(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026896
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】防振部材固定構造及び防振部材
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
F16F15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132327
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河西 亮吾
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA11
3J048BA18
3J048DA03
(57)【要約】
【課題】取り付け作業の簡略化、部品点数の削減できる防振部材を提供する。
【解決手段】防振部材は、振動を吸収する板状の吸振部と、吸振部の一方の主面から突出し且つ、吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第1の突出部と、吸振部の他方の主面から突出し且つ、吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第2の突出部と、を有する。第1及び第2の突出部の各々は、吸振部の主面から伸長する軸部と、軸部の先端に形成された係合用の頭部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板部及び第2の板部の主面間に挟まれて、前記第1の板部及び前記第2の板部を固定する防振部材を含む防振部材固定構造であって、
前記防振部材は、
振動を吸収する板状の吸振部と、
前記吸振部の一方の主面から突出し且つ、前記吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第1の突出部と、
前記吸振部の他方の主面から突出し且つ、前記吸振部と前記弾性体によって一体成形されている1又は複数の第2の突出部と、を有し、
前記第1及び第2の突出部の各々は、前記吸振部の主面から伸長する軸部と、前記軸部の先端に形成された係合用の頭部と、を有し、
前記第1の板部は、前記第1の突出部に対向する位置に前記第1の突出部の前記頭部が挿通される際に前記軸部を弾性変形させる内周縁部を備え且つ該内周縁部が挿通後に前記頭部の外周縁部の少なくとも一部と係合する第1の挿通孔を有し、
前記第2の板部は、前記第2の突出部に対向する位置に前記第2の突出部の前記頭部が挿通される際に前記軸部を弾性変形させる内周縁部を備え且つ該内周縁部が挿通後に前記頭部の外周縁部の少なくとも一部と係合する第2の挿通孔を有する
ことを特徴とする防振部材固定構造。
【請求項2】
前記第1の突出部の前記頭部は、前記軸部の伸長方向へ先細りとなる複数のテーパ面を備え且つ前記吸振部の主面に対向する座面を有する正多角形角錐台形状を有し、
前記頭部の外周縁部の前記一部は前記テーパ面のうちの隣接するテーパ面間の稜線の端部部分であり、
前記第1の板部の前記第1の挿通孔は、対向する前記第1の突出部の前記頭部が前記第1の突出部の前記軸部を捻るように前記第1の突出部を変形させる場合に、前記第1の突出部の前記頭部が前記第1の挿通孔を通過可能な正多角形状を有し、
前記第1の突出部の前記頭部を前記軸部周りの回動を起こさせる治具を前記頭部に係合せしめる係合部が前記第1の突出部の前記頭部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防振部材固定構造。
【請求項3】
前記第2の突出部の前記頭部は、前記軸部の伸長方向へ先細りとなる円錐テーパ面を備え且つ前記吸振部の主面に対向する座面を有する円錐台形状を有し、
前記第2の板部の前記第2の挿通孔は、前記第2の突出部の前記頭部が弾性変形しつつ前記第2の挿通孔を通過可能な円形状を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の防振部材固定構造。
【請求項4】
前記第2の突出部の前記頭部は、前記軸部の伸長方向へ先細りとなる複数のテーパ面を備え且つ前記吸振部の主面に対向する座面を有する正多角形角錐台形状を有し、
