(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030366
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】微細泡生成パーツおよび微細泡生成装置
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20230301BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20230301BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20230301BHJP
【FI】
B01F3/04 A
B01F5/00 G
B01F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135454
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】597060106
【氏名又は名称】東亜電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(72)【発明者】
【氏名】宮村 幸春
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB05
4G035AB27
4G035AC26
4G035AC44
(57)【要約】
【課題】気液混合体の気泡を効率よく微細化して出力する技術を提供する。
【解決手段】
本発明の代表的な微細泡生成パーツの一つは、液体と気体とを混合した気液混合体を流して前記気液混合体を導出口から出力する導管と、前記導管の内周壁に対して同軸に配置されて側面に多孔を有する多孔筒と、前記導管の前記内周壁と前記多孔筒の前記側面との間に周縁スペースを設けるスペーサと、前記多孔筒の内側に配置されて前記気液混合体の流れる方向へ拡がる錐体面によって、前記多孔筒の内側を流れる前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面から押し出して前記周縁スペースに誘導する誘導錐体と、前記誘導錐体の錐体底部から前記導出口までの区間において流路径が拡大したことによって前記周縁スペースの前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面を通して前記多孔筒の内側に誘導する収斂部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体とを混合した気液混合体を流し、前記気液混合体を導出口から出力する導管と、
前記導管の内周壁に対して同軸に配置され、側面に多孔を有する多孔筒と、
前記導管の前記内周壁と、前記多孔筒の前記側面との間に周縁スペースを設けるスペーサと、
前記多孔筒の内側に配置され、前記気液混合体の流れる方向へ拡がる錐体面によって、前記多孔筒の内側を流れる前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面から押し出して前記周縁スペースに誘導する誘導錐体と、
前記誘導錐体の錐体底部から前記導出口までの区間において流路径が拡大したことによって前記周縁スペースの前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面を通して前記多孔筒の内側に誘導する収斂部と
を備えたことを特徴とする微細泡生成パーツ。
【請求項2】
請求項1に記載の微細泡生成パーツであって、
前記周縁スペースを流れる気泡は、収斂部に生じる旋回流の遠心分離作用によって前記多孔筒の外周から内側へ誘導されて前記多孔筒の前記側面を通過する
ことを特徴とする微細泡生成パーツ。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の微細泡生成パーツであって、
前記誘導錐体は、前記導管の中心軸に沿って回転自在に軸支する回転軸と、前記錐体面に設けられて前記気液混合体の流れを受けるフィンとを備え、前記気液混合体の流れを受けて回転する
ことを特徴とする微細泡生成パーツ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の微細泡生成パーツと、
液体を供給するための液体供給路と、気体を供給するための気体供給路と、前記液体供給路から供給される前記液体に対して前記気体供給路から供給される前記気体を混合して前記気液混合体を生成する混合部とを有する気液混合パーツとを備え、
前記気液混合パーツに後続して前記微細泡生成パーツが複数段にわたって連結された
