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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024203
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/296 20210101AFI20230209BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20230209BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20230209BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20230209BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/284
H01M50/50 101
H01M50/227
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130380
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】長田 利昭
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】小牧 秀征
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA31
5H040AT01
5H040AY04
5H040AY10
5H040DD02
5H040DD08
5H040LL06
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA03
5H043FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部空間への塵等の異物の侵入を抑制することができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パックは、電池セルと、外部接続端子4と、電池セルと外部接続端子4とを収容するケースとを有する。ケースは、上ケース21と下ケース22とを含む。ケースの内部空間は、電池セルを収容する収容領域と、外部接続端子4を収容する収容領域222とを有する。下ケース22は、収容領域221の下方を被覆する被覆層Xと、上ケースの上部内面から被覆層Xに向かって延び、電池セルと外部接続端子4との間に配置される隔壁212とを有する。隔壁212の先端は、被覆層Xに接触するように位置付けられている。外部接続端子4は、少なくとも隔壁212の下方において被覆層Xに埋め込まれた回路基板5を介して電池セルに接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、外部接続端子と、前記電池セルと前記外部接続端子とを収容するケースとを有する電池パックであって、
前記ケースの内部空間は、前記電池セルを収容する第1収容領域と、前記外部接続端子を収容する第2収容領域とを有し、
前記ケースは、前記第2収容領域の下方を被覆する第1被覆層と、前記ケースの内部空間の上方から前記第1被覆層に向かって延び、前記電池セルと前記外部接続端子との間に配置される第1隔壁とを有し、
前記第1隔壁の先端は、前記第1被覆層に接触するように位置付けられており、
前記外部接続端子は、前記第1被覆層に埋め込まれた接続部を介して前記電池セルに接続されている、電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記接続部は、回路基板を含み、
前記第1被覆層は、前記回路基板を被覆するポッティング材により形成されている、電池パック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池パックであって、
前記ケースは、前記外部接続端子を外部に接続するためのスリットを有し、
前記第1隔壁は、前記スリット及び下方を除く前記外部接続端子の周囲を囲むように配置されている、電池パック。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電池パックであって、
前記第1隔壁は、その先端から下方に延びる脚部を有する、電池パック。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電池パックであって、
前記ケースは、さらに、前記第1収容領域の外周の下方を被覆する第2被覆層と、前記ケースの内部空間の上方から第2被覆層に向かって延び、前記第1隔壁から延設されて前記ケースの内部空間の外周に沿って配置される第2隔壁とを有し、
前記第2隔壁の先端は、第2被覆層に接触するように位置付けられている、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池セルをケースに収容した電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池パックは、防水又は防塵構造を有するケースに複数の電池セルを収容している。外部から電池パックの内部空間へ塵等の異物が侵入すると、電池パックの性能が低下し得るためである。
【0003】
特開号公報(特許文献1)は、複数の電池を含む電池コアパックを防水シート内に防水構造に密閉して収納した電池パックを開示している。電池パックは、リード線を介して電池コアパックに接続された充電端子及び放電端子を備えている。防水シートは、両端に開口部を備えた筒状であり、両端の開口部がそれぞれ充電端子又は放電端子のいずれか一方を引き出している。防水シートの一端の開口部には、防水シートを溶着して防水シートに配置される電池コアパックが一端の開口部より抜け落ちることを防止する保持溶着部が備えられており、充電端子及び放電端子を引き出す挿通隙間にはシール剤が備えられている。この防水シートは、防水シート内への塵等の異物の侵入も防止していると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6098254号公報
