方との総重量を検知し、当該総重量から前記鍋の重量を差分することで前記鍋内に供給された米及び水の少なくとも一方の量を判定する、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記重量検知部は、前記米タンクの重量を検知する米タンク重量検知部と、前記水タンクの重量を検知する水タンク重量検知部と、を備え、
前記制御部は、前記米タンク重量検知部又は前記水タンク重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記重量検知部は、前記米タンク及び前記水タンクの総重量を検知するタンク総重量検知部を備え、
前記制御部は、前記供給部を制御して前記鍋内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給し、前記タンク総重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記制御部は、前記供給部を制御して前記米タンクから前記鍋内に米を供給した後、前記水タンクから前記鍋内に水を供給する、請求項1~4のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項6】
前記鍋内の圧力が1.05気圧未満で前記炊飯工程を行う非圧力式炊飯器である、請求項1~5のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項7】
前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて判定した米及び水の量が予め決められた量になるまで、前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給し続ける、請求項1~6のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項8】
前記米タンク及び前記水タンクの少なくとも一方は、前記筐体に着脱可能に取り付けられ、
前記制御部は、前記米タンク又は前記水タンクが、前記筐体から取り外された後、前記筐体に再度取り付けられたとき、当該筐体に再度取り付けられた前記米タンク内又は前記水タンク内に予め決められた量の米又は水が収容されていると判断する、請求項1~7のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項9】
前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量を検知する残量検知部を更に備える、請求項1~8のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項10】
前記制御部は、前記鍋重量検知部が検知した重量に基づいて、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量を判定する、請求項2に記載の炊飯器。
【請求項11】
炊飯量を選択可能な選択部と、
警告を発信する報知部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量が、前記選択部にて選択された炊飯量に対応する米又は水の量未満であるとき、前記報知部を制御して警告を発信する、請求項9又は10に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器として、例えば、特許文献1(特開2020-5668号公報)に記載の炊飯器が知られている。特許文献1には、鍋内への米及び水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる炊飯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-5668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の炊飯器では、炊飯に使用する水を炊飯器外部の水道から引き込むように構成されている。このため、炊飯器を水道の近くに設置する必要があり、設置位置が制限されるか、或いは、炊飯器の設置位置に水道工事が必要となる。また、特許文献1の炊飯器は、ヒンジ軸を中心として回動することにより鍋の開口部を開閉する蓋体ユニットを備え、当該蓋体ユニットの上方に米を貯蔵する貯蔵部が設けられている。この構成では、蓋体ユニットが回動する際、貯蔵部に接触しないようにするためのスペースが必要であり、炊飯器の高さ方向の小型化が困難であるとともに清掃性が悪い。
【0005】
そこで、本出願人より、鍋を収容する筐体とは別に、米を収容する米タンクと、水を収容する水タンクとを備える炊飯器が検討されている。しかしながら、当該炊飯器においては、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定するという観点において、未だ改善の余地がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明によれば、鍋と、
前記鍋を収容する筐体と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
米を収容する米タンクと、
水を収容する水タンクと、
前記鍋内に前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水を供給する供給部と、
前記鍋、前記米タンク、及び前記水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部と、
前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給するとともに、前記加熱部を制御して炊飯工程を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、
炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る炊飯器の斜視図である。
図2図1のA1-A1線断面図である。
図3図1のA2-A2線断面図である。
図4図1の炊飯器を一部断面で示す側面図である。
図5図1の炊飯器の底壁を取り外した状態を示す底面図である。
図6】重量検知部の構成例を示す分解斜視図である。
図7】重量検知部の構成例を示す断面図である。
図8図1の炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態に係る炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態に係る炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0011】