ことを特徴とする微細泡生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細泡生成パーツおよび微細泡生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微細化した気泡(ナノバブルやマイクロバブルなど)を液体に混合させた気液混合体を生成する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、『2本の円筒(大径・小径)を同軸に嵌合させ、2本の円筒間にできる微小な隙間(以下「狭隘路」という)に炭酸ガスと水の混合流体(気液混合体)を流すことによって、炭酸ガスを混合する多目的ガス溶解装置』が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の技術は、狭隘路に気液混合体を流すことによって、高い動圧を気液混合体にかけて液中の気泡を微細化するという点で優れている。
【0006】
しかし、狭隘路を流路に使用するため、微細泡を含む気液混合体の収量を増やすことが難しいという問題点があった。
【0007】
また、気液混合体が狭隘路を通るように高い液圧をかけるため、ガス溶解装置の壁面に亀裂が入って液体が漏れるなどのおそれがあり、ガス溶解装置には頑丈な素材(肉厚の金属など)を使用する必要があった。そのため、汎用かつ安価なプラスチック素材を使用できないという問題点があった。
【0008】
さらに、狭隘路に大きな気泡が混入するたびに、圧縮された大きな気泡で栓をされた状態になり、気液混合体は瞬間的に流れにくくなる。そのため、狭隘路中の気液混合体はたびたび詰まって間欠的に吹き出すようになる。したがって、気液混合体の円滑な流れを得ることが難しいという問題点があった。
【0009】
そこで、本願発明は、これら問題点の少なくとも一つ以上を解決するために、気液混合体の気泡を効率よく微細化して出力する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な微細泡生成パーツは、導管、多孔筒、スペーサ、誘導錐体、および収斂部を備える。
【0011】
前記導管は、液体と気体とを混合した気液混合体を流し、前記気液混合体を導出口から出力する。
【0012】
前記多孔筒は、前記導管の内周壁に対して同軸に配置され、側面に多孔を有する。
前記スペーサは、前記導管の前記内周壁と、前記多孔筒の前記側面との間に周縁スペースを設ける。
【0013】
前記誘導錐体は、前記多孔筒の内側に配置され、前記気液混合体の流れる方向(下流)へ拡がる錐体面を有する。この錐体面によって、前記多孔筒の内側を流れる前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面から押し出して前記周縁スペースに誘導する。
【0014】
前記収斂部は、前記誘導錐体の錐体底部から前記導出口までの区間において流路径が拡大したことによって前記周縁スペースの前記気液混合体を前記多孔筒の前記側面を通して前記多孔筒の内側に誘導する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、気液混合体の気泡を効率よく微細化して出力することが可能になる。
【0016】
上記以外の課題、構成および効果については、以下の実施形態において具体的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、微細泡生成装置Xの全体構成を例示する図である。
【
図2】
図2は、微細泡生成装置Xの部分を拡大して、微細泡生成パーツ100A~Dと気液混合パーツ200の内部構造を示す図である。
【
図3】
図3は、微細泡生成パーツ100A~Dを後端側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、微細泡生成パーツ100A~Dおよび気液混合パーツ200の内部図である。
【
図5】
図5は、微細泡生成パーツ100A~Dおよび気液混合パーツ200の内部の断面図である。
【
図6】
図6は、微細泡生成装置X内の気泡の経路R1~R3を例示する図である。
【
図7】
図7は、微細泡出力ホース500の構造を例示する図である。
【
図8】
図8は、加圧パーツ520の配列構造を例示する図である。
【
図9】
図9は、フェイスマスクへの応用を説明する図である。
【
図10】
図10は、サウナスーツへの応用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例0019】
《微細泡生成装置Xの全体構成》
図1は、微細泡生成装置Xの全体構成を例示する図である。
図1において、微細泡生成装置Xは、微細泡生成パーツ100A~Dと、気液混合パーツ200と、ホースジョイント300とから概略構成される。
【0020】
