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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030354
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/00 20060101AFI20230301BHJP
   E05C 9/02 20060101ALI20230301BHJP
   E05C 9/10 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
E05C1/00 B
E05C9/02
E05C9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135438
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畠 浩史
(57)【要約】
【課題】簡便な構造でロック部の施解錠操作と障子の開閉操作とをリンクさせることができる建具を提供する。
【解決手段】ロック部は、施錠状態においてギア4のみが開放方向に所定量回転すると解錠され、解錠状態においてギア4が閉鎖方向に所定量回転すると施錠され、第1回転伝達切替部6は、ギア4(一方)に設けられる長孔部43と、アーム5(他方)に設けられギア4側に突出して長孔部43に挿入される凸部54と、を有し、長孔部43の第2端部45(内縁部)が凸部54に開放方向へ接触し、かつギア4が開放方向に回転すると、第2端部45および凸部54を介してギア4の回転力がアーム5に伝達され、長孔部43の第2端部45が凸部54に開放方向へ接触していないと、ギア4が開放方向に回転してもギア4の回転力がアーム5に伝達されず、施錠状態では、長孔部43の第2端部45が凸部54に対して開放方向の後方に間隔をあけて配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動して開口部を開閉する障子と、
前記開口部を閉鎖した障子を施解錠するロック部と、
前記障子の移動を操作する操作部と、
前記操作部が操作されると回転して前記ロック部の施解錠を行うギアと、
前記ギアの回転力が伝達されると前記ギアに連動して前記障子を移動させるアームと、
前記アームへの前記ギアの回転力の伝達と非伝達とを切り替える第1回転伝達切替部と、を有し、
ロック部は、施錠状態において前記アームが連動せずに前記ギアのみが前記開口部を開放する開放方向に所定量回転すると解錠され、解錠状態において前記ギアが前記開放方向と反対側となる前記開口部を閉鎖する閉鎖方向に所定量回転すると施錠され、
前記第1回転伝達切替部は、
前記ギアおよび前記アームのいずれか一方に設けられ前記ギアの回転方向に延びる長孔部と、
他方に設けられ前記一方側に突出して前記長孔部に挿入され前記長孔部の内部において前記回転方向に移動可能な凸部と、を有し、
前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に前記開放方向へ接触し、かつ前記ギアが前記開放方向に回転すると、前記長孔部の内縁部および前記凸部を介して前記ギアの回転力が前記アームに伝達され、
前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に前記開放方向へ接触していないと、前記ギアが前記開放方向に回転しても前記ギアの回転力が前記アームに伝達されず、
前記施錠状態では、前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に対して前記開放方向の後方に間隔をあけて配置されている建具。
【請求項2】
前記アームへの前記ギアの回転力の伝達と非伝達とを切り替える第2回転伝達切替部を更に有し、
前記第2回転伝達切替部は、
前記ギアに設けられるギア孔部と、
前記アームに設けられ前記ギア孔部と重なるアーム孔部と、
前記アームの前記ギアが配置される側と反対側に配置される空間形成部材に設けられ前記アーム孔部と重なる空間部と、
重なった前記ギア孔部と前記アーム孔部とにわたる第1位置、および重なった前記アーム孔部と前記空間部とにわたる第2位置のいずれかに配置される球体と、を有し、
前記球体が前記第1位置に配置にされると前記球体を介して前記ギアの回転力が前記アームに伝達され、
前記球体が前記第2位置に配置されると前記ギアの回転力が前記アームに伝達されず、
前記施錠状態では、前記球体が前記第2位置に配置され、
前記ギアが前記開放方向に所定量回転すると、前記ギア孔部が前記アーム孔部および前記空間部と重なり前記球体が前記第2位置から前記第1位置に移動し、前記ギアが前記開放方向に更に回転すると、前記ギアの回転力が前記アームに伝達し、
前記障子が開口部を開放している状態では、前記球体が前記第1位置に配置され、
前記ギアが前記閉鎖方向に所定量回転するとギア孔部および前記アーム孔部が前記空間部と重なり、前記球体が前記第1位置から前記第2位置に移動し、前記ギアが前記閉鎖方向に更に回転すると、前記ギアのみが前記閉鎖方向に回転して前記ギアの回転力が前記アームに伝達しない請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記空間部は、前記アームの前記ギアが配置される側と反対側に位置する空間形成部材に形成され、
