(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031011
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/22 20060101AFI20230301BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
E06B7/22 B
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136462
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FA04
2E014FB01
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA04
2E036EA03
2E036EB09
2E036FB01
2E036HA01
2E036HB05
(57)【要約】
【課題】上枠と障子の縦框との間の気密性能を向上できる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、上枠21を有する枠体2と、枠体2内に配置され横方向に移動可能な障子3と、上枠21に取り付けられ、障子3が閉位置に位置する場合に、障子3の縦框33の上端部が当接する位置に配置される漏気防止部材7と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠を有する枠体と、
前記枠体内に配置され横方向に移動可能な障子と、
前記上枠に取り付けられ、前記障子が閉位置に位置する場合に、前記障子の縦框の上端部が当接する位置に配置される漏気防止部材と、を備える建具。
【請求項2】
前記障子は、横方向の端部において上端部に設けられる振れ止め部材を有し、
前記漏気防止部材は、前記障子が閉位置に位置する場合に、前記振れ止め部材に当接する位置に配置される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記漏気防止部材は、前記障子の移動方向に間隔をあけて並んで配置される複数の軟質のヒレ部と、隣り合う前記ヒレ部の間に配置されるクッション部と、を有する請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記漏気防止部材は、弾性反発力を有した状態で弾性変形可能な枠状に形成され、前記障子の横方向の移動により前記障子の上端部に押される傾斜板部を有し、前記傾斜板部が障子に押されることで弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰されるように構成される、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内に配置される障子と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。障子は、框体と、框体内に配置される面材と、を備える。障子の左右方向の端部に配置される縦框において、障子の縦框の上端には、枠体の上枠の上レールの振れを抑制する振れ止め部材が取り付けられている。障子の縦框の上端部においては、上枠の上レールと、縦框の上端部に設けられる振れ止め部材とが当接することで、気密ラインを形成して、気密性能を確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上枠の上レールは、硬質の金属材料により形成されている。縦框の上端部に設けられる振れ止め部材は、硬質の樹脂材料により形成されている。上枠の上レールと縦框の上端部に設けられる振れ止め部材とにより気密性能を確保するように構成した場合には、上枠の上レール及び振れ止め部材の両方が硬質の材料で形成されるため、一方の部材が軟質の材料で形成される場合よりも、密着度が低くなりやすい。そのため、漏気の原因となりやすく、気密性能が低下する可能性がある。よって、上枠と障子の縦框との間の気密性能を向上させることが求められている。
【0005】
本開示は、上枠と障子の縦框との間の気密性能を向上できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上枠を有する枠体と、前記枠体内に配置され横方向に移動可能な障子と、前記上枠に取り付けられ、前記障子が閉位置に位置する場合に、前記障子の縦框の上端部が当接する位置に配置される漏気防止部材と、を備える建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の引き違い窓を室内側から見た正面図である。
【
図4】
図2において、漏気防止部材が取り付けられた部分の部分拡大図である。
【
図5】漏気防止部材が外障子の上方に配置された状態を示す斜視図である。
【
