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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029182
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】端子ユニットおよび第1端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20230224BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01R13/04 A
H01R13/11 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215377
(22)【出願日】2021-12-29
(31)【優先権主張番号】P 2021134965
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】兼松 佑多
(72)【発明者】
【氏名】ビョン ソンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】廣脇 宣和
(57)【要約】
【課題】柱状接続部や筒状接続部のめっきの削れを抑制できる、新規な端子ユニットを開示する。
【解決手段】端子ユニット10が、柱状接続部16と、最大外径寸法が柱状接続部16の外径寸法より大きくされた樹脂キャップ24と、を有する第1端子12と、径方向で弾性変形可能な筒状接続部18を有する第2端子14と、を備え、柱状接続部16は、筒状接続部18に圧入されて組み付けられるようになっており、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する状態では、樹脂キャップ24により筒状接続部18が拡径変形させられることで筒状接続部18の内周面20に設けられた第2側接点56a,56bが、柱状接続部16の外周面によって構成された第1側接点22から離隔する方向に押され、樹脂キャップ24が筒状接続部18から圧入方向の先端側へ突出して配置された状態では、筒状接続部18の弾性復元力により第2側接点56が第1側接点22に圧接される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状接続部と、前記柱状接続部の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を有する第1端子と、
拡径方向で弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子と、を備え、
前記柱状接続部は、前記樹脂キャップ側から前記筒状接続部に圧入されて前記筒状接続部に組み付けられるようになっており、
前記樹脂キャップが前記筒状接続部内に位置する状態では、前記樹脂キャップにより前記筒状接続部が拡径変形させられることで前記筒状接続部の内周面に設けられた第2側接点が、前記柱状接続部の外周面によって構成された第1側接点から離隔する方向に押され、
前記樹脂キャップが前記筒状接続部から圧入方向の先端側へ突出して配置された状態では、前記筒状接続部の縮径方向への弾性復元力により前記第2側接点が前記第1側接点に圧接される、端子ユニット。
【請求項2】
前記筒状接続部は、前記筒状接続部の前記内周面の周方向で相互に離隔して配置され、前記筒状接続部の径方向内方に突出して軸方向に延びる一対の内方突部を有し、
前記第2側接点が、前記筒状接続部の前記内周面の周方向で前記一対の内方突部の間に配置され、前記一対の内方突部よりも小さい突出高さで径方向内方に突出し、前記第2側接点の軸方向の両端部が前記一対の内方突部の軸方向両端部よりも軸方向内方に位置している、請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記樹脂キャップが該樹脂キャップの周方向で半径方向寸法が異なる形状を有しており、前記樹脂キャップは、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した複数箇所であって前記半径方向寸法が最大となる部位に設けられて、前記柱状接続部の前記外周面よりも径方向外方に突出する複数の突出接触部を有しており、
前記柱状接続部が前記筒状接続部に圧入される際には、前記樹脂キャップの前記突出接触部が、前記筒状接続部の前記内周面において、該内周面の周方向で前記第2側接点から離隔した部位に接触し、前記第2側接点は前記樹脂キャップから離隔している、請求項1または請求項2に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記樹脂キャップが、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した3箇所に設けられた3つの前記突出接触部を有しており、
前記樹脂キャップの周方向で隣接する前記突出接触部間を連接する前記樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面である、請求項3に記載の端子ユニット。
【請求項5】
前記突出接触部の外周面は、幅を有して前記樹脂キャップの軸方向に延びる平坦面である、請求項3または請求項4に記載の端子ユニット。
【請求項6】
前記樹脂キャップに設けられた係合部が、前記柱状接続部に設けられた被係合部に係合することで、前記樹脂キャップが前記柱状接続部に対して前記樹脂キャップの周方向で位置決めされている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の端子ユニット。
【請求項7】
前記筒状接続部が相互に対向配置される第1周壁部と第2周壁部を含んで構成されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部を相互に接近する方向に付勢する弾性部材を有し、
前記樹脂キャップが前記筒状接続部内に位置する状態では、前記樹脂キャップにより、前記弾性部材の付勢力に抗して前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に離隔する方向に弾性変形して、前記筒状接続部が拡径変形させられる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の端子ユニット。
【請求項8】
前記第1周壁部の内周面に、周方向で相互に離隔して配置され径方向内方に突出する一対の内方突部と、前記一対の内方突部の間に配置され、前記一対の内方突部よりも小さい突出高さで径方向内方に突出し、前記一対の内方突部の軸方向両端部よりも軸方向内方に位置して前記第2側接点が設けられており、
前記第2周壁部の内周面における周方向に離隔した2箇所において、前記筒状接続部の軸方向に延出しつつ径方向内方に突出して線状に延びる前記第2側接点を構成する一対の線状接触部が設けられており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部の対向方向の投影で、前記第1周壁部の前記第2側接点が、前記第2周壁部の前記一対の線状接触部の間に配置されている、請求項7に記載の端子ユニット。
【請求項9】
前記第1周壁部の前記内周面に設けられた前記第2側接点が、周方向中央部分に配置され、周方向に延出しつつ径方向内方に突出する円弧状突部によって構成され、
前記円弧状突部および前記第2周壁部の前記内周面に設けられた各前記線状接触部により、複数の前記第2側接点が構成されている、請求項8に記載の端子ユニット。
【請求項10】
前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の先端側には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面が設けられており、
前記筒状接続部において前記柱状接続部の入口側の内周端部には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する入口側縮径面が設けられている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の端子ユニット。
【請求項11】
前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の基端側には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面が設けられており、
前記筒状接続部において前記柱状接続部の出口側の内周端部には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する出口側縮径面が設けられている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の端子ユニット。
【請求項12】
拡径方向に弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子に組み付けられる第1端子であって、
前記筒状接続部に圧入される柱状接続部と、
前記柱状接続部における前記筒状接続部への圧入方向の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を備え、
前記柱状接続部の外周面は、前記筒状接続部に設けられた第2側接点へ圧接される第1側接点を構成し、
前記樹脂キャップは、前記柱状接続部の前記筒状接続部への組付完了位置において、前記筒状接続部から前記圧入方向の先端側へ突出して配置される、第1端子。
【請求項13】
前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の先端側には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面が設けられている、請求項12に記載の第1端子。
【請求項14】
前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の基端側には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面が設けられている、請求項12または請求項13に記載の第1端子。
【請求項15】
前記樹脂キャップが該樹脂キャップの周方向で半径方向寸法が異なる形状を有しており、前記樹脂キャップは、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した複数箇所であって前記半径方向寸法が最大となる部位に設けられて、前記柱状接続部の前記外周面よりも径方向外方に突出する複数の突出接触部を有しており、
前記突出接触部は、前記筒状接続部の内周面において、該内周面の周方向で前記第2側接点から離隔した部位に接触する、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の第1端子。
【請求項16】
前記樹脂キャップが、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した3箇所に設けられた3つの前記突出接触部を有しており、
前記樹脂キャップの周方向で隣接する前記突出接触部間を連接する前記樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面である、請求項15に記載の第1端子。
【請求項17】
前記突出接触部の外周面は、幅を有して前記樹脂キャップの軸方向に延びる平坦面である、請求項15または請求項16に記載の第1端子。
【請求項18】
前記樹脂キャップに設けられた係合部が、前記柱状接続部に設けられた被係合部に係合することで、前記樹脂キャップが前記柱状接続部に対して前記樹脂キャップの周方向で位置決めされている、請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の第1端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子ユニットおよび第1端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピン端子等と呼ばれる柱状接続部を有する雄端子(第1端子)と、スリーブ端子等と呼ばれる筒状接続部を有する雌端子(第2端子)との雌雄型端子による電気的な接続構造を実現する端子ユニットが開示されている。第2端子の筒状接続部の内部には、先端開口部から後方に折り返された弾性接触片が設けられている。第2端子の筒状接続部の先端開口部から第1端子の柱状接続部を挿し入れると、柱状接続部に接触した弾性接触片が、弾性復元力に抗して拡径変形されて、柱状接続部の筒状接続部の内方への進入が許容される。この弾性接触片の弾性復元力により、弾性接触片の端部に設けられた接点部が第1端子の柱状接続部に押圧されて、第1端子と第2端子が接触状態に保持されて電気的接続が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-24901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来構造の端子ユニットにおいては、第1端子の柱状接続部を第2端子の筒状接続部の内部に圧入する際に、柱状接続部の表面を、筒状接続部の弾性接触片が擦りながら移動する。それゆえ、第2端子に対する第1端子の繰り返しの挿抜により、柱状接続部や筒状接続部のめっきが削れ、接触抵抗の増大等の不具合を招くおそれもあった。
