(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030872
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】マーキング治具
(51)【国際特許分類】
B25H 7/04 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
B25H7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136253
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘瑛
(72)【発明者】
【氏名】栗尾 浩行
(57)【要約】
【課題】効率的かつ確実に樹脂管の表面をマーキングできる治具を、安価に提供することを目的とする。
【解決手段】管Pの外周面を着色する着色材と、前記着色材を保持する転写材と、を備え、前記転写材を前記管Pの外周面に配置することで、前記着色材を前記管Pの外周面に転写して前記管Pの外周面を着色する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の外周面を着色する着色材と、
前記着色材を保持する転写材と、
を備え、
前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記着色材を前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色する、
マーキング治具。
【請求項2】
前記転写材は、前記管のスクレープ量と同等の幅と、前記管の外周長と同等以上の長さと、を備えた帯状であり、
前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記転写材の前記帯状における前記管に接する側の面に配置された前記着色材を、前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色する、
請求項1に記載のマーキング治具。
【請求項3】
前記転写材は、前記管のスクレープ量と同等の高さと、前記管の外径と同等の内径と、を備えた円筒状であり、
前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記転写材の前記円筒状における内周面に配置された前記着色材を、前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色する、
請求項1に記載のマーキング治具。
【請求項4】
前記着色材がフィルムテープである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマーキング治具。
【請求項5】
前記着色材が液状インクである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマーキング治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング治具に関する。
【背景技術】
【0002】
電気融着継手に樹脂管を接続する時、樹脂管の表面における電気融着継手との融着面となる部位を切削する(スクレープ)。このとき、切削忘れや切削ムラによる融着不良を予防するために、樹脂管の表面に着色(マーキング)を行うことがある。
樹脂管の表面をマーキングする器具として、例えば、インクが塗布されたインク保持部材をマーキングローラによって管の樹脂管の表面に当接させ、樹脂管の表面に沿って周回させることでマーキングを行うマーキング装置が開示されている(特許分類1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すマーキング装置には、以下の課題がある。すなわち、例えば、マーキング装置の構造が複雑である。このため、作業準備に時間がかかる。かつ、装置が高価となることから多量に準備することが負担となるため、施工現場における複数の箇所で同時に施工することが難しい。これらのことから、作業時間の短縮が難しい。更に、構造が複雑である分故障する確率が高く、逐次メンテナンスを行うための工数が必要となる。
また、インク保持部にインクを補充して、前記インクを樹脂管に塗布する構造であるため、逐次インクの補充を確実に行わないとインクにかすれが発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、効率的かつ確実に樹脂管の表面をマーキングできる治具を、安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るマーキング治具は、管の外周面を着色する着色材と、前記着色材を保持する転写材と、を備え、前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記着色材を前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色する。
【0007】
