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特開2023-27081ポリペプチドの組み換え産生中にトリスルフィド結合を減少させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027081
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ポリペプチドの組み換え産生中にトリスルフィド結合を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20230221BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230221BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20230221BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230221BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230221BHJP
   C07K 16/22 20060101ALI20230221BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230221BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C07K19/00
C12P21/02 C ZNA
C07K14/52
C07K16/28
C07K16/46
C07K16/22
C07K16/18
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183766
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2018559294の分割
【原出願日】2017-05-09
(31)【優先権主張番号】62/334,433
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガウリツェク, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】マルケッタ, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ポップ, オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】シラトリ, マサル ケン
(72)【発明者】
【氏名】トレウス, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジェシカ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリペプチドを発現する宿主細胞を培養して、宿主細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを低下させる、細胞培養培地及び方法を提供する。
【解決手段】ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、(a)前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、前記基本培地が、特定の範囲の濃度の鉄、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン又はピリドキサール(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ヒポタウリン、及び、メチオニンのうちの1つ以上を含む、前記接触させることと、(b)前記宿主細胞を培養して、前記ポリペプチドを産生することと、(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、
(a)前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、前記基本培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、前記接触させることと、
(b)前記宿主細胞を培養して、前記ポリペプチドを産生することと、
(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
ポリペプチドを産生するための方法であって、
(a)前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、前記基本培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、前記接触させることと、
(b)前記宿主細胞を培養して、前記ポリペプチドを産生することと、
(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、前記方法。
【請求項3】
前記収集されたポリペプチドが、前記1つ以上の構成成分の濃度が(a)に明記される濃度と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基本培地が、シスチンを欠く、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記基本培地が、約1.4mM~3mMのシステインまたはシスチンを含む、請求項1~3に記載の方法。
【請求項6】
前記基本培地が、約0mM~約1.58mMのメチオニン及び約0mM~約3mMのシステインを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記基本培地が、約6mMのシステインを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、
(a)細胞培養培地中で前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、前記細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、
(b)前記ポリペプチドを産生することと、
(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、前記方法。
【請求項9】
前記細胞培養培地中の前記構成成分のうちの1つ以上の濃度が、植え付け後の1つ以上の添加の累積濃度である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、
(a)細胞培養培地中で前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、前記細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、前記培養することと、
(b)前記ポリペプチドを産生することと、
(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、前記方法。
【請求項11】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、
(a)細胞培養培地中で前記ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、前記細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、及び
ii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、前記培養することと、
(b)前記ポリペプチドを産生することと、
(c)前記宿主細胞によって産生される前記ポリペプチドを収集することと、を含む、前記方法。
【請求項12】
前記方法が、少なくとも1つの供給物を更に含み、前記供給物培地が、以下、鉄、リボフラビン、ピリドキシン、ピリドキサール、葉酸、及びシアノコバラミンのうちの1つ以上を欠く、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記供給物が、バッチ供給物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バッチ供給物培地が、シスチンを欠く、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バッチ供給物培地が、システインを欠く、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記バッチ供給物培地が、メチオニンを欠く、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記鉄が、三価鉄(Fe3+)または二価鉄(Fe2+)である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
(I)収集前に、前記宿主細胞の前記培養物にキレート剤及び還元剤を補充すること、
(II)前記宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)にキレート剤及び還元剤を補充すること、または
(III)収集後に、前記宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)にキレート剤及び還元剤を補充することを更に含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
宿主細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法であって、
(i)収集前に、前記宿主細胞の培養物に還元剤及びキレート剤を補充すること、
(ii)前記宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)にキレート剤及び還元剤を補充すること、または
(iii)前記宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)に還元剤及びキレート剤を補充することを含む、前記方法。
【請求項20】
前記還元剤が補充される前に、前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCFに前記キレート剤が補充される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項21】
前記還元剤が補充される約60分~約30分前に、前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCFに前記キレート剤が補充される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記キレート剤及び前記還元剤が、前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCF中で約30分間~約4日間維持される、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCFが、約15℃~約37℃の温度で維持される、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCFが、約6.5~約7.5のpHで維持される、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCF中の溶解酸素(DO)の量が、少なくとも約15%である、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記宿主細胞の前記培養物、前記PHCCF、または前記HCCFが、約15℃~約37℃の温度及び約6.5~約7.5のpHで維持され、前記宿主細胞の前記培養物またはHCCF中の溶解酸素(DO)の量が、少なくとも約15%である、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記還元剤が、グルタチオン(GSH)、L-グルタチオン(L-GSH)、システイン、L-システイン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、2,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-アミノプロパン-1-スルホン酸、アデノシルホモシステイン、アンセリン、B-アラニン、B-カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カルノシン、カルベジロール、クルクミン、システアミン、システアミン塩酸塩、デキサメタゾン、ジアリルジスルフィド、DL-ランチオニン、DL-チオルファン、エトキシキン、没食子酸、ゲンチジン酸ナトリウム塩水和物、グルタチオンジスルフィド、グルタチオン還元エチルエステル、グリシン、ヒドロコルチゾン、ヒポタウリン、イセチオン酸アンモニウム塩、L-システイン-グルタチオンジスルフィド、L-システインスルフィン酸一水和物、リポ酸、還元リポ酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メチオニン、メチレンビス(3-チオプロピオン酸)、シュウ酸塩、クエルシトリン水和物、レスベラトロール、レチノイン酸、S-カルボキシメチル-L-システイン、セレン、セレノメチオニン、ジエチルジチオカルバミン酸銀、タウリン、チオ乳酸、トリシン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、及びビタミンB11からなる群から選択される、請求項18~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記還元剤が、システイン及びL-システインからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記還元剤が、L-システインであり、前記L-システインが、前記宿主細胞の前記培養物またはHCCFに添加されて、約3mM~約6mMの最終濃度が達成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、エチレン-ビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、5-スルホサリチル酸、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ジチオオキサミド、エチレンジアミン、サリチルアルドキシム、N-(2’-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIMDA)、オキシンキノリノール、及びスルホキシンからなる群から選択される、請求項18~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、及びクエン酸塩からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記キレート剤が、前記宿主細胞の前記培養物または前記HCCFに添加されて、20mMの最終濃度が達成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリペプチドが、前記細胞培養培地へと分泌される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記収集されたポリペプチドを精製するステップを更に含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記宿主細胞が、組み換え宿主細胞である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、ポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを測定することを更に含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリペプチド中の平均トリスルフィド結合%が、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満である、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリペプチドが、抗体またはその断片である、請求項1~9及び12~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリペプチドが、抗体断片であり、前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、(scFv)、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、一本鎖抗体分子、ミニボディ、ダイアボディ、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗体またはその断片が、BMPR1B、E16、STEAP1、0772P、MPF、Napi3b、Sema 5b、PSCA hlg、ETBR、MSG783、STEAP2、TrpM4、CRIPTO、CD21、CD79b、FcRH2、HER2、NCA、MDP、IL20Rα、ブレビカン、EphB2R、ASLG659、PSCA、GEDA、BAFF-R、CD22、CD79a、CXCR5、HLA-DOB、P2X5、CD72、LY64、FcRH1、IRTA2、TENB2、PMEL17、TMEFF1、GDNF-Ra1、Ly6E、TMEM46、Ly6G6D、LGR5、RET、LY6K、GPR19、GPR54、ASPHD1、チロシナーゼ、TMEM118、GPR172A、CD33、CLL-1、C5、OX40、α4β7及びαEβ7インテグリンヘテロ二量体、IL-13、CD-20、FGFR、インフルエンザA、インフルエンザB、アミロイドベータ、HER3、補体因子D、IL-22c、PD-L1、PD-L2、PD-1、VEGF、アンジオポエチン2、CD3、FAP、CEA、ならびにIL-6からなる群から選択される抗原に結合する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリペプチドが、抗体であり、前記抗体が、二重特異性抗体である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記二重特異性抗体が、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、または抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリペプチドが、免疫サイトカインである、請求項1~9及び12~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記免疫サイトカインが、CEA-IL2vまたはFAP-IL2vである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための、細胞培養培地中の約0~約4.5μMのメチオニンの使用。
【請求項48】
先行請求項のいずれか1項に従って産生される、ポリペプチド。
【請求項49】
前記ポリペプチド中の平均トリスルフィド%が、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満である、請求項48に記載のポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月10日出願の米国仮出願第62/334,433号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:146392036540SEQLIST.txt、記録日:2017年5月8日、サイズ:34.1KB)。
【0003】
本開示は、組み換えで産生されるポリペプチド中のトリスルフィド結合を減少させるための細胞培養培地及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
トリスルフィド結合は、追加の硫黄原子のジスルフィド結合への挿入によって生成され、それにより3つの連続した硫黄原子の共有結合がもたらされる。トリスルフィド結合形成は、組み換えで産生される治療ポリペプチドの不均質性の原因である。治療製品は、広範囲の特性評価を受け、かつ製品の品質及び一貫性を確実にする許容基準を満たさなくてはならないため、そのような不均質性は望ましくない。したがって、治療ポリペプチドの製造中にトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法に対する需要が存在する。当該技術分野において、製造中に治療ポリペプチドのトリスルフィド結合レベルの可変性を最小化することに対する必要性もまた存在する。本開示は、この必要性及び他の必要性を対象とする。
【発明の概要】
【0005】
ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、(a)ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、基本培地が、以下の構成成分、i)約2μM~約35μMの鉄、ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、iv)約3.4μM~約23μMの葉酸(ビタミンB9)、v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及びvii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、接触させることと、(b)宿主細胞を培養して、ポリペプチドを産生することと、(c)宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法が提供される。関連する一態様において、ポリペプチドを産生するための方法であって、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、基本培地が、以下の構成成分、約2μM~約35μMの鉄、約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、約3.4μM~約23μMの葉酸(ビタミンB9)、約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、接触させることと、(b)宿主細胞を培養して、ポリペプチドを産生することと、(c)宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法が提供される。
【0006】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチドは、1つ以上の構成成分の濃度が(a)に明記される濃度と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、基本培地は、シスチンを欠く。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、基本培地は、約1.4mM~3mMのシステインまたはシスチンを含む。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、基本培地は、約0mM~約1.58mMのメチオニン及び約0mM~約3mMのシステインを含む。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、基本培地は、約6mMのシステインを含む。
【0007】
ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、(a)細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、i)約2μM~約35μMの鉄、ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及びvii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、(b)ポリペプチドを産生することと、(c)宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法もまた提供される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、細胞培養培地中の構成成分のうちの1つ以上の濃度は、植え付け後の1つ以上の添加の累積濃度である。
【0008】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、(a)細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、i)約2μM~約35μMの鉄、ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及びvii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、(b)ポリペプチドを産生することと、(c)宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法が提供される。
【0009】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、(a)細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、i)約2μM~約35μMの鉄、及びii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、(b)ポリペプチドを産生することと、(c)宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法もまた提供される。
【0010】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの供給物を更に含み、供給物培地は、以下、鉄、リボフラビン、ピリドキシン、ピリドキサール、葉酸、及びシアノコバラミンのうちの1つ以上を欠く。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、供給物は、バッチ供給物である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、シスチンを欠く。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、システインを欠く。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、メチオニンを欠く。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、鉄は、三価鉄(Fe3+)または二価鉄(Fe2+)である。
【0011】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、(I)収集前に、宿主細胞の培養物にキレート剤及び還元剤を補充すること、(II)宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)にキレート剤及び還元剤を補充すること、または(III)収集後に、宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)にキレート剤及び還元剤を補充することを更に含む。
【0012】
宿主細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法であって、(i)収集前に、宿主細胞の培養物に還元剤及びキレート剤を補充すること、(ii)宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)にキレート剤及び還元剤を補充すること、または(iii)宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)に還元剤及びキレート剤を補充することを含む、方法もまた提供される。
【0013】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、還元剤が補充される前に、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCFにキレート剤が補充される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、還元剤が補充される約60分~約30分前に、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCFにキレート剤が補充される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCF中で約30分間~約4日間維持される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCFは、約15℃~約37℃の温度で維持される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCFは、約6.5~約7.5のpHで維持される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCF中の溶解酸素(DO)の量は、少なくとも約15%である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞の培養物、PHCCF、またはHCCFは、約15℃~約37℃の温度及び約6.5~約7.5のpHで維持され、宿主細胞の培養物またはHCCF中の溶解酸素(DO)の量は、少なくとも約15%である。
【0014】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、還元剤は、グルタチオン(GSH)、L-グルタチオン(L-GSH)、システイン、L-システイン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、2,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-アミノプロパン-1-スルホン酸、アデノシルホモシステイン、アンセリン、B-アラニン、B-カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カルノシン、カルベジロール、クルクミン、システアミン、システアミン塩酸塩、デキサメタゾン、ジアリルジスルフィド、DL-ランチオニン、DL-チオルファン、エトキシキン、没食子酸、ゲンチジン酸ナトリウム塩水和物、グルタチオンジスルフィド、グルタチオン還元エチルエステル、グリシン、ヒドロコルチゾン、ヒポタウリン、イセチオン酸アンモニウム塩、L-システイン-グルタチオンジスルフィド、L-システインスルフィン酸一水和物、リポ酸、還元リポ酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メチオニン、メチレンビス(3-チオプロピオン酸)、シュウ酸、クエルシトリン水和物、レスベラトロール、レチノイン酸、S-カルボキシメチル-L-システイン、セレン、セレノメチオニン、ジエチルジチオカルバミン酸銀、タウリン、チオ乳酸、トリシン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、及びビタミンB11からなる群から選択される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、還元剤は、システイン及びL-システインからなる群から選択される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、還元剤は、L-システインであり、L-システインは、宿主細胞の培養物またはHCCFに添加されて、約3mM~約6mMの最終濃度が達成される。
【0015】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、エチレン-ビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、5-スルホサリチル酸、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ジチオオキサミド、エチレンジアミン、サリチルアルドキシム、N-(2’-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIMDA)、オキシンキノリノール、及びスルホキシンからなる群から選択される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、及びクエン酸塩からなる群から選択される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、キレート剤は、宿主細胞の培養物またはHCCFに添加されて、20mMの最終濃度が達成される。
【0016】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、細胞培養培地へと分泌される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、収集されたポリペプチドを精製するステップを更に含む。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞は、組み換え宿主細胞である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、哺乳動物細胞は、CHO細胞である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、ポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを測定することを更に含む。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチド中の平均トリスルフィド結合%は、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満である。
【0017】
