(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028242
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力供給サービス管理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20230224BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230224BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230224BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20230224BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230224BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20230224BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20230224BHJP
B60L 53/51 20190101ALI20230224BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230224BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 P
H02M3/155 H
H02M3/28 H
H02M3/28 W
H02M3/28 V
H02M3/155 W
H02M7/48 T
B60L53/30
B60L53/53
B60L53/51
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133820
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕
(72)【発明者】
【氏名】廣田 将義
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H730
5H770
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA06
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC24
5H125BE02
5H125CA18
5H125CD10
5H125EE55
5H730AS04
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB83
5H730DD04
5H730DD41
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE73
5H730FD61
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA10
5H770DA01
5H770DA10
5H770DA41
5H770HA04W
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電装置の発電電力を有効に用いるコンパクトな電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、蓄電池と、第1の電圧の直流電力を交流電力に変換する第1の電力変換器と、第1の電力変換器と蓄電池との間に接続され、蓄電池の充電及び放電のための第2の電圧の直流電力と第1の電圧の直流電力との間で電力変換を行う第2の電力変換器とを含むみ、第2の電力変換器は、第1の電圧の直流電力及び第2の電圧の直流電力の間の電力変換に加え、第3の電圧の直流電力との電力変換を行うマルチ入出力型電力変換器を含み、第3の電圧の直流電力を外部に供給するための電力供給部をさらに含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、
第1の電圧の直流電力を交流電力に変換する第1の電力変換器と、
前記第1の電力変換器と前記蓄電池との間に接続され、前記蓄電池の充電及び放電のための第2の電圧の直流電力と前記第1の電圧の直流電力との間で電力変換を行う第2の電力変換器とを含み、
前記第2の電力変換器は、前記第1の電圧の直流電力及び前記第2の電圧の直流電力の間の電力変換に加え、第3の電圧の直流電力との電力変換を行うマルチ入出力型電力変換器を含み、
前記第3の電圧の直流電力を外部に供給するための電力供給部をさらに含む、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1の電力変換器と太陽光発電装置とに接続され、前記太陽光発電装置の出力する第4の電圧の直流電圧を前記第1の電圧に変換する第3の電力変換器をさらに含み、
前記第2の電力変換器は、前記第1の電力変換器及び前記第3の電力変換器の接続ノードと前記蓄電池との間に接続される、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力供給部による外部への電力供給量を計測するための電力計と、
前記電力計の計測結果を用いて、前記外部への電力供給料金を算出する料金算出部と、
金銭精算機能を持つICカードとの通信により前記電力供給料金の精算を行う精算用端末とをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
常には前記電力供給部による外部への電力供給を禁止し、所定の条件が充足されたときに前記電力供給部による外部への電力供給を許可する電力供給制限部をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電力供給部による電力供給可能期間を記憶する外部装置と通信する通信機をさらに含み、
前記電力供給制限部は、前記通信機が得た情報に基づいて、前記外部装置に記憶された前記電力供給可能期間には前記電力供給部による外部への電力供給を許可し、前記電力供給期間外には前記電力供給部による外部への電力供給期間を禁止する、請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置による電力供給サービスを管理する電力供給サービス管理装置であって、
通信装置と、
電力変換装置に関する情報を管理する電力変換装置データベースと、
前記通信装置を介して、電力変換装置に関する前記情報を受信して前記電力変換装置データベースに記憶する電力変換装置情報受信装置と、
前記通信装置を介して、電力変換装置に関する条件付き検索要求を受信したことに応答して、前記電力変換装置データベースから前記検索要求に適合する電力変換装置に関する情報を抽出して前記条件付き検索要求の送信元に返信する電力変換装置検索装置とを含む、電力供給サービス管理装置。
【請求項7】
前記電力供給サービス管理装置はさらに、前記通信装置を介して、ある電力変換装置に関する前記情報の更新要求を受信したことに応答して、前記電力変換装置データベースに記憶されている当該ある電力変換装置に関する情報を更新する電力変換装置情報更新装置を含む、請求項6に記載の電力供給サービス管理装置。
【請求項8】
前記条件付き検索要求は位置情報を含み、
前記電力変換装置検索装置は、前記通信装置を介して前記条件付き検索要求を受信したことに応答して、前記電力変換装置データベースから当該位置情報により特定される位置から所定距離内に存在する電力変換装置に関する前記情報を抽出して前記条件付き検索要求の送信元に返信する範囲内電力変換装置検索装置を含む、請求項6又は請求項7に記載の電力供給サービス管理装置。
【請求項9】
前記条件付き検索要求は第1の位置情報及び第2の位置情報を含み、
前記電力変換装置検索装置は、前記通信装置を介して前記条件付き検索要求を受信したことに応答して、前記電力変換装置データベースから前記第1の位置情報により特定される位置と前記第2の位置情報とを結ぶ移動経路から所定距離内に存在する電力変換装置に関する前記情報を抽出して前記条件付き検索要求の送信元に返信する経路近傍電力変換装置検索装置を含む、請求項6又は請求項7に記載の電力供給サービス管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、電力変換装置及び電力供給サービス管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の普及、及び再生可能エネルギーの利用の促進などの観点から、自宅に太陽光パネル及び充電器、並びに太陽光パネルの出力と商用電力との間に設けられ、直流電力と交流電力との変換を行うインバータを含む電力変換装置を保有する個人が多くなっている。太陽光パネルを設置すると、太陽光パネルの発電電力を一定料金で電力系統に販売できる。しかし、最近では電力の販売価格が電力の購入価格より低くなっているため、太陽光パネルの発電電力を自家使用する方が得になってきている。
