(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029446
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230224BHJP
B24B 19/02 20060101ALI20230224BHJP
B24B 7/00 20060101ALI20230224BHJP
B24B 1/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01L21/304 631
B24B19/02
B24B7/00 A
B24B1/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206691
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021093356の分割
【原出願日】2015-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】石川 一政
(57)【要約】
【課題】ウェーハを仕上げ厚さに薄化することができるウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置を提供する。
【解決手段】ウェーハ研削方法は、ウェーハの厚さが仕上げ厚さである第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで粗研削手段によってウェーハの裏面を粗研削する粗研削工程と、粗研削工程が行われた後、精研削手段の送り込み速度を段階的又は連続的に遅くしながらウェーハの裏面の精研削を実施し、精研削手段の送り込み速度は、第1厚さとなるまでウェーハの裏面を研削した直後に、精研削手段を直ちに停止させることを優先して設定される精研削工程とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの表面に前記ウェーハの厚さよりも浅い溝がダイシングラインに沿って形成された前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削方法であって、
前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削工程と、
前記粗研削工程が行われた後、精研削手段の送り込み速度を段階的又は連続的に遅くしながら前記ウェーハの裏面の精研削を実施し、前記精研削手段の送り込み速度は、前記第1厚さとなるまで前記ウェーハの裏面を研削した直後に、前記精研削手段を直ちに停止させることを優先して設定される精研削工程と、
を備えるウェーハ研削方法。
【請求項2】
ウェーハの表面に前記ウェーハの厚さよりも浅い溝がダイシングラインに沿って形成された前記ウェーハの裏面を研削して前記ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置であって、
前記ウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段と、
前記ウェーハの裏面を精研削する精研削手段と、
前記ウェーハの厚さが前記第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで前記粗研削手段によって前記ウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって、前記粗研削が行われた後、前記精研削手段の送り込み速度を段階的又は連続的に遅くしながら前記ウェーハの裏面の精研削を実施し、前記精研削手段の送り込み速度を、前記第1厚さとなるまで前記ウェーハの裏面を研削した直後に、前記精研削手段を直ちに停止させることを優先して設定する制御手段と、
を備えるウェーハ研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置に係り、特にウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿ってウェーハの表面側からウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程を行った後、表面に保護テープが貼り付けられたウェーハの表面側をテーブルによって保持し、ウェーハの裏面を研削してウェーハを仕上げ厚さまで薄化するウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の半導体素子が形成されたチップをウェーハから分離する半導体装置の製造方法であって、DBG法(Dicing Before Grinding)と称されるダイシング方法が適用された半導体装置の製造方法が開示されている。
【0003】
DBG法とは、ダイシング工程、貼付工程、及び裏面研削工程を含むものである。
【0004】
DBG法のダイシング工程では、
図9(A)のウェーハWの断面図の如く、ウェーハWの表面をブレード1によって切削加工を行い、ウェーハWの裏面に貫通させない深さの溝、すなわち、ウェーハWの厚さよりも浅い分離用の切削溝2を形成する。これによって、
図10のウェーハWの平面図の如く、ウェーハWの表面に、ダイシングラインに沿った格子状の切削溝2が形成される。
【0005】
次に、貼付工程では、
