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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024180
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20230209BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20230209BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130324
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】角田 幸介
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH04
2C002CH06
2C002MM02
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヘッド本体の大型化及び深重心化を図った構成において、ゴルフボールを効率的に飛ばすことが可能なゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るゴルフクラブヘッド10は、フェース面11aを有するフェース部11と、フェース部11の上縁から後方に延びるクラウン部12とを有する中空のヘッド本体1を備え、ヘッド本体1の体積が440cm以上であり、ヘッド本体1を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、クラウン部12の頂部の高さが62mm以上であり、クラウン部12の頂部とフェース面11aの上端との高さ差が7mm以上であり、ヘッド本体1の重心深度が40mm以上であり、横慣性モーメントが4800g・cm以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース面を有するフェース部と、前記フェース部の上縁から後方に延びるクラウン部とを有する中空のヘッド本体を備え、
前記ヘッド本体の体積が440cm以上であり、
前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、
前記クラウン部の頂部の高さが62mm以上であり、
前記クラウン部の頂部と前記フェース面の上端との高さ差が7mm以上であり、
前記ヘッド本体の重心深度が40mm以上であり、
横慣性モーメントが4800g・cm以上であるゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記フェース面のロール半径が240mm以下である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記クラウン部が、比重2.1以下の非金属物質を含んでおり、
前記クラウン部に占める前記非金属物質の含有量が70体積%以上である請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記非金属物質が、繊維強化樹脂である請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、
前記クラウン部の頂部と前記フェース面の上端との高さ差の、前記フェース面の上端の高さに対する比が、0.10以上0.25以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
中空のヘッド本体を有するゴルフクラブヘッドには、打球の方向性が高いことが望まれる。このような観点から、ゴルフクラブヘッドの大型化及び深重心化によって、ゴルフクラブヘッドの横慣性モーメントを大きくすることが行われている(特開2013-63341号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-63341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているゴルフクラブヘッドは、ヘッドの体積を300cm以上に大きくし、かつバックフェース側に設けられた中実部によって深重心化を図ることで横慣性モーメントを大きくしている。
【0005】
一方で、横慣性モーメントを大きくすべくヘッドの体積を大きくし、かつ深重心化を図ると、ヘッドの重心が高くなりやすい。そのため、このゴルフクラブヘッドによってゴルフボールを打撃すると、ヘッドの重心をフェース面に投影した投影点(スイートスポット)に対して打点が低くなり、ゴルフボールを効率的に飛ばすことができないという課題が生じている。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、ヘッド本体の大型化及び深重心化を図った構成において、ゴルフボールを効率的に飛ばすことが可能なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るゴルフクラブヘッドは、フェース面を有するフェース部と、前記フェース部の上縁から後方に延びるクラウン部とを有する中空のヘッド本体を備え、前記ヘッド本体の体積が440cm以上であり、前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、前記クラウン部の頂部の高さが62mm以上であり、前記クラウン部の頂部と前記フェース面の上端との高さ差が7mm以上であり、前記ヘッド本体の重心深度が40mm以上であり、横慣性モーメントが4800g・cm以上である。
【0008】
前記フェース面のロール半径としては240mm以下が好ましい。
【0009】
前記クラウン部が、比重2.1以下の非金属物質を含んでおり、前記クラウン部に占める前記非金属物質の含有量が70体積%以上であるとよい。
