(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023933
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】決済処理を実行する決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステム、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/02 20120101AFI20230209BHJP
G06Q 20/24 20120101ALI20230209BHJP
【FI】
G06Q20/02
G06Q20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129910
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】519046742
【氏名又は名称】Global Open Network株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】徳永 信二
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA21
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】決済処理を実行する決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムの提供。
【解決手段】本発明のコンピュータシステムは、所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報をサービス提供システムから受信する手段であって、一時的与信希望情報は、一時的な与信の有効期間と、一時的な与信の上限金額と、ユーザを識別するための情報とを含む、手段と、ユーザを識別するための情報に基づいて、ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定する手段と、有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認を得るために、一時的な与信の上限金額と、決済識別情報とを決済システムに送信する手段と、有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認を決済システムから受信したことに応答して、有効期間内のユーザに対する一時的な与信が承認された旨を示す通知をサービス提供システムに送信する手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、
前記コンピュータシステムは、
所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信する手段であって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、手段と、
前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定する手段と、
前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信する手段と、
前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信する手段と
を備える、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、前記ユーザによって操作されるユーザ装置と通信可能なようにさらに構成されており、
前記コンピュータシステムは、
前記ユーザ装置または前記サービス提供システムから、前記ユーザの決済を要求する決済リクエストを受信する手段であって、前記決済リクエストは、前記ユーザの利用金額を含む、手段と、
前記ユーザの利用金額または前記ユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方が前記一時的な与信の上限金額を超えているか否かを判定する手段と、
前記ユーザの利用金額および前記ユーザの累積された利用金額が前記一時的な与信の上限金額を超えていない場合に、前記ユーザの利用金額を累積する処理を実行する手段と
をさらに備える、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したか否かを判定する手段と、
前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したと判定された場合に、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段と
をさらに備える、請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したか否かを判定することは、前記一時的な与信の有効期間が経過したか否かを判定することを含み、前記一時的な与信の有効期間が経過したと判定された場合に、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したと判定される、請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記ユーザの利用金額または前記ユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方が前記一時的な与信の上限金額を超えている場合に、前記ユーザの利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段をさらに備える、請求項2~4のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記ユーザの利用金額および前記ユーザの累積された利用金額が前記一時的な与信の上限金額を超えていない場合に、前記ユーザの利用金額の決済の完了を前記ユーザに通知する処理を実行するための手段をさらに備える、請求項2~5のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記コンピュータシステムは、前記ユーザによって操作されるユーザ装置と通信可能なようにさらに構成されており、
前記コンピュータシステムは、
前記ユーザ装置または前記サービス提供システムから、前記ユーザの決済を要求する決済リクエストを受信する手段であって、前記決済リクエストは、前記ユーザの決済要求時期と、前記ユーザの利用金額とを含む、手段と、
前記ユーザの決済要求時期が前記一時的な与信の有効期間内であるか否かを判定する手段と、