この発明によれば、転写材を管の外周面に配置することで、着色材を管の外周面に転写して管の外周面を着色する。これにより、マーキング作業を単純にすることで、作業時間を短縮することができる。また、機構部品を一切備えないことで、簡素な構造かつ安価なマーキング治具とすることができる。このため、多量に準備して複数の箇所で同時に作業することができることから、効率的に作業を行うことができる。
【0008】
更に、簡素な構造とすることで、着色材を管の外周面に転写した後のマーキング治具は使い捨てが可能である。つまり、治具のメンテナンス及び着色材を充填する作業を必要としない。よって、作業時間を短縮することができる。また、使い捨てとすることで、1つのマーキング治具は1回のマーキングに十分な量の着色材を設けることができる。よって、着色材が足りずに十分なマーキングができないということを防ぐことができる。更に、使い捨てとすることで、作業現場においてマーキング治具の個数を管理することで、マーキング治具が余った場合はいずれかの箇所でマーキングを行っていないということを検知するための目安とすることができる。これらから、効率的かつ確実に樹脂管の表面をマーキングできる治具を、安価に提供することができる。
【0009】
また、前記転写材は、前記管のスクレープ量と同等の幅と、前記管の外周長と同等以上の長さと、を備えた帯状であり、前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記転写材の前記帯状における前記管に接する側の面に配置された前記着色材を、前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色してもよい。
【0010】
この発明によれば、転写材は、管のスクレープ量と同等の幅と、管の外周長と同等以上の長さと、を備えた帯状である。つまり、管の外周面に転写材を巻き付けることのみでマーキング作業を完了することができる。よって、作業時間をより短縮することができる。更に、管の外周における全面をマーキングすることができる。よって、マーキングの品質も向上することができる。
【0011】
また、前記転写材は、前記管のスクレープ量と同等の高さと、前記管の外径と同等の内径と、を備えた円筒状であり、前記転写材を前記管の外周面に配置することで、前記転写材の前記円筒状における内周面に配置された前記着色材を、前記管の外周面に転写して前記管の外周面を着色してもよい。
【0012】
この発明によれば、転写材は、管のスクレープ量と同等の高さと、管の外径と同等の内径と、を備えた円筒状である。つまり、円筒状の部材に管を挿入することで、マーキング作業を完了することができる。つまり、転写材の管に対する位置合わせは、前記円筒状に管を挿入することのみに完了する。よって、円筒状の転写材によって管の外周における全面をマーキングすることができることに加えて、容易にマーキング位置を合わせることができる。よって、よりマーキングを容易に行うことができる。
【0013】
また、前記着色材がフィルムテープであってもよい。
【0014】
この発明によれば、着色材がフィルムテープである。つまり、フィルムテープを管の外周面に配置することのみでマーキングが完了する。よって、液状インクが乾燥するまで待つといった時間を不要とすることができる。よって、より作業時間を短縮することができる。
【0015】
また、前記着色材が液状インクであってもよい。
【0016】
この発明によれば、着色材が液状インクである。つまり、液状インクが乾燥するまでの間に、管の表面に転写された液状インクをふき取るなどすれば、容易に着色領域の調整を行うことができる。よって、より作業品質を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、効率的かつ確実に樹脂管の表面をマーキングできる治具を、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るマーキング治具の第1例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すマーキング治具を樹脂管の表面に配置した状態を示す模式図である。
【
図3】
図2に示すIII-III方向の断面図である。
【
図4】本発明に係るマーキング治具の第2例を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係るマーキング治具の第3例を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示すマーキング治具を樹脂管の表面に配置した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の第実施形態に係るマーキング治具を説明する。本実施形態に係るマーキング治具は、樹脂管をはじめとする管Pの表面にマーキングをするために用いる。マーキングは、例えば、電気融着継手に挿入する管Pの表面をスクレープする際に、管Pにおけるスクレープを行う部位の表面を着色する作業である。これにより、スクレープ作業後に前記マーキングが完全に管Pから除去されていることを目視することで、スクレープ作業が正しく行われたかの確認を容易かつ確実にするものである。
【0020】
