(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025351
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20230215BHJP
E06B 1/04 20060101ALI20230215BHJP
E06B 1/70 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
E05D15/06 124Z
E06B1/04 Z
E06B1/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130508
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E011
2E034
【Fターム(参考)】
2E011MA01
2E034BA15
2E034BE01
2E034EA00
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減できる下枠構造を備える建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、下枠22と、下枠22に取り付けられる下枠アタッチメント6と、を備え、下枠アタッチメント6は、下枠22には、室外側X1に配置され上方に突出する室外側上方突出レール221と、室内側に配置され上方に突出する室内側上方突出レール222と、が形成され、下枠22における室内側上方突出レール222よりも室内側に配置され、室内側上方突出レール222の高さを埋める高さを有する室内側高さ埋め部材63と、下枠22における室外側上方突出レール221と室内側上方突出レール222との間に配置され、室外側上方突出レール221及び室内側上方突出レール222の高さを埋める高さを有するレール間高さ埋め部材62と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠と、
前記下枠に取り付けられる下枠アタッチメントと、を備える建具であって、
前記下枠には、室外側に配置され上方に突出する室外側上方突出レールと、室内側に配置され上方に突出する室内側上方突出レールと、が形成され、
前記下枠アタッチメントは、
前記下枠における前記室内側上方突出レールよりも室内側に配置され、前記室内側上方突出レールの高さを埋める高さを有する室内側高さ埋め部材と、
前記下枠における前記室外側上方突出レールと前記室内側上方突出レールとの間に配置され、前記室外側上方突出レール及び前記室内側上方突出レールの高さを埋める高さを有するレール間高さ埋め部材と、を備える建具。
【請求項2】
前記下枠アタッチメントは、
前記室外側上方突出レールの上端部に取り付けられる室外側レールキャップ部材と、
前記室内側上方突出レールの上端部に取り付けられる室内側レールキャップ部材と、を備える請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記下枠アタッチメントは、
前記下枠における前記室外側上方突出レールよりも室外側に配置され、前記室外側上方突出レールの高さを埋める高さを有する室外側高さ埋め部材を備える、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記下枠アタッチメントは、前記下枠に対して着脱可能である、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内にスライド移動可能に配置される障子と、を備える建具が知られている。建具において、スライド移動可能な障子の移動をガイドするために、下枠構造として、上方突出レールが上方に突出して設けられた下枠を有する突出レール構造を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、建具において、下枠構造として、バリアフリーの観点から、レールの上方への突出量を少なくした下枠を有するフラットレール構造を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上方突出レールが上方に突出して設けられた下枠を有する突出レール構造と、レールの上方への突出量を少なくした下枠を有するフラットレール構造とにおいては、それぞれの下枠のレール構造が異なる。そのため、下枠は、それぞれ、別々の設備で製造することになるため、設備投資の増大を招き、ひいては製造コストの増大に繋がっていた。下枠の製造コストを低減できることが求められている。
【0006】
本開示は、製造コストを低減できる下枠構造を備える建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下枠と、前記下枠に取り付けられる下枠アタッチメントと、を備える建具であって、前記下枠には、室外側に配置され上方に突出する室外側上方突出レールと、室内側に配置され上方に突出する室内側上方突出レールと、が形成され、前記下枠における前記室内側上方突出レールよりも室内側に配置され、前記室内側上方突出レールの高さを埋める高さを有する室内側高さ埋め部材と、前記下枠における前記室外側上方突出レールと前記室内側上方突出レールとの間に配置され、前記室外側上方突出レール及び前記室内側上方突出レールの高さを埋める高さを有するレール間高さ埋め部材と、を備える建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】突出レール構造の引き違い窓において、下枠から外障子及び内障子を取り外した状態を示す分解図である。
