(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030760
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】トイレ用リモコン
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20230301BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20230301BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
E03D9/08 A
H01H9/18 A
H04Q9/00 331A
H04Q9/00 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136072
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 浩和
【テーマコード(参考)】
2D038
5G052
5K048
【Fターム(参考)】
2D038JC03
2D038JH06
2D038KA01
2D038ZA00
5G052AA22
5G052JA02
5K048AA09
5K048BA01
5K048FB10
5K048FB15
5K048FB16
5K048FC03
5K048HA24
(57)【要約】
【課題】誤操作の抑制を図ることができるトイレ用リモコンを提供する。
【解決手段】トイレ用リモコン1は、複数の操作部20を備えている。複数の操作部20は、空間に投影して表示される。複数の操作部20は、トイレ装置100の機能を実行させるための操作を受け付ける。複数の操作部20は互いに離れている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に投影して表示され、トイレ装置の機能を実行させるための操作を受け付ける複数の操作部を備え、
複数の前記操作部は互いに離れているトイレ用リモコン。
【請求項2】
前記操作部の表示は、立体画像である請求項1に記載のトイレ用リモコン。
【請求項3】
複数の前記操作部のいずれか2つ以上が同時に操作された場合、操作受付後の少なくとも特定時間は、操作された前記操作部に対応する前記トイレ装置の機能の実行開始を保留する請求項1及び請求項2に記載のトイレ用リモコン。
【請求項4】
前記特定時間経過後に、前記トイレ装置の特定の機能を実行させる請求項3に記載のトイレ用リモコン。
【請求項5】
同時に操作された複数の前記操作部のうちの特定の操作部に対応する前記トイレ装置の機能を実行させる請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載のトイレ用リモコン。
【請求項6】
複数の前記操作部は、前記トイレ装置を着座状態で使用する使用者から見て前後方向に複数配置されており、
前記特定の操作部は、同時に操作された複数の前記操作部のうち、前記使用者から見て最も前方に配置された操作部である請求項5に記載のトイレ用リモコン。
【請求項7】
複数の前記操作部は上下方向に複数配置されており、
前記特定の操作部は、同時に操作された複数の前記操作部のうち、最も上方に配置された操作部である請求項5に記載のトイレ用リモコン。
【請求項8】
複数の前記操作部は、前記トイレ装置を着座状態で使用する使用者から見て前後方向に一列に並んで配置されている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のトイレ用リモコン。
【請求項9】
複数の前記操作部の間隔は、複数の前記操作部の並び方向における各前記操作部の長さよりも小さい請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のトイレ用リモコン。
【請求項10】
各前記操作部における前記空間への飛び出し量の大きさは、複数の前記操作部の間隔よりも小さい請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のトイレ用リモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ用リモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来のトイレ用リモコンとしての操作装置を開示している。この操作装置はタッチパネル式であり、ディスプレイである表示部に表示された複数の操作部への使用者の接触に応じて操作を受け付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触式の操作部の場合、操作する指先はどこにも接触しない。このため、指先の位置が安定せず、意図しない他の操作部を操作してしまうおそれがあった。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、誤操作の抑制を図ることができるトイレ用リモコンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るトイレ用リモコンは、空間に投影して表示され、トイレ装置の機能を実行させるための操作を受け付ける複数の操作部を備え、複数の前記操作部は互いに離れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係るトイレ用リモコンが配置されたトイレルームを模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係るトイレ用リモコンを示す斜視図である。
【
図3】実施形態1に係るトイレ用リモコンの断面を模式的に示す図である。
【
図4】実施形態1に係るトイレ用リモコンの要部を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る操作部において、操作を受付可能な状態において表示される画像例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る操作部において、操作を受付不能な状態において表示される画像例を示す図である。
【
図7】実施形態1に係るシート体を示す正面図である。
【
図8】実施形態1に係るトイレ用リモコンを示す斜視図であり、使用者がトイレ装置に着座する前の状態を示す。
【
図9】実施形態1に係るトイレ用リモコンを示す斜視図であり、使用者がトイレ装置に着座した後の状態を示す。
【
図10】実施形態1に係るトイレ用リモコンを示す斜視図であり、使用者がおしり洗浄用操作部を操作した状態を示す。
【
図11】実施形態1に係るトイレ用リモコンを示す斜視図であり、使用者が便器洗浄用操作部を操作した状態を示す。
【
図12】実施形態1に係るトイレ用リモコンの操作例を模式的に示す図である。
【
図13】他の実施形態に係る操作部において、操作を受付不能な状態において表示される画像例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
実施形態1に係るトイレ用リモコン1(以下、単にリモコン1とも表記する)は、
図1に示すトイレ装置100の操作に用いられる。トイレ装置100は、便器110及び便座120を備えている。便器110はトイレ室Rの床面Fに配置されている。便座120は、便器110の上方に配置される。リモコン1は、トイレ室Rにおける壁面Wに配置される。リモコン1は、便座120に着座した状態でトイレ装置100を使用する使用者から見た右方の壁面Wに配置されている。リモコン1は、着座状態の使用者から見て、下方に見下ろすような位置に配置される。
