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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027196
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】放音装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20230221BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20230221BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H04R1/28 310B
H04R7/04
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195764
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2021553654の分割
【原出願日】2020-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2019199229
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019199230
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】大泉 好史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目的の方向以外に回り込みやすい低音成分を低減し、従来よりも音の漏れを防ぐ放音装置を提供する。
【解決手段】パーティション10および平面スピーカ3を備えている放音装置において、平面スピーカ3は、静電型のスピーカユニットである振動ユニット30と、ヘルムホルツ共鳴器を構成するポート32を有するスピーカユニットのエンクロージャ31と、を備える。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frは、スピーカユニットの再生可能下限周波数Fmin以上に設定される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、
ヘルムホルツ共鳴器を構成する開口部を有する前記スピーカユニットのエンクロージャと、
を備え、
前記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frは、前記スピーカユニットの再生可能下限周波数Fmin以上に設定される放音装置。
【請求項2】
前記エンクロージャの容積V、前記開口部の面積S、前記エンクロージャの板厚Lが音速Cを含む数式を満たす、請求項1に記載の放音装置。
数式(A):Fr=(c/2π)・(S/VL)1/2
【請求項3】
前記エンクロージャの幅Aと、前記共鳴周波数Frに対応する音波の波長入が数式(B)を満たす、請求項1または請求項2に記載の放音装置。
数式(B):A≧0.25λ
【請求項4】
前記エンクロージャの幅Aと、前記共鳴周波数Frに対応する音波の波長入が数式(C)を満たす、請求項1または請求項2に記載の放音装置。
数式(C):A≧0.5λ
【請求項5】
前記開口部は、前記スピーカユニットの放音方向と交差する方向で、前記放音方向と反対方向以外の方向に向けられている、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項6】
前記開口部は、前記スピーカユニットの放音方向と同じ方向に向けられている、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項7】
前記スピーカユニットは、平面スピーカである、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項8】
前記エンクロージャの外部に共鳴管をさらに備える、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項9】
前記エンクロージャの内部に吸音材をさらに備える、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項10】
前記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frが前記吸音材の有効下限周波数以下である、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項11】
前記スピーカユニットと前記エンクロージャとが緩衝材を介して接続される、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項12】
