(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027867
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20230224BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 G
H01H13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133198
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】591045323
【氏名又は名称】瓜生製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】滝川 陽平
【テーマコード(参考)】
3C064
5G206
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC08
3C064BA03
3C064BA37
3C064BB52
3C064CA53
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
5G206AS25K
5G206KS06
(57)【要約】
【課題】電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが容易で、また、接点の摩耗がないという無接点スイッチを用いる方式の有する利点を享有しながら、周辺の磁界の影響を受けたり、ノイズ源となったりすることのない、無接点スイッチを用いた電動工具を提供すること。
【解決手段】バッテリ駆動の電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチ2を備え、トリガースイッチ2のレバー3の主軸31の位置の変化を光センサ41、42からなる位置検出機構4で検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチを備えた電動工具において、前記トリガースイッチのレバーの主軸の位置の変化を光センサからなる位置検出機構で検出するようにしたことを特徴とする光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【請求項2】
前記トリガースイッチが、モータの起動、回転速度及び回転方向の少なくともいずれか1つの動作を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【請求項3】
前記位置検出機構が、透過型フォトセンサからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【請求項4】
前記位置検出機構が、反射型フォトセンサからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記位置検出機構を、電動工具の内部基板に備えてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【請求項6】
前記トリガースイッチのレバーの主軸の位置の変化を検出する少なくとも1つの有接点スイッチを備えてなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【請求項7】
前記有接点スイッチを、位置検出機構と直列に配置してなることを特徴とする請求項6に記載の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関し、詳しくは、電動モータを搭載し、その起動、回転速度、回転方向等の動作を制御するためのトリガースイッチを備えた電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータを搭載した電動工具の起動、回転速度、回転方向等の動作を制御するために備えられるトリガースイッチとして、タクトスイッチ等の有接点スイッチを用いる方式が用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、有接点スイッチを用いる方式は、例えば、電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが困難であり、また、接点の摩耗等の点で、耐久性の問題もあった。
【0003】
一方、上記問題がないものとして、
図3及び
図4に示すように、電動工具1に備えられるトリガースイッチ2に、トリガースイッチ2のレバー3の主軸31に磁石32を取り付け、レバー3の操作に伴う磁石32の磁場の変化をホールIC71、72等の位置検出機構7で検出する無接点スイッチを用いる方式が提案され、実用化されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-315119号公報
【特許文献2】特開2012-245605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記無接点スイッチを用いる方式は、例えば、電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが容易で、また、接点の摩耗がない点で、耐久性に優れているという利点がある。
その一方で、磁石32の磁場の変化をホールIC71、72等の位置検出機構7で検出するようにしているため、周辺の磁界の影響で誤作動を起こしたり、磁石32が他の信号線に対するノイズ源となったりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記無接点スイッチを用いる方式が有する問題点に鑑み、電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが容易で、また、接点の摩耗がないという無接点スイッチを用いる方式の有する利点を享有しながら、周辺の磁界の影響を受けたり、ノイズ源となったりすることのない、無接点スイッチを用いた電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具は、電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチを備えた電動工具において、前記トリガースイッチのレバーの主軸の位置の変化を光センサからなる位置検出機構で検出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記トリガースイッチが、モータの起動、回転速度及び回転方向の少なくともいずれか1つを制御するものとすることができる。
【0009】
また、前記位置検出機構に、透過型フォトセンサ又は反射型フォトセンサを用いることができる。
【0010】
また、前記位置検出機構を、電動工具の内部基板に備えてなるようにすることができる。
【0011】
また、前記トリガースイッチのレバーの主軸の位置の変化を検出する少なくとも1つの有接点スイッチを備えてなるようにすることができる。
【0012】
また、前記有接点スイッチを、位置検出機構と直列に配置してなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具によれば、電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチを備えた電動工具において、トリガースイッチのレバーの主軸の位置の変化を光センサからなる位置検出機構で検出するようにすることにより、電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが容易で、また、接点の摩耗がないという無接点スイッチを用いる方式の有する利点を享有しながら、電気モータ等から発生する周辺の磁界の影響を受けることがなく、また、磁石を用いないため、他の信号線に対するノイズ源となることがなく、電動工具の安定した動作制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具の一実施例を示す説明図である。
【
図2】同電動工具のトリガースイッチの説明図である。
【
図3】従来の電動工具の一実施例を示す説明図である。
【
図4】同電動工具のトリガースイッチの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~
図2に、本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具である油圧式トルクレンチの一例を示す。
【0017】
この油圧式トルクレンチは、バッテリ駆動の電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチ2を備え、トリガースイッチ2のレバー3を操作することによってレバー3の主軸31を押し込むようにし、主軸31の位置の変化を光センサ41、42からなる位置検出機構4で検出するようにしている。
【0018】
ここで、位置検出機構4を構成する光センサ41、42には、発光素子と受光素子を対向して配置し、その間を検出物体である主軸31が通過し、光を遮ることにより、主軸31の先端位置を検出する透過型フォトセンサ(フォトインタラプタ)を用いるようにしている。
また、光センサ41、42には、発光素子と受光素子を同じ側に配置し、その位置を検出物体である主軸31が通過し、光を反射することにより、主軸31の先端位置を検出する反射型フォトセンサ(フォトリフレクタ)を用いることもできる。
【0019】
位置検出機構4を構成する光センサ41、42は、本実施例においては、2個を直列に、内部基板6に配置するようにし、トリガースイッチ2のレバー3の主軸31の押し込み量に合わせて、まず、光センサ41が主軸31の先端位置を検出した時に電動モータに起動信号を送信し、次に、光センサ42が主軸31の先端位置を検出した時に電動モータの回転速度を変化させる信号を送信し、回転速度を変化させることが可能となるようにしている。
【0020】
そして、トリガースイッチ2のレバー3及び位置検出機構4は、起動、回転速度、回転方向等の動作を制御する対象に応じて構成することができ、例えば、回転方向の制御を行う回転方向切換レバー及びその位置検出機構を構成する光センサ(図示省略)を別途設けるようにしたり、位置検出機構4を構成する光センサも、1個又は2個以上で構成することができる。
【0021】
さらに、位置検出機構4を構成する光センサ41、42に加え、トリガースイッチ2のレバー3の主軸31の位置の変化を検出するタクトスイッチ等の有接点スイッチ5を、本実施例においては、位置検出機構4を構成する光センサ41、42の前に直列に配置するようにしている。
そして、この有接点スイッチ5により、例えば、油圧式トルクレンチの電源のON/OFFを制御することで、待機中の消費電力を抑えることが可能となる。
【0022】
以上、本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具について、バッテリ駆動の電動モータを搭載し、動作制御のためのトリガースイッチを備えた油圧式トルクレンチの実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の光センサを用いたトリガースイッチを備えた電動工具は、電気モータの回転速度を段階的あるいは直線的に変化させることが容易で、また、接点の摩耗がないという無接点スイッチを用いる方式の有する利点を享有しながら、周辺の磁界の影響を受けたり、ノイズ源となったりすることのないことから、バッテリ駆動の電動モータを搭載した油圧式トルクレンチ等の電動工具の用途に広く、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 油圧式トルクレンチ(電動工具)
2 トリガースイッチ
3 レバー
31 主軸
32 磁石
4 位置検出機構
41 光センサ
42 光センサ
5 有接点スイッチ
6 内部基板
7 位置検出機構
71 ホールIC
72 ホールIC