【
図5】下枠に下枠アタッチメントを取り付ける状態を示す分解図である。
【
図6】下枠に下枠アタッチメントを取り付けた状態において、外障子及び内障子を配置する状態を示す図である。
【
図7】フラットレール構造の引き違い窓の下枠側の縦断面図である。
【
図8】室外側高さ埋め部材、レール間高さ埋め部材及び室内側高さ埋め部材の長手方向の両端部に、手掛け部が設けられたキャップを取り付けた構成を示す斜視図である。
【
図9】外障子の戸先側に配置される縦框を示す斜視図である。
【
図10】突出レール構造の引違い窓において、外障子の縦框と戸車とを示す図である。
【
図11】フラットレール構造の引違い窓において、外障子の縦框と戸車とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の建具を構成する引き違い窓1について説明する。本実施形態においては、下枠22における下枠構造として、室外側レール221及び室内側レール222を上方に突出させて構成した突出レール構造10(
図4参照)と、下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けて構成したフラットレール構造10A(
図6参照)と、の両方に使用することができる構造である。
【0010】
まず、引き違い窓1(建具)において、下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けずに、下枠22における下枠構造として、室外側レール221及び室内側レール222を上方に突出させて突出レール構造10を構成する場合について説明する。
【0011】
本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0012】
引き違い窓1は、
図1~
図3に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される外障子3と、室内側X2に配置される内障子4との2枚の障子、及び外障子3の室外側X1に配置される1枚の網戸51をそれぞれ納めることによって構成される。外障子3及び内障子4は、枠体2内を見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能である。
【0013】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
図2に示すように、上枠21には、室外側レール211(下方突出レール)及び室内側レール212(下方突出レール)が設けられる。上枠21は、室外側レール211の室外側に、網戸レール213を有する。下枠22には、室外側レール221(室外側上方突出レール)及び室内側レール222(室内側上方突出レール)が設けられる。下枠22は、室外側レール221の室外側X1に、網戸レール223を有する。
【0014】
下枠22において、室外側レール221は、下枠22の室外側に配置され、上方に突出する。室内側レール222は、下枠22の室内側X2に配置され、上方に突出する。
【0015】
網戸51は、上枠21及び下枠22の網戸レール213,223に左右方向に移動可能に係合している。
【0016】
枠体2の構成についてさらに詳述する。
図2に示すように、上枠21は、枠体本体である金属枠体214の内側表面に、樹脂カバー材215,216を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0017】
樹脂カバー材215は、上枠21における室外側レール211と室内側レール212との間に配置される。樹脂カバー材216は、上枠21における室内側レール212の室内側X2の部分を含んで構成され、室内側レール212の室内側面から金属枠体214の内側表面にかけて設けられている。樹脂カバー材216は、金属枠体214の室内側端部214aよりも室内側X2に突出するアングル部2161を有する。樹脂カバー材215,216は、上枠21の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0018】
図4に示すように、下枠22は、枠体本体である金属枠体224の内側表面251,252に、樹脂カバー材226,227を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体224は、室外側レール221と室内側レール222との間で、室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242とに分割されている。室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242は、樹脂連結材2243によって連結されている。
【0019】
樹脂カバー材226は、
