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特開2023-26158加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026158
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20230216BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20230216BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20230216BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
B23Q17/00 B
B23Q17/22 D
B23Q1/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131877
(22)【出願日】2021-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 立露
(72)【発明者】
【氏名】藤生 卓
【テーマコード(参考)】
3C002
3C029
3C048
【Fターム(参考)】
3C002AA04
3C002BB07
3C002EE01
3C002GG02
3C002HH06
3C002KK04
3C029AA24
3C029EE04
3C048BC02
3C048BC03
3C048DD10
3C048DD17
(57)【要約】
【課題】加工装置による加工時間が長くなることを抑制する。
【解決手段】主軸に把持する工具を工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、次の2つのモードを選択的に実行可能である。まず、第1モードは、交換した工具を主軸により把持した後に、タッチセンサにより主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する。第2モードは、交換した工具を主軸により把持した後に、タッチセンサによる主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を把持可能な主軸と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、
前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、
前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、
交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、
交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、を選択的に実行可能な制御手段と、を備えた
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記筐体に設けられた開閉可能な開閉ドアであって、開かれた状態で前記筐体内にアクセス可能な開閉ドアと、
前記開閉ドアの開閉を検知する開閉検知手段と、を備え、
前記制御手段は、同じ工具に対する2回目以降の前記交換動作で、且つ、前記同じ工具に対する前回の前記交換動作から今回の前記交換動作まで前記開閉ドアが閉じられたままである場合には、今回の前記交換動作において前記第2モードを実行可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記第1モードと前記第2モードの何れかを選択可能な選択手段を備え、
前記制御手段は、同じ工具に対する2回目以降の前記交換動作で、且つ、前記同じ工具に対する前回の前記交換動作から今回の前記交換動作まで前記開閉ドアが閉じられたままである場合で、更に、前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合に、前記第2モードを実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記選択手段により前記第1モードが選択されている場合には、同じ工具に対する2回目以降の前記交換動作で、且つ、前記同じ工具に対する前回の前記交換動作から今回の前記交換動作まで前記開閉ドアが閉じられたままである場合であっても、前記第1モードを実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2モードで前記交換動作を、前記開閉ドアが閉じられたまま所定回数行った場合には、前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合であっても、次の前記交換動作において前記第1モードを実行する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記開閉検知手段は、前記開閉ドアと前記筐体との一方に設けられたマグネットと、前記開閉ドアと前記筐体との他方に設けられ、前記開閉ドアが閉められたときに前記マグネットの磁気を検出可能な磁気検出手段とを有する