図9(B)の如くウェーハWの上下を反転して、図中下側となった半導体素子SD(Semiconductor Device)の表面にバックグラインディング用テープ(保護テープ。以下、BGテープという。)3を貼り付ける。
【0006】
次に、裏面研削工程では、
図9(C)の如く、図中上面となっているウェーハWの裏面を、ウェーハ研削装置4によって、切削溝2に到達するまで裏面研削を行い、ウェーハWを個々のチップTに個片化する。裏面研削工程では、BGテープ3を介してウェーハWの表面側をテーブル5に保持させて、テーブル5及びウェーハ研削装置4を矢印a、b方向に回転させ、かつウェーハ研削装置4を矢印c方向に送り込みながら実施する。
【0007】
この後、分離されたチップTの裏面にウェーハ保持テープ(不図示)を貼り付けてテーブル5からBGテープ3を取り外し、次に、チップTからBGテープ3を除去した後、ウェーハ保持テープからチップTを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のようなDBG法によるウェーハ研削方法は、チップTを個片化した際に、研削加工によって生じたスラッジ(sludge)が、隣接するチップTの間の隙間6に入り込み、チップTの側面にスラッジが付着するという問題があった。
【0010】
このような問題は、ウェーハ研削装置4による裏面研削が切削溝2に到達した直後に裏面研削工程を終了すれば軽減することができる。よって、ウェーハWの裏面を研削しながらウェーハWの厚さを測定し、その厚さが切削溝2の深さに到達した直後に裏面研削工程
を終了すればよい。
【0011】
ここで、裏面研削加工中にウェーハWの厚さを測定する装置としては、例えば、既知の接触式厚さ測定ゲージ(電気マイクロメータ、インプロセスゲージとも言う。)を用いることが考えられる。この接触式厚さ測定ゲージは、一対の測定子を有している。テーブル5にウェーハWの裏面を保持させた状態で、一対の測定子のうち一方の測定子をウェーハの裏面に当接し、他方の測定子をテーブルの上面に当接し、テーブルの上面を基準としてウェーハWの厚さを測定する。
【0012】
しかしながら、ウェーハWは表面にBGテープ3が貼り付けられているので、接触式厚さ測定ゲージは、BGテープ3の厚さを含むウェーハWの厚さを検出するが、BGテープ3の厚さは不均一なので、ウェーハWのみの厚さを正確に測定することは困難である。また、個片化されたチップTの裏面に、一方の接触子の接触に起因する傷が付くという問題もある。
【0013】
そこで、接触式厚さ測定ゲージに代えて、超音波又はレーザをウェーハWの裏面に送波し、その反射波を受波してウェーハWのみの厚さを測定する既知の非接触式厚さ測定ゲージ(ノンコンタクトインプロセスゲージとも言う。)を用いることが考えられる。
【0014】
しかしながら、裏面研削加工中のウェーハWの裏面は、面粗さが粗いため、送波した超音波又はレーザが裏面で拡散される。これにより、ウェーハWのみの厚さを正確に測定することは困難である。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウェーハのみの厚さを正確に測定しながらウェーハの裏面を研削して、ウェーハを仕上げ厚さに薄化することができるウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のウェーハ研削方法の一態様は、本発明の目的を達成するために、ウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿ってウェーハの表面側からウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後、表面に保護テープが貼り付けられたウェーハの表面側をテーブルによって保持し、ウェーハの裏面を研削してウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削方法であって、ウェーハの裏面に接触してウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段によってウェーハの厚さを測定しながら、接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づき、ウェーハの厚さが第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで粗研削手段によってウェーハの裏面を粗研削する粗研削工程と、粗研削工程が行われた後、ウェーハの裏面に対して離れた位置からウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段によってウェーハの厚さを測定しながら、非接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づき、ウェーハの厚さが第1厚さとなるまで精研削手段によってウェーハの裏面を精研削する精研削工程と、を備える。
【0017】
