(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028221
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】トイレ装置,便器及びリモートコントローラ
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20230224BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
E03D9/08 A
H04Q9/00 341Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133790
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 浩和
(72)【発明者】
【氏名】町田 雅章
【テーマコード(参考)】
2D038
5K048
【Fターム(参考)】
2D038JC01
5K048BA01
5K048DC01
5K048EB02
5K048FB15
5K048FC03
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】リモートコントローラと遠隔操作装置とを備えている場合に便器の操作における不具合をなくすことができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置1は、ネットワーク50を介して便器10を遠隔操作するスマートフォン30によって操作される便器10と、便器10を操作するリモートコントローラ70とを備えている。トイレ装置1は、スマートフォン30からの遠隔操作が可能な状態において、便器10がリモートコントローラ70から12時間ごとに送信される便器10の設定信号に対応する処理を行わない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して前記便器を遠隔操作するトイレ用遠隔操作装置によって操作される便器と、前記便器を操作するリモートコントローラとを備えたトイレ装置であって、
前記トイレ用遠隔操作装置による前記便器の遠隔操作が可能な状態において、前記便器は前記リモートコントローラから送信された特定の信号に対応する処理を行わないトイレ装置。
【請求項2】
前記特定の信号に対応する処理とは、前記リモートコントローラから送信され、前記便器が受信した特定の信号に基づく処理である請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記トイレ用遠隔操作装置による前記便器の遠隔操作が可能な状態から不可能な状態になると、前記便器は前記リモートコントローラから送信され、前記便器が受信した前記特定の信号に基づく処理を行う請求項1及び2のいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項4】
ネットワークを介して前記便器を遠隔操作するトイレ用遠隔操作装置によって操作される便器と、前記便器を操作するリモートコントローラとを備えたトイレ装置であって、
前記トイレ用遠隔操作装置による前記便器の遠隔操作が可能な状態において、
前記リモートコントローラは特定の信号を送信しないトイレ装置。
【請求項5】
遠隔操作を有効にする操作を実行した前記リモートコントローラは、前記特定の信号を送信しない請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記特定の信号は、前記便器を設定する設定信号である請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記特定の信号は、一定時間ごとに前記リモートコントローラから送信される前記便器を設定する設定信号である請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
リモートコントローラ、及びネットワークを介して遠隔操作するトイレ用遠隔操作装置によって操作される便器であって、
前記トイレ用遠隔操作装置による前記便器の遠隔操作が可能な状態において、前記リモートコントローラから送信された特定の信号に対応する処理を行わない便器。
【請求項9】
ネットワークを介して前記便器を遠隔操作するトイレ用遠隔操作装置によって遠隔操作される便器を操作するリモートコントローラであって、
前記トイレ用遠隔操作装置による前記便器の遠隔操作が可能な状態において、特定の信号を送信しないリモートコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はトイレ装置,便器及びリモートコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来のトイレ装置を開示している。このトイレ装置は、便器、トイレ用遠隔操作装置、及びリモートコントローラを備えている。トイレ用遠隔操作装置は、ネットワークを介して便器を遠隔操作することができる。便器は、トイレ用遠隔操作装置から送信されて受信した設定信号に応じて便器が設定されるとともに、この設定信号に応じた設定情報を記憶部に記憶する。リモートコントローラは、便器を操作することができる。