図4に示すように、室外側金属枠体2241の内側表面251において、下枠22における室外側レール221と室内側レール222との間に配置される。樹脂カバー材227は、室内側金属枠体2242の内側表面252において、下枠22における室内側レール222よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材226,227は、下枠22の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0020】
樹脂カバー材226は、室外側レール221の室内側面221aの上部側の部分に沿って延びると共に下方側において室内側に下り傾斜で湾曲する縦カバー部226aと、縦カバー部226aの下側端部から室内側に向けて延びる横カバー部226cと、横カバー部226cの室外側X1の下面から下方に延びる室外側脚部226dと、横カバー部226cの室内側X2の下面から下方に延びる室内側脚部226eと、を有する。
【0021】
縦カバー部226aの上端部226bは、室外側レール221の上部に対して室内側X2から突き当っている。室外側レール221の上端部221bは、室内側X2に向けて僅かに突出している。室外側脚部226d及び室内側脚部226eは、室外側金属枠体2241の室内側X2の内側表面251に載置されている。
【0022】
室外側金属枠体2241の内側表面251において、樹脂連結材2243の近傍には、室外側X1に向けて開口する係合溝224aが、下枠22の延び方向の全長に亘って設けられている。室内側脚部226eの下端部226fは、この係合溝224aに室外側X1から係合している。
【0023】
樹脂カバー材227は、室内側レール222の室内側面222aの上部側の部分に沿って延びると共に下方側において室内側に下り傾斜で湾曲する縦カバー部227aと、縦カバー部227aの下側端部から室内側に向けて一体に延びる横カバー部227cと、横カバー部227cの見込方向の途中の下面から下方に延びる途中脚部227dと、横カバー部227cの室内側X2の端部から下方に突出する係合部227eと、を有する。
【0024】
縦カバー部227aの上端部227bは、室内側レール222の上部に対して室内側X2から突き当たっている。室内側レール222の上端部222bは、室内側に向けて僅かに突出している。樹脂カバー材227の途中脚部227dは、室内側金属枠体2242の内側表面252に載置されている。
【0025】
室内側金属枠体2242は、室内側X2の上部において、室内側レール222と略平行に上方に延びる立壁部224bを有する。立壁部224bの上端には、上方に向けて開口する溝部224cが設けられる。溝部224cには、L字状のアングル部228が取り付けられる。アングル部228は、立壁部224bから室内側X2に突出して形成される。溝部224cの室外側X1の下端の角部224dには、樹脂カバー材227の係合部227eが係合する。
【0026】
図3に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦枠23は、枠体本体である金属枠体231の内側表面に、樹脂カバー材232を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材232は、縦枠23の内側表面において、閉状態の外障子3よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材232は、金属枠体231の室内側端部231aよりも室内側X2に突出するアングル部2321を有する。樹脂カバー材232は、縦枠23の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0027】
図3に示すように、内障子4の戸先側に配置される縦枠24は、枠体本体である金属枠体241の内側表面に、樹脂カバー材242を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材242は、縦枠24の内側表面において、閉状態の内障子4よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材242は、金属枠体241の室内側端部241aよりも室内側X2に突出するアングル部2421を有する。樹脂カバー材242は、縦枠24の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0028】
図1~
図3に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、3枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の室外側レール211,221に左右方向に移動可能に係合している。外障子3の下框32には、下枠22の室外側レール221上を転動する戸車36が設けられる。
【0029】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44を矩形に框組した框体40の内側に、3枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の室内側レール212,222に左右方向に移動可能に係合している。内障子4の下框42には、下枠22の室内側レール222上を転動する戸車46が設けられる。