本発明のウェーハ研削装置の一態様は、本発明の目的を達成するために、ウェーハの表面に形成された複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿ってウェーハの表面側からウェーハの厚さよりも浅い溝を加工する溝加工工程が行われた後、表面に保護テープが貼り付けられたウェーハの表面側をテーブルによって保持し、ウェーハの裏面を研削してウェーハを仕上げ厚さである第1厚さまで薄化するウェーハ研削装置であって、テーブルに保持されたウェーハの裏面を粗研削する粗研削手段と、テーブルに保持されたウェーハの裏面に接触してウェーハの厚さを測定する接触式厚さ測定手段と、テーブルに保持されたウェーハの裏面を精研削する精研削手段と、テーブルに保持されたウェーハの裏面に対して離れた位置からウェーハの厚さ測定する非接触式厚さ測定手段と、接触式厚さ測定手段によってウェーハの厚さを測定しながら、接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づき、ウェーハの厚さが第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで粗研削手段によってウェーハの裏面を粗研削させる制御手段であって、粗研削工程が行われた後、非接触式厚さ測定手段によってウェーハの厚さを測定しながら、非接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づき、ウェーハの厚さが第1厚さとなるまで精研削手段によってウェーハの裏面を精研削させる制御手段と、を備える。
【0018】
本発明の一態様によれば、ウェーハの裏面研削工程を、単位時間当たりの研削量が大きい粗研削工程と、単位時間当たりの研削量が小さい精研削工程とに分けて実施する。粗研削工程では、ウェーハの裏面の面粗さが粗くてもウェーハの厚さを測定可能な接触式厚さ測定手段を使用する。この接触式厚さ測定手段をウェーハの裏面に接触し、ウェーハの厚さを測定しながら、接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づいて、ウェーハの厚さが仕上げ厚さである第1厚さよりも厚い第2厚さとなるまで、粗研削手段によって粗研削を行う。この後、粗研削工程から精研削工程に切り換える。
【0019】
精研削工程では、ウェーハの裏面が精研削手段によって精研削されることから、つまり、ウェーハの裏面の面粗さが小さくなるように研削されることから、接触式厚さ測定手段に代えて非接触式厚さ測定手段を使用する。非接触式厚さ測定手段によってウェーハの厚さのみを非接触で測定しながら、非接触式厚さ測定手段によって測定されるウェーハの厚さに基づき、ウェーハの厚さが第1厚さとなるまで精研削手段によって精研削する。
【0020】
これにより、本発明の一態様によれば、ウェーハのみの厚さを正確に測定しながらウェーハの裏面を研削して、ウェーハを仕上げ厚さに薄化することができる。
【0021】
本発明のウェーハ研削方法の一態様は、粗研削工程は、粗研削手段による送込速度を第1速度に制御して第2厚さまでウェーハの裏面を粗研削し、精研削工程は、精研削手段による送込速度を第1速度よりも低速な第2速度に制御して、ウェーハを第2厚さよりも薄く第1厚さよりも厚い第3厚さとなるまで精研削する第1精研削工程と、第1精研削工程が行われた後、精研削手段による送込速度を第2速度よりも低速な第3速度に制御してウェーハを第1厚さとなるまで精研削する第2精研削工程と、を有することが好ましい。
【0022】
本発明のウェーハ研削装置の一態様は、制御手段は、粗研削手段による送込速度を第1速度に制御して第2厚さまでウェーハの裏面を粗研削させ、その後、精研削手段による送込速度を第1速度よりも低速な第2速度に制御して、ウェーハを第2厚さよりも薄く第1厚さよりも厚い第3厚さとなるまで精研削させ、その後、精研削手段による送込速度を第2速度よりも低速な第3速度に制御してウェーハを第1厚さとなるまで精研削させることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様によれば、粗研削工程は、粗研削手段による送込速度(feed speed)を第1速度に制御して第2厚さまでウェーハの裏面を粗研削する。
【0024】
精研削工程は、第1精研削工程と第2精研工程とに分けて実施する。第1精研削工程では、精研削手段による送込速度を第1速度よりも低速な第2速度に制御して、ウェーハを第2厚さよりも薄く第1厚さよりも厚い第3厚さとなるまで精研削する。これにより、ウェーハWの裏面が鏡面に研削される。そして、第2精研削工程では、精研削手段による送込速度を第2速度よりも低速な第3速度に制御してウェーハを第1厚さとなるまで精研削する。これにより、ウェーハWは第3厚さから第1厚さまで徐々に研削されていくので、仕上げ厚さである第1厚さまで研削された直後にウェーハの裏面の研削加工工程を終了することができる。つまり、第1厚さを溝の深さに設定することにより、研削加工によって生じたスラッジが隣接するチップの間の隙間に入り込み、チップの側面にスラッジが付着するという問題を軽減することができる。
【0025】
本発明のウェーハ研削方法の一態様は、精研削工程が行われた後、精研削手段の送り込みを停止して、精研削手段によってスパークアウトを実行するスパークアウト工程を備えることが好ましい。
【0026】
本発明のウェーハ研削装置の一態様は、制御手段は、精研削工程が行われた後、精研削手段の送り込みを停止して、精研削手段によってスパークアウトを実行させることが好ましい。
【0027】