前記ユーザの決済要求時期が前記一時的な与信の有効期間内でない場合に、前記ユーザの利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段と
をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムにおいて実行される方法であって、
前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、
前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、
前記方法は、
前記プロセッサ部が、所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信することであって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、ことと、
前記プロセッサ部が、前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定することと、
前記プロセッサ部が、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信することと、
前記プロセッサ部が、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信することと
を含む、方法。
【請求項9】
決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであって、
前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、
前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、
前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、
所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信することであって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、ことと、
前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定することと、
前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信することと、
前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信することと
を少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理を実行する決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステム、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オンラインライブイベントが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】テックファーム株式会社、“[コロナ禍で変わるライブ]アーティストのマネタイズ事例”、[online]、[令和3年8月2日検索]、インターネット<URL: https://www.techfirm.co.jp/blog/artist-monetization>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オンラインライブイベント中に、オンラインライブイベントの出演者に投げ銭をしたり、オンラインライブイベントのグッズをインターネットを介して購入したりすることができる。しかしながら、オンラインライブイベントにおいては、会場等において行われる通常のライブイベントよりも圧倒的に多い人数がオンラインライブイベントに同時に接続しているため、投げ銭および購入による決済処理が膨大になる。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、決済処理を実行する決済システムによって承認された一時的な与信の範囲内で、決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステム、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面において、本発明のコンピュータシステムは、決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムであり、前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、前記コンピュータシステムは、所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信する手段であって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、手段と、前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定する手段と、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信する手段と、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信する手段とを備える。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記ユーザによって操作されるユーザ装置と通信可能なようにさらに構成されており、前記コンピュータシステムは、前記ユーザ装置または前記サービス提供システムから、前記ユーザの決済を要求する決済リクエストを受信する手段であって、前記決済リクエストは、前記ユーザの利用金額を含む、手段と、前記ユーザの利用金額または前記ユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方が前記一時的な与信の上限金額を超えているか否かを判定する手段と、前記ユーザの利用金額および前記ユーザの累積された利用金額が前記一時的な与信の上限金額を超えていない場合に、前記ユーザの利用金額を累積する処理を実行する手段とをさらに備えていてもよい。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したか否かを判定する手段と、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したと判定された場合に、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段とをさらに備えていてもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したか否かを判定することは、前記一時的な与信の有効期間が経過したか否かを判定することを含み、前記一時的な与信の有効期間が経過したと判定された場合に、前記累積された利用金額の決済処理を前記決済システムに要求すべき決済タイミングに到達したと判定されてもよい。