前記指向性スピーカの指向性の範囲外に設けられたマイクを備える、
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項13】
前記マイクで収音した音の音量に応じて前記指向性スピーカに供給する音信号の音量または周波数特性を調整する信号処理部を備える、
請求項12に記載の放音装置。
【請求項14】
前記信号処理部は、前記指向性スピーカの定位感を低減する定位感低減処理を行なう、
請求項13に記載の放音装置。
【請求項15】
前記エンクロージャを配置するための壁面を有するパーティションをさらに備える請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の放音装置。
【請求項16】
前記壁面の一部が前記エンクロージャを構成する、
請求項15に記載の放音装置。
【請求項17】
前記パーティションは、
前記壁面を含む板材と、
前記板材を支持し、前記板材の移動を補助する補助具と、
をさらに備える、
請求項15または請求項16に記載の放音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、指向性スピーカを備える放音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘルムホルツ共鳴器の一例としてバスレフポートを備えたスピーカ構造が開示されている。また、特許文献2には、コールセンタまたはオフィス等の環境で簡易なパーティションを用いて秘守性を高めたハンズフリー通話システムが開示されている。特許文献2のハンズフリー通話システムでは、平面スピーカの放音方向に対して離間した位置に、吸音パネルを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-114934号公報
【特許文献2】特開2010-091777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヘルムホルツ共鳴器は、低音成分を増強するためのバスレフポートである。特許文献2における平面スピーカの放音方向は、パーティションで囲まれる個々の空間から外に向かっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、放音装置は、スピーカユニットと、ヘルムホルツ共鳴器を構成する開口部を有する前記スピーカユニットのエンクロージャと、を備え、前記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frは、前記スピーカユニットの再生可能下限周波数Fmin以上に設定される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、放音装置において、目的の方向以外に回り込みやすい低音成分を低減し、従来よりも音の漏れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】放音装置1を示す斜視図である。
図2】放音装置1の平面図である。
図3】放音装置1の正面図である。
図4】放音装置1の正面図である。
図5】平面スピーカ3の構造を示す横断面図である。
図6】平面スピーカ3の構成を示すブロック図である。
図7】共鳴周波数Frと、振動ユニット30の再生可能下限周波数Fminとの関係を示す図である。
図8】正面にポート32を備える例を示す断面図である。
図9】パーティション10の一部がエンクロージャを兼ねる場合の断面図である。
図10】エンクロージャ31の背面に共鳴管501を備えた場合の断面図である。
図11】共鳴管501の変形例を示す断面図である。
図12】複数の平面スピーカ3を備える放音装置1Aの正面図である。
図13】天面に平面スピーカ3を備える放音装置1Bの構成を示す斜視図である。
図14】ディスプレイ5およびマイク7を備える場合の放音装置1Cの構成を示す斜視図である。
図15】放音装置1Cの正面図である。
図16】ユーザが座ってパーソナルコンピュータ(PC)9を操作する場合の放音装置1Cの正面図である。
図17】移動を補助する補助具であるキャスター110を備えた放音装置1Eの斜視図である。
図18】マスキング音を出力する場合の構成を示す正面図である。
図19】両面に平面スピーカ3を備えた放音装置1Fを半個室に適用した場合の正面図である。
図20】マイク(マイク7またはPC9のマイク)で収音した音信号に基づいて信号処理を行なう平面スピーカ3の構成を示すブロック図である。
図21】周波数500Hz帯域(1/1オクターブバンド)での音圧測定結果を示した図である。
図22】周波数1kHz帯域(1/1オクターブバンド)での音圧測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態の放音装置1を示す斜視図である。図2は、平面図である。図3および図4は、正面図である。