【0009】
リモコン1は、トイレ装置100における局部洗浄機能、局部洗浄時の洗浄強さの調節機能、便器流水音等の擬音発生機能、便器洗浄機能等の各種機能の操作を受け付ける。リモコン1は、受け付けた操作内容に応じた制御信号をトイレ装置100に向けて送信する。トイレ装置100は、図示しない制御部において、受信した制御信号に応じた各種機能を各部に実行させる。
【0010】
本実施形態の場合、リモコン1は、トイレ装置100から送信されるトイレ装置100の状態を示す信号を受信する。リモコン1は、受信したトイレ装置100の状態を示す信号に基づいて、トイレ装置100における各種機能が実行可能であるか否かを把握する。リモコン1は、トイレ装置100における各種機能の実行可否に応じて、各種機能に対応した後述する操作部20の操作の受付状態を、受付可能とするか不能とするかを判断する。リモコン1は、この受付状態に応じて、操作部20の表示を変化させる。トイレ装置100の状態とは、例えば、使用者の着座の有無、上述したトイレ装置100における各種機能の稼働状況、設定値等が挙げられる。
【0011】
以下の説明において、トイレ用リモコン1における前後の方向は、後述する操作部20が配置される面の正面方向を前方、その反対方向を後方と定義する。左右方向、及び上下方向は、リモコン1における操作部20が配置される面に正対した使用者から見た方向をそのまま左右方向、及び上下方向とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸の各軸において、正方向は、それぞれ前方、左方、及び上方である。
【0012】
図2から
図7に示すように、リモコン1は、リモコン本体10と、操作部20と、第1画像表示部30と、第2画像表示部40と、センサ50と、シート体60とを有している。リモコン本体10は、左右方向を長手方向とするとともに、前後方向に偏平な直方体状をなしている。リモコン本体10は、射出成形した樹脂部品を組み合わせた構成であり、内部に空間を形成している。リモコン本体10の内部空間には、画像表示部30,40、センサ50、シート体60、図示しない制御部等が収納されている。リモコン本体10は、前面側において操作部20が配置され、後面側において壁面Wに取り付けられる。リモコン本体10の前面には、操作部20に対応した位置に窓部10Aが形成されている。本実施形態の場合、後述するように操作部20は複数設けられている。窓部10Aは、複数の操作部20に対応して複数形成されている。
【0013】
操作部20は、トイレ装置100における機能を実行させるための操作を受け付ける。操作部20は、空間に投影して表示される。本実施形態の場合、操作部20は、第1画像表示部30及び第2画像表示部40によって表示される。操作部20は、第1画像表示部30及び第2画像表示部40によって空間に投影表示される後述する画像Im1,Im2として表示される。操作部20の表示は、操作部20における操作の受付状態に応じて変化される。
【0014】
図2に示すように、操作部20は、リモコン本体10の前面側の空間に配置されている。操作部20は非接触操作によって操作される。具体的には、本実施形態の場合、操作部20の操作とは、操作部20として設定された空間に使用者の指や手等の被検出体を進入させることである。操作部20として設定された空間はセンサ50の検知範囲とされている。リモコン1は、操作部20として設定された空間に被検出体が進入したことをセンサ50が検知すると、トイレ装置100における機能を実行させるための信号をトイレ装置100に向けて送信する。リモコン1は、これらの処理を実行する図示しない制御部を有している。
【0015】
操作部20における操作の受付状態とは、操作部20が操作を受付可能な状態、及び操作部20が操作を受付不能な状態のいずれかである。操作部20は、トイレ装置100が機能を実行可能な状態にある場合、操作を受付可能な状態にされる。換言すると、リモコン1は、トイレ装置100が機能を実行可能な状態にある場合には、センサ50による被検出体の検知を有効にし、操作部20が操作を受付可能な状態にする。これに対し、操作部20は、トイレ装置100が機能を実行不能な状態にある場合、操作を受付不能な状態にされる。換言すると、リモコン1は、トイレ装置100が機能を実行不能な状態にある場合には、センサ50による被検出体の検知を無効にし、操作部20が操作を受付不能な状態にする。
【0016】
操作部20における操作を受付不能な状態とは、単にセンサ50による被検出体の検知を無効にする形態のみに限定されない。例えば、センサが被検出体を検知した場合でもこれに対応する制御信号をトイレ装置に送信しない形態、トイレ装置側において受信した制御信号を無視する形態等、使用者の操作がトイレ装置における機能の実行に繋がらない形態であればよい。
【0017】
本実施形態の場合、操作部20における表示の変化とは、操作の受付状態に応じて異なる画像が表示されることである。
図5に示すように、操作部20は、操作を受付可能な状態にある場合、第1画像Im1が表示される。これに対し、
図6に示すように、操作部20は、操作を受付不能な状態にある場合、第2画像Im2が表示される。第1画像Im1は、第1画像表示部30によって表示される画像である。第2画像Im2は、第2画像表示部40によって表示される画像である。操作部における表示の変化としては、例えば、形状の異なる表示に変化させる形態、色の異なる表示に変化させる形態、表示の一部及び全部を消失させる形態等が挙げられる。
【0018】
操作部20は複数設けられている。複数の操作部20は、トイレ装置100における各種機能に応じて設けられている。具体的には、複数の操作部20は、それぞれ、停止用操作部21、おしり洗浄用操作部22、ビデ洗浄用操作部23、洗浄強さ調節用操作部24,25、擬音発生用操作部26、及び便器洗浄用操作部27である。本実施形態の場合、複数の操作部20は、リモコン1の前面に沿って一列に並んで配置されている。
図2に示すように、複数の操作部20は、最も左方の停止用操作部21から、最も右方の便器洗浄用操作部27まで、左右方向に横一列に並んでいる。トイレ装置100を着座状態に使用する使用者から見て、壁面Wに取り付けられた状態のリモコン1における複数の操作部20は、使用者から見た前後方向においてそれぞれ異なる距離で配置される。以下の説明において、これら各操作部21,22,23,24,25,26,27は、特に区別しない場合には、単に操作部20と表記される。
【0019】
停止用操作部21は、トイレ装置100における図示しないおしり洗浄用ノズル及びビデ洗浄用ノズルのいずれかからの洗浄水の噴出を停止させるための操作部である。リモコン1は、洗浄水が噴出されている状態においてのみ、停止用操作部21を操作の受付可能な状態にし、それ以外の状態では停止用操作部21を操作の受付不能な状態にする。停止用操作部21の操作の受付状態の変化は、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の個別の操作の受付状態の変化と連動する。
【0020】