以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
【0021】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1マーキング治具100は、第1転写シート10と、剥離紙20と、を備える。第1転写シート10は、管Pの表面に配置することで、管Pの表面をマーキングする。第1転写シート10は、第1転写材11(転写材)と、第1着色材12(着色材)と、を備える。
【0022】
第1転写材11は、第1着色材12を保持する。第1転写材11は、例えば、シート状の部材である。また、第1転写材11は、例えば、管Pの軸方向におけるスクレープ量と同等の幅と、管Pの外周長と同等以上の長さと、を備えた帯状である。
【0023】
第1着色材12は、管Pの表面に付着することで、管Pの表面を着色する。第1着色材12の色は任意に選択可能である。また、第1着色材12は、例えば、油性の液状インクである。第1着色材12は、例えば、第1転写材11における帯状の一方の側の面において全面的に配置される。これにより、第1転写材11によって第1着色材12を保持する。
【0024】
剥離紙20は、第1転写材11に保持された第1着色材12を保護する。具体的には、
図1に示すように、第1着色材12における第1転写材11に面した側と反対側に配置される。これにより、マーキング作業を行う前に第1着色材12が他の部位に付着することや、第1着色材12の乾燥あるいは劣化することを防ぐ役割を備える。このため、剥離紙20の形状は、第1転写材11と同じか、第1転写材11の外縁から10mm程度はみ出た形状であることが好ましい。また、剥離紙20の第1着色材12に面する側の表面には、第1着色材12が付着しない加工がされていることが好ましい。
【0025】
上述の構成を備える第1マーキング治具100による管Pへのマーキング作業は、次のように行う。すなわち、第1転写材11を管Pの外周面に配置することで、第1着色材12を管Pの外周面に転写して管Pの外周面を着色する、具体的には、下記の通りである。
すなわち、まず、第1マーキング治具100から剥離紙20を取り外し、第1着色材12を露出させる。次に、
図2に示すように、帯状の第1転写材11を管Pの外周面に巻き付けるように配置する。この時、管Pにおけるスクレープ作業を行う部位に位置合わせを行ってから配置することが好ましい。例えば、管Pの端部をスクレープする場合には、
図3に示すように、第1転写材11の帯状における一方の長辺が、管Pの端縁に沿うように位置合わせして配置することが好ましい。
【0026】
このことで、第1転写材11の帯状における、管Pに接する側の面に配置された第1着色材12を、管Pの外周面に転写する。これにより、管Pの外周面をマーキングする。なお、
図2に示す矢印のように、管Pに巻き付けるように配置した第1転写材11を移動させて、第1転写材11を管Pに擦り付けるようにしてもよい。上述の工程により第1転写材11から管Pの外周面に対して第1着色材12を転写した後、第1転写材11を管Pから取り除く。これにより、マーキング作業を完了する。
また、予定していた着色部位以外の場所に第1着色材12が付着した場合は、これをふき取ることで着色範囲を調整してもよい。また、管Pの外周面に転写された第1着色材12の厚さは、10μm以下とすることが好ましい。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2マーキング治具200を、
図4を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0028】
図4に示すように、第2マーキング治具200は、第2転写シート210と、剥離紙20と、を備える。第2転写シート210は、管Pの表面に配置することで、管Pの表面をマーキングする。第2転写シート210は、第1転写材11と、第2着色材212(着色材)と、粘着剤213と、を備える。
【0029】
第1転写材11の用途及び構成は、第1マーキング治具100と同じである。
第2着色材212は、管Pの表面に付着することで、管Pの表面を着色する。第2着色材212の色は任意に選択可能である。また、第2着色材212は、例えば、有色のフィルムテープである。第2着色材212は、第1着色材12と比較して、例えば、自己粘着剤を有さず、粘着剤213を必要とする点で相違する。
第2着色材212は、例えば、第1転写材11における帯状の一方の側の面において全面的に配置される。これにより、第1転写材11によって第2着色材212を保持する。
粘着剤213は、第2着色材212を管Pに付着させるためのものである。粘着剤213には、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系およびウレタン系粘着剤が好適に用いられる。粘着剤213は、第1転写材11に配置された第2着色材212の全面に亘って設けられていてもよいし、間欠的に設けられていてもよい。
また、第2着色材212及び粘着剤213の、管Pの外周面に転写された際の厚さは、50μm以下であることが好ましい。
【0030】