【0009】
放音装置1は、パーティション10および平面スピーカ3を備えている。パーティション10は、本発明の音響遮蔽部である壁面を構成するための板材の一例である。平面スピーカ3は、本発明の指向性スピーカの一例である。
【0010】
パーティション10は、半個室を規定するための部材である。半個室は、一部が音響的に開放され、一部が音響的に遮蔽された音響遮蔽部を有する。パーティション10の壁面は、半個室のうち、当該音響遮蔽部を構成する。パーティション10の壁面は、半個室の右側面、左側面、および背面の3箇所で音響遮蔽部を構成する。半個室の正面および天面は音響的に開放されている。
【0011】
図1図2、および図3の例では、パーティション10は、3つの部材からなる。3つの部材のうち半個室の右側面および左側面を構成する2つのパーティション10は、互いに向かい合っている。3つの部材のうち残り1つは、半個室の背面に配置される。ただし、パーティション10は、3つの部材からなる必要はない。パーティション10は、互いに対向する部分を有していればよい。例えば、パーティション10は、一体型であってもよい。また、パーティション10の壁面は、平面であっても曲面であってもよい。
【0012】
平面スピーカ3は、パーティション10の壁面に配置されている。平面スピーカ3の放音方向は、当該平面スピーカ3の設置された壁面に対向する部分に向いている。すなわち、平面スピーカ3の放音方向は、音響遮蔽部に向いている。
【0013】
さらに、図3に示すように、平面スピーカ3は、ユーザの頭部の位置を含む所定範囲に音を出力する。例えば、平面スピーカ3は、床からの所定の高さの所定の範囲に音を出力する。一例として、ユーザは、図3に示すように、平面スピーカ3の音を立って聞く。図4に示すように椅子に座って聞く場合には、壁面に対する平面スピーカ3の上下方向の取付位置を低くすればよい。また、図2に示す様に、平面視した平面スピーカ3の幅は、パーティション10の幅(平面視長手方向の長さ)と略同一である。なお、平面スピーカ3の幅とは、平面スピーカ3を平面視した長手方向の長さのうち振動ユニットの配置された部分の幅Aに対応する。したがって、ユーザは、半個室内のどの位置にいても、平面スピーカ3の出力する音を聞くことができる。ただし、本発明において、平面スピーカ3の幅は、パーティション10の幅より短くてもよい。なお、略同一とは、完全に同一ではなく、実質的に同一であることを含む。略同一とは、半個室内のどの位置にいても平面スピーカ3の出力する音を聞くことができるという効果を発揮する範囲において、平面スピーカ3の幅がパーティション10の幅よりわずかに短いものも含む。
【0014】
平面スピーカ3は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置(不図示)に接続される。平面スピーカ3は、情報処理装置から音信号を受信する。平面スピーカ3は、当該音信号を再生して、音を出力する。これにより、ユーザは、例えばコンテンツの音を聴くことができる。また、情報処理装置は、例えばネットワークを介して遠隔地の情報処理装置に接続してもよい。情報処理装置は、遠隔地から音信号を受信する。これにより、ユーザは、ネットワークを介して接続された遠隔地のユーザの音声を聞くことができる。
【0015】
平面スピーカ3は、厚みの薄い平板状のスピーカである。平面スピーカ3は、通常のコーンスピーカが球面状に音波を出力するのに比べて、平面状の音波を出力する。平面スピーカ3は、該平面スピーカ3の正面方向(主面の法線方向)に強い指向性を有する音を出力する。例えば、平面スピーカ3が静電型のスピーカである場合、再生可能下限周波数Fminは、80Hz~250Hz程度である(再生可能下限周波数は、図7を用いて後述する)。
【0016】
これにより、平面スピーカ3の出力する音は、半個室内に収められる。パーティション10の高さは、平面スピーカ3の高さよりも十分に長い。そのため、平面スピーカ3から出力する音は、上下方向に回り込んで半個室から漏れることはない。特に、下方向の音は、床により完全に遮音される。
【0017】
平面スピーカ3の左右方向の幅は、パーティション10の幅と同じ程度である。そのため、平面スピーカ3から出力した音は、上下方向よりも左右方向の幅方向に回り込みやすい。しかし、後述するように、平面スピーカ3は、エンクロージャの構造により、左右方向に対する回り込みをさらに低減する。
【0018】
これにより、放音装置1は、半個室からの音の漏れを防ぐことができる。半個室の外にいる人は、平面スピーカ3から出力される音を聞くことがない。放音装置1のユーザは、音の漏れを気にせずに、コンテンツの音を聴く、あるいは遠隔地のユーザの会話音を聞くことができる。また、半個室の外にいる人も、半個室からの音が気にならない。