ことを特徴とする請求項2ないし5の何れか1項に記載の加工装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記主軸に把持していた工具を前記工具マガジンに戻した後は、前記先端検出手段により前記主軸に工具が把持されている否かを確認する動作を行う
ことを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の加工装置。
【請求項8】
工具により加工する加工対象物を保持する保持部と、
前記主軸と前記保持部とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段と、を備え、
前記工具マガジンは、前記保持部に隣接した位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の加工装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の加工装置の前記制御手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
工具を把持可能な主軸と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、
前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、を備えた加工装置の制御方法であって、
前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、の何れかを選択する工程と、
選択された前記第1モードまたは前記第2モードを実行する工程とを備えたことを特徴とする加工装置の制御方法。
【請求項11】
工具を把持可能な主軸と、
複数の工具を格納する工具マガジンと、
前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、
前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、
前記工具マガジンに格納された工具が取り換えられていないことを確認するためのセンサと、
前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、
交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、を備えた加工装置の制御方法であって、
前記センサの検知結果に応じて、前記第1モードまたは前記第2モードを実行する工程と、を有することを特徴とする加工装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象物を加工可能な加工装置、加工装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置として、工具が取り付けられた主軸を回転させて加工対象物(ワーク)に切削加工などをする装置が従来から知られている。このような加工装置として、主軸に取り付ける工具を工具マガジンに格納された工具と交換する際に、タッチセンサにより工具の検知を行う構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/203569号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、工具の交換を行う度に、毎回、特許文献1に記載のようにタッチセンサにより工具の検知を行うと、加工装置による加工時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の加工装置は、工具を把持可能な主軸と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、を選択的に実行可能な制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の加工装置の制御方法は、工具を把持可能な主軸と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、を備えた加工装置の制御方法であって、前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、の何れかを選択する工程と、選択された前記第1モードまたは前記第2モードを実行する工程とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の加工装置の制御方法は、工具を把持可能な主軸と、複数の工具を格納する工具マガジンと、前記主軸に把持された工具の先端を検出可能な先端検出手段と、前記主軸、前記工具マガジン及び前記先端検出手段を収容する筐体と、前記工具マガジンに格納された工具が取り換えられていないことを確認するためのセンサと、前記主軸に把持する工具を前記工具マガジンに格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段により前記主軸に把持された工具の先端を検出してから、該工具を用いて加工を開始する第1モードと、交換した工具を前記主軸により把持した後に、前記先端検出手段による前記主軸に把持された工具の先端の検出を行わずに、該工具を用いた加工を開始する第2モードと、を備えた加工装置の制御方法であって、前記センサの検知結果に応じて、前記第1モードまたは前記第2モードを実行する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工装置による加工時間が長くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る加工装置の外観斜視図。
