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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002936
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】中性脂肪値測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103793
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】三原 唯
(72)【発明者】
【氏名】長島 理
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
(57)【要約】
【課題】使用者である生活者が日常的に使用する器具に、使用者が日常的な使用で当接することにより、使用者の中性脂肪値に関する情報を使用者の血液成分から得ることが可能な中性脂肪値測定装置を提供すること。
【解決手段】使用者の日常生活において使用者の表皮に当接して使用される器具20に設けられる中性脂肪値測定装置1であって、使用者の表皮に当接する当接部221に設けられ、使用者の表皮に対して光を照射し、使用者の血管中の血液に反射された光を受光する光学センサ300を備える中性脂肪値測定装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の日常生活において使用者の表皮に当接して使用される器具に設けられる中性脂肪値測定装置であって、
使用者の表皮に当接する当接部に設けられ、使用者の表皮に対して光を照射し、使用者の血管中の血液に反射された前記光を受光する光学センサを備える中性脂肪値測定装置。
【請求項2】
前記光学センサは、前記当接部においてライン状に配置されている請求項1に記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項3】
前記光学センサは、前記当接部において複数の点に分布して配置されている請求項1に記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項4】
前記当接部は、使用者の所定の部位が当接する位置を示す当接位置形成部を有している請求項1~請求項3のいずれかに記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項5】
前記器具は、トイレの便器により構成され、
前記当接部は、便座により構成される請求項1~請求項4のいずれかに記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項6】
前記便座に着座した使用者の体重を測定可能な体重測定部を備える請求項5に記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項7】
少なくとも前記光学センサが設けられる前記便座の表面の部分は、超撥水加工が施されている請求項5又は請求項6に記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項8】
使用者の肌の色を検知可能なカラーセンサを備える請求項5~請求項7のいずれかに記載の中性脂肪値測定装置。
【請求項9】
前記光学センサの周囲の前記便座の部分の温度を一定にするための一定温度維持部を備える請求項5~請求項8のいずれかに記載の中性脂肪値測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中性脂肪値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液成分に関する情報を取得する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、人体の一部に対して光を照射し、毛細血管を通過させた透過光を受光し、その受光強度に基づき、血液成分の定量化を行う。この装置では、個体ごとに血液検査との検量を行っており、個体差による影響を受けない。
【0003】
また、便座内に組み込まれたガスセンサにより、排便時に併発されるガス中の所定成分、具体的には二酸化炭素の濃度を測定する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。そして、あらかじめ取得した所定成分の濃度と血液成分中の脂質代謝に関する情報とに基づいて、血液中の脂質代謝に関する濃度をアウトプットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-237775号公報
【特許文献2】特開2010-197081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1には、測定方法に関する記載はあるものの、実際に実施をするための具体的な手段の構成についての記載がない。検査において重要なのは、被験者への測定負荷を極力減らすことであり、それによる継続性の維持と数値の改善である。仮に、特許文献1に記載された装置を使用する場合、皮膚からの通過光を分析するため、被験者のいずれかの測定部位を測定機に挟む(入れる)必要がある。これは非侵襲のため被験者において痛みは感じないが、被験者の手間を煩わせることになる。