上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、抗体またはその断片である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、抗体断片であり、抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、(scFv)、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、一本鎖抗体分子、ミニボディ、ダイアボディ、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体からなる群から選択される。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、抗体またはその断片は、BMPR1B、E16、STEAP1、0772P、MPF、Napi3b、Sema 5b、PSCA hlg、ETBR、MSG783、STEAP2、TrpM4、C5、CRIPTO、CD21、CD79b、FcRH2、HER2、NCA、MDP、IL20Rα、ブレビカン、EphB2R、ASLG659、PSCA、GEDA、BAFF-R、CD22、CD79a、CXCR5、HLA-DOB、P2X5、CD72、LY64、FcRH1、IRTA2、TENB2、PMEL17、TMEFF1、GDNF-Ra1、Ly6E、TMEM46、Ly6G6D、LGR5、RET、LY6K、GPR19、GPR54、ASPHD1、チロシナーゼ、TMEM118、GPR172A、CD33、CLL-1、OX40、α4β7及びαEβ7インテグリンヘテロ二量体、IL-13、CD-20、FGFR、インフルエンザA、インフルエンザB、アミロイドベータ、HER3、補体因子D、IL-22c、PD-L1、PD-L2、PD-1、VEGF、アンジオポエチン2、CD3、FAP、CEA、ならびにIL-6からなる群から選択される抗原に結合する。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、抗体であり、抗体は、二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、または抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、免疫サイトカインである。上記の実施形態のいずれかに従う(か、または適用される)ある特定の実施形態において、免疫サイトカインは、CEA-IL2vまたはFAP-IL2vである。
【0018】
CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための、細胞培養培地中の約0~約4.5μMのメチオニンの使用もまた提供される。
【0019】
本明細書に記載される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつか、または全てが組み合わされて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、当業者に明らかとなるだろう。
【0020】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願の全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】培地1+システイン(Cys)、培地1+Cys+Fe(鉄)、培地1+シスチン(Cys-Cys)、培地1+Cys-Cys+Fe、培地2+Cys、培地2+Cys+Fe、培地2+Cys-Cys、または培地1+Cys-Cys+Feを含有する無細胞系中でインキュベートした、抗FluB中のトリスルフィド結合%を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図2A】以下の構成成分、(a)Cys-Cys、(b)Fe、ならびに(c)Bビタミン(リボフラビン、ピリドキシン、葉酸、及びシアノコバラミン)のうちの1つ以上を補充した培地1中でインキュベートした、抗FluB中のトリスルフィド結合%を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図2B】以下の構成成分、(a)Cys-Cys、(b)Fe、ならびに(c)Bビタミン(リボフラビン、ピリドキシン、葉酸、及びシアノコバラミン)のうちの1つ以上を補充した培地1中でインキュベートした、抗OX40抗体中のトリスルフィド結合%を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図3】CHO細胞培養物によって産生される抗OX40抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、添加Cysまたは添加Cys-Cysの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図4A】CHO細胞培養物によって産生される抗OX40抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、基本培地中の異なる濃度のCysの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図4B図4Aに描写される各細胞培養実行によって産生される抗OX40抗体の収率を提供する。
図5A】CHO細胞培養物によって産生される抗OX40抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、基本培地中の異なる濃度のCys及びFeならびにバッチ供給物培地中の異なる濃度のBビタミンを提供する効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図5B図5Aに描写される各細胞培養実行によって産生される抗OX40抗体の収率を提供する。
図5C】5Aにおける各細胞培養実行の終了時の培地中のシスチン(Cys-Cys)の残基濃度を示す。
図6】CHO細胞培養物によって産生される抗OX40抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、基本培地中の異なる濃度のFe及びバッチ供給物培地中のBビタミンの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図7A】抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、抗OX40抗体の収集された細胞培養流体へシステインまたはシステイン+EDTAを添加することの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図7B図7Aで試験した各々の条件下で維持した抗OX40抗体中のジスルフィド結合低下の量を評価する、図7Aに記載される実験のCE-SDS結果を示す。
図8A】抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、抗OX40抗体の細胞培養流体へシステイン、システイン+EDTA、システイン+NTA、システイン+EDDSまたはシステイン+クエン酸塩を添加することの、添加の0~5時間後の効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図8B】抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、抗OX40抗体の細胞培養流体へシステイン、システイン+EDTA、システイン+NTA、システイン+EDDSまたはシステイン+クエン酸塩を添加することの、添加の0~96時間後の効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図9】細胞培養中の抗OX40抗体中のトリスルフィド結合形成に対する、ヒポタウリンの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図10】トリスルフィド結合低下に対するメチオニン濃度低下の有意な影響を示す、予測プロファイラを提供する。
図11】CHO細胞培養物によって産生される二重特異性抗体中のトリスルフィド結合レベルに対する、基本培地中に異なる濃度のシステイン及びメチオニンを供給することの効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。
図12】CHO細胞培養物によって産生される抗体中のトリスルフィドレベルに対する、バッチ供給物培地からのBビタミン省略の効果を評価するために実行した実験の結果を提供する。2つの別個の実行を行った。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、細胞培養物中で産生されるポリペプチド(抗体及び二重特異性抗体など)中のトリスルフィド結合を防止する、排除する、かつ/またはそのレベルを減少させる方法に関する。ある特定の態様において、本明細書に提供される方法は、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、基本培地が、以下の構成成分、i)約2μM~約35μMの鉄、ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及びvii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、接触させることと、宿主細胞を培養して、ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる。
【0023】
関連する一態様において、CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下、i)約2μM~約35μMの鉄、ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及びvii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる、方法が提供される。
【0024】
加えて、またはあるいは、本方法は、該宿主細胞の培養物もしくは細胞培養流体、該宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)、または該宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)にキレート剤及び還元剤を補充することを含む。
【0025】
以下の説明は、例示的な方法及びパラメータなどを明記する。しかしながら、そのような説明は本開示の範囲に対する制限としては意図されず、代わりに例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0026】
一般的な技術
本明細書に記載または参照される技術及び手順は一般に、当業者によって十分に理解され、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987))、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、及びThe Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などに記載されている、広く利用される手法などの従来の手法を使用して一般的に用いられている。
【0027】
A.定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その」は、別段内容が明確に指示しない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「1つの分子」への言及は、2つ以上のそのような分子の組み合わせを任意で含むといった具合である。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者にとって容易に既知であるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0029】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0030】
「培地」及び「細胞培養培地」という用語は、細胞の成長または維持に使用される栄養源を指す。当業者によって理解されるように、栄養源は、細胞によって成長及び/または生存及び/または産物生成に必要とされる構成成分を含有しても、細胞成長及び/または生存及び/または産物生成を助ける構成成分を含有してもよい。ビタミン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、微量元素、及び界面活性剤(例えば、ポロキサマー)が、培地構成成分の例である。
【0031】
例えば、「既知組成の細胞培養培地」または「CDM」は、動物血清及びペプトンなどの動物由来産物を含まない、明記された組成物を有する培地を指す。この用語はまた、未定義または部分定義の構成成分、例えば、動物血清、動物ペプトン(加水分解物)、植物ペプトン(加水分解物)、及び酵母ペプトン(加水分解物)などの構成成分を含まない、明記された組成物を有する培地も包含する。当業者によって理解されるように、CDMは、細胞がCDMと接触し、CDMにポリペプチドを分泌するポリペプチド産生のプロセスにおいて使用され得る。したがって、組成物は、CDM及びポリペプチド産物を含有し得ること、ならびにポリペプチド産物の存在はCDMを未知組成にはしないことが理解される。
【0032】
「未知組成の細胞培養培地」は、化学組成を明記することができず、1つ以上の動物由来産物(血清及びペプトンなど)を含有し得る培地を指す。当業者によって理解されるように、未知組成の細胞培養培地は、栄養源として動物由来産物を含有し得る。この用語はまた、未定義または部分定義の構成成分、例えば、動物血清、動物ペプトン(加水分解物)、植物ペプトン(加水分解物)、または酵母ペプトン(加水分解物)などの構成成分を含む細胞培養培地も包含する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「基本培地」は、培養プロセスの開始時に培養容器に供給される細胞培養栄養素を含有する細胞培養培地を指す。基本培地は、細胞培養周期前に細胞が植え付けられる培地であり得る。基本細胞培養培地は、バッチまたは流加細胞培養のために細胞培養周期前に供給され得る。基本細胞培養培地はまた、培養(すなわち、流加細胞培養)の終了前の期間細胞及び/または産物収集ありまたはなしで、培養プロセス中に、連続的にまたは間歇的な増分で細胞培養物に供給物培地としても供給され得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「供給物培地」は、培養(すなわち、流加細胞培養)の終了前の期間細胞及び/または産物収集ありまたはなしで、培養プロセス中に、細胞培養物に連続的にまたは間歇的な増分で培養容器に供給物培地として供給される細胞培養栄養素を含有する細胞培養培地を指す。
【0035】
細胞「を培養すること」は、細胞の生存及び/または成長及び/または増殖に好適な条件下で、細胞を細胞培養培地と接触させることを指す。
【0036】
「バッチ培養物」は、細胞培養のための全ての構成成分(細胞ならびに全ての栄養素及び構成成分を含む)が、培養プロセスの開始時に培養容器に供給される培養物を指す。
【0037】
「灌流培養物」は、例えば、濾過、カプセル化、微粒子担体へのアンカーなどによって細胞が培養物中に拘束され、培養培地が連続的または断続的に培養容器に導入され、そこから除去される培養物である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「流加細胞培養物」という語句は、細胞及び培養培地が最初に培養容器に供給され、培養の終了前の周期細胞及び/または産物収集ありまたはなしで、培養プロセス中に、追加の培養物栄養素が連続的にまたは間歇的な増分で培養物に供給されるバッチ培養物を指す。
【0039】
「培養容器」は、細胞を培養するために使用される容器を指す。培養容器は、それが細胞の培養に有用である限り、任意のサイズのものであり得る。
【0040】
「微量金属」という用語は、成長、生存、及び/または産物生成のために、細胞によって少量で必要とされる金属を指す。本明細書の定義に包含される微量金属の例としては、鉄(二価鉄(Fe(II)もしくはFe2+とも称される)及び三価鉄(Fe(III)もしくはFe3+とも称される)を含む)、マグネシウム、リチウム、ケイ素、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム、バナジウム、セレン、錫、カドミウム、モリブデン、ならびにチタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「酸化防止剤」という用語は、他の分子の酸化速度を減速させる分子を指す。本明細書の定義に包含される酸化防止剤の例としては、2,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-アミノプロパン-1-スルホン酸、アデノシルホモシステイン、アンセリン、B-アラニン、B-カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カルノシン、カルベジロール、クルクミン、システアミン、システアミン塩酸塩、システイン、デキサメタゾン、ジアリルジスルフィド、DL-ランチオニン、DL-チオルファン、エトキシキン、没食子酸、ゲンチジン酸ナトリウム塩水和物、グルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド、グルタチオン還元エチルエステル、グリシン、ヒドロコルチゾン、ヒポタウリン、イセチオン酸アンモニウム塩、L-システイン-グルタチオンジスルフィド、L-システインスルフィン酸一水和物、リポ酸、還元リポ酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メチオニン、メチレンビス(3-チオプロピオン酸)、シュウ酸、クェルセトリン(Quercetrin)水和物、レスベラトロール、レチノイン酸、S-カルボキシメチル-L-システイン、セレン、セレノメチオニン、ジエチルジチオカルバミン酸銀、タウリン、チオ乳酸、トリシン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、及びビタミンB11が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによって、または合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立て前または後に付与され得る。
【0043】
「単離された核酸」は、その通常の文脈外であるか、またはそこから分離された、天然に存在しない配列、組み換え配列、または天然に存在する配列を意味し、包含する。単離された核酸分子は、それが自然界で見出される形態または設定以外である。したがって、単離された核酸分子は、天然細胞内に存在する核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞の染色体位置とは異なる染色体位置にあるタンパク質を通常発現する細胞内に含有される核酸分子を含む。
【0044】
「単離された」タンパク質(例えば、単離された抗体)は、その天然環境の構成成分から特定及び分離され、かつ/または回収された抗体である。その天然環境の混入構成成分は、そのタンパク質の研究的、診断的、または治療的使用と干渉する物質であり、それらには、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。単離されたタンパク質は、組み換え細胞内にインサイチュでタンパク質を含むが、これは、そのタンパク質の天然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたタンパク質は、少なくとも1つの精製ステップによって調製されるだろう。
【0045】
「精製された」タンパク質(例えば、抗体)は、タンパク質の純度が増加しているために、それが、その天然環境において存在するよりも、ならびに/または研究室条件下で最初に産生及び/もしくは合成及び/もしくは増幅されたときよりも純粋な形態で存在していることを意味する。純度は、相対的な用語であり、必ずしも絶対純度を意味しない。
【0046】
「混入物」は、所望されるタンパク質産物とは異なる(例えば、抗体産物とは異なる)物質を指す。混入物としては、CHOPなどの宿主細胞物質;核酸;所望されるタンパク質のバリアント、断片、凝集体、または誘導体;別のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス混入物;細胞培養培地構成成分などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、かつ非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語はまた、天然修飾されているか、あるいは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾(標識構成成分とのコンジュゲーションなど)によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上の類似体、及び当該技術分野において既知である他の修飾を含有するポリペプチドもまた、この定義に含まれる。本明細書の定義に包含されるポリペプチドの例としては、哺乳動物タンパク質(例えば、レニンなど)、成長ホルモン(ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む)、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、アルファ-1-アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、凝固因子(因子VIIIC、因子IX、組織因子、及びフォンウィルブランド因子など)、抗凝固因子(タンパク質Cなど)、心房性ナトリウム利尿因子、肺表面活性剤、プラスミノーゲン活性化因子(ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)など)、ボンベシン、トロンビン、造血成長因子、腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ、エンケファリナーゼ、RANTES(活性化時に制御され、通常T細胞が発現及び分泌している)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ)、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)、ミュラー管抑制因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド、微生物タンパク質(ベータ-ラクタマーゼなど)、デオキシリボヌクレアーゼ、IgE、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)(CTLA-4など)、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子(VEGF)、ホルモンまたは成長因子の受容体、タンパク質AまたはD、リウマトイド因子、神経栄養因子(骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子(NGF-bなど)など)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(aFGF及びbFGFなど)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGF)(TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含む、TGF-アルファ及びTGF-ベータなど)、インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)、CDタンパク質(CD3、CD4、CD8、CD19、及びCD20など)、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、インターフェロン(インターフェロン-アルファ、-ベータ、及び-ガンマなど)、コロニー刺激因子(CSF)(例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF)、インターロイキン(IL)(例えば、IL-1~IL-10)、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原(例えば、AIDS外被の一部分など)、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、制御タンパク質、インテグリン(CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAMなど)、腫瘍関連抗原(0772P(CA125、MUC16)(すなわち、卵巣癌抗原)、またはHER2、HER3、もしくはHER4受容体など)、イムノアドヘシン、ならびに上記に列挙されるタンパク質のいずれかの断片及び/またはバリアント、ならびに例えば、上記に列挙されるタンパク質のいずれかを含むタンパク質に結合する抗体(抗体断片を含む)が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「力価」という用語は、細胞培養物によって産生される、発現されたタンパク質産物の総量を、所与の量の培地体積で除したものを指す。力価は、異なる培養条件下でタンパク質産物を得た場合との比較での、力価の増加パーセンテージなどの相対的測定に関して表すか、または評価することができる。
【0049】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、具体的には、それらが所望の生物学的活性を呈する限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を網羅する。抗体は、ヒト、ヒト化、及び/または親和性成熟であり得る。
【0050】
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、以下に定義される抗体断片ではなく、その実質的に無傷な形態にある抗体を指すために、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、具体的には、Fc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0051】
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、無傷抗体の一部分を含む(「抗原結合断片」という用語が互換的に使用され得る)。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0052】
抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、及び容易に結晶化する能力を反映する名称を持つ残基「Fc」断片を産生する。ペプシン処理は、F(ab’)断片をもたらし、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができる。Fab断片は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)もまた含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)抗体断片は元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学共役もまた、既知である。
【0053】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。一実施形態において、二本鎖Fv種は、密接な非共有結合的会合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種において、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種における構造に類似した「二量体」構造で会合し得るように、柔軟性ペプチドリンカーによって共有結合的に連結され得る。各可変ドメインの3つのHVRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するのは、この立体配置においてである。集合的に、6つのHVRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性ではあるが、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0054】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、scFvが抗原結合に所望される構造を形成することが可能になる。scFvに関する概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315,1994を参照されたい。
【0055】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を指し、例えば、その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な変異、例えば、天然に存在する変異を除いて同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。ある特定の実施形態において、そのようなモノクローナル抗体は典型的には、標的と結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスによって得られたものである。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組み換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンから特有のクローンを選択することであり得る。選択された標的結合配列が、例えば、標的への親和性の改善、標的結合配列のヒト化、細胞培養物中でのその産生の改善、インビボでのその免疫原性の低下、多重特異性抗体の作製などを行うように更に改変されてもよく、改変された標的結合配列を含む抗体もまた、本発明のモノクローナル抗体であることを理解されたい。異なる決定基(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらには典型的に他の免疫グロブリンが混入していないという点で有利である。
【0056】
「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法による抗体の産生も必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein,Nature,256:495-97(1975)、Hongo et al.Hybridoma,14(3):253-260(1995)、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージ提示技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照されたい)、ならびにヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全部を有するヒトまたはヒト様抗体を動物において産生するための技術(例えば、WO1998/24893、WO1996/34096、WO1996/33735、WO1991/10741、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature362:255-258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature368:856-859(1994)、Morrison,Nature368:812-813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい)を含む様々な技術によって作製され得る。
【0057】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される、かつ/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージ提示ライブラリを含む当該技術分野において既知である様々な技術を使用して産生され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載の方法もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原曝露に応答してそのような抗体を産生するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウスに抗原を投与することによって調製され得る(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体に関しては、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)も参照されたい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変性である、かつ/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。天然抗体において、H3及びL3は、これらの6つのHVRのうちで最も高い多様性を提示し、特にH3が、抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity13:37-45(2000)、Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003)を参照されたい。実際には、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ科抗体は、軽鎖の不在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature363:446-448(1993)、Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0059】
いくつかのHVRの描写が本明細書で使用されており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。代わりに、Chothiaは、構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、Kabat HVRとChothia構造的ループとの間の折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェアによって使用されている。「接触」HVRは、入手可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々に由来する残基を、以下に記載する。
【0060】
HVRは、VL内の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびにVH内の26~35(H1)、50~65、または49~65(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)のような「延長HVR」を含み得る。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabatら(上記参照)に従って番号付けされる。