便器は、リモートコントローラから送信されて受信した設定信号に応じて便器が設定されるとともに、設定信号に応じた設定情報を記憶部に記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、リモートコントローラと便器との同期機能について開示していない。同期機能は、リモートコントローラの記憶部に記憶した設定情報に応じた設定信号をリモートコントローラが一定時間ごとに自動的に送信し、便器の記憶部に記憶した設定情報を更新して同期させる機能である。トイレ装置が、同期機能を有していると、トイレ用遠隔操作装置によって遠隔操作されて便器の記憶部に記憶された設定情報は、リモートコントローラの記憶部に記憶した設定情報に定期的に更新される。このため、このトイレ装置は、トイレ用遠隔操作装置によって設定された便器の設定を継続させることができない。
【0005】
本開示は、リモートコントローラと遠隔操作装置とを備えている場合に便器の操作における不具合をなくすことができるトイレ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ装置は、ネットワークを介して前記便器を遠隔操作するトイレ用遠隔操作装置によって操作される便器と、前記便器を操作するリモートコントローラとを備えたトイレ装置であって、前記トイレ用遠隔操作装置からの遠隔操作が可能な状態において、前記便器は前記リモートコントローラから送信された特定の信号に対応する処理を行わない。
【0007】
「便器はリモートコントローラから送信された特定の信号に対応する処理を行わない」とは、リモートコントローラから送信された特定の信号を便器が受信しないこと、リモートコントローラから送信され、便器が受信した特定の信号に基づく処理を行わないことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1及び2のトイレ装置において、便器に接続したリモートコントローラ、及びスマートフォンを示す図である。
【
図2】実施形態1及び2のトイレ装置において、便器に接続したリモートコントローラ、及びスマートフォンを示す概略図である。
【
図3】実施形態1及び2のリモートコントローラを示す正面図である。
【
図4】一括制御画面が表示された実施形態1及び2のスマートフォンを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のトイレ装置を具体化した実施形態1及び2について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
<実施形態1>
実施形態1のトイレ装置1は、
図1及び
図2に示すように、複数の便器10、便器10毎に設けられた複数のリモートコントローラ70、及びトイレ用遠隔操作装置として機能するスマートフォン30を備えている。各便器10は、オフィスビルや商業施設等の複数のトイレ室内に設けられた複数のトイレブース内に一つずつ設置されている。各トイレ室はオフィスビルや商業施設等の各階に設けられている。各便器10は、各トイレ室内に設けられた無線ルータ57を介してネットワーク50に接続されている。ネットワーク50は、インターネット51、携帯電話回線網53、オフィスビルや商業施設等のLAN(Local Area Network)55等で構成されている。オフィスビルや商業施設等の管理者(以下、「管理者」という。)は、各便器10を無線ルータ57に接続する際、リモートコントローラ70を利用してペアリング操作を行う。ペアリング操作はスマートフォン30による便器10の遠隔操作を有効にするものである。
【0011】
各便器10は、
図2に示すように、制御部11、記憶部13、送受信部15、及び受信部17を有している。各便器10の制御部11は、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を受け付けたか否かに基づいて、便器10が無線ルータ57に接続されているか否かを判断する。つまり、各便器10の制御部11は、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を受け付ける前は、便器10が無線ルータ57に接続されていないと判断する。各便器10の制御部11は、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を受け付けた後は、便器10が無線ルータ57に接続されていると判断する。
【0012】
各便器10は、便器本体、便器洗浄装置、便座装置、局部洗浄装置、流水音再生装置、及び脱臭装置を備えている。便器洗浄装置は、1回の便器洗浄に使用される洗浄水量の設定値、及び洗浄開始時間の設定値を変更することができる。便座装置は、便座の温度の設定値を変更することができる。局部洗浄装置は、洗浄強さの設定値、及び局部洗浄水の温度の設定値を変更することができる。流水音再生装置は、流水音の再生音量の設定値を変更することができる。
【0013】
便座装置及び局部洗浄装置は、便座の温度及び局部洗浄水の温度を下げて消費電力を抑える節電機能を備えており、節電機能を実行させるか否かを設定することができる。便器洗浄装置は、使用者が便座から立ち上がると自動的に便器洗浄を行う自動便器洗浄機能を備えており、自動便器洗浄機能を実行させるか否かを設定することができる。流水音再生装置は、使用者が便座に座ると流水音が自動的に流れ、使用者が便座から立ち上がると停止する自動再生機能を備えており、自動再生機能を実行させるか否かを設定することができる。
