(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026978
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】食品細断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/18 20060101AFI20230221BHJP
A47J 43/20 20060101ALI20230221BHJP
B26D 1/547 20060101ALI20230221BHJP
A23L 11/45 20210101ALN20230221BHJP
【FI】
B26D3/18 E
A47J43/20
B26D1/547 B
A23L11/45 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132460
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】521359988
【氏名又は名称】齋藤 由美子
(71)【出願人】
【識別番号】521359999
【氏名又は名称】齋藤 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由美子
【テーマコード(参考)】
4B020
4B053
【Fターム(参考)】
4B020LP21
4B020LR08
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】軟質の食品を簡単に細断でき、かつ容易にサイズを調整できる食品細断装置を提供する。
【解決手段】容器本体2、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5で構成される。容器本体2は、上方に開口部が設けられた箱状を呈しており、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5はそれぞれ容器本体2に取り付けられている。容器本体2には、収容部21及び収容部22が設けられ、第1切断部3は収容部21の上部に設けられる。また、第2切断部4及び第3切断部5は、収容部21と収容部22を隔てるように設けられる。第1切断部3、第2切断部4又は第3切断部5を個別に調整することで、ユーザのニーズに合わせて、多様なサイズに細断できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の上面開口を有する直方体の容器本体と、
前記上面開口の長手方向の略中央から2つに区分けされる一方の開口面を覆う第1切断面と、
前記容器本体の長手方向の略中央断面に設けられた第2切断面と、
を備える装置において、
前記第1切断面は、前記容器本体の長手方向に直交する方向に張設された上下切断糸を有し、
前記第2切断面は、切断面にメッシュ状に張設された横切断糸と縦切断糸を有し、
前記第1切断面の上下切断糸を張設する上下切断糸固定部が一対で構成され、一方の上下切断糸固定部が他方の上下切断糸固定部に対して前記容器本体の長手方向にスライドし、
前記第2切断面の横切断糸を張設する横切断糸固定部が一対で構成され、一方の横切断糸固定部が他方の横切断糸固定部に対して上下方向にスライドし、
前記第2切断面の縦切断糸を張設する縦切断糸固定部が一対で構成され、一方の縦切断糸固定部が他方の縦切断糸固定部に対して前記容器本体の短手方向にスライドすることを特徴とする食品細断装置。
【請求項2】
前記容器本体の側部には、前記容器本体の長手方向に延べる少なくとも一対の貫通孔が設けられ、
前記上下切断糸は、前記貫通孔に挿通された後、両端が前記上下切断糸固定部に固定され、
前記上下切断糸固定部は、前記貫通孔の周囲の前記容器本体の一部に、前記容器本体の外側から当接し、前記容器本体の長手方向に摺動自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の食品細断装置。
【請求項3】
前記容器本体の側部には、上下方向に延べる少なくとも一対の貫通孔が設けられ、
前記横切断糸は、前記貫通孔に挿通された後、両端が前記横切断糸固定部に固定され、
前記横切断糸固定部は、前記貫通孔の周囲の前記容器本体の一部に、前記容器本体の外側から当接し、上下方向に摺動自在に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品細断装置。
【請求項4】
前記容器本体の底部には、前記容器本体の短手方向に延べる少なくとも1つの貫通孔が設けられ、
