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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024137
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】エアノズル
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/02 20060101AFI20230209BHJP
   B05B 3/06 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B08B5/02 Z
B05B3/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130244
(22)【出願日】2021-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000115935
【氏名又は名称】イースタン技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】奥脇 久男
【テーマコード(参考)】
3B116
4F033
【Fターム(参考)】
3B116AA26
3B116AA46
3B116AB14
3B116BB23
3B116BB34
3B116BB43
3B116BB62
4F033PA01
4F033PB02
4F033PC01
4F033PD01
4F033PD03
(57)【要約】
【目的】製造物に対して付着した汚れをエア噴射にて吹き飛ばし、製造物を乾燥させるエアノズルを提供すること。
【構成】円筒ハウジング部2と,固定ベース部1とを有する固定本体A1と、固定ベース内1に回転自在に収納装着される回転ベース部3と、回転ベース部3の先端面部31bに設けられると共に空気流路31sと連通する1つの噴射管41及び1つの制御管42とを有する回転本体A2とを備える。噴射管41は移動軌跡円の接線を基準にして回転平面上における接線の両側を所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされ、制御管42は移動軌跡円の法線を基準にして回転平面上における法線から回転方向と反対側の領域で所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされる。噴射管41の内径は制御管42の内径よりも大きく、噴射管41の噴射エアの延長上における噴射領域と、制御管42の噴射エアの延長上における噴射領域とは交わる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一端に開口を有する円筒ハウジング部と,該円筒ハウジング部の軸方向他端側に接続された固定ベース部とを有する固定本体と、前記固定ベース内に回転自在に収納装着され且つ内部に空気流路を有すると共に回転軸芯線に直交し且つ前記円筒ハウジング部の内方側から前記開口に対向する先端面部を有する回転ベース部と,前記先端面部に設けられると共に前記空気流路と連通する1つの噴射管及び1つの制御管とを有する回転本体とを備え、前記噴射管及び前記制御管のそれぞれの根本部は前記先端面部の回転中心から離間すると共にそれぞれの噴射方向は前記回転軸芯線に対して所定角度に傾斜するように設定され、前記噴射管は前記根本部の移動軌跡円の接線を基準にして回転平面上における接線の両側を所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされ、前記制御管は根本部の移動軌跡円の法線を基準にして回転平面上における法線から回転方向と反対側の領域で所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされ、前記噴射管の内径は前記制御管の内径よりも大きくし、前記噴射管の噴射エアの延長上における噴射領域と、前記制御管の噴射エアの延長上における噴射領域とは交わることを特徴とするエアノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記制御管及び前記噴射管は、垂直管部と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置し、前記噴射管は垂直管と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置してなることを特徴とするエアノズル。
【請求項3】
請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記制御管及び前記噴射管は、両根本部付近は垂直状とし、他は弧状としてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの根本部中心は、前記回転ベース部の回転中心に対して点対称となる位置に設定されてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管におけるそれぞれの先端噴射口は、前記回転ベース部の回転平面と平行となることを特徴とするエアノズル。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの先端が挿通する噴射用孔部が設けられ前記回転ベースに装着される円板部が備えられてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記エアノズルが装着される下部第1ベース部と、該下部第1ベース部をワーク進行方向に対して直交する方向に揺動且つ固定自在に支持する下部第2ベース部と、該第2ベース部をワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在に支持する下部第3ベース部とを備えたエアノズルベースが具備されてなることを特徴とするエアノズル。
【請求項8】
請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記エアノズルが装着される上部第1ベース部と、該上部第1ベース部をワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在に軸支する上部第2ベース部とを備えたエアノズルベースが具備されてなることを特徴とするエアノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工場において製造過程又は製造完了した製造物(ワーク)又は洗浄施設における物品に対して洗浄液での洗浄による残留液(水分)或いは付着した切粉,塵,油汚れ等をエア(空気)噴射の圧力にて吹き飛ばし、製造物(ワーク),物品の表面を乾燥させるエアノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の製造物(ワーク)の製造過程において、その最終段階で、洗浄液で洗浄が行われた後に、洗浄された後に製造品の表面に残留した水分を除去し、乾燥させる必要がある。或いは、物品(例えば食器及び食品収納容器等)に対する洗浄を行うクリーニング施設等においても、物品が洗浄(クリーニング)された後に表面に残留した水分(残留液)を除去し、乾燥させる必要がある。この製造物(ワーク)又は物品から水分を除去し乾燥させるまでの工程は、製造物(ワーク)の製造効率を向上させるためにも洗浄に要する時間は短時間であることが要求される。製造物(ワーク)及び物品の洗浄行程における、乾燥行程は、通常は、高圧のエア噴射によって、製造物(ワーク)の表面に残留した液を吹き飛ばすようにして乾燥させている。
【0003】
また、機械部品の製造の業界などでは、機械部品等の製造過程において製造物(ワーク)の表面に付着した切粉、塵或いは残留した切削油或いは離型剤等を洗浄液で洗浄した後でエア・ガンで吹き飛ばして除去したり、或いは洗浄液で洗浄することなくエア・ガンで吹き飛ばして除去することが一般的に行われている。
【0004】
ここで、洗浄液による洗浄行程及びその後の乾燥行程が必要な製造物(ワーク)として、具体的には、樹脂成型品で、食品,衣類,機械部品等を収納するトレイ,コンテナボックス、及びHDD用ケース及び該HDD用ケースを収納するトレイ,コンテナボックス等があり、その他の樹脂成型品,機械加工品等が存在する。
【0005】
なお、トレイ,コンテナボックスの具体例として、コンビニエンスストア又はスーパー等で販売されるお弁当を収納する樹脂製の容器が存在する。また、トレイ,コンテナボックスとして、半導体チップを出荷する工程で、半導体チップを保護するための容器があり、このようなトレイ,コンテナボックスも温水シャワーで洗浄することがあり、このようなものが乾燥作業行程の対象となる。
【0006】
そして、機械製造業では、その生産現場において、前述した製造物(ワーク)の油汚れ,切粉,くずを、洗浄液を噴射して洗浄し、次いでエアによって水分を吹き飛ばし、このような洗浄と乾燥を行うことが頻繁に行われている。特に、製造過程における製造物(ワー
ク)の洗浄液を吹き飛ばすための装置が存在する。また、上記洗浄及び乾燥の工程は、機
械製造業における生産現場以外に、洗浄を専門とするクリーニング施設でも行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-187530号公報
【特許文献2】特開2018-94490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の洗浄装置において、例えばエアガン等が存在する。トレイ等の表面に凹凸のある製造物(ワーク)から切粉、塵或いは残留した切削油等の残留物を取り除くため洗浄液等にて洗浄後、前述のエアガンによって、表面の大部分に残った水分を乾燥させることはできるものであった。しかし、製造物(ワーク)の凹凸表面の窪んだところに残留する洗浄液の水切りを略完全に行うことは困難であった。
【0009】
そのために、洗浄液の水切りを略完全に行うために、製造物(ワーク)を立掛けた状態とし、製造物(ワーク)から洗浄液が自然に下方に落下して流れ出すように搬送する、又は長時間、エアを噴きつける、或いはエアの温度を上げるなどさまざまな手段がとられている。しかし、これらの作業は、極めて非効率的であり、製造物(ワーク)の洗浄行程にかなりの時間が占められることになる。
【0010】
そして、このような洗浄,乾燥の手段では多くの作業員が必要であり、またコンプレッサ等の関連機器も大量に必要とするため、設備を拡張させなくてはならず、自動化及びコスト面でも大きな負担となる。最近の洗浄装置においては、上記問題点を解決することはできるものの、製造物(ワーク)の表面はもちろん、溝,孔等の窪んだ箇所に残留する液,塵を積極的に掻き出し、容易に水切りを完全に行うことができるとは言えず、さらなる開発が要求されている。