複数の微細泡生成パーツ100A~Dは、複数段にわたって一列に連結される。微細泡生成パーツ100A~Dの各々は、内部の誘導錐体150の頂点方向が気液混合体の上流方向に向かう向きに揃えて連結される。
【0021】
気液混合パーツ200は、微細泡生成パーツ100A~Dの上流側の先端に連結される。
【0022】
ホースジョイント300は、微細泡生成パーツ100A~Dの下流側の後端に連結される。ホースジョイント300は、微細泡生成パーツ100A~Dから出力される気液混合体をホースなどに漏れなく流すためのジョイントである。
【0023】
図2は、微細泡生成装置Xの部分を拡大して、微細泡生成パーツ100A~Dと気液混合パーツ200の内部構造を示す図である。
【0024】
図3は、微細泡生成パーツ100A~Dを後端側から見た斜視図である。
図4は、微細泡生成パーツ100A~Dおよび気液混合パーツ200の内部図である。
【0025】
図5は、微細泡生成パーツ100A~Dおよび気液混合パーツ200の内部の断面図である。
【0026】
以下、
図2~
図5を参照して、微細泡生成パーツ100A~Dおよび気液混合パーツ200について具体的な構造を順に説明する。
【0027】
《微細泡生成パーツ100A~Dの構造について》
微細泡生成パーツ100A~Dの各々は、樹脂製などの導管110、金属製などの多孔筒120、スペーサ130、樹脂製などの誘導錐体150、および収斂部160から概略構成される。
【0028】
導管110は、内周壁111の内側に気液混合体を流し、気液混合体を導出口112から出力する。導管110には、前後にパーツを連結するための螺合部110Sと、螺合部110Sの締め付けに使用するナット部110Nとが形成されている。この螺合部110Sの螺合箇所に2つのOリングをそれぞれ挟むことによって、微細泡生成装置Xの気密性および液密性が保たれる。
【0029】
多孔筒120は、導管110の内周壁111に対して同軸に配置され、側面121は多孔を配した多孔壁となっている。
【0030】
ここでの「多孔」の好ましい一例は、
・孔の幅...0.4mm程度
・孔の中心間隔...0.5mm程度
・孔の配列...六角孔のハニカム配列
・孔の加工方法...金属薄板をエッチング処理
などである。
【0031】
スペーサ130は、導管110と内周壁111と、多孔筒120の側面121との間に周縁スペース140を設けるために配置される。
【0032】
誘導錐体150は、多孔筒120の内側に配置され、気液混合パーツ200からホースジョイント300までを通貫する回転軸155によって回転自在に軸支される。この誘導錐体150は、錐体面152、錐体底部153、錐体軸部154およびフィン156を備える。
【0033】
錐体面152は、気液混合体の流れる下流方向へ向かって拡がる錐状の面(例えば円錐面や多角錐面)を有することによって、多孔筒120の内側を流れる気液混合体を多孔筒120の側面121から押し出して周縁スペース140に誘導する機能を果たす。
【0034】
錐体底部153は、錐体面152の拡がった端部である。
錐体軸部154は、錐体底部153と導出口112との間に位置する小径の円筒である。なお、
図1に示すように、下流端の微細泡生成パーツ100Dについては、ホースジョイント300と連結するため、錐体軸部154は省略される。
【0035】
収斂部160は、導管110の内周壁111と、錐体軸部154とに挟まれて形成される空間である。収斂部160は、錐体底部153から導出口112までの区間において流路径が拡大することによって、周縁スペース140の気液混合体を多孔筒120の側面121を通して多孔筒120の内側に誘導する機能を果たす。
【0036】
さらに、収斂部160は、周縁スペース140を流れる気泡を、収斂部160に生じる旋回流の遠心分離作用によって、多孔筒120の外周から内側へ誘導する機能も果たす。
【0037】
フィン156は、錐体面152に設けられ、流路方向に対して捻れた回転翼である。フィン156が気液混合体の流れを受けることによって、誘導錐体150は導管110の中心軸回りに回転する。
【0038】
《気液混合パーツ200の構造について》
続いて、気液混合パーツ200の具体的な構造について説明する。
気液混合パーツ200は、液体供給路210、気体供給路220、および混合部230から概略構成される。
【0039】
液体供給路210は、水道管などの供給源から液体弁410を介して液体が供給される導入路である。
【0040】
気体供給路220は、炭酸ガスなどの供給管やボンベなどの供給源から気体が供給される導入路であって、連動開閉弁420を備える。連動開閉弁420は、液体弁410の開閉操作または液圧などに連動するエアー弁である。具体的には、連動開閉弁420は、液体供給路210に液体が供給開始されると共に気体を供給開始し、液体が供給停止されると共に気体を供給停止する。