前記第2の板部の前記第2の挿通孔は、対向する前記第2の突出部の前記頭部が前記第2の突出部の前記軸部を捻るように前記第2の突出部を変形させる場合に、前記第2の突出部の前記頭部が前記第2の挿通孔を通過可能な正多角形状を有し、
前記第2の突出部の前記頭部を前記軸部周りの回動を起こさせる治具を前記頭部に係合せしめる係合部が前記第2の突出部の前記頭部に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の防振部材固定構造。
【請求項5】
前記第1及び第2の突出部の各々が同軸に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防振部材固定構造。
【請求項6】
前記第1及び第2の突出部の各々が非同軸に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防振部材固定構造。
【請求項7】
振動を吸収する板状の吸振部と、
前記吸振部の一方の主面から突出し且つ、前記吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第1の突出部と、
前記吸振部の他方の主面から突出し且つ、前記吸振部と前記弾性体によって一体成形されている1又は複数の第2の突出部と、を有し、
前記第1及び第2の突出部の各々は、前記吸振部の主面から伸長する軸部と、前記軸部の先端に形成された係合用の頭部と、を有する
ことを特徴とする防振部材。
【請求項8】
前記第1及び第2の突出部の少なくとも一方の前記頭部は、前記軸部の伸長方向へ先細りとなる複数のテーパ面を有し且つ前記吸振部の主面に対向する座面を有する正多角形角錐台形状を有していることを特徴とする請求項7に記載の防振部材。
【請求項9】
前記正多角形角錐台形状の前記頭部を前記軸部周りの回動を起こさせる治具を前記頭部に係合せしめる係合部が前記正多角形角錐台形状の前記頭部に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の防振部材。
【請求項10】
前記第1及び第2の突出部の各々が同軸に形成されている
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の防振部材。
【請求項11】
前記第1の突出部のうちの1つと前記第2の突出部のうちの1つが非同軸に形成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の防振部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振部材固定構造及び防振部材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に配置される標識ポールの防振固定構造として、アンカーボルトにダブルナットを螺合し締めつけてなるポールの固定構造が知られ、基礎と台座との間に振動吸収板を介在させることが行われている(特許文献1、参照)。また、防振構造として、弁制御装置のポジショナを防振するために、防振部材を介在させ、ボルトとダブルナットで固定する構造も知られている(特許文献2、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-073329号公報
【特許文献2】特開2018-159451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、収音特性を検知する電子機器等の振動によるノイズを除去する必要がある装置に使用され、また着脱可能な装置に使用される防振部材固定構造が求められている。しかし、従来においては、防振部材をボルトナットで固定するので、ボルトナットを回す工具を入れるスペースを確保しなければならない、また作業者に締結方法の知識が必要、部品が多くなる、取り付けに時間がかかるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、取り付け作業の簡略化、部品点数の削減できる防振部材固定構造及び防振部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防振部材固定構造は、第1の板部及び第2の板部の主面間に挟まれて、前記第1の板部及び前記第2の板部を固定する防振部材を含む防振部材固定構造であって、前記防振部材は、振動を吸収する板状の吸振部と、前記吸振部の一方の主面から突出し且つ、前記吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