前記縦切断糸は、前記貫通孔に挿通された後、一端が底部側に設けられた前記縦切断糸固定部に固定され、他端は、前記容器本体の上面開口側に設けられた前記縦切断糸固定部に固定され、
前記縦切断糸固定部は、一方が、前記貫通孔の周囲の前記容器本体の一部に、前記容器本体の外側から当接し、他方が、前記容器本体の上面開口の短手方向の両端部に当接し、
前記容器本体の短手方向に摺動自在に設けられることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の食品細断装置。
【請求項5】
前記縦切断糸固定部の両端部には、前記容器本体に向けて、突起部が設けられたことを特徴とする請求項4の何れかに記載の食品細断装置。
【請求項6】
前記容器本体の底部において、第1切断面が設けられた開口面に対向する部位には、複数の水切り孔が形成されたことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の食品細断装置。
【請求項7】
長方形の上面開口を有する直方体の容器本体と、
前記上面開口の長手方向の略中央から2つに区分けされる一方の開口面を覆う第1切断面と、
前記容器本体の長手方向の略中央断面に設けられた第2切断面と、
を備える装置において、
前記第1切断面は、前記容器本体の長手方向に直交する方向に張設された上下切断糸を有し、
前記第2切断面は、切断面にメッシュ状に張設された横切断糸と縦切断糸を有し、
前記第1切断面と前記第2切断面がL字状に一体化され、共通する面方向で、前記容器本体から脱着自在であることを特徴とする食品細断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐などの軟性の食品を切断する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
豆腐などのゲル化食品は、軟質であるため、包丁などを用いて細かく切断しようとすると、形が崩れてしまうという問題がある。また、細かく切った豆腐等を鍋や容器に移す際の取り扱いが容易でないという問題がある。
そこで、豆腐などの食品をサイの目に切ることのできるサイの目カッターが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1のサイの目カッターは、外箱の内部に十文字ワイヤを張った縦枠と横線ワイヤを張った横枠を設け、更に外枠の一部に空気穴を有するものである。これによれば、包丁などを用いることなく、十文字ワイヤと横線ワイヤを用いて簡単に賽の目に豆腐等を切断できるとする。
【0003】
また、箱体に横切断ワイヤと上下切断ワイヤを備える豆腐切断器が知られている(特許文献2を参照)。特許文献2の豆腐切断器は、特許文献1のサイの目カッターと同様に、箱体に豆腐等を収容した後、箱体を傾け、ワイヤにより豆腐等を切断するものである。
しかしながら、特許文献1のサイの目カッターや特許文献2の豆腐切断器は、切断するサイズを調整できないという問題がある。
【0004】
切断するサイズを調整する技術としては、H字形角体枠の内側面に裁断線を複数張設した軟固形物裁断器が知られている(特許文献3を参照)。特許文献3の軟固形物裁断器は、H字形の角体枠の内側面に凹凸の溝が設けられ、コ字形固定部材の取付位置を変化させることで食品を切断するサイズを調整可能としたものである。しかしながら、特許文献3の軟固形物裁断器では、容器に収容して切断するものではないため、正確に賽の目に切断することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3101735号公報
【特許文献2】特開2005-103744号公報
【特許文献3】特開2017-154243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる状況に鑑みて、本発明は、軟質の食品を簡単に細断でき、かつ、細断サイズを容易に切替できる食品細断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の第1の観点の食品細断装置は、長方形の上面開口を有する直方体の容器本体と、上面開口の長手方向の略中央から2つに区分けされる一方の開口面を覆う第1切断面と、容器本体の長手方向の略中央断面に設けられた第2切断面と、を備える装置において、第1切断面は、容器本体の長手方向に直交する方向に張設された上下切断糸を有し、第2切断面は、切断面にメッシュ状に張設された横切断糸と縦切断糸を有し、第1切断面の上下切断糸を張設する上下切断糸固定部が一対で構成され、一方の上下切断糸固定部が他方の上下切断糸固定部に対して容器本体の長手方向にスライドし、第2切断面の横切断糸を張設する横切断糸固定部が一対で構成され、一方の横切断糸固定部が他方の横切断糸固定部に対して上下方向にスライドし、第2切断面の縦切断糸を張設する縦切断糸固定部が一対で構成され、一方の縦切断糸固定部が他方の縦切断糸固定部に対して容器本体の短手方向にスライドする。