【0041】
混合部230は、液体供給路210から供給される液体に対して、気体供給路220から供給される気体を混合して気液混合体を生成する。
【0042】
この混合部230は、スクリュー234、ホイール236、ベアリング232、および多孔筒237を備える
【0043】
スクリュー234は、流路方向に対して捻れた回転翼を有し、回転軸155によって軸支される。このスクリュー234は、気液混合体の流れを回転翼に受けることによって回転する。
【0044】
ホイール236は、スクリュー234と同様に回転軸155によって軸支され、スクリュー234に嵌合(
図5参照)して一緒に回転する。このホイール236の慣性モーメントが作用することによって、スクリュー234の回転速度は安定化される。
【0045】
ベアリング232は、流路の径中心に配置され、回転軸155の一端を回転自在に軸支する。なお、回転軸155の他端は、ホースジョイント300側のベアリング310によって回転自在に軸支される。なお、ベアリング232およびベアリング310をどちらも固定端に置換して回転軸155を回転しない固定軸とし、その軸回りにスクリュー234、ホイール236、誘導錐体150が摺動回転するようにしてもよい。
【0046】
多孔筒237は、気液混合パーツ200の流路に対して同軸に配置され、側面238は多孔を有する多孔壁となっている。この多孔筒237の多孔の好ましい一例は、多孔筒120と同じである。
【0047】
《気体の供給源について》
続いて、気体の供給源について、炭酸ガスを例にあげて説明する。
炭酸ガスの供給源としては、ビールサーバー用などの汎用のガスボンベや、微細泡生成装置X専用に設計されたガスボンベや供給管などが使用可能である。気体の供給源と気体供給路220との間には、ガスレギュレータが配置される。連動開閉弁420には、このガスレギュレータを介して適度に減圧されて安定化された炭酸ガスが供給される。このときのガス圧は、気液混合体が気体供給路220を逆流せず、気体が液体供給路210から噴出せず、かつ気泡が液体に所望割合で混合するのに必要な圧力値(例えば0.3MPa)に調整される。
【0048】
《気泡の微細化作用について》
図6は、微細泡生成装置X内の気泡の経路R1~R3を例示する図である。
以下、
図6を用いて、気泡の微細化作用について説明する。
気体供給路220に供給された気体は、
図6に例示するように多孔筒237の外周付近の1箇所に到達して、液体供給路210から供給される液体に気泡として混合する。混合後の気泡は、気体の供給圧力に応じて一部が多孔筒237の側面238(多孔壁)をはみ出す。残りの気泡は、スクリュー234によって回転する液体の粘性によって旋回し、多孔筒237の外周付近の1箇所から周壁に沿って拡幅する。
【0049】
このように液中に混合された気泡の流れは、
図6に例示する経路R1~R3を通って流れる。以下、経路R1~R3ごとに気泡の微細化作用を説明する。
【0050】
(1)経路R1の場合
スクリュー234の回転に伴って気液混合体は周方向に旋回するため、遠心分離作用が働く。この遠心分離作用によって、液体よりも比重の軽い気泡は、多孔筒237の外周から側面238(多孔壁)を通り抜けて流路の中心方向へ誘導される。この気泡が多孔筒237を通過する過程において、スクリュー234によって回転する液の粘性作用や攪拌作用によって剪断力が作用する。その結果、多孔筒237を通過する気泡は引きちぎられて微細化される。
【0051】
このように微細化された気泡は、スクリュー234の回転によって攪拌される。この攪拌に伴う動圧差によって、気泡はさらに引きちぎられて微細化される。
【0052】
以上の代表的な剪断作用によって、経路R1を通って流れる気泡は効率よく多段階に微細化される。
【0053】
(2)経路R2の場合
多孔筒237の側面238を通り抜けなかった気泡は、周縁スペース240を下流方向へ流れる。ホイール236まで流れると流路径が拡大することによって周縁スペース240を流れる気液混合体は多孔筒237の側面238(多孔壁)を通して多孔筒237の内側の比較的広いスペースに一気に集まる。このとき多孔筒237の側面238と液の粘性作用や攪拌作用によって気泡に剪断力が作用し、気泡は微細化される。
【0054】
(3)経路R3の場合
気液混合パーツ200を通過した気液混合体は、まず、微細泡生成パーツ100Aに流入する。この気液混合体は、フィン156に衝突して誘導錐体150を回転させる。その結果、気液混合体は回転によって攪拌される。この攪拌に伴う動圧差によって、気泡は引きちぎられて剪断され、微細化される。
【0055】
