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特開2023-27814皿組付構造、飲食物収容皿、及び飲食物提供方法
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  • 特開-皿組付構造、飲食物収容皿、及び飲食物提供方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027814
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】皿組付構造、飲食物収容皿、及び飲食物提供方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/02 20060101AFI20230224BHJP
   A47G 23/08 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A47G19/02 F
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133101
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 信
(72)【発明者】
【氏名】久保田 善行
【テーマコード(参考)】
3B001
3B115
【Fターム(参考)】
3B001AA11
3B001BB10
3B001CC17
3B001CC22
3B115AA15
3B115AA22
3B115CB09
3B115EA07
(57)【要約】
【課題】従来の皿組付構造においては、皿組付構造の構成部材を保管場所やテーブル上などにおいて保管する場面において、皿から取り外された状態の組付具が場所をとるという問題があった。
【解決手段】上皿11と、上皿11の下にある下皿21と、上皿11と下皿21とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段1bとを有する、皿組付構造100により、皿組付構造100の構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皿と、
前記上皿の下にある下皿と、
前記上皿と前記下皿とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段とを有する、皿組付構造。
【請求項2】
前記磁気吸引手段は、前記上皿に設けられた磁性体である下側吸引部と、前記下皿に設けられた磁性体である上側吸引部とで構成されており、
前記下側吸引部と前記上側吸引部との少なくとも一方は永久磁石を含み、前記下側吸引部と前記上側吸引部とが引き合うことにより前記上皿と前記下皿とが組み付けられている、請求項1に記載の皿組付構造。
【請求項3】
前記下側吸引部と前記上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける前記上皿の前記下皿に対する位置が所定の吸引位置である状態において引き合うように構成されている、請求項2に記載の皿組付構造。
【請求項4】
前記上皿と前記下皿とのそれぞれには、上下方向の中心軸周りにおける前記上皿の前記下皿に対する位置が前記吸引位置であるか否かを識別可能な目印部が設けられている、請求項3に記載の皿組付構造。
【請求項5】
前記下側吸引部と前記上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける前記上皿の前記下皿に対する複数通りの位置が前記吸引位置となるように構成されている、請求項3又は4に記載の皿組付構造。
【請求項6】
前記下側吸引部と前記上側吸引部とのそれぞれは永久磁石を含み、
前記下側吸引部と前記上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける前記上皿の前記下皿に対する位置が、前記吸引位置とは異なる反発位置である状態において反発し合うように構成されている、請求項3から5のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項7】
前記永久磁石は、吸引対象となる前記下側吸引部又は前記上側吸引部に向かう面において多極を有するように構成されている、請求項2から6のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項8】
前記磁気吸引手段は、前記上皿に設けられた磁性体である下側吸引部と、前記下皿に設けられた磁性体である上側吸引部と、前記上皿と前記下皿との間に配置された組付具とを有し、
前記組付具は、前記下側吸引部との間で磁気吸引力を生じるように構成された上皿吸引部と、前記上側吸引部との間で磁気吸引力を生じるように構成された下皿吸引部とを有する、請求項1に記載の皿組付構造。
【請求項9】
前記下側吸引部と前記上側吸引部とは共に軟磁性体であり、前記上皿吸引部と前記下皿吸引部とが永久磁石である、請求項8に記載の皿組付構造。
【請求項10】
前記上側吸引部は、前記下皿の皿板に、上方に露出しないように埋め込まれている、請求項2から9のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項11】
前記下側吸引部は、前記上皿の高台部に設けられている、請求項2から10のいずれかに記載の皿組付構造。
【請求項12】
皿板と、
前記皿板の下に設けられた高台部と、
前記皿板に設けられた磁性体である上側吸引部と、
前記高台部に設けられた磁性体である下側吸引部とを備え、
前記下側吸引部と前記上側吸引部との少なくとも一方は永久磁石を含み、
同様に構成された他の飲食物収容皿が前記皿板の上の所定の位置に配置される場合において、前記上側吸引部と前記他の飲食物収容皿の下側吸引部とが磁気吸引力により引き合うように構成されている、飲食物収容皿。
【請求項13】
請求項1から11のいずれかに記載の皿組付構造を用意するステップと、
ユーザが使用するテーブルの近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置により駆動される搬送路上に、最も上にある皿の上に飲食物が配置されている状態で前記皿組付構造を配置するステップとを含む、飲食物提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2以上の飲食物収容皿を組み付けてなる皿組付構造、飲食物収容皿、及び飲食物提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食物収容皿に載せた寿司等の飲食物を、テーブルに沿って循環する搬送路で移動させるようにし、ユーザが、搬送路に沿って移動してくる飲食物を飲食物収容皿ごと取り出して、載せられていた飲食物を飲食できるようにしている飲食店の店舗等が知られていた。このような店舗等の一部においては、飲食物が収容される1枚の飲食物収容皿に対して予め基準となる料金を設定し、基準となる料金の飲食物については、1枚の飲食物収容皿に飲食物を載せ、また、所定の料金の2倍の飲食物については、重ねた2枚の飲食物収容皿に飲食物を載せてユーザに提供するようにし、会計時にユーザが飲食した飲食物が載せられていた飲食物収容皿の枚数をカウントすることで、ユーザの利用料金を計算することが行なわれていた。