図2】実施形態に係る加工装置の斜視図。
図3】実施形態に係る加工装置における制御ブロック図。
図4】実施形態に係る工具の交換動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、図1ないし図4を用いて説明する。まず、本実施形態の加工装置100の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0011】
[加工装置]
図1は、本実施形態に係る加工装置100の外観斜視図である。加工装置100は、図1に示すように、筐体としての外装カバー101内に加工装置本体を収容している。即ち、外装カバー101は、後述する主軸や工具マガジンなどが内部に配置され、工具による加工空間を形成する。外装カバー101には、開閉可能な開閉ドア102が設けられている。開閉ドア102は、開かれた状態で筐体内、即ち、加工空間にアクセス可能であり、ワークの交換や手動による工具の交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。
【0012】
開閉ドア102には、透光性の窓103が設けられている。開閉ドア102は、窓103が設けられていない部分に、開閉ロッド104が接続される。透光性の窓103の下部にトレイ105が設けられている。また、開閉ドア102の開閉は、開閉検知手段としての開閉検知センサ110により検知される。開閉検知センサ110は、開閉ドア102と外装カバー101の本体部106との一方に設けられたマグネット111と、開閉ドア102と本体部106との他方に設けられ、開閉ドア102が閉められたときにマグネット111の磁気を検出可能な磁気検出手段としての磁気センサ112とを有する。本実施形態では、開閉ドア102側にマグネット111が、本体部106側に磁気センサ112が設けられている。なお、開閉ドア102の開閉を検知する開閉検知センサは、このような構成以外でも、開閉ドア102の開閉を検知可能な構成であれば良い。例えば、開閉ドア102と本体部106とのそれぞれに電気接点を設け、開閉ドア102が閉じられた際に通電される構成でも良いし、フォトインタラプタとフラグを用いて、例えば、開閉ドア102が閉まることでフォトインタラプタによりフラグを検知する構成としても良い。
【0013】
図2に示すように、加工装置100は、移動機構支持部材としてのフレーム1と、それぞれフレーム1に支持された第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30と、加工対象物としてのワークWを支持する支持機構40と、支持機構40を回転可能な回転手段としての第1回転機構(回動装置)50及び第2回転機構60と、工具マガジン70と、電装ユニット80とを備える。第1移動機構10、第2移動機構20及び第3移動機構30により、後述する主軸11と保持装置41とを、X、Y、Zの3軸方向に相対移動させる移動手段としての移動装置200を構成する。
【0014】
フレーム1は、内部に空洞を有する架台2上に載置されており、図2に示すように、第1フレーム部3と、第1フレーム部3の端部から直角に折り曲げられた第2フレーム部4とから構成される。本実施形態では、第1フレーム部3は、鉛直方向に沿って配置されており、第2フレーム部4は、水平方向に沿って配置されている。
【0015】
第1移動機構10は、第2移動機構20を介してフレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向(鉛直方向、第1方向)に主軸11を移動可能である。主軸11には、工具12が工具ホルダを介して着脱自在に取り付けられている。即ち、主軸11は、工具12を把持可能である。主軸11は、モータ13により回転駆動される。第1移動機構10は、モータ14と、Z軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ14の駆動により主軸11を案内軸に沿ってZ軸方向に往復移動(昇降)させる。主軸11は、Z軸支持部材(不図示)を介して案内軸に移動可能に支持されている。案内軸やZ軸支持部材は、カバー17により覆われている。
【0016】
第2移動機構20は、フレーム1の第1フレーム部3の第1の面3aに支持されており、Z軸方向に直交するX軸方向(水平方向、第2方向)に第1移動機構10と共に主軸11を移動可能である。第2移動機構20は、モータ21と、X軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータ21の駆動により第1移動機構10を案内軸に沿ってX軸方向に往復移動させる。
【0017】
第3移動機構30は、フレーム1の第2フレーム部4の第2の面4aに支持されており、Z軸方向及びX軸方向に直交するY軸方向(水平方向、第3方向)に支持機構40を移動可能である。第3移動機構30は、モータ(不図示)と、Y軸方向に配置された案内軸(不図示)とを有し、モータの駆動により支持機構40を案内軸に沿ってY軸方向に往復移動させる。
【0018】