【特許文献2】特開平8-153501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電池パックは、電池パックの使用又は運搬時等の振動、及び、経年劣化によりシール剤が防水シートから剥離するおそれがあり、その剥離した隙間から塵等の異物が侵入し得る。また、防水シートに収容された電池コアパック自体は防塵構造ではないため、防水シート内に侵入した塵等の異物が電池コアパックの電池性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、内部空間への塵等の異物の侵入を抑制することができる電池パックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は次のように構成した。すなわち、本開示に係る電池パックは、電池セルと、外部接続端子と、電池セルと外部接続端子とを収容するケースとを有する電池パックであってよい。ケースの内部空間は、電池セルを収容する第1収容領域と、外部接続端子を収容する第2収容領域とを有してよい。ケースは、第2収容領域の下方を被覆する第1被覆層と、ケースの内部空間の上方から第1被覆層に向かって延び、電池セルと外部接続端子との間に配置される第1隔壁とを有してよい。第1隔壁の先端は、第1被覆層に接触するように位置付けられてよい。外部接続端子は、第1被覆層に埋め込まれた接続部を介して電池セルに接続されてよい。
【0008】
接続部は、回路基板を含んでよい。第1被覆層は、回路基板を被覆するポッティング材により形成されてよい。
【0009】
ケースは、外部接続端子を外部に接続するためのスリットを有してよい。第1隔壁は、スリット及び下方を除く外部接続端子の周囲を囲むように配置されてよい。
【0010】
第1隔壁は、その先端から下方に延びる脚部を有してよい。
【0011】
ケースは、さらに、第1収容領域の外周の下方を被覆する第2被覆層と、ケースの内部空間の上方から第2被覆層に向かって延び、第1隔壁から延設されてケースの内部空間の外周に沿って配置される第2隔壁とを有してよい。第2隔壁の先端は、第2被覆層に接触するように位置付けられてよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る電池パックによれば、内部空間への塵等の異物の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示に係る第1実施形態の電池パックを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す電池パックの構造を示す部品展開図である。
図3図3は、図1に示す上ケースを下方から視た斜視図である。
図4図4は、図1に示す電池パックの断面図である。
図5図5は、図1に示す電池パックの変形例を示す斜視図である。
図6図6は、本開示に係る第2実施形態の電池パックの上ケースを示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の電池パックの下ケースを示す平面図である。
図8図8は、第2実施形態の電池パックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本開示に係る第1実施形態の電池パック1について、図1~5を用いて具体的に説明する。図1に示すように、電池パック1は、ケース2を備える。ケース2は、上ケース21及び下ケース22を含む。
【0015】
上ケース21は、合成樹脂製であり、逆皿形状に形成されている。上ケース21は、図2に示すように、平面視において、大四角形状と小四角形状との2つの四角形状を連ねた形状をしている。上ケース21は、外部接続端子4を外部に接続するためのスリット211を有している。スリット211は、上ケース21のうち小四角形状に形成された部分に形成されている。なお、ケース2の形状はこれに限られず、平面視において全体を四角形状としてもよく、その他多角形状、円形状又は楕円形状であってもよく、ケース2の内部空間に後述する収容領域221と収容領域222を形成できればよい。
【0016】
下ケース22は、合成樹脂製であり、皿形状に形成されている。下ケース22は、平面視において、大四角形状と小四角形状との2つの四角形状を連ねた形状をしている。上ケース21及び下ケース22は、互いの外周端部を合わせたのち、図2に示すねじαによって固定される。これにより、ケース2の内部空間が形成される。
【0017】
ケース2の内部空間は、電池セル3を収容する収容領域221と、外部接続端子4及び回路基板5を収容する収容領域222とを有する。収容領域221は、主に上述の上ケース21及び下ケース22の大四角形状で形成された部分によって囲まれた領域である。収容領域222は、主に上述の上ケース21及び下ケース22の小四角形状で形成された部分によって囲まれた領域である。下ケース22は、収容領域221と収容領域222との間において、両領域の下方を仕切るための仕切板223を有する。
【0018】
収容領域222の下方、すなわち、下ケース22の小四角形状で形成された部分の下面は、被覆層Xによって被覆されている。なお、後述するように(図4を参照。)、回路基板5は、被覆層Xに埋め込まれる。被覆層Xは、例えば、回路基板5を被覆するポッティング材である。
【0019】