【0011】
さらに、特許文献1における回転波動ノズルのように、ノズルからのエア噴射による、噴射力の分力である回転力にて回転体と共に噴射部分が回転し、洗浄後の乾燥作業で、波動状或いは間欠状のエア噴射を当てて洗浄液等の水分を吹き飛ばすものが開発されている。そして、この種のものでは、図12の回転体の回転数(回転速度)と乾燥品質の関係を示すグラフに見られるように、回転体の回転数(回転速度)が過剰に上昇し、一定の回転数を越えたあたりからエア噴射の波動性或いは間欠性効果が劣化し、連続的なエア噴射となり、乾燥品質(乾燥作業性能と呼んでもよい)が劣化する現象が生じることがある。
【0012】
特許文献1では、従来の同種のものに対して、以下のような問題点が提示されている。この問題点を記載すると、回転波動ノズルは、回転軸が軸受で回転自在に支持されているので、低圧の圧縮空気でも容易に回転できるため、回転数が上がり易いという特性を有している。そして、高回転数では乾燥品質が悪くなるとされている。つまり、回転波動ノズルの回転数と乾燥品質との間には、回転数がその最適値を超えて上昇すると、液滴を効率よく吹き飛ばすことが困難になる。
【0013】
そして、回転数がその最適値に達するまでは、回転波動ノズルは、圧縮空気を波動状(周期的、間欠的)にワークに吹き付けているため、液滴を効率よく吹き飛ばすことが可能であるとされている。しかし、回転数がその最適値を超えてしまうと、波動状に吹き付けられる圧縮空気の間隔が次第に短くなっていき、やがて圧縮空気が波動を生じなくなる。これでは、圧縮空気を連続的に噴射することと等しくなるため、乾燥品質が低下することになると指摘されている(図12参照)。さらにまた、回転波動ノズルの回転数が高くなると、軸受の寿命が短くなり、騒音も大きくなるという問題も指摘されている。
【0014】
特許文献1では、このような、回転体の回転数(回転速度)の過剰な上昇を抑制するための回転数抑制手段が具備されている。しかしながら、特許文献1における回転数抑制手段は、その構造が極めて複雑であり、そのために製造が困難で且つ高価なものとなるおそれが十分にある。
【0015】
さらに、ノズルのエア噴射によって、製造物(ワーク)の表面の洗浄及び水切りを行うときに、ノズル自体も本体の回転動作に伴って、その付け根の円軌跡に沿って回転するものであり、ノズルから噴射された高圧の噴射エアは製造物(ワーク)に対して略ドーナツ状の噴射領域を構成することになる。
【0016】
そのために、ノズルのエア噴射による高圧の噴射エアの営造物に対するドーナツ状の噴射領域において、その中心は高圧の噴射エアが存在しない領域が存在することになる。つまり無風領域が生じる。そして、この噴射エアが存在しない領域では、水切り洗浄が行われず、乾燥が不完全になるおそれがある。洗浄装置として、製造物(ワーク)又は物品がコンベアによって移動するものであるとしても、ノズルから噴射された高圧の噴射エアが略ドーナツ状の噴射領域となる場合には、コンベアによる移動速度を低速とする必要があり、水切り洗浄の作業効率が悪くなることも十分に起こりえるものである。
【0017】
また、製造物(ワーク)において、例えばコンテナボックス等のように開口から底面までの深さ寸法が大きな容器においては乾燥洗浄作業で、極めて深い位置にある底面へエア噴射によるエアが到達できなかったり、或いはと到達できたとしても、そのエアの圧力が不足で、十分なエア噴射を当てることがでず、換言するならば風力及び風圧が共に不足し、このようなことによって製造物(ワーク)に対する乾燥作業が不完全となるおそれがある。
【0018】
このような問題を解決するには、乾燥装置におけるエア噴射の風力,風圧を大きくすることが考えられる。このような構造を備えたものは、例えば従来技術として特許文献2に開示されているように、エアを噴射する管(ノズル部材)として比較的太いものが使用されている装置が存在している(図17参照)。しかし、特許文献2のように、単にエアを噴射する管を太くしたとしても、エア噴射の風力は大きくすることは可能でなるが、前述したように装置の回転数(回転速度)の過剰な上昇を抑制することができないものであり、エア噴射による風力がさらに大きくなることで、回転数が異常に上昇するおそれがある。
【0019】
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、部品等の製造物(ワーク)の表面はもちろん窪んだところに残留する水分も積極的に掻き出し、付着した液体の水切り又は付着した油及び塵が混じった油汚れを容易に吹き飛ばし、また切粉等の粉塵を吹き飛ばすことを効率的に行い、さらに、過剰に回転数が上昇することを抑制するための手段を極めて簡単な構成とし、また、さらに、ノズルから噴射された高圧の噴射エアの製造物(ワ
ーク)に対する噴射領域内に噴射エアの存在しない部分が生じることを防止し、或いは最
小限に抑えるようにし、且つエア噴射の風力及び圧力を大きくできるようにした
エアノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、請求項1の発明を、軸方向一端に開口を有する円筒ハウジング部と,該円筒ハウジング部の軸方向他端側に接続された固定ベース部とを有する固定本体と、前記固定ベース内に回転自在に収納装着され且つ内部に空気流路を有すると共に回転軸芯線に直交し且つ前記円筒ハウジング部の内方側から前記開口に対向する先端面部を有する回転ベース部と,前記先端面部に設けられると共に前記空気流路と連通する1つの噴射管及び1つの制御管とを有する回転本体とを備え、前記噴射管及び前記制御管のそれぞれの根本部は前記先端面部の回転中心から離間すると共にそれぞれの噴射方向は前記回転軸芯線に対して所定角度に傾斜するように設定され、前記噴射管は前記根本部の移動軌跡円の接線を基準にして回転平面上における接線の両側を所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされ、前記制御管は根本部の移動軌跡円の法線を基準にして回転平面上における法線から回転方向と反対側の領域で所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされ、前記噴射管の内径は前記制御管の内径よりも大きくし、前記噴射管の噴射エアの延長上における噴射領域と、前記制御管の噴射エアの延長上における噴射領域とは交わるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【0021】
請求項2の発明を、請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記制御管及び前記噴射管は、垂直管部と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置し、前記噴射管は垂直管と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置してなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載のエアノズルにおいて、前記制御管及び前記噴射管は、両根本部付近は垂直状とし、他は弧状としてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【0022】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの根本部中心は、前記回転ベース部の回転中心に対して点対称となる位置に設定されてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管におけるそれぞれの先端噴射口は、前記回転ベース部の回転平面と平行となるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【0023】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの先端が挿通する噴射用孔部が設けられ前記回転ベースに装着される円板部が備えられてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記エアノズルが装着される下部第1ベース部と、該下部第1ベース部をワーク進行方向に対して直交する方向に揺動且つ固定自在に支持する下部第2ベース部と、該第2ベース部をワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在に支持する下部第3ベース部とを備えたエアノズルベースが具備されてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【0024】
請求項8の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のエアノズルにおいて、前記エアノズルが装着される上部第1ベース部と、該上部第1ベース部をワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在に軸支する上部第2ベース部とを備えたエアノズルベースが具備されてなるエアノズルとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明では、先端面部に設けられると共に前記空気流路と連通する1つの噴射管及び1つの制御管とを有する回転本体とを備え、前記噴射管及び前記制御管のそれぞれの根本部は前記先端面部の回転中心から離間すると共にそれぞれの噴射方向は前記回転軸芯線に対して所定角度に傾斜するように設定され、前記噴射管は前記根本部の移動軌跡円の接線方向を基準にして回転平面上における接線の両側を所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされる構成としている。これによって、噴射管と制御管の両根本部を、回転ベース部の先端面部における回転中心に近接させることができ、そのために、回転本体の空気流路内を回転軸芯線に沿って直線状に流れる高圧エアが噴射管及び制御管に集中的且つ効率的に流れ込み、噴射管及び制御管から極めて高圧のエア噴射ができる。
【0026】
さらに、噴射管と制御管とは、回転ベース部の回動中心付近に位置しており、噴射管と制御管との両方のエア噴射を先端面部の回動中心付近に集中させることができる。したがって、製造物(ワーク)への乾燥作業を行う工程で、噴射管と制御管の噴射エアは、製造物(ワーク)に対して噴射エアが存在しない無風領域を無くし、或いは最小限にして、両方の噴射エアが相乗的に合わさって、製造物(ワーク)に対して極めて大きな乾燥作業を実現することができる。