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記ユーザの利用金額または前記ユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方が前記一時的な与信の上限金額を超えている場合に、前記ユーザの利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段をさらに備えていてもよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記ユーザの利用金額および前記ユーザの累積された利用金額が前記一時的な与信の上限金額を超えていない場合に、前記ユーザの利用金額の決済の完了を前記ユーザに通知する処理を実行するための手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記ユーザによって操作されるユーザ装置と通信可能なようにさらに構成されており、前記コンピュータシステムは、前記ユーザ装置または前記サービス提供システムから、前記ユーザの決済を要求する決済リクエストを受信する手段であって、前記決済リクエストは、前記ユーザの決済要求時期と、前記ユーザの利用金額とを含む、手段と、前記ユーザの決済要求時期が前記一時的な与信の有効期間内であるか否かを判定する手段と、前記ユーザの決済要求時期が前記一時的な与信の有効期間内でない場合に、前記ユーザの利用金額の決済処理を前記決済システムに要求する手段とをさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明の1つの局面において、本発明の方法は、決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムにおいて実行される方法であり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、前記方法は、前記プロセッサ部が、所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信することであって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、ことと、前記プロセッサ部が、前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定することと、前記プロセッサ部が、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信することと、前記プロセッサ部が、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信することとを含む。
【0014】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、決済処理を実行する決済システムの代わりに前記決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記コンピュータシステムは、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システムと、前記決済システムとに通信可能なように構成されており、前記サービス提供システムは、前記決済システムとは異なり、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を前記サービス提供システムから受信することであって、前記一時的与信希望情報は、前記一時的な与信の有効期間と、前記一時的な与信の上限金額と、前記ユーザを識別するための情報とを含む、ことと、前記ユーザを識別するための情報に基づいて、前記ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定することと、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を得るために、前記一時的な与信の上限金額と、前記決済識別情報とを前記決済システムに送信することと、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信の承認を前記決済システムから受信したことに応答して、前記有効期間内の前記ユーザに対する前記一時的な与信が承認された旨を示す通知を前記サービス提供システムに送信することとを少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、決済処理を実行する決済システムによって承認された一時的な与信の範囲内で、決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステム、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法、プログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルのフローの一例を示す図
【
図2】大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステム200の構成の一例を示す図
【
図3A】ユーザデータベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3B】与信データベース部252に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図4】コンピュータシステム210において実行される処理のフローの一例を示す図
【
図5】コンピュータシステム210において実行される処理のフローの他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデル
出願人は、大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルを提案する。この新しいビジネスモデルは、例えば、イベント(例えば、オンラインイベント)において、大勢のイベント参加者による投げ銭および商品の購入によって大量・多頻度に発生する決済処理に起因して決済システムの処理に過大な負荷がかかることを回避することを企図したものである。この新しいビジネスモデルによれば、ユーザにサービス(例えば、インターネットを介して提供されるイベント(例えば、コンサートのライブ配信、ゲームの実況配信))を提供するサービス提供者が、イベントの実施期間と、イベントにおけるユーザに対する一時的な与信としてサービス提供者が希望する上限金額とを、一時的な与信を管理する仲介会社に送信し、仲介会社が、ユーザに対する一時的な与信の承認を決済会社に要求して、その承認の結果を決済会社から受信することによって、サービス提供者は、イベントの実施期間内においてのみ有効な一時的な与信の可否の結果をユーザごとに仲介会社から受信することができる。これにより、ユーザに対する一時的な与信が決済会社によって承認された場合には、イベントの実施期間内のみにおいて(すなわち、期間限定で)、ユーザからの決済要求がある度に決済会社に決済処理を要求することを必要とすることなく、サービス提供者が希望する一時的な与信の上限金額に満たない決済(例えば、低額の決済)を仲介会社が処理することが可能である。このように、一時的な与信を設け、仲介会社が決済会社に代わって決済処理の可否を決定することによって、大量・多頻度に発生する決済処理(例えば、低額の決済処理)に起因して決済システムが停滞してしまう事態を回避することが可能である。また、サービス提供者が決定したサービスの実施期間および上限金額に起因した一時的な与信が設けられるため、サービス提供者によって提供されるサービスに沿った一時的な与信を設けることが可能である。
【0018】
この新しいビジネスモデルは、インターネットを介して提供されるイベント以外のサービスにおいても有用である。サービスの他の一例は、シェアハウスにおいて提供されるサービスである。この場合、仲介会社は、シェアハウスにおける宿泊期間内においてのみ有効な一時的な与信を設けることによって、一時的な与信の上限金額に満たないシェアハウス内でのシェアハウスの宿泊者の有料設備の利用金額の決済を決済会社に代わって行うことができる。また、サービスの他の一例は、テーマパークにおいて提供されるサービスである。この場合、仲介会社は、ユーザがテーマパークに入場している間においてのみ有効な一時的な与信を設けることによって、一時的な与信の上限金額に満たないテーマパーク内でのユーザの利用金額の決済を決済会社に代わって行うことができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルのフローの一例を示す。なお、サービス提供者からサービスを受けるユーザは、一時的な与信を管理する仲介会社のコンピュータシステムに事前にユーザ登録しているものとする。ユーザ登録時、ユーザは、例えば、自分の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、Eメールアドレス、およびユーザの決済のために必要とされる決済識別情報(例えば、クレジットカード番号、デビットカード番号、PayPay番号、数字とアルファベットとの任意の組み合わせ)を仲介会社のコンピュータシステムに提供する。あるいは、ユーザのユーザ登録を簡略化するために、いくつかの個人情報を省略できるようにしてもよい。これにより、仲介会社は、ユーザの個人情報を把握することが可能である。ユーザ登録が完了すると、仲介会社のコンピュータシステムは、ユーザを識別するための情報(ユーザID)を発行してユーザに(例えば、ユーザによって操作されるユーザ装置を介して)提供する。以下、
図1に示される各ステップを詳しく説明する。
【0021】
ステップS101:ユーザにサービス(例えば、インターネットを介して提供されるイベント(例えば、コンサートのライブ配信、ゲームの実況配信))を提供するサービス提供者120は、サービス提供者120の所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報を、一時的な与信を管理する仲介会社110に送信する。一時的与信希望情報は、所望の一時的な与信の有効期間(例えば、サービスの提供期間(例えば、イベントの実施期間))と、所望の一時的な与信の上限金額と、ユーザを識別するための情報(ユーザID)とを含む。
【0022】
仲介会社110は、サービス提供者120から一時的与信希望情報を受信すると、ユーザを識別するための情報に基づいて、ユーザの決済識別情報を特定する。
【0023】
ステップS102:仲介会社110は、サービス提供者120の所望の一時的な与信の承認を決済会社130から取得するために、所望の一時的な与信の上限金額と、ユーザの決済識別情報とを決済会社130に提供する。このとき、仲介会社110は、所望の一時的な与信の有効期間を決済会社130にさらに提供してもよい。
【0024】
決済会社130は、所望の一時的な与信の上限金額とユーザの決済識別情報とに少なくとも基づいて、所望の一時的な与信の上限金額を上限とするユーザに対する一時的な与信を承認するか否かを判定する(すなわち、与信審査を行う)。例えば、通常の与信審査においてユーザに対して設定される上限金額よりも所望の一時的な与信の上限金額が下回っている場合には、決済会社130は、ユーザに対する一時的な与信を承認する。決済会社130は、仲介会社110から所望の一時的な与信の有効期間を受信している場合には、所望の一時的な与信の上限金額とユーザの決済識別情報と所望の一時的な与信の有効期間とに基づいて、所望の一時的な与信の上限金額を上限とするユーザに対する一時的な与信を承認するか否かを判定してもよい。
【0025】
ステップS103:決済会社130は、ユーザに対する一時的な与信を承認すると、ユーザに対する一時的な与信を承認した旨を仲介会社110に通知する。
【0026】
ステップS104:仲介会社110は、ユーザに対する一時的な与信が承認された旨をサービス提供者120に通知する。これにより、サービス提供者120は、サービス提供中における決済の準備が整った旨をユーザに通知することができる。
【0027】
ステップS105:サービス提供者120は、ユーザにサービスを提供している間に、ユーザ(特に、ユーザ装置)から決済を要求する決済リクエストを受信すると、ユーザの決済リクエストを仲介会社110に送信する。ユーザの決済リクエストは、例えば、サービス提供中に投げ銭および/または商品の購入などのために(例えば、クレジットカードを使用して)ユーザが利用した金額を含む。
【0028】
仲介会社110は、ユーザの決済リクエストを受信すると、ユーザの決済リクエストに含まれるユーザの利用金額が所望の一時的な与信の上限金額を超えているか否かを判定する。
【0029】
ステップS106:ユーザの利用金額が所望の一時的な与信の上限金額を超えていない場合には、仲介会社110は、ユーザの利用料金を累積する処理を実行し、ユーザの利用料金の決済処理が完了した旨をサービス提供者に通知する。ただし、この時点では、仲介会社110は、ユーザの利用金額の決済処理を決済会社130に要求しない。
【0030】