米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量を判定する方法としては、以下のような方法が考えられる。
【0012】
例えば、米タンクから鍋内に米を送る送米ポンプの駆動時間に基づいて、米タンクから鍋内に送られた米の量を判定することが考えられる。しかしながら、この方法では、米タンクから鍋内へ米が送られる際、米粒間に生じる隙間が通常ばらつくので、米の量の判定精度が低くなる。また、同様に、水タンクから鍋内に水を送る送水ポンプの駆動時間に基づいて、水タンクから鍋内に送られた水の量を判定することが考えられる。しかしながら、この方法では、水タンクから鍋内へ水が送られる際、水の中にランダムな気泡が生じ得るので、水の量の判定精度が低くなる。
【0013】
また、例えば、水タンクから鍋内に水を送る送水管に流量センサを設け、当該流量センサによって水タンクから鍋内に供給された水の量を判定することも考えられる。しかしながら、例えば、送水管内に水が残留すると、雑菌が繁殖するおそれがある。このため、送水管には、できる限り直径が小さい配管が用いられることが望まれる。送水管の直径が小さくなると、流量センサで精度良く送水管内を通る水の量を判定することは困難である。
【0014】
そこで、本発明者らは、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量を重量検知部で検知する構成を見出した。重量検知部(例えば、重量センサ)は、一般的に、流量センサに比べて精度が良く且つ安価である。鍋、米タンク、及び水タンクの少なくとも1つの重量を検知することができれば、簡易な演算等を行うことにより、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することが可能になる。これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0015】
本発明の一態様によれば、鍋と、
前記鍋を収容する筐体と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
米を収容する米タンクと、
水を収容する水タンクと、
前記鍋内に前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水を供給する供給部と、
前記鍋、前記米タンク、及び前記水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部と、
前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給するとともに、前記加熱部を制御して炊飯工程を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、炊飯器を提供する。
【0016】
この構成によれば、鍋、米タンク、水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部を備え、当該重量検知部が検知した重量に基づいて鍋内に供給された米又は水の量を判定するので、鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。
【0017】
なお、前記重量検知部は、前記鍋の重量を検知する鍋重量検知部を備え、前記制御部は、前記鍋重量検知部により前記鍋の重量を検知した後、前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水の少なくとも一方を供給して前記鍋重量検知部により前記鍋と前記鍋内に供給された米及び水の少なくとも一方との総重量を検知し、当該総重量から前記鍋の重量を差分することで前記鍋内に供給された米及び水の少なくとも一方の量を判定するように構成されてもよい。この構成によれば、例えば、鍋の開口部を覆うように蓋体で閉塞した状態であっても、鍋と蓋体とが接触することによる影響は、鍋の重量を検知するときと、前記総重量を検知するときとの両方にかかることになる。すなわち、前記総重量から鍋の重量を差分することで当該影響を抑えることができる。その結果、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することできる。
【0018】
また、前記重量検知部は、前記米タンクの重量を検知する米タンク重量検知部と、前記水タンクの重量を検知する水タンク重量検知部と、を備え、前記制御部は、前記米タンク重量検知部又は前記水タンク重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定するように構成されてもよい。この構成によれば、例えば、米タンク重量検知部又は水タンク重量検知部が検知した重量の減少量に基づいて、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量を推定することができる。また、重量検知部により米タンク又は水タンクの重量を検知するので、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。
【0019】
また、前記重量検知部は、前記米タンク及び前記水タンクの総重量を検知するタンク総重量検知部を備え、前記制御部は、前記供給部を制御して前記鍋内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給し、前記タンク総重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定するように構成されてもよい。この構成によれば、鍋内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給するので、1つのタンク総重量検知部で米タンク内の米及び水タンク内の水の量を検知することができる。これにより、米タンク又は水タンクから鍋内に米又は水を供給しているときにタンク総重量検知部が検知した重量の減少量に基づいて、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量を推定することができる。また、重量検知部により米タンク又は水タンクの重量を検知するので、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。また、例えば、タンク総重量検知部が米タンクの重量を質量よりも一定割合で小さく検知するような精度を有している場合、当該タンク総重量検知部は、水タンクの重量も同様に質量よりも一定割合で小さく検知することになる。このため、鍋内に供給された米と水との比率を一定にすることができ、炊飯ばらつきを抑えることができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記供給部を制御して前記米タンクから前記鍋内に米を供給した後、前記水タンクから前記鍋内に水を供給するように構成されてもよい。この構成によれば、鍋内で米が山の形状で堆積したとしても、その後に鍋内に供給する水によって、山の形状を崩して、堆積した米の上面をより平坦にすることができる。