図6】漏気防止部材が外障子の戸先側の縦框の上端部に当接した状態を示す図である。
【
図7】漏気防止部材に向かって外障子が閉位置から開位置に移動される状態を示す図である。
【
図8】第2実施形態の漏気防止部材が外障子の戸先側の縦框の上端部に当接した状態を示す図である。
【
図9】第2実施形態の漏気防止部材に向かって外障子が閉位置から開位置に移動される状態を示す図である。
【
図10】第3実施形態の漏気防止部材が外障子の戸先側の縦框の上端部に当接した状態を示す図である。
【
図11】第3実施形態の漏気防止部材に向かって外障子が閉位置から開位置に移動される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態の建具を構成する引き違い窓1について説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0009】
引き違い窓1は、
図1~
図3に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される外障子3と、室内側X2に配置される内障子4との2枚の障子、及び外障子3の室外側X1に配置される1枚の網戸51をそれぞれ納めることによって構成される。外障子3及び内障子4は、枠体2内を見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能である。
【0010】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
図2に示すように、上枠21には、室外側レール211(下方突出レール)及び室内側レール212(下方突出レール)が設けられる。上枠21は、室外側レール211の室外側X1に、網戸レール213を有する。室外側レール211は、上枠21の室外側X1において上枠21から下方に突出して形成され、外障子3の上端部をガイドする。室内側レール212は、上枠21の室内側X2において上枠21から下方に突出して形成され、内障子4の上端部をガイドする。
【0011】
下枠22には、室外側レール221及び室内側レール222が設けられる。下枠22は、室外側レール221の室外側X1に、網戸レール223を有する。
【0012】
網戸51は、上枠21及び下枠22の網戸レール213,223に左右方向に移動可能に係合している。
【0013】
図1~
図3に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、3枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の室外側レール211,221に左右方向に移動可能に係合している。外障子3の下框32には、下枠22の室外側レール221上を転動する戸車36が設けられる。
【0014】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44を矩形に框組した框体40の内側に、3枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の室内側レール212,222に左右方向に移動可能に係合している。内障子4の下框42には、下枠22の室内側レール222上を転動する戸車46が設けられる。
【0015】
図2及び
図3に示すように、外障子3の上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び外召し合わせ框34は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0016】
外障子3の上框31及び内障子4の上框41は、
図2に示すように、上部に形成され上方に向けて開放する上部レールガイド313,413を有する。上部レールガイド313,413の室外側X1の上端には、室外側レール211及び室内側レール212に対してそれぞれ室外側X1から当接する上框パッキン部材314,414が設けられる。上框パッキン部材314,414は、軟質の樹脂材料により形成される。
【0017】
上框パッキン部材314,414は、上框31,41が延びる方向の全長に亘って設けられる。上框パッキン部材314,414によって、外障子3及び内障子4の上框31,41と室外側レール211及び室内側レール212との間の気密性が確保され、室外側X1からの風の流入が防止される。
【0018】
外障子3及び内障子4の戸先側に配置される縦框33,43は、それぞれ、
図3に示すように、左右方向においてそれぞれ戸先側の外側に向けて開放する開放溝333,433を有する。開放溝333,433の室外側端部には、縦枠23,24から左右方向の内側に突出する突出板部233,243に対してそれぞれ室外側X1から当接する縦框パッキン部材334,434が設けられる。縦框パッキン部材334,434は、軟質の樹脂材料により形成される。
【0019】