本発明の一態様によれば、精研削工程によって第1厚さに到達したウェーハの裏面の切り残しを、スパークアウト工程によって除去することができる。これにより、仕上げ面である裏面の品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置によれば、ウェーハのみの厚さを正確に測定しながらウェーハの裏面を研削して、ウェーハを仕上げ厚さに薄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】
図1に示したウェーハ研削装置の構成を示したブロック図
【
図6】粗研削部及び精研削部の工程を示したフローチャート
【
図7】粗研削部及び精研削部の工程によるウェーハの研削量を示したグラフ
【
図9】半導体装置の製造方法を時系列的に示した説明図
【
図10】ダイシング工程にて切削溝が形成されたウェーハの平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に従って本発明に係るウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置の好ましい実施形態について説明する。
【0031】
〔ウェーハ研削装置10〕
図1は、実施形態のウェーハ研削装置10の斜視図であり、
図2はウェーハ研削装置10の平面図である。また、
図3は、ウェーハ研削装置10の構成を示したブロック図である。
【0032】
図1、
図2の如く、ウェーハ研削装置10の本体12には、カセット収納部14、ウェーハ搬送装置16、アライメント部18、インデックステーブル20、粗研削部22、及び精研削部24が所定の位置に設けられている。これらの装置及び各部は、
図3に示すコントローラ(制御手段)26によって統括制御されている。コントローラ26は、入力装置28から入力されるウェーハWの品種等を示す情報に基づいてこれらの装置及び各部を制御する。制御内容については後述する。なお、
図1、
図2の粗研削部22及び精研削部24は、不図示のカバーによって覆われており、粗研削部22、精研削部24で使用した加工液が外部に飛散するのを防止している。
【0033】
〈カセット収納部14〉
カセット収納部14には、裏面研削前の複数枚のウェーハWが収納されたカセット30と、裏面研削終了後のウェーハWが収納されるカセット32が着脱自在に装着される。
【0034】
裏面研削前のウェーハWの表面には、不図示のダイシング装置による溝加工工程を経ることによって、半導体素子を分離するための切削溝2(
図8参照)が形成されている。すなわち、ウェーハWの表面には、複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿ってウェーハの表面側からウェーハWの初期厚さよりも浅い切削溝2が加工されている。そして、そのウェーハWの表面には、半導体素子を保護するBGテープ3(
図8参照)が貼り付けられている。
【0035】
カセット30に収納されたウェーハWは、ウェーハ搬送装置16の吸着部34によって1枚ずつ保持されて、アライメント部18に搬送される。ウェーハ搬送装置16は、汎用の6軸関節ロボットであり、その構成は周知であるので、ここではその説明を省略する。
【0036】
〈アライメント部18〉
アライメント部18は、カセット30から搬出されたウェーハWを所定の位置に位置合わせする装置である。アライメント部18で位置合わせされたウェーハWは、ウェーハ搬送装置16の吸着部34に再度吸着保持された後、空のテーブル36に搬送され、テーブル36の上面の吸着面にウェーハWの表面側が吸着保持される。テーブル36は、インデックステーブル20の上面に設置され、また、同機能を備えたテーブル38、40、42がインデックステーブル20の上面に設置されている。
【0037】
〈インデックステーブル20〉
インデックステーブル20は円盤状に構成され、
図2の破線で示す回転軸44を介して本体12に回転自在に支持されている。また、回転軸44には、
図2の破線で示すモータ46の回転軸(不図示)が連結されている。よって、インデックステーブル20はモータ46の動力によって回転され、このモータ46が
図3のコントローラ26によって制御されている。なお、前述した4台のテーブル36~42は、インデックステーブル20の回転軸44を中心とする同心円上に90度の間隔をもって設置されている。
【0038】
〈テーブル36~42〉
図1、
図2において、テーブル36はウェーハWの受取位置に、テーブル38は粗研削部22による粗研削加工位置に、テーブル40は精研削部24による精研削加工位置に、テーブル42はウェーハWの受渡位置にそれぞれ配置される。
【0039】
ウェーハWは、受取位置に位置するテーブル36に保持された後、インデックステーブル20の90度の間欠的な回動によって粗研削加工位置に移動され、ここで粗研削加工される。粗研削加工が終了するとウェーハWは、インデックステーブル20の同方向の90度の間欠的な回動によって精研削加工位置に移動され、ここで精研削加工及びスパークアウト加工される。精研削加工が終了するとウェーハWは、インデックステーブル20の同方向の90度の間欠的な回動によって受渡位置に移動され、ここでウェーハ搬送装置16に保持された後、カセット32に収納される。
【0040】
テーブル36~42は、インデックステーブル20の下面に支持された不図示のモータの回転軸に連結され、モータの駆動力によって回転される。
【0041】
テーブル36~42の吸着面は、セラミックス等の焼結体からなるポーラス材で構成され、不図示のサクションポンプに連結されている。サクションポンプの吸引力を吸着面に作用させることにより、ウェーハWの表面側が吸着面に吸着保持される。