おしり洗浄用操作部22は、おしり洗浄用ノズルから洗浄水を噴出させるための操作部である。ビデ洗浄用操作部23は、ビデ洗浄用ノズルから洗浄水を噴出させるための操作部である。リモコン1は、トイレ装置100の使用者が便座120に着座した状態、且つトイレ装置100における便器110の洗浄が実行されていない状態において、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23を操作の受付可能な状態にする。リモコン1は、トイレ装置100の使用者が便座120に着座していない状態や、トイレ装置100における便器110の洗浄が実行されている状態では、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23を操作の受付不能な状態にする。上述のように、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の受付状態の変化は、停止用操作部21の操作の受付状態の変化とそれぞれ連動する。
【0021】
洗浄強さ調節用操作部24,25は、おしり洗浄用ノズル及びビデ洗浄用ノズルのいずれかから噴出する洗浄水の強さ(水勢)を調節するための操作部である。洗浄強さは、洗浄強さ調節用操作部24,25の操作回数に応じて段階的に変更される。リモコン1は、洗浄強さが最高及び最低のいずれかに設定されている場合を除いて、洗浄強さ調節用操作部24,25を常時操作の受付可能な状態にする。
【0022】
擬音発生用操作部26は、便器洗浄水が流れる音等の擬音を出力させるための操作部である。この擬音は、リモコン1に内蔵される図示しないスピーカから出力される。この擬音は、擬音発生用操作部26が操作されてからの一定時間出力される。リモコン1は、擬音発生用操作部26の操作を常時受付可能な状態にする。擬音発生用操作部26は、いわゆるオルタネイト動作式の操作部である。リモコン1は、擬音を出力してない状態において擬音発生用操作部26が操作されると、擬音の出力を開始する。リモコン1は、擬音を出力している状態において擬音発生用操作部26が操作されると、擬音の出力を停止する。
【0023】
便器洗浄用操作部27は、便器110内に洗浄水を吐出するための操作部である。リモコン1は、便器洗浄用操作部27が操作されてからの一定時間を除いて、便器洗浄用操作部27の操作を常時受付可能な状態にする。リモコン1は、便器洗浄用操作部27が操作されてからの一定時間は、便器洗浄用操作部27の操作を受付不能な状態に維持する。この一定時間は、洗浄水タンクから便器110内に洗浄水を吐出している間の時間として設定される。リモコン1は、便器洗浄用操作部27が操作されてから一定時間が経過した後には、便器洗浄用操作部27の操作を受付可能な状態に戻す。本実施形態のようにトイレ用リモコンがトイレ装置の状態を示す信号を受信する場合、トイレ用リモコンは、実際の便器洗浄の開始及び終了を示す信号の受信に基づいて、便器洗浄用操作部における操作を受付可能な状態と受付不能な状態との切り替えを行うようにしてもよい。
【0024】
リモコン1は、便器洗浄用操作部27における操作の受付状態を受付可能状態から受付不能状態に変化させた場合、これに伴って、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の操作の受付状態を受付可能状態から受付不能状態に変化させる。これは、便器洗浄に使用する水の圧力変化を抑制するためである。リモコン1は、一定時間が経過した後に便器洗浄用操作部27の操作の受付状態を受付不能状態から受付可能状態に戻す際には、これに伴って、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の操作の受付状態を受付不能状態から受付可能状態に戻す。
【0025】
図3及び
図4に示すように、第1画像表示部30及び第2画像表示部40は、前後に並んで配置されている。各画像表示部30,40は、導光板31,41と、光源32,42とをそれぞれ有している。導光板31,41は、上下方向を長手方向とする長方形状の板状をなしている。導光板31,41は、ポリカーボネート等の透光性及び屈折率の比較的高い樹脂材料によって形成されている。
【0026】
光源32,42は、LED(Light Emitting Diode)等の光源である。光源32,42は、導光板31,41の下端面から上方に向けて導光板31,41の内部に光を照射する。光源32,42から投射された光は、導光板31,41の内部で屈折、反射して光路を変更し、導光板31,41の前後方向(板厚方向)に出射する。導光板31,41から出射した光は、空間における複数の異なる定点において収束し、周囲よりも輝いて見える疑似光源を形成する。リモコン1の使用者が認識し得る画像は、これら複数の疑似光源の集合体である。本実施形態において、導光板31,41から出射された光は、導光板31,41の前方において収束し、リモコン1の前面側の空間において画像Im1,Im2をそれぞれ結像する。画像Im1,Im2は、それぞれ白色を呈する。光源32,42から上方に照射され、導光板31,41を経て出射される光は、操作部20を見下ろすように見る使用者に対して良好な視認性の疑似光源を形成する。
【0027】
第1画像表示部30及び第2画像表示部40は、複数の操作部20毎にそれぞれ設けられている。第1画像表示部30は、対応する操作部20を示す第1画像Im1を空間に投影して表示する。第2画像表示部40は、対応する操作部20を示す画像であって第1画像Im1とは異なる第2画像Im2を空間に投影して表示する。画像Im1,Im2は、各操作部20の位置に合わせてそれぞれ表示される。
【0028】
図5及び
図6に示すように、本実施形態において、画像Im1,Im2は、それぞれ押しボタンスイッチを模した立体画像である。画像Im1,Im2は、上下方向、左右方向、及び前後方向のそれぞれの方向に延びる線分を有する直方体形状をなしている。具体的には、画像Im1,Im2は、正面視において正方形状をなしている。すなわち、画像Im1,Im2は、正面視において、上下方向の長さと左右方向の長さが同等な長さLの正方形状をなしている。画像Im1,Im2における奥行き方向の線分に相当する前後方向に延びる部分の長さは、正方形の各辺に相当する部分の長さよりも短い。画像Im1,Im2における前面に相当する部分には、各操作部20に対応したピクトグラムPの画像が表示される。
図5及び
図6に示すおしり洗浄用操作部22の場合、おしり洗浄を表すピクトグラムPが表示されている。
【0029】
第1画像Im1と第2画像Im2の違いは、前後方向の飛び出し量(奥行き長さ)の違いである。
図5及び
図6に示すように、第2画像Im2は、第1画像Im1と比較して前方への飛び出し量が小さい。具体的には、第1画像表示部30の導光板31の表面から各画像Im1,Im2の前端までの長さを飛び出し量とした場合、第2画像Im2の飛び出し量は、第1画像Im1の飛び出し量の0.5倍以下である。第1画像Im1は、押しボタンスイッチにおける操作を受付可能な状態を表している。第2画像Im2は、第1画像Im1として表示された押しボタンスイッチがあたかも押し込まれているかのような状態を表している。第1画像Im1及び第2画像Im2は、トイレ装置100における各種操作の受付状態に応じて、各種操作に対応した操作部20毎に切り替えて表示される。
【0030】
センサ50は、操作部20として設定された空間領域に被検出体が進入したか否かを検知する。操作部20が操作されたか否かは、このセンサ50による被検出体の検出の有無によって判断される。
図3及び