【0003】
このような店舗等において利用される技術として、飲食物収容皿の皿板が嵌合可能な上下開口部を備えた組み付け筒と、飲食物収容皿の皿板が組み付け筒の上下開口部内にはめられた時点で、少なくとも上側開口部内にはめられる皿板の周縁部上面が組み付け筒の上側開口部端縁とほぼ同一位置に来るように規制するための皿位置規制部が備えられている飲食物収容皿組み付け具が知られていた(例えば、特許文献1参照)。このような飲食物収容皿組み付け具を用いることで、例えば、重ねられた飲食物収容皿から、飲食物が載置された最上部の皿だけをユーザが誤って取ること等を防ぐことができ、適切な会計を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4633071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載されているような組付具は、比較的嵩張る形状を有している。そのため、皿組付構造の構成部材を保管場所やテーブル上などにおいて保管する場面において、皿から取り外された状態の組付具が場所をとるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたものであり、構成部材を保管する場所を省スペース化することができる皿組付構造、飲食物収容皿、及び飲食物提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明の皿組付構造は、上皿と、上皿の下にある下皿と、上皿と下皿とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段とを有する、皿組付構造である。
【0008】
かかる構成により、構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。
【0009】
また、本第二の発明の皿組付構造は、第一の発明に対して、磁気吸引手段は、上皿に設けられた磁性体である下側吸引部と、下皿に設けられた磁性体である上側吸引部とで構成されており、下側吸引部と上側吸引部との少なくとも一方は永久磁石を含み、下側吸引部と上側吸引部とが引き合うことにより上皿と下皿とが組み付けられている、皿組付構造である。
【0010】
かかる構成により、上皿と下皿とで容易に皿組付構造を構成することができる。
【0011】
また、本第三の発明の皿組付構造は、第二の発明に対して、下側吸引部と上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける上皿の下皿に対する位置が所定の吸引位置である状態において引き合うように構成されている、皿組付構造である。
【0012】
かかる構成により、上皿と下皿とが所定の位置関係にある場合に皿組付構造が構成されるようにすることができる。
【0013】
また、本第四の発明の皿組付構造は、第三の発明に対して、上皿と下皿とのそれぞれには、上下方向の中心軸周りにおける上皿の下皿に対する位置が吸引位置であるか否かを識別可能な目印部が設けられている、皿組付構造である。
【0014】
かかる構成により、容易に、下側吸引部と上側吸引部とが引き合うように位置合わせを行うことができる。
【0015】
また、本第五の発明の皿組付構造は、第三又は四の発明に対して、下側吸引部と上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける上皿の下皿に対する複数通りの位置が吸引位置となるように構成されている、皿組付構造である。
【0016】
かかる構成により、上皿と下皿とをより容易に組み合わせることができる。
【0017】
また、本第六の発明の皿組付構造は、第三から五のいずれかの発明に対して、下側吸引部と上側吸引部とのそれぞれは永久磁石を含み、下側吸引部と上側吸引部とは、上下方向の中心軸周りにおける上皿の下皿に対する位置が、吸引位置とは異なる反発位置である状態において反発し合うように構成されている、皿組付構造である。
【0018】
かかる構成により、上皿と下皿との位置関係を変更することにより、両者を容易に引き離すことができる。
【0019】
また、本第七の発明の皿組付構造は、第二から六のいずれかの発明に対して、永久磁石は、吸引対象となる下側吸引部又は上側吸引部に向かう面において多極を有するように構成されている、皿組付構造である。
【0020】
かかる構成により、下側吸引部又は上側吸引部において、複数の磁極を所定の位置に容易に配置することができる。
【0021】
また、本第八の発明の皿組付構造は、第一の発明に対して、磁気吸引手段は、上皿に設けられた磁性体である下側吸引部と、下皿に設けられた磁性体である上側吸引部と、上皿と下皿との間に配置された組付具とを有し、組付具は、下側吸引部との間で磁気吸引力を生じるように構成された上皿吸引部と、上側吸引部との間で磁気吸引力を生じるように構成された下皿吸引部とを有する、皿組付構造である。
【0022】
かかる構成により、比較的保管場所を取らない組付具を用いた皿組付構造を構成することができる。
【0023】
また、本第九の発明の皿組付構造は、第八の発明に対して、下側吸引部と上側吸引部とは共に軟磁性体であり、上皿吸引部と下皿吸引部とが永久磁石である、皿組付構造である。
【0024】
かかる構成により、上皿や下皿を単体で使用する場合において磁気による影響が生じることを防止することができる。
【0025】
また、本第十の発明の皿組付構造は、第二から九のいずれかの発明に対して、上側吸引部は、下皿の皿板に、上方に露出しないように埋め込まれている、皿組付構造である。
【0026】
かかる構成により、下皿を上側吸引部が設けられていない通常の皿と同様の皿として構成することができる。
【0027】
また、本第十一の発明の皿組付構造は、第二から十のいずれかの発明に対して、下側吸引部は、上皿の高台部に設けられている、皿組付構造である。
【0028】
かかる構成により、上皿を、高台部を有する通常の皿と同様の皿として構成することができる。
【0029】