【0006】
また、上述の特許文献2に記載の装置では、排便時に併発されるガス中の所定成分としての二酸化炭素の濃度を測定するため、排便時以外に測定ができない。不定期なタイミングとなる排便時での測定では、定点的な測定は困難な上、生活者が測定したいタイミングで測定できない可能性が高い。
【0007】
また、測定の際に、直前のトイレ使用者のガスの影響が残っていたり、換気扇が付いている場合のガス濃度に対する影響があったり、芳香剤や呼気による影響等があったりと、測定環境を一定に保つことが難しく、いわゆるコンタミが発生する可能性が高い。
【0008】
本開示は、使用者である生活者が日常的に使用する器具に、使用者が日常的な使用で当接することにより、使用者の中性脂肪値に関する情報を使用者の血液成分から得ることが可能な中性脂肪値測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、使用者の日常生活において使用者の表皮に当接して使用される器具に設けられる中性脂肪値測定装置であって、使用者の表皮に当接する当接部に設けられ、使用者の表皮に対して光を照射し、使用者の血管中の血液に反射された前記光を受光する光学センサを備える中性脂肪値測定装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の中性脂肪値測定装置を示す説明図である。
図2】第1実施形態の中性脂肪値測定装置の光学センサが便座に設けられている様子を示す説明図である。
図3】第1実施形態の中性脂肪値測定装置の光学センサを示す拡大断面図である。
図4】第1実施形態の中性脂肪値測定装置により中性脂肪値を測定する工程を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の中性脂肪値測定装置の光学センサが便座に設けられている様子を示す説明図である。
図6】第3実施形態の中性脂肪値測定装置の光学センサが便座に設けられている様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、中性脂肪値測定装置1を示す説明図である。図2は、中性脂肪値測定装置1の光学センサ300が便座22に設けられている様子を示す説明図である。図3は、中性脂肪値測定装置1の光学センサ300を示す拡大断面図である。
【0012】
本実施形態における中性脂肪値測定装置1は、図1に示すように、使用者の日常生活において使用者の表皮に当接して使用される器具であるトイレの便器20と、図示しない便器洗浄装置と、を備える便器装置10と、インターネットIN及びクラウドCLを介して接続されたスマートフォン等により構成される端末装置TEと、を備えている。なお、以下の説明において、便器20に着座した使用者から見た場合の前後の向きを前後方向とする。また、便器20に着座した使用者から見た場合の左右の向きを幅方向とする。更に、便器20が設置される床面に対する鉛直方向に沿う上下の向きを上下方向とする。
【0013】
便器20は、便器本体21の上部に回動可能に取り付けられた便座22及び便蓋23と、図示しない便器洗浄装置を動作させる便器装置10の図示しない機能部と、を有している。便座22の前後方向における中央部の内部には、光学センサ300を備えるセンサ部30と、図示しない通信装置と、を備えている。
【0014】
センサ部30は、便座22内に収容されて測定部221を構成する。測定部221は、使用者Uが測定を意識することなく、便座22に腰掛けることによって、自然と測定が行われる位置となるよう便座22内に組み込まれている。
【0015】
センサ部30が便座22内に収容されていることの利点は、使用者Uが測定を意識することなく、日常生活の中で測定及び記録を継続できる点にある。測定は、後述する光学的方法によって行われるため、便座を構成する素材は、測定光を透過する素材であることが好ましい。あるいは、測定光を透過させる部位のみ便座素材を光透過性のもので構成してもよい。ここで、測定光とは、光源から使用者Uの血管に向かって発射される光線と、使用者Uの血液から反射されてセンサ部30に戻ってくる光線を意味する。また光を透過させる材料としては、白色及び淡色系の樹脂素材、ガラス素材、陶器素材、複合素材、などを挙げることができる。
【0016】
光学センサ300は、図3に示すように、光源を有する照射部301と受光部302とを有する反射型の光学センサ300であり、図示しない通信装置に電気的に接続されている。照射部301は、使用者Uの大腿部FRの表皮Eに対して光、より具体的には、赤外光(赤外線)IRを照射する。受光部302は、照射部301から、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して表皮Eに対して照射され、血管BV中の血液Bによって反射され、表皮Eから使用者Uの大腿部FRの外部へ到達した赤外光IRを、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して受光し、これに基づく受光した光の波長及び強度等の情報を、使用者Uの中性脂肪値についての情報として、図示しない通信装置へ出力するように構成されている。光学センサ300の照射部301及び受光部302は、それぞれ複数設けられており、図1においてLで示すように、便座の左右方向に延びるような一直線状のライン状に並べられて配置されている。これにより、一直線状のライン状に配置された複数の光学センサ300の照射部301及び受光部302に対向するように、使用者Uの大腿部FRが当接して配置されたときに、複数の光学センサ300の照射部301及び受光部302のいずれかのうちで、中性脂肪値を測定可能な血管BVに対向している照射部301及び受光部302が選定され、これに基づく中性脂肪値の計測ポイントが選定可能に構成されている。