第1の突出部と、前記吸振部の他方の主面から突出し且つ、前記吸振部と前記弾性体によって一体成形されている1又は複数の第2の突出部と、を有し、前記第1及び第2の突出部の各々は、前記吸振部の主面から伸長する軸部と、前記軸部の先端に形成された係合用の頭部と、を有し、前記第1の板部は、前記第1の突出部に対向する位置に前記第1の突出部の前記頭部が挿通される際に前記軸部を弾性変形させる内周縁部を備え且つ該内周縁部が挿通後に前記頭部の外周縁部の少なくとも一部と係合する第1の挿通孔を有し、前記第2の板部は、前記第2の突出部に対向する位置に前記第2の突出部の前記頭部が挿通される際に前記軸部を弾性変形させる内周縁部を備え且つ該内周縁部が挿通後に前記頭部の外周縁部の少なくとも一部と係合する第2の挿通孔を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の防振部材は、振動を吸収する板状の吸振部と、前記吸振部の一方の主面から突出し且つ、前記吸振部と弾性体によって一体成形されている1又は複数の第1の突出部と、前記吸振部の他方の主面から突出し且つ、前記吸振部と前記弾性体によって一体成形されている1又は複数の第2の突出部と、を有し、前記第1及び第2の突出部の各々は、前記吸振部の主面から伸長する軸部と、前記軸部の先端に形成された係合用の頭部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防振部材に取り付ける係合部である突出部を一体成形することで取り付け作業の簡略化、部品点数の削減できる防振部材及びその固定構造が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施例の防振部材固定構造を示す概略部分分解斜視図である。
【
図2】第1の実施例の防振部材固定構造を示す概略部分分解側面図である。
【
図3】第1の実施例の防振部材固定構造の第1の板部を一部に有する筐体の概略部分上面図と、板状の防振ゴムからなる防振部材の概略部分上面図と、第2の板部を一部に有するベースの概略部分上面図とを、筐体と防振部材とベースの各部の配置関係と共に示す上面図群である。
【
図4】第1の実施例のベースと筐体の間に防振部材が挟まれ密着して一体となった本実施例の防振部材固定構造を示す概略部分斜視図である。
【
図5】
図4に示す防振部材固定構造の線BBにおける概略断面図である。
【
図6】
図1に示す防振部材の線AAにおける概略断面図である。
【
図7】第1の実施例の防振部材固定構造の動作の説明を示す概略側面図(
図7(a)(c))と概略上面図(
図7(b))である。
【
図8】本発明による第2の実施例である防振部材固定構造を示す概略部分分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の電子機器等の筐体の固定構造ついて詳細に説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例0011】
(構成の説明)
図1は本発明の第1の実施例の防振部材固定構造を示す概略部分分解斜視図を示す。
図2は本実施例の防振部材固定構造を示す概略部分分解側面図を示す。
図3は、本実施例の防振部材固定構造の第1の板部1を一部に有する筐体(以下、単に筐体1という)の概略部分上面図と、板状の防振ゴムからなる防振部材2の概略部分上面図と、第2の板部を一部に有するベース(以下、単にベース3という)の概略部分上面図とを、筐体1と防振部材2とベース3の各部の配置関係と共に示す上面図群である。
【0012】
本実施例の防振部材固定構造は、筐体1を板状の防振ゴム等からなる防振部材2を介してベース3に固定する構造である。筐体1と防振部材2とベース3は、防振部材2の係合用の第1及び第2の突出部21、22がそれぞれ筐体1に形成された係合用の第1の挿通孔1fとベース3に形成された係合用の第2の挿通孔3gに同軸で嵌合されて、それらの主面同士が密着して一体となるように、構成されている。
【0013】
図4は、ベース3と筐体1の間に防振部材2が挟まれ密着して一体となった本実施例の防振部材固定構造を示す概略部分斜視図を示す。
図5は、
図4に示す防振部材固定構造の線BBにおける概略断面図である。密着して一体となった状態で、例えばベース3が道路上に固定された構造物であるとすると、収音装置等の電子機器の筐体1であれば、防振部材2により該道路からの筐体1への振動を或る程度減衰できる。