【0019】
図5は、平面スピーカ3の構造を示す横断面図である。図6は、平面スピーカ3の構成を示すブロック図である。平面スピーカ3は、振動ユニット30、エンクロージャ31、ポート32、および吸音材35を備えている。また、平面スピーカ3は、ハードウェア構成として、入力部301、信号処理部302、増幅部303、および駆動部304を備えている。
【0020】
入力部301は、アナログオーディオI/F、デジタルオーディオI/F、またはUSB等の通信I/Fを備える。入力部301は、情報処理装置から音信号を受信する。信号処理部302は、入力部301で受信した音信号に信号処理を施す。例えば、信号処理部302は、音信号のレベル制御または周波数特性の調整を行う。なお、信号処理部302は、入力部301でアナログ音信号を受信した場合に、デジタル音信号に変換してから信号処理を行う。信号処理部302は、信号処理を行なった後の音信号をアナログ音信号に変換し、増幅部303に出力する。
【0021】
増幅部303は、信号処理部302で信号処理された後の音信号を増幅する。駆動部304は、増幅部303で増幅された音信号に基づいて、振動ユニット30を駆動する。
【0022】
振動ユニット30は、一例として静電型のスピーカユニットである。振動ユニット30は、シート状の振動板30Cを2つの固定電極30A,30Bの間に挟みこんだ構造になっている。駆動部304は、固定電極30A、固定電極30B、および振動板30Cに電圧を印加することで、静電力を生じさせる。駆動部304は、固定電極30Aおよび固定電極30Bへの印加電圧を変化させることで静電力を変化させる。駆動部304は、静電力の変化により振動板30Cを振動させる。これにより、平面スピーカ3は、平面状の音波を出力する。
【0023】
エンクロージャ31は、振動ユニット30を配置するための開口を有し、奥行き方向に高さを有する直方体の箱形状である。具体的には、エンクロージャ31は、前面の前記開口で振動ユニット30の外周部を挟み込む。なお、エンクロージャ31は、ゴム、発泡剤、または綿状部材等の緩衝材を介して振動ユニット30を挟み込むことが好ましい。振動ユニット30は、エンクロージャ31の正面方向(エンクロージャ31外への向き)および背面方向(エンクロージャ31内への向き)に、それぞれ逆位相の音を出力する。エンクロージャ31は、背面方向に出力される音を内部に閉じ込める。
【0024】
図5の例では、エンクロージャ31は、内部に吸音材35を備える。吸音材35は、振動ユニット30の背面方向から出力される音のうち所定周波数帯域以上の音を吸収する。これにより、吸音材35は、所定周波数帯域以上におけるエンクロージャ31の壁面の振動、反射波、および定常波の発生を防止する。なお、吸音材35は、本発明において必須の構成ではない。
【0025】
エンクロージャ31は、側面にポート32を構成するための開口を有する。ポート32は、平面スピーカ3の上下方向に細長い形状になっている。ポート32は、エンクロージャ31の壁面の板厚を管軸方向の長さLとするヘルムホルツ共鳴器を構成する。
【0026】
ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frは、エンクロージャ31の容積をV、音速をc、管軸方向の長さ(エンクロージャ31の壁面の板厚)をL、ポート32の断面積をSとすると、数式(A):Fr=(c/2π)・(S/VL)1/2で表される。ポート32の断面積Sが大きく、エンクロージャ31の容積Vが小さく、かつエンクロージャ31の厚みLが薄いほど、共鳴周波数Frは高くなる。エンクロージャ31の容積Vは、振動ユニット30のある面の面積をHwとし、エンクロージャ31の奥行き(図5の左右方向の長さ)をdとすると、V=Hw・dで表される。また、エンクロージャ31のうち振動ユニット30のある面の幅をA(図2および図5に示す幅A)、エンクロージャ31の高さ(正面視した上下方向の長さ)をHとすると、面積Hwは、Hw=A・Hで表される。
【0027】
本実施形態のヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数Frは、一般的なバスレフポートと異なり、高い周波数に設定する。以下、図7を用いて、共鳴周波数Frを、振動ユニット30の再生可能下限周波数Fmin以上に設定する点について述べる。
【0028】
図7は、共鳴周波数Frと、振動ユニット30の再生可能下限周波数Fminとの関係を示す図である。グラフの横軸は周波数であり、縦軸はレベルである。
【0029】