【0010】
前記非金属物質が、繊維強化樹脂であるとよい。
【0011】
前記ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態において、前記クラウン部の頂部と前記フェース面の上端との高さ差の、前記フェース面の上端の高さに対する比が、0.10以上0.25以下であるとよい。
【0012】
なお、本発明において、「前」とはゴルフボールを打撃する側を意味し、「後」とはその反対側を意味する。「重心深度」とは、ヘッド本体の重心とリーディングエッジとの前後方向距離を意味する。「横慣性モーメント」とは、ヘッド本体を予め設定されている所定のライ角及びロフト角となるように水平面に配置した状態におけるゴルフクラブヘッドの重心を通る鉛直軸周りの慣性モーメントを意味する。「フェース面のロール半径」とは、フェース面のトウヒール方向の両端間の中央位置におけるフェース面の上下方向の曲率半径を意味する。なお、前記中央位置において上下方向の曲率半径が2以上存在している場合、前記ロール半径とは、これらの曲率半径の平均値を意味する。なお、「トウヒール方向」とは、ヘッド本体を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態における前後方向と直交する水平方向を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係るゴルフクラブヘッドは、横慣性モーメントが4800g・cm以上となるように、前記ヘッド本体の体積が440cm以上、かつ前記ヘッド本体の重心深度が40mm以上に設けられている。すなわち、当該ゴルフクラブヘッドは、横慣性モーメントを大きくすべく、大型化及び深重心化が図られている。このような構成において、当該ゴルフクラブヘッドは、前記クラウン部の頂部の高さを高くし、かつ前記クラウン部の頂部と前記フェース面の上端との高さ差を大きくすることで、使用者に対して、ゴルフボールの打点を上方に誘導することができる。その結果、当該ゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールを効率的に飛ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドのトウ側から見た模式的側面図である。
図2図2は、図1のゴルフクラブヘッドの模式的正面図である。
図3図3は、図1のゴルフクラブヘッドの模式的平面図である。
図4図4は、図1のゴルフクラブヘッドのクラウン部の開口を開放した状態を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。なお、本明細書に記載の数値については、記載された上限値と下限値との一方のみを採用し、或いは上限値と下限値を任意に組み合わせることが可能である。
【0016】
[ゴルフクラブヘッド]
図1から図4のゴルフクラブヘッド10は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。ウッド型ゴルフクラブヘッドとしては、例えばドライバ、ユーティリティ、フェアウェイウッド等が挙げられる。当該ゴルフクラブヘッド10は、ウッド型ゴルフクラブヘッドのうち、ドライバとして特に好ましく用いられる。
【0017】
当該ゴルフクラブヘッド10は、中空のヘッド本体1を備えており、より詳しくはヘッド本体1からなる。ヘッド本体1は、フェース面11aを有するフェース部11と、フェース部11の上縁から後方に延びるクラウン部12とを有する。また、ヘッド本体1は、フェース部11の下縁から後方に延びるソール部13と、フェース部11のトウ側の側縁及びヒール側の側縁から後方に延びてクラウン部12とソール部13との間に配置されるサイド部14と、シャフトが取り付けられるシャフト取付部15とを有する。フェース面11aは、フェース部11の前面を構成している。フェース面11aは、当該ゴルフクラブヘッド10の打撃面を構成している。
【0018】
ヘッド本体1の体積の下限としては、440cmであり、445cmが好ましく、450cmがさらに好ましい。前記体積が前記下限に満たないと、当該ゴルフクラブヘッド10の横慣性モーメントを十分に大きくできないおそれがある。また、前記体積が前記下限に満たないと、後述するようにクラウン部12の高さを十分に大きくし難くなるおそれがある。なお、前記体積の上限は、特に限定されるものではなく、ルール上の制約等に基づいて設定可能である。前記体積の上限としては、例えば470cmとすることができる。また、「ヘッド本体の体積」とは、フェース部、クラウン部、ソール部及びサイド部に、シャフト取付部(シャフト取付部が長尺である場合にはシャフト取付部の根本部分)を加えた体積を意味している。この体積は、例えば2020年1月1日発効の「The Equipment Rules」(日本語版 version2.1)に準拠して測定することができる。
【0019】
図1に示すように、ヘッド本体1を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態におけるヘッド本体1の重心深度Dの下限としては、40mmであり、43mmが好ましく、45mmがより好ましい。前記重心深度Dが前記下限に満たないと、当該ゴルフクラブヘッド10の横慣性モーメントを十分に大きくできないおそれがある。なお、前記重心深度Dの上限としては、特に限定されるものではないが、例えば64mmとすることができる。
【0020】
前述のように、当該ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体1の体積を大きくし、かつヘッド本体1の重心深度を深くすることで横慣性モーメントを大きくしている。当該ゴルフクラブヘッド10の横慣性モーメントの下限としては、4800g・cmであり、4900g・cmが好ましく、5000g・cmがより好ましい。前記横慣性モーメントが前記下限に満たないと、打球の方向性を十分に向上できないおそれがある。なお、前記横慣性モーメントの上限としては、特に限定されるものではないが、例えば6000g・cmとすることができる。