【0014】
(防振部材)
図6は、
図1に示す防振部材2の線AAにおける概略断面図である。本実施例の防振部材固定構造を示す概略部分斜視図を示す。防振部材2は、振動を吸収する板状の吸振部20と、吸振部20の両主面にそれぞれ同軸で突出する係合用の第1及び第2の突出部21、22とを有し、これらが弾性体によって一体成形されて構成されている。第1及び第2の突出部21、22のそれぞれは、吸振部20の主面に垂直に伸長して設けられた円柱状の軸部21a、22aと、それらの先端に設けられた係合用の頭部21b、22bとから構成される。
【0015】
防振部材2の片面に第1の突出部21が、反対の片面には第2の突出部22が同軸に形成されている。第1の突出部21は筐体1に形成された第1の挿通孔1fに、第2の突出部22はベース3に形成された第2の挿通孔3gに入る構造となっている。
【0016】
第1の突出部21の頭部21bは正四角形錐台形状を有し、軸部21aから張り出す吸振部20の主面に対向する座面21cと、これから軸部21aの先端伸長方向へ先細りとなる4面の平坦テーパ面21dと、最先端の四角の頂面21eと、これに設けられたスリット21f、を備えている(
図3(b)、参照)。すなわち、防振部材2の第1の突出部21には、先端部分に正四角台形の返し形状である角錐台形状頭部21bが形成され、角錐台形状頭部21bの頂面21eにはスリット21fが形成されている(
図2、参照)。スリット21fは、第1の突出部21の頭部21bを軸部21a周りの回動を起こさせるマイナスドライバー等の治具を頭部21bに係合せしめる係合部である。
【0017】
図2(a)(b)、
図3(a)(b)に示すように、角錐台形状頭部21bは、その四角外周縁部の一部である、テーパ面21dのうちの隣接するテーパ面間の稜線RDの端部部分RDPをストッパとして有する。
【0018】
第2の突出部22の頭部22bは円錐台形状を有し、軸部22aから張り出す吸振部20の主面に対向する座面22cと、これから軸部22aの伸長方向へ先細りとなる円錐テーパ面22dと、最先端の円形の頂面22eとを備えている。すなわち、第2の突出部22は先端部分に円錐台形の返し形状である円錐台形状頭部22bを備えている。
【0019】
(筐体)
筐体1には、防振部材2の第1の突出部21と同じ位置に正四角形開口の第1の挿通孔1fが形成されている。第1の挿通孔1fは、その正四角形状が角錐台形状頭部21bの座面21cと同形状且つ同サイズで座面21cに対して軸部21aの中心線の周りに45°傾けて配向した状態で形成されている(
図4、参照)。なお、本例では、筐体1の正四角形開口の第1の挿通孔1fと防振部材2の正四角形錐台形状頭部21bとの正四角形のものを利用しているが、これらの部位をそれぞれ正三角形や正五角形等の正多角形錐台形状としてもよい。
【0020】
図2(a)(b)、
図3(a)(b)に示すように、第1の挿通孔1fは、第1の突出部21に対向する位置にその頭部21bが挿通される際に、隣接するテーパ面間の稜線RDとテーパ面がガイドとなり、頭部21bの軸部22aを弾性変形(ねじれ)させる内周縁部1eを備えており、該内周縁部1eが挿通後に弾性変形が戻ると頭部21bの外周縁部の一部RDPと係合するように構成されている。
【0021】
さらに、筐体1の第1の挿通孔1fは、角錐台形状頭部21bの座面21cと同じ正四角形状且つ同サイズの開口であるので、対向する第1の突出部21の頭部21bが第1の突出部21の軸部21aを捻るように第1の突出部21を弾性変形させる場合に、第1の突出部21の頭部21bが第1の挿通孔1fを通過可能となる。
【0022】
(ベース)
ベース3には、防振部材2の第2の突出部22と同じ位置に第2の挿通孔3gが形成されている。第2の挿通孔3gは、
図2(c)に示すような段付きの貫通孔となっている。
図2(b)(c)に示すように、第2の挿通孔3gは、円錐台形状頭部22bが挿入される側の第1段3g1の形状が円錐台形状頭部22bの座面22cと相似形状且つ座面22cより小さな内径で円錐テーパ面22dの円周部が弾性変形により通過でき通過後に座面22cが第1段3g1に係合できるサイズで形成され、その第2段3g2の形状が第1段3g1の内径より大きな内径の円形孔として形成されている。第2の挿通孔3gは、第2の突出部22に対向する位置に第2の突出部22の頭部22bが挿通される際に頭部22bの外周縁部RDPを弾性変形させる内周縁部3eを備え且つ該内周縁部3eが挿通後に頭部22bの外周縁部RDPと係合するように構成されている。