【0005】
そこで、柱状接続部や筒状接続部のめっきの削れを抑制できる、新規な端子ユニットおよび第1端子を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子ユニットは、柱状接続部と、前記柱状接続部の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を有する第1端子と、拡径方向で弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子と、を備え、前記柱状接続部は、前記樹脂キャップ側から前記筒状接続部に圧入されて前記筒状接続部に組み付けられるようになっており、前記樹脂キャップが前記筒状接続部内に位置する状態では、前記樹脂キャップにより前記筒状接続部が拡径変形させられることで前記筒状接続部の内周面に設けられた第2側接点が、前記柱状接続部の外周面によって構成された第1側接点から離隔する方向に押され、前記樹脂キャップが前記筒状接続部から圧入方向の先端側へ突出して配置された状態では、前記筒状接続部の縮径方向への弾性復元力により前記第2側接点が前記第1側接点に圧接される、ものである。
【0007】
本開示の第1端子は、拡径方向に弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子に組み付けられる第1端子であって、前記筒状接続部に圧入される柱状接続部と、前記柱状接続部における前記筒状接続部への圧入方向の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を備え、前記柱状接続部の外周面は、前記筒状接続部に設けられた第2側接点へ圧接される第1側接点を構成し、前記樹脂キャップは、前記柱状接続部の前記筒状接続部への組付完了位置において、前記筒状接続部から前記圧入方向の先端側へ突出して配置される、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、柱状接続部や筒状接続部のめっきの削れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る端子ユニットの斜視図である。
図2図2は、図1に示された端子ユニットの分解斜視図である。
図3図3は、図1におけるIII-III断面図である。
図4図4は、図1におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図1に示された端子ユニットを構成する第2端子の要部を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、弾性部材が装着される前の第2端子を示す縦断面図であって、図3に対応する図である。
図7図7は、第1端子が圧入される前の第2端子を示す縦断面図であって、図3に対応する図である。
図8A図8Aは、第2端子に対して第1端子を圧入する際の状態をモデル的に説明するための説明図であって、第2端子に対して第1端子が圧入し始める状態を図7におけるVIIIA-VIIIA断面で示す図である。
図8B図8Bは、図8Aの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態を図9におけるVIIIB-VIIIB断面で示す図である。
図8C図8Cは、図8Bの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図である。
図8D図8Dは、図8Cの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、第1端子と第2端子が嵌合する状態を示す図である。
図9図9は、図8BにおけるIX-IX断面図である。
図10図10は、実施形態2に係る端子ユニットの斜視図である。
図11図11は、図10に示された端子ユニットを構成するハウジング付き第1端子の分解斜視図である。
図12図12は、図10に示された端子ユニットを構成するハウジング付き第2端子の分解斜視図である。
図13図13は、図10におけるXIII-XIII断面図である。
図14図14は、図10におけるXIV-XIV断面図である。
図15A図15Aは、第2端子に対して第1端子を圧入する際の状態をモデル的に説明するための説明図であって、第2端子に対して第1端子が圧入し始める状態を図17におけるXVA-XVA断面で示す図である。
図15B図15Bは、図15Aの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態を示す図である。
図15C図15Cは、図15Bの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態を示す図である。
図15D図15Dは、図15Cの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、第1端子と第2端子が嵌合する状態を示す図である。
図16A図16Aは、第2端子に対して第1端子を圧入する際の状態をモデル的に説明するための説明図であって、第2端子に対して第1端子が圧入し始める状態を図17におけるXVIA-XVIA断面で示す図である。
図16B図16Bは、図16Aの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態を示す図である。
図16C図16Cは、図16Bの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態を示す図である。
図16D図16Dは、図16Cの状態から更に第1端子を圧入した状態を説明するための説明図であって、第1端子と第2端子が嵌合する状態を示す図である。
図17図17は、図16BにおけるXVII-XVII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子ユニットは、
(1)柱状接続部と、前記柱状接続部の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を有する第1端子と、拡径方向で弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子と、を備え、前記柱状接続部は、前記樹脂キャップ側から前記筒状接続部に圧入されて前記筒状接続部に組み付けられるようになっており、前記樹脂キャップが前記筒状接続部内に位置する状態では、前記樹脂キャップにより前記筒状接続部が拡径変形させられることで前記筒状接続部の内周面に設けられた第2側接点が、前記柱状接続部の外周面によって構成された第1側接点から離隔する方向に押され、前記樹脂キャップが前記筒状接続部から圧入方向の先端側へ突出して配置された状態では、前記筒状接続部の縮径方向への弾性復元力により前記第2側接点が前記第1側接点に圧接される、ものである。
【0011】
この構造の端子ユニットによれば、第1端子の柱状接続部の先端面を覆う樹脂キャップの最大外径寸法が、柱状接続部の最大外径寸法よりも大きくされている。そのため、第2端子の筒状接続部に第1端子の柱状接続部が圧入される際には、初めに、筒状接続部の内径寸法が樹脂キャップにより柱状接続部の外径寸法より大きい寸法まで押し広げられる。この結果、第1端子と第2端子の組み付けに際して、筒状接続部の拡径方向への押し広げに必要な最大面圧が発生する部位を、第1端子の樹脂キャップの外面(樹脂)と第2端子の筒状接続部の内面(金属)による摺動面により構成することができる。その結果、従来のように、第1端子の柱状接続部の外面(金属)と第2端子の筒状接続部の内面(金属)による摺動面において、最大面圧が発生する場合の構造に比して、第2側接点を含む筒状接続部の内周面と第1側接点を含む柱状接続部の外周面のめっき削れを有利に抑制することができ、第1および第2側接点間の接触抵抗の増大等の不具合の発生も抑制できる。
【0012】
さらに、第1端子の樹脂キャップが筒状接続部内に位置する両端子の組付完了前の状態では、樹脂キャップにより筒状接続部が拡径方向に弾性変形されていることから、筒状接続部の内周面に設けられた第2側接点が、柱状接続部の外周面によって構成された第1側接点から離隔する方向に押されている。これにより、第2側接点の第1側接点に向かう付勢力が低減され、樹脂キャップが筒状接続部内を摺動する際に第1側接点から第2側接点を離隔させることや、摺接する場合でも筒状接続部に第1側接点から離隔する方向の力が加えられている分、両接点間の接触圧力を低減させることができる。その結果、第1側接点や第2側接点の摺動摩耗の発生を阻止乃至は抑制することができる。
【0013】
加えて、樹脂キャップが筒状接続部から圧入方向の先端側へ突出して配置された両端子の組付完了後の状態では、樹脂キャップによる筒状接続部の拡径変形が解除されて、筒状接続部の縮径方向への弾性復元力により第2側接点が第1側接点に圧接される。これにより、第1端子の柱状接続部の第1側接点と第2端子の筒状接続部の第2側接点との圧接状態を安定して保持できる。
【0014】
なお、本態様の第1端子が、電気自動車等の高圧系の端子に適用される場合には、樹脂キャップを第1端子の感電対策としての触指防止用キャップとしても利用することが可能であり、柱状接続部の筒状接続部への挿抜による摩耗を防止する効果と、感電防止の効果とが両立して達成され得る。
【0015】
第1端子の柱状接続部は、その最大外径寸法が樹脂キャップの最大外径寸法よりも小さい限り、任意の形状が採用可能である。例えば、柱状接続部の断面形状は、円形の他、楕円形や矩形やその他の多角形等、任意の形状が採用可能であり、断面形状や大きさが長さ方向で一定であってもよいし変化しているものも含み得る。
【0016】
第2端子の筒状接続部は、拡径方向に弾性変形可能で第1端子の柱状接続部が軸方向の一端側から圧入され他端側に樹脂キャップが突出され得る形状であれば、任意の形状が採用可能である。例えば、筒状接続部は、周方向に配置された複数の弾性折曲片によって内周面が構成されるルーバ型の筒状接続部や、略半円弧状に屈曲された板材を相互に対向配置させ、外側から組み付ける別体のばね部材で接圧を印加するタイプのものなど、任意の形状が採用可能であり、断面形状や大きさが長さ方向で一定であってもよいし変化しているものも含み得る。
【0017】
(2)前記筒状接続部は、前記筒状接続部の前記内周面の周方向で相互に離隔して配置され、前記筒状接続部の径方向内方に突出して軸方向に延びる一対の内方突部を有し、前記第2側接点が、前記筒状接続部の前記内周面の周方向で前記一対の内方突部の間に配置され、前記一対の内方突部よりも小さい突出高さで径方向内方に突出し、前記第2側接点の軸方向の両端部が前記一対の内方突部の軸方向両端部よりも軸方向内方に位置している、ことが好ましい。
【0018】
筒状接続部の内周面には、第2側接点の周方向両側に、第2側接点よりも突出高さが大きい一対の内方突部が設けられており、それらの軸方向両端部が第2側接点の両端部よりも軸方向外方に位置している。これにより、第2側接点が樹脂キャップと当接する前に、確実に内方突部が樹脂キャップに当接し、第2側接点が樹脂キャップに当接しない距離まで筒状接続部を径方向外方に押し広げることができる。さらに、樹脂キャップと内方突部との係合は、樹脂キャップが第2側接点を越えて軸方向外方に進むまで続くことから、樹脂キャップや柱状接続部と第2側接点との摺動接触を一層確実に防止または抑制できる。その結果、さらなるめっき削れの抑制が実現できる。
【0019】
なお、より好ましくは、一対の内方突部は、筒状接続部の軸方向の全長に亘って設けられる。これにより、一対の内方突部の間に設けられた第2側接点と樹脂キャップとの接触や、第2側接点と柱状接続部との摺動接触を一層確実に防止できる。
【0020】
(3)前記樹脂キャップが該樹脂キャップの周方向で半径方向寸法が異なる形状を有しており、前記樹脂キャップは、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した複数箇所であって前記半径方向寸法が最大となる部位に設けられて、前記柱状接続部の前記外周面よりも径方向外方に突出する複数の突出接触部を有しており、前記柱状接続部が前記筒状接続部に圧入される際には、前記樹脂キャップの前記突出接触部が、前記筒状接続部の前記内周面において、該内周面の周方向で前記第2側接点から離隔した部位に接触し、前記第2側接点は前記樹脂キャップから離隔している、ことが好ましい。
【0021】
樹脂キャップが周方向で半径方向寸法が異なる非円筒形状を有しており、半径方向寸法が最大となる部位によって構成された複数の突出接触部が周方向に相互に離隔した箇所に設けられている。そして、柱状接続部の外周面よりも径方向外方に突出する各突出接触部が筒状接続部の内周面における第2側接点から周方向に離隔した部位に接触して筒状接続部を押し広げて、第1端子を第2端子に圧入することができる。その結果、樹脂キャップや柱状接続部と第2側接点との摺動接触を一層確実に防止または抑制でき、さらなるめっき削れの抑制が実現できる。
【0022】
特に、樹脂キャップに柱状接続部の外周面よりも径方向外方に突出する突出接触部を設けて第2側接点以外の筒状接続部の内周面に接触させるようにするだけで、第2側接点と樹脂キャップや柱状接続部との摺動接触を防止または抑制できることから、筒状接続部に内方突部を設ける場合に比して、製造コストの低減を図ることも可能となる。なお、本態様は、上記(2)における内方突部と組み合わせて採用されてもよい。
【0023】