また、本第十二の発明の飲食物収容皿は、皿板と、皿板の下に設けられた高台部と、皿板に設けられた磁性体である上側吸引部と、高台部に設けられた磁性体である下側吸引部とを備え、下側吸引部と上側吸引部との少なくとも一方は永久磁石を含み、同様に構成された他の飲食物収容皿が皿板の上の所定の位置に配置される場合において、上側吸引部と他の飲食物収容皿の下側吸引部とが磁気吸引力により引き合うように構成されている、飲食物収容皿である。
【0030】
かかる構成により、他の飲食物収容皿と組み合わせて構成部材を保管する場所を省スペース化することができる皿組付構造を容易に構成することができる。
【0031】
また、本第十三の発明の飲食物提供方法は、第一から十一のいずれかの発明に対して、皿組付構造を用意するステップと、ユーザが使用するテーブルの近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置により駆動される搬送路上に、最も上にある皿の上に飲食物が配置されている状態で皿組付構造を配置するステップとを含む、飲食物提供方法である。
【0032】
かかる構成により、皿から取り外された状態の組付具が場所をとらないようにして飲食物を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、比較的コンパクトな組付具を用いて構成可能な皿組付構造及び飲食物提供方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態1に係る皿組付構造の一例を示す斜視図
図2】同皿組付構造を構成する飲食物収容皿の構成を示す斜視図
図3】同皿組付構造の側断面図
図4】同皿組付構造の構成を説明する分解斜視図
図5】実施の形態1の変形例1に係る飲食物収容皿の構成を示す斜視図
図6】実施の形態1の変形例2に係る飲食物収容皿の構成を示す斜視図
図7】実施の形態1の変形例3に係る飲食物収容皿の構成を示す斜視図
図8】本発明の実施の形態2に係る皿組付構造の一例を示す斜視図
図9】同皿組付構造の構成を説明する分解斜視図
図10】同皿組付構造の側断面図
図11】本発明の実施の形態の1つに係る飲食物提供方法について説明するフローチャート
図12】同飲食物提供方法が使用されうる店舗システムの一例について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、皿組付構造等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様に構成されているものであり、再度の説明を省略する場合がある。
【0036】
なお、以下の説明において、飲食物を配置可能な飲食物収容皿を、単に、収容皿又は皿ということがある。以下の説明において、通常、皿が置かれる平面(水平面ということがある)に対して略垂直な方向を上下方向ということがある。また、皿について上下方向の中心軸というとき、中心軸とは、通常、皿板の略中央部を通り水平面に対して略垂直な軸を指す。皿について中心軸周りの位置とは、中心軸周りの回転位置と言い替えたり周方向の位置と言い替えたりしてもよい。以下において、方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明に係る皿組付構造の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0037】
(実施の形態1)
【0038】
本実施の形態において、皿組付構造は、上皿と下皿とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段を有するものである。本実施の形態において、上皿の下側吸引部と下皿の上側吸引部とが互いに引き合うように構成されている。上皿の下皿に対する位置が所定の吸引位置である状態において引き合うように構成されていることが好ましく、この場合、上皿と下皿とに吸引位置であることを識別可能な目印部が設けられていることが好ましい。複数通りの吸引位置が設けられていてもよい。上皿の下皿に対する位置が所定の反発位置にあるときに反発し合うように構成されていてもよい。永久磁石は、片面多極のものであってもよい。皿板の内部に上側吸引部が埋め込まれていることが好ましく、高台部に下側吸引部が設けられていることが好ましい。以下、このように構成された皿組付構造について説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施の形態1に係る皿組付構造100の一例を示す斜視図である。
【0040】
図1に示されるように、本実施の形態において、皿組付構造100は、上皿11と、下皿21とを有している。皿組付構造100は、上皿11の皿板2の上面に飲食物800(図に線種を変えて示す)を配置可能に構成されている。皿組付構造100は、例えば、飲食を行うユーザに対して飲食物800を提供する際に用いられる。皿組付構造100は、2以上の皿が組み付けられた皿組付体といったり皿組立体といったりしてもよい。組み付けるとは、組み合わせるといってもよい。皿組付構造100は、2以上の皿をひとまとまりに扱うことができるように構成された構造体であるといえる。
【0041】
なお、飲食物800は、例えばにぎり寿司であるが、これに限られない。例えば、その他の種類の食べ物や、飲み物であってもよい。また、飲食物800に代えて、飲食を行う際に供される食器や調味料等の物や、情報等を表示するための物など、種々の物が配置されうる。なお、以下の説明において、飲食物800とは、皿組付構造100に配置可能な物を区別せず総称するものとして解釈してもよい。
【0042】
本実施の形態において、上皿11と下皿21とは、互いに同様に構成された飲食物収容皿1である。上皿11と下皿21とは、同一形状を有している。上皿11や下皿21として使用される本実施の形態に係る飲食物収容皿1は、以下のような構造を有する。
【0043】
図2は、同皿組付構造100を構成する飲食物収容皿1の構成を示す斜視図である。
【0044】
飲食物収容皿1は、飲食物800を収容するための皿である。収容皿1は、それ単体で、ユーザに対して飲食物800を提供するためなどに用いられうる。収容皿1は、例えば、主として合成樹脂で形成されたものである。
【0045】
収容皿1は、その中央部が若干くぼんだ平面視円形の皿板2と、この皿板2の底面から下方に突出する円筒状の高台部7とを有している。ただし、収容皿1の形状は、この形状に限定されるものではない。
【0046】
皿板2は、上方に露出する面である上面と、下方に露出する面である底面とを有している。高台部7は、皿板2の中央部に、上下方向が高さ方向となるように形成されている。
【0047】
ここで、飲食物収容皿1には、上側吸引部4と、下側吸引部8とが設けられている。上側吸引部4と、下側吸引部8とは、本実施の形態において収容皿1の表面に現れないので、以下の図において線種を変えて示されている。