【0008】
第1切断面と第2切断面を備えることにより、対象となる食品を細かく切断することが可能となる。上下切断糸は、上方から食品を押し当てるなどして、食品を切断する糸のことであり、メッシュ状に張設された横切断糸と縦切断糸は、容器内を水平方向に食品を移動させて食品を切断する糸のことである。横切断糸は水平方向に張設されたものであり、縦切断糸は垂直方向に張設されたものである。上下切断糸、横切断糸又は縦切断糸の素材としては、ピアノ線などの金属線が好適に用いられるが、例えば樹脂製のものでもよい。
上下切断糸固定部が、容器本体の長手方向にスライドすることにより、一方の上下切断糸固定部に張設された上下切断糸と、他方の上下切断糸固定部に張設された上下切断糸との位置関係を調節することが可能となり、例えば、それぞれの上下切断糸が食品に対して重畳するように調節して、粗い大きさに切断することもできるし、また、それぞれの上下切断糸が重ならないように上下切断糸固定部調節することで、より細かいサイズに切断することも可能である。
また、同様に、横切断糸固定部がスライドすることにより、一方の横切断糸固定部に張設された横切断糸と、他方の横切断糸固定部に張設された横切断糸との位置関係を調節することができる。更に、縦切断糸固定部がスライドすることにより、一方の縦切断糸固定部に張設された縦切断糸と、他方の縦切断糸固定部に張設された縦切断糸との位置関係を調節することができる。
【0009】
このように、上下切断糸固定部、横切断糸固定部及び縦切断糸固定部の3箇所でそれぞれ切断サイズの調節ができるため、ユーザのニーズに合わせて、自由に切断するサイズを変更できる。また、サイズ変更のために、アタッチメントを取り替えるといった必要もないため、部品を無くしてしまうといった問題も防ぐことができる。
上下切断糸、横切断糸又は縦切断糸の本数は、各一対の切断糸固定部のそれぞれにつき1本ずつでもよいし、2本以上でもよい。また、各一対の切断糸固定部は、それぞれ同じ本数の上下切断糸、横切断糸又は縦切断糸が張設される必要はなく、異なる本数でもよい。また、張設される間隔については、一対の切断糸固定部を重畳させて使用しやすくするため、各一対の切断糸固定部は、それぞれ同じ間隔で張設されることが好ましいが、異なる間隔としてもよい。
【0010】
本発明の第1の観点の食品細断装置において、容器本体の側部には、容器本体の長手方向に延べる少なくとも一対の貫通孔が設けられ、上下切断糸は、貫通孔に挿通された後、両端が上下切断糸固定部に固定され、上下切断糸固定部は、貫通孔の周囲の容器本体の一部に、容器本体の外側から当接し、容器本体の長手方向に摺動自在に設けられることが好ましい。
かかる構成とされることにより、上下切断糸固定部がスライドする機構を実現できる。上下切断糸固定部は、一対の貫通孔が設けられる容器本体の外側に設けられるため、上下切断糸は、上下切断糸固定部を構成する2つの部材により張設されることになる。
【0011】
本発明の第1の観点の食品細断装置において、容器本体の側部には、上下方向に延べる少なくとも一対の貫通孔が設けられ、横切断糸は、貫通孔に挿通された後、両端が横切断糸固定部に固定され、横切断糸固定部は、貫通孔の周囲の容器本体の一部に、容器本体の外側から当接し、上下方向に摺動自在に設けられることが好ましい。
かかる構成とされることにより、横切断糸固定部がスライドする機構を実現できる。横切断糸固定部は、一対の貫通孔が設けられる容器本体の外側に設けられるため、横切断糸は、横切断糸固定部を構成する2つの部材により張設されることになる。
【0012】
本発明の第1の観点の食品細断装置において、容器本体の底部には、容器本体の短手方向に延べる少なくとも1つの貫通孔が設けられ、縦切断糸は、貫通孔に挿通された後、一端が底部側に設けられた縦切断糸固定部に固定され、他端は、容器本体の上面開口側に設けられた縦切断糸固定部に固定され、縦切断糸固定部は、一方が、貫通孔の周囲の容器本体の一部に、容器本体の外側から当接し、他方が、容器本体の上面開口の短手方向の両端部に当接し、容器本体の短手方向に摺動自在に設けられることが好ましい。
かかる構成とされることにより、縦切断糸固定部がスライドする機構を実現できる。縦切断糸固定部は、容器本体の底部側と上面開口側に設けられるため、縦切断糸は、縦切断糸固定部を構成する2つの部材により張設されることになる。
【0013】