【0021】
また、前記炊飯器は、前記鍋内の圧力が1.05気圧未満で前記炊飯工程を行う非圧力式炊飯器であってもよい。この構成によれば、鍋内に生じた圧力によって重量検知部が受ける影響を抑えることができる。その結果、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することできる。
【0022】
また、前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて判定した米及び水の量が予め決められた量になるまで、前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給し続けるように構成されてもよい。この構成によれば、より適切な量の米又は水の量を鍋内に供給することができる。
【0023】
また、前記米タンク及び前記水タンクの少なくとも一方は、前記筐体に着脱可能に取り付けられ、前記制御部は、前記米タンク又は前記水タンクが、前記筐体から取り外された後、前記筐体に再度取り付けられたとき、当該筐体に再度取り付けられた前記米タンク内又は前記水タンク内に予め決められた量の米又は水が収容されていると判断するように構成されてもよい。
【0024】
また、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量を検知する残量検知部を更に備えるように構成されてもよい。
【0025】
また、前記制御部は、前記鍋重量検知部が検知した重量に基づいて、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量を判定するように構成されてもよい。
【0026】
また、炊飯量を選択可能な選択部と、警告を発信する報知部と、を更に備え、前記制御部は、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量が、前記選択部にて選択された炊飯量に対応する米又は水の量未満であるとき、前記報知部を制御して警告を発信するように構成されてもよい。この構成によれば、使用者が米タンク内の米又は水タンク内の水の残量を直接確認することなく、使用者に米タンク内の米又は水タンク内の水を補給するタイミングを知らせることができる。
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0028】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」等の方向を示す用語を用いるが、本発明に係る炊飯器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0029】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る炊飯器の全体構成について説明する。図1は、本第1実施形態に係る炊飯器の斜視図である。図2は、図1のA1-A1線断面図である。図3は、図1のA2-A2線断面図である。本第1実施形態に係る炊飯器は、鍋内への米及び水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器である。また、本第1実施形態においては、炊飯される米として、洗米を行う必要がない米、いわゆる無洗米が用いられる。本第1実施形態に係る炊飯器は、鍋内の圧力が1.05気圧未満で炊飯工程を行う非圧力式炊飯器である。
【0030】
図1に示すように、本第1実施形態に係る炊飯器は、筐体1と、筐体1の上部を覆う蓋体2と、筐体1の一側面に沿うように設けられた直方体又は略直方体の水タンク3及び米タンク4とを備えている。
【0031】
筐体1は、直方体又は略直方体の本体部11と、水タンク3及び米タンク4が載置される直方体又は略直方体の台部12とを備えている。本体部11と台部12とは、前後方向Yの長さが一致し、それぞれの一側面が空間的に連通するように接続されている。筐体1、本体部11、及び台部12は、それぞれ上面視において矩形又は略矩形形状を有している。
【0032】
台部12は、本体部11の一側面の下部から側方に延在するように設けられている。台部12の高さ方向Zの長さは、本体部11の高さ方向Zの長さよりも低く設定されている。これにより、本体部11の一側面が外部に露出している。本第1実施形態においては、本体部11の一側面が、筐体1の一側面に対応する。水タンク3と米タンク4とは、外部に露出する本体部11の一側面に沿うように設けられている。
【0033】
図2に示すように、本体部11は、鍋5を収容する鍋収容部11aを有している。本体部11の後方上部には、横方向Xに延在する回動軸TAが設けられている。横方向Xと前後方向Yと高さ方向Zとは、互いに直交している。蓋体2は、回動軸TAに回動自在に取り付けられている。蓋体2は、回動軸TAを中心として回動することにより、鍋5の開口部を開閉自在に覆うように構成されている。本第1実施形態において、蓋体2は、直方体又は略直方体形状を有している。
【0034】
図1に示すように、蓋体2が鍋5の開口部を覆う閉鎖状態において、蓋体2の前後方向Yの長さは、本体部11の前後方向Yの長さと一致する。蓋体2の閉鎖状態において、筐体1の本体部11と蓋体2との高さ方向Zの合計長さは、筐体1の台部12と水タンク3又は米タンク4との高さ方向Zの合計長さと一致する。また、蓋体2の閉鎖状態において、筐体1の本体部11及び台部12の横方向Xの合計長さは、蓋体2及び水タンク3(又は蓋体2及び米タンク4)の横方向Xの合計長さと一致する。すなわち、蓋体2の閉鎖状態において、本第1実施形態に係る炊飯器は、直方体又は略直方体形状を有している。
【0035】
水タンク3は、水を収容する容器である。米タンク4は、米を収容する容器である。水タンク3と米タンク4とは、炊飯器の前方側から後方側へ直列に配置されるとともに、少なくとも一方が着脱可能である。本第1実施形態においては、水タンク3及び米タンク4の両方が着脱可能である。また、水タンク3は、米タンク4よりも炊飯器の前方側に配置されている。