【0061】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0062】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置番号付け」という用語、及びそれらの変化形は、Kabatら(上記参照)における抗体の集成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはそれへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従う残基52a)を含み得、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従う残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat番号付けは、「標準の」Kabatにより番号付けされた配列との、抗体の配列の相同性領域での整列によって所与の抗体について決定され得る。
【0063】
Kabat番号付けシステムは一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)に言及する場合に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EU番号付けシステム」または「EU指標」は一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する場合に使用される(例えば、Kabatら(上記参照)に報告されるEU指標)。「KabatにあるようなEU指標」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0064】
「薬学的製剤」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない調製物を指す。そのような製剤は、滅菌である。
【0065】
「薬学的に許容される」担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投薬量及び濃度でそれに曝露されている細胞または哺乳動物にとって無毒であるものである(Remington’s Pharmaceutical Sciences(20th edition),ed.A.Gennaro,2000,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,PA)。多くの場合、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、緩衝液(リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸など)、アスコルビン酸を含む酸化防止剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトールなど)、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、ならびに/または非イオン性界面活性剤(Tween(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPluronics(商標)など)が挙げられる。
【0066】
「滅菌」製剤は、無菌であるか、または全ての生存微生物及びそれらの胞子を含まないか、もしくは本質的に含まない。
【0067】
「収集前細胞培養流体」という用語は、細胞培養の終了時、細胞培養後、または細胞収集の直前に存在する流体を指す。収集前細胞培養流体としては、本発明の1つ以上薬剤が任意で添加される細胞培養培地が挙げられるが、これに限定されない。収集前細胞培養流体としては、細胞、細胞の内容物、及び/または細胞細片が除去されていない細胞培養培地が挙げられるが、これに限定されない。細胞培養培地及び/または収集前細胞培養流体は、培養中に細胞によって培地中または溶液中に放出(例えば、分泌)されるタンパク質または抗体を含有し得る。細胞培養流体の条件は、細胞成長のために最適化される一方で、収集前及び収集細胞培養流体は、宿主細胞によって分泌されるポリペプチド(組み換えポリペプチド、例えば、抗体など)の細胞分離及び精製を最適化するように事前処理され得る。例えば、収集前ステップは、温度を低下させ、pHを変化(通常約5のpHもしくは約7未満のpHへと低下)させ、凝結させることによる、収集のための培養物の調製を含み得る。細胞培養流体は、収集ステップのために、細胞が培養されている生物反応器から遠心分離機またはフィルターへと直接ポンピングされ得るため、収集前ステップは、任意であり得る。収集前に事前処理が適用されない場合、収集前細胞培養流体及び細胞培養流体は、区別不能である。
【0068】
「収集された細胞培養流体」は、遠心分離または濾過などの方法による、細胞分離プロセス中、及び細胞培養培地からの細胞分離後に存在する流体を指す。収集された細胞培養流体は、典型的には、細胞培養中に細胞によって分泌されるポリペプチド(組み換えポリペプチド、例えば、抗体など)を含む。
【0069】
B.本発明の細胞培養物及び方法
ポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる方法
トリスルフィド結合は、追加の硫黄原子のジスルフィド結合への挿入によって生成され、それにより3つの連続した硫黄原子の共有結合がもたらされる。トリスルフィド結合は、ポリペプチド中のシステイン残基間に形成され得、分子内(すなわち、同じポリペプチド中の2つのシステイン間)または分子間(すなわち、別個のポリペプチド中の2つのシステイン間)に形成され得る。細胞培養中にポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法が本明細書に提供される。細胞培養後のプロセシング中にポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法もまた本明細書に提供される。本明細書の方法は、ジスルフィド結合含有ポリペプチド(例えば、抗体)の大規模産生(製造規模など)で有利に使用され得る。
【0070】
ある特定の実施形態において、宿主細胞が、例えば、細胞成長及び/またはポリペプチド産生を促進する条件下で、本明細書に記載される細胞培養培地(基本細胞培養培地など)のいずれかと組み合わされる(接触される)。ある特定の実施形態において、「播種材料」という用語は、基本培地に添加するための、種系列に由来する、ある量の宿主細胞を指す。ある特定の実施形態において、播種材料は、追加の構成成分、例えば、種系列培地を含む。ある特定の実施形態において、「初期細胞培養培地」という用語は、接種材料及び基本培地が混合された後の細胞培養培地を指す。ある特定の実施形態において、接種材料及び基本培地は、約1:5、1:4.5、1:4、1:3.5、または1:3のいずれか1つの比率(これらの間の任意の比率を含む)で混合される。ある特定の実施形態において、追加の構成成分は、連続的に、または1つ以上の間歇的な間隔のいずれかで、接種材料及び基本培地が混合されたしばらく後に、培養物に提供される。ある特定の実施形態において、「累積」という用語は、細胞による消費または生成を考慮せずに、細胞培養の開始時に添加される構成成分、及びその後添加される構成成分を含む、細胞培養中に添加される特定の構成成分(複数可)の総量を指す。
【0071】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、基本培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、接触させることと、
宿主細胞を培養して、ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる、方法が提供される。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィド結合%は、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%(トリスルフィドのモル/ポリペプチドのモル)のいずれか1つ未満である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超のいずれか1つだけ低下する。
【0072】
ある特定の実施形態において、ポリペプチドを産生するための方法であって、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を基本培地と接触させることであって、基本培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約1.58mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、接触させることと、
宿主細胞を培養して、ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる、方法が提供される。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィド%は、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%(トリスルフィドのモル/ポリペプチドのモル)のいずれか1つ未満である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超のいずれか1つだけ低下する。
【0073】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、
ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含む、方法が提供される。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中の構成成分のうちの1つ以上の濃度は、植え付け後の1つ以上の添加の累積濃度である。
【0074】
ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、
ii)約0.11μM~約2μMのリボフラビン(ビタミンB2)、
iii)約4.5μM~約80μMのピリドキシンまたはピリドキサール(ビタミンB6)、
iv)約3.4μM~約23μMの葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、
v)約0.2μM~約2.5μMのシアノコバラミン(ビタミンB12)、
vi)約9mM~約10mMのヒポタウリン、及び
vii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、
ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる、方法が提供される。ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。ある特定の実施形態において、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、RG7802である。ある特定の実施形態において、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体は、RG7716である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、RG7221である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、CAS番号1448221-05-3である。ある特定の実施形態において、抗CD40抗体は、RG7876である。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、初期細胞培養培地である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィド%は、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%(トリスルフィドのモル/ポリペプチドのモル)のいずれか1つ未満である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超のいずれか1つだけ低下する。
【0075】
ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための方法であって、細胞培養培地中でポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を培養することであって、細胞培養培地が、以下の構成成分、
i)約2μM~約35μMの鉄、及び
ii)約0~約4.5mMのメチオニンのうちの1つ以上を含む、培養することと、
ポリペプチドを産生することと、宿主細胞によって産生されるポリペプチドを収集することとを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させる、方法が提供される。ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。ある特定の実施形態において、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、RG7802である。ある特定の実施形態において、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体は、RG7716である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、RG7221である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、CAS番号1448221-05-3である。ある特定の実施形態において、抗CD40抗体は、RG7876である。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、初期細胞培養培地である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルよりも、少ないトリスルフィド結合レベルを有する。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィド%は、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%(トリスルフィドのモル/ポリペプチドのモル)のいずれか1つ未満である。ある特定の実施形態において、収集されたポリペプチド中の平均トリスルフィドは、1つ以上の構成成分の濃度が上に明記される濃度(複数可)と異なることを除いて同一の条件下で産生されるポリペプチドのトリスルフィド結合レベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超のいずれか1つだけ低下する。
【0076】
ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカイン、FAP-IL2v免疫サイトカイン、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体、抗C5抗体、及び抗CD40抗体からなる群から選択されるポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルを減少させるための、細胞培養培地中の約0~約4.5μMのメチオニンの使用が提供される。ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。ある特定の実施形態において、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、RG7802である。ある特定の実施形態において、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体は、RG7716である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、RG7221である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、CAS番号1448221-05-3である。ある特定の実施形態において、抗CD40抗体は、RG7876である。
【0077】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約5μM~約30μM、約10μM~約25μM、または約15μM~約20μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)の鉄を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約2μM、4μM、6μM、10μM、12μM、14μM、16μM、18μM、20μM、22μM、24μM、26μM、28μM、30μM、35μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の鉄を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中の鉄源は、以下、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物、硫酸鉄(III)水和物、硫酸アンモニウム鉄(III)十二水化物、硫酸鉄(II)七水和物、硝酸鉄(III)九水和物、クエン酸アンモニウム鉄(III)、酒石酸鉄(III)、乳酸鉄(II)水和物、シュウ酸鉄(III)六水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、鉄(III)トリフルオロアセトネート、フマル酸鉄(II)、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、グルコン酸鉄(II)水和物、D-グルコン酸鉄(II)二水和物、(+)-L-アスコルビン酸鉄(II)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0078】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約5μM~約30μM、約10μM~約25μM、または約15μM~約20μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)の鉄を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約2μM、4μM、6μM、10μM、12μM、14μM、16μM、18μM、20μM、22μM、24μM、26μM、28μM、30μM、35μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の鉄を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中の鉄源は、以下、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物、硫酸鉄(III)水和物、硫酸アンモニウム鉄(III)十二水化物、硫酸鉄(II)七水和物、硝酸鉄(III)九水和物、クエン酸アンモニウム鉄(III)、酒石酸鉄(III)、乳酸鉄(II)水和物、シュウ酸鉄(III)六水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、鉄(III)トリフルオロアセトネート、フマル酸鉄(II)、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、グルコン酸鉄(II)水和物、D-グルコン酸鉄(II)二水和物、(+)-L-アスコルビン酸鉄(II)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0079】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約0.15μM~約1.5μM、約0.3μM~約1.0μM、または約0.3μM~約0.75μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB2を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約0.11μM、0.2μM、0.4μM、0.6μM、0.8μM、1.0μM、1.2μM、1.4μM、1.6μM、1.8μM、または2μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のリボフラビン(ビタミンB2)を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のビタミンB2源は、以下、リボフラビン粉末(9,D-リビトール6,7ジメチルイソアロキサジン)、リボフラビン5’-一リン酸塩、またはリボフラビン5’-一リン酸塩のナトリウム塩形態のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0080】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0.15μM~約1.5μM、約0.3μM~約1.0μM、または約0.3μM~約0.75μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB2を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0.11μM、0.2μM、0.4μM、0.6μM、0.8μM、1.0μM、1.2μM、1.4μM、1.6μM、1.8μM、または2μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のリボフラビン(ビタミンB2)を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のビタミンB2源は、以下、リボフラビン粉末(9,D-リビトール6,7ジメチルイソアロキサジン)、リボフラビン5’-一リン酸塩、またはリボフラビン5’-一リン酸塩のナトリウム塩形態のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0081】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約1.5μM~約75μM、約5μM~約50μM、または約25μM~約40μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB6を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約4.5μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、55μM、60μM、65μM、70μM、75μM、または80μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB6を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のビタミンB6源は、以下、ピリドキシン、ピリドキシン一塩酸塩、ピリドキサール、ピリドキサール一塩酸塩、ピリドキサール5’-リン酸塩、ピリドキサミン、ピリドキサミン二塩酸塩、ピリドキサミン5-リン酸塩、ピリチノール、4-ピリドキシン酸のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0082】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約1.5μM~約75μM、約5μM~約50μM、または約25μM~約40μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB6を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約4.5μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、55μM、60μM、65μM、70μM、75μM、または80μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB6を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のビタミンB6源は、以下、ピリドキシン、ピリドキシン一塩酸塩、ピリドキサール、ピリドキサール一塩酸塩、ピリドキサール5’-リン酸塩、ピリドキサミン、ピリドキサミン二塩酸塩、ピリドキサミン5-リン酸塩、ピリチノール、4-ピリドキシン酸のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0083】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約5μM~約20μM、約7μM~約15μM、または約10μM~約12μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB9を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約3.4μM、5μM、10μM、15μM、20μM、または23μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB9を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のビタミンB9源は、以下、葉酸、葉酸粉末、フォリン酸カルシウム塩、テトラヒドロ葉酸塩、または4-アミノ安息香酸、またはパラ-アミノ安息香酸(PABA)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0084】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約5μM~約20μM、約7μM~約15μM、または約10μM~約12μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB9を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約3.4μM、5μM、10μM、15μM、20μM、または23μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB9を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地のビタミンB9源は、以下、葉酸、フォリン酸カルシウム塩、テトラヒドロ葉酸塩、または4-アミノ安息香酸、またはパラ-アミノ安息香酸(PABA)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0085】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約0.5μM~約2.0μM、約1μM~約1.7μM、または約1.2μM~約1.5μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB12を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約0.2μM、0.4μM、0.6μM、0.8μM、1.0μM、1.2μM、1.4μM、1.6μM、1.8μM、2.0μM、2.2μM、2.4μM、または2.5μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB12を含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のビタミンB12源は、以下、シアノコバラミン及びヒドロキソコバラミンのいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0086】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0.5μM~約2.0μM、約1μM~約1.7μM、または約1.2μM~約1.5μMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のビタミンB12を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0.2μM、0.4μM、0.6μM、0.8μM、1.0μM、1.2μM、1.4μM、1.6μM、1.8μM、2.0μM、2.2μM、2.4μM、または2.5μMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のビタミンB12を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のビタミンB12源は、以下、シアノコバラミン及びヒドロキソコバラミンのいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0087】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約2.0mM~約40mM、約5mM~約30mM、約7mM~約20mM、約8mM~約15mM、約9.2mM~約9.8mM、約9.4mM~約9.6mM、または約9.5mMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のヒポタウリンを含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約2mM、4mM、6mM、8mM、9mM、9.2mM、9.4mM、9.6mM、9.8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、及び40mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のヒポタウリンを含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のヒポタウリン源は、ヒポタウリン粉末である。
【0088】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約2.0mM~約40mM、約5mM~約30mM、約7mM~約20mM、約8mM~約15mM、約9.2mM~約9.8mM、約9.4mM~約9.6mM、または約9.5mMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のヒポタウリンを含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約2mM、4mM、6mM、8mM、9mM、9.2mM、9.4mM、9.6mM、9.8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、及び40mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のヒポタウリンを含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のヒポタウリン源は、ヒポタウリン粉末である。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0089】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約0.5mM~約1.5mM、約0.75mM~約1.25mM、または約1.0mMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のメチオニンを含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1.0mM、1.25mM、1.5mM、または1.58mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンを含む。ある特定の実施形態において、基本培地中のメチオニン源は、以下、メチオニン粉末、L-メチオニン、DL-メチオニン、L-メチオニン塩酸塩溶液、N-アセチル-L-メチオニン、N-アセチル-D,L-メチオニン、L-メチオニンメチルエステル塩酸塩、S-(5′-アデノシル)-L-メチオニン塩化物二塩酸塩、及びS-(5′-アデノシル)-L-メチオニンヨウ化物のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0090】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0.5mM~約4.0mM、約1.5mM~約3mM、または約2mM~約2.5mMのいずれか1つの間(これらの値間の任意の範囲を含む)のメチオニンを含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1.0mM、1.25mM、1.5mM、1.75mM、2.0mM、2.25mM、2.5mM、2.75mM、3.0mM、3.25mM、3.5mM、3.75mM、4.0mM、4.25mM、または4.5mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンを含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のメチオニン源は、以下、メチオニン粉末、L-メチオニン、DL-メチオニン、L-メチオニン塩酸塩溶液、N-アセチル-L-メチオニン、N-アセチル-D,L-メチオニン、L-メチオニンメチルエステル塩酸塩、S-(5’-アデノシル)-L-メチオニン塩化物二塩酸塩、及びS-(5’-アデノシル)-L-メチオニンヨウ化物のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0091】
ある特定の実施形態において、基本培地は、シスチンを欠く。
【0092】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約1.4mM~約3.0mMのシステインまたはシスチン(約1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインまたはシスチンなど)を含有する。ある特定の実施形態において、基本培地中のシステイン源は、以下、L-システイン及びL-システイン一塩酸塩一水和物粉末のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、基本培地中のシスチン源は、シスチン二ナトリウム塩一水和物粉末である。
【0093】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約1.4mM~約3.0mMのシステインまたはシスチン(約1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインまたはシスチンなど)を含有する。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のシステイン源は、以下、L-システイン及びL-システイン一塩酸塩一水和物粉末のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、細胞培養培地中のシスチン源は、シスチン二ナトリウム塩一水和物粉末である。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0094】