【0014】
各便器10は、
図1及び
図2に示すように、設置された各トイレブースに備え付けられるリモートコントローラ70を備えている。リモートコントローラ70は、同じトイレブース内に設置された便器10に備えられた各装置を操作する際に便器10の使用者等に利用される。リモートコントローラ70は、
図2に示すように、制御部71、記憶部73、及び送信部75を有している。
【0015】
リモートコントローラ70は、
図3に示すように、便器洗浄装置を操作する2個の操作ボタン710,711を有している。これら2個の操作ボタン710,711は、大便時の便器洗浄を実行する大洗浄ボタン710、小便時の便器洗浄を実行する小洗浄ボタン711である。リモートコントローラ70の制御部71は、大洗浄ボタン710、及び小洗浄ボタン711が押されると、各操作ボタン710,711に応じた駆動信号を送信部75から送信させる。便器10は、受信部17で受信した駆動信号に応じて便器洗浄装置が便器洗浄を実行する。
【0016】
リモートコントローラ70は、局部洗浄装置を操作する5個の操作ボタン720,721,722,723を有している。これら5個の操作ボタン720,721,722,723は、肛門洗浄を実行するおしりボタン720、女性用局部洗浄を実行するビデボタン721、これら洗浄を止める止ボタン722、及び洗浄強さを調節する一対の調節ボタン723である。リモートコントローラ70の制御部71は、おしりボタン720、ビデボタン721、及び止ボタン722が押されると、各操作ボタン720,721,722に応じた駆動信号を送信部75から送信させる。便器10は、受信部17で受信した駆動信号に応じて局部洗浄装置が局部洗浄を実行したり、停止したりする。リモートコントローラ70の制御部71は、一対の調節ボタン723が押されると、各調節ボタン723に応じた設定信号を送信部75から送信させる。便器10の制御部11は、リモートコントローラ70の送信部75から送信され、便器10の受信部17で受信した設定信号に応じて、洗浄強さを設定するとともに、設定後の洗浄強さを設定情報として記憶部13に記憶させる。
【0017】
リモートコントローラ70は、流水音再生装置を操作する3個の操作ボタン730,731を有している。これら3個の操作ボタン730,731は、流水音の再生の開始及び停止をする流水音ボタン730、流水音の再生音量を調節する一対の音量調節ボタン731である。リモートコントローラ70の制御部71は、流水音ボタン730が押されると、駆動信号を送信部75から送信させる。便器10は、受信部17が受信した駆動信号に応じて、流水音の再生を開始したり、停止したりする。リモートコントローラ70の制御部71は、一対の音量調節ボタン731が押されると、各音量調節ボタン731に応じた設定信号を送信部75から送信させる。便器10の制御部11は、リモートコントローラ70の送信部75から送信され、便器10の受信部17で受信した設定信号に応じて、音量を設定するとともに、設定後の音量を設定情報として記憶部13に記憶させる。
【0018】
リモートコントローラ70は、便座の温度を設定する便座ボタン740と、局部洗浄水の温度を設定する温水ボタン750とを有している。リモートコントローラ70は、特定の2個のボタンが同時に押されることによって、管理者モードになる。便座ボタン740及び温水ボタン750は、リモートコントローラ70が管理者モードになっているときのみ機能するため、管理者のみが操作することができ、便器10の使用者は操作することができない。リモートコントローラ70の制御部71は、便座ボタン740及び温水ボタン750が押されるたびに4段階の温度を順番に切り替え、各ボタン740,750より上側に配置した3個の表示ランプ760の点灯状態を切り替える。リモートコントローラ70の制御部71は、便座ボタン740、及び温水ボタン750が押されると、各ボタン740,750に応じた設定信号を送信部75から送信させる。便器10の制御部11は、リモートコントローラ70の送信部75から送信され、便器10の受信部17で受信した設定信号に応じて、便座の温度及び局部洗浄水の温度を設定するとともに、設定後の温度を設定情報として記憶部13に記憶させる。
【0019】
リモートコントローラ70は、便座装置及び局部洗浄装置の節電機能を実行させるか否かを設定する節電入/切ボタン770を有している。節電入/切ボタン770は、リモートコントローラ70が管理者モードになっているときのみ機能するため、管理者のみが操作することができ、便器10の使用者は操作することができない。リモートコントローラ70の制御部71は、節電入/切ボタン770が押されると、節電機能を実行させる信号及び節電機能を停止させる信号のいずれかの設定信号を送信部75から送信させる。便器10の制御部11は、リモートコントローラ70の送信部75から送信され、便器10の受信部17で受信した設定信号に応じて、節電機能を実行させたり、停止させたりするとともに、設定後の節電機能の状態を設定情報として記憶部13に記憶させる。
【0020】