【0036】
水タンク3は、図2に示す送水管61を通じて鍋5内と流体連通している。本第1実施形態において、送水管61は、回動軸TAを収容する回動軸収容部TA1を通じて延在している。送水管61には、図3に示す送水ポンプ62が設けられている。送水ポンプ62が駆動されることで、水タンク3内の水が、送水管61を通じて鍋5内に供給される。
【0037】
また、米タンク4は、図2に示す送米管71を通じて米投入部72と流体連通している。本第1実施形態において、送米管71は、回動軸TAを収容する回動軸収容部TA1を通じて延在している。送米管71には、送米ファン(図示せず)が設けられている。送米ファンが駆動されることで、送米管71内の米が、米投入部72内に供給される。米投入部72は、送米ファンの気流から米を分離し、当該米を鍋5内に投入する部分である。米投入部72の底部は、下方に突出するテーパ状の断面を有するように形成されている。
【0038】
また、図3に示すように、米タンク4には、送米装置73が設けられている。米タンク4の底部は、下方に突出するテーパ状の断面を有するように形成されている。送米装置73は、米タンク4の最下部に接続され、横方向Xに延在するように設けられている。また、送米装置73は、図2に示す送米管71と連通している。送米装置73は、米タンク4内の米を取り込んで、送米管71内に送り出すように構成されている。
【0039】
本第1実施形態においては、送水管61と送水ポンプ62と送米管71と送米ファンと米投入部72と送米装置73とで、鍋5内に水タンク3内の水及び米タンク4内の米を供給する供給部の一例が構成されている。
【0040】
図3に示すように、米タンク4の下方には、米タンク4の重量を検知する米タンク重量検知部81が設けられている。本第1実施形態において、米タンク重量検知部81は、筐体1の台部12内に設けられた米タンク支持部12aを介して米タンク4の重量を受けるように構成されている。米タンク支持部12aは、筐体1の台部12に対して高さ方向Zに相対移動可能に構成されている。また、本第1実施形態において、米タンク重量検知部81は、米タンク4内の米の残量を検知する残量検知部の一例として機能する。例えば、米タンク重量検知部81は、米タンク4及び米タンク支持部12aの重量を検知するとともに、米が入れられた米タンク4及び米タンク支持部12aの総重量を検知するように構成されている。米タンク重量検知部81は、当該総重量から、米タンク4及び米タンク支持部12aの重量を差分することで、水タンク3内の水の残量を検知することができる。
【0041】
同様に、水タンク3の下方には、水タンク3の重量を検知する水タンク重量検知部82が設けられている。本第1実施形態において、水タンク重量検知部82は、筐体1の台部12内に設けられた水タンク支持部12bを介して水タンク3の重量を受けるように構成されている。水タンク支持部12bは、筐体1の台部12に対して高さ方向Zに相対移動可能に構成されている。また、本第1実施形態において、水タンク重量検知部82は、水タンク3内の水の残量を検知する残量検知部の一例として機能する。例えば、水タンク重量検知部82は、水タンク3及び水タンク支持部12bの重量を検知するとともに、水が入れられた水タンク3及び水タンク支持部12bの総重量を検知するように構成されている。水タンク重量検知部82は、当該総重量から、水タンク3及び水タンク支持部12bの重量を差分することで、水タンク3内の水の残量を検知することができる。
【0042】
図4は、本第1実施形態に係る炊飯器を一部断面で示す側面図である。図5は、本第1実施形態に係る炊飯器の底壁を取り外した状態を示す底面図である。
【0043】
図4に示すように、筐体1の本体部11内で且つ鍋収容部11aの下方には、鍋5の重量を検知する鍋重量検知部83が設けられている。本第1実施形態において、鍋重量検知部83は、筐体1の本体部11内に設けられた鍋支持部11bを介して鍋5の重量を受けるように構成されている。鍋支持部11bは、筐体1の本体部11に対して高さ方向Zに相対移動可能に構成されている。
【0044】
本第1実施形態においては、図5に示すように、筐体1の台部12には、2つの米タンク重量検知部81と、2つの水タンク重量検知部82とが設けられている。また、筐体1の本体部11には、4つの鍋重量検知部83が設けられている。本第1実施形態において、米タンク重量検知部81と水タンク重量検知部82と鍋重量検知部83とは、同じ構造を有している。以下、米タンク重量検知部81と水タンク重量検知部82と鍋重量検知部83とを特に区別しない場合は、重量検知部8という。
【0045】
図6は、重量検知部8の構成例を示す分解斜視図であり、図7は、その断面図である。
【0046】
図6及び図7に示すように、重量検知部8は、ロードセル8Aと、ロードセル8Aを収容する下ケース8B及び上ケース8Cとを備えている。ロードセル8Aは、上ケース8Cに設けられた貫通穴8Caを通じてビス8Dがねじ込まれることで、下ケース8Bに取り付けられる。下ケース8Bは、筐体1の底壁に固定されている。また、ロードセル8Aは、下ケース8Bに設けられた貫通穴8Baを通じてビス8Eがねじ込まれることで、上ケース8Cに取り付けられる。上ケース8Cは、鍋支持部11b、米タンク支持部12a、又は水タンク支持部12bを下方から支持するように配置されている。
【0047】
また、図1に示すように、蓋体2の上壁には、炊飯量、炊飯コース(白米コース、玄米コースなど)などの各種炊飯情報を表示するとともに、当該各種炊飯情報の中から特定の炊飯情報を選択可能な表示操作部21が設けられている。表示操作部21は、各種炊飯情報を表示する液晶ディスプレイ21Aと、炊飯量、炊飯コースの選択の他、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示する複数のボタン21Bとを備えている。使用者は、液晶ディスプレイ21Aに表示された各種炊飯情報を参照しつつ、複数のボタン21Bにより特定の炊飯情報を選択して炊飯の開始などを指示することができる。本第1実施形態において、表示操作部21は、炊飯量を選択可能な選択部の一例である。また、本第1実施形態において、表示操作部21は、警告を発信する報知部としても機能する。具体的には、表示操作部21は、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の残量未満である場合、警告を発信するように構成されている。警告は、液晶ディスプレイ21Aに表示されることにより行われてよいし、音声により行われてもよい。