本発明の第1の観点の食品細断装置において、縦切断糸固定部の両端部には、容器本体に向けて、突起部が設けられたことが好ましい。両端部に突起部が設けられることにより、縦切断糸固定部をスライドした際に、縦切断糸固定部が容器本体から脱落することを防止できる。
【0014】
本発明の第1の観点の食品細断装置において、容器本体の底部において、第1切断面が設けられた開口面に対向する部位には、複数の水切り孔が形成されたことが好ましい。水切り孔が形成されることにより、細断後の食品から発生する余分な水滴を取り除くことができる。
仮に、水切り孔が、第1切断面が設けられない開口面に対向する部位に形成されるとすると、第2切断面により細断された豆腐などの食品を鍋等に入れる際に、水切り孔から水滴が落ちてしまうという問題がある。そこで、水切り孔が、第1切断面が設けられた開口面に対向する部位に形成されることにより、第2切断面による切断前に食品に付着した余分な水分を取り除き、第2切断面により細断された食品を鍋等に入れる際には、水切り孔から水滴が落ちない構造である。
【0015】
本発明の第2の観点の食品細断装置は、長方形の上面開口を有する直方体の容器本体と、上面開口の長手方向の略中央から2つに区分けされる一方の開口面を覆う第1切断面と、容器本体の長手方向の略中央断面に設けられた第2切断面と、を備える装置において、第1切断面は、容器本体の長手方向に直交する方向に張設された上下切断糸を有し、第2切断面は、切断面にメッシュ状に張設された横切断糸と縦切断糸を有し、第1切断面と第2切断面がL字状に一体化され、共通する面方向で、容器本体から脱着自在である。
第1切断面と第2切断面がL字状に一体化され、容器本体から脱着自在であることにより、異なる細断サイズのアタッチメントを取り替えることで、サイズ調整を行うことができる。また、分解しての洗浄も容易である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の食品細断装置によれば、軟質の食品を簡単に細断でき、かつ容易にサイズを調整できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図10】実施例1の食品細断装置の使用イメージ
図2
【
図11】ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の正面図
【
図12】ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の平面図
【
図13】ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の断面イメージ図
【
図14】ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の斜視イメージ図
【
図15】ワイヤ固定部を拡げた場合の細断前後の食品イメージ図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0019】
図1は、実施例1の食品細断装置の外観斜視図を示している。
図1に示すように、食品細断装置1は、容器本体2、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5で構成される。第1切断部3は、第1切断面を構成し、第2切断部4及び第3切断部5は、第2切断面を構成する。
容器本体2は、上方に開口部が設けられた箱状を呈しており、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5はそれぞれ容器本体2に取り付けられている。容器本体2には、収容部(21,22)が設けられ、第1切断部3は収容部21の上部に設けられる。また、第2切断部4及び第3切断部5は、収容部(21,22)を隔てるように設けられる。
【0020】
図2は、第1切断部の説明図を示している。
図2に示すように、第1切断部3は、ワイヤ固定部(31~34)及び水平ワイヤ(3a~3f)から成る。ワイヤ固定部(31~34)は、上下切断糸固定部に相当し、水平ワイヤ(3a~3f)は、上下切断糸に相当する。水平ワイヤ(3a~3c)の一端はワイヤ固定部31に張設され、他端はワイヤ固定部32に張設されている。また、水平ワイヤ(3d~3f)の一端はワイヤ固定部33に張設され、他端はワイヤ固定部34に張設されている。
容器本体2には、貫通孔(23a,23b)が設けられており、ワイヤ固定部(31,33)は貫通孔23aの外側に、また、ワイヤ固定部(32,34)は貫通孔23bの外側に、それぞれ摺動自在に固定されている。ワイヤ固定部(31~34)の内、ワイヤ固定部(31,32)は上方に設けられ、ワイヤ固定部(33,34)は下方に設けられている。長方形状の貫通孔(23a,23b)の短手方向の長さは、ワイヤ固定部31とワイヤ固定部33の短手方向の長さの和よりも短く設けられているため、水平ワイヤ(3a~3f)が張設された状態で、ワイヤ固定部(31~34)を容器本体2に固定することが可能である。