ステップS107:仲介会社110は、所望の一時的な与信の有効期間が経過すると、ユーザの累積された利用金額の決済処理を決済会社に要求する。
【0031】
このように、仲介会社110が一時的な与信を管理し、一時的な与信の有効期間が経過した後に仲介会社110がユーザの累積された利用金額の決済処理をまとめて決済会社130に要求することによって、決済会社130が受ける決済処理要求の数を大幅に減らすことができ、決済会社130の決済システムの負荷を軽減することができる。また、仲介会社110は、サービス提供者によって提供されるサービスに沿った一時的な与信をサービス提供者に提供することが可能である。
【0032】
なお、
図1に示される実施形態では、仲介会社110とサービス提供者120とが直接やり取りをする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、仲介会社110とサービス提供者120との間に別の会社が中継する場合も本発明の範囲内であり、かつ、仲介会社110とサービス提供者120とが一体となった会社(すなわち、ユーザへのサービスの提供と一時的な与信の管理とを行う会社)が決済会社130とやり取りをする場合も本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
2.大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステムの構成
図2は、大量・多頻度に発生する決済処理を効率的に実行することを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステム200の構成の一例を示す。
【0034】
図2に示される実施形態では、システム200は、一時的な与信を管理するためのコンピュータシステム210と、ユーザにサービスを提供するサービス提供者120が管理・運営するサービス提供システム220
1~220
Nと、決済処理を実行する決済会社130が管理・運営する決済システム230
1~230
Mとを備える。コンピュータシステム210は、インターネット240を介して、サービス提供システム220
1~220
Nのそれぞれ、および、決済システム230
1~230
Mのそれぞれと通信することが可能なように構成されている。ここで、N、Mは、1以上の整数である。なお、システム200は、ユーザによって使用される少なくとも1つのユーザ装置(図示せず)を備え得、コンピュータシステム210は、インターネット240を介して、少なくとも1つのユーザ装置と通信可能なように構成され得る。
【0035】
コンピュータシステム210は、一時的な与信を管理する仲介会社110のための処理を実行する情報処理システムである。コンピュータシステム210は、決済処理を実行する決済システム230
1~230
Mの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするものである。
図2に示される実施形態では、コンピュータシステム210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを含む。コンピュータシステム210のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0036】
インターフェース部211は、サービス提供システム2201~220Nのそれぞれとの通信を制御し、決済システム2301~230Mのそれぞれとの通信を制御する。
【0037】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット340などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0038】
プロセッサ部212は、コンピュータシステム210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、コンピュータシステム210は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0039】
コンピュータシステム210は、データベース部250に接続されている。データベース部250は、ユーザデータベース部251と、与信データベース部252とを含む。
【0040】
サービス提供システム2201~220Nのそれぞれは、インターネット240を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。また、サービス提供システム2201~220Nのそれぞれは、ユーザにサービスを提供するために必要とされる構成を有する。
【0041】
決済システム2301~230Mのそれぞれは、インターネット240を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。また、決済システム2301~230Mのそれぞれは、与信審査および決済処理を実行するために必要とされる構成を有する。
【0042】
少なくとも1つのユーザ装置は、インターネット240を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。例えば、少なくとも1つのユーザ装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス(眼鏡型ウェアラブルデバイス)、スマートウォッチ端末等の携帯無線端末であってもよいし、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0043】
なお、
図2に示される実施形態では、サービス提供システム220
1~220
Nのそれぞれ、および、決済システム230
1~230
Mのそれぞれ、および、少なくとも1つのユーザ装置がインターネット240を介してコンピュータシステム210と通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット240の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。なお、インターネット240およびその代わりの任意のネットワークを介することなく、ユーザ装置をコンピュータシステム210に電気的に結合した構成もまた本発明の範囲内である。さらに、ユーザ装置の機能およびコンピュータシステム210の機能の両方を一体的に組み込んだシステム(すなわち、スタンドアロン型のシステム)をコンピュータシステム210として構築してもよい。このようなスタンドアロン型のコンピュータシステム210もまた本発明の範囲内である。
【0044】
また、