【0042】
〈粗研削部22〉
粗研削部22は、ウェーハWの裏面を粗研削するカップ型砥石(粗研削手段)48、モータ50、送込装置52、接触式厚さ測定手段であるインプロセスゲージ(株式会社東京精密製品、パルコムシリーズ。In Process Gage。以下、「IPG」と言う。)54を備える。
【0043】
カップ型砥石48は
図1の如く、モータ50の図示しない回転軸に連結され、モータ50の駆動力によって回転される。また、カップ型砥石48は、モータ50及びモータ支持部56を介して送込装置52に取り付けられている。
【0044】
送込装置52は、カップ型砥石48をモータ50とともに、粗研削加工位置に対して昇降移動させる装置であり、下降移動による送込移動によってカップ型砥石48をウェーハWの裏面に押し付けることができる。これによって、ウェーハWの裏面粗研削加工が行われる。
【0045】
送込装置52によるカップ型砥石48の送込速度は、カップ型砥石48の砥粒の番手等の砥石の仕様及びウェーハWの材質等の研削条件に基づいて一定速度に設定される。
【0046】
また、送込装置52による、ウェーハWの裏面に対するカップ型砥石48の送込量は、ウェーハWの初期厚さ、IPG54によって測定される粗研削加工中のウェーハWの厚さ、及び溝加工工程にて形成された溝2の深さに基づいて
図3のコントローラ26が制御する。
【0047】
【0048】
IPG54は、一対の接触子58、60及び演算部62を備える。接触子58はウェーハWの裏面に、接触子60は粗研削加工位置に位置したテーブル36の上面にそれぞれ接触される(
図8参照)。演算部62は、接触子60で測定されるウェーハWの裏面の高さから、接触子60によって測定されるテーブル36の上面の高さを減算することによってウェーハWの厚さを求める。IPG54にて測定されたウェーハWの厚さは、
図3のコントローラ26に出力され、コントローラ26はその厚さに基づいて粗研削部22を制御する。なお、IPG54によって測定されるウェーハWの厚さは、BGテープ3の厚さを含むものである。
【0049】
粗研削部22にて粗研削工程が行われたウェーハWは、ウェーハWからカップ型砥石48が上方に退避移動した後、インデックステーブル20の90度の回動で精研削部24に移動される。
【0050】
〈精研削部24〉
図1、
図2の如く、精研削部24は、ウェーハWの裏面を精研削するカップ型砥石(精研削手段)64、モータ66、送込装置68、非接触式厚さ測定手段であるノンコンタクトインプロセスゲージ(No Contact In Process Gage。以下、「NCIG」と言う。)70を備える。
【0051】
カップ型砥石64は、モータ66の図示しない回転軸に連結され、モータ66の駆動力によって回転される。また、カップ型砥石64は、モータ66及びモータ支持部72を介して送込装置68に取り付けられている。
【0052】
送込装置68は、カップ型砥石64をモータ66とともに、精研削加工位置に対して昇降移動させる装置であり、下降移動による送込移動によってカップ型砥石64をウェーハWの裏面に押し付けることができる。これによって、ウェーハWの裏面精研削加工が行われる。
【0053】
送込装置68によるカップ型砥石64の送込速度は、カップ型砥石64の砥粒の番手等の砥石の仕様及びウェーハWの材質等の研削条件に基づいて設定される。
【0054】
また、送込装置68による、ウェーハWの裏面に対するカップ型砥石64の送込量は、NCIG70によって測定される精研削加工中のウェーハWの厚さ、及び溝加工工程にて形成された溝2の深さに基づいて
図3のコントローラ26が制御する。
【0055】
図5は、NCIG70の構成を示すブロック図である。
【0056】
NCIG70は、超音波発振部から発振されるパルス超音波等の超音波Uを下方のウェーハWに向けて送波する送波部76と、送波部76から送波されてウェーハWに反射した超音波の反射波を受波する受波部78と、演算部80とを備えている。
【0057】
NCIG70によれば、送波部76からウェーハWに向けて送波された超音波Uは、ウェーハWの裏面W1と表面W2とで反射し、それぞれが第1反射波U1、第2反射波U2として、受波部78で受波される。第2反射波U2は、ウェーハWの厚さ分だけ第1反射波U1よりも遅れて受波部78に到達するので、この時間差に基づいてウェーハWのみの厚さを演算部80が求める。NCIG70にて測定されたウェーハWのみの厚さは、
図3のコントローラ26に出力され、コントローラ26はその厚さに基づいて精研削部24を制御する。なお、非接触式厚さ測定手段として、超音波を利用したNCIG70を説明したが、非接触式の形態として、レーザ光を用いた測定手段を用いることもできる。
【0058】
また、精研削部24においては、カップ型砥石64による精研削工程の後、カップ型砥石64によるスパークアウト工程に移行することもできる。スパークアウト工程とは、研削の最終段階で行われる工程であり、カップ型砥石64の送り込みを停止し、カップ型砥石64を回転させて、研削による火花や研削音がなくなるまでウェーハWの裏面を加工する工程である。
【0059】
精研削部24にて裏面がスパークアウトされたウェーハWは、ウェーハWからカップ型砥石64が上方に退避移動した後、インデックステーブル20の同方向の90度の回動で受渡位置に移動される。