前記ギアには、前記第1位置に配置された前記球体を、前記第2位置にガイドする第1傾斜面が形成され、
前記空間形成部材には、前記第1傾斜面にガイドされて第1位置から前記第2位置に移動する前記球体を、前記第2位置にガイドする第2傾斜面が形成されている請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記第2位置に配置された球体を前記ギア側に押す押付部材が設けられている請求項2または3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部を閉鎖した状態の障子の移動を拘束するロック部を有する辷り出し窓などの建具では、ロック部の解錠を行った後に障子を移動させて開口部を開放し、障子を移動させて開口部を閉鎖した後にロック部の施錠を行っている。特許文献1には、辷り出し窓のロック部の施解錠操作と、障子の開閉操作とをリンクさせて一つの操作で行うことができる建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-112935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
辷り出し窓などの建具では、施錠を行うロック部と、障子の開閉操作を行うオペレータハンドルなどの操作部とが、離れた位置に配置されていることが多い。このため、ロック部の施解錠操作と障子の開閉操作とをリンクさせる機構が複雑な構造となったり、部品点数が増加したりする。これにより、建具の組み立てや、メンテナンス、修理に手間がかかるとともに、部品の確保や管理に手間がかかるという問題がある。
【0005】
本開示は、簡便な構造でロック部の施解錠操作と障子の開閉操作とをリンクさせることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る建具は、移動して開口部を開閉する障子と、前記開口部を閉鎖した障子を施解錠するロック部と、前記障子の移動を操作する操作部と、前記操作部が操作されると回転して前記ロック部の施解錠を行うギアと、前記ギアの回転力が伝達されると前記ギアに連動して前記障子を移動させるアームと、前記アームへの前記ギアの回転力の伝達と非伝達とを切り替える第1回転伝達切替部と、を有し、ロック部は、施錠状態において前記アームが連動せずに前記ギアのみが前記開口部を開放する開放方向に所定量回転すると解錠され、解錠状態において前記アームが連動せずに前記ギアが前記開放方向と反対側となる前記開口部を閉鎖する閉鎖方向に所定量回転すると施錠され、前記第1回転伝達切替部は、前記ギアおよび前記アームのいずれか一方に設けられ前記ギアの回転方向に延びる長孔部と、他方に設けられ前記一方側に突出して前記長孔部に挿入され前記長孔部の内部において前記回転方向に移動可能な凸部と、を有し、前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に前記開放方向へ接触し、かつ前記ギアが前記開放方向に回転すると、前記長孔部の内縁部および前記凸部を介して前記ギアの回転力が前記アームに伝達され、前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に前記開放方向へ接触していないと、前記ギアが前記開放方向に回転しても前記ギアの回転力が前記アームに伝達されず、前記施錠状態では、前記長孔部の内縁部および前記凸部のうちの前記ギアに設けられた一方が他方に対して前記開放方向の後方に間隔をあけて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】障子が閉鎖状態である辷り出し窓(建具)の斜視図である。
図2】障子が開放状態である辷り出し窓の斜視図である。
図3】障子移動部の分解斜視図である。
図4】第1実施形態による軸部、ギア、アームを上方から見た斜視図である。
図5】第1実施形態による軸部、ギア、アームを下方から見た斜視図である。
図6】第1実施形態による閉鎖状態のギアおよびアームを示す平面図である。
図7】第1実施形態による閉鎖状態のロック部が解錠したギアおよびアームを示す平面図である。
図8】開放状態のギアおよびアームを示す平面図である。
図9】障子が閉鎖される前のギアおよびアームを示す平面図である。
図10】第2実施形態による建具の軸部、ギア、アーム、球体を上方から見た斜視図である。
図11】第2実施形態による軸部、ギア、アーム、球体を下方から見た斜視図である。
図12図10のA-A線断面図である。
図13】第2実施形態による閉鎖状態のギアおよびアームを示す平面図である。
図14】第2実施形態による閉鎖状態のロック部が解錠したギアおよびアームを示す平面図である。
図15】球体が第2孔部と第3孔部とにわたって配置された様子を示す斜視図である。
図16】球体が第1孔部と第2孔部とにわたって配置された様子を示す斜視図である。
図17】球体が第1孔部と第2孔部とにわたって配置されて開放方向に回転した様子を示す斜視図である。
図18】押付部材を示す斜視図である。
図19】押付部材を示す斜視図である。
図20】ギアの変形例を示す図で、ロック部を施錠しているギアを示す平面図である。
図21】ロック部の解錠を開始するギアを示す平面図である。
図22】ロック部の解錠したギアを示す平面図である。