図2に示すように、ケース2の内部空間には、電池セル3、外部接続端子4、回路基板5及び被覆層Xとともに、リード線6が収容される。リード線6は、電池セル3と回路基板5とを接続する。回路基板5及びリード線6は、電池セル3と外部接続端子4とを接続する。したがって、回路基板5及びリード線6は、接続部として機能する。リード線6は、仕切板223の上方を越えて回路基板5に接続される。なお、電池セル3と外部接続端子4とは、リード線6のみを用いて接続してもよい。したがって、接続部は、回路基板5を設けずに、リード線6のみで構成されてもよい。すなわち、電池セル3、リード線6及び外部接続端子4の順番で接続してもよい。なお、ケース2の内部空間には、金属製の接続片7が収容されるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0020】
電池セル3は、充放電可能なリチウムイオン電池である。なお、電池セル3は、充放電可能な二次電池であれば特に限定されるものではない。
【0021】
外部接続端子4は、電池パック1に対して電力の入出力を行う。外部接続端子4は、スリット211を介して外部と接続することができる。
【0022】
回路基板5は、保護回路を有する。保護回路は、電池セル3の過充電及び過放電を抑制している。回路基板5には、外部接続端子4及びリード線6が接続されている。
【0023】
図3に示すように、上ケース21は、隔壁212を有する。隔壁212は、ケース2の内部空間において、電池セル3と外部接続端子4の間に配置される。なお、図3は上ケース21を下方から視た斜視図であるため、図3の以下の説明においては上下が逆になる。すなわち、図3において、図中下方は、上ケース21の上方であり、図中上方は、上ケース21の下方である。隔壁212は、ケース2の内部空間において、上ケース21の上方から下方に向かって、すなわち、上ケース21の上部内面から被覆層Xの表面に向かって配置される。隔壁212は、ケース2の内部空間において、スリット211及び複数の外部接続端子4の下方を除く複数の外部接続端子4の周囲を囲むように配置されている。また、隔壁212及び上ケース21によって囲まれた空間には、複数の外部接続端子4の各々を仕切るように配置された端子仕切板213が形成されている。このように複数の外部接続端子4を囲むように、電池セル3と外部接続端子4との間に隔壁212を配置したことにより、ケース2の内部空間のうち外部に接続するために外部接続端子4が配置された空間と、外部からの塵等の異物の侵入を抑制する密閉された空間とをより的確に分離することができる。また、端子仕切板213を設けたことにより、各々の外部接続端子4同士が接触して生じる短絡を抑制することができる。さらに、隔壁212は、その先端から下方に向かって延びる脚部214を有する。脚部214は、隔壁212の先端に一つ又は複数設けられている。
【0024】
図4に示すように、断面視において、外部接続端子4を収容する収容領域222は、仕切板223よりも図中右側に形成されている。なお、仕切板223よりも図示左側には、電池セル3を収容する収容領域221(特に図示せず。)が形成されている。隔壁212は、収容領域222において、上ケース21の上部内面から下方、すなわち、被覆層Xに向かって延びている。被覆層Xは、収容領域221の下方を被覆するように配置されている。被覆層Xは、回路基板5を保護するポッティング材である。隔壁212の先端は、被覆層Xに接触している。これにより、スリット211から侵入した塵等の異物が隔壁212よりも内側(図中左側)の内部空間に侵入することを抑制することができる。すなわち、収容領域222は、隔壁212及び被覆層Xによって、外部接続端子4が配置された外部との接続を可能にする空間と、外部からの塵等の異物の侵入を抑制した密閉された空間とに分離されている。そして、少なくとも隔壁212の下方において被覆層Xに埋め込まれた接続部(回路基板5)によって電池セル3と外部接続端子4とが接続されている。なお、上述のように、電池セル3と外部接続端子4とを回路基板5を設けずにリード線6によって接続する場合、少なくとも隔壁212の下方において接続部(リード線6)を被覆層Xに埋め込めばよい。ここで、隔壁212の先端が被覆層Xに接触しているとは、隔壁212の先端面が被覆層Xの表面に当接している状態、及び、図示のように隔壁212の先端部が被覆層Xに埋め込まれている状態、すなわち、隔壁212の先端が被覆層Xの表面よりも下方に位置付けられている状態をいう。塵等の異物の侵入をより安定的に抑制するという観点からすれば、隔壁212の先端は被覆層Xの表面よりも少なくとも1mm以上下方に位置付けられている方が好ましい。また、回路基板5を保護するポッティング材をケース2の内部空間を密閉するための部材としても併用することができ、効率的に塵等の異物の侵入を抑制することができる。
【0025】
図4に示す回路基板5に実装される回路部品の高さは、図3に示す脚部214の高さよりも小さくてもよい。実装される回路部品の高さは、回路基板5の上面から最も高さのある回路部品の上面までの高さであり、脚部214の高さは、図3に示すように隔壁212の先端面から脚部214の先端面までの高さである。これにより、脚部214の先端が回路基板5の上面に当接した状態においても隔壁212の先端と回路基板5の上面との間に形成された隙間に回路部品を収容することができる。また、この隙間により、隔壁212によって分離された各空間を連通させることができる。これにより、電池パック1の製造工程において、各空間における被覆層Xのポッティング材のムラの発生を抑制することができる。なお、電池パック1の製造工程については、後述する。
【0026】
隔壁212は、電池セル3と外部接続端子4との間に配置され、かつ、その先端が被覆層Xの表面よりも下方に位置付けられていれば、ケース2の内部空間のいずれに配置されてもよい。例えば、図5に示す変形例のように、外部接続端子4の周囲を隔壁212によって囲わずに、ケース2内に収容された状態で電池セル3と外部接続端子4とを結ぶ線と交差する方向に隔壁212を設けてもよい。このような隔壁212を設けた場合であっても隔壁212よりも内側の内部空間への塵等の侵入を抑制することができる。なお、図5において、スリット211の図示は省略されている。