ある特定の実施形態において、基本培地は、約0mM~約1.58mMのメチオニン(約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1mM、1.25mM、または1.58mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンなど)を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約0mM~約3.0mMのシステイン(約0mM、0.2mM、0.4mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.2mM、1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインなど)を含む。ある特定の実施形態において、基本培地は、約0mM~約1.58mMのメチオニン(約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1mM、1.25mM、または1.58mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンなど)、及び約0mM~約3.0mMのシステイン(約0mM、0.2mM、0.4mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.2mM、1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインなど)を含む。
【0095】
ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0mM~約1.58mMのメチオニン(約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1mM、1.25mM、または1.58mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンなど)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養物は、約0mM~約3.0mMのシステイン(約0mM、0.2mM、0.4mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.2mM、1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインなど)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、約0mM~約1.58mMのメチオニン(約0mM、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1mM、1.25mM、または1.58mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のメチオニンなど)、及び約0mM~約3.0mMのシステイン(約0mM、0.2mM、0.4mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.2mM、1.4mM、1.6mM、1.8mM、2.0mM、2.2mM、2.4mM、2.6mM、2.8mM、または3.0mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のシステインなど)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、基本培地及び供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。ある特定の実施形態において、細胞培養培地は、供給物培地(バッチ供給物培地など)を含む。
【0096】
ある特定の実施形態において、本方法は、1つ以上の増分で、濃縮された栄養素混合物(「バッチ供給物」)を宿主細胞培養物に添加することを含む。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、鉄(Fe(II)及び/またはFe(III)などのFe)を欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物は、以下、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ピリドキサール(ビタミンB6)、葉酸塩/葉酸(ビタミンB9)、及びシアノコバルミン(ビタミンB12)のうちの1つ以上を欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物は、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ピリドキサール(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、及びシアノコバルミン(ビタミンB12)を欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物は、鉄(Fe(II)及び/またはFe(III)などのFe)、ならびに以下、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ピリドキサール(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、及びシアノコバルミン(ビタミンB12)のうちの1つ以上を欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物は、鉄(Fe(II)及び/またはFe(III)などのFe)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ピリドキサール(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、ならびにシアノコバルミン(ビタミンB12)を欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、シスチンを欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、システインを欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、メチオニンを欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、システイン及びメチオニンを欠く。ある特定の実施形態において、バッチ供給物培地は、システイン、シスチン、及びメチオニンを欠く。
【0097】
ある特定の実施形態において、本方法は、該宿主細胞の培養物もしくは細胞培養流体、該宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)、または該宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)にキレート剤及び還元剤を補充することを更に含む。
【0098】
ある特定の実施形態において、宿主細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを減少させるための方法であって、該宿主細胞の培養物もしくは細胞培養流体、該宿主細胞の収集前細胞培養流体(PHCCF)、または該宿主細胞の収集された細胞培養流体(HCCF)にキレート剤及び還元剤を補充することを含み、それによりポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを低下させる、方法が本明細書に提供される。
【0099】
ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、収集の約4.5時間前、4.0時間前、3.5時間前、3.0時間前、2.5時間前、2.0時間前、1.5時間前、1.0時間前、または0.5時間前のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)で培養物に添加される。ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、収集時に培養物に添加される。
【0100】
ある特定の実施形態において、キレート剤は、還元剤の前に、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加される。ある特定の実施形態において、キレート剤は、キレート剤添加の約60分前、55分前、50分前、45分前、40分前、35分前、または30分前のいずれか1つの間(これらの間の任意の値を含む)で、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加される。
【0101】
ある特定の実施形態において、還元剤は、キレート剤の前に、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加される。
【0102】
ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに同時に添加される。
【0103】
ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加され、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFは、約15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の温度で維持される。ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加され、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のpHで維持される。ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加され、培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFは、約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のDO(溶解酸素)%で維持される。ある特定の実施形態において、HCCFは、約31%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)を含む約30%超のDO(溶解酸素)%で維持される。ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、培養物、細胞培養流体、またはPHCCFに添加され、培養物、細胞培養流体、またはPHCCFは、約15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の温度、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のpH、かつ約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のDO(溶解酸素)%で維持される。ある特定の実施形態において、キレート剤及び還元剤は、HCCFに添加され、HCCFは、約15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の温度、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のpH、かつ約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、及び100%のいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)のDO(溶解酸素)%で維持される。
【0104】
ある特定の実施形態において、キレート剤は、以下、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、エチレン-ビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、5-スルホサリチル酸、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ジチオオキサミド、エチレンジアミン、サリチルアルドキシム、N-(2’-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIMDA)、オキシンキノリノール、及びスルホキシンのいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、及びクエン酸塩からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、またはクエン酸塩は、20mMの最終濃度を達成するように、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加される。
【0105】
ある特定の実施形態において、還元剤は、以下、グルタチオン(GSH)、L-グルタチオン(L-GSH)、システイン、L-システイン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、2,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-アミノプロパン-1-スルホン酸、アデノシルホモシステイン、アンセリン、B-アラニン、B-カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カルノシン、カルベジロール、クルクミン、システアミン、システアミン塩酸塩、デキサメタゾン、ジアリルジスルフィド、DL-ランチオニン、DL-チオルファン、エトキシキン、没食子酸、ゲンチジン酸ナトリウム塩水和物、グルタチオンジスルフィド、グルタチオン還元エチルエステル、グリシン、ヒドロコルチゾン、ヒポタウリン、イセチオン酸アンモニウム塩、L-システイン-グルタチオンジスルフィド、L-システインスルフィン酸一水和物、リポ酸、還元リポ酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メチオニン、メチレンビス(3-チオプロピオン酸)、シュウ酸塩、クエルシトリン水和物、レスベラトロール、レチノイン酸、S-カルボキシメチル-L-システイン、セレン、セレノメチオニン、ジエチルジチオカルバミン酸銀、タウリン、チオ乳酸、トリシン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、及びビタミンB11のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態において、還元剤は、システイン及びL-システインからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、システインまたはL-システインは、約3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、または6mMのいずれか1つ(これらの間の任意の値を含む)の最終濃度を達成するように、該宿主細胞の培養物、細胞培養流体、PHCCF、またはHCCFに添加される。
【0106】
所望される種類の細胞及び/またはポリペプチド産物に好適な、当該技術分野において既知である任意の細胞培養培地が、本明細書に記載される方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、既知組成の培地である。他の実施形態において、細胞培養培地は、未知組成の培地である。
【0107】
Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地([MEM]、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、ダルベッコ変法イーグル培地([DMEM]、Sigma)などを含むが、これらに限定されない、市販の培地が使用され得、これらの培地のいずれも、本明細書に記載されるように改変され得る。加えて、Ham and Wallace,Meth.Enz.,58:44(1979)、Barnes and Sato,Anal.Biochem.,102:255(1980)、Vijayasankaran et al.,Biomacromolecules.,6:605:611(2005)、Patkar et al.,J Biotechnology,93:217-229(2002)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、もしくは同第4,560,655号、WO90/03430、WO87/00195、米国特許第Re.30,985号、または米国特許第5,122,469号(これら全ての開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される培地のいずれも、本明細書に詳述されるように改変され得る。
【0108】
本明細書に提供されるいかなる培地も、必要に応じてホルモン及び/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、もしくは上皮成長因子など)、イオン(ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオシド(アデノシン及びチミジンなど)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源も補充され得る。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法において使用される細胞培養培地は、既知組成の細胞培養培地である。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法において使用される細胞培養培地は、未知組成の細胞培養培地である。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法において使用される細胞培養培地は、植物または動物に由来するタンパク質を含有する。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法において使用される細胞培養培地は、植物または動物に由来するタンパク質を含まない。任意の他の必要な補充物もまた、当業者に既知である適切な濃度で含まれ得る。
【0109】
当該技術分野において既知である任意の細胞培養技術が、本明細書に記載される方法とともに使用され得る。細胞培養技術の例としては、単一細胞培養継代、延長細胞培養継代、播種材料または接種材料、濃縮供給物補充、細胞バンク生成、灌流培養、ならびに流加培養が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、細胞培養培地へと分泌される。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法は、細胞培養培地からポリペプチドを回収するステップを更に含む。
【0111】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法は、ポリペプチド中のトリスルフィド結合のレベルを測定することを更に含む。トリスルフィド結合の存在は、実施例に記載される方法及び当業者にとって既知である方法を含む、いくつかの方法のいずれかを使用して検出され得る。例えば、トリスルフィド結合は、ペプチドマッピングを使用して検出され得、過剰な硫黄原子(32Da)による無傷タンパク質の質量の増加に基づいて検出され得る。ある特定の実施形態において、トリスルフィド結合は、質量スペクトルを使用して、または高圧液体クロマトグラフィー及び質量分析法(LC-MSシステムを利用するペプチドマッピング)によって検出され得る。ある特定の実施形態において、トリスルフィド結合は、ペプチドマッピングを通して検出され得、無傷分子に由来する選択ペプチド(スルフィド結合を含有するものを含む)は、LC-MSによって分析される。ある特定の実施形態において、トリスルフィド結合はまた、例えば、分子折り畳みまたは熱安定性を評価することによって、間接的にも検出され得る。ある特定の実施形態において、抗体中のトリスルフィド結合の存在は、例えば、非還元等電点電気泳動法のための試料調製後の断片化のレベルの増加によって実証されるように、熱処理に対する感受性の増加の結果として検出または特定され得る(例えば、US2012/0264916を参照されたい)。ある特定の実施形態において、トリスルフィド結合は、Zhang et al.(2010)Journal of Chromatography A.1217,5776-5784に記載される方法に従って、荷電エアロゾル検出と組み合わせた疎水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC-CAD)を介して検出され得る。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法のいずれか1つまたはそれらの組み合わせに従って産生されるポリペプチド中の平均トリスルフィド結合レベルは、約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%(トリスルフィドのモル/ポリペプチドのモル)のいずれか1つ未満である。
【0112】
関連する一態様において、本明細書の方法に従って産生されるポリペプチドが提供される。そのようなポリペプチドを、以下に更に詳細に説明する。
【0113】
ポリペプチドを産生及び精製する方法
本明細書に提供される方法は、任意の種類の動物細胞(組み換え動物細胞など)中で、ポリペプチド(例えば、抗体及び二重特異性抗体を含む)を産生するために使用され得る。「動物細胞」という用語は、無脊椎動物細胞、非哺乳類脊椎動物(例えば、鳥類、爬虫類、及び両生類)細胞、ならびに哺乳動物細胞を包含する。無脊椎動物細胞の例としては、以下、Spodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)、及びBombyx mori(例えば、Luckow et al.,Bio/Technology,6:47-55(1988)、Miller et al.,in Genetic Engineering,Setlow,J.K.et al.,eds.,Vol.8(Plenum Publishing,1986),pp.277-279、及びMaeda et al.,Nature,315:592-594(1985)を参照されたい)の昆虫細胞が挙げられる。
【0114】
ある特定の実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞である。宿主として発現に利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野において周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株が挙げられるが、これらに限定されず、当該技術分野において既知である発現系において使用される任意の細胞株が、本明細書に提供される方法に従ってポリペプチド(抗体または二重特異性抗体など)を産生するために使用され得る。哺乳動物細胞の例としては、ヒト網膜芽細胞(PER.C6(CruCell,Leiden,The Netherlands))、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651(Gluzman et al.,1981,Cell23:175))、ヒト胚性腎臓株(懸濁培養における成長のためにサブクローニングされた293、293 EBNA、MSR 293、または293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.,36:59(1977))、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.,23:243-251(1980))、マウスL細胞、3T3細胞(ATCC CCL163)、サル腎臓細胞(CVI ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68(1982))、MRC 5細胞、FS4細胞、ヒト肝細胞癌株(Hep G2)、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常二倍体細胞、初代細胞のインビトロ培養に由来する細胞株、初代外植片、HL-60、U937、HaK、またはJurkat細胞が挙げられる。様々なシグナル伝達またはレポーターアッセイにおいてポリペプチドを使用することが望ましい場合、任意で、例えば、HepG2/3B、KB、NIH 3T3、またはS49などの哺乳動物細胞株が、ポリペプチドの発現に使用され得る。ある特定の実施形態において、哺乳動物細胞は、CHO細胞またはその誘導体(無血清培地中で成長するVeggie CHO及び関連する細胞株など)である(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology28:31)。
【0115】
本発明はまた、ハイブリドーマ細胞にも適用される。「ハイブリドーマ」という用語は、免疫起源の不死細胞株と抗体産生細胞との融合によって産生されるハイブリッド細胞株を指す。この用語は、ヒト細胞及びマウス骨髄腫細胞株と融合させた後、血漿細胞と融合させた結果である、ヘテロハイブリッド骨髄腫融合体の子孫(一般的にトリオーマ細胞株として知られる)を包含する。更に、この用語は、例えば、クアドローマなどの抗体を産生する任意の不死化ハイブリッド細胞株を含むことが意図される(例えば、Milstein et al.,Nature,537:3053(1983)を参照されたい)。ハイブリッド細胞株は、ヒト及びマウスを含む任意の種のものであり得る。
【0116】
ある特定の実施形態において、哺乳動物細胞は、対象となるポリペプチドをコードする単離された外因性核酸で形質転換されている、非ハイブリドーマ哺乳動物細胞であり、特に好ましい実施形態において、これらには、抗体(二重特異性抗体など)をコードする核酸、抗体断片(リガンド結合断片など)、及びキメラ抗体が含まれる。「外因性核酸」または「異種核酸」は、細胞にとって異質であるか、または細胞に類似しているが通常は核酸が見出されない宿主細胞核酸内の位置にある、核酸配列を意味する。
【0117】
単離された核酸は、ポリペプチド核酸の天然源中それに通常伴う少なくとも1つの混入核酸分子から特定かつ分離される核酸分子である。単離された核酸分子は、それが自然界で見出される形態または設定以外である。単離された核酸は、好ましくは非染色体核酸であり、すなわち、それが天然に存在する染色体環境から単離される。したがって、単離された核酸分子は、天然細胞内に存在する核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞の染色体位置とは異なる染色体位置にある、ポリペプチドを通常発現する細胞内に含有される核酸分子を含む。
【0118】
対象となるポリペプチドは、好ましくは分泌ポリペプチドとして培養培地から回収されるが、それはまた、分泌シグナルなしで直接発現された場合、宿主細胞溶解物からも回収され得る。第1のステップとして、培養培地または溶解物を遠心分離して、微粒子状の細胞細片を除去する。その後、混入可溶性タンパク質及びポリペプチドからポリペプチドを精製するが、以下の手順、免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、DEAEなどのシリカまたはカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、例えば、Sephadex G-75を使用するゲル濾過、及びIgGなどの混入物を除去するためのタンパク質A Sepharoseカラムによるものが、好適な精製手順のうちの例示的なものである。フェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤もまた、精製中のタンパク質分解を阻害するのに有用であり得る。当業者であれば、組み換え細胞培養物中での発現時のポリペプチドの特徴の変化を説明するために、対象となるポリペプチドに好適な精製方法が修正を必要とし得ることを理解するだろう。
【0119】
例示的なポリペプチド
本明細書に提供される方法に従って、様々なポリペプチドが産生され得る。例としては、例えば、成長ホルモン(ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む)、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、リポタンパク質、アルファ-1-アンチトリプシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、グルカゴン、凝固因子(因子VIIIC、因子IX、組織因子、及びフォンウィルブランド因子など)、抗凝固因子(タンパク質Cなど)、心房性ナトリウム利尿因子、肺表面活性剤、プラスミノーゲン活性化因子(ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)など)、ボンベシン、トロンビン、造血成長因子、腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ、エンケファリナーゼ、RANTES(活性化時に制御され、通常T細胞が発現及び分泌している)、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ)、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)、ミュラー管抑制因子、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド、微生物タンパク質(ベータ-ラクタマーゼなど)、デオキシリボヌクレアーゼ、IgE、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)(CTLA-4など)、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子(VEGF)、ホルモンまたは成長因子の受容体、タンパク質AまたはD、リウマトイド因子、神経栄養因子(骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子(NGF-~など)など)、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(aFGF及びbFGFなど)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGF)(TGF-ベータ1、TGF-ベータ2、TGF-ベータ3、TGF-ベータ4、またはTGF-ベータ5を含む、TGF-アルファ及びTGF-ベータなど)、インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II)、des(l-3)-IGF-1(脳IGF-1)、インスリン様成長因子結合タンパク質、CDタンパク質(CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34、及びCD40など)、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、インターフェロン(インターフェロン-アルファ、-ベータ、及び-ガンマなど)、コロニー刺激因子(CSF)(例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF)、インターロイキン(IL)(例えば、IL-1~IL-17)、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊促進因子、ウイルス抗原(例えば、AIDS外被の一部分など)、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、制御タンパク質、インテグリン(CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAMなど)、腫瘍関連抗原(HER2、HER3、もしくはHERA受容体など)、ならびに上に列挙されるポリペプチドのいずれかの断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
抗体産生及び精製
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチドは、抗体またはその断片である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるによって産生される抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ライブラリ由来抗体、または多重特異性抗体(二重特異性抗体など)である。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法によって産生される抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、(scFv)、dAb、相補性決定領域(CDR)断片、線状抗体、一本鎖抗体分子、ミニボディ、ダイアボディ、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体である。
【0121】
抗体は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)を使用する抗体の産生において、組み換え方法を使用して産生され得る。抗体の組み換え産生について、抗体をコードする核酸が単離され、更なるクローニング(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクターに挿入される。抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。多くのベクターが利用可能である。ベクター構成成分としては一般に、以下、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
抗体は、直接のみならず、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても組み換えで産生され得、この異種ポリペプチドは、好ましくは、成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドである。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及びプロセシングされる(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
【0123】
抗体は、細胞内で産生され得るか、または培地へと直接分泌され得る。抗体が細胞内で産生される場合、第1のステップとして、粒子状の細片(宿主細胞または溶解断片のいずれか)が、例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。抗体が培地へと分泌される場合、そのような発現系由来の上清がまず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮され得る。タンパク質分解を阻害するために、前述のステップのいずれかにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が含まれてもよく、付随的混入物の成長を防止するために、抗生物質が含まれてもよい。