【0021】
図3は、第2切断部の説明図を示している。
図3に示すように、第2切断部4は、ワイヤ固定部(41~44)及び縦ワイヤ(4a~4f)から成る。ワイヤ固定部(41~44)は、縦切断糸固定部に相当し、縦ワイヤ(4a~4f)は、縦切断糸に相当する。縦ワイヤ(4a~4c)の一端はワイヤ固定部41に張設され、他端はワイヤ固定部42に張設されている。また、縦ワイヤ(4d~4f)の一端はワイヤ固定部43に張設され、他端はワイヤ固定部44に張設されている。
ワイヤ固定部(41,43)は、容器本体2の開口端部に固定されている。なお、ここでは図示しないが、ワイヤ固定部(41,43)と当接する容器本体2の開口端部には、ワイヤ固定部(41,43)が嵌合する凹部を形成することでもよい。
容器本体2には、貫通孔24が設けられており、ワイヤ固定部(42,44)は貫通孔24の外側に摺動自在に固定されている。ワイヤ固定部(41~44)の内、ワイヤ固定部(41,42)は左方に設けられ、ワイヤ固定部(43,44)は右方に設けられている。長方形状の貫通孔24の長手方向の長さは、ワイヤ固定部41又はワイヤ固定部43の長手方向の長さよりも短く設けられているため、縦ワイヤ(4a~4f)が張設された状態で、ワイヤ固定部(41~44)を容器本体2に固定することが可能である。
【0022】
ワイヤ固定部41の両端部には突起部(45a,45b)、ワイヤ固定部42の両端部には突起部(45c,45d)ワイヤ固定部43の両端部には突起部(45e,45f)、またワイヤ固定部44の両端部には突起部(45g,45h)がそれぞれ設けられ、ストッパの役割を果たしている。
【0023】
図4は、第3切断部の説明図を示している。
図4に示すように、第3切断部5は、ワイヤ固定部(51~54)及び横ワイヤ(5a~5d)から成る。ワイヤ固定部(51~54)は、横切断糸固定部に相当し、横ワイヤ(5a~5d)は、横切断糸に相当する。横ワイヤ(5a,5b)の一端はワイヤ固定部51に張設され、他端はワイヤ固定部52に張設されている。また、横ワイヤ(5c,5d)の一端はワイヤ固定部53に張設され、他端はワイヤ固定部54に張設されている。
容器本体2には、貫通孔(53a,53b)が設けられており、ワイヤ固定部(51,53)は貫通孔53aの外側に、また、ワイヤ固定部(52,54)は貫通孔53bの外側に、それぞれ摺動自在に固定されている。ワイヤ固定部(51~54)の内、ワイヤ固定部(51,52)は左方に設けられ、ワイヤ固定部(53,54)は右方に設けられている。長方形状の貫通孔(53a,53b)の短手方向の長さは、ワイヤ固定部51とワイヤ固定部53の短手方向の長さの和よりも短く設けられているため、水平ワイヤ(5a~5d)が張設された状態で、ワイヤ固定部(51~54)を容器本体2に固定することが可能である。
なお、ワイヤ固定部(31~34)への水平ワイヤ(3a~3f)の固定や、ワイヤ固定部(41~44)への縦ワイヤ(4a~4f)の固定、及びワイヤ固定部(51~54)への横ワイヤ(5a~5d)の固定については、図示しないが、ワイヤ固定部に設けられた貫通孔にワイヤを挿通した後、留め具で固定している。固定方法としては上述の方法に限られず、巻き付け固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
【0024】
図5は、実施例1の食品細断装置の説明図を示している。
図5に示すように、容器本体2に、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5がそれぞれ取り付けられている。第1切断部3は、食品を上方から下方へ移動させながら切断し、第2切断部4及び第3切断部5は、食品を右方から左方へ移動させながら切断する。更に、縦ワイヤ(4a~4f)と横ワイヤ(5a~5f)が、容器本体2に対して、それぞれ異なる向きとなるように取り付けられる。このような構成とされることにより、各ワイヤに食品を通すだけで、賽の目状に食品を細断することが可能である。
【0025】
図6は、実施例1の食品細断装置の正面図を示している。また、
図7は、実施例1の食品細断装置の平面図を示している。
図6及び
図7に示すように、食品細断装置1に設けられる第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5は、それぞれが干渉しない位置に設けられている。具体的には、ワイヤ固定部41とワイヤ固定部53、又はワイヤ固定部43とワイヤ固定部(31,33)は左右に間隔を空けて設けられており、それぞれ干渉しない構造である。