【0003】
電気自動車の利用者であれば、太陽光パネルの発電電力で、電気自動車の蓄電池を充電するという選択肢もある。この場合、従来のシステムでは、太陽光パネルの発電電力は一旦交流に変換されて電気自動車に供給され、車載充電器で交流から直流に変換した後に電気自動車の蓄電池に充電される。そのため、電力損失が大きくなる。
【0004】
こうした問題を解決するための一つの提案が、後掲の特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている技術は、太陽光パネルの出力を電力変換装置内で電圧変換して得られた直流電力を電力変換装置から外部に出力できるよう、接続端子を設ける。そして電力変換装置とは別に、電力変換装置の接続端子から受けた直流電力と車両の高圧蓄電池との間で双方向に電圧変換する双方向DC/DC変換器を含む充放電装置を設ける。この充放電装置は、双方向DC/DC変換器に加えて、双方向DC/DC変換器を制御するための制御回路と、外部の電源から直流電力を得て、充放電装置の制御回路の動作と電力変換装置内部の各回路の動作のための電力を供給可能な電源回路とをさらに含む。
【0005】
特許文献1によれば、こうした構成により、太陽光を用いて発電された電気を効率的に車両の駆動用の蓄電池に蓄えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された電力変換システムにより、太陽光パネルの発電電力を用いて車両の蓄電池を充電できる。しかし、特許文献1に開示された電力変換システムは、太陽光パネルのための電力変換装置とは別の充放電装置を必要とする。そのため、特許文献1に開示された技術に係る装置は全体として大きなものとなり、コストが高くなるという問題がある。さらに、特許文献1に開示された技術では、夜間又は雨天時には太陽光パネルの発電電力を用いて車両の蓄電池を充電できない。蓄電システムを電力変換システムに追加すれば、このような場合でも対応可能であるものの、特許文献1に開示された技術では、蓄電システムを用いる場合に、どのような構成にすれば電気自動車の蓄電池を効率的に充電できるかという問題も解決されていない。
【0008】
したがって、この開示は、太陽光発電装置又は蓄電池から得られる直流電力を、外部に直流電力として効率的に供給できるコンパクトな電力変換装置及び電力供給サービス管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この開示の第1の局面に係る電力変換装置は、蓄電池と、第1の電圧の直流電力を交流電力に変換する第1の電力変換器と、第1の電力変換器と前記蓄電池との間に接続され、前記蓄電池の充電及び放電のための第2の電圧の直流電力と第1の電圧の直流電力との間で電力変換を行う第2の電力変換器とを含み、第2の電力変換器は、第1の電圧の直流電力及び第2の電圧の直流電力の間の電力変換に加え、第3の電圧の直流電力との電力変換を行うマルチ入出力型電力変換器を含み、第3の電圧の直流電力を外部に供給するための電力供給部をさらに含む。
【0010】
この開示の第2の局面に係る電力供給サービス管理装置は、上記したいずれかの電力変換装置による電力供給サービスを管理する電力供給サービス管理装置であって、インターネットを介して外部と通信する通信装置と、電力変換装置に関する情報を管理する電力変換装置データベースと、通信装置を介して、電力変換装置に関する情報を受信して電力変換装置データベースに記憶する電力変換装置情報受信装置と、通信装置を介して、電力変換装置に関する条件付き検索要求を受信したことに応答して、電力変換装置データベースから検索要求に適合する電力変換装置に関する情報を抽出して条件付き検索要求の送信元に返信する電力変換装置検索装置とを含む。
【発明の効果】
【0011】
以上のようにこの開示によると、太陽光発電装置の発電電力を有効に活用できるコンパクトな電力変換装置及び電力供給サービス管理装置を提供できる。
【0012】
この開示の上記及び他の目的、特徴、局面及び利点は、添付の図面と関連して理解されるこの開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、この開示の第1実施形態に係る直流電力供給サービスシステムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムで使用される電力変換装置及びその周辺機器のブロック図である。
【
図3】
図3は、電力変換装置の内部における電力変換機構の構成を示す模式的回路図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すシステムにおいて直流による充電が可能な電力変換装置に関する情報を電力供給サービスサーバに登録する際のシーケンス図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すシステムにおいて直流による充電が可能な電力変換装置による充電を受けようとする利用者が利用可能な電力変換装置を検索する際のシーケンス図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すシステムにおいて、直流による充電が可能な電力変換装置による充電を利用者が利用する際のシーケンス図である。
【
図7】
図7は、直流による充電が可能な電力変換装置を検索するときのスマートフォンの検索画面を示す模式図である。
【
図8】
図8は、充電ポイントの検索要求を受けた直流電力供給サービスサーバが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、直流電力供給サービスサーバを実現するコンピュータシステムのハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、この開示の第2実施形態に係る直流電力供給サービスシステムの全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。以下の1又は複数の任意の特徴を組合せてもよい。
【0015】
(1) この開示の第1の局面に係る電力変換装置は、蓄電池と、第1の電圧の直流電力を交流電力に変換する第1の電力変換器と、第1の電力変換器と蓄電池との間に接続され、蓄電池の充電及び放電のための第2の電圧の直流電力と第1の電圧の直流電力との間で電力変換を行う第2の電力変換器とを含み、第2の電力変換器は、第1の電圧の直流電力及び第2の電圧の直流電力の間の電力変換に加え、第3の電圧の直流電力との電力変換を行うマルチ入出力型電力変換器を含み、第3の電圧の直流電力を外部に供給するための電力供給部をさらに含む。
【0016】
マルチ入出力型電力変換器の第3の電圧の直流電力により、外部の蓄電池に充電できる。車両の高圧蓄電池に充電する際に、車両側に車載充電器を搭載する必要がなく、車両を軽量化でき、車両設計の自由度が高くなる。直流電力の出力にマルチ入出力型電力変換器を用いるため、電力変換装置の筐体をコンパクトにできる。
【0017】
(2)電力変換装置は、第1の電力変換器と太陽光発電装置とに接続され、前記太陽光発電装置の出力する第4の電圧の直流電圧を第1の電圧の直流電圧に変換する第3の電力変換器をさらに含み、第2の電力変換器は、第1の電力変換器及び第3の電力変換器の接続ノードと蓄電池との間に接続される。
【0018】
太陽光発電装置の発電する第4の電圧の直流電圧を第3の電力変換器で第1の電圧の直流電圧に変換する。この第1の電圧の直流電圧を第2の電力変換器に与えることにより、太陽光発電装置の発電電力で蓄電池を充電することも、電力供給部を介して外部に供給することもできる。
【0019】
(3) 好ましくは、電力変換装置は、電力供給部による外部への電力供給量を計測するための電力計と、電力計の計測結果を用いて、外部への電力供給料金を算出する料金算出部と、金銭精算機能を持つIC(Integrated Circuit)カードとの通信により電力供給料金の精算を行う精算用端末とをさらに含む。
【0020】
外部への電力供給量を電力計で計測し、料金算出部がその計測結果を用いて電力供給料金を算出する。精算用端末がこの電力供給料金をICカードとの通信により精算する。電力変換装置を用いて第三者が車両に充電するときに精算が迅速かつ確実に行える。
【0021】