また、第3移動機構30は、第2回転機構60を支持する支持板部31を備えており、支持板部31が案内軸に沿ってY軸方向に往復移動する。図2に示すように、架台2のY軸方向の支持機構40側は開口している。そして、第3移動機構30は、詳しくは後述するように、第2回転機構60及び第1回転機構50と共に支持機構40をY軸方向に移動可能である。
【0019】
支持機構40は、例えば、歯科用補綴物など工具12により切削加工される加工対象物としてのワークWを支持する。このような支持機構40は、ワークWを保持する保持部としての保持装置41と、両端部が第1回転機構50の回転部51にそれぞれ連結され、保持装置41を介してワークWを支持する支持部42とを有する。
【0020】
回動装置としての第1回転機構50は、支持機構40をZ軸方向に直交する回転軸としてのa軸を中心として回転可能である。本実施形態では、a軸は、X軸方向と平行としている。このような第1回転機構50は、回転部51、52を回転自在に支持する支持フレーム53と、回転部51を回転駆動するモータとを有する。支持フレーム53は、支持機構40の周囲を囲むように略コの字型に形成され、モータ及び片側(駆動側)の回転部51を支持する第1支持部53aと、他側(従動側)の回転部52を支持する第2支持部53bと、第1支持部53aと第2支持部53bとを連結する連結部53cとから構成される。
【0021】
第1支持部53aに支持された回転部51と、第2支持部53bに支持された回転部52は、a軸方向に互いに対向するように、且つ、a軸を回転軸として回転可能に配置されている。そして、支持機構40のa軸方向両端部が、それぞれ両側の回転部に支持されている。これにより、第1回転機構50は、支持機構40を、a軸(X軸)を中心として回転可能に支持する。
【0022】
第1回転機構50は、少なくとも180°回転可能であり、支持機構40に支持されたワークWの表裏を反転可能である。本実施形態では、第1回転機構50は、支持機構40をa軸を中心として360°回転させることができる。なお、a軸の延長線が支持機構40に支持されたワークWの厚さ方向の中心を通るため、回転中心軸であるa軸から表面までの距離とa軸から裏面までの距離は同じである。したがって、ワークWの表裏が反転しても、ワークWの厚さ方向の中心と工具12との位置関係は変わらない。
【0023】
第2回転機構60は、支持機構40をZ軸方向及びa軸に直交する別の回転軸としてのb軸を中心として回転可能である。本実施形態では、b軸は、Y軸方向と平行としている。このような第2回転機構50は、第1回転機構50の支持フレーム53が取り付けられる回転部と、回転部を回転駆動するモータとを有する。回転部は、支持フレーム53の連結部53cが取り付けられ、モータに回転駆動されることにより支持フレーム53を、b軸を中心として回転可能である。したがって、第2回転機構60は、第1回転機構50と共に支持機構40を、b軸(Y軸)を中心として回転可能に支持する。
【0024】
工具保持部としての工具マガジン70は、複数の工具を格納可能であり、第1回転機構50に隣接して配置され、支持部材に支持され、この支持部材は第3移動機構30の支持板部31に支持されている。このため、工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40などと共にY軸方向に移動可能である。但し、支持機構40がa軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転せず、支持機構40がb軸を中心に回転しても、工具マガジン70は回転しない。即ち、工具マガジン70は、支持機構40がa軸及びb軸を中心に回転しても所定の姿勢を維持するように、支持板部31に支持されている。工具マガジン70は、第3移動機構30により支持機構40など共にY軸方向に移動可能である。
【0025】
工具マガジン70には、それぞれ工具ホルダ12aと一体に形成された複数種類の工具が保持された状態でY軸方向に沿って複数列並べて配置されている。そして、主軸11に取り付ける工具を交換可能としている。なお、工具ホルダ12aは、主軸11に保持される部分で、工具と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。なお、本実施形態では、工具12をチャック付の工具ホルダ12aに取り付けた上で、主軸11の工具保持用のチャック部が工具ホルダ12aを介して保持する2重チャックの構成となっている。但し、主軸11に直接、工具を取り付けても良い。工具の交換は、作業者が行っても良いし、加工装置100により自動で行っても良い。本実施形態では、自動で工具の交換を行うべく、主軸11による工具の把持と解放を自動で行えるようにしている。
【0026】
工具の交換を自動で行う場合には、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の工具が入っていない空きスペースを主軸11の下方に移動させる。言い換えれば、主軸11を工具マガジン70に対してXY平面上で相対移動させる。そして、第1移動機構10により主軸11を下降させ(Z軸方向に移動させ)、主軸11に設けられたチャックなどの着脱装置を動作させることで、主軸11に取り付けられている工具12を外して工具マガジン70の空きスペースに配置する。次いで、第1移動機構10により主軸11を上昇させると共に、第2移動機構20及び第3移動機構30により工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置を主軸11の下方に移動させる。そして、再度、第1移動機構10により主軸11を下降させ、着脱装置を動作させることで、主軸11に交換したい工具12を装着する。なお、工具12は、例えば、ドリルやエンドミルである。