剥離紙20について、形状及び用途は第1マーキング治具100と同じであるが、剥離紙20に接するのが粘着剤213である点で、第1マーキング治具100と異なる。このため、剥離紙20の、粘着剤213に面する側の表面には、粘着剤213が付着しない加工がされていることが好ましい。
【0031】
上述の構成を備える第2マーキング治具200による管Pへのマーキング作業は、次のように行う。すなわち、第1転写材11を管Pの外周面に配置することで、第2着色材212を管Pの外周面に転写して管Pの外周面を着色する、具体的には、下記の通りである。
すなわち、まず、第2マーキング治具200から剥離紙20を取り外し、第2着色材212及び粘着剤213を露出させる。次に、
図2に示すように、帯状の第1転写材11を管Pの外周面に巻き付けるように配置する。この時、管Pにおけるスクレープ作業を行う部位に位置合わせを行ってから配置することが好ましい。例えば、管Pの端部をスクレープする場合には、
図3に示すように、第1転写材11の帯状における一方の長辺が、管Pの端縁に沿うように位置合わせして配置することが好ましい。
このことで、粘着剤213によって第2着色材212を管Pの外周面に付着させて転写する。その後、第1転写材11を管Pから取り除く。これにより、マーキング作業を完了する。
【0032】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の第3マーキング治具300を、
図4を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、第3マーキング治具300は、第3転写材311と、第1小窓311w1と、第2小窓311w2と、第3着色材312と、を備える。
【0033】
第3転写材311は、第3着色材312を保持する。第3転写材311は、管Pのスクレープ量と同等の高さと、管Pの外径に対して0より大きく1mm以下程度大きい内径と、を備えた円筒状である。ここで、前記高さは、前記円筒状の軸方向の寸法を指す。また、前記円筒状の一方の端部は閉塞されている。つまり、第3転写材311は、管Pの端部を保護するキャップに似た形状を備える。第3転写材311は、例えば、管Pと同じ樹脂材で形成されることが好ましい。なお、第3転写材311における前記円筒状の前記高さは、前記円筒状の閉塞された一方の端部の寸法を含まないものとする。つまり、前記高さは、管Pの、第3転写材311への挿入可能量を指すものとする。
【0034】
第1小窓311w1は、
図5に示すように、第3転写材311の円筒状における、閉塞された一方の端部に設けられた穴である。第1小窓311w1が設けられることで、第3転写材311の外部から、第3転写材311の円筒状の内部を目視できるようにする役割を有する。第1小窓311w1は、後述するマーキング作業の時、管Pに対して十分に第3転写材311が挿入されているかを確認するために設けられる。
【0035】
第2小窓311w2は、
図5に示すように、第3転写材311の円筒状における軸方向の中間部に設けられた穴である。第2小窓311w2が設けられることで、第1小窓311w1と同様に、第3転写材311の外部から、第3転写材311の円筒状の内部を目視できるようにする役割を有する。第2小窓311w2は、後述するマーキング作業の時、管Pの外周面の状態を確認するために設けられる。
【0036】
第3着色材312は、管Pの表面に付着することで、管Pの表面を着色する。第3着色材312の色は任意に選択可能である。また、第3着色材312は、例えば、油性の液状インクである。第3着色材312は、第3転写材311の円筒状の内側面において全面的に配置される。これにより、第3転写材311によって第3着色材312を保持する。
【0037】
ここで、上述の第1転写材11と第3転写材311は、下記の点で相違する。すなわち、第1転写材11はシート状の部材であるのに対し、第3転写材311は円筒状の部材である。つまり、第1転写材11は、例えば運搬時等マーキング作業を行う前において、保持している第1着色材12が他の場所に接触しやすい。これに対して、第3転写材311は円筒状の内側面に第3着色材312を保持していることから、第1転写材11と比較して第3着色材312が他の部位に接触する可能性が低い。このため、第3転写材311においては、第1転写材11が備える剥離紙20を備えていなくてもよい。あるいは第3着色材312が乾燥することを防ぐことを目的として、第3転写材311の内周面に剥離紙20を設けてもよい。
【0038】
上述の構成を備える第3マーキング治具300による管Pへのマーキング作業は、次のように行う。すなわち、第3転写材311を管Pの外周面に配置することで、第3着色材312を管Pの外周面に転写して管Pの外周面を着色する、具体的には、下記の通りである。
すなわち、円筒状の第3転写材311を、管Pの端部に挿入するように配置する。この時、上述のように第3転写材311の円筒状の一方の端部は閉塞されている。このため、第3転写材311に挿入した管Pが一方の端部まで突き当たるまで挿入することで、位置合わせとする。このとき、管Pが第3転写材311の一方の端部まで挿入されていることを、第1小窓311w1によって確認する。また、管Pの外周面に転写された第3着色材312の厚さは、10μm以下とすることが好ましい。