図23】ロック部の解錠したギアを示す平面図である。
図24】ロック部の解錠したギアを示す平面図である。
図25】ロック部の施錠を開始するギアを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、第1実施形態による建具1は、屋内外を仕切る壁部の開口部11に設けられた縦辷り出し窓である。以下では、壁部に沿った水平方向(図の矢印Xの方向)を幅方向と表記し、幅方向に直交する水平方向(矢印Yの方向)を屋内外方向と表記する。建具1は、開口部11に沿って設けられる枠体21と、枠体21の内側に配置される障子22と、障子22を移動させて開口部11を開閉させる障子移動部23と、開口部11を閉鎖した障子22を施解錠するロック部24と、を有している。枠体21は、外形が長方形となる四方枠である。枠体21は、障子22を幅方向に移動可能かつ上下方向に延びる軸線回りに回転可能に支持している。障子22は、枠体21に対して幅方向に移動しつつ軸線回りに回転することで開口部11を開閉する。図1に示すように障子22が開口部11を閉鎖している状態、位置を閉鎖状態、閉鎖位置とし、図2に示すように、障子22が開口部11を開放している状態、位置を開放状態、開放位置とする。
【0009】
図3から図4に示すように、障子移動部23は、使用者が操作を行う操作部3(図3参照)と、操作部3が操作されると回転するギア4と、ギア4の回転力が伝達されるとギア4と連動するアーム5と、アーム5へのギア4の回転力の伝達と非伝達とを切り替える第1回転伝達切替部6と、これらを収容するケース231(図3参照)と、を有している。図5に示すように、第1回転伝達切替部6は、ギア4の長孔部43と、アーム5の凸部54とを有している。長孔部43および凸部54については後述する。
【0010】
アーム5は、ギア4の回転力が伝達されるとギア4と連動して同軸に回転する。障子移動部23には、ギア4とアーム5とを同軸に支持する軸部7が設けられている。ギア4およびアーム5は、軸部7の軸線回りに回転する。この軸部7の軸線回りの回転方向を「回転方向」と表記する。アーム5は、ギア4の回転方向の一方側の回転に連動して回転方向の一方側に回転すると、障子22(図1および図2参照)を開放位置に移動させ、ギア4の回転方向の他方側の回転に連動して回転方向の他方側に回転すると障子22を閉鎖位置に移動させる。以下では、ギア4およびアーム5の回転方向の一方側に向かう回転(図の矢印Aの方向の回転)を開放方向の回転と表記し、回転方向の他方側に向かう回転(図の矢印Bの方向の回転)を閉鎖方向の回転と表記する。
【0011】
図1から図3に示すように、操作部3は、例えば、オペレータハンドルなどである。図3では、オペレータハンドルの使用者が把持して回転する部分を省略している。操作部3は、ギア4の複数の歯41と噛み合う複数の歯を有している。操作部3は、使用者が障子22を開放状態となるように操作することでギア4を開放方向に回転させ、障子22を閉鎖状態となるように操作することでギア4を閉鎖方向に回転させることが可能である。
【0012】
図4および図5に示すように、ギア4は、外周部に複数の歯41が形成された平板状の部材である。ギア4は、板面の略中央部に軸部7が貫通する軸孔部42が形成されている。ギア4は、板面が水平面となる向きに配置され、軸孔部42が上下方向に貫通している。軸部7は、軸線が上下方向に延びる向きに配置される。すなわち、ギア4の回転方向は、上下方向に延びる軸線回りの回転方向である。ギア4には、軸孔部42よりも外周側に板面を貫通し、軸線を中心に回転方向に延びる長孔部43が形成されている。長孔部43の内縁部のうち、回転方向の一方側の端部に位置する部分を第1端部44(内縁部)とし、回転方向の他方側の端部に位置する部分を第2端部45(内縁部)とする。
【0013】
ギア4の複数の歯41は、ギア4の外周部の一部の領域に形成され、残りの領域には形成されていない。ギア4の複数の歯41は、軸線を中心とする円弧状に配列されている。上述しているように、ギア4の複数の歯41は、操作部3の複数の歯と噛み合うように構成されている。ギア4の外周部のうちの複数の歯41が形成されている領域を歯形成部46と表記し、歯41が形成されていない領域を非歯形成部47と表記する。ギア4は、歯形成部46が操作部3と対向し、歯形成部46の複数の歯41が操作部3の歯と噛み合う範囲で回転する。非歯形成部47は、操作部3の歯と対向しない。非歯形成部47には、径方向の外側に突出するロック操作部48が形成されている。
【0014】
ギア4は、非歯形成部47が障子22の下框221(図1および図2参照)と対向する屋内外方向の屋外側で、歯形成部46が屋内側となる向きに配置される。障子22が閉鎖状態かつロック部24が施錠状態のときに、ギア4が開放方向に所定量回転すると、ロック操作部48は、幅方向の一方側から他方側に向かうように開放方向に所定量回転する。障子22が閉鎖状態かつロック部24が解錠状態のときに、ギア4が閉鎖方向に所定量回転すると、ロック操作部48は、幅方向の他方側から一方側に向かうように閉鎖方向に所定量回転する。
【0015】