図2に示される実施形態では、データベース部250は、コンピュータシステム210の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部250をコンピュータシステム210の内部に設けることも可能である。データベース部250の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部250は、コンピュータシステム210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。さらに、データベース部250に含まれる各データベース部の構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250に含まれる各データベース部もまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0045】
図3Aは、ユーザデータベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0046】
ユーザデータベース部251には、ユーザに関する情報が格納されている。ユーザに関する情報は、ユーザを識別するための情報(ユーザID)によって識別されることが可能である。ユーザに関する情報は、例えば、ユーザの氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、Eメールアドレス、およびユーザの決済のために必要とされる決済識別情報(例えば、クレジットカード番号、デビットカード番号、PayPay番号、数字とアルファベットとの任意の組み合わせ)などを含む。
【0047】
図3Bは、与信データベース部252に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0048】
与信データベース部252には、一時的な与信に関する情報が格納されている。一時的な与信に関する情報は、一時的な与信を識別するための情報(与信ID)によって識別されることが可能である。一時的な与信を識別するための情報(与信ID)は、ユーザを識別するための情報(ユーザID)と関連付けられている。一時的な与信に関する情報は、一時的な与信の有効期限、一時的な与信の上限金額、ユーザを識別するための情報(ユーザID)によって識別されるユーザの利用金額などを含む。
【0049】
3.コンピュータシステムの処理
図4は、コンピュータシステム210において実行される処理のフローの一例を示す。
図4に示される各ステップは、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部211によって実行される。なお、ユーザは、事前にユーザ登録済みであり、コンピュータシステム210は、データベース部250(特に、ユーザデータベース部251)内にユーザを識別するための情報(ユーザID)(例えば、電子ウォレット番号)を格納し、ユーザを識別するための情報(ユーザID)をユーザに提供しているものとする。以下、
図4に示される各ステップを説明する。
【0050】
ステップS401:所望の一時的な与信を示す一時的与信希望情報が受信される。一時的与信希望情報は、例えば、ユーザにサービスを提供するためのサービス提供システム2201から受信される。一時的与信希望情報は、例えば、一時的な与信の有効期間と、一時的な与信の上限金額と、ユーザを識別するための情報(ユーザID)とを含む。
【0051】
ステップS402:ステップS401において受信されたユーザIDに基づいて、ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報が特定される。この処理は、例えば、ユーザデータベース部251を参照して実行され得る。決済識別情報は、例えば、クレジットカード番号、デビットカード番号、PayPay番号、または数字とアルファベットとの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0052】
ステップS403:一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認を得るために、一時的な与信の上限金額と、ユーザの決済識別情報とが決済システム2301に送信される。このとき、一時的な与信の上限金額およびユーザの決済識別情報に加えて、一時的な与信の有効期間が、決済システム2301にさらに送信されてもよい。
【0053】
ステップS404:一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信が決済システム2301によって承認されたか否か(すなわち、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認が決済システム2301から受信されたか否か)が判定される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS405に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS406に進む。
【0054】
ステップS405:一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認が決済システム2301から受信されたことに応答して、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信が承認された旨を示す通知が、サービス提供システム2201に送信される。このとき、コンピュータシステム210(特に、コンピュータシステム210のプロセッサ部211)は、承認された一時的な与信を識別するための情報(与信ID)を生成し、承認された一時的な与信の有効期間および上限金額を与信IDとともに与信データベース部252内に格納し、生成された与信IDをサービス提供システム2201に提供するようにしてもよい。これにより、コンピュータシステム210は、サービス提供システム2201から与信IDを受信することにより、サービス提供システム2201に関連付けられた一時的な与信を特定することが可能である。
【0055】
ステップS406:一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信が承認されなかった旨を示す通知が、サービス提供システム2201に送信される。この場合、ユーザからの決済を要求する決済リクエストは、コンピュータシステム210を介して、または、コンピュータシステム210を介することなく、決済システム2301に提供される。
【0056】
なお、
図4に示される実施形態では、1人のユーザに対する一時的な与信の承認を説明したが、本発明はこれに限定されない。コンピュータシステム210は、
図4のステップS403において、複数のユーザのための一時的な与信の承認を得るために、一時的な与信の上限金額と、複数のユーザの決済識別情報とを決済システム230