【0039】
このことで、第3転写材311の円筒状の内周面に配置された第3着色材312を、管Pの外周面に転写する。これにより、管Pの外周面をマーキングする。なお、このとき、第3転写材311を軸方向に回転させて、第3転写材311を管Pに擦り付けるようにしてもよい。また、管Pの外周面のマーキングの状況を、第2小窓311w2から目視で確認してもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る第1マーキング治具100、第2マーキング治具200、第3マーキング治具300によれば、第1転写材11又は第3転写材311を管Pの外周面に配置することで、第1着色材12、第2着色材212又は第3着色材312を管Pの外周面に転写して管Pの外周面を着色する。これにより、マーキング作業を単純にすることで、作業時間を短縮することができる。また、機構部品を一切備えないことで、簡素な構造かつ安価なマーキング治具とすることができる。このため、多量に準備して複数の箇所で同時に作業することができることから、効率的に作業を行うことができる。
【0041】
更に、簡素な構造とすることで、第1着色材12、第2着色材212又は第3着色材312を管Pの外周面に転写した後の第1マーキング治具100、第2マーキング治具200、第3マーキング治具300は使い捨てが可能である。つまり、治具のメンテナンス及び第1着色材12、第2着色材212又は第3着色材312を充填する作業を必要としない。よって、作業時間を短縮することができる。また、使い捨てとすることで、1つの第1マーキング治具100、第2マーキング治具200、第3マーキング治具300は1回のマーキングに十分な量の第1着色材12、第2着色材212又は第3着色材312を設けることができる。よって、第1着色材12、第2着色材212又は第3着色材312が足りずに十分なマーキングができないということを防ぐことができる。更に、使い捨てとすることで、作業現場において第1マーキング治具100、第2マーキング治具200、第3マーキング治具300の個数を管理することで、第1マーキング治具100、第2マーキング治具200、第3マーキング治具300が余った場合はいずれかの箇所でマーキングを行っていないということを検知するための目安とすることができる。これらから、効率的かつ確実に樹脂管の表面をマーキングできる治具を、安価に提供することができる。
【0042】
また、第1転写材11は、管Pのスクレープ量と同等の幅と、管Pの外周長と同等以上の長さと、を備えた帯状である。つまり、管Pの外周面に第1転写材11を巻き付けることのみでマーキング作業を完了することができる。よって、作業時間をより短縮することができる。更に、管Pの外周における全面をマーキングすることができる。よって、マーキングの品質も向上することができる。
【0043】
また、第3転写材311は、管Pのスクレープ量と同等の高さと、管Pの外径と同等の内径と、を備えた円筒状である。つまり、円筒状の部材に管Pを挿入することで、マーキング作業を完了することができる。つまり、第3転写材311の管Pに対する位置合わせは、前記円筒状に管Pを挿入することのみに完了する。よって、円筒状の第3転写材311によって管Pの外周における全面をマーキングすることができることに加えて、容易にマーキング位置を合わせることができる。よって、よりマーキングを容易に行うことができる。
【0044】
また、第2着色材212がフィルムテープである。つまり、フィルムテープを管Pの外周面に配置することのみでマーキングが完了する。よって、液状インクが乾燥するまで待つといった時間を不要とすることができる。よって、より作業時間を短縮することができる。
【0045】
また、第1着色材12、第3着色材312が液状インクである。つまり、液状インクが乾燥するまでの間に、管P表面に転写された液状インクをふき取るなどすれば、容易に着色領域の調整を行うことができる。よって、より作業品質を向上することができる。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1着色材12及び第2着色材212は、第1転写材11に対して全面に設けられていなくてもよい。例えば、間欠的に設けられていてもよい。
また、第3着色材312は、第3転写材311に対して全面に設けられず、間欠的に設けられていてもよい。
また、第3マーキング治具300の第3転写材311には、第1小窓311w1のみが設けられていてもよい。
また、第1転写材11、第2転写材、第3転写材311の長さは、所定のスクレープ量よりも大きく設けられていてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 第1転写シート
11 第1転写材
12 第1着色材
20 剥離紙
100 第1マーキング治具
200 第2マーキング治具
210 第2転写シート
212 第2着色材
213 粘着剤
300 第3マーキング治具
311 第3転写材
311w1 第1小窓
311w2 第2小窓
312 第3着色材312
P 管