【0021】
当該ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体1の体積を大きくし、かつヘッド本体1の重心深度を深くしていることに起因して、ヘッド本体1の重心Gが高くなりやすい。一方で、当該ゴルフクラブヘッド10の使用者は、フェース面11aの中心でゴルフボールを打撃することを意図してスイングする傾向にある。このため、前記使用者が所望の位置でゴルフボールを打撃すると、ヘッド本体1の重心Gをフェース面11aの法線方向に投影した投影点G1よりも下側の部分で打撃してしまい、打球にバックスピンがかかって十分に飛距離を出し難くなる。このようなヘッド本体1の大型化及び深重心化に起因する新たな課題に対し、本発明者は、投影点G1近傍での打撃が容易となるように、使用者がゴルフクラブヘッド10に対して知覚する距離感を利用して、フェース面11aの打点を上方に誘導することを鋭意検討した。その結果、クラウン部12を上方に意図的に突出させることで、使用者にフェース面11aの中心の高さ位置を錯覚させ(フェース面11aの中心が実際の高さ位置よりも上方に位置していると錯覚させて)、無意識に打点を上方(投影点G1近傍)に誘導できることを知得した。
【0022】
この観点において、図1及び図2に示すように、ヘッド本体1を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態におけるクラウン部12の頂部の高さH1の下限としては、62mmであり、63mmが好ましく、65mmがより好ましい。前記高さH1が前記下限に満たないと、打点を投影点G1近傍に誘導し難くなるおそれがある。なお、前記高さH1の上限としては、使用者に違和感を与えない観点等から、例えば72mmとすることができる。なお、本発明において、単に「高さ」という場合、前記水平面を基準とする高さを意味する。
【0023】
図1及び図2に示すように、ヘッド本体1を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態におけるクラウン部12の頂部とフェース面11aの上端との高さの差H2の下限としては、7mmであり、8mmが好ましく、9mmがより好ましい。前記高さの差H2が前記下限に満たないと、打点を投影点G1近傍に誘導し難くなるおそれがある。なお、前記高さの差H2の上限としては、使用者に違和感を与えない観点等から、例えば18mmとすることができる。
【0024】
ヘッド本体1を所定のライ角及びロフト角になるように水平面に配置した状態における、クラウン部12の頂部とフェース面11aの上端との高さの差H2の、フェース面11aの上端の高さH3に対する比(H2/H3)の下限としては、0.10が好ましく、0.15がより好ましい。一方、前記比(H2/H3)の上限としては、0.25が好ましく、0.20がより好ましい。当該ゴルフクラブヘッド10にあっては、使用者に違和感を与えることを抑制しつつ、打点を投影点G1近傍に誘導できることが望まれる。この点において、前記比(H2/H3)が前記下限に満たないと、打点を投影点G1近傍まで誘導し難くなるおそれがある。逆に、前記比(H2/H3)が前記上限を超えると、使用者に違和感を与えるおそれが高くなり、クラウン部12の頂部の高さH1を大きくした効果が発揮され難くなるおそれがある。
【0025】
フェース面11aは、上下方向において前方に凸に湾曲していることが好ましい。このようにフェース面11aが湾曲していることで、使用者が当該ゴルフクラブヘッド10を構えた際に、使用者からフェース面11aの下側部分が視認され難くなる。また同時に、この構成によると、使用者に視認されるフェース面11aの位置が上方にシフトする。その結果、使用者にフェース面11aとの距離感を錯覚させることができ、フェース面11aの打点を上方に誘導することができる。
【0026】
フェース面11aのロール半径(図1のフェース面11aに沿う仮想曲線Cの曲率半径)の上限としては、240mmが好ましく、220mmがより好ましい。前記ロール半径が前記上限を超えると、フェース面11aの打点を上方に誘導する効果が発揮され難くなるおそれがある。なお、前記ロール半径の下限としては、特に限定されるものではないが、使用者に違和感を与えることを抑制する観点から、例えば120mmとすることができる。
【0027】
フェース面11aの上端の高さH3に対する投影点G1の高さの比としては、0.5以上0.7以下とすることができ、0.55以上0.7以下であってもよい。当該ゴルフクラブヘッド10は、このように投影点G1がフェース面11aの中心よりも上方に位置している構成において、ゴルフボールを効率的に飛ばすことができる。
【0028】
(クラウン部)
前述のようにクラウン部12は、上方に突出している。より詳しくは、クラウン部12の外面は、前方から後方に向けて上方に弓なり(アーチ状)に湾曲している。このように、クラウン部12の外面が湾曲していることで、使用者に違和感を与え難くすることができる。クラウン部12の外面の全体的な形状としては、頂部の高さを確保できる限り特に限定されるものではないが、上方に凸なドーム状が好ましい。換言すると、クラウン部12の外面は、前方から後方に向けて上方に弓なりに湾曲し、かつトウヒール方向にも上方に弓なりに湾曲していることが好ましい。この構成によると、使用者に違和感を与えることを抑えつつ、クラウン部12の高さを全体的に高くしやすい。その結果、クラウン部12の突出形状を利用して、使用者にフェース面11aの中心の高さ位置を錯覚させやすい。