【0124】
当該技術分野において既知である標準のタンパク質精製方法を用いて、本明細書に提供される方法に従って産生される抗体の実質的に同種の調製物を得ることができる。以下の手順、免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、DEAEなどのシリカまたはカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び例えば、Sephadex G-75を使用するゲル濾過が、好適な精製手順のうちの例示的なものである。
【0125】
加えて、またはあるいは、抗体は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル等電点電気泳動法、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製され得、親和性クロマトグラフィーが典型的に好ましい精製ステップのうちの1つである。ある特定の態様において、上述の細胞培養培地に由来する調製物を、タンパク質A固定化固相に適用して、対象となる多重特異性抗原結合タンパク質のタンパク質Aへの特異的結合を可能にする。その後、固相を洗浄して、固相に非特異的に結合している混入物を除去する。カオトロピック剤または中性洗剤を含有する溶液への溶出によって、多重特異性抗原結合タンパク質(二重特異性抗体など)を固相から回収する。例示的なカオトロピック剤及び中性洗剤としては、グアニジン-HCI、尿素、過塩素酸リチウム、アルギニン、ヒスチジン、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tween、Triton、及びNP-40が挙げられるが、これらに限定されず、これらの全てが市販されている。
【0126】
親和性リガンドとしてのタンパク質Aの好適性は、抗体内に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。タンパク質Aを使用して、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))。タンパク質Gは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に対して推奨されている(Guss et al.,EMBO J.5:15671575(1986))。親和性リガンドが結合するマトリックスは、最も多くは、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。孔制御ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスにより、アガロースで達成され得るよりも速い流速及び短い処理時間が可能になる。抗体がC3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が精製に有用である。タンパク質精製のための他の技術(イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿など)もまた、回収される抗体に応じて利用可能である。
【0127】
任意の予備精製ステップ(複数可)の後、抗体(本明細書に提供される方法に従って産生される抗体など)及び混入物を含む混合物が、約2.5~4.5のpHの溶出緩衝液を使用して、好ましくは、低塩濃度(例えば、約0~0.25Mの塩)で実行される、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供され得る。抗体の産生は、(前述の特定の方法のいずれかに対して)代替的または追加的に、ポリペプチドの混合物を含む溶液を透析することを含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体は、その抗原結合断片である。抗原結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。Fab断片は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)もまた含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)抗体断片は元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体断片の他の化学共役もまた、既知である。「Fv」は、完全な抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、scFvが抗原結合に所望される構造を形成することが可能になる。scFvに関する概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York,1994),pp.269-315を参照されたい。上述の抗体を精製するための方法のうちの多くは、抗原結合抗体断片の精製に好適に適合され得る。
【0129】
ある特定の実施形態において、本開示の細胞培養培地中で培養された細胞を使用して、二重特異性抗体を産生する。ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、一方のアームにある第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにある(第2の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対とで構成される。二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が、容易な分離方法を提供するため、この非対称構造が、所望される二重特異性化合物を望まれない免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離するのを容易にすることが見出された(WO94/04690を参照されたい)。二重特異性抗体の生成の更なる詳細については、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。別のアプローチに従って、一対の抗体分子間の界面を操作して、組み換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化することができる(W096/27011を参照されたい)。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きい側鎖(複数可)と同一または類似のサイズの代償「空洞」が、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはトレオニン)に置き換えることによって、第2の抗体分子の界面上に作製される。これは、ホモ二量体などの他の望まれない最終産物を超えるヘテロ二量体の収率を増加させるための機構を提供する。二重特異性抗体としては、架橋抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体のうちの一方がアビジンに共役され得、他方がビオチンに共役され得る。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞の標的を望まれない細胞に向けるために(US4,676,980を参照されたい)、かつHIV感染を治療するために(WO91/00360、WO92/200373、及びEP03089を参照されたい)提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製され得る。好適な架橋剤は当該技術分野において周知であり、いくつかの架橋技術とともにU.S.4,676,980に開示されている。3以上の結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体が調製され得る(Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)を参照されたい)。
【0130】
標的分子
本明細書に提供される方法に従って産生される抗体(または二重特異性抗体などの多重特異性抗体)によって標的とされ得る分子の例としては、可溶性血清タンパク質及びそれらの受容体、ならびに他の膜結合タンパク質(例えば、アドヘシン)が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、本明細書に提供される多重特異性抗原結合タンパク質は、8MPI、8MP2、8MP38(GDFIO)、8MP4、8MP6、8MP8、CSFI(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(G-CSF)、EPO、FGF1(αFGF)、FGF2(βFGF)、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、IGF1、IGF2、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFN81、IFNG、IFNWI、FEL1、FEL1(EPSELON)、FEL1(ZETA)、IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL17B、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、PDGFA、PDGFB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFBb3、LTA(TNF-β)、LTB、TNF(TNF-α)、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1BBリガンド)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、HGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、IL1R1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、IL10RA、IL10RB、IL11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA、IL17R、IL18R1、IL20RA、IL21R、IL22R、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIF1、HGF、LEP(レプチン)、PTN、及びTHPOからなる群から選択される、1つ、2つ、またはそれ以上のサイトカイン、サイトカイン関連タンパク質、及びサイトカイン受容体に結合することができる。
【0131】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法を使用して、CCLI(1-309)、CCL2(MCP-1/MCAF)、CCL3(MIP-Iα)、CCL4(MIP-Iβ)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCL11(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP-Iδ)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MDP-3b)、CCL20(MIP-3α)、CCL21(SLC/エクソダス-2)、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CXCLI(GROI)、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA-78)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP10)、CXCL11(1-TAC)、CXCL12(SDFI)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL1(SCYDI)、SCYEI、XCLI(リンホタクチン)、XCL2(SCM-Iβ)、BLRI(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61)、CCRI(CKRI/HM145)、CCR2(mcp-IRB IRA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBII)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L-CCR)、XCR1(GPR5/CCXCR1)、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、HM74、IL8RA(IL8Rα)、IL8RB(IL8Rβ)、LTB4R(GPR16)、TCP10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5、C5R1、CSF3、GRCC10(C10)、EPO、FY(DARC)、GDF5、HDF1、HDF1α、DL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREM1、TREM2、及びVHLからなる群から選択される、ケモカイン、ケモカイン受容体、またはケモカイン関連タンパク質に対する抗体(または二重特異性抗体などの多重特異性抗体)を産生することができる。
【0132】
別の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される抗体または二重特異性抗体は、以下、0772P(CA125、MUC16)(すなわち、卵巣癌抗原)、ABCF1;ACVR1;ACVR1B;ACVR2;ACVR2B;ACVRL1;ADORA2A;アグリカン;AGR2;AICDA;AIF1;AIG1;AKAP1;AKAP2;AMH;AMHR2;アミロイドベータ;ANGPTL;ANGPT2;ANGPTL3;ANGPTL4;ANPEP;APC;APOC1;AR;ASLG659;ASPHD1(アスパラギン酸ベータ-ヒドロキシラーゼドメイン含有1;LOC253982);AZGP1(亜鉛-a-糖タンパク質);B7.1;B7.2;BAD;BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3;BAG1;BAI1;BCL2;BCL6;BDNF;BLNK;BLRI(MDR15);BMP1;BMP2;BMP3B(GDF10);BMP4;BMP6;BMP8;BMPR1A;BMPR1B(骨形成タンパク質受容体IB型);BMPR2;BPAG1(プレクチン);BRCA1;ブレビカン;C19orf10(IL27w);C3;C4A;C5;C5R1;CANT1;CASP1;CASP4;CAV1;CCBP2(D6/JAB61);CCL1(1-309);CCL11(エオタキシン);CCL13(MCP-4);CCL15(MIP1δ);CCL16(HCC-4);CCL17(TARC);CCL18(PARC);CCL19(MIP-3β);CCL2(MCP-1);MCAF;CCL20(MIP-3α);CCL21(MTP-2);SLC;エクソダス-2;CCL22(MDC/STC-1);CCL23(MPIF-1);CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2);CCL25(TECK);CCL26(エオタキシン-3);CCL27(CTACK/ILC);CCL28;CCL3(MTP-Iα);CCL4(MDP-Iβ);CCL5(RANTES);CCL7(MCP-3);CCL8(mcp-2);CCNA1;CCNA2;CCND1;CCNE1;CCNE2;CCR1(CKRI/HM145);CCR2(mcp-IRβ/RA);CCR3(CKR/CMKBR3);CCR4;CCR5(CMKBR5/ChemR13);CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6);CCR7(CKBR7/EBI1);CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1);CCR9(GPR-9-6);CCRL1(VSHK1);CCRL2(L-CCR);CD164;CD19;CD1C;CD20;CD200;CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム);CD24;CD28;CD3;CD37;CD38;CD3E;CD3G;CD3Z;CD4;CD40;CD40L;CD44;CD45RB;CD52;CD69;CD72;CD74;CD79A(CD79α、免疫グロブリン関連アルファ、B細胞特異的タンパク質);CD79B;CDS;CD80;CD81;CD83;CD86;CDH1(E-カドヘリン);CDH10;CDH12;CDH13;CDH18;CDH19;CDH20;CDH5;CDH7;CDH8;CDH9;CDK2;CDK3;CDK4;CDK5;CDK6;CDK7;CDK9;CDKN1A(p21/WAF1/Cip1);CDKN1B(p27/Kip1);CDKN1C;CDKN2A(P16INK4a);CDKN2B;CDKN2C;CDKN3;CEBPB;CER1;CHGA;CHGB;キチナーゼ;CHST10;CKLFSF2;CKLFSF3;CKLFSF4;CKLFSF5;CKLFSF6;CKLFSF7;CKLFSF8;CLDN3;CLDN7(クローディン-7);CLL-1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2);CLN3;CLU(クラスタリン);CMKLR1;CMKOR1(RDC1);CNR1;COL18A1;COL1A1;COL4A3;COL6A1;補体因子D;CR2;CRP;CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形腫由来成長因子);CSFI(M-CSF);CSF2(GM-CSF);CSF3(GCSF);CTLA4;CTNNB1(b-カテニン);CTSB(カテプシンB);CX3CL1(SCYDI);CX3CR1(V28);CXCL1(GRO1);CXCL10(IP-10);CXCL11(I-TAC/IP-9);CXCL12(SDF1);CXCL13;CXCL14;CXCL16;CXCL2(GRO2);CXCL3(GRO3);CXCL5(ENA-78/LIX);CXCL6(GCP-2);CXCL9(MIG);CXCR3(GPR9/CKR-L2);CXCR4;CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、Gタンパク質共役受容体);CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo);CYB5;CYC1;CYSLTR1;DAB2IP;DES;DKFZp451J0118;DNCLI;DPP4;E16(LAT1、SLC7A5);E2F1;ECGF1;EDG1;EFNA1;EFNA3;EFNB2;EGF;EGFR;ELAC2;ENG;ENO1;ENO2;ENO3;EPHB4;EphB2R;EPO;ERBB2(Her-2);EREG;ERK8;ESR1;ESR2;ETBR(エンドセリンB型受容体);F3(TF);FADD;FasL;FASN;FCER1A;FCER2;FCGR3A;FcRH1(Fc受容体様タンパク質1);FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C);FGF;FGF1(αFGF);FGF10;FGF11;FGF12;FGF12B; FGF13;FGF14;FGF16;FGF17;FGF18;FGF19;FGF2(bFGF);FGF20;FGF21;FGF22;FGF23;FGF3(int-2);FGF4(HST);FGF5;FGF6(HST-2);FGF7(KGF);FGF8;FGF9;FGFR;FGFR3;FIGF(VEGFD);FELl(EPSILON);FILl(ZETA);FLJ12584;FLJ25530;FLRTI(フィブロネクチン);FLT1;FOS;FOSL1(FRA-1);FY(DARC);GABRP(GABAa);GAGEB1;GAGEC1;GALNAC4S-6ST;GATA3;GDF5;GDNF-Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1;GFRA1;GDNFR;GDNFRA;RETL1;TRNR1;RET1L;GDNFR-アルファ1;GFR-アルファ-1);GEDA;GFI1;GGT1;GM-CSF;GNASI;GNRHI;GPR2(CCR10);GPR19(Gタンパク質共役受容体19;mM.4787);GPR31;GPR44;GPR54(KISS1受容体;KISS1R;GPR54;HOT7T175;AXOR12);GPR81(FKSG80);GPR172A(Gタンパク質共役受容体172A;GPCR41;FLJ11856;D15Ertd747e);GRCCIO(C10);GRP;GSN(ゲルゾリン);GSTP1;HAVCR2;HDAC4;HDAC5;HDAC7A;HDAC9;HGF;HIF1A;HOP1;ヒスタミン及びヒスタミン受容体;HLA-A;HLA-DOB(MHCクラスII分子(Ia抗原)のベータサブユニット);HLA-DRA;HM74;HMOXI;HUMCYT2A;ICEBERG;ICOSL;1D2;IFN-a;IFNA1;IFNA2;IFNA4;IFNA5;IFNA6;IFNA7;IFNB1;IFNガンマ;DFNW1;IGBP1;IGF1;IGF1R;IGF2;IGFBP2;IGFBP3;IGFBP6;IL-l;IL10;IL10RA;IL10RB;IL11;IL11RA;IL-12;IL12A;IL12B;IL12RB1;IL12RB2;IL13;IL13RA1;IL13RA2;IL14;IL15;IL15RA;IL16;IL17;IL17B;IL17C;IL17R;IL18;IL18BP;IL18R1;IL18RAP;IL19;IL1A;IL1B;ILIF10;IL1F5;IL1F6;IL1F7;IL1F8;IL1F9;IL1HY1;IL1R1;IL1R2;IL1RAP;IL1RAPL1;IL1RAPL2;IL1RL1;IL1RL2、ILIRN;IL2;IL20;IL20Rα;IL21R;IL22;IL-22c;IL22R;IL22RA2;IL23;IL24;IL25;IL26;IL27;IL28A;IL28B;IL29;IL2RA;IL2RB;IL2RG;IL3;IL30;IL3RA;IL4;IL4R;IL5;IL5RA;IL6;IL6R;IL6ST(糖タンパク質130);インフルエンザA;インフルエンザB;EL7;EL7R;EL8;IL8RA;DL8RB;IL8RB;DL9;DL9R;DLK;INHA;INHBA;INSL3;INSL4;IRAK1;IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2);ERAK2;ITGA1;ITGA2;ITGA3;ITGA6(a6インテグリン);ITGAV;ITGB3;ITGB4(b4インテグリン);α4β7及びαEβ7インテグリンヘテロ二量体;JAG1;JAK1;JAK3;JUN;K6HF;KAI1;KDR;KITLG;KLF5(GC Box BP);KLF6;KLKIO;KLK12;KLK13;KLK14;KLK15;KLK3;KLK4;KLK5;KLK6;KLK9;KRT1;KRT19(ケラチン19);KRT2A;KHTHB6(毛髪特異的H型ケラチン);LAMAS;LEP(レプチン);LGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5;GPR49、GPR67);Lingo-p75;Lingo-Troy;LPS;LTA(TNF-b);LTB;LTB4R(GPR16);LTB4R2;LTBR;LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質);Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E;Ly67,RIG-E,SCA-2,TSA-1);Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D;Ly6-D、MEGT1);LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K;LY6K;HSJ001348;FLJ35226);MACMARCKS;MAGまたはOMgp;MAP2K7(c-Jun);MDK;MDP;MIB1;ミッドカイン;MEF;MIP-2;MKI67;(Ki-67);mMP2;mMP9;MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン);MS4A1;MSG783(RNF124、仮定上のタンパク質FLJ20315);MSMB;MT3(メタロチオネクチン-111);MTSS1;MUC1(ムチン);MYC;MY088;Napi3b(NaPi2bとしても知られる)(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b);NCA;NCK2;ニューロカン;NFKB1;NFKB2;NGFB(NGF);NGFR;NgR-Lingo;NgR-Nogo66(Nogo);NgR-p75;NgR-Troy;NME1(NM23A);NOX5;NPPB;NR0B1;NR0B2;NR1D1;NR1D2;NR1H2;NR1H3;NR1H4;NR112;NR113;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3C1;NR3C2;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NRP1;NRP2;NT5E;NTN4;ODZI;OPRD1;OX40;P2RX7;P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5);PAP;PART
1;PATE;PAWR;PCA3;PCNA;PD-L1;PD-L2;PD-1;POGFA;POGFB;PECAM1;PF4(CXCL4);PGF;PGR;ホスファカン;PIAS2;PIK3CG;PLAU(uPA);PLG;PLXDC1;PMEL17(シルバーホモログ;SILV;D12S53E;PMEL17;SI;SIL);PPBP(CXCL7);PPID;PRI;PRKCQ;PRKDI;PRL;PROC;PROK2;PSAP;PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子);PTAFR;PTEN;PTGS2(COX-2);PTN;RAC2(p21 Rac2);RARB;RET(ret癌原遺伝子;MEN2A;HSCR1;MEN2B;MTC1;PTC;CDHF12;Hs.168114;RET51;RET-ELE1);RGSI;RGS13;RGS3;RNF110(ZNF144);ROBO2;S100A2;SCGB1D2(リポフィリンB);SCGB2A1(マンマグロビン2);SCGB2A2(マンマグロビン1);SCYEI(内皮単球活性化サイトカイン);SDF2;Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、Semaphorin 5b Hlog、semaドメイン7回トロンボスポンジン反復配列(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B);SERPINA1;SERPINA3;SERP1NB5(マスピン);SERPINE1(PAI-1);SERPDMF1;SHBG;SLA2;SLC2A2;SLC33A1;SLC43A1;SLIT2;SPPI;SPRR1B(Sprl);ST6GAL1;STABI;STAT6;STEAP(6回膜貫通前立腺上皮抗原);STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、6回膜貫通前立腺上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質);TB4R2;TBX21;TCPIO;TOGFI;TEK;TENB2(推定膜貫通プロテオグリカン);TGFA;TGFBI;TGFB1II;TGFB2;TGFB3;TGFBI;TGFBRI;TGFBR2;TGFBR3;THIL;THBSI(トロンボスポンジン-1);THBS2;THBS4;THPO;TIE(Tie-1);TMP3;組織因子;TLR1;TLR2;TLR3;TLR4;TLR5;TLR6;TLR7;TLR8;TLR9;TLR10;TMEFF1(EGF様及び2つのフォリスタチン様ドメインを有する膜貫通タンパク質1; トモレグリン-1);TMEM46(shisaホモログ2);TNF;TNF-a;TNFAEP2(B94);TNFAIP3;TNFRSFIIA;TNFRSF1A;TNFRSF1B;TNFRSF21;TNFRSF5;TNFRSF6(Fas);TNFRSF7;TNFRSF8;TNFRSF9;TNFSF10(TRAIL);TNFSF11(TRANCE);TNFSF12(AP03L);TNFSF13(April);TNFSF13B;TNFSF14(HVEM-L);TNFSF15(VEGI);TNFSF18;TNFSF4(OX40リガンド);TNFSF5(CD40リガンド);TNFSF6(FasL);TNFSF7(CD27リガンド);TNFSFS(CD30リガンド);TNFSF9(4-1BBリガンド);TOLLIP;Toll様受容体;TOP2A(トポイソメラーゼEa);TP53;TPM1;TPM2;TRADD;TMEM118(リングフィンガータンパク質、膜貫通2;RNFT2;FLJ14627);TRAF1;TRAF2;TRAF3;TRAF4;TRAF5;TRAF6;TREM1;TREM2;TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4);TRPC6;TSLP;TWEAK;チロシナーゼ(TYR;OCAIA;OCA1A;チロシナーゼ;SHEP3);VEGF;VEGFB;VEGFC;バーシカン;VHL C5;VLA-4;XCL1(リンホタクチン);XCL2(SCM-1b);XCRI(GPR5/CCXCRI);YY1;ならびにZFPM2から選択される、1つ以上の標的に結合することができる。
【0133】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される抗体(または二重特異性抗体)の標的分子としては、CDタンパク質(CD3、CD4、CDS、CD16、CD19、CD20、CD21(CR2(補体受容体2)もしくはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792));CD33;CD34;CD64;CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2);CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29);ErbB受容体ファミリーのCD200メンバー(EGF受容体、HER2、HER3、またはHER4受容体など);細胞接着分子(LFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、及びアルファv/ベータ3インテグリン(これらのアルファまたはベータのいずれかのサブユニット(例えば、抗CD11a、抗CD18、もしくは抗CD11b抗体)を含む)など);成長因子(VEGF-A、VEGF-Cなど);組織因子(TF);アルファインターフェロン(アルファIFN);TNFアルファ、インターロイキン(IL-1ベータ、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-13、IL17AF、IL-1S、IL-13Rアルファ1、IL13Rアルファ2、IL-4R、IL-5R、IL-9R、IgEなど);血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;RANKL、RANK、RSV Fタンパク質、タンパク質Cなどが挙げられる。
【0134】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法を使用して、補体タンパク質C5に特異的に結合する抗体(または二重特異性抗体などの多重特異性抗体)(例えば、ヒトC5に特異的に結合する抗C5アゴニスト抗体)を産生することができる。いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、(a)SSYYMA(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)AIFTGSGAEYKAEWAKG(配列番号26)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DAGYDYPTHAMHY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQGISSSLA(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GASETES(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QNTKVGSSYGNT(配列番号30)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。例えば、いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、(a)SSYYMA(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)AIFTGSGAEYKAEWAKG(配列番号26)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DAGYDYPTHAMHY(配列番号27)のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む重鎖可変ドメイン(VH)配列、ならびに/または(d)RASQGISSSLA(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)GASETES(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QNTKVGSSYGNT(配列番号30)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。上記のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3配列はそれぞれ、配列番号117、配列番号118、配列番号121、配列番号122、配列番号123、及び配列番号125としてUS2016/0176954に開示されている。(US2016/0176954の表7及び8を参照されたい。)