再生可能下限周波数Fminは、例えば、ピークレベルに対して-10dBとなる周波数である。振動ユニット30の面積が1m(A0サイズ相当)である場合、ピークレベルに対して-10dBを示す周波数は、約80Hzである。振動ユニット30の面積がA4サイズ相当である場合、ピークレベルに対して-10dBを示す周波数は、約250Hzである。なお、再生可能下限周波数Fminは、ピークレベルに対して-10dBとなる周波数に限らない。例えば、ピークレベルに対して-6dBとなる周波数であってもよい。
【0030】
図7に示すように、共鳴周波数Frおよび再生可能下限周波数Fminは、数式(B):Fr≧Fminの関係を有する。ポート32は、共鳴周波数Fr以下の低周波数帯域では、振動ユニット30の背面方向に出力される音をそのまま出力する。振動ユニット30の背面方向に出力する音は、正面方向に出力する音の逆位相である。したがって、ポート32は、共鳴周波数Fr以下の低周波数帯域で、逆位相の音を出力する。これにより、振動ユニット30の正面方向から側面に回り込む音のうち、再生可能下限周波数Fmin~共鳴周波数Frの音は、ポート32から出力される逆位相の音によりキャンセルされる。また、再生可能下限周波数Fmin以下の周波数の音は有効なレベルでは出力されない。
【0031】
これにより、振動ユニット30の正面方向に出力した音は、仮に側面に回り込んだとしても、ポート32からの逆位相の音によりキャンセルされる。したがって、放音装置1は、音の漏れを防ぐことができる。
【0032】
共鳴周波数Frを高く設定するほど、側面に回り込む音を高い周波数までキャンセルできるため、共鳴周波数Frは、構造的に可能な範囲で高く設定することが好ましい。なお、エンクロージャ31は、薄く、かつ遮音量の大きい材料を用いることが好ましい。例えば、エンクロージャ31は、厚みに対する面密度が大きく、剛性の高い金属部材を用いることが好ましい。
【0033】
ただし、振動ユニット30の背面方向に出力される音のうち高周波数帯域の音は、吸音材35により吸音される。したがって、エンクロージャ31に吸音材35を充填する場合、共鳴周波数Frと、吸音材35の有効下限周波数との関係は、吸音材35の有効下限周波数以下を共鳴周波数Fr~再生可能下限周波数Fminで低減するように設定するのが良い。これにより、放音装置1は、広い周波数帯域で音漏れに対処することができる。例えば、有効下限周波数1.5kHzのウレタンフォームの場合、共鳴周波数Frは、1.5kHz付近に設定するのが良く、また、有効下限周波数500Hzのグラスウールの場合、共鳴周波数Frは、500Hz付近に設定するのがよい。なお、有効下限周波数は、背後空気層を含めた吸音材の厚み(前後方向の長さ)で決まる。吸音材の厚みの4倍の長さに対応する周波数が、有効下限周波数に対応する。言い換えると、吸音材の厚さは、吸音したい音波の波長の0.25倍に対応する。
【0034】
なお、図2および図5に示すエンクロージャ31の幅Aは、振動ユニット30の正面方向に出力される音波が背面方向に回り込みにくいように、共鳴周波数Frに対応する音波の波長に対して、ある程度の長さを備えることが好ましい。エンクロージャ31の背面は、振動ユニット30の背面方向に出力される音により振動する。しかし、共鳴周波数Fr以下の音は、ポート32からそのまま出力されるため、エンクロージャ31の内部の音圧が高くならない。そのため、共鳴周波数Fr以下の音は、背面を振動させにくい。したがって、エンクロージャ31の背面の幅Aは、共鳴周波数Frに対応する音波の波長λに対してある程度の長さを備えることが好ましい。理論的には、振動ユニット30の正面方向に出力される音波が背面側に回り込まないために、音波がエンクロージャ31を迂回することによる経路差として0.5λ以上あればよい。そのため、エンクロージャ31そのものを遮音壁とした場合に、振動ユニット30の正面方向に出力される音の回り込みを防止すべく、少なくとも数式(C):A≧0.25λを満たすことが好ましい。また、幅Aおよび共鳴周波数Frは、数式(D)A≧0.5λの関係を満たすことがより好ましい。
【0035】
図21および図22は、音圧測定結果を示した図である。図21および図22に示す音圧測定結果は、平面スピーカ3の正面方向を0°とし、背面方向を180°とした場合に、正面方向の0°での音圧値を基準(0dB)として、30°毎の音圧値(相対値)を示す。
【0036】
図21および図22における測定時のエンクロージャ31の幅Aは、230mmである。図21は、音波の周波数約500Hz帯域(1/1オクターブバンド)(波長約680mm帯域)での測定結果であり、図22は、音波の周波数約1kHz帯域(1/1オクターブバンド)(波長約340mm帯域)での測定結果である。図21および図22に示す実線は、エンクロージャ31がポート32を備えた場合の測定結果である。破線は、参考例としてエンクロージャ31がポート32を備えていない場合の測定結果である。
【0037】