アーム5は、ギア4の回転力が伝達するギア接続部51と、ギア接続部51と障子22とを連結する障子連結部52と、を有している。ギア接続部51は、円板状の円板部53と、円板部53から突出する凸部54と、を有している。円板部53は、中央部分に軸部7が貫通する軸孔部55が形成されている。円板部53は、板面が上下方向となる向きに配置される。凸部54は、円板部53の下面から下方に突出している。ギア接続部51は、円板部53がギア4の上に重なり、凸部54がギア4の長孔部43に上側から挿入される。軸部7は、ギア4の軸孔部42およびギア接続部51の軸孔部55の両方を貫通し、ギア4およびアーム5を同軸に回転可能に支持する。
【0016】
障子連結部52は、長尺の板状である。障子連結部52は、板面が上下方向となる向きに配置される。障子連結部52は、一方の端部521がギア接続部51に接続されている。ギア接続部51と障子連結部52とはアーム5が回転すると一体に回転する。図1および図2に示すように、障子連結部52の他方の端部522は、障子22と上下方向に延びる軸線回りに相対回転可能に連結されている。
【0017】
凸部54は、回転方向の寸法が、ギア4の長孔部43の回転方向の寸法よりも小さい。このため、凸部54は、長孔部43の内側において回転方向に移動可能である。ギア4が開放方向に回転して長孔部43の第2端部45が凸部54に回転方向の他方側から接触、すなわち開放方向へ接触すると、ギア4の第2端部45に押されて凸部54も開放方向に回転し、アーム5がギア4とともに開放方向に回転する。ギア4が閉鎖方向に回転して長孔部43の第1端部44が凸部54に回転方向の一方側から接触、すなわち、閉鎖方向へ接触すると、ギア4の第1端部44に押されて凸部54も閉鎖方向に回転し、アーム5がギア4とともに閉鎖方向に回転する。ギア4が回転してもアーム5の凸部54がギア4の第1端部44および第2端部45のいずれかに上記のように押されないと、アーム5はギア4とともに回転しない。
【0018】
軸部7は、ギア4の軸孔部42およびギア接続部51の軸孔部55に挿通される軸部本体71と、軸部本体71の一方の端部に接続される上板部72と、軸部本体71の他方の端部に接続される下板部73と、を有している。軸部本体71は、上下方向に延びる円柱状に形成されている。上板部72は、軸部7よりも径が大きい円板状の部材である。上板部72は、軸部本体71の上端部に同軸に接続されている。下板部73は、外形が軸部本体71よりも大きく内径が軸部本体71の外径と同じ円環板状の部材である。下板部73の内側には、軸部本体71の下端部が嵌め込まれている。
【0019】
図1および図2に示すロック部24は、障子22を閉鎖位置に拘束する施錠状態と、枠体21(図1および図2参照)に対して移動可能な解錠状態とに切り替えるロック本体241と、ギア4の回転力が伝達されギア4の回転力をロック本体241に伝達するリンク機構242と、を有している。リンク機構242は、ロック操作部48(図4および図5参照)の移動に連動して幅方向に移動するギア連動部243を有している。ロック部24は、ギア連動部243が幅方向の一方側に位置するとロック本体241が解錠状態となり、ギア連動部243が幅方向の他方側に位置するとロック本体241が施錠状態となる。
【0020】
ギア連動部243は、幅方向の他方側に位置している状態、すなわち、障子22が閉鎖状態かつロック本体241が施錠状態で、ギア4が開放方向に所定量回転し、ロック操作部48が幅方向の一方側から他方側に向かうように開放方向に所定量回転すると、ロック操作部48に連動して幅方向の一方側に移動する。これにより、ロック本体241は、解錠状態となる。ギア連動部243は、幅方向の一方側に位置している状態、すなわち、障子22が閉鎖状態かつロック本体241が解錠状態で、ギア4が開放方向に所定量回転し、ロック操作部48が幅方向の他方側から他方側に向かうように閉鎖方向に所定量回転すると、ロック操作部48に連動して幅方向の一方側に移動する。これにより、ロック本体241は、施錠状態となる。
【0021】
障子22が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態では、図6に示すように、アーム5の凸部54は、ギア4の長孔部43の第1端部44と隣接している。すなわち、凸部54は、長孔部43の内部における回転方向の一方側に配置される。長孔部43の第2端部45は、凸部54の回転方向の他方側に間隔(隙間)をあけて配置される。この状態から、障子22を開放させるように操作部3が操作され、ギア4が開放方向に所定量回転すると、ギア4のみが回転し、アーム5は回転しない。更にギア4が開放方向に所定量回転すると、ギア4の長孔部43の第1端部44が凸部54と離れて、第2端部45と凸部54との間隔が縮まり、図7に示すように、第2端部45が凸部54に回転方向の他方側から接触する。
【0022】
上記のように障子22が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態であった状態からギア4のみが開放方向に所定量回転すると、ロック操作部48が幅方向の一方側から他方側に向かって移動し、ギア連動部243(図1および図2参照)が幅方向の一方側に移動し、ロック部24が解錠状態となる。
【0023】
更に障子22を開放させるように操作部3が操作され、ギア4が開放方向に所定量回転すると、アーム5の凸部54がギア4の長孔部43の第2端部45に押されて、アーム5がギア4とともに開放方向に回転する。このとき、解錠状態であるため、図8に示す位置までアーム5がギア4とともに所定量回転することにより、障子22が開放状態となる。ロック操作部48は、障子22が開放状態となる位置では、幅方向の一方側に移動したギア連動部243と離れるように設定されていてもよい。