【0135】
ある特定の実施形態において、抗C5抗体はそれぞれ、
QVQLVESGGG LVQPGRSLRL SCAASGFTVH SSYYMAWVRQ APGKGLEWVG AIFTGSGAEY KAEWAKGRVT ISKDTSKNQV VLTMTNMDPV DTATYYCASD AGYDYPTHAM HYWGQGTLVT VSS(配列番号31)
及び
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQGIS SSLAWYQQKP GKAPKLLIYG ASETESGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQN TKVGSSYGNT FGGGTKVEIK(配列番号32)におけるVH及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。上記のVH及びVL配列はそれぞれ、配列番号106及び配列番号111としてUS2016/0176954に開示されている。(US2016/0176954の表7及び8を参照されたい。)いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、305L015である(US2016/0176954を参照されたい)。
【0136】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法を使用して、OX40に特異的に結合する抗体(または二重特異性抗体などの多重特異性抗体)(例えば、ヒトOX40に特異的に結合する抗OX40アゴニスト抗体)を産生することができる。いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、(a)DSYMS(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)DMYPDNGDSSYNQKFRE(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)APRWYFSV(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASQDISNYLN(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)YTSRLRS(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQGHTLPPT(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。例えば、いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、(a)DSYMS(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)DMYPDNGDSSYNQKFRE(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)APRWYFSV(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む重鎖可変ドメイン(VH)配列、ならびに/または(a)RASQDISNYLN(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)YTSRLRS(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)QQGHTLPPT(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。ある特定の実施形態において、抗OX40抗体はそれぞれ、
EVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT DSYMSWVRQA PGQGLEWIGD MYPDNGDSSY NQKFRERVTI TRDTSTSTAY LELSSLRSED TAVYYCVLAP RWYFSVWGQG TLVTVSS(配列番号8)
及び
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKLLIYY TSRLRSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ GHTLPPTFGQ GTKVEIK(配列番号9)におけるVH及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、(a)NYLIE(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)VINPGSGDTYYSEKFKG(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DRLDY(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)HASQDISSYIV(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)HGTNLED(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)VHYAQFPYT(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。例えば、いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、(a)NYLIE(配列番号10)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)VINPGSGDTYYSEKFKG(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)DRLDY(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む重鎖可変ドメイン(VH)配列、ならびに/または(a)HASQDISSYIV(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)HGTNLED(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(c)VHYAQFPYT(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1つ、2つ、もしくは3つのHVRを含む軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。ある特定の実施形態において、抗OX40抗体はそれぞれ、
EVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYAFT NYLIEWVRQA PGQGLEWIGV INPGSGDTYY SEKFKGRVTI TRDTSTSTAY LELSSLRSED TAVYYCARDR LDYWGQGTLV TVSS(配列番号16)
及び
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCHASQDIS SYIVWYQQKP GKAPKLLIYH GTNLEDGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCVH YAQFPYTFGQ GTKVEIK(配列番号17)
におけるVH及びVL配列(それらの配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0138】
抗OX40抗体に関する更なる詳細は、WO2015/153513に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法を使用して、インフルエンザウイルスB赤血球凝集素、すなわち、「fluB」に特異的に結合する抗体(または二重特異性抗体などの多重特異性抗体)(例えば、インビトロ及び/またはインビボで、インフルエンザBウイルスの山形系統に由来する赤血球凝集素に結合する抗体、インフルエンザBウイルスのビクトリア系統に由来する赤血球凝集素に結合する抗体、インフルエンザBウイルスの先祖系統に由来する赤血球凝集素に結合する抗体、またはインフルエンザBウイルスの山形系統、ビクトリア系統、及び先祖系統に由来する赤血球凝集素に結合する抗体)を産生することができる。抗FluB抗体に関する更なる詳細は、WO2015/148806に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される抗体(または二重特異性抗体)は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-1もしくはLRP-8またはトランスフェリン受容体、ならびにベータ-セクレターゼ(BACE1またはBACE2)、アルファ-セクレターゼ、ガンマ-セクレターゼ、tau-セクレターゼ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、デス受容体6(DR6)、アミロイドベータペプチド、アルファ-シヌクレイン、パーキン、ハンチンチン、p75 NTR、CD40、及びカスパーゼ-6からなる群から選択される、少なくとも1つの標的と結合する。
【0141】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される抗体は、CD40に対するヒトIgG2抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD40抗体は、RG7876である。
【0142】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチドは、標的免疫サイトカインである。ある特定の実施形態において、標的免疫サイトカインは、CEA-IL2v免疫サイトカインである。ある特定の実施形態において、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。ある特定の実施形態において、標的免疫サイトカインは、FAP-IL2v免疫サイトカインである。ある特定の実施形態において、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。
【0143】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、CEA及び少なくとも1つの追加の標的分子と結合する。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、腫瘍標的サイトカイン及び少なくとも1つの追加の標的分子と結合する。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、IL2v(すなわち、インターロイキン2バリアント)に融合され、IL1系免疫サイトカイン及び少なくとも1つの追加の標的分子と結合する。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、T細胞二重特異性抗体(すなわち、二重特異性T細胞エンゲージャーまたはBiTE)である。
【0144】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される方法に従って産生される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、IL-1アルファ及びIL-1ベータ、IL-12及びIL-1S;IL-13及びIL-9;IL-13及びIL-4;IL-13及びIL-5;IL-5及びIL-4;IL-13及びIL-1ベータ;IL-13及びIL-25;IL-13及びTARC;IL-13及びMDC;IL-13及びMEF;IL-13及びTGF-~;IL-13及びLHRアゴニスト;IL-12及びTWEAK、IL-13及びCL25;IL-13及びSPRR2a;IL-13及びSPRR2b;IL-13及びADAMS、IL-13及びPED2、IL17A及びIL17F、CEA及びCD3、CD3及びCD19、CD138及びCD20;CD138及びCD40;CD19及びCD20;CD20及びCD3;CD3S及びCD13S;CD3S及びCD20;CD3S及びCD40;CD40及びCD20;CD-S及びIL-6;CD20及びBR3、TNFアルファ及びTGF-ベータ、TNFアルファ及びIL-1ベータ;TNFアルファ及びIL-2、TNFアルファ及びIL-3、TNFアルファ及びIL-4、TNFアルファ及びIL-5、TNFアルファ及びIL6、TNFアルファ及びIL8、TNFアルファ及びIL-9、TNFアルファ及びIL-10、TNFアルファ及びIL-11、TNFアルファ及びIL-12、TNFアルファ及びIL-13、TNFアルファ及びIL-14、TNFアルファ及びIL-15、TNFアルファ及びIL-16、TNFアルファ及びIL-17、TNFアルファ及びIL-18、TNFアルファ及びIL-19、TNFアルファ及びIL-20、TNFアルファ及びIL-23、TNFアルファ及びIFNアルファ、TNFアルファ及びCD4、TNFアルファ及びVEGF、TNFアルファ及びMIF、TNFアルファ及びICAM-1、TNFアルファ及びPGE4、TNFアルファ及びPEG2、TNFアルファ及びRANKリガンド、TNFアルファ及びTe38、TNFアルファ及びBAFF、TNFアルファ及びCD22、TNFアルファ及びCTLA-4、TNFアルファ及びGP130、TNFa及びIL-12p40、VEGF及びアンジオポエチン、VEGF及びHER2、VEGF-A及びHER2、VEGF-A及びPDGF、HER1及びHER2、VEGFA及びANG2、VEGF-A及びVEGF-C、VEGF-C及びVEGF-D、HER2及びDR5、VEGF及びIL-8、VEGF及びMET、VEGFR及びMET受容体、EGFR及びMET、VEGFR及びEGFR、HER2及びCD64、HER2及びCD3、HER2及びCD16、HER2及びHER3;EGFR(HER1)及びHER2、EGFR及びHER3、EGFR及びHER4、IL-14及びIL-13、IL-13及びCD40L、IL4及びCD40L、TNFR1及びIL-1R、TNFR1及びIL-6R、ならびにTNFR1及びIL-18R、EpCAM及びCD3、MAPG及びCD28、EGFR及びCD64、CSPG及びRGM A;CTLA-4及びBTN02;IGF1及びIGF2;IGF1/2及びErb2B;MAG及びRGM A;NgR及びRGM A;NogoA及びRGM A;OMGp及びRGM A;POL-l及びCTLA-4;ならびにRGM A及びRGM Bから選択される、少なくとも2つの標的分子に結合する。
【0145】
ある特定の実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、RG7802である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号18~21に明記されるアミノ酸配列を含むが、以下に提供される。
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCKASAAVG TYVAWYQQKP GKAPKLLIYS ASYRKRGVPS
RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCHQ YYTYPLFTFG QGTKLEIKRT VAAPSVFIFP
PSDEQLKSGT ASVVCLLNNF YPREAKVQWK VDNALQSGNS QESVTEQDSK DSTYSLSSTL
TLSKADYEKH KVYACEVTHQ GLSSPVTKSF NRGEC(配列番号18)
QAVVTQEPSL TVSPGGTVTL TCGSSTGAVT TSNYANWVQE KPGQAFRGLI GGTNKRAPGT
PARFSGSLLG GKAALTLSGA QPEDEAEYYC ALWYSNLWVF GGGTKLTVLS SASTKGPSVF
PLAPSSKSTS GGTAALGCLV KDYFPEPVTV SWNSGALTSG VHTFPAVLQS SGLYSLSSVV
TVPSSSLGTQ TYICNVNHKP SNTKVDKKVE PKSC(配列番号19)
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT EFGMNWVRQA PGQGLEWMGW INTKTGEATY
VEEFKGRVTF TTDTSTSTAY MELRSLRSDD TAVYYCARWD FAYYVEAMDY WGQGTTVTVS
SASTKGPSVF PLAPSSKSTS GGTAALGCLV KDYFPEPVTV SWNSGALTSG VHTFPAVLQS
SGLYSLSSVV TVPSSSLGTQ TYICNVNHKP SNTKVDKKVE PKSCDGGGGS GGGGSEVQLL
ESGGGLVQPG GSLRLSCAAS GFTFSTYAMN WVRQAPGKGL EWVSRIRSKY NNYATYYADS
VKGRFTISRD DSKNTLYLQM NSLRAEDTAV YYCVRHGNFG NSYVSWFAYW GQGTLVTVSS
ASVAAPSVFI FPPSDEQLKS GTASVVCLLN NFYPREAKVQ WKVDNALQSG NSQESVTEQD
SKDSTYSLSS TLTLSKADYE KHKVYACEVT HQGLSSPVTK SFNRGECDKT HTCPPCPAPE
AAGGPSVFLF PPKPKDTLMI SRTPEVTCVV VDVSHEDPEV KFNWYVDGVE VHNAKTKPRE
EQYNSTYRVV SVLTVLHQDW LNGKEYKCKV SNKALGAPIE KTISKAKGQP REPQVYTLPP
CRDELTKNQV SLWCLVKGFY PSDIAVEWES NGQPENNYKT TPPVLDSDGS FFLYSKLTVD
KSRWQQGNVF SCSVMHEALH NHYTQKSLSL SPGK(配列番号20)
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT EFGMNWVRQA PGQGLEWMG WINTKTGEATY
VEEFKGRVTF TTDTSTSTAY MELRSLRSDD TAVYYCARWD FAYYVEAMD YWGQGTTVTVS
SASTKGPSVF PLAPSSKSTS GGTAALGCLV KDYFPEPVTV SWNSGALTS GVHTFPAVLQS
SGLYSLSSVV TVPSSSLGTQ TYICNVNHKP SNTKVDKKVE PKSCDKTHT CPPCPAPEAAG
GPSVFLFPPK PKDTLMISRT PEVTCVVVDV SHEDPEVKFN WYVDGVEVH NAKTKPREEQY
NSTYRVVSVL TVLHQDWLNG KEYKCKVSNK ALGAPIEKTI SKAKGQPRE PQVCTLPPSRD
ELTKNQVSLS CAVKGFYPSD IAVEWESNGQ PENNYKTTPP VLDSDGSFF LVSKLTVDKSR
WQQGNVFSCS VMHEALHNHY TQKSLSLSPG K(配列番号21)
【0146】
抗CEA/抗CD3二重特異性抗体に関する更なる詳細は、WO2014/121712に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
ある特定の実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体である。ある特定の実施形態において、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体二重特異性抗体は、Crossmabである。ある特定の実施形態において、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体は、RG7716である。ある特定の実施形態において、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号22~25に明記されるアミノ酸配列を含むが、以下に提供される。
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGYDFT HYGMNWVRQA PGKGLEWVGW INTYTGEPTY
AADFKRRFTF SLDTSKSTAY LQMNSLRAED TAVYYCAKYP YYYGTSHWYF DVWGQGTLVT
VSSASTKGPS VFPLAPSSKS TSGGTAALGC LVKDYFPEPV TVSWNSGALT SGVHTFPAVL
QSSGLYSLSS VVTVPSSSLG TQTYICNVNH KPSNTKVDKK VEPKSCDKTH TCPPCPAPEA
AGGPSVFLFP PKPKDTLMAS RTPEVTCVVV DVSHEDPEVK FNWYVDGVEV HNAKTKPREE
QYNSTYRVVS VLTVLAQDWL NGKEYKCKVS NKALGAPIEK TISKAKGQPR EPQVYTLPPC
RDELTKNQVS LWCLVKGFYP SDIAVEWESN GQPENNYKTT PPVLDSDGSF FLYSKLTVDK
SRWQQGNVFS CSVMHEALHN AYTQKSLSLS PGK(配列番号22)
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT GYYMHWVRQA PGQGLEWMGW INPNSGGTNY
AQKFQGRVTM TRDTSISTAY MELSRLRSDD TAVYYCARSP NPYYYDSSGY YYPGAFDIWG
QGTMVTVSSA SVAAPSVFIF PPSDEQLKSG TASVVCLLNN FYPREAKVQW KVDNALQSGN
SQESVTEQDS KDSTYSLSST LTLSKADYEK HKVYACEVTH QGLSSPVTKS FNRGECDKTH
TCPPCPAPEA AGGPSVFLFP PKPKDTLMAS RTPEVTCVVV DVSHEDPEVK FNWYVDGVEV
HNAKTKPREE QYNSTYRVVS VLTVLAQDWL NGKEYKCKVS NKALGAPIEK TISKAKGQPR
EPQVCTLPPS RDELTKNQVS LSCAVKGFYP SDIAVEWESN GQPENNYKTT PPVLDSDGSF
FLVSKLTVDK SRWQQGNVFS CSVMHEALHN AYTQKSLSLS PGK(配列番号23)
DIQLTQSPSS LSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKVLIYF TSSLHSGVPS
RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ YSTVPWTFGQ GTKVEIKRTV AAPSVFIFPP
SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT
LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC(配列番号24)
SYVLTQPPSV SVAPGQTARI TCGGNNIGSK SVHWYQQKPG QAPVLVVYDD SDRPSGIPER
FSGSNSGNTA TLTISRVEAG DEADYYCQVW DSSSDHWVFG GGTKLTVLSS ASTKGPSVFP
LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV HTFPAVLQSS GLYSLSSVVT
VPSSSLGTQT YICNVNHKPS NTKVDKKVEP KSC(配列番号25)
【0148】
ある特定の実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、RG7221である。ある特定の実施形態において、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、CAS番号1448221-05-3である。
【0149】
他の分子に任意でコンジュゲートされる可溶性抗原またはそれらの断片は、抗体を生成するための免疫原として使用され得る。受容体などの膜貫通分子では、これらの断片(例えば、受容体の細胞外ドメイン)が免疫原として使用され得る。あるいは、膜貫通分子を発現する細胞が免疫原として使用され得る。そのような細胞は、天然源(例えば、がん細胞株)に由来し得るか、または膜貫通分子を発現するように組み換え技術によって形質転換された細胞であり得る。抗体を調製するのに有用な他の抗原及びそれらの形態は、当業者にとって明らかだろう。
【0150】
ある特定の実施形態において、本明細書において産生されるポリペプチド(例えば、抗体)は、色素などの化学分子または化学療法剤などの細胞傷害剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、あるいは放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)に更にコンジュゲートされ得る。本明細書に記載される方法を使用して産生される抗体または二重特異性抗体を含む免疫コンジュゲートは、重鎖のうちの1つのみまたは軽鎖のうちの1つのみの定常領域にコンジュゲートされた細胞傷害剤を含有し得る。
【0151】
C.薬学的組成物及び製剤
本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)は、それらの投与が好適となるように、好適な担体または賦形剤とともに製剤化され得る。本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)の好適な製剤は、所望される程度の純度を有するポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって得られる。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で無毒であり、緩衝剤(リン酸、クエン酸、及び他の有機酸など)、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチルもしくはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど)、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、ならびに/または非イオン性界面活性剤(TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)など)を含む。例示的な抗体製剤は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、W098/56418に記載されている。皮下投与に適合した凍結乾燥製剤は、W097/04801に記載されている。そのような凍結乾燥製剤は、好適な希釈剤により高タンパク質濃度に再構成され得、この再構成された製剤は、本明細書において治療される哺乳動物に皮下投与され得る。
【0152】
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に必要とされる2つ以上の活性化合物、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、抗抗悪性腫瘍剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、または化学療法剤を更に提供することが望ましくあり得る。そのような分子は、好適には、意図される目的のために有効な量の組み合わせで存在する。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)の量、疾患または障害または治療の種類、ならびに上に考察される他の要因に依存する。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で、または従来用いられる投薬量の約1~99%で使用される。活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタシレート)マイクロカプセル内、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、またはマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、アンタゴニストを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にある。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なマイクロスフェア)など)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0153】
任意ではあるが好ましくは、製剤は、薬学的に許容される塩、好ましくは塩化ナトリウムを含有し、好ましくは、およそ生理学的濃度である。任意で、製剤は、薬学的に許容される保存剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、保存剤濃度は、0.1~2.0%の、典型的には体積濃度の範囲である。好適な保存剤としては、薬学の技術分野において既知であるものが挙げられる。ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが、好ましい保存剤である。任意で、製剤は、薬学的に許容される界面活性剤を0.005~0.02%の濃度で含み得る。
【0154】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なマイクロスフェア)など)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーが100日間を超える分子の放出を可能にする一方で、特定のヒドロゲルは、より短い期間にわたってタンパク質を放出する。本明細書に提供される方法に従って産生されるカプセル化されたポリペプチド(複数可)(例えば、抗体または二重特異性抗体)が長期間体内に残存する場合、それらは、37℃の水分への曝露の結果として変性または凝集し、生物学的活性の喪失、及び免疫原性の変化の可能性をもたらし得る。関与する機構に応じて、安定化のための合理的な戦略が考案され得る。例えば、凝集機構が、チオ-ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合の形成であると発見された場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含有量を制御し、適当な添加剤を使用し、かつ特定のポリマーマトリクス組成物を開発することによって、達成され得る。
【0155】
本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)は、ボーラスとしてのまたは一定期間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、または吸入経路によるものなどの既知の方法に従って、ヒト対象に投与される。広範囲の副作用または毒性が、タンパク質によって認識される標的分子に対するアンタゴニズムに関連付けられる場合には、局所投与が特に所望され得る。エキソビボ戦略もまた、治療用途に使用され得る。エキソビボ戦略は、対象から得られた細胞に、本発明に提供されるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを形質移入または形質導入することを伴う。その後、形質移入または形質導入された細胞を対象に戻す。これらの細胞は、造血細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、T細胞、もしくはB細胞)、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、角化細胞、または筋肉細胞を非限定的に含む、広範囲の種類のいずれかであり得る。
【0156】
一例において、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)は、腫瘍の障害または位置が許容する場合、例えば、直接注射によって局所投与され、注射は定期的に繰り返すことができる。ポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)は、局所再発または転移を防止または低下させるために、対象に全身送達すること、または腫瘍の外科的切除の後に腫瘍細胞、例えば、腫瘍もしくは腫瘍床に直接送達することもできる。
【0157】
D.製造品及びキット
本明細書に提供される方法に従って産生される1つ以上のポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)と、障害(例えば、自己免疫疾患またはがん)の治療または診断に有用な物質とを含有する製造品もまた提供される。ある特定の実施形態において、製造品は、容器と、容器上のもしくは容器に付随するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成され得る。容器は、病態の治療に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静注溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)である。ラベルまたは添付文書は、組成物が特定の病態の治療に使用されることを示す。ラベルまたは添付文書は、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を含む組成物を対象に投与するための説明書を更に含むだろう。本明細書に記載される併用治療薬を含む製造品及びキットもまた企図される。
【0158】
「添付文書」は、は、適応症、使用法、投薬量、投与、禁忌症に関する情報、及び/またはそのような治療製品の使用に関する警告を含有する、治療製品の商業用パッケージに通例含まれる説明書を指す。ある特定の実施形態において、添付文書は、組成物が、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、腎細胞癌、神経膠腫、または卵巣癌を治療するために使用されることを示す。
【0159】
加えて、製造品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液、及びデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の容器を更に含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から考慮される他の材料を更に含んでもよい。
【0160】