(4)前記樹脂キャップが、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した3箇所に設けられた3つの前記突出接触部を有しており、前記樹脂キャップの周方向で隣接する前記突出接触部間を連接する前記樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面である、ことが好ましい。樹脂キャップが周方向で相互に離隔した3つの突出接触部を有していることから、各突出接触部が接触する筒状接続部の内周面の被接触部位に周方向で離隔した3箇所に第2側接点を設けることができ、柱状接触部を安定して第2側接点間で保持することができる。さらに、周方向で隣接する突出接触部間を連接する樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面であることから、平坦面の径方向外方に配置される第2側接点と樹脂キャップとの離隔距離を有利に確保できて、樹脂キャップと第2側接点の接触を一層有利に抑制または防止できる。
【0024】
(5)前記突出接触部の外周面は、幅を有して前記樹脂キャップの軸方向に延びる平坦面である、ことが好ましい。突出接触部の外周面が幅を有して軸方向に延びる平坦面で形成されていることから、突出接触部の筒状接続部の内周面への面圧を平坦面の面積の分低減させることができる。その結果、突出接触部が筒状接続部の内周面を摺動することにより筒状接続部の内周面のめっきが剥がれるおそれを低減することができる。
【0025】
(6)前記樹脂キャップに設けられた係合部が、前記柱状接続部に設けられた被係合部に係合することで、前記樹脂キャップが前記柱状接続部に対して前記樹脂キャップの周方向で位置決めされている、ことが好ましい。樹脂キャップと柱状接続部に設けられた係合部と被係合部の係合により、樹脂キャップを柱状接続部に安定して位置決めすることができる。その結果、樹脂キャップの突出接触部の周方向位置がずれて、第2側接点部に接触する不具合を未然に防止することができる。
【0026】
(7)前記筒状接続部が相互に対向配置される第1周壁部と第2周壁部を含んで構成されており、前記第1周壁部と前記第2周壁部を相互に接近する方向に付勢する弾性部材を有し、前記樹脂キャップが前記筒状接続部内に位置する状態では、前記樹脂キャップにより、前記弾性部材の付勢力に抗して前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に離隔する方向に弾性変形して、前記筒状接続部が拡径変形させられる、ことが好ましい。筒状接続部を複数の周壁部で構成して、これら複数の周壁部を相互に接近する方向に付勢する弾性部材を採用することで、拡径方向に弾性変形可能な筒状接続部を容易に製造することができる。特に、ある程度の板厚を有する金属板材を円弧状に湾曲させること等により構成することで、高電圧に用いられる場合に特に有利である。
【0027】
(8)前記第1周壁部の内周面に、周方向で相互に離隔して配置され径方向内方に突出する一対の内方突部と、前記一対の内方突部の間に配置され、前記一対の内方突部よりも小さい突出高さで径方向内方に突出し、前記一対の内方突部の軸方向両端部よりも軸方向内方に位置して前記第2側接点が設けられており、前記第2周壁部の内周面における周方向に離隔した2箇所において、前記筒状接続部の軸方向に延出しつつ径方向内方に突出して線状に延びる前記第2側接点を構成する一対の線状接触部が設けられており、前記第1周壁部と前記第2周壁部の対向方向の投影で、前記第1周壁部の前記第2側接点が、前記第2周壁部の前記一対の線状接触部の間に配置されている、ことが好ましい。
【0028】
第1周壁部に設けられた第2側接点は、内方突部により樹脂キャップや柱状接続部との摺動が抑制されていることから、めっき摩耗が抑制されている。加えて、第2周壁部の内周面に、第1周壁部と第2周壁部の対向方向の投影で第2側接点の両側に配置するように一対の線状接触部が設けられており、これにより第2周壁部の第2側接点が構成される。その結果、樹脂キャップが筒状接続部から圧入方向の先端側へ突出して配置された両端子の組付完了後の状態では、柱状接続部の外周面によって構成される第1側接点の径方向両側から周方向に相互に離隔した3つの第2側接点(内2つは軸方向に線状に延びる)が圧接される。これにより、第1端子と第2端子の安定した接続状態が保持される。
【0029】
(9)前記第1周壁部の前記内周面に設けられた前記第2側接点が、周方向中央部分に配置され、周方向に延出しつつ径方向内方に突出する円弧状突部によって構成され、前記円弧状突部および前記第2周壁部の前記内周面に設けられた各前記線状接触部により、複数の前記第2側接点が構成されている、ことが好ましい。第1周壁部と第2周壁部の両内周面には、それぞれ径方向内方に突出する円弧状突部および線状接触部が設けられており、これらにより、複数の第2側接点が構成されている。したがって、柱状接続部を筒状接続部における周方向の3点で支持することができる。これにより、例えば第1端子にねじり方向の外力が加えられた場合にも、筒状接続部からの柱状接続部の脱落が防止され得る。
【0030】
(10)前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の先端側には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面が設けられており、前記筒状接続部において前記柱状接続部の入口側の内周端部には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する入口側縮径面が設けられている、ことが好ましい。樹脂キャップにおける圧入方向の先端側と筒状接続部における柱状接続部の入口側の内周端部には、それぞれ圧入方向の先端側に向かって縮径する先端側縮径面および入口側縮径面が設けられている。これにより、柱状接続部を筒状接続部に圧入する際の挿入抵抗の急激な増大を軽減できる。さらに、筒状接続部への柱状接続部の圧入時に、先端側縮径面と入口側縮径面が相互に当接することで、筒状接続部の入口側の内周端部と樹脂キャップとが強く擦れて樹脂屑が発生するおそれが低減され得る。なお、先端側縮径面や入口側縮径面は、例えば略一定のテーパ角度を有するテーパ面であってもよいし、R状に面取りされた湾曲面であってもよい。
【0031】
(11)前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の基端側には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面が設けられており、前記筒状接続部において前記柱状接続部の出口側の内周端部には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する出口側縮径面が設けられている、ことが好ましい。樹脂キャップにおける圧入方向の基端側と筒状接続部における柱状接続部の出口側の内周端部には、それぞれ圧入方向の基端側に向かって縮径する基端側縮径面および出口側縮径面が設けられている。これにより、柱状接続部を筒状接続部から引き抜く際の引抜抵抗の急激な増大を軽減できる。さらに、筒状接続部からの柱状接続部の抜去時に、基端側縮径面と出口側縮径面が相互に当接することで、筒状接続部の出口側の内周端部と樹脂キャップとが強く擦れて樹脂屑が発生するおそれが低減され得る。なお、基端側縮径面や出口側縮径面は、例えば略一定のテーパ角度を有するテーパ面であってもよいし、R状に面取りされた湾曲面であってもよい。
【0032】
本開示の第1端子は、
(12)拡径方向に弾性変形可能な筒状接続部を有する第2端子に組み付けられる第1端子であって、前記筒状接続部に圧入される柱状接続部と、前記柱状接続部における前記筒状接続部への圧入方向の先端面を覆い、最大外径寸法が前記柱状接続部の最大外径寸法より大きくされた樹脂キャップと、を備え、前記柱状接続部の外周面は、前記筒状接続部に設けられた第2側接点へ圧接される第1側接点を構成し、前記樹脂キャップは、前記柱状接続部の前記筒状接続部への組付完了位置において、前記筒状接続部から前記圧入方向の先端側へ突出して配置される、ものである。
【0033】
この構造の第1端子によれば、柱状接続部の先端面を覆う樹脂キャップの最大外径寸法が、柱状接続部の最大外径寸法よりも大きくされている。そのため、第2端子の筒状接続部に第1端子の柱状接続部が圧入される際には、初めに、筒状接続部の内径寸法が樹脂キャップにより柱状接続部の外径寸法より大きい寸法まで押し広げられる。この結果、第1端子と第2端子の嵌合に際して、筒状接続部の拡径方向への押し広げに必要な最大面圧が発生する部位を、第1端子の樹脂キャップの外周面(樹脂)と第2端子の筒状接続部の内周面(金属)による摺動面により構成することができる。それゆえ、従来のように、第1端子の柱状接続部の外周面(金属)と第2端子側の筒状接続部の内周面(金属)による摺動面において、最大面圧が発生する場合の構造に比して、筒状接続部と柱状接続部のめっき削れを有利に抑制することができ、接触抵抗の増大等の不具合の発生も抑制できる。
【0034】
さらに、柱状接続部の筒状接続部への組付完了位置においては、樹脂キャップが筒状接続部から圧入方向の先端側に突出して配置される。その結果、樹脂キャップによる筒状接続部の押し広げが解除されて、筒状接続部の弾性復元力により柱状接続部の外周面(第1側接点)が、筒状接続部の第2側接点に圧接される。これにより、第1端子の柱状接続部の第1側接点への第2端子の筒状接続部の第2側接点の押圧状態を安定して保持できる。
【0035】
(13)前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の先端側には、前記圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面が設けられている、ことが好ましい。樹脂キャップにおける圧入方向の先端側に、先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面が設けられていることから、柱状接続部を筒状接続部に圧入する際の挿入抵抗の急激な増大を軽減できる。さらに、筒状接続部の入口側の内周端部と樹脂キャップとが強く擦れて樹脂屑が発生するおそれが低減され得る。なお、先端側縮径面は、例えば略一定のテーパ角度を有するテーパ面であってもよいし、R状に面取りされた湾曲面であってもよい。
【0036】
(14)前記樹脂キャップにおける前記圧入方向の基端側には、前記圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面が設けられている、ことが好ましい。樹脂キャップにおける圧入方向の基端側に、基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面が設けられていることから、柱状接続部を筒状接続部から引き抜く際の引抜抵抗の急激な増大を軽減できる。さらに、柱状接続部を筒状接続部から抜去する際に、筒状接続部の出口側の内周端部と樹脂キャップとが強く擦れて樹脂屑が発生するおそれが低減され得る。なお、基端側縮径面は、例えば略一定のテーパ角度を有するテーパ面であってもよいし、R状に面取りされた湾曲面であってもよい。
【0037】
(15)前記樹脂キャップが該樹脂キャップの周方向で半径方向寸法が異なる形状を有しており、前記樹脂キャップは、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した複数箇所であって前記半径方向寸法が最大となる部位に設けられて、前記柱状接続部の前記外周面よりも径方向外方に突出する複数の突出接触部を有しており、前記突出接触部は、前記筒状接続部の内周面において、該内周面の周方向で前記第2側接点から離隔した部位に接触する、ことが好ましい。
【0038】
樹脂キャップが周方向で半径方向寸法が異なる非円筒形状を有しており、半径方向寸法が最大となる部位によって構成された複数の突出接触部が周方向に相互に離隔した箇所に設けられている。そして、柱状接続部の外周面よりも径方向外方に突出する各突出接触部が筒状接続部の内周面における第2側接点から周方向に離隔した部位に接触して筒状接続部を押し広げて、第1端子を第2端子に圧入することができる。その結果、樹脂キャップや柱状接続部と第2側接点との摺動接触を一層確実に防止または抑制でき、さらなるめっき削れの抑制が実現できる。
【0039】
(16)前記樹脂キャップが、該樹脂キャップの周方向で相互に離隔した3箇所に設けられた3つの前記突出接触部を有しており、前記樹脂キャップの周方向で隣接する前記突出接触部間を連接する前記樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面である、ことが好ましい。樹脂キャップが周方向で相互に離隔した3つの突出接触部を有していることから、各突出接触部が接触する筒状接続部の内周面の被接触部位に周方向で離隔した3箇所に第2側接点を設けることができ、柱状接触部を安定して第2側接点間で保持することができる。さらに、周方向で隣接する突出接触部間を連接する樹脂キャップの外周面がいずれも平坦面であることから、平坦面の径方向外方に配置される第2側接点と樹脂キャップとの離隔距離を有利に確保できて、樹脂キャップと第2側接点の接触を一層有利に抑制または防止できる。
【0040】
(17)前記突出接触部の外周面は、幅を有して前記樹脂キャップの軸方向に延びる平坦面である、ことが好ましい。突出接触部の外周面が幅を有して軸方向に延びる平坦面で形成されていることから、突出接触部の筒状接続部の内周面への面圧を平坦面の面積の分低減させることができる。その結果、突出接触部が筒状接続部の内周面を摺動することにより筒状接続部の内周面のめっきが剥がれるおそれを低減することができる。