【0024】
障子22が開放状態、かつロック部24が解錠状態では、図8に示すように、アーム5の凸部54はギア4の長孔部43の第2端部45と隣接している。すなわち、凸部54は、長孔部43の内部における回転方向の他方側に配置される。この状態から、障子22を閉鎖させるように操作部3が操作され、ギア4が閉鎖方向に所定量回転すると、ギア4のみが回転し、アーム5は回転しない。更にギア4が閉鎖方向に所定量回転すると、図9に示すように、ギア4の長孔部43の第2端部45が凸部54と離れ、第1端部44が凸部54に回転方向の一方側から接触する。上記のギア4のみが閉鎖方向に回転し、アーム5が回転しない場合は、障子22は閉鎖位置に移動しないとともに、ロック操作部48とギア連動部243とが離れた状態であるため、ギア連動部243も移動しない。すなわち、障子22およびロック部24は移動しない。
【0025】
更に障子22を閉鎖させるように操作部3が操作され、ギア4が閉鎖方向に所定量回転すると、アーム5の凸部54がギア4の長孔部43の第1端部44に押されて、アーム5がギア4とともに閉鎖方向に回転する。アーム5がギア4とともに回転することにより、障子22が閉鎖状態となる。このとき、ギア4のロック操作部48が幅方向の他方側から一方側に向かって移動するため、ギア連動部243が連動して幅方向の他方側に移動し、ロック部24が施錠状態となる。このようにして、障子22が閉鎖状態となり、ロック部24が施錠状態となる。
【0026】
ロック部24やオペレータユニット(例えば、障子移動部23の操作部3のオペレータハンドルの近傍)には、施錠状態と解錠状態を視認できる表示部が設けられていてもよい。例えば、ギア4の一部を視認できるようにして、その部分が配置されている位置によって、使用者が施錠状態であるか解錠状態であるかを判別できるようにしてもよい。
【0027】
第1実施形態による建具1は、ギア4に形成された長孔部43と、アーム5に形成された凸部54とを備え、アーム5へのギア4の回転力の伝達と非伝達とを切り替える第1回転伝達切替部6を有している。ギア4が回転しても凸部54が長孔部43の端部に押されていないと、アーム5は回転せずにギア4のみが回転する。障子22が閉鎖状態かつロック部24が施錠状態の場合に、アーム5がギア4に連動して開放方向に回転する前に、ギア4のみが回転するように長孔部43と凸部54とを配置している。これにより、アーム5のみが開放方向に回転することでロック部24を解錠し、その後にアーム5がギア4と連動して開放方向に回転することで障子22を開放することができる。このように、一連の操作で、ロック部24の解錠と障子22の開放を行うことができる。第1実施形態による建具1では、凸部54および長孔部43による簡便な構造でロック部24の施解錠操作と障子22の開閉操作とをリンクさせることができる。
【0028】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。図10および図11に示すように、第2実施形態による建具1Bの障子移動部23Bは、第1実施形態と同様に第1回転伝達切替部6を有するとともに、第1回転伝達切替部6とは別のアーム5へのギア4の回転力の伝達と非伝達とを切り替える第2回転伝達切替部8を有している。
【0029】
第2回転伝達切替部8は、ギア4に設けられた第1孔部49(ギア孔部)と、アーム5のギア接続部51に設けられた第2孔部56(アーム孔部)と、軸部7の上板部72(空間形成部材)に設けられた第3孔部74(空間部)と、第1孔部49、第2孔部56および第3孔部74に挿入可能な球体81と、を有している。図10に示すように、上板部72には、位置決めのためのネジやピンなどを固定するための孔部75が形成されている。図10以外では、孔部75を省略する。
【0030】
図10から図12に示すように、第2孔部56は、ギア接続部51を貫通する丸孔で、球体81が上下方向に通り抜け可能である。第1孔部49は、下側から上側に向かって漸次開口が大きくなる孔部であり、上側から球体81が入り込むことが可能であるが、下方に通り抜けできない形状である。第3孔部74は、下方に開口する凹部である。第3孔部74は、上側から下側に向かって漸次開口が大きくなる凹部である。
【0031】
第1孔部49の上縁部491の開口形状および下縁部492の開口形状は、それぞれ長方形もよいし、それぞれスロット形状でもよい。本実施形態では、第1孔部49の上縁部491の開口形状および下縁部492の開口形状は、それぞれ長方形である。第1孔部49の上縁部491の長方形と下縁部492の長方形とは、ギア4の径方向の寸法が同じで、径方向に直交する方向の寸法が上縁部491の長方形の方が大きい。第1孔部49の内周面は、回転方向の一方側に位置する第1内周面493と、開口方向の他方側に位置する第2内周面494と、径方向の内側に位置する第3内周面495と、径方向の外側に位置する第4内周面496と、を有している。第2内周面494、第3内周面495、第4内周面496は、ギア4の板面に直交する面、すなわち鉛直面である。第1内周面493は、下側から上側に向かって漸次回転方向の他方側から一方側に向かう傾斜面である。第1孔部49の径方向の寸法は、球体81の径寸法と略同じである。第1孔部49の回転方向の寸法は、球体81の径寸法よりも大きい。第1孔部49の第1内周面493を第1傾斜面493とする。球体81は、第1傾斜面493を転がることが可能である。