リモートコントローラ70は、管理者モードになると、各操作ボタンの操作によって、1回の便器洗浄に使用される洗浄水量、自動便器洗浄機能における洗浄開始時間、自動便器洗浄機能を実行させるか否か、流水音再生装置の自動再生機能を実行させるか否か、及び節電機能を実行させるか否かを設定することができる。
【0021】
リモートコントローラ70の制御部71は、記憶部73に記憶した設定情報に応じた設定信号を12時間ごとにリモートコントローラ70の送信部75から自動的に送信させる。この設定信号を受信部17で受信した便器10の制御部11は、便器10が無線ルータ57に接続されていないと判断している場合、この設定信号に基づく処理を実行する。設定信号に基づく処理とは、受信部17で受信した設定信号に基づいて便器10の各装置を設定するとともに、受信した設定信号に基づいた設定情報を記憶部13に記憶させることである。便器10が無線ルータ57に接続されていない状態は、便器10がネットワーク50を介して通信が不可能な状態であり、後述するトイレ用遠隔操作装置として機能するスマートフォン30による便器10の遠隔操作が不可能な状態である。このように、トイレ装置1は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が不可能な状態において、便器10がリモートコントローラ70から送信され、受信部17で受信した設定信号に基づく処理を行う。これによって、トイレ装置1は、便器10の記憶部13に記憶した設定情報を、リモートコントローラ70の記憶部73に記憶された設定情報と定期的に同期させる。
【0022】
便器10の制御部11は、便器10が無線ルータ57に接続されていると判断している場合、リモートコントローラ70の送信部75から12時間ごとに送信され、受信部17で受信した便器10の設定信号に基づく処理を行わない。便器10が無線ルータ57に接続されている状態は、便器10がネットワーク50を介して通信が可能な状態であり、後述するトイレ用遠隔操作装置として機能するスマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態である。このように、トイレ装置1は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態において、便器10はリモートコントローラ70から12時間ごとに送信され、受信部17で受信した便器10の設定信号に基づく処理を行わない。
【0023】
スマートフォン30は、
図1及び
図2に示すように、ネットワーク50を介してオフィスビルや商業施設等の複数のトイレ室に設置された複数の便器10の設定を遠隔操作することができる。スマートフォン30は、複数の便器10を遠隔操作するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。管理者は、スマートフォン30にインストールされたアプリケーションプログラムを起動して、各トイレ室に設置された複数の便器10の設定を遠隔操作することができる。スマートフォン30は、アプリケーションプログラムをインストールすると便器操作用のアイコンがホーム画面に表示される。アプリケーションプログラムは、スマートフォン30のホーム画面に表示された便器操作用のアイコンがタッチ操作されることによって起動する。
【0024】
スマートフォン30は、アプリケーションプログラムが起動されると、
図4に示すように、一括制御画面310が表示される。一括制御画面310は、第1画面311、第2画面312、及び第3画面313を有している。第1画面311は、一括制御画面310の上部から上下方向の中央部に配置される。第2画面312は、第1画面311の下端から下方に延びており、一括制御画面310の下端部側に配置される。第3画面313は、第2画面312より下方であり、一括制御画面310の下端部に配置される。
【0025】
第1画面311は、便器10のシルエットを示す複数のピクトグラム311Aを表示している。このピクトグラム311Aは、オフィスビルや商業施設等におけるトイレ室に設置された各便器10に対応している。第1画面311は、各便器10を示すピクトグラム311Aの右側に便器10の設置場所を示す情報を表示している。便器10の設置場所を示す情報は、オフィスビルや商業施設等のビル名、トイレ室が設けられている階数、男子用のトイレ室か女子用のトイレ室かを示す表示、及びトイレブース番号である。第1画面311は、各便器10を示すピクトグラム311Aの右側であって、設置場所を示す情報の下側に、便座の設定温度を示す温度表示部311B、及び局部洗浄水の設定温度を示す温度表示部311Cが左右に並んで配置されている。各温度表示部311B,311Cは、設定温度を4段階に分けて表示している。便器10毎に示される便座の設定温度及び局部洗浄水の設定温度は、各便器10からネットワーク50を介してスマートフォン30へ送信された便座の設定温度に応じた信号、及び局部洗浄水の設定温度に応じた信号に基づいて表示される。
【0026】
