(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031012
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/23 20060101AFI20230301BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20230301BHJP
E06B 3/54 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
E06B7/23 A
E06B3/46
E06B3/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136463
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E016
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014FA04
2E014FB01
2E016AA03
2E016CA01
2E016CB01
2E016DB04
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036DA04
2E036EB02
2E036HA01
2E036HB05
(57)【要約】
【課題】障子の耐風圧強度を向上できる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、枠体2と、枠体2内に配置され横方向に移動可能な障子3と、を備え、障子3は、框33を有する框体30と、框体30内に配置される面材35と、面材35の端面351と框33の面材保持溝331bとの間に配置される隙間塞ぎ部材7と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体内に配置され横方向に移動可能な障子と、を備え、
前記障子は、框を有する框体と、前記框体内に配置される面材と、前記面材の端面と前記框の面材保持溝との間に配置される隙間塞ぎ部材と、を有する建具。
【請求項2】
前記隙間塞ぎ部材は、前記框の長手方向に所定長さを有するブロック状に形成される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記隙間塞ぎ部材は、前記框の長手方向の全域に亘って延びる長尺状に形成される、請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記框は、縦框であり、
前記障子は、前記縦框の上下方向の途中の中間位置の前記縦框の外側に取り付けられ、前記枠体の縦枠に押し付けられることで前記障子の振れを抑制する中間振れ止め部材を有し、
前記隙間塞ぎ部材は、前記框の長手方向において、前記中間振れ止め部材が配置される位置に対応する位置に配置される請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内に配置される障子と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。障子は、框を有する框体と、框体の内部に配置される面材と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
障子が閉められた状態で、障子の框と枠とで風圧を受ける場合に、框がねじれて風圧を受けきれないことがあった。この場合、障子が枠体から外れてしまうことや、面材が障子から外れてしまうことがあった。そのため、従来、框を太くしたり、框を補強することで、耐風圧強度を向上させていた。しかし、框を太くしたり、框を補強する場合には、製造コストが増加する。そのため、簡易な構成で、風圧に対する框のねじれを防止して、障子の耐風圧強度を向上できることが求められている。
【0005】
本開示は、簡易な構成で、障子の耐風圧強度を向上できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、枠体と、前記枠体内に配置され横方向に移動可能な障子と、を備え、前記障子は、框を有する框体と、前記框体内に配置される面材と、前記面材の端面と前記框の面材保持溝との間に配置される隙間塞ぎ部材と、を有する建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の引き違い窓を室内側から見た正面図である。
【
図4】外障子及び内障子の上部振れ止め部材を示す斜視図である。
【
図5】外障子及び内障子の下部振れ止め部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。一実施形態の建具を構成する引き違い窓1について説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0009】
引き違い窓1は、
図1~
図3に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される外障子3と、室内側X2に配置される内障子4との2枚の障子、及び外障子3の室外側X1に配置される1枚の網戸51をそれぞれ納めることによって構成される。外障子3及び内障子4は、枠体2内を見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能である。
【0010】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
図2に示すように、上枠21には、室外側レール211(下方突出レール)及び室内側レール212(下方突出レール)が設けられる。上枠21は、室外側レール211の室外側X1に、網戸レール213を有する。室外側レール211は、上枠21の室外側X1において上枠21から下方に突出して形成され、外障子3の上端部をガイドする。室内側レール212は、上枠21の室内側X2において上枠21から下方に突出して形成され、内障子4の上端部をガイドする。
【0011】
