(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031409
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】バスバーユニット、及び配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20230302BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20230302BHJP
H01M 50/524 20210101ALI20230302BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20230302BHJP
H01M 50/517 20210101ALI20230302BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/519
H01M50/524
H01M50/507
H01M50/517
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136868
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠人
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA02
5H043CA04
5H043FA04
5H043JA02F
5H043KA22F
5H043KA24F
5H043KA27F
5H043KA28F
5H043LA03F
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バスバーと回路基板との電気的な接続信頼性を向上させる、バスバーユニットを提供する。
【解決手段】電極端子に接続されるバスバー30と、バスバーに重なる回路基板40と、バスバーと回路基板とが重なった状態で固定する合成樹脂製の固定部材53と、を備え、バスバーを貫通するバスバー貫通孔34と、回路基板を貫通する基板貫通孔50とが整合されており、固定部材は、バスバー貫通孔、及び基板貫通孔に挿通される軸部55と、軸部のうちバスバー貫通孔から突出するとともにバスバー貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有するバスバー側拡径部56Bと、軸部のうち基板貫通孔から突出するとともに基板貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部56Aと、を有し、軸部の外面は、バスバー貫通孔の内面、及び基板貫通孔の内面と密着しているバスバーユニット。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられるバスバーユニットであって、
前記電極端子に接続されるバスバーと、前記バスバーに重なる回路基板と、前記バスバーと前記回路基板とが重なった状態で固定する合成樹脂製の固定部材と、を備え、
前記バスバーを貫通するバスバー貫通孔と、前記回路基板を貫通する基板貫通孔とが整合されており、
前記固定部材は、前記バスバー貫通孔、及び前記基板貫通孔に挿通される軸部と、前記軸部のうち前記バスバー貫通孔から突出するとともに前記バスバー貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有するバスバー側拡径部と、前記軸部のうち前記基板貫通孔から突出するとともに前記基板貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部と、を有し、
前記軸部の外面は、前記バスバー貫通孔の内面、及び前記基板貫通孔の内面と密着しているバスバーユニット。
【請求項2】
前記バスバーは前記バスバー貫通孔の内周面から前記バスバー貫通孔の径方向の外方に突出するバスバー回り止め部を有し、
前記回路基板は前記基板貫通孔の内周面から前記基板貫通孔の径方向の外方に突出する基板回り止め部を有し、
前記軸部は、前記バスバー回り止め部の内面、及び前記基板回り止め部の内面と密着している請求項1に記載のバスバーユニット。
【請求項3】
前記バスバーは、前記バスバー貫通孔と異なる位置に、前記バスバーを貫通するバスバー回り止め孔を有し、
前記回路基板は、前記基板貫通孔と異なる位置に、前記回路基板を貫通する基板回り止め孔を有し、
前記バスバー側拡径部は、前記バスバー回り止め孔の内部に突出するバスバー回り止め突起を有し、前記バスバー回り止め突起の外面は前記バスバー回り止め孔の内面と密着しており、
前記基板側拡径部は、前記基板回り止め孔の内部に突出する基板回り止め突起を有し、前記基板回り止め突起の外面は前記基板回り止め孔の内面と密着している請求項1または請求項2に記載のバスバーユニット。
【請求項4】
前記バスバー回り止め突起と前記基板回り止め突起とが当接する当接部は、前記バスバー回り止め孔の内部に位置するか、又は、前記基板回り止め孔の内部に位置している請求項3に記載のバスバーユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項の記載のバスバーユニットと、
前記電極端子と前記回路基板に形成された導電路とを電気的に接続する中継部材と、
前記回路基板の前記導電路に接続された電線と、を備えた配線モジュール。
【請求項6】
前記バスバーは、前記電線を固定するかしめ部を有する請求項5に記載の配線モジュール。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の配線モジュールであって、