【0027】
このように、電池パック1は、ケース2の内部空間において、電池セル3と外部接続端子4との間に隔壁212を配置し、かつ、隔壁212の先端を被覆層Xに接触させたことにより、隔壁212よりも内側の空間に塵等の異物が侵入することを抑制することができる。その結果、電池パック1の電池性能の低下を抑制することができる。また、従来技術のような防水シートを設ける必要がなくコスト削減にも貢献できる。
【0028】
ここで、電池パック1の製造工程について図2及び図4を参照しながら簡単に説明する。まず、下ケース22に電池セル3、電池セル3にリード線6を介して接続された回路基板5、回路基板5に配置された外部接続端子4を収容する。次に、下ケース22の収容領域222に溶融樹脂(ポッティング材)を充填する。このとき、回路基板5、回路基板5近傍に位置するリード線6の一部及び外部接続端子4の下部は、溶融樹脂の内部に沈み込んだ状態になる。さらに、溶融樹脂が硬化する前に、下ケース22に上ケース21を固定し、図4に示すように、隔壁212の先端を溶融樹脂に挿し込む。このとき、隔壁212の脚部214の先端が回路基板5に当接して下方に押圧することにより、回路基板5の浮上を抑制し、その位置決めをしてもよい。そして、この溶融樹脂が硬化することによって被覆層Xが形成されるとともに、回路基板5が被覆層Xに埋め込まれる。このようにして、電池パック1を製造することができる。なお、工程順は、特に限定されるものではなく、例えば、下ケース22の収容領域222に溶融樹脂を充填してから、溶融樹脂が硬化する前に回路基板5を収容してもよい。
【0029】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電池パック1について、図6~8を用いて具体的に説明する。なお、ここでは、第1実施形態の電池パック1と異なる点について説明し、第1実施形態の電池パック1と同じ点については説明を省略する。
【0030】
図6に示すように、上ケース21は、その上面から下方に向かって延びる隔壁215を有する。隔壁215は、隔壁212から延設されて上ケース21の外周に配置されている。より具体的には、隔壁215は、隔壁212のうち図示の左右から上ケース21の内周面に沿って、上ケース21の内周面と略平行に配置されている。
【0031】
図7に示すように、下ケース22は、仕切板223を有する。仕切板223は、平面視において、図示しない電池セル3の周囲を囲むように形成されている。収容領域221において、下ケース22の内周面と仕切板223との間に形成された溝部には、被覆層Yが形成される。すなわち、ケース2の内部空間には、収容領域221の外周の下方を被覆する被覆層Yが形成される。被覆層Yの素材は、上述の被覆層Xと同様であるが、熱可塑性樹脂のように経時的に硬化する素材であればよい。この収容領域221における下ケース22の内周面と仕切板223の外周面との間の幅は、図6に示す上ケース21の内周面と隔壁215の外周面との間の幅よりも大きい。なお、収容領域222には、第1実施形態の電池パック1と同様に、被覆層Xが形成される。
【0032】
図8に示すように、上ケース21と下ケース22を組み立てた状態において、隔壁215は、上ケース21の上部内面から被覆層Yに向かって、すなわち、ケース2の内部空間の上方から被覆層Yに向かって延びている。隔壁215の先端は、収容領域221において被覆層Yに接触しており、収容領域222において被覆層Xに接触している。ここで、隔壁215の先端が被覆層Y及び被覆層Xに接触しているとは、隔壁215の先端面が被覆層Y及び被覆層Xの表面に当接している状態、及び、隔壁215の先端部が被覆層Y及び被覆層Xに埋め込まれている状態、すなわち、隔壁215の先端が被覆層Y及び被覆層Xの表面よりも下方に位置付けられている状態をいう。なお、本実施形態では、隔壁215の先端は、被覆層Y及び被覆層Xの両方に接触する。ただし、隔壁212の構成によっては、隔壁215の先端は、被覆層Yにのみ接触することもあり得る。例えば、第1実施形態における図5に示す変形例の電池パック1のように、隔壁212がケース2の内部空間において左右の幅全体に延びるような場合は、隔壁215がその隔壁212の両端から延びるように形成される。そのため、隔壁215の先端は、被覆層Yにのみ接触することがある。
【0033】
このように、第2実施形態の電池パック1は、隔壁212だけでなく、ケース2の内部空間の外周に配置される隔壁215を形成し、かつ、隔壁215の先端を被覆層Y及び被覆層Xに接触させたことにより、電池パック1の内部空間に塵等の異物が侵入することをより確実に抑制することができる。
【0034】
なお、第2実施形態の電池パック1の製造方法も基本的は実施形態1の電池パック1と同様である。すなわち、下ケース22の下方に被覆層X及び被覆層Yとなる溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が硬化する前に上ケース21と下ケース22とを固定する。第2実施形態の電池パック1では、被覆層Y及び被覆層Xを形成する溶融樹脂が硬化する前に隔壁215の先端を溶融樹脂に挿し込む。
【0035】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 電池パック、2 ケース、21 上ケース、211 スリット、212 隔壁、213 端子仕切板、214 脚部、215 隔壁、22 下ケース、221 収容領域、222 収容領域、223 仕切り板、3 電池セル、4 外部接続端子、5 回路基板、6 リード線、X 被覆層、Y 被覆層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8