【0023】
筐体1と防振部材2とベース3の嵌合部についての防振部材2の第1の突出部21と筐体1の第1の挿通孔1fの寸法関係は、
図3に示すように、x(第1の突出部21の四角頭部21bの座面の対角長)>u(筐体1の第1の挿通孔1fの四角形の一辺長)=z(第1の突出部21の頭部21bの座面一辺長)>y(第1の突出部21の頭部21bの四角頂面21eの対角長)と設定されている。防振部材2の第2の突出部22とベース3の第2の挿通孔3gの寸法関係は、
図2に示すように、s(ベース3の第2段3g2の内径)>w(防振部材2の頭部22bの座面の外径)>t(ベース3の第1段3g1の内径)>v(防振部材2の頭部22bの円形頂面22eの直径)と設定されている。
【0024】
(動作の説明)
防振部材2を取り付ける時、防振部材2の第1の突出部21を筐体1の第1の挿通孔1fに押し込むと、その頭部21bは、そのテーパ面21dのうちの隣接するテーパ面間の稜線RDとテーパ面がガイドとなり、第1の突出部21の頭部21bが軸部21a周りの弾性変形で捩じれつつ第1の挿通孔1fに入り込む。同様に防振部材2の第2の突出部22をベース3の第2の挿通孔3gに押し込むと円錐テーパ面22dがガイドとなり弾性変形しつつ第2の突出部22が第2の挿通孔3gに入り込み、
図4に示す固定状態になる。
【0025】
防振部材2から筐体1を取り外すときは、
図7(a)に示すように防振部材2の第1の突出部21の頭部21bのスリット21fにマイナスドライバー等を差し込み第1の突出部21の頭部21bを45℃回転させ、筐体1の第1の挿通孔1fと向きを合わせる。そして、
図7(b)に示すように頭部21bを第1の挿通孔1fと向きを合わせた状態で、
図7(c)に示すように第1の突出部21の頭部21bを第1の挿通孔1fへ押し込む。
【0026】
以上のように本実施例によれば、防振部材2を取り付ける時は、防振部材2の突出部を筐体1、ベース3の各孔に手で押し込むだけなので、工具が不要となる、作業者に特別な知識が不要となる、部品数が減る、取り付け時間が短縮されるといった効果がある。
【0027】
防振部材2を筐体1に固定する際、防振部材2の第1の突出部21の先端の頭部21bを角錐台形の返し形状にすることで、第1の突出部21が第1の挿通孔1fに入り込む際、テーパ面21dがガイドになり入り込み、第1の突出部21の角錐台形状頭部21bがストッパとなり固定される。
【0028】
防振部材2を取り外す際、第1の突出部21のスリット21fを利用しマイナスドライバー等で第1の突出部21を回転させ角錐台形状頭部21bのストッパを解除し押し込むことで取り外しができる。このように、マイナスドライバーで押し込むだけなので、使用する工具の減少、作業時間の短縮、といった効果がある。
第2の実施例は、第1の実施例の防振部材2の第1の突出部21と同じ角錐台形状頭部の構造を円錐台形状の頭部22bに代えて第2の突出部として設けた以外、第1の実施例と同一である。
ベース32の第2の挿通孔32gは、対向する第2の突出部222の頭部222bが第2の突出部222の軸部222aを捻るように第2の突出部222を変形させる場合に、第2の突出部222の頭部222bが第2の挿通孔32gを通過可能な正多角形状を有する。
第2の突出部222の頭部222bを軸部222a周りの回動を起こさせる治具のドライバを頭部222bに係合せしめる係合部のスリット222fが第2の突出部222の頭部222bに形成されている。
さらに、いずれの実施例でも、防振部材2の硬質ゴム材料としては、例えば、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)等の樹脂や天然ゴムが挙げられる。
形態としてもよい。
また、いずれの実施例においても、吸振部及び突出部を同一ゴムにて一体形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吸振部を比較的に軟質のゴム層で成形し、軸部及び頭部を吸振部に比べて硬質のゴムの二色成形で一体形成してもよい。この際、二色成形法により全てを一体成形する、又はそれぞれを成形後、加流接合等により接合して吸振部と突出部を一体成形してもよい。