【0027】
また、本実施形態では、工具格納や取り出しの前後で、主軸11に把持された工具12の先端を検出可能な先端検出手段としてのタッチセンサ96に工具12の先端を接触させることで、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する動作を行う。即ち、主軸11に把持する工具を工具マガジン70に格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、タッチセンサ96を使用して、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する動作を実行可能である。このとき、ワークのZ方向の中心(a軸)と工具先端を合わせる。タッチセンサ96は、図2に示すように、工具マガジン70に隣接した位置に設けられている。特に、本実施形態では、タッチセンサ96が従動側の回転部52を支持する第2支持部53bに配置されている。工具の交換動作についての詳しい説明は、後述する。
【0028】
電装ユニット80は、フレーム1の内側に取り付けられている。即ち、電装ユニット80は、第1フレーム部3の第1の面3aの反対側で、第2フレーム部4の第2の面4aの反対側に配置されている。このような電装ユニット80は、加工装置100を制御するもので、主軸や各軸のモータの駆動を制御する制御基板や、それぞれ対応するモータのロータリーエンコーダの信号からモータに出力するパルスを演算し、それぞれ対応するモータの回転を適切に制御する複数の制御部を有する。
【0029】
また、本実施形態の加工装置100は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC加工装置である。具体的には、パーソナルコンピュータなどの外部端末を用いてCAD/CAMシステムにより加工データを作成し、このデータに基づいて数値制御によりワークWの加工を行う。このために、加工装置100には、加工装置100に指令を行うパーソナルコンピュータなどの外部端末が接続される。なお、加工装置100自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載したコンピュータが設けられていても良い。後述する制御手段は加工装置、加工装置に接続されたコンピュータのどちらに設けられてもよい。
【0030】
例えば、加工装置100により歯科用補綴物の作成を行う場合、3次元計測器で計測した歯科用補綴物のデータをCAD/CAMシステムに転送し、CAD/CAMシステムにより加工データを作成する。そして、この加工データに基づいて、加工装置100を制御してワークWを工具12により切削加工することで、歯科用補綴物を作成する。
【0031】
次に、電装ユニット80内の制御構成について、図3を用いて説明する。電装ユニット80は、制御手段であるCPU85、入出力ポート(I/O)86i、各モータの制御部84x、84y、84z、主軸の制御部84c、a軸の制御部84a、b軸の制御部84bなどを備える。CPU85は、入力されたデータや信号に基づいてメモリ86mを用いて各種の演算を行い、接続されたサーボアンプとしての制御部84x、84y、84z、84a、84b、84cに回転数や位置の指示を送信する。
【0032】
I/O86iは、加工機本体のエアーブロー部87、集塵装置88、タッチセンサ96に接続される。なお、エアーブロー部87は、主軸11に取り付けた工具12にエアーを吹き付けて、工具12を冷却すると共に工具12に付着した切粉を除去するものである。また、工具12から除去した切粉や加工後にワーク保持装置としての第1回転機構50内に存在する切粉などの異物は、ワーク保持装置に設けた切粉吸引部89から吸引され、集塵装置88により集められる。また、先端検出手段としてのタッチセンサ(工具長センサ)96は、上述したように、工具の交換動作の際に主軸11に工具12が把持されているか否かを確認するために使用することに加えて、工具12の長さを検出してCPU85に信号を送る。
【0033】
CPU85に設けた各モータの制御部84x、84y、84zは、CPU85からの指令に基づいてX、Y、Zの各モータを駆動する。各モータ21、32、14には、それぞれ位置検出手段としてのエンコーダ21a、32a、14aを設けている。エンコーダ21a、32a、14aは、例えば、各モータ21、32、14の回転軸の回転回数や回転角度、回転方向を検知する。そして、各モータ21、32、14の駆動により各ステージx、y、zが実際に移動した量(実際の位置、主軸11の保持装置41に対する相対位置)を検出する。
【0034】
主軸制御部84cは、主軸11を回転させる不図示のモータを制御して、主軸(スピンドル)の回転速度を制御する。また、a、b軸の制御部84a、84bは、CPU85からの指令に基づいてa軸、b軸の各モータ54、62を駆動する。これら各モータ54、62にもエンコーダ54a、62aが設けられており、支持機構40のa軸及びb軸を中心とした回転角度を検出可能である。
【0035】
このようにCPU85により加工装置100の各部を制御することにより、上述のように保持されたワークWに所定の加工を施す。後述する各動作や工程は、CPU85がメモリ86m等の記憶手段にプログラムを展開して実行する。