【0027】
また、この種の回転タイプの乾燥装置においては、回転本体の回転数(回転速度)が過剰に増加しすぎることによって、エアノズルのエア噴射による製造物(ワーク)に対する乾燥品質或いは乾燥作業の効率が劣化することがある。このような場合でも、請求項1に係る発明では、前記制御管は根本部の移動軌跡円の法線方向を基準にして回転平面上における法線から回転方向と反対側の領域で所定角度の範囲で揺動且つ固定自在とされたことにより、噴射管のエア噴射方向と回転本体の回転ベース部の軸芯線に対して反対側に噴射方向が傾斜する制御管が設けられたことによって、噴射管による噴射方向と反対方向又は抵抗する方向となるように制御管の噴射が行われる。
【0028】
以上のことによって、回転ベース部の回転数(回転速度)が過剰に増加することを抑制し、該回転ベース部が適正な回転数(回転速度)となるようにすることができ且つその状態を維持することができ、製造物(ワーク)に付着した(洗浄液等の)液体や、塵埃,油汚れ等の吹き飛ばしの効果を最良なものとし乾燥品質を極めて良好なものにできる。また、制御管によるエア噴射も製造物(ワーク)に対する乾燥に寄与し、噴射管の乾燥作業と共により一層確実なる乾燥作業にすることができる。
【0029】
さらに、請求項1に係る発明におけるエアノズルでは、繰り返し述べるが、1本の噴射管と、1本の制御管が回転本体の先端面部における回転中心付近に近接して配置することができることにより、噴射管及び制御管のそれぞれの噴射エアが相乗的に作用して、風速及び圧力を大きくすることができる。これによって、特に、製造物(ワーク)において、その深さ寸法が大きな容器、例えばコンテナボックス等の乾燥洗浄作業では、極めて深い位置にある底部へ強力なエア噴射を当てることができ、乾燥作業を略完璧且つ確実に行うことができる。
【0030】
また、請求項1の発明では、前記噴射管の内径は前記制御管の内径よりも大なる構成としたことにより、一定の空気圧の元で、配管内を流れる風量は管内径に比例する。したがって、風量が多いほどエアをより遠くに送り出すことができる。噴射管の内径は、制御管の内径よりも大きく設定されており、噴射管と制御管との風量の配分は、噴射管が制御管よりも多くなる。そのため、制御管からの風量は少なくなり、噴射管からの風量は制御管からの風量より多くなり、よって、噴射管のエアの噴射力は大きく、エア圧力がより一層強くなる。これにより、噴射管のみで、製造物(ワーク)に対する乾燥作業を良好に維持でき、制御管は、回転本体の回転速度を常時適正に維持する重要な役目を確実に果たすことができる。
【0031】
このようなことから、噴射管からのエア噴射力は、制御管によるエア噴射力よりも大きくすることができ、噴射管によるエアノズルの回転本体の適正な回転速度を確保できると共に、噴射管のエア噴射も強力なものとし、特に、エアノズルの噴射管先端からかなり離れた位置にある製造物(ワーク)で、且つ深さのある通い箱等の深い容器の底面等の対象面に対して、強力な噴射エアを到達させることができ、略完全な乾燥状態にできる。このように、制御管による回転本体の回転速度の制御を十分に果たすと共に、そのエア噴射による乾燥作業能力も極めて高いものにできる。
【0032】
さらに、請求項1の発明では、前記制御管の噴射エアと前記噴射管の噴射エアは噴射方向延長線上で交わることにより、その交わる位置に製造物(ワーク)が配置されることにより、噴射領域において噴射エアの存在しない空白領域が生ずるドーナツ状の噴射範囲となることを防止し、噴射領域全体に有効的な噴射が行われるようにすることができる。
【0033】
請求項2の発明では、前記制御管及び前記噴射管は、垂直管部と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置し、前記噴射管は垂直管と傾斜管部とを有しており、前記垂直管部は前記噴射管の根本部側に位置してなる構成により、噴射管及び制御管の根本部がそれぞれ垂直管部としたことにより、根本部を周方向に回動させる構成を組付け易いものにでき、噴射管及び制御管の根本部における角度調整機構を簡単にすることができる。
【0034】
請求項3の発明では、前記制御管及び前記噴射管は、弧状とし、両根本部付近は垂直状としたことにより、回転ベース部からの噴射エアの流れを円滑且つ良好にして、噴射エアの圧力の損失を最小限にすることができる。請求項4の発明では、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの根本部中心は、前記回転ベース部の回転中心に対して点対称となる位置に設定されたことにより、噴射管及び制御管からのエア噴射のバランスが良好となり回転ベース部の回転を安定させることができる。請求項5の発明では、前記噴射管と前記制御管の先端噴射口は、前記回転ベース部の回転平面と平行となることにより、噴射管及び制御管を、回転平面上における何れの方向に角度を変更させても、そのエア噴射の噴射状態を均一にすることができる。
【0035】
請求項6の発明では、前記噴射管と前記制御管のそれぞれの先端が挿通する噴射用孔部が設けられ前記回転ベースに装着される円板部が備えられたことにより、円筒ハウジング部内に水滴と共に汚れの浸入を防止することができる。請求項7及び請求項8の発明びで、エアノズルをワーク進行方向及びワーク進行方向に直交する方向に揺動且つ固定自在とすることで、各エアノズルのエア噴射の方向を所望の方向に設定することができ、ワークの種類及び形状に応じた乾燥作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】(A)は本発明のエアノズルの縦断側面図、(B)はエアノズルの回転本体の開口側より見た平面図、(C)は(A)のY1-Y1矢視拡大断面図、(D)は(A)の(α)部拡大図、(E)は(A)の円筒ハウジング部の断面としたY2-Y2矢視図である。
図2】(A)は本発明のエアノズルにおける主要部材を分解した縦断側面図、(B)はエアノズルにおける回転本体の分解した縦断側面図、(C)は(B)の回転本体の主要部を別の方向から見た断面図である。
図3】(A)は回転本体における制御管及び支持ブロックの斜視図、(B)は制御管の根本部箇所及び回転ベースを示す要部拡大断面図、(C)は回転ベースと制御管を分離した要部断面図、(D)は回転ベースと噴射管を分離した要部断面図、(E)支持ブロック箇所における横断平面図である。
図4】(A)は本発明におけるエアノズルの初期状態の開口側より見た平面図、(B)は本発明におけるエアノズルの噴射管及び制御管を所定角度変化させた状態の開口側より見た平面図である。
図5】(A)乃至(C)は噴射管及び制御管を初期位置から所定角度変化させた状態の開口側より見た要部平面図である。
図6】(A)は本発明における下段側のエアノズルユニットのエアノズルの噴射領域を示す乾燥作業状態図、(B)は従来技術によるドーナツ型の噴射領域の略示図である。
図7】(A)は4個のエアノズルが備わったエアノズルユニットの平面図、(B)は(A)の一部切除したX1-X1矢視断面図、(C)は2個のエアノズルが備わったエアノズルユニットの一部切除した平面図である。
図8】本発明のエアノズルをエア噴射乾燥システムに適用した縦断側面略示図。
図9】エア噴射乾燥システムの別の実施形態の搬送駆動部の縦断側面略示図。
図10】(A)は本発明の噴射管及び制御管の配置の別の実施形態を示す開口側より見た平面図、(B)は本発明の噴射管及び制御管の配置のさらに別の実施形態を示す開口側より見た平面図である。
図11】(A),(B)は本発明の噴射管及び制御管の別の実施形態の縦断側面図である。
図12】エアノズルの回転数と乾燥品質の関係を示すグラフである。
図13】(A)は首振り機構を有する下段側のエアノズルユニット側面図、(B)は(A)の一部切除した(β)部拡大図、(C)は(B)の一部切除したY3-Y3矢視図である。
図14】(A)は首ふり機構を有する下段側のエアノズルユニットの分解斜視図、(B)はエアノズルユニットにおいて一部組み立てた拡大斜視図である。
図15】(A)は首ふり機構を有する上段側のエアノズルユニットの側面図、(B)は(A)のY4-Y4矢視断面図である。
図16】首ふり機構を有する上段側のエアノズルユニットの分解視図である。
図17】(A)及び(B)は従来技術を示す側面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明のエアノズルAnは、基本的な構成として、主に固定本体A1と回転本体A2とを備えたものであり、該回転本体A2には噴射管41と制御管42とが備わる(図1図2等参照)。噴射管41及び制御管42の詳細については後述する。また、以下の説明において、製造物(ワーク)9という文言が存在するが、この製造物(ワーク)9は、工場等の製造施設にて製造された製造物に限らず、物品の洗浄を行うクリーニング施設等の洗浄の対象となる物品も含まれる。以下、本説明では、これらのものを総称して製造物(ワーク)9という。
【0038】
固定本体A1は、非回転の構造物であり、該固定本体A1に対して前記回転本体A2は、
固定本体A1に回転自在となる構造にて装着されたものである〔図1(A),(B),図
2,図4等参照〕。なお、本発明では、エアノズルAnより噴射される空気の気体は、主に普通の空気であるが、種々の種類の気体も含まれる。また、以下説明において空気とした文言は、気体に置き換えても良い。
【0039】
固定本体A1は、主に固定ベース部1と円筒ハウジング部2とから構成されている〔図
1(A),(E),図2(A)参照〕。ここで、本発明において、エアノズルAnは、軸方向において「開口側」と「後方側」とを有する(図1図2等参照)。また、前記開口側については、「前方側」と称しても良い。軸方向は、回転本体A2が回転するときの回
転中心となる軸芯の線方向のことを言う。回転中心となる軸芯の線のことをエアノズルAnにおける回転軸芯線Lと称する。また、該回転軸芯線Lは、エアノズルAnを構成する全構成部材に共通する軸芯線である。よって、該回転軸芯線Lは、回転本体A2を構成す
る回転ベース部3及び円板部5にも適用される。さらに、固定本体A1に回転本体A2を装着した状態で、固定本体A1の中(軸)心線は回転軸芯線Lに一致又は略一致する〔図1(A)参照〕。
【0040】
つまり、エアノズルAnを構成する固定本体A1と回転本体A2は、固定本体A1に回転
本体A2が組み込まれた状態で、固定本体A1の軸芯が前記回転軸芯線Lに一致する状態でとなる。したがって、回転軸芯線Lは、固定本体A1の軸芯線としても共用される〔図1(A)参照〕。また、回転軸芯線Lに対して、固定本体A1と回転本体A2には、前記開口側(前方側)及び前記後方側の位置が決定される〔図1(A)参照〕。回転軸芯線Lは、主要な図に記載されている。