【0048】
上側吸引部4と、下側吸引部8とは、それぞれ、磁性体である。ここで磁性体とは、種々のタイプの永久磁石や、軟磁性体や、磁場中において磁化されるその他の物質を含みうる概念である。磁性体としては、例えば、フェライト磁石、ボンド磁石、希土類磁石、鉄、ニッケル、コバルト等が用いられうるが、これらに限られない。
【0049】
下側吸引部8と上側吸引部4との少なくとも一方は永久磁石を含む。本実施の形態において、下側吸引部8と上側吸引部4との両方とも永久磁石を含む。
【0050】
上側吸引部4は、例えばフェライト磁石等の永久磁石である上磁石41と、例えば鉄等の軟磁性体である上磁性体部42とを有している。上側吸引部4は、中心軸周りに、上磁石41と上磁性体部42とが交互に円弧に沿って並んでおり、全体として、リング形状をなしている。なお、本実施の形態において、上側吸引部4は、8つの上磁石41と8つの上磁性体部42とが交互に、周方向において互いに略等間隔に、全体として円環状をなすように配置されている。
【0051】
上側吸引部4の各部材は、皿板2に、上方に露出しないように埋め込まれている。すなわち、皿板2の上面は皿板2を構成する合成樹脂で覆われており、上側吸引部4は上方に露出しないようになっている。これにより通常の飲食物収容皿と同様に、皿板2の上面に飲食物800を配置して提供するのに用いることができる。また、上側吸引部4は、収容皿1の表面に露出しないように配置されている。したがって、上側吸引部4に腐食等が生じることを防止することができる。なお、これに限られず、上側吸引部4が皿板2の上面や収容皿1のその他の表面に露出していてもよい。
【0052】
他方、下側吸引部8も、上側吸引部4と概ね同様の構成を有している。すなわち、下側吸引部8は、例えばフェライト磁石等の永久磁石である下磁石81と、例えば鉄等の軟磁性体である下磁性体部82とを有している。下側吸引部8は、中心軸周りに、下磁石81と下磁性体部82とが交互に円弧に沿って並んでおり、全体として、リング形状をなしている。なお、本実施の形態において、下側吸引部8は、8つの下磁石81と8つの下磁性体部82とが交互に、周方向において互いに略等間隔に、全体として円環状をなすように配置されている。
【0053】
下側吸引部8の各部材は、高台部7に設けられている。より具体的には、下側吸引部8の各部材は、高台部7の下端部近傍部位すなわち収容皿1の設置面近傍に設けられている。本実施の形態において、下側吸引部8の各部材は、高台部7の外表面に露出しないように高台部7に埋め込まれている。すなわち、下側吸引部8の周囲は高台部7を構成する合成樹脂で覆われており、下側吸引部8は収容皿1の表面に露出しないようになっている。したがって、下側吸引部8に腐食等が生じることを防止することができる。なお、これに限られず、下側吸引部8が収容皿1の表面に露出していてもよい。また、下側吸引部8が収容皿1の接地部の一部又は全部をなすように構成されていてもよく、高台部7部分が下側吸引部8となるように構成されていてもよい。さらにまた、収容皿1に高台部が設けられておらず、下側吸引部8が皿板2の底面近傍に設けられていてもよい。
【0054】
なお、上磁石41と上磁性体部42とのそれぞれの数や大きさ等は、これに限られない。また、下磁石81と下磁性体部82とのそれぞれの数や大きさ等は、これに限られない。本実施の形態においては、周方向における上磁石41の大きさと上磁性体部42の大きさとは、互いに略同じであり、周方向における下磁石81の大きさと下磁性体部82の大きさとは、互いに略同じであるが、これらは異なっていてもよい。例えば、下磁石81が下磁性体部82よりも小さかったり、上磁石41が上磁性体部42よりも小さかったりしてもよい。
【0055】
図3は、同皿組付構造100の側断面図である。図4は、同皿組付構造100の構成を説明する分解斜視図である。
【0056】
図3においては、一の上側吸引部4における一の上磁石41及び中心軸を通る断面と一の上磁性体部42及び中心軸を通る断面とが組み合わせて示されている。
【0057】
皿組付構造100は、2つの収容皿1が上皿11と下皿21として用いられて構成されている。皿組付構造100は、上皿11の下側吸引部8と下皿21の上側吸引部4とが引き合うことにより上皿11と下皿21とが組み付けられて構成されている。すなわち、上側吸引部4と下側吸引部8とは、収容皿1と同様に構成された他の収容皿1が皿板2の上の所定の位置に配置される場合において、上側吸引部4と他の収容皿1の下側吸引部8とが磁気吸引力により引き合うように構成されている。皿組付構造100は、上皿11と下皿21とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段1bを有しているといえる。本実施の形態において、磁気吸引手段1bは、上皿11の下側吸引部8と下皿21の上側吸引部4とで構成されるといえる。
【0058】
本実施の形態において、下側吸引部8と上側吸引部4とは、中心軸周りにおける収容皿1に対する他の収容皿1の位置が所定の位置である状態において、引き合うように構成されている。このように一の収容皿1の上側吸引部4とその上の他の収容皿1の下側吸引部8とが磁気吸引力により引き合う状態における、収容皿1に対する他の収容皿1の所定の回転位置を、吸引位置という。
【0059】
すなわち、図2に示されるように、一の収容皿1において、上側吸引部4と下側吸引部8とは、共に、中心軸からの半径が互いに略等しいリング状に形成されている。また、上側吸引部4と下側吸引部8とのそれぞれは、互いに同数の磁石41,81と磁性体部42,82との隣り合う組が周方向に等間隔で並んだ構成を有している。したがって、中心軸を共にするように2つの収容皿1が上下に重ねられた状態において、図3に示されるように、8つの上磁石41と8つの下磁性体部82とが磁気吸引力により引き合い、かつ、8つの下磁石81と8つの上磁性体部42とが磁気吸引力に引き合うように、中心軸周りにおける2つの収容皿1の位置関係を設定することができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、一の収容皿1において、上側吸引部4の上磁石41の周方向の位置(中心軸周りの位置)と下側吸引部8の下磁石81の周方向の位置とはずれており、上下方向において両磁石41,81が重ならないようになっている。すなわち、上側吸引部4の上磁石41の位置と、下側吸引部8の下磁石81の位置とは、中心軸周りに約22.5度ずれている。上側吸引部4と下側吸引部8との位置関係がこのようである複数の収容皿1を用いて、各皿1の中心軸周りの回転位置を揃えた状態で各皿1を上下方向に重ねることにより、各皿1の上側吸引部4とその上の他の皿1の下側吸引部8との間で磁気吸引力を得て、皿1同士が引き合うようにすることができる。