【0032】
第3孔部74の上縁部741の形状(底部の形状)および下縁部742の開口形状は、それぞれ長方形でもよいし、それぞれスロット形状でもよい。本実施形態では、第3孔部74の上縁部741の形状および下縁部742の開口形状は、それぞれ長方形である。第3孔部74の上縁部741の長方形と下縁部742の長方形とは、ギア4の径方向の寸法が同じで、径方向に直交する方向の寸法が下縁部742の長方形の方が大きい。第3孔部74の内周面は、回転方向の一方側に位置する第1内周面743と、開口方向の他方側に位置する第2内周面744と、径方向の内側に位置する第3内周面745と、径方向の外側に位置する第4内周面746と、を有している。第2内周面744、第3内周面745、第4内周面746は、ギア4の板面に直交する面、すなわち鉛直面である。第1内周面743は、上側から下側に向かって漸次回転方向の他方側から一方側に向かう傾斜面である。第2孔部56の径方向の寸法は、球体81の径寸法と略同じである。第3孔部74の回転方向の寸法は、球体81の径寸法よりも大きい。第3孔部74の第1内周面743を第2傾斜面743とする。球体81は、第2傾斜面743を転がることが可能である。
【0033】
第1孔部49、第2孔部56、および第3孔部74は、ギア4およびアーム5が回転することにより、上下方向に重なる位置に配置されたり、重ならない位置に配置されたりする。第1孔部49と第2孔部56とが上下方向に重なると、第1孔部49と第2孔部56とにわたるように球体81を配置することが可能である。第1孔部49と第2孔部56とにわたるように配置される球体81の位置を第1位置82(図16および図17参照)とする。第2孔部56と第3孔部74とが上下方向に重なると、第2孔部56と第3孔部74とにわたるように球体81を配置することが可能である。第2孔部56と第3孔部74とにわたるように配置される球体81の位置を第2位置83(図15参照)とする。
【0034】
障子22が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態では、図13に示すように第2孔部56と第3孔部74とが上下方向に重なり、ギア4に形成された第1孔部49は、第2孔部56および第3孔部74よりも回転方向の他方側に位置している。図15に示すように、球体81は、第2位置83に配置され、ギア4の上面に乗った状態である。障子22が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態では、第1実施形態と同様に、アーム5の凸部54はギア4の長孔部43の第1端部44と隣接している。この状態から、障子22を開放させるように操作部3が操作され、ギア4が開放方向に回転すると、ギア4のみが回転し、アーム5は回転しない。更にギア4が開放方向に回転すると、図14に示すように、ギア4の長孔部43の第1端部44が凸部54と離れ、第2端部45が凸部54に回転方向の他方側から接触する。この第2端部45が凸部54に回転方向の他方側から接触する状態では、図16に示すように、第2孔部56および第3孔部74の下に第1孔部49が重なる。これにより、球体81は下降し、第1孔部49および第2孔部56にわたる第1位置82に配置される。球体81は、第3孔部74から外れた状態となる。
【0035】
上記のように障子22が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態であった状態からギア4のみが開放方向に回転すると、ロック操作部48が幅方向の一方側から他方側に向かって移動し、ギア連動部243が幅方向の一方側に移動し、ロック部24が解錠状態となる。
【0036】
更に障子22を開放させるように操作部3が操作され、ギア4が開放方向に所定量回転すると、アーム5の凸部54がギア4の長孔部43の第2端部45に押されるとともに、球体81を介してギア4の回転力がアーム5に伝達される。このため、アーム5がギア4とともに開放方向に回転する。このとき、解錠状態であるため、アーム5がギア4とともに回転することにより、障子22が開放状態となる。第2孔部56および第3孔部74の下に第1孔部49が重なった状態から、ギア4およびアーム5が開放方向に回転したため、第1孔部49および第2孔部56は、第3孔部74よりも回転方向の他方側に配置される。第1実施形態と同様に、ロック操作部48は、障子22が開放状態となる位置では、幅方向の一方側に移動したギア連動部243と離れるように設定されていてもよい。
【0037】
障子22が開放状態、かつロック部24が解錠状態では、アーム5の凸部54はギア4の長孔部43の第2端部45と隣接しているとともに、球体81が第1位置82に配置され、第1孔部49および第2孔部56が第3孔部74よりも回転方向の一方側に配置されている。この状態から、障子22を閉鎖させるように操作部3が操作され、ギア4が閉鎖方向に回転すると、ギア4の長孔部43の第1端部44は、アーム5の凸部54に回転方向の一方側から接触しておらず、凸部54を回転方向の他方側に押さないが、第1位置82に配置された球体81を介してギア4の回転力がアーム5に伝達する。これにより、ギア4とアーム5とが閉鎖方向に回転し、障子22が閉鎖位置に向かって移動する。ギア4とアーム5とが閉鎖方向に回転し、障子22が閉鎖位置に向かう途中で、ギア4の長孔部43の第1端部44は、アーム5の凸部54に回転方向の一方側から接触し、凸部54を回転方向の他方側に押す。