縦框パッキン部材334,434は、縦框33,43が延びる方向の全長に亘って設けられる。縦框パッキン部材334,434によって、外障子3及び内障子4の縦框33,43と縦枠の突出板部233,243との間の気密性が確保され、室外側X1からの風の流入が防止される。
【0020】
外障子3は、前述した構成に加えて、
図1に示すように、2つの上部振れ止め部材52(振れ止め部材)と、2つの下部振れ止め部材53と、中間振れ止め部材6と、を有する。内障子4は、前述した構成に加えて、2つの上部振れ止め部材52と、2つの下部振れ止め部材53と、中間振れ止め部材6と、を有する。
【0021】
上部振れ止め部材52は、それぞれ、外障子3の戸先側の縦框33の上端部、外障子3の外召し合わせ框34の上端部、内障子4の戸先側の縦框43の上端部及び内召し合わせ框44の上端部に設けられる。
【0022】
上部振れ止め部材52は、
図2に示すように、上方に向けて開放するU字状に形成される。上部振れ止め部材52における上方が開放された部分には、室外側レール211及び室内側レール212が配置される。これにより、上部振れ止め部材52は、外障子3及び内障子4の上部の左右方向の両端部において、外障子3及び内障子4が枠体2内を見付方向にスライド移動する際に、外障子3及び内障子4の室内外方向への振れを規制する。
【0023】
また、室外側レール211及び室内側レール212が上部振れ止め部材52における上方が開放された部分に配置される場合には、硬質の金属材料で形成される室外側レール211及び室内側レール212が、硬質の樹脂材料で形成される上部振れ止め部材52の室外側X1の上端部の内側の部分に当接する。これにより、室外側レール211及び室内側レール212と上部振れ止め部材52とが当接することで、気密ラインが形成されている。
【0024】
下部振れ止め部材53は、
図1に示すように、それぞれ、外障子3の縦框33の下端部、外障子3の外召し合わせ框34の下端部、内障子4の縦框43の下端部及び内召し合わせ框44の下端部に設けられる。
【0025】
下部振れ止め部材53は、図示を省略するが、下方に向けて開放して形成される。下部振れ止め部材53は、下方が開放された部分に、室外側レール221及び室内側レール222(
図2参照)が配置される。これにより、下部振れ止め部材53は、外障子3及び内障子4の下部の左右方向の両端部において、外障子3及び内障子4が枠体2内を見付方向にスライド移動する際に、外障子3及び内障子4の室内外方向への振れを規制する。
【0026】
中間振れ止め部材6は、
図1に示すように、それぞれ、外障子3及び内障子4の戸先側の縦框33,43の上下方向の途中の中間位置に配置される。中間振れ止め部材6は、
図1に示す外障子3及び内障子4の戸先側の縦框33,43の上下方向の途中の中間位置において、
図3に示すように、縦框33,43の開放溝333,433に取り付けられる。中間振れ止め部材6は、例えば、弾性変形可能な半硬質樹脂材料により形成される。
【0027】
外障子3及び内障子4の戸先側の縦框33,43に取り付けられた中間振れ止め部材6は、外障子3及び内障子4が枠体2に取り付けられた状態で、縦框33,43が左右方向の外側の枠体2の縦枠23,24に押し付けられることで、弾性変形されて、外障子3及び内障子4の振れを防止する。
【0028】
枠体2の構成についてさらに詳述する。
図2に示すように、上枠21は、枠体本体である金属枠体214の内側表面に、樹脂カバー材215,216を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。下枠22は、枠体本体である金属枠体224の内側表面に、樹脂カバー材226,227を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0029】
図3に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦枠23は、枠体本体である金属枠体231の内側表面に、樹脂カバー材232を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。内障子4の戸先側に配置される縦枠24は、枠体本体である金属枠体241の内側表面に、樹脂カバー材242を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0030】
上枠21の下面には、
図1~
図4に示すように、外障子3が閉位置に位置する場合において、外障子3の戸先側に配置される縦框33の上方の上枠21の下面に、漏気防止部材7が取り付けられる。漏気防止部材7は、ブロック状に形成される。
【0031】
漏気防止部材7は、
図4に示すように、室外側レール211と網戸レール213との間において、上枠21の下面に設けられる。漏気防止部材7は、
図5及び