図4に示すように、センサ50は、第1画像表示部30及び第2画像表示部40の後方に配置される。センサ50は、非接触型のセンサ、例えば、測距センサ、光電センサ、静電容量式センサ等を採用することができる。本実施形態の場合、センサ50は、赤外線を用いた測距センサを採用している。センサ50は、複数の操作部20毎に設けられている。各センサ50は、複数の操作部20毎の検知領域を個別に設定している。各センサ50は、第1画像Im1が結像される空間領域を含む領域を検知領域として設定されている。
【0031】
図3及び
図4に示すように、シート体60は、画像表示部30,40とセンサ50との間に配置される。シート体60は、画像表示部30,40を挟んで、操作部20と隣接する。すなわち、シート体60は、操作部20の表示を形成する光の出射面側において、操作部20に隣接する。シート体60は、樹脂をシート状に形成してなる。上述のように、本実施形態においては、シート体60は、センサ50に用いられている赤外線を透過可能な材料を採用している。
図4に示すように、シート体60は、第1領域60A及び第2領域60Bの2つの領域が設定されている。
【0032】
図7に示すように、第1領域60Aは、リモコン1の正面視において画像Im1,Im2をシート体60上に平面投影した領域と同等の領域面積を有するシート体60上の正方形状の領域である。画像Im1,Im2によって立体的に表示される各操作部20は、シート体60における第1領域60Aから飛び出しているように見える。
【0033】
第2領域60Bは、第1領域60Aの下側の領域を少なくとも含む領域である。第2領域60Bは、空間に投影表示される操作部20を示す画像Im1,Im2よりも下側の領域を少なくとも含む。第2領域60Bは、操作部20を示す画像Im1,Im2における第1領域60A側の部分よりも下側の領域を少なくとも含む。本実施形態の場合、第2領域60Bは、
図7に示すように、第1領域60Aに隣接する下側の領域を含んだ第1領域60Aの周囲の領域である。第2領域60Bは、操作部20における第1領域60A側の部分の周囲全体に隣接した領域として設定されている。第1領域60A及び第2領域60Bは、互いに異なる色に着色されている。具体的には、例えば、第1領域60Aは黒色であり、第2領域60Bは、アイボリー等の白系統の色である。すなわち、第2領域60Bは、第1領域60Aと比較して白っぽい。換言すると、第2領域60Bは、第1領域60Aと比較して明度が高い。第2領域60Bの色は、リモコン本体10の表面と同等の色である。
【0034】
第2領域60Bは、第1領域60Aと比較して透明度が低い。上述のように、第1領域60Aは、赤外線を透過可能な透明度を有している。これに対し、第2領域60Bは、赤外線を含む光の透過性が第1領域60Aと比較して低い。この構成によれば、操作部20を示す画像Im1,Im2は、第2領域60Bが透けて見えることによって、くっきりと明瞭に視認され得る。
【0035】
上述のように、第1領域60Aが画像Im1,Im2をシート体60上に平面投影した領域と同等の領域として設定されていることから、第2領域60Bは、
図3に示すように、空間に投影して表示された操作部20よりも下方に位置する部分を有する。使用者が操作部20を上方から見下ろすと、第1領域60Aと第2領域60Bとの境界が操作部20を示す画像Im1,Im2を透けて見える。第2領域60Bは、操作部20における第1領域60A側の部分の周囲全体に隣接した領域として設定されている。リモコン1は、使用者が操作部20を正面方向のどのような方向から見た場合でも、第1領域60Aと第2領域60Bとの境界が画像Im1,Im2を透けて見えるようにされている。
【0036】
上述のように、第1画像Im1は、操作部20が操作を受付可能な状態において表示される。これに対し、第2画像Im2は、操作部20が操作を受付不能な状態において表示される。第2画像Im2は、操作部20において操作を受け付けたことの確認としても表示される。具体的には、リモコン1は、第1画像Im1が表示された状態の操作部20が操作された場合、センサ50が被検出体を検知している間は、操作を受け付けていることの確認として第2画像Im2に切り替えて表示させる。リモコン1は、操作部20において操作を受付中の状態から操作を非受付中の状態、すなわちセンサ50が被検出体を検知している状態から検知していない状態に切り替わった場合には、その後の操作部20の操作の受付状態に応じて、第2画像Im2の表示を維持したり、第1画像Im1の表示に切り替えたりする。リモコン1は、操作部20において操作を受け付けたことの確認として、図示しないスピーカから音も発する。
【0037】
図2に示すように、各操作部20に表示される画像Im1,Im2は、互いに離れて表示される。これによって、リモコン1は、誤操作の回避を図っている。各操作部20に表示された画像Im1,Im2の間隔Sと、操作部20の並び方向に沿った方向の大きさである各画像Im1,Im2の左右方向の長さLとを比較すると、左右方向の長さLのほうが大きい。上述した第1画像Im1の飛び出し量を奥行き長さDとした場合、この奥行き長さDは、間隔S、及び左右方向長さLよりも小さい。これら間隔S、左右方向長さL、及び奥行き長さDの大きさは、L>S>Dの関係となるように設定されている。詳細には、本実施形態の場合、左右方向長さL、奥行き長さD、及び間隔Sの大きさの比は、L:D:S=3:1:2程度である。この比率は、着座状態の使用者から見て、各操作部20に示される画像Im1,Im2同士の重なりの発生を抑制可能な大きさとして設定されている。
【0038】
リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合には、操作を受付後の少なくとも特定時間内は、同時に操作された複数の操作部20のそれぞれに対応するトイレ装置100の機能の実行開始を保留する。詳細には、リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上の操作を同時に受け付けた場合、操作の受付後の特定時間内は、操作された複数の操作部20のそれぞれに対応する制御信号をトイレ装置100に送信するのを保留し、機能を実行させない。これによって、リモコン1は、意図しないトイレ装置100の機能が実行されるのを防止している。
【0039】
例えば、
図12に示す状態において、使用者は、おしり洗浄用操作部22、洗浄強さ調節用操作部24,25を操作してしまっている。このような場合において、リモコン1は、操作を受け付けている複数の操作部20のそれぞれに割り当てられている機能を、例えば3秒間等、特定時間実行させないことで使用者に誤操作が生じていることを認識させる。使用者は、誤操作を認識できることによって、複数の操作部20を操作している状態を一旦解除し、操作し直したりすることができる。
【0040】
上記「同時に操作」とは、例えば0.2秒以内等、複数の操作部20のいずれか2つ以上が特定の時間以内に操作を受け付けることを意図している。すなわち、同時に操作の「同時」とは、厳密に同時である必要はない。以下の説明における「同時に操作」も同様である。
【0041】
リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合、操作を受付後の特定時間が経過した後に、トイレ装置100における特定の機能を実行させる。特定の機能とは、例えば、メンテナンス時等において使用される隠しコマンド等、操作された各操作部20に対応するトイレ装置100の機能以外の機能である。本実施形態の場合、リモコン1は、複数の操作部20のうちの特定の2つが同時に操作された場合に特定の機能を実行させる。特定の2つの操作部20とは、例えば、停止用操作部21と、この停止用操作部21からもっとも離れた操作部である便器洗浄用操作部27等、不意に同時操作される可能性が比較的小さい2つの操作部20である。リモコン1は、特定の機能を実行させるにあたり、これら2つの操作部21,27をいわゆる長押し操作させる。これによって、リモコン1は、各操作部20に対応するトイレ装置100の機能以外の機能が誤って実行されるのを回避している。
【0042】
リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合、操作を受付後の特定時間が経過した後に、同時に操作された複数の操作部20のうちの特定の操作部に対応するトイレ装置100の機能を実行させる。例えば、リモコン1は、同時に操作された複数の操作部20のうち、使用者から最も遠方に配置された操作部20に紐づけられたトイレ装置100の機能を実行させる。上述のように、複数の操作部20は、リモコン1の正面視における左右方向であって、着座状態の使用者から見て前後方向に一列に並んで配置されている。したがって、本実施形態において、使用者から見て最も遠方の操作部とは、使用者から見て最も前方の操作部20である。
【0043】
例えば、
図12に示す状態において、使用者は、指先によっておしり洗浄用操作部22を操作している。同時に、使用者は、指先以外の部分において、洗浄強さ調節用操作部24,25を操作している。リモコン1の操作部20の操作は、指先での操作を想定しているため、
図12に示す状態では、使用者が意図して操作する操作部20は指先で操作されている操作部20である。トイレ装置100を着座状態で使用する使用者が手を伸ばして操作する際、使用者の身体の一部が指先よりも遠い位置まで到達するとは考え難い。このため、リモコン1では、使用者が意思を持って操作している操作部20が、同時に操作されている複数の操作部20のうち、使用者から最も遠方に位置する操作部であると断定し、この操作部20に対応するトイレ装置100の機能を実行させる。これによって、リモコン1は、過度の誤操作防止による使い勝手の悪化の回避を図っている。
【0044】
本実施形態に係るトイレ用リモコン1の作用について、トイレ装置100の使用例に合わせて説明する。リモコン1は、各操作部20の操作の受付状態に応じて、各操作部20における表示を変化させる。各操作部20は、第1画像Im1及び第2画像Im2のいずれかが表示されることによって、操作を受付可能な状態にあるのか、受付不能な状態にあるのかが個別に示される。
【0045】
操作部20の操作が受付可能及び受付不能のいずれの状態にあるのかは、各操作部20の操作によって各種機能を実行されるトイレ装置100の状態に応じて決定される。上述のように、リモコン1は、トイレ装置100の状態を示す信号をトイレ装置100から受信する。これによって、リモコン1は、トイレ装置100における各種機能のうちのいずれが実行可能であり、いずれが実行不能であるのか、というトイレ装置100の状態を把握する。
【0046】
リモコン1は、トイレ装置100における実行可能な機能に対応した操作部20については、操作を受付可能な状態を示す第1画像Im1を表示する。リモコン1は、トイレ装置100における実行不能な機能に対応した操作部20については、操作を受付不能な状態を示す第2画像Im2を表示する。
【0047】
トイレ装置100の使用者がトイレ装置100を使用するためにトイレ室Rに入室し、便座120に着座する前の状態では、リモコン1は、
図9に示すように、擬音発生用操作部26、及び便器洗浄用操作部27のみが第1画像Im1で表示されている。これによって、リモコン1は、擬音発生用操作部26、及び便器洗浄用操作部27がそれぞれ操作を受付可能な状態にあることを示している。
【0048】
図9に示す状態において、擬音発生用操作部26及び便器洗浄用操作部27以外の操作部21,22,23,24,25は、第2画像Im2で表示されている。これによって、リモコン1は、これら各操作部21,22,23,24,25が操作を受付不能な状態にあることを示している。この時、これらの操作部21,22,23,24,25は、仮に操作されたとしても操作を受け付けない。したがって、これらの操作部21,22,23,24,25に対応するトイレ装置100の各種機能は実行されない。
【0049】
トイレ装置100の使用者が便座120に着座すると、リモコン1は、
図8に示す表示状態から
図9に示す表示状態に操作部20の表示を変更する。この時、リモコン1は、トイレ装置100の状態を示す信号として使用者が便座120に着座したことを示す信号を受信する。リモコン1は、受信した信号の内容に基づき、トイレ装置100における機能のうち、使用者が着座状態になったことで受付可能になった操作部20の表示を変化させる。
【0050】
具体的には、トイレ装置100は、使用者が着座することによって、おしり洗浄及びビデ洗浄を実行可能な状態になるとともに、これらおしり洗浄及びビデ洗浄に洗浄強さの調節を実行可能となる。したがって、リモコン1は、使用者が便座120に着座した状態においては、おしり洗浄用操作部22と、ビデ洗浄用操作部23と、これらおしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の洗浄強さ調節用の操作部24,25の各表示を第2画像Im2から第1画像Im1に切り替える。これによって、リモコン1は、おしり洗浄用操作部22、ビデ洗浄用操作部23、及び洗浄強さ調節用の操作部24,25がそれぞれ操作を受付可能な状態になったことを示す。
【0051】
トイレ装置100を着座状態で使用する使用者がおしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれか一方を操作すると、センサ50が操作を検知し、トイレ装置100に信号を送信する。これによって、トイレ装置100は、図示しないおしり洗浄用ノズル及びビデ洗浄用ノズルのいずれか一方から洗浄水を噴出する。
【0052】
この時、操作されたおしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれか一方は、操作を受け付けた後に表示が変更される。具体的には、例えば、
図9に示す状態においておしり洗浄用操作部22を操作した場合、その表示は、操作を受付可能な状態を示す第1画像Im1を表示した状態から、
図10に示すように、操作を受付不能な状態を示す第2画像Im2を表示した状態に切り替えられる。この時、リモコン1は、操作を受け付けたことを示す音を図示しないスピーカから発する。
【0053】
おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれか一方の操作が受け付けられて表示が変化すると、これに伴って停止用操作部21の表示が変化する。具体的には、停止用操作部21の表示は、操作を受付不能な状態を示す第2画像Im2の表示から操作を受付可能な状態を示す第1画像Im1の表示に切り替えられる。この状態は、使用者が停止用操作部21を操作するまで継続される。トイレ装置100の使用者が停止用操作部21を操作し、この操作が受け付けられると、停止用操作部21の表示が第1画像Im1から第2画像Im2に変更される。これに伴って、第2画像Im2が表示されていたおしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれか一方が第1画像Im1の表示に変更される。