車両に搭載される車両用の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バスバーユニット、及び配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の電極に接続される端子板と、回路基板と、がリベットにより固定された電気的な接続構造について、特開2007-242629号公報に記載されている。端子板にはリベット用の貫通孔が形成されており、回路基板にもリベット用の貫通孔が形成されている。端子板の貫通孔と、回路基板の貫通孔とが位置合わせされた後、リベットが挿通され、貫通孔から突出しているリベットの先端部が扁平に変形されることにより、端子板と回路基板とが、かしめ固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子板の貫通孔の内径寸法、及び回路基板の貫通孔の内径寸法は、リベットの軸部の外形寸法よりも大きく設定されている。これは、リベットの軸部が、端子板の貫通孔、及び回路基板の貫通孔に確実に挿入されるように、部品公差、及び組み付け公差が設定されているためである。
【0005】
上記したように、リベットの先端部が扁平に変形されることで、端子板、回路基板、およびリベットは、かしめ固定される。しかし、リベットの軸部と、端子板の貫通孔の内面、及び回路基板の貫通孔の内面との間には、端子板、回路基板、及びリベットの、部品公差と組み付け公差に基づいて設定された隙間が残っている。
【0006】
電池が車両に搭載された場合、車両からの振動により、リベットの軸部と端子板の貫通孔との間の隙間、及び、リベットの軸部と回路基板の貫通孔との間の隙間にずれが生じるおそれがある。すると、端子板と回路基板との間に相対的な位置ずれが生じるおそれがある。この結果、端子板と、回路基板との間の電気的な接続信頼性が低下するおそれがある。
【0007】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバーと、回路基板との電気的な接続信頼性向上に係る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられるバスバーユニットであって、前記電極端子に接続されるバスバーと、前記バスバーに重なる回路基板と、前記バスバーと前記回路基板とが重なった状態で固定する合成樹脂製の固定部材と、を備え、前記バスバーを貫通するバスバー貫通孔と、前記回路基板を貫通する基板貫通孔とが整合されており、前記固定部材は、前記バスバー貫通孔、及び前記基板貫通孔に挿通される軸部と、前記軸部のうち前記バスバー貫通孔から突出するとともに前記バスバー貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有するバスバー側拡径部と、前記軸部のうち前記基板貫通孔から突出するとともに前記基板貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部と、を有し、前記軸部の外面は、前記バスバー貫通孔の内面、及び前記基板貫通孔の内面と密着している。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バスバーと、回路基板との電気的な接続信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、蓄電モジュールを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、配線モジュールを示す一部拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、バスバーと回路基板と、固定部材とを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、バスバーユニットを示す一部拡大平面図である。
【
図6】
図6は、回路基板とバスバーとの固定構造を示す、
図5におけるVI-VI線断面図である。
【
図7】
図7は、バスバーと回路基板とが重ねられた状態を示す一部拡大断面図である。
【
図8】
図8は、固定部材の軸部がバスバー貫通孔、及び基板貫通孔に挿通された状態を示す一部拡大断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の変形例(1)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例(2)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1の変形例(3)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の変形例(4)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の変形例(5)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る回路基板を示す平面図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係るバスバーを示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態2の変形例(1)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図17】
図17は、実施形態2の変形例(2)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図18】
図18は、実施形態2の変形例(3)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図19】
図19は、実施形態2の変形例(4)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図20】
図20は、実施形態2の変形例(5)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図21】
図21は、実施形態2の変形例(6)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図22】
図22は、実施形態2の変形例(7)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図23】
図23は、実施形態2の変形例(8)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図24】