(4) より好ましくは、電力変換装置は、常には電力供給部による外部への電力供給を禁止し、所定の条件が充足されたときに電力供給部による外部への電力供給を許可する電力供給制限部をさらに含む。
【0022】
所定の条件が充足されたときのみ外部への電力供給が許可されるので、正当な権限のないものが電力変換装置の直流電力を盗用することが防止できる。
【0023】
(5) さらに好ましくは、電力変換装置は、電力供給部による電力供給可能期間を記憶する外部装置と通信する通信機をさらに含み、電力供給制限部は、通信機が得た情報に基づいて、外部装置に記憶された電力供給可能期間には電力供給部による外部への電力供給を許可し、電力供給期間外には電力供給部による外部への電力供給期間を禁止する。
【0024】
電力変換装置が家庭で使用される場合、その所有者が電力変換装置を第三者の使用に供するための時間を制限する必要がある。この時間制限を設けることにより、電力変換装置の所有者が必要とするときに電力変換装置からの直流電力を使用して例えば電気自動車の蓄電池の充電が行える。
【0025】
(6) この開示の第2の局面に係る電力供給サービス管理装置は、上記したいずれかの電力変換装置による電力供給サービスを管理する電力供給サービス管理装置であって、インターネットを介して外部と通信する通信装置と、電力変換装置に関する情報を管理する電力変換装置データベースと、通信装置を介して、電力変換装置に関する情報を受信して電力変換装置データベースに記憶する電力変換装置情報受信装置と、通信装置を介して、電力変換装置に関する条件付き検索要求を受信したことに応答して、電力変換装置データベースから検索要求に適合する電力変換装置に関する情報を抽出して条件付き検索要求の送信元に返信する電力変換装置検索装置とを含む。
【0026】
直流電力で充電される蓄電池を備えた電気自動車などを使用する第三者が、直流電力を出力可能な電力変換装置を使用する場合、電力変換装置に関する情報が簡単に確認できないと適時にそれらを利用できない。電力変換装置データベースにそれら電力変換装置に関する情報が分かれば、そうした第三者も安心して電気自動車で外出できる。電気自動車には重くかさばる車載充電器を搭載する必要がなくなり、電気自動車を軽くでき、設計の自由度も高くなり、小型化を図ることができる。また電気自動車の単価が下がる効果も期待でき、電気自動車の普及を図ることができる。
【0027】
(7) 好ましくは、電力供給サービス管理装置はさらに、通信装置を介して、ある電力変換装置に関する情報の更新要求を受信したことに応答して、電力変換装置データベースに記憶されているその電力変換装置に関する情報を更新する電力変換装置情報更新装置を含む。
【0028】
電力変換装置の所有者がその電力変換装置に関する情報を何らかの事情により変更した場合、変更後の情報で更新要求を電力変換装置情報更新装置に送信する。電力変換装置情報更新装置は、その情報に基づいて、指定された電力変換装置の情報を更新する。したがって、第三者からの電力変換装置の検索要求に対して、正しく条件に合致した検索を行うことができる。その結果、電力変換装置の所有者及び第三者のいずれにとっても使い安いシステムが提供できる。
【0029】
(8) より好ましくは、条件付き検索要求は位置情報を含み、電力変換装置検索装置は、通信装置を介して条件付き検索要求を受信したことに応答して、電力変換装置データベースから、当該位置情報により特定される位置から所定距離内に存在する電力変換装置に関する情報を抽出して条件付き検索要求の送信元に返信する範囲内電力変換装置検索装置を含む。
【0030】
第三者が電力変換装置を検索する際には、その第三者が利用可能な位置にあるものを検索するはずである。検索時に電力変換装置の位置が限定できるため、第三者にとって使いやすいシステムが提供できる。
【0031】
(9) さらに好ましくは、条件付き検索要求は第1の位置情報及び第2の位置情報を含み、電力変換装置検索装置は、通信装置を介して条件付き検索要求を受信したことに応答して、電力変換装置データベースから、第1の位置情報により特定される位置と第2の位置情報とを結ぶ移動経路から所定距離内に存在する電力変換装置に関する情報を抽出して条件付き検索要求の送信元に返信する経路近傍電力変換装置検索装置を含む。
【0032】
第三者が外出するに先立って電力変換装置を検索する際には、その第三者の出発地と到着地とが分かる。例えばその両者を指定して電力変換装置を検索する場合には、第三者がその出発地と到着地とを結ぶ移動経路及びその近傍で利用可能な位置にあるものを検索できると非常に便利である。検索時に第三者の移動経路に基づいて電力変換装置の位置が限定できるため、第三者にとって使いやすいシステムが提供できる。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電力変換装置及びそうした電力変換装置を含む直流電力供給サービスシステムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0034】
第1 第1実施形態
1 概要
EV(Electric Vehicle)及びPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)など、電力を用いて走行する自動車(以下「電気自動車など」という。)が各家庭に普及するためには、家庭で手軽に電気自動車などを充電するための装置が必要である。またそうした装置は安価であることが好ましい。家庭で使用される電力が交流であるため、電気自動車などを家庭で充電するためにも交流を使用することが一般的である。
【0035】
一方、電気自動車などは蓄電池を搭載している。蓄電池は直流電力により充電され、直流電力を放電する。したがって、交流電力により電気自動車などの蓄電池を充電するためには、交流を直流に変換する車載充電器が必要である。また電気自動車などの蓄電池に蓄えられた電力を家庭で利用するためには、この車載充電器は双方向である必要がある。現状では、こうした車載充電器は大型で、かつある程度の質量を持つ。電気自動車などの加速性能及び電力消費に対して、車両の重量は大きなファクタである。しかも車載充電器は充電時のみ使用し、電気自動車などの走行時には使用されない。したがって車載充電器はなるべく軽くする必要がある。しかし、充電を早くする必要があるなどの要求のため、車載充電器を小型化することは難しい。
【0036】
他方、電気自動車などが普及する一つの要件として、価格をできるだけ安くすることが考えられる。そのためには、電気自動車などを小型化することで全体の価格を抑えることが考えられる。しかしそうした場合、車載充電器のように重量のあるものを搭載することを前提とすると小型化に限界があり、走行性能も期待できない。
【0037】
こうした問題を解決するために、電気自動車などを直流電力で充電できるようにすることが有望である。直流電力で電気自動車などの蓄電池を充電できるのであれば、電気自動車に車載充電器を備える必要はなくなる。その結果、車体を小さくしても居住空間は比較的広くとることができ、車載の重量も少なくなる。したがって、電気自動車などの加速性能及び1充電あたりの走行可能距離も長くなることが期待できる。
【0038】
ただしこの場合、直流で充電可能な充電器がどの程度利用できるかが問題となる。交流の場合、いわゆる充電ステーションによる急速充電とは別に、どの家庭でも電力系統による交流電力が利用可能である。しかし、現状の電気自動車は交流で充電することを前提として交流を直流に変換する車載充電器を搭載している。直流電力によって電気自動車などの蓄電池を充電するための設備は、現在の一般家庭にはほとんど存在しない。そのため、直流のみで充電する電気自動車などで外出した場合、蓄電池の電力が不足すると手軽に充電することが現状では難しい。直流で充電できるようにしなければ、そうした電気自動車を普及させることはできない。したがって直流電力で電気自動車などを充電できる設備が普及することが望ましい。
【0039】
その点で、太陽光パネルとともに家庭に設けられた電力変換装置を介して、太陽光パネルの発電電力で電気自動車などを充電することが考えられる。そうした電力変換装置がどの位置にあり、どの程度の充電が可能かを電気自動車などの持ち主が確認できれば、車載充電器を搭載しない電気自動車などの普及が進むことが考えられる。また、電力変換装置からの直流電力による充電を利用した電気自動車などの保有者が、その対価を電力変換装置の所有者に払うことにすれば、電力変換装置の所有者にとって利益になる上、太陽光パネルの発電電力が余剰となるおそれが小さくなる。さらに間接的な効果として、化石燃料を用いて走行する車両に代わって小型の電気自動車などが普及することになり、環境上もよい結果が得られるであろう。
【0040】
以下に説明するこの開示の実施形態に係る直流電力供給サービスシステム50は、そのような効果を実現させるシステムである。