【0030】
図2及び
図3に示すように、外障子3の上框31、下框32、縦框33及び外召し合わせ框34は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0031】
図4に示すように、下框32,42の金属框材321,421の室外側X1の室外側下端縦壁321a,421aの内面には、気密材321b,421bが取り付けられる。気密材321b,421bは、取付部321c,421cと、取付部321c,421cから室内側X2に略水平に延びる気密ヒレ321d,421dと、を有する。気密ヒレ321d,421dは、室外側レール221の室外側X1の面221c又は室内側レール222の室外側X1の面222cに撓んだ状態で押圧される。
【0032】
次に、下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けることで、下枠22における下枠構造として、フラットレール構造10Aを構成する場合について説明する。
図5~
図7に示すように、前述の突出レール構造10の下枠22の上部に下枠22用の下枠アタッチメント6を取り付けることで、フラットレール構造10Aを構成することができる。
【0033】
下枠22の上部に下枠アタッチメント6を取り付ける場合には、
図4に示す状態から、樹脂カバー材226,227を、下枠22から取り外す。そして、
図5に示すように、下枠22の上部に、下枠アタッチメント6を取り付ける。これにより、
図6及び
図7に示すように、下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けて構成したフラットレール構造10Aを構成することができる。
【0034】
フラットレール構造10Aにおいて使用される外障子3A及び内障子4Aは、突出レール構造において使用される外障子3及び内障子4と比べて、主に、戸車36,46,36A,46Aの大きさが異なると共に、気密材321b,421bを有さない点において異なる。また、フラットレール構造10Aにおいて使用される外障子3A及び内障子4Aの構造は、突出レール構造10において使用される外障子3及び内障子4の構造と異なる。
【0035】
フラットレール構造10Aにおいて使用される外障子3A及び内障子4Aについて説明する。フラットレール構造10Aにおいて使用される外障子3Aの戸車36A及び内障子4Aの戸車46Aは、
図6に示すように、突出レール構造10において使用される外障子3の戸車36及び内障子4の戸車46(
図4参照)よりも、見込方向の幅が大きいと共に、下端が下方側に位置する。
【0036】
また、フラットレール構造10Aにおいて使用される外障子3A及び内障子4Aは、突出レール構造10において使用される気密材321b,421b(
図4参照)を設けずに、
図6に示すように、下框32,42の金属框材321,421の室外側X1の室外側下端縦壁321a,421aの下端から下方に延びる延出板321e,421eを有する。延出板321e,421eには、
図7に示すように、下枠アタッチメント6が下枠22に取り付けられた場合に、後述する下枠アタッチメント6の室外側レールキャップ部材71及び室内側レールキャップ部材72の室外側X1の側部に設けられる気密材713,723が押圧される。
【0037】
下枠アタッチメント6の具体的構成について説明する。
図5及び
図6に示すように、下枠アタッチメント6は、室外側高さ埋め部材61と、レール間高さ埋め部材62と、室内側高さ埋め部材63と、室外側レールキャップ部材71と、室内側レールキャップ部材72と、を備える。室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62、室内側高さ埋め部材63、室外側レールキャップ部材71及び室内側レールキャップ部材72は、下枠22の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0038】
室外側高さ埋め部材61は、
図5及び
図6に示すように、下枠22の上部において、室外側レール221よりも室外側X1に配置され、下枠22に取り付けられる。室外側高さ埋め部材61は、室外側レール221の高さを埋める高さを有する。
【0039】
室外側高さ埋め部材61は、水平方向に延びる底部固定板611と、底部固定板611の室外側の端部に設けられる下方に開放する下方開放溝枠612と、下方開放溝枠612から上方に立ち上がる立ち上がり壁613と、下方開放溝枠612の室外側板部612aから下方に延出する下方延出板615と、下方開放溝枠612の室外側板部612aの下端部から室外側X1に突出すると共に上方に向けて開放する室外側突出開放枠616と、を有する。
【0040】
底部固定板611は、下枠22における室外側レール221よりも室外側金属枠体2241の室外側X1の内側表面253にネジ固定される。
【0041】
下方開放溝枠612には、室外側高さ埋め部材61が下枠22に取り付けられた場合に、下枠22における室外側金属枠体2241の室外側X1の端部の上端から上方に突出する網戸レール223に係合される。網戸レール223は、下枠アタッチメント6を下枠22に取り付けないで下枠22を突出レール構造10として使用した場合に、網戸51(