図24は、実施形態2の変形例(9)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図25】
図25は、実施形態2の変形例(10)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図26】
図26は、実施形態2の変形例(11)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図27】
図27は、実施形態2の変形例(12)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図28】
図28は、実施形態2の変形例(13)に係る回路基板を示す平面図である。
【
図29】
図29は、実施形態3に係る回路基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0012】
(1)本開示は、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられるバスバーユニットであって、前記電極端子に接続されるバスバーと、前記バスバーに重なる回路基板と、前記バスバーと前記回路基板とが重なった状態で固定する合成樹脂製の固定部材と、を備え、前記バスバーを貫通するバスバー貫通孔と、前記回路基板を貫通する基板貫通孔とが整合されており、前記固定部材は、前記バスバー貫通孔、及び前記基板貫通孔に挿通される軸部と、前記軸部のうち前記バスバー貫通孔から突出するとともに前記バスバー貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有するバスバー側拡径部と、前記軸部のうち前記基板貫通孔から突出するとともに前記基板貫通孔の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部と、を有し、前記軸部の外面は、前記バスバー貫通孔の内面、及び前記基板貫通孔の内面と密着している。
【0013】
軸部の外面とバスバー貫通孔との間には隙間が形成されておらず、また、軸部の外面と基板貫通孔との間にも隙間が形成されていない。これにより、バスバーユニットに振動が伝えられても、回路基板とバスバーとが相対的に位置ずれすることが抑制される。この結果、バスバーと回路基板との電気的な接続信頼性が向上する。
【0014】
(2)前記バスバーは前記バスバー貫通孔の内周面から前記バスバー貫通孔の径方向の外方に突出するバスバー回り止め部を有し、前記回路基板は前記基板貫通孔の内周面から前記基板貫通孔の径方向の外方に突出する基板回り止め部を有し、前記軸部は、前記バスバー回り止め部の内面、及び前記基板回り止め部の内面と密着していることが好ましい。
【0015】
軸部が、バスバー回り止め部の内面、及び基板回り止め部の内面と密着することにより、バスバーと回路基板とが、固定部材の軸部を中心として相対的に回転することが抑制される。これにより、バスバーと回路基板との電気的な接続信頼性が向上する。
【0016】
(3)前記バスバーは、前記バスバー貫通孔と異なる位置に、前記バスバーを貫通するバスバー回り止め孔を有し、前記回路基板は、前記基板貫通孔と異なる位置に、前記回路基板を貫通する基板回り止め孔を有し、前記バスバー側拡径部は、前記バスバー回り止め孔の内部に突出するバスバー回り止め突起を有し、前記バスバー回り止め突起の外面は前記バスバー回り止め孔の内面と密着しており、前記基板側拡径部は、前記基板回り止め孔の内部に突出する基板回り止め突起を有し、前記基板回り止め突起の外面は前記基板回り止め孔の内面と密着していることが好ましい。
【0017】
バスバー回り止め突起の外面がバスバー回り止め孔の内面と密着するとともに、基板回り止め突起の外面が基板回り止め孔の内面と密着することにより、バスバーと回路基板とが、固定部材の軸部を中心として相対的に回転することが抑制される。これにより、バスバーと回路基板との電気的な接続信頼性が向上する。
【0018】
(4)前記バスバー回り止め突起と前記基板回り止め突起とが当接する当接部は、前記バスバー回り止め孔の内部に位置するか、又は、前記基板回り止め孔の内部に位置していることが好ましい。
【0019】
当接部がバスバー回り止め孔の内部に位置している場合には、基板回り止め突起は基板回り止め孔を貫通してバスバー回り止め孔の内部にまで進入した状態になっている。これにより、バスバーと回路基板とが、固定部材の軸部を中心に回転することが抑制される。
【0020】
また、当接部が基板回り止め孔の内部に位置している場合には、バスバー回り止め突起はバスバー回り止め孔を貫通して基板回り止め孔の内部にまで進入した状態になっている。これにより、バスバーと回路基板とが、固定部材の軸部を中心に回転することが抑制される。
【0021】
(5)本開示は、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載のバスバーユニットと、前記電極端子と前記回路基板に形成された導電路とを電気的に接続する中継部材と、前記回路基板の前記導電路に接続された電線と、を備えた配線モジュールである。
【0022】
蓄電素子の電極端子と、電線とを、中継部材、及び回路基板の導電路を介して電気的に接続できる。これにより、蓄電素子の電極端子の電圧を電線により検知することができる。
【0023】
(6)前記バスバーは、前記電線を固定するかしめ部を有することが好ましい。
【0024】
かしめ部により電線をバスバーに固定することができる。
【0025】
(7)本開示は、車両に搭載される車両用の配線モジュールに適用できる。
【0026】
車両からの振動が回路基板、及びバスバーに伝わった場合に、回路基板とバスバーとの間の電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図8を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、
図1に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0029】