【0041】
2 構成
(1)全体構成
図1にこの実施形態に係る直流電力供給サービスシステム50の構成を模式的に示す。
図1を参照して、直流電力供給サービスシステム50は、
図1には図示していない太陽光パネルからその発電電力を受けて直流電力として外部に供給する機能を持つ、蓄電池を含む複合型の電力変換装置62と、電力変換装置62のように直流電力を外部に供給する機能を持つ電力変換装置の所在地、その供給電力単価、供給可能電力量などの情報を管理し、電気自動車などの所有者から、所定の地点の周辺又は所定の地域内に存在する、直流電力による電力供給が可能な電力変換装置に関する問合せに対して、そうした電力変換装置に関する情報を提供する電力供給サービスサーバ60とを含む。
【0042】
電力供給サービスサーバ60は、スマートフォンなどで動作する専用プログラムによる問合せ、又はスマートフォンのブラウザからのアクセスにより動作するウェブ形式のプログラムを介しての問合せに応答して、電力変換装置の配置に関する情報を提供するためのものである。
【0043】
電力変換装置62には、電力変換装置62からの電力供給を受けた電気自動車などの保有者がその対価をRFID(Radio Frequency Identification)などのICカードにより精算するための精算端末64が設けられる。精算端末64は電力変換装置62の所有者が契約している精算機関76を介して各銀行間での資金の精算を行う。
【0044】
直流電力供給サービスシステム50を利用する際の簡単な操作の流れを最初に説明する。電力変換装置62の所有者78は、予めスマートフォン68を介して電力供給サービスサーバ60にアクセスし、電力変換装置62の存在している位置、電力変換装置62による充電を許可する時間範囲、供給電力単価などに関する情報を電力供給サービスサーバ60に登録する。電力変換装置62の位置は手動で入力したり、スマートフォン68の画面上に表示される地図上をタップすることで指定したり、所有者78が電力変換装置62の近くにいるのであれば、スマートフォン68が内蔵しているGPS(Global Positioning System)機能により特定される位置情報をそのまま利用したりできる。充電を許可する時間範囲を指定するのは、所有者78がその保有する電気自動車66の高圧蓄電池70を充電する期間を確保するためである。例えば所有者78が電気自動車66で出かける場合、帰ってくるまでの間、所有者78が電力変換装置62を利用することはない。したがってそのような予定が分かっていれば、所有者78はその間の期間を充電可能な期間として指定する。供給電力単価は原則として所有者78が自由に設定できるものとする。
【0045】
一方、別の電気自動車72の所有者80が電気自動車72で外出しようとする場合、やはり所有者80が所有するスマートフォン74で電力供給サービスサーバ60にアクセスする。この場合の問合せ対象としては、例えば電気自動車72で出かける目的地の周辺の電力変換装置の配置、又は出発地から目的までの経路の近傍に存在している電力変換装置の配置などが考えられる。所有者80は、自己の行程の時間と各電力変換装置で充電可能な時間及び充電可能な量を考慮して、どのあたりで充電するかを決定する。
【0046】
実際に所有者80が電力変換装置62により電気自動車72の充電を行う場合は以下のような作業を行う。予め所有者80については電力供給サービスサーバ60に登録してあるものとし、電力変換装置62で充電する際には何らかの手段(例えばパスワード入力など)によりその登録情報が照合されて充電が許可される。充電が完了すると所有者80は精算端末64を用いて精算機関76を通じて電力の対価を支払う。以上で充電とその対価の精算が完了する。
【0047】
(2)電力変換装置62
図2及び
図3を参照して、電力変換装置62は、電力系統100に接続される。電力変換装置62にはさらに、太陽光パネル104と、蓄電池106とが接続される。電力変換装置62と電力系統100との接続ノードには、電力変換装置62の所有者の自宅に存在する家庭内負荷102が接続される。また電力変換装置62は、例えば電気自動車66に直流電力を供給して電気自動車66の高圧蓄電池70を充電するための充電コンセント130を持つ。
【0048】
電力変換装置62は、第1端子と、電力系統100に接続された第2端子とを持ち、第1端子の直流電力を交流に変換して第2端子に出力し家庭内負荷に供給するインバータ120と、太陽光パネル104の出力に接続された第1端子と、インバータ120の第1端子に接続された第2端子とを持ち、太陽光パネル104の出力する直流電力を昇圧させるための、昇圧チョッパ方式の昇圧DC/DCコンバータ122と、インバータ120の第1端子及び昇圧DC/DCコンバータ122の第2端子に接続された第1端子、蓄電池106に接続された第2端子、及び充電コンセント130に接続される第3端子を持ち、第1端子、第2端子及び第3端子の間でそれぞれ電圧変換を行うことにより、昇圧DC/DCコンバータ122からの直流電力で蓄電池106を充電し、又は第3端子から出力する機能と、第2端子に接続された蓄電池106からの放電電力を第1端子又は第3端子から出力する機能と、第3端子に接続された電気自動車66などの高圧蓄電池70からの放電電力を電圧変換して第1端子又は第2端子に出力する機能を持つ双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124とを含む。
【0049】
電力変換装置62はさらに、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の第3端子と充電コンセント130とを接続する電力線に設けられ、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の第3端子と充電コンセント130との間の接続を制御するためのコンタクタ126と、コンタクタ126と充電コンセント130との間に設けられた電力計128とを含む。
【0050】
電力変換装置62はさらに、利用者が電力変換装置62により電気自動車などを充電する際に、その操作に応答して
図1に示す電力供給サービスサーバ60と通信してコンタクタ126を制御し、あわせて電力供給サービスサーバ60から得た供給電力単価と、電力計128から得た供給出力量とから供給電力料金を計算して
図1に示す精算端末64に送信する処理を行うための制御部134と、制御部134が外部との通信に使用する通信装置132とを含む。通信装置132は有線通信又は無線通信で電力供給サービスサーバ60などと通信可能である。
【0051】
3 動作
(1)動作の概略
電力供給サービスサーバ60による動作としては大きく以下の3つがある。
【0052】
・電力変換装置62及び電気自動車66の所有者78による、電力変換装置62の位置、供給電力単価、及び充電を許可する時間範囲その他充電に関する必要情報の登録
・電気自動車72の所有者80による電力変換装置の検索
・電気自動車72の所有者80による電力変換装置62を用いた電気自動車72の充電
これら以外にも、例えば電力供給サービスサーバ60の利用者による電力供給サービスサーバ60への初期登録などがあるが、ここではそれらについては述べない。以下、これらについて順に説明する。
【0053】
(2)充電に関する必要情報の登録
図4に、電気自動車66の所有者78が充電に関する必要情報を電力供給サービスサーバ60に登録するときの各部の通信に関するシーケンス図を示す。
図4を参照して、この場合は、最初に所有者78がその所有するスマートフォン68を操作してアプリケーション160を起動し電力供給サービスサーバ60のサーバプロセッサ152にアクセス162する。このアクセス162に応答してサーバプロセッサ152は登録処理164を開始する。
【0054】
具体的には、登録処理164においてサーバプロセッサ152は、
図4において詳細は示していないが、スマートフォン68との通信を複数回行うことにより必要な情報を取得し、電力供給サービスサーバ60上で動作している電力供給サービスに関するDB(Database)154に電力変換装置62に関する情報の登録を依頼166する。DB154はこの依頼166に応答して電力変換装置62に関する情報の更新168を行い、その結果170をサーバプロセッサ152に返す。サーバプロセッサ152は必要な情報の登録が完了したことをスマートフォン68に通知172する。サーバプロセッサ152は同様に電力変換装置62に対しても通知174する。電力変換装置62は通知172に応答して、供給電力単価及び充電を許可する期間に関する情報を更新する処理176を開始する。処理176が終了すると、電力変換装置62はサーバプロセッサ152に対して更新が完了した通知178を行う。電力変換装置62はまた、所有者78のスマートフォン68に対しても上記情報の更新が完了したことを無線通信などにより通知180する。スマートフォン68はこの通知に応答して、電力変換装置62に登録された情報を表示182する。表示182を見ることにより、所有者78は電力変換装置62に正しい情報が登録できたことを確認できる。以上で充電に関する必要情報の登録処理は完了である。