さらに、気液混合体は、下流方向に拡がる錐体面152に沿って流れるに従って、流路面積が徐々に狭まる。そのため、気液混合体の流速および動圧は徐々に増加することで、多孔筒120の側面121(多孔壁)に強く衝突し、周縁スペース140へ勢いよく押し出される。この押し出される瞬間に剪断力が作用し、気泡は引きちぎられて微細化される。
【0056】
多孔筒120の側面121から押し出された気液混合体は、周縁スペース140を流れて、収斂部160の広いスペースに至る。収斂部160は流路径が拡大するために、比較的狭い周縁スペース140を流れる気液混合体は、多孔筒120の側面121(多孔壁)を通過して収斂部160の比較的広いスペース内に一気に集まって攪拌される。この一連の過程で気泡には剪断力が作用して引きちぎられ、気泡は微細化される。
【0057】
以上の経路R3が、後続する微細泡生成パーツ100B~Dにおいても順次に繰り返されることによって、気泡はさらに微細化(例えばナノバブルやマイクロバブル程度に微細化)される。
【0058】
《実施例1の効果》
【0059】
(1)本実施例1の微細泡生成パーツ100A~Dでは、多孔筒120の内側に下流方向へ拡がる錐体面152を配置する。この錐体面152によって流路面積が徐々に狭まることによって気液混合体の流速と動圧は増加する。その結果、液中の気泡は多孔筒120の側面121(多孔壁)に強く衝突して周縁スペース140に勢いよく押し出される。この過程によって液中の気泡に剪断力が作用する。本実施例1は、この剪断作用によって液中の気泡を剪断して微細化することができるという点で優れている。
【0060】
(2)本実施例1の微細泡生成パーツ100A~Dでは、比較的広い収斂部160を設ける。そのため、比較的狭い周縁スペース140を流れた気液混合体は、多孔筒120の側面121(多孔壁)を通して収斂部160に一気に集まって攪拌される。この過程によって液中の気泡に剪断力が作用する。本実施例1は、この剪断作用によって液中の気泡を剪断して微細化することができるという点でも優れている。
【0061】
(3)前述した特許文献1では狭隘路を流路に使用するため、微細泡を含む気液混合体の収量を増やすことが難しいという問題点があった。しかしながら、本実施例1は、気液混合体を流す周縁スペース140をさほど狭くする必要がないため、微細泡を含む気液混体の収量を増やすことができるという点で優れている。
【0062】
(4)本実施例1では、特許文献1の狭隘路に比べて、気液混合体を通す周縁スペース140をさほど狭くする必要がないため、導管110の内壁に過大な圧力はかかりづらい。そのため、本実施例1は、導管110の素材に汎用かつ安価なプラスチック素材を使用できるという点で優れている。
【0063】
(5)本実施例1では、特許文献1の狭隘路に比べて、気液混合体を通す周縁スペース140をさほど狭くする必要がない。そのため、大きな気泡が周縁スペース140に混入しても栓をされた状態になりづらい。したがって、本実施例1は、液中の気泡が詰まるといった弊害が生じにくく、気液混合体を円滑に流すことができるという点で優れている。
【0064】
(6)本実施例1の微細泡生成パーツ100A~Dでは、全周囲を囲む比較的狭い周縁スペース140から、中央の比較的広い収斂部160へ気液混合体が一気に集まる。この一気に集まる気液混合体の僅かなバランスの崩れによって収斂部160には旋回流が生じやすい。この旋回流の遠心分離作用によって、液体よりも比重の軽い気泡を旋回中心に集めることが可能になる。本実施例1は、この作用によって誘導される多くの気泡を多孔筒120と収斂部160で剪断して微細化することができるという点で優れている。
【0065】
(7)本実施例1の微細泡生成パーツ100A~Dでは、誘導錐体150にフィン156を設けることによって、誘導錐体150は気液混合体の流れを受けて回転する。そのため、錐体面152に沿って流速および動圧の増加した気液混合体に、さらに回転による攪拌作用が加わる。この作用によって液中の気泡にかかる剪断力が相乗的に強まる。本実施例1は、この剪断作用によって気泡を剪断して微細化することができるという点でも優れている。
【0066】
(8)本実施例1の微細泡生成パーツ100A~Dでは、フィン156が気液混合体の流れを受けることによって誘導錐体150が回転する。そのため、誘導錐体150や周辺部品に気液混合体中の不純物が結晶化して付着するなどのおそれが少なく、メンテナンス性がよくなる。その結果、本実施例1は、微細泡生成パーツ100A~Dのメンテナンス性が向上するという点で優れている。
【0067】
(9)本実施例1の微細泡生成装置Xでは、気液混合パーツ200に後続して微細泡生成パーツ100A~Dが複数段にわたって連結される。そのため、上述した効果が多段階に生じる。したがって、本実施例1は、気泡を段階的に剪断して微細化することができるという点でも優れている。