【0017】
また、便座22には、発熱部材70が設けられている。発熱部材70は、通電によって加熱するシーズヒータ等の線状ヒータや、絶縁された金属箔に電熱線が貼り付けられた面状ヒータにより構成されている。発熱部材70は、暖房便座機能を発揮するとともに、光学センサ300の周囲の便座22の部分の温度を一定にするための一定温度維持部を構成し、便座22の測定部221の温度を、所定の一定の温度に維持する。
【0018】
次に、上記構成による中性脂肪値測定装置1による中性脂肪値の測定及び使用者Uへの通知の工程について説明する。図4は、中性脂肪値測定装置1により中性脂肪値を測定する工程を示すフローチャートである。
【0019】
中性脂肪値の測定及び使用者Uへの通知は、スマートフォン等の端末装置TEに予めインストールされたアプリケーションソフトウェアプログラムが実行されることより、インターネットIN及びクラウドCLを介して送られてきた便器20からの情報に基づき、中性脂肪値が算出され、端末装置TEの表示部に表示されることにより行われる。
【0020】
また、端末装置TEには、光学センサ300に受光部302が受光した光の波長及び強度に対応する中性脂肪値についての情報が、予めインストールされて記憶されている。また、端末装置TEには、便器20の使用者Uが便座22に着座したときに測定される使用者Uの重量に対応する、中性脂肪値を補正するための補正値の情報が、予めインストールされて記憶されている。また、端末装置TEには、便器20の使用者Uが便座22に着座したときに取得される使用者Uの大腿部FRの表皮Eの色に対応する、中性脂肪値を補正するための補正値の情報が、予めインストールされて記憶されている。
【0021】
具体的には、先ず、便器20の使用者Uが便座22に着座する。この際、使用者Uは、便座22の測定部221に大腿部FRが載った状態で当接するように、便座22に対して着座する。この状態で、ステップS101において、ライン状に配置された光学センサ300の各照射部301から、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して使用者Uの大腿部FRに赤外光を照射して、血管中の血液によって反射された赤外光IRを、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して各受光部302が受信することにより、中性脂肪値を計測可能な血管BVに基づいて、計測ポイントを選定する。そして、ステップS102へ進む。
【0022】
次に、ステップS102において、光学センサ300の照射部301から、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して使用者Uの大腿部FRの計測ポイントに対して赤外光IRを照射する。そして、血管BV中の血液Bによって反射された赤外光IRを、センサ部30を覆っている便座22の部分を通して受光部302が受信して、中性脂肪値に関する情報、具体的には、受光した光の波長及び強度等の情報を、図示しない通信装置へ出力する。通信装置は、インターネットIN及びクラウドCLを介して、端末装置TEへ当該波長及び強度等の情報を送信する。そして、ステップS103へ進む。
【0023】
次に、ステップS103において、端末装置TEは図示しない通信装置から、使用者Uの血液Bに反射された光の波長及び強度等の中性脂肪値に関する情報を受信する。そして、得られた中性脂肪値に関する情報に基づいて得られた中性脂肪値を、端末装置TEの表示部に表示する。そして中性脂肪値の表示の工程を終了する。
【0024】
以上説明した本実施形態の中性脂肪値測定装置1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の中性脂肪値測定装置1は、使用者Uの表皮Eに当接する当接部としての便座22の測定部221に設けられ、使用者Uの表皮Eに対して光を照射し、使用者Uの血管BV中の血液Bに反射された光を受光する光学センサ300を備える。
【0025】
これにより、生活者としての使用者Uが日常的に使用する器具である便座22に着座して使用者Uの体の一部が当接するだけで、中性脂肪値を測定可能であるため、普段通り生活しているだけで中性脂肪値の測定を実施、継続する事が可能である。また、反射型の光学センサ300を用いているため、従来技術のように生活者が測定する部位を測定機に挟む(入れる)等をする手間が省けるため、生活者にとって負荷のない測定を行うことができる。
【0026】
また、光学センサ300は、当接部(測定部221)において複数設けられて一直線状のライン状に並べられて配置されている。これにより、ライン状に配置された光学センサ300の各照射部301から使用者Uの大腿部FRに赤外光IRを照射して、血管BV中の血液Bによって反射された赤外光IRを各受光部302が受信することにより、中性脂肪値を測定可能な血管BVに基づく計測ポイントの選定が可能となる。