【0041】
固定ベース部1は、固定円筒部11と接続用固定フランジ部12とを有する〔図1図2(A)参照〕。固定円筒部11は、略中空円筒形状に構成されたものであり(図1乃至図3参照)、後述する回転本体A2の回転ベース部3が回転軸芯線Lを回転の軸として回転自在となるように装着される。固定円筒部11は、前述したように、略中空円筒形状であり、円筒形状における回転軸芯線Lに沿う軸方向両側が開放された円筒状貫通部11bを有する。固定円筒部11の後方側端部の開口周縁には、内ネジが形成されたネジ孔11cが前記周縁に沿って等間隔に形成されている(図2参照)。
【0042】
接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11内と、回転本体A2との間に装着される軸受34とスペーサ35とを収納配置するときの蓋としての役目と、後述するエアノズルベース6にエアノズルAnを装着するための接続部材としての役目をなす(図7図8図13乃至図16等参照)。接続用固定フランジ部12は、固定円筒部11の軸方向一端にビス等の複数の固着具13にて固着される。接続用固定フランジ部12は、環状の円板形状に形成され前記固定円筒部11の外径寸法よりも大きい。接続用固定フランジ部12には固定貫通孔12a,接続孔12b及び接続孔12cが形成されている。固定円筒部11と接続用固定フランジ部12との連結には、固着具13と接続孔12bとネジ孔11cとによって行われる。
【0043】
円筒ハウジング部2は、前記固定ベース部1の固定円筒部11よりも直径が大きく形成されたものであり、円筒状の容器形状をなしている〔図1(A),図2(A)参照〕。該円筒ハウジング部2は、円筒状側壁板部21と閉鎖板部22とを有し、軸方向の一端側で且つ前記閉鎖板部22と反対側が開口部2aとなっている。そして、前述したように、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口している側を開口側(前方側)とし、回転軸芯線Lに沿う軸方向において反対側を後方側とする(図1乃至図3等参照)。
【0044】
円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側には、前記固定ベース部1の固定円筒部11の軸方向一端が挿入する貫通孔22aが形成され、固定円筒部11と、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22とが溶接等の固着手段にて固着される。このとき、固定円筒部11の軸方向一端側の一部は、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22に喰い込む状態である〔図1(A),(E),図2(A)等参照〕。つまり、固定円筒部11の軸方向一端の一部が円筒ハウジング部2内に入り込んでいる。
【0045】
そのために固定円筒部11の軸方向開口側(前方側)寄りの外周側面は、環形鍔状部が形成され、環形鍔状部を境にして軸方向開口側(前方側)寄りの部分の直径が小さくなる小径部となり、その段差となる段差部11aが存在する。段差部11aは、固定円筒部11の小径部を円筒ハウジング部2の閉鎖板部22の貫通孔22aに挿入接続するためのストッパ及び位置合せの役目をなしている。
【0046】
次に、回転本体A2は、回転ベース部3と、噴射管41と、制御管42と、円板部5とを有する〔図1図2(B),図3参照〕。回転ベース部3は、回転円筒部31と回転フランジ部32とから構成される〔図1(A),図2(B),図3図4等参照〕。回転円筒部31は、円筒カップ状に形成され、円筒側面部31aと先端面部31bから構成される。円筒側面部31aは、回転円筒部31の外周を構成し、先端面部31bは、回転円筒部31の軸方向開口側(前方側)を閉鎖する部位である。回転円筒部31の内部は円筒状の空隙とした空気流路31sが形成されている〔図1(A),図2(B),(C)参照〕。先端面部31bは、回転円筒部31の底部を構成する部分であり、開口側より見て円形状であり、その直径中心が回転本体A2の回転軸芯線Lが通過する回動中心P1となる。
【0047】
回転ベース部3の回転円筒部31は、先端面部31b側付近で内径が拡張された、拡開室部311が形成されている。該拡開室部311では、空気流路31sが先端面部31b側で他の部分よりも容積が大きくなるように構成されている。そのために先端面部31bは、回転ベース部3の回転円筒部31を構成する部材として、円筒側面部31aとは、別部材とすることもある〔図1(A),図2(B),(C)参照〕。先端面部31bを別部材とする場合には、円板の円板状に形成され、ビス等の固着具によって回転円筒部31の拡開室部311側の開口を塞ぐように固着される〔図1(A),図2(B),(C)参照〕。
【0048】
回転円筒部31の後方側は、開口された空気入口31dとなっている。回転円筒部31の先端面部31bには、回転円筒部31の内部と外部との間を貫通する貫通孔とした2つの空気排出部31m及び空気排出部31nが形成されている。先端面部31bに形成された空気排出部31m及び空気排出部31nは、後述する噴射管41の根本部41j及び制御管42の根本部42jが装着される〔図1(A),(C),(D),図2(B),(C)参照〕。
【0049】
回転円筒部31の軸方向後方側には、回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される〔図1(A),図2(B)等参照〕。回転フランジ部32は、前記固定本体A1に装着されたときに、該固定本体A1の接続用固定フランジ部12に回転自在に係止し、
安定した状態で回転本体A2が回転できるようにする役目をなす。
【0050】
回転フランジ部32は、環状円板状をなし、空気入口孔32aが形成され、該空気入口孔32aの周縁に接続孔32bが形成されている。回転円筒部31の軸方向後方側の端面にはネジ孔31eが形成され、回転フランジ部32が回転円筒部31に、接続孔32b,ネジ孔31e及び固着具33により固着される〔図1(A),図2(B)参照〕。回転フランジ部32の外周縁は、固定本体A1の接続用固定フランジ部12の固定用貫通孔12aの内周縁に回転自在に係止できるようになっている〔図1(A),図2(A),(B)参照〕。
【0051】
次に、噴射管41と制御管42について説明する。噴射管41及び制御管42は、回転ベース部3の先端面部31bに装着されている。噴射管41は、その数は1本であり、製造物(ワーク)9に対する乾燥作業及び回転本体A2の回転動作を行わせる役目をなす。制御管42は、その数は1本であり、噴射管41による回転本体A2の回転数(回転速度)を抑制させる役目と、噴射管41と共に製造物(ワーク)9に対する乾燥作業を行わせる役目もなす。噴射管41と制御管42のエアの噴射方向は、回転ベース部3の回転軸芯線Lに対して所定角度θa,θbを有して傾斜するように設定されている〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。
【0052】
噴射管41及び制御管42は、それぞれの根本部41j,42j側が、回転円筒部31の先端面部31bに装着される〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。そして、噴射管41及び制御管42は、それぞれの根本部41j,42jを中心として回動し、回転本体A2における回転平面上において、噴射角度を変化させることができる(図4図5参照)。ここで、回転平面とは、回転本体A2の回転軸芯線Lに対して直交する平面のことであり、具体的には回転ベース部3の先端面部31bと同一平面若しくは該平面に平行な平面のことである。
【0053】
噴射管41及び制御管42のそれぞれの根本部41j,42j付近は直線状の管体部分として形成されており、この直線状の管体部分を垂直管部41a及び垂直管部42aと称する〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。つまり、垂直管部41a,垂直管部42aの軸端付近が根本部41j,42jとなっている。噴射管41及び制御管42のそれぞれの根本部41j,42jは断面円形状の略新円状の円管であり、根本部41j,42jの直径中心を揺動中心P1として回転平面上を揺動するものである(図4図5参照)。揺動する構造は後述する。
【0054】
噴射管41は、主に前述した垂直管部41aと共に傾斜管部41bを有している〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。垂直管部41aと傾斜管部41bとは、共に直線状管体であり、傾斜管部41bは、垂直管部41aの管長方向に対して所定の角度θaで傾斜する〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。つまり、傾斜管部41bの管長方向がエアの噴射方向となり、該傾斜管部41bが前記回転軸芯線Lに対して角度θaを有して傾斜するように構成されることで、噴射管41の先端噴射口41cからのエア噴射角度は回転軸芯線Lに対して角度θaとなる。
【0055】
次に、制御管42は、噴射管41の構成と同様であり、前述した垂直管部42aと共に傾斜管部42bを有している〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。垂直管部42aと傾斜管部42bとは、共に直線状管体であり、傾斜管部42bは、垂直管部42aの管長方向に対して角度θ2で傾斜する〔図1(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。つまり、傾斜管部42bの管長方向がエアの噴射方向となり、該傾斜管部42bが前記回転軸芯線Lに対して角度θbを有して傾斜するように構成されることで、制御管42の先端噴射口42cからのエア噴射角度は回転軸芯線Lに対して角度θbとなる。また、制御管42における角度θbは、噴射管41における角度θaと同等に設定してもよいし、異なるものに設定してもよい。
【0056】
そして、噴射管41は、根本部41jの揺動中心P1を中心として回転平面上を揺動することができるものであり、噴射管41が何れの方向に揺動しても、回転軸芯線Lに対する傾斜角度θaは、変わらず、常時一定である。同様に、制御管42は、根本部42jの揺動中心P1を中心として回転平面上を揺動することができるものであり、制御管42が何れの方向にに揺動しても、回転軸芯線Lに対する傾斜角度θbは、変わらず、常時一定である。
【0057】