【0055】
上記処理により、DB154には、電力変換装置62の識別子、電力変換装置62の位置を特定する位置情報、供給電力単価、充電を許可する期間の開始時刻及び終了時刻その他の必要情報を格納したレコードが登録される。電力変換装置62に関する情報が以前に登録されていた場合には、その情報が新たな情報で更新される。電力変換装置62が記憶している情報も同様に更新される。
【0056】
この実施形態では、充電を許可する期間は所有者78が自由に設定できる。典型的なケースとしては、所有者78が電気自動車66を使用して外出するなど、電力変換装置62を用いて電気自動車66の充電をしない期間が考えられる。
【0057】
この実施形態では、充電に関して必要な情報は全てスマートフォン68のようなスマートフォンを介して電力供給サービスサーバ60に送信される。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。例えば電力変換装置62に操作部を設けて充電に関して必要な情報を所有者78が入力し、電力変換装置62が電力供給サービスサーバ60に入力結果を送信してもよい。
【0058】
なお、所有者78が電気自動車66により外出しているときに、例えば帰宅時間が予定より早くなったり、逆に遅くなったりする可能性がある。帰宅時間が早くなるときには、電力変換装置62による充電が可能な時間の終期を早める必要がある。逆に帰宅時間が遅くなるときには終期を遅くした方が好ましい。
【0059】
この実施形態では、そうした場合、電気自動車66に搭載された車載ナビ150により、以下の処理により充電可能な期間の終期を更新する。なおこの処理のためには、車載ナビ150に外出に関するスケジュールを登録しておく必要がある。
【0060】
図4を参照して、車載ナビ150は、外出からの帰宅途上に、電気自動車66の位置と、登録されている予定との比較処理184を継続して行う。このときには、図示しないクラウドサーバなどからの交通情報を参照してもよい。その結果、帰宅が予定と異なるという予測ができたものとする。すると車載ナビ150は、自動的にサーバプロセッサ152にアクセスし、電力変換装置62の識別子を指定して、充電可能な期間の終期の更新を依頼186する。これに応答してサーバプロセッサ152は電力変換装置62について登録されている終期の記録の更新処理188を開始する。更新処理188では、サーバプロセッサ152はDB154に対し、電力変換装置62のレコードの充電可能な期間の終期を更新するよう更新要求190を発行する。DB154はこの更新要求190に応答して当該レコードの充電可能な終期を更新192し、更新完了の通知194をサーバプロセッサ152に通知する。
【0061】
更新完了の通知194に応答してサーバプロセッサ152は、更新完了の通知196を車載ナビ150に対して発行する。図示はしていないが車載ナビ150は、この更新完了の通知196を受信したことに応答して、例えば音声で充電可能な期間の終期が更新されたことを、その終期の時間とともに所有者78に対して報告する。サーバプロセッサ152はまた、更新完了の通知194に応答して、スマートフォン68にも更新完了の通知198を例えばSMS(Short Message Service)又はメールなどにより送信する。
【0062】
サーバプロセッサ152はさらに、電力変換装置62の制御部134(
図2)に対し、充電可能な期間の終期の通知202を送信する。制御部134は通知202に応答して制御部134が記憶している充電可能な期間の終期を更新204し、更新完了を示す通知206をサーバプロセッサ152に、同じく更新完了を示す通知208に、それぞれ送信する。サーバプロセッサ152は通知206に応答してこの更新処理を終了する。またスマートフォン68は電力変換装置62からの通知を表示装置に表示210する。
【0063】
以上の処理により、交通事情などで所有者78の帰宅時間が変更になったときの、電力変換装置62の充電可能な期間の更新処理が完了する。
【0064】
このように所有者78の事情により電力変換装置62を利用可能な期間を更新できることにより、所有者78にとっては必要なときに常に電力変換装置62が利用可能となり使い勝手がよいシステムが提供できる。また第三者にとっても、利用可能な期間が更新されないまま、電力変換装置62を利用しようとしても利用できないという事態を回避できる。その結果、第三者にとっても使い勝手がよいシステムが提供できる。
【0065】
4 電力供給サービスサーバ60の充電ポイント検索
車載充電器を搭載しない車両の所有者、例えば
図1に示す電気自動車72の所有者80が電気自動車72を利用して外出する場合を考える。外出の目的地までの距離と電気自動車72の蓄電池の充電状態とから、途中で充電が必要だと所有者80が考えた場合、所有者80は電力供給サービスサーバ60にアクセスして充電に利用できる電力変換装置を検索する。
【0066】
図5は、こうした場合に直流電力供給サービスシステム50の各部の間で行われる通信及び処理のシーケンス図である。
図5を参照して、この場合、所有者80は以下のようにして電力変換装置の検索処理260を実行する。所有者80はまず、スマートフォン74を操作262して電力変換装置の検索処理264を開始させる。スマートフォン74はこの例では、検索画面の送信要求266をサーバプロセッサ152に送信する。サーバプロセッサ152は検索画面の送信要求266に応答して検索画面作成の準備処理268を開始し、検索画面をスマートフォン74に送信270する。スマートフォン74はこの検索画面を表示装置に表示272する。検索画面の1例を
図7に示す。
【0067】
図7を参照して、スマートフォン74に表示される検索画面は、この例では、「直流充電ポイント検索」というタイトルを持つ。この検索画面はさらに、大きく3つの選択オプションを表示している。すなわち(1)現在地周辺で検索、(2)特定住所で検索、及び(3)経路で検索、という選択肢である。
【0068】
現在地周辺というオプションは、典型的には、電気自動車72の充電量がかなり少なく、すぐ近くで直流による充電が可能な設備の位置を知りたいときに使用される。この場合の検索要求には、スマートフォン74が持つGPS機能の出力が添付される。
【0069】
特定住所で検索というオプションは、所有者80が電気自動車72を用いて外出する前に使用することが想定される。行き先が分かっている場合には、予めその近辺で直流による充電が可能な節位の位置を知っていると安心である。
【0070】
経路で検索というオプションも外出前に使用することが想定される。ただしこのオプションは、目的地までの距離が比較的長い場合に使用すると便利である。目的地までの距離が長い場合には、途中で充電が必要になることもあり得る。直流による充電が可能な設備の配置について、出発前に知っておけば安心である。
【0071】
この検索画面はさらに、充電をすると考えられる時間帯を指定する領域を持つ。所有者80が電気自動車72を用いて外出する場合、充電する可能性がある時間帯を大まかに考えることができる。この時間帯を指定することで、その時間帯に利用可能な電力変換装置を検索できる。この検索画面の場合には、日を指定する欄もある。ただし、電力変換装置の状態は日々変化するため、先の日付で検索してもそれほどの意味はない可能性がある。したがって通常は当日の範囲内の時間を指定して検索が行われるであろう。
【0072】
再び
図5に戻り、所有者80はこの検索画面で必要な入力を行い、検索開始の指示274をスマートフォン74に入力する。具体的には所有者80は、
図7に示す検索画面の下部の「検索」ボタンをタップする。スマートフォン74は検索開始の指示274に応答し、指定された検索条件を含む検索要求276をサーバプロセッサ152に送信する。
【0073】
サーバプロセッサ152は、これに応答して検索処理278を開始する。具体的にはサーバプロセッサ152は、指定された条件に相当する検索クエリを組み立て、DB154に対して検索クエリ280を発行する。DB154はこの検索クエリ280を受けてデータ検索282し、結果をリストの形で返信284する。なおこの検索では、指定された範囲だけではなく、指定された範囲を含むより広い範囲で電力変換装置を検索する。サーバプロセッサ152がこの検索結果を受信した後、検索された電力変換装置の位置とその範囲の地図とをあわせ、かつその表示範囲を最初の検索クエリ280で指定された範囲に初期設定して検索結果データ286をスマートフォン74に送信する。