【0041】
(18)前記樹脂キャップに設けられた係合部が、前記柱状接続部に設けられた被係合部に係合することで、前記樹脂キャップが前記柱状接続部に対して前記樹脂キャップの周方向で位置決めされている、ことが好ましい。樹脂キャップと柱状接続部に設けられた係合部と被係合部の係合により、樹脂キャップを筒状接続部に安定して位置決めすることができる。その結果、樹脂キャップの突出接触部の周方向位置がずれて、第2側接点部に接触する不具合を未然に防止することができる。
【0042】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の端子ユニットおよび第1端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の端子ユニット10、および端子ユニット10を構成する第1端子12と第2端子14について、図1から図9を用いて説明する。第1端子12が柱状接続部16を備えているとともに、第2端子14が拡径方向で弾性変形可能な筒状接続部18を備えている。この第2端子14の筒状接続部18に第1端子12の柱状接続部16が圧入されて、柱状接続部16が筒状接続部18に組み付けられる。そして、柱状接続部16の外周面と筒状接続部18の内周面20とが相互に接触することで、第1端子12と第2端子14とが導通接続されるようになっている。すなわち、実施形態1では、第1端子12がオス端子であり、第2端子14がメス端子である。また、第1端子12の外周面によって第1側接点22が構成されているとともに、筒状接続部18の内周面20に後述する第2側接点56a,56bが設けられている。以下の説明において、前方とは図3中の左方をいい、後方とは図3中の右方をいう。上方とは図3中の上方をいい、下方とは図3中の下方をいう。左方とは図4中の左方をいい、右方とは図4中の右方をいう。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0044】
<第1端子12>
第1端子12は、先端に、最大外径寸法がφA(図3,4参照)とされた柱状接続部16を備えている。実施形態1では、柱状接続部16の断面形状が略真円であり、軸方向において外径寸法がφAで略一定とされている。第1端子12は、柱状接続部16における筒状接続部18への圧入方向(後述するように右方から左方へ向かう方向)の先端面を覆う樹脂キャップ24を備えている。すなわち、柱状接続部16は、筒状接続部18に対して樹脂キャップ24側から圧入される。なお、第1端子12において、柱状接続部16より基端側の形状は限定されるものではなく、第1端子12における柱状接続部16と反対側の端部は、例えばボルト等で機器の端子部に固定されてもよいし、電線に固着されてもよい。
【0045】
<樹脂キャップ24>
樹脂キャップ24は、合成樹脂により形成されて電気絶縁性を有している。実施形態1では、樹脂キャップ24の断面形状が、略真円である。樹脂キャップ24の外径寸法は、軸方向(柱状接続部16の延びる方向であって、左右方向)で異ならされており、軸方向中間部分に、外径寸法が最も大きくされた大径部26を有している。樹脂キャップ24の最大外径寸法(大径部26における外径寸法)φB(図3,4参照)は、柱状接続部16の外径寸法φAよりも大きくされている。実施形態1では、樹脂キャップ24の最大外径寸法φBが、周方向の全周にわたって柱状接続部16の外径寸法φAよりも大きくされている。
【0046】
樹脂キャップ24は、軸方向中間部分に最も外径寸法の大きい大径部26を備えていることから、大径部26に対して軸方向で隣接する部分は、大径部26から外径寸法が次第に小さくされている。すなわち、樹脂キャップ24の外周面において、大径部26に対して柱状接続部16の圧入方向で先端側(左側)に隣接する部分には、圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する先端側縮径面28が設けられている。また、樹脂キャップ24の外周面において、大径部26に対して柱状接続部16の圧入方向で基端側(右側)に隣接する部分には、圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する基端側縮径面30が設けられている。実施形態1では、先端側縮径面28が、面取状の湾曲面であるとともに、基端側縮径面30が、略一定のテーパ角度を有するテーパ面である。
【0047】
このような樹脂キャップ24は、柱状接続部16と別体で形成されて、柱状接続部16の先端に対して圧入等により組み付けられてもよいし、柱状接続部16と一体的に形成されてもよい。なお、樹脂キャップ24は、例えば端子ユニット10が電気自動車等の高圧系の端子ユニットとして適用される場合、作業者の手指や工具等が第1端子12に接触することを防止する触指防止用キャップとして用いられてもよく、後述する筒状接続部18の拡径変形機能と感電防止機能との両方を有していてもよい。
【0048】
<第2端子14>
第2端子14は、端子金具32に弾性部材としてのクリップばね34が組み付けられることで構成されている。端子金具32は、全体として略帯状とされた金属平板を所定の形状にプレス加工することで形成されている。金属平板を構成する金属としては、電気抵抗の低い銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を採用することができる。端子金具32は、前述の筒状接続部18を備えている。
【0049】
<筒状接続部18>
筒状接続部18は、全体として略円筒形状であり、左右方向両側に開口している。すなわち、筒状接続部18の軸方向は左右方向である。なお、第1端子12の圧入前の第2端子14の縦断面を示す後述する図7において、第2側接点56を構成する円弧状突部48および各線状接触部58を通る仮想的な円(図7中に二点鎖線で図示)の径寸法φCは、柱状接続部16の外径寸法φAよりも小さくされている。
【0050】
<入口側縮径面36および出口側縮径面38>
後述するように、筒状接続部18への柱状接続部16の圧入方向は右方から左方に向かう方向である。すなわち、筒状接続部18において右側が柱状接続部16の入口側であり、左側が柱状接続部16の出口側である。そして、筒状接続部18において、柱状接続部16の入口側の内周端部には、柱状接続部16の圧入方向の先端側に向かって次第に縮径する入口側縮径面36が設けられている。また、柱状接続部16の出口側の内周端部には、柱状接続部16の圧入方向の基端側に向かって次第に縮径する出口側縮径面38が設けられている。実施形態1では、これら入口側縮径面36および出口側縮径面38が、それぞれ略一定のテーパ角度とされたテーパ面として形成されている。これら入口側縮径面36および出口側縮径面38は、筒状接続部18の周方向の略全周にわたって形成されている。実施形態1では、後述するように、筒状接続部18が、上下方向で対向する第1周壁部40と第2周壁部42とに分割されている。それゆえ、入口側縮径面36を構成するテーパ面と出口側縮径面38を構成するテーパ面とが、それぞれ第1周壁部40と第2周壁部42とに分割されて設けられている。
【0051】
<第1周壁部40および第2周壁部42>
筒状接続部18は、上下方向で相互に対向配置される第1周壁部40と第2周壁部42とを含んで構成されている。実施形態1では、第1周壁部40が下側に位置しているとともに、第2周壁部42が上側に位置している。第1周壁部40と第2周壁部42は、それぞれ略半割りの筒状体であり、第1および第2周壁部40,42は、図3等に示される第2端子14の縦断面において、それぞれ断面円弧形状の内周面44,46を有している。したがって、第1および第2周壁部40,42の両内周面44,46により筒状接続部18の内周面20が構成される。そして、図3にも示されるように、第2端子14の筒状接続部18に第1端子12の柱状接続部16が圧入された際には、柱状接続部16の外周面により構成される第1側接点22と、筒状接続部18の内周面20(両内周面44,46)に設けられる後述する第2側接点56a,56b,56bとが相互に接触するようになっている。
【0052】
図3から図5にも示されるように、第1周壁部40の内周面44には、周方向中央部分において、周方向に延出しつつ径方向内方に突出する円弧状突部48が設けられている。この円弧状突部48は、第1周壁部40における左右方向中央部分に設けられており、左右方向中央が最も径方向内方に突出している。円弧状突部48は、所定の軸方向寸法(左右方向寸法)を有しており、第1周壁部40の左右方向全長よりは小さくされている。また、図4にも示されるように、円弧状突部48の内面において、径方向内方に最も突出する左右方向中央を挟んだ左右方向両側は、左右方向外方になるにつれて突出寸法が次第に小さくなる湾曲面50,50である。
【0053】
第1周壁部40の内周面44において、円弧状突部48を挟んだ周方向両側部分には、径方向内方に突出する内方突部52が設けられている。これら各内方突部52は、第1周壁部40における左右方向の略全長にわたって設けられている。すなわち、一対の内方突部52,52が第1周壁部40の内周面44における周方向で相互に離隔して配置されており、筒状接続部18の径方向内方に突出して、且つ軸方向に延びている。また、円弧状突部48の軸方向両端部が、各内方突部52の軸方向両端部よりも軸方向内方に位置している。実施形態1では、各内方突部52が、円弧状突部48において最も径方向内方に突出する部分(左右方向中央)よりも径方向内方に突出している。
【0054】
また、実施形態1では、円弧状突部48および各内方突部52が、第1周壁部40にプレス加工を施すことにより形成されている。これにより、第1周壁部40の外周面において、円弧状突部48および各内方突部52と対応する位置には、外方(下方に)開口する凹部54が形成されている。特に、実施形態1では、円弧状突部48を形成するための凹部と各内方突部52を形成するための凹部とが前後方向で連続しており、第1周壁部40の外周面において、1つの凹部54が、前後方向に延びて形成されている。
【0055】
そして、円弧状突部48の内面における曲率は、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)における曲率よりも小さくされている。これにより、図3等に示される第1端子12と第2端子14との嵌合時には、円弧状突部48の周方向中央が柱状接続部16の外周面(第1側接点22)と接触するようになっている。すなわち、円弧状突部48の内面における特に周方向中央の頂部により、第1端子12と第2端子14との嵌合時において第1側接点22と接触する第2側接点56aが構成されている。この第2側接点56a(円弧状突部48)は、第1周壁部40の内周面44における周方向で一対の内方突部52,52の間に配置されており、一対の内方突部52,52よりも小さい突出高さで径方向内方に突出している。なお、円弧状突部48の周方向両側部分に設けられた各内方突部52は、円弧状突部48よりも径方向内方に突出しているが、第1端子12と第2端子14との嵌合時において、各内方突部52の内面と柱状接続部16の外周面(第1側接点22)とは、相互に接触しないようになっている。
【0056】
図3等に示す第2端子14の縦断面において、実施形態1では、第2周壁部42の内周面46は周方向で部分的に曲率が異ならされている。具体的には、内周面46において、周方向中央部分よりも周方向両端側に離隔した2箇所において、周方向中央部分よりも曲率が小さくされた部分が設けられている。これにより、図3等に示される第2端子14の縦断面において、内周面46の周方向中央部分が略一定の曲率を有する円弧形状であるとともに、その円弧の周方向両端には、略直線状に延びる部分が接続されている。要するに、内周面46が略一定の曲率の湾曲面とされる場合に比べて、周方向中央部分よりも周方向両端側に離隔した2箇所は、径方向内方に突出している。
【0057】
実施形態1では、第2周壁部42が、略一定の内外面形状をもって、筒状接続部18の軸方向である左右方向に延びている。それゆえ、後述するように、筒状接続部18に柱状接続部16が圧入される際には、内周面46における周方向中央部分よりも周方向両端側に離隔した2箇所で、第2周壁部42の内周面46と、樹脂キャップ24における大径部26とが接触する。また、筒状接続部18への柱状接続部16の圧入が完了した際には、内周面46における周方向中央部分よりも周方向両端側に離隔した2箇所で、第2周壁部42の内周面と、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)とが当接する。これら第2周壁部42と樹脂キャップ24および柱状接続部16とは、周方向中央部分よりも周方向両端側に離隔した2箇所で、線接触の態様で接触する。実施形態1では、第2周壁部42において、内周面46の曲率が小さくされて径方向内方に突出し、樹脂キャップ24および柱状接続部16と接触する部分が線状接触部58である。
【0058】
すなわち、第2周壁部42の内周面46には、筒状接続部18の軸方向に延出しつつ径方向内方に突出する線状接触部58が、周方向に離隔した複数箇所(2箇所)に設けられている。そして、前述の円弧状突部48の第2側接点56aに加えて、これら各線状接触部58の頂部により、第1端子12と第2端子14との嵌合時において第1側接点22と接触する一対の第2側接点56b,56bが構成されている。第2周壁部42側の各第2側接点56b(各線状接触部58)は、左右方向で線状に延びている。特に、実施形態1では、第1周壁部40と第2周壁部42の対向方向の投影(上下方向視)で、第1周壁部40側の第2側接点(円弧状突部48の周方向中央)が、第2周壁部42側の第2側接点(一対の線状接触部58,58)の前後方向間に配置されている。