噴射管41及び制御管42のそれぞれの根本部41j,42jの揺動中心P1,P2は、回転ベース部3の先端面部31bの回転中心Pから離間している〔図1(B),図3図4参照〕。回転本体A2は、固定本体A1に対して回転軸芯線Lの周囲を回転する。そして、回転本体A2が回転軸芯線Lを回転軸として回転動作を行うときには、噴射管41の根本部41jの揺動中心P1及び制御管42の根本部42jの揺動中心P2は、回転ベース部3の先端面部31bの回転中心Pを直径中心として円周状に移動し、その移動軌跡は円形となる〔図1(B),図3図4参照〕。そして、噴射管41の揺動中心P1の移動する軌跡を移動軌跡円Q1と称し、制御管42の揺動中心P2の移動する軌跡を移動軌跡円Q2と称する。
【0058】
噴射管41は、根本部41jの揺動中心P1の移動軌跡円Q1の接線方向を基準にして回転平面上における任意の位置に基準接線Ltが設定される。ここで、基準接線Ltの移動軌跡円Q1との接点は根本部41jの揺動中心P1の位置とする。前記基準接線Ltを中心にして該基準接線Ltの回転平面上における両側をそれぞれの揺動角度θ1の範囲で揺動且つ固定自在とされる。つまり、基準接線Ltに対して回転平面上に+θ1及び-θ1の範囲で揺動する〔図1(B),図4図5参照〕。揺動角度θ1は、具体的には、+θ1及び-θ1の範囲において、約0度乃至約90度未満であり、適正には+約30度及び-約30度である(図5参照)。
【0059】
また、制御管42は、根本部42jの揺動中心P2の移動軌跡円Q2の法線方向を基準にして回転平面上における任意の位置に基準法線Lnが設定される。ここで、基準法線Lnの移動軌跡円Q2との交点は根本部42jの揺動中心P2の位置とする。該基準法線Lnから回転ベース部3の回転方向と反対側の領域で所定の揺動角度θ2の範囲で揺動且つ固定自在とされる〔図1(B),図4図5参照〕。基準法線Lnは、先端面部31bの回転中心Pと、制御管42の根本部42jの揺動中心P2とを結ぶ線として設定されるものであり、制御管42の根本部42jは先端面部31bに対して設置位置が不動であり、基準法線Lnも先端面部31bに対して設置位置が不動となる。
【0060】
よって、基準法線Lnを基準にして回転本体A2における先端面部31bの回転方向に沿って、基準法線Lnの前方側を前進側とし、基準法線Lnを基準にして前進側と反対となる側つまり後方側を基準法線Lnの反対側という(図4参照)。基準法線Lnの反対側を、回転方向反対側と称する。また、図4及び図5において、前記基準接線Lt及び前記基準法線Lnは、一点鎖線にて示され、噴射管部41及び制御管42におけるエア噴射方向は実線にて示されている。
【0061】
ここで、噴射管41の揺動中心P1の移動軌跡円Q1と、制御管42の揺動中心P2の移動軌跡円Q2は、回転中心Pを中心とする同心円である〔図1(B),図3(E),図4図5参照〕。そして、移動軌跡円Q1と移動軌跡円Q2とは直径が同一となる場合と〔図1(B),図3(E),図4図5参照〕、異なる場合とが存在する(図10参照)。移動軌跡円Q1と移動軌跡円Q2とが同一であるときには噴射管部41の根本部41jの揺動中心P1と、制御管42の根本部42jの揺動中心P2の回転中心Pからの距離が等しくなる。そして、回転中心Pと揺動中心P1,P2とが一直線状に並ぶときには、回転中心Pを中心とする点対称の位置関係となる〔図1(B),図3(E),図4参照〕。
【0062】
制御管42は、噴射管41による回転本体A2の回転速度の過剰な上昇を抑制し、適正な回転速度を維持する役目をなすものである。したがって噴射管41からのエアの噴射力F1とし、制御管42からのエアの噴射力F2とすると、噴射管41による回転本体A2の回転推進力はF1cosθ1であり、制御管42による回転抑制力はF2sinθ2となる。
【0063】
ただし、噴射力F1及び噴射力F2は、回転本体A2の回転平面上に対して平行となる方向を有する力である。ここで、回転本体A2が適正方向に回転するために、回転推進力F1cosθ1は、回転抑制力F2sinθ2よりも大きく設定される。また、後述するが噴射管41の管内径D1は、制御管42の管内径D2よりも大きく設定されており、噴射管41の風量は、制御管42の風量よりも大きくなるので、所定の条件の元において、回転推進力F1cosθ1は、回転抑制力F2sinθ2よりも大きなものとなり、制御管42は、噴射管41による回転本体A2の回転速度を常時適正に維持する役目を果たすことになる。これによって、回転本体A2は、稼働時に噴射管41の噴射により回動中心P1を中心とし、回転軸芯線Lの周囲に沿って回転する。
【0064】
噴射管41は、空気を流通させて洗浄用のエア噴射と、回転本体A2を回転させる回転力となる推進用のエア噴射を発生させる管部材である。噴射管41の一端は、根本部41jである。該根本部41jは、回転円筒部31の円筒側面部31aで且つ先端面部31b側寄りの位置に設けられた空気排出部31mに挿入され、根本部41jが空気排出部31m内で揺動中心P1を揺動の中心として周方向に回転自在となるように構成される(図3図4図5参照)。
【0065】
制御管42は、回転本体A2の回転速度を抑制させ且つ噴射管41と共に乾燥作業を行う。制御管42の一端は、根本部42jである。該根本部42jは、回転円筒部31の円筒側面部31aで且つ先端面部31b側寄りの位置に設けられた空気排出部31nに挿入され、根本部42jが空気排出部31n内で揺動中心P2を揺動の中心として周方向に回転自在となるように構成される(図3図4図5参照)。
【0066】
噴射管41の管内径D1は、制御管42の管内径D2に対して大きく設定される〔図1(B),(C),(D),図3(C),(D),(E)参照〕。
つまり、
である。
【0067】
ここで、噴射管41の管内径D1は、先端面部31bに対して比較的大径であり、具体的には先端面部31bの直径の約20パーセント~約50パーセント程度である。制御管42の管内径D2は、制御管42の管内径D1よりも小さいが、先端面部31bの直径に対して大径に設定されている。
【0068】
次に、噴射管41と制御管42における回転ベース部3の先端面部31bに対する装着構造を説明する。この装着構造には、噴射支持ブロック45及び制御支持ブロック46が使用される。噴射管41は、噴射支持ブロック45を介して先端面部31bに装着され、制御支持ブロック46は、制御支持ブロック46を介して先端面部31bに装着される(図3参照)。
【0069】
噴射支持ブロック45は、支持孔45aが形成される。また、支持孔45aの孔方向に直交する方向に固定ネジ孔45bが形成される。また、噴射管41の根本部41jの外周には、周方向に固定溝41dが形成される(図3参照)。そして、支持孔45aに噴射管41の根本部41jが挿入され、固定ネジ孔45bに固定ネジ47がねじ込まれ、固定ネジ47の先端を根本部41jのネジ孔固定溝41dに挿入されるように設定される〔図3(B),(C)参照〕。
【0070】
固定ネジ47をゆるめることにより、噴射管41は根本部41jの揺動中心P1を中心にして揺動させることができ、所望の位置で固定ネジ47を締め付けることで先端面部31bに対して噴射管41を所望の角度で固定できる。
【0071】
制御支持ブロック46は、噴射支持ブロック45と略同等の形状であり、左右対称の形状となる。制御支持ブロック46には支持孔46aが形成され、また支持孔46aの孔方向に直交する方向に固定ネジ孔46bが形成される。また、制御管42の根本部42jの外周には、周方向に固定溝42dが形成され、支持孔46aに制御管42の根本部42jが挿入され、固定ネジ孔46bに固定ネジ47がねじ込まれ、固定ネジ47の先端を根本部42jのネジ孔固定溝42dに挿入されるように設定される。
【0072】
固定ネジ47をゆるめることにより、制御管42は根本部42jの揺動中心P2を中心にして揺動させることができ、所望の位置で固定ネジ47を締め付けることで先端面部31bに対して制御管42を所望の角度で固定できる。また、噴射支持ブロック45の支持孔45aは、先端面部31bの空気排出部31mに一致するように設置され、制御支持ブロック46の支持孔46aは空気排出部31nに一致するように設置される。
【0073】
噴射管41と先端噴射口41cと、制御管42の先端噴射口42cは、回転ベース部3の回転平面と平行に形成される〔図1(A),(C),(D),図3(B),(C),(D)参照〕。つまり、先端噴射口41c及び先端噴射口42cは、円筒ハウジング部2の開口部2aの開口面と平行となる。
【0074】
円板部5は、噴射管41の先端噴射口41c及び制御管42の先端噴射口42cの噴射エアを通過可能としたものである。そして、円板部5は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、円板部5と回転ベース部3との回転中心が一致又は略一致するように接続される。このとき、該先端面部31bと前記円板部5との間には、所定間隔を設けるために円筒状のカラー部53が設けられ、先端面部31bと円板部5とカラー部53とがビス等の固着具54にて固着される(図1図2参照)。
【0075】
円板部5には、取付用貫通孔5nが形成され、該取付用貫通孔5nにビス等の固着具54の螺子部が貫通され、カラー部53の螺子孔に固着具54が螺合される。回転本体A2において、円板部5及び噴射管41は、回転ベース部3を回転軸芯線Lに沿う回転軸として回転動作を行うものであり、制御管42は回転動作における回転数(回転速度)の過剰な上昇を抑制制御するものである。また、前記カラー部53は、回転ベース部3の回転円筒部31の先端面部31bに、一体形成されることある。
【0076】
円板部5は、固定本体A1の円筒ハウジング部2の開口部2aの開口周縁よりも軸方向後方側に位置するように設定される。そして、円板部5は、円筒ハウジング部2の開口部2aよりも内方側、つまり円筒ハウジング部2の後方側に位置する構造となる。そして、円筒ハウジング部2の開口部2aと、円板部5とによって、開口部2aから深さ寸法Hとなる略扁平円筒状の空隙室Sが円筒ハウジング部2の開口側に形成される〔図1(A)参照〕。
【0077】
前記深さ寸法Hは、空隙室Sの容積を設定する量であり、深さ寸法Hを適宜調整することで、容積も適宜設定できる。具体的には、空隙室Sの深さ寸法Hは、円筒ハウジング部2の全体の高さに比較して僅かな量である。さらに、円板部5の外周縁5aは円筒ハウジング部2の円筒状側壁板部21の内周側に非接触状態となるように設置されている。
【0078】
円板部5には、噴射用孔部51が形成されている。該噴射用孔部51には、噴射管41及び制御管42の先端噴射口41c及び制御管42の先端噴射口42cが貫通する。その貫通する状態は、先端噴射口41c及び先端噴射口42cが噴射用孔部51に僅かで量でも貫通していればよい。
【0079】