【0061】
また、本実施の形態において、例えば皿板2の周縁部には、目印部3が形成されている。目印部3は、周方向における上側吸引部4に対する位置が所定の位置になるように、複数形成されている。各皿1に同様の位置関係で目印部3が形成されているので、目印部3が上下方向において揃うようにして複数の皿1を重ねることで、容易に皿1同士が引き合うように位置決めを行うことができる。上下に重ねられる2つの皿1を上皿11と下皿21とに区別して換言すると、上皿11と下皿21とのそれぞれには、上下方向の中心軸周りにおける上皿11の下皿21に対する位置が、所定の吸引位置であるか否かを識別可能な目印部3が設けられているといえる。
【0062】
なお、目印部3は、プリント等やシール等の貼り付けにより形成されたマークであってもよいし、樹脂等により皿1の形状として形成されたマークであったりしてもよい。皿1に施された模様が目印部3として機能可能であってもよい。目印部3が設けられる位置は、皿板2の周縁部に限られず、皿板2の他の部位であってもよいし、高台部7等に設けられていてもよい。
【0063】
なお、本実施の形態において、上磁石41の上側の磁極と、下磁石81の下側の磁極とは、互いに同じ極性(例えばN極であるが、S極であってもよい)を有するように構成されている。したがって、上下に重ねられる2つの皿1の周方向における位置関係が所定の位置である場合において、一の皿1の上側吸引部4と、その上の他の皿1の下側吸引部8とが反発し合うようになっている。このように一の収容皿1の上側吸引部4とその上の他の収容皿1の下側吸引部8とが磁気吸引力により反発し合う状態における、収容皿1に対する他の収容皿1の所定の回転位置を、反発位置という。上下に重ねられる2つの皿1を上皿11と下皿21とに区別して換言すると、中心軸周りにおける上皿11の下皿21に対する位置が、吸引位置とは異なる反発位置である状態において、下側吸引部8と上側吸引部4とが反発し合う。
【0064】
このように構成されていることにより、次のようにして2つの皿1を引き離すことができる。すなわち、互いに吸引し合う2つの皿1の一方を他方に対して中心軸周りに回転させる。そして、2つの皿1の位置関係を吸引位置から反発位置にすることにより、容易に2つの皿1を引き離すことができる。
【0065】
このように、本実施の形態において、収容皿1が、磁気吸引力により他の収容皿1と引き合うことが可能に構成されている。この収容皿を上皿11及び下皿21として用いて上下に重ねることにより、他の部材を必要とすることなく、皿組付構造100を構成することができる。したがって、皿組付構造100の構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。
【0066】
また、皿組付構造100を製造するには、下皿21に対して上皿11を所定の吸引位置となるようにして近づけ、両者の間で磁気吸着させればよい。容易に行うことができる作業により皿組付構造100を製造することができる。また、収容皿1は低コストで製造することができるので、皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。
【0067】
また、皿組付構造100において、磁気吸引力に抗して上皿11と下皿21とを引き離す力を加えることにより、上皿11と下皿21とを容易に分離させることができる。したがって、上皿11や下皿21を単体の収容皿として容易に再利用することができる。
【0068】
皿組付構造100は、上皿11と下皿21とが単に上下に重ねられた状態の外形寸法と略同じ外径寸法を有する。皿組付構造100は、収容皿1を単体で用いる場合と同様のフットプリントを有する。したがって、皿組付構造100それ自体としても比較的コンパクトに構成することができ、平面視においても収容皿1を単体で用いる場合と同様のスペースにおいて配置することができる。また、例えば後述のように皿組付構造100を飲食物搬送装置と共に用いる場合においても、収容皿1を単体で用いる場合と同様に、装置に配置したり装置からピックアップしたりすることができる。
【0069】
なお、収容皿における上側吸引部と下側吸引部とのそれぞれの構成はこれに限られない。すなわち、2つの収容皿が上下に重ねられた場合において、下皿の上側吸引部と上皿の下側吸引部とが互いに引き合うように、上側吸引部や下側吸引部が構成されていればよい。また、上側吸引部を有さず下側吸引部のみを有しており上皿としてのみ使用される上皿や、下側吸引部を有さず上側吸引部のみを有しており下皿としてのみ使用される下皿を用いて皿組付構造100が構成されていてもよい。
【0070】
図5は、実施の形態1の変形例1に係る飲食物収容皿501の構成を示す斜視図である。
【0071】
図5において、変形例1に係る収容皿501は、皿板2に設けられた上側吸引部540と、高台部7に設けられた下側吸引部580とを有している。
【0072】
上側吸引部540は、例えば薄型のリング状に構成された永久磁石である上磁石541を有している。上磁石541は、上側に、6つの第一磁極(例えばN極)545と6つの第二磁極(例えばS極)546とが周方向に交互に現れるように形成された、片面多極の磁石である。上磁石541は、例えばフェライト磁石であってもよいが、ボンド磁石等であってもよい。
【0073】
下側吸引部580は、例えば薄型のリング状に構成された永久磁石である下磁石581を有している。下磁石581は、下側に、6つの第一磁極(例えばN極)585と6つの第二磁極(例えばS極)586とが周方向に交互に現れるように形成された、片面多極の磁石である。下磁石581は、例えばフェライト磁石であってもよいが、ボンド磁石等であってもよい。
【0074】
すなわち、本変形例において、永久磁石である上磁石541は、吸引対象となる、上側に配置される他の収容皿501の下側吸引部580に向かう上側の面において、多極を有するように構成されている。また、下磁石581は、吸引対象となる、下側に配置される他の収容皿501の上側吸引部540に向かう面において、多極を有するように構成されている。
【0075】