【0074】
スマートフォン74は、受信した地図に、受信した検索結果の電力変換装置の位置を示すアイコンを重畳した画像を生成し、その初期設定範囲の地図の画像288を表示する。利用者は必要に応じて地図の画像288の表示位置を変更したり拡大したりして電力変換装置の位置を確認する。所望の電力変換装置の位置を確認し、いくつかの候補を選択すると、所有者80はその候補を特定する情報290をサーバプロセッサ152に送信する。サーバプロセッサ152はこの情報を所有者80と関連付けて保存する。サーバプロセッサ152はさらに、所有者80の所有する電気自動車72に備えられた車載ナビゲーション装置252にこの情報294を転送する処理292を実行する。車載ナビゲーション装置252はこの情報を保存296する。この結果、車載ナビゲーション装置252は、所有者80が電気自動車72を使用して移動しているときに、利用できる可能性のある電力変換装置に関する情報を維持できる。
【0075】
5 電力変換装置62による電気自動車72の充電処理
電気自動車72の所有者80が電力変換装置62で電気自動車72の充電を行うものとする。以下の説明は
図2を随時参照して行う。なお
図2では電気自動車66が充電コンセント130に接続されているが、以下の説明では電気自動車66ではなく所有者80の所有する電気自動車72に対する充電が行われることに注意する必要がある。所有者80は電力変換装置62の所有者ではないので決済が必要である。以下の説明では、前提として既に電気自動車72が電力変換装置62の位置まで到着し、その近傍に駐車しているものとする。
【0076】
図6を参照して、最初に所有者80がスマートフォン74を操作372して専用のアプリケーション374を起動することにより充電処理370を開始する。アプリケーション374は起動すると直接無線通信により電力変換装置62の制御部134に対し充電開始要求376を所有者80の識別子とともに通知する。制御部134は充電開始要求376に応答して充電アプリケーション378を起動する。
【0077】
充電アプリケーション378はサーバプロセッサ152に対し、所有者80の識別子を指定した認証要求380を送信する。サーバプロセッサ152は認証要求380に応答して、予め登録された利用者情報と所有者80の識別子とを照合382する。サーバプロセッサ152は照合結果384を制御部134に通知する。照合に失敗すれば充電はできない。ここでは照合に成功したものとする。サーバプロセッサ152はスマートフォン74に対して照合成功を通知385する。充電アプリケーション378はまた、電力変換装置62のコンタクタ126に対して充電許可を通知386する。
【0078】
一方、アプリケーション374は充電開始を許可する表示390を行う。この表示390には、充電開始のボタンが表示されている。所有者80が電気自動車72の充電ノズルを充電コンセント130に装着したことを確認した後、このボタンにタッチ391すると、スマートフォン74は制御部134に対して充電開始のボタンが押されたことを通知392する。充電アプリケーション378は、サーバプロセッサ152からの照合結果384が成功で、かつ充電開始のボタンがタッチされたことを示す通知392を受信したときに、充電コンセント130をロックし充電ノズルがはずれないようにする。充電アプリケーション378はさらに、蓄電池106の出力又は昇圧DC/DCコンバータ122の出力電力を充電用の直流電力に変換しさらにコンタクタ126を制御して双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の第3端子を充電コンセント130と接続388する。この結果、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の第3端子からの直流電力により所有者80の所有する電気自動車72の高圧蓄電池への充電が開始される。
【0079】
充電がされている間、その充電電力量が電力計128により測定される。
【0080】
充電終了の条件が成立するとコンタクタ126の接続388が切断394される。充電終了の条件とは、例えば電気自動車72の蓄電池が満充電となったこと、電力変換装置62による充電可能期間の終期になったこと、太陽光パネル104の出力が低下し、かつ蓄電池106の充電量も低下して所定のしきい値を下回ったこと、所有者80が充電を停止する操作を行ったこと、などが考えられる。コンタクタ126の接続が制御部134に制御される。制御部134は所定の条件が充足されない限りコンタクタ126を介して直流電力を充電コンセント130に出力しない。したがって、所定の条件が充足されないと第三者は充電できない。
【0081】
充電アプリケーション378は、充電が終了したことに応答して、電力計128が測定した充電電力量と、サーバプロセッサ152から通知された供給電力単価とを乗算することで供給電力量の対価を計算し、明細とともに精算端末64に対して通知396する。精算端末64は通知396に応答して決済処理398を開始する。具体的には精算端末64は、通知396により通知された明細と供給電力量の対価を記憶し、利用者がRFIDなど、精算端末64で処理可能なICカードで精算処理を行うまで待機を開始する。
【0082】
一方、充電アプリケーション378は、通知396ともにスマートフォン74に対しても供給電力量の対価を明細とともに直接無線通信により通知400する。スマートフォン74はこの通知を受信402すると受領確認404を制御部134に対して返信する。制御部134はこの返信を受信すると、精算端末64からの決済完了通知を待機する待機処理406を開始する。
【0083】
スマートフォン74はまた、通知400を受信402すると、明細及び対価を表示407する。所有者80はこの表示407を確認408して、手持ちのICカード354などを精算端末64の読取り面に軽く触れる操作410を行う。ICカード354は精算端末64との近接通信414により精算動作412を開始して支払いを行い、精算端末64はこの情報を用いて
図1に示す精算機関76にアクセスして実際の精算を行う。精算端末64はさらに精算の完了に伴ってICカード354の記憶内容を更新416する。
【0084】
この精算処理が完了すると決済処理398は制御部134に対して精算が完了したことを通知418する。制御部134はこの通知418を受信すると、
図1に示す充電コンセント130を制御して充電ノズルを解放する。
【0085】
制御部134はさらにこの後、自己が供給可能な電力を再計算430し、その結果をサーバプロセッサ152に通知432する。サーバプロセッサ152はこの通知432を受けると、DB154を通知にしたがって更新434し更新完了を制御部134に通知436する。
【0086】
以上で、電力変換装置62の所有者以外による電力変換装置62を利用した電気自動車の蓄電池充電が完了する。
【0087】
なお、電力変換装置62の所有者による電気自動車の充電の場合も基本的には同じ手順が採用される。しかしこの場合、上記したような精算処理が不要であることは当然である。
【0088】
6 コンピュータによる充電ポイント検索処理の実現
上記各処理のうち、電力供給サービスサーバ60が実行する充電ポイントの検索処理を行うようコンピュータを機能させるプログラムの制御構造を
図8にフローチャート形式で示す。このプログラムは、充電ポイントの検索要求を受信したことに応答して起動される。
【0089】
図8を参照して、このプログラムは、指定された条件に合致する電力変換装置を検索するためのクエリを作成するステップ500と、ステップ500で作成したクエリをDB154に与えることにより、指定された条件で利用かのうな電力変換装置を検索するステップ502とを含む。ただしこのクエリにおいて、地域的な範囲は、利用者から指定されたものよりも大きな範囲を対象とする。
【0090】
このプログラムはさらに、ステップ502に続き、地図と、ステップ502で検索された電力変換装置のリストと、もしあれば各電力変換装置に対応するアイコンとを一組にして送信データを作成するステップ504と、利用者からの問合せにおいて出発地と到着地の双方の指定があったか否かを判定し、結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ506と、ステップ506の判定が肯定のときに、ステップ504で準備した地図の、開始地点と終了地点とをともに含み、その領域よりも指定割合だけ大きな領域を表示するように地図の表示設定を行うステップ508と、ステップ506の判定が否定のときに、指定された一つの位置を中心とした所定範囲を表示するよう地図の表示設定を行うステップ510と、ステップ508及びステップ510に続いて実行され、ステップ504で作成された送信データをステップ508又はステップ510で設定された表示設定の情報とともに検索要求を送信してきた端末に返信しこのプログラムの実行を終了するステップ512とを含む。