噴射管41の先端噴射口41cは、円筒ハウジング部2の開口部2aを超えない構成となっている〔図1(A),(C),(D)参照〕。つまり、噴射管41の先端噴射口41c及び制御管42の先端噴射口42cは、円筒ハウジング部2の開口部2aを越えることなく、内方に位置し、外方に突出することはない。
【0080】
本発明におけるエアノズルAnにおける固定本体A1と回転本体A2との組付けについて説明する。エアノズルAnには2個の軸受34が備わっている。まず、固定本体A1において固定ベース部1の軸方向の後方側の開口箇所から第1の軸受34が挿入され、次いでスペーサ35が挿入され、次いで、第2の軸受34が挿入される。
【0081】
次に、回転本体A2の回転ベース部3が第1及び第2の軸受34の内周側に挿入される。スペーサ35は、2個の円筒状リングであって、その1つは固定本体A1の固定円筒部11の円筒状貫通部11bの内周側に沿うようにして装着され、他の1つは回転本体A2の回転ベース部3の円筒側面部31aに沿うように装着される〔図1(A),図2(A)参照〕。
【0082】
そして、固定本体A1の固定ベース部1の後方側端部に接続用固定フランジ部12がビス等の固着具13によって固着され、第1,第2の軸受34及びスペーサ35が固定本体A1の固定ベース部1と、回転本体A2の回転ベース部3との間に固定される。さらに、前記接続用固定フランジ部12の固定貫通孔12a箇所で、且つ回転本体A2の回転円筒部
31の後方側端に回転フランジ部32がビス等の固着具33にて固着される。これによって、固定本体A1に対して回転本体A2が回転自在に装着され、該回転本体A2は回転軸芯線Lを回転中心線として回転する〔図1(A),(B),図4参照〕。
【0083】
回転本体A2には、内部に空隙部36bが設けられた扁平円筒形状の容器部36が具備される実施形態が存在する〔図1(A),図2(B),(C)参照〕。容器部36は、略ドーナツ或いは浮き輪状に形成されたものであり、内部が中空状の空隙部36bを有するものである。該容器部36は、回転本体A2の回転ベース部3に固着され且つ固定本体A1の円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側寄りの位置に設置される。
【0084】
容器部36は、回転本体A2と共に回転する。容器部36には、円筒ハウジング部2の閉鎖板部22側に近接する面に環状の挿入用貫通孔36aが形成されており、該挿入用貫通孔36aに前記固定本体A1の固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分が挿入する構成である〔図1(A),図2参照〕。容器部36の挿入用貫通孔36aの内周縁と固定ベース部1の固定円筒部11の外周との間には隙間を生じるようにしており、相互に非接触である。固定円筒部11の軸方向開口側の先端部分には、固定本体A1と回転本体A2との間に設けられる軸受34が配置されている。
【0085】
つまり、固定本体A1と回転本体A2との間に装着された軸受34の位置する箇所の周囲が、容器部36によって包囲されると共に環状の空隙部36bが存在する構成となっている(図1図3参照)。そして、軸受34のグリース又は潤滑用オイル等が漏れ出して、固定本体A1と回転本体A2との間から垂れ落ちた油分を、容器部36の空隙部36b内に溜めることができる。
【0086】
つまり、容器部36は、漏れ出したグリース又は潤滑用オイルのための溜め容器である。これによって、油分の汚れが円筒ハウジング部2内に拡散しないようにすることができるとともに、製造物(ワーク)9の乾燥作業で、該製造物(ワーク)9を汚してしまうことを防止できる。エアノズルAnには容器部36は装着されなくても構わない。
【0087】
一般的に、乾燥作業を行う通常のエアノズルAnは、エア噴射の管が設けられた回転部分が軸受で支持されており、円滑な回転性能を有しているので、前記回転部分の回転速度が上昇し易いものである。特に、回転速度が過剰に上昇しすぎた高回転数域では乾燥品質或いは乾燥効率が劣化するという問題がある。すなわち、エアノズルAnの回転部分の回転数と乾燥品質との間には、回転速度おける回転数がその最適値に到達するまでは、乾燥効率又は乾燥品質は向上してゆくが、回転速度おける回転数がその最適値を越えて上昇し続けると、液滴を効率よく吹き飛ばすことが困難になる〔図6(A)参照〕。
【0088】
つまり、回転数がその最適値に達するまでは、圧縮空気を波動状(周期的、間欠的)にワークに吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。しかし、回転速度が過剰に上昇し、回転数がその最適値を超えると、波動状に吹き付けられる圧縮空気の間隔が次第に短くなっていき、やがて、圧縮空気が波動を生じなくなる。これでは、圧縮空気を連続的に噴射することに等しいため、乾燥品質及び乾燥作業効率が低下することになる。また、回転波動ノズルの回転数が高くなると、軸受の寿命が短くなり、騒音も大きくなるという問題がある。
【0089】
本発明では、エアノズルAnにおける回転本体A2の回転速度が過剰に上昇しすぎることによって、上述したように、エアノズルAnのエア噴射による製造物(ワーク)9に対する乾燥作業の効率が劣化し、乾燥作業が上手く行かないという事態が生じることを防止し、また、回転本体A2の回転速度が過剰に増加することで軸受や他の部材に対しても負担がかかることも防止できる。
【0090】
つまり、回転本体A2の回転速度,回転数には、適正な数値が存在する。また、製造物(ワーク)9の形状及びサイズによっても、回転本体A2の回転速度を調整し最適な状態にすることが好ましい。このような場合、本発明では、制御管42のエア噴射(制御エア噴射)が、噴射管41のエア噴射に抵抗し、回転本体A2の回転数(回転速度)の上昇を抑制し、過剰な回転数(回転速度)となることを防止し、回転本体A2の回転数(回転速度)を常時最適な状態に維持するものである。
【0091】
これによって、噴射管41の先端噴射出口41からのエア噴射は、波動状(周期的、間欠的)にして、製造物(ワーク)9に吹き付けることができ、液滴を効率よく吹き飛ばすことができる。製造物(ワーク)9に付着した(洗浄液等の)液体や、塵埃,油汚れ等の吹き飛ばし、乾燥作業の効果を最良なものにできる。
【0092】
次に、噴射管41の噴射エアと、制御管42の噴射エアとは、噴射方向延長線上で交わる構成である〔図6(A)参照〕。噴射管41と制御管42のそれぞれの噴射エアは、略円錐状の空気流であり、円錐状の噴射エアにより噴射管41と制御管42のそれぞれの先端噴射口41c,42cから遠ざかるにしたがって、放射方向に拡張し、所定距離で交わることになる。
【0093】
さらに、回転本体A2が回転することにより噴射管41及び制御管42も移動軌跡Q1,Q2に沿って回転することで、両噴射エアの交わり部分が円形状となる。なお、噴射管41の噴射エアと、制御管42の噴射エアとが噴射方向延長線上で交わる距離は、噴射管41と制御管42とから噴射される円錐状の噴射エアの円錐頂角の角度によって決定される。円錐状の噴射エアの円錐頂角は、噴射管41及び制御管42から噴射されるエア圧力によって、種々変化するものである。
【0094】
そして、噴射領域41によるエア噴射領域を噴射管エア噴射領域とし、制御管42によるエア噴射領域を制御管エア噴射領域とし、両者が交わりながら回転して形成される総合的な噴射領域を総合エア噴射領域とする。これによって、総合エア噴射領域は、円形状で且つ無風の領域が生じない噴射領域となる〔図6(A)参照〕。
【0095】
このように、噴射管41の噴射エアと、制御管42の両噴射エアが、噴射方向延長線上で交わった状態で製造物(ワーク)9に当接し、乾燥作業を行うことになり、前述したように、噴射管41と制御管42との総合エア噴射領域は、無風の領域が生じない噴射領域であり、製造物(ワーク)9に対して、極めて強力にエア噴射ができ、効率的な乾燥作業にすることができ、乾燥品質を高いものにできる。
【0096】
また、前述したように、噴射管41の噴射エアと、制御管42の噴射エアとは、噴射方向延長線上で交わる構成であるが、噴射管41と制御管42のそれぞれの先端噴射口41c,42cから近距離の位置においては、両噴射エアが交わらない領域も存在する。この両噴射エアが交わらない領域に配置された製造物(ワーク)9に対しては、噴射管41と制御管42のそれぞれの噴射エアは、別々(又は単独)に製造物(ワーク)9に当接し、乾燥作業を行うことになる。
【0097】
図6(B)は、従来の一般的な噴射装置におけるエア噴射領域を示したものであり、そのエア噴射領域は円形状で且つドーナツ状であり、その噴射領域の中心付近の領域では噴射エアが存在しない無風の領域が生じる。本発明では、エア噴射領域内に無風の領域が存在するドーナツ状とはならないようにでき、極めて効率的な製造物(ワーク)9に対する乾燥作業ができる。
【0098】
本発明におけるエアノズルAnは、エアノズルベース6に接続装着されてエアノズルユニットUとして使用されるものである(図7図8参照)。具体的には、複数のエアノズルAnが、エアノズルベース6に装着されて使用されるものである。さらに、前記エアノズルユニットUは、エア噴射乾燥システムB(エア噴射乾燥装置Bと称することもある)の枠体7に組み付けられる(図8参照)。
【0099】
エア噴射乾燥システムBは、枠体7と送風部8とを備えており、枠体7に送風部8が組み込まれている(図8参照)。該送風部8は、圧縮空気を製造し、該圧縮空気を送り出すものであり、具体的には、電動ブロワー又は電動コンプレッサ等である。そして、送風部8からエアホース72を介して各エアノズルユニットUのエアノズルベース6を介して該エアノズルベース6に装着されたエアノズルAnに圧縮空気が供給される(図7図8参照)。
【0100】
また、エアノズルユニットUにおいて、各エアノズルAnに送風部8から圧縮空気を送る構造では、1つの送風部8で1個のエアノズルAnに圧縮空気を送る場合と、1つの送風部8で2個以上のエアノズルAnに圧縮空気を送る場合が存在する。1つの送風部8で2個以上の複数のエアノズルAnに圧縮空気を送る場合では、エアホース72と分岐継手73が備わり、送風部8からの圧縮空気が1本のエアホース72で送り出され分岐継手73を介して2本のエアホース72に圧縮空気が流れ、2個のエアノズルAnに圧縮空気を送ることができる(図8図9等参照)。本発明の実施形態では、下段側のエアノズルユニットUにおいては、各エアノズルAnごとに送風部8が備わっている。また、上段側及び中段側のエアノズルユニットUにおいては、2個のエアノズルAnに対して1台の送風部8が備わっている。
【0101】