様々な目的のため、例えば、細胞からの2つ以上の標的抗原の精製または免疫沈降のために有用なキットもまた提供される。2つ以上の標的抗原の単離及び精製のために、キットは、ビーズ(例えば、Sepharoseビーズ)に共役した、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を含有し得る。抗原をインビトロで、例えば、ELISAまたはウェスタンブロットで検出及び定量化するための、本明細書に提供される方法に従って産生されるポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を含有するキットが提供され得る。製造品と同様に、キットは、容器と、容器上のもしくは容器に付随するラベルまたは添付文書とを含む。容器は、本明細書に提供される方法に従って産生される少なくとも1つのポリペプチド(例えば、抗体または二重特異性抗体)を含む組成物を保持する。例えば、希釈剤及び緩衝液、または対照抗体を含有する追加の容器が含まれてもよい。そのラベルまたは添付文書は、その組成物の説明及び意図されているインビトロまたは診断用途についての説明書を提供し得る。
【実施例0161】
本開示は、以下の実施例を参照することにより完全に理解されるだろう。しかしながら、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態が例証を目的とするものに過ぎないこと、ならびにそれを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。
【0162】
実施例1:無細胞系における組み換えポリペプチド中のトリスルフィド形成に対するシステイン、シスチン、鉄(Fe)、及びBビタミンの効果
一連の第1の実験を無細胞系で実行して、細胞外に分泌される組み換えポリペプチド中のトリスルフィド形成に寄与する細胞培養培地中の構成成分を特定した。特に、実験は、そのようなポリペプチド中のトリスルフィド結合レベルに対するシステイン、シスチン、微量元素(鉄など)、及びBビタミンの効果を調査した。
【0163】
A.システイン、シスチン、及び鉄の非細胞効果
簡潔には、11%のトリスルフィドを含有する例示的なポリペプチドである抗FluBを、(a)6mMのL-システイン(Cys)、(b)3mMのシスチン(Cys-Cys)、(c)6mMのL-システイン(Cys)及び35μMのFe(鉄)、または(d)3mMのシスチン(Cys-Cys)及び35μMのFe(鉄)を補充した培地1中でインキュベートした。上述のように補充したインキュベーションを培地2(すなわち、培地1とは異なる組成物を有する培地)中で反復した。抗FluBに関する更なる詳細は、WO2015/148806に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
培地1及び培地2は、それらが含有する栄養素及び構成成分の数、種類、及び濃度が異なる。具体的には、培地1中のビタミンB2及びビタミンB6の濃度は、培地2中のビタミンB2及びビタミンB6の濃度とは異なる。
【0165】
培地中の抗FluBの最終濃度は、1.5g/Lである。インキュベーションは、37℃の温度設定点、5%のCO設定点を有するインキュベーター内で実行した。インキュベーション混合物をキャップ付きチューブスピン生物反応器内に保持し、225rpmで振盪した。半分の複製物は通気キャップを有するチューブスピン内に保持し、もう半分の複製物は非通気キャップを有するチューブスピン内に保持した。振盪チューブスピン反応器の温度、CO、及び撹拌は、CHO抗体産生培養物中の抗体の濃度、及びCHO(または他の哺乳動物)細胞培養物に使用される温度の適切範囲内であった。
【0166】
8つのインキュベーターの各々の試料を、0時間、6時間、24時間、及び72時間で取得し、Zhang et al.(2010)Journal of Chromatography A.1217,5776-5784及びCornellら(印刷中)に記載される方法に従って、荷電エアロゾル検出と組み合わせた疎水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC-CAD)を介して各時点での抗FluB中のトリスルフィド%を決定した。
【0167】
図1に示されるように、培地1+Cysまたは培地2+Cys中の抗FluBのインキュベーションは、11%からほぼ0%へとトリスルフィド結合レベルを急速に減少させ、そのような効果は72時間持続した。抗FluB中のトリスルフィド結合レベルは、培地1+Cys-Cysまたは培地2+Cys-Cys中、72時間のインキュベーションの経過にわたって著しい影響はなかった。トリスルフィド結合レベルは、抗FluBを培地1+Cys+Feまたは培地2+Cys+Fe中でインキュベートしたときに急速に減少し、そのような効果は約6時間持続した。しかしながら、6時間後、抗FluB中のトリスルフィド結合レベルは約15%(すなわち、初期トリスルフィド結合レベルよりもわずかに高い)まで増加した。この観察は、Feが存在する無細胞系においてCysがCys-Cysへと変換されるのに必要とされる時間量と一貫しており、この時点で、組成物は、Cys-Cys及びFeを含有するものとして作用する(以下を参照されたい)。培地1+Cys-Cys+Feまたは培地2+Cys-Cys+Fe中での抗FluBのインキュベーションは、72時間のインキュベーションの経過にわたってトリスルフィド結合レベルを約40%まで著しく増加させた。45%のトリスルフィドを含有する抗FluBについて、類似の結果が観察された(データ示さず)。ガス交換は、トリスルフィド形成に対して影響がなかった(データ示さず)。
【0168】
まとめると、図1の結果は、1)トリスルフィド結合レベルはCysが存在するときに低下するが、CysのCys-Cysへの変換が許容される場合にトリスルフィド結合レベルは増加し得ること、2)細胞外抗体プールにおけるトリスルフィド形成にはFeが必要とされ、トリスルフィド形成はFe及びシスチン(Cys-Cys)の両方の存在下で有意に増加すること、ならびに3)培地1及び培地2の両方において観察された結果の類似性を考慮すると、トリスルフィド形成に対するFe及びシスチン(Cys-Cys)の効果は細胞培養培地に依存しないようであることを実証する。
【0169】
図1に示される結果はまた、シスチン(Cys-Cys)などのポリスルフィドが、硫黄移動して抗体中でトリスルフィド結合を生成するための硫黄プールとしての役割を果たし得ることも実証する。Feを有さない培地1+Cys中または培地1+Cys+Fe中で抗FluBをインキュベートしたとき、HSが、ヘッドスペースにおいて検出可能であった(データ示さず)。抗FluBを培地1+Cys+Fe中でインキュベートしたとき、より高いレベルのH2Sが検出された(データ示さず)。培地1+Cys-Cys+Fe中または培地1+Cys-Cys中で抗FluBをインキュベートしたとき、HS(g)は、ヘッドスペースにおいて検出不能であった(データ示さず)。1つの特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、そのような結果は、CysまたはCys+Feの存在がHS(g)の形成をもたらさず、したがって、ヘッドスペースにおけるHS(g)レベルが検出不能である場合ですら、トリスルフィド形成に寄与したことを示唆する。
【0170】
B.鉄及びBビタミンの非細胞効果
更なる一連の実験において、以下、(a)3mMのシスチン(Cys-Cys)、(b)35μMのFe、及び(c)Bビタミン(1.84μMのリボフラビン(ビタミンB2)、24.9μMのピリドキシン(ビタミンB6)、22.5μMの葉酸(ビタミンB9)、及び2.25μMのシアノコバラミン(ビタミンB12))の構成成分のうちの1つ以上を補充した培地1中で抗FluBを72時間インキュベートした。図2Aに示されるように、Cys-CysまたはCys-Cys+Bビタミンを補充した培地1中で抗FluBをインキュベートしたとき、トリスルフィド結合レベルは、著しい影響はなかった。Fe+Cys-CysまたはFe+Cys-Cys+Bビタミンを補充した培地1中で抗FluBをインキュベートしたとき、トリスルフィド結合レベルは著しく(すなわち、11%から約40%へと)増加したものの、トリスルフィド結合レベルは、無細胞系におけるB-ビタミンの存在下または不在下でおよそ同じであった。
【0171】
抗OX40抗体(すなわち、1%のトリスルフィドを含有する例示的なポリペプチド)を使用して、上述の実験を反復した。本実施例において使用された抗OX40抗体は、配列番号8に明記される重鎖可変ドメイン、及び配列番号9に明記される軽鎖可変ドメインを含む。配列番号8及び9を以下に提供する。抗OX40抗体に関する更なる詳細は、WO2015/153513に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列番号8:
EVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT DSYMSWVRQA PGQGLEWIGD MYPDNGDSSY NQKFRERVTI TRDTSTSTAY LELSSLRSED TAVYYCVLAP RWYFSVWGQG TLVTVSS
配列番号9:
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKLLIYY TSRLRSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ GHTLPPTFGQ GTKVEIK
【0172】
Cys-Cys、Fe、及びBビタミンを欠く培地1中での抗OX40 Abのインキュベーションは、トリスルフィド結合レベルに対して影響がなかった。図2Bを参照されたい。Fe+Bビタミンを含有する培地1中で抗OX40 Abをインキュベートしたときも、トリスルフィド結合レベルは未変化のままであった。Cys-CysまたはCys-Cys及びBビタミンの両方を補充した培地1中で抗OX40 Abをインキュベートしたとき、トリスルフィド結合レベルは、1%から約10~15%へと増加した。Fe+Cys-CysまたはFe+Cys-Cys+Bビタミンの両方を補充した培地1中で抗OX40 Abをインキュベートしたとき、トリスルフィド結合レベルは、著しく(すなわち、1%から約75%へと)増加した。ここでも、Bビタミンの存在は、トリスルフィド結合レベルに著しく影響を与えなかった。
【0173】
まとめると、図1ならびに2A及び2Bの結果は、1)培地中のFe及びシスチン(Cys-Cys)の存在が、無細胞系におけるポリペプチド中のトリスルフィド結合の形成に寄与すること、ならびに2)抗体を無細胞系においてインキュベートしたとき(以下に記載される細胞培養系において観察される効果とは対照的に)、Bビタミン(B2、B6、B9、及びB12)が、トリスルフィド結合レベルに著しいく影響を与えないことを実証する。
【0174】
実施例2:哺乳動物細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド形成に影響を及ぼす細胞培養培地構成成分
別の一連の実験を実行して、トリスルフィド結合レベルに対するシステイン(Cys)、シスチン(Cys-Cys)、鉄、及びBビタミンの効果を評価したが、今回は、これらの化合物が細胞培養環境においてどのような効果を有するかについて対処するするために、無細胞プロセスにおいてではなく、細胞培養プロセスにおいて実行した。
【0175】
A.細胞培養中のシステイン及びシスチンの効果
一組の細胞培養実験を実行して、培養中のトリスルフィド形成に対する、添加システイン(Cys)または添加シスチン(Cys-Cys)の効果を評価した。簡潔には、抗OX40 Abを産生するCHO細胞を、以下の表1に示される4つのプロトコルうちの1つに従って、2リットルの生物反応器内で14日間の実行にわたって培養した。
細胞消費及び生成は計算には考慮しない。
【0176】
産生細胞培養物の成長期を開始するために、CHO細胞をおよそ1.0×10個の細胞/mLで、1Lの基本培地を含有する2Lの撹拌生物反応器(Applikon,Foster City,CA)内に植え付けた。細胞を、3、6、及び9日目に1リットル当たり100mLの細胞培養流体(すなわち、プロトコル3及び4の場合)、または3日目の1リットル当たり200mLの細胞培養流体(すなわち、プロトコル1及び2の場合)のいずれかのバッチ供給物培地の添加によって、流加様式で培養した。バッチ供給物培地は、CysまたはCys-Cysは含有しなかった。表1に記載されるように、バッチ供給物培地を提供したのと同じ日に、CysまたはCys-Cysを、基本培地中の産生培養物に、原液(すなわち、10mLの450mMのCysまたは10mlの225mMのCys-Cys)からの補充を介して供給した。システインまたはシスチンは、全ての産生実行の全システインモノマー電位が同等に維持されるような量で供給した(すなわち、1×20%のバッチ供給物戦略または3×10%のバッチ供給物戦略のいずれかについて、2×システイン(Cys)濃度対1×シスチン(Cys-Cys))。
【0177】
グルコースの濃度を毎日分析し、グルコース濃度が3g/Lになったとき、500g/Lのグルコース原液を補充して、グルコース枯渇を防止した。反応器は、較正された溶解酸素、pH、及び温度プローブを備えた。空気及び/または酸素でのスパージングを通して、溶解酸素をオンラインで制御した。COまたはNaCOの添加を通して、pHを制御し、必要に応じて消泡剤を培養物に添加した。0~3日目まで、細胞培養物をpH7.0及び37℃の温度で維持し、3日目以降は33℃で維持した。細胞培養物を275rpmで撹拌し、溶解酸素レベルは酸素飽和の30%であった。オフライン測定のために、試料を毎日取得した。BioProfile FLEX Analyzer(Nova Biomedical,Waltham,MA)を使用して、オフライン浸透圧、pH、及び代謝物、生細胞密度(VCC)、細胞生存率を毎日測定し、約700×gで10分間の細胞懸濁液の遠心分離後の血中血球容積(PCV)もまた測定した。加えて、6日目~14日目まで上清試料を毎日取得して、タンパク質Aに基づくHPLC法を使用して産物濃度を決定した。上清試料を0、3、4、6、8、10、12、及び14日目に取得して、アミノ酸誘導体化法、その後RP-HPLC法を使用して細胞外アミノ酸濃度を決定した。
【0178】
7、10、及び14日目に各培養物から試料を取得し、上述のHILIC-CADを介して各時点での抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を決定した。図3に示されるように、トリスルフィド%は、プロトコル2及び4に従って培養した細胞によって産生される抗OX40 Ab中で最も高かった。プロトコル1に従って培養した細胞によって産生される抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、7日目~10日目の間に着実に増加し、その後、14日目の収集では約15%まで減少した。プロトコル3に従って培養した細胞によって産生された抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、7日目~10日目まで低いままであり、14日目の収集では約17.5%まで増加した。1つの特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、図3に示される結果は、細胞培養物産生プロセスにおいて、Cysが添加されるとき、Cys形態の使用はより低いトリスルフィド結合レベルをもたらすことを示唆する(非細胞機構)。培養終了時のトリスルフィド結合レベルの上昇は、トリスルフィドを低下させるための還元形態のシステインが残っていないことによるものである可能性が高く、結果として、Cys供給後の実行後期において、非細胞機構がトリスルフィド形成に向かうプロセスを駆動する。したがって、結果は、システインを細胞培養実行の初期に提供することが、収集されたポリペプチド中のより低いトリスルフィド結合レベルをもたらし得ることを示唆する。
【0179】
B.トリスルフィドを制御するためのシステイン/シスチン供給の最適化
追加の実験を実行して、産生細胞培養実行の基本培地中にのみ供給したときの、トリスルフィド形成に対するシステイン濃度の影響を評価した。抗OX40 Abを産生するCHO細胞を、14日間の産生細胞培養実行にわたって、2リットルの生物反応器内で培養した。基本培地に、(a)6mMのシステイン、(b)4.5mMのシステイン、または(c)3mMのシステインを補充した。これらの実験において、細胞培養物には、システインを欠くバッチ供給物培地を供給した。7、10、12、及び14日目に各培養物から試料を取得し、上述のHILIC-CADを介して各時点での抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を決定した。図4Aは、抗OX40 Ab中のトリスルフィド結合レベルが、産生培養の開始時のシステインの初期濃度に相関したことを実証する。3mMのシステインを含有する基本培地中で培養した細胞によって産生される抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、7日目~14日目まで着実に減少し、14日目には0%のトリスルフィドが収集された。図4Aを参照されたい。各培養物からの抗OX40 Ab収率は、同等であった。図4Bを参照されたい。まとめると、図4A及び4Bの結果は、基本培地中のシステイン濃度を最適化して、収集時点で、ポリペプチド収率に影響を与えずに、ポリペプチド中のトリスルフィド%が著しく低下する(または排除すらされる)条件を達成することができることを示す。1つの特定の理論によって拘束されることを意図するものではないが、そのような結果は、より低い濃度で細胞培養実行の初期に提供されると、システインは細胞によって消費され、故に分泌ポリペプチド中でのトリスルフィド結合形成をもたらす細胞外シスチンの形成を防止することを示唆する。
【0180】
C.鉄及びBビタミンレベルは、トリスルフィド結合レベルに影響を与える。
更なる実験を実行して、培養中のポリペプチド中のトリスルフィド形成に対する、Fe濃度及び/またはBビタミン(例えば、リボフラビン、ピリドキシン、葉酸、及びシアノコバラミン)濃度の効果を評価した。抗OX40 Abを産生するCHO細胞を、以下の表2に示される4つのプロトコルうちの1つに従って、2リットルの生物反応器内で14日間の産生細胞培養実行にわたって培養した。
基本培地中のBビタミン=1.84μMのビタミンB2、24.9μMのビタミンB6、22.5μMのビタミンB9、及び2.25μMのビタミンB12
**バッチ供給物培地中のBビタミン=12.5μMのビタミンB2、250μMのビタミンB6、150μMのビタミンB9、及び10μMのビタミンB12
【0181】
産生細胞培養物の成長期を開始するために、CHO細胞をおよそ1.0×10個の細胞/mLで、1Lの基本培地を含有する2Lの撹拌生物反応器(Applikon,Foster City,CA)内に植え付けた。溶解酸素、pH、温度、撹拌条件は、上述のものと同じであった。グルコース濃度、浸透圧、pH、代謝物濃度、生細胞密度(VCC)、細胞生存率、及びその後の濃縮細胞体積を、上述のように測定した。加えて、6日目~14日目まで上清試料を毎日取得して、タンパク質Aに基づくHPLC法を使用して産物濃度を決定した。上清試料を0、3、4、6、8、10、12、及び14日目に取得して、アミノ酸誘導体化法、その後RP-HPLC法を使用して細胞外アミノ酸濃度を決定した。
【0182】
7、10、12、及び14日目に各培養物から試料を取得し、上述のHILIC-CADを介して各時点での抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を決定した。図5Aに示されるように、トリスルフィド%は、プロトコルAに従って培養した細胞によって産生される抗OX40 Ab中で最も高かった。プロトコルCに従って培養した細胞によって産生される抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、7日目~14日目まで着実に減少し、14日目には0%のトリスルフィドが収集された。注目すべきことに、プロトコルBに従って培養した細胞によって産生された抗OX40 Ab中のトリスルフィド結合レベルは、約10%(7日目)から約5%(14日目)へと減少した。各培養物からの抗OX40 Ab収率は、同等であった。図5Bを参照されたい。
【0183】
図5Cは、各細胞培養物の終了時の培地中のシスチン(Cys-Cys)の残基濃度を示す。14日目に、プロトコルA及びBの培地中では高レベルのCys-Cysが測定された一方で、プロトコルCの培地中ではCys-Cysは検出されなかった。そのような結果は、プロトコルCにおいて使用された基本培地中の低濃度のCysが培養中に細胞によって完全に消費されたという事実、ならびにプロトコルA及びBにおいて基本培地中に提供された高濃度のCysが培養中に細胞によって完全には消費されず、故に、残りのCysのCys-Cysへの酸化をもたらしたという事実と一貫している。注目すべきことに、プロトコルBにおける14日目の高い残基Cys-Cysは、抗OX40 Ab中でトリスルフィド形成の増加をもたらさなかった。まとめると、これらの結果は、CysがCys-Cysに変換されるために、経時的に高いトリスルフィド結合レベルをもたらし得る条件である、高レベルのCysの存在下ですら、Bビタミン及びFe濃度を制御することによって、トリスルフィド結合レベルを低下させることができることを実証する。Bビタミン及びFe濃度を制御することによって、トリスルフィド結合レベルを、Cys-Cysに変換される残基Cysが最小で存在するように基本培地中のCys濃度を最適化することによって得られるレベルに類似したレベルまで、低下させることができる。
【0184】
D.細胞培養物中のBビタミン及び鉄の相対的効果
トリスルフィド形成に対するBビタミン及びFeの相対的寄与を決定するために、抗OX40 Abを産生するCHO細胞を、上述の条件下、1リットルの基本培地を含有する2リットルの生物反応器内で14日間の産生細胞培養にわたって培養し、以下の表3に示される4つのプロトコルのうちの1つに従って実行した。
基本培地中のBビタミン=1.84μMのビタミンB2、24.9μMのビタミンB6、22.5μMのビタミンB9、及び2.25μMのビタミンB12
**バッチ供給物培地中のBビタミン=12.5μMのビタミンB2、250μMのビタミンB6、150μMのビタミンB9、及び10μMのビタミンB12
***基本培地中またはバッチ供給物中にはシスチン(Cys-Cys)は提供されなかった
【0185】
10、12日目、及び14日目の収集時に抗OX40 Abの試料を取得し、上述のHILIC-CADを介して各試料の抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を決定した。図6に示されるように、トリスルフィド%は、プロトコルD(すなわち、低Fe、低Bビタミン)及びF(すなわち、高Fe及び低Bビタミン)に従って培養した細胞によって産生された、収集された抗OX40 Ab中で最も低かった。プロトコルDに従って産生された抗OX40 Abは、約17~20%のトリスルフィドを有し、プロトコルFに従って産生された抗OX40 Abは、約17~25%のトリスルフィドを有した。プロトコルG(すなわち、高Fe、高Bビタミン)に従って培養した細胞によって産生された抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、約45%~55%であった。図2A及び2Bに提示される結果とは対照的に、プロトコルE(すなわち、低Fe、高Bビタミン)に従って培養した細胞によって産生された抗OX40 Ab中のトリスルフィド%は、約35%~50%であった。10及び12日目に取得した試料中で、類似の結果が見られた(データ示さず)。Bビタミンが非細胞効果を有さないことを示す図2A及び2Bに示される結果とともにまとめると、図6に示される結果は、Bビタミンが、トリスルフィド結合の形成に著しく寄与し、細胞に関連する機構を通してそれを行うことを示す。
【0186】
実施例3:組み換え発現させたポリペプチドの収集前及び収集後の細胞培養流体を、還元剤及びキレート剤とともにインキュベートすることの、ポリペプチド中のトリスルフィド形成に対する効果
更なる実験を実行して、収集されたポリペプチド中のトリスルフィド結合形成を緩和する戦略を特定した。抗OX40 Abの収集された細胞培養流体(HCCF)を、以下の表4に概説される条件のうちの1つの下でインキュベートした。各条件を、温度、pH、及び溶解酸素(DO)について制御した。条件2及び3下では、システイン(すなわち、例示的な還元剤)を添加する30分前に、HCCFをEDTA(すなわち、例示的な金属キレート剤)とともにインキュベートした。混合物を各々4.5時間保持して、典型的な細胞培養物収集の期間をシミュレーションした。試料を15℃の水浴に移動させ、最大4日間(96時間)保持して、下流精製前の冷却保持時間をシミュレーションした。
【0187】
図7Aに示されるように、条件1におけるシステイン(Cys)のHCCFへの添加は、Cys添加の時間に対して測定される抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を、インキュベーションの最初の30分間以内に24%から2%へと減少させた。その後、トリスルフィド結合レベルは、33℃で4.5時間後に約11%まで上昇し、15℃で4日間保持した後に約21%まで着実に増加した。条件2下では、EDTAとともにインキュベートしたCysのHCCFへの添加は、抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を、33℃でのインキュベーションの最初の30分間以内に24%から1%未満まで減少させた。トリスルフィド結合レベルは、4日間の保持の終了時に約5%まで上昇した。条件3下では、EDTAとともにインキュベートしたCysのHCCFへの添加もまた、抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を、20℃でのインキュベーションの最初の30分間以内に24%から1%未満まで減少させた。トリスルフィド結合レベルは、20℃で4.5時間後に約2%まで上昇し、15℃で4日間保持した後に約4%まで更に上昇した。Cys及びEDTAのHCCFへの添加は、CE-SDSによる主要ピークのわずかな減少をもたらし、これは潜在的には、還元剤の添加による少量のタンパク質還元を示す。図7Bを参照されたい。
【0188】
類似の研究を、収集前の細胞培養流体(CCF)でも実行した。キレート剤ありまたはなしでCCFを約45分間インキュベートし、その後、温度、pH、及び溶解酸素(DO)を表5に概説されるように制御した条件下で還元剤ありまたはなしを補充した。この混合物を4.5時間保持し、その後、遠心分離し、濾過して、細胞を除去した。細胞を除去した後、試料を15℃で最大4日間(96時間)保持した。
【0189】
図8A及び8Bに示されるように、還元剤またはキレート剤を補充しなかったCCF(すなわち、条件A)中のトリスルフィド結合レベルは、高いままであった(約35%)。Cys単独のCCFへの添加(すなわち、条件B)は、抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を、インキュベーションの最初の30分間以内に37%から6%まで減少させた。その後、トリスルフィド結合レベルは、33℃で4.5時間後に約4%まで上昇し、15℃で4日間の保持終了時に収集後の約13%まで着実に増加した。Cys、及びEDTA、NTS、EDDS、またはクエン酸塩のうちのいずれか1つの、CCFへの添加(すなわち、条件C、D、E、及びF)もまた、抗OX40 Ab中のトリスルフィド%を、インキュベーションの最初の30分間以内に約30~40%から3%以下へと減少させた。その後、33℃で4.5時間インキュベートする間、及び収集後に15℃で4日間保持した後、トリスルフィド結合レベルは低く、すなわち、5%またはそれ未満に留まった。
【0190】
まとめると、図7及び8に示される結果は、還元剤の添加がHCCFまたはCCF中のポリペプチド中のトリスルフィド%を減少させること、及びキレート剤の添加が低いトリスルフィド結合レベルの維持に必要とされることを実証する。更に、トリスルフィド結合レベルの減少は、著しいタンパク質低下を伴わない。
【0191】
実施例4:ポリペプチド産生中のトリスルフィド形成に対するヒポタウリンの効果
産生中の組み換えポリペプチド中でのトリスルフィド形成に対するヒポタウリンの効果を試験するために、抗体産物を産生するCHO細胞培養物を、高いトリスルフィド結合レベル(すなわち、25%~45%のトリスルフィド)を有するポリペプチドを生成することが知られるプロセスで実行した。細胞は、単一の接種材料系列から供給され、4つの同型産生培養物を植え付けるのに使用した。3つの培養を、ヒポタウリンを有さない対照条件下で実行した。残りの培養物は、基本培地中に1g/Lのヒポタウリンを含んだ。全ての他の培地/溶液添加及びプロセスパラメータは、4つ全ての培養物について同じであった。細胞成長は、著しく影響されないようであったが、生存率は、ヒポタウリンを含む条件について、培養の終了時により良好に維持された(データ示さず)。最終収集された産物中のトリスルフィド結合レベルは、対照条件の39.9±2.7%に対して、ヒポタウリンを含む培養物(2.2%)について著しくより低かった。図9を参照されたい。
【0192】
実施例5:ポリペプチド産生中のトリスルフィド形成に対する、硫黄代謝において重要な役割を果たすアミノ酸の効果
産生中の組み換えポリペプチド中のトリスルフィド形成に対するメチオニン及びシステインの効果を評価するために、以下の表6に示されるプロトコルのうちの1つに従う14日間の産生細胞培養実行にわたって、37℃及び7%のCOの振盪24ウェルの深プレート中、自動化ロボット細胞培養システムによって、BsAb1を産生するCHO細胞を培養した(接種材料=6×10個の生細胞/ml)(RTE=微量元素溶液、Cys量は1つ目が培地であり、2つ目が供給物である)。3、6、及び9日目、10%の培養体積で培養物に10mMのメチオニンを供給した。合計36の条件を試験した。
●「-1」として与えられるSerの濃度=1:7.64mMであり、「1」として与えられるSerの濃度=4.5mMである。
●「-1」として与えられるMetの濃度=1.58mMであり、「1」として与えられるMetの濃度=2.25mMである。
●Cys濃度は(培地、供給物)として与えられ、培地濃度は3mMまたは7.5mMであり、供給物濃度は15mMまたは0mMである。
●RTE=微量元素溶液である。
【0193】
ロボット結果に基づいて、トリスルフィド結合レベル低下に対するメチオニン及びセリンの影響の選別パラメータ推定値を、Software JMPで計算した。図10は、トリスルフィド低下に対するメチオニン濃度低下の著しい影響を示す、予測プロファイラを提供する。(計算はロボット結果に基づく)。セリン濃度は、BsAb1中ではトリスルフィド低下の効果を有するとは見出されなかった。
【0194】
次に、BsAb1を産生するCHO細胞を、以下の表7に以下に示される2つのプロトコルうちの1つに従って、上述の条件下、2リットルの生物反応器内で培養した。
【0195】
pH対照について、培地中の炭酸塩緩衝液系、COガス処理、及び1MのNaHCO溶液を使用した。3段階の通気速度、撹拌機速度、及び酸素ガス処理カスケードを使用して、pOを制御した。
【0196】
プロトコルIにおいて、硫黄含有アミノ酸であるシステイン及びメチオニンを基本培地から省略し、システインを供給物培地から省略し、セリン濃度を増加させて、システインの欠如を代償した。図11に示されるように、硫黄含有アミノ酸の省略は、収集時、BsAb1中のノブ・アンド・ホール領域において、トリスルフィドのレベルの96%の(すなわち、12.5%から0.5%への)減少をもたらした。そのような結果は、両方の自動化細胞培養系において観察された結果と一貫していた。
【0197】
次に、以下の表8に提供される2つのプロトコルのうちの1つに従って、BsAb1を発現するCHO細胞を上述のように培養した。
*プロトコルJ及びKにおいて細胞を成長させた培地は、プロトコルH及びIにおいて使用した培地とは異なった。
【0198】
図10に示されるように、基本培地中のメチオニン濃度の減少は、収集時、BsAb1中のノブ・アンド・ホール領域において、トリスルフィドのレベルの17.4%の(すなわち、4.6%から3.8%への)減少をもたらした。そのような結果は、自動化細胞培養系において観察された結果と一貫していた。
【0199】
実施例6:哺乳動物細胞によって産生されるポリペプチド中のトリスルフィド形成に対するBビタミンレベルの相対的効果
第2の哺乳動物細胞株によって産生されるポリペプチドへのトリスルフィド形成に対するBビタミンの相対的寄与を評価するために、以下の表9に示される2つのプロトコルのうちの1つに従って、抗体を産生するCHO細胞を、1.2リットルの基本培地を含有する2リットルの生物反応器内で14日間の産生細胞培養実行にわたって培養した。
【0200】
産生細胞培養物の成長期を開始するために、CHO細胞をおよそ1.0×10個の細胞/mLで、1.2Lの基本培地を含有する2Lの撹拌生物反応器(Sartorius,Goettingen,Germany)内に植え付けた。細胞を、3、6、及び9日目の1リットル当たり100mLのいずれかの細胞培養流体のバッチ供給物培地の添加によって、流加様式で培養した。バッチ供給物培地は、CysまたはCys-Cysは含有しなかった。6mMのCysを、基本培地中の産生培養物に供給した。
【0201】
グルコースの濃度を毎日分析し、グルコース濃度が3g/Lになったとき、500g/Lのグルコース原液を補充して、グルコース枯渇を防止した。反応器は、較正された溶解酸素、pH、及び温度プローブを備えた。空気及び/または酸素でのスパージングを通して、溶解酸素をオンラインで制御した。COまたはNaCOの添加を通して、pHを制御した。細胞培養物をpH7.0及び37℃の温度で維持した。細胞培養物を233rpmで撹拌し、溶解酸素レベルは酸素飽和の30%であった。14日目に試料を取得し、抗体中のトリスルフィド%を決定した
【0202】
図12に示されるように、バッチ供給物培地からBビタミンを省略することによる培養物中のBビタミン濃度の減少は、87.5%の(すなわち、26.79%から3.34%まで)トリスルフィド濃度の著しい低下をもたらす。結果は、各設定での2回の実行(生物学的二連)で一貫している。
【0203】
前述の実施例は、例証目的のために提供されているにすぎず、決して本発明の範囲を限定することは意図されない。本明細書に示され、記載される修正に加えて、本発明の様々な修正が前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023027081000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の一の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0203
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0203】
前述の実施例は、例証目的のために提供されているにすぎず、決して本発明の範囲を限定することは意図されない。本明細書に示され、記載される修正に加えて、本発明の様々な修正が前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に含まれる。