【0048】
また、図2に示すように、筐体1の鍋収容部11aの外周面には、鍋5に対向する位置に鍋加熱装置13が設けられている。鍋加熱装置13は、鍋5を加熱する加熱部の一例である。鍋加熱装置13は、例えば、通電されることにより、鍋5を誘導加熱する誘導加熱コイルである。筐体1の鍋収容部11aの中央底部には、貫通穴が設けられ、当該貫通穴を通じて鍋5の中央底部に接触するように温度検知部の一例である鍋温度センサ14が設けられている。
【0049】
また、筐体1の本体部11の内部には、制御部15が設けられている。制御部15は、送水管61、送水ポンプ62、送米管71、送米ファン、及び送米装置73を制御して鍋5内に米及び水を供給するとともに、鍋加熱装置13を制御して炊飯工程を行う。制御部15は、米を炊飯するための炊飯シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「炊飯シーケンス」とは、予熱、昇温、沸騰維持、蒸らしの主として4つの工程を順に実行するにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。各炊飯シーケンスは、複数の炊飯コースのいずれかにそれぞれ対応している。制御部15は、表示操作部21にて選択された炊飯情報及び鍋温度センサ14の検知温度に基づいて、鍋加熱装置13を制御し、炊飯工程を実行する。
【0050】
また、制御部15は、炊飯工程の開始前に行う準備シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「準備シーケンス」とは、送米及び送水を含む各工程を実行するにあたって、各工程において各ポンプ又はファンの駆動時間等が予め決められている手順をいう。制御部15は、表示操作部21にて選択された炊飯情報及び重量検知部8が検知した重量に基づいて、送水管61、送水ポンプ62、送米管71、送米ファン、及び送米装置73を制御し、各記工程を実行する。
【0051】
次に、本第1実施形態に係る炊飯器の動作について説明する。図8は、本第1実施形態に係る炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS1にて、使用者が、筐体1の台部12に、水を入れた水タンク3と、米を入れた米タンク4とをセットする。
【0053】
次いで、ステップS2にて、制御部15は、使用者が表示操作部21を操作するなどして、炊飯情報の選択及び炊飯開始の指示があったか否かを判定する。炊飯情報の選択及び炊飯開始の指示がない場合(ステップS2の「NO」)、制御部15は、ポンプ等を駆動させずに待機する。一方、炊飯情報の選択及び炊飯開始の指示が有った場合(ステップS2の「YES」)、制御部15は、ステップS3に進む。
【0054】
次いで、ステップS3にて、制御部15は、米タンク重量検知部81が検知した重量及び水タンク重量検知部82が検知した重量に基づいて、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量を検知(判定)する。
【0055】
次いで、ステップS4にて、制御部15は、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の残量以上か否かを判定する。米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の残量未満である場合(ステップS4の「NO」)、制御部15は、ステップS5に進み、表示操作部21により警告を発信する。一方、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の残量以上である場合(ステップS4の「YES」)、制御部15は、ステップS6に進む。
【0056】
ステップS6にて、制御部15は、送米工程及び送水工程を行う。送米工程は、米タンク4内の米を鍋5内に送る工程である。送米工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送米装置73を駆動させて、米タンク4内の米を送米管71内に移動させるとともに、送米ファンを駆動させて、送米管71内の米を米投入部72を通じて鍋5内に供給する。送水工程は、水タンク3内の水を鍋5内に送る工程である。送水工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送水ポンプ62を駆動させて、水タンク3内の水を送水管61を通じて鍋5内に送る。なお、送米工程と送水工程とは、順に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0057】
次いで、ステップS7にて、制御部15は、重量検知部8が検知した重量に基づいて米タンク4及び水タンク3から鍋5内に供給された米及び水の量を判定する。
【0058】
次いで、ステップS8にて、鍋5内に供給された米及び水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の量に達していない場合(ステップS8の「NO」)、制御部15は、ステップS6に戻って送米及び送水工程を継続する。一方、鍋5内に供給された米及び水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米及び水の量に達した場合(ステップS8の「YES」)、制御部15は、ステップS9に進む。
【0059】
ステップS9にて、制御部15は、炊飯工程を行う。本第1実施形態において、制御部15は、表示操作部21にて選択された炊飯情報及び鍋温度センサ14の検知温度に基づいて、鍋加熱装置13を制御し、炊飯工程を実行する。
【0060】
以上のようにして、本第1実施形態に係る炊飯器は、鍋5内への米及び水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる。
【0061】
本第1実施形態に係る炊飯器によれば、鍋5、米タンク4、水タンク3の少なくとも1つの重量を検知する重量検知部8を備え、当該重量検知部8が検知した重量に基づいて鍋5内に供給された米又は水の量を判定するように構成されている。これにより。鍋5内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。
【0062】
本第1実施形態に係る炊飯器によれば、鍋5内の圧力が1.05気圧未満で炊飯工程を行う非圧力式炊飯器であるので、鍋5内に生じた圧力によって重量検知部8が受ける影響を抑えることができる。その結果、米タンク4又は水タンク3から鍋5内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することできる。