なお、本実施例では第2切断部4を右方に設け、第3切断部5を左方に設ける構成を示しているが、かかる構成には限られず、第3切断部5を右方に設け、第2切断部4を左方に設ける構成でもよい。
【0026】
図6に示すように、第1切断部3において、ワイヤ固定部31とワイヤ固定部33は、水平に重畳された状態となっている。かかる状態では、
図7に示すように、水平ワイヤ(3d~3f)は平面視では水平ワイヤ(3a~3c)に隠れ、重畳された状態となっている。したがって、水平ワイヤは6本設けられているが、第1切断部3により切断された豆腐8bは、
図7に示すように略4等分に切断される。
【0027】
図8は、実施例1の食品細断装置の断面イメージ図であり、具体的には、
図6におけるA-A断面イメージ図を示している。
図8に示すように、縦ワイヤ(4d~4f)と横ワイヤ(5c,5d)はメッシュ状に張設されている。しかしながら、縦ワイヤ(4a~4c)は右側面視では縦ワイヤ(4d~4f)に隠れ、横ワイヤ(5a,5b)は右側面視では横ワイヤ(5c,5d)に隠れ、何れも重畳された状態となっている。したがって、縦ワイヤは6本設けられ、横ワイヤは4本設けられているが、第2切断部4及び第3切断部5により切断された豆腐8cは、更に略12等分に切断される。
【0028】
図9及び
図10は、実施例1の食品細断装置の使用イメージ図を示している。
図9に示すように、食品細断装置2を使用する際には、まず、豆腐8aなどの食品を水平ワイヤ(3a~3f)の上に置き、軽くユーザの手(図示せず)を豆腐8aに押し当てて、水平ワイヤ(3a~3f)により豆腐8aを切断する。第1切断部3により切断された豆腐8bは、収容部21に収容される。なお、切断する食品の硬さによっては、ユーザの手を押し当てることなく、食品の自重によって切断することも可能である。
収容部21の底部には
図9に示すように、多数の水切り孔7が形成されているため、豆腐8bに付着した余分な水分を取り除くことができる。
【0029】
次に、
図10(1)に示すように、容器本体2の収容部21側を持ち上げることで、豆腐8bはその自重により、収容部22側へと誘導され、第2切断部4及び第3切断部5により切断され豆腐8cとなり収容部22に収容される。なお、豆腐8bを第2切断部4及び第3切断部5により切断する際において、豆腐8bの自重だけでは切断できない場合は、容器本体2を揺らすなどの操作により、切断を促進してもよい。
【0030】
収容部22に収容された豆腐8cを鍋や容器に移す際は、
図10(2)に示すように、容器本体2の収容部21側を更に傾けて、豆腐8cを取り出す。容器本体2の収容部22側は開口部となっているため、容器本体2を傾ける以外に、箸等の器具を用いて取り出すことも可能である。なお、水切り孔7は、収容部22側には形成されていないため、豆腐8cを取り出す際には、水滴がこぼれ落ちない構造である。
取り出された豆腐8cは、
図9に示すように、計48個に略均等に分割されている。
【0031】
これまでは、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5の全てについて、隣接するワイヤ固定部が重畳された状態について説明してきた。ここからは、隣接するワイヤ固定部を拡げた状態とした場合について
図11~16を参照しながら説明する。
図11は、ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の正面図を示している。
図12は、ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の平面図を示している。
図13は、ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の断面イメージ図であり、具体的には、
図11におけるB-B断面イメージ図を示している。
図14は、ワイヤ固定部を拡げた状態の実施例1の食品細断装置の斜視イメージ図を示している。また、
図15は、ワイヤ固定部を拡げた場合の細断前後の食品イメージ図であり、(1)は切断前、(2)は第1切断部による切断後、(3)は第2切断部及び第3切断部による切断後を示している。
全てのワイヤ固定部を拡げた状態では、第1切断部3については、
図11、12又は14に示すように、ワイヤ固定部(31,32)が右方に移動し、ワイヤ固定部(33,34)が左方に移動した状態となっている。第2切断部4については、