ホース510は、フレキシブルなホースである。このホース510は、例えば、シャワーヘッドに接続されるシャワーホースや、気液混合体を中継するための中継ホースなどである。
縮径部521は、ホース510の下流方向に向かって先細りのカップ形状をなし、ホース510の流路径を狭める。なお、ホース510の周壁近傍の周辺流については縮径部521の周辺の隙間から入って流路断面が拡がる。この縮径部521によって、ホース510の中心流は動圧および流速が高まり、ホース510の周辺流は動圧および流速が低くなる。そのため、ホース510内を流れる気液混合体は縮径部521を通過する際に高い動圧差に晒される。この動圧差によって、気液混合体中の気泡は剪断され微細化される。
一方、拡径部522は、ホース510の下流方向に向かって先太りのカップ形状(縮径部521とは対称形)をなし、狭まったホース510の流路径を拡げる。なお、ホース510の周壁近傍の周辺流については拡径部522の周辺から入って流路断面が狭まる。この拡径部522によって、ホース510の中心流は動圧および流速が低くなり、ホース510の周辺流は動圧および流速が高くなる。そのため、ホース510内を流れる気液混合体は拡径部522を通過する際に高い動圧差に晒される。この動圧差によって、気液混合体中の気泡は剪断され微細化される。
線状の中心軸線523aは、この中空軸523の中空部分を貫くことによって、複数の加圧パーツ520を一列につなぐ。なお、中心軸線523aの端部には、中空軸523が抜けないように結び目や留め具(不図示)を設けてもよい。また、ホース510内を加圧パーツ520が移動しないように、ホース510の中継点などに中心軸線523aの端部を固定してもよい。
複数の加圧パーツ520の間には、可撓用の遊び幅523bが設けられる。この遊び幅523bによって、ホース510の曲げに対して加圧パーツ520は位置をずらすことができる。そのため、ホース510を適度に曲げることが可能になる。
補強フィン524は、ホース510の中心を通る中空軸523の位置をなるべく維持するための補強構造である。この補強フィン524により、ホース510の曲げに対して加圧パーツ520の過度な変形を抑制し、加圧パーツ520の機能を維持できる。
切り込み部525は、縮径部521および拡径部522のカップ部分の縁に複数の切り込みを入れて成型される。この切り込み部525がカップ部分の可撓性を高めることによって、ホース510をさらに適度に曲げることが可能になる。また、切り込み部525は、気液混合体の流れに適度な変化をもたらすことで、気泡の微細化にも寄与する。
(3)本実施例2では、加圧パーツ520の縮径部521および拡径部522が対称な形状を有する。そのため、ホース510に対して加圧パーツ520を正逆どちら向きに挿置しても、加圧パーツ520は正常に機能する。
したがって、本実施例2は、ホース510内に対して加圧パーツ520を正逆どちら向きにも挿置できるため、微細泡出力ホース500の組み立て作業が容易になるという点で優れている。
(4)本実施例2では、対称形の加圧パーツ520をホース510内に挿置する。そのため、微細泡出力ホース500を正逆どちら向きに接続しても、微細泡出力ホース500は正常に機能する。
したがって、本実施例2は、微細泡出力ホース500を正逆どちら向きにも接続できるため、微細泡出力ホース500の接続作業が容易になるという点で優れている。
(5)本実施例2では、複数の加圧パーツ520を一列に連ねて、ホース510内に挿置される。そのため、微細泡出力ホース500の長さに応じて加圧パーツ520の数を増減調整できる。
したがって、本実施例2は、微細泡出力ホース500の長さを必要に応じて柔軟に変更可能であるという点で優れている。
(6)本実施例2では、フレキシブルな中心軸線523aが複数の加圧パーツ520を一列につなぎ、隣接する加圧パーツ520の間に可撓用の遊び幅523bが設けられる。そのため、ホース510の曲げ形状に形を合わせて、内部の加圧パーツ520の位置が適度に変位し、ホース510を柔軟に曲げることが可能になる。
したがって、本実施例2は、中心軸線523aおよび遊び幅523bによって、微細泡出力ホース500を柔軟に曲げることができるという点で優れている。
(7)本実施例2では、補強フィン524が加圧パーツ520の略中心をホース510の中心線に維持しつつ、切り込み部525によって加圧パーツ520の縮径部521および拡径部522のカップ部分に可撓性を与える。
したがって、本実施例2は、補強フィン524および切り込み部525によって、加圧パーツ520の過度な変形(潰れ)を防ぎつつ、微細泡出力ホース500を柔軟に曲げることができるという点で優れている。