1に送信してもよい。この場合、決済システム230
1において、一時的な与信の承認は、ユーザごとに実行される。それ故、一時的な与信の承認の結果は、ユーザごとに、決済システム230
1からコンピュータシステム210に提供される。従って、サービス提供者からサービスを受ける複数のユーザの一部は一時的な与信を承認され、かつ、サービス提供者からサービスを受ける複数のユーザの残りの一部は一時的な与信を承認されていない場合もあり得る。
【0057】
また、
図4に示される実施形態では、ステップS404において、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信が決済システム230
1によって承認されたか否かが判定される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステップS404に代えて、ステップS404’において、コンピュータシステム210は、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信として決済システム230
1によって承認された上限金額を示す情報を受信してもよい。一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額は、一時的与信希望情報に含まれる一時的な与信の上限金額の一部または全部であり得る。この場合、一時的な与信の承認された上限金額が、ユーザごとに異なり得るため、コンピュータシステム210は、一時的な与信の承認された上限金額を、ユーザIDに関連付けられた状態で、与信データベース部252に格納するようにしてもよい。
【0058】
図5は、コンピュータシステム210において実行される処理のフローの他の一例を示す。
図5に示される各ステップは、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部211によって実行される。以下、
図5に示される各ステップを説明する。
【0059】
ステップS501:ユーザの決済を要求する決済リクエストが受信される。決済リクエストは、サービス提供システム2201から受信されてもよいし、ユーザによって使用されるユーザ装置から受信されてもよい。決済リクエストは、例えば、与信IDと、ユーザIDと、ユーザの利用金額とを含む。決済リクエストは、ユーザの決済要求時期を示す情報をさらに含んでいてもよい。
【0060】
コンピュータシステム210は、与信IDを受信すると、与信IDに基づいて、一時的な与信の有効期間と、一時的な与信の上限金額とを特定することができる。この処理は、例えば、与信データベース部252を参照して実行される。
【0061】
ステップS502:ユーザの決済要求時期が一時的な与信の有効期間内であるか否かが判定される。ユーザの決済要求時期は、決済リクエストに含まれているものであってもよいし、コンピュータシステム210が決済リクエストを受信したタイミングをユーザの決済要求時期として特定したものであってもよい。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS503に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS508に進む。
【0062】
コンピュータシステム210は、ユーザIDを受信すると、与信データベース部252を参照して、ユーザIDに基づいて、一時的な与信の有効期間内のユーザの利用履歴(すなわち、ユーザの累積された利用金額)の有無を確認することができる。ユーザの累積された利用金額が与信データベース部252内に存在する場合には、コンピュータシステム210は、ステップS503、S504、S508において、ユーザの累積された利用金額を併せて処理し得る。
【0063】
ステップS503:ユーザの利用金額(あるいは、ユーザの利用金額またはユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方)が一時的な与信の上限金額を超えているか否かが判定される。この処理は、例えば、与信データベース部252を参照して実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS504に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS508に進む。
【0064】
なお、
図4のステップS404’において、コンピュータシステム210が、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額を示す情報を受信している場合には、
図5のステップS503において、コンピュータシステム210は、ユーザの利用金額(あるいは、ユーザの利用金額またはユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方)が、ユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額を超えているか否かを判定してもよい。
【0065】
ステップS504:ユーザの利用金額を累積する処理が実行される。この処理は、例えば、与信データベース部252を参照して実行される。ユーザの累積された利用金額が与信データベース部252内に存在する場合には、ユーザの利用金額を累積する処理は、ユーザの利用金額をユーザの累積された利用金額にさらに累積する処理を含む。
【0066】
ステップS505:ユーザの利用金額の決済処理の完了をユーザに通知するための処理が実行される。この処理は、例えば、ユーザの利用金額の決済処理が完了した旨を示す通知をサービス提供システム2201に送信し、その通知をユーザに送信することをサービス提供システム2201に行わせる処理を含む。あるいは、この処理は、例えば、ユーザの利用金額の決済処理が完了した旨を示す通知をユーザ装置に送信する処理を含む。
【0067】
ステップS506:決済リクエストがさらに受信されたか否かが判定される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS502に戻り、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS507に進む。
【0068】