第1画面311は、各ピクトグラム311Aの下側にチェックボックス311Dを表示している。第1画面311は、複数の便器10が設置されているオフィスビルや商業施設等の階数を示す表示311Eと、この表示311Eの左横にチェックボックス311Fを表示している。各チェックボックス311D,311Fは、ピクトグラム311Aが表示されている部分及び階数を示す表示311Eがされている部分をタッチ操作する毎にチェックマークの表示及び非表示が繰り返される。これによって、管理者は、対応する便器10及び階が選択されているか否かを確認することができる。管理者が階数を示す表示311Eがされている部分をタッチ操作し、階数を示す表示311Eの左横に表示されたチェックボックス311Fにチェックマークが表示され、選択した状態にすると、選択した階に設置された全ての便器10を選択したことになる。第1画面311は、上下方向にスクロールすることによって、各階に設けられたトイレ室に設置された全ての便器10が表示される。第1画面311は、便器10を全て選択、及び選択の解除をタッチ操作して選択することができるウィンドウ314を表示している。
【0027】
第2画面312は、「便座温度」、「温水温度」が表示され、各表示の右側に「切」、「低」、「中」、「高」の文字が表示されている。「便座温度」は、便座の設定温度である。「温水温度」は、局部洗浄水の設定温度である。便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度は4段階に分けられている。第2画面312は、「切」、「低」、「中」、「高」の文字が表示されている部分がタッチ操作されることによって、タッチ操作された部分に表示された文字に対応する設定温度が選択される。
【0028】
第3画面313は、キャンセルボタン313A及びOKボタン313Bが表示されている。キャンセルボタン313A及びOKボタン313Bは、第1画面311において、設定する便器10が選択された状態になり、第2画面312において、便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度が選択された状態になっていると、タッチ操作が可能になる。キャンセルボタン313Aがタッチ操作されると、スマートフォン30は、第1画面311における便器10の選択を取り消すとともに、第2画面312における設定温度の選択を取り消す。
【0029】
OKボタン313Bがタッチ操作されると、スマートフォン30は、第2画面312において選択した便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度の夫々に応じた設定信号を選択された全ての便器10に対してネットワーク50を介して送信する。便器10の制御部11は、スマートフォン30から送信され、送受信部15で受信した便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度の夫々に応じた設定信号に基づいて、便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度を設定し、これら設定温度を記憶部13に記憶させる。このように、管理者は、スマートフォン30を利用して、選択された全ての便器10に対して、便座の設定温度、及び局部洗浄水の設定温度を遠隔操作によって設定することができる。
【0030】
スマートフォン30は、図示しない他の制御画面を有している。管理者は、この制御画面を利用して、1回の便器洗浄に使用される洗浄水量、自動便器洗浄機能を実行させるか否か、自動便器洗浄機能における洗浄開始時間、流水音再生装置の自動再生機能を実行させるか否か、流水音再送装置の流水音の再生音量、及び節電機能を実行させるか否かを設定することができる。
【0031】
以上説明したように、実施形態1のトイレ装置1は、ネットワーク50を介して便器10を遠隔操作するスマートフォン30によって操作される便器10と、便器10を操作するリモートコントローラ70とを備えている。このトイレ装置1は、便器10がネットワーク50を介して通信が可能な状態、つまり、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態において、便器10はリモートコントローラ70から12時間ごとに送信される便器10の設定信号に対応する処理を行わない。
【0032】
このトイレ装置1は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作によって設定され、便器10の記憶部13に記憶された設定情報が、リモートコントローラ70から12時間ごとに送信される便器10の設定信号によって更新されない。
【0033】
このように、実施形態1のトイレ装置1は、リモートコントローラ70とスマートフォン30を備えている場合に便器10の操作における不具合を無くすことができ、スマートフォン30によって設定された便器10の設定を継続させることができる。
【0034】
実施形態1のトイレ装置1は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態から不可能な状態になると、便器10はリモートコントローラ70から送信されて受信した設定信号に基づく処理を行う。このため、このトイレ装置1は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作をする機能をなくしたり、スマートフォン30による便器10の遠隔操作をする機能が機能障害になったりすると、リモートコントローラ70によって便器10を設定することができる。