【0054】
トイレ装置100の使用者が便座120に着座した状態においては、洗浄強さ調節用操作部24,25も操作の受付可能な状態とされている。このため、洗浄強さ調節用操作部24,25の表示は、操作を受付可能な状態を示す第1画像Im1が表示されている。洗浄強さ調節用操作部24,25の表示は、操作が受け付けられている状態、すなわちセンサ50によって被検出体が検出されている状態では、操作を受付不能な状態を示す第2画像Im2とされる。この状態において、センサ50による被検出体を検出している状態から検出していない状態に変化すると、洗浄強さ調節用操作部24,25の表示は、第2画像Im2から第1画像Im1に戻る。
【0055】
洗浄強さ調節用操作部24,25のいずれか一方を連続的に操作するなどして、洗浄強さが上限及び下限のいずれかに達した場合には、操作された洗浄強さ調節用操作部24,25のいずれかは、それ以上の操作を受付不能となる。この場合には、センサ50が被検出体を検出しない状態になっても第2画像Im2が表示された状態が維持され、第1画像Im1の表示には戻らない。
【0056】
擬音発生用操作部26は、トイレ装置100の使用者が便座120に着座しているか否かに関わらず常時操作を受付可能な状態とされるため、通常状態では、第1画像Im1が表示されている。擬音発生用操作部26の表示は、センサ50の検知によって操作が受け付けられると、第1画像Im1から第2画像Im2に変化される。擬音発生用操作部26は、センサ50が被検出体を検出している状態の間は、第2画像Im2が表示された状態が維持される。擬音発生用操作部26は、センサ50が被検出体を検出している状態から検出していない状態に変化すると、第2画像Im2から第1画像Im1に表示が変化される。
【0057】
上述のように、擬音発生用操作部26は、操作を受付中の状態以外の状態であれば、常時操作を受付可能である。擬音発生用操作部26は、オルタネイト動作式の操作部と同様に機能する。リモコン1は、擬音が出力されていない状態で擬音発生用操作部26が操作されると、擬音の発生を開始し、この状態を維持する。リモコン1は、擬音が出力されている状態で擬音発生用操作部26が操作されると、擬音の発生を停止し、この状態を維持する。
【0058】
便器洗浄用操作部27は、操作受付後の特定期間を除いて、常時操作を受付可能な状態とされるため、通常状態では、第1画像Im1が表示されている。使用者によるトイレ装置100の使用が終了するなどして、使用者が便器洗浄用操作部27を操作すると、便器洗浄用操作部27の表示は、
図11に示すように、第1画像Im1から第2画像Im2に変更される。便器洗浄用操作部27の表示は、第1画像Im1から第2画像Im2に切り替わった後、この状態が特定期間継続される。便器洗浄用操作部27の表示は、第1画像Im1から第2画像Im2に切り替わった後、特定期間経過後に第1画像Im1の表示に戻る。
【0059】
リモコン1は、便器洗浄用操作部27が操作されて第1画像Im1の表示を第2画像Im2の表示に切り替える際、これに連動させて、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23の表示を第1画像Im1から第2画像Im2に切り替える。これによって、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23は、便器洗浄水が吐出されている間は、操作を受付不能な状態とされる。おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23は、特定期間の経過後には、便器洗浄用操作部27の表示と同様に、第1画像Im1の表示に戻る。
【0060】
上述のように、リモコン1は、トイレ装置100の便座120に着座状態の使用者から見て、前方の右斜め下方に配置される。着座状態の使用者から操作部20を見ると、
図5及び
図6に示すように、シート体60は、操作部20として表示された画像Im1,Im2を透過して見える。着座状態の使用者から見ると、画像Im1,Im2は、シート体60における第1領域60Aと第2領域60Bとの境界を跨いで表示され、空間に浮き出た様が際立って見える。
【0061】
リモコン1は、複数の操作部20のそれぞれを示す画像Im1,Im2同士が互いに離れて表示される。リモコン1は、各操作部20を離して配置したことによって、意図しない操作部20を操作してしまう誤操作の抑制が図られている。
【0062】
着座状態の使用者から見たリモコン1は、前方の右斜め下方に配置される。この状態において、複数の操作部20は、離れて配置されていることによって、
図2等に示すように、使用者から見て、各操作部20を示す画像Im1,Im2の重なりが抑えられ、視認性良好である。
【0063】
本実施形態の場合、リモコン1は、複数の操作部20同士の間隔Sと、各操作部20における左右方向長さLとの関係を、L>Sとしている。すなわち、リモコン1は、複数の操作部20を、各操作部20の左右幅よりも小さな間隔で配置している。これによって、リモコン1は、各操作部20の操作性の向上と、リモコン1全体の大型化抑制とを両立させている。特に、本実施形態の場合、リモコン1は、複数の操作部20における間隔S、左右方向長さL、及び奥行き長さLのそれぞれの大きさを、L>S>Dとしている。リモコン1は、各操作部20の操作性及び視認性の向上と、リモコン1の大型化抑制とを両立させている。
【0064】
以上のように、実施形態1に係るトイレ用リモコン1は複数の操作部20を備えている。複数の操作部20は、それぞれ空間に投影して表示される。複数の操作部20は、トイレ装置100の機能を実行させるための操作をそれぞれ受け付ける。複数の操作部20は互いに離れている。
【0065】
リモコン1は、複数の操作部20を離して配置したことによって、意図しない操作部20を誤って操作してしまうことを抑制することができる。
【0066】
リモコン1において、操作部20の表示は、立体画像である画像Im1,Im2である。このため、リモコン1は、操作部として平面的な画像を表示する場合と比較して、操作部の意匠性を向上させることができる。
【0067】
リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合、操作受付後の特定時間は、同時に操作された操作部20に対応するトイレ装置の機能を実行させない。このように、リモコン1は、複数の操作部20が同時に操作された場合に各操作部20に対応するトイレ装置100の機能を特定時間実行させないことで、使用者に誤操作が生じていることを認識させる。これによって、リモコン1は、意図しないトイレ装置100の機能が実行されるのを防止することができる。
【0068】
リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合、操作を受付後の特定時間が経過した後に、トイレ装置100における特定の機能として、操作された各操作部20に対応するトイレ装置100の機能以外の機能を実行させる。このように、リモコン1は、特定の機能を実行させるにあたり、複数の操作部20のいずれか2つ以上をいわゆる長押し操作させる。このため、リモコン1は、各操作部20に対応するトイレ装置100の機能以外の機能が誤って実行されるのを回避することができる。