ステップS507:ユーザの利用金額の決済処理を決済システム2301に要求すべき決済タイミングに到達したか否かが判定される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS508に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS506に戻る。決済タイミングは、例えば、一時的な与信の有効期間の最終日時であってもよいし、定期的なもの(例えば、毎日の所定の時刻(例えば、終業時刻))であってもよいし、特定の日であってもよい。例えば、決済タイミングに到達したか否かを判定することは、一時的な与信の有効期間が経過したか否かを判定することを含み、一時的な与信の有効期間が経過したと判定された場合には、決済タイミングに到達したと判定される。なお、ユーザの利用金額の決済処理を決済システム2301に要求すべき決済タイミングは、ユーザの累積された利用金額の決済処理を決済システム2301に要求すべき決済タイミングを含む。
【0069】
ステップS508:ユーザの利用金額の決済処理を決済システム2301に要求する処理が実行される。この処理は、例えば、ユーザの利用金額と、ユーザの決済識別情報とを決済システム2301に送信する処理を含む。ユーザの累積された利用金額が与信データベース部252内に存在する場合には、ユーザの累積された利用金額も併せて決済システム2301に送信される。
【0070】
なお、
図5に示される実施形態では、ステップS505がステップS504の後に実行されるように説明されたが、本発明はこれに限定されない。ステップS505は、ステップS503の後かつステップS506の前の任意のタイミングで実行され得る。
【0071】
なお、
図2、
図4、
図5に示される実施形態では、コンピュータシステム210とサービス提供システム220
1とが相互に異なるシステムである例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンピュータシステム210の機能およびサービス提供システム220
1の機能の両方を一体的に組み込んだシステムαもまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0072】
この場合、システムαは、
図4のステップS401において、ユーザ装置から一時的与信希望情報を受信することと、
図4のステップS402において、一時的与信希望情報に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザの決済のために必要とされる決済識別情報を特定することと、
図4のステップS403において、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認を得るために、少なくとも一時的な与信の上限金額とユーザの決済識別情報とを決済システム230
1に送信することと、
図4のステップS404において、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認が決済システム230
1から受信されたか否かを判定すること、または、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額を示す情報を受信することと、
図4のステップS405に代えてステップS405’において、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認が決済システム230
1から受信されたことに応答して、承認された一時的な与信を識別するための情報(与信ID)を生成し、承認された一時的な与信の有効期間および上限金額を与信IDとともに与信データベース部252内に格納し、生成された与信IDをユーザ装置に提供することと
を少なくとも実行し得る。
【0073】
また、システムαは、
図5のステップS501において、ユーザ装置から決済リクエストを受信することと、
決済リクエストに含まれる与信IDに基づいて、一時的な与信の有効期間と、一時的な与信の上限金額とを特定することと、
図5のステップS502において、ユーザの決済要求時期が一時的な与信の有効期間内であるか否かを判定することと、
与信データベース部252を参照して、決済リクエストに含まれるユーザIDに基づいて、一時的な与信の有効期間内のユーザの利用履歴(すなわち、ユーザの累積された利用金額)の有無を確認することと、
図5のステップS503において、ユーザの利用金額(あるいは、ユーザの利用金額またはユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方)が、一時的与信希望情報に含まれる一時的な与信の上限金額(または、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額)を超えているか否かを判定することと、
ユーザの利用金額(あるいは、ユーザの利用金額またはユーザの累積された利用金額のうちの少なくとも一方)が、一時的与信希望情報に含まれる一時的な与信の上限金額(または、一時的な与信の有効期間内のユーザに対する一時的な与信の承認された上限金額)を超えていない場合に、
図5のステップS504において、ユーザの利用金額を累積する処理を実行することと、
図5のステップS505において、ユーザの利用金額の決済処理の完了をユーザに通知するための処理を実行することと、
図5のステップS506において、決済リクエストがさらに受信されたか否かを判定することと、
決済リクエストがさらに受信されていないと判定された場合に、
図5のステップS507において、ユーザの利用金額の決済処理を決済システム230
1に要求すべき決済タイミングに到達したか否かを判定することと、
ユーザの利用金額の決済処理を決済システム230
1に要求すべき決済タイミングに到達したと判定された場合に、
図5のステップS508において、ユーザの利用金額の決済処理を決済システム230
1に要求する処理を実行することと
を少なくとも実行し得る。
【0074】
なお、
図4、
図5に示される実施形態では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、
図4、
図5に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図4、
図5に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0075】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、決済処理を実行する決済システムによって承認された一時的な与信の範囲内で、決済システムの代わりに決済処理の可否を決定することを可能にするコンピュータシステム、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法、プログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0077】
200 システム
210 コンピュータシステム
2201~220N サービス提供システム
2301~230M 決済システム
240 インターネット
250 データベース部