【0060】
〔粗研削部22及び精研削部24の作用〕
図6は、粗研削部22による粗研削工程(S(Step)10、S20)、精研削部24による精研削工程(S40、S50、S60、S70)を含むウェーハ研削方法のフローチャートである。
【0061】
図7は、粗研削工程(S10、S20)及び精研削工程(S40、S50、S60、S70)によって漸次減少するウェーハWの厚さを継時的に示したグラフである。すなわち、縦軸はウェーハWの厚さを示し、横軸は研削加工の経過時間を示している。
【0062】
図8(A)~(E)は、粗研削部22及び精研削部24の研削加工動作を示した説明図である。
【0063】
図3において、粗研削部22のモータ50の回転数、送込装置52の送込速度、送込終了位置、及び精研削部24のモータ66の回転数、送込装置68の送込速度、送込終了位
置は、コントローラ26によって制御される。
【0064】
【0065】
コントローラ26は、入力装置28から入力されるウェーハWの初期厚さA、表面に形成されている切削溝2の深さd、仕上げ厚さである第1厚さB(B=d)、カップ型砥石48の第1送込速度(feed speed)V1、粗研削工程にて研削後の第2厚さC、第1精研削工程にて精研削後の第3厚さD、第1精研削工程におけるカップ型砥石64の第2送込速度V2、第2精研削工程におけるカップ型砥石64の第3送込速度V3、及びスパークアウト工程の設定時間S1に基づいて粗研削部22及び精研削部24の各部の動作を制御する。
【0066】
まず、粗研削工程(S10、S20)及び精研削工程(S40、S50、S60、S70)を概説する。
【0067】
〈粗研削工程(S10、S20)〉
図8(A)は、テーブル36が粗研削位置に移動した図である。この後、
図8(B)の如く、ウェーハWの上方からカップ型砥石48を下降移動させ、ウェーハWの裏面にカップ型砥石48が当接したところで粗研削を開始する(S10)。
【0068】
粗研削が開始されると、テーブル36に保持されたウェーハWの裏面に接触してウェーハの厚さを測定するIPG54によってウェーハWの厚さを測定しながら、IPG54によって測定されるウェーハWの厚さ(BGテープの厚さを含む)に基づき、ウェーハWの厚さが、初期厚さAから仕上げ厚さである第1厚さBよりも厚い第2厚さCとなるまでカップ型砥石48によってウェーハWの裏面を粗研削する(S20)。
【0069】
図8(B)の如く、ウェーハWの厚さが第2厚さCに到達すると、カップ型砥石48を上方に退避移動させる。その後、インデックステーブル20を90度回動させてテーブル36を精研削位置に移動させる(S30)。
【0070】
〈精研削工程〉
粗研削工程が行われた後、
図8(C)の如く、カップ型砥石64による精研削を開始する(S40)。精研削工程では、ウェーハWの裏面に対して離れた位置からウェーハWの厚さ測定するNCIG70によってウェーハWのみの厚さを測定しながら、NCIG70によって測定されるウェーハWの厚さに基づき、ウェーハWの厚さが第1厚さBとなるまでカップ型砥石64によってウェーハWの裏面を精研削する(S70)。ウェーハWの厚さが第1厚さBに到達すると、カップ型砥石48を上方に退避移動させる。その後、インデックステーブル20を90度回動させてテーブル36を受渡位置に移動させる。
【0071】
実施形態のウェーハ研削装置10によれば、ウェーハWの裏面研削工程を、単位時間当たりの研削量が大きい粗研削工程(S10、S20)と、単位時間当たりの研削量が小さい精研削工程(S40、S50、S60、S70)とに分けて実施している。
【0072】
粗研削工程(S10、S20)では、ウェーハWの裏面の面粗さが粗くてもウェーハWの厚さを測定可能なIPG54を使用する。このIPG54の接触子58をウェーハWの裏面に接触し、初期厚さAから漸次減少するウェーハWの厚さを測定しながら、IPG54によって測定されるウェーハWの厚さに基づいて、ウェーハWの厚さが仕上げ厚さである第1厚さBよりも厚い第2厚さCとなるまで、カップ型砥石48によって粗研削を行う。この後、粗研削工程から精研削工程に切り換える。
【0073】
精研削工程(S40、S50、S60、S70)では、ウェーハWの裏面がカップ型砥石64によって精研削されることから、つまり、ウェーハWの裏面の面粗さが小さくなるように研削されることから、IPG54に代えてNCIG70を使用する。NCIG70によってウェーハWの厚さのみを非接触で測定しながら、NCIG70によって測定されるウェーハWの厚さに基づき、ウェーハWの厚さが第1厚さBとなるまでカップ型砥石64によって精研削する。
【0074】
これにより、実施形態のウェーハ研削装置10及びウェーハ研削方法によれば、ウェーハWのみの厚さを正確に測定しながらウェーハWの裏面を研削して、ウェーハを仕上げ厚さである第1厚さBに薄化することができる。
【0075】
次に、粗研削工程(S10、S20)及び精研削工程(S40、S50、S60、S70)を詳説する。
【0076】
《粗研削工程(S10、S20)》
粗研削工程(S10、S20)では、カップ型砥石48による送込速度を第1送込速度V1に制御して、初期厚さAから第2厚さCまでウェーハWの裏面を粗研削する。
【0077】