【0091】
図9は、電力供給サービスサーバ60を実現するコンピュータシステム550のハードウェアブロック図である。
図10を参照して、このコンピュータシステム550は、可搬型メモリ584が装着可能なUSB(Universal Serial Bus)ポート606及びDVD(Digital Versatile Disc)578が装着可能なDVDドライブ602を有するコンピュータ570と、キーボード574と、ポインティングデバイス576と、モニタ572とを含む。
【0092】
図9を参照して、コンピュータ570は、USBポート606及びDVDドライブ602に加えて、CPU(Central Processing Unit)590と、CPU590、USBポート606及びDVDドライブ602に接続されたバス610と、並列計算を高速に実行可能なGPU(Graphics Processing Unit)592と、ブートプログラムなどを記憶するROM(Read-Only Memory)596と、バス610に接続され、プログラム命令、システムプログラム及び作業データなどを記憶するRAM(Random Access Memory)598と、バス610に接続され、様々な外部入出力装置との入出力を行うための入出力I/F(Interface)604と、SSD(Solid State Drive)600を含む。コンピュータシステム550はさらに、他端末との通信を可能とするネットワーク586への接続を提供するネットワークI/F608を含む。
【0093】
コンピュータシステム550を上記した各実施の形態に係る電力供給サービスサーバ60の各機能部として機能させるためのコンピュータプログラムは、DVDドライブ602又はUSBポート606に装着されるDVD578又は可搬型メモリ584に記憶され、さらにSSD600に転送される。又は、プログラムはネットワーク586を通じてコンピュータ570に送信されSSD600に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM598にロードされる。DVD578から、可搬型メモリ584から又はネットワーク586を介して、直接にRAM598にプログラムをロードしてもよい。
【0094】
このプログラムは、コンピュータ570を、上記各実施の形態に係る電力供給サービスサーバ60及びその各機能部として機能させるための複数個の命令からなる命令列を含む。コンピュータ570にこの動作を行わせるのに必要な基本的機能のいくつかはコンピュータ570上で動作するオペレーティングシステム若しくはサードパーティのプログラム又はコンピュータ570にインストールされる、ダイナミックリンク可能な各種プログラミングツールキット又はプログラムライブラリにより提供される。したがって、このプログラム自体はこの実施の形態のシステム、装置及び方法を実現するのに必要な機能全てを必ずしも含まなくてよい。このプログラムは、命令のうち、所望の結果が得られるように制御されたやり方で適切な機能又はプログラミングツールキット又はプログラムライブラリ内の適切なプログラムを実行時に動的に呼出すことにより、上記したシステム、装置又は方法としての機能を実現する命令のみを含んでいればよい。もちろん、プログラムのみで必要な機能を全て提供してもよい。
【0095】
7 想定される設置例
図10に、上記実施形態に係る電力変換装置62の住宅における設置例を示す。
図10を参照して、電力変換装置62は、小型の蓄電池106とともに住宅660の南側外壁に接して設けられる。住宅660の屋根には太陽光パネル104が設けられる。太陽光パネル104及び蓄電池106はいずれも電力変換装置62に接続される。電力変換装置62の上部には精算端末64が設置される。この例では、住宅660の南面には駐車場662が設けられている。駐車場662は壁664により、住宅660の庭と区画されている。この実施形態に係る電力変換装置62の場合に、
図2に示すように双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124を用いているため、電力変換装置62の筐体は小さい。その結果、駐車場662の様に家庭用の駐車場であっても広く使用できる。
【0096】
さらに、上記実施形態では、駐車場662に他の所有者の車両が駐車し電力変換装置62から充電することが想定されている。そうした場合でも、駐車場662の広さにより充電に支障が生ずる可能性を小さくできる。もちろん、駐車場として十分に広いスペースがある場合には、充電に便利な場所に高い自由度で電力変換装置62を配置できる。
【0097】
8 効果
以上のようにこの開示によれば、電力変換装置62から直流電力を出力可能にするために、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124を用いている。そのため、特許文献1のように直流出力のために独立したDC/DCコンバータを用いる場合と比較して筐体をコンパクトにできる。その結果、電力変換装置62を設置する場所が狭くても、余裕をもって設置できる。また電力変換装置62を設置する場所が広い場合には、高い自由度で充電に便利な位置に配置できる。
【0098】
また、太陽光パネル104の発電電力については、蓄電池106を充電するだけではなく、電気自動車の高圧蓄電池に充電するためにも使用できる。さらに、電力供給サービスサーバ60による充電ポイントの検索サービスにより、電力変換装置62の発電電力で余裕がある電力を他の所有者の電気自動車の蓄電池を充電するための直流電力として提供できる。逆に電力変換装置62の所有者が電気自動車で外出するときに、直流電力での充電が可能な電力変換装置の位置を確認できるので、安心して外出できる。
【0099】
その結果、電気自動車の充電のために、交流電力を直流電力に変換する車載充電器を搭載する必要がなくなる。車載充電器は比較的重く、また容積を必要とする。特に小型の電気自動車の場合、車載充電器を搭載するか否かは車体の重量及び大きさに影響する。この開示にしたがった電力変換装置62を家庭に備えることで、小型の電気自動車の設計の自由度があがり、また価格を安価にできるという効果がある。その結果、太陽光パネルの発電電力を有効に用いることができ、さらに電気自動車の普及を早めることもできる。
【0100】
第2 第2実施形態
図11にこの開示の第2実施形態に係る直流電力供給サービスシステム700のブロック図を示す。
図11を参照して、この直流電力供給サービスシステム700は、太陽光パネル用電力変換装置710と、太陽光パネル用電力変換装置とは別体の蓄電システム312とを含む。
【0101】
太陽光パネル用電力変換装置710は、
図2に示す電力変換装置62から昇圧DC/DCコンバータ122とインバータ120のみを取り出したものである。また蓄電システム712は、
図2に示す電力変換装置62から昇圧DC/DCコンバータ122とインバータ120とを除いた残りの要素を取り出したものである。蓄電システム712はさらに、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の2つの端子のうち蓄電池106とは反対側の端子と電力系統100との間に接続された、蓄電システム用のインバータ720を含む。
【0102】
図11に示す太陽光パネル用電力変換装置710は
図2に示す昇圧DC/DCコンバータ122及びインバータ120と同様に動作する。ただしインバータ120と昇圧DC/DCコンバータ122との接続ノードは双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124とは接続されていない。かわりにインバータ120と電力系統100との接続ノードが、インバータ720の双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124側の端子と反対側の端子に接続されている。
【0103】
蓄電システム712においては、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124の蓄電池106と反対側の端子がインバータ720の2つの端子のうちの一つに接続され、インバータ720の残りの端子がインバータ120と電力系統100との接続ノードに接続されている。それ以外の点で蓄電システム712の各要素(インバータ720を除く)は、
図2に示す対応の要素と同じ構成である。