【0063】
また、本第1実施形態に係る炊飯器によれば、制御部15は、重量検知部8が検知した重量に基づいて判定した米及び水の量が予め決められた量になるまで、鍋5内に米及び水を供給し続けるように構成されている。これにより、より適切な量の米及び水の量を鍋5内に供給することができる。
【0064】
また、本第1実施形態に係る炊飯器によれば、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量を検知する残量検知部として、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82を備えている。また、制御部15は、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量が、表示操作部21にて選択された炊飯情報(炊飯量)に対応する米又は水の量未満であるとき、表示操作部21を制御して警告を発信するように構成されている。これにより、例えば、使用者が米タンク4内の米又は水タンク3内の水の残量を直接確認することなく、使用者に米タンク4内の米又は水タンク3内の水を補給するタイミングを知らせることができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記では、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量を検知する残量検知部として、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82を備えるものとしたが本発明は、これに限定されない。残量検知部は、例えば、米タンク4内の米又は水タンク3内の水の高さを検知するセンサであってもよい。
【0066】
また、米タンク4内の米又は水タンク3内の水の残量は、米タンク4又は水タンク3を筐体1に取り付けた時点で推測することができる。すなわち、通常、使用者は、米タンク4内又は水タンク3内に予め決められた量(例えば、満タン量)の米又は水を収容するものと想定される。このため、制御部15は、米タンク4又は水タンク3が、筐体1から取り外された後、筐体1に再度取り付けられたとき、米タンク4内又は水タンク3内に予め決められた量(例えば、400g)の米又は水が収容されていると判断するように構成されてもよい。
【0067】
また、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量は、鍋5内に供給された米及び水に基づいて算出することが可能である。例えば、400gの米が収容された米タンク4から鍋5内に100gの米が供給された場合、米タンク4内の米の残量は300g(=400g-100g)であると算出することができる。また、仮に、送米管71内に米が10g残留していることが想定される場合、米タンク4内の米の残量は290gであると算出することができる。このため、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて判定してもよい。すなわち、制御部15は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて、米タンク4内の米及び水タンク3内の水の残量を判定するように構成されてもよい。
【0068】
また、前記では、表示操作部21が警告を発信する報知部としても機能するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、報知部は、筐体1の他の部分に設けられてもよいし、米タンク4又は水タンク3に設けられてもよい。また、報知部が発信する警告は、炊飯器に表示されること又は炊飯器から音声として発信されることに限定されない。例えば、報知部が発信する警告は、スマートフォンなどの携帯情報端末に表示される又は携帯情報端末から音声として発信されてもよい。
【0069】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る炊飯器について説明する。図9は、本第2実施形態に係る炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
【0070】
本第2実施形態に係る炊飯器が第1実施形態に係る炊飯器と異なる点は、ステップS6~ステップS8に代えて、ステップS11~ステップS17を行う点である。ステップS1~S5及びステップS9については同様であるので、以下、ステップS11~ステップS17について説明する。
【0071】
ステップS11にて、制御部15は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて鍋5の重量を検知する。本第2実施形態において、制御部15は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて鍋5及び鍋支持部11bの重量を検知する。
【0072】
次いで、ステップS12にて、制御部15は、送米工程を行う。送米工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送米装置73を駆動させて、米タンク4内の米を送米管71内に移動させるとともに、送米ファンを駆動させて、送米管71内の米を米投入部72を通じて鍋5内に供給する。
【0073】
次いで、ステップS13にて、制御部15は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて鍋5内の米の重量を検知する。本第2実施形態において、制御部15は、ステップS13にて検知した重量(鍋5、米、鍋支持部11b)からステップS11にて検知した重量(鍋5、鍋支持部11b)を差分することで、鍋5内の米の重量を検知する。
【0074】
次いで、ステップS14にて、鍋5内に供給された米の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米の量に達していない場合(ステップS14の「NO」)、制御部15は、ステップS12に戻って送米工程を継続する。一方、鍋5内に供給された米の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米の量に達した場合(ステップS14の「YES」)、制御部15は、ステップS15に進む。
【0075】
次いで、ステップS15にて、制御部15は、送水工程を行う。送水工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送水ポンプ62を駆動させて、水タンク3内の水を送水管61を通じて鍋5内に送る。