なお、本実施の形態において、一の収容皿501において、上側吸引部540の上面の磁極545,546の周方向の配置と、下側吸引部580の下面の磁極585,586の周方向の配置とはずれている。すなわち、上磁石541の上側の磁極545,546と、下磁石581の下側の磁極585,586とは、上下方向において同一極性の磁極が並ばないようになっている。すなわち、上磁石541の上側の磁極545,546の並び方と、下磁石581の下側の磁極585,586の並び方とは、中心軸周りに約30度ずれている。上側吸引部540と下側吸引部580との位置関係がこのようである複数の収容皿501を用いる場合、各皿501の中心軸周りの回転位置を揃えた状態を吸着位置とすることができる。したがって、各皿501の中心軸周りの回転位置を揃えて各皿501を上下方向に重ねることにより、各皿501の上側吸引部540とその上の他の皿501の下側吸引部580との間で磁気吸引力を得て、皿501同士が引き合うようにすることができる。
【0076】
変形例1に係る収容皿501を用いる場合においても、他の部材を必要とすることなく、皿組付構造100を構成することができる。したがって、皿組付構造100の構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。その他、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、容易に行うことができる作業により皿組付構造100を製造することができる。また、収容皿501は低コストで製造することができるので、皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。
【0077】
また、2つの収容皿501が組み合わされている場合において、一方の収容皿501を他の収容皿501に対して回転させて吸着位置から反発位置にすることにより、容易に2つの収容皿501を引き離すことができる。
【0078】
上磁石541や下磁石581は、片面に多極を有するように構成されている一体型の磁石である。したがって、各磁極545,546,585,586の位置決めについて複雑な作業は必要なく、容易に収容皿501を製造することができる。
【0079】
図6は、実施の形態1の変形例2に係る飲食物収容皿601の構成を示す斜視図である。
【0080】
変形例2に係る収容皿601は、皿板2に設けられた上側吸引部640と、高台部7に設けられた下側吸引部680とを有している。
【0081】
上側吸引部640は、例えば、鉄板等の軟磁性体である。上側吸引部640は、例えば、高台部7よりも大きい直径を有する円盤状であるが、これに限られない。
【0082】
下側吸引部680は、高台部7の下端部近傍部位に配置された、複数(例えば、4つ)の下磁石681を有している。下磁石681のそれぞれは、例えば希土類磁石であり、比較的高い磁束密度を有している。
【0083】
変形例2に係る収容皿601を用いる場合においても、他の部材を必要とすることなく、皿組付構造100を構成することができる。すなわち、収容皿601の上に他の収容皿601を配置することにより、下側の収容皿601の上側吸引部640と上側の収容皿601の下磁石681とが引き合うようにして、2つの皿601を互いに吸着させることができる。したがって、皿組付構造100の構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。その他、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、容易に行うことができる作業により皿組付構造100を製造することができる。また、収容皿601は低コストで製造することができるので、皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。
【0084】
本変形例においては、下磁石681として希土類磁石を用いることにより、比較的軽量に構成した下側吸引部680により、皿601を確実に他の皿601に組み付けることができる。また、下側吸引部680にのみ永久磁石が用いられているので、2つの皿601同士の周方向の位置関係を考慮せずとも、容易に2つの皿601を組み付けることができる。また、下側吸引部680にのみ永久磁石が用いられているので、下磁石681の磁極の向きを考慮せずに下磁石681を配置することができ、容易に収容皿601を製造可能である。また、上側吸引部640が軟磁性体であるので、皿板2に他の磁性体が吸着することを防止することができ、容易に収容皿601を取り扱うことができる。
【0085】
図7は、実施の形態1の変形例3に係る飲食物収容皿701の構成を示す斜視図である。
【0086】
変形例3に係る収容皿701は、皿板2に設けられた上側吸引部740と、高台部7に設けられた下側吸引部780とを有している。
【0087】
上側吸引部740は、例えば、鉄板等の軟磁性体であるリング状の上磁性体部742である。下側吸引部780は、高台部7の下端部近傍部位に配置された、リング状の永久磁石である下磁石781である。下磁石781は、例えばフェライト磁石であるが、これに限られない。下磁石781は、下側に磁極を有するように構成されている。上磁性体部742と下磁石781とは互いに略同じ直径を有するリング状の部材である。
【0088】
変形例3に係る収容皿701を用いる場合においても、他の部材を必要とすることなく、皿組付構造100を構成することができる。すなわち、収容皿701の上に他の収容皿701を配置することにより、下側の収容皿701の上側吸引部740と上側の収容皿701の下磁石781とが引き合うようにして、2つの皿701を互いに吸着させることができる。したがって、皿組付構造100の構成部材を保管する場所を省スペース化することができる。その他、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、容易に行うことができる作業により皿組付構造100を製造することができる。また、収容皿701は低コストで製造することができるので、皿組付構造100の製造コストを低く抑えることができる。
【0089】
本変形例においては、下側吸引部780にのみ永久磁石が用いられているので、2つの皿701同士の周方向の位置関係を考慮せずとも、容易に2つの皿701を組み付けることができる。また、下側吸引部780にのみ永久磁石が用いられているので、下磁石781の磁極の向きを考慮せずに下磁石781を配置することができ、容易に収容皿701を製造可能である。また、上側吸引部740が軟磁性体であるので、皿板2に他の磁性体が吸着することを防止することができ、容易に収容皿701を取り扱うことができる。
【0090】
なお、変形例2や変形例3において、上側吸引部640,740として永久磁石が用いられ、下側吸引部680,780として軟磁性体が用いられてもよい。
【0091】
(実施の形態2)
【0092】
実施の形態2において、皿組付構造は、上皿と下皿とを磁気吸引力により組み付ける磁気吸引手段として、上皿吸引部と下皿吸引部とを有する組付具を有している。組付具は、上皿と下皿との間に配置される。以下、このように構成された皿組付構造200について説明する。