【0036】
[工具の交換動作]
上述のように、本実施形態では、主軸11に把持する工具を工具マガジン70に格納された複数の工具のうちの何れかの工具に交換する交換動作において、タッチセンサ96を使用して、主軸11に工具12が把持されているか否かを確認する動作を実行可能である。即ち、CPU85は、交換動作において、交換した工具12を主軸11により把持した後に、タッチセンサ96により主軸11に把持された工具12の先端を検出してから、該工具12を用いて加工を開始する第1モードを実行可能である。また、CPU85は、主軸11に把持していた工具12を工具マガジン70に戻した後は、タッチセンサ96により主軸11に工具12が把持されている否かを確認する動作を行う。
【0037】
具体的には、交換動作において、主軸11及び工具マガジン70を、主軸11の下方に工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置が位置するように相対移動させる。そして、主軸11を下降させて主軸11に交換したい工具12を把持した後、主軸11を上昇させる。次いで、主軸11の下方にタッチセンサ96が位置するように、主軸11及びタッチセンサ96が設けられた支持機構40を相対移動させる。そして、主軸11を下降させて主軸11に把持した工具12の先端をタッチセンサ96に接触させる。この動作により、主軸11に工具12が把持されていれば、タッチセンサ96に工具12の先端が接触するので、主軸11に工具12が把持されていることを確認できる。また、この際、主軸11のZ軸の位置から工具12の長さ、即ち、工具長の測定を行うことができる。タッチセンサ96により主軸11に工具12が把持されていることが確認できた後は、その工具12を用いて加工を開始する。
【0038】
一方、主軸11に把持していた工具12を工具マガジン70に戻す際には、主軸11の下方に工具マガジン70の当該工具12を格納するための空きスペースを位置させるように、主軸11及び工具マガジン70を相対移動させる。そして、主軸11を下降させて工具12を空きスペースに挿入し、主軸11のチャックを解放する。その後、主軸11を上昇させ、主軸11の下方にタッチセンサ96が位置するように、主軸11及びタッチセンサ96が設けられた支持機構40を相対移動させる。そして、主軸11をタッチセンサ96に向けて下降させる。この際、主軸11に工具12が把持されたままである場合、その工具12の先端がタッチセンサ96に接触するため、主軸11から工具12が外れなかったことが検知される。一方、主軸11を所定量下降させてもタッチセンサ96に何も接触しなかった場合には、主軸11から確実に工具12が外れたことを把握できる。
【0039】
このように工具12の交換動作の際には、タッチセンサ96を用いて主軸11に工具が把持されているか否かを確認する。特に、交換動作の際に、交換した工具12を主軸11により把持した後に、タッチセンサ96により主軸11に把持された工具12の先端を検出するのは、使用者が工具マガジン70の所望の位置に工具12を配置することを忘れる可能性があるためである。加工装置100は、上述のように数値制御のプログラムを実行することにより動作するが、この動作の際中に、プログラムにしたがって工具12を交換する場合がある。この際、工具12が工具マガジン70に格納される位置は予め定められており、CPU85は、この位置に工具があるとして主軸11と工具マガジン70を相対移動させる。但し、使用者が当該位置に工具12を入れ忘れたり、或いは、間違った位置に工具を入れた場合には、交換動作を行っても主軸11に工具12を把持できない。このため、実際に主軸11に工具12が把持されているか否かを確認するために、主軸11を把持した後、下降を開始する前に、上述のようにタッチセンサ96により確認するようにしている。
【0040】
ここで、或る工具12の1回目の交換動作の際にタッチセンサ96による確認を行い、その際に問題がなければ、その後、開閉ドア102を開かない限り、その工具12に関しては次の交換動作においてタッチセンサ96による確認を行わなくても問題は生じにくい。即ち、1回目の交換動作の際にその工具12を主軸11に把持できたことを確認できれば、その工具12が工具マガジン70に入れ忘れたものではなく、また、工具マガジン70の正しい位置に格納されていたことが確認できる。そして、開閉ドア102を開かない限り使用者が加工空間にアクセスできないため、工具マガジン70の工具を入れ替えたりすることはできず、1回目の交換動作の時と比べて、加工装置100内の工具の数や工具マガジン70の格納場所に変化はない。したがって、本実施形態では、詳しくは後述するように、同じ工具に対する2回目以降の交換動作で、且つ、同じ工具に対する前回の交換動作から今回の交換動作まで開閉ドア102が閉じられたままである場合には、タッチセンサ96による確認を省略可能としている。
【0041】
一方、主軸11を工具マガジン70に戻した後のタッチセンサ96による確認は、以下の理由による省略しないこととしている。即ち、主軸11が工具12を離した後、主軸11への工具装着の有無をタッチセンサ96により確認するのは、主軸11と工具12の間に異物を挟み込むなどの理由により、工具12を離せない場合があるためである。異物の挟み込みは加工状況及び掃除状況に影響され、発生時期は確定ではないため、本実施形態では、主軸11を工具マガジン70に戻した後のタッチセンサ96による確認動作は、省略しないこととしている。