【0038】
障子22が閉鎖位置まで移動すると、図17に示すように第1孔部49および第2孔部56が第3孔部74の回転方向の他方側の部分、すなわち、第2傾斜面743が形成されている部分の下に重なる。これにより、第2孔部56の上方に第3孔部74があるため、第1位置82の球体81は、上方に移動可能となる。この状態でギア4が閉鎖方向に回転すると、球体81がギア4の第1孔部49の第1傾斜面493に回転方向の他方側かつ上方となる斜め方向に押されるため、この斜め方向に移動する。このとき、球体81は、第3孔部74の第2傾斜面743の下側に配置されているため、第2傾斜面743に沿って第1傾斜面493に押されている方向と同じ斜め方向に移動し、第2位置83に配置される。球体81が第2位置83に配置されると、第1孔部49は、第2孔部56および第3孔部74よりも回転方向の他方側に配置される。このため、第2孔部56の下には、ギア4の上面が配置され、球体81は、ギア4の上に配置される。このとき、アーム5の凸部54はギア4の長孔部43の第2端部45と隣接し、第1端部44とは接触していない。
【0039】
この状態から、障子22を閉鎖させるように操作部3が操作され、ギア4が閉鎖方向に回転すると、ギア4のみが回転し、アーム5は回転しない。このギア4が閉鎖方向に回転することにより、ギア4のロック操作部48が幅方向の他方側から一方側に向かって移動するため、ギア連動部243が連動して幅方向の他方側に移動し、ロック部24が施錠状態となる。このようにして、障子22が閉鎖状態となり、ロック部24が施錠状態となる。
【0040】
第2実施形態による建具1Bは、アーム5へのギア4の回転力の伝達と非伝達とを切り替える第2回転伝達切替部8を有している。球体81が、第1位置82に配置されるとアーム5がギア4に連動し、第2位置83に配置されるとギア4のみが回転する。障子22が閉鎖状態かつロック部24が施錠状態の場合には、球体81が第2位置83に配置され、ギア4が開放方向に回転すると、アーム5が回転せずにギア4のみが回転する。このギア4の回転によりロック部24を解錠することができる。ロック部24を解錠する位置までギア4が移動すると、球体81が第2位置83から第1位置82に移動し、ギア4の回転に連動してアーム5を回転する。これにより、障子22が開放状態となる。障子22が開放状態かつ、解錠状態であると、球体81が第2位置83に配置されているため、ギア4の閉鎖方向への回転に連動してアーム5が閉鎖方向に回転し、障子22が閉鎖状態となる。障子22が閉鎖状態となると、球体81が第1位置82から第2位置83に移動するため、ギア4が閉鎖状態に回転するとアーム5は回転せずにギア4のみが閉鎖状態に回転する。これにより、ロック部24を施錠状態とすることができる。一連の操作で、ロック部24の解錠と障子22の開放、および障子22の閉鎖とロック部24の施錠を行うことができる。第2実施形態による建具1Bでは、第1孔部49、第2孔部56、第3孔部74と球体81による簡便な構造でロック部24の施解錠操作と障子22の開閉操作とをリンクさせることができる。
【0041】
第2実施形態による建具1Bは、ギア4には、第1位置82に配置された球体81を、第2位置83にガイドする第1傾斜面493が形成され、軸部7の上板部72には、第1傾斜面493にガイドされて第1位置82から第2位置83に移動する球体81を、第2位置83にガイドする第2傾斜面743が形成されている。これにより、球体81を第1位置82から第2位置83に確実に移動させることができるため、球体81が第1位置82に配置された状態のまま、ロック部24の施解錠を行うことにより、アーム5に不要なギア4の回転力が伝達することを防止できる。第1傾斜面493および第2傾斜面743が形成されていることにより、下側の第1位置82から上側の第2位置83に球体81をスムーズに移動させることができる。
【0042】
(第3実施形態)
図18および図19に示すように、第3実施形態による建具1Cでは、第2実施形態と同様に、第1回転伝達切替部6と、第2回転伝達切替部8Cと、を有している。第3実施形態の第2回転伝達切替部8Cには、第2実施形態の第2回転伝達切替部8の第3孔部74の内部に、第2位置83に配置された球体81をアーム5側に押す押付部材84が設けられている。
【0043】
押付部材84は、ぜんまいばねや、コイルばねなどで、球体81を下方に押す量に構成されている。第3実施形態による建具1Cでは、押付部材84が球体81を下方に押すことにより、第1孔部49が第2孔部56および第3孔部74と重なった際に、第2位置83の球体81を確実に第1位置82に移動させることができる。
【0044】
(第4実施形態)