図21の例では、波長λ=680mmに対して、エンクロージャ31の幅Aは230mmである。すなわち、A≧0.5λの関係を満たしていない。この場合、正面側から背面側に回り込む音波の影響が大きいためエンクロージャ31のポート32の有無に関わらず、背面方向における音圧値は変わらない。すなわち、A≧0.5λの関係を満たしていない場合、ポート32による、背面方向への音波を抑制する効果は、発揮できていない。
【0038】
これに対し、図22の例では、波長λ=340mmに対して、エンクロージャ31の幅Aが230mmである。すなわち、A≧0.5λの関係を満たしている。図22の例では、エンクロージャ31がポート32を備えている場合、ポート32を備えていない場合よりも、背面方向の音圧値が低下する。すなわち、A≧0.5λの関係を満たしている場合、ポート32により、背面方向への音波を抑制する効果を発揮することがわかる。
【0039】
これにより、エンクロージャ31は、背面の振動による背面方向に対する音の出力を抑制する。
【0040】
なお、ポート32の位置は、エンクロージャ31の側面に限らない。図8は、正面にポート32を備える例を示す断面図である。図8に示すエンクロージャ31は、振動ユニット30の幅よりも長い幅を有する。エンクロージャ31は、正面側の左右にポート32を備えている。この場合、振動ユニット30の正面方向に出力され、側面に回り込もうとする音は、エンクロージャ31の正面に設けられたポート32から出力される逆位相の音でキャンセルされる。すなわち、ポート32を構成する開口部は、スピーカユニットの放音方向と交差する方向で、放音方向と反対方向以外の方向に向けられているか、あるいは、スピーカユニットの放音方向と同じ方向に向けられている。
【0041】
なお、パーティション10の一部は、エンクロージャを兼ねていてもよい。図9は、パーティション10の一部がエンクロージャを兼ねる場合の断面図である。この場合、エンクロージャ31は、パーティション10に内包されている。これにより、放音装置1は、平面スピーカ3の正面方向の張り出しを抑える。したがって、放音装置1は、厚みの薄い、デザイン性に優れたものとなる。
【0042】
また、平面スピーカ3は、音響的に開放されたメッシュまたはパンチングメタル等のカバーで覆われていてもよい。この場合、平面スピーカ3が目立たないため、放音装置1は、よりデザイン性に優れたものとなる。
【0043】
図10は、エンクロージャ31の背面に共鳴管501を備えた場合の断面図である。エンクロージャ31の背面には、筒状の共鳴管501が設けられている。共鳴管501は、左右方向にある程度の長さを有する管と、開口部と、を有する。共鳴管501は、図示しないが、上下方向に複数設けられている。複数の共鳴管501は、それぞれヘルムホルツ共鳴器を構成する。複数の共鳴管501は、それぞれの管の長さが異なる。
【0044】
開口部に入射した音は、管の長さに応じて特定の共鳴周波数で共鳴する。共鳴音は、入射音に対して逆位相の音になる。したがって、共鳴管501は、開口部付近で特定の周波数において吸音効果を発揮する。複数の共鳴管501のそれぞれの共鳴周波数が異なる場合、所定周波数帯域にわたって吸音効果を発揮する。
【0045】
これにより、側面に回り込む音は、さらに低減される。したがって、放音装置1は、さらに音の漏れを防ぐことができる。
【0046】
図11は、共鳴管501の変形例を示す断面図である。共鳴管501は、図11に示す様に、パーティション10に設けられていてもよい。また、共鳴管501の開口部は、パーティション10の正面または平面側に設けてもよい。この場合、パーティション10の壁面で反射する音波と共鳴音が干渉し、錯乱効果も発揮することができる。したがって、放音装置1は、側面に回り込む音を低減しつつ、音の響きを整える調音機能を持つこともできる。
【0047】
図12は、複数の平面スピーカ3を備える放音装置1Aの正面図である。図12の例では、放音装置1Aは、互いに対向する複数の平面スピーカ3を備える。この場合、ユーザは、自身の正面および背面方向の両方から平面スピーカ3の音を聞くことができる。この場合も、放音装置1Aは、音の漏れを防ぐことができる。なお、複数の平面スピーカ3は、互いに向かい合っている必要はない。
【0048】
図13は、天面に平面スピーカ3を備える放音装置1Bの構成を示す斜視図である。図13に示す様に、平面スピーカ3は、パーティション10の主面に対して直交するように配置されていてもよいし、所定の角度傾斜して配置されても良い。この場合、平面スピーカ3は、音響遮蔽部の一例である床に向かって平面波を出力する。この場合も、放音装置1Bは、音の漏れを防ぐことができる。
【0049】