エアノズルユニットUにおけるエアノズルベース6には、種々の実施形態が存在する。まず、エアノズルベース6の第1実施形態では、ベース基板66を有する(図7参照)。ベース基板66は、略プレート状に形成されている。複数のエアノズルAnがエアノズルベース6に装着されたエアノズルユニットUは、エアノズルベース6の取付部分を介して、エア噴射乾燥システムBの枠体7の所定位置に装着される。エアノズルユニットUは、エア噴射乾燥システムBの枠体7に装着される位置によって、下段側のエアノズルユニットU,上段側のエアノズルユニットU及び中段側のエアノズルユニットUに分けられる。
【0102】
下段側のエアノズルユニットUは、製造物(ワーク)9の下方からエア噴射を行うものであり、上段側のエアノズルユニットUは、製造物(ワーク)9の上方からエア噴射を行うものであり、中段側のエアノズルユニットUは、ワーク進行方向に直交する左右両側からエア噴射を行うものである。
【0103】
具体的には、下段側のエアノズルユニットUは搬送部71の搬送駆動部71aの下方側に設置され、上段側のエアノズルユニットUは搬送駆動部71aの上方側に設置され、中段側のエアノズルユニットUは、上下方向において下段側及び上段側のエアノズルユニットUの間に位置し、且つ、ワーク進行方向に沿って、下段側及び上段側のエアノズルユニットUよりも後方側又は前方側にずれて配置される。これは、中段側のエアノズルユニットUによるエア噴射が下段及び上段のエアノズルユニットUのエア噴射と干渉しないようにするためである(図8図9参照)。
【0104】
乾燥作業エリアにボルト,ナット等の固着具を介して装着される。ベース基板66には、エアノズルAnが接続設置される平坦状の設置面部を有しており、該設置面部に、装着されるエアノズルAnの個数と同等の空気供給孔66aが設けられている〔図7(B)参照〕。そして、送風部8によって、圧縮空気がベース基板66の空気供給孔66aに流れて、エアノズルAnの回転本体A2の空気入口31dから空気流路31sに流れ込む。さらに、空気流路31s内の圧縮空気が噴射管41に流入し、先端噴射口41cから回転軸芯線Lに対して傾斜状にエア噴出が行われ、回転本体A2が自動的に回転動作を行う。回転本体A2が自動的な回転動作を行いつつ、噴射管41から噴射されたエア(空気)が製造物(ワーク)9に付着した洗浄液等の水分,油分,切粉等の塵を吹き飛ばすことができる。
【0105】
エア噴射乾燥システムBは、枠体7に搬送部71が装着されている。搬送部71は、枠体7の搬送入口側から搬送出口側に向う方向に沿って配置された搬送駆動部71aを有している。搬送駆動部71aは、枠体7の搬送入口側から搬送出口側に向かって製造物(ワーク)9を搬送する役目をなすものであり、例えばベルトコンベア,無端可撓部材等が使用され、モータ等の電動にて回転駆動する。また、該搬送台は、金網、或いは金属製又は樹脂製,ゴム製等のメッシュ(網)状の部材で、エアノズルAnによる上下両方向からのエア噴射によるエアが良好に通過できるようになっている。そして、ワーク進行方向とは、製造物(ワーク)9が搬送部71によって搬送される方向のことで、枠体7の搬送入口側から搬送出口側に向う方向と同等の方向であり、図8図9図13乃至図16において進行方向が図示されている。
【0106】
搬送駆動部71aは、前述したようにベルトコンベアタイプとしたものでは2つの実施形態が存在し、その第1実施形態では、図8に示すように、モータによって回転する駆動輪71mと、ベルトコンベアタイプとした搬送駆動部71aの回転を支持する従動輪71nの2つを備えたものである。そして、モータにより駆動輪71mが回転し、ベルトコンベア(搬送駆動部71a)を回転させると共に従動輪71nにて安定した回転をさせるものである。このベルトコンベアタイプとした搬送駆動部71aの実施形態では、上段側のベルト部の通路と、下段側のベルト部の通路との間に、下段側のエアノズルユニットUが配置される。
【0107】
また、搬送駆動部71aの別の実施形態では、図9に示すように、ベルトコンベアタイプとした搬送駆動部71aの駆動輪71mと従動輪71nとの間に4個の案内輪71sを上下且つ左右対称となるように設け、ベルトコンベアにおける下段側のベルト部分の通路の一部を上方位置に移動させ、上段側のベルト部分の通路に近接させたものである。これによって、下段側のベルト部分の一部が上方に位置することで下段側のエアノズルユニットUの配置スペースを設けることができるようにしたものである。この実施形態では、下段側のエアノズルユニットUが、搬送駆動部71aの上下に位置するベルト部分の通路に挟まれないのでエアノズルユニットUが設置し易い構成となる。
【0108】
エアノズルユニットUは、エア噴射乾燥システムBの搬送入口側を正面より見て、搬送部71の上下方向及び左右(幅)方向を囲むようにして設置されている。そして、搬送部71の上方に位置する上段側のエアノズルユニットUは上下方向に位置調整可能な構成にすることもある。また、搬送部71の左右両側に装着される中段側のエアノズルユニットUは、左右方向に間隔を調整できる構成にすることもある。エア噴射乾燥システムBによって、製造物(ワーク)9に付着した洗浄液等の水分,油分或いは切粉等の塵を吹き飛ばして製造物(ワーク)9の乾燥(洗浄ともいう)を行うときには、エア噴射乾燥システムBの枠体7に装着された搬送部71によって製造物(ワーク)9の移動を行う。
【0109】
搬送部71のコンベアタイプ等の搬送駆動部71a上に載置された製造物(ワーク)9がエアノズルユニットUの装着箇所に搬送され、そこで搬送部71の下方側,上方側,左方側及び右方側に設置された下段側,上段側,中段側のそれぞれのエアノズルユニットUの設置箇所を乾燥作業領域とする。そして、搬送駆動部71aにおける製造物(ワーク)9が載置された部分が乾燥作業領域を通過する過程で、下段側,上段側,中段側のそれぞれのエアノズルユニットUのエアノズルAnからのエア噴射にて、製造物(ワーク)9に付着した洗浄液及び、その前過程で落としきれなかった塵,埃或いは油汚れを吹き飛ばし、製造物(ワーク)9を乾燥させるものである。さらに、場合によっては洗浄も乾燥と共に行われることもある。
【0110】
なお、搬送駆動部71aには、該搬送駆動部71aの回転動作によってワーク進行方向に移動する搬送台が必要に応じて具備されることもある。搬送台は、具体的には、製造物(ワーク)9が載置されるトレイ状のものであり、製造物(ワーク)9が搬送駆動部71a上を安定した状態で移送できる役目をなすものである。搬送台は、製造物(ワーク)9が特に小型である場合に使用されることが好ましい。
【0111】
また、エアノズルAnにおいては、回転本体A2が動作時で円筒ハウジング部2の開口部2aと、円板部5とによって形成された空隙室Sでは、噴射管41の先端噴射口41cから噴射された空気(エア)の流れが乱流状態となる。さらに、空隙室S内で噴射管41からの空気噴出と、前述した乱流状態の空気(エア)の流れがとが、混ざり合って、より一層活発で複雑な空気流を発生させ、製造物(ワーク)9に付着した洗浄液等の液体,油分又は切粉等の塵の吹飛しと、乾燥或によるクリーニングを極めて効率的に行うことができる。
【0112】
本発明におけるエアノズルAnでは、前述したように、1本の噴射管41と、1本の制御管42とを回転ベース部3における先端面部31bの回転中心P付近に近接して配置されてものである。これによって、噴射管41及び制御管42の風速及び圧力を大きくすることができ、乾燥作業における製造物(ワーク)9で、特に深さ寸法の大きな容器、例えばコンテナボックス等の深さの有る立方体又は円筒形状の容器等における乾燥洗浄作業で、極めて深さ寸法の大きなものの底部の乾燥作業を行うことができる。
【0113】
具体的には、従来の一般的な噴射装置では、前記コンテナボックスを乾燥洗浄する場合、該コンテナボックスの深さ寸法、つまり開口から底面までの寸法が、従来では約100mm乃至約150mm程度までが限界であったが、本発明におけるエアノズルAnでは、深さ寸法が約300mm乃至約500mm程度のコンテナボックスまで、乾燥作業を強力に行うことができる〔図6(A)参照〕。また、前述したように、エアノズルAの噴射管エア噴射領域と制御管エア噴射領域とが回転することによって形成される総合エア噴射領域には、無風領域が存在せずよって、コンテナボックスに対して、極めて有効に乾燥作業ができる〔図6(A)参照〕。
【0114】
次に、エアノズルベース6の別の実施形態を説明する。この実施形態では、エア噴射乾燥システムBの下段側のエアノズルユニットUと、上段側のエアノズルユニットUにおける各エアノズルAnを首振り状構造とし、首振りによる揺動動作を行い且つ所望の揺動角度で固定することができる構成としたものである(図13図14参照)。
【0115】
まず、エア噴射乾燥システムBにおける下段側のエアノズルのエアノズルベース6は、下部第1ベース部61と、該下部第1ベース部61をワーク進行方向に直交する方向に揺動且つ固定自在に軸支する下部第2ベース部62と、該第2ベース部62をワーク進行方向に揺動且つ固定自在に軸支する下部第3ベース部63と、枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68を備えている。
【0116】
下部第1ベース部61は、平坦状且つ長方形又は正方形等の方形状の設置基板611とその幅方向両側に揺動側板612が形成され、両該揺動側板612には、枢支孔612a,揺動規制孔612bがそれぞれ形成されている。そして、枢支孔612aを中心に位置させその両側に揺動規制孔612bが形成されている。
【0117】
これら枢支孔612a及び揺動規制孔612bは、ネジ孔である。前記設置基板611には、その中心にエア通路孔611aが形成されており、該エア通路孔611aの周囲にエアノズルAnの複数の取付孔611bが等間隔に形成されている。該取付孔611bはネジ孔である。下部第1ベース部61の設置基板61aには、エアノズルAnがボルト等の固着具を介して装着され、エアホース72がエア通路孔611aを介してエアノズルAnに装着される。
【0118】
次に、下部第2ベース部62は、長方形又は正方形等の方形状の枠状部材であり、2つの対向する揺動主板621及び2つの対向する揺動従板622によって方形状枠が構成されている(図13図14参照)。揺動主板621には枢支孔621a,揺動規制孔621bが形成されており、枢支孔621aを中心に位置させその両側に揺動規制孔621bが形成されている。揺動主板621の枢支孔621a及び揺動規制孔621bは、下部第1ベース部61の枢支孔612a及び揺動規制孔612bと同等又は略同等である。
【0119】
揺動従板622には、揺動枢支孔622a及び揺動長孔622bが形成されており、揺動枢支孔622aを中心に位置させその両側に揺動長孔622bが形成されている。これら、揺動枢支孔622a及び揺動長孔622bは、単なる貫通孔であり、内ネジは形成されていない。