【0093】
図8は、本発明の実施の形態2に係る皿組付構造200の一例を示す斜視図である。
【0094】
図8に示されるように、本実施の形態において、皿組付構造200は、上皿211と、下皿221と、組付具251(図に線種を変えて示す)とを有している。皿組付構造200も、皿組付構造100と同様に、飲食物800を提供する用途などに用いることが可能である。
【0095】
図9は、同皿組付構造200の構成を説明する分解斜視図である。図10は、同皿組付構造200の側断面図である。
【0096】
本実施の形態において、下皿221は、上皿211と同一形状を有する飲食物収容皿である。上皿211と下皿221は、皿板2の中央部において、例えば鉄等の軟磁性体であるインサート208を有している。インサート208は、例えば、円盤状の鉄板であるが、これに限られない。インサート208は、皿板2の表面に現れないように、皿板2に埋め込まれている。
【0097】
上皿211において、インサート208は、下側吸引部218として機能する。下皿221において、インサート208は、上側吸引部228として機能する。下側吸引部218や、上側吸引部228は、組付具251との間で磁気吸引力を生じるように構成されている。
【0098】
組付具251は、上下方向において、上皿211と下皿221との間に配置されている。換言すると、上皿211は、組付具251の上にある。また、下皿221は、組付具251の下にある。
【0099】
組付具251は、上皿吸引部252と下皿吸引部254とを有している。組付具251は、上皿211の底面に対向する面と、下皿221の上面に対向する面とを有している。上皿211の底面に対向する面に上皿吸引部252が設けられており、下皿221の上面に対向する面に下皿吸引部254が設けられている。
【0100】
すなわち、上皿吸引部252は、組付具251の上面側に配置されている。上皿吸引部252は、例えば円盤状のフェライト磁石等の永久磁石である。上皿吸引部252は、上皿211の下側吸引部218との間で磁気吸引力を生じるように構成されている。
【0101】
また、下皿吸引部254は、組付具251の下面側に配置されている。下皿吸引部254は、例えば円盤状のフェライト磁石等の永久磁石である。下皿吸引部254は、下皿221の上側吸引部228との間で磁気吸引力を生じるように構成されている。
【0102】
本実施の形態において、組付具251は、上方から下方に向けて、上皿吸引部252、中間層255、及び下皿吸引部254を有している。中間層255は、上皿吸引部252と下皿吸引部254とが固定されている、例えば樹脂製の部材である。このように、組付具251が三層に分かれていることにより、磁石を含む磁性体を有する部分が占める体積を小さくすることができる。中間層255として低コストにより構成可能な部材を用いることにより、組付具251及びそれを用いた皿組付構造200の製造コストを低く抑えることができる。また、中間層255を軽量化することにより、組付具251及びそれを用いた皿組付構造200の重量を小さくすることができる。
【0103】
なお、組付具251は、上皿吸引部252と下皿吸引部254とを有する単一の素材により構成された部材であったり、ヨークを有する部材であったりしてもよい。例えば、上下にそれぞれ上皿吸引部252と下皿吸引部254として機能する磁極を有するように構成された、磁石を用いた部材であればよい。
【0104】
なお、組付具251の上下方向の厚みは、上皿211の下端部が下皿221の上面に接触している場合における上皿211の皿板2と下皿221の皿板2との間の上下方向の寸法よりも大きいことが望ましい。このように構成されていることにより、上皿211と下皿221との間に組付具251を挟んで、上皿吸引部252を下側吸引部218に、下皿吸引部254を上側吸引部228に、それぞれ近接させることができる。したがって、上皿211と組付具251との間の磁気吸引力と、下皿221と組付具251との間の磁気吸引力を大きく確保することができ、確実に皿組付構造200を構成することができる。
【0105】
このように、本実施の形態において、組付具251に上皿211及び下皿221をそれぞれ磁気吸引させることができる。皿組付構造200において、組付具251と、下側吸引部218と、上側吸引部228とで、磁気吸引手段が構成されているといえる。上皿211と下皿221とが組付具251により一体に組み付けられる。組付具251は、比較的コンパクトに構成可能であるので、組付具251の保管場所や置き場所などに場所をとられないようにすることができる。また、皿組付構造200を製造するには、上皿211と下皿221との間に組付具251を挟むようにすればよい。容易に行うことができる作業により皿組付構造200を製造することができる。また、組付具251は低コストで製造することができるので、皿組付構造200の製造コストを低く抑えることができる。
【0106】
本変形例においては、上皿211や下皿221に永久磁石が用いられないので、多数の皿211,221を用いる場合において、皿211,221の製造単価を低く抑えることができるというコストメリットを大きく得ることができる。特に、インサート208を配置した簡素な構成の皿211,221を用いることができるので、皿211,221の製造コストをより低く抑えることができる。また、2つの皿211,221同士の周方向の位置関係を考慮せずとも、容易に2つの皿211,221を組み付けることができる。また組付具251の磁極の向きを考慮せずに,容易に皿組付構造200を製造することができる。また、インサート208が軟磁性体であるので、皿板2に他の磁性体が吸着することを防止することができ、容易に皿211,221を取り扱うことができる。
【0107】
なお、上皿211や下皿221として、永久磁石を用いて下側吸引部218や上側吸引部228を構成してもよい。また、下側吸引部218や上側吸引部228のほか、組付具251の上皿吸引部252や下皿吸引部254のそれぞれにおける磁性体や磁極の位置や構成等は、種々設定可能である。
【0108】
なお、上述の各実施の形態に係る皿組付構造100,200は、以下のようにして、飲食物800の提供に用いることができる。以下、皿組付構造100,200を用いた飲食物提供方法について説明する。なお、以下の説明においては、実施の形態1に係る皿組付構造100を例に挙げるが、他の皿組付構造200についても同様にすることができる。
【0109】
図11は、本発明の実施の形態の1つに係る飲食物提供方法について説明するフローチャートである。
【0110】
(ステップS1)まず、上皿11と下皿21とを磁気吸引力により組付け、皿組付構造100を用意する。
【0111】