図1に示すように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。蓄電モジュール10(及び配線モジュール20)は、任意の向きで搭載可能であるが、以下では、
図1を除き、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。
【0030】
[蓄電素子、電極端子]
蓄電モジュール10は、
図2に示すように、左右方向に一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える。蓄電素子11は、扁平な直方体状をなす。蓄電素子11の内部には、図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子11は、上面に正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する。蓄電素子11は特に限定されず、二次電池でもよく、またキャパシタでもよい。本実施形態に係る蓄電素子11は二次電池とされる。
【0031】
[配線モジュール]
図2に示すように、配線モジュール20は、複数のバスバーユニット22と、バスバーユニット22に接続される電線21と、を備える。配線モジュール20は、複数の蓄電素子11の前側及び後側に取り付けられるようになっている。以下では、前側に配される配線モジュール20の構成について詳細に説明する。なお、後側に配される配線モジュール20では、前後方向、左右方向の双方が反転するが、その他の点においては、後側に配される配線モジュール20の構成と前側に配される配線モジュール20の構成に差異はない。
【0032】
[バスバーユニット]
図2に示すように、バスバーユニット22は、電極端子12A,12Bに接続されるバスバー30と、バスバー30と電線21とを接続する回路基板40と、回路基板40をバスバー30に固定する固定部材53と、を備える。
【0033】
[バスバー]
バスバー30は、導電性を有する金属板材からなる。バスバー30を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
図4に示すように、バスバー30は、平面視で長方形状をなすバスバー本体部31と、バスバー本体部31に上下方向に貫通する位置決め孔32と、を有する。位置決め孔32に、電極端子12A,12Bに設けられる突起部(図示せず)を挿通することにより、バスバー30と電極端子12A,12Bとが位置決めされるようになっている。バスバー30と電極端子12A,12Bとは溶接により電気的に接続される。バスバー30には、隣り合う蓄電素子11の電極端子12A,12Bを接続するものと、複数の蓄電素子11の総正極または総負極に接続されるものと、があるが、以下、特に区別しない。バスバー30と、電極端子12A,12Bとは、レーザー溶接、半田付け等の公知の手法により接続される。
【0034】
図3に示すように、複数の蓄電素子11の前側に配されるバスバー30において、長方形状のバスバー30の四角のうち右後の角には、回路基板40が配設されるようになっている。以下、回路基板40が配設されるバスバー30の角の部分を、回路基板配設部33とする(
図4参照)。
【0035】
[かしめ部]
図3に示すように、回路基板配設部33の左後部には、バスバー本体部31に対して後方に突出するとともに、右方に折り曲げられたかしめ部36が設けられている。かしめ部36は、電線21を挟持し、固定するようになっている。
【0036】
[回路基板]
本実施形態では、
図5に示すように、回路基板40は、絶縁性を有する絶縁板42と、絶縁板42にプリント配線技術により形成された導電路43と、を備える。絶縁板42は、例えばガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸させて硬化させることにより形成される。導電路43は、例えば銅または銅合金等の金属からなり、導電性を有している。導電路43は、導電路43の一端に配される接続ランド45と、導電路43の他端に配される電線ランド46と、を備える。
【0037】
[接続ランド、電線ランド]
図5に示すように、接続ランド45は、絶縁板42の右側に形成されている。接続ランド45には、銅等からなる中継部材45Aを介してバスバー30に電気的に接続されるようになっている。接続ランド45と中継部材45Aとは半田付けにより接続されるようになっている。バスバー30と中継部材45Aとは、超音波溶接、レーザー溶接等の溶接により接続されてもよいし、半田付けにより接続されてもよい。電線ランド46は、絶縁板42の左側に形成されている。電線ランド46は、電線21の芯線21Aと半田付けにより接続されるようになっている。
【0038】
[電線]
図5に示すように、電線21は、芯線21Aと、芯線21Aを覆う絶縁被覆21Bと、を有している。電線21の一端に露出された芯線21Aは、電線ランド46に半田付けにより接続される。電線21の一端の絶縁被覆21Bは、かしめ部36によりバスバー30に固定される。図示しないが、電線21の他端は、コネクタを介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0039】
[回路基板とバスバーとの固定構造]
続いて、回路基板40とバスバー30との固定構造について説明する。
【0040】
[バスバー貫通孔]
バスバー30の回路基板配設部33には上下方向に貫通するバスバー貫通孔34が形成されている。バスバー貫通孔34は回路基板配設部33の略中央部に位置する。バスバー貫通孔34の断面形状は円形状をなしている。
図6に示すように、バスバー貫通孔34には固定部材53が挿通されるようになっている。
【0041】
[バスバー回り止め孔]
図4に示すように、バスバー30には、バスバー貫通孔34の径方向の外方に、複数(本実施形態では3つ)のバスバー回り止め孔37が、バスバー貫通孔34の周方向に沿って間隔を空けて並んで形成されている。各バスバー回り止め孔37は等間隔に並んでいる。各バスバー回り止め孔37は、バスバー貫通孔34の径方向について外方に凸形状に緩やかに曲がった、略長円形状をなしている。各バスバー回り止め孔37は同形状をなしている。
【0042】
[基板貫通孔]