【0042】
[第1モードと第2モード]
本実施形態では、上述したように、CPU85は、工具12の交換動作において、交換した工具12を主軸11により把持した後に、タッチセンサ96により主軸11に把持された工具12の先端を検出してから、該工具12を用いて加工を開始する第1モードを実行可能である。これに加えて、CPU85は、工具12の交換動作において、交換した工具12を主軸11により把持した後に、タッチセンサ96による主軸11に把持された工具12の先端の検出を行わずに、該工具12を用いた加工を開始する第2モードを実行可能である。即ち、CPU85は、工具12の交換動作において第1モードと第2モードとを選択的に実行可能である。
【0043】
第2モードを実行する場合の具体的な動作について説明する。まず、交換動作において、主軸11及び工具マガジン70を、主軸11の下方に工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置が位置するように相対移動させる。そして、主軸11を下降させて主軸11に交換したい工具12を把持した後、主軸11を上昇させる。その後、タッチセンサ96による確認動作を行うことなく、その工具12を用いて加工を開始する。このような第2モードを実行した場合、主軸11に工具12が把持されていることを確認するために、主軸11の下方にタッチセンサ96が位置するように、主軸11及びタッチセンサ96が設けられた支持機構40を相対移動させ、主軸11を下降させて主軸11に把持した工具12の先端をタッチセンサ96に接触させるといった一連の動作を省略できる。この結果、主軸11に工具12を把持してから下降開始までにかかる時間を第1モードよりも短縮でき、加工時間の短縮化を図れる。
【0044】
[選択部]
本実施形態では、図3に示すように、上述の第1モードと第2モードの何れかを選択可能な選択手段としての選択部120を有する。選択部120は、例えば、加工装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部端末によりモード選択が可能なプログラムである。例えば、使用者がパーソナルコンピュータの画面に表示された第2モードを選択するためのチェックボックスにチェックを入れることで第2モードが選択され、チェックボックスのチェックを外すことで第1モードが選択される。なお、選択部120は、加工装置100に設けられた操作ボタンなどの物理スイッチ、或いは、加工装置100が操作画面を備えている場合には、操作画面上で選択可能なソフトスイッチであっても良い。
【0045】
[交換動作の制御]
本実施形態では、CPU85は、同じ工具12に対する2回目以降の交換動作で、且つ、同じ工具12に対する前回の交換動作から今回の交換動作まで開閉ドア102が閉じられたままである場合には、今回の前記交換動作において第2モードを実行可能である。即ち、工具12は、1回目の交換動作の際には、タッチセンサ96による確認動作を行っており、この確認動作から開閉ドア102が開けられずに、同じ工具12に対して2回目以降の交換動作を行う場合には、タッチセンサ96による確認動作を行わなくても問題ないと考えられる。このため、本実施形態では、交換動作の際にタッチセンサ96による確認動作を行わない第2モードを実行可能としている。
【0046】
また、本実施形態では、上述のように選択部120によりモード選択が可能となっている。このため、CPU85は、上述の条件に加えて、更に、選択部120により第2モードが選択されている場合に、第2モードを実行することとしている。即ち、本実施形態では、次の3つの条件が満たされた場合に、第2モードを実行するようにしている。まず、第1条件は、今回の交換動作が同じ工具12に対する2回目以降の交換動作である条件である。第2条件は、同じ工具12に対する前回の交換動作から今回の交換動作まで開閉ドア102が閉じられたままである条件である。第3条件は、選択部120により第2モードが選択されている条件である。
【0047】
一方、CPU85は、選択部120により第1モードが選択されている場合には、同じ工具12に対する2回目以降の交換動作で、且つ、同じ工具12に対する前回の交換動作から今回の交換動作まで開閉ドア102が閉じられたままである場合であっても、第1モードを実行する。言い換えれば、上述の第1ないし第3条件の少なくとも何れか1つの条件を満たさない場合には、今回の交換動作において、第1モードを実行する。
【0048】
なお、選択部120がない構成の場合、第1条件及び第2条件を満たせば、第2モードを実行し、第1条件と第2条件の少なくとも何れかの条件を満たさない場合には、第1モードを実行するようにしても良い。本実施例では、工具がユーザ等によって、取り換えられていないことを開閉ドアのセンサを用いて確認したが、加工室内への侵入を検知するエリアセンサや加工装置内部側または外部側を監視するカメラ等を基に判断してもよく、工具が取り換えられていないことを確認するためのセンサが用いられていればよい。工具マガジンを非磁性材料で構成し、工具を磁性材料で構成した場合は、磁気センサも利用できる。
【0049】