【0069】
リモコン1において、複数の操作部20は、トイレ装置100を着座状態で使用する使用者から見て前後方向に複数配置されている。リモコン1は、複数の操作部20のいずれか2つ以上が同時に操作された場合には、操作受付後に特定時間が経過した後、操作された複数の操作部20のうちの使用者から見て最も前方に配置された操作部20に対応するトイレ装置100の機能を実行させる。このため、リモコン1は、過度の誤操作防止によって使い勝手が悪化するのを回避することができる。
【0070】
リモコン1において、複数の操作部20は、リモコン1の正面視における左右方向であって、着座状態の使用者から見て前後方向に一列に並んで配置されている。このため、リモコン1は、各操作部20を使用者に対して異なる距離に配置する構成を容易に実現することができる。
【0071】
リモコン1において、複数の操作部20同士の間隔Sは、複数の操作部20の並び方向における操作部20の長さである左右方向の長さLよりも小さい。すなわち、リモコン1は、複数の操作部20を、各操作部20の左右幅よりも小さな間隔で配置している。このため、リモコン1は、各操作部20の操作性の向上と、リモコン1全体の大型化抑制の両立を実現することができる。
【0072】
リモコン1において、各操作部20における空間への飛び出し量の大きさ、すなわち奥行き長さDは、複数の操作部20同士の間隔Sよりも小さい。換言すると、リモコン1は、複数の操作部20を、各操作部20の奥行き長さDよりも大きな間隔で配置している。このように、リモコン1は、隣り合う操作部20同士の間隔を比較的大きく設定できるので、意図しない操作部20を操作してしまう誤操作を抑制できる。その結果、リモコン1は、優れた操作性を実現することができる。
【0073】
リモコン1は、操作部20を備えている。操作部20は空間に投影して表示される。操作部20は、トイレ装置100の機能を実行させるための操作を受け付ける。リモコン1は、操作部20の操作の受付状態に応じて、操作部20の表示を変化させる。
【0074】
リモコン1は、操作部20が操作を受付可能な状態では、操作部20として設定される空間に第1画像Im1を表示する。リモコン1は、操作部20が操作を受付不能な状態では、第1画像Im1とは異なる第2画像Im2を操作部20に表示する。このため、リモコン1は、操作部20における操作の可否を使用者に容易に認識させることができる。
【0075】
リモコン1は、操作部20における操作の受付後に、操作部20の表示を変化させる。具体的には、リモコン1は、操作部20における操作の受付後に、操作部20の表示を、第1画像Im1とは異なる第2画像Im2に、第1画像Im1から変化させる。このため、リモコン1は、操作が受け付けられたことを使用者に適切に認識させることができる。
【0076】
リモコン1は、操作部20における操作としてのおしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれかにおける操作の受付後に、停止用操作部21の表示を変化させる。具体的には、リモコン1は、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれかにおいて操作を受付後に、停止用操作部21の表示を、操作を受付不能であることを示す第2画像Im2から、操作を受付可能であることを示す第1画像Im1に変化させる。このため、リモコン1は、おしり洗浄用操作部22及びビデ洗浄用操作部23のいずれかの操作が受け付けられたこと、これによって停止用操作部21が操作できるようになったことを、使用者に容易に認識させることができる。
【0077】
リモコン1は、操作部20が操作を受付中の状態から非受付中の状態に変化した後、その後の操作部20の操作の受付状態に応じて、操作部20の表示を変化させる。具体的には、リモコン1は、操作部20における操作の有無を、センサ50による被検出体の検出の有無によって判断する。リモコン1は、センサ50が被検出体を検出している状態から検出していない状態に変化したことによって、使用者による操作部20の操作が終了した、と判断する。その後、リモコン1は、操作部20における表示を、操作を受付中であることの確認として示していた第2画像Im2から、再び操作を受付可能になったことを示す第1画像Im1に戻す。このため、リモコン1は、操作部20における操作の受付状態が再び受付可能な状態になったことを使用者に適切に認識させることができる。
【0078】
例えば、洗浄強さ調節用操作部24,25の場合には、センサ50によって被検出体が検出されている間は第2画像Im2が表示される。このため、リモコン1は、操作部24,25が操作を受付中の状態であるのか、非受付中の状態であるのかを使用者に容易に認識させることができる。その後、リモコン1は、センサ50によって被検出体が検出されている状態から被検出体が検出されなくなった状態に変化すると、操作部24,25における表示を第2画像Im2から第1画像Im1に戻す。このため、リモコン1は、操作部24,25における操作の受付状態が再び受付可能な状態になったことを使用者に適切に認識させることができる。
【0079】
リモコン1は、操作部20における操作の受付後に操作部20における表示を変化させてから、時間の経過に応じて、変化させる前の表示に操作部20の表示を変化させる。このように、リモコン1は、操作部20における操作の受付状態を示す表示を時間経過によって変化させる。このため、リモコン1は、操作部20における操作の受付可否について、使用者に適切に認識させることができる。
【0080】
例えば、便器洗浄用操作部27の場合には、操作を受付後、第1画像Im1から第2画像Im2に表示が切り換えられる。便器洗浄用操作部27における第2画像Im2の表示は、便器洗浄が完了するまでの時間として設定されている特定期間の間は、第2画像Im2が表示された状態が維持される。便器洗浄用操作部27は、特定期間が経過した後には、第2画像Im2の表示から第1画像Im1の表示に切り替えられる。このように、リモコン1は、操作部27における操作の受付状態が時間経過によって再び受付可能な状態になったことを使用者に適切に認識させることができる。
【0081】
リモコン1は、トイレ装置100の状態に応じて、操作部20における表示を変化させる。具体的には、リモコン1は、トイレ装置100からトイレ装置100の状態を示す信号を受信する。リモコン1は、受信したトイレ装置100の状態を示す信号に基づいて、トイレ装置100における各種機能が実行可能であるか否かを把握し、これに応じて各種機能に対応した操作部20の操作の受付状態を受付可能とするか不能とするか判断する。リモコン1は、この受付状態に応じて、操作部20の表示を変化させる。このため、リモコン1は、トイレ装置100の状態に応じた適切な操作部20の表示を実現することができる。
【0082】
リモコン1において、操作部20における表示の変化は、空間への飛び出し量の変化である。このため、リモコン1は、操作部20における操作の受付状態を使用者に容易に認識させることができる。
【0083】
リモコン1は、操作部20における表示の変化に伴い音を発生させる。このため、リモコン1は、操作部20における操作の受付状態の変化を使用者に聴覚的にも認識させることができる。
【0084】