図4に示すように、絶縁板42の左右中央部の後側には、上下方向に貫通する基板貫通孔50が設けられている。基板貫通孔50の断面形状は円形状をなしている。基板貫通孔50の内径寸法は、バスバー貫通孔34の内径寸法と実質的に同じに設定されている。実質的に同じとは、基板貫通孔50の内径寸法と、バスバー貫通孔34の内径寸法が同じである場合を含むとともに、基板貫通孔50の内径寸法と、バスバー貫通孔34の内径寸法が異なっている場合であっても実質的に同じと認定される場合も含む。
【0043】
[基板回り止め孔]
図4に示すように、絶縁板42には、基板貫通孔50の径方向の外方に、複数(本実施形態では3つ)の基板回り止め孔47が、基板貫通孔50の周方向に沿って間隔を空けて並んで形成されている。各基板回り止め孔47は等間隔に並んでいる。各基板回り止め孔47は、基板貫通孔50の径方向について外方に凸形状に緩やかに曲がった、略長円形状をなしている。各基板回り止め孔47は同形状をなしている。
【0044】
基板回り止め孔47の形状と、バスバー回り止め孔37の形状は、実質的に同じに設定されている。実質的に同じとは、基板回り止め孔47の形状と、バスバー回り止め孔37の形状が同じである場合を含むとともに、基板回り止め孔47の形状と、バスバー回り止め孔37の形状が異なっている場合であっても実質的に同じと認定される場合も含む。
【0045】
[固定部材]
図6に示すように、バスバー貫通孔34及び基板貫通孔50には本実施形態の固定部材53が挿通されており、固定部材53によってバスバー30と絶縁板42とが固定されるようになっている。固定部材53は熱可塑性の合成樹脂材により構成される。固定部材53は、バスバー貫通孔34及び基板貫通孔50に挿入される軸部55と、軸部55の端部に形成され、バスバー貫通孔34及び基板貫通孔50の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部56A及びバスバー側拡径部56Bと、を備える。軸部55は上下方向に延びる円筒形状をなしている。軸部55の上端部であって回路基板40の上方には基板側拡径部56Aが形成され、軸部55の下端部であってバスバー30の下方にはバスバー側拡径部56Bが形成されている。基板側拡径部56Aは上方から見て略円形状をなしており、バスバー側拡径部56Bは下方から見て略円形状をなしている。
【0046】
固定部材53を構成する合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂を用いることができる。また、ポリオレフィンを用いる場合には、不飽和カルボン酸又はその無水物などの極性化合物により変性したものを用いてもよい。これにより、バスバー30と固定部材53との接着性を向上させることができる。
【0047】
バスバー30及び絶縁板42に固着される前の固定部材53は、軸部55とバスバー側拡径部56Bとを有し、基板側拡径部56Aは形成されていない。バスバー30及び絶縁板42に固着される前の状態においては、軸部55の外形寸法は、バスバー貫通孔34の内径寸法、及び基板貫通孔50の内径寸法と、同じか、又はやや小さく設定されている。基板側拡径部56Aが形成されていない軸部55が下方からバスバー貫通孔34及び基板貫通孔50に挿通され、回路基板40の上面から上方に突出した軸部55の端部が加熱、加圧されることによって基板側拡径部56Aが形成されるようになっている。
【0048】
バスバー回り止め孔37は、バスバー側拡径部56Bにより下方から塞がれている。バスバー側拡径部56Bの外形寸法は、バスバー30のうちバスバー回り止め孔37が形成された領域よりも大きく形成されている。
【0049】
バスバー側拡径部56Bの上面には、上方に突出する複数(本実施形態では3つ)のバスバー回り止め突起57が形成されている。バスバー30及び絶縁板42に固着される前の状態においては、バスバー回り止め突起57の外形状は、バスバー回り止め孔37の内形状と、同じか、又はやや小さく形成されている。バスバー回り止め孔37の上端部は、基板回り止め孔47の内部に位置するようになっている。
【0050】
バスバー30及び絶縁板42に固着された状態では、基板側拡径部56Aの下面には、下方に突出する複数(本実施形態では3つ)の基板回り止め突起58が形成されている。軸部55の上端部が加熱、加圧されることにより変形し、基板回り止め孔47の内部に上方から進入した後に固化することにより、基板回り止め突起58が形成されるようになっている。基板回り止め突起58の下端部と、バスバー回り止め突起57の上端部とは基板回り止め孔47の内側において当接している。基板回り止め突起58とバスバー回り止め突起57とが当接する部分は当接部59とされる。
【0051】
基板回り止め突起58と、バスバー回り止め突起57とは、当接部59において一体に融着した状態であってもよいし、また、当接部59において互いに当接した状態で別体となっていてもよい。
【0052】
[本実施形態のバスバーユニット及び配線モジュールの製造方法]
続いて、本実施形態にかかるバスバーユニット22及び配線モジュール20の製造方法の一例を説明する。バスバーユニット22及び配線モジュール20の製造工程は、以下の説明に限定されない。
【0053】
図7に示すように、バスバー30の上面に回路基板40が重ねられる。このとき、バスバー貫通孔34と基板貫通孔50とが整合され、バスバー回り止め孔37と基板回り止め孔47とが整合された状態で、バスバー30と回路基板40とが重ねられる。
【0054】
図8に示すように、バスバー30の下方から、固定部材53の軸部55が、バスバー貫通孔34、及び基板貫通孔50内に挿入される。軸部55の上端は回路基板40の上面よりも上方に位置するようになっている。また、バスバー側拡径部56Bに設けられたバスバー回り止め突起57の上端は、基板回り止め孔47の内部に位置するようになっている。この状態では、軸部55の外面と、バスバー貫通孔34の内面及び基板貫通孔50の内面との間には、製造公差及び組み付け公差に基づいた隙間が形成されている。
【0055】