図2参照)の下端に係合していた部分である。
【0042】
立ち上がり壁613の途中には、室内側X2に突出すると共に上方側に開放するL字片614が形成される。立ち上がり壁613の上端部613aには、網戸51(
図2参照)の下端が係合する。
【0043】
レール間高さ埋め部材62は、
図5及び
図6に示すように、下枠22の上部において、室内外方向における室外側レール221と室内側レール222との間に配置され、下枠22に取り付けられる。レール間高さ埋め部材62は、室外側レール221及び室内側レール222の高さを埋める高さを有する。
【0044】
レール間高さ埋め部材62は、下側に配置され上方に向けて開放する略E字状の下部材621と、下部材621の上側に配置され下方に向けて開放する略E字状の上部材622と、が組み合わされた状態で係合されて一体で構成される。下部材621は、
図6に示すように、下枠22の室外側金属枠体2241の上面から突出する室外側レール221よりも室内側X2の内側表面251にネジ固定される。上部材622は、下枠22にネジ固定された上部材622に嵌め込まれる。そのため、上部材622が下枠22にネジ固定された後に上部材622を嵌め込むことができるため、レール間高さ埋め部材62は、下枠22に取り付ける際の取付性に優れる。
【0045】
室内側高さ埋め部材63は、
図5及び
図6に示すように、下枠22の上部において、室内側レール222よりも室内側X2に配置され、下枠22に取り付けられる。室内側高さ埋め部材63は、下方が開放する枠状に形成される。室内側高さ埋め部材63は、室内側レール222の高さを埋める高さを有する。
【0046】
室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63は、それぞれ、下枠22に対して着脱可能に構成される。例えば、室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63は、
図8に示すように、いずれも、長手方向の両端部にキャップ61a,62a,63aを取り付け、キャップ61a,62a,63aに手掛け部61b,62b,63bを設けることができる。この場合、キャップ61a,62a,63aの手掛け部61b,62b,63bに手を掛けることで、室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63を、下枠22に対して容易に着脱できる。なお、室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63の長手方向の両端部にキャップ61a,62a,63aを取り付けたが、これに限定されない。室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63の長手方向の両端部のうちのいずれかの一端部のみにキャップ61a,62a,63aを取り付けてもよい。
【0047】
室外側レールキャップ部材71は、室外側レール221の上端部221bに取り付けられる。室外側レールキャップ部材71は、上部に形成され外障子3Aの戸車36Aが走行する走行面711と、走行面711の下部に形成される係合部712と、室外側X1の側部に設けられる気密材713と、を有する。走行面711は、上方に凸となる曲面形状に形成され、左右方向に延びる。係合部712は、室外側レール221の上端部221bに係合して取り付けられる。気密材713は、下框32の金属框材321の室外側X1の室外側下端縦壁321aから下方に延びる延出板321eの室内側X2の面に押圧される。
【0048】
室内側レールキャップ部材72は、室内側レール222の上端部222bに取り付けられる。室内側レールキャップ部材72は、上部に形成され内障子4Aの戸車46Aが走行する走行面721と、走行面721の下部に形成される係合部722と、室外側X1の側部に設けられる気密材723と、を有する。走行面721は、上方に凸となる曲面形状に形成され、左右方向に延びる。係合部722は、室内側レール222の上端部222bに係合して取り付けられる。気密材723は、下框42の金属框材421の室外側X1の室外側下端縦壁421aから下方に延びる延出板421eの室内側X2の面に押圧される。
【0049】
ここで、フラットレール構造10Aの場合の戸車36Aと突出レール構造10の戸車36とでは、異なる形状のものを使用している。一方、突出レール構造10の場合においても、フラットレール構造10Aの場合においても、
図9に示すように、戸先側に配置される縦框33の金属框材331の下端に形成される下端切り欠き部331aの加工形状を共通化している。
【0050】
例えば、戸先側に配置される縦框33について、
図10に示すように、突出レール構造10において、下端切り欠き部331aを有する縦框33を用いている。突出レール構造10において、戸先側に配置される縦框33の金属框材331には、戸車36の下端部が室外側レール221上を転動可能なように、下端部には、室外側レール221を避ける下端切り欠き部331aが形成されている。
【0051】
また、戸先側に配置される縦框33について、