【0029】
当該ゴルフクラブヘッド10の材質としては、特に限定されるものではなく、例えばチタン、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム、マグネシウム等の金属を用いることが可能である。一方で、当該ゴルフクラブヘッド10においては、クラウン部12を上方に突出させている関係上、クラウン部12の材質として金属を採用すると、ヘッド本体1の重心Gがさらに上方にシフトする場合が考えられる。そのため、投影点G1の高さを維持することで、フェース面11aの打点を上方に誘導する効果を十分に発揮させる観点からは、クラウン部12は低比重の材料を含んでいることが好ましい。このような低比重の材料としては、比重2.1以下の非金属物質が挙げられる。すなわち、図3に示すように、クラウン部12は、比重2.1以下の非金属物質で形成された非金属プレート12aを含んでいることが好ましい。
【0030】
当該ゴルフクラブヘッド10において、非金属プレート12aは、クラウン部12の突出部分を構成している。つまり、非金属プレート12aは、クラウン部12の頂部を含む位置に設けられている。
【0031】
図4に示すように、当該ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部12に非金属プレート12aを配置するための開口20aが設けられている。開口20aの周縁には、非金属プレート12aを下側から支持できるよう、隣接する部分に対して下側に段差をもって配置された環状の接続部20bが設けられている。接続部20bは、非金属プレート12aと接続される継代として機能する。
【0032】
クラウン部12に占める前記非金属物質の含有量の下限としては、70体積%が好ましく、80体積%がより好ましい。前記含有量が前記下限に満たないと、クラウン部12の軽量化を十分に図ることができないおそれがある。なお、前記含有量の上限としては、特に限定されるものではなく、例えば100体積%であってもよい。
【0033】
前記非金属物質としては、繊維強化樹脂が好ましい。前記非金属物質が繊維強化樹脂であることで、クラウン部12の軽量化を図りつつ、クラウン部12の強度の低下を抑えやすい。
【0034】
前記繊維強化樹脂は、樹脂マトリックスと、この樹脂マトリックス中に分散する繊維とを有する。前記繊維としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。前記繊維が炭素繊維である場合、前記繊維強化樹脂は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として構成される。前記繊維がガラス繊維である場合、前記繊維強化樹脂は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)として構成される。前記繊維強化樹脂としては、CFRPが好ましい。前記繊維強化樹脂がCFRPであることで、軽量化と強度の向上との両方を容易に図ることができる。前記樹脂マトリックスの主成分としては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、「主成分」とは、質量換算で最も含有量の大きい成分を意味し、例えば含有量が50質量%以上の成分を意味する。
【0035】
<利点>
当該ゴルフクラブヘッド10は、横慣性モーメントが4800g・cm以上となるように、ヘッド本体1の体積が440cm以上、かつヘッド本体1の重心深度が40mm以上に設けられている。すなわち、当該ゴルフクラブヘッド10は、横慣性モーメントを大きくすべく、大型化及び深重心化が図られている。このような構成において、当該ゴルフクラブヘッド10は、クラウン部12の頂部の高さを高くし、かつクラウン部12の頂部とフェース面11aの上端との高さ差を大きくすることで、使用者に対して、ゴルフボールの打点を上方に誘導することができる。その結果、当該ゴルフクラブヘッド10は、ゴルフボールを効率的に飛ばすことができる。
【0036】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0037】
例えば前記クラウン部の頂部の高さ等を制御することで前記投影点の近傍まで打点を誘導できる場合であれば、前記クラウン部は金属を主成分として構成されていてもよい。また、当該ゴルフクラブヘッドにおける前記クラウン部以外の部分の材質は特に限定されるものではない。例えば当該ゴルフクラブヘッドは、前記フェース部、前記ソール部、前記サイド部及び前記シャフト取付部がいずれも金属を主成分として構成されていてもよい。
【0038】
前記非金属物質としては、繊維強化樹脂以外を採用することも可能である。例えば、前記非金属物質として、合成樹脂を用いることも可能である。但し、前記非金属物質として合成樹脂を用いる場合、強度の低下を抑える観点から、繊維強化樹脂と併用することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明の一態様に係るゴルフクラブヘッドは、打球の方向性を高めつつ、打球の飛距離を高めるのに適している。
【符号の説明】
【0040】
1 ヘッド本体
10 ゴルフクラブヘッド
11 フェース部
11a フェース面
12 クラウン部
12a 非金属プレート
13 ソール部
14 サイド部
15 シャフト取付部
20a 開口
20b 接続部
C ヘッド本体の重心をフェース面の法線方向に投影した投影点を含む位置においてフェ
ース面に沿って上下方向に延びる仮想曲線
D ヘッド本体の重心深度
G ヘッド本体の重心
G1 ヘッド本体の重心をフェース面の法線方向に投影した投影点
H1 クラウン部の頂部の高さ
H2 クラウン部の頂部とフェース面の上端との高さの差
H3 フェース面の上端の高さ
図1
図2
図3
図4