また、本実施形態では、工具装着を確認する回数を減らせればよく、特定の回数や条件で念のために工具装着を確認するようにしてもよい。即ち、CPU85は、第2モードで交換動作を、開閉ドア102が閉じられたまま所定回数行った場合には、選択部120により第2モードが選択されている場合であっても、次の交換動作において第1モードを実行するようにしても良い。例えば、開閉ドア102が閉じられたまま同じ工具12に対する交換動作を5回以上行った場合には、同じ工具12に対する次の交換動作では、第1ないし第3条件を満たしたとしても、第1モードを実行し、念のため、タッチセンサ96による確認動作を行うようにしても良い。また、ワークの材料が樹脂の場合や、加工時間が長時間に及ぶなど特定の条件を満たす場合には、主軸11と工具12の間に異物を挟み込む可能性があるため、第1ないし第3条件を満たしたとしても、第1モードを実行する頻度を高くするようにしても良い。例えば、特定の条件を満たさない場合には、開閉ドア102が閉じられたまま同じ工具12に対する交換動作を5回以上行った際に第1モードを実行するのに対して、特定の条件を満たす場合には、開閉ドア102が閉じられたまま同じ工具12に対する交換動作を3回以上行った際に第1モードを実行するようにしても良い。
【0050】
次に、図4を用いて本実施形態の工具12の交換動作の制御フローの一例について説明する。CPU85は、プログラムにしたがって工具12の交換動作が実行されると、上述したように、主軸11及び工具マガジン70を、主軸11の下方に工具マガジン70の交換したい工具12が配置されている位置が位置するように相対移動させ、主軸11を下降させて主軸11に交換したい工具12を把持する(S1)。次に、CPU85は、そのプログラムによる加工中に開閉ドア102がずっと閉じていたか否かを確認する(S2)。一度でも開閉ドア102が開いていた場合には(S2のN)、タッチセンサ96で主軸11への工具装着を確認する(S3)。即ち、第1モードが実行される。なお、開閉ドア102が開いたこと及び開いたタイミングは、メモリ86mに記憶しておく。
【0051】
一方、S2において、加工中に開閉ドア102が一度も開いていない場合には(S2のY)、掴んだ工具12が同じ工具の2回目以降の交換であるか否かを確認する(S4)。同じ工具の2回目以降の交換でない場合、例えば、掴んだ工具12が開閉ドア102が閉まっている間に交換動作を行った工具12とは異なる場合や、1回目の工具12の交換動作の場合には(S4のN)、タッチセンサ96で主軸11への工具装着を確認する(S3)。
【0052】
S4で、同じ工具の2回目以降の交換である場合(S4のY)、選択部120によるモードの選択状況を確認する(S5)。即ち、第2モードに設定されているか、言い換えれば、同じ工具12を2回目以降タッチセンサ96で確認しない設定かを確認する。S5で第1モードが選択されている場合には(S5のN)、タッチセンサ96で主軸11への工具装着を確認する(S3)。一方、S5で第2モードが選択されている場合、同じ工具を2回目以降確認しない設定である場合(S5のY)、その工具12による加工を開始する(S6)。即ち、第2モードが実行される。
【0053】
その工具12による加工が終了したら、工具12を工具マガジン70に戻す(S7)。そして、タッチセンサ96で主軸11に工具が把持されているか否かを確認、即ち、主軸11への工具離しを確認する(S8)。
【0054】
なお、上述のS2、S4、S5の確認の順番は、上述のフロー以外でも良く、順番は適宜変更可能である。要は、3つの条件がすべて揃ったときに第2モードが実行されればよい。
【0055】
このように本実施形態の場合、同じ工具12に対する交換動作の際に、上述の3つの条件が満たされて場合には、第2モードを実行するようにしている。これにより、タッチセンサ96による確認動作の回数を減らすことができ、加工装置による加工時間が長くなることを抑制できる。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は、上述の加工装置100の制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムであっても良い。言い換えれば、上述した各実施形態に記載の動作を加工装置100に行わせるための制御をコンピュータに実行させるプログラムであっても良い。また、本発明は、上述した実施形態の制御を行う加工装置の制御方法であっても良い。例えば、制御方法として、第1モードと第2モードとの何れかを選択する工程(選択工程)と、選択された第1モードまたは第2モードを実行する工程(実行工程)とを備えたものであっても良い。また、制御方法として、前述した開閉検知センサ110、エリアセンサ、カメラなどの工具マガジンに格納された工具が取り換えられていないことを確認するためのセンサの検知結果に応じて、第1モードまたは第2モードを実行する工程を有するものであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
11・・・主軸
12・・・工具
41・・・保持装置(保持部)
70・・・工具マガジン
85・・・CPU(制御手段)
96・・・タッチセンサ(先端検出手段)
100・・・加工装置
101・・・外装カバー(筐体)
102・・・開閉ドア
110・・・開閉検知センサ(開閉検知手段)
111・・・マグネット
112・・・磁気センサ(磁気検出手段)
120・・・選択部(選択手段)
200・・・移動装置(移動手段)
W・・・ワーク(加工対象物)
図1
図2
図3
図4