【0059】
<端子金具32>
端子金具32において、第1周壁部40と第2周壁部42の後端部は、上下方向で相互に対向する周方向端部であり、それぞれ第1周端部60,60とされている。これら一対の第1周端部60,60は、上下方向で所定の離隔距離を隔てて、相互に対向している。また、第1周壁部40と第2周壁部42の前端部は、上下方向で相互に対向する周方向端部であり、それぞれ第2周端部62,62とされている。これら一対の第2周端部62,62は、上下方向で所定の離隔距離を隔てて、相互に対向している。
【0060】
一対の第1周端部60,60には、それぞれ筒状接続部18の径方向外方(後方)に突出する一対の基端側板部64,64が設けられている。前述のように、端子金具32は、略帯状とされた金属平板をプレス加工することによって形成されており、一対の基端側板部64,64は、基端側板部64,64の後方部分で相互に連結されている。実施形態1では、一対の基端側板部64,64が、それぞれ上下方向視において略矩形状である。
【0061】
基端側板部64,64よりも後方の部分には、圧着片66により図示しない電線が圧着される電線圧着部68が設けられている。電線圧着部68に圧着される電線は、例えば被覆電線であり、電線の端部において絶縁被覆が剥がされることにより露出された芯線が、第2端子14(端子金具32)の後端部に設けられた電線圧着部68において圧着片66により圧着されるようになっている。なお、電線における芯線を第2端子14(端子金具32)に固着する方法は圧着に限定されるものではなく、例えば接着や溶着等であってもよい。なお、第2端子14は、電線に代えて、機器の端子部にボルト等で固定されるようになっていてもよい。
【0062】
一対の第2周端部62,62には、それぞれ筒状接続部18の径方向外方(前方)に突出する一対の先端側板部70,70が設けられている。一対の先端側板部70,70は、それぞれ上下方向視において略矩形状であり、上下方向で相互に離隔している。すなわち、第2端子14においては、第1周壁部40と第2周壁部42に対して前後方向の一方側(後方側)で基端側板部64,64が相互に連結されており、第1周壁部40と第2周壁部42に対して前後方向の他方側(前方側)で先端側板部70,70が相互に離隔して片持ち梁状に突出した自由端を構成している。その結果、先端側板部70,70は、相互に接近または離隔する方向に弾性変形可能である。それぞれの先端側板部70,70の前端部において、左右方向両側には、前方に突出する位置決め突部72,72が設けられている。換言すれば、先端側板部70,70の前端部において、左右方向中間部分は、位置決め突部72,72よりも後方に位置している。この先端側板部70,70の前端部における左右方向中間部分において、クリップばね34が装着されるクリップばね装着部74が構成されている。
【0063】
先端側板部70,70の上下方向外面において、幅方向中央部分には、上下方向外方に突出する凸部76,76が設けられている。各凸部76は、左右方向視において略三角形状または略台形状である。すなわち、各凸部76の後面が、略上下方向に広がる鉛直面78であるとともに、各凸部76の前面が、前方になるにつれて上下方向外方への突出高さが小さくなるように傾斜する傾斜面80である。
【0064】
先端側板部70,70の上下方向内面において、幅方向中央部分には、上下方向内方に突出するストッパ部82,82が設けられている。各ストッパ部82は、外径寸法よりも突出高さ寸法(上下方向寸法)の方が小さくされた扁平な略円柱形状である。これらストッパ部82は、先端側板部70の先端よりも筒状接続部18に近い位置に設けられることが好適であり、実施形態1では、各ストッパ部82が、先端側板部70の外面に設けられた凸部76よりも後方(筒状接続部18側)に設けられている。各ストッパ部82は、各先端側板部70に対してプレス加工を施すことにより形成されており、各先端側板部70の外面においてストッパ部82と対応する位置には、上下方向外方に開口する凹部84が形成されている。
【0065】
<クリップばね34>
先端側板部70,70の前端部には、これら先端側板部70,70を相互に接近する方向に付勢して、先端側板部70,70の後方に連結された第1周壁部40と第2周壁部42に対して相互に接近する方向への付勢力を及ぼす弾性部材としてのクリップばね34が装着されている。すなわち、第1周壁部40と第2周壁部42に対してクリップばね34の付勢力に抗する外力を加えることで、第1周壁部40と第2周壁部42とが相互に離隔する方向に変位して、筒状接続部18が拡径方向に弾性変形するようになっている。クリップばね34は、プレス加工や打抜き加工等が可能な種々の金属材料、例えばばね鋼やステンレス鋼,黄銅,リン青銅,ベリリウム銅等の帯板を用いて形成される。なお、実施形態1では、先端側板部70,70の対向方向の隙間は、第2周端部62,62から離隔する方向である前端側に向かって次第に大きくなるように設定されている。これにより、クリップばね34の装着時における第1周壁部40と第2周壁部42の接近方向に及ぼされる付勢力が増大される。
【0066】
クリップばね34は、前後方向視において略矩形状の連結板86と、連結板86の両端部から連結板86の板厚方向の一方の側(図3中の右方)に突出して互いに接近する方向に傾斜する一対の押え片88,88を有している。各押え片88の長さ方向中間部分には屈曲部90が設けられており、各押え片88の突出先端部分は、各屈曲部90から相互に離隔する方向に延び出している。したがって、各押え片88の対向距離は、長さ方向中間部分に設けられた屈曲部90において最も小さくされており、これら屈曲部90,90の間の隙間が、クリップばね34に対して端子金具32を挿し込むための挿込口92である。端子金具32に装着する前の単品状態におけるクリップばね34の挿込口92の開口寸法(上下方向寸法)は、図6に示される単品状態における端子金具32の先端における上下方向寸法よりも小さくされている。また、一対の押え片88,88の屈曲部90,90における幅方向中央には、押え片88を板厚方向に貫通する略矩形状の係止凹部94が形成されている。
【0067】
<端子金具32とクリップばね34との組付け>
以上の形状とされたクリップばね34を、図6に示される単品状態の端子金具32に対して、一対の先端側板部70,70の前方から組み付ける。すなわち、クリップばね34における挿込口92に対して端子金具32における先端側板部70,70を挿し込んで、端子金具32に対してクリップばね34を後方にスライド変位させる。これにより、クリップばね34における一対の押え片88,88で、端子金具32の先端側板部70,70を上下方向外方から挟み込む。そして、先端側板部70,70から上下方向外方に突出する各凸部76を、クリップばね34における各係止凹部94に係止させる。これにより、クリップばね34を、一対の押え片88,88の間に一対の先端側板部70,70の先端部(前端部)を挟んだ状態で、一対の先端側板部70,70に組み付ける。この結果、図7に示されるように、第2端子14が完成する。
【0068】
ここで、前述のように、クリップばね34における挿込口92の開口寸法(上下方向寸法)は、図6に示される単品状態の端子金具32の先端(先端側板部70,70)における上下方向寸法よりも小さくされている。それゆえ、クリップばね34の挿込口92に対して、先端側板部70,70の前端部が挿し込まれることで、先端側板部70,70が端子金具32の挿込口92を上下方向外方に押し広げて、押え片88,88が相互に離隔する方向に弾性変形する。これにより、クリップばね34の挿込口92に対して、先端側板部70,70の前端部が挿入可能となり、クリップばね34が、先端側板部70,70の前端部に組み付けられる。そして、これら押え片88,88の弾性的な復元力が、先端側板部70,70の前端部に対して、相互に接近する方向への付勢力として及ぼされる。
【0069】
また、先端側板部70,70に対して相互に接近する方向への付勢力が及ぼされることで、先端側板部70,70の後方に連結された第1周壁部40および第2周壁部42における第2周端部62,62が、相互に接近する方向に付勢される。これにより、図7に示されるクリップばね34の装着状態では、図6に示されるクリップばね34の装着前の状態に比べて、筒状接続部18の内径寸法が小さくされる。具体的には、前述のように、円弧状突部48および各線状接触部58の内面を通る仮想的な円の径寸法φCが、柱状接続部16の外径寸法φAより小さくされる。
【0070】
実施形態1では、各先端側板部70の長さ方向中間部分に、対向方向内方に突出するストッパ部82,82が設けられており、図7に示されるクリップばね34の装着時に、両ストッパ部82,82が相互に当接するようになっている。そして、これにより、クリップばね34の装着時に、先端側板部70,70の先端同士が当接せず、相互に離隔するようになっている。この結果、先端側板部70,70の先端同士が当接することに伴ってクリップばね34による挟圧力が低減することが抑制されて、クリップばね34の挟圧力が、ストッパ部82およびストッパ部82の比較的近傍に設けられた筒状接続部18(第1周壁部40および第2周壁部42)に安定して及ぼされる。これにより、筒状接続部18による柱状接続部16の保持力が向上される。また、両ストッパ部82,82が当接することで、筒状接続部18の内径寸法(例えば、筒状接続部18および各線状接触部58の内面を通る仮想的な円の径寸法φC)が、小さくなり過ぎることが抑制される。これにより、筒状接続部18に対して柱状接続部16を圧入する際に、挿入抵抗が増大することが抑制される。
【0071】
<端子ユニット10の組立て>
上記のような形状とされた第2端子14の筒状接続部18に対して第1端子12の柱状接続部16を圧入して、端子ユニット10を組み立てる方法を、図8Aから図8Dおよび図9を示してモデル的に説明する。なお、図8Aから図8Dには、筒状接続部18に対する柱状接続部16の圧入が段階的に進行している状態が示されており、図8Aが圧入の始まりの状態を示すとともに、図8Bおよび図8Cが、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する状態を示す。また、図8Dが、圧入の完了の状態を示しており、端子ユニット10が組み立てられた前述の図1から図4の状態を示すものである。
【0072】
先ず、図8Aに示すように、第2端子14における筒状接続部18の入口側(右側)の端部に対して、第1端子12を接近させる。ここで、筒状接続部18は、クリップばね34が装着された図7の状態であり、内径寸法(円弧状突部48および各線状接触部58を通る仮想的な円の径寸法)はφCである。この筒状接続部18の内径寸法φCは、前述のように、樹脂キャップ24の大径部26における外径寸法φBや柱状接続部16の外径寸法φAよりも小さくされている。これにより、筒状接続部18に対して柱状接続部16を圧入する際には、筒状接続部18における入口側の内周端部に設けられた入口側縮径面36と柱状接続部16の大径部26の先端側に設けられた先端側縮径面28とが最初に当接する。このように、それぞれ挿入方向先端側に向かって縮径された縮径面28,36同士が当接することで、筒状接続部18への柱状接続部16の挿入抵抗が低減される。そして、筒状接続部18に対して柱状接続部16を更に圧入することで、図8Bおよび図9に示されるように、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置した状態となる。
【0073】
このように筒状接続部18に対して樹脂キャップ24を圧入することで、クリップばね34の付勢力に抗して、第1周壁部40と第2周壁部42とを、樹脂キャップ24により相互に離隔する方向に押し広げる。すなわち、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置した状態では、樹脂キャップ24により、クリップばね34の付勢力に抗して第1周壁部40と第2周壁部42とが相互に離隔する方向に弾性変形して、筒状接続部18が拡径変形させられる。ここで、第1周壁部40の内周面44では、円弧状突部48よりも各内方突部52が径方向内方に突出していることから、第1および第2周壁部40,42は、樹脂キャップ24に対して各内方突部52および各線状接触部58の4箇所で接触して押し広げられる。すなわち、図9に示されるように、各内方突部52および各線状接触部58を通る仮想的な円の外径寸法が、樹脂キャップ24の大径部26の外径寸法と略等しいφBとされる。特に、図8Bに示されるように、樹脂キャップ24の大径部26が円弧状突部48において最も突出する左右方向中央に至った際にも、円弧状突部48は内方突部52よりも径方向外方に位置していることから、樹脂キャップ24と円弧状突部48とは接触せず、僅かな距離をもって離隔している。したがって、図8Bに示される切断面では、第1周壁部40における円弧状突部48と樹脂キャップ24とが離隔しているが、図8Bに示される切断面よりも図中奥側において、第1周壁部40における内方突部52と樹脂キャップ24とが相互に当接している。
【0074】