図6に示すように、外障子3が閉位置に位置する場合に、外障子3の戸先側の縦框33の上方において、外障子3の上端部に当接する位置に配置される。
【0032】
漏気防止部材7は、
図5及び
図6に示すように、上方側から見た平面視で、左右方向において、縦框パッキン部材334と、上部振れ止め部材52と、上框パッキン部材314とに跨る範囲に配置される。
【0033】
漏気防止部材7は、
図4~
図6に示すように、外障子3が閉位置に位置する場合に、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端部に当接するような位置に配置される。
【0034】
漏気防止部材7は、取付部71と、複数のヒレ部72と、複数のスポンジ部73(クッション部)と、を有する。取付部71は、
図4に示すように、上方に突出する突出係合部711を有する。突出係合部711の係合突起711aは、上枠21の下面に設けられるタッピングホール217に係合して固定される。
【0035】
複数のヒレ部72は、
図5及び
図6に示すように、取付部71の下面から下方に延びる板状に形成される。複数のヒレ部72は、それぞれ、表面が左右方向(見付方向)を向く薄板状の部材で形成され、左右方向(外障子3の移動方向)に間隔をあけて並んで配置される。複数のヒレ部72は、それぞれ、弾性を有する板状材により形成される。ヒレ部72は、例えば、軟質の樹脂材料により形成される。
【0036】
複数のヒレ部72の下端は、外障子3が開位置から閉位置に移動する際に、外障子3の上端部に当接しながら弾性変形し、上枠21と外障子3との間に隙間が生じないように配置される。複数のヒレ部72の下端は、外障子3が閉位置に位置する場合に、外障子3の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端に当接する。これにより、ヒレ部72は、上枠21と外障子3の戸先側の縦框33の上端部との間を閉止して気密性能を向上できる。
【0037】
複数のスポンジ部73は、それぞれ、隣り合うヒレ部72の間に配置される。複数のスポンジ部73は、それぞれ、直方体形状に形成される。複数のスポンジ部73は、それぞれ、取付部71の下面に固定される。スポンジ部73は、ヒレ部72の先端が戸先側の縦框33の上端部に配置される上部振れ止め部材52の上端に当接して外障子3の移動方向に撓んで倒れる場合に、ヒレ部72が倒れないように支持する。スポンジ部73は、クッション性を有するクッション部として機能し、発泡した樹脂材料により形成される。
【0038】
複数のスポンジ部73の下端は、複数のヒレ部72の下端よりも僅かに上方に位置する。スポンジ部73の下端は、ヒレ部72が外障子3の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端に当接した場合に、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端に当接又は近接した位置に配置される。スポンジ部73は、下端が、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端に当接した場合において、ヒレ部72と共に、上枠21と外障子3の戸先側の縦框33の上端部との間を閉止して気密性能を向上できる。
【0039】
以上の漏気防止部材7は、外障子3が開位置(
図7参照)から閉位置(
図6参照)に移動する場合に、室外側レール211と網戸レール213との間において、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端に当接する。これにより、室外側レール211と上部振れ止め部材52とが当接する位置よりも室外側X1において、漏気防止部材7が外障子3の戸先側の縦框33の上端部に当接するため、上枠21と外障子3の縦框33との間の気密性能を一層向上できる。
【0040】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の引き違い窓1は、上枠21を有する枠体2と、枠体2内に配置され左右方向に移動可能な外障子3と、上枠21に取り付けられ、外障子3が閉位置に位置する場合に、外障子3の戸先側の縦框33の上端部が当接する位置に配置される漏気防止部材7と、を備える。これにより、外障子3が閉位置に位置する場合に、漏気防止部材7が外障子3の戸先側の縦框33の上端部に当接するため、上枠21と外障子3の縦框33との間の気密性能を向上できる。
【0041】
また、本実施形態においては、漏気防止部材7は、外障子3が閉位置に位置する場合に、戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52に当接する位置に配置される。これにより、外障子3が閉位置に位置する場合に、漏気防止部材7が上部振れ止め部材52に当接する位置において、上枠21と外障子3の縦框33との間の気密性能を向上できる。