図14は、ディスプレイ5およびマイク7を備える場合の放音装置1Cの構成を示す斜視図である。図15は、正面図である。ディスプレイ5およびマイク7は、半個室の背面に配置されたパーティション10に設けられている。ディスプレイ5は、遠隔地に設置された情報処理装置から画像データを受信し、表示する。ディスプレイ5は、遠隔地のカメラで撮像された画像データを表示する。マイク7は、ユーザの発した音声を収音し、遠隔地の情報処理装置に送信する。平面スピーカ3は、遠隔地に設置された情報処理装置から音信号を受信し、放音する。これにより、放音装置1Cは、遠隔テレビ会議を実現する。
【0050】
マイク7は、パーティション10のうち上部付近に設置されている。すなわち、マイク7は、図15に示す様に、平面スピーカ3の指向性の範囲外に配置されている。したがって、マイク7は、平面スピーカ3から出力された遠隔地の音声を収音することがない。よって、放音装置1Cは、エコーの発生を抑制する。
【0051】
なお、図16に示す様に、ユーザが座ってパーソナルコンピュータ(PC)9を操作する場合も、当該PC9に設けられたマイクは、平面スピーカ3の指向性の範囲外になる。この場合も、放音装置1Cは、エコーの発生を抑制することができる。
【0052】
図17は、移動を補助する補助具であるキャスター110を備えた放音装置1Eの斜視図である。放音装置1Eは、パーティション10の厚み方向の転倒を防止するように下部を支持し、移動を補助するキャスター110を備える。その他の構成は、放音装置1と同一である。
【0053】
ユーザは、キャスター110により、1または複数の放音装置1Eを、簡単に任意の位置に移動させ、視界、および音響を遮蔽することで、オープンなスペースであっても、簡易に半個室を構成することができる。このように構成された半個室は、前述の放音装置1と同様に半個室からの音の漏れを防ぐことができ、半個室の外にいる人は、平面スピーカ3から出力される音を聞くことがない。放音装置1のユーザは、音の漏れを気にせずに、コンテンツの音を聴く、あるいは遠隔地のユーザの会話音を聞くことができる。また、半個室の外にいる人も、半個室からの音が気にならない。
【0054】
放音装置1Eは、簡単に移動させることができるため、平面スピーカ3を半個室の外向きに設置してもよい。平面スピーカ3を半個室の外向きに設置する場合、平面スピーカ3は、マスキング音を出力する。なお、放音装置1Eは、両方の壁面に、それぞれ平面スピーカ3を備えてもよい。この場合、放音装置1Eは、内向きに設置された第1指向性スピーカである平面スピーカ3でコンテンツの音または遠隔会議の音声を出力し、反対側の壁面(外向き)に設置された第2指向性スピーカである平面スピーカ3でマスキング音を出力する。
【0055】
図18は、マスキング音を出力する場合の構成を示す正面図である。図18の例では、半個室の背面、右側面および左側面に、放音装置1Eを配置している。放音装置1Eの平面スピーカ3は、全て外向きに設定している。
【0056】
平面スピーカ3は、マスキング音を出力する。マスキング音は、半個室内で会話を行う者の発言内容を第三者に理解できないようにする。マスキング音は、音声を撹乱する撹乱音と、連続的に発生する背景音と、断続的に発生する演出音と、を含む事が好ましい。撹乱音は、例えば、人の音声を時間軸上あるいは周波数軸上で改変し、語彙的に何ら意味をなさない(内容が理解できない)ようにしたものを用いる。撹乱音は、人の声質を有するものの、人から発せられた会話音声としては認識できないものである。したがって、錯乱音は、聴取者に違和感を与え、長時間または過大な音量で聞くことにより不快感を与える場合もある。そこで、撹乱音には、背景音および演出音を組み合わせることが好ましい。背景音は、例えば小川のせせらぎや木々のざわめき等、第三者が注目し難く、不快感のない音である。これにより、背景音は、暗騒音レベルを上げ、撹乱音を目立たなくすることで撹乱音の違和感を低減し、不快感を低減することができる。また、演出音は、断続的に発生する楽音等の演出性の高い音である。これにより、演出音は、第三者の注意を演出音にも向けさせ、聴覚心理的に撹乱音の違和感を目立たなくする。
【0057】
図18の例では、放音装置1Eの平面スピーカ3は、全て外向きに設定した。しかし、平面スピーカ3は、内向きに設置してもよい。内向きに設置された平面スピーカ3は、目的音(コンテンツの音または遠隔会議の音声等)を出力する。
【0058】
図19は、両面に平面スピーカ3を備えた放音装置1Fを半個室に適用した場合の正面図である。放音装置1Fは、両面に平面スピーカ3を備えている。図19の例では、半個室の右側面および左側面に、放音装置1Fを配置している。半個室の背面は、片面にのみ平面スピーカ3を備えた放音装置1Eを配置している。
【0059】
この場合、放音装置1Fは、外向きに設置された第2指向性スピーカである平面スピーカ3でマスキング音を出力し、内向きに設置された第1指向性スピーカである平面スピーカ3で目的音(コンテンツの音または遠隔会議の音声等)を出力する。
【0060】