そして、図8Cに示されるように、図8Bに示される状態から第2端子14に対して更に第1端子12を圧入する。ここで、各内方突部52および各線状接触部58は、筒状接続部18の長さ方向(左右方向)の略全長にわたって形成されていることから、第1周壁部40と第2周壁部42との離隔距離は変わらないまま、各内方突部52および各線状接触部58と樹脂キャップ24とが接触した状態で第1端子12が圧入される。図8Cに示される切断面においても、第1周壁部40における円弧状突部48と樹脂キャップ24とは離隔しているが、図8Cに示される切断面よりも図中奥側において、第1周壁部40における内方突部52と樹脂キャップ24とが相互に当接している。また、柱状接続部16の外径寸法φAは、樹脂キャップ24の大径部26における外径寸法φBよりも小さくされている。それゆえ、図8B,8Cおよび図9に示される(図9中では二点鎖線で図示)ように、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する状態では、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)が、筒状接続部18の内周面20(内周面44,46)に設けられる第2側接点56a,56b,56b(円弧状突部48および各線状接触部58)に当接しないようになっている。換言すれば、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する状態では、樹脂キャップ24により筒状接続部18が拡径変形させられることで、筒状接続部18の内周面20に設けられた第2側接点56a,56b,56bが、柱状接続部16の外周面によって構成される第1側接点22から離隔する方向に押されるようになっている。これにより、実施形態1では、第2側接点56a,56b,56bが、第1側接点22から離隔している。
【0075】
その後、第2端子14に対して更に第1端子12を圧入して、図8Dに示されるように、樹脂キャップ24の大径部26を、各内方突部52および各線状接触部58よりも圧入方向先端側(左側)に到達させて、大径部26と各内方突部52および各線状接触部58との接触を解除する。これにより、クリップばね34の付勢力に従って第1周壁部40と第2周壁部42とを相互に接近する方向に変位させて、図1から図4および図8Dに示されるように、柱状接続部16を筒状接続部18により保持させる。具体的には、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)に対して、筒状接続部18の内周面20における第2側接点56a,56b,56b(円弧状突部48の周方向中央および各線状接触部58)を接触させて、柱状接続部16を筒状接続部18に対して周方向の3箇所で支持させる。要するに、柱状接続部16の筒状接続部18への組付完了位置において、樹脂キャップ24が筒状接続部18から圧入方向の先端側へ突出して配置された状態では、クリップばね34の付勢力に伴う筒状接続部18の縮径方向への弾性復元力により、第2側接点56a,56b,56bが第1側接点22に圧接されるようになっている。これにより、筒状接続部18への柱状接続部16の圧入が完了して、端子ユニット10が完成する。
【0076】
以上のような構造とされた実施形態1の端子ユニット10では、第1端子12の柱状接続部16が第2端子14の筒状接続部18に圧入されるに際して、柱状接続部16よりも大きな最大外径寸法を有する樹脂キャップ24が筒状接続部18を、径方向に押し広げて拡径変形させる。それゆえ、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する状態では、柱状接続部16の外周面から構成される第1側接点22と、筒状接続部18の内周面20に設けられる第2側接点56a,56b,56bとが接触することが回避されている。すなわち、柱状接続部16を筒状接続部18に圧入するに際しては、従来のような柱状接続部の外周面と筒状接続部の内周面とによる金属同士の摺動接触に代えて、樹脂キャップ24と筒状接続部18とによる合成樹脂と金属との摺動接触になることから、柱状接続部16と筒状接続部18とが擦れることに伴うめっきの摩耗が抑制される。なお、柱状接続部16の筒状接続部18への圧入が完了して樹脂キャップ24が筒状接続部18から圧入方向先端側(左側)へ突出して配置された状態では、樹脂キャップ24が筒状接続部18内に位置する場合に比べて、筒状接続部18が縮径変形される。これにより、柱状接続部16の外周面から構成される第1側接点22と、筒状接続部18の内周面20に設けられる第2側接点56a,56b,56bとが安定して接触して、第1端子12と第2端子14とが導通接続される。
【0077】
また、筒状接続部18から柱状接続部16を引き抜く際にも、樹脂キャップ24により筒状接続部18が拡径変形されることから、第1側接点22と第2側接点56a,56b,56bとが接触することが回避される。これにより、柱状接続部16が筒状接続部18に対して繰り返し挿抜される場合にも、金属同士の摺動接触が回避されてめっき摩耗が抑制される。この結果、従来では柱状接続部の外周面や筒状接続部の内周面に、比較的摩耗が生じにくい銀めっきが採用されていたが、めっきの摩耗を抑制することで、例えばコストの安い錫めっきを採用することも可能であり、コストダウンを図ることもできる。
【0078】
筒状接続部18は、周方向で相互に離隔する一対の内方突部52,52と、これら一対の内方突部52,52の周方向間に位置する第2側接点56a(円弧状突部48)とを備えている。そして、一対の内方突部52,52の方が円弧状突部48よりも径方向内方に突出しているとともに、一対の内方突部52,52の軸方向両端が円弧状突部48の軸方向両端よりも軸方向外方に位置している。これにより、柱状接続部16が筒状接続部18へ圧入される際に、一対の内方突部52,52と樹脂キャップ24とが当接することで、筒状接続部18を安定して拡径変形することができる。なお、この樹脂キャップ24による筒状接続部18の拡径変形時には、樹脂キャップ24と円弧状突部48との接触は回避される。
【0079】
また、柱状接続部16の筒状接続部18への圧入が完了して樹脂キャップ24が筒状接続部18よりも圧入方向で先端側に配置される際には、一対の内方突部52,52と樹脂キャップ24との当接が解除されて、筒状接続部18が縮径変形する。これにより、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)と円弧状突部48の第2側接点56aとが当接する。すなわち、筒状接続部18において、樹脂キャップ24との当接部分(一対の内方突部52,52)と第1側接点22との接触部分(円弧状突部48)とを周方向で異なる位置に設けることができる。これにより、仮に柱状接続部16を筒状接続部18に圧入する際に樹脂キャップ24と一対の内方突部52,52とが当接することで、一対の内方突部52,52におけるめっきが削れてしまった場合にも、第1側接点22との接触部分には影響がなく、圧入の完了状態における柱状接続部16と筒状接続部18の導通状態が安定して維持される。
【0080】
さらに、一対の内方突部52,52の軸方向両端は、円弧状突部48の軸方向両端よりも軸方向外方に位置している。それゆえ、柱状接続部16を筒状接続部18に圧入する際だけでなく、柱状接続部16を筒状接続部18から引き抜く際にも、樹脂キャップ24が一対の内方突部52,52に当接して筒状接続部18を拡径変形させる。これにより、第1側接点22と第2側接点56aとの接触が回避されて、金属同士の摺動接触によるめっき摩耗が安定して防止または抑制される。それゆえ、筒状接続部18に対して柱状接続部16が繰り返し挿抜される場合にも、より確実にめっき摩耗が抑制される。
【0081】
筒状接続部18は、相互に対向して配置される第1周壁部40と第2周壁部42とを含んで構成されており、これら第1周壁部40と第2周壁部42とは、弾性部材であるクリップばね34によって相互に接近する方向に付勢されている。このように、筒状接続部18を複数の周壁部によって構成して、相互に接近する方向に付勢する弾性部材(クリップばね34)を設けることで、拡径変形可能な筒状接続部18を容易に構成することができる。特に、第1周壁部40と第2周壁部42とをそれぞれ略円弧状として柱状接続部16を径方向両側から別体の弾性部材(クリップばね34)で挟み込んで支持することで、柱状接続部16と筒状接続部18との間に高い接圧を設定することが可能となり、電気自動車等の高圧系の端子ユニットとして好適に採用することができる。
【0082】
第1周壁部40には円弧状突部48の頂部により第2側接点56aが設けられているとともに、第2周壁部42には各線状接触部58の頂部により一対の第2側接点56b,56bが設けられている。筒状接続部18における第1周壁部40と第2周壁部42との投影(上下方向視)では、円弧状突部48が、各線状接触部58の前後方向間に位置していることから、筒状接続部18において3つの第2側接点56a,56b,56bが、周方向で所定の距離を隔てて配置される。これにより、柱状接続部16が筒状接続部18に嵌合保持された状態において、柱状接続部16にねじり方向の外力が加えられた場合にも、筒状接続部18からの柱状接続部16の脱落が防止され得る。
【0083】
樹脂キャップ24は、柱状接続部16の筒状接続部18への圧入方向の先端側に、先端側縮径面28を有している。また、筒状接続部18は、柱状接続部16の入口側の内周端部に、入口側縮径面36を有している。それゆえ、柱状接続部16を筒状接続部18に圧入する際に、両縮径面28,36が当接することで、挿入抵抗の急激な上昇が回避されて、筒状接続部18の入口側の内周端部と樹脂キャップ24とが強く擦れることに伴う樹脂屑の発生も抑制される。同様に、樹脂キャップ24は、柱状接続部16の筒状接続部18の圧入方向の基端側に、基端側縮径面30を有している。また、筒状接続部18は、柱状接続部16の出口側の内周端部に、出口側縮径面38を有している。それゆえ、柱状接続部16を筒状接続部18から引き抜く際に、両縮径面30,38が当接することで、引抜抵抗の急激な上昇が回避されて、筒状接続部18の出口側の内周端部と樹脂キャップ24とが強く擦れることに伴う樹脂屑の発生も抑制される。
【0084】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2の端子ユニット100、および端子ユニット100を構成する第1端子102と第2端子103について、図10から図17を用いて説明する。実施形態2の第1端子102は、実施形態1の第1端子12に対して、特に樹脂キャップ104の構造が異なっている。また、実施形態2の第2端子103は、実施形態1と略同様の構造であるが、第1周壁部40において内方突部52が設けられていないという点で異なっている。なお、実施形態2では、第1端子102に対して第1ハウジング106が組み付けられてハウジング付き第1端子108が構成されているとともに、第2端子103に対して第2ハウジング110が組み付けられてハウジング付き第2端子112が構成されている。
【0085】
そして、ハウジング付き第2端子112に対してハウジング付き第1端子108が挿入されることで、第1端子102における柱状接続部16の外周面により構成される第1側接点22と第2端子103における筒状接続部18の内周面に設けられる第2側接点56a,56bとが相互に接触して、第1端子102と第2端子103とが導通接続されるようになっている。以下の説明では、実施形態2の端子ユニット100において実施形態1における端子ユニット10と異なる点について説明するとともに、実施形態1と同一の部材または部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0086】
<第1端子102>
第1端子102は、最大外径寸法がφA’(図13,14参照)とされた柱状接続部16を備えている。柱状接続部16の先端には小径とされた部分を介して樹脂キャップ104が固定される円形断面の固定部114が設けられており、固定部114には、周上の一部において径方向外方(実施形態2では上方)に突出して後述する樹脂キャップ104の係合部129bと係合する被係合部116が設けられている。柱状接続部16の先端において、固定部114や被係合部116、小径とされた部分を覆うように樹脂キャップ104が設けられている。このように、樹脂キャップ104が固定部114および被係合部116を乗り越えるようにして設けられることで、柱状接続部16からの樹脂キャップ104の脱落のおそれが低減され得る。第1端子102の最大外径寸法φA’は、実施形態1と同様に、クリップばね34の装着時における筒状接続部18の内径寸法φCよりも大きくされている。
【0087】
<樹脂キャップ104>
樹脂キャップ104は、樹脂キャップ104の周方向で半径方向寸法が異なる形状を有しており、樹脂キャップ104の周方向における相互に離隔する複数箇所において、半径方向寸法が最大となる突出接触部118が設けられている。実施形態2では、図13等にも示されるように、樹脂キャップ104が、第1端子102の軸方向(左右方向)の投影において略正三角形状であり、樹脂キャップ104の周方向において3つの突出接触部118が相互に離隔して略等間隔(120度毎)に設けられている。図13に示されるように、これら3つの突出接触部118の突出端面を通る仮想的な円(二点鎖線で図示)の外径寸法はφB’であり、柱状接続部16の最大外径寸法φA’よりも大きくされている。すなわち、各突出接触部118は、柱状接続部16の外周面(第1側接点22)よりも径方向外方に突出している。