【0035】
<実施形態2>
実施形態2のトイレ装置2は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態において、リモートコントローラ70の制御部71が、記憶部73に記憶した設定情報に応じた設定信号を12時間ごとにリモートコントローラ70の送信部75から送信させない点が実施形態1と相違する。実施形態1と同じ構成は、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0036】
管理者は、各便器10を無線ルータ57に接続する際、リモートコントローラ70を利用してペアリング操作を行う。リモートコントローラ70の制御部71は、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を実行したか否かに基づいて、便器10が無線ルータ57に接続されているか否かを判断する。つまり、各リモートコントローラ70の制御部71は、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を実行する前は、便器10が無線ルータ57に接続されていないと判断し、便器10と無線ルータ57とのペアリング操作を実行した後は、便器10が無線ルータ57に接続されていると判断する。便器10と無線ルータ57とのペアリング操作の実行は、遠隔操作を有効にする操作の実行に相当する。
【0037】
リモートコントローラ70の制御部71は、便器10が無線ルータ57に接続されていないと判断した場合、12時間ごとにリモートコントローラ70の送信部75から便器10の設定信号を送信する。便器10の制御部11は、受信部17で受信した設定信号に基づいた設定情報を記憶部13に記憶させる。このように、このトイレ装置2は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が不可能な状態において、便器10の記憶部13に記憶した設定情報を、リモートコントローラ70の記憶部73に記憶された設定情報と定期的に同期させる。リモートコントローラ70の制御部71は、便器10が無線ルータ57に接続されていると判断した場合、12時間ごとに送信される便器10の設定信号をリモートコントローラ70の送信部75から送信させない。
【0038】
以上説明したように、実施形態2のトイレ装置2は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作が可能な状態において、リモートコントローラ70は12時間ごとに送信される便器10の設定信号を送信しない。このため、このトイレ装置2は、スマートフォン30による便器10の遠隔操作によって設定され、便器10の記憶部13に記憶された設定情報が、リモートコントローラ70から12時間ごとに送信される便器10の設定信号によって更新されない。
【0039】
このように、実施形態2のトイレ装置2は、スマートフォン30によって設定された便器10の設定を継続させることができる。
【0040】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1及び2に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1及び2において、トイレ用遠隔操作装置はスマートフォンである。これに対し、トイレ用遠隔操作装置は、タブレット端末やPC(Personal Computer)等、ネットワークに接続可能な端末であればよい。(2)実施形態1において、スマートフォンによる便器の遠隔操作が可能な状態において、便器の制御部は、リモートコントローラの送信部から12時間ごとに送信され、受信部が受信する便器の設定信号に基づく処理を行わない。これに対し、スマートフォンによる便器の遠隔操作が可能な状態において、リモートコントローラの送信部から12時間ごとに送信される便器の設定信号を便器の受信部が受信しなくてもよい。
(3)実施形態1及び2において、便器と無線ルータとをペアリング操作する前後によって、便器が無線ルータに接続されているか否かを判断した。これに対し、便器の制御部は、便器の送受信部の通信状態を示す信号に基づいて、便器が無線ルータに接続されているか否かを判断してもよい。
(4)実施形態1及び2において、便器がリモートコントローラから受け付けない特定の信号をリモートコントローラの送信部から12時間ごとに送信される便器の設定信号とした。これに対し、特定の信号は、設定信号でなくてもよく、遠隔操作装置として機能するスマートフォンによって管理者が選択した信号等、スマートフォンによって設定することができる信号であってもよい。
(5)リモートコントローラ、及び遠隔操作装置として機能するスマートフォンによって便器に送信する信号は、実施形態1及び2に記載された信号に限らず、便器に備えられた各装置に応じた信号であればよい。
(6)実施形態1及び2において、トイレ装置は複数の便器を備えている。これに対し、トイレ装置は、一つの便器を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,2…トイレ装置、10…便器、30…スマートフォン(トイレ用遠隔操作装置)、50…ネットワーク、70…リモートコントローラ