【0076】
次いで、ステップS16にて、制御部15は、鍋重量検知部83が検知した重量に基づいて鍋5内の水の重量を検知する。本第2実施形態において、制御部15は、ステップS16にて検知した重量(鍋5、米、水、鍋支持部11b)からステップS13にて検知した重量(鍋5、米、鍋支持部11b)を差分することで、鍋5内の水の重量を検知する。
【0077】
次いで、ステップS17にて、鍋5内に供給された水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた水の量に達していない場合(ステップS17の「NO」)、制御部15は、ステップS15に戻って送水工程を継続する。一方、鍋5内に供給された水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた水の量に達した場合(ステップS17の「YES」)、制御部15は、ステップS9に進み、炊飯工程を実行する。
【0078】
本第2実施形態に係る炊飯器によれば、制御部15は、鍋5の重量を検知した後、鍋5内に米を供給して鍋5と鍋5内に供給された米との総重量を検知する。その後、制御部15は、当該総重量から鍋5の重量を差分することで鍋5内に供給された米の量を判定するように構成されている。これにより、例えば、鍋5の開口部を覆うように蓋体2で閉塞した状態であっても、鍋5と蓋体2とが接触することによる影響は、鍋5の重量を検知するときと、総重量を検知するときとの両方にかかることになる。すなわち、前記総重量から鍋5の重量を差分することで当該影響を抑えることができる。その結果、米タンク4から鍋5内に供給された米の量をより精度良く判定することできる。
【0079】
また、本第2実施形態に係る炊飯器によれば、制御部15は、鍋5及び米の重量を検知した後、鍋5内に水を供給して鍋5と鍋5内に供給された米及び水との総重量を検知する。その後、制御部15は、当該総重量から鍋5及び米の重量を差分することで鍋5内に供給された水の量を判定するように構成されている。これにより、前述したように、鍋5の開口部を覆うように蓋体2で閉塞した状態であっても、鍋5と蓋体2とが接触することによる影響を抑えることができる。その結果、水タンク3から鍋5内に供給された水の量をより精度良く判定することできる。
【0080】
また、本第2実施形態に係る炊飯器によれば、制御部15は、米タンク4から鍋5内に米を供給した後、水タンク3から鍋5内に水を供給するように構成されている。これにより、鍋5内で米が山の形状で堆積したとしても、その後に鍋5内に供給する水によって、山の形状を崩して、堆積した米の上面をより平坦にすることができる。
【0081】
なお、本第2実施形態では、制御部15は、米タンク4から鍋5内に米を供給した後、水タンク3から鍋5内に水を供給するように構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部15は、水タンク3から鍋5内に水を供給した後、米タンク4から鍋5内に米を供給するように構成されてもよい。
【0082】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る炊飯器について説明する。図10は、本第3実施形態に係る炊飯器の動作の一例を示すフローチャートである。
【0083】
本第3実施形態に係る炊飯器が第1実施形態に係る炊飯器と異なる点は、ステップS6~ステップS8に代えて、ステップS21~ステップS26を行う点である。ステップS1~S5及びステップS9については同様であるので、以下、ステップS21~ステップS26について説明する。
【0084】
ステップS21にて、制御部15は、送米工程を行う。送米工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送米装置73を駆動させて、米タンク4内の米を送米管71内に移動させるとともに、送米ファンを駆動させて、送米管71内の米を米投入部72を通じて鍋5内に供給する。
【0085】
次いで、ステップS22にて、制御部15は、米タンク重量検知部81が検知した重量に基づいて米タンク4内の米の重量を検知し、当該重量に基づいて鍋5内に供給された米の重量を検知する。本第3実施形態において、制御部15は、ステップS3にて検知した米タンク4内の米の残量からステップS22にて検知した米の重量を差分することで、鍋5内に供給された米の重量を検知(判定)する。
【0086】
次いで、ステップS23にて、鍋5内に供給された米の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米の量に達していない場合(ステップS23の「NO」)、制御部15は、ステップS21に戻って送米工程を継続する。一方、鍋5内に供給された米の量が、炊飯情報に応じて予め決められた米の量に達した場合(ステップS23の「YES」)、制御部15は、ステップS24に進む。
【0087】
次いで、ステップS24にて、制御部15は、送水工程を行う。送水工程において、制御部15は、炊飯情報に応じて予め決められた時間、送水ポンプ62を駆動させて、水タンク3内の水を送水管61を通じて鍋5内に送る。
【0088】
次いで、ステップS25にて、制御部15は、水タンク重量検知部82が検知した重量に基づいて水タンク3内の水の重量を検知し、当該重量に基づいて鍋5内に供給された水の重量を検知する。本第3実施形態において、制御部15は、ステップS3にて検知した水タンク3内の水の残量からステップS25にて検知した水の重量を差分することで、鍋5内に供給された水の重量を検知(判定)する。
【0089】
次いで、ステップS26にて、鍋5内に供給された水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた水の量に達していない場合(ステップS26の「NO」)、制御部15は、ステップS24に戻って送水工程を継続する。一方、鍋5内に供給された水の量が、炊飯情報に応じて予め決められた水の量に達した場合(ステップS26の「YES」)、制御部15は、ステップS9に進み、炊飯工程を実行する。
【0090】