【0042】
また、本実施形態においては、漏気防止部材7は、外障子3の移動方向に間隔をあけて並んで配置される複数の軟質のヒレ部72と、隣り合うヒレ部72の間に配置されるスポンジ部73と、を有する。これにより、軟質のヒレ部72の下端が外障子3の上端部に当接しながら弾性変形すると共に、軟質のスポンジ部73の下端が外障子3の上端部に当接又は近接した位置に配置されることで、軟質のヒレ部72及び軟質のスポンジ部73の2種類の部材を有することで、外障子3の移動に追従して気密性能を確保できる。更に、スポンジ部73が隣り合うヒレ部72の間に配置されるため、スポンジ部73は、ヒレ部72が倒れないようにヒレ部72を安定して支持できる。
【0043】
次に、第2実施形態及び第3実施形態について説明する。第2実施形態及び第3実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第2実施形態及び第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0044】
第2実施形態について説明する。
図8及び
図9に示すように、第2実施形態は、第1実施形態の漏気防止部材7に代えて、漏気防止部材8を備える。第2実施形態の漏気防止部材8は、第1実施形態と同様に、
図8に示すように、上枠21に取り付けられる。
【0045】
漏気防止部材8は、弾性反発力を有した状態で弾性変形可能な枠状に形成される。例えば、漏気防止部材8は、弾性反発力を有した状態で弾性変形可能な硬質の樹脂材料により枠状に形成される。漏気防止部材8は、
図8に示すように、外障子3が閉位置に位置する場合に、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端部に当接する位置に配置される。
【0046】
図8に示すように、漏気防止部材8は、取付板部81と、取付板部81の下方に固定される支持板部82と、弾性変形枠状部83と、を有する。
【0047】
取付板部81は、室内外方向に幅を有して、左右方向に延びる板状に形成される。取付板部81は、上枠21の下面に取り付けられる。支持板部82は、取付板部81の下方に沿って固定して配置される。
【0048】
弾性変形枠状部83は、支持板部82の下方において、支持板部82に接続される。弾性変形枠状部83は、外障子3が左右方向に移動することに伴って外障子3が当接して押し潰されて弾性変形可能である。
【0049】
弾性変形枠状部83は、上方が開放して形成され、上方側の支持板部82を含めた形状が、台形状の枠状に形成される。弾性変形枠状部83は、基端側傾斜板部831と、底部側板部832と、開放端側傾斜板部833(傾斜板部)と、を有する。
【0050】
基端側傾斜板部831は、弾性変形枠状部83の左右方向の一方側(
図8における左側)に配置され、支持板部82から斜め下方に延びる。基端側傾斜板部831は、上方から下方に向かうに従って、枠体2の左右方向の一方側(
図8における左側)から他方側(
図8における右側)に向かうように傾斜して斜め下方に所定長さ延びる。
【0051】
底部側板部832は、弾性変形枠状部83の底部において、左右方向に延びる板状に形成される。底部側板部832は、基端側傾斜板部831の下端から左右方向の他方側に所定長さ延びる。
【0052】
開放端側傾斜板部833は、底部側板部832の左右方向の他方側の端部から斜め上方に延びる。開放端側傾斜板部833は、下方から上方に向かうに従って、枠体2の左右方向の一方側(
図8における左側)から他方側(
図8における右側)に向かうように傾斜して所定長さ延びる。開放端側傾斜板部833は、外障子3が開位置から閉位置に移動する移動方向において、下り傾斜の板状に形成される。
【0053】
開放端側傾斜板部833の先端は、いずれの部材にも接続されておらず、開放端を構成する。開放端側傾斜板部833は、外障子3の左右方向の移動により外障子3の上端部に押される。本実施形態においては、開放端側傾斜板部833は、外障子3か開位置から閉位置へ移動する場合に、外障子3の上端部より上方側に押される。これにより、弾性変形枠状部83は、外障子3か開位置から閉位置へ移動する場合に、開放端側傾斜板部833が外障子3に押されることで、弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰される。
【0054】
以上の漏気防止部材8において、外障子3が開位置(
図9参照)から閉位置(
図8参照)に移動する場合に、弾性変形枠状部83は、開放端側傾斜板部833が外障子3に押されることで、弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰される。外障子3が更に閉位置側に移動されることで、弾性変形枠状部83が押し潰された状態で、外障子3は、弾性変形枠状部83の開放端側傾斜板部833から底部側板部832の下面側に移動される。