リモコン1は、操作部20と、操作基部としてのシート体60における第1領域60Aと、を備えている。操作部20は、空間に投影して表示され、トイレ装置100の機能を実行させるための操作を受け付ける。第1領域60Aは、操作部20の表示を形成する光が出射される出射面側に設けられる。リモコン1は、第1領域60Aよりも下方に位置する下側の領域である第2領域60Bの色が第1領域60Aの色と異なっている。
【0085】
リモコン1は、シート体60における第1領域60Aと第2領域60Bの色を異ならせたことによって、第1領域60Aと第2領域60Bとの境界が操作部20を示す画像Im1,Im2を透過して使用者に視認される。このため、操作部20を示す画像Im1,Im2は、空間に浮き出た様が際立って見える。その結果、操作部20が空間に存在しているように分かりやすく視認される。したがって、リモコン1は、使用者に対して操作部20を容易に認識させることができる。
【0086】
リモコン1は、操作部20よりも下側の領域の色が操作基部としての第1領域60Aの色と異なっている。リモコン1において、操作部20における基端側の部分よりも下側の色は第1領域60Aの色と異なっている。このため、第1領域60Aの色と第2領域60Bの色のそれぞれが操作部20を示す画像Im1,Im2を透過して使用者に視認される。これによって、操作部20を示す画像Im1,Im2は、空間に浮き出た様が際立って見える。その結果、操作部20が空間に存在しているように分かりやすく視認される。したがって、リモコン1は、使用者に対して操作部20を容易に認識させることができる。
【0087】
リモコン1において、操作部20の表示は、立体画像である画像Im1,Im2である。このため、リモコン1は、操作部として平面的な画像を表示する場合と比較して、操作部の意匠性を向上させることができる。
【0088】
リモコン1において、操作部20の表示は、奥行きを示す線分を含んでいる。具体的には、操作部20の表示は、リモコン1における前後方向、左右方向、及び上下方向にそれぞれ延びる線分を有する直方体形状である。このため、リモコン1は、操作部20が操作基部である第1領域60Aから飛び出している様を使用者に分かりやすく認識させることができる。
【0089】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0090】
本開示に係る空間とは、トイレ用リモコンの外部であって他の物体が配置されていない空間を意図している。この空間に加えて、本開示に係る空間は、例えば、上記実施形態に例示した画像表示部における導光板等のトイレ用リモコンを構成する透明な物体が配置される空間、トイレ用リモコンの内部空間等の他の空間を含んでいてもよい。すなわち、本開示に係る操作部は、変化する表示のうちのいずれか1つの少なくとも一部が、トイレ用リモコンの外部であって他の物体が配置されていない空間に投影して表示される。例えば、操作部が上記実施形態に例示した第1画像と第2画像とを切り替えて表示される場合には、第1画像については、トイレ用リモコンを構成する物体の外部であって他の物体が配置されていない空間に、その少なくとも一部が配置される。
【0091】
複数の操作部の数は、上記実施形態に限定されない。複数の操作部の数は、2つ以上6つ以下であってもよいし、8つ以上あってもよい。
【0092】
操作部の表示が立体画像であることは必須ではない。操作部の表示は、例えば、平面画像であってもよい。
【0093】
操作部の表示が立体画像である場合、その形状は、直方体形状に限定されない。操作部の表示は、例えば、立方体形状、角錐台形状、角錐形状等の立体画像であってもよい。立体画像は、トイレ用リモコンにおける上下及び左右方向に交差する方向に延びる線分、すなわち、奥行きを示す線分を含んだ画像であることが好ましい。奥行きを示す線分を含んだ操作部の表示は、操作部が空間に飛び出している様を使用者に分かりやすく認識させることができる。
【0094】
操作部の表示が立体画像である場合、操作部の表示における奥行きを示す線分は、奥行き方向(前後方向)にまっすぐ延びている必要は無く、曲線状であってもよいし、上下方向、左右方向等に傾いて延びていてもよい。操作部の表示における奥行きを示す線分は、破線、点線等、断続的なものであってもよい。
【0095】
操作部の表示が立体画像である場合、各画像同士の間隔S、各画像の左右方向長さL、及び各画像の奥行き長さDの大きさがL>S>Dの関係となるように設定されることは必須ではない。操作部の表示が立体画像である場合において、画像における奥行き長さDは、例えば、間隔S及び左右方向の長さLの少なくとも一方よりも大きく設定されていることができる。この場合、操作性の観点において好ましい。
【0096】
複数の操作部が、トイレ装置を着座状態で使用する使用者から見て前後方向に沿って配置されることは必須ではない。複数の操作部は、例えば、トイレ装置を着座状態で使用する使用者から見て上下方向に沿って配置されていてもよい。この場合、トイレ装置は、上下方向に配置された複数の操作部のいずれか2つ以上が同時に操作された場合には、最も上方に配置された操作部に対応するトイレ装置の機能を実行させることができる。複数の操作部は、前後方向、及び上下方向の少なくとも一方の方向に沿って複数列に並んで配置されてもよい。
【0097】
複数の操作部の間隔の大きさは特に限定されない。複数の操作部の間隔と、並び方向における各操作部の長さ、奥行き長さ等の関係は上記実施形態に限定されない。
【0098】
操作部を空間に投影表示する構成は、上記実施形態の構成に限定されない。
【0099】
操作部の受付状態に応じて操作部の表示を変化させる場合、その変化は、上記実施形態に例示した空間への飛び出し量の変化に限定されない。操作部における表示の変化としては、例えば、形状の変化、色の変化等が挙げられる。操作部における表示の変化は、異なる形態の表示の変化の2つ以上の組み合わせ等であってもよい。操作部における表示の変化は、一部分のみの変化であってもよい。具体的には、操作部における表示の変化は、例えば、
図13に示すように、
図5に示す表示におけるピクトグラムPが消失した表示等に変化する形態であることができる。操作部における表示の変化は、単に表示と非表示との切り替えであってもよい。
【0100】
操作部として表示される画像は、導光板等の表示部を構成する部材の表面から前方に飛び出して表示されるものに限定されない。操作部として表示される画像は、例えば、表示部を構成する部材の表面よりも後方に表示されるもの、すなわち表示部の内部に表示されるものであってもよい。
【0101】
操作部の表示における飛び出し量とは、表示部における導光板の表面等、トイレ用リモコンを構成する部材の表面を基準とし、この基準から、飛び出し量の変化する方向に沿った方向において最も離れている表示部分までの距離である。
【0102】
操作部は、同一位置において複数の異なる機能の操作を受付可能であってもよい。この場合、トイレ用リモコンは、操作された際に実行する機能に応じて操作部の表示を変化させ得る。操作部に表示される画像は、例えば、複数の異なる機能のそれぞれに対応する複数の画像表示部によって表示され得る。すなわち、トイレ用リモコンは、実行する機能に応じた画像を表示する複数の画像表示部を有し得る。
【符号の説明】
【0103】
1…トイレ用リモコン、20…操作部(21…停止用操作部、22…洗浄用操作部、23…ビデ洗浄用操作部、24,25…洗浄強さ調節用操作部、26…擬音発生用操作部、27…便器洗浄用操作部)、100…トイレ装置、Im1,Im2…画像(立体画像)