【0088】
ここで、前述のように、第2端子103の第1周壁部40において、円弧状突部48の内面における曲率は、第1端子102の柱状接続部16の外周面における曲率よりも小さくされている。また、第2端子103の第2周壁部42の内周面46には線状接触部58,58が設けられており、各線状接触部58の形成位置では、第2周壁部42の内周面の曲率が略一定とされる場合に比べて内方に突出している。すなわち、筒状接続部18を構成する第1周壁部40と第2周壁部42においては、全体として第1周壁部40の曲率に比して第2周壁部42の曲率の方が大きくされており、第2周壁部42の内周側の空間における前後方向寸法に比して第1周壁部40の内周側の空間における前後方向寸法の方が大きくなっている。
【0089】
これにより、第1周壁部40と第2周壁部42との間に、軸方向視の形状が略正三角形状とされた樹脂キャップ104が挿入される場合には、図13や後述する図17に示されるように、3つの突出接触部118のうちの1つが上方に位置するとともに、残りの2つの突出接触部118が下方に位置する状態で挿入される。反対に、例えば3つの突出接触部118のうちの2つが上方に位置して、残りの1つの突出接触部118が下方に位置した状態で、筒状接続部18に対して樹脂キャップ104を挿入しようとすると、第2周壁部42において内方に突出する線状接触部58,58の形成部位に対して上方に位置する2つの突出接触部118が当接して挿入することができない。すなわち、実施形態2では、第2周壁部42に対して内方に突出する線状接触部58,58が設けられることで、第2周壁部42の内周側に1つの突出接触部118しか挿し入れることができず、筒状接続部18への樹脂キャップ104の挿入に際して、筒状接続部18と樹脂キャップ104とを樹脂キャップ104の周方向で位置決めすることができる。
【0090】
なお、実施形態2では、3つの突出接触部118の半径方向の突出寸法(樹脂キャップ104の中心軸から各突出接触部118の突出端面までの半径方向の離隔距離)は、それぞれ略等しくされているが、少なくとも1つが異ならされてもよく、例えば3つの突出接触部118のうちの1つの半径方向の突出寸法が、残りの2つの突出接触部118の半径方向の突出寸法より大きくされてもよい。そして、他の2つよりも大きく突出する1つの突出接触部118が係合部として、第2周壁部42側に挿し入れられるようになっていてもよい。このような場合には、他の2つの突出接触部118よりも大きく突出する1つの突出接触部118が下側(第1周壁部40側)に位置した場合、当該突出接触部118と第1周壁部40とが当接して筒状接続部18に対して樹脂キャップ104が挿入不能となるようになっていてもよく、このような形状とすることで、より高度な周方向位置決め効果が発揮される。
【0091】
樹脂キャップ104において各突出接触部118が設けられていない部位(各突出接触部118の周方向間)では、第1端子102の軸方向の投影において柱状接続部16の外周面が、樹脂キャップ104の外周面よりも径方向外方に突出している。樹脂キャップ104の外周面において、樹脂キャップ104の周方向で隣接する突出接触部118,118間を連接する部分は、何れも平面状に広がる平坦面120である。
【0092】
また、各突出接触部118の外周面(突出端面)には、所定の幅寸法を有して樹脂キャップ104の軸方向(左右方向)に延びる平坦面122が設けられている。すなわち、樹脂キャップ104において、各突出接触部118における平坦面122が、樹脂キャップ104の周方向において半径方向寸法が最大となる部位である。要するに、実施形態2では、樹脂キャップ104の軸方向視である略正三角形状のそれぞれの頂点に平坦面122が設けられている。そして、樹脂キャップ104の周方向において、各平坦面122の周方向間に、突出接触部118,118間を連接する平坦面120が設けられている。
【0093】
さらに、実施形態1と同様、樹脂キャップ104における各突出接触部118において、平坦面122に対して圧入方向先端側(左側)に隣接する部分には、圧入方向先端側に向かって次第に縮径する(半径方向の突出寸法が小さくなる)先端側縮径面124が設けられている。また、各突出接触部118において、平坦面122に対して圧入方向基端側(右側)に隣接する部分には、圧入方向基端側に向かって次第に縮径する(半径方向の突出寸法が小さくなる)基端側縮径面126が設けられている。実施形態2では、先端側縮径面124に対して基端側縮径面126の方が、樹脂キャップ104の軸方向(左右方向)に対する傾斜角度が緩やかとされており、第2端子103の筒状接続部18から第1端子102の柱状接続部16を引き抜く際に基端側縮径面126と出口側縮径面38との当接に伴って樹脂キャップ104が柱状接続部16から脱落するおそれが低減されている。また、実施形態2では、上側の基端側縮径面126における基端部分(右方部分)において、内周側に窪む凹部128が設けられており、例えば当該凹部128を外部から視認することで、第1端子102の中心軸回りの向きを把握することができる。
【0094】
樹脂キャップ104の内周面形状は、柱状接続部16の先端に対応する形状である。すなわち、樹脂キャップ104は、内部において固定部114が収容される円形断面の収容部129aを備えているとともに、収容部129aには周上の一部において柱状接続部16に設けられた被係合部116と対応する係合部129bが設けられている。実施形態2では、収容部129aの上方に係合部129bが設けられている。これにより、柱状接続部16に樹脂キャップ104が装着された際には、被係合部116と係合部129bとが係合することで柱状接続部16に対する樹脂キャップ104の回転変位が制限されて、樹脂キャップ104が、柱状接続部16に対して樹脂キャップ104の周方向で位置決めされ得る。
【0095】
<第1ハウジング106>
第1ハウジング106は、全体として略筒状であり、左右方向に延びる貫通孔130を有する周壁部132を有しているとともに、周壁部132の左端面には、所定の長さ寸法(左右方向寸法)をもって左方に突出する湾曲板部134が設けられている。湾曲板部134は、一対設けられており、上下方向で相互に離隔して対向している。各湾曲板部134は、周壁部132の周方向に沿って湾曲しており、それぞれ所定の前後方向寸法を有している。また、各湾曲板部134の周方向両端部には、周壁部132の半径方向の1つである前後方向の外方に突出する平坦板部136,136が設けられている。これら平坦板部136は、各湾曲板部134の長さ方向(左右方向)の略全長にわたって設けられている。
【0096】
そして、第1ハウジング106の貫通孔130に第1端子102が挿通されて、圧入や凹凸による係止、接着や溶着等により第1ハウジング106と第1端子102とが相互に固定されることでハウジング付き第1端子108が構成されている。図14にも示されるように、ハウジング付き第1端子108では、各湾曲板部134の内周側に所定の径方向距離を隔てて柱状接続部16が位置しており、柱状接続部16が、長さ方向(左右方向)の全長にわたって各湾曲板部134により覆われている。また、樹脂キャップ104の先端部分(左方部分)が、各湾曲板部134よりも左方に突出している。実施形態1では、樹脂キャップ104に設けられる凹部128が上方を向くように第1端子102と第1ハウジング106とが固定されており、すなわち3つの突出接触部118のうちの1つが上側の湾曲板部134と上下方向で対向しているとともに、残り2つの突出接触部118が下側の湾曲板部134と上下方向で対向している。
【0097】
<第2ハウジング110>
第2ハウジング110は、図12にも示されるように、略箱状の第2ハウジング本体138と、第2ハウジング本体138の開口部を覆蓋する第2ハウジング蓋部140とを有している。第2ハウジング本体138は、右方および後方に開口しており、第2端子103が右方開口部から挿入可能であるとともに、第2ハウジング本体138に第2端子103が右方から挿入されて第2ハウジング本体138の内部に配置された状態において、第2端子103の後方部分が、第2ハウジング本体138の後方開口部を通じて第2ハウジング本体138の外部に突出可能である。第2ハウジング本体138の表面には、複数のロック突部142が設けられている。
【0098】
第2ハウジング蓋部140は、第2ハウジング本体138の右方開口部を覆蓋するように組み付けられる。すなわち、第2ハウジング蓋部140は、第2ハウジング本体138の右方開口部を覆蓋し得る大きさのベース板部144を備えており、ベース板部144の外周縁部には、第2ハウジング本体138側に突出する複数のロック枠体146が設けられている。これらロック突部142とロック枠体146とが係合することにより、第2ハウジング本体138に対して第2ハウジング蓋部140が固定的に取り付けられるようになっている。
【0099】
第2ハウジング110に第2端子103が収容された状態において、ベース板部144における筒状接続部18と対応する位置には、ベース板部144を板厚方向(左右方向)で貫通する挿通孔148が形成されている。これにより、筒状接続部18と挿通孔148とが左右方向で連通している。また、ベース板部144において挿通孔148の上下両側には、ベース板部144を板厚方向で貫通するとともに、前後方向に延びる貫通窓150が形成されている。
【0100】
挿通孔148は、第1端子102における樹脂キャップ104が挿通可能な大きさで形成されているとともに、各貫通窓150は、第1ハウジング106における各湾曲板部134および各平坦板部136が挿通可能な大きさで形成されている。すなわち、各貫通窓150は、前後方向中間部分に設けられて各湾曲板部134が挿通可能な湾曲部分152と、湾曲部分152の前後方向両端部分から前後方向外方に延びて各平坦板部136が挿通可能な平坦部分154とを有している。これにより、筒状接続部18に対して柱状接続部16を挿入するに際して、ハウジング付き第2端子112に対して、ハウジング付き第1端子108が、各湾曲板部134が上下方向で対向する向きでのみ挿入可能とされている。この結果、第1ハウジング106における各湾曲板部134および各平坦板部136や第2ハウジング110における各貫通窓150によっても、筒状接続部18と樹脂キャップ104との周方向位置決め効果が発揮される。
【0101】
<端子ユニット100の組立て>
実施形態2において第2端子103の筒状接続部18に対して第1端子102の柱状接続部16を挿入して、端子ユニット100を組み立てる方法を、図15Aから図15D図16Aから図16Dおよび図17を示してモデル的に説明する。図15Aから図15Dおよび図16Aから図16Dには、筒状接続部18に対する柱状接続部16の挿入が段階的に進行している状態が示されている。なお、図15Aから図15D図16Aから図16Dとは切断している断面線が異なるのみであり、図15A図16A図15B図16B図15C図16C図15D図16Dは、それぞれ筒状接続部18に対する柱状接続部16の挿入における同じ段階を示すものである。すなわち、図15A,16Aが挿入の始まりの状態を示すとともに、図15B,16Bおよび図15C,16Cが、樹脂キャップ104が筒状接続部18内に位置する状態を示す。また、図15D,16Dが、挿入の完了の状態を示しており、端子ユニット100が組み立てられた前述の図10,13,14の状態を示すものである。なお、図15Aから図15Dおよび図16Aから図16Dでは、第1ハウジング106および第2ハウジング110の図示を省略している。柱状接続部16と樹脂キャップ104との固定構造は限定されるものではなく、図15Aから図15Dおよび図16Aから図16Dでは、実施形態1と同様の構造をもって図示する。
【0102】
先ず、図15A,16Aに示すように、第2端子103における筒状接続部18の入口側(右側)の端部に対して、第1端子102を接近させる。なお、図15A,16Aには示されていないが、樹脂キャップ104は第2ハウジング110の第2ハウジング蓋部140における挿通孔148に挿通されており、当該挿通孔148を通じて外部から樹脂キャップ104が筒状接続部18に対して接近する。この時点での筒状接続部18の内径寸法は、前述のようにφC(図15A参照)である。筒状接続部18の内径寸法φCは、樹脂キャップ104における各突出接触部118の突出端面を通る仮想的な円の外径寸法φB’よりも小さくされていることから、筒状接続部18に対して柱状接続部16を挿入する際には、図16Aに示されるように、最初に樹脂キャップ104における各突出接触部118に設けられた各先端側縮径面124と、筒状接続部18における先端側縮径面28とが当接する。このように、それぞれ挿入方向先端側に向かって縮径された縮径面28,124同士が当接することで、筒状接続部18への柱状接続部16(樹脂キャップ104)の挿入抵抗が低減される。
【0103】
実施形態2では、各突出接触部118は、樹脂キャップ104の周上における3箇所に設けられており、各先端側縮径面124は、先端側縮径面28における周上の3箇所に当接する。樹脂キャップ104における各突出接触部118の形成部位以外の部分は、図15Aに示されるように、筒状接続部18における先端側縮径面28に当接しないようになっている。そして、筒状接続部18に対して樹脂キャップ104を更に挿入することで、図15B,16Bおよび図17に示されるように、樹脂キャップ104が筒状接続部18内に位置した状態となる。この筒状接続部18への樹脂キャップ104の挿入は、前述のように、突出接触部118と各線状接触部58との周方向位置決め作用に加えて、各湾曲板部134および各平坦板部136と各貫通窓150との周方向位置決め作用により、筒状接続部18と樹脂キャップ104とが周方向で位置決めされた状態で実現される。