<配列表>

SEQUENCE LISTING

<110> GAWLITZEK, Martin
MARKERT, Sven
POPP, Oliver
SHIRATORI, Masaru Ken
TROEBS, Thomas
WUU, Jessica

<120> METHODS OF DECREASING TRISULFIDE BONDS
DURING RECOMBINANT PRODUCTION OF POLYPEPTIDES


<130> 146392036540

<140> Not Yet Assigned
<141> Concurrently Herewith

<150> US 62/334,433
<151> 2016-05-10

<160> 32

<170> FastSEQ for Windows Version 4.0

<210> 1
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Glu


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Tyr Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
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Gly Asp Met Tyr Pro Asp Asn Gly Asp Ser Ser Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Arg Glu Arg Val Thr Ile Thr Arg Asp Thr Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Val Leu Ala Pro Arg Trp Tyr Phe Ser Val Trp Gly Gln Gly Thr Leu
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Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Tyr Thr Ser Arg Leu Arg Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
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Val Ile Asn Pro Gly Ser Gly Asp Thr Tyr Tyr Ser Glu Lys Phe Lys
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Gly


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Leu Ile Glu Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Val Ile Asn Pro Gly Ser Gly Asp Thr Tyr Tyr Ser Glu Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Arg Asp Thr Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Ala Arg Asp Arg Leu Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val
100 105 110
Ser Ser


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<220>
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Ile Val Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
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<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 18
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Lys Ala Ser Ala Ala Val Gly Thr Tyr
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Tyr Arg Lys Arg Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys His Gln Tyr Tyr Thr Tyr Pro Leu
85 90 95
Phe Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala
100 105 110
Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser
115 120 125
Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu
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Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser
145 150 155 160
Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu
165 170 175
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Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys
195 200 205
Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215

<210> 19
<211> 214
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 19
Gln Ala Val Val Thr Gln Glu Pro Ser Leu Thr Val Ser Pro Gly Gly
1 5 10 15
Thr Val Thr Leu Thr Cys Gly Ser Ser Thr Gly Ala Val Thr Thr Ser
20 25 30
Asn Tyr Ala Asn Trp Val Gln Glu Lys Pro Gly Gln Ala Phe Arg Gly
35 40 45
Leu Ile Gly Gly Thr Asn Lys Arg Ala Pro Gly Thr Pro Ala Arg Phe
50 55 60
Ser Gly Ser Leu Leu Gly Gly Lys Ala Ala Leu Thr Leu Ser Gly Ala
65 70 75 80
Gln Pro Glu Asp Glu Ala Glu Tyr Tyr Cys Ala Leu Trp Tyr Ser Asn
85 90 95
Leu Trp Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Ser Ser Ala
100 105 110
Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser
115 120 125
Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe
130 135 140
Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly
145 150 155 160
Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu
165 170 175
Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr
180 185 190
Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys
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Val Glu Pro Lys Ser Cys
210

<210> 20
<211> 694
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 20
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Glu Phe
20 25 30
Gly Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Thr Lys Thr Gly Glu Ala Thr Tyr Val Glu Glu Phe
50 55 60
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65 70 75 80
Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Ala Arg Trp Asp Phe Ala Tyr Tyr Val Glu Ala Met Asp Tyr Trp Gly
100 105 110
Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser
115 120 125
Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala
130 135 140
Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val
145 150 155 160
Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala
165 170 175
Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val
180 185 190
Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His
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Asp Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Glu Val Gln Leu Leu
225 230 235 240
Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly Ser Leu Arg Leu Ser
245 250 255
Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Thr Tyr Ala Met Asn Trp Val
260 265 270
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275 280 285
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305 310 315 320
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340 345 350
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Val Ala Ala Pro Ser Val
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370 375 380
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385 390 395 400
Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val
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435 440 445
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450 455 460
Gly Glu Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu
465 470 475 480
Ala Ala Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp
485 490 495
Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp
500 505 510
Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly
515 520 525
Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn
530 535 540
Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp
545 550 555 560
Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly
565 570 575
Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu
580 585 590
Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Cys Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn
595 600 605
Gln Val Ser Leu Trp Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile
610 615 620
Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr
625 630 635 640
Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys
645 650 655
Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys
660 665 670
Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu
675 680 685
Ser Leu Ser Pro Gly Lys
690

<210> 21
<211> 451
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 21
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Glu Phe
20 25 30
Gly Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Thr Lys Thr Gly Glu Ala Thr Tyr Val Glu Glu Phe
50 55 60
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65 70 75 80
Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Ala Arg Trp Asp Phe Ala Tyr Tyr Val Glu Ala Met Asp Tyr Trp Gly
100 105 110
Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser
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130 135 140
Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val
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Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala
165 170 175
Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val
180 185 190
Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His
195 200 205
Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys
210 215 220
Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Ala Ala Gly
225 230 235 240
Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met
245 250 255
Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His
260 265 270
Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val
275 280 285
His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr
290 295 300
Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly
305 310 315 320
Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Gly Ala Pro Ile
325 330 335
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340 345 350
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355 360 365
Leu Ser Cys Ala Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu
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Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro
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435 440 445
Pro Gly Lys
450

<210> 22
<211> 453
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 22
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Tyr Asp Phe Thr His Tyr
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Gly Trp Ile Asn Thr Tyr Thr Gly Glu Pro Thr Tyr Ala Ala Asp Phe
50 55 60
Lys Arg Arg Phe Thr Phe Ser Leu Asp Thr Ser Lys Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Lys Tyr Pro Tyr Tyr Tyr Gly Thr Ser His Trp Tyr Phe Asp Val
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Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly
115 120 125
Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly
130 135 140
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195 200 205
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Gly


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<400> 32
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100 105 110
【外国語明細書】