下枠22には、室外側レール221及び室内側レール222が設けられる。下枠22は、室外側レール221の室外側X1に、網戸レール223を有する。
【0012】
網戸51は、上枠21及び下枠22の網戸レール213,223に左右方向に移動可能に係合している。
【0013】
枠体2の構成についてさらに詳述する。
図2に示すように、上枠21は、枠体本体である金属枠体214の内側表面に、樹脂カバー材215,216を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。
【0014】
樹脂カバー材215は、上枠21における室外側レール211と室内側レール212との間に配置される。樹脂カバー材216は、上枠21における室内側レール212の室内側X2の部分を含んで構成され、室内側レール212の室内側X2の面から金属枠体214の内側表面にかけて設けられている。樹脂カバー材216は、金属枠体214の室内側端部214aよりも室内側X2に突出するアングル部2161を有する。樹脂カバー材215,216は、上枠21の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0015】
図2に示すように、下枠22は、枠体本体である金属枠体224の内側表面に、樹脂カバー材226,227を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体224は、室外側レール221と室内側レール222との間で、室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242とに分割されている。室外側金属枠体2241と室内側金属枠体2242は、樹脂連結材2243によって連結されている。
【0016】
樹脂カバー材226は、下枠22における室外側レール221と室内側レール222との間に配置される。詳しくは、樹脂カバー材226は、樹脂連結材2243よりも室外側X1の室外側金属枠体2241の内側表面に配置される。樹脂カバー材227は、下枠22における室内側レール222よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材226,227は、下枠22の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0017】
図3に示すように、外障子3の戸先側に配置される縦枠23は、枠体本体である金属枠体231の内側表面に、樹脂カバー材232を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材232は、縦枠23の内側表面において、閉状態の外障子3よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材232は、金属枠体231の室内側端部231aよりも室内側X2に突出するアングル部2321を有する。樹脂カバー材232は、縦枠23の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0018】
図3に示すように、内障子4の戸先側に配置される縦枠24は、枠体本体である金属枠体241の内側表面に、樹脂カバー材242を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。樹脂カバー材242は、縦枠24の内側表面において、閉状態の内障子4よりも室内側X2に配置される。樹脂カバー材242は、金属枠体241の室内側端部241aよりも室内側X2に突出するアングル部2421を有する。樹脂カバー材242は、縦枠24の延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0019】
図1~
図3に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33(框)及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、3枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の室外側レール211,221に左右方向に移動可能に係合している。外障子3の下框32には、下枠22の室外側レール221上を転動する戸車36が設けられる。
【0020】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44を矩形に框組した框体40の内側に、3枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の室内側レール212,222に左右方向に移動可能に係合している。内障子4の下框42には、下枠22の室内側レール222上を転動する戸車46が設けられる。
【0021】
図2及び
図3に示すように、外障子3の上框31、下框32、縦框33及び外召し合わせ框34は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0022】
外障子3は、前述した構成に加えて、
図1に示すように、2つの上部振れ止め部材52と、2つの下部振れ止め部材53と、中間振れ止め部材6と、隙間塞ぎ部材7と、を有する。内障子4は、前述した構成に加えて、2つの上部振れ止め部材52と、2つの下部振れ止め部材53と、中間振れ止め部材6と、を有する。
【0023】
上部振れ止め部材52は、
図4に示すように、それぞれ、外障子3の戸先側の縦框33の上部、外障子3の外召し合わせ框34の上部、内障子4の戸先側の縦框43の上部及び内召し合わせ框44の上部に配置される。
【0024】
上部振れ止め部材52は、
図2に示すように、上方に向けて開放して形成される。上部振れ止め部材52は、上方が開放された部分に、室外側レール211及び室内側レール212が配置される。これにより、上部振れ止め部材52は、外障子3及び内障子4の上部の左右方向の両端部において、外障子3及び内障子4が枠体2内を見付方向にスライド移動する際に、外障子3及び内障子4の室内外方向への振れを規制する。
【0025】
下部振れ止め部材53は、