【0027】
また、当接部としての便座22の測定部221は、使用者Uの所定の部位であり大腿部FRが当接する位置を示す当接位置形成部を有している。これにより、中性脂肪値を測定するためには、毎回、光学センサ300に対して使用者Uの同じ部位を当接する必要があるが、確実に、使用者Uの大腿部FRの同じ部位を、光学センサ300に対して当接させることが可能となる。
【0028】
また、使用者Uが日常的に使用する器具は、トイレの便器20により構成され、当接部は、便座22の測定部221により構成される。これにより、排便時、排尿時に関わらず測定が可能であるため、定点的な測定や、生活者である使用者Uが希望するタイミングでの測定が可能となる。また、着座時の便座22の接触面にて測定を行うため、環境変化による影響がなくコンタミの少ない測定が可能となる。このため、生活者である使用者Uに負担をかけず、日常的に測定を行うことが可能となる。
【0029】
また、中性脂肪値を測定するためには、最も数値が安定している朝一番の空腹時に測定するのが理想的であるが、トイレは、このような朝一番の空腹時に使用する器具として適しており、理想的な測定を行うことが可能である。
【0030】
また、着座すればいつでも使用者Uの大腿部FRが便座22の測定部221に当接(接触)して測定が可能である。また、着座状態では、毎日同じ圧力で大腿部FRを便座22の測定部221に押し付けることが可能であるため、測定値のバラつきが抑えられる。また、トイレでは便座22への着座時に、使用者Uは自然に長時間同じ姿勢を採るので、安定して測定することが可能となり、測定の精度を高く維持することが可能となる。
【0031】
また、中性脂肪値の測定中には、被験者である使用者Uは、極力動かないことが望ましいが、トイレでの着座時には使用者Uは静止しているため、測定精度を高くすることが可能である。即ち、中性脂肪値の定点的な観察や測定のためには、毎日同じ状態で測定することが安定して理想的である。着座時はほとんど姿勢が変わらないため、使用者Uが日常的に使用する器具としてトイレを用いることにより、優れた安定した継続測定を行うことが可能である。
【0032】
また、中性脂肪値測定装置1は、光学センサ300の周囲の便座22の部分の温度を一定にするための一定温度維持部としての発熱部材70を備える。これにより、便座22の測定部221が、サーモスタットが機能せず他の部分222と比較して冷たくなることを抑え、便座22の測定部221の温度を便座22の他の部分222の温度と合わせることが可能となる。この結果、測定精度を安定させることが可能となる。
【0033】
次に、本開示の第2実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、中性脂肪値測定装置の光学センサ300が便座22に設けられている様子を示す説明図である。
【0034】
第2実施形態においては、便座22にセンサ部30が露出して設けられている構成が、第1実施形態における構成とは異なる。その他の構成は、第1実施形態における構成と同様であるため、第1実施形態における部材と同様の部材については、第1実施形態における符号の末尾に「A」を付して図示し、説明を省略する。
【0035】
センサ部30は、便器20Aの便座22内に収容されておらず、便座22の上面に露出している。この構成により、便座22を通さずに直接光学センサ300の各照射部301から使用者Uの大腿部FRに赤外光IRを照射して、血管BV中の血液Bによって反射された赤外光IRを各受光部302が便座22を通さずに直接受信することが可能となる。
【0036】
この実施形態においては、測定部221においてセンサ部30が露出していることによる圧迫感を感じさせないために、センサ部30の外観の色は、その周囲の便座22の色と同色とすることが好ましい。さらには、便座22に着座した際の違和感を減少させるため、測定部221と他の部分222との継ぎ目はシームレスとすることが好ましく、便座22と一体化して測定ができる程度に使用者Uの大腿裏と接触する形状とすることが好ましい。
【0037】
次に、本開示の第3実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図6は、中性脂肪値測定装置の光学センサ300Bが便座22Bに設けられている様子を示す説明図である。
【0038】
第3実施形態においては、便座22Bにセンサ部30Bが設けられている構成が、第1実施形態における構成とは異なる。その他の構成は、第1実施形態における構成と同様であるため、第1実施形態における部材と同様の部材については、第1実施形態における符号の末尾に「B」を付して図示し、説明を省略する。
【0039】
図6に示すように、センサ部30Bにおいて光学センサ300Bは、便器20Bの当接部としての便座22Bの測定部221において複数の点に分布して配置されていてもよい。即ち、図6において示す複数の点の一つ一つが、それぞれ光学センサ300Bを示しているが、これらが、図6に示すように、使用者Uの大腿部FRが当接する便座22Bの測定部221において纏まって分布して配置されている。この構成により、纏まって分布して配置された複数の光学センサ300Bに対向するように、使用者Uの大腿部FRが当接して配置されたときに、複数の光学センサ300Bのいずれかのうちで、中性脂肪値を測定可能な血管BVに対向している光学センサ300Bが選定され、中性脂肪値を測定可能な血管BVに基づく計測ポイントの選定が可能となる。