図20は、マイク(マイク7またはPC9のマイク)で収音した音信号に基づいて信号処理を行なう平面スピーカ3の構成を示すブロック図である。ハードウェア構成としては、図6に示した構成と同一である。
【0061】
入力部301は、マイク(マイク7またはPC9のマイク)で収音した音に係る音信号を受信する。信号処理部302は、マイクで収音した音に係る音信号の音量に応じて、後段に出力する音信号の音量を調整する。例えば、信号処理部302は、半個室から平面スピーカ3の音が漏れない程度の最大音量と、その時にマイクで収音した音の音量と、を予め測定する。その後、信号処理部302は、マイクで収音した音に係る音信号の音量と、予め測定したマイクで収音した音の音量と、に基づいて、音量を調整する。これにより、ユーザが音量調整を行なう必要なく、最適な音量に調整される。また、信号処理部302は、音量に代えて、または音量とともに音信号の周波数特性を調整してもよい。
【0062】
また、信号処理部302は、マスキング音を出力する場合、マイクで収音した音に係る音信号の音量に応じて、マスキング音の音量を調整してもよい。この場合、信号処理部302は、マスキング音の効果を発揮できる必要最小限の音量に抑える処理を行なう。
【0063】
なお、信号処理部302は、マスキング音の出力開始時にはフェードイン処理を行ない、マスキング音の停止時にはフェードアウト処理を行なうことが好ましい。これにより、信号処理部302は、第三者に対して、よりマスキング音を目立たなくする。
【0064】
また、マスキング音を出力する場合、平面スピーカ3は、複数のユニットに分割してもよい。この場合、信号処理部302は、複数のユニットの放音タイミングを制御することで、複数のユニットから出力された音波の合成波面を制御する。これにより、信号処理部302は、波面の形状を制御し、指向性を制御することができる。任意の方向にマスキング音を向けることができる。なお、信号処理部302は、複数チャンネルの音信号をデジタル信号処理で遅延して放音タイミングを制御してもよいし、各平面スピーカ3に供給するアナログの音信号をアナログ回路により遅延してもよい。
【0065】
また、信号処理部302は、平面スピーカ3の定位感を低減する処理を行なってもよい。例えば、信号処理部302は、予め取得した平面スピーカ3からユーザの頭部に至る伝達関数(頭部伝達関数)の逆関数を、音信号に畳み込む。これにより、ユーザの後方に設置された平面スピーカ3からの音が後方に定位しないため、ユーザは、より自然な印象で音を聞くことができる。
【0066】
また、信号処理部302は、所定周波数(例えば5kHz)以上の帯域をカットするローパスフィルタ処理を行なってもよい。前後方向および上下方向の音の定位は、5kHz以上の周波数特性に依存する。したがって、信号処理部302は、所定周波数(例えば5kHz)以上の帯域をカットするローパスフィルタ処理を行なうことでも、平面スピーカ3の定位感を低減することができる。
【0067】
また、信号処理部302は、残響音を付加する処理を行なってもよい。信号処理部302は、残響音を付加することでも、直接音の定位感を低減することができる。
【0068】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
例えば、本実施形態では、指向性スピーカの一例として平面スピーカを示した。しかし、指向性スピーカは、例えば、ダイナミックスピーカであってもよい。また、指向性スピーカは、複数のダイナミックスピーカを配列してなるアレイスピーカであってもよい。
【0070】
また、本実施形態の放音装置は、パーティション10および平面スピーカ3を備える例を示した。しかし、パーティション10は、必須ではない。例えば、平面スピーカ3は、天井に吊り下げることができる。この場合、放音装置は、スピーカユニットと、当該スピーカユニットのエンクロージャと、を備える。また、放音装置は、エンクロージャの底面(下方向の側面)を床面から支持する支持部材を備えていてもよい。
【0071】
本出願は、2019年10月31日出願の日本特許出願(特願2019-199229)及び2019年10月31日出願の日本特許出願(特願2019-199230)に基づく国際特許出願PCT/JP2020/040439に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B,1C,1R,1F…放音装置
3…平面スピーカ
5…ディスプレイ
7…マイク
9…PC
10…パーティション
30…振動ユニット
30A,30B…固定電極板
30C…振動板
31…エンクロージャ
32…ポート
35…吸音材
110…キャスター
301…入力部
302…信号処理部
303…増幅部
304…駆動部
501…共鳴管
図1
図2
図3
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