(ステップS2)次に、皿組付構造100の上皿11の上に、飲食物800を配置する。
【0112】
(ステップS3)そして、飲食物800が配置された皿組付構造100を用いて、飲食物800を提供する。
【0113】
このようにして飲食物800を提供することにより、通常の収容皿を用いる場合と同様に、皿組付構造100を用いた飲食物800の提供を行うことができる。
【0114】
なお、ステップS1とステップS2とは、逆の順番で行われてもよい。すなわち、上皿11が組み付けられていない状態で上皿11に飲食物800を配置し、その後、上皿11と下皿21とを組み付けてもよい。
【0115】
また、ステップS3により飲食物800が提供された後で、皿組付構造100を分解する工程が行われてもよい。分解工程では、例えば、飲食物800の提供に用いられた後の皿組付構造100が回収される。そして、手作業又は機械的動作により上皿11と下皿21とを引き離すなどして両者の組付けを解除して、上皿11と下皿21とに分解する。これにより、上皿11や下皿21のそれぞれが単体の収容皿として再び使用できるようになる。また、必要な場合には再び上皿11と下皿21とを吸着させて、皿組付構造100を構成することができる。
【0116】
なお、上述の飲食物提供方法は、例えば飲食店などの店舗内において用いられる飲食物搬送装置807を用いた店舗システム1000などにおいて用いることが可能である。この場合、例えば、上述のステップS3を、ユーザ(飲食をする者)が使用するテーブル805の近傍を巡るように配置されており飲食物搬送装置807により駆動される搬送路807b上に、最も上にある上皿11の上に飲食物800が配置されている状態で皿組付構造100を配置するステップとしてもよい。
【0117】
図12は、同飲食物提供方法が使用されうる店舗システム1000の一例について説明する図である。
【0118】
図12に示されるように、店舗システム1000は、例えば飲食店などの店舗内において用いられるものである。図12には、その一部が示されている。飲食店は、例えばいわゆる回転寿司店である。
【0119】
本実施の形態において、店舗システム1000は、座席803、テーブル805、及び飲食物搬送装置807を備える。テーブル805及び座席803は、客であるユーザが飲食を行う店内において設けられている。飲食物搬送装置807は、店内と、図示しない厨房とにわたって設けられている。
【0120】
店舗システム1000において、一のテーブル805を利用するユーザが着席することができるように、座席803が配置されている。
【0121】
飲食物搬送装置807は、搬送路807b及び上側ユニット807cを有している。搬送路807bには、飲食物である寿司等が載った収容皿1が乗せられる。搬送路807bは、ユーザが使用する各テーブル805の近傍を巡るように配置されている。搬送路807bは、各テーブル805の近傍において収容皿1が搬送されるように敷設されている。なお、搬送路807bは、例えば、上面がフラットに構成されたクレセントチェーンなどを用いて構成されているが、これに限られない。
【0122】
上側ユニット807cは、搬送路807bの上方に配置されている。上側ユニット807cは、照明手段を内蔵しており、搬送路807bを照らすように、下方に光を照射するように構成されている。上側ユニット807cは、例えば、ユーザが使用する食器やカトラリー等が上面に配置されるようにしてもよい。
【0123】
なお、飲食物搬送装置807は、上側ユニット807cを有していなくてもよい。上側ユニット807cなどに、載置された収容皿1を搬送可能に構成された搬送路が設けられていてもよい。また、搬送路は、客が飲食物800を観察することができるように収容皿1をゆっくりと搬送するように構成されているものに限られない。例えば、載置された収容皿1を所定の距離だけ搬送することにより指定したテーブル805の近傍に収容皿1を搬送可能に構成されている搬送路を用いてもよい。このような搬送路は、例えば、予め注文された飲食物800を注文したユーザに速やかに提供するために用いることができる。
【0124】
このように構成されている店舗システム1000において、最も上にある上皿11の上に飲食物800が配置されている状態の皿組付構造100を、搬送路807b上に配置することにより、ユーザに対して飲食物800を提供することができる。客であるユーザは、皿組付構造100を用いて提供された飲食物800を消費した後で、皿組付構造100を分解することができる。この場合、皿組付構造100の構成要素がテーブル805上などにおいて広い場所をとることがない。したがって、ユーザは、快適に飲食を楽しむことができる。
【0125】
(その他)
【0126】
上述の実施の形態においては、皿組付構造として2つの収容皿を用いたものを説明したが、皿組付構造は、3つ以上の収容皿が組み付けられているものであってもよい。この場合においても、いずれかの上下2枚の皿(上皿と下皿)が用いられていればよい。
【0127】
上述の実施の形態2において、組付具を2以上用いることにより、3以上の収容皿がひとまとまりに組み付けられていてもよい。この場合において、各組付具は、異なる構成を有しているものであってもよい。
【0128】
皿組付構造を構成する2以上の皿は、互いに異なる形状を有していてもよい。例えば、高台部を有しない上皿と高台部を有する下皿とが組み付けられて、皿組付構造が構成されていてもよい。
【0129】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0130】
上述の複数の実施の形態を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本発明にかかる皿組付構造は、構成部材を保管する場所を省スペース化することができるという効果を有し、皿組付構造等として有用である。
【符号の説明】
【0132】
1、211、221、501、601、701 飲食物収容皿
1b 磁気吸引手段
2 皿板
3 目印部
4、228、540、640、740 上側吸引部
7 高台部
8、218、580、680、780 下側吸引部
11、211 上皿
21、221 下皿
41、541 上磁石
42、742 上磁性体部
81、581、681、781 下磁石
82 下磁性体部
100、200 皿組付構造
208 インサート
251 組付具
252 上皿吸引部
254 下皿吸引部
255 中間層
545、585 第一磁極
546、586 第二磁極
800 飲食物
803 座席
805 テーブル
807 飲食物搬送装置
807b 搬送路
807c 上側ユニット
1000 店舗システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12