【0055】
このようにして、
図8に示すように、漏気防止部材8の弾性変形枠状部83の底部側板部832の下面には、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端が当接する。これにより、弾性変形枠状部83が弾性反発力を有した状態で、漏気防止部材8の弾性変形枠状部83と硬質の上部振れ止め部材52とが当接するため、気密性能を向上できる。
【0056】
第2実施形態の漏気防止部材8は、弾性変形枠状部83の開放端側傾斜板部833が外障子3に押されることで弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰される。そして、漏気防止部材8の弾性変形枠状部83が弾性反発力を有した状態で、上部振れ止め部材52は、外障子3の縦框33の上端部に当接する。よって、上枠21と外障子3の縦框33との間の気密性能を一層向上できる。
【0057】
第3実施形態について説明する。
図10及び
図11に示すように、第3実施形態の漏気防止部材9の弾性変形枠状部93の基端側傾斜板部931は、第2実施形態の漏気防止部材8の弾性変形枠状部83の基端側傾斜板部831と形状が異なる。第3実施形態の説明において、第2実施形態と同様の構成については、対応する符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
図10に示すように、第3実施形態の漏気防止部材9は、取付板部91と、取付板部91の下方に配置される支持板部92と、弾性変形枠状部93と、を有する。
【0059】
弾性変形枠状部93は、上方が開放して形成され、上方側の支持板部92を含めた形状が、平行四辺形状の枠状に形成される。弾性変形枠状部93は、基端側傾斜板部931と、底部側板部932と、開放端側傾斜板部933(傾斜板部)と、を有する。
【0060】
基端側傾斜板部931は、支持板部92から、第2実施形態の基端側傾斜板部831とは反対の傾斜方向の斜め下方に延びる。基端側傾斜板部931は、上方から下方に向かうに従って、左右方向の他方側から一方側に向かうように傾斜して斜め下方に所定長さ延びる。底部側板部932及び開放端側傾斜板部933は、第2実施形態の底部側板部832及び開放端側傾斜板部833と同様の構成である。
【0061】
以上の漏気防止部材9において、外障子3が開位置(
図11参照)から閉位置(
図10参照)に移動する場合に、弾性変形枠状部93は、開放端側傾斜板部933が外障子3に押されることで、弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰される。外障子3が更に閉位置側に移動されることで、弾性変形枠状部93が押し潰された状態で、外障子3は、弾性変形枠状部93の開放端側傾斜板部933から底部側板部932の下面側に移動される。
【0062】
このようにして、
図10に示すように、漏気防止部材9の弾性変形枠状部93の底部側板部932の下面には、外障子3の戸先側の縦框33の上端部に設けられる上部振れ止め部材52の上端が当接する。これにより、弾性変形枠状部93が弾性反発力を有した状態で、漏気防止部材9の弾性変形枠状部93と硬質の上部振れ止め部材52とが当接するため、気密性能を向上できる。
【0063】
第3実施形態の漏気防止部材9は、第2実施形態の漏気防止部材8と同様に、弾性変形枠状部93の開放端側傾斜板部933が外障子3に押されることで弾性反発力を有した状態で上方側に押し潰される。そして、漏気防止部材9の弾性変形枠状部93が弾性反発力を有した状態で、上部振れ止め部材52は、外障子3の縦框33の上端部に当接する。よって、上枠21と外障子3の縦框33との間の気密性能を一層向上できる。
【0064】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0065】
例えば、前記第1実施形態では、漏気防止部材7のヒレ部72を6枚設けたが、ヒレ部72の数はこれに限定されない。ヒレ部72を、2~5枚、7枚以上設けてもよい。スポンジ部(クッション部)の数も限定されない。
【0066】
また、前記第1実施形態においては、漏気防止部材7を、ヒレ部72とスポンジ部73(クッション部)とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、漏気防止部材7を、スポンジ部73(クッション部)のみで構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 引き違い窓(建具)、2 枠体、3 外障子(障子)、7 漏気防止部材、21 上枠、33 縦框、52 上部振れ止め部材(振れ止め部材)、72 ヒレ部、73 スポンジ部(クッション部)、833,933 開放端側傾斜板部(傾斜板部)