図5に示すように、それぞれ、外障子3の縦框33の下部、外障子3の外召し合わせ框34の下部、内障子4の縦框43の下部及び内召し合わせ框44の下部に配置される。
【0026】
下部振れ止め部材53は、
図5に示すように、下方に向けて開放して形成される。下部振れ止め部材53は、下方が開放された部分に、室外側レール221及び室内側レール222(
図2参照)が配置される。これにより、下部振れ止め部材53は、外障子3及び内障子4の下部の左右方向の両端部において、外障子3及び内障子4が枠体2内を見付方向にスライド移動する際に、外障子3及び内障子4の室内外方向への振れを規制する。
【0027】
中間振れ止め部材6は、
図1に示すように、それぞれ、外障子3の戸先側の縦框33の上下方向の途中の中間位置の中間部及び内障子4の戸先側の縦框43の上下方向の途中の中間位置の中間部に配置される。
【0028】
中間振れ止め部材6は、
図3に示すように、外障子3において、戸先側の縦框33の左右方向の外側に配置され左右方向の外側に向けて開放する中間振れ止め部材取付溝331aに取り付けられる。また、中間振れ止め部材6は、内障子4において、戸先側の縦框43の左右方向の外側に配置され左右方向の外側に向けて開放する中間振れ止め部材取付溝431aに取り付けられる。
【0029】
中間振れ止め部材6は、
図3に示すように、直方体状の土台部61と、土台部61の左右方向の外側の面から左右方向の外側に突出する膨出部62と、を有する。中間振れ止め部材6は、例えば、弾性変形可能な半硬質樹脂材料により形成される。
【0030】
外障子3の戸先側の縦框33に取り付けられた中間振れ止め部材6は、外障子3が枠体2に取りつけられた状態で、縦框33が左右方向の外側の枠体2の縦枠23に押し付けられることで、弾性変形されて、外障子3の振れを防止する。内障子4の戸先側の縦框43に取り付けられた中間振れ止め部材6は、内障子4が枠体2に取りつけられた状態で、縦框43が左右方向の外側の枠体2の縦枠24に押し付けられることで、弾性変形されて、内障子4の振れを防止する。
【0031】
隙間塞ぎ部材7は、
図1に示すように、外障子3の戸先側の縦框33の長手方向において、外障子3の中間振れ止め部材6が配置される位置に対応する位置に配置される。隙間塞ぎ部材7は、例えば、半硬質の樹脂材料により形成される。
【0032】
隙間塞ぎ部材7は、
図3に示すように、外障子3の左右方向に厚みを有すると共に、室内外方向の長さが面材35の室内外方向の厚さと同程度の長さに形成され、縦框33の長手方向に所定長さを有するブロック状に形成される。ブロック状に形成される隙間塞ぎ部材7の縦框33の長手方向の長さは、例えば、縦框33の長手方向の長さの3分の1以下の長さで形成される。
【0033】
隙間塞ぎ部材7は、外障子3の面材35の左右方向の端部の端面351と、外障子3の戸先側の縦框33の面材保持溝331bと、の間に配置される。
【0034】
より詳細には、外障子3の戸先側の縦框33の面材保持溝331bは、外障子3の戸先側の縦框33の左右方向の内側に向けて開放するU字状に形成される。面材保持溝331bは、面材対向面331cを有する。面材対向面331cは、面材35の左右方向の端部の端面351に対向すると共に、左右方向の内側を向いて形成される。隙間塞ぎ部材7は、外障子3の面材35の左右方向の端部に形成される左右方向の外側を向く端面351と、外障子3の戸先側の縦框33の面材保持溝331bの面材対向面331cと、の間に配置される。
【0035】
以上の隙間塞ぎ部材7を、面材35の左右方向の端部と外障子3の戸先側の縦框33の面材保持溝331bとの間に配置することで、縦框33と面材35との間のガタつきを抑制できる。これにより、風が当たった場合の風圧に対する縦框33のねじれを防止して、外障子3の耐風圧強度を向上できる。
【0036】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の引き違い窓1は、枠体2と、枠体2内に配置され左右方向に移動可能な外障子3と、を備え、外障子3は、縦框33を有する框体30と、框体30内に配置される面材35と、面材35の端面351と框33の面材保持溝331bとの間に配置される隙間塞ぎ部材7と、を有する。これにより、隙間塞ぎ部材7により風圧に対する縦框33のねじれを防止できるため、簡易な構成で、外障子3の耐風圧強度を向上できる。
【0037】
本実施形態においては、隙間塞ぎ部材7は、縦框33の長手方向に所定長さを有するブロック状に形成される。これにより、隙間塞ぎ部材7の取り扱いが容易である。
【0038】
本実施形態においては、隙間塞ぎ部材7は、縦框33の長手方向において、中間振れ止め部材6が配置される位置に対応する位置に配置される。これにより、外障子3の縦框33の長手方向の同じ位置において、中間振れ止め部材6により外障子3の振れを抑制すると共に、隙間塞ぎ部材7により風圧に対する縦框33のねじれを防止できる。よって、外障子3の耐風圧強度を一層向上できる。
【0039】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0040】
前記実施形態では、隙間塞ぎ部材7を、縦框33の長手方向に所定長さを有するブロック状に形成したが、これに限定されない。隙間塞ぎ部材を、縦框33の長手方向の全域に亘って延びる長尺状に形成してもよい。
【0041】
前記実施形態では、隙間塞ぎ部材7を、縦框33の長手方向に1つ設けたが、これに限定されない。隙間塞ぎ部材7を、縦框33の長手方向に複数設けてもよい。
【0042】
前記実施形態では、隙間塞ぎ部材7を、外障子3の縦框33に設けたが、これに限定されない。隙間塞ぎ部材を、外障子3の上框31、下框32、縦框34、内障子4の上框41、下框42、縦框34,44に設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 引き違い窓(建具)、2 枠体、3 外障子(障子)、6 中間振れ止め部材、7 隙間塞ぎ部材、30 框体、33 縦框(框)、35 面材、33 面材保持溝331b、351 面材の端面