【0040】
(変形態様)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0041】
本開示に係るセンサ部は後付けできる構成としてもよい。この場合には、後から便座の上にセンサ部を設置すると、センサ部の高さによって便座の上面が平坦でなくなり、使用勝手が悪化する。このため、例えば、便座の先端や便座の内周や外周にセンサ部を嵌め込んで後付けをして、便座からはみ出た大腿部の膝寄りの大腿部の部分にセンサ部を当接させて測定すればよい。また、センサを薄く構成してもよい。
【0042】
また、生活者としての使用者Uが日常的に使用する器具は便器20に限定されない。例えば、トイレのペーパーホルダーにセンサ部を設置し、当該センサ部が手や腕に対して当接して測定してもよいし、トイレの手すりにセンサ部を設置し、当該センサ部が手に対して当接して測定してもよいし、トイレのリモコンにセンサ部を設置し、当該センサ部が手に対して当接して測定してもよい。
【0043】
また、例えば、トイレ以外の場所における器具にセンサ部が設けられてもよい。例えば、浴槽の縁にセンサ部を設置し、当該センサ部が腕に対して当接して測定してもよいし、風呂場で使用する椅子にセンサ部を設置し、当該センサ部が大腿部に対して当接して測定してもよい。
【0044】
また、例えば、光学センサ300が設けられる便座22の表面の部分、即ち、センサ部30を覆っている便座22の測定部221の表面の部分や、便座22の表面に露出しているセンサ部30の表面は、超撥水加工が施されていてもよい。これにより、センサ部30を覆っている便座22の測定部221の表面や、センサ部30の表面に水滴が付着することを抑えることが可能となる。また、これらの表面のみならず、便座22の上面の全体に超撥水加工が施されていてもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、端末装置TEにおいて中性脂肪値が表示されたが、この構成に限定されない。例えば、中性脂肪値は、便器装置10に保存されてリモコン等に表示されてもよいし、クラウドCL上の所定の場所に記憶されて使用されてもよい。
【0046】
また、例えば、センサ部30は、重量センサを備えていてもよい。この場合、例えば、重量センサは、図示しない通信装置に電気的に接続される。重量センサは、便座22の測定部221に大腿部FRが当接して着座した使用者Uの重量等の情報を、便座22に着座した使用者Uの重量を測定することにより取得する。そして、重量センサは、当該重量等の情報を、図示しない通信装置へ出力するように構成されている。重量センサは、便座22に着座した使用者Uの体重を測定可能な体重測定部を構成する。
【0047】
この構成により、センサ部30は、便座22に着座した使用者Uの体重を測定可能な体重測定部としての重量センサを備えるため、使用者Uの重量(体重)を加味して中性脂肪値を補正することが可能となり、使用者Uの重量(体重)によって当接部としての便座22の測定部221にかかる圧力が違うため、体重によって血管BVの状態が変動して測定値がばらつくことを抑えることが可能である。
【0048】
また、例えば、センサ部30は、カラーセンサを備えていてもよい。この場合、例えば、カラーセンサは、図示しない通信装置に電気的に接続される。カラーセンサは、便座22に着座して便座22の測定部221に当接している使用者Uの大腿部FRの表皮Eの色の情報を取得する。即ち、カラーセンサは、使用者Uの肌の色を検知可能である。そして、カラーセンサは、当該表皮Eの色の情報を、図示しない通信装置へ出力するように構成されている。
【0049】
この構成により、センサ部30は、使用者Uの肌の色を検知可能なカラーセンサを備えるため、肌の色に対して中性脂肪値に関する情報を補正することが可能となり、肌の色によって測定に誤差が生じることを抑えることが可能となる。
【0050】
重量センサやカラーセンサは、便器における他の位置に内蔵されて構成されていてもよい。あるいは、重量センサは便座内に内蔵せず、通信機能を持った別の端末から重量情報を得る構成としてもよい。
【0051】
また、本実施形態においては、端末装置TEにおいて、使用者Uの血液Bに反射された光の波長及び強度等の中性脂肪値に関する情報に基づいて、中性脂肪値の表示を行ったが、この構成に限定されない。例えば、中性脂肪値に関する情報の値のデータの処理は、端末装置TEにおいて行われず、他の場所において行われる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 中性脂肪値測定装置
20、20A、20B 便器
22、22B 便座
30、30A、30B センサ部
70 発熱部材
221 部分(当接部、当接位置形成部)
300、300A、300B 光学センサ
301 照射部
302 受光部
B 血液
BV 血管
E 表皮
FR 大腿部(所定の部位)
IR 赤外光(光)
U 使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6