図11に示すように、フラットレール構造10Aにおいて、突出レール構造10と同様に、下端切り欠き部331aを有する縦框33を用いている。フラットレール構造10Aにおいて、戸先側に配置される縦框33の金属框材331には、戸車36Aの下端部が室外側レール221上を転動可能なように、戸車36Aの下端部が戸先側に配置される縦框33の金属框材331よりも下方に突出して配置されている。
【0052】
これにより、フラットレール構造10Aの場合と突出レール構造10の場合とにおいて、戸先側に配置される縦框33の下端切り欠き部331aの切り欠き加工を共通化できる。よって、工場設備を共通化できるため、製造コストを低減できる。
【0053】
次に、突出レール構造10の下枠22に、下枠アタッチメント6を取り付けことで、フラットレール構造10Aとする手順について説明する。突出レール構造10の下枠22に下枠アタッチメント6を取り付ける場合には、
図4に示す状態において、下枠22から、樹脂カバー材226,227を取り外す。
【0054】
そして、
図5に示すように、下枠22の上部に、下枠アタッチメント6(室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62、室内側高さ埋め部材63、室外側レールキャップ部材71、室内側レールキャップ部材72)を取り付ける。このように、
図6及び
図7に示すように、突出レール構造10の下枠22に、下枠アタッチメント6を取り付けることで、フラットレール構造10Aを構成することができる。
【0055】
このようにして、下枠22を、室外側レール221及び室内側レール222を上方に突出させて構成した突出レール構造10と、下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けることで構成したフラットレール構造10Aと、の両方に共通化して使用することができる。よって、下枠22を共通化できるため、製造コストを低減できる。
【0056】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の下枠アタッチメント6は、引き違い窓1の下枠22用の下枠アタッチメント6であって、下枠22には、室外側に配置され上方に突出する室外側レール221と、室内側X2に配置され上方に突出する室内側レール222と、が形成され、下枠22における室内側レール222よりも室内側に配置され、室内側レール222の高さを埋める高さを有する室内側高さ埋め部材63と、下枠22における室外側レール221と室内側レール222との間に配置され、室外側レール221及び室内側レール222の高さを埋める高さを有するレール間高さ埋め部材62と、を備える。
【0057】
これにより、突出レール構造10に使用した下枠22に下枠アタッチメント6を取り付けるだけで、フラットレール構造10Aとすることができる。これにより、下枠22を共通化できるため、製造コストを低減できる。また、室内側高さ埋め部材63及びレール間高さ埋め部材62が、室外側レール221及び室内側レール222の高さを埋めているため、清掃性を向上できる。また、室内側高さ埋め部材63及びレール間高さ埋め部材62が、室外側レール221及び室内側レール222の高さを埋めており、段差が形成されないため、車いすが通過する際における段差による人の転倒を防止できる。
【0058】
本実施形態においては、室外側レール221の上端部221bに取り付けられる室外側レールキャップ部材71と、室内側レール222の上端部222bに取り付けられる室内側レールキャップ部材72と、を備える。室外側レールキャップ部材71及び室内側レールキャップ部材72により、戸車36A,46Aの形状に対応した走行面を構成することで、様々な形状の戸車に容易に対応することができる。
【0059】
本実施形態においては、下枠22における室外側レール221よりも室外側X1に配置され、室外側レール221の高さを埋める高さを有する室外側高さ埋め部材61を備える。これにより、下枠22の見込方向の広い範囲に亘って上方への突出量を少なくしたフラットレール構造を構成できる。よって、下枠22の見込方向のより広い範囲においてフラットレール構造を構成することで、より好ましいバリアフリー構造を実現できる。また、室外側高さ埋め部材61が、室外側レール221の高さを埋めており、室内側高さ埋め部材63、レール間高さ埋め部材62及び室外側高さ埋め部材61により、段差が形成されないため、車いすが通過する際における段差による人の転倒をより防止できる。
【0060】
室外側高さ埋め部材61、レール間高さ埋め部材62及び室内側高さ埋め部材63は、それぞれ、下枠22に対して着脱可能である。そのため、下枠22に対して下枠アタッチメント6を着脱することで、下枠構造を、突出レール構造10とすることも、フラットレール構造10Aとすることも容易である。
【0061】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 引き違い窓(建具)、6 下枠アタッチメント、22 下枠、61 室内側高さ埋め部材、62 レール間高さ埋め部材、63 室外側高さ埋め部材、71 室外側レールキャップ部材、72 室内側レールキャップ部材、221 室外側レール(室外側上方突出レール)、222 室内側レール(室内側上方突出レール)