軸部55の上端部が、図示しない治具によって加熱、加圧される。治具によって、軸部55の上端部は、固定部材53を構成する合成樹脂の軟化温度以上に加熱される。これにより、軸部55の上端部が変形することにより、基板側拡径部56Aが形成される。
【0056】
治具によって加熱されることにより、軸部55が軟化する。さらに治具によって加圧されることにより、軸部55のうち、基板貫通孔50、及びバスバー貫通孔34内に位置する部分が膨張する。これにより、軸部55の外面が、基板貫通孔50の内面と密着するとともに、バスバー貫通孔34の内面と密着する。少なくとも軸部55の外面の一部が基板貫通孔50の内面、及びバスバー貫通孔34の内面と密着するようになっている。軸部55の外面の全てが、基板貫通孔50の内面、及びバスバー貫通孔34の内面と密着していてもよい。
【0057】
軟化した軸部55の上端部は、基板回り止め孔47の内部に進入し、基板回り止め孔47の内面と密着する。基板回り止め突起58の外面の少なくとも一部が、基板回り止め孔47の内面と密着するようになっている。基板回り止め突起58の外面の全てが、基板回り止め孔47の内面と密着していてもよい。
【0058】
軟化した基板側拡径部56Aの一部は基板回り止め孔47の内部を下方に移動し、バスバー回り止め突起57の上端部と接触する。
【0059】
一方、治具から熱を受けるとともに、治具からの圧力を受けることにより、バスバー回り止め突起57は膨張する。これにより、バスバー回り止め突起57の外面の少なくとも一部は、バスバー回り止め孔37の内面と密着する。バスバー回り止め突起57の外面の全てが、バスバー回り止め孔37の内面と密着してもよい。
【0060】
その後、治具が固定部材53から離され、固定部材53が硬化する。これにより、基板側拡径部56Aに基板回り止め突起58が形成される。基板回り止め突起58の下端部はバスバー回り止め突起57の上端部と接触するようになっている(
図6参照)。その後、中継部材45Aとバスバー30とが接続される。以上により、バスバーユニット22の製造が完了する。
【0061】
バスバーユニット22に電線21が接続される。電線21の絶縁被覆21Bがかしめ部36により固定された後で、電線21の芯線21Aが電線ランド46に半田付けされる。以上により、配線モジュール20の製造が完了する。
【0062】
次いで、バスバー30が蓄電素子11の電極端子12A,12Bにレーザー溶接される。以上により、蓄電モジュール10の製造が完了する(
図2参照)。
【0063】
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。本実施形態に係るバスバーユニット22は、電極端子12A,12Bを有する複数の蓄電素子11に取り付けられるバスバーユニット22であって、電極端子12A,12Bに接続されるバスバー30と、バスバー30に重なる回路基板40と、バスバー30と回路基板40とが重なった状態で固定する合成樹脂製の固定部材53と、を備え、バスバー30を貫通するバスバー貫通孔34と、回路基板40を貫通する基板貫通孔50とが整合されており、固定部材53は、バスバー貫通孔34、及び基板貫通孔50に挿通される軸部55と、軸部55のうちバスバー貫通孔34から突出するとともにバスバー貫通孔34の内径寸法よりも大きな外径寸法を有するバスバー側拡径部56Bと、軸部55のうち基板貫通孔50から突出するとともに基板貫通孔50の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する基板側拡径部56Aと、を有し、軸部55の外面は、バスバー貫通孔34の内面、及び基板貫通孔50の内面と密着している。
【0064】
本実施形態によれば、軸部55の外面とバスバー貫通孔34の内面とが密着するとともに、軸部55の外面と基板貫通孔50の内面とが密着しているので、バスバーユニット22に振動が伝えられても、回路基板40とバスバー30とが相対的に位置ずれすることが抑制される。この結果、バスバー30と回路基板40との電気的な接続信頼性が向上する。
【0065】
また、本実施形態によれば、バスバー30は、バスバー貫通孔34と異なる位置に、バスバー30を貫通するバスバー回り止め孔37を有し、回路基板40は、基板貫通孔50と異なる位置に、回路基板40を貫通する基板回り止め孔47を有し、バスバー側拡径部56Bは、バスバー回り止め孔37の内部に突出するバスバー回り止め突起57を有し、バスバー回り止め突起57の外面はバスバー回り止め孔37の内面と密着しており、基板側拡径部56Aは、基板回り止め孔47の内部に突出する基板回り止め突起58を有し、基板回り止め突起58の外面は基板回り止め孔47の内面と密着している。
【0066】
バスバー回り止め突起57の外面がバスバー回り止め孔37の内面と密着するとともに、基板回り止め突起58の外面が基板回り止め孔47の内面と密着することにより、バスバー30と回路基板40とが、固定部材53の軸部55を中心として相対的に回転することが抑制される。これにより、バスバー30と回路基板40との電気的な接続信頼性が向上する。
【0067】
また、本実施形態によれば、バスバー回り止め突起57と基板回り止め突起58とが当接する当接部59は、基板回り止め孔47の内部に位置している。
【0068】
当接部59が基板回り止め孔47の内部に位置している場合には、バスバー回り止め突起57はバスバー回り止め孔37を貫通して基板回り止め孔47の内部にまで進入した状態になっている。これにより、バスバー30と回路基板40とが、固定部材53の軸部55を中心に回転することが抑制される。
【0069】
本実施形態に係る配線モジュール20は、上記のバスバーユニット22と、電極端子12A,12Bと回路基板40に形成された導電路43とを電気的に接続する中継部材45Aと、回路基板40の導電路43に接続された電線21と、を備える。
【0070】
蓄電素子11の電極端子12A,12Bと、電線21とを、中継部材45A、及び回路基板40の導電路43を介して電気的に接続できる。これにより、蓄電素子11の電極端子12A,12Bの電圧を電線21により検知することができる。
【0071】
本実施形態によれば、バスバー30は、電線21を固定するかしめ部36を有する。
【0072】
かしめ部36により電線21をバスバー30に固定することができる。