【0120】
下部第2ベース部62の揺動長孔622bにおける揺動枢支孔622aと揺動長孔622bの配置構成と、下部第1ベース部61の揺動側板612における枢支孔612a及び揺動規制孔612bとの配置構成は同一であり、酢と揺動枢支孔622aとの位置が一致すると両揺動規制孔612bとの位置は一致するように構成されている(図14参照)。
【0121】
そして、下部第1ベース部61の両揺動側板612と、下部第2ベース部62の揺動主板621とが対向するようにして、下部第2ベース部62の方形状枠内に下部第1ベース部61が挿入される。そして、下部第2ベース部62の揺動枢支孔622aと下部第1ベース部61の枢支孔612aに枢支ボルト67を挿入し、枢支孔612aと螺合させる。また、下部第2ベース部62の揺動長孔622bと、下部第1ベース部61の揺動規制孔612bに揺動規制ボルト68を挿入し、揺動規制孔612bと螺合させる。
【0122】
これによって、下部第1ベース部61は、下部第2ベース部62に対して枢支ボルト67を介して左右両側に揺動し、枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68の締付けにより下部第1ベース部61は下部第2ベース部62に対して所望の角度で固定することができる。下部第1ベース部61の左右の揺動角度は上下方向に約15度乃至約30度程度であり、好適には約25度程度が好適である。そして、このような揺動角度となるように下部第2ベース部62の揺動長孔622bの長さ寸法が設定される。ここで、エアノズルAnの首振りタイプのエアノズルベース6に使用される枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68による締付固定において、特に図示しないが、ワッシャ及びスプリングワッシャが使用されることもある。
【0123】
次に、下部第3ベース部63は、略長方形状の枠状部材であり、2つの対向する揺動支持側板631及び2つの対向する連結側板632によって長方形状枠が構成されている(図13図14参照)。揺動支持側板631には、揺動枢支孔631a及び揺動長孔631bが形成されており、揺動枢支孔631aを中心に位置させその両側に揺動長孔631bが形成されている。これら、揺動枢支孔631a及び揺動長孔631bは、単なる貫通孔であり、内ネジは形成されていない。揺動支持側板631における揺動枢支孔631a及び揺動長孔631bは、下部第2ベース部62における揺動従板622の揺動枢支孔622a及び揺動長孔622bと同等又は略同等である。
【0124】
下部第3ベース部63には、下部第1ベース部61と下部第2ベース部62とを組付けたものが複数個所定間隔をおいて装着できるようにしている。したがって、下部第3ベース部63において、揺動枢支孔631a及び揺動長孔631bの集合を一組としたものが、両揺動支持側板631に所定間隔をおいて複数組設けられている〔図14(B)参照〕。本発明の実施形態では、下部第3ベース部63に装着される下部第1ベース部61と下部第2ベース部62の組付けたものが4個の装着される構成としたが、これに限定されず下部第1ベース部61と下部第2ベース部62の組付けたものを1個又は3個以上装着される構成としてもよい。
【0125】
そして、下部第3ベース部63の両揺動支持側板631と、下部第1ベース部61が組み込まれた下部第2ベース部62の揺動主板621とが対向するようにして、下部第3ベース部63の長方形枠内に複数の下部第2ベース部62が挿入される。そして、下部第3ベース部63の揺動枢支孔622aと下部第2ベース部62の枢支孔621aに枢支ボルト67を挿入し、枢支孔621aと螺合させる。また、下部第3ベース部63の揺動長孔631bと、下部第2ベース部62の揺動規制孔621bに揺動規制ボルト68を挿入し、揺動規制孔621bと螺合させる。
【0126】
これによって、下部第1ベース部61が組み込まれた下部第2ベース部62は、下部第3ベース部63に対して枢支ボルト67を介して左右両側に揺動し、枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68の締付けにより下部第2ベース部62は下部第3ベース部63に対して所望の角度で固定することができる。下部第2ベース部62の左右の揺動角度は上下方向に約15度乃至約30度程度であり、好適には約25度程度が好適である。そして、このような揺動角度となるように下部第3ベース部63の揺動長孔631bの長さ寸法が設定される。
【0127】
下段側のエアノズルユニットUは、下部第3ベース部63が略長方形状の枠状部材としたものであり、その長手方向に沿って両揺動支持側板631が配置される。そして、下段側のエアノズルユニットUにおける下部第3ベース部63の長手方向が、エア噴射乾燥システムBにおけるワーク進行方向と同一となるように、該エア噴射乾燥システムBの枠体7に設置される〔図8図13(A)等参照〕。
【0128】
つまり、下段側のエアノズルユニットUは、複数(本実施形態では4個)のエアノズルAn(本実施形態では4個)が略一列状に配列された状態となる。これによって、下部第2ベース部62は、ワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在となる。また、エアノズルAnが装着された下部第1ベース部61は、エアノズルAnをワーク進行方向に対して同一及び直交する方向に揺動することができ、実質的にはエアノズルAnが略全方向に揺動且つ固定自在とされ、揺動角度の設定の自由度を高くすることができる構成としたものである。
【0129】
次に、エア噴射乾燥システムBにおける上段側のエアノズルのエアノズルベース6は、上部第1ベース部64と、該上部第1ベース部64をワーク進行方向に対して直交する方向に揺動且つ固定自在に軸支する上部第2ベース部65と枢支ボルト67と揺動規制ボルト68を備えている(図15図16参照)。これらが上部第1ベース部64と上部第2ベース部65とが枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68にて、上部第1ベース部64がエア噴射乾燥システムBにおけるワーク進行方向及びワーク進行方向に対して同一方向に揺動且つ固定自在となる構成としたものである。
【0130】
上部第1ベース部64は、平坦状且つ長方形状の設置基板641とその幅方向両側に揺動側板642が形成され、両該揺動側板642には、枢支孔642a,揺動規制孔642bがそれぞれ形成されている。そして、枢支孔642aを中心に位置させその両側に揺動規制孔642bが形成されている。これら枢支孔642a及び揺動規制孔642bは、ネジ孔である。
【0131】
前記設置基板641には、その中心に複数のエア通路孔641aが形成されており、該各エア通路孔641aの周囲にエアノズルAnの固定用の複数の取付孔641bが等間隔に形成されている。該取付孔641bはネジ孔である。上部第1ベース部64の設置基板641には、複数のエアノズルAnが装着され、エアホース72がエア通路孔641aを介してエアノズルAnに装着される。本発明における実施形態では、設置基板641には2つのエアノズルAnが装着される。
【0132】
次に、上部第2ベース部65は、略長方形状の枠状部材であり、2つの対向する揺動支持側板651及び2つの対向する連結側板652によって長方形状枠が構成されている(図15図16参照)。揺動支持側板651には、揺動枢支孔652a及び揺動長孔652bが形成されており、揺動枢支孔652aを中心に位置させその両側に揺動長孔652bが形成されている。これら、揺動枢支孔652a及び揺動長孔652bは、単なる貫通孔であり、内ネジは形成されていない。揺動支持側板651における揺動枢支孔652a及び揺動長孔652bは、上部第1ベース部64における揺動主板641の枢支孔642a及び揺動規制孔642bと同等又は略同等である。
【0133】
上部第1ベース部64には、上部第1ベース部64が複数個所定間隔をおいて装着できるようにしている。したがって、上部第2ベース部65において、揺動枢支孔652a及び揺動長孔652bの集合を一組としたものが、両揺動支持側板6351に所定間隔をおいて複数組設けられている。本発明の実施形態では、上部第2ベース部65に装着される上部第1ベース部64が2個の装着される構成としたものであるが、これに限定されず1個又は3個以上の上部第1ベース部64としてもよい。
【0134】
そして、上部第2ベース部65の両揺動支持側板651と、上部第1ベース部64の揺動主板641とが対向するようにして、上部第2ベース部65の長方形枠内に複数の上部第1ベース部64が挿入される。そして、上部第2ベース部65の揺動枢支孔652aと上部第1ベース部64の枢支孔642aに枢支ボルト67を挿入し、枢支孔642aと螺合させる。また、上部第2ベース部65の揺動長孔642bと、上部第1ベース部64の揺動規制孔642bに揺動規制ボルト68を挿入し、揺動規制孔642bと螺合させる。
【0135】
これによって、上部第1ベース部64は、上部第1ベース部64に対して枢支ボルト67を介して左右両側に揺動し、枢支ボルト67及び揺動規制ボルト68の締付けにより上部第1ベース部64は上部第2ベース部65に対して所望の角度で固定することができる。上部第1ベース部64の左右の揺動角度は上下方向に約15度乃至約30度程度であり、好適には約25度程度が好適である。
【0136】
そして、このような揺動角度となるように上部第2ベース部65の揺動長孔652bの長さ寸法が設定される。上部第1ベース部64の設置基板641には、2個のエアノズルAnが装着されている。このように、上段側のエアノズルユニットUでは、ワーク進行方向に対して直交方向及びに同一方向に2個ずつ全部で4個のエアノズルAnが設けられている(図15図16参照)。そして、1つの上部第1ベース部64が上部第2ベース部65に対して揺動することで、上部第1ベース部64に装着された2つのエアノズルAnも同時にワーク進行方向に対して同一方向に揺動するものである。
【符号の説明】
【0137】
A1…固定本体、1…固定ベース部、2…円筒ハウジング部、A2…回転本体、
3…回転ベース部、31b…先端面部、31s…空気流路、41…噴射管、
42…制御管、41a,42a…垂直管部、41b,42b…傾斜管部、
5…円板部、61…下部第1ベース部、62…下部第2ベース部、
63…下部第3ベース部、64…上部第1ベース部、65…上部第2ベース部、
L…回転軸芯線。
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