第1送込速度V1は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石48によるダメージを与えることなく、裏面研削工程に費やす加工時間を短縮し、裏面研削工程を効率よく実施することを優先して設定された速度である。
【0078】
《精研削工程(S40、S50、S60、S70)》
精研削工程は、第1精研削工程(S40、S50)と第2精研工程(S60、S70)とに分けて実施する。
【0079】
図8(D)の如く、第1精研削工程(S40、S50)では、カップ型砥石64による送込速度を第1送込速度V1よりも低速な第2送込速度V2に制御して、ウェーハWを第2厚さCよりも薄く第1厚さBよりも厚い第3厚さDとなるまで精研削する。
【0080】
第2送込速度V2は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石64によるダメージを与えることなく、粗面であったウェーハWの裏面を鏡面化することを優先して設定された速度である。そのため、第1送込速度V1よりも低速に第2送込速度V2を設定し、単位時間当たりの研削量を低減させている。よって、第1精研削工程(S40、S50)において、ウェーハWの裏面が鏡面に研削される。
【0081】
そして、
図8(E)の如く、第2精研削工程(S60、S70)では、カップ型砥石64による送込速度を第2送込速度V2よりも低速な第3送込速度V3に制御してウェーハWを第1厚さBとなるまで精研削する。
【0082】
第3送込速度V3は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石64によるダメージを与えない速度であることはもちろんであるが、仕上げ厚さである第1厚さBまで研削された直後に、送込装置68によるカップ型砥石64の下降移動を直ちに停止させることを優先して設定された速度である。つまり、第1厚さBまで研削された時間とカップ型砥石64の下降移動の停止時間の僅かな差に起因する、裏面研削量の過多を防止するために設定された速度である。
【0083】
よって、第2精研削工程のウェーハWは、送込速度が第3送込速度V3に制御されたカップ型砥石64によって、第3厚さDから第1厚さBまで時間をかけて徐々に研削されていく。そして、NCIG70によって第1厚さBが検出されると、コントローラ26は送込装置68によるカップ型砥石64の下降移動を直ちに停止する。これにより、裏面研削量の過多を防止することができる。
【0084】
つまり、第1厚さBを切削溝2の深さdに設定することにより、研削加工によって生じたスラッジが隣接するチップTの間の隙間に入り込み、チップTの側面にスラッジが付着するという問題を軽減することができる。また、個片化された直後のチップTのずれも抑制できるので、チップT同士の接触によるチップTの損傷を防止することができる。
【0085】
《スパークアウト工程(S80)》
精研削工程が行われた後、カップ型砥石64の送り込みを停止して、カップ型砥石64によってスパークアウトをS1時間実行する。
【0086】
第2精研削工程(S60、S70)によって第1厚さBに到達したウェーハWの裏面の切り残しを、スパークアウト工程(S80)にて除去することができる。これにより、ウェーハWの仕上げ面である裏面の品質が向上する。
【0087】
以上の如く、実施形態のウェーハ研削方法によれば、ウェーハWの裏面を研削して所定の厚さ(仕上げ厚さ、第1厚さB、チップTのターゲット厚さ)まで薄化する際、ウェーハWの厚さに合わせて研削の種別(粗研削、精研削)を変えるだけでなく、ウェーハWの厚さを測定する手段も変えている。具体的には、粗研削工程では、接触式厚さ測定手段であるIPG54を用いる一方で、精研削工程では非接触式厚さ測定手段であるNCIG70を用いる。
【0088】
これにより、粗研削工程では、ウェーハWの裏面(研削面)の面粗さの影響を受けることなく、接触式厚さ測定手段(IPG54)によってウェーハWの概略的な厚さ(すなわち、保護テープの厚さ誤差を含むウェーハWの厚さ)を測定しつつ、比較的速い研削速度でウェーハWの裏面を効率よく研削することができる。また、精研削工程では、ウェーハWの裏面の面粗さは粗研削工程が行われるときよりも小さくなっているので、非接触式厚さ測定手段(NCIG70)によって、ウェーハWの厚さを精度よく測定することができ、それによってウェーハWの仕上げ厚さや溝残膜厚さ管理を行うことが可能となる。
【0089】
これによって、実施形態のウェーハ研削方法によれば、ウェーハWのみの厚さを検出しながら、ウェーハWの厚さを仕上げ厚さに研削することができる。
【0090】
なお、上述した溝残膜厚さとは、ウェーハWの裏面から溝2までの厚さであり、この溝残膜厚さも非接触式厚さ測定手段(NCIG70)によって精度よく測定することができる。溝残膜厚さを得ることで、コントローラ26は、精研削部24のカップ型砥石64の送込速度を更に低速に制御して溝2に到達するまで裏面を研削することも可能となる。
【0091】
ところで、比較形態として、研削の種別に関係なくウェーハWの厚さを同一方式の厚さ測定手段によって測定した場合には、次のような問題がある。すなわち、粗研削工程だけでなく精研削工程においても接触式厚さ測定手段(NCIG70)を用いた場合には、接触式厚さ測定手段の接触子(接触子58)によってウェーハWの裏面、つまり、チップTの裏面を傷付けてしまう。また、接触式厚さ測定手段は、厚さの不均一な保護テープの厚さを含むウェーハWの厚さを測定するため、ウェーハWのみの厚さを測定することができず、これにより仕上げ厚さや溝残膜厚さの管理を適正に行うことが困難となる。