【0104】
したがって、例えば太陽光パネル104からの直流電力を蓄電池106に蓄積するときは、太陽光パネル104、昇圧DC/DCコンバータ122、インバータ120、インバータ720、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124という経路を経て直流電力が蓄電池106に与えられる。電気自動車66の高圧蓄電池70を充電するときも同様の経路をたどって直流電力が高圧蓄電池70に与えられる。
【0105】
太陽光パネル104からの出力が家庭内負荷102に与えられるときは、太陽光パネル104、昇圧DC/DCコンバータ122、インバータ120という経路で直流電力が家庭内負荷102に与えられる。蓄電池106に蓄積された電力が家庭内負荷102に与えられるときには、蓄電池106、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124、インバータ720、家庭内負荷102という経路が使用される。電気自動車66の高圧蓄電池70に蓄積された電力は、充電コンセント130、双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124、インバータ720経路で家庭内負荷102に供給される。
【0106】
この第2実施形態によれば、太陽光パネル104の出力電圧で高圧蓄電池70を充電するときには、昇圧DC/DCコンバータ122、インバータ120、インバータ720及び双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124とう経路が使用されるので若干効率が落ちる。しかし、蓄電池106に蓄積されている電力を使用して高圧蓄電池70を充電するときには双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ124しか経由する必要がない。その結果、蓄電池106の蓄積電力を用いて効率的に高圧蓄電池70を充電できる。
なお、この実施形態では、蓄電システム712が太陽光パネル用電力変換装置710とともに使用されている。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。蓄電システム712を単独で使用することもできる。その場合、蓄電システム712の蓄電池106及び電気自動車の高圧蓄電池70を料金が低い夜間電力により充電し、その電力を料金の高い昼間に利用する。
【0107】
第3 変形例
上記実施形態では、太陽光パネル104の発電電力を電力系統100に売る(売電)ことについては触れていない。しかしもちろん、太陽光パネル104の発電電力を電力系統100に売電することも可能である。逆に、電力系統100からの交流電力を直流に変換して蓄電池106に充電したり高圧蓄電池70に充電したりする構成にしてもよいことはもちろんである。また上記実施形態では、電力変換装置62の所有者と電力供給サービスサーバ60の運営者とは別であることを前提としている。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。電力供給サービスサーバ60の運営者が独自に電力変換装置62を備えた充電ポイントを複数箇所に配備して電力供給サービスを行ってもよい。この場合、電力供給サービスサーバ60の運営者による充電ポイントだけでなく、一般の電力変換装置62の所有者による充電ポイントを電力供給サービスサーバ60の検索対象としてもよい。
【0108】
上記実施形態では、精算端末64による精算はICカードで直ちに行われる。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。精算をICチップ搭載のクレジットカードで行うようにしてもよい。また電力供給サービスサーバ60の運営者が独自にプリペイドカードなどを準備して精算に用いるようにしてもよい。
【0109】
また上記実施形態では、電力変換装置62の所有者による指示は、基本的に全てスマートフォン68から電力供給サービスサーバ60に伝達され、電力供給サービスサーバ60から電力変換装置62にさらに伝達されている。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。電力変換装置62に操作パネルを設け、基本的に操作はこの操作パネルで行って電力供給サービスサーバ60に伝達するようにしてもよい。また電力変換装置62にリモートコントローラを設け、そのリモートコントローラで電力変換装置62を設定し、設定に関する情報を直流電力供給サービスシステム50に伝達してもよい。リモートコントローラに替えて、スマートフォン68上で動作するアプリケーションを用いてスマートフォン68をリモートコントローラとして用い、電力変換装置62と電力供給サービスサーバ60との双方に、必要な情報を同時に伝達してもよい。設定に車載ナビを使用することも可能である。
【0110】
また上記実施形態では
図4から
図6に示されるようなシーケンスで各部の間の通信などが行われる。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。図示したシーケンスとは異なるシーケンスを用いて必要な情報を各部で交換するようにしてもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態では直流電力による電気自動車などの充電をする場合を想定している。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。交流電力で電気自動車などの充電をするためのインバータをさらに設けてもよい。もちろんこの場合には、装置をコンパクトにするという効果を得ることはできないが、直流と交流とのいずれでも電気自動車などを充電できるという利点がある。
【0112】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、開示の詳細な説明の記載により示されるわけではなく、特許請求の範囲の各請求項によって示され、特許請求の範囲の文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
50、700 直流電力供給サービスシステム
60 電力供給サービスサーバ
62 電力変換装置
64 精算端末
66、72 電気自動車
68、74 スマートフォン
70 高圧蓄電池
76 精算機関
78、80 所有者
100 電力系統
102 家庭内負荷
104 太陽光パネル
106 蓄電池
120、720 インバータ
122 昇圧DC/DCコンバータ
124 双方向マルチ出力型DC/DCコンバータ
126 コンタクタ
128 電力計
130 充電コンセント
132 通信装置
134 制御部
150 車載ナビ
152 サーバプロセッサ
154 DB
160、374 アプリケーション
162 アクセス
164 登録処理
166、186 依頼
168、192、204、416、434 更新
170 結果
172、174、178、180、202、206、208、385、386、392、396、400、418、432、436 通知
176、292 処理
182、210、272、390、407 表示
184 比較処理
188 更新処理
190 更新要求
194、196、198 更新完了の通知
252 車載ナビゲーション装置
260、264 電力変換装置の検索処理
262、372、410 操作
266 検索画面の送信要求
268 検索画面作成の準備処理
270 送信
274 検索開始の指示
276 検索要求
278 検索処理
280 検索クエリ
282 データ検索
284 返信
286 検索結果データ
288 地図の画像
290、294 情報
296 保存
354 ICカード
370 充電処理
376 充電開始要求
378 充電アプリケーション
380 認証要求
382 照合
384 照合結果
388 接続
391 タッチ
394 切断
398 決済処理
402 受信
404 受領確認
406 待機処理
408 確認
412 精算動作
414 近接通信
430 再計算
500、502、504、506、508、510、512 ステップ
550 コンピュータシステム
570 コンピュータ
572 モニタ
574 キーボード
576 ポインティングデバイス
578 DVD
584 可搬型メモリ
586 ネットワーク
590 CPU
592 GPU
596 ROM
598 RAM
600 SSD
602 DVDドライブ
604 入出力I/F
606 USBポート
608 ネットワークI/F
610 バス
660 住宅
662 駐車場
664 壁
710 太陽光パネル用電力変換装置
712 蓄電システム