本第3実施形態に係る炊飯器によれば、制御部15は、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82が検知した重量に基づいて、米タンク4及び水タンク3から鍋5内に供給された米及び水の量を判定するように構成されている。この構成によれば、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82が検知した重量の減少量に基づいて、米タンク4及び水タンク3から鍋5内に供給された米及び水の量を推定することができる。また、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82により米タンク4及び水タンク3の重量を検知するので、米タンク4及び水タンク3から鍋5内に供給された米及び水の量をより精度良く判定することができる。
【0091】
なお、本第3実施形態に係る炊飯器では、米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82を備えるものとしたが、本発明はこれに限定されない。米タンク重量検知部81及び水タンク重量検知部82のいずれか一方のみを備えてもよい。また、重量検知部8は、米タンク4及び水タンク3の総重量を検知するタンク総重量検知部(図示せず)を備えてもよい。この場合、制御部15は、鍋5内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給し、タンク総重量検知部が検知した重量に基づいて、米タンク4又は水タンク3から鍋5内に供給された米又は水の量を判定するように構成されればよい。この構成によれば、鍋5内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給するので、1つのタンク総重量検知部で米タンク4内の米及び水タンク3内の水の量を検知することができる。これにより、米タンク4又は水タンク3から鍋5内に米又は水を供給しているときにタンク総重量検知部が検知した重量の減少量に基づいて、米タンク4又は水タンク3から鍋5内に供給された米又は水の量を推定することができる。また、タンク総重量検知部により米タンク4又は水タンク3の重量を検知するので、米タンク4又は水タンク3から鍋5内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができる。また、例えば、タンク総重量検知部が米タンク4の重量を質量よりも一定割合で小さく検知するような精度を有している場合、当該タンク総重量検知部は、水タンク3の重量も同様に質量よりも一定割合で小さく検知することになる。このため、鍋5内に供給された米と水との比率を一定にすることができ、炊飯ばらつきを抑えることができる。
【0092】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る炊飯器は、米タンク又は水タンクから鍋内に供給された米又は水の量をより精度良く判定することができるので、例えば、鍋内への米及び水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる全自動炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 筐体
2 蓋体
3 水タンク
4 米タンク
5 鍋
8 重量検知部
8A ロードセル
8B 下ケース
8Ba 貫通穴
8C 上ケース
8Ca 貫通穴
8D ビス
8E ビス
11 本体部
11a 鍋収容部
11b 鍋支持部
12 台部
12a 米タンク支持部
12b 水タンク支持部
13 鍋加熱装置(加熱部)
14 鍋温度センサ(温度検知部)
15 制御部
21 表示操作部(選択部、報知部)
21A 液晶ディスプレイ
21B ボタン
61 送水管
62 送水ポンプ
71 送米管
72 米投入部
73 送米装置
81 米タンク重量検知部(残量検知部)
82 水タンク重量検知部(残量検知部)
83 鍋重量検知部
TA 回動軸
TA1 回動軸収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋を収容する筐体と、
前記鍋を加熱する加熱部と、
米を収容する米タンクと、
水を収容する水タンクと、
前記鍋内に前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水を供給する供給部と、
前記鍋、前記米タンク、及び前記水タンクの少なくとも1つの重量を検知する重量検知部と、
前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給するとともに、前記加熱部を制御して炊飯工程を行う制御部と、
を備え、
前記重量検知部は、前記米タンク及び前記水タンクの総重量を検知するタンク総重量検知部を備え、
前記制御部は、前記供給部を制御して前記鍋内に米と水とを互いにタイミングをずらして供給し、前記タンク総重量検知部が検知した重量に基づいて、前記供給部により前記米タンク又は前記水タンクから前記鍋内に供給された米又は水の量を判定する、炊飯器。
【請求項2】
前記制御部は、前記供給部を制御して前記米タンクから前記鍋内に米を供給した後、前記水タンクから前記鍋内に水を供給する、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記鍋内の圧力が1.05気圧未満で前記炊飯工程を行う非圧力式炊飯器である、請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御部は、前記重量検知部が検知した重量に基づいて判定した米及び水の量が予め決められた量になるまで、前記供給部を制御して前記鍋内に米及び水を供給し続ける、請求項1~のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項5】
前記米タンク及び前記水タンクの少なくとも一方は、前記筐体に着脱可能に取り付けられ、
前記制御部は、前記米タンク又は前記水タンクが、前記筐体から取り外された後、前記筐体に再度取り付けられたとき、当該筐体に再度取り付けられた前記米タンク内又は前記水タンク内に予め決められた量の米又は水が収容されていると判断する、請求項1~のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項6】
前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量を検知する残量検知部を更に備える、請求項1~のいずれか1つに記載の炊飯器。
【請求項7】
炊飯量を選択可能な選択部と、
警告を発信する報知部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記米タンク内の米及び前記水タンク内の水の少なくとも一方の残量が、前記選択部にて選択された炊飯量に対応する米又は水の量未満であるとき、前記報知部を制御して警告を発信する、請求項に記載の炊飯器。