【0104】
樹脂キャップ104における各突出接触部118の突出端面を通る仮想的な円の外径寸法φB’が、筒状接続部18の内径寸法φCよりも大きくされていることから、樹脂キャップ104は筒状接続部18に対して圧入状態で挿入されることとなる。このように筒状接続部18に対して樹脂キャップ104を圧入することで、クリップばね34の付勢力に抗して、第1周壁部40と第2周壁部42とを、樹脂キャップ104により相互に離隔する方向に押し広げる。ここで、図16B,17に示されるように、各突出接触部118の外周面に設けられた各平坦面122は、筒状接続部18の内周面20における周上の3箇所に当接して摺動する。これら筒状接続部18の内周面20において各平坦面122と当接する部分が、それぞれ摺動面156である。実施形態2では、摺動面156が、第2周壁部42の内周面46における周方向中央と、第1周壁部40において内方に突出する円弧状突部48の周方向両端部分に設けられている。
【0105】
また、図15B,17に示されるように、樹脂キャップ104において各突出接触部118,118間を連接する各平坦面120は、それぞれ第2側接点56a,56bを構成する円弧状突部48の周方向中央および各線状接触部58から離隔している。換言すれば、柱状接続部16(樹脂キャップ104)が筒状接続部18に圧入される際には、樹脂キャップ104の各突出接触部118が、筒状接続部18の内周面20において、第2側接点56a,56bから離隔した部位に接触し、第2側接点56a,56bは樹脂キャップ104から離隔するようになっている。
【0106】
そして、図15C,16Cに示されるように、図15B,16Bに示される状態から、第2端子103に対して更に第1端子102を圧入する。図15C,16Cに示される状態における筒状接続部18と樹脂キャップ104との接触態様は、図15B,16Bに示される状態と同じである。各突出接触部118における平坦面122が、筒状接続部18の内周面20における各摺動面156(第2周壁部42の内周面46における周方向中央および第1周壁部40における円弧状突部48の周方向両端部分)に当接しているとともに、各突出接触部118,118間を連接する各平坦面120が、それぞれ第2側接点56a,56b(円弧状突部48の周方向中央および各線状接触部58)から離隔している。
【0107】
その後、第2端子103に対して更に第1端子102を圧入して、図15D,16Dに示されるように、樹脂キャップ104における各平坦面122を筒状接続部18よりも圧入方向先端側(左側)に到達させて、各平坦面122と各摺動面156との接触を解除する。これにより、クリップばね34の付勢力に従って第1周壁部40と第2周壁部42とを相互に接近する方向に変位させて、図10,13,14,15Dおよび16Dに示されるように、柱状接続部16を筒状接続部18により保持させる。第1端子102と第2端子103との嵌合状態において、第1側接点22と第2側接点56a,56b,56bとの接触態様は、実施形態1と同様である。すなわち、第1側接点22である柱状接続部16の外周面が、円弧状突部48の周方向中央および各線状接触部58と当接する。また、第1端子102と第2端子103との嵌合状態では、第1端子102の圧入時に樹脂キャップ104の各突出接触部118における各平坦面122と当接していた各摺動面156(第2周壁部42の内周面46における周方向中央および第1周壁部40における円弧状突部48の周方向両端部分)が、第1側接点22である柱状接続部16の外周面から離隔している。これにより、柱状接続部16を筒状接続部18に対して周方向の3箇所で支持させる。この結果、筒状接続部18への柱状接続部16の圧入が完了して、端子ユニット100が完成する。
【0108】
実施形態2の端子ユニット100においても、筒状接続部18への柱状接続部16の圧入に際して、筒状接続部18へ第1端子102の樹脂キャップ104が挿入されることで筒状接続部18が押し広げられて、柱状接続部16の外周面と筒状接続部18の内周面との金属同士の摺動が回避される。これにより、実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0109】
特に、実施形態2では、筒状接続部18への樹脂キャップ104の圧入時において樹脂キャップ104における各突出接触部118の平坦面122と当接する各摺動面156と、筒状接続部18と柱状接続部16との嵌合時において柱状接続部16の外周面(第1側接点22)と当接する第2側接点56a,56bとが、筒状接続部18の内周面20における周方向において位置が異ならされている。これにより、仮に筒状接続部18への樹脂キャップ104の圧入時において樹脂キャップ104により各摺動面156におけるめっき削れが発生したとしても、筒状接続部18と柱状接続部16との嵌合時において第1側接点22と第2側接点56a,56bとの導通状態に影響を与えることがなく、第1端子102と第2端子103とをより確実に導通させることができる。そして、このような構成は、樹脂キャップ104に対して柱状接続部16よりも径方向外方に突出する突出接触部118を設けることで実現されることから、実施形態1のように第1周壁部40に内方突部52を設ける場合に比べて、製造コストの低減を図ることもできる。
【0110】
樹脂キャップ104が周方向の3箇所において突出接触部118を有しており、各突出接触部118,118間を連接する平坦面120が設けられている。これにより、筒状接続部18へ樹脂キャップ104を圧入する際に、周上の3箇所において各突出接触部118が柱状接続部16の外周面(第1側接点22)よりも径方向外方に突出して、筒状接続部18の内周面20における各摺動面156と摺動することができる。また、樹脂キャップ104において突出接触部118以外の部分では、平坦面120が設けられることで、筒状接続部18の内周面20から離隔させることができて、各突出接触部118以外の部分での摺動が回避される。
【0111】
各突出接触部118の外周面が平坦面122とされていることから、筒状接続部18へ樹脂キャップ104を圧入する際に、各突出接触部118の突出端面と筒状接続部18の内周面20とを略面接触の状態とすることができる。これにより、例えば各突出接触部118と筒状接続部18とが略線接触の場合と比べて接圧を小さくすることができて、樹脂キャップ104が削れることによる樹脂屑の発生等のおそれが低減され得る。
【0112】
樹脂キャップ104には係合部129bが設けられているとともに、柱状接続部16には係合部129bと対応する被係合部116が設けられている。これにより、柱状接続部16に樹脂キャップ104が装着された際には、係合部129bと被係合部116とが係合することで、柱状接続部16に対する樹脂キャップ104の回転変位が制限されて、樹脂キャップ104が、柱状接続部16に対して樹脂キャップ104の周方向で位置決めされ得る。この結果、第1端子102と第2端子103との嵌合時には、筒状接続部18の内周面20において樹脂キャップ104における各突出接触部118の突出端面と当接する部位を、より確実に第2側接点56a,56bとは周方向で異なる位置とすることができる。
【0113】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0114】
(1)柱状接続部や筒状接続部の構造は前記実施形態に記載の態様に限定されるものではない。前記実施形態では、柱状接続部16の断面形状が略真円形状であったが、限定されるものではなく、例えば楕円や長円、半円等であってもよいし、多角形状であってもよい。また、柱状接続部の外径寸法は一定である必要はなく、柱状接続部の外周面には、樹脂キャップの外周面よりも外周側に突出しない程度の大きさの突部等が設けられてもよい。また、筒状接続部は拡径変形可能な周壁部を有する筒状であればよく、例えば前記特許文献1に記載の雌端子のように弾性接触片を外筒部内に折り返すような構造であってもよい。前記実施形態では、筒状接続部18の形状は略円筒形状であったが、限定されるものではなく、楕円筒、長円筒、半円筒等であってもよいし、多角筒形状であってもよい。
【0115】
(2)前記実施形態1では、樹脂キャップ24の軸方向中間部分に外径寸法が最大とされた大径部26が設けられていたが、樹脂キャップの外径寸法は軸方向で略一定とされてもよい。すなわち、樹脂キャップにおける先端側縮径面や基端側縮径面は必須なものではない。樹脂キャップにおける先端側縮径面や基端側縮径面が設けられる場合には、両縮径面の形状は限定されるものではないが、略一定のテーパ角を有するテーパ面や面取状の湾曲面等が好適に採用される。
【0116】
(3)前記実施形態1では、第1周壁部40に円弧状突部48および一対の内方突部52,52が設けられるとともに、第2周壁部42に一対の線状接触部58,58が設けられていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、第1周壁部や第2周壁部の内周面に樹脂キャップが直接当接して筒状接続部が拡径変形されるとともに、樹脂キャップが筒状接続部を通過した後に、第1周壁部や第2周壁部の内周面によって構成される第2側接点に柱状接続部の外周面(第1側接点)が直接当接するようになっていてもよい。
【0117】
(4)前記実施形態1では、第1周壁部40において柱状接続部16の外周面(第1側接点22)に当接する円弧状突部48と樹脂キャップ24に当接する各内方突部52とが周方向で異なる位置に設けられていたが、第1周壁部には、前記実施形態における第2周壁部42の線状接触部58のように、柱状接続部の外周面と樹脂キャップの何れにも当接する突部が設けられてもよい。また、第2周壁部には、前記実施形態における第1周壁部40と同様に、柱状接続部の外周面に当接する突部と樹脂キャップに当接する突部とが、周方向で異なる位置に設けられてもよい。
【0118】
(5)弾性部材は前記実施形態のようなクリップばねに限定されるものではなく、コイルスプリングや環状の弾性部材であってもよい。
【0119】
(6)筒状接続部における入口側および出口側縮径面の形状は限定されるものではないが、略一定のテーパ角を有するテーパ面や面取状の湾曲面等が好適に採用される。なお、これら入口側および出口側縮径面は必須なものではない。
【0120】
(7)前記実施形態では、樹脂キャップ24,104が筒状接続部18内に位置する状態において、筒状接続部18の第2側接点56a,56b,56bが拡径方向に押されて柱状接続部16の外周面(第1側接点22)から離隔していたが、樹脂キャップが筒状接続部内に位置する状態であっても、相互の摺動によるめっき摩耗が問題とならない程度には、第1側接点と第2側接点とが摺接してもよい。
【0121】
(8)前記実施形態2では、樹脂キャップ104の軸方向視において樹脂キャップ104が略正三角形状であったが、この態様に限定されず、樹脂キャップは軸方向視において、例えば二等辺三角形状や四角以上の多角形状であってもよい。すなわち、突出接触部は樹脂キャップの周方向において2箇所以上に設けられることが好適であり、いずれの場合においても突出接触部の突出端面は、筒状接続部の内周面において第2側接点と周方向で離隔する位置に当接することが好ましい。
【0122】
(9)前記実施形態2では、第1周壁部40において実施形態1における内方突部52が設けられていないが、実施形態2においても第1周壁部に内方突部を設けて、例えば下側の2箇所の突出接触部が各内方突部に接触するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
10 端子ユニット
12 第1端子
14 第2端子
16 柱状接続部
18 筒状接続部
20 (筒状接続部の)内周面
22 第1側接点(柱状接続部の外周面)
24 樹脂キャップ
26 大径部
28 先端側縮径面
30 基端側縮径面
32 端子金具
34 クリップばね(弾性部材)
36 入口側縮径面
38 出口側縮径面
40 第1周壁部
42 第2周壁部
44 (第1周壁部の)内周面
46 (第2周壁部の)内周面
48 円弧状突部
50 湾曲面
52 内方突部
54 凹部
56a,56b 第2側接点
58 線状接触部
60 第1周端部
62 第2周端部
64 基端側板部
66 圧着片
68 電線圧着部
70 先端側板部
72 位置決め突部
74 クリップばね装着部
76 凸部
78 鉛直面
80 傾斜面
82 ストッパ部
84 凹部
86 連結板
88 押え片
90 屈曲部
92 挿込口
94 係止凹部
100 端子ユニット(実施形態2)
102 第1端子
103 第2端子
104 樹脂キャップ
106 第1ハウジング
108 ハウジング付き第1端子
110 第2ハウジング
112 ハウジング付き第2端子
114 固定部
116 被係合部
118 突出接触部
120,122 平坦面
124 先端側縮径面
126 基端側縮径面
128 凹部
129a 収容部
129b 係合部
130 貫通孔
132 周壁部
134 湾曲板部
136 平坦板部
138 第2ハウジング本体
140 第2ハウジング蓋部
142 ロック突部
144 ベース板部
146 ロック枠体
148 挿通孔
150 貫通窓
152 湾曲部分
154 平坦部分
156 摺動面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17