【0073】
本実施形態に係る配線モジュール20は、車両1に搭載される車両用の配線モジュール20である。これにより、車両1からの振動が回路基板40、及びバスバー30に伝わった場合に、回路基板40とバスバー30との間の電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0074】
<実施形態1の変形例>
続いて、実施形態1の変形例について以下に例示して説明する。バスバー回り止め孔37、バスバー回り止め突起57、基板回り止め孔47、及び基板回り止め突起58の、個数、形状、配置について以下の記載に限定されない。
【0075】
(1)
図9に示すように、回路基板40は断面形状が円形状をなす1つの基板貫通孔50が形成されるとともに、緩やかに曲がった長円形状をなす1つの基板回り止め孔47が形成される構成としてもよい。
【0076】
(2)
図10に示すように、回路基板40には、1つの基板貫通孔50の周囲に、基板貫通孔50の中心に対して点対称の位置に、緩やかに曲がった長円形状の2つの基板回り止め孔47が形成されてもよい。
【0077】
(3)
図11に示すように、回路基板40には、1つの基板貫通孔50の周囲に、基板貫通孔50の中心に対して点対称の位置に、緩やかに曲がった長円形状の4つの基板回り止め孔47が形成されてもよい。
【0078】
(4)
図12に示すように、回路基板40には、1つの基板貫通孔50の周囲に、基板貫通孔50の中心に対して点対称の位置に、断面形状が円形状をなす4つの基板回り止め孔47が形成されてもよい。基板回り止め孔47の直径は、基板貫通孔50の直径よりも小さい。
【0079】
(5)
図13に示すように、回路基板40は、1つの基板貫通孔50の周囲に、断面形状が円形状をなす1つの基板回り止め孔47と、緩やかに曲がった長円形状をなす1つの基板回り止め孔47と、を有する構成としてもよい。長円形状をなす基板回り止め孔47は、基板貫通孔50の孔縁部のうち、半周分に対応する領域に形成されている。
【0080】
なお、図には詳細に記載しないが、上記の(1)から(5)に係る構成につき、回路基板40と重なるバスバー30には、基板貫通孔50に対応する位置に、基板貫通孔50と同形状のバスバー貫通孔34が形成されており、基板回り止め孔47に対応する位置に、基板回り止め孔47と同形状のバスバー回り止め孔37が形成されている。
【0081】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について、
図14から
図15を参照しつつ説明する。
図14に示すように、回路基板40には、回路基板40を上下方向に貫通する基板貫通孔50が形成されている。回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本実施形態では3つ)の基板回り止め部60を有する。
【0082】
基板回り止め部60は、基板貫通孔50の周方向に等間隔に形成されている。基板回り止め部60は、上方から見て、先端が丸められた長方形状に形成されている。基板回り止め部60の、基板貫通孔50の孔縁部からの突出寸法は、基板貫通孔50の半径と、ほぼ同じに設定されている。
【0083】
図15に、回路基板40と重なるバスバー30を示す。バスバー30には、基板貫通孔50に対応する位置に、基板貫通孔50と同形状のバスバー貫通孔34が形成されており、基板回り止め部60に対応する位置に、基板回り止め部60と同形状のバスバー回り止め部61が形成されている。
【0084】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
本実施形態によれば、バスバー30はバスバー貫通孔34の内周面からバスバー貫通孔34の径方向の外方に突出するバスバー回り止め部61を有し、回路基板40は基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する基板回り止め部60を有し、軸部55は、バスバー回り止め部61の内面、及び基板回り止め部60の内面と密着している。
【0086】
軸部55が、バスバー回り止め部61の内面、及び基板回り止め部60の内面と密着することにより、バスバー30と回路基板40とが、固定部材53の軸部55を中心として相対的に回転することが抑制される。これにより、バスバー30と回路基板40との電気的な接続信頼性が向上する。
【0087】
<実施形態2の変形例>
続いて、実施形態2の変形例について以下に例示して説明する。バスバー貫通孔34、バスバー回り止め部61、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の、個数、形状、配置について以下の記載に限定されない。
【0088】
(1)
図16に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では4つ)の基板回り止め部60を有する。基板回り止め部60は、上方から見て、弓形に形成されている。各基板回り止め部60は同じ形状をなしている。
【0089】
(2)
図17に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では2つ)の基板回り止め部60を有する。基板回り止め部60は、基板貫通孔50の直径方向の外方にそれぞれ突出している。これにより、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、上方から見て、全体として木の葉状に形成されている。
【0090】
(3)
図18に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では3つ)の基板回り止め部60を有する。各基板回り止め部60は、上方から見て略T字形状をなしている。
【0091】
(4)
図19に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では3つ)の基板回り止め部60を有する。基板回り止め部60は、基板貫通孔50の直径方向の外方にそれぞれ突出している。各基板回り止め部60は、上方から見て、円弧の一部が欠けた形状をなしている。