図20に示すように、第4実施形態による建具1Dでは、ギア4のロック操作部48Dが上記の実施形態のロック操作部48と異なっている。ロック操作部48Dは、ギア4の非歯形成部47に設けられ、径方向の外側に突出している。ロック操作部48Dの先端部分の回転方向の一方側には、第1角部481が形成され、回転方向の他方側には、第2角部482が形成されている。ロック部24のギア連動部243Dには、ギア4が回転することによってロック操作部48Dが挿入される凹部244が形成されている。ギア4が開放方向に回転し、ロック操作部48Dが凹部244に挿入されて、第1角部481が凹部244の幅方向一方側の第1側部244aを幅方向の一方側に押すと、ギア連動部243Dが幅方向の一方側に移動してロック部24が解錠状態となる。ギア4が閉鎖方向に回転し、ロック操作部48Dが凹部244に挿入されて、第2角部482が凹部244の幅方向の他方側の第2側部244bを幅方向の他方側に押すと、ギア連動部243Dが幅方向の他方側に移動してロック部24が施錠状態となる。
【0045】
障子22(図1参照)が閉鎖状態、かつロック部24が施錠状態では、図20に示すように、ロック操作部48Dの第1角部481が凹部244に挿入され、第2角部482が凹部244の外側(回転方向の他方側)に配置されている。第1角部481は、凹部244の第1側部244aと離れている。操作部3が操作され、ギア4が開放方向に回転すると、図21に示すように、第1角部481が凹部244の第1側部244aに幅方向の他方側から接触し、更にギア4が開放方向に回転すると、図22に示すように、第1角部481に押されてギア連動部243Dが幅方向の一方側に移動する。これにより、ロック部24が解錠状態となる。更にギア4が開放方向に回転してアーム5を回転させて障子22が開放状態となると、図23に示すように、ロック操作部48Dは、凹部244から外れる。
【0046】
開放状態の障子22(図2参照)を閉鎖状態とするために操作部3が操作されると、ギア4とともにアーム5も回転方向の他方側に移動し、障子22が閉鎖位置に移動する。障子22が閉鎖位置に配置されると、図25に示すように、ロック操作部48Dが凹部244に挿入され、第2角部482が凹部244の第2側部244bと接触する。この状態で操作部3が操作されるとギア4のみが閉鎖方向に回転するため、ロック操作部48Dの第2角部482に押されてギア連動部243Dが幅方向の他方側に移動し、施錠状態となる。このようにして、障子22が閉鎖状態となり、ロック部24が施錠状態となる。
【0047】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、ギア4に長孔部43が設けられ、アーム5に凸部54が設けられている。ギア4に凸部が設けられ、アーム5に凸部が挿入され内部で移動可能な長孔部が設けられ、ギア4の凸部がアーム5の長孔部の端部を押してアーム5をギア4の回転に連動させるようにしてもよい。上記の実施形態では、アーム5は。ギア4の回転に連動してギア4と同軸に回転している。アーム5は、ギア4と同軸に回転しなくてもよい。
【0048】
上記の実施形態では、ギア4とアーム5とは、上下方向に重なって配置、すなわち縦置きされている。ギア4とアーム5とは、水平方向に重なって配置、すなわち横置きされていてもよい。
【0049】
上記の実施形態では、建具1は、縦辷り出し窓であるが、横辷り出し窓や、辷り出し窓以外の窓であってもよい。
【0050】
上記の第2実施形態では、ギア4に第1傾斜面493が形成され、軸部7の上板部72に第2傾斜面743が形成されている。第1傾斜面493および第2傾斜面743の両方が設けられていなくてもよいし、いずれか一方のみが設けられていてもよい。上記の第2実施形態において、第1孔部49、第2孔部56および第3孔部74の形状は上記以外であってもよい。
【0051】
上記の第2実施形態において、第1孔部49、第2孔部56および第3孔部74にゴミや埃が流入することや、球体81のグリスが第1孔部49、第2孔部56および第3孔部74から流出することを防止するために、ギア4、アーム5および上板部72にリブやガスケットが設けられていてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、ギア4がロック部24のギア連動部243が幅方向に移動することでロック部24の施解錠を行っている。ロック部24が施解錠するためのギア連動部243の動作は、上記以外であってもよい。
【0053】
上記の建具1,1B-1Dにおける各構成部品の接触部・摺動部には、摩擦や摩耗を低減するためにグリスの塗布や座金が追加されてもよい。
【0054】
アーム5の障子連結部52と障子22との間には、開閉動作を拡大することや操作力を調整することを目的としたリンク機構などを別途設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1B-1D 建具、3 操作部、4 ギア、5 アーム、6 第1回転伝達切替部、8,8C 第2回転伝達切替部、11 開口部、22 障子、24 ロック部、44 第1端部(内縁部)、45 第2端部(内縁部)、49 第1孔部(ギア孔部)、54 凸部、56 第2孔部(アーム孔部)、72 上板部(空間形成部材)、74 第3孔部(空間部)、81 球体、82 第1位置、83 第2位置、84 押付部材、743 第2傾斜面、493 第1傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図20
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図22
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