【0092】
一方で、精研削工程だけでなく粗研削工程においても非接触式厚さ測定手段を用いた場合には、粗研削工程において、ウェーハWの裏面の面粗さの影響を大きく受けて、ウェーハWの厚さを測定することができない場合がある。これにより、粗研削工程での研削量を確認できない場合がある。
【0093】
これに対し、実施形態のウェーハ研削方法では、上述したように、接触式厚さ測定手段によってウェーハWの厚さを測定しながらウェーハWの厚さが所定の厚さ(第2厚さC)となるまでウェーハWの厚さを測定しながらウェーハWの裏面を粗研削した後、非接触式厚さ測定手段によってウェーハWの厚さを測定しながらウェーハWの厚さが仕上げ厚さ(第1厚さB)となるまでウェーハWの裏面を精研削するので、前述した比較形態における問題点を改善することができる。
【0094】
また、実施形態のウェーハ研削方法では、ウェーハWの裏面を研削して仕上げ厚さ(第1厚さB)まで薄化する際、ウェーハWの厚さに応じてカップ型砥石48、64の送込速度を段階的に遅くしている。すなわち、粗研削工程では、初期厚さAから第2厚さCまで第1送込速度V1で粗研削加工を行い、精研削工程では、第2厚さCから第1厚さBまで、第1送込速度V1よりも低速な送込速度(第2送込速度V2、第3送込速度V3)で精研削加工を行っている。そして更に、精研削工程では、送込速度を2段階に分けて、第2厚さCから第3厚さDまでは、第1送込速度V1よりも低速な第2送込速度V2で精研削加工を行い、第3厚さDから第1厚さBまでは、第2送込速度V2よりも低速な第3送込速度V3で精研削加工を行っている。つまり、実施形態のウェーハ研削方法では、送込速度を3段階に徐々に遅くしながら研削加工を行っている。
【0095】
なお、実施形態では、一例として送込速度を3段階に徐々に遅くする形態を示したが、これに限定されず、例えば4段階以上で送込速度を変化させてもよい。また、ウェーハWの厚さに比例させて送込速度を連続的に遅くするようにしてもよい。
【0096】
このように、ウェーハWの厚さに応じて送込速度を段階的又は連続的に遅くすることによって、ウェーハWの厚さの測定精度よりも送込速度(研削速度)が優先される粗研削工程では、厚さが厚く裏面の面粗さが大きいウェーハWを第2厚さCまで短時間で効率よく粗研削することができる。また、送込速度よりもウェーハWの厚さ測定精度が優先される精研削工程では、厚さが薄く裏面の面粗さが小さいウェーハWを仕上げ厚さまで精研削することができる。
【0097】
これにより、実施形態のウェーハ研削方法は、ウェーハWのみの厚さを検出しながら、ウェーハWの厚さを仕上げ厚さに研削することができ、かつスループットを高めつつ、ウェーハWの仕上げ厚さや溝残膜厚さ管理を適正に行うことが可能となる。
【0098】
また、粗研削工程(S10~S20)の加工時間と、スパークアウト工程(S80)を含む精研削工程(S40~S70)の加工時間とが略等しくなるように、粗研削工程での粗研削条件(すなわち、カップ型砥石48の粗研削量、送込速度、回転数等)、及び精研削工程での精研削条件(すなわち、カップ型砥石64の精研削量、送込速度、回転数等)を設定することが好ましい。
【0099】
つまり、
図7のグラフでは、スパークアウト工程(S80)を含む精研削工程(S40~S70)の加工時間は、粗研削工程(S10~S20)の加工時間と比較して約3倍である。これらの加工時間を等しくすることによって、研削工程が終了したウェーハWの待機時間を無くすことができる。よって、研削加工時間を更に短縮することができるので、スループットを更に高めることができる。
【0100】
例えば、ウェーハWを粗研削工程で初期厚さAから第3厚さDまで粗研削し、この後、第3厚さDから第1厚さBまでウェーハWを精研削工程で精研削する。これにより、
図7の研削時間と比較して、粗研削加工時間は若干長くなるが、精研削工程時間が大幅に短縮するので、研削加工時間が大幅に短縮し、スループットが更に高まる。なお、第3厚さDから第1厚さBまでの精研削の送込速度を、2段階(第2送込速度V2、第3送込速度V3)に分けて実施してもよく、連続的に遅くするようにしてもよい。
【0101】
上述したウェーハ研削方法は、粗研削部22と精研削部24とがそれぞれ1台設置されたウェーハ研削装置10による研削方法であるが、精研削部24が複数台設置されている場合には、粗研削部22で粗研削終了したウェーハWを、空の精研削部24に順次移送して精研削を実行すればよい。この場合、粗研削部22の粗研削加工時間を短くし、精研削部24の精研削加工時間を精研削部24の台数分だけ長くすることが好ましい。
【符号の説明】
【0102】
W…ウェーハ、10…ウェーハ研削装置、12…本体、14…カセット収納部、16…ウェーハ搬送装置、18…アライメント部、20…インデックステーブル、22…粗研削部、24…精研削部、26…コントローラ、28…入力装置、30、32…カセット、34…吸着部、36、38、40、42…テーブル、44…回転軸、46…モータ、48…カップ型砥石、50…モータ、52…送込装置、54…IPG、56…モータ支持部、58、60…接触子、62…演算部、64…カップ型砥石、66…モータ、68…送込装置、70…NCIG、72…モータ支持部、76…送波部、78…受波部、80…演算部