【0092】
(5)
図20に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では3つ)の基板回り止め部60を有する。これにより、上方から見て、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、全体として三角形状をなしている。
【0093】
(6)
図21に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では4つ)の基板回り止め部60を有する。上方から見て、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、全体として四角形状をなしている。
【0094】
(7)
図22に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では5つ)の基板回り止め部60を有する。上方から見て、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、全体として五角形状をなしている。
【0095】
(8)
図23に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では6つ)の基板回り止め部60を有する。上方から見て、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、全体として六角形状をなしている。
【0096】
(9)
図24に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では2つ)の基板回り止め部60を有する。基板回り止め部60は、基板貫通孔50の直径方向にそれぞれ突出している。各基板回り止め部60は、上方から見て先端が丸められた四角形状をなしている。
【0097】
(10)
図25に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では3つ)の基板回り止め部60を有する。各基板回り止め部60は、上方から見て先端が丸められた四角形状をなしている。
【0098】
(11)
図26に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では4つ)の基板回り止め部60を有する。各基板回り止め部60は、上方から見て先端が丸められた四角形状をなしている。
【0099】
(12)
図27に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では5つ)の基板回り止め部60を有する。各基板回り止め部60は、上方から見て先端が丸められた四角形状をなしている。
【0100】
(13)
図28に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では6つ)の基板回り止め部60を有する。各基板回り止め部60は、上方から見て先端が丸められた四角形状をなしている。
【0101】
なお、図には詳細に記載しないが、上記の(1)から(13)に係る構成につき、回路基板40と重なるバスバー30には、基板貫通孔50に対応する位置に、基板貫通孔50と同形状のバスバー貫通孔34が形成されており、基板回り止め部60に対応する位置に、基板回り止め部60と同形状のバスバー回り止め部61が形成されている。
【0102】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について、
図29を参照しつつ説明する。
図29に示すように、回路基板40は、基板貫通孔50の内周面から基板貫通孔50の径方向の外方に突出する複数(本変形例では3つ)の基板回り止め部60を有する。これにより、上方から見て、基板貫通孔50、及び基板回り止め部60の孔縁部は、全体として三角形状をなしている。
【0103】
回路基板40には、1つの基板貫通孔50の周囲に、断面形状が円形状をなす3つの基板回り止め孔47が形成されている。基板回り止め孔47は周方向に沿って等間隔に並んでいる。
【0104】
詳細には図示しないが、回路基板40と重なるバスバー30には、基板貫通孔50に対応する位置に、基板貫通孔50と同形状のバスバー貫通孔34が形成されており、基板回り止め部60に対応する位置に、基板回り止め部60と同形状のバスバー回り止め部61が形成されており、基板回り止め孔47に対応する位置に、基板回り止め孔47と同形状のバスバー回り止め孔37が形成されている。
【0105】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0106】
<他の実施形態>
(1)バスバー貫通孔34、基板貫通孔50、バスバー回り止め突起57、基板回り止め突起58、バスバー回り止め孔37、基板回り止め孔47、バスバー回り止め部61、及び基板回り止め部60の形状、個数、位置、及び組み合わせについては限定されない。
【0107】
(2)当接部59がバスバー回り止め孔37の内部に位置している場合には、基板回り止め突起58は基板回り止め孔47を貫通してバスバー回り止め孔37の内部にまで進入した状態になっている。これにより、バスバー30と回路基板40とが、固定部材53の軸部55を中心に回転することが抑制される。
【符号の説明】
【0108】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極端子
20: 配線モジュール
21: 電線
21A: 芯線
21B: 絶縁被覆
22: バスバーユニット
30: バスバー
31: バスバー本体部
32: 位置決め孔
33: 回路基板配設部
34: バスバー貫通孔
36: かしめ部
37: バスバー回り止め孔
40: 回路基板
42: 絶縁板
43: 導電路
45: 接続ランド
45A: 中継部材
46: 電線ランド
47: 基板回り止め孔
50: 基板貫通孔
53: 固定部材
55: 軸部
56A: 基板側拡径部
56B: バスバー側拡径部
57: バスバー回り止め突起
58: 基板回り止め突起
59: 当接部
60: 基板回り止め部
61: バスバー回り止め部