図14に示すように、ワイヤ固定部(41,42)が奥側に移動し、ワイヤ固定部(43,44)が手前側に移動した状態となっている。また、
図11又は14に示すように、第3切断部5については、ワイヤ固定部(51,52)が上方に移動し、ワイヤ固定部(53,54)が下方に移動した状態となっている。
図11又は12に示すように、食品細断装置1に設けられる第1切断部3は、ワイヤ固定部(31~34)を拡げた状態でも第2切断部4とは干渉しない構造である。
【0032】
図11及び14に示すように、第1切断部3において、ワイヤ固定部(31,32)とワイヤ固定部(33,34)は、水平方向に拡張された状態となっている。かかる状態では、
図12に示すように、水平ワイヤ(3a~3f)は平面視では水平ワイヤ(3a~3c)と水平ワイヤ(3d~3f)が交互に配置された状態となっている。すなわち、左から水平ワイヤ3d、水平ワイヤ3a、水平ワイヤ3e、水平ワイヤ3b、水平ワイヤ3f、水平ワイヤ3cの順に均等に配置されている。したがって、
図15(1)に示す切断前の豆腐8aは、6本の水平ワイヤにより切断されることにより、
図15(2)に示すように略7等分に切断された豆腐8dとなる。
【0033】
図14に示すように、第2切断部4において、ワイヤ固定部(41,42)とワイヤ固定部(43,44)は、奥側と手前側に向けて水平に拡張された状態となっている。かかる状態では、
図13に示すように、縦ワイヤ(4a~4f)は右側面視では縦ワイヤ(4a~4c)と縦ワイヤ(4d~4f)が交互に配置された状態となっている。すなわち、右側面視において左から水平ワイヤ4d、水平ワイヤ4a、水平ワイヤ4e、水平ワイヤ4b、水平ワイヤ4f、水平ワイヤ4cの順に均等に配置されている。
【0034】
図11、13又は14に示すように、第3切断部5において、ワイヤ固定部(51,52)とワイヤ固定部(53,54)は、上下に拡張された状態となっている。かかる状態では、
図13に示すように、横ワイヤ(5a~5d)は右側面視では横ワイヤ(5a,5b)と横ワイヤ(5c、5d)が交互に配置された状態となっている。すなわち、右側面視において上から横ワイヤ5a、横ワイヤ5c、横ワイヤ5b、横ワイヤ5dの順に均等に配置されている。
したがって、
図15(2)に示す豆腐8dは、6本の縦ワイヤと、4本の横ワイヤにより切断され、
図15(3)に示すように略245等分に切断された豆腐8eとなる。
このように、ワイヤ固定部(31~34,41~44,51~54)を操作して、水平ワイヤ(3a~3f)、縦ワイヤ(4a~4f)又は横ワイヤ(5a~5d)の位置を変えるだけで、容易に細断サイズを変更できる。また、アタッチメントを取り替えるといった必要もないため、部品の紛失といった問題も生じない構造である。
【0035】
図11~14では、第1切断部3、第2切断部4及び第3切断部5の全てついてワイヤ固定部を拡張した例を示したが、個別に調整することで、ユーザのニーズに合わせて、多様なサイズに細断することが可能である。
図16は、細断後の食品イメージ図であり、(1)~(3)は各切断部の内の1つのみを拡張した場合、(4)~(6)は各切断部の内の2つを拡張した場合を示している。
例えば、第1切断部3のワイヤ固定部(31~34)と、第2切断部4のワイヤ固定部(41~44)を重畳させ、第3切断部5のワイヤ固定部(51~54)のみを拡張すると、
図16(1)に示すように、略80等分に細断された豆腐8fとすることができる。また、第2切断部4のワイヤ固定部(41~44)のみを拡張すると、
図16(2)に示すように、略84等分に細断された豆腐8gとすることができ、第1切断部3のワイヤ固定部(31~34)のみを拡張すると、
図16(3)に示すように、略80等分に細断された豆腐8hとすることができる。
【0036】
また、第1切断部3のワイヤ固定部(31~34)のみを重畳させ、第2切断部4のワイヤ固定部(41~44)と、第3切断部5のワイヤ固定部(51~54)を拡張すると、
図16(4)に示すように、略140等分に細断された豆腐8iとすることができる。第2切断部4のワイヤ固定部(41~44)のみを重畳させ、第1切断部3のワイヤ固定部(31~34)と、第3切断部5のワイヤ固定部(51~54)を拡張すると、
図16(5)に示すように、略140等分に細断された豆腐8jとすることができる。また、第3切断部5のワイヤ固定部(51~54)のみを重畳させ、第1切断部3のワイヤ固定部(31~34)と、第2切断部4のワイヤ固定部(41~44)を拡張すると、
図16(6)に示すように、略147等分に細断された豆腐8kとすることができる。
図16に示す例以外にも、例えば、ワイヤ固定部を拡